(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】塗布用容器
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20221031BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
A45D34/04 540
A45D34/04 510C
B65D83/00 J
(21)【出願番号】P 2018213456
(22)【出願日】2018-11-14
【審査請求日】2021-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 夕佳
(72)【発明者】
【氏名】岸本 正人
(72)【発明者】
【氏名】谷 修治
(72)【発明者】
【氏名】山崎 貴史
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06132126(US,A)
【文献】特開2018-015199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布剤が収容される胴体の上端が開口されており、この開口部分にアプリケーター部材が取り付けられ、前記アプリケーター部材から前記胴体内の塗布剤が出される塗布用容器であって、
前記胴体は、片手の手指で把持される把持部を有し、
この把持部の高さ寸法は、前記片手の小指を除く四指が巻き掛けられるように把持可能な寸法に設定されており、
前記把持部の上端側には、前記片手の人差し指または中指の内側部分と親指の内側部分とが巻き掛けられて嵌まる係合部が前記胴体の全周に亘って設けられて
おり、
前記把持部において前記係合部の直下には、外径寸法が一定の平滑部が設けられており、
前記把持部において前記平滑部の直下には、前記胴体の底面へ向けて徐々に縮径する下向き縮径部が設けられており、
前記把持部の高さ寸法が、35~80mmに設定され、
前記係合部の上下方向に沿う長さ寸法が、10~25mmに設定され、
前記胴体の最大外径寸法が、40~55mmに設定されている、ことを特徴とする塗布用容器。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布用容器において、
前記
係合部は、1つとされていることを特徴とする塗布用容器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の塗布用容器において、
前記
平滑部の上下方向に沿う長さ寸法は、「10~30mm」に設定され、
前記下向き縮径部の上下方向に沿う長さ寸法は、「5~25mm」に設定される、ことを特徴とする塗布用容器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の塗布用容器は、腋用のデオドラント剤を塗布する用途に用いられる、ことを特徴とする塗布用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体等に塗布剤を塗布することができる塗布用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧剤や薬剤などの塗布剤を容器内部に充填し、使用時には容器上部などに用いられたアプリケーター部材より塗布剤が出て、身体等に塗布剤を塗布することができる塗布用容器が知られている。これらの塗布用容器としては、塗布剤の種類や使用部位、使用方法などに応じて、様々な形態のものが知られている。
【0003】
例えば特許文献1の
図24に示す塗布器具は、受け器の頂端部に支持体構成部分を設け、この支持体構成部分にアプリケーター部材を取り付けた構成になっている。
【0004】
前記受け器は、樽形状になっており、その中心軸線を上下方向に沿わせるように立てた姿勢とされている。この受け器の上端には、上向きに立ち上がる円筒部が設けられており、この円筒部の上部の段壁面が、アプリケーター部材から出て垂れ落ちる塗布剤を受け止めるための液だれ受け面になっている。
【0005】
また、特許文献2に示す塗布用容器は、その下方から鷲掴みしやすい形状に形成されている。この鷲掴みとは、片手の掌における丘部分(各指の付け根部分)で胴体の底面を支えるとともに、前記片手の各指先を引っ掛け部に引っ掛けて、前記胴体を各指の付け根側へ引き寄せるような形態のことを言う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4430870号公報
【文献】特開2018-15199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1には、使用時に前記受け器が不安定に揺れ動いて塗布剤を必要部位に塗りにくくなることを防止するために、前記受け器を安定した状態で持ちやすくするという技術思想ならびにそれを実現するための構成についての記載ならびに示唆は一切ない。
【0008】
上記特許文献2に示す塗布用容器は、下方から鷲掴みしやすい形状であるものの、例えば横持ちしやすくするには改良の余地がある。
【0009】
このような事情に鑑み、本発明は、塗布用容器を片手で簡単に安定して横持ちしやすくして、当該塗布用容器内の塗布剤を身体の所望位置に簡単かつ正確に塗りやすくすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、塗布剤が収容される胴体の上端が開口されており、この開口部分にアプリケーター部材が取り付けられ、前記アプリケーター部材から前記胴体内の塗布剤が出される塗布用容器であって、前記胴体は、片手の手指で把持される把持部を有し、この把持部の高さ寸法は、前記片手の小指を除く四指が巻き掛けられるように把持可能な寸法に設定されており、前記把持部の上端側には、前記片手の人差し指または中指の内側部分と親指の内側部分とが巻き掛けられて嵌まる係合部が前記胴体の全周に亘って設けられており、前記把持部において前記係合部の直下には、外径寸法が一定の平滑部が設けられており、前記把持部において前記平滑部の直下には、前記胴体の底面へ向けて徐々に縮径する下向き縮径部が設けられており、前記把持部の高さ寸法が、35~80mmに設定され、前記係合部の上下方向に沿う長さ寸法が、10~25mmに設定され、前記胴体の最大外径寸法が、40~55mmに設定されている、ことを特徴としている。
【0011】
この構成の塗布用容器は、前記片手の掌を前記胴体の把持部の外周面に横から押し当てるようにしながら、当該片手の人差し指(または中指)と親指とを上から見てC字形にして前記係合部に巻き掛けるようにすると、当該人差し指(または中指)の内側部分と親指の内側部分とが前記係合部に自然に嵌まる状態になるので、前記塗布用容器を片手で簡単に安定して横から把持しやすくなる。なお、このような把持形態を、単に横持ちと言うことにする。
【0012】
これにより、前記塗布用容器内の塗布剤を身体の所望位置に比較的簡単かつ正確に塗ることが可能になる。
【0013】
ところで、上記塗布用容器において、前記把持部の高さ寸法が、35~80mmに設定され、前記係合部の上下方向に沿う長さ寸法が、10~25mmに設定され、前記胴体の最大外径寸法が、40~55mmに設定される、という構成を採用しているので、次のような作用、効果が得られる。
【0014】
この構成によれば、前記塗布用容器を片手で横持ちする際に、人差し指(または中指)の内側部分と親指の内側部分とが前記係合部に自然かつ確実に嵌まるようになる。
【0015】
また、上記塗布用容器において、前記把持部において前記係合部の直下には、外径寸法が一定の平滑部が設けられており、前記把持部において前記平滑部の直下には、前記胴体の底面へ向けて徐々に縮径する下向き縮径部が設けられている、という構成を採用しているので、次のような作用、効果が得られる。
【0016】
この構成では、片手の掌を前記胴体の把持部の外周面に横から押し当てるようにしながら、当該片手の人差し指と親指とを上から見てC字形にして前記係合部に巻き掛けて当該人差し指の内側部分と親指の内側部分と嵌めるようにし、さらに前記平滑部に前記片手の中指を巻き掛けるとともに、前記下向き縮径部に前記片手の薬指を巻き掛けて、小指を前記底面に当接させるような状態にすることができる。
【0017】
このように前記塗布用容器を片手で横持ちする際に、前記平滑部に前記片手の中指を程良く巻き掛けやすくなるとともに、前記下向き縮径部に前記片手の薬指を程良く巻き掛けやすくなるので、塗布用容器を片手で簡単に安定して横持ちしやすくなるのである。
【0018】
そして、上記塗布用容器において、前記係合部は、1つとされる。また、前記平滑部の上下方向に沿う長さ寸法は、「10~30mm」に設定され、前記下向き縮径部の上下方向に沿う長さ寸法は、「5~25mm」に設定される。さらに、上記塗布用容器は、腋用のデオドラント剤を塗布する用途に用いられる、ものとすることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る塗布用容器によれば、片手で簡単に安定して横持ちしやすくなって、当該塗布用容器内の塗布剤を身体の所望位置に簡単かつ正確に塗りやすくできるなど、使い勝手を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る塗布用容器の一実施形態で、キャップを胴体から外した状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1においてさらに胴体からアプリケーター部材を外した状態を示す側面図である。
【
図3】
図1の塗布用容器を片手で横持ちした状態を示す斜視図である。
【
図4】
図3に示すように塗布用容器を横持ちした状態で塗布剤を腋に塗るときの様子を示す斜視図である。
【
図5】本発明に係る塗布用容器の他実施形態で、キャップを胴体から外した状態を示す斜視図である。
【
図6】
図5においてさらに胴体からアプリケーター部材を外した状態を示す側面図である。
【
図7】
図1に示す塗布用容器を下方から鷲掴みする様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1から
図4に、本発明の一実施形態を示している。図中、1は塗布用容器の全体を示している。
【0023】
塗布用容器1は、
図2に示すように、胴体2と、アプリケーター部材3と、キャップ4とを備えている。
【0024】
胴体2は、内部に例えば液状のデオドラント組成物、化粧剤、薬剤などの塗布剤が封入されるものであって、上側が開口した有底円筒形に形成されている。
【0025】
アプリケーター部材3は、胴体2内の塗布剤を取り出して塗布相手に転移させるものであって、ボール31をホルダ32に自転可能に取り付けた構成になっている。
【0026】
ホルダ32は、略円筒形に形成されており、その上側開口にはボール31が略半分露呈するように回転自在になるように取り付けられている。このホルダ32の中心軸線方向(上下方向)の途中には、最大外径部32aが設けられており、また、ホルダ32の中心軸線方向の下側には円筒部32bが設けられている。この円筒部32bを下側円筒部と言うことにする。アプリケーター部材3のホルダ32の下側円筒部32bの内周面には、下記凸条部21aにスナップフィット状態に嵌合する凹条部(図示省略)が設けられている。
【0027】
キャップ4は、アプリケーター部材3を不使用時に隠蔽して使用時に露呈するものであって、胴体2に着脱可能とされる。このキャップ4は、下側開口から上側の所定位置まで円筒形に形成されていて、前記所定位置から上端に向けて徐々に縮径するような形状に形成されている。
【0028】
この実施形態の塗布用容器1は、片手で横から把持しやすくするように工夫しているので、以下で詳細に説明する。
【0029】
まず、胴体2の外形を詳細に説明する。胴体2は、上から下へ向けて順に、上端部21、雄ねじ部22、把持部23を有している。
【0030】
上端部21には、アプリケーター部材3のホルダ32が外嵌装着されるようになっている。この上端部21の外周面には、
図2に示すように、周方向に連続する一つの凸条部21aが設けられている。
【0031】
この上端部21にアプリケーター部材3のホルダ32の下側円筒部32bを外嵌装着すると、凸条部21aが下側円筒部32bの内周面に形成されている凹条部(図示省略)にスナップフィット状態で嵌合することにより、胴体2にホルダ32が取り付けられる。なお、胴体2からホルダ32を取り外すときは、ホルダ32を上向きに引っ張れば前記凹条部が凸条部21aから弾性変形して抜け出すので、ホルダ32を胴体2から外すことができる。
【0032】
雄ねじ部22は、外径寸法が胴体2の中心軸線に沿って一定とされており、その外周面にねじ山22aが設けられている。この雄ねじ部22のねじ山22aには、キャップ4の下側開口の内周面に形成されているねじ溝(図示省略)が螺合装着されるようになっている。
【0033】
把持部23は、片手の小指を除く四指が巻き掛けられる部分であって、上から下へ向けて順に、係合部23aa、平滑部23b、下向き縮径部23cを有している。
【0034】
係合部23aは、胴体2の全周に亘って連続する環状溝とされており、その凹み形状が側面から見てU字形に湾曲したような形状とされている。
【0035】
詳しくは、係合部23aの最深位置はその上下方向の中心位置よりも雄ねじ部22寄りに配置されている。この係合部23aにおいて前記最深位置から平滑部23bまでの領域を「下湾曲斜面」と言い、また、係合部23aにおいて前記最深位置から雄ねじ部22までの領域を「上湾曲斜面」と言うことにする。
【0036】
そして、前記下湾曲斜面および前記上湾曲斜面は、共に、外径側から前記最深位置に向かうにつれて下り勾配が緩やかになっている。前記下り勾配とは、胴体2の中心軸線に対する前記下湾曲斜面および上湾曲斜面の傾きである。
【0037】
言い換えると、前記下湾曲斜面は、平滑部23b寄りほど急な下り勾配になっているので、係合部23aに巻き掛けられて嵌められる人差し指が平滑部23bの上端縁に引っ掛かりやすくなる。一方、前記上湾曲斜面は、雄ねじ部22寄りほど急な下り勾配になっているので、係合部23aに巻き掛けられて嵌められる人差し指が雄ねじ部22の下端縁に引っ掛かりやすくなる。
【0038】
平滑部23bは、外径寸法が胴体2の中心軸線に沿って一定とされている。平滑部23b、雄ねじ部22、上端部21は、側面視で円柱形に形成されており、それらの各外径寸法が前記記載順に大、中、小とされている。
【0039】
下向き縮径部23cは、平滑部23bの下端から胴体2の底面に向けて徐々に縮径するようなテーパ面とされている。
【0040】
そして、平滑部23bと下向き縮径部23cとの連接部分は、角張った形状とされている。
【0041】
なお、アプリケーター部材3のボール31から塗布剤がホルダ32の外周に垂れ落ちた場合、ホルダ32の最大外径部32aの上側段壁面32cが前記塗布剤を受け止めることになる。このようにホルダ32の上側段壁面32cが液だれ受け面として機能する。
【0042】
このような形状の胴体2を横持ちするときの様子について、
図3を参照して説明する。片手の掌を胴体2の把持部23の外周面に横から押し当てるようにしながら、当該片手の人差し指と親指とを上から見てC字形にして係合部23aに巻き掛けるようにし、さらに平滑部23bに前記片手の中指を巻き掛けるとともに、下向き縮径部23cに前記片手の薬指を巻き掛けて、小指を胴体2の底面に当接させる。
【0043】
このような横持ちをする際に、人差し指の内側部分と親指の内側部分とが胴体2の係合部23aに自然かつ確実に巻き掛けられて嵌まるようにするとともに、この状態を維持しやすくすることを目的として、把持部23の高さ寸法100と、係合部23aの上下方向に沿う長さ寸法101と、平滑部23bの上下方向に沿う長さ寸法102と、下向き縮径部23cの上下方向に沿う長さ寸法103と、胴体2の最大外径寸法200と、係合部23aの最深位置での深さ寸法(引っ掛かり代とも言う)300と、を以下のように設定している。
【0044】
(1)把持部23の高さ寸法100は、
図2に示すように、係合部23aの上下方向に沿う長さ寸法101と、平滑部23bの上下方向に沿う長さ寸法102と、下向き縮径部23cの上下方向に沿う長さ寸法103と、を足した寸法であって、前記片手の小指を除く四指が巻き掛けられるように把持可能となるように設定される。
【0045】
まず、係合部23aの上下方向に沿う長さ寸法101は、好ましくは「10~25mm」、より好ましくは「12~23mm」、さらに好ましくは「14~20mm」、最も好ましくは「16~18mm」に設定することができる。この長さ寸法101は、胴体2を横持ちする際に片手の人差し指(または中指)と親指とを上から見てC字形にして係合部23aに巻き掛ける際に人差し指(または中指)の内側部分と親指の内側部分とを係合部23aに嵌めやすくするために、人差し指(または中指)よりも太い親指の横幅(所定数の大人の平均値±α)に基づいて特定している。
【0046】
また、平滑部23bの上下方向に沿う長さ寸法102は、好ましくは「10~30mm」、より好ましくは「12~26mm」、さらに好ましくは「16~23mm」、最も好ましくは「19~22mm」に設定することができる。この長さ寸法102は、胴体2を横持ちする際に中指を平滑部23bの外周面に沿わせやすくするために、中指の横幅(所定数の大人の平均値±α)に基づいて特定している。
【0047】
さらに、下向き縮径部23cの上下方向に沿う長さ寸法103は、好ましくは「5~25mm」、より好ましくは「10~20mm」、さらに好ましくは「12~18mm」、最も好ましくは「14~16mm」に設定することができる。この長さ寸法103は、胴体2を横持ちする際に薬指を下向き縮径部23cの外周面に沿わせやすくするために、薬指の横幅(所定数の大人の平均値±α)に基づいて特定している。
【0048】
このような三つの長さ寸法101,102,103に基づいて、把持部23の高さ寸法100は、好ましくは「35~80mm」、より好ましくは「40~69mm」、さらに好ましくは「45~61mm」、最も好ましくは「49~55mm」に設定することができる。
【0049】
(2)胴体2の最大外径寸法200は、好ましくは「40~55mm」、より好ましくは「42~52mm」、さらに好ましくは「44~50mm」に設定することができる。
【0050】
この数値は、下記実験に基づいて特定している。実験では、各試料の底面からボール31の頂点までの全高寸法を99mmとし、前記把持部23の高さ寸法100を「50mm」にし、前記最大外径寸法200を「33mm」、「36mm」、「38mm」、「40mm」、「44mm」、「50mm」、「53mm」、「55mm」、「60mm」にした9タイプの試料を用意した。このような試料の胴体2を横持ちする際に把持部23に対する片手の四指の巻き掛けやすさを10名の被験者が5段階の評価スコアで評価し、その平均値を算出した。評価スコアについて、「1」は「巻き掛けやすい」、「2」は「やや巻き掛けやすい」、「3」は「どちらともいえない」、「4」は「やや巻き掛けにくい」、「5」は「巻き掛けにくい」である。
【0051】
ここで、最大外径寸法R毎の評価スコアの平均値の結果としては、「33mm」のとき「3.3」で標準偏差は「1.00」、「36mm」のとき「3.4」で標準偏差は「0.66」、「38mm」のとき「3.1」で標準偏差は「1.14」、「40mm」のとき「2.4」で標準偏差は「0.80」、「44mm」のとき「1.5」で標準偏差は「0.50」、「50mm」のとき「2.6」で標準偏差は「0.80」、「53mm」のとき「2.8」で標準偏差は「0.87」、「55mm」のとき「3.2」で標準偏差は「1.08」、「60mm」のとき「4.3」で標準偏差は「0.78」であった。
【0052】
この結果から、評価スコアの「3」を目安としたうえで、最大外径寸法Rが「40mm」のときの評価スコアの平均値「2.4」と、最大外径寸法Rが「38mm」のときの評価スコアの平均値「3.1」とが乖離しているので、ここを境界点と判断した。
【0053】
また、同様に、評価スコアの「3」を目安としたうえで、最大外径寸法Rが「55mm」のときの評価スコアの平均値「3.2」と、最大外径寸法Rが「60mm」のときの評価スコアの平均値「4.3」とが乖離しているので、ここを境界点と判断した。
【0054】
これら結果に基づき、最大外径寸法Rを上述しているように好ましい範囲として「40~55mm」に設定し、より好ましい範囲として「42~52mm」、さらに好ましい範囲として「44~50mm」に設定した。
【0055】
(3)係合部23aの最深位置での深さ寸法300(引っ掛かり代とも言う)は、好ましくは「2.0~8.0mm」、より好ましくは「3.0~7.0mm」、さらに好ましくは「4.0~6.0mm」に設定することができる。
【0056】
この深さ寸法300は、胴体2を横持ちする際に片手の人差し指(または中指)と親指とを上から見てC字形にして係合部23aに巻き掛けた状態において、前記人差し指(または中指)の内側部分と前記親指の内側部分とが胴体2の係合部23aに嵌まった状態を維持しやすくするために、下記評価に基づいて特定している。この評価は、適宜の人数の被験者により前記好ましい範囲内の試料と、当該範囲外の試料とを実際に把持し比べることにより引っ掛かり具合を調べることにより行っている。
【0057】
この他、胴体2の上端部21および雄ねじ部22の上下方向に沿う寸法は、特に限定されないが、好ましくは「10~20mm」、より好ましくは「14~18mm」に設定することができる。また、胴体2の底面から上端部21までの高さ寸法は、好ましくは「45~100mm」、より好ましくは「54~87mm」、さらに好ましくは「59~79mm」に設定することができる。
【0058】
以上説明したような実施形態の塗布用容器1であれは、
図3に示すように、片手の掌を胴体2の把持部23の外周面に横から押し当てるようにしながら、当該片手の人差し指と親指とを上から見てC字形にして係合部23aに巻き掛けて当該人差し指の内側部分と親指の内側部分と嵌めるようにし、さらに平滑部23bに前記片手の中指を巻き掛けるとともに、下向き縮径部23cに前記片手の薬指を巻き掛けて、小指を胴体2の底面に当接させるような状態にすることができる。
【0059】
このように胴体2を片手で横持ちする際は、当該片手の人差し指の内側部分と親指の内側部分とが係合部23aに自然かつ確実に嵌まるようになる他、平滑部23bに前記片手の中指を程良く巻き掛けやすくなるとともに、下向き縮径部23cに前記片手の薬指を程良く巻き掛けやすくなるので、塗布用容器1を片手で簡単に安定して横持ちしやすくなるのである。
【0060】
これにより、例えば
図4に示すように、身体の腋に塗布剤を塗るような場合に、塗布用容器1を揺れ動かないようにしっかり安定した状態で把持したまま、腕を自然な姿勢で折り曲げて、アプリケーター部材3のボール31を前記腋に正確に押し付けることが可能になる。このように、身体の姿勢に無理をせずに簡単かつ正確に塗布剤を身体の所望位置(湾曲等)に塗ることが可能になる。
【0061】
また、上記構成の塗布用容器1であれは、塗布用容器1を下方から鷲掴みすることも可能である。この鷲掴みとは、例えば
図7および
図8に示すように、片手の掌における丘部分(主に土星丘、木星丘、太陽丘で、各指の付け根部分とも言う)で胴体2の底面を支えるとともに、前記片手の各指で把持部23を包むようにしながら当該各指の先を係合部23aに引っ掛けて、胴体2を各指の付け根側へ引き寄せるような形態のことを言い、下持ちとも言う。
【0062】
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲内で適宜に変更することが可能である。
【0063】
(1)上記実施形態では胴体2の平滑部23bから下向き縮径部23cへの連接部分を角張った形状にした例を挙げているが、本発明はこれのみに限定されるものではない。
【0064】
例えば
図5および
図6に本発明の他の実施形態を示している。この実施形態では、胴体2において平滑部23bから下向き縮径部23cへの連接部分を湾曲した形状にしている。このような形状であっても、横持ちのしやすさは上記実施形態の塗布用容器1と同様になる。
【0065】
(2)上記実施形態では、胴体2の下向き縮径部23cをテーパ面にした例を挙げているが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、例えば下向き縮径部23cは胴体2の底面に向けて徐々に縮径するような曲面形状としてもよい。
【0066】
(3)上記実施形態では、アプリケーター部材3にボール31を用いた例を挙げているが、本発明はこれのみに限定されるものではない。
【0067】
例えばアプリケーター部材3は、ボール31の代わりに、発泡部材(ラバーまたはポリウレタンなど)を用いる構成としたり、スティック状の塗布剤を用いて胴体2に直接的に収納する構成としたりすることが可能である。即ち、本発明の塗布用容器1としては、例えば、ロールオン容器、スティック容器(繰り出し容器)、発泡ラバーを有する塗布用容器などが挙げられ、好ましくはロールオン容器である。
【0068】
本発明の塗布用容器1の用途としては、特に限定されないが、例えば、デオドラント剤を塗布するデオドラント製品、香水やオーデコロンなどを塗布するフレグランス化粧品、化粧水などを塗布するスキンケア化粧品、整髪剤や染毛剤などを塗布する頭髪用化粧品、日焼け止め製品、防虫剤、虫刺され薬、鎮痛剤、消炎剤などの医薬品などが挙げられる。中でも、本発明の塗布用容器1を横持ちの持ち方で安定した状態で持ちやすく、正確に塗布しやすいという観点から、デオドラント製品が好ましく、特に腋用のデオドラント剤を塗布する腋用デオドラント製品が好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、塗布剤が収容される胴体の上端が開口されており、この開口部分にアプリケーター部材が取り付けられ、このアプリケーター部材から前記胴体内の塗布剤が出される塗布用容器に好適に利用することが可能である。例えば、デオドラント製品用のロールオン容器として好適に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 塗布用容器
2 胴体
21 上端部
21a 凸条部
22 雄ねじ部
22a ねじ山
23 把持部
23a 係合部
23b 平滑部
23c 下向き縮径部
3 アプリケーター部材
31 ボール
32 ホルダ
32a 最大外径部
32b 下側円筒部
32c 上側段壁面
4 キャップ
100 把持部の高さ寸法
101 係合部の長さ寸法
102 平滑部の長さ寸法
103 下向き縮径部の長さ寸法
200 胴体の最大外径寸法
300 係合部の深さ寸法