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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】車両用収容装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/10 20060101AFI20221031BHJP
【FI】
B60N3/10 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019042536
(22)【出願日】2019-03-08
(65)【公開番号】P2020142742
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】309018445
【氏名又は名称】明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083091
【弁理士】
【氏名又は名称】田渕 経雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141416
【弁理士】
【氏名又は名称】田渕 智雄
(72)【発明者】
【氏名】西尾 和久
(72)【発明者】
【氏名】加藤 武蔵
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-184498(JP,A)
【文献】特開平11-000237(JP,A)
【文献】特開2000-153738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方および側方の一側に開放する収容部を有するリテーナと、
前記収容部内に倒れ込むホルダ閉位置と、該ホルダ閉位置から回動して起き上がり前記収容部を前記側方の一側から覆い前記収容部を上方のみに開放させるホルダ開位置とに、前記リテーナに回動可能に支持されるベースホルダと、
前記ベースホルダと回動可能に連結されており、前記ベースホルダが前記ホルダ閉位置にあるときに前記収容部を上方から覆うトレイ閉位置と、前記ベースホルダが前記ホルダ開位置にあるときに前記収容部の上方から外れた位置にあり該収容部を上方に開放させるトレイ開位置とに、前記リテーナに対して可動とされたトレイと、
前記ベースホルダと回動可能に連結されるトレイの、前記リテーナに対する姿勢を規制する規制機構と、
を有し、
前記規制機構は、前記トレイが前記トレイ閉位置と前記トレイ開位置のいずれにあるときにも前記トレイの上面が上方に向くように、前記トレイの前記リテーナに対する姿勢を規制する、車両用収容装置。
【請求項2】
前記トレイの上面には、該上面の周縁部から上方に突出する脱落防止ストッパが設けられている、請求項1記載の車両用収容装置。
【請求項3】
前記脱落防止ストッパには互いに対向し合う位置に切欠き部が設けられている、請求項2記載の車両用収容装置。
【請求項4】
前記規制機構は、アームを有しており、該アームの一端部は、前記リテーナと前記ベースホルダとの回動軸とは異なる位置で前記リテーナに回動可能に連結されており、該アームの他端部は、前記ベースホルダと前記トレイとの回動軸とは異なる位置で前記トレイに回動可能に連結されている、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の車両用収容装置。
【請求項5】
前記規制機構は、前記リテーナに設けられる溝部と、前記ベースホルダと前記トレイとの回動軸とは異なる位置で前記トレイに設けられており前記溝部内を移動可能なボス部と、を有している、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の車両用収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2009-166594号公報は、図12図13に示すように、リテーナ2と、リテーナ2に回動可能に支持されるベースホルダ3と、を有する車両用収容装置1を開示している。リテーナ2は、上方および側方の一側に開放する収容部2aを有する。ベースホルダ3は、収容部2aを上方および側方の一側から覆う閉位置3aと、閉位置3aから回動して収容部2aを側方の一側から覆い収容部2aを上方に開放させる開位置3bとに、リテーナ2に対して回動可能とされている。
【0003】
しかし、上記公報開示の装置にはつぎの問題点がある。
図13の(a)に示すように、ベースホルダ3が閉位置3aにあるときには、ベースホルダ3は収容部2aを覆い隠すだけであり、装置1はスマートフォンや小物等の物品を保持する機能(載置スペース、収容スペース)を持たない。また、図12図13の(b)に示すように、ベースホルダ3が開位置3bにあるときには、装置1は、収容部2aに飲料容器を保持させるカップホルダとしての機能しか持たない。そのため、車両用収容装置の使用性を向上させる点において改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-166594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、使用性を従来に比べて向上できる車両用収容装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) 〔実施例1,2〕
上方および側方の一側に開放する収容部を有するリテーナと、
前記収容部内に倒れ込むホルダ閉位置と、該ホルダ閉位置から回動して起き上がり前記収容部を前記側方の一側から覆い前記収容部を上方のみに開放させるホルダ開位置とに、前記リテーナに回動可能に支持されるベースホルダと、
前記ベースホルダと回動可能に連結されており、前記ベースホルダが前記ホルダ閉位置にあるときに前記収容部を上方から覆うトレイ閉位置と、前記ベースホルダが前記ホルダ開位置にあるときに前記収容部の上方から外れた位置にあり該収容部を上方に開放させるトレイ開位置とに、前記リテーナに対して可動とされたトレイと、
前記ベースホルダと回動可能に連結されるトレイの、前記リテーナに対する姿勢を規制する規制機構と、
を有し、
前記規制機構は、前記トレイが前記トレイ閉位置と前記トレイ開位置のいずれにあるときにも前記トレイの上面が上方に向くように、前記トレイの前記リテーナに対する姿勢を規制する、車両用収容装置。
(2) 〔実施例1,2〕
前記トレイの上面には、該上面の周縁部から上方に突出する脱落防止ストッパが設けられている、(1)記載の車両用収容装置。
(3) 〔実施例1,2〕
前記脱落防止ストッパには互いに対向し合う位置に切欠き部が設けられている、(2)記載の車両用収容装置。
(4) 〔実施例1〕
前記規制機構は、アームを有しており、該アームの一端部は、前記リテーナと前記ベースホルダとの回動軸とは異なる位置で前記リテーナに回動可能に連結されており、該アームの他端部は、前記ベースホルダと前記トレイとの回動軸とは異なる位置で前記トレイに回動可能に連結されている、(1)~(3)のいずれか1つに記載の車両用収容装置。
(5) 〔実施例2〕
前記規制機構は、前記リテーナに設けられる溝部と、前記ベースホルダと前記トレイとの回動軸とは異なる位置で前記トレイに設けられており前記溝部内を移動可能なボス部と、を有している、(1)~(3)のいずれか1つに記載の車両用収容装置。
【発明の効果】
【0007】
上記(1)の車両用収容装置では、つぎの効果を得ることができる。
トレイと規制機構を有しており、規制機構が、トレイがトレイ閉位置とトレイ開位置のいずれにあるときにもトレイの上面が上方に向くように、トレイのリテーナに対する姿勢を規制する。そのため、ベースホルダがホルダ閉位置にあり収容部が使用不可能な状態(収容部に飲料カップ等を出し入れ不可能な状態)にあるときにも、また、ベースホルダがホルダ開位置にあり収容部が使用可能な状態(収容部に飲料カップ等を出し入れ可能な状態)にあるときにも、トレイの上面をスマートフォンや小物類などの物品を置く(収容する)物品の載置スペース(収容スペース)として機能させることができる。よって、従来に比べて車両用収容装置の使用性を向上できる。
【0008】
上記(2)の車両用収容装置では、つぎの効果を得ることができる。
トレイの上面に脱落防止ストッパが設けられているため、トレイの上面に置いた物品がトレイの上面から脱落してしまうことを抑制できる。
【0009】
上記(3)の車両用収容装置では、つぎの効果を得ることができる。
脱落防止ストッパの互いに対向し合う位置に切欠き部が設けられているため、装置の使用者は切欠き部を通してトレイの上面に置いた物品に両側から手や指をアクセスさせることができる。よって、脱落防止ストッパが設けられていても、トレイの上面に置いた物品を容易に取り出すことができる。
また、充電中のスマートフォン等をトレイの上面に置いたときには、充電ケーブルを切欠き部を通して配策できるため、安定して充電中のスマートフォン等をトレイの上面に置くことができる。
【0010】
上記(4)の車両用収容装置では、つぎの効果を得ることができる。
規制機構が、リテーナとトレイに回動可能に連結されるアームを有するため、リテーナ、ベースホルダ、トレイおよびアームで4節リンク機構を構成でき、比較的簡易な構成でトレイのリテーナに対する姿勢を規制することができる。
【0011】
上記(5)の車両用収容装置では、つぎの効果を得ることができる。
規制機構が、リテーナに設けられる溝部と、トレイに設けられており溝部内を移動可能なボス部と、を有しているため、溝部とボス部を用いた構成でトレイのリテーナに対する姿勢を規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明実施例1の車両用収容装置の、ベースホルダがホルダ閉位置にありトレイがトレイ閉位置にあるときにおける斜視図である。ただし、図1は、本発明実施例2にも適用可能である。
図2】本発明実施例1の車両用収容装置の、ベースホルダがホルダ開位置にありトレイがトレイ開位置にあるときにおける斜視図である。ただし、図2は、本発明実施例2にも適用可能である。
図3】本発明実施例1の車両用収容装置の分解斜視図である。
図4】本発明実施例1の車両用収容装置の、図2のA-A線部位における、ベースホルダがホルダ閉位置にありトレイがトレイ閉位置にあるときの断面図である。
図5】本発明実施例1の車両用収容装置の、図2のA-A線部位における、ベースホルダがホルダ閉位置とホルダ開位置の間にありトレイがトレイ閉位置とトレイ開位置の間にあるときの断面図である。
図6】本発明実施例1の車両用収容装置の、図2のA-A線部位における、ベースホルダがホルダ開位置にありトレイがトレイ開位置にあるときの断面図である。
図7】本発明実施例1の車両用収容装置の、トレイ上面のトレイ開位置にあるときにおける水平からの角度がトレイ閉位置にあるときにおける水平からの角度よりも大となるときの断面図である。
図8】本発明実施例1の車両用収容装置の、トレイ上面のトレイ開位置にあるときにおける水平からの角度がトレイ閉位置にあるときにおける水平からの角度よりも図7と反対側に大となるときの断面図である。
図9】本発明実施例1の車両用収容装置の、トレイのトレイ開位置にあるときにおける水平からの角度がトレイ閉位置にあるときにおける水平からの角度と同じ角度となる場合の断面図である。
図10】本発明実施例2の車両用収容装置の、ベースホルダがホルダ閉位置にありトレイがトレイ閉位置にあるときの断面図である。
図11】本発明実施例2の車両用収容装置の、ベースホルダがホルダ開位置にありトレイがトレイ開位置にあるときの断面図である。
図12】従来の車両用収容装置の、ベースホルダが開位置にあるときにおける斜視図である。
図13】従来の車両用収容装置の断面図である。(a)は、ベースホルダが閉位置にあるときを示す。(b)は、ベースホルダが開位置にあるときを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図1図11を参照して、本発明実施例の車両用収容装置10を説明する。なお、図中、UPは上方を示す。
【0014】
図1図9は、本発明実施例1の車両用収容装置を示しており、図10図11は、本発明実施例2の車両用収容装置を示している。本発明全実施例にわたって共通するまたは類似する部分には、本発明全実施例にわたって共通する符号を付してある。
【0015】
〔実施例1〕(図1図9
まず、本発明実施例1について説明する。
本発明実施例1の車両用収容装置10は、特に限定されるものではないが、たとえば、車両のインストルメントパネル、コンソールパネル、アームレスト、等の車両の内装部材100(図4図6)に設けられる。収容装置10は、図3に示すように、リテーナ20と、ベースホルダ30と、トレイ40と、規制機構50と、を有する。
【0016】
リテーナ20は、たとえば樹脂製である。リテーナ20は、一部品構成であってもよく、複数部品構成であってもよい。リテーナ20は、内装部材100に締結等により固定して取付けられている。リテーナ20は、上方に向かって開放するボックス形状となっており、その内部スペースS0の一部に、上方D1および側方の一側(内部スペースS0内の一側)D2に開放する収容部Sを有する。収容部Sは、図6に示すように、飲料容器110等を収容可能なカップホルダスペースとして機能する。
【0017】
ベースホルダ30は、たとえば樹脂製である。ベースホルダ30は、一部品構成であってもよく、複数部品構成であってもよい。ベースホルダ30は、リテーナ20の内部スペースS0に配置されている。ベースホルダ30は、図3に示すように、ベースホルダ30に設けられる回動軸部31がリテーナ20に設けられる回動軸受け部21に回動可能に支持されることで、リテーナ20に回動軸A(図4図6参照)まわりに回動可能に支持されている。回動軸部31は、回動軸受け部21に直接支持されていてもよく軸ピン31aを用いて支持されていてもよい。
【0018】
ベースホルダ30は、図4図6に示すように、収容部S内に倒れ込むホルダ閉位置30a(図4参照)と、ホルダ閉位置30aから回動して起き上がり収容部Sの開放する側方の一側に位置し収容部Sを該側方の一側D2から覆い(塞ぎ)収容部Sを上方D1のみに開放させるホルダ開位置30b(図6参照)とに、リテーナ20に対して回動可能である。
【0019】
トレイ40は、カバーといってもよく、蓋または蓋部材といってもよい。トレイ40は、たとえば樹脂製である。トレイ40は、一部品構成であってもよく、複数部品構成であってもよい。トレイ40は、ベースホルダ30と回動軸Cまわりに回動可能に連結されている。トレイ40はベースホルダ30と、直接回動可能に連結されていてもよく、図示略の軸ピンを用いて回動可能に連結されていてもよい。トレイ40は、ベースホルダ30と回動可能に連結されているため、リテーナ20に対して可動となっている。
【0020】
トレイ40は、図1図4に示すように、ベースホルダ30がホルダ閉位置30aにあるときに収容部Sを上方から覆うトレイ閉位置40aと、図2図6に示すように、トレイ閉位置40aから移動してベースホルダ30がホルダ開位置30bにあるときに収容部Sの上方D1から外れた位置にあり収容部Sを上方D1に開放させるトレイ開位置40bとに、リテーナ20に対して可動とされている。
【0021】
トレイ40がトレイ閉位置40aにあるとき、図1図4に示すように、トレイ40は収容部Sのみならずリテーナ20の内部スペースS0の全体を上方から覆っている。一方、トレイ40がトレイ開位置40bにあるとき、図2図6に示すように、トレイ40はリテーナ20の内部スペースS0のうち収容部Sのみまたは収容部Sとその近傍のみ(内部スペースS0の一部のみ)を上方に開放させている。
【0022】
図1~3に示すように、トレイ40の上面41は、平板状またはほぼ平板状であり、周縁部に該周縁部から上方に突出する脱落防止ストッパ42が設けられている。脱落防止ストッパ42は、上面41の周縁部の周方向に延びて設けられている。脱落防止ストッパ42は、上面41に置いた(収納した)スマートフォンなどの図示略の物品が装置10の使用者の意思に反して車両走行振動等により上面41から滑り落ちること(脱落すること)を抑制するために設けられている。脱落防止ストッパ42の上面41からの突出量は、脱落防止ストッパ42の全長にわたって一定とされていてもよく一定とされていなくてもよい。
【0023】
脱落防止ストッパ42は、トレイ40の上面41の周縁部の全周にわたって連続して設けられていてもよく、上面41の周縁部の周方向の一部に切欠き部43を有して設けられていてもよい。切欠き部43は、脱落防止ストッパ42が設けられていないか、または、その他の部分に比べて脱落防止ストッパ42の上面41からの突出量が小とされている部分である。切欠き部43が設けられる場合、切欠き部43は、トレイ40の上面41の面内方向で脱落防止ストッパ42の互いに対向し合う位置に設けられている。
【0024】
規制機構50は、ベースホルダ30と回動軸Cまわりに回動可能に連結されるトレイ40の、リテーナ20に対する姿勢(角度)を規制する機構である。規制機構50は、図4図6に示すように、トレイ40がトレイ閉位置40aとトレイ開位置40bのいずれにあるときにも、さらにはトレイ40がトレイ閉位置40aとトレイ開位置40bの間のどの位置にあるときにも、トレイ40の上面41が上方(鉛直上方であってもよく斜め上方であってもよい)に向くように、トレイ40のリテーナ20に対する姿勢を規制する。すなわち、規制機構50は、トレイ40の位置によらずにトレイ40の上面41が常に上方に向くようにトレイ40のリテーナ20に対する姿勢を規制する。
【0025】
本発明実施例1では、規制機構50は、アーム51を有している。アーム51の一端部51aは、リテーナ20とベースホルダ30との回動軸Aとは異なる位置で、リテーナ20に回動軸Bまわりに回動可能に連結されている。アーム51の一端部51aは、リテーナ20に、直接回動可能に連結されていてもよく、軸ピン51a1(図3参照)を用いて回動可能に連結されていてもよい。アーム51の他端部51bは、ベースホルダ30とトレイ40との回動軸Cとは異なる位置で、トレイ40に回動可能に連結されている。アーム51の他端部51bは、トレイ40と、直接回動可能に連結されていてもよく、図示略の軸ピンを用いて回動可能に連結されていてもよい。回動軸B,Dは、回動軸A,Cに対して同じ側にある。回動軸A,B,CおよびDは、全て平行に延びている。
【0026】
ベースホルダ30のリテーナ20に対する回動(開閉動でありホルダ閉位置30aとホルダ開位置30bの一方から他方への回動)と、トレイ40のリテーナ20に対する移動(開閉動でありトレイ閉位置40aとトレイ開位置40bの一方から他方への移動)は、スプリング60を用いて補助されていることが望ましい。また、スプリング60による開閉速度を調整する(緩やかにする)ために、図3に示すように、装置10にダンパ61が設けられていてもよい。ダンパ61は、たとえばリテーナ20に取付けられており、ベースホルダ30に設けられるギア62と常時噛合する。ただし、スプリング60およびダンパ61は、必須の構成ではない。
【0027】
スプリング60は、(i-a)スプリング60の端部をリテーナ20とベースホルダ30とにそれぞれ係合させてベースホルダ30をリテーナ20に対して付勢してもよく、(i-b)スプリング60の端部をリテーナ20とトレイ40とにそれぞれ係合させてトレイ40をリテーナ20に対して付勢してもよく、(i-c)スプリング60の端部をリテーナ20と規制機構50とにそれぞれ係合させて規制機構50をリテーナ20に対して付勢してもよい。
【0028】
スプリング60は、開閉中立点M(ターンオーバーする点、図5参照)より閉側にあるときにはベースホルダ30およびトレイ40を閉側へ付勢し、開閉中立点Mより開側にあるときにはこれらを開側に付勢するターンオーバースプリングである。ただし、図示はしないが、スプリング60は、ターンオーバーすることなくベースホルダ30およびトレイ40を開閉の一側から他側へ全域にわたって同一方向に付勢するスプリングであってもよい。なお、スプリング60が開閉の一側から他側へ全域にわたって同一方向に付勢するスプリングである場合、スプリング60の付勢力に抗してベースホルダ30とトレイ40を開閉の一側にてロックする図示略のロック装置が設けられる。
【0029】
ここで、ベースホルダ30とトレイ40を、それぞれ閉位置(ホルダ閉位置30a、トレイ閉位置40a)から開位置(ホルダ開位置30b、トレイ開位置40b)に移動させる作動を説明する。
なお、ベースホルダ30とトレイ40を、それぞれ開位置(ホルダ開位置30b、トレイ開位置40b)から閉位置(ホルダ閉位置30a、トレイ閉位置40a)に移動させる作動は、閉位置から開位置に移動させる作動の逆となるため、説明を省略する。
【0030】
(a)ベースホルダ30とトレイ40がそれぞれ閉位置(ホルダ閉位置30a、トレイ閉位置40a)にあるとき(図4参照)
ベースホルダ30とトレイ40は、スプリング60(ターンオーバースプリング)の付勢力が開方向と逆向きに働いているため、使用者の意思に反して勝手に開くことはない。トレイ40の上面41は、規制機構50により上方を向いている。
【0031】
(b)ベースホルダ30とトレイ40を閉位置(ホルダ閉位置30a、トレイ閉位置40a)から開位置(ホルダ開位置30b、トレイ開位置40b)に移動させるとき(図5参照)
ベースホルダ30および/またはトレイ40をスプリング60の付勢力に抗して開方向に移動させると、ベースホルダ30とトレイ40が回動軸Cまわりに互いに回動可能に連結されておりベースホルダ30が回動軸Aまわりにリテーナ20に回動可能に連結されているため、ベースホルダ30とトレイ40は同時に回動軸Aを起点に回動し始める。また、トレイ40にあっては、規制機構50によりリテーナ20に対する姿勢が規制されるため、上面41が上方を向いた姿勢(状態)を維持したままトレイ開位置40bまで移動する。スプリング60は開閉中立点Mを境に働く方向が変わるため、開閉中立点Mを超えるとベースホルダ30およびトレイ40の開位置側への動作の補助となる。
【0032】
(c)ベースホルダ30とトレイ40がそれぞれ開位置(ホルダ開位置30b、トレイ開位置40b)にあるとき(図6参照)
ベースホルダ30とトレイ40は、スプリング60(ターンオーバースプリング)の付勢力が閉方向と逆向きに働いているため、使用者の意思に反して勝手に閉まることはない。トレイ40の上面41は、規制機構50により上方を向いている。
【0033】
なお、トレイ40の上面41の、トレイ開位置40bにあるときにおける水平からの角度は、トレイ閉位置40aにあるときにおける水平からの角度と同じであってもよく、異なっていてもよい。具体的には、図7図9に示すように、回動軸A,C間の距離をα、回動軸B,D間の距離をβとし、トレイ閉位置40aにあるときの上面41の水平からの角度をθ、トレイ開位置40bにあるときの上面41の水平からの角度の絶対値をλとしたとき、つぎのようになる。
(i)図7に示すように、α>βのとき、上面41のトレイ開位置40bにあるときにおける水平からの角度λがトレイ閉位置40aにあるときにおける水平からの角度θよりも大となる。
(ii)図8に示すように、α<βのとき、上面41のトレイ開位置40bにあるときにおける水平からの角度λがトレイ閉位置40aにあるときにおける水平からの角度θよりも図7の場合と反対側に大となる。
(iii)図9に示すように、α=βのとき、上面41のトレイ開位置30bにあるときにおける水平からの角度λがトレイ閉位置40aにあるときにおける水平からの角度θと同じ角度となる。
【0034】
本発明実施例1では、つぎの効果を得ることができる。
【0035】
(A)装置10がトレイ40と規制機構50を有しており、規制機構50が、トレイ40がトレイ閉位置40aとトレイ開位置40bのいずれにあるときにもトレイ40の上面41が上方に向くように、トレイ40のリテーナ20に対する姿勢を規制している。そのため、ベースホルダ30がホルダ閉位置30aにあり収容部Sが使用不可能な状態(収容部Sに飲料カップ110を出し入れ不可能な状態)にあるときにも、また、ベースホルダ30がホルダ開位置30bにあり収容部Sが使用可能な状態(収容部Sに飲料カップ110を出し入れ可能な状態)にあるときにも、トレイ40の上面41をスマートフォンや小物類などの物品を置く(収容する)物品の載置スペース(収容スペース)として機能させることができる。よって、従来に比べて車両用収容装置10の使用性を向上できる。
【0036】
(B)トレイ40の上面41に脱落防止ストッパ42が設けられているため、トレイ40の上面41に置いた物品がトレイ40の上面41から脱落してしまうことを抑制できる。
【0037】
(C)脱落防止ストッパ42の互いに対向し合う位置に切欠き部43が設けられているため、装置10の使用者は切欠き部43を通してトレイ40の上面41に置いた物品に両側から手や指をアクセスさせることができる。よって、脱落防止ストッパ42が設けられていても、トレイ40の上面41に置いた物品を容易に取り出すことができる。
また、充電中のスマートフォン等をトレイ40の上面41に置いたときには、充電ケーブルを切欠き部43を通して配策できるため、安定して充電中のスマートフォン等をトレイ40の上面41に置くことができる。
上記(A)~(C)は、本発明実施例2にも適用可能である。
【0038】
(D)規制機構50が、リテーナ20とトレイ40に回動可能に連結されるアーム51を有するため、リテーナ20、ベースホルダ30、トレイ40およびアーム51で4節リンク機構を構成でき、比較的簡易な構成でトレイ40のリテーナ20に対する姿勢を規制することができる。
【0039】
〔実施例2〕(図10図11
つぎに、本発明実施例2について説明する。なお、本発明実施例1と共通または類似する部分は同じ符号を付して説明を省略する。
【0040】
本発明実施例2では、本発明実施例1と異なり、規制機構50は、図10図11に示すように、リテーナ20に設けられる溝部52と、ベースホルダ30とトレイ40との回動軸Cとは異なる位置Eでトレイ40に固定して設けられるボス53と、を有している。
【0041】
溝部52は、収容部Sに接近離反する方向に延びて設けられている。溝部52は、図示例のように直線状に延びていてもよく少なくとも1か所に湾曲部を有して延びていてもよい。
【0042】
ボス部53は、トレイ40に直接設けられていてもよく、トレイ40に図示略の別部材を介して設けられていてもよい。ボス部53は、溝部52に入り込んでおり溝部52内を溝部52の延び方向に沿って移動可能とされている。
【0043】
本発明実施例2では、つぎの特有な効果を得ることができる。
(E)規制機構50が、リテーナ20に設けられる溝部52と、トレイ40に設けられており溝部52内を移動可能なボス部53と、を有しているため、溝部52とボス部53を用いた構成でトレイ40のリテーナ20に対する姿勢を規制することができる。
【符号の説明】
【0044】
10 車両用収容装置
20 リテーナ
30 ベースホルダ
30a ホルダ閉位置
30b ホルダ開位置
40 トレイ
40a トレイ閉位置
40b トレイ開位置
41 トレイの上面
42 脱落防止ストッパ
43 切欠き部
50 規制機構
51 アーム
51a アームの一端部
51b アームの他端部
52 溝部
53 ボス
60 スプリング
100 車両の内装部材
A,B,C,D 回動軸
S0 リテーナの内部スペース
S 収容部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図13