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特許7166833放射線検出器及び放射線検出器モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】放射線検出器及び放射線検出器モジュール
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20221031BHJP
   G01T 7/00 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
A61B6/03 320W
G01T7/00 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018146698
(22)【出願日】2018-08-03
(65)【公開番号】P2020018766
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】高安 正郎
(72)【発明者】
【氏名】堀之内 実
(72)【発明者】
【氏名】西島 輝
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0132834(US,A1)
【文献】特開2009-282033(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0152159(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0056095(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00
G01T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を検出する複数の検出素子をチャネル方向及び列方向に配列して形成された検出面と、当該検出素子を支持する支持部材とを有する複数の放射線検出器モジュールと、
前記放射線検出器モジュールが前記チャネル方向に並べて取り付けられ、各放射線検出器モジュールの検出面が前記チャネル方向に並んで配置されるように各放射線検出器モジュールの位置を固定する固定フレームと
を備え、
前記固定フレームの前記列方向における端部には、前記放射線の照射方向に延在するガイドピンが設けられており、
前記支持部材の前記列方向における端部には、前記放射線の照射方向に延在し、前記列方向における端面側に開口する溝状のガイド部が形成されており、
前記放射線検出器モジュールは、前記列方向に移動された後に前記放射線の照射方向に移動されて前記固定フレームに取り付けられる際に、前記ガイドピンに前記ガイド部が嵌合することで、前記チャネル方向及び列方向への移動が制限されつつ、前記放射線の照射方向に位置合わせされる、
放射線検出器。
【請求項2】
放射線を検出する複数の検出素子をチャネル方向及び列方向に配列して形成された検出面と、当該検出素子を支持する支持部材とを有する複数の放射線検出器モジュールと、
前記放射線検出器モジュールが前記チャネル方向に並べて取り付けられ、各放射線検出器モジュールの検出面が前記チャネル方向に並んで配置されるように各放射線検出器モジュールの位置を固定する固定フレームと
を備え、
前記固定フレームの前記列方向における端部には、前記放射線の照射方向に延在するガイドピンが設けられており、
前記支持部材の前記列方向における端部には、前記放射線の照射方向に延在する溝状のガイド部が形成されており、
前記支持部材の前記チャネル方向における両側面には、前記列方向に延在する案内溝が形成されており、
前記放射線検出器モジュールは、前記固定フレームに取り付けられる際に、前記支持部材の案内溝が取り付け済みの他の放射線検出器モジュールの支持部材の案内溝に装着された治具によって摺動可能に支持されることで、前記固定フレーム対して斜めに近づくように前記照射方向への移動が案内され、前記ガイドピンに前記ガイド部が嵌合することで、前記チャネル方向及び列方向への移動が制限されつつ、前記放射線の照射方向に位置合わせされる、
放射線検出器。
【請求項3】
前記支持部材の前記チャネル方向における両側面には、前記列方向に延在する案内溝が形成されており、
前記放射線検出器モジュールは、前記固定フレームに取り付けられる際に、前記支持部材の案内溝が取り付け済みの他の放射線検出器モジュールの支持部材の案内溝に装着された治具によって摺動可能に支持されることで、前記固定フレーム対して斜めに近づくように前記照射方向への移動が案内される、
請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項4】
前記治具は、棒状に形成されており、長手方向の略全長にわたって、当該治具が前記支持部材の案内溝に装着された際に前記支持部材からチャネル方向へ突出するように形成された案内部を有しており、
前記案内部は、前記治具が前記支持部材の案内溝に装着された際に前記列方向に前記ガイド部とは反対側に配置される端部から前記ガイド部側の端部へ向かうにつれて前記照射方向に前記固定フレームに近づくように形成された傾斜面を有しており、
前記放射線検出器モジュールは、前記固定フレームに取り付けられる際に、前記支持部材の案内溝が前記他の放射線検出器モジュールの支持部材の案内溝に装着された治具の案内部の傾斜面に摺接しながら前記列方向に移動することで、前記固定フレームに対して斜めに近づくように前記照射方向への移動が案内される、
請求項2又は3に記載の放射線検出器。
【請求項5】
前記ガイドピンの先端には、ねじが形成されており、
前記放射線検出器モジュールは、前記ガイドピンに前記ガイド部が嵌合した状態で、前記ガイドピンのネジに螺合するねじが形成された固定部材によって前記固定フレームとは反対側から前記固定フレームに押し付けられることで、前記固定フレームに締結される、
請求項1~のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【請求項6】
前記支持部材における前記固定フレームと対向する側の面には、前記照射方向に突出する位置決めピンが設けられており、
前記固定フレームにおける前記支持部材と対向する側の面には、前記照射方向に延在する位置決め穴が形成されており、
前記放射線検出器モジュールは、前記固定フレームに取り付けられる際に、前記ガイドピンに前記ガイド部が嵌合した状態で、前記位置決めピンが前記位置決め穴に嵌合することで、前記チャネル方向及び前記列方向の位置が固定される、
請求項1~のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【請求項7】
放射線を検出する複数の検出素子をチャネル方向及び列方向に配列して形成された検出面と、当該検出素子を支持する支持部材とを有する放射線検出器モジュールであって、
複数の放射線検出器モジュールの検出面が前記チャネル方向に並んで配置されるように各放射線検出器モジュールの位置を固定する固定フレームに他の放射線検出器モジュールとともに前記チャネル方向に並べて取り付けられ、
前記支持部材の前記列方向における端部には、前記放射線の照射方向に延在し、前記列方向における端面側に開口する溝状のガイド部が形成されており、
前記固定フレームに取り付けられる際に、前記列方向に移動された後に前記放射線の照射方向に移動されて前記固定フレームの前記列方向における端部に設けられた前記放射線の照射方向に延在するガイドピンに前記ガイド部が嵌合することで、前記チャネル方向及び列方向への移動が制限されつつ、前記放射線の照射方向に位置合わせされる、
放射線検出器モジュール。
【請求項8】
放射線を検出する複数の検出素子をチャネル方向及び列方向に配列して形成された検出面と、当該検出素子を支持する支持部材とを有する放射線検出器モジュールであって、
複数の放射線検出器モジュールの検出面が前記チャネル方向に並んで配置されるように各放射線検出器モジュールの位置を固定する固定フレームに他の放射線検出器モジュールとともに前記チャネル方向に並べて取り付けられ、
前記支持部材の前記列方向における端部には、前記放射線の照射方向に延在する溝状のガイド部が形成されており、
前記支持部材の前記チャネル方向における両側面には、前記列方向に延在する案内溝が形成されており、
前記固定フレームに取り付けられる際に、前記支持部材の案内溝が取り付け済みの他の放射線検出器モジュールの支持部材の案内溝に装着された治具によって摺動可能に支持されることで、前記固定フレーム対して斜めに近づくように前記照射方向への移動が案内され、前記固定フレームの前記列方向における端部に設けられた前記放射線の照射方向に延在するガイドピンに前記ガイド部が嵌合することで、前記チャネル方向及び列方向への移動が制限されつつ、前記放射線の照射方向に位置合わせされる、
放射線検出器モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放射線検出器及び放射線検出器モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線CT(Computed Tomography)装置やPET(Positron Emission Tomography)装置等のような放射線を利用した医用画像診断装置は、投影データの基になる放射線を検出するための放射線検出器を備える。このような放射線検出器の中には、複数の放射線検出器モジュールによって構成され、各放射線検出器モジュールが個別に交換可能となっているものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-000496号公報
【文献】特開2014-042732号公報
【文献】特開2018-007971号公報
【文献】特表2007-512075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、作業者が放射線検出器モジュールの交換をより容易に行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る放射線検出器は、複数の放射線検出器モジュールと、固定フレームとを備える。前記放射線検出器モジュールは、放射線を検出する複数の検出素子をチャネル方向及び列方向に配列して形成された検出面と、当該検出素子を支持する支持部材とを有する。前記固定フレームは、前記放射線検出器モジュールが前記チャネル方向に並べて取り付けられ、各放射線検出器モジュールの検出面が前記チャネル方向に並んで配置されるように各放射線検出器モジュールの位置を固定する。前記固定フレームの前記列方向における端部には、前記放射線の照射方向に延在するガイドピンが設けられている。前記支持部材の前記列方向における端部には、前記放射線の照射方向に延在する溝状のガイド部が形成されている。前記放射線検出器モジュールは、前記固定フレームに取り付けられる際に、前記ガイドピンに前記ガイド部が嵌合することで、前記チャネル方向及び列方向への移動が制限されつつ、前記放射線の照射方向に位置合わせされる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本実施形態に係るX線CT装置の構成例を示す図である。
図2図2は、本実施形態に係るX線検出器の構成例を示す図である。
図3図3は、本実施形態に係るX線検出器モジュールの構成例を示す図である。
図4図4は、本実施形態に係る第1の固定フレームの構成例を示す図である。
図5図5は、本実施形態に係る治具の構成例を示す図である。
図6図6は、本実施形態に係るX線検出器モジュールが取り付けられる際の流れを示す図である。
図7図7は、本実施形態に係るX線検出器モジュールが取り付けられる際の流れを示す図である。
図8図8は、本実施形態に係るX線検出器モジュールが固定フレームに取り付けられた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、放射線検出器及び放射線検出器モジュールの実施形態について説明する。ここで、各図面に示される構成は模式的なものであり、図示されている各構成要素の寸法や構成要素間の寸法の比率は実物と異なる場合がある。また、図面相互の間でも、同じ構成要素の寸法や構成要素間の寸法の比率が異なって示されている場合がある。
【0008】
なお、以下に示す実施形態では、本願が開示する放射線検出器及び放射線検出器モジュールをX線CT装置に適用した場合の例を説明する。
【0009】
図1は、本実施形態に係るX線CT装置の構成例を示す図である。
【0010】
例えば、図1に示すように、本実施形態に係るX線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを有する。なお、図1では説明の便宜上、架台装置10を複数示している。
【0011】
なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台装置30の天板33の長手方向を「Z軸方向」と定義する。また、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向を「X軸方向」と定義する。また、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向を「Y軸方向」と定義する。
【0012】
架台装置10は、被検体P(患者等)にX線を照射し、被検体Pを透過したX線を検出して、コンソール装置40に出力する装置である。架台装置10は、X線管11と、X線検出器12と、回転フレーム13と、制御装置15と、ウェッジ16と、X線絞り器17と、X線高電圧装置14とを有する。
【0013】
X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射することでX線を発生する真空管である。例えば、X線管11は、回転する陽極に熱電子を照射することでX線を発生させる回転陽極型のX線管である。
【0014】
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。例えば、ウェッジ16は、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。なお、ウェッジ16は、ウェッジフィルタ(wedge filter)や、ボウタイフィルタ(bow-tie filter)とも呼ばれる。
【0015】
X線絞り器17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等を含み、複数の鉛板等を組み合わせることによってスリットを形成している。
【0016】
X線検出器12は、X線管11から照射され、被検体Pを通過したX線を検出する。具体的には、X線検出器12は、X線管11の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数の検出素子が配列された複数の検出素子列を有する。例えば、X線検出器12は、チャネル方向に複数の検出素子が配列された検出素子列が列方向(スライス方向、row方向とも呼ばれる)に複数配列された構造を有する。
【0017】
例えば、X線検出器12は、コリメータと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有し、各シンチレータが、入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。コリメータ(グリッドとも呼ばれる)は、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収するX線遮蔽板を有する。例えば、コリメータは、1次元コリメータ又は2次元コリメータである。光センサアレイは、複数の光センサを有し、各光センサが、対応するシンチレータから出力される光量に応じた電気信号を出力する。例えば、光センサアレイは、光電子増倍管(Photomultiplier Tube:PMT)等の他の光センサを有する。なお、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
【0018】
また、X線検出器12は、各検出素子から出力される電気信号を処理するDAS(Data Acquisition System)を有する。DASは、X線検出器12の各検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、検出データを生成する。DASが生成した検出データは、コンソール装置40へと転送される。
【0019】
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧を発生する機能を有する高電圧発生装置と、X線管11が照射するX線出力に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。なお、X線高電圧装置14は、後述する回転フレーム13に設けられてもよいし、架台装置10において回転フレーム13を回転可能に支持する支持フレーム(図示は省略)に設けられてもよい。
【0020】
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、後述する制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。なお、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14を更に備えて支持する。ここで、X線検出器12が有するDASが生成した検出データは、回転フレーム13に設けられた発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)を有する送信機から光通信によって架台装置10の非回転部分(例えば、支持フレーム等)に設けられたフォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール装置40へ転送される。なお、回転フレーム13から架台装置10の非回転部分への検出データの送信方法は、前述の光通信に限らず、非接触型のデータ伝送であれば如何なる方式を採用しても構わない。
【0021】
制御装置15は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。制御装置15は、コンソール装置40若しくは架台装置10に取り付けられた入力インターフェース43からの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う機能を有する。例えば、制御装置15は、入力信号を受けて回転フレーム13を回転させる制御や、架台装置10をチルトさせる制御、及び寝台装置30及び天板33を動作させる制御を行う。なお、架台装置10をチルトさせる制御は、架台装置10に取り付けられた入力インターフェース43によって入力される傾斜角度(チルト角度)情報により、制御装置15がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させることによって実現される。なお、制御装置15は、架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられても構わない。
【0022】
寝台装置30は、スキャン対象である被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを有する。基台31は、支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を天板33の長軸方向に移動するモータあるいはアクチュエータである。支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長軸方向に移動してもよい。
【0023】
コンソール装置40は、操作者によるX線CT装置1の操作を受け付けるとともに、架台装置10によって収集された検出データを用いてCT画像データを再構成する装置である。コンソール装置40は、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44とを有する。なお、ここでは、コンソール装置40と架台装置10とが別体である場合の例を説明するが、架台装置10にコンソール装置40又はコンソール装置40の構成要素の一部が含まれていてもよい。
【0024】
メモリ41は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。メモリ41は、例えば、投影データやCT画像データを記憶する。
【0025】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された医用画像(CT画像)や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ42は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。なお、例えば、ディスプレイ42は、架台装置10に設けられていてもよい。また、例えば、ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されていてもよい。
【0026】
入力インターフェース43は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、投影データを収集する際の収集条件や、CT画像データを再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件等を操作者から受け付ける。例えば、入力インターフェース43は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等により実現される。なお、例えば、入力インターフェース43は、架台装置10に設けられていてもよい。また、例えば、入力インターフェース43は、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されていてもよい。
【0027】
処理回路44は、X線CT装置1全体の動作を制御する。例えば、処理回路44は、システム制御機能441、前処理機能442、再構成処理機能443、及び画像処理機能444を実行する。
【0028】
システム制御機能441は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路44の各種機能を制御する。例えば、システム制御機能441は、X線CT装置1において実行されるCTスキャンを制御する。また、システム制御機能441は、前処理機能442、再構成処理機能443、及び画像処理機能444を制御することで、コンソール装置40におけるCT画像データの生成や表示を制御する。
【0029】
前処理機能442は、X線検出器12のDASから出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施した投影データを生成する。なお、前処理前のデータ(検出データ)及び前処理後のデータを総称して投影データと称する場合もある。
【0030】
再構成処理機能443は、前処理機能442にて生成された投影データに対して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法等を用いた再構成処理を行ってCT画像データ(再構成画像データ)を生成する。
【0031】
画像処理機能444は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、再構成処理機能443によって生成されたCT画像データを公知の方法により、任意断面の断層像データや3次元画像データに変換する。なお、3次元画像データの生成は再構成処理機能443が直接行っても構わない。
【0032】
ここで、例えば、処理回路44は、プロセッサにより実現される。この場合に、処理回路44が有する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ41に記憶される。そして、処理回路44は、メモリ41から各プログラムを読み出して実行することで、各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路44は、図1の処理回路44内に示された各処理機能を有することとなる。
【0033】
なお、ここでは、単一の処理回路44によって、上述した各処理機能が実現されるものとして説明したが、例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路44を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路44が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。また、処理回路44が有する各処理機能は、回路等のハードウェアとソフトウェアとの混合によって実現されても構わない。また、ここでは、単一のメモリ41が各処理機能に対応するプログラムを記憶する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、複数の記憶回路が分散して配置され、処理回路44が、個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出して実行する構成としても構わない。
【0034】
以上、本実施形態に係るX線CT装置1の全体的な構成について説明した。このような構成のもと、本実施形態に係るX線CT装置1では、X線検出器12が、複数のX線検出器モジュールによって構成されており、各X線検出器モジュールが個別に交換可能となっている。このような構成によれば、例えば、X線検出器12に異常が発生した際に、故障しているX線検出器モジュールを単独で交換することによって、システムのダウンタイムを短縮することができるようになる。
【0035】
図2は、本実施形態に係るX線検出器12の構成例を示す図である。
【0036】
例えば、図2に示すように、本実施形態に係るX線検出器12は、全体として略円弧状に形成されており、当該円弧の中心がX線管11の位置と一致するように回転フレーム13に固定されている。ここで、X線検出器12における円弧の周方向は、チャネル方向に一致している。また、X線検出器12における円弧の軸方向は、列方向に一致している。また、X線検出器12における円弧の径方向は、X線の照射方向に一致している。なお、以下の説明で参照する各図面では、チャネル方向を矢印Cで示し、列方向を矢印Rで示し、X線の照射方向を矢印Iで示している。
【0037】
具体的には、X線検出器12は、複数のX線検出器モジュール121と、コリメータ122と、第1の固定フレーム123と、第2の固定フレーム124と、第1の支持フレーム125と、第2の支持フレーム126と、遮光板127とを有する。なお、X線検出器12は、放射線検出器の一例である。
【0038】
X線検出器モジュール121は、検出面1211と、支持部材1212と、DAS1213とを有する。なお、X線検出器モジュール121は、放射線検出器モジュールの一例である。
【0039】
検出面1211は、X線を検出する複数の検出素子をチャネル方向及び列方向に配列して形成されている。具体的には、検出面1211は、チャネル方向に複数の検出素子が配列された検出素子列が列方向に複数配列されて形成されている。
【0040】
支持部材1212は、検出面1211を形成するX線素子を支持する。具体的には、支持部材1212は、略直方体状に形成されており、X線管11と対向して配置される面上に、検出面1211が固定されている。
【0041】
DAS1213は、X線検出器12の各検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、検出データを生成する。具体的には、DAS1213は、増幅器及びA/Dが搭載された基板として構成され、支持部材1212における検出面1211とは反対側の面に、X線の照射方向に沿って延在するように取り付けられている。
【0042】
コリメータ122は、複数のコリメータ板を格子状に配置して構成されており、各X線検出器モジュール121に入射するX線から散乱線を除去する。具体的には、コリメータ122は、チャネル方向に沿った略円弧状に形成されており、各X線検出器モジュール121の検出面1211覆うように配置されている。
【0043】
第1の固定フレーム123及び第2の固定フレーム124は、複数のX線検出器モジュール121がチャネル方向に並べて取り付けられ、各X線検出器モジュール121の検出面1211がチャネル方向に並んで配置されるように各X線検出器モジュール121の位置を固定する。
【0044】
具体的には、第1の固定フレーム123は、コリメータ122の列方向における一方の端部に固定され、第2の固定フレーム124は、コリメータ122の列方向における他方の端部に固定されている。そして、第1の固定フレーム123及び第2の固定フレーム124には、コリメータ122におけるX線管11と対向する側の面とは反対側の面に沿うように、複数のX線検出器モジュール121がチャネル方向に並べて取り付けられる。なお、以下の説明では、第1の固定フレーム123と第2の固定フレーム124とを区別して説明する場合を除き、両方をまとめて固定フレームと呼ぶ。
【0045】
第1の支持フレーム125及び第2の支持フレーム126は、コリメータ122及び固定フレームを支持する。具体的には、第1の支持フレーム125及び第2の支持フレーム126は、コリメータ122及び固定フレームを列方向に両側から挟み込むように支持し、その状態で、架台装置10の支持フレーム(図示は省略)に固定されている。
【0046】
遮光板127は、各X線検出器モジュール121の検出面1211に入射する光を抑制する。例えば、遮光板127は、光を抑制することが可能な材料を用いて薄い板状に形成された部材であり、コリメータ122の全体を覆うように、第1の支持フレーム125及び第2の支持フレーム126に取り付けられている。
【0047】
そして、本実施形態に係るX線検出器12では、個々のX線検出器モジュール121が、固定フレームに対して、両隣に他のX線検出器モジュール121が取り付けられたまま、それぞれ単独で着脱可能となるように構成されている。
【0048】
このように、X線検出器モジュール121をその両隣に他のX線検出器モジュール121が取り付けられたままで着脱する場合には、着脱されるX線検出器モジュール121が、取り付け済みのX線検出器モジュール121と干渉することがあり得るため、作業者は慎重に交換作業を行うことが求められる。
【0049】
このようなことから、本実施形態に係るX線検出器12は、作業者がX線検出器モジュール121の交換をより容易に行えるように構成されている。
【0050】
具体的には、本実施形態では、X線検出器モジュール121が、固定フレームに取り付けられる際に、チャネル方向及び列方向への移動が制限されつつ、X線の照射方向に位置合わせされるように構成されている。
【0051】
図3は、本実施形態に係るX線検出器モジュール121の構成例を示す図である。また、図4は、本実施形態に係る第1の固定フレーム123の構成例を示す図である。
【0052】
例えば、図3に示すように、本実施形態では、X線検出器モジュール121の支持部材1212に、ガイド部12121と、固定孔12122と、第1の位置決めピン12123と、第2の位置決めピン12124と、案内溝12125と、治具固定穴12126とが設けられている。
【0053】
ガイド部12121は、支持部材1212の列方向における一方の端部に設けられ、X線の照射方向に延在する溝状に形成されている。具体的には、ガイド部12121は、支持部材1212の列方向における一方の端部において、チャネル方向における略中央の位置に設けられており、X線の照射方向に直交する断面がU字状となるように形成されている。
【0054】
固定孔12122は、支持部材1212の列方向における他方の端部に設けられており、X線の照射方向に支持部材1212を貫通するように形成されている。具体的には、固定孔12122は、支持部材1212の列方向におけるガイド部12121が設けられた側とは反対側の端部において、チャネル方向における略中央の位置に設けられている。
【0055】
第1の位置決めピン12123は、支持部材1212における第1の固定フレーム123と対向する側の面に設けられ、X線の照射方向に突出するように形成されている。具体的には、第1の位置決めピン12123は、細長い棒状に形成されており、支持部材1212における第1の固定フレーム123と対向する側の面において、検出面1211とガイド部12121との間の位置から突出するように設けられている。
【0056】
第2の位置決めピン12124は、支持部材1212における第2の固定フレーム124と対向する側の面に設けられ、X線の照射方向に突出するように形成されている。具体的には、第2の位置決めピン12124は、第1の位置決めピン12123と同様に細長い棒状に形成されており、支持部材1212における第1の固定フレーム123と対向する側の面において、検出面1211と固定孔12122との間の位置から突出するように設けられている。
【0057】
案内溝12125は、支持部材1212のチャネル方向における両側面に設けられ、列方向に延在するように形成されている。具体的には、案内溝12125は、支持部材1212のチャネル方向における両面それぞれにおいて、列方向の全長にわたって、X線の照射方向に均一な幅を有し、底面が平面状となるように形成されている。
【0058】
治具固定穴12126は、支持部材1212の列方向におけるガイド部12121とは反対側の端面に設けられており、内側にねじが形成されている。具体的には、治具固定穴12126は、支持部材1212の列方向におけるガイド部12121とは反対側の端面において、X線の照射方向及びチャネル方向それぞれにおける略中央の位置に設けられている。
【0059】
この一方で、例えば、図4に示すように、本実施形態では、第1の固定フレーム123に、ガイドピン1231と、位置決め穴1232とが設けられている。
【0060】
ガイドピン1231は、第1の固定フレーム123の列方向における端部に、X線の照射方向に延在するように設けられている。具体的には、ガイドピン1231は、長手方向に直交する断面が円形状を有する棒状の部材であり、一方の端部が第1の固定フレーム123に設けられた孔に嵌挿された状態で固定されており、他方の端部が第1の固定フレーム123におけるX線検出器モジュール121と対向する側の面からX線の照射方向に延在すように設けられている。
【0061】
位置決め穴1232は、第1の固定フレーム123におけるX線検出器モジュール121の支持部材1212と対向する側の面に設けられ、X線の照射方向に延在するように形成されている。具体的には、位置決め穴1232は、チャネル方向及び列方向に関して、第1の固定フレーム123に対して予め決められた取り付け位置にX線検出器モジュール121を位置決めするための穴であり、当該取り付け位置にX線検出器モジュール121が配置された際に当該X線検出器モジュール121の第1の位置決めピン12123が位置付けられる位置に形成されている。
【0062】
なお、図4には図示されていないが、第2の固定フレーム124においても、X線検出器モジュール121の支持部材1212と対向する側の面に、X線の照射方向に延在する位置決め穴が形成されている。具体的には、上述した取り付け位置にX線検出器モジュール121が配置された際に当該X線検出器モジュール121の第2の位置決めピン12124が位置付けられる位置に、X線の照射方向に延在する位置決め穴が形成されている。
【0063】
本実施形態では、上述した構成によって、X線検出器モジュール121は、固定フレームに取り付けられる際に、第1の固定フレーム123のガイドピン1231に支持部材1212のガイド部12121が嵌合することで、チャネル方向及び列方向への移動が制限されつつ、放射線の照射方向に位置合わせされる。
【0064】
そして、本実施形態では、上述した構成によって、X線検出器モジュール121は、固定フレームに取り付けられる際に、ガイドピン1231に支持部材1212のガイド部12121が嵌合した状態で、第1の位置決めピン12123が第1の固定フレーム123の位置決め穴1232に嵌合し、第2の位置決めピン12124が第2の固定フレーム124の位置決め穴に嵌合することで、チャネル方向及び列方向の位置が固定される。
【0065】
ここで、例えば、支持部材1212に設けられるガイド部12121のチャネル方向の溝幅は、第1の固定フレーム123のガイドピン1231のチャネル方向の幅より大きく、かつ、ガイドピン1231のチャネル方向の幅との差が、第1の固定フレーム123にX線検出器モジュール121が取り付けられる際の隣接するX線検出器モジュール121間の間隔より小さくなるように形成されている。
【0066】
すなわち、本実施形態では、チャネル方向において、支持部材1212に設けられるガイド部12121の溝幅は、必ずしも、第1の固定フレーム123のガイドピン1231の幅と一致していなくてもよく、隣接するX線検出器モジュール121と干渉しない範囲内であれば、ガイドピン1231の幅より大きくてもよい。この場合には、X線検出器モジュール121は、ガイド部12121がガイドピン1231に嵌合した状態で、隣接するX線検出器モジュール121と干渉しない範囲でチャネル方向への移動が可能となる。
【0067】
これにより、例えば、作業者が、X線検出器モジュール121を固定フレームに取り付ける際に、まずはガイド部12121を第1の固定フレーム123のガイドピン1231に嵌合させることで、X線検出器モジュール121の取り付け位置をおおまかに把握し、そのうえで、X線検出器モジュール121の位置を微調整しながら位置決めピンを固定フレームの位置決め穴に嵌合させることで、最終的にX線検出器モジュール121を取り付けることができるようになる。
【0068】
さらに、本実施形態では、X線検出器モジュール121が、固定フレームに取り付けられる際に、支持部材1212の案内溝12125が取り付け済みの他のX線検出器モジュール121の支持部材1212の案内溝12125に装着された治具によって摺動可能に支持されることで、固定フレーム対して斜めに近づくようにX線の照射方向への移動が案内されるように構成されている。
【0069】
図5は、本実施形態に係る治具の構成例を示す図である。
【0070】
例えば、図5に示すように、治具50は、棒状に形成されており、案内部51と、取付け部52と、取り付けねじ53とを有する。
【0071】
案内部51は、治具50の略全長にわたって、治具50がX線検出器モジュール121の支持部材1212の案内溝12125に装着された際に支持部材1212からチャネル方向へ突出するように形成されている。そして、案内部51は、治具50がX線検出器モジュール121の支持部材1212の案内溝12125に装着された際に列方向にガイド部12121とは反対側に配置される端部からガイド部12121側に配置される端部へ向かうにつれてX線の照射方向に第1の固定フレーム123側に近づくように形成された傾斜面を有している。
【0072】
取付け部52は、治具50がX線検出器モジュール121の支持部材1212の案内溝12125に装着された際に列方向にガイド部12121とは反対側に配置される端部に設けられ、当該端部から支持部材1212の治具固定穴12126の位置まで延出するように形成されている。
【0073】
取り付けねじ53は、取付け部52の先端部に回動可能に取り付けられており、治具50がX線検出器モジュール121の支持部材1212の案内溝12125に装着された状態で治具固定穴12126に螺合することで、治具50を支持部材1212に固定する。
【0074】
本実施形態では、上述した構成によって、X線検出器モジュール121は、固定フレームに取り付けられる際に、支持部材1212の案内溝12125が取り付け済みの他の放射線検出器モジュールの支持部材1212の案内溝12125に装着された治具50の案内部51の傾斜面に摺接しながら列方向に移動することで、固定フレームに対して斜めに近づくようにX線の照射方向への移動が案内される。
【0075】
図6及び7は、本実施形態に係るX線検出器モジュール121が取り付けられる際の流れを示す図である。
【0076】
ここで、図6及び7は、X線検出器12において隣接して配置される3つのX線検出器モジュール121を示している。図6は、各X線検出器モジュール121を列方向に見た正面図である。図7は、各X線検出器モジュール121をチャネル方向に見た側面図であり、図6に示すS-S線の位置における断面を含んでいる。なお、図6及び7では、各X線検出器モジュール121が有するDAS1213については図示を省略している。
【0077】
そして、図6及び7に示す例では、中央に示す第1のX線検出器モジュール121-1が取り付け対象であり、その両隣に示す第2のX線検出器モジュール121-2及び第3のX線検出器モジュール121-3が、既に固定フレームに取り付け済みであるとする。
【0078】
この場合には、固定フレームに取り付け済みの第2のX線検出器モジュール121-2及び第3のX線検出器モジュール121-3それぞれに対して、取り付け対象である第1のX線検出器モジュール121-1が配置される側の案内溝12125に治具50が装着される。そして、第2のX線検出器モジュール121-2及び第3のX線検出器モジュール121-3に装着された治具50は、それぞれ、取り付けねじ53によって各X線検出器モジュールに固定される。
【0079】
その後、図6及び7の(a)に示すように、第1のX線検出器モジュール121-1が、ガイド部12121が設けられている端部側から、列方向に、第2のX線検出器モジュール121-2と第3のX線検出器モジュール121-3との間に挿入される。
【0080】
このとき、第1のX線検出器モジュール121-1は、支持部材1212の案内溝12125の端部が第2のX線検出器モジュール121-2及び第3のX線検出器モジュール121-3それぞれに装着された治具50の案内部51の傾斜面に掛けられた状態で、挿入される。これにより、第1のX線検出器モジュール121-1の支持部材1212の案内溝12125が、第2のX線検出器モジュール121-2及び第3のX線検出器モジュール121-3それぞれに装着された治具50によって摺動可能に支持される。
【0081】
その後、図6及び7の(b)に示すように、第1のX線検出器モジュール121-1が、列方向に、第2のX線検出器モジュール121-2と第3のX線検出器モジュール121-3との間にさらに挿入される。
【0082】
このとき、X線検出器モジュール121は、支持部材1212の案内溝12125が、第2のX線検出器モジュール121-2及び第3のX線検出器モジュール121-3それぞれに装着された治具50の案内部51の傾斜面に摺接しながら列方向に移動することで、固定フレームに対して斜めに近づくようにX線の照射方向への移動が案内される。
【0083】
その後、図6及び7の(c)に示すように、第1のX線検出器モジュール121-1が、第1の固定フレーム123のガイドピン1231にガイド部12121が嵌合するまで、列方向に、第2のX線検出器モジュール121-2と第3のX線検出器モジュール121-3との間にさらに挿入される。
【0084】
このとき、X線検出器モジュール121は、第1の固定フレーム123のガイドピン1231に支持部材1212のガイド部12121が嵌合することで、チャネル方向及び列方向への移動が制限されつつ、固定フレームに対して斜めに近づくようにX線の照射方向への移動が案内される。
【0085】
その後、図6及び7の(d)に示すように、第1のX線検出器モジュール121-1は、第1の固定フレーム123に向けてX線の照射方向に移動された後に、第1の固定フレーム123に取り付けられる。
【0086】
このとき、第1のX線検出器モジュール121-1は、固定部材によって第1の固定フレーム123とは反対側から第1の固定フレーム123に押し付けられることで、X線の照射方向に移動され、第1の固定フレーム123に取り付けられる。
【0087】
図8は、本実施形態に係るX線検出器モジュール121が固定フレームに取り付けられた状態を示す図である。
【0088】
例えば、図8に示すように、本実施形態では、第1の固定フレーム123に設けられているガイドピン1231の先端に、ねじが形成されている。そして、X線検出器モジュール121は、ガイドピン1231にガイド部12121が嵌合した状態で、ガイドピン1231のネジに螺合するねじが形成された固定部材1214によって第1の固定フレーム123とは反対側から第1の固定フレーム123に押し付けられることで、第1の固定フレーム123に締結される。
【0089】
ここで、例えば、固定部材1214は、X線の照射方向において、第1の固定フレーム123に対してX線検出器モジュール121が位置決めされた際に、DAS1213より長い長さを有するように形成されている。これにより、作業者が、DAS1213を越えて手を伸ばして固定部材1214を操作できるようになり、DAS1213によって邪魔されることなく、X線検出器モジュール121を容易に第1の固定フレーム123に取り付けられるようになる。
【0090】
さらに、本実施形態では、第2の固定フレーム124におけるX線検出器モジュール121の支持部材1212と対向する側の面にねじ穴が形成されている。一方、X線検出器モジュール121の支持部材1212における第2の固定フレーム124と対向する側の端部には、X線の照射方向に貫通する貫通孔が形成されている。そして、X線検出器モジュール121は、第2の固定フレーム124のねじ穴に螺合するねじ1215が第2の固定フレーム124とは反対側から貫通孔に挿入され、当該ねじ1215によって第2の固定フレーム124に押し付けられることで、第2の固定フレーム124に締結される。
【0091】
このように、本実施形態では、X線検出器モジュール121は、固定フレームに取り付けられる際に、第1の固定フレーム123のガイドピン1231に支持部材1212のガイド部12121が嵌合することで、チャネル方向及び列方向への移動が制限されつつ、放射線の照射方向に位置合わせされる。
【0092】
また、本実施形態では、X線検出器モジュール121は、固定フレームに取り付けられる際に、支持部材1212の案内溝12125が取り付け済みの他のX線検出器モジュール121の支持部材1212の案内溝12125に装着された治具によって摺動可能に支持されることで、固定フレーム対して斜めに近づくようにX線の照射方向への移動が案内される。
【0093】
例えば、X線検出器モジュール121を固定フレームに取り付ける場合には、X線検出器モジュール121を列方向に直線的に挿入し、固定フレームに取り付ける直前にX線の照射方向へ移動させるような構成も考えられる。このような構成に対して、本実施形態では、固定フレーム対して斜めに近づくようにX線検出器モジュール121のX線の照射方向への移動が案内されるため、固定フレームに取り付ける直前にX線の照射方向へX線検出器モジュール121を移動させる距離が短くなる。これにより、取り付け対象のX線検出器モジュール121が、取り付け済みのX線検出器モジュール121と干渉するリスクをより低減させることができる。
【0094】
また、本実施形態では、コリメータ122に固定された固定フレームにX線検出器モジュール121が取り付けられて固定されるため、コリメータ122に対してX線検出器モジュール121をより精度よく位置決めできるようになる。
【0095】
しがたって、本実施形態によれば、X線検出器モジュール121が取り付けられる際に、作業者がより容易に作業を行うことができる。
【0096】
なお、上述した説明では、X線検出器モジュール121が取り付けられる場合を中心に説明したが、本実施形態では、X線検出器モジュール121が取り外される際も、作業者がより容易に作業を行うことができる。
【0097】
すなわち、本実施形態では、X線検出器モジュール121は、固定フレームから取り外される際も、第1の固定フレーム123のガイドピン1231に支持部材1212のガイド部12121が嵌合することで、チャネル方向及び列方向への移動が制限されつつ、放射線の照射方向に位置合わせされる。
【0098】
また、本実施形態では、X線検出器モジュール121は、固定フレームから取り外される際も、支持部材1212の案内溝12125が取り付け済みの他のX線検出器モジュール121の支持部材1212の案内溝12125に装着された治具によって摺動可能に支持されることで、固定フレームから斜めに離れるようにX線の照射方向への移動が案内される。
【0099】
上述したように、本実施形態によれば、作業者が放射線検出器モジュールの交換をより容易に行えるようになる。
【0100】
なお、上述した実施形態では、ガイド部12121が、X線の照射方向に直交する断面がU字状となるように形成されている場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、ガイド部12121は、X線の照射方向に直交する断面が台形状や矩形状に形成されていてもよい。
【0101】
また、上述した実施形態では、本願が開示する放射線検出器及び放射線検出器モジュールをX線CT装置に適用した場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、本願が開示する放射線検出器及び放射線検出器モジュールは、PET装置等、放射線を利用した他の医用画像診断装置にも同様に適用することが可能である。
【0102】
なお、上述した説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサはメモリ41に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリ41にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。更に、各図における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0103】
また、上述した実施形態及び変形例において、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散又は統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散又は統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0104】
また、上述した実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0105】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、作業者が放射線検出器モジュールの交換をより容易に行えるようになる。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0107】
1 X線CT装置
12 X線検出器
121 X線検出器モジュール
1211 検出面
1212 支持部材
12121 ガイド部
123 第1の固定フレーム
1231 ガイドピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8