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特許7166950半導体製造装置および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】半導体製造装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/44 20060101AFI20221031BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20221031BHJP
   H01L 27/11582 20170101ALI20221031BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20221031BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20221031BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20221031BHJP
   C23C 16/14 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
C23C16/44 J
H01L21/285 C
H01L21/285 301
H01L27/11582
H01L29/78 371
C23C16/14
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019020713
(22)【出願日】2019-02-07
(65)【公開番号】P2020128567
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】名取 克晃
(72)【発明者】
【氏名】豊田 啓
(72)【発明者】
【氏名】北村 政幸
(72)【発明者】
【氏名】別府 貴幸
【審査官】篠原 法子
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-094487(JP,A)
【文献】特開2016-225434(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0303620(US,A1)
【文献】特開2019-031715(JP,A)
【文献】特開平04-311570(JP,A)
【文献】特開平03-062520(JP,A)
【文献】特開昭60-017077(JP,A)
【文献】特開2000-260749(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0087633(US,A1)
【文献】特開平06-177085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00 -16/56
H01L 21/28 -21/288
H01L 21/44 -21/445
H01L 29/40 -29/51
H01L 21/302
H01L 21/461
H01L 21/205
H01L 21/31
H01L 21/365
H01L 21/469
H01L 21/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収容部内に収容し、
モリブデンを含む第1ガスを前記収容部内に供給して、前記基板に、モリブデンを含む膜を形成し、
前記膜が形成された前記基板が前記収容部から搬出された後に、塩素を含む第2ガスと、H ガスまたはO ガス(Hは水素を表し、Oは酸素を表す)と、を含む混合ガスを前記収容部内に供給して、前記収容部内の表面に付着したモリブデンを除去する、
ことを含む半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第2ガスの蒸気圧は、150℃で10torr以上である、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2ガスは、ClガスまたはHClガス(Clは塩素を表し、Hは水素を表す)を含む、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記混合ガス中の前記Oガスの割合は、50%以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記混合ガス中の前記Hガスの割合は、1%以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記収容部内に前記第2ガスが供給される際に、前記収容部を構成する部材、前記収容部内の空間、前記収容部内の部品、および前記収容部からガスを排出する配管の少なくともいずれかを50℃以上に加熱することをさらに含む、請求項1からのいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記基板上に複数の第1層と複数の第2層とを交互に形成し、
前記第1層を除去して前記第2層間に複数のホールを形成する、
ことを含み、
前記膜は、前記複数のホール内に形成される、請求項1からのいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
基板を収容する収容部と、
モリブデンを含む第1ガスを前記収容部内に供給して、前記基板に、モリブデンを含む膜を形成する第1ガス供給部と、
前記膜が形成された前記基板が前記収容部から搬出された後に、塩素を含む第2ガスと、H ガスまたはO ガス(Hは水素を表し、Oは酸素を表す)と、を含む混合ガスを前記収容部内に供給して、前記収容部内の表面に付着したモリブデンを除去する第2ガス供給部と、
を備える半導体製造装置。
【請求項9】
前記収容部を構成する部材、前記収容部内の空間、前記収容部内の部品、および前記収容部からガスを排出する配管の少なくともいずれかを加熱する加熱器と、
前記収容部内に前記第2ガスが供給される際に、前記部材、前記空間、前記部品、および前記配管の少なくともいずれかを50℃以上に加熱するよう前記加熱器を制御する制御部と、
をさらに備える請求項に記載の半導体製造装置。
【請求項10】
前記第2ガス供給部は、前記第2ガスの流量を制御する流量制御器を備える、請求項またはに記載の半導体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体製造装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モリブデンを用いて基板上に金属層を形成する場合に、半導体製造装置の内壁や半導体製造装置内の部品などにモリブデンが付着することが問題となる。このようなモリブデンは、基板上にパーティクルが付着する原因となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Noboru Yoshikawa and Atsushi Kikuchi, “Chemical Vapour Deposition Rate of Mo Film in Horizontal Tubular Reactor”, Materials Transactions, JIM, Vol.38, No.4(1997), pp.292-298
【文献】Korolev et al., “REDUCTION OF MOLYBDENUM HEXAFLUORIDE ON THE INTERNAL SURFACE OF TUBES”, Izvestiya Akademii Nauk SSSR, Metally; ISSN 0568-0503; no.6; p.16-22
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モリブデンの付着による問題を抑制することが可能な半導体製造装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態によれば、半導体装置の製造方法は、基板を収容部内に収容することを含む。さらに、前記方法は、モリブデンを含む第1ガスを前記収容部内に供給して、前記基板に、モリブデンを含む膜を形成することを含む。さらに、前記方法は、前記膜が形成された前記基板が前記収容部から搬出された後に、塩素を含む第2ガスを前記収容部内に供給して、前記収容部内の表面に付着したモリブデンを除去することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の半導体製造装置の構造を模式的に示す断面図である。
図2】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(1/10)である。
図3】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(2/10)である。
図4】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(3/10)である。
図5】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(4/10)である。
図6】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(5/10)である。
図7】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(6/10)である。
図8】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(7/10)である。
図9】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(8/10)である。
図10】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(9/10)である。
図11】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(10/10)である。
図12】第1実施形態の半導体装置の製造方法を説明するためのグラフである。
図13】第1実施形態の半導体装置の製造方法を説明するための別のグラフである。
図14】第2実施形態の半導体製造装置の構造を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1から図14において、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の半導体製造装置の構造を模式的に示す断面図である。図1の半導体製造装置は例えば、枚葉式のCVD(Chemical Vapor Deposition)装置である。
【0009】
図1の半導体製造装置は、CVDチャンバ11と、ウェハステージ12と、シャワーヘッド13と、ガス導入配管14と、複数のガス供給源15と、複数のMFC(Mass Flow Controller)16と、RF(Radio Frequency)電源17と、ガス排出配管18と、制御部19とを備えている。CVDチャンバ11は、収容部の例である。
【0010】
CVDチャンバ11、ウェハステージ12、およびシャワーヘッド13はそれぞれ、加熱器11a、12a、13aを含んでいる。複数のガス供給源15は、成膜ガス用のガス供給源15a、15bと、清掃ガス用のガス供給源15c、15dとを含んでいる。複数のMFC16は、成膜ガス用のMFC16a、16bと、清掃ガス用のMFC16c、16dとを含んでいる。これらのガス供給源15とMFC16のうち、ガス供給源15aとMFC16aは第1ガス供給部の例であり、ガス供給源15cとMFC16cは第2ガス供給部の例である。
【0011】
CVDチャンバ11は、ウェハ(基板)Wを収容する。ウェハステージ12は、CVDチャンバ11内のウェハWを支持し回転させる。加熱器11aは、CVDチャンバ11の内壁や、CVDチャンバ11内の空間を加熱するために使用される。CVDチャンバ11の内壁は、収容部を構成する部材の例である。加熱器11aはさらに、ガス排出配管18を加熱するよう機能してもよい。加熱器12aは、ウェハステージ12そのものや、ウェハステージ12上のウェハWを加熱するために使用される。ウェハステージ12は、収容部内の部品の例である。
【0012】
図1は、ウェハWの表面に平行で互いに垂直なX方向およびY方向と、ウェハWの表面に垂直なZ方向とを示している。本明細書では、+Z方向を上方向として取り扱い、-Z方向を下方向として取り扱う。-Z方向は、重力方向と一致していてもよいし、重力方向とは一致していなくてもよい。
【0013】
シャワーヘッド13は、CVDチャンバ11内に設けられており、ガス導入配管14からのガスをCVDチャンバ11内に供給する。ウェハステージ12とシャワーヘッド13は、CVDチャンバ11内のガスに電圧を印加するための下部電極と上部電極としても機能する。加熱器13aは、シャワーヘッド13を加熱するために使用される。シャワーヘッド13は、収容部内の部品の例である。
【0014】
ガス供給源15a、15bは、CVDチャンバ11内にガス導入配管14を介して成膜ガスを供給する。具体的には、ガス供給源15aは、モリブデンを含む第1ガス、例えばMoFガス、MoClガス、またはMo(CO)ガスを供給する(Mo、F、Cl、C、Oはそれぞれモリブデン、塩素、フッ素、炭素、酸素を表す)。また、ガス供給源15bは、その他のガス、例えばHガスを供給する(Hは水素を表す)。ガス供給源15a、15bの各々は例えば、ガスタンクと、ガスタンクに関連する機器により構成されている。
【0015】
ガス供給源15a、15bがCVDチャンバ11内にMoFガスとHガスとを供給すると、MoFガスとHガスとが反応して、ウェハW上に金属層としてMo膜が形成される。この際、Mo膜が、CVDチャンバ11の内壁の表面や、CVDチャンバ11内の部品(例えばウェハステージ12やシャワーヘッド13)の表面にも付着してしまう。さらには、これらのガスの残留物や反応生成物をCVDチャンバ11からガス排出配管18に排出すると、Mo膜がガス排出配管18の表面にも付着してしまう。
【0016】
ガス供給源15c、15dは、CVDチャンバ11内にガス導入配管14を介して清掃ガスを供給する。具体的には、ガス供給源15cは、塩素を含む第2ガス、例えばClガスを供給する。第2ガスの蒸気圧は、150℃で10torr以上であることが望ましい。第2ガスは、HClガスとしてもよい。また、ガス供給源15dは、その他のガス、例えばHガスおよびOガスの少なくともいずれかを供給する。ガス供給源15c、15dの各々は例えば、ガスタンクと、ガスタンクに関連する機器により構成されている。なお、ガス供給源15bとガス供給源15dは、Hガス源として別々のガス源を備えていてもよいし、Hガス源として同じガス源を備えていてもよい。
【0017】
ガス供給源15c、15dは、Mo膜が形成されたウェハWがCVDチャンバ11から搬出された後に、Clガスと、HガスおよびOガスの少なくともいずれかとを含む混合ガスをCVDチャンバ11内に供給する。その結果、CVDチャンバ11の内壁等に付着したMo膜がClガスと反応してモリブデン塩化物となり、CVDチャンバ11の内壁等からMo膜が除去される。このようにして、本実施形態の半導体製造装置の清掃が行われる。なお、これらのガスの残留物や反応生成物をCVDチャンバ11からガス排出配管18に排出する際に、ガス排出配管18の表面からもMo膜が除去される。
【0018】
なお、Clガスに添加されたHガスは、Mo膜とClガスとの反応を促進させることができる。上記の混合ガス中のHガスの割合(分圧比)は、1%以下とすることが望ましい。また、Clガスに添加されたOガスは、この反応の反応生成物の蒸気圧を上げることができる。上記の混合ガス中のOガスの割合(分圧比)は、50%以下とすることが望ましい。これらのHガスおよびOガスの詳細については後述する。
【0019】
MFC16a~16dはそれぞれ、ガス供給源15a~15dからのガスの流量を制御する。これにより、これらのガスの流量や、これらのガスのCVDチャンバ11内での圧力を制御することが可能となる。MFC16a~16dはそれぞれ、ガス供給源15a~15dからのガスの種類に適した構成とすることが望ましい。例えば、MFC16cはガス供給源15cからClガスを受け取るため、MFC16cやその付近の配管は、Clガスに耐性のある素材で構成することが望ましい。
【0020】
RF電源17は、下部電極(ウェハステージ12)と上部電極(シャワーヘッド13)との間に高周波電力を印加する。これにより、CVDチャンバ11内のガスに電圧が印加される。例えば、半導体製造装置の清掃時に上記の混合ガスに電圧が印加されると、Mo膜とClガスとの反応が促進される。
【0021】
ガス排出配管18は、CVDチャンバ11からガスを排出するために使用される。上述のように、ガス排出配管18は例えば、ウェハW上にMo膜を形成した後や、半導体製造装置を清掃した後に使用される。
【0022】
制御部19は、半導体製造装置の種々の動作を制御する。制御部19の例は、プロセッサ、電気回路、PC(Personal Computer)などである。制御部19は例えば、CVDチャンバ11へのウェハWの搬入、CVDチャンバ11からのウェハWの搬出、ウェハステージ12の昇降や回転、ガス供給源15からのガス供給、MFC16の動作、RF電源17の動作などを制御する。
【0023】
制御部19はさらに、半導体製造装置の清掃時に加熱器11a、12a、13aの動作を制御する。具体的には、制御部19は、CVDチャンバ11の内壁や、CVDチャンバ11内の空間や、ウェハステージ12、シャワーヘッド13、およびガス排出配管18を50℃以上に加熱するよう加熱器11a、12a、13aを制御する。これにより、モリブデン塩化物が再びCVDチャンバ11の内壁等に付着することを抑制することが可能となる。これらの加熱の詳細については後述する。
【0024】
図2から図11は、第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。本実施形態の半導体装置は例えば、3次元半導体メモリであり、図1の半導体製造装置を用いて製造される。
【0025】
まず、基板100内に、選択トランジスタに接続される拡散層101を形成し、基板100上に層間絶縁膜102を形成し、層間絶縁膜102上に複数の犠牲層103と複数の絶縁層104とを交互に積層する(図2)。基板100は、例えばSi(シリコン)基板等の半導体基板であり、上述のウェハWに相当する。層間絶縁膜102は、例えばSiO膜である。犠牲層103は例えば、CVDにより形成されたSiN膜であり、30nmの膜厚を有する(Nは窒素を表す)。犠牲層103の層数は、例えば24層である。絶縁層104は例えば、CVDにより形成されたSiO膜であり、30nmの膜厚を有する。絶縁層104の層数は、例えば24層である。犠牲層103および絶縁層104は、メモリセルを形成するために使用される。犠牲層103および絶縁層104はそれぞれ、第1層および第2層の例である。
【0026】
次に、犠牲層103および絶縁層104内にメモリホール105を形成する(図3)。メモリホール105は例えば、80nmの直径を有し、リソグラフィにより形成される。
【0027】
次に、メモリホール105内の犠牲層103および絶縁層104の表面に、ブロック絶縁膜106、電荷蓄積層107、トンネル絶縁膜108、チャネル半導体層109、および側壁絶縁膜110を順に形成する(図4)。ブロック絶縁膜106は例えば、15nmの膜厚を有するAl膜(アルミニウム酸化膜)であり、TMA(トリメチルアルミニウム)およびOを用いて形成される。電荷蓄積層107は例えば、5nmの膜厚を有するSiN膜であり、3DMAS(Tris(dimethylamido)silane)およびNHを用いて形成される。トンネル絶縁膜108は例えば、8nmの膜厚を有するSiO膜であり、3DMASおよびOを用いて形成される。ブロック絶縁膜106、電荷蓄積層107、およびトンネル絶縁膜108は、例えばALD(Atomic Layer Deposition)により形成される。チャネル半導体層109は例えば、5nmの膜厚を有するポリシリコン層である。側壁絶縁膜110は例えば、5nmの膜厚を有するSiO膜である。
【0028】
次に、側壁絶縁膜110をマスクとするRIE(Reactive Ion Etching)により、側壁絶縁膜110、チャネル半導体層109、トンネル絶縁膜108、電荷蓄積層107、ブロック絶縁膜106、および層間絶縁膜102を貫通するコンタクトホール111を形成する(図5)。その結果、コンタクトホール111内に拡散層101が露出する。
【0029】
次に、選択的RIEにより側壁絶縁膜110を除去した後、メモリホール105およびコンタクトホール111内のチャネル半導体層109、トンネル絶縁膜108、電荷蓄積層107、ブロック絶縁膜106、層間絶縁膜102、および拡散層101の表面に、さらなる半導体層112を形成する(図6)。半導体層112は例えば、5nmの膜厚を有するポリシリコン層であり、コンタクトホール111を完全に埋め込むように形成される。コンタクトホール111内の半導体層112は、コンタクトプラグとして機能し、メモリホール105内の半導体層112は、チャネル半導体層109と共にチャネルとして機能する。
【0030】
次に、メモリホール105内の半導体層112の表面に、コア絶縁膜113を形成する(図7)。コア絶縁膜113は例えば、SiO膜であり、メモリホール105を完全に埋め込むように形成される。
【0031】
次に、リソグラフィおよびRIEにより、犠牲層103および絶縁層104内にスリット114を形成する(図8)。
【0032】
次に、150℃に加熱したリン酸を用いたウェットエッチングにより、スリット114から犠牲層103を除去する(図9)。その結果、絶縁層104間に複数のホール115が形成される。
【0033】
次に、スリット114およびホール115内のブロック絶縁膜106、絶縁層104、および層間絶縁膜102の表面に、バリアメタル層116と電極材層117とを順に形成する(図10)。バリアメタル層116は例えば、Ti(チタン)またはTa(タンタル)を含む金属層である。電極材層117は例えば、Mo膜であり、図1のCVDチャンバ11内でガス供給源15a、15bからのMoFガスとHガスとを用いて形成される。電極材層117は例えば、450℃で、30nmの膜厚を有するように形成される。
【0034】
次に、スリット114内の余剰のバリアメタル層116および電極材層117を除去した後、スリット114内に絶縁膜118を形成する(図11)。絶縁膜118は例えば、SiO膜であり、スリット114を完全に埋め込むように形成される。このようにして、MONOS構造(電極材層117およびバリアメタル層116、ブロック絶縁膜106、電荷蓄積層107、トンネル絶縁膜108、チャネル半導体層109および半導体層112)の複数のメモリセルが形成される。
【0035】
その後、基板100上に種々の配線層や層間絶縁膜が形成される。このようにして、本実施形態の半導体装置が製造される。
【0036】
なお、Hガスを用いて電極材層117を形成する際には、Hガスと同時にCガスまたはSiHガスを供給してもよい。また、電極材層117を形成する際には、MoFガスの代わりにMoClガスまたはMo(CO)ガスを供給してもよい。
【0037】
以下、本実施形態の電極材層117の詳細を説明する。
【0038】
3次元半導体メモリの集積度を向上させるためには、例えば電極材層117を薄膜化する必要がある。しかしながら、電極材層117を薄膜化すると、電極材層117の抵抗が高くなることが問題となる。
【0039】
そこで、本実施形態では、電極材層117をMo膜としている。これにより、電極材層117を薄膜化しても電極材層117の抵抗を低く抑えることが可能となる。しかしながら、電極材層117をMo膜とすると、電極材層117を形成する際にCVDチャンバ11の内壁等にMo膜が付着しやすい。この付着したMo膜がその後に剥がれると、基板100上にパーティクルが付着する原因となる。
【0040】
そこで、本実施形態では、基板100上に電極材層117を形成して基板100をCVDチャンバ11から取り出した後に、半導体製造装置の清掃を上述の方法で行う。以下、半導体製造装置の清掃の詳細を説明する。
【0041】
本実施形態の半導体製造装置を清掃する際には、ガス供給源15cからCVDチャンバ11にClガスが供給される。本実施形態では、付着したMo膜とClガスとの反応を促進するために、RF電源17がシャワーヘッド13に100~1000Wの高周波電力を印加する。その結果、CVDチャンバ11内では、付着したMo膜がClガスと反応してモリブデン塩化物のガスとなる。
【0042】
本実施形態では、モリブデン塩化物がCVDチャンバ11の内壁等に再付着することを防止するために、半導体製造装置の清掃中において、CVDチャンバ11の内壁や、CVDチャンバ11内の空間や、ウェハステージ12、シャワーヘッド13、およびガス排出配管18を50℃以上に加熱する。これにより、モリブデン塩化物の蒸気圧が上がり、CVDチャンバ11の内壁等に再付着しにくくなる。
【0043】
例えば、CVDチャンバ11の内壁や、CVDチャンバ11内の空間は、加熱器11aにより50℃~100℃に加熱される。また、ウェハステージ12は、加熱器12aにより300℃~500℃に加熱され、シャワーヘッド13は、加熱器13aにより50℃~100℃に加熱され、ガス排出配管18は、加熱器11aにより50℃~100℃に加熱される。加熱器11a、12a、13aの動作は、制御部19により制御される。なお、基板100上に電極材層117を形成する際の基板100の温度は、加熱器12aにより例えば約600℃に設定される。
【0044】
本実施形態では、付着したMo膜を除去するためにClガス(第2ガス)が使用される。Clガスなどの、塩素を含むガスには、一般に蒸気圧が高いという利点がある。これにより、Mo膜を除去しやすいという利点や、除去されたMoがCVDチャンバ11の内壁等に付着しにくいという利点を享受することが可能となる。本実施形態では、塩素を含むガスとして150℃で10torr以上の蒸気圧を有するガスを使用することが望ましい。本実施形態では、Clガスの流量は50sccmに調整され、CVDチャンバ11内のClガスの圧力は1torrに調整される。なお、本実施形態の第2ガスは塩素を含んでいるが、本実施形態の第1ガスは、MoClガスのように塩素を含んでいてもよいし、MoFガスやMo(CO)ガスのように塩素を含んでいなくてもよい。
【0045】
本実施形態の半導体製造装置を清掃する際には、ClガスとHガスとを含む混合ガスをCVDチャンバ11に供給してもよい。これにより、Mo膜とClガスとの反応を促進させることが可能となる。ただし、Hガスが多すぎると、HガスとMo膜とが反応することや、HガスとOガスとが反応することが問題となり得るため、上記の混合ガス中のHガスの割合は1%以下とすることが望ましい。
【0046】
また、本実施形態の半導体製造装置を清掃する際には、ClガスとOガスとを含む混合ガスをCVDチャンバ11に供給してもよい。これにより、Mo膜とClガスとの反応の反応生成物の蒸気圧を上げることが可能となる。ただし、Hガスが多すぎると、モリブデン酸化物が生成されることが問題となり得るため、上記の混合ガス中のOガスの割合は50%以下とすることが望ましい。
【0047】
なお、本実施形態の半導体製造装置の清掃は、1枚のウェハWを処理するごとに行ってもよいし、複数枚のウェハWを処理するごとに行ってもよい。
【0048】
図12は、第1実施形態の半導体装置の製造方法を説明するためのグラフである。
【0049】
図12は、MoClの蒸気圧曲線を示している。MoClの蒸気圧は、50℃付近で約5torrとなり、80℃付近で約10torrとなることが分かる。
【0050】
上述のように、モリブデン塩化物のガスは、CVDチャンバ11の内壁等に再付着する可能性がある。このような再付着を効果的に防止するためには、モリブデン塩化物のガスの蒸気圧を2~3torrよりも高くすることが望ましく、例えば、5torr以上にすることが望ましい。
【0051】
ここで、モリブデン塩化物がMoClの場合には、モリブデン塩化物の温度を50℃以上にすれば、モリブデン塩化物の蒸気圧が5torr以上となる。そして、他のモリブデン塩化物も、MoClと近い蒸気圧を有する。よって、本実施形態の清掃中には、CVDチャンバ11の内壁等の温度を50℃以上に設定する。
【0052】
図13は、第1実施形態の半導体装置の製造方法を説明するための別のグラフである。
【0053】
図13は、種々のモリブデン塩化物、モリブデン酸化物、モリブデン酸塩化物の蒸気圧の温度依存性を示している。図13によれば、MoOClの蒸気圧は高いが、MoOの蒸気圧は低いことが分かる。
【0054】
上述のように、本実施形態の半導体製造装置を清掃する際には、ClガスとOガスとを含む混合ガスをCVDチャンバ11に供給してもよい。この際、Oの供給量が少ないとMoOCl等が生成され、Oの供給量が多いとMoO等が生成されると考えられる。前者の場合には、MoOClの蒸気圧が高いことから、Moの再付着は起こりにくい。一方、後者の場合には、MoOの蒸気圧が低いことから、Moの再付着が起こりやすい。そのため、上記の混合ガス中のOガスの割合は、高すぎないことが望ましく、例えば50%以下とすることが望ましい。
【0055】
以上のように、本実施形態の半導体製造装置は、ウェハW上にMo膜を形成し、その後に半導体製造装置内を、塩素を含むガスを用いて清掃する。これにより、半導体装置の金属層を低抵抗のMo膜としつつ、ウェハW上にMo膜に起因するパーティクルが付着することを抑制することが可能となる。
【0056】
ここで、本実施形態の清掃のメリットをより詳細に説明する。
【0057】
本実施形態では、基板100上に複数の絶縁層104と交互に積層される複数の電極材層117を、Mo膜とする。これにより、半導体装置の集積度を向上させるために電極材層117を薄膜化しても、電極材層117の抵抗を低く抑えることが可能となる。しかしながら、半導体製造装置に付着したMo膜を放置すると、基板100上にパーティクルが付着して半導体装置の歩留まりを低下させてしまう。
【0058】
そこで、本実施形態では、半導体製造装置に付着したMo膜を除去する清掃を行う。この際、Mo膜と反応して生成されるガス(反応生成ガス)は、Moの再付着を抑制するために、高い蒸気圧を有することが望ましい。
【0059】
また、この反応生成ガスは、Mo膜の除去後も一部がCVDチャンバ11内に残る。そのため、次の基板100上にMo膜を形成する際に、反応生成ガスに起因する不純物がこの基板100に付着する可能性がある。そのため、反応生成ガスは、その後に基板100に付着しても基板100への悪影響が小さい元素で構成されていることが望ましい。
【0060】
そこで、本実施形態では、Mo膜の除去に、ClガスやHClガスのような塩素含有ガスを使用する。塩素は、MoClのような蒸気圧の高い反応生成ガスを形成するためMoの再付着を抑制することができるし、600℃以下では一般にメモリセルを大きく劣化させることはないため上記の不純物の悪影響も回避できる。
【0061】
また、モリブデンと塩素との化合物は一般に、室温では十分な蒸気圧を有しないが、50℃以上では気体として十分に蒸発する。よって、Mo膜の除去に塩素含有ガスを使用する場合には、半導体製造装置を50℃以上に加熱することにより、付着したMo膜を効果的に除去することや、Moの再付着を効果的に防止することが可能となる。これらの効果は、塩素含有ガスにOガスやHガスを添加することでさらに高めることができる。
【0062】
以上のように、本実施形態によれば、半導体製造装置にモリブデンが付着することによる問題を効果的に抑制することが可能となる。
【0063】
(第2実施形態)
図14は、第2実施形態の半導体製造装置の構造を模式的に示す断面図である。図14の半導体製造装置は例えば、バッチ式のCVD装置である。
【0064】
図14の半導体製造装置は、CVD炉21と、ウェハ支持冶具22と、ガス導入配管23と、複数のガス供給源24と、複数のMFC25と、ガス排出配管26と、制御部27とを備えている。CVD炉21は、収容部の例である。
【0065】
CVD炉21は、加熱器21aを含んでいる。複数のガス供給源24は、成膜ガス用のガス供給源24a、24bと、清掃ガス用のガス供給源24c、24dとを含み、複数のMFC25は、成膜ガス用のMFC25a、25bと、清掃ガス用のMFC25c、25dとを含んでいる。これらのガス供給源24とMFC25のうち、ガス供給源24aとMFC25aは第1ガス供給部の例であり、ガス供給源24cとMFC25cは第2ガス供給部の例である。
【0066】
CVD炉21は、複数枚のウェハ(基板)Wを収容する。ウェハ支持冶具22は、CVD炉21内のこれらのウェハWを支持し回転させる。加熱器21aは、CVD炉21の内壁や、CVD炉21内の空間や、これらのウェハWを加熱するために使用される。CVD炉21の内壁は、収容部を構成する部材の例である。加熱器21aはさらに、ガス排出配管26を加熱するよう機能してもよい。
【0067】
ガス導入配管23、ガス供給源24、MFC25、ガス排出配管26、および制御部27の構成や機能はそれぞれ、図1のガス導入配管14、ガス供給源15、MFC16、ガス排出配管18、および制御部19の構成や機能と同様である。制御部27は例えば、CVD炉21へのウェハWの搬入、CVD炉21からのウェハWの搬出、ウェハ支持冶具22の回転、ガス供給源24からのガス供給、MFC25の動作などを制御する。
【0068】
制御部27はさらに、半導体製造装置の清掃時に加熱器21aの動作を制御する。具体的には、制御部27は、CVD炉21内の空間を300℃~500℃に加熱するよう加熱器21aを制御する。これにより、モリブデン塩化物が再びCVD炉21の内壁等に付着することを抑制することが可能となる。
【0069】
ガス供給源24a~24dから供給されるガスの種類は、図1のガス供給源15a~15dから供給されるガスの種類と同様である。ガス供給源24cは、例えばClガスまたはHClガスを供給する。ガス供給源24dは、例えばHガスおよびOガスの少なくともいずれかを供給する。ガス供給源24a~24dからのガスはそれぞれ、MFC25a~25dを介してCVD炉21に供給される。本実施形態の清掃時には例えば、HClガスの流量が200sccmに調整され、CVD炉21内のHClガスの圧力が20torrに調整される。図2図11に示す半導体装置の製造方法は、本実施形態の半導体製造装置を用いて実施してもよい。
【0070】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、半導体製造装置にモリブデンが付着することによる問題を効果的に抑制することが可能となる。
【0071】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0072】
11:CVDチャンバ、11a:加熱器、12:ウェハステージ、
12a:加熱器、13:シャワーヘッド、13a:加熱器、14:ガス導入配管、
15、15a、15b、15c、15d:ガス供給源、
16、16a、16b、16c、16d:MFC、
17:RF電源、18:ガス排出配管、19:制御部、
21:CVD炉、21a:加熱器、22:ウェハ支持冶具、23:ガス導入配管、
24、24a、24b、24c、24d:ガス供給源、
25、25a、25b、25c、25d:MFC、
26:ガス排出配管、27:制御部、
100:基板、101:拡散層、102:層間絶縁膜、103:犠牲層、
104:絶縁層、105:メモリホール、106:ブロック絶縁膜、
107:電荷蓄積層、108:トンネル絶縁膜、109:チャネル半導体層、
110:側壁絶縁膜、111:コンタクトホール、112:半導体層、
113:コア絶縁膜、114:スリット、115:ホール、
116:バリアメタル層、117:電極材層、118:絶縁膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14