(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】処理条件選択方法、基板処理方法、基板製品製造方法、処理条件選択装置、コンピュータープログラム、および、記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H01L 21/306 20060101AFI20221031BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
H01L21/306 A
H01L21/306 R
H01L21/304 643A
H01L21/304 648G
(21)【出願番号】P 2019048214
(22)【出願日】2019-03-15
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】太田 喬
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼岡 誠
(72)【発明者】
【氏名】江戸 徹
(72)【発明者】
【氏名】堀口 博司
【審査官】船越 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/176641(WO,A1)
【文献】特開2005-136345(JP,A)
【文献】特開2006-066779(JP,A)
【文献】特開平10-275753(JP,A)
【文献】特開2005-051210(JP,A)
【文献】特開2008-034877(JP,A)
【文献】特開2001-313279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を構成する対象物を処理液によって処理するときに使用可能な処理条件を、複数の参照処理条件のうちから選択する処理条件選択方法であって、
前記対象物の複数の測定位置の各々において、前記処理液による処理前に前記対象物の厚みを測定する工程と、
前記複数の測定位置でそれぞれ測定された複数の前記厚みの分布を示す厚みパターンと、予め記憶部に記憶されている複数の参照パターンとを比較して、前記複数の参照パターンのうちから、規定ルールに基づき前記厚みパターンと相関の高い参照パターンを特定する工程と、
前記複数の参照パターンにそれぞれ関連付けられた複数の参照処理条件のうち、特定された前記参照パターンに関連付けられた参照処理条件を、前記処理条件として前記記憶部から取得する工程と
を含み、
前記複数の参照パターンの各々は、参照対象物の物理量の分布を示し、
前記複数の参照処理条件の各々は、前記参照パターンを有する前記参照対象物に対して、前記処理液による処理を過去に実行したときの処理条件を示す、処理条件選択方法。
【請求項2】
前記複数の参照パターンの各々は、複数の参照グループのうちのいずれかに予め分類されており、
前記複数の参照グループは、参照パターンの形状の特徴に基づいて定められており、
前記参照パターンを特定する前記工程は、
前記厚みパターンを前記複数の参照グループのうちのいずれかの参照グループに分類する工程と、
前記複数の参照パターンのうち、前記厚みパターンが分類された前記参照グループに分類されている2以上の参照パターンを対象として、前記規定ルールに基づき前記厚みパターンと前記参照パターンとの比較を行い、前記厚みパターンと相関の高い前記参照パターンを決定する工程と
を含む、請求項1に記載の処理条件選択方法。
【請求項3】
前記複数の参照グループは、第1参照グループと第2参照グループと第3参照グループとのうちの少なくとも1つを含み、
前記第1参照グループは、前記対象物または前記参照対象物の中心部からエッジ部までの間に極小部を有するパターンのグループを示し、
前記第2参照グループは、前記対象物または前記参照対象物の中心部からエッジ部までの間に極大部を有するパターンのグループを示し、
前記第
3参照グループは、前記対象物または前記参照対象物の中心部からエッジ部に向かって一方向に傾斜しているパターンのグループを示す、請求項2に記載の処理条件選択方法。
【請求項4】
前記厚みパターンが分類された前記参照グループが前記第1参照グループである場合、前記参照パターンを決定する前記工程では、前記厚みパターンに基づく第1差分と、前記参照パターンに基づく第2差分とを比較して、比較結果に基づいて、前記厚みパターンと相関の高い前記参照パターンを決定し、
前記第1差分は、前記厚みパターンの極小部によって示される前記対象物の厚みと、前記厚みパターンのエッジ部によって示される前記対象物のエッジ部の厚みとの差分を示し、
前記第2差分は、前記参照パターンの極小部によって示される前記参照対象物の物理量と、前記参照パターンのエッジ部によって示される前記参照対象物のエッジ部の物理量との差分を示す、請求項3に記載の処理条件選択方法。
【請求項5】
前記厚みパターンが分類された前記参照グループが前記第2参照グループである場合、前記参照パターンを決定する前記工程では、前記厚みパターンに基づく第1距離と、前記参照パターンに基づく第2距離とを比較して、比較結果に基づいて、前記厚みパターンと相関の高い前記参照パターンを決定し、
前記第1距離は、前記対象物の中心部から前記厚みパターンの極大部に対応する位置までの距離を示し、
前記第2距離は、前記参照対象物の中心部から前記参照パターンの極大部に対応する位置までの距離を示す、請求項3または請求項4に記載の処理条件選択方法。
【請求項6】
前記厚みパターンが分類された前記参照グループが前記第3参照グループである場合、前記参照パターンを決定する前記工程では、前記厚みパターンの傾斜と、前記参照パターンの傾斜とを比較して、比較結果に基づいて、前記厚みパターンと相関の高い前記参照パターンを決定する、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の処理条件選択方法。
【請求項7】
前記参照パターンを特定する前記工程は、
前記厚みパターンの次元と前記参照パターンの次元とを一致させる工程をさらに含み、
前記参照パターンを決定する前記工程では、前記厚みパターンの次元と前記参照パターンの次元とが一致させられた後に、前記規定ルールに基づき前記厚みパターンと相関の高い前記参照パターンを決定する、請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の処理条件選択方法。
【請求項8】
前記複数の参照処理条件の各々は、前記参照対象物を含む基板の回転速度を示す情報と、前記参照対象物に対して前記処理液を吐出するノズルの折り返し位置を示す情報と、前記参照対象物に沿った前記ノズルの移動速度を示す情報とを含む、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の処理条件選択方法。
【請求項9】
前記厚みパターンの特徴を示す第1特徴量と、前記参照パターンの特徴を示す第2特徴量とを比較して、比較結果に基づいて、前記記憶部から取得する前記工程によって取得された前記処理条件に含まれる前記ノズルの移動速度を示す情報を調整する工程をさらに含み、
前記第1特徴量は、前記厚みパターンの極値、前記厚みパターンが示す前記対象物の中心部の厚み、または、前記厚みパターンが示す前記対象物のエッジ部の厚みを示し、
前記第2特徴量は、前記参照パターンの極値、前記参照パターンが示す前記参照対象物の中心部の物理量、または、前記参照パターンが示す前記参照対象物のエッジ部の物理量を示す、請求項8に記載の処理条件選択方法。
【請求項10】
前記参照パターンを特定する前記工程では、ユーザーからの入力装置への入力結果に基づいて、前記厚みパターンと相関の高い前記参照パターンが特定される、請求項1に記載の処理条件選択方法。
【請求項11】
前記処理液による処理前の前記対象物の前記厚みパターンと相関の高い前記参照パターンを特定または調整するために利用される情報、または、前記処理液による処理後の前記対象物の厚みパターンを評価するために利用される情報を、表示装置に表示する工程をさらに含む、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の処理条件選択方法。
【請求項12】
前記処理液は、前記対象物をエッチングするエッチング液であり、
前記物理量は、エッチングレートまたはエッチング量である、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の処理条件選択方法。
【請求項13】
前記処理液は、前記対象物を除去する除去液であり、
前記物理量は、除去レートまたは除去量である、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の処理条件選択方法。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の処理条件選択方法と、
前記処理条件選択方法において選択された前記処理条件に従って、前記対象物を前記処理液によって処理する工程と
を含む、基板処理方法。
【請求項15】
前記処理液による処理後の前記対象物の複数の測定位置の各々において、処理後の前記対象物の厚みを測定する工程をさらに含む、請求項14に記載の基板処理方法。
【請求項16】
処理前の前記対象物の厚みの分布を示す処理前の前記厚みパターンと、処理前の前記厚みパターンと相関の高い前記参照パターンと、前記処理条件と、処理後の前記対象物の厚みの分布を示す処理後の厚みパターンとを関連付けて記憶部に記憶する工程をさらに含む、請求項15に記載の基板処理方法。
【請求項17】
処理前の前記対象物の厚みの分布を示す処理前の前記厚みパターンと、処理前の前記厚みパターンと相関の高い前記参照パターンと、前記処理条件と、処理後の前記対象物の厚みの分布を示す処理後の厚みパターンと、処理後の前記厚みパターンに対する評価結果とを関連付けて記憶部に記憶する工程をさらに含む、請求項15に記載の基板処理方法。
【請求項18】
請求項14から請求項17のいずれか1項に記載の基板処理方法によって前記基板を処理して、処理後の前記基板である基板製品を製造する、基板製品製造方法。
【請求項19】
基板を構成する対象物を処理液によって処理するときに使用可能な処理条件を、複数の参照処理条件のうちから選択する処理条件選択装置であって、
前記対象物の複数の測定位置の各々において、前記処理液による処理前に前記対象物の厚みを測定する厚み測定部と、
各々が参照対象物の物理量の分布を示す複数の参照パターンを予め記憶している記憶部と、
前記複数の測定位置でそれぞれ測定された複数の前記厚みの分布を示す厚みパターンと、前記複数の参照パターンとを比較して、前記複数の参照パターンのうちから、規定ルールに基づき前記厚みパターンと相関の高い参照パターンを特定する特定部と、
前記複数の参照パターンにそれぞれ関連付けられた複数の参照処理条件のうち、特定された前記参照パターンに関連付けられた参照処理条件を、前記処理条件として前記記憶部から取得する取得部と
を備え、
前記複数の参照処理条件の各々は、前記参照パターンを有する前記参照対象物に対して、前記処理液による処理を過去に実行したときの処理条件を示す、処理条件選択装置。
【請求項20】
基板を構成する対象物を処理液によって処理するときに使用可能な処理条件を、複数の参照処理条件のうちから選択するコンピュータープログラムであって、
前記対象物の複数の測定位置の各々において、前記処理液による処理前に前記対象物の厚みを測定する工程と、
前記複数の測定位置でそれぞれ測定された複数の前記厚みの分布を示す厚みパターンと、予め記憶部に記憶されている複数の参照パターンとを比較して、前記複数の参照パターンのうちから、規定ルールに基づき前記厚みパターンと相関の高い参照パターンを特定する工程と、
前記複数の参照パターンにそれぞれ関連付けられた複数の参照処理条件のうち、特定された前記参照パターンに関連付けられた参照処理条件を、前記処理条件として前記記憶部から取得する工程と
をコンピューターに実行させ、
前記複数の参照パターンの各々は、参照対象物の物理量の分布を示し、
前記複数の参照処理条件の各々は、前記参照パターンを有する前記参照対象物に対して、前記処理液による処理を過去に実行したときの処理条件を示す、コンピュータープログラム。
【請求項21】
請求項20に記載のコンピュータープログラムを記憶した記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理条件選択方法、基板処理方法、基板製品製造方法、処理条件選択装置、コンピュータープログラム、および、記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されている半導体装置では、対応表を作成して、半導体基板上に形成された絶縁膜のエッチング時間を決定する。対応表は、半導体基板上に形成されたストッパ膜の膜厚平均値と絶縁膜のエッチング時間とを対比させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている半導体装置では、対応表は、基板の特定の25ポイントについて、ストッパ膜の膜厚を測定し、測定結果から求められる膜厚平均値と、絶縁膜のエッチング時間とを対比させているに過ぎない。
【0005】
一方、本願の発明者は、基板のある位置(以下、「位置LC」と記載する。)についてのエッチング処理が、位置LCの近傍の膜厚分布に影響を与えることの知見を有している。
【0006】
従って、対応表が、基板の特定の25ポイントの膜厚平均値に対して良好なエッチング時間を定めていても、基板の広範な領域にわたって絶縁膜のエッチングが良好であるとは限らない。その結果、基板の広範な領域を観察すると、エッチング後の絶縁膜の厚みにバラツキが発生する可能性がある。
【0007】
換言すれば、エッチング液等の処理液による処理後の対象物の厚みにバラツキが発生する可能性がある。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板を構成する対象物の広範な領域において、処理後の対象物の厚みのバラツキを抑制できる処理条件選択方法、基板処理方法、基板製品製造方法、処理条件選択装置、コンピュータープログラム、および、記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面によれば、処理条件選択方法においては、基板を構成する対象物を処理液によって処理するときに使用可能な処理条件を、複数の参照処理条件のうちから選択する。処理条件選択方法は、前記対象物の複数の測定位置の各々において、前記処理液による処理前に前記対象物の厚みを測定する工程と、前記複数の測定位置でそれぞれ測定された複数の前記厚みの分布を示す厚みパターンと、予め記憶部に記憶されている複数の参照パターンとを比較して、前記複数の参照パターンのうちから、規定ルールに基づき前記厚みパターンと相関の高い参照パターンを特定する工程と、前記複数の参照パターンにそれぞれ関連付けられた複数の参照処理条件のうち、特定された前記参照パターンに関連付けられた参照処理条件を、前記処理条件として前記記憶部から取得する工程とを含む。前記複数の参照パターンの各々は、参照対象物の物理量の分布を示す。前記複数の参照処理条件の各々は、前記参照パターンを有する前記参照対象物に対して、前記処理液による処理を過去に実行したときの処理条件を示す。
【0010】
本発明の処理条件選択方法において、前記複数の参照パターンの各々は、複数の参照グループのうちのいずれかに予め分類されていることが好ましい。前記複数の参照グループは、参照パターンの形状の特徴に基づいて定められていることが好ましい。前記参照パターンを特定する前記工程は、前記厚みパターンを前記複数の参照グループのうちのいずれかの参照グループに分類する工程と、前記複数の参照パターンのうち、前記厚みパターンが分類された前記参照グループに分類されている2以上の参照パターンを対象として、前記規定ルールに基づき前記厚みパターンと前記参照パターンとの比較を行い、前記厚みパターンと相関の高い前記参照パターンを決定する工程とを含むことが好ましい。
【0011】
本発明の処理条件選択方法において、前記複数の参照グループは、第1参照グループと第2参照グループと第3参照グループとのうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。前記第1参照グループは、前記対象物または前記参照対象物の中心部からエッジ部までの間に極小部を有するパターンのグループを示すことが好ましい。前記第2参照グループは、前記対象物または前記参照対象物の中心部からエッジ部までの間に極大部を有するパターンのグループを示すことが好ましい。前記第3参照グループは、前記対象物または前記参照対象物の中心部からエッジ部に向かって一方向に傾斜しているパターンのグループを示すことが好ましい。
【0012】
本発明の処理条件選択方法において、前記厚みパターンが分類された前記参照グループが前記第1参照グループである場合、前記参照パターンを決定する前記工程では、前記厚みパターンに基づく第1差分と、前記参照パターンに基づく第2差分とを比較して、比較結果に基づいて、前記厚みパターンと相関の高い前記参照パターンを決定することが好ましい。前記第1差分は、前記厚みパターンの極小部によって示される前記対象物の厚みと、前記厚みパターンのエッジ部によって示される前記対象物のエッジ部の厚みとの差分を示すことが好ましい。前記第2差分は、前記参照パターンの極小部によって示される前記参照対象物の物理量と、前記参照パターンのエッジ部によって示される前記参照対象物のエッジ部の物理量との差分を示すことが好ましい。
【0013】
本発明の処理条件選択方法において、前記厚みパターンが分類された前記参照グループが前記第2参照グループである場合、前記参照パターンを決定する前記工程では、前記厚みパターンに基づく第1距離と、前記参照パターンに基づく第2距離とを比較して、比較結果に基づいて、前記厚みパターンと相関の高い前記参照パターンを決定することが好ましい。前記第1距離は、前記対象物の中心部から前記厚みパターンの極大部に対応する位置までの距離を示すことが好ましい。前記第2距離は、前記参照対象物の中心部から前記参照パターンの極大部に対応する位置までの距離を示すことが好ましい。
【0014】
本発明の処理条件選択方法において、前記厚みパターンが分類された前記参照グループが前記第3参照グループである場合、前記参照パターンを決定する前記工程では、前記厚みパターンの傾斜と、前記参照パターンの傾斜とを比較して、比較結果に基づいて、前記厚みパターンと相関の高い前記参照パターンを決定することが好ましい。
【0015】
本発明の処理条件選択方法において、前記参照パターンを特定する前記工程は、前記厚みパターンの次元と前記参照パターンの次元とを一致させる工程をさらに含むことが好ましい。前記参照パターンを決定する前記工程では、前記厚みパターンの次元と前記参照パターンの次元とが一致させられた後に、前記規定ルールに基づき前記厚みパターンと相関の高い前記参照パターンを決定することが好ましい。
【0016】
本発明の処理条件選択方法において、前記複数の参照処理条件の各々は、前記参照対象物を含む基板の回転速度を示す情報と、前記参照対象物に対して前記処理液を吐出するノズルの折り返し位置を示す情報と、前記参照対象物に沿った前記ノズルの移動速度を示す情報とを含むことが好ましい。
【0017】
本発明の処理条件選択方法は、前記厚みパターンの特徴を示す第1特徴量と、前記参照パターンの特徴を示す第2特徴量とを比較して、比較結果に基づいて、前記記憶部から取得する前記工程によって取得された前記処理条件に含まれる前記ノズルの移動速度を示す情報を調整する工程をさらに含むことが好ましい。前記第1特徴量は、前記厚みパターンの極値、前記厚みパターンが示す前記対象物の中心部の厚み、または、前記厚みパターンが示す前記対象物のエッジ部の厚みを示すことが好ましい。前記第2特徴量は、前記参照パターンの極値、前記参照パターンが示す前記参照対象物の中心部の物理量、または、前記参照パターンが示す前記参照対象物のエッジ部の物理量を示すことが好ましい。
【0018】
本発明の処理条件選択方法において、前記参照パターンを特定する前記工程では、ユーザーからの入力装置への入力結果に基づいて、前記厚みパターンと相関の高い前記参照パターンが特定されてもよい。
【0019】
本発明の処理条件選択方法は、前記処理液による処理前の前記対象物の前記厚みパターンと相関の高い前記参照パターンを特定または調整するために利用される情報、または、前記処理液による処理後の前記対象物の厚みパターンを評価するために利用される情報を、表示装置に表示する工程をさらに含むことが好ましい。
【0020】
本発明の処理条件選択方法において、前記処理液は、前記対象物をエッチングするエッチング液であることが好ましい。前記物理量は、エッチングレートまたはエッチング量であることが好ましい。
【0021】
本発明の処理条件選択方法において、前記処理液は、前記対象物を除去する除去液であることが好ましい。前記物理量は、除去レートまたは除去量であることが好ましい。
【0022】
本発明の他の局面によれば、基板処理方法は、上記一局面による処理条件選択方法と、前記処理条件選択方法において選択された前記処理条件に従って、前記対象物を前記処理液によって処理する工程とを含む。
【0023】
本発明の基板処理方法は、前記処理液による処理後の前記対象物の複数の測定位置の各々において、処理後の前記対象物の厚みを測定する工程をさらに含むことが好ましい。
【0024】
本発明の基板処理方法は、処理前の前記対象物の厚みの分布を示す処理前の前記厚みパターンと、処理前の前記厚みパターンと相関の高い前記参照パターンと、前記処理条件と、処理後の前記対象物の厚みの分布を示す処理後の厚みパターンとを関連付けて記憶部に記憶する工程をさらに含むことが好ましい。
【0025】
本発明の基板処理方法は、処理前の前記対象物の厚みの分布を示す処理前の前記厚みパターンと、処理前の前記厚みパターンと相関の高い前記参照パターンと、前記処理条件と、処理後の前記対象物の厚みの分布を示す処理後の厚みパターンと、処理後の前記厚みパターンに対する評価結果とを関連付けて記憶部に記憶する工程をさらに含むことが好ましい。
【0026】
本発明のさらに他の局面によれば、基板製品製造方法においては、上記他の局面による基板処理方法によって前記基板を処理して、処理後の前記基板である基板製品を製造する。
【0027】
本発明のさらに他の局面によれば、処理条件選択装置は、基板を構成する対象物を処理液によって処理するときに使用可能な処理条件を、複数の参照処理条件のうちから選択する。処理条件選択装置は、厚み測定部と、記憶部と、特定部と、取得部とを備える。厚み測定部は、前記対象物の複数の測定位置の各々において、前記処理液による処理前に前記対象物の厚みを測定する。記憶部は、各々が参照対象物の物理量の分布を示す複数の参照パターンを予め記憶している。特定部は、前記複数の測定位置でそれぞれ測定された複数の前記厚みの分布を示す厚みパターンと、前記複数の参照パターンとを比較して、前記複数の参照パターンのうちから、規定ルールに基づき前記厚みパターンと相関の高い参照パターンを特定する。取得部は、前記複数の参照パターンにそれぞれ関連付けられた複数の参照処理条件のうち、特定された前記参照パターンに関連付けられた参照処理条件を、前記処理条件として前記記憶部から取得する。前記複数の参照処理条件の各々は、前記参照パターンを有する前記参照対象物に対して、前記処理液による処理を過去に実行したときの処理条件を示す。
【0028】
本発明のさらに他の局面によれば、コンピュータープログラムは、基板を構成する対象物を処理液によって処理するときに使用可能な処理条件を、複数の参照処理条件のうちから選択する。コンピュータープログラムは、前記対象物の複数の測定位置の各々において、前記処理液による処理前に前記対象物の厚みを測定する工程と、前記複数の測定位置でそれぞれ測定された複数の前記厚みの分布を示す厚みパターンと、予め記憶部に記憶されている複数の参照パターンとを比較して、前記複数の参照パターンのうちから、規定ルールに基づき前記厚みパターンと相関の高い参照パターンを特定する工程と、前記複数の参照パターンにそれぞれ関連付けられた複数の参照処理条件のうち、特定された前記参照パターンに関連付けられた参照処理条件を、前記処理条件として前記記憶部から取得する工程とをコンピューターに実行させる。前記複数の参照パターンの各々は、参照対象物の物理量の分布を示す。前記複数の参照処理条件の各々は、前記参照パターンを有する前記参照対象物に対して、前記処理液による処理を過去に実行したときの処理条件を示す。
【0029】
本発明のさらに他の局面によれば、記憶媒体は、上記他の局面によるコンピュータープログラムを記憶している。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、基板を構成する対象物の広範な領域において、処理後の対象物の厚みのバラツキを抑制できる処理条件選択方法、基板処理方法、基板製品製造方法、処理条件選択装置、コンピュータープログラム、および、記憶媒体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の実施形態に係る基板処理装置を示す図である。
【
図2】実施形態に係る基板処理装置のノズルによる基板のスキャン処理を示す平面図である。
【
図3】実施形態に係る基板処理装置の光学プローブによる基板のスキャン処理を示す平面図である。
【
図4】(a)は、実施形態に係る基板処理装置によるエッチング前の厚みパターンを示す図である。(b)は、実施形態に係る基板処理装置によるエッチングレート分布を示す図である。(c)は、実施形態に係る基板処理装置によるエッチング後の厚みパターンを示す図である。
【
図5】実施形態に係る基板処理装置の制御装置を示すブロック図である。
【
図6】(a)は、実施形態に係る第1参照グループに分類される厚みパターンを示す図である。(b)は、実施形態に係る第2参照グループに分類される厚みパターンを示す図である。(c)は、実施形態に係る第3参照グループに分類される厚みパターンを示す図である。
【
図7】(a)は、実施形態に係る第1参照グループに分類される複数の参照パターンを示す図である。(b)は、実施形態に係る第1参照グループに分類される参照パターンの詳細を示す図である。
【
図8】(a)は、実施形態に係る第2参照グループに分類される複数の参照パターンを示す図である。(b)は、実施形態に係る第2照グループに分類される参照パターンの詳細を示す図である。
【
図9】(a)は、実施形態に係る第3参照グループに分類される複数の参照パターンを示す図である。(b)は、実施形態に係る第3参照グループに分類される参照パターンの詳細を示す図である。
【
図10】実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、本発明の実施形態において、X軸、Y軸、及びZ軸は互いに直交し、X軸及びY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。なお、「平面視」は、鉛直上方から対象を見ることを示す。
【0033】
図1~
図11を参照して、本発明の実施形態に係る基板処理装置100を説明する。まず、
図1を参照して基板処理装置100を説明する。
図1は、基板処理装置100を示す図である。
図1に示す基板処理装置100は、基板Wを処理液によって処理する。
【0034】
具体的には、基板処理装置100は、基板Wを構成する対象物を処理液によって処理する。以下、処理液による処理対象である対象物を「対象物TG」と記載する。基板Wを構成する対象物TGは、例えば、基板本体(例えば、シリコンからなる基板本体)、または、基板本体の表面に形成された物質である。基板本体の表面に形成された物質は、例えば、基板本体と同じ材料の物質(例えば、シリコンからなる層)、または、基板本体と異なる材料の物質(例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、または、レジスト)である。「物質」は膜を構成していてもよい。
【0035】
基板処理装置100は、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉型である。基板Wは略円板状である。
【0036】
基板Wは、例えば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display:FED)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、又は、太陽電池用基板である。以下の実施形態の説明では、基板Wは、半導体ウエハである。
【0037】
特に、本実施形態では、基板処理装置100は、基板Wを構成する対象物TGを処理液によって処理するときに使用可能な処理条件を、複数の参照処理条件のうちから選択する「処理条件選択装置」として機能する。
【0038】
図1に示すように、基板処理装置100は、処理ユニット1と、表示装置19と、入力装置20と、制御装置21と、バルブV1と、供給配管K1と、バルブV2と、供給配管K2とを備える。
【0039】
制御装置21は、処理ユニット1、表示装置19、入力装置20、バルブV1、および、バルブV2を制御する。表示装置19は各種情報を表示する。表示装置19は、例えば、液晶ディスプレイである。入力装置20は、ユーザーからの入力を受け付けて、入力結果を示す情報を制御装置21に出力する。入力装置20は、例えば、タッチパネルおよびポインティングデバイスを含む。タッチパネルは、例えば、表示装置19の表示面に配置される。表示装置19と入力装置20とは、例えば、グラフィカルユーザーインターフェースを構成する。
【0040】
処理ユニット1は、基板Wに処理液を吐出して基板Wを処理する。具体的には、処理ユニット1は、チャンバー2と、スピンチャック3と、スピンモーター5と、ノズル7と、ノズル移動部9と、ノズル11と、複数のガード13(本実施形態では2つのガード13)と、厚み測定部15と、プローブ移動部17とを含む。
【0041】
チャンバー2は略箱形状を有する。チャンバー2は、基板W、スピンチャック3、スピンモーター5、ノズル7、ノズル移動部9、ノズル11、複数のガード13、厚み測定部15、プローブ移動部17、供給配管K1の一部、および、供給配管K2の一部を収容する。
【0042】
スピンチャック3は、基板Wを保持して回転する。具体的には、スピンチャック3は、チャンバー2内で基板Wを水平に保持しながら、回転軸線AXの回りに基板Wを回転させる。具体的には、スピンチャック3は、スピンモーター5によって駆動されて回転する。
【0043】
スピンチャック3は、複数のチャック部材32と、スピンベース33とを含む。複数のチャック部材32は、基板Wの周縁に沿ってスピンベース33に設けられる。複数のチャック部材32は基板Wを水平な姿勢で保持する。スピンベース33は、略円板状であり、水平な姿勢で複数のチャック部材32を支持する。スピンモーター5は、スピンベース33を回転軸線AXの回りに回転させる。従って、スピンベース33は回転軸線AXの回りに回転する。その結果、スピンベース33に設けられた複数のチャック部材32に保持された基板Wが回転軸線AXの回りに回転する。具体的には、スピンモーター5は、モーター本体51と、シャフト53とを含む。シャフト53はスピンベース33に結合される。そして、モーター本体51は、シャフト53を回転させることで、スピンベース33を回転させる。
【0044】
ノズル7は、基板Wの回転中に基板Wに向けて処理液を吐出する。処理液は薬液である。
【0045】
以下、本実施形態では、基板処理装置100が基板W(具体的には対象物TG)に対してエッチング処理を実行し、処理液がエッチング液である場合を説明する。従って、基板処理装置100は、基板Wを構成する対象物TGをエッチング液によってエッチング処理するときに使用可能な処理条件を、複数の参照処理条件のうちから選択する「処理条件選択装置」として機能する。
【0046】
エッチング液は、例えば、フッ硝酸(フッ酸(HF)と硝酸(HNO3)との混合液)、フッ酸、バファードフッ酸(BHF)、フッ化アンモニウム、HFEG(フッ酸とエチレングリコールとの混合液)、または、燐酸(H3PO4)である。
【0047】
供給配管K1はノズル7にエッチング液を供給する。バルブV1は、ノズル7に対するエッチング液の供給開始と供給停止とを切り替える。
【0048】
ノズル移動部9は、略鉛直方向および略水平方向にノズル7を移動する。具体的には、ノズル移動部9は、アーム91と、回動軸93と、ノズル移動機構95とを含む。アーム91は略水平方向に沿って延びる。アーム91の先端部にはノズル7が配置される。アーム91は回動軸93に結合される。回動軸93は、略鉛直方向に沿って延びる。ノズル移動機構95は、回動軸93を略鉛直方向に沿った回動軸線のまわりに回動させて、アーム91を略水平面に沿って回動させる。その結果、ノズル7が略水平面に沿って移動する。また、ノズル移動機構95は、回動軸93を略鉛直方向に沿って昇降させて、アーム91を昇降させる。その結果、ノズル7が略鉛直方向に沿って移動する。ノズル移動機構95は、例えば、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与える電動モーターとを含む。
【0049】
ノズル11は、基板Wの回転中に基板Wに向けてリンス液を吐出する。リンス液は、例えば、脱イオン水、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、または、希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水である。
【0050】
供給配管K2はノズル11にリンス液を供給する。バルブV2は、ノズル11に対するリンス液の供給開始と供給停止とを切り替える。
【0051】
複数のガード13の各々は略筒形状を有する。複数のガード13の各々は、基板Wから排出された処理液又はリンス液を受け止める。
【0052】
厚み測定部15は、対象物TGの厚みを非接触方式で測定して、対象物TGの厚みを示す情報を制御装置21に出力する。厚み測定部15は、例えば、分光干渉法によって対象物TGの厚みを測定する。具体的には、厚み測定部15は、光学プローブ151と、接続線153と、厚み測定器155とを含む。光学プローブ151はレンズを含む。接続線153は、光学プローブ151と厚み測定器155とを接続する。接続線153は光ファイバーを含む。厚み測定器155は、光源と受光素子とを含む。厚み測定器155の光源が出射した光は、接続線153および光学プローブ151を介して、対象物TGに出射される。対象物TGによって反射された光は、光学プローブ151および接続線153を介して、厚み測定器155の受光素子に受光される。厚み測定器155は、受光された光を解析して、解析結果に基づいて、対象物TGの厚みを算出する。厚み測定器155は、対象物TGの厚みを示す情報を制御装置21に出力する。
【0053】
プローブ移動部17は、略鉛直方向および略水平方向に光学プローブ151を移動する。具体的には、プローブ移動部17は、アーム171と、回動軸173と、プローブ移動機構175とを含む。アーム171は略水平方向に沿って延びる。アーム171の先端部には光学プローブ151が配置される。アーム171は回動軸173に結合される。回動軸173は、略鉛直方向に沿って延びる。プローブ移動機構175は、回動軸173を略鉛直方向に沿った回動軸線のまわりに回動させて、アーム171を略水平面に沿って回動させる。その結果、光学プローブ151が略水平面に沿って移動する。また、プローブ移動機構175は、回動軸173を略鉛直方向に沿って昇降させて、アーム171を昇降させる。その結果、光学プローブ151が略鉛直方向に沿って移動する。プローブ移動機構175は、例えば、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与える電動モーターとを含む。
【0054】
次に、
図2を参照して、ノズル7による基板Wのスキャン処理を説明する。
図2は、ノズル7による基板Wのスキャン処理を示す平面図である。
図2に示すように、ノズル7によるスキャン処理とは、平面視において、対象物TGの表面に対する処理液の着液位置が円弧状の軌跡TJ1を形成するように、ノズル7を移動しながら、処理液を対象物TGに吐出する処理のことである。軌跡TJ1は、基板Wのエッジ部EGと基板Wの中心部CTとを通る。中心部CTは、基板Wのうち回転軸線AXが通る部分を示す。エッジ部EGは、基板Wの周縁部を示す。ノズル7による基板Wのスキャン処理は、基板Wの回転中に実行される。ノズル7による基板Wのスキャン処理中は、ノズル7の移動速度は一定である。ノズル7の移動速度は、例えば、ノズル7が移動するときのノズル7の角速度または速度によって示される。
【0055】
具体的には、ノズル7は、時計回りの回動方向RT1への回動と、反時計回りの回動方向RT2への回動とを行う。つまり、ノズル7は、回動方向RT1へ回動して、折り返し位置TR1で折り返して、回動方向RT2に回動する。そして、ノズル7は、折り返し位置TR2で折り返して、回動方向RT1に回動する。つまり、ノズル7は、折り返し位置TR1と折り返し位置TR2との間で移動を繰り返す。折り返し位置TR1は、回動方向RT1でのノズル7の折り返し位置を示す。折り返し位置TR2は、回動方向RT2でのノズル7の折り返し位置を示す。折り返し位置TR1と折り返し位置TR2とは、平面視において、軌跡TJ1上で中心部CTを挟んでいる。折り返し位置TR1と折り返し位置TR2とは、処理液による処理条件に応じて適宜変更される。なお、折り返し位置TR3については後述する。
【0056】
次に、
図3を参照して、光学プローブ151による基板Wのスキャン処理を説明する。
図3は、光学プローブ151による基板Wのスキャン処理を示す平面図である。
図3に示すように、光学プローブ151によるスキャン処理とは、平面視において、対象物TGに対する厚みの測定位置が円弧状の軌跡TJ2を形成するように、光学プローブ151を移動しながら、対象物TGの厚みを測定する処理のことである。軌跡TJ2は、基板Wのエッジ部EGと基板Wの中心部CTとを通る。光学プローブ151による基板Wのスキャン処理は、基板Wの回転中に実行される。
【0057】
具体的には、光学プローブ151は、平面視において、基板Wの中心部CTとエッジ部EGとの間を移動しながら、測定位置を移動する。換言すれば、厚み測定部15は、対象物TGの複数の測定位置の各々において、対象物TGの厚みを測定する。その結果、基板Wの中心部CTからエッジ部EGまでにおいて、対象物TGの厚みの分布が測定される。つまり、基板Wの径方向RDにおける対象物TGの厚みの分布が測定される。
【0058】
次に、
図4(a)~
図4(c)を参照して、基板処理装置100による基板W(具体的には対象物TG)に対するエッチング処理を説明する。
図4(a)は、エッチング前の厚みパターンTA、TB、TCを示す図である。
図4(b)は、エッチングレート分布EA、EB、ECを示す図である。
図4(c)は、エッチング後の厚みパターンTAR、TBR、TCRを示す図である。「厚みパターン」は、対象物TGの複数の測定位置でそれぞれ測定された複数の厚みの分布を示す。つまり、「厚みパターン」は、基板Wの径方向RDにおける対象物TGの厚みの分布を示す。
【0059】
図4(a)~
図4(c)において、横軸は、基板W上の位置を示している。
図4(a)および
図4(c)において、縦軸は、対象物TGの厚みを示している。
図4(b)において、縦軸は、対象物TGのエッチングレートを示している。エッチングレートは、単位時間当たりのエッチング量のことである。
【0060】
図4(a)に示すように、対象物TGがエッチング前に厚みパターンTAを有する場合、
図4(b)に示すように、厚みパターンTAと相関の高いエッチングレート分布EAを有するように処理条件が定められて、エッチング処理が実行される。その結果、本実施形態によれば、
図4(c)に示すように、対象物TGがエッチング前に厚みパターンTAを有する場合に、エッチング後の対象物TGの厚みパターンTARが略フラットなる。つまり、対象物TGの広範な領域(中心部CTからエッジ部EGまでの領域)において、エッチング後の対象物TGの厚みのバラツキを抑制できる。
【0061】
同様に、
図4(a)および
図4(b)に示すように、エッチング前の対象物TGの厚みパターンTBと相関の高いエッチングレート分布EBを有するように処理条件が定められて、エッチング処理が実行される。その結果、
図4(c)に示すように、対象物TGがエッチング前に厚みパターンTBを有する場合に、エッチング後の対象物TGの厚みパターンTBRが略フラットなる。
【0062】
同様に、
図4(a)および
図4(b)に示すように、エッチング前の対象物TGの厚みパターンTCと相関の高いエッチングレート分布ECを有するように処理条件が定められて、エッチング処理が実行される。その結果、
図4(c)に示すように、対象物TGがエッチング前に厚みパターンTCを有する場合に、エッチング後の対象物TGの厚みパターンTCRが略フラットなる。
【0063】
なお、仮に、対象物の厚みが径方向に略均一であること(つまり、対象物の厚みパターンが略フラットであること)を前提として、エッチングレート分布が略一定となる処理条件が定められている場合は、対象物の厚みが径方向に不均一であると、エッチング後の対象物の厚みパターンが略フラットにならず、エッチング後の対象物の厚みにバラツキが発生し得る。
【0064】
次に、
図5を参照して、制御装置21を説明する。
図5は、制御装置21を示すブロック図である。
図5に示すように、制御装置21は、制御部31と、記憶部41とを含む。制御部31は記憶部41を制御する。また、制御部31は、基板処理装置100のその他の各構成を制御する。
【0065】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーを含む。記憶部41は、記憶装置を含み、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。具体的には、記憶部41は、半導体メモリーのような主記憶装置と、半導体メモリー及び/又はハードディスクドライブのような補助記憶装置とを含む。記憶部41は、光ディスクのようなリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部31のプロセッサーは、記憶部41の記憶装置が記憶しているコンピュータープログラムを実行して、基板処理装置100の各構成を制御する。
【0066】
具体的には、記憶部41は、レシピデータ415と、コンピュータープログラム417とを記憶する。また、記憶部41は、参照パターンデータベース411を含む。記憶部41は、処理結果データベース413を含むことが好ましい。
【0067】
参照パターンデータベース411は、複数の参照パターンRPを記憶している。複数の参照パターンRPの各々は、複数の参照グループGのうちのいずれかに予め分類されている。複数の参照グループGは、参照パターンRPの形状の特徴に基づいて定められている。また、参照パターンデータベース411は、複数の参照処理条件を記憶している。複数の参照処理条件は、それぞれ、複数の参照パターンRPに関連付けられている。
【0068】
処理結果データベース413は、処理液による対象物TGの処理結果を示す情報を記憶する。レシピデータ415は、複数のレシピを示す情報を含む。複数のレシピの各々は、基板Wの処理内容及び処理手順を規定する。コンピュータープログラム417は、制御部31のプロセッサーに、本実施形態に係る処理条件選択方法を含む基板処理方法を実行させる。例えば、コンピュータープログラム417は、基板Wを構成する対象物TGを処理液によって処理するときに使用可能な処理条件を、複数の参照処理条件のうちから選択するように、制御部31のプロセッサーを動作させる。プロセッサーは「コンピューター」の一例に相当する。
【0069】
制御部31は、特定部311と、取得部313とを含む。制御部31のプロセッサーは、コンピュータープログラム417を実行して、特定部311および取得部313として機能する。
【0070】
特定部311は、処理液による処理前に厚み測定部15によって測定された対象物TGの厚みを示す情報を、厚み測定部15から取得する。対象物TGの厚みを示す情報は、処理液による処理前の対象物TGの厚みパターン(以下、「厚みパターンTM」と記載する場合がある。)を含む。
【0071】
特定部311は、厚みパターンTMと、予め記憶部41(具体的には、参照パターンデータベース411)に記憶されている複数の参照パターンRPとを比較する。そして、特定部311は、複数の参照パターンRPのうちから、規定ルール(以下、「規定ルールRU」と記載する。)に基づき厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRPを特定する。換言すれば、本明細書において、「厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRP」は、例えば、「厚みパターンTMの形状(プロファイル)と類似する形状(プロファイル)を有する参照パターンRP」である。
【0072】
例えば、特定部311は、複数の参照パターンRPのうちから、規定ルールRUに基づき厚みパターンTMと最も相関の高い参照パターンRPを特定する。換言すれば、本明細書において、「厚みパターンTMと最も相関の高い参照パターンRP」は、例えば、「厚みパターンTMの形状(プロファイル)と最も近似する形状(プロファイル)を有する参照パターンRP」である。
【0073】
相関が高いことの基準は、規定ルールRUに定められている。相関が高いことの基準は、実験的および/経験的に定められる。例えば、相関が高いことは、厚みパターンTMと参照パターンRPとの間で、1以上の特徴が一致または近似することを示す。
【0074】
厚みパターンTMと最も相関の高い複数の参照パターンRPが存在する場合は、特定部311は、参照パターンデータベース411への登録日時が最も新しい参照パターンRPを選択する。そして、特定部311は、選択した参照パターンRPを、「厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRP」として特定する。
【0075】
規定ルールRUを示す情報は、例えば、記憶部41に記憶されている。記憶部41は、複数の規定ルールRUを記憶していてもよい。この場合、ユーザーは、入力装置20を介して、複数の規定ルールRUのうちから、状況に応じた規定ルールRUを選択することができる。そして、特定部311は、ユーザーによって選択された規定ルールRUに基づき比較動作を行って、厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRPを特定する。
【0076】
また、規定ルールRUを内蔵または読み込み可能な検索エンジンを利用してもよい。検索エンジンは、厚みパターンTMを入力情報として検索することにより比較動作を行って、厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRPを特定する。
【0077】
複数の参照パターンRPの各々は、参照対象物の物理量の分布を示す。参照対象物は、過去に処理された基板を構成する対象物である。参照対象物は、例えば、過去に処理された基板本体である。または、参照対象物は、例えば、基板本体の表面に形成された物質であって、過去に処理された物質である。基板本体の表面に形成された物質は、例えば、基板本体と同じ材料の物質、または、基板本体と異なる材料の物質である。「物質」は膜を構成していてもよい。
【0078】
「過去に処理された基板」の素材および構成は、対象物TGを含む基板Wの素材および構成と同様である。また、「参照対象物」の素材および構成は、対象物TGの素材および構成と同様である。
【0079】
取得部313は、複数の参照パターンRPにそれぞれ関連付けられた複数の参照処理条件のうち、特定部311によって特定された参照パターンRPに関連付けられた参照処理条件を、対象物TGに対する処理条件として記憶部41(具体的には、参照パターンデータベース411)から取得する。つまり、取得部313は、取得した参照処理条件を処理条件に決定する。「処理条件」は、対象物TGを処理液によって処理するときに使用可能な処理条件である。
【0080】
複数の参照処理条件の各々は、参照処理条件が関連付けられている参照パターンRPを有する参照対象物に対して、処理液による処理を過去に実行したときの処理条件を示す。この場合の「処理液」は、対象物TGを処理するときの処理液と同様である。
【0081】
以上、
図5を参照して説明したように、本実施形態によれば、対象物TGの厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRPに関連付けられた参照処理条件が、対象物TGに対する処理条件として取得される。つまり、対象物TGの厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRPに関連付けられた参照処理条件が、複数の参照処理条件のうちから、対象物TGに対する処理条件として選択される。従って、選択された処理条件に従って対象物TGを処理することで、基板Wを構成する対象物TGの広範な領域において、処理後の対象物TGの厚みのバラツキを抑制できる。本実施形態では、「広範な領域」は、基板Wの中心部CTからエッジ部EGまでの領域を示す。
【0082】
特に、本実施形態では、処理液は、対象物TGをエッチングするエッチング液である。この場合、参照パターンRPを定義する「参照対象物の物理量の分布」における「物理量」は、エッチングレートである。つまり、参照パターンRPは、参照対象物のエッチングレートの分布を示す。
【0083】
従って、対象物TGの厚みパターンTMと相関の高いエッチングレートの分布を示す参照パターンRPが選択される。そして、このようなエッチングレートの分布を示す参照パターンRPに関連付けられた参照処理条件が、対象物TGに対する処理条件として取得される。従って、取得された処理条件に従って対象物TGをエッチング処理することで、対象物TGの広範な領域において、エッチング処理後の対象物TGの厚みのバラツキを抑制できる。つまり、対象物TGの広範な領域において、エッチング処理後の対象物TGの厚みパターン(以下、「厚みパターンTMR」と記載する場合がある。)を略フラットにできる。
【0084】
図4(a)~
図4(c)を例に挙げると、
図4(a)に示すエッチング処理前の厚みパターンTA~TCの各々が、エッチング処理前の厚みパターンTMに相当する。また、
図4(b)に示すエッチングレート分布EA~ECの各々が、厚みパターンTMと相関の高いエッチングレートの分布を示す参照パターンRPに相当する。さらに、
図4(c)に示すエッチング処理後の厚みパターンTAR~TCRの各々が、エッチング処理後の厚みパターンTMRに相当する。
【0085】
なお、参照パターンRPを定義する「参照対象物の物理量の分布」における「物理量」は、エッチング量であってもよい。つまり、参照パターンRPは、参照対象物のエッチング量の分布を示していてもよい。
【0086】
また、本実施形態では、複数の参照処理条件の各々は、参照対象物を含む基板の回転速度を示す情報と、参照対象物に対して処理液を吐出するノズル7の折り返し位置を示す情報と、参照対象物に沿ったノズル7の移動速度を示す情報とを含む。従って、対象物TGの厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRPに関連付けられた参照処理条件を、対象物TGに対する処理条件として取得することで、対象物TGの厚みパターンTMに応じて、処理時の基板Wの回転速度と、対象物TGに対して処理液を吐出するノズル7の折り返し位置と、対象物TGに沿ったノズル7の移動速度とを適切に決定できる。その結果、対象物TGの広範な領域において、処理後の対象物TGの厚みのバラツキをさらに抑制できる。具体的には、対象物TGの広範な領域において、エッチング処理後の対象物TGの厚みのバラツキをさらに抑制できる。
【0087】
引き続き、
図5を参照して、制御部31の特定部311を説明する。
図5に示すように、特定部311は、分類部311aと、決定部311cとを含むことが好ましい。
【0088】
分類部311aは、エッチング処理前の対象物TGの厚みパターンTMを複数の参照グループGのうちのいずれかの参照グループGに分類する。そして、決定部311cは、複数の参照パターンRPのうち、対象物TGの厚みパターンTMが分類された参照グループGに分類されている2以上の参照パターンRPを対象として、規定ルールRUに基づき厚みパターンTMと参照パターンRPとの比較を行い、厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRPを決定する。従って、本実施形態によれば、全ての参照パターンRPの各々と厚みパターンTMとを比較して厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRPを特定する場合と比較して、厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRPを短時間で決定できる。「決定部311cによって決定された参照パターンRP」が、「特定部311によって特定された参照パターンRP」に相当する。
【0089】
例えば、決定部311cは、複数の参照パターンRPのうち、対象物TGの厚みパターンTMが分類された参照グループGに分類されている2以上の参照パターンRPから、厚みパターンTMと最も相関の高い参照パターンRPを決定する。
【0090】
厚みパターンTMと最も相関の高い複数の参照パターンRPが存在する場合は、決定部311cは、参照パターンデータベース411への登録日時が最も新しい参照パターンRPを選択する。そして、決定部311cは、選択した参照パターンRPを、「厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRP」と決定する。
【0091】
規定ルールRUは、参照グループGごとに定められている。規定ルールRUを示す情報は、例えば、記憶部41に参照グループGごとに記憶されている。記憶部41は、参照グループGごとに、複数の規定ルールRUを記憶していてもよい。この場合、ユーザーは、入力装置20を介して、参照グループGに応じて、複数の規定ルールRUのうちから、状況に応じた規定ルールRUを選択することができる。そして、決定部311cは、ユーザーによって選択された規定ルールRUに基づき比較動作を行って、厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRPを決定する。
【0092】
また、規定ルールRUを内蔵または読み込み可能な検索エンジンを利用してもよい。検索エンジンは、厚みパターンTMが分類された参照グループGに分類されている2以上の参照パターンRPを対象として、厚みパターンTMを入力情報として検索することにより比較動作を行って、厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRPを決定する。
【0093】
取得部313は、決定部311cによって決定された参照パターンRPに関連付けられた参照処理条件を、対象物TGに対する処理条件として記憶部41(具体的には、参照パターンデータベース411)から取得する。
【0094】
特定部311は、前処理部311bをさらに含むことが好ましい。前処理部311bは、対象物TGの厚みパターンTMの次元([長さL])と参照パターンRPの次元([長さL]/[時間T])とを一致させる。
【0095】
例えば、前処理部311bは、参照パターンRPの次元を厚みパターンTMの次元に変換する。この場合、具体的には、前処理部311bは、変換係数CVを算出する。そして、前処理部311bは、厚みパターンTMが分類された参照グループGに含まれる複数の参照パターンRPの各々に変換係数CVを乗じることによって、複数の参照パターンRPの各々の次元を厚みパターンTMの次元に変換する。
【0096】
変換係数CVは、平均値AV1を平均値AV2で除することで算出される。平均値AV1は、厚みパターンTMを構成している複数の厚み値の平均値である。平均値AV2は、厚みパターンTMが分類された参照グループGに含まれる複数の参照パターンRPを構成している複数のエッチングレート値の平均値である。
【0097】
例えば、前処理部311bは、厚みパターンTMの次元を参照パターンRPの次元に変換してもよい。例えば、前処理部311bは、厚みパターンTMおよび参照パターンRPに対して規格化または正規化を実行して、厚みパターンTMと参照パターンRPとを無次元化してもよい。
【0098】
決定部311cは、前処理部311bによって厚みパターンTMの次元と参照パターンRPの次元とが一致させられた後に、厚みパターンTMが分類された参照グループGに含まれる複数の参照パターンRPのうちから、規定ルールRUに基づき厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRP(つまり、厚みパターンTMと類似する参照パターンRP)を決定する。従って、本実施形態によれば、厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRP(つまり、厚みパターンTMと類似する参照パターンRP)をより精度良く決定できる。
【0099】
次に、
図5~
図9(b)を参照して、参照グループGを説明する。
図5に示すように、複数の参照グループGは、第1参照グループG1と、第2参照グループG2と、第3参照グループG3とのうちの少なくとも1つを含む。本実施形態では、複数の参照グループGは、第1参照グループG1と、第2参照グループG2と、第3参照グループG3とを含む。従って、分類部311aは、エッチング処理前の対象物TGの厚みパターンTMを、第1参照グループG1~第3参照グループG3のうちのいずれかの参照グループに分類する。
【0100】
一方、本実施形態では、複数の参照パターンRPの各々は、第1参照グループG1~第3参照グループG3のうちのいずれかの参照グループGに予め分類されている。そして、決定部311cは、前処理部311bによって厚みパターンTMの次元と参照パターンRPの次元とが一致させられた後に、第1参照グループG1~第3参照グループG3のうち、対象物TGの厚みパターンTMが分類された参照グループGに分類されている2以上の参照パターンRPから、規定ルールRUに基づき厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRP(つまり、厚みパターンTMと類似する参照パターンRP)を決定する。
【0101】
図6(a)は、第1参照グループG1に分類される厚みパターンT1を示す図である。横軸は基板W上の位置を示し、縦軸は対象物TGの厚みを示している。
図6(a)に示すように、分類部311aは、エッチング処理前の対象物TGの厚みパターンT1を、第1参照グループG1に分類する。第1参照グループG1は、対象物TGまたは参照対象物の中心部CTからエッジ部EGまでの間に極小部を有するパターン(つまり、下に凸の曲線状のパターン)のグループを示す。このようなパターンは、厚みパターンT1および参照パターンRP1の「特徴」の一例である。厚みパターンT1は、中心部CTからエッジ部EGまでの間に厚みの極小部P1を有している。
【0102】
図6(b)は、第2参照グループG2に分類される厚みパターンT2を示す図である。横軸は基板W上の位置を示し、縦軸は対象物TGの厚みを示している。
図6(b)に示すように、分類部311aは、エッチング処理前の対象物TGの厚みパターンT2を、第2参照グループG2に分類する。第2参照グループG2は、対象物TGまたは参照対象物の中心部CTからエッジ部EGまでの間に極大部を有するパターン(つまり、上に凸の曲線状のパターン)のグループを示す。このようなパターンは、厚みパターンT2および参照パターンRP2の「特徴」の一例である。厚みパターンT2は、中心部CTからエッジ部EGまでの間に厚みの極大部P3を有している。
【0103】
図6(c)は、第3参照グループG3に分類される厚みパターンT3を示す図である。横軸は基板W上の位置を示し、縦軸は対象物TGの厚みを示している。
図6(c)に示すように、分類部311aは、エッチング処理前の対象物TGの厚みパターンT3を、第3参照グループG3に分類する。第3参照グループG3は、対象物TGまたは参照対象物の中心部CTからエッジ部EGに向かって一方向に傾斜しているパターンのグループを示す。本実施形態では、第3参照グループG3は、対象物TGまたは参照対象物の中心部CTからエッジ部EGに向かって増加するように傾斜しているパターンのグループを示す。このようなパターンは、厚みパターンT3および参照パターンRP3の「特徴」の一例である。厚みパターンT
3は、中心部CTからエッジ部EGに向かって増加するように傾斜している。
【0104】
図7(a)は、第1参照グループG1に分類される複数の参照パターンRP1を示す図である。
図7(a)に示すように、第1参照グループG1には、複数のテーブルBL1が属している。複数のテーブルBL1の各々は、互いに異なる複数の参照パターンRP1を含む。
【0105】
複数のテーブルBL1には、それぞれ、互いに異なる複数の回転速度を示す情報が関連付けられている。そして、1つのテーブルBL1に含まれる複数の参照パターンRP1には、同一の回転速度を示す情報が関連付けられている。「回転速度」は、参照対象物を含む基板の回転速度を示しており、例えば、単位時間当たりの基板の回転数によって表される。複数の回転速度を示す情報の各々は、参照処理条件の1つである。
【0106】
複数のテーブルBL1の各々において、U軸は、回動方向RT1(
図2)でのノズル7の折り返し位置TR1を示し、V軸は、回動方向RT2(
図2)でのノズル7の折り返し位置TR2を示す。折り返し位置TR1および折り返し位置TR2の各々は、基板の中心部CTからの位置を示す。
【0107】
そして、複数のテーブルBL1の各々において、1つの折り返し位置TR1と1つの折り返し位置TR2とで、1つの参照パターンRP1が特定される。つまり、1つの参照パターンRP1に対して、1つの折り返し位置TR1と1つの折り返し位置TR2とが関連付けられている。折り返し位置TR1を示す情報および折り返し位置TR2を示す情報は、参照処理条件の1つである。
【0108】
また、第1参照グループG1に含まれる複数の参照パターンRP1(具体的には全ての参照パターンRP1)には、同一の移動速度を示す情報が関連付けられている。「移動速度」は、参照対象物に沿ったノズル7の移動速度である。ノズル7の移動速度を示す情報は、参照処理条件の1つである。
【0109】
図7(b)は、参照パターンRP1の詳細を示す図である。横軸は基板上の位置を示し、縦軸は参照対象物のエッチングレートを示している。
図7(b)に示すように、参照パターンRP1は、第1参照グループG1に分類されている。参照パターンRP1は、中心部CTからエッジ部EGまでの間にエッチングレートの極小部P1#を有している。
【0110】
図8(a)は、第2参照グループG2に分類される複数の参照パターンRP2を示す図である。
図8(a)に示すように、第2参照グループG2には、複数のテーブルBL2が属している。複数のテーブルBL2の各々は、互いに異なる複数の参照パターンRP2を含む。テーブルBL2が参照パターンRP2を含む点で、テーブルBL2は、参照パターンRP1を含むテーブルBL1(
図7(a))と異なる。ただし、テーブルBL2のその他の点は、テーブルBL1と同様であり、説明を省略する。
【0111】
図8(b)は、参照パターンRP2の詳細を示す図である。横軸は基板上の位置を示し、縦軸は参照対象物のエッチングレートを示している。
図8(b)に示すように、参照パターンRP2は、第2参照グループG2に分類されている。参照パターンRP2は、中心部CTからエッジ部EGまでの間にエッチングレートの極大部P3#を有している。
【0112】
図9(a)は、第3参照グループG3に分類される複数の参照パターンRP3を示す図である。
図9(a)に示すように、第3参照グループG3には、複数のテーブルBL3が属している。複数のテーブルBL3の各々は、互いに異なる複数の参照パターンRP3を含む。テーブルBL3が参照パターンRP3を含む点で、テーブルBL3は、参照パターンRP1を含むテーブルBL1(
図7(a))と異なる。ただし、テーブルBL3のその他の点は、テーブルBL1と同様であり、説明を省略する。
【0113】
図9(b)は、参照パターンRP3の詳細を示す図である。横軸は基板上の位置を示し、縦軸は参照対象物のエッチングレートを示している。
図9(b)に示すように、参照パターンRP3は、第3参照グループG3に分類されている。参照パターンRP3では、中心部CTからエッジ部EGに向かってエッチングレートが一方向に傾斜している。具体的には、参照パターンRP3では、中心部CTからエッジ部EGに向かってエッチングレートが増加するように傾斜している。
【0114】
以上、
図5~
図9(b)を参照して説明したように、本実施形態によれば、第1参照グループG1~第3参照グループG3の各々は、簡素な形状のパターンのグループである。従って、分類部311aは、厚みパターンTMの分類を容易に行うことができる。
【0115】
次に、
図6(a)および
図7(b)を参照して、厚みパターンT1が第1参照グループG1に分類されたときの決定部311cの処理の詳細を説明する。厚みパターンT1が分類された参照グループGが第1参照グループG1である場合、厚みパターンT1と参照パターンRP1との次元を一致させた後に、決定部311cは、厚みパターンT1に基づく第1差分D1と、参照パターンRP1に基づく第2差分D1#とを比較して、比較結果に基づいて、複数の参照パターンRP1のうちから、厚みパターンT1と相関の高い参照パターンRP1(つまり、厚みパターンT1と類似する参照パターンRP1)を決定する。このような決定のルールは、第1参照グループG1における規定ルールRUの一例である。
【0116】
図6(a)に示すように、第1差分D1は、厚みパターンT1の極小部P1によって示される対象物TGの厚みt2と、厚みパターンT1のエッジ部P2によって示される対象物TGのエッジ部EGの厚みt0との差分の絶対値を示す。
【0117】
図7(b)に示すように、第2差分D1#は、参照パターンRP1の極小部P1#によって示される参照対象物のエッチングレートt2#と、参照パターンRP1のエッジ部P2#によって示される参照対象物のエッジ部EGのエッチングレートt0#との差分の絶対値を示す。
【0118】
基板Wの回転速度の影響は対象物TGのエッジ部EGのエッチングレートに表れやすいため、本実施形態では、第1差分D1と第2差分D1#との比較結果に基づいて厚みパターンT1と相関の高い参照パターンRP1を決定することで、厚みパターンT1を有する対象物TGに対してより良好な処理条件(例えば、基板Wの回転速度)を取得できる。
【0119】
例えば、決定部311cは、第1差分D1と第2差分D1#との差の絶対値が最も小さい参照パターンRP1を、複数の参照パターンRP1のうちから、厚みパターンT1と相関の高い参照パターンRP1であると決定する。例えば、決定部311cは、第1差分D1と第2差分D1#との差の絶対値が所定値VA1以下の参照パターンRP1を、複数の参照パターンRP1のうちから、厚みパターンT1と相関の高い参照パターンRP1であると決定する。これらの例のような決定のルールは、第1参照グループG1における規定ルールRUの一例である。
【0120】
なお、決定部311cは、
図6(a)に示す第1差分D1と距離L0と距離L1と厚みt0と厚みt1と厚みt2と差分(=t1-t2)とのうちの少なくとも1以上の情報と、
図7(b)に示す第2差分D1#と距離L0#と距離L1#とエッチングレートt0#とエッチングレートt1#とエッチングレートt2#と差分(=t1#-t2#)とのうちの少なくとも1以上の情報とを比較して、比較結果に基づいて、複数の参照パターンRP1のうちから、厚みパターンT1と相関の高い参照パターンRP1を決定してもよい。これのような決定のルールは、第1参照グループG1における規定ルールRUの一例である。
【0121】
距離L0は、対象物TGの中心部CTから厚みパターンT1の極小部P1に対応する位置R1までの距離を示す。距離L1は、対象物TGの極小部P1に対応する位置R1から対象物TGのエッジ部EGまでの距離を示す。厚みt0は、対象物TGのエッジ部EGの厚みを示す。厚みt1は、対象物TGの中心部CTの厚みを示す。厚みt2は、厚みパターンT1の極小部P1によって示される対象物TGの厚みを示す。
【0122】
距離L0#は、参照対象物の中心部CTから参照パターンRP1の極小部P1#に対応する位置R1#までの距離を示す。距離L1#は、参照対象物の極小部P1#に対応する位置R1#から参照対象物のエッジ部EGまでの距離を示す。エッチングレートt0#は、参照対象物のエッジ部EGのエッチングレートを示す。エッチングレートt1#は、参照対象物の中心部CTのエッチングレートを示す。エッチングレートt2#は、参照パターンRP1の極小部P1#によって示される参照対象物のエッチングレートを示す。
【0123】
なお、第1差分D1、距離L0、距離L1、厚みt0、厚みt1、厚みt2、および、差分(=t1-t2)は、厚みパターンT1の「特徴」の一例である。また、第2差分D1#、距離L0#、距離L1#、エッチングレートt0#、エッチングレートt1#、エッチングレートt2#、および、差分(=t1#-t2#)は、参照パターンRP1の「特徴」の一例である。
【0124】
次に、
図6(b)および
図8(b)を参照して、厚みパターンT2が第2参照グループG2に分類されたときの決定部311cの処理の詳細を説明する。厚みパターンT2が分類された参照グループGが第2参照グループG2である場合、厚みパターンT2と参照パターンRP2との次元を一致させた後に、決定部311cは、厚みパターンT2に基づく第1距離L2と、参照パターンRP2に基づく第2距離L2#とを比較して、比較結果に基づいて、複数の参照パターンRP2のうちから、厚みパターンT2と相関の高い参照パターンRP2(つまり、厚みパターンT2と類似する参照パターンRP2)を決定する。このような決定のルールは、第2参照グループG2における規定ルールRUの一例である。
【0125】
図6(b)に示すように、第1距離L2は、対象物TGの中心部CTから厚みパターンT2の極大部P3に対応する位置R2までの距離を示す。
【0126】
図8(b)に示すように、第2距離L2#は、参照対象物の中心部CTから参照パターンRP2の極大部P3#に対応する位置R2#までの距離を示す。
【0127】
ノズル7の折り返し位置では、対象物TGのエッチングレートが最大になる場合があるため、本実施形態では、第1距離L2と第2距離L2#との比較結果に基づいて厚みパターンT2と相関の高い参照パターンRP2を決定することで、厚みパターンT2を有する対象物TGに対してより良好な処理条件(例えば、ノズル7の折り返し位置)を取得できる。ノズル7の折り返し位置において対象物TGのエッチングレートが最大になる理由は、ノズル7の折り返し位置ではノズル7が停止するため、ノズル7の折り返し位置では対象物TGへの処理液の吐出量が多くなるからである。この現象は、処理液がフッ硝酸である場合に顕著である。
【0128】
例えば、決定部311cは、第1距離L2と第2距離L2#との差の絶対値が最も小さい参照パターンRP2を、複数の参照パターンRP2のうちから、厚みパターンT2と相関の高い参照パターンRP2であると決定する。例えば、決定部311cは、第1距離L2と第2距離L2#との差の絶対値が所定値VA2以下の参照パターンRP2を、複数の参照パターンRP2のうちから、厚みパターンT2と相関の高い参照パターンRP2であると決定する。これらの例のような決定のルールは、第2参照グループG2における規定ルールRUの一例である。
【0129】
なお、決定部311cは、
図6(b)に示す第1距離L2と距離L3と厚みt3と厚みt4と厚みt5と差分(=t3-t5)と差分(=t3-t4)とのうちの少なくとも1以上の情報と、
図8(b)に示す第2距離L2#と距離L3#とエッチングレートt3#とエッチングレートt4#とエッチングレートt5#と差分(=t3#-t5#)と差分(=t3#-t4#)とのうちの少なくとも1以上の情報とを比較して、比較結果に基づいて、複数の参照パターンRP2のうちから、厚みパターンT2と相関の高い参照パターンRP2を決定してもよい。これのような決定のルールは、第2参照グループG2における規定ルールRUの一例である。
【0130】
距離L3は、厚みパターンT2の極大部P3に対応する位置R2から対象物TGのエッジ部EGまでの距離を示す。厚みt3は、厚みパターンT2の極大部P3によって示される対象物TGの厚みを示す。厚みt4は、対象物TGの中心部CTの厚みを示す。厚みt5は、対象物TGのエッジ部EGの厚みを示す。
【0131】
距離L3#は、参照パターンRP2の極大部P3#に対応する位置R2#から参照対象物のエッジ部EGまでの距離を示す。エッチングレートt3#は、参照パターンRP2の極大部P3#によって示される参照対象物のエッチングレートを示す。エッチングレートt4#は、参照対象物の中心部CTのエッチングレートを示す。エッチングレートt5#は、参照対象物のエッジ部EGのエッチングレートを示す。
【0132】
なお、第1距離L2、距離L3、厚みt3、厚みt4、厚みt5、差分(=t3-t5)、および、差分(=t3-t4)は、厚みパターンT2の「特徴」の一例である。また、第2距離L2#、距離L3#、エッチングレートt3#、エッチングレートt4#、エッチングレートt5#、差分(=t3#-t5#)、および、差分(=t3#-t4#)は、参照パターンRP2の「特徴」の一例である。
【0133】
次に、
図6(c)および
図9(b)を参照して、厚みパターンT3が第3参照グループG3に分類されたときの決定部311cの処理の詳細を説明する。厚みパターンT3が分類された参照グループGが第3参照グループG3である場合、厚みパターンT3と参照パターンRP3との次元を一致させた後に、決定部311cは、厚みパターンT3の傾斜と、参照パターンRP3の傾斜とを比較し、比較結果に基づいて、複数の参照パターンRP3のうちから、厚みパターンT3と相関の高い参照パターンRP3(つまり、厚みパターンT3と類似する参照パターンRP3)を決定する。このような決定のルールは、第3参照グループG3における規定ルールRUの一例である。
【0134】
図6(c)に示すように、厚みパターンT3の傾斜は、例えば、傾斜角θによって示される。傾斜角θは、対象物TGを含む基板Wの径方向に対する厚みパターンT3の傾斜角を示す。
【0135】
図9(b)に示すように、参照パターンRP3の傾斜は、例えば、傾斜角θ#によって示される。傾斜角θ#は、参照対象物を含む基板の径方向に対する参照パターンRP3の傾斜角を示す。
【0136】
遠心力に起因して、対象物TGの中心部CTに対する処理液の量よりもエッジ部EGに対する処理液の量の方が多い場合があるため、本実施形態では、厚みパターンT3の傾斜と参照パターンRP3の傾斜との比較結果に基づいて厚みパターンT3と相関の高い参照パターンRP3を決定することで、厚みパターンT3を有する対象物TGに対してより良好な処理条件(例えば、基板Wの回転速度)を取得できる。
【0137】
例えば、決定部311cは、傾斜角θと傾斜角θ#との差の絶対値が最も小さい参照パターンRP3を、複数の参照パターンRP3のうちから、厚みパターンT3と相関の高い参照パターンRP3であると決定する。例えば、決定部311cは、傾斜角θと傾斜角θ#との差の絶対値が所定値VA3以下の参照パターンRP3を、複数の参照パターンRP3のうちから、厚みパターンT3と相関の高い参照パターンRP3であると決定する。これらの例のような決定のルールは、第3参照グループG3における規定ルールRUの一例である。
【0138】
なお、決定部311cは、
図6(c)に示す傾斜角θと厚みt6と厚みt8と差分(=t6-t8)とのうちの少なくとも1以上の情報と、
図9(b)に示す傾斜角θ#とエッチングレートt6#とエッチングレートt8#と差分(=t6#-t8#)とのうちの少なくとも1以上の情報とを比較して、比較結果に基づいて、複数の参照パターンRP3のうちから、厚みパターンT3と相関の高い参照パターンRP3を決定してもよい。このような決定のルールは、第3参照グループG3における規定ルールRUの一例である。
【0139】
厚みt6は、対象物TGのエッジ部EGの厚みを示す。厚みt8は、対象物TGの中心部CTの厚みを示す。
【0140】
エッチングレートt6#は、参照対象物のエッジ部EGのエッチングレートを示す。エッチングレートt8#は、参照対象物の中心部CTのエッチングレートを示す。
【0141】
なお、傾斜角θ、厚みt6、厚みt8、および、差分(=t6-t8)は、厚みパターンT3の「特徴」の一例である。また、傾斜角θ#、エッチングレートt6#、エッチングレートt8#、および、差分(=t6#-t8#)は、参照パターンRP3の「特徴」の一例である。
【0142】
次に、
図5~
図9(b)を参照して、制御部31を説明する。
図5に示すように、制御部31は、解析部315と、調整部317とをさらに含むことが好ましい。解析部315は、対象物TGの厚みパターンTMを解析して、厚みパターンTMの特徴を示す第1特徴量FTを算出する。第1特徴量FTは、厚みパターンTMの極値、厚みパターンTMが示す対象物TGの中心部CTの厚み、または、厚みパターンTMが示す対象物TGのエッジ部EGの厚みを示す。厚みパターンTMの極値は、厚みパターンTMの極大部または極小部である。
【0143】
また、記憶部41は、参照パターンRPの特徴を示す第2特徴量SCを、参照パターンRPごとに予め記憶している。第2特徴量SCは、参照パターンRPの極値、参照パターンRPが示す参照対象物の中心部CTのエッチングレート、または、参照パターンRPが示す参照対象物のエッジ部EGのエッチングレートを示す。
【0144】
そして、調整部317は、厚みパターンTMの特徴を示す第1特徴量FTと、参照パターンRPの特徴を示す第2特徴量SCとを比較して、比較結果に基づいて、取得部313によって取得された処理条件に含まれるノズル7の移動速度を示す情報を調整する。その結果、本実施形態では、ノズル7の移動速度がさらに良好になるので、基板Wを構成する対象物TGの広範な領域において、エッチング処理後の対象物TGの厚みのバラツキをさらに抑制できる。
【0145】
具体的には、
図6(a)および
図7(b)に示すように、厚みパターンT1が第1参照グループG1に分類された場合、厚みパターンT1と参照パターンRP1との次元を一致させた後に、調整部317は、厚みパターンT1の第1特徴量FTとしての極小部P1によって示される厚みt2と、参照パターンRP1の第2特徴量SCとしての極小部P1#によって示されるエッチングレートt2#とを比較して、比較結果に基づいて、処理条件に含まれるノズル7の移動速度を示す情報を調整する。
【0146】
例えば、厚みパターンT1と参照パターンRP1との次元を一致させた後に、極小部P1によって示される対象物TGの厚みt2が、極小部P1#によって示されるエッチングレートt2#よりも大きい場合、調整部317は、処理条件に含まれるノズル7の移動速度を、厚みt2とエッチングレートt2#との差の絶対値に応じた値だけ小さくする。なぜなら、ノズル7の移動速度が小さい程、エッチングレートが大きくなるからである。一方、厚みt2がエッチングレートt2#よりも小さい場合、調整部317は、処理条件に含まれるノズル7の移動速度を、厚みt2とエッチングレートt2#との差の絶対値に応じた値だけ大きくする。
【0147】
また、
図6(b)および
図8(b)に示すように、厚みパターンT2が第2参照グループG2に分類された場合、厚みパターンT2と参照パターンRP2との次元を一致させた後に、調整部317は、厚みパターンT2の第1特徴量FTとしての対象物TGの中心部CTの厚みt4と、参照パターンRP2の第2特徴量SCとしての参照対象物の中心部CTのエッチングレートt4#とを比較して、比較結果に基づいて、処理条件に含まれるノズル7の移動速度を示す情報を調整する。
【0148】
例えば、厚みパターンT2と参照パターンRP2との次元を一致させた後に、対象物TGの中心部CTの厚みt4が、参照対象物の中心部CTのエッチングレートt4#よりも大きい場合、調整部317は、処理条件に含まれるノズル7の移動速度を、厚みt4とエッチングレートt4#との差の絶対値に応じた値だけ小さくする。なぜなら、ノズル7の移動速度が小さい程、エッチングレートが大きくなるからである。一方、厚みt4がエッチングレートt4#よりも小さい場合、調整部317は、処理条件に含まれるノズル7の移動速度を、厚みt4とエッチングレートt4#との差に応じた値だけ大きくする。
【0149】
また、
図6(c)および
図9(b)に示すように、厚みパターンT3が第3参照グループG3に分類された場合、厚みパターンT3と参照パターンRP3との次元を一致させた後に、調整部317は、厚みパターンT3の第1特徴量FTとしての対象物TGの中点位置RMの厚みt7と、参照パターンRP3の第2特徴量SCとしての参照対象物の中点位置RMのエッチングレートt7#とを比較して、比較結果に基づいて、処理条件に含まれるノズル7の移動速度を示す情報を調整する。
【0150】
例えば、厚みパターンT3と参照パターンRP3との次元を一致させた後に、対象物TGの中点位置RMの厚みt7が、参照対象物の中点位置RMのエッチングレートt7#よりも大きい場合、調整部317は、処理条件に含まれるノズル7の移動速度を、厚みt7とエッチングレートt7#との差の絶対値に応じた値だけ小さくする。なぜなら、ノズル7の移動速度が小さい程、エッチングレートが大きくなるからである。一方、厚みt7がエッチングレートt7#よりも小さい場合、調整部317は、処理条件に含まれるノズル7の移動速度を、厚みt7とエッチングレートt7#との差の絶対値に応じた値だけ大きくする。
【0151】
引き続き
図5を参照して、制御部31をさらに説明する。制御部31は、処理時間算出部318をさらに含むことが好ましい。処理時間算出部318は、取得部313によって取得された処理条件に関連付けられた参照パターンRPを構成する複数のエッチングレート値の平均値と、対象物TGに対する所望のエッチング量とに基づいて、エッチング処理時間を算出する。
【0152】
または、処理時間算出部318は、調整部317によって調整された処理条件に基づくエッチングレートと、対象物TGに対する所望のエッチング量とに基づいて、エッチング処理時間を算出する。
【0153】
本実施形態では、エッチング処理時間は、ノズル7による基板Wのスキャン回数によって定められる。
【0154】
制御部31は、表示制御部323をさらに含むことが好ましい。表示制御部323は、処理液による処理前の対象物TGの厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRPを特定または調整するために利用される情報IN1を表示するように、表示装置19を制御する。従って、表示装置19は情報IN1を表示する。その結果、本実施形態によれば、ユーザーは情報IN1を容易に確認または利用できる。
【0155】
情報IN1は、例えば、対象物TGの厚みパターンTM、厚みパターンTMの特徴量、複数の参照パターンRP、複数の参照パターンRPの各々の特徴量、または、複数の参照処理条件である。
【0156】
次に、
図5を参照して、基板Wを処理液によって処理した後の処理を説明する。厚み測定部15は、処理液による処理後の対象物TGの複数の測定位置の各々において、処理後の対象物TGの厚みを測定する。従って、ユーザーは、処理後の対象物TGの厚みを知ることができるため、処理後の対象物TGに対するエッチング処理の評価を行うことができる。
【0157】
また、制御部31は、・BR>L憶制御部321をさらに含むことが好ましい。記憶制御部321は、処理前の対象物TGの厚みの分布を示す処理前の厚みパターンTMと、処理前の厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRPと、取得部313によって取得された処理条件と、処理後の対象物TGの厚みの分布を示す処理後の厚みパターンTMRとを関連付けて記憶するように、記憶部41(具体的には、処理結果データベース413)を制御する。従って、記憶部41は、厚みパターンTMと、厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRPと、処理条件と、厚みパターンTMRとを関連付けて記憶する。その結果、本実施形態によれば、ユーザーは、入力装置20を介して記憶部41にアクセスすることで、これらの情報を有効活用できる。
【0158】
さらに、制御部31は、評価部319をさらに含むことが好ましい。評価部319は、処理前の厚みパターンTMと処理後の厚みパターンTMRとを比較して、比較結果に基づいて、処理後の対象物TGに対するエッチング処理の評価を行う。
【0159】
また、表示制御部323は、処理液による処理後の対象物TGの厚みパターンTMRを評価するために利用される情報IN2を表示するように、表示装置19を制御してもよい。この場合、表示装置19は情報IN2を表示する。従って、本実施形態によれば、ユーザーは、情報IN2を確認して、処理後の対象物TGに対するエッチング処理の評価を行うことができる。そして、入力装置20は、ユーザーから評価結果を示す情報の入力を受け付ける。さらに、記憶制御部321は、ユーザーから評価結果を示す情報を記憶するように、記憶部41(具体的には、処理結果データベース413)を制御する。
【0160】
情報IN2は、例えば、取得部313によって取得された処理条件、処理前の対象物TGの厚みパターンTM、厚みパターンTMの特徴量、厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRP、厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRPの特徴量、処理後の対象物TGの厚みパターンTMR、または、厚みパターンTMRの特徴量である。
【0161】
また、記憶制御部321は、処理前の対象物TGの厚みの分布を示す処理前の厚みパターンTMと、処理前の厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRPと、取得部313によって取得された処理条件と、処理後の対象物TGの厚みの分布を示す処理後の厚みパターンTMRと、処理後の厚みパターンTMRに対する評価結果とを関連付けて記憶するように、記憶部41(具体的には、処理結果データベース413)を制御する。従って、記憶部41は、厚みパターンTMと、厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRPと、処理条件と、厚みパターンTMRと、厚みパターンTMRに対する評価結果とを関連付けて記憶する。その結果、本実施形態によれば、ユーザーは、入力装置20を介して記憶部41にアクセスすることで、これらの情報を有効活用できる。
【0162】
なお、制御部31のプロセッサーは、コンピュータープログラム417を実行して、解析部315、調整部317、処理時間算出部318、評価部319、記憶制御部321、および、表示制御部323として機能する。
【0163】
次に、
図5および
図10を参照して、本発明の実施形態に係る基板処理方法を説明する。
図10は、基板処理方法を示すフローチャートである。
図10に示すように、基板処理方法は、工程S1~工程S15を含む。基板処理方法は、1枚の基板Wごとに基板処理装置100によって実行される。
【0164】
図5および
図10に示すように、工程S1において、基板処理装置100の制御部31は、基板Wを保持するように、スピンチャック3を制御する。その結果、スピンチャック3は基板Wを保持する。
【0165】
次に、工程S2において、制御部31は、基板Wを構成する対象物TGの厚みを測定するように、厚み測定部15を制御する。その結果、厚み測定部15は、処理前の対象物TGの厚みを測定して、処理前の対象物TGの厚みパターンTMを示す情報を制御部31に出力する。
【0166】
次に、工程S3において、制御部31は、基板Wを構成する対象物TGを処理液によって処理するときに使用可能な処理条件を、複数の参照処理条件のうちから選択する。
【0167】
次に、工程S4において、制御部31は、レシピデータ415に含まれる「処理液(エッチング液)による処理条件」を、工程S3で選択された処理条件に変更する。
【0168】
次に、工程S5において、制御部31は、工程S3で選択された処理条件に従って処理液によって基板Wを処理するように、スピンモーター5およびノズル移動部9を制御する。その結果、工程S3で選択された処理条件に従って基板Wが処理される。具体的には、工程S3で選択された処理条件に含まれる回転速度で基板Wが回転される。また、工程S3で選択された処理条件に含まれる移動速度でノズル7が移動する。さらに、工程S3で選択された処理条件に含まれる折り返し位置でノズル7が折り返す。
【0169】
次に、工程S6において、制御部31は、ノズル11がリンス液を基板Wに吐出するように、バルブV2を制御する。その結果、ノズル11がリンス液を吐出する。
【0170】
次に、工程S7において、制御部31は、基板Wが回転するようにスピンモーター5を制御する。その結果、スピンモーター5がスピンチャック3を回転させることによって、基板Wが回転する。基板Wの回転によって基板Wが乾燥する。
【0171】
次に、工程S8において、制御部31は、基板Wを構成する対象物TGの厚みを測定するように、厚み測定部15を制御する。その結果、厚み測定部15は、処理後の対象物TGの厚みを測定して、処理後の厚みパターンTMRを示す情報を制御部31に出力する。
【0172】
次に、工程S9において、制御部31の記憶制御部321は、処理前の対象物TGの厚みの分布を示す処理前の厚みパターンTMと、処理前の厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRPと、工程S3で選択された処理条件と、処理後の対象物TGの厚みの分布を示す処理後の厚みパターンTMRとを関連付けて記憶するように、記憶部41を制御する。その結果、記憶部41(具体的には、処理結果データベース413)は、これらの情報を記憶する。
【0173】
次に、工程S10において、制御部31は、チャンバー2から基板Wを取り出すように、搬送ロボットを制御する。その結果、搬送ロボットは基板Wをチャンバー2から取り出す。
【0174】
次に、工程S11において、制御部31の評価部319は、処理前の厚みパターンTMと処理後の厚みパターンTMRとを比較して、比較結果に基づいて、処理後の対象物TGに対するエッチング処理の評価を行う。
【0175】
次に、工程S12において、制御部31の記憶制御部321は、処理前の対象物TGの厚みの分布を示す処理前の厚みパターンTMと、処理前の厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRPと、工程S3で選択された処理条件と、処理後の対象物TGの厚みの分布を示す処理後の厚みパターンTMRと、処理後の厚みパターンTMRに対する評価結果とを関連付けて記憶するように、記憶部41を制御する。その結果、記憶部41(具体的には、処理結果データベース413)は、これらの情報を記憶する。
【0176】
次に、工程S13において、制御部31の表示制御部323は、参照パターンデータベース411に記憶されている情報、または、処理結果データベース413に記憶されている情報を表示するように、表示装置19を制御する。その結果、表示装置19は、これらの情報を表示する。
【0177】
次に、工程S14において、制御部31は、入力装置20を介してユーザーからの入力を受け付ける。具体的には、工程S13で表示された情報を閲覧しながら、ユーザーは、入力装置20を介して各種情報を入力する。そして、制御部31は、入力装置20を介してユーザーからの入力を受け付ける。
【0178】
次に、工程S15において、制御部31は、ユーザーから受け付けた入力に基づく情報を記憶するように、記憶部41を制御する。その結果、記憶部41は、ユーザーから受け付けた入力に基づく情報を記憶する。工程S15の後、処理は終了する。
【0179】
本実施形態に係る基板製品製造方法では、工程S1~工程S15を含む基板処理方法によって基板Wを処理して、処理後の基板Wである基板製品を製造する。
【0180】
次に、
図5および
図11を参照して、
図10の工程S3を説明する。
図11は、
図10の工程S3を示すフローチャートである。工程S3は、工程S21~工程S25を含む。工程S3は、「処理条件選択方法」の一例に相当する。
【0181】
図5および
図11に示すように、工程S21において、制御部31の特定部311は、対象物TGの複数の測定位置でそれぞれ測定された複数の厚みの分布を示す厚みパターンTMと、予め記憶部41に記憶されている複数の参照パターンRPとを比較して、複数の参照パターンRPのうちから、規定ルールRUに基づき対象物TGの厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRPを特定する。
【0182】
次に、工程S22において、取得部313は、複数の参照パターンRPにそれぞれ関連付けられた複数の参照処理条件のうち、工程S21で特定された参照パターンRPに関連付けられた参照処理条件を、処理条件として記憶部41から取得する。
【0183】
次に、工程S23において、解析部315は、対象物TGの厚みパターンTMを解析して、厚みパターンTMの特徴を示す第1特徴量FTを算出する。
【0184】
次に、工程S24において、調整部317は、厚みパターンTMの特徴を示す第1特徴量FTと、参照パターンRPの特徴を示す第2特徴量SCとを比較して、比較結果に基づいて、工程S22によって取得された処理条件に含まれるノズル7の移動速度を示す情報を調整する。
【0185】
次に、工程S25において、処理時間算出部318は、工程S24によって調整された処理条件に基づくエッチングレートと、対象物TGに対する所望のエッチング量とに基づいて、エッチング処理時間を算出する。
【0186】
具体的には、工程S21は、工程S31、工程S51、工程S52、工程S61、工程S62、工程S71、および工程S72を含む。また、工程S22は、工程S53、工程S63、および工程S73を含む。さらに、工程S23は、工程S54、工程S64、および工程S74を含む。さらに、工程S24は、工程S55、工程S65、および工程S75を含む。さらに、工程S25は、工程S56、工程S66、および工程S76を含む。
【0187】
工程S31において、制御部31の分類部311aは、処理前の対象物TGの厚みパターンTMを複数の参照グループGのうちのいずれかの参照グループGに分類する。具体的には、分類部311aは、厚みパターンTMを第1参照グループG1~第3参照グループG3のうちのいずれかの参照グループGに分類する。
【0188】
工程S31で厚みパターンTMが第1参照グループG1に分類された場合、処理は工程S51に進む。
【0189】
次に、工程S51において、前処理部311bは、厚みパターンTMの次元と参照パターンRP1の次元とを一致させる。
【0190】
次に、工程S52において、決定部311cは、厚みパターンTMの次元と参照パターンRP1の次元とが一致させられた後に、規定ルールRUに基づき厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRP1(つまり、厚みパターンTMと類似する参照パターンRP1)を決定する。
【0191】
次に、工程S53において、取得部313は、複数の参照パターンRP1にそれぞれ関連付けられた複数の参照処理条件のうち、工程S52で決定された参照パターンRP1に関連付けられた参照処理条件を、処理条件として記憶部41から取得する。
【0192】
次に、工程S54において、解析部315は、第1参照グループG1に分類された厚みパターンTMを解析して、厚みパターンTMの特徴を示す第1特徴量FTを算出する。
【0193】
次に、工程S55において、調整部317は、厚みパターンTMの特徴を示す第1特徴量FTと、参照パターンRP1の特徴を示す第2特徴量SCとを比較して、比較結果に基づいて、工程S53によって取得された処理条件に含まれるノズル7の移動速度を示す情報を調整する。
【0194】
次に、工程S56において、処理時間算出部318は、工程S55によって調整された処理条件に基づくエッチングレートと、対象物TGに対する所望のエッチング量とに基づいて、エッチング処理時間を算出する。そして、処理は、
図10の工程S4に進む。
【0195】
一方、工程S31で厚みパターンTMが第2参照グループG2に分類された場合、処理は工程S61に進む。工程S61~工程S66の処理は、参照グループGが異なる点を除いて、工程S51~工程S56の処理と同様であり、説明を省略する。
【0196】
また、工程S31で厚みパターンTMが第3参照グループG3に分類された場合、処理は工程S71に進む。工程S71~工程S76の処理は、参照グループGが異なる点を除いて、工程S51~工程S56の処理と同様であり、説明を省略する。
【0197】
なお、工程S21では、ユーザーからの入力装置20への入力結果に基づいて、処理前の対象物TGの厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRPが特定されてもよい。同様に、工程S24において、ユーザーからの入力装置20への入力結果に基づいて、処理条件が調整されてもよい。
【0198】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、または、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0199】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0200】
(1)
図1~
図11を参照して説明した本実施形態では、参照パターンRPを定義する「参照対象物の物理量の分布」における「物理量」は、エッチングレートであったが、参照対象物の厚みであってもよい。つまり、参照パターンRPは、参照対象物の厚みの分布を示していてもよい。
【0201】
この場合、対象物TGの厚みパターンTMと相関の高い厚みの分布を示す参照パターンRP(つまり、厚みパターンTMと類似する厚みの分布を示す参照パターンRP)が選択される。そして、このような厚みの分布を示す参照パターンRPに関連付けられた参照処理条件が、対象物TGに対する処理条件として取得される。従って、取得された処理条件に従って対象物TGをエッチング処理することで、対象物TGの広範な領域において、エッチング処理後の対象物TGの厚みのバラツキを抑制できる。
【0202】
(2)
図1~
図11を参照して説明した本実施形態では、処理液の例として、エッチング液を説明した。ただし、処理液は、基板Wを処理する限りにおいては、エッチング液に限定されない。例えば、処理液は、対象物TGを除去する除去液であってもよい。この場合、参照パターンRPを定義する「参照対象物の物理量の分布」における「物理量」は、参照対象物の除去レートまたは除去量である。従って、この場合、参照パターンRPは、対象物TGの除去レートまたは除去量の分布を示す。
【0203】
除去液は、基板処理装置100が基板Wに対してレジスト除去処理を実行する場合は、例えば、硫酸過酸化水素水混合液(sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture:SPM)である。レジスト除去処理とは、半導体基板の表面から、レジストを除去する処理のことである。
【0204】
(3)
図5を参照して説明した本実施形態では、前処理部311bは、分類部311aによる分類後であって、決定部311cによる決定前に、対象物TGの厚みパターンTMの次元と参照パターンRPの次元とを一致させた。ただし、記憶部41が、規格化または正規化によって無次元化された複数の参照パターンRPを予め記憶していてもよい。そして、前処理部311bは、分類部311aによる分類前に、厚みパターンTMを規格化または正規化によって無次元化してもよい。
【0205】
(4)
図5に示す特定部311は、複数の参照パターンRPのうちから、厚みパターンTMと相関の高い2以上の参照パターンRPを特定してもよい。この場合は、取得部313は、2以上の参照パターンRPにそれぞれ関連付けられた2以上の参照処理条件に対して、補間(内挿)または外挿を行って、処理条件を決定してもよい。
【0206】
(5)
図5に示す特定部311は、厚みパターンTMからノイズ成分を除去した後に、厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRPを特定してもよい。この場合は、さらに精度良く厚みパターンTMと相関の高い参照パターンRPを特定できる。
【0207】
(6)
図5に示す厚み測定部15による対象物TGにおける測定位置は、任意に定めることができる。例えば、厚みの測定位置は、等間隔に設定されてもよい。例えば、厚みの測定位置は、対象物TGの中心部CTとエッジ部EGと中間位置とであってよい。中間位置は、中心部CTとエッジ部EGとの間の位置であって、エッチング特性に応じて定められる位置である。例えば、対象物TGの特定領域について、測定間隔を短くし、他の領域について測定間隔を長くすることもできる。
【0208】
(7)
図2を参照して説明した本実施形態では、ノズル7は、折り返し位置TR1と折り返し位置TR2とで折り返した。ただし、ノズル7は、エッジ部EG側の折り返し位置TR1と中心部CT側の折り返し位置TR3とで折り返してもよい。この場合は、参照処理条件には、折り返し位置TR1の情報と折り返し位置TR3の情報とが含まれる。
【0209】
(8)
図11の工程S23~工程S25は、設けなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0210】
本発明は、処理条件選択方法、基板処理方法、基板製品製造方法、処理条件選択装置、コンピュータープログラム、および、記憶媒体に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0211】
15 厚み測定部
41 記憶部(記憶媒体)
100 基板処理装置(処理条件選択装置)
311 特定部
313 取得部
417 コンピュータープログラム
W 基板