(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】駐車場運用システムと方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/14 20060101AFI20221031BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
G08G1/14 A
G08G1/09 V
(21)【出願番号】P 2018210183
(22)【出願日】2018-11-08
【審査請求日】2021-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 博美
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 公基
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-176468(JP,A)
【文献】特開2016-006605(JP,A)
【文献】特開2015-072651(JP,A)
【文献】特開2018-145655(JP,A)
【文献】特許第6254665(JP,B1)
【文献】特開2010-003170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
23/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が運転する手動運転車と自律運転可能な自動運転車の車両が
その通行を妨げる仕切りのない同一の駐車場に混在して駐車する駐車場運用システムであって、
前記駐車場は、入口及び出口と前記車両が停車可能な複数の駐車枠を有し、
さらに、前記自動運転車と双方向に通信可能な駐車管理装置を備え、
前記駐車枠は、利便性の高い場所に設定され前記車両が停車して乗客が乗降り可能な複数の乗降枠と、前記自動運転車が自律運転により駐車できる限りで密に配置され前記自動運転車が駐車可能な複数の自動運転車枠と、前記手動運転車が駐車可能な複数の手動運転車枠と、に区分され、
前記自動運転車の入庫時において、前記駐車管理装置は、前記自動運転車に空の前記乗降枠を指定し、次いで乗客が降車後に前記自動運転車に空の前記自動運転車枠を指定する、駐車場運用システム。
【請求項2】
前記自動運転車の入庫時において、前記駐車管理装置は、空の前記駐車枠と共に前記駐車枠までの第1入庫経路を指定する、請求項1に記載の駐車場運用システム。
【請求項3】
前記自動運転車枠は利便性の低い場所に設定され、前記手動運転車枠は利便性が前記乗降枠と前記自動運転車枠との中間の場所に設定される、請求項
1に記載の駐車場運用システム。
【請求項4】
前記自動運転車の出庫時において、前記駐車管理装置は、前記自動運転車と通信し、空の前記乗降枠とそこまでの出庫経路を指定する、請求項
1に記載の駐車場運用システム。
【請求項5】
前記手動運転車枠と前記自動運転車枠は、隣接しており、
前記手動運転車枠と前記自動運転車枠の境界は、前記駐車管理装置により可変制御される、請求項
1に記載の駐車場運用システム。
【請求項6】
人が運転する手動運転車と自律運転可能な自動運転車の車両が
その通行を妨げる仕切りのない同一の駐車場に混在して駐車する駐車場運用方法であって、
(A)前記駐車場に、入口及び出口と前記車両が停車可能な複数の駐車枠を準備し、
前記駐車枠は、利便性の高い場所に設定され前記車両が停車して乗客が乗降り可能な複数の乗降枠と、前記自動運転車が自律運転により駐車できる限りで密に配置され前記自動運転車が駐車可能な複数の自動運転車枠と、前記手動運転車が駐車可能な複数の手動運転車枠と、に区分され、
(B)前記自動運転車の入庫時において、駐車管理装置により、
前記自動運転車に空の前記乗降枠を指定し、次いで乗客が降車後に前記自動運転車に空の前記駐車枠を指定する、駐車場運用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動運転車と自動運転車が混在する駐車場の運用システムと方法に関する。
【背景技術】
【0002】
「手動運転車」とは、人が運転操作を行う車両(例えば乗用車)であり、「自動運転車」とは、人が運転操作を行わなくとも自動で走行できる車両である。自動運転車はレーダー、GPS,カメラなどで周囲の環境を認識し、行き先を指定するだけで自律的に走行する。
なお、区別が必要な場合を除き、手動運転車と自動運転車の両方を単に「車両」と呼ぶ。
【0003】
車両が駐車する駐車枠を多数(例えば50台以上)有する駐車場では、従来、手動運転車の運転者が空の駐車枠を探索してそこまで走行し、そこに駐車する運用が一般的に行われている。その場合、運転者の乗降りは、その車両の駐車枠内で行われる。
しかし、この場合、運転者とその乗客は利便性の高い駐車枠(例えば入口近く)を希望して駐車することが多く、駐車場の駐車率が高くなると、後続の車両は、空の駐車枠の探索や、そこからの移動のため、余分な時間がかかる不便を強いられることになる。
【0004】
また、従来からホテルなどでは、利便性の高い場所(例えばエントランス近傍)に車寄せを設け、車寄せと駐車場との間の運転をホテルマンが行う駐車サービス(「バレーパーキング」)が実施されている。
【0005】
一方、近年、自動運転車の研究が進んでおり、近い将来、自動運転車が広く普及することが予想されている。しかし、その過程で、手動運転車と自動運転車が混在し、かつ自動運転車の比率が徐々に増大することが予想される。
【0006】
手動運転車と自動運転車が同一の駐車場内で混在する場合、自動運転車の乗客は、利便性の高い場所(例えばエントランス近傍)で乗降りすることを希望する。一方、乗客が降りた無人の自動運転車は、自律走行機能により空の駐車枠を自動で探索し、そこに駐車する。
【0007】
その結果、以下の問題が発生する。
(1)自動運転車の乗降りのため、利便性の高い場所に渋滞が発生しやすい。自動運転車に後続する手動運転車は、自動運転車の乗降りのため待ち時間が長くなり不便を強いられる。また、自動運転車の制御システムも複雑になる。
(2)自動運転車の駐車位置が、利便性の高い場所又はその近傍に集中する。そのため、手動運転車の駐車位置が相対的に不便な場所になる。
(3)自動運転車の比率が増大するにつれて、手動運転車の不便が一層大きくなる。
【0008】
上述した問題点を解決するため、例えば特許文献1が既に開示されている。
【0009】
特許文献1の「管理システム及びプログラム」は、複数の待機スペースを、自動運転車のための第1待機スペースと、手動運転車のための第2待機スペースとに区別して管理する待機スペース管理部を備える。待機スペース管理部は、第1待機スペースの利用状況及び第2待機スペースの利用状況を管理し、第1待機スペースの利用状況及び第2待機スペースの利用状況の少なくとも一方に応じて、少なくとも一方の面積を変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した特許文献1の手段によれば、自動運転車のための第1待機スペースと手動運転車のための第2待機スペースとを区別して管理するので、自動運転車の駐車位置が利便性の高い場所の近傍に集中すること(上述した第2の問題点)は防止することができる。
【0012】
しかし、自動運転車の乗客が、利便性の高い場所で乗降りすると、利便性の高い場所で渋滞が発生すること(上述した第1の問題点)は防止することができない。
また、上述した特許文献1の手段では、自動運転車が空の第1待機スペースを探索する必要があり、この探索のため利便性の高い場所又はその近傍で自動運転車のうろつき(もたつき)が発生する。
【0013】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の第1の目的は、自動運転車の利用者の乗降による渋滞の抑制及び駐車場内でのうろつきを軽減することができる駐車場運用システムと方法を提供することにある。
【0014】
また、第2の目的は、自動運転車の乗客が利便性の高い場所で乗降りすることができ、自動運転車がうろつくことなく駐車でき、かつ手動運転車が自動運転車の比率に影響されずに効率よく駐車することができる駐車場運用システムと方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、人が運転する手動運転車と自律運転可能な自動運転車の車両がその通行を妨げる仕切りのない同一の駐車場に混在して駐車する駐車場運用システムであって、
前記駐車場は、入口及び出口と前記車両が停車可能な複数の駐車枠を有し、
さらに、前記自動運転車と双方向に通信可能な駐車管理装置を備え、
前記駐車枠は、利便性の高い場所に設定され前記車両が停車して乗客が乗降り可能な複数の乗降枠と、前記自動運転車が自律運転により駐車できる限りで密に配置され前記自動運転車が駐車可能な複数の自動運転車枠と、前記手動運転車が駐車可能な複数の手動運転車枠と、に区分され、
前記自動運転車の入庫時において、前記駐車管理装置は、前記自動運転車に空の前記乗降枠を指定し、次いで乗客が降車後に前記自動運転車に空の前記自動運転車枠を指定する、駐車場運用システムが提供される。
【0016】
また本発明によれば、人が運転する手動運転車と自律運転可能な自動運転車の車両がその通行を妨げる仕切りのない同一の駐車場に混在して駐車する駐車場運用方法であって、
(A)前記駐車場に、入口及び出口と前記車両が停車可能な複数の駐車枠を準備し、
前記駐車枠は、利便性の高い場所に設定され前記車両が停車して乗客が乗降り可能な複数の乗降枠と、前記自動運転車が自律運転により駐車できる限りで密に配置され前記自動運転車が駐車可能な複数の自動運転車枠と、前記手動運転車が駐車可能な複数の手動運転車枠と、に区分され、
(B)前記自動運転車の入庫時において、駐車管理装置により、前記自動運転車に空の前記乗降枠を指定し、次いで乗客が降車後に前記自動運転車に空の前記駐車枠を指定する、駐車場運用方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、入庫時において、駐車管理装置が、自動運転車と通信し、自動運転車に空の駐車枠を指定するので、自動運転車は空の駐車枠を探索する必要がなく、うろつくことなく指定された駐車枠に停車して乗客が効率よく降車できる。従って、自動運転車の利用者の乗降による渋滞の抑制及び駐車場内でのうろつきを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明による第1実施形態の駐車場運用システムの全体平面図である。
【
図2】本発明による第1実施形態の駐車場運用方法の全体フロー図である。
【
図3】本発明による第2実施形態の駐車場運用システムの全体平面図である。
【
図4】本発明による第2実施形態の駐車場運用方法の全体フロー図である。
【
図5】本発明による第3実施形態の駐車場運用システムの全体平面図である。
【
図6】自動運転車の入庫時における第3実施形態の駐車場運用方法の具体的フロー図である。
【
図7】自動運転車の出庫時における第3実施形態の駐車場運用方法の具体的フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0020】
図1は、本発明による第1実施形態の駐車場運用システム100の全体平面図である。
この図において、駐車場運用システム100は、駐車場10と駐車管理装置50を備える。
【0021】
駐車場運用システム100は、人が運転する一般車(以下、「手動運転車1B」と呼ぶ)と自律運転可能な自動運転車1Aが同一の駐車場10に混在して駐車する駐車場10の管理システムである。
【0022】
手動運転車1Bは、人(運転者)が運転操作を行う車両(例えば乗用車)である。また、自動運転車1Aは、人が運転操作を行わなくとも自動で走行できる車両である。自動運転車1Aはレーダー、GPS,カメラなどで周囲の環境を認識し、行き先を指定するだけで自律的に走行する。
【0023】
図1において、手動運転車1Bを矩形の白色で示し、自動運転車1Aを矩形の斜線で示す。また、区別が不要な場合、手動運転車1B及び自動運転車1Aを単に「車両1」と呼ぶ。すなわち、車両1は、自動運転車1A又は手動運転車1Bである。
【0024】
図1において、駐車場10は、施設出入口と一般車路2の間に位置する長方形の敷地内に設定されている。
駐車場10は、入口11及び出口12と複数の駐車枠13を有する。駐車枠13は、その内側に車両1が自走して停車可能又は駐車可能な大きさに設定されている。
【0025】
この例において、駐車枠13は、一般車(手動運転車1B)と自動運転車1Aの区別がなく、手動運転車1Bと自動運転車1Aの両方が共通の駐車枠13に駐車する。また帰り(出庫時)は、手動運転車1Bと自動運転車1Aの両方がそれぞれ駐車した駐車枠13で人が乗車する。
【0026】
図1において、駐車管理装置50は、例えば、入力装置、出力装置、記憶装置、及び演算装置を有するコンピュータ(PC)であり、自動運転車1Aと双方向に通信可能に構成されている。
【0027】
また、駐車管理装置50は、空の駐車枠13を検出する機能を有する。
例えば、駐車枠13には、車両1の有無を検出する車両検出センサー4が設置されており、駐車枠内の車両1の有無を駐車管理装置50に通知する。なお、駐車枠内の車両1の有無の検出は、車両検出センサー4に限定されず、その他の手段、例えば、カメラによる画像処理、レーザーレーダによる検出などでもよい。
この例では、車両1の有無は、すべての駐車枠13について検出することが好ましい。
【0028】
図1において、駐車場10は、共通出庫経路24を有する。
この構成により、車両1(自動運転車1A及び手動運転車1B)は共通出庫経路24と出口12を通って一般車路2に出車することができる。
【0029】
駐車管理装置50は、自動運転車1Aの入庫時において、自動運転車1Aと通信し、自動運転車1Aに空の駐車枠13を指定する。
【0030】
図2は、本発明による第1実施形態の駐車場運用方法の全体フロー図である。
本発明の駐車場運用方法は、人が運転する手動運転車1Bと自律運転可能な自動運転車1Aが同一の駐車場10に混在して駐車する駐車場の管理方法である。
【0031】
図2において、駐車場運用方法はR1~R3の各工程(ステップ)からなる。
【0032】
ステップR1は、駐車場10の準備段階で実施する。
ステップR1において、駐車場10に、入口11及び出口12と複数の駐車枠13を準備する。
なお既設の駐車場10の場合は、ステップR1を省略することができる。
【0033】
ステップR2,R3は、自動運転車1Aの入庫時の方法である。
ステップR2において、駐車管理装置50により、自動運転車1Aと通信し、ステップR3において、自動運転車1Aに空の駐車枠13と第1入庫経路を指定する。第1入庫経路は、例えば入口11から指定された駐車枠13までの最短ルートであるのがよい。
なお、自動運転車1Aの入庫と並行して、手動運転車1Bは、入口11から駐車場10に入り、空の駐車枠13を探索してそこに駐車する。
【0034】
また帰り(出庫時)は、手動運転車1Bと自動運転車1Aの両方がそれぞれ駐車した駐車枠13で人が乗車し、共通出庫経路24と出口12を通って一般車路2に出車する。
【0035】
上述した第1実施形態により、自動運転車1Aは空の駐車枠13を探索する必要がなく、うろつくことなく指定された駐車枠13に停車して乗客が効率よく降車できる。従って、新たな乗降エリアを設けずに、自動運転車1Aの利用者の乗降による渋滞の抑制及び駐車場内でのうろつきを軽減することができる。
【0036】
図3は、本発明による第2実施形態の駐車場運用システム100の全体平面図である。
【0037】
この例では、一部の駐車枠13を自動運転車専用の駐車枠兼乗降スペース(以下、乗降枠14)として使用する。すなわち、乗降枠14を利用する車両1は、自動運転車1Aのみであり、手動運転車1Bの利用は禁止する。
乗降枠14以外の駐車枠13は、一般車(手動運転車1B)と自動運転車1Aの区別がなく、手動運転車1Bと自動運転車1Aの両方が共通の駐車枠13に駐車する。
また帰り(出庫時)は、手動運転車1Bは駐車した駐車枠13で人が乗車するが、自動運転車1Aは乗降枠14で乗車する。すなわち、自動運転車1Aは乗降枠14にて降車し、かつ乗車する。
【0038】
図3において、駐車枠13の一部(矩形の破線で示す。以下、「駐車ゾーンA」)が、自動運転車1Aが停車して乗客が乗降り可能な乗降枠14として設定されている。乗降枠14(駐車ゾーンA)は、好ましくは利便性の高い場所(この例では施設出入口付近)に設定する。
駐車管理装置50は、自動運転車1Aの入庫時において、自動運転車1Aに駐車ゾーンAの空の乗降枠14を指定し、次いで乗客が降車後に自動運転車1Aに乗降枠以外(駐車ゾーンA以外)の空の駐車枠13を指定する。
【0039】
この例では、乗降枠14(駐車ゾーンA)の車両1の有無の検出(例えば、車両検出センサー4の設置)は、省略することができる。自動運転車1Aとの通信により駐車管理装置50が記憶できるからである。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0040】
図4は、本発明による第2実施形態の駐車場運用方法の全体フロー図である。
この図において、駐車場運用方法はS1~S8の各工程(ステップ)からなる。
【0041】
ステップS1,S2は、駐車場10の準備段階で実施する。
ステップS1において、駐車場10に、入口11及び出口12と複数の駐車枠13を準備する。
なお既設の駐車場10の場合は、ステップS1を省略することができる。
【0042】
ステップS2において、複数の駐車枠13の一部(駐車ゾーンA)を、複数の乗降枠14に設定する。乗降枠14は利便性の高い場所に設定するのがよい。
なお乗降枠14の比率は、乗降枠14の利用率を考慮して決定するのがよい。
【0043】
ステップS3~S5は、自動運転車1Aの入庫時の方法である。
ステップS3において、駐車管理装置50により、自動運転車1Aと通信し、ステップS4において、自動運転車1Aに空の乗降枠14と第1入庫経路を指定する。
【0044】
次いでステップS5において、駐車管理装置50により、乗客が降車後に自動運転車1Aに乗降枠以外の空の駐車枠13と第2入庫経路を指定する。
「乗降枠以外の空の駐車枠13」は、好ましくは利便性の低い場所(この例では施設から遠い場所)に設定する。第2入庫経路は、例えば乗客が降車した乗降枠14から指定された駐車枠13までの最短ルートであるのがよい。
なお、自動運転車1Aの入庫と並行して、手動運転車1Bは、乗降枠以外の空の駐車枠13に随時駐車する。
【0045】
ステップS6、S7は、自動運転車1Aの出庫時の方法である。
ステップS6において、駐車管理装置50により、自動運転車1Aと通信し、ステップS7において空の乗降枠14とそこまでの出庫経路を指定する。出庫経路は、例えば駐車した駐車枠13から指定された乗降枠14までの最短ルートであるのがよい。
なお、自動運転車1Aの出庫と並行して、手動運転車1Bは、乗降枠以外の空の駐車枠13で人が乗車し、そこから共通出庫経路24と出口12を通って一般車路2に随時出車する。
【0046】
上述した第2実施形態により、第1実施形態と同様に、新たな乗降エリアを設けずに、自動運転車1Aの利用者の乗降による渋滞の抑制及び駐車場内でのうろつきを軽減することができる。
【0047】
また、第2実施形態により、自動運転車1Aは乗降枠14にて降車し、かつ乗車することができる。
【0048】
さらに、第2実施形態では、「乗客が降車後に指定する空の駐車枠13」として施設から遠い駐車枠13を指定することで、自動運転車1Aによる施設近くの駐車枠13の利用率を下げることができる。これにより、一般車が施設近くの駐車枠13を利用できる比率を高めることができる。
【0049】
図5は、本発明による第3実施形態の駐車場運用システム100の全体平面図である。
【0050】
この例では、複数の駐車枠13は、複数の乗降枠14、複数の自動運転車枠16、及び複数の手動運転車枠18に区分されている。
【0051】
複数の乗降枠14は、車両1が停車して乗客が乗降り可能な駐車枠13であり、利便性の高い場所に設定されている。「利便性の高い場所」は、この例では施設出入口に近い場所であるが、その他の場所でもよい。
また、乗降枠14を利用する車両1は、この例では、好ましくは自動運転車1Aと手動運転車1Bの両方であるが、いずれか一方に制限してもよい。
【0052】
図5において、乗降枠14は、短時間の間に車両1が進入して停止し、乗客が乗降りし、直ぐに車両1が発車できるように、施設出入口の前面道路に平行に互いに十分な間隔を隔てて配置されている。
この構成により、乗降枠14は「車寄せ」として機能し、乗降枠14において、車両1の停車、乗客の乗降り、及び車両1の発車を短時間に効率よく実施することができる。
【0053】
なお、乗降枠14の配置は、この例に限定されず、第2実施形態と同様であってもよく、その他の配置でもよい。
【0054】
複数の自動運転車枠16は、自動運転車1Aが駐車可能な駐車枠13であり、利便性の低い場所に設定されている。「利便性の低い場所」は、この例では施設出入口から最も遠い場所であるが、その他の場所でもよい。
また、この例では、自動運転車枠16は、自動運転車1Aが自律運転により駐車できる限りで、密に配置されている。
【0055】
複数の手動運転車枠18は、手動運転車1Bが駐車可能な駐車枠13であり、利便性が乗降枠14と自動運転車枠16との中間の場所に設定されている。「利便性が乗降枠14と自動運転車枠16との中間の場所」は、この例では、乗降枠14と自動運転車枠16との中間の場所である。
【0056】
以下、乗降枠14、自動運転車枠16、及び手動運転車枠18が設けられた範囲をそれぞれ駐車ゾーンA,B,Cと呼ぶ。
【0057】
この例では、自動運転車枠16(駐車ゾーンC)の車両1の有無の検出(例えば、車両検出センサー4の設置)は、省略することができる。自動運転車1Aとの通信により駐車管理装置50が記憶できるからである。
【0058】
駐車管理装置50は、自動運転車1Aの入庫時において、自動運転車1Aと通信し、自動運転車1Aに空の乗降枠14と第1入庫経路を指定し、次いで乗客が降車後に自動運転車1Aに空の自動運転車枠16と第2入庫経路を指定する。
この構成により、自動運転車1Aは、他の駐車ゾーンB,Cを介さずに駐車ゾーンAまで直行することができる。次いで自動運転車1Aは、乗客が降車後に他の駐車ゾーンCを介さずに駐車ゾーンBまで直行することができる。
【0059】
また駐車管理装置50は、自動運転車1Aの出庫時において、自動運転車1Aと通信し、空の乗降枠14とそこまでの出庫経路を指定する。
【0060】
上述した手動運転車枠18と自動運転車枠16は、境界線19を介して隣接している。また、この境界線19は、駐車管理装置50により可変制御するようになっている。
この構成により、自動運転車1Aの比率が変化する(例えば徐々に増大する)場合でも、その比率に適合するように境界線19を変えることで、駐車ゾーンB,Cの利用率を適正化して、自動運転車1A及び手動運転車1Bをそれぞれ効率よく駐車することができる。
【0061】
図6は、自動運転車1Aの入庫時における第3実施形態の駐車場運用方法の具体的フロー図である。この図において、入庫時の駐車場運用方法はT1~T8の各工程(ステップ)からなる。
【0062】
利用者と自動運転車1Aが駐車場10に到着し(T1-1)、入庫申請を行う(T1-2)。申請方法は、ETC、カーナビ、スマホなどによるのがよい。
駐車管理装置50が入庫申請を受け付け(T2-1)、自動運転車1Aとの通信を確立し(T2-2)、空の乗降枠14と第1入庫経路を指示(指定)する(T2-3)。
【0063】
次いで、自動運転車1Aが自動走行を開始し(T3-1)、指定された乗降枠14に到着し(T3-2)、駐車管理装置50が到着通知を受領する(T4)。
利用者は、指定された乗降枠14において降車し(T5-1)、降車が完了する(T5-2)。
【0064】
駐車管理装置50が降車完了を受け付け(T6-1)、空の自動運転車枠16と第2入庫経路を指示する(T6-2)。
次いで、自動運転車1Aが自動走行を開始し(T7-1)、自動運転車枠16に駐車する(T7-2)。
駐車管理装置50が駐車を受け付け(T8)、自動運転車1Aの入庫が完了する。
【0065】
図7は、自動運転車1Aの出庫時における第3実施形態の駐車場運用方法の具体的フロー図である。この図において、出庫時の駐車場運用方法はU1~U8の各工程(ステップ)からなる。
【0066】
利用者が駐車場10に到着し、出庫申請を行う(U1-1)。申請方法は、スマホなどによるのがよい。次いで利用者は、乗降枠14に移動する(U1-2)。
【0067】
駐車管理装置50が出庫申請を受け付け(U2-1)、自動運転車1Aとの通信を確立し(U2-2)、空の乗降枠14とそこまでの出庫経路を指示(指定)する(U2-3)。
次いで、自動運転車1Aが自動走行を開始し(U3-1)、指定された乗降枠14に到着する(U3-2)。駐車管理装置50は到着通知を受領する(U4)。
利用者は、乗降枠14において乗車し(U5-1)、乗車が完了する(U5-2)。
【0068】
駐車管理装置50が乗車完了を受け付け(U6-1)、走行を指示する(U6-2)。
次いで、自動運転車1Aが自動走行を開始し(U7-1)、出口12に到着し(U7-2)、そのまま自動運転車1Aが運転を継続する。
駐車管理装置50が出庫完了を受け付け(U8)、自動運転車1Aの出庫が完了する。
【0069】
上述した本発明の第3実施形態によれば、第1,2実施形態と同様に、自動運転車1Aの利用者の乗降による渋滞の抑制及び駐車場内でのうろつきを軽減することができる。
【0070】
また、自動運転車枠16及び手動運転車枠18と区別された複数の乗降枠14が利便性の高い場所に設定されるので、自動運転車1Aの乗客は、利便性の高い場所で乗降りすることができる。
【0071】
なお、第3実施形態では、新たな乗降エリアとして「車寄せ」として機能する乗降枠14を設けているが、乗降枠14の配置は、この例に限定されず、第2実施形態と同様であってもよい。
【0072】
また、入庫時において、駐車管理装置50が、自動運転車1Aと通信し、空の乗降枠14と第1入庫経路を指定するので、自動運転車1Aは空の乗降枠14を探索する必要がなく、うろつくことなく指定された乗降枠14に停車して乗客が効率よく降車できる。
【0073】
次いで乗客が降車後に、駐車管理装置50が、自動運転車1Aに空の自動運転車枠16とそこまでの第2入庫経路を指定する。これにより、自動運転車1Aは空の駐車枠13を探索する必要がなく、指定された第2入庫経路を通って指定された自動運転車枠16に効率よく駐車することができる。
【0074】
また、駐車場10が、乗降枠14、自動運転車枠16、及び手動運転車枠18に区分され、自動運転車1Aは乗降枠14を介して自動運転車枠16に直行するので、手動運転車1Bは自動運転車1Aの比率に影響されずに効率よく手動運転車枠18に駐車することができる。
【0075】
さらに、本発明により自動運転車1Aに対応した自動バレーパーキングが可能となる。
また、乗降枠14は手動運転車1Bが利用してもよく、この場合に、従来のバレーパーキングとして用いることができる。
【0076】
上述した駐車場10の構成は、第1~3実施形態の例に限定されず、自由に変更することができる。
例えば、入口11及び出口12は、単一に限定されず、複数であってもよい。
また、乗降枠14、自動運転車枠16、及び手動運転車枠18は、車路で連通している限りで、離れた場所であってもよい。
【0077】
さらに本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0078】
A,B,C 駐車ゾーン、1 車両、1A 自動運転車、1B 手動運転車、
2 一般車路、4 車両検出センサー、10 駐車場、11 入口、
12 出口、13 駐車枠、14 乗降枠、16 自動運転車枠、
18 手動運転車枠、24 共通出庫経路、50 駐車管理装置、
100 駐車場運用システム