(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】パワーコンディショナおよび蓄電システム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/3828 20190101AFI20221031BHJP
G01R 31/371 20190101ALI20221031BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20221031BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221031BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20221031BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
G01R31/3828
G01R31/371
H01M10/48 P
H02J7/00 A
H02J7/00 M
H02J7/10 K
H02J7/35 B
H02J7/35 K
(21)【出願番号】P 2019031585
(22)【出願日】2019-02-25
【審査請求日】2021-08-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】前川 敦
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/147614(WO,A1)
【文献】特開2004-361312(JP,A)
【文献】特開2018-011461(JP,A)
【文献】国際公開第2016/147311(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/132514(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/050014(WO,A1)
【文献】特開2004-191150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 31/36-31/396、
H01M 10/42-10/48、
H02J 7/00-7/12、
7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池ユニットと、
前記蓄電池ユニットと接続され、前記蓄電池ユニットに対して充放電制御を行うとともに、前記蓄電池ユニットのSOC情報を表示させる機能を有するパワーコンディショナと、
を備える蓄電システムであって、
前記パワーコンディショナから送信された前記SOC情報の更新命令信号に従って、前記蓄電池ユニットは電流積算値に基づいて推定されたSOC推定値を開放電圧値に基づいて補正したSOC情報に更新し、
前記パワーコンディショナは
、更新された前記SOC情報を表示
させ、
更新命令送信時刻を設定可能なタイマーと、
前記タイマーで設定された前記更新命令送信時刻になると、前記更新命令信号を前記蓄電池ユニットに送信する送信部と、
前記更新命令信号に従って更新されたSOC情報を前記蓄電池ユニットから受信する受信部と、
を有し、
前記更新命令送信時刻として前記蓄電池ユニットに対する充電開始時刻が前記タイマーにより設定される蓄電システム。
【請求項2】
前記送信部が、前記蓄電池ユニットに前記更新命令信号を送信した後、前記蓄電池ユニットの充電中に放電開始時刻になると、前記蓄電池ユニットに前記SOC情報の更新を取り消す更新命令取消信号を送信する請求項1に記載の蓄電システム。
【請求項3】
前記パワーコンディショナは、
外部から前記SOC情報の更新命令信号を受信可能な受信部と、
前記受信部が外部から前記更新命令信号を受信すると、当該更新命令信号を前記蓄電池ユニットに送信する送信部と、
を備え、
前記受信部は、前記更新命令信号に従って更新されたSOC情報を前記蓄電池ユニットから受信する請求項1に記載の蓄電システム。
【請求項4】
前記受信部は、前記蓄電池ユニットに対する充電開始命令信号を前記更新命令信号として受信する請求項3に記載の蓄電システム。
【請求項5】
前記送信部が、前記蓄電池ユニットに前記更新命令信号を送信した後、前記蓄電池ユニットの充電中に前記受信部が、外部から放電開始命令信号を受信したときに、前記蓄電池ユニットに前記SOC情報の更新を取り消す更新命令取消信号を送信する請求項4に記載の蓄電システム。
【請求項6】
蓄電池ユニットと接続され、前記蓄電池ユニットに対して充放電制御を行うとともに、前記蓄電池ユニットのSOC情報を表示させる機能を有するパワーコンディショナであって、
前記SOC情報の更新命令信号を前記蓄電池ユニットに送信することによって、前記蓄電池ユニットにおいて電流積算値に基づいて推定されたSOC推定値を開放電圧値に基づいて補正したSOC情報に更新させるとともに、更新された前記SOC情報を表示させ、
更新命令送信時刻を設定可能なタイマーと、
前記タイマーで設定された前記更新命令送信時刻になると、前記更新命令信号を前記蓄電池ユニットに送信する送信部と、
前記更新命令信号に従って更新されたSOC情報を前記蓄電池ユニットから受信する受信部と、
を有し、
前記更新命令送信時刻として前記蓄電池ユニットに対する充電開始時刻が前記タイマーにより設定されることを特徴とするパワーコンディショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーコンディショナおよび蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光等の再生可能エネルギーを利用した太陽電池等の発電装置と蓄電池ユニットとを備えた蓄電システムが知られている。このような蓄電システムにおいては、蓄電池ユニットとして、大容量、低コストのリチウムイオン電池等の二次電池が用いられている。
【0003】
上記の蓄電システムにおいては、蓄電池ユニットの充電状態を管理する必要がある。ここで、蓄電池ユニットの充電状態の管理は、通常、蓄電池ユニットに流出入する電流の測定積算値に基づいて、SOC(State of Charge)を推定することにより実行される。
【0004】
ところで、蓄電池ユニットは、例えば、その内部での化学反応等により、SOCが低下する。しかしながら、この現象は、蓄電池ユニットの内部反応であって外部への電流の流出入を伴わないため、電流積算値には反映されない。
その結果、内部での化学反応が進むにつれて電流積算値ベースのSOC推定値と実際のSOCとの乖離が大きくなる。そのため、蓄電池ユニットの開放端電圧値(OCV)に基づいてSOCを推定し、これに基づいて電流積算値ベースのSOC推定値を補正する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、ユーザが設定した蓄電池ユニットの残蓄電量(設定残量値)に基づき蓄電池ユニットの放電を停止させる蓄電システムにおいては、蓄電池ユニット側で蓄電池ユニットの電流積算値ベースのSOC推定値を蓄電池ユニットの開放端電圧値(OCV)に基づき補正したSOC補正値(以下、SOC情報と記載する)をパワーコンディショナ側でSOC表示値として表示する。蓄電池ユニットは、特定のタイミングで、このSOC情報を更新する更新処理(以下、SOC情報更新処理と記載する)を行っている。
そのため、充放電を行わない待機状態に移行したにもかかわらず、SOC情報更新処理が実行され、設定残量値に対してSOC表示値が外れる場合があった。そこで、SOC情報更新処理によって、SOC表示値が設定残量値以上になる場合には、SOC表示値の更新を行わない対策がとられることがあった。
このように対応しても、実際の蓄電池ユニットの蓄電量がSOC表示値よりも大きいため、電源停止等の不測の事態を回避できるからである。
【0007】
一方で、SOC情報更新処理によって、SOC表示値が設定残量値を下回る場合には、そのままSOC表示値の更新を行っていた。これは、蓄電池ユニットの蓄電量が自然放電により減少するため、SOC表示値の更新を実行して表示値が低下しても問題が生じないためである。
【0008】
しかしながら、SOC表示値が設定残量値以上になって、SOC表示値の更新を行わなかった場合、蓄電池ユニットの蓄電池電圧とSOCとの間に乖離が生じ、その乖離が蓄積されてしまう。その結果、蓄電池電圧が充電電圧と等しくなると、充電できない状態が発生する等の不具合が生じることがあった。
【0009】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、SOC情報の表示に伴う不具合の発生を防止することができるパワーコンディショナおよび蓄電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
形態1;本発明の蓄電システムは、蓄電池ユニットと、蓄電池ユニットと接続され、前記蓄電池ユニットに対して充放電制御を行うとともに、前記蓄電池ユニットのSOC情報を表示させる機能を有するパワーコンディショナとを備える蓄電システムであって、前記パワーコンディショナから送信された前記SOC情報の更新命令信号に従って、前記蓄電池ユニットは前記電流積算値に基づいて推定されたSOC推定値を開放電圧値に基づいて補正したSOC情報に更新し、前記パワーコンディショナは更新された前記SOC情報を表示させることを特徴としている。
本発明の構成によれば、パワーコンディショナから送信された更新命令信号により、蓄電池ユニットにおいて電流積算値に基づいて推定されたSOC推定値が開放電圧値に基づいて補正したSOC情報に更新され、更新されたSOC情報が表示される。
つまり、本発明によれば、蓄電池ユニットが更新を行う特定のタイミングによらず、パワーコンディショナからの更新命令によりSOC情報の更新処理を実行することができる。これにより、更新によりSOC表示値が設定残量値以上になるようなタイミングを避けて更新を行うことも可能となり、従前のSOC表示値の更新を行わないことに伴う不具合の発生を回避することができる。
【0011】
形態2;ここで、パワーコンディショナは、更新命令送信時刻を設定可能なタイマーと、タイマーで設定された更新命令送信時刻になると、更新命令信号を前記蓄電池ユニットに送信する送信部と、更新命令信号に従って更新されたSOC情報を前記蓄電池ユニットから受信する受信部とを有してもよい。
この構成によれば、タイマーによって更新命令送信時刻が設定可能となっているので、更新命令送信時刻になると、更新命令信号を蓄電池ユニットに送信し、更新されたSOC情報を蓄電池ユニットから受信することができる。
【0012】
形態3;更新命令送信時刻として蓄電池ユニットに対する充電開始時刻をタイマーにより設定することが好ましい。
蓄電池ユニットの放電終了後は、蓄電池電圧が上昇し開放電圧値に基づいて補正したSOC情報は上方に修正されてしまう。SOCが上方に修正される場合には、前述したようにSOC表示値を更新しないことに伴う不具合が発生するおそれがあることから、蓄電池ユニットの放電終了後のタイミングを避けてSOC情報更新処理を実行することが好ましい。
そこで、更新命令送信時刻として蓄電池ユニットに対する充電開始時刻をタイマーにより設定することにより、放電終了直後のタイミングでSOC情報更新処理が実行されるのを確実に回避することができる。
そのため、常に、実際の蓄電池ユニットの蓄電量に応じたSOC情報を取得することができる。なお、充電開始時刻にパワーコンディショナから蓄電池ユニットに更新命令信号が送信されると、蓄電池ユニットは開放電圧値に基づくSOC情報更新準備状態になり、待機状態(通常は電流が流れていない充電終了後)を経てSOC情報が更新される。
【0013】
形態4;また、送信部が、前記蓄電池ユニットにSOC情報の更新命令信号を送信した後、前記蓄電池ユニットの充電中に放電開始時刻になると、前記蓄電池ユニットにSOC情報の更新を取り消す更新命令取消信号を送信する。
【0014】
形態5;また、本発明の蓄電システムは、パワーコンディショナが、外部からSOC情報の更新命令を受信可能な受信部と、受信部が外部からSOC情報の更新命令を受信すると、更新命令信号を蓄電池ユニットに送信する送信部とを備え、受信部は、更新命令信号に従って更新されたSOC情報を蓄電池ユニットから受信してもよい。
この構成によれば、受信部は、仮想発電所等の外部からのSOC情報の更新命令信号を受信可能となっているので、更新命令信号を受信したときに、当該更新命令信号を蓄電池ユニットに送信し、更新されたSOC情報を蓄電池ユニットから受信することができる。
【0015】
形態6;ここで、受信部は蓄電池ユニットに対する充電開始命令信号をSOC情報の更新命令信号として受信することが好ましい。蓄電池ユニットの放電終了後は、蓄電池電圧が上昇し開放電圧値に基づいて補正したSOC情報は上方に修正されてしまう。SOCが上方に修正される場合には、前述したようにSOC表示値を更新しないことに伴う不具合が発生するおそれがあることから、蓄電池ユニットの放電終了後のタイミングを避けてSOC情報更新処理を実行することが好ましい。そこで、蓄電池ユニットに対する充電開始命令信号を受信したときに更新処理を実行することで、放電終了直後のタイミングでSOC情報更新処理が実行されるのを確実に回避することができる。
そのため、常に、実際の蓄電池ユニットの蓄電量に応じたSOC情報を取得することができる。
なお、蓄電池ユニットに充電開始命令信号が送信されると、蓄電池ユニットは開放電圧値に基づくSOC情報更新準備状態になり、待機状態(通常は電流が流れていない充電終了後)を経てSOC情報が更新される。
【0016】
形態7;また、前記送信部が、前記蓄電池ユニットにSOC情報の更新命令信号を送信した後、蓄電池ユニットの充電中に前記受信部が、外部から放電開始命令信号を受信したときに、前記蓄電池ユニットにSOC情報の更新を取り消す更新命令取消信号を送信する。
【0017】
形態8;本発明のパワーコンディショナは、蓄電池ユニットと接続され、蓄電池ユニットに対して充放電制御を行うとともに、蓄電池ユニットのSOC情報を表示させる機能を有するパワーコンディショナであって、SOC情報の更新命令信号を蓄電池ユニットに送信することによって、蓄電池ユニットにおいて電流積算値に基づいて推定されたSOC推定値を開放電圧値に基づいて補正したSOC情報に更新させるとともに、更新されたSOC情報を表示させることを特徴としている。
本発明のパワーコンディショナによれば、蓄電池ユニットが更新を行う特定のタイミングによらず、パワーコンディショナからの更新命令によりSOC情報の更新処理を実行することができる。これにより、更新によりSOC表示値が設定残量値以上になるようなタイミングを避けて更新を行うことも可能となり、従前のSOC表示値の更新を行わないことに伴う不具合の発生を回避することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、SOC情報の表示に伴う不具合の発生を防止することができる。また、実際の蓄電池ユニットの蓄電量に応じたSOC情報を表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る蓄電システムの構成図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係るパワーコンディショナの構成図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る充放電プロファイルを例示した図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る制御部の処理フロー図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係るパワーコンディショナの構成図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る充放電プロファイルを例示した図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係る制御部の処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1の実施形態>
図1から
図4を用いて、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0021】
<蓄電システムの構成>
以下、
図1を用いて、本実施形態に係る蓄電システム10の構成について説明する。なお、本実施形態においては、後述する制御部をパワーコンディショナ内に有する構成を例示して説明するが、当該制御部をパワーコンディショナ以外に有する構成であってもよい。
【0022】
本実施形態にかかる蓄電システム10は、単機能型蓄電システム(太陽電池に接続される太陽光パワーコンディショナが分離された蓄電システム)、ハイブリッド蓄電システム(太陽光パワーコンディショナと、蓄電池ユニットに接続される蓄電パワーコンディショナと、を一体化した蓄電システム)および多機能型蓄電システム(太陽光パワーコンディショナと蓄電パワーコンディショナと、電気自動車(EV)、燃料電池自動車等の電動車に接続される充放電回路とを一体化した蓄電システム)のいずれにも対応可能な蓄電システムであり、特に、直流電力を供給する供給源として、太陽電池以外に電動車に搭載された車載蓄電池ユニットや定置型の蓄電池ユニットの複数の供給源が接続される蓄電システムに好適である。ここで、太陽電池を供給源として接続することは任意であり、複数の直流電力供給源が接続されていればよい。
また、直流電力供給源は、水力発電や風力発電など交流発電した電力をコンバータで直流電力に変換して供給するものであってもよい。
【0023】
本実施形態に係る蓄電システム10は、
図1に示すように、蓄電池システム用ブレーカ110と、パワーコンディショナ200と、定置型蓄電池ユニット240と、電動車260に接続されるV2H(Vehicle to Home)スタンド250(充放電スタンド)と、太陽電池モジュール(発電装置)300と、主幹ブレーカ410と、分岐ブレーカ420と、切替スイッチ430と、重要負荷用分岐ブレーカ440と、を含んで構成されている。
なお、
図1に示すように主幹ブレーカ410の商用電力系統側にエネファーム(登録商標)等の商用系統連系機器500が接続される場合がある。
【0024】
蓄電池システム用ブレーカ110には、商用電力から常時、電力が供給されており、例えば、パワーコンディショナ200や定置型蓄電池ユニット240に異常が発生した場合等に蓄電池システム用ブレーカ110が作動して、電路を開放する。
【0025】
パワーコンディショナ200は、蓄電池システム用ブレーカ110を介して商用電力系統と接続されるとともに、例えば、太陽光により発電する太陽電池モジュール300等の再生可能エネルギーを利用した発電モジュール、定置型蓄電池ユニット240やV2Hスタンド250を介して外部への給電機能を有する電動車260と接続可能とされている。
【0026】
パワーコンディショナ200は、例えば、太陽光等の再生可能エネルギーにより発電された直流電力(発電電力)および定置型蓄電池ユニット240からの直流電力(放電電力)をコンバータにより所定の電圧に変換した後、交流電力に変換するとともに、V2Hスタンド250からの直流電力(放電電力)を交流電力に変換する。変換された交流電力は、蓄電池システム用ブレーカ110を介して重要負荷および一般負荷に繋がる系統出力に供給可能となっている。
【0027】
また、太陽電池モジュール300からの発電電力および/または直流電力に変換された商用電力を充電電力として、コンバータを介して定置型蓄電池ユニット240および/またはV2Hスタンド250を介して、電動車260に搭載された車載蓄電池ユニット261(
図2)に充電することが可能となっている。
【0028】
<パワーコンディショナの構成>
パワーコンディショナ200は、
図2に示すように、コンバータ211、212と、インバータ221と、制御部230と、情報受信部231と、表示部232を含んで構成されている。なお、以下の構成は例示であり、同様の機能を果たすことができるものであれば、他の構成であってもよい。
【0029】
コンバータ211は、太陽電池モジュール300からの直流電力に基づいて所定の直流電圧に昇圧した直流電力に変換する。
【0030】
コンバータ212は、定置型蓄電池ユニット240からの直流電力(放電電力)を昇圧した直流電力に変換する。
なお、コンバータ212は、インバータ221により直流電力に変換された商用電力を所定の直流電圧に変換した直流電力や太陽電池モジュール300等の他の供給源からの直流電力を充電電力として定置型蓄電池ユニット240に供給する双方向コンバータである。
【0031】
インバータ221は、太陽電池モジュール300の発電電力を含む太陽光等の再生可能エネルギーにより発電された直流電力を交流電力に変換するとともに、定置型蓄電池ユニット240あるいは、V2Hスタンド250からの直流電力(放電電力)を交流電力に変換する。また、定置型蓄電池ユニット240および/または車載蓄電池ユニット261を充電するため、商用電力を直流電力に変換する。
【0032】
制御部230は、インバータ221および各種コンバータを制御する。また、制御部230は、後述する表示部232の表示情報を制御する。具体的には、制御部230は、定置型蓄電池ユニット240または車載蓄電池ユニット261(以下、単に「蓄電池ユニット」という)の充放電の開始/終了時刻を設定するタイマーを備える。この実施形態では、タイマー設定に基づき、定置型蓄電池ユニット240または車載蓄電池ユニット261の充電開始時刻になったときに、制御部230は更新命令信号をCAN(Controller Area Network)を介して蓄電池ユニットに送信する。
このように、制御部230は本発明の「送信部」に相当する。蓄電池ユニットは、バッテリマネジメントシステム(以下、単に「BMS」という)を有しており、更新命令信号を受けたBMSは、電流積算値に基づいて推定されたSOC推定値を開放電圧値に基づいて補正し、SOC補正値(SOC情報)を得る。そして、後述する情報受信部231が、蓄電池ユニットからSOC情報を受信し、表示部232に受信したSOC情報に関する表示情報を出力する。
また、制御部230は、蓄電池ユニットにSOC情報の更新命令信号を送信した後に、蓄電池ユニットの充電中に放電開始時刻になると、蓄電池ユニットにSOC情報の更新を取り消す更新命令取消信号を送信する。
【0033】
情報受信部231は、V2Hスタンド250を介して、電動車260から車載蓄電池ユニット261に関する情報と、V2Hスタンド250の動作状況に関する情報と、を含む情報を受信する。
また、情報受信部231は、定置型蓄電池ユニット240から定置型蓄電池ユニット240に関する情報を受信する。蓄電池ユニットからの情報には、更新命令信号に従って更新されたSOC情報が含まれる。
なお、受信の形態としては、有線あるいは無線のいずれでもよい。
【0034】
表示部232は、パワーコンディショナ200の本体に限らず、パワーコンディショナ200の動作を制御する操作用のリモートコントローラ(以下「リモコン」という)に設けられていてもよい。また、パワーコンディショナ200と通信可能に構成された、リモコン以外の通信デバイスに設けられていてもよい。
【0035】
<V2Hスタンドの構成>
V2Hスタンド250は、双方向コンバータ251と、V2Hスタンド制御部252とを含んで構成されている。双方向コンバータ251は、車載蓄電池ユニット261からの直流電力(放電電力)を昇圧した直流電力に変換する一方、インバータ221により直流電力に変換された商用電力を所定の直流電圧に変換した直流電力や太陽電池モジュール300等の他の供給源からの直流電力を充電電力として車載蓄電池ユニット261に供給する。
なお、これらのコンバータとしては、例えば、昇圧または昇降圧チョッパ型コンバータを例示することができる。
【0036】
V2Hスタンド制御部252は、パワーコンディショナ200の制御部230と通信ケーブルで接続されており、パワーコンディショナ200の制御部230からの制御指令に基づき充放電制御される。
V2Hスタンド制御部252は、パワーコンディショナ200の情報受信部231に、車載蓄電池ユニット261に関する情報と、V2Hスタンド250の動作状況に関する情報と、を含む情報を出力可能となっている。
【0037】
<その他の構成について>
太陽電池モジュール300は、太陽電池セルが複数配列され、これをガラスや樹脂、フレームで保護したものであり、一般的には、太陽光パネルあるいは太陽電池パネルと呼ばれるものである。
【0038】
主幹ブレーカ410には、商用電力からの出力電力が常時、供給されており、例えば、漏電や過負荷、短絡等の要因で二次側の回路(負荷、電路等)に異常な過電流が流れたときには、主幹ブレーカ410が作動して、電路を開放する。なお、主幹ブレーカ410は、トリップ機能を備えたブレーカである。
【0039】
分岐ブレーカ420は、一端が主幹ブレーカ410と接続されるとともに、他端が、それぞれの一般負荷と接続されている。
【0040】
切替スイッチ430は、商用電力系統出力側と自立出力側とに切替え可能となっている。通常時(商用電力連系時)には、切替スイッチ430は自立出力側に接続され、重要負荷には蓄電池システム用ブレーカ110およびパワーコンディショナ200を介して商用電力が供給される。また、一般負荷には主幹ブレーカ410を介して商用電力が供給される。
【0041】
一方、停電時には、商用電力系統とパワーコンディショナ200とが解列され定置型蓄電池ユニット240、V2Hスタンド250(車載蓄電池ユニット)および太陽電池モジュール300の少なくとも1つに基づく電力がパワーコンディショナ200から重要負荷に供給可能となっている。
また、パワーコンディショナ200が故障した場合等、蓄電池システム用ブレーカ110がオフ状態のときには、切替スイッチ430を手動で系統出力側に切り替えることにより、重要負荷には主幹ブレーカ410を介して商用電力が供給される。
【0042】
重要負荷用分岐ブレーカ440は、一端が切替スイッチ430と接続されるとともに、他端が、それぞれの重要負荷と接続されている。ここで、重要負荷としては、照明、冷蔵庫、空調機器等を例示することができる。
【0043】
なお、商用系統連系機器500が系統出力に接続される場合には、当該商用系統連系機器500からの供給電力を重要負荷および一般負荷に給電することが可能となっている。
【0044】
<制御部の処理>
図3、4を用いて、制御部230の具体的な処理について説明する。なお、以下では、蓄電ユニットとして定置型蓄電池ユニット240を例示して説明する。また、定置型蓄電池ユニット240のプロファイルを
図3に示すように、例示して説明する。
【0045】
制御部230は、タイマーにより設定された充電開始時刻になったか否かを判断する(ステップS101)。そして、制御部230が、定置型蓄電池ユニット240の充電開始時刻になっていないと判断した場合(ステップS101の「No」)には、処理を元に戻す。
【0046】
一方で、制御部230は、定置型蓄電池ユニット240の充電開始時刻になっていると判断した(例えば、
図3において、経済モードの場合には午前1時、グリーンモードの場合には午前6時)場合(ステップS101の「Yes」)には、コンバータ212等(コンバータ212および電力供給元のコンバータおよび/またはインバータ)を充電動作させるとともに、定置型蓄電池ユニット240に対して、SOC情報の更新命令信号(更新コマンド)を送信する(ステップS102)。
定置型蓄電池ユニット240は更新コマンドを受け取ると、開放電圧値に基づくSOC更新準備状態になり、待機状態(電流が流れていない充電終了後)を経てからSOC更新処理が実行される。
【0047】
次に、制御部230は、定置型蓄電池ユニット240が放電を開始したか否かを判断する(ステップS103)。すなわち、制御部230が定置型蓄電池ユニット240に更新コマンドを送信した後に、定置型蓄電池ユニット240の充電中に放電開始時刻になったか否かを判断する。そして、制御部230が、定置型蓄電池ユニット240が放電を開始していないと判断した場合(ステップS103の「No」)には、定置型蓄電池ユニット240からのSOC情報を受信する(ステップS104)。
【0048】
一方で、制御部230が、定置型蓄電池ユニット240が放電を開始していると判断した場合(ステップS103の「Yes」)には、定置型蓄電池ユニット240に対して、更新命令取消信号(更新取消コマンド)を送信して(ステップS105)、処理をステップS101に戻す。更新命令取消信号を受け取った定置型蓄電池ユニット240は、SOC更新処理を実行しない。
【0049】
また、制御部230は、定置型蓄電池ユニット240からのSOC情報を受信すると、当該SOC情報を表示情報として表示部232に出力して、表示部232に表示情報としてのSOC情報を表示させる。
【0050】
以上、説明したように、本実施形態によれば、制御部230は、タイマーで設定された充電開始時刻になると、定置型蓄電池ユニット240の充電開始時刻になったときに、SOC情報の更新命令信号を定置型蓄電池ユニット240に送信する。
そして、情報受信部(受信部)230が、定置型蓄電池ユニット240からSOC情報(開放電圧値に基づいて補正されたSOC)を受信し、制御部230が表示部232にSOC情報を表示させる。
つまり、本実施形態によれば、定置型蓄電池ユニット240が更新を行う特定のタイミングによらず、パワーコンディショナ200からの更新命令によりSOC情報の更新処理を実行することができる。これにより、SOC表示値が設定残量値以上になるようなタイミングを避けて更新を行うことも可能となり、従前のSOC表示値の更新を行わないことに伴う不具合の発生を回避することができる。
特に、本実施形態では、更新命令送信時刻として蓄電池ユニットに対する充電開始時刻をタイマーにより設定しているので、放電終了直後のような更新によりSOC表示値が設定残量値以上になるようなタイミングでSOC情報更新処理が実行されるのを確実に回避することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、制御部(送信部)230は、定置型蓄電池ユニット240にSOC情報の更新命令信号を送信した後に、定置型蓄電池ユニット240の充電中に放電開始時刻になると、定置型蓄電池ユニット240にSOC情報の更新を取り消す更新命令取消信号を送信する。つまり、定置型蓄電池ユニット240が放電を開始した後のSOC情報は、表示情報には適さないため、このような場合には、更新命令そのものを解除する。
【0052】
<第2の実施形態>
図5から
図7を用いて、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0053】
<分散電源システムにおける蓄電システムの構成>
本実施形態に係る蓄電システムは、電力需要を管理するネットワークを制御する仮想発電所を含む分散電源システムの一部を構成する。
【0054】
本実施形態に係る蓄電システムは、第1の実施形態にかかる蓄電システム10に対して、パワーコンディショナ201の情報受信部231Aが外部、ここでは仮想発電所(VPP)600からの充放電命令信号(充放電命令コマンド)を受信可能となっている点において異なる。
なお、仮想発電所(VPP)600からの充放電命令信号は、パワーコンディショナ201の本体が受信しても、リモコン(表示部)232が受信してもよい。
【0055】
<パワーコンディショナの構成>
情報受信部231Aは、仮想発電所600からの充電命令信号を受信し、仮想発電所600から充電開始命令信号を受信したときに、SOC情報の更新命令信号を蓄電池ユニット(定置型蓄電池ユニット240または車載蓄電池ユニット261)に送信する。更新命令信号を受けた蓄電池ユニットのBMSは、電流積算値に基づいて推定されたSOC推定値を開放電圧値に基づいて補正し、SOC補正値(SOC情報)を得る。そして、情報受信部231Aが蓄電池ユニットからSOC情報を受信し、表示部232に受信したSOC情報に関する表示情報を出力する。
また、制御部230は、蓄電池ユニットにSOC情報の更新命令信号を送信した後に、仮想発電所600から放電開始命令信号を受信したときに、蓄電池ユニットにSOC情報の更新を取り消す更新命令取消信号を送信する。
【0056】
<制御部の処理>
図6、7を用いて、制御部230の具体的な処理について説明する。なお、以下では、蓄電ユニットとして定置型蓄電池ユニット240を例示して説明する。また、定置型蓄電池ユニット240のプロファイルを
図6に示すように、例示して説明する。
【0057】
制御部230は、仮想発電所600からの充電開始命令信号を受信したか否かを判断する(ステップS201)。そして、制御部230が、仮想発電所600からの充電開始命令信号を受信していないと判断した場合(ステップS201の「No」)には、処理を元に戻す。
【0058】
一方で、制御部230は、仮想発電所600からの充電開始命令信号を受信していると判断した場合(ステップS201の「Yes」)には、コンバータ212等(コンバータ212および電力供給元のコンバータおよび/またはインバータ)を充電動作させるとともに、定置型蓄電池ユニット240に対して、SOC情報の更新命令信号(更新コマンド)を送信する(ステップS202)。
定置型蓄電池ユニット240は更新コマンドを受け取ると、開放電圧値に基づくSOC更新準備状態になり、待機状態(電流が流れていない充電終了後)を経てからSOC更新処理が実行される。
【0059】
次に、制御部230は、仮想発電所600からの放電開始命令信号を受信したか否かを判断する(ステップS203)。すなわち、制御部230が定置型蓄電池ユニット240に更新コマンドを送信した後に、定置型蓄電池ユニット240の充電中に放電開始命令信号を受信したか否かを判断する。
そして、制御部230Aが、仮想発電所600からの放電開始命令信号を受信していないと判断した場合(ステップS203の「No」)には、定置型蓄電池ユニット240からのSOC情報を受信する(ステップS204)。
【0060】
一方で、制御部230が、仮想発電所600からの放電開始命令信号を受信していると判断した場合(ステップS203の「Yes」)には、定置型蓄電池ユニット240に対して、更新命令取消信号(更新取消コマンド)を送信して(ステップS205)、処理をステップS201に戻す。更新命令取消信号を受け取った定置型蓄電池ユニット240は、SOC更新処理を実行しない。
【0061】
また、制御部230は、定置型蓄電池ユニット240からのSOC情報を受信すると、当該SOC情報を表示情報として表示部232に出力して、表示部232に表示情報としてのSOC情報を表示させる。
【0062】
以上、説明したように、本実施形態によれば、制御部230は、仮想発電所600から充電開始命令信号を受信したときに、SOC情報の更新命令信号を蓄電池ユニットに送信する。そして、表示部232は、蓄電池ユニットから受信したSOC情報(開放電圧値に基づいて補正されたSOC)を表示する。
つまり、本実施形態によれば、定置型蓄電池ユニット240が更新を行う特定のタイミングによらず、パワーコンディショナ201からの更新命令によりSOC情報の更新処理を実行することができる。
これにより、SOC表示値が設定残量値以上になるようなタイミングを避けて更新を行うことも可能となり、従前のSOC表示値の更新を行わないことに伴う不具合の発生を回避することができる。
特に、本実施形態では、仮想発電所600等の外部からの充電開始命令を受信したタイミングで更新命令信号を蓄電池ユニットに送信しているので、放電終了直後のような更新によりSOC表示値が設定残量値以上になるようなタイミングでSOC情報更新処理が実行されるのを確実に回避することができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、制御部(送信部)230は、蓄電池ユニットにSOC情報の更新命令信号を送信した後に、仮想発電所600から放電開始命令信号を受信したときに、蓄電池ユニットにSOC情報の更新を取り消す更新命令取消信号を送信する。つまり、定置型蓄電池ユニット240が放電を開始した後のSOC情報は、表示情報には適さないため、このような場合には、更新命令そのものを解除する。
【0064】
以上、この発明の実施形態および実施例につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態あるいは実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0065】
10;蓄電システム
110;蓄電池システム用ブレーカ
130;主幹ブレーカ
200、201;パワーコンディショナ
211;コンバータ
212;双方向コンバータ
221;インバータ
230;制御部
231、231A;情報受信部
240;定置型蓄電池ユニット
250;V2Hスタンド
251;双方向コンバータ
252;V2Hスタンド制御部
260;電動車
261;車載蓄電池ユニット
300;太陽電池モジュール
410;主幹ブレーカ
420;分岐ブレーカ
430;切替スイッチ
440;重要負荷用分岐ブレーカ
500;商用系統連系機器
600;仮想発電所