(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】洗面化粧台
(51)【国際特許分類】
A47K 1/00 20060101AFI20221031BHJP
A47B 67/02 20060101ALI20221031BHJP
A47K 1/02 20060101ALN20221031BHJP
【FI】
A47K1/00 S
A47B67/02 503Z
A47K1/02 E
(21)【出願番号】P 2018163861
(22)【出願日】2018-08-31
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】堀 綾香
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 智浩
(72)【発明者】
【氏名】田所 淳
(72)【発明者】
【氏名】日影 正弘
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-054164(JP,A)
【文献】登録実用新案第3155662(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2003/0178443(US,A1)
【文献】特開2011-000336(JP,A)
【文献】特開平08-206023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 1/00
A47B 67/02
A47K 1/02
A47G 29/00-29/093
F16B 5/00- 5/12
日本意匠分類 D6-53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗面器と、前記洗面器を支持するキャビネットと、を備える洗面化粧台において、
前記キャビネットは、
前記キャビネットに設けられる扉と、
前記扉の裏面に取り付けられ、物品を収納可能な収納空間を有する凹部が設けられた収納具と、有し、
前記収納具は、
前記凹部の開口の周縁部に形成されて前記凹部の底部側に向かって凹むように切り欠かれた切欠き部
と、
その側面部が内側に凹んだ側面凹部と、を有
し、
前記側面凹部は、上下方向に延び、上方ほど内側に凹んでいるとともに、上下方向に離れて上方側及び下方側に形成され前記扉の前記裏面側に係止される係止穴を有する、洗面化粧台。
【請求項2】
前記切欠き部は、円弧状に切り欠かれている、請求項1に記載の洗面化粧台。
【請求項3】
前記収納具は、前記扉に対して着脱可能に取り付けられ、
前記扉の裏面には、前記収納具を係止するための突起が設けられ、
前記突起は、前記収納具の高さを調節可能に上下方向に複数配置されている、請求項1
又は2に記載の洗面化粧台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面化粧台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗面化粧台の上部又は下部に配置させるキャビネットの内部には、洗面化粧台で使用されるドライヤー等の物品が収納される。洗面化粧台内に効率的に物品を収納するため、キャビネットの扉の裏側に、ドライヤーの収納具を取り付けることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の収納具では、ドライヤーの他にコテやブラシを収納できるように、仕切りが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ドライヤー等の物品が多機能になり、大型化する場合がある。このため、収納具に仕切りが形成されていると、物品によっては、収納しきれない場合が生じていた。また、仕切りを除去した場合、物品が収納具の内部で倒れる等、安定して収納することが難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 本発明は、洗面器(例えば、後述の洗面器10)と、前記洗面器を支持するキャビネット(例えば、後述のキャビネット20)と、を備える洗面化粧台(例えば、後述の洗面化粧台1)において、前記キャビネットは、前記キャビネットに設けられる扉(例えば、後述の扉21)と、前記扉の裏面に取り付けられ、物品を収納可能な収納空間を有する凹部(例えば、後述の凹部34)が設けられた収納具(例えば、後述の収納具30)と、有し、前記収納具は、前記凹部の開口の周縁部(例えば、後述の周縁部35)に形成されて前記凹部の底部(例えば、後述の底部31)側に向かって凹むように切り欠かれた切欠き部(例えば、後述の切欠き部36)を有する、洗面化粧台に関する。
【0006】
(2) 前記切欠き部は、円弧状に切り欠かれていることが好ましい。
【0007】
(3) 前記収納具は、その側面部が内側に凹んだ側面凹部(例えば、後述の側面凹部320)を有し、前記側面凹部は、上下方向に延び、上方ほど内側に凹んでいることが好ましい。
【0008】
(4) 前記収納具は、前記扉に対して着脱可能に取り付けられ、前記扉の裏面には、前記収納具を係止するための突起(例えば、後述の突起24)が設けられ、前記突起は、前記収納具の高さを調節可能に上下方向に複数配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、大きな物品も収納可能で、かつ安定して収納できる収納具を有する洗面化粧台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態の洗面化粧台を示す斜視図である。
【
図3】本実施形態の収納具を示し、(a)図は側面の断面図であり、(b)図は上面図である。
【
図6】さらに他の実施形態の収納具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本実施形態の洗面化粧台1を示す斜視図である。洗面化粧台1は、洗面器10と、洗面器10を支持するキャビネット20と、を有する。
【0012】
洗面器10は、洗面ボウル部11と、後方壁部12と、混合水栓13と、排水口14と、を有する。
洗面ボウル部11は、湯水を貯水可能な凹部であり、底面部111及び底面部の周囲から起立する側面部112を有する。
後方壁部12は、洗面ボウル部11の後方の側面部から上方に向かって延出する部分であり、室内の壁等に沿って配置される。
混合水栓13は、後方壁部12に取り付けられ、湯水の吐水又は止水を操作する水栓レバー131及び湯水を洗面ボウル部11に吐水する吐水口132を有する。
排水口14は、洗面ボウル部11の底面部111に配置される穴である。排水口14は、洗面ボウル部11の下方に延びる排水管に連結される。
【0013】
キャビネット20は、洗剤や掃除用具等の洗面化粧台1の近傍で使用する物品等を収納する棚である。キャビネット20に収納する物品として、ドライヤー5が例示される。
図1に示すように、ドライヤー5は、温風を送風する送風部51と、持ち手となる柄52とを有し、送風部51と柄52とが同一方向に並ぶように屈曲可能な接続部53で接続されている。柄52には、電源に接続するためのコード54が取り付けられている。
【0014】
キャビネット20は、扉21、背面部22、及び一対のキャビネット側面部23により内部に内部空間25が形成されている。
【0015】
扉21は、キャビネット20の前部に設けられ、洗面器10の手前側の縁の下方に配置される。扉21は、一対の板状の扉が幅方向の外側でヒンジ21aにより回動可能に取り付けられる板材であり、観音開きの扉である。扉21の裏面には、後述する収納具30を取り付ける突起24(
図2及び
図3参照)が設けられる。
背面部22は、扉21に対向する面である。背面部22は、建物の壁により構成されてもよい。
一対のキャビネット側面部23は、背面部22と扉21とを幅方向外側で連結する側面に配置される板体である。
【0016】
図2は、収納具30の正面図である。
図3(a)は、収納具30の側面の断面図、
図3(b)は上面図である。
図2及び
図3(a)に示すように、突起24は、上下方向に間隔を開けて複数配置され、直線上に並んでいる。
図3(a)及び
図3(b)に示すように、突起24は、扉21の裏面に差し込まれる留め具であり、扉21に埋め込まれる軸部241と、扉21から突出する頭部242とを有する。
【0017】
収納具30は、扉21の裏面に着脱可能に取り付けられるカップ状の容器である。
図2に示すように、収納具30は、底部31及び側面部32により構成される凹部34と、凹部34の開口の周縁部35と、周縁部35に形成される切欠き部36と、扉21に係止させるための係止穴33と、を有する。
【0018】
底部31は、
図3(b)に示すように、収納具30の下方に位置する平坦な面である。底部31は、半径の等しい二つの円を共通外接線でつないだコーストラック形状をしている。
【0019】
図4は、収納具30の斜視図である。
図4に示すように、側面部32は、底部31の周囲から上方に向かって起立する部分である。側面部32は、上方に向かうにしたがって上部に形成される開口が底部31側よりも大きくなるように傾斜している。側面部32は、一対の半円状部32aと、前面側側面部32bと、背面側側面部32cと、側面凹部320と、を有する。
【0020】
一対の半円状部32aは、底部31の幅方向両側に配置される。
前面側側面部32bは、収納具30が取り付けられた状態で前面に配置され、一対の半円状部32aを接続する平坦な部分である。
背面側側面部32cは、収納具30が取り付けられた状態で扉21側に配置され、一対の半円状部32aを接続する平坦な部分である。背面側側面部32cの幅方向の中央部には、凹部34の内側に向かって凹む側面凹部320が形成される。
側面凹部320は、
図3(a)及び
図4に示すように、側面部32の背面側側面部32cに上下方向に延びて形成されており、上方ほど内側に深く凹んでいて、下方に行くほど浅くなっている。
【0021】
凹部34は、底部31と側面部32で構成される。凹部34は、収納具30を形成するカップ状の容器の窪みであり、上部が開口している。凹部34には、他の仕切り等が形成されておらず、凹部34はドライヤー5等の物品を収納可能な一続きの単一の収納空間を有する。凹部34内の収納空間は、例えば縦方向の寸法が横方向の寸法の2倍以上となっている。
【0022】
周縁部35は、凹部34の開口の縁であり、側面部32の上端で、側面部32に沿って上面視で略長円形に連続する。
【0023】
切欠き部36は、周縁部35に形成されて、凹部34の底部31側に向かって凹むように切り欠かれて形成される。切欠き部36は、
図2に示すように、側面部32の前面側側面部32bに、幅方向の一方及び他方に隣接して二つ形成されている。また、切欠き部36は、側面部32の半円状部32aに一つずつ、二つ形成されている。切欠き部36は、円弧状に切り欠かれている。
【0024】
係止穴33は、側面部32の背面側側面部32cに形成される貫通孔である。係止穴33は、収納具30の上下方向に離れて2つ形成される。係止穴33同士の間隔は、複数の突起24同士の間隔と同じ距離になっている。係止穴33は、
図2に示すように、大きさの異なる円が上下につながった瓢箪状の形状をしている。
【0025】
次に、収納具30の取り付け方及び使用方法について説明する。
まず、
図3(a)に示すように、上下に離れた二つの係止穴33を、使用者の手の届きやすさに合わせて収納具30の取り付け高さを調節する。具体的には、扉21の裏面で四つ連続する突起24の上方二つ、真ん中二つ、又は下方二つのいずれかに係止させる。このとき、瓢箪状の係止穴33は、下方に位置する径の大きな穴に突起24を挿通させた後、突起24を径の小さな穴の方に移動させて軸部241に係止させ、固定する。
【0026】
このとき、側面凹部320は、収納具30の上方に向かうにしたがって内側に窪んでいるので、突起24に係止させると、上方側の係止穴33の方が下方の係止穴33よりも大きく潰されて、上方側の係止穴33の周囲に元に戻ろうとする反発力がかかる。この反発力により、突起24と係止穴33の周囲とが密着し、収納具30が安定して突起24に係止される。
【0027】
収納具30が突起24に係止された状態で、収納具30の凹部34が、ドライヤー5を収納する収納空間となる。収納空間は、仕切等で仕切られていない。例えば、
図1に示すように、大型のドライヤー5の例えば送風部51側を収納空間に入れて、ドライヤー5の柄52側を側面部32の切欠き部36に嵌めるようにして収納する。すると、柄52側と送風部51側の接続部53が切欠き部36に係止される。
【0028】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、洗面器10と、洗面器10を支持するキャビネット20と、を備える洗面化粧台1において、キャビネット20を、キャビネット20に設けられる扉21と、扉21の裏面に取り付けられ、ドライヤー5を収納可能な収納空間を有する凹部34が設けられた収納具30と、を含んで構成した。また、収納具30を、凹部34の開口の周縁部35に形成されて凹部34の底部側に向かって凹むように切り欠かれた切欠き部36を含んで構成した。
収納具30が扉の裏面に取り付けられ、収納具30の凹部34にドライヤー5を収納することで、大型のドライヤー5でも収納しやすい。また、扉21の裏面に収納具30を取り付けるため、キャビネット内の収納空間を広く使用することができる。また、収納具30の周縁部35に切欠き部36が形成されているので、ドライヤー5の柄52と送風部51との接続部53や、コード54等を切欠き部36に掛けることができるので、大型のドライヤー5を安定させて収納することができる。
【0029】
本実施形態では、切欠き部36を、円弧状に切り欠いた。切欠き部36が円弧状であることで、ドライヤー5の接続部53や柄52が円筒状だった場合やコード54等を安定して支持することができるとともに、収納具30から取り出す際に切欠き部36に引っ掛かることなく、出し入れがスムーズになされる。
【0030】
本実施形態では、収納具30を、その側面部32が内側に凹んだ側面凹部320を含んで構成し、側面凹部320を、上下方向に延び、上方ほど内側に凹むように形成した。
上方ほど内側に凹む側面凹部320を、扉21の裏面に押しつけるように力を加えると、元に戻ろうとする反発力が生じる。この反発力を利用して、例えば側面凹部320に係止穴33等を設け、扉21の突起24に係止することで、収納具30を確実に扉に係止させることができる。
【0031】
本実施形態では、収納具30を、扉21に対して着脱可能に取り付け、扉21の裏面に、収納具30を係止するための突起24を設けた。また、突起24を、収納具30の高さを調節可能に上下方向に複数配置した。突起24を複数配置して、収納具30をそのうちの一部の突起24に係止させることにより、収納具30の取り付け高さを自由に変更することができる。よって収納する物品の大きさや、洗面化粧台1の大きさ、高さに応じて取り付け位置を調節することができるので、利便性が高まる。
【0032】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0033】
図5は、他の実施形態の収納具30Aを示す斜視図である。他の実施形態では、収納具30Aは、上面視横8の字型に形成されている。具体的には、前面側側面部32b及び背面側側面部32cが幅方向の中央で互いに近づく方向に凹んでいる。収納具30Aの凹部34が、二つの円を繋ぎ合わせたような8の字に形成されているので、一方の円の側に送風部51を、他方の円の側に柄52を収納することができる。
【0034】
なお、
図5に示すように、収納具30Aの背面側側面部32cの幅方向の中央部に、凸部32dが形成されている。凸部32dは、背面側側面部32cの最も内側に凹んだ位置から背面側に突出し、背面側が扉21に当接可能な平坦な表面を有する。凸部32dには、突起24に係止する係止穴33が形成され、キャビネット20の扉21に当接させて取り付けられる。
【0035】
また、収納具30Aでは、切欠き部36Aは、収納具30Aの半円状部32aのみに形成されている。そして、切欠き部36Aの下端に、さらに下方へ延出するように切り込まれた下垂部361が形成されている。下垂部361は、切欠き部36Aの下端から延びる細いU字状の溝である。下垂部361には、ドライヤー5のコード54を引っ掛けることができる。
【0036】
図6は、さらに他の実施形態の収納具30Bを示す斜視図である。さらに他の実施形態では、凹部34はほぼ円筒形の形状をしており、凹部34の周縁部35Bは、背面側側面部32cよりも前面側側面部32bの方が低くなり、前面側に向かって凹部34が開放されている。また、収納具30Bの一対の半円状部32aにおいては、周縁部35Bの幅方向の一方側は、背面側側面部32cから連続して高く、他方側は、前面側側面部32bから連続して低く形成されている。
【0037】
切欠き部36Bは、凹部34の周縁部35Bの幅方向の一方側で、背面側側面部32cから連続する背の高い部分に一つ形成されている。切欠き部36Bを利用して、ドライヤー5の接続部53等を架けることができる。
【0038】
また、収納具30Bには、ドライヤー5のコード54を収納するコード収納具37を有している。
コード収納具37は、切欠き部36Bにおける使用時の前方側の周縁部35Bに設けられる径の小さな円筒状の部材である。コード収納具37のように、収納具30Bの凹部34に、柄52やコード54を保持する部材を別途取り付けることによっても、ドライヤー5を安定して収納することができる。コード収納具37は、収納具30Bの凹部34側と一体に繋がっていても、別体で取り付けられてもよい。
【0039】
なお、これらの実施形態では、切欠き部は半円状等に形成されているが、切欠き部の形状は限定されない。切欠き部は、V字状であってもよく、逆さの台形のように下辺が水平方向に延びていてもよい。
【0040】
また、収納具30に収納する物品は、ドライヤー5に限られない。洗剤やスプレー缶等、使用者にとって利便性のある物品を収納してよい。
また、収納具は、大型のドライヤーも収納可能な程度の仕切りのない収納空間を有しているので、ドライヤー以外にも洗剤や整髪料等のボトルやチューブ等の複数の物品を同時に収納してもよい。
【0041】
実施形態においては、扉として、観音開きの扉を例示したが、これに限られない。例えば、収納空間を構成する部材を、スライドさせて、引き出したり、押し込んだりするように構成された場合、本願においては当該部材も扉に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
1 洗面化粧台
10 洗面器
20 キャビネット
21 扉
24 突起
30 収納具
31 底部
32 側面部
34 凹部
35 周縁部
36 切欠き部
320 側面凹部