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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】オイルシール
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/36 20060101AFI20221031BHJP
   F16F 9/32 20060101ALI20221031BHJP
   F16J 15/3204 20160101ALI20221031BHJP
【FI】
F16F9/36
F16F9/32 K
F16J15/3204 101
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018215762
(22)【出願日】2018-11-16
(65)【公開番号】P2020085033
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179970
【弁理士】
【氏名又は名称】桐山 大
(74)【代理人】
【識別番号】100071205
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 陽一
(72)【発明者】
【氏名】三浦 竜也
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-214639(JP,A)
【文献】特開2010-223282(JP,A)
【文献】特開2018-168896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/36
F16F 9/32
F16J 15/3204
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒にかしめられて内面側を前記外筒内のオイル室に対面させ、前記外筒に軸方向に沿って移動自在に収納されるロッドを取り囲む金属環と、
前記金属環の内面に非固定で接触する位置に配置されて前記金属環の内周側の縁よりも内周側に延び、前記ロッドに密接するシールリップを内周側に有する環状の弾性体と、
前記金属環の内面に設けられ、前記弾性体の外周面を位置規制する環状の規制部と、
を備え
前記規制部は、前記弾性体よりも前記金属環の外周側の内面に平坦面同士で接触し、前記金属環の内面と軸ずれを規制する方向に凹凸で嵌合している、
ことを特徴とするオイルシール。
【請求項2】
前記規制部は、前記金属環の内面における突出する形状を有する前記金属環の外周側の一部である、
ことを特徴とする請求項1に記載のオイルシール。
【請求項3】
前記弾性体は、異なる材料によって生成された外周側の部材と内周側の部材とに分割されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のオイルシール。
【請求項4】
前記規制部は、前記外筒の内壁に密接する外周リップを固着している、
ことを特徴とする請求項1に記載のオイルシール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルシールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばショックアブソーバに用いられるオイルシールは、外筒内に設けられたオイル室を密封する。ド・カルボン方式と呼ばれる単筒式のショックアブソーバでは、オイル室はフリーピストンによってガス室と仕切られ、ピストンロッドを往復動自在に収納する。オイルシールは、外筒の開口から外部に延びるピストンロッドのロッドの外周面にリップ端を密接させ、外筒とロッドとの間の隙間を密封する。
【0003】
図4は、単筒式のショックアブソーバに用いられるオイルシール1の一例を示す垂直断面図である。外筒2とロッド3(一点鎖線で示す)との間の部分のみを部分断面図にして示している。このオイルシール1は、ゴム状弾性材料によって生成された弾性体4を金属環5に加硫接着している。弾性体4はシールリップ6、ダストリップ7、及び外周リップ8を有している。
【0004】
シールリップ6と外周リップ8とは、金属環5の下面に設けられた弾性体4の一部である。シールリップ6は金属環5の内周側に設けられ、ロッド3に密接している。外周リップ8は金属環5の外周側に設けられ、外筒2の内壁に密接している。
【0005】
ダストリップ7は、金属環5の上面に設けられた弾性体4の一部である。ダストリップ7は金属環5の内周側に設けられ、ロッド3に密接している。シールリップ6とダストリップ7とは金属環5の内周面に膜状に加硫接着された弾性体4によってつながっており、この部分よりも金属環5の内周側に向けて延びている。シールリップ6が延びる方向は斜め下方であり、ダストリップ7が延びる方向は斜め上方である。
【0006】
オイルシール1は外筒2にかしめられ、外筒2とロッド3との間に開いた隙間を密封している。図4中、オイルシール1をかしめている外筒2の端部を符号9で示す。このような固定構造上、オイルシール1には金属環5が必須である。
【0007】
単筒式のショックアブソーバに用いられるオイルシールは、例えば特許文献1~3にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2005-273692号公報
【文献】特開平10-082467号公報
【文献】特開2011-214639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
単筒式のショックアブソーバでは、シールリップが高圧を受けて大きく変形する。このためシールリップのうち、例えば金属環の内周側の縁に接触する部分に応力が集中する。オイルシールの耐久性を向上させるためには、このような応力集中を生じさせないようにすることが望ましい。図4中、弾性体に応力の集中を生じさせる金属環5の縁を符号Eで示す。
【0010】
特許文献1に記載されたオイルシールは、金属環(座金41)の内周側の縁から離れた位置に、シールリップ(主リップ42)を有する弾性体(基部42a)を加硫接着している(文献1の段落[0017][0018]参照)。このような構造上、弾性体は金属環の内周側の縁に接着されず、この部分に生じがちな応力集中を回避することができる。
【0011】
しかしながら弾性体には、金属環に加硫接着された部分に応力が集中することもある。
【0012】
この点特許文献2、3に記載されたオイルシールは、シールリップを有する弾性体を金属環に固定しない。
【0013】
特許文献2に記載されたオイルシールは、シールリップを有する弾性体(フッ素ゴムシール6)を金属環(座金2)に固定せず、嵌め込みによって保持するようにしている(文献2の段落[0021]参照)。しかも弾性体は、内周側の縁から離れた位置で金属環に接触している。
【0014】
特許文献3に記載されたオイルシールは、シールリップを有する弾性体(内周側非接触シール部材173とメインシール18)を二分割し、金属環(補強部材161)には外周側の弾性体(内周側非接触シール部材173)のみを加硫接着し、内周側の弾性体(メインシール18)をフリーの状態にしている(文献1の段落[0027][0033]参照)。しかも弾性体は、内周側の縁から離れた位置で金属環に接触している。
【0015】
特許文献2、3に記載されたオイルシールは、金属環の内周側の縁よりも外周側で弾性体を金属環に接触させている。このため金属環の内周側の縁の部分は、何物にも覆われていない状態になっている。この部分を弾性体で覆うことができれば、各部をより万全に保護することができる。その一方で、応力集中を回避するためには、この部分に弾性体を加硫接着することは望ましくない。応力集中の回避と各部の保護とを両立させ得る改善策が求められる。
【0016】
本発明の課題は、金属環の内周側の縁を覆う弾性体に設けたシールリップが高圧を受けたとしても、金属環の縁などに接触する部分に応力を集中させにくくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
イルシールの一態様は、外筒にかしめられて内面側を前記外筒内のオイル室に対面させ、前記外筒に軸方向に沿って移動自在に収納されるロッドを取り囲む金属環と、前記金属環の内面に非固定で接触する位置に配置されて前記金属環の内周側の縁よりも内周側に延び、前記ロッドに密接するシールリップを内周側に有する環状の弾性体と、前記金属環の内面に設けられ、前記弾性体の外周面を位置規制する環状の規制部とを備え、前記規制部は、前記弾性体よりも前記金属環の外周側の内面に平坦面同士で接触し、前記金属環の内面と軸ずれを規制する方向に凹凸で嵌合している。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、金属環の内周側の縁を覆う弾性体に設けたシールリップが高圧を受けたとしても、金属環の縁などに接触する部分に応力を集中させにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施の形態のオイルシールが用いられる単筒式のショックアブソーバの一例を断面にして示す模式図。
図2】オイルシールの実施の一形態を示す垂直断面図。
図3】オイルシールの別の実施の一形態を示す垂直断面図。
図4】単筒式のショックアブソーバに用いられるオイルシールの従来の一例を示す垂直断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施の一形態を図1及び図2に基づいて説明する。本実施の形態は、ド・カルボン方式と呼ばれる単筒式のショックアブソーバへの適用に適したオイルシールの一例である。
【0021】
[ショックアブソーバ]
図1に示すように、単筒式のショックアブソーバ11は、両端が開口した円筒形状を有する金属製の外筒21の内部に、ピストンロッド31を収納している。ピストンロッド31は金属製のロッド32を備え、その先端に円板状のピストン33を固定した構造物である。ピストンロッド31のピストン33側の端部は外筒21の内部に収納され、反対側の端部は外筒21の一方の開口から外部に飛び出している。ピストン33の外周面は、外筒21の内壁にスライド移動自在に接触している。ピストン33が外筒21の内部で往復動することで、外筒21からのロッド32の伸縮量が可変する。
【0022】
外筒21の内部空間は、フリーピストン41によって二分割されている。二分割された一方の空間にはオイルOが満たされ、もう一方の空間にはガスGが充填されている。オイルOが満たされている空間はオイル室42、ガスGが充填されている空間はガス室43である。オイル室42は、外筒21の一方の開口に設けられたオイルシール101とフリーピストン41とによって画された空間によって規定される。ガス室43は、外筒21のもう一方の開口を塞ぐキャップ22とフリーピストン41とによって画された空間によって規定される。フリーピストン41は外筒21の内壁に密接し、外筒21の内部空間を仕切る姿勢を維持したまま軸方向に沿ってスライド移動する。
【0023】
外筒21の一端側の開口には、ロッド32を貫通させて案内するロッドガイド23が固定されている。ロッドガイド23はオイルシール101よりも外筒21の内部側、つまりオイル室42内に配置されている。オイル室42内には、ピストンロッド31のピストン33も配置されている。ロッド32はピストン33とロッドガイド23とによって自由な動きを拘束され、外筒21と同心上を往復移動自在である。ピストン33には複数個のオリフィス34が設けられている。ロッド32とともにピストン33がオイル室42内を移動するとき、オイルOはオリフィス34を通り抜ける。
【0024】
ショックアブソーバ11は、外筒21とロッド32とのいずれか一方が車体の側に固定され、もう一方がサスペンションの側に固定されて使用される。
【0025】
[オイルシールの実施の一形態]
ショックアブソーバ11に用いるオイルシール101の実施の一形態を図2に基づいて説明する。
【0026】
図2に示すように、オイルシール101は、円環状をした金属製の金属環111に、各種リップを有する複数個の弾性体121が固定され、あるいは組み込まれた構造を有している。オイルシール101は、外筒21の一端側で金属環111がかしめられ、ロッドガイド23との間に挟まれて固定されている。図2中、オイルシール101の金属環111をかしめている外筒21の端部を符号24で示す。
【0027】
金属環111は、円環状の板金の一部を切削加工して製作されている。切削加工されているのは、外筒21の内部側、つまりオイル室42に対面する金属環111の内周側領域である。本実施の形態では、切削加工された内周側を窪み112と呼び、窪み112に隣接する切削加工されない外周側を規制部113と呼ぶ。オイル室42側を向いた金属環111の面は、規制部113の面も窪み112内の面も、金属環111の内面111aである。
【0028】
弾性体121は、ゴム状弾性材料によって成形されており、シールリップ131、ダストリップ141、及び外周リップ151を有する三種類の領域に分割されている。
【0029】
シールリップ131は、窪み112に配置された二つの環状部材を組み合わせた弾性体121Aによって生成されている。二つの環状部材の一方は基部121Aa、もう一方はリップ部121Abである。基部121Aaは外周側の部材、リップ部121Abは内周側の部材である。
【0030】
基部121Aaは、窪み112内で、金属環111の内面111aの外周側の領域に接触する。リップ部121Abは、窪み112内で、金属環111の内面111aの内周側の領域に接触する。断面形状で見た基部121Aaは、縦方向の高さ寸法と横方向の幅寸法とが1:2程度の縦横比を有している。これに対して断面形状で見たリップ部121Abの同様の縦横比は、2:1程度である。その結果、基部121Aaとリップ部121Abとはほぼ同一の高さ寸法を有していることから、基部121Aaとリップ部121Abとの幅寸法は、4:1程度の比率を示す。したがって金属環111の内面111aに対する接触面積は、4:1程度の比率で、リップ部121Abよりも基部121Aaの方が大きい。
【0031】
基部121Aaとリップ部121Abとは、外筒21の内部方向に向けて径を縮小する傾斜面122a,122bによって互いに接合し、互いの傾斜面122a,122bに設けた凹凸嵌合構造によって嵌り合っている。基部121Aaはその内周面である傾斜面122aに凹溝123を有し、リップ部121Abはその外周面である傾斜面122bに凸条124を有している。これらの凹溝123と凸条124とは、金属環111の内面111aに接触する側に寄せて設けられている。
【0032】
リップ部121Abは、その内周面も外筒21の内部方向に向けて径を縮小する形状を有しており、外筒21の内部側に寄った最も径の縮小した領域に、環状のリップ端132を設けている。リップ端132は、図2に示す締め代でロッド32の外周面に密接している。
【0033】
基部121Aaとリップ部121Abとを組み合わせたシールリップ131は、金属環111には固定されず、ロッドガイド23との間に挟まれて窪み112に収納された状態を維持する。このとき金属環111の内面111aに接するリップ部121Abの領域は、金属環111の内周側の縁Eよりも内周側に延びている。つまりリップ部121Abは、金属環111の内周面よりも外周側に退避していない。
【0034】
弾性体121Aは、基部121Aaとリップ部121Abとを異なる材料によって成形している。基部121Aaの材料には、例えばニトリル・ブタジエン・ゴム(NBR)が用いられている。リップ部121Abの材料には、例えばフッ素ゴムが用いられている。
【0035】
ダストリップ141は、金属環111の内周側に加硫接着された弾性体121Bによって生成されている。弾性体121Bが加硫接着されているのは、窪み112と反対側の外面111b側である。弾性体121Bは、その内周面を外筒21の外側に向けて斜めに延ばしており、斜めに延びた先端領域に環状のリップ端142を設けている。リップ端142は、図2に示す締め代でロッド32の外周面に密接している。
【0036】
ダストリップ141を生成する弾性体121Bは、金属環111の内周面にまで回り込み、この内周面を覆っている。この部分も、金属環111に加硫接着されている。
【0037】
外周リップ151は、金属環111の外周側に加硫接着された弾性体121Cによって生成されている。弾性体121Cが加硫接着されているのは、金属環111の内面111aの側である。弾性体121Cは、その外周面を外筒21の内部側に向けて斜めに延ばしており、斜めの延びた先端領域にリップ端152を設けている。リップ端152は、外筒21の内壁に密接している。
【0038】
このような構成において、ショックアブソーバ11は、図示しないサスペンションの動きに応じて外筒21内にロッド32が進退し、これに応じてピストン33が外筒21内をスライド移動する。このときロッド32が侵入した体積分のオイルOがフリーピストン41を押し下げ、ガス室43を圧縮する。サスペンションの縮み側及び伸び側の減衰力は、ピストン33に設けられたオリフィス34を通過するオイルOの速度によって制御される。
【0039】
サスペンションに伸び側の入力が加わったとき、ロッド32は外筒21からの引き出し方向に移動するため、オイル室42内では、追従するピストン33のスライド移動によってオイルシール101の側のオイルOが加圧される。これによってシールリップ131は高圧を受けて大きく変形する。このときシールリップ131の弾性体121Aのうちリップ部121Abは、金属環111の内周側の縁Eに接触している。リップ部121Abのうち金属環111の内面111aに接触する領域は、縁Eよりも内周側に延びているからである。このような構造上、シールリップ131が高圧を受けて大きく変形すると、縁Eに接触する部分に応力が集中しようとする。
【0040】
これに対して本実施の形態の弾性体121Aは、金属環111に固定されていないので変形の自由度が高い。このため弾性体121Aには、金属環111の内周側の縁Eに接触する領域にも、その他の領域にも応力を集中させにくくすることができる。
【0041】
本実施の形態のオイルシール101は、つぎのような作用効果を有している。
【0042】
金属環111の内面111aに接する弾性体121A(リップ部121Ab)の領域は、金属環111の内周側の縁Eよりも内周側に延びている。したがって金属環111の内周面に対するロッド32の衝突を防止することができる。
【0043】
規制部113は、金属環111の内面における突出する形状を有する金属環111の外周側の一部である。したがって金属環111を切削加工するだけで、別部品を設けることなく規制部113を得ることができる。
【0044】
弾性体121Aは、異なる材料によって生成された外周側の部材(基部121Aa)と内周側の部材(リップ部121Ab)とに分割されている。したがって基部121Aaとリップ部121Abとに最適な性格を与えることができる。本実施の形態では、リップ部121Abをフッ素ゴムで生成することで、耐熱性に優れたシールリップ131を得ることができる。耐熱性は、ロッド32に対して摺動を繰り返すシールリップ131の耐久性を維持するうえで、大きな優位性を持つ。その反面、フッ素ゴムは冷間時に柔軟性を低下させる。このためシールリップ131を構成する弾性体121全体をフッ素ゴムで製作すると、冷間時に弾力性が低下し、ロッド32との間の摺動抵抗を増大させる可能性がある。そこで本実施の形態では、耐寒性に優れたニトリル・ブタジエン・ゴム(NBR)によって基部121Aaを生成し、冷間時、シールリップ131を構成する弾性体121の柔軟性を維持し得るようにした。これによって季節を問わず、ロッド32との間の摺動抵抗の増大を回避することができる。
【0045】
規制部113は、外筒21の内壁に密接する外周リップ151を固着している。したがって外周リップ151の保持を規制部113に兼ねさせることができ、部品点数の削減を図ることができる。
【0046】
[オイルシールの別の実施の一形態]
ショックアブソーバ11に用いるオイルシール101の別の実施の一形態を図3に基づいて説明する。図2に示す実施の形態と同一部分と同一符号で示し、説明も省略する。
【0047】
本実施の形態が図2に示す実施の形態と相違する点は、金属環111及び規制部113である。図2に示す実施の形態の金属環111は、切削加工で窪み112を形成し、切削加工しなかった部分を規制部113としている。これに対して本実施の形態の金属環111は切削加工されておらず、板金としてプレス加工されたままの形態を残している。よって金属環111には窪み112も規制部113も設けられていない。
【0048】
本実施の形態の規制部113は、金属環111とは別体で設けられた金属製のリング201によって生成されている。リング201は、断面形状で見ると縦横比が1:2程度の平べったい形状を有している。このようなリング201は、金属環111の外周側の領域で、上面201aを金属環111の内面111aに面接触させて配置されている。金属環111の内面111aとリング201の上面201aとは、ともに平坦面である。
【0049】
互いに面接触する金属環111の内面111aとリング201の上面201aとの間には、嵌合部211が設けられている。嵌合部211は、金属環111の内面111aに設けられた凹部211aと、リング201の上面201aに設けられた凸部211bとの組み合わせである。凹部211aと凸部211bとは凹凸嵌合し、リング201の軸ずれを規制する。
【0050】
金属環111のみならず、リング201もプレス加工によって製造される。プレス加工に際しては、嵌合部211も同時に作製可能である。
【0051】
金属環111とは別体で設けられたリング201は、シールリップ131と共にロッドガイド23によって抜け止めされる。
【0052】
このような構成において、金属環111に切削加工を施すことなく規制部113を得ることができるため、金属環111の加工工程を減らすことができる。また金属環111とリング201とは共にプレス加工によって製造可能で、プレス加工によって嵌合部211まで作製することができる。よって製造の容易化を図ることができる。
【符号の説明】
【0053】
11 ショックアブソーバ
21 外筒
22 キャップ
23 ロッドガイド
31 ピストンロッド
32 ロッド
33 ピストン
34 オリフィス
41 フリーピストン
42 オイル室
43 ガス室
101 オイルシール
111 金属環
111a 内面
111b 外面
112 窪み
113 規制部
121 弾性体
121A 弾性体
121Aa 基部(外周側の部材)
121Ab リップ部(内周側の部材)
121B 弾性体
121C 弾性体
122a 傾斜面
122b 傾斜面
123 凹溝
124 凸条
131 シールリップ
132 リップ端
141 ダストリップ
142 リップ端
151 外周リップ
152 リップ端
201 リング
211 嵌合部
211a 凹部
211b 凸部
G ガス
O オイル
図1
図2
図3
図4