(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】メンテナンスユニットおよびインクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20221031BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/165 203
B41J2/01 303
(21)【出願番号】P 2019050768
(22)【出願日】2019-03-19
【審査請求日】2021-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】土屋 貴司
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-018537(JP,A)
【文献】特開2009-137210(JP,A)
【文献】特開2006-142564(JP,A)
【文献】特開2007-283692(JP,A)
【文献】特開2009-248432(JP,A)
【文献】米国特許第05742303(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットヘッドのノズルの詰まりを防止するために設けられるメンテナンスユニットであって、
複数の前記ノズルが配列される前記インクジェットヘッドのノズル面の下側で前記ノズルから流出するインクを受けるための複数のインク受け部と、複数の前記インク受け部の上面側を覆うために複数の前記インク受け部の上側に配置される固定側カバーと、複数の前記インク受け部の上面側を覆うために複数の前記インク受け部の上側で前記固定側カバーに重なった状態で配置されるとともに前記固定側カバーに対してスライド可能な可動側カバーと、前記固定側カバーに対して前記可動側カバーをスライドさせる移動機構とを備え、
水平方向の一方向を第1方向とすると、
少なくとも2個の前記インク受け部は、前記第1方向において、前記インク受け部の前記第1方向の幅以上の間隔をあけた状態で配置され、
前記固定側カバーには、上下方向で前記固定側カバーを貫通するとともに複数の前記インク受け部のそれぞれの上側に配置される複数の第1開口部が形成され、
前記可動側カバーには、上下方向で前記可動側カバーを貫通するとともに複数の前記インク受け部のそれぞれの上側に配置可能な複数の第2開口部が形成され、
前記第1開口部は、上側から見たときに前記インク受け部の全体が露出する大きさに形成され、
前記第2開口部は、前記第2開口部が前記インク受け部の上側に配置された状態で上側から見たときに前記インク受け部の全体が露出する大きさに形成され、
前記第2開口部の前記第1方向の幅は、複数の前記第1開口部の前記第1方向の間隔以下となっており、
前記第1開口部の前記第1方向の幅は、複数の前記第2開口部の前記第1方向の間隔以下となっており、
前記移動機構は、少なくとも1個の前記第2開口部が複数の前記第1開口部の前記第1方向の間に配置されて前記可動側カバーが複数の前記第1開口部を塞ぐ閉鎖位置と、前記閉鎖位置において前記第1方向で隣接する前記第1開口部と前記第2開口部とが上下方向で重なって上側から見たときに複数の前記インク受け部の全体が露出する開放位置との間で前記可動側カバーを前記第1方向にスライドさせることを特徴とするメンテナンスユニット。
【請求項2】
上側から見たときの前記インク受け部の形状は、長方形状または正方形状となっており、
長方形状または正方形状をなす前記インク受け部の一辺に平行な方向が前記第1方向となっていることを特徴とする請求項1記載のメンテナンスユニット。
【請求項3】
上側から見たときの前記インク受け部の形状は、長方形状となっており、
長方形状をなす前記インク受け部の短辺に平行な方向が前記第1方向となっていることを特徴とする請求項2記載のメンテナンスユニット。
【請求項4】
前記第1開口部および前記第2開口部は、長方形状に形成され、
長方形状に形成される前記第1開口部の短辺および長方形状に形成される前記第2開口部の短辺は、前記第1方向と平行に配置されていることを特徴とする請求項3記載のメンテナンスユニット。
【請求項5】
前記固定側カバーおよび前記可動側カバーは、平板状に形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のメンテナンスユニット。
【請求項6】
前記第1開口部の前記第1方向の幅は、複数の前記第2開口部の前記第1方向の間隔よりも狭くなっており、
前記第2開口部の前記第1方向の幅は、複数の前記第1開口部の前記第1方向の間隔よりも狭くなっていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のメンテナンスユニット。
【請求項7】
上下方向と前記第1方向とに直交する方向を第2方向とすると、
前記第2方向において前記インク受け部の前記第2方向の幅よりも狭い間隔をあけた状態で配置されるとともに前記第1方向において同じ位置に配置される少なくとも2個の前記インク受け部が、前記第1方向において前記インク受け部の前記第1方向の幅以上の間隔をあけた状態で少なくとも2箇所に配置されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のメンテナンスユニット。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のメンテナンスユニットと、インク滴を吐出する複数の前記インクジェットヘッドと、複数の前記インクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、前記キャリッジを主走査方向に移動させるキャリッジ移動機構とを備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項9】
前記移動機構は、主走査方向に前記可動側カバーをスライドさせることを特徴とする請求項8記載のインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッドのノズルの詰まりを防止するために設けられるメンテナンスユニットに関する。また、本発明は、かかるメンテナンスユニットを備えるインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インク滴を吐出する複数のインクジェットヘッド(プリンタヘッド)と、複数のインクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、インクジェットヘッドのノズルの詰まりを防止するために設けられるメンテナンスユニットとを備えるインクジェットプリンタが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、メンテナンスユニットは、複数のノズルが配列されるインクジェットヘッドのノズル面を覆って封止する複数のヘッドキャップを備えている。
【0003】
特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、たとえば、4個のインクジェットヘッドがキャリッジに搭載されており、メンテナンスユニットは、4個のインクジェットヘッドのそれぞれのノズル面を覆うための4個のヘッドキャップを備えている。4個のインクジェットヘッドおよび4個のヘッドキャップは、主走査方向において一定の間隔をあけた状態で配列されている。ヘッドキャップの底面には、インク排出管の一端が接続されている。インク排出管の一端は、ヘッドキャップの内部空間に連通している。インク排出管の他端は、廃インクタンクに接続されている。インク排出管の途中には吸引ポンプが配置されている。
【0004】
特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、インクジェットヘッドのノズルの詰まりを防止するために、印刷媒体の印刷を開始する前や印刷媒体の印刷中の所定のタイミングで、メンテナンスユニットまでキャリッジを移動させ、ヘッドキャップによってインクジェットヘッドのノズル面を覆って封止するとともに、ノズル面を封止した状態で吸引ポンプを作動させて、インクジェットヘッドのノズルからインクを吸引している。吸引ポンプによって吸引されたインクは、ヘッドキャップから廃インクタンクに向かって流れる。ヘッドキャップは、ノズル面を封止する機能を果たすとともに、吸引ポンプによって吸引されてノズルから流出するインクを受ける機能を果たしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、印刷媒体の印刷中等に、メンテナンスユニットにキャリッジがないと、ヘッドキャップの上側からヘッドキャップに光が当たるおそれがある。また、特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、紫外線硬化型のUVインクが使用される場合がある。特許文献1に記載のインクジェットプリンタでUVインクが使用される場合、メンテナンスユニットにキャリッジがないときに、ヘッドキャップに光が当たると、ヘッドキャップの内部空間に残っているインクが硬化して、廃インクタンクに向かってインクが流れにくくなることが本願発明者の検討によって明らかになった。また、本願発明者の検討によれば、ヘッドキャップに光が当たると、ヘッドキャップの上端部に付着しているインクが硬化して、ヘッドキャップによってノズル面が封止されにくくなることが明らかになった。
【0007】
本願発明者は、メンテナンスユニットにキャリッジがないときに、ヘッドキャップに光が当たらないようにするために、ヘッドキャップの上側にカバーを配置して、ヘッドキャップの上面側をカバーで覆うことを検討している。この場合、メンテナンスユニットまでキャリッジを移動させてヘッドキャップでインクジェットヘッドのノズルからインクを吸引する際には、カバーをヘッドキャップの上側から退避させて、ヘッドキャップの上側を開放する必要がある。
【0008】
ヘッドキャップの上面側を覆うカバーをヘッドキャップの上側から退避させてヘッドキャップの上側を開放する場合、カバーの移動距離(退避距離)が長くなると、カバーを退避させるための広いスペースが必要になる。また、カバーの移動距離が長くなると、カバーを退避させる際にかかる時間が長くなるため、印刷媒体の印刷開始前や印刷媒体の印刷中の所定のタイミングでインクジェットヘッドのノズルからインクを吸引する際に、ヘッドキャップによってノズル面を封止するまでに時間がかかり、その結果、印刷媒体の印刷時間が長くなる。
【0009】
そこで、本発明の課題は、インクジェットヘッドのノズルの詰まりを防止するために設けられるメンテナンスユニットにおいて、インクジェットヘッドのノズルから流出するインクを受けるための複数のインク受け部の上面側をカバーで覆うことが可能であっても、インク受け部の上側を開放する際のカバーの移動距離を短くすることが可能なメンテナンスユニットを提供することにある。また、本発明の課題は、かかるメンテナンスユニットを備えるインクジェットプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明のメンテナンスユニットは、インクジェットヘッドのノズルの詰まりを防止するために設けられるメンテナンスユニットであって、複数のノズルが配列されるインクジェットヘッドのノズル面の下側でノズルから流出するインクを受けるための複数のインク受け部と、複数のインク受け部の上面側を覆うために複数のインク受け部の上側に配置される固定側カバーと、複数のインク受け部の上面側を覆うために複数のインク受け部の上側で固定側カバーに重なった状態で配置されるとともに固定側カバーに対してスライド可能な可動側カバーと、固定側カバーに対して可動側カバーをスライドさせる移動機構とを備え、水平方向の一方向を第1方向とすると、少なくとも2個のインク受け部は、第1方向において、インク受け部の第1方向の幅以上の間隔をあけた状態で配置され、固定側カバーには、上下方向で固定側カバーを貫通するとともに複数のインク受け部のそれぞれの上側に配置される複数の第1開口部が形成され、可動側カバーには、上下方向で可動側カバーを貫通するとともに複数のインク受け部のそれぞれの上側に配置可能な複数の第2開口部が形成され、第1開口部は、上側から見たときにインク受け部の全体が露出する大きさに形成され、第2開口部は、第2開口部がインク受け部の上側に配置された状態で上側から見たときにインク受け部の全体が露出する大きさに形成され、第2開口部の第1方向の幅は、複数の第1開口部の第1方向の間隔以下となっており、第1開口部の第1方向の幅は、複数の第2開口部の第1方向の間隔以下となっており、移動機構は、少なくとも1個の第2開口部が複数の第1開口部の第1方向の間に配置されて可動側カバーが複数の第1開口部を塞ぐ閉鎖位置と、閉鎖位置において第1方向で隣接する第1開口部と第2開口部とが上下方向で重なって上側から見たときに複数のインク受け部の全体が露出する開放位置との間で可動側カバーを第1方向にスライドさせることを特徴とする。
【0011】
本発明のメンテナンスユニットは、複数のインク受け部のそれぞれの上側に配置される複数の第1開口部が形成される固定側カバーと、複数のインク受け部のそれぞれの上側に配置可能な複数の第2開口部が形成される可動側カバーとを備えている。また、本発明では、移動機構は、少なくとも1個の第2開口部が複数の第1開口部の第1方向の間に配置されて可動側カバーが複数の第1開口部を塞ぐ閉鎖位置と、閉鎖位置において第1方向で隣接する第1開口部と第2開口部とが上下方向で重なって上側から見たときに複数のインク受け部の全体が露出する開放位置との間で可動側カバーを第1方向にスライドさせている。
【0012】
すなわち、本発明では、閉鎖位置において第1方向で隣接する第1開口部と第2開口部とが上下方向で重なる位置まで可動側カバーを第1方向の一方にスライドさせることで、可動側カバーによって覆われていたインク受け部の上側を開放している。そのため、本発明では、インク受け部の上面側を固定側カバーおよび可動側カバーで覆うことが可能であっても、インク受け部の上側を開放する際の可動側カバーの移動距離を短くすることが可能になる。
【0013】
本発明において、たとえば、上側から見たときのインク受け部の形状は、長方形状または正方形状となっており、長方形状または正方形状をなすインク受け部の一辺に平行な方向が第1方向となっている。この場合には、たとえば、上側から見たときのインク受け部の形状は、長方形状となっており、長方形状をなすインク受け部の短辺に平行な方向が第1方向となっている。
【0014】
本発明において、第1開口部および第2開口部は、長方形状に形成され、長方形状に形成される第1開口部の短辺および長方形状に形成される第2開口部の短辺は、第1方向と平行に配置されていることが好ましい。このように構成すると、第1開口部の長辺および第2開口部の長辺が第1方向と平行に配置されている場合と比較して、インク受け部の上側を開放する際の可動側カバーの移動距離を短くすることが可能になる。したがって、インク受け部の上側を開放する際の可動側カバーの移動距離をより短くすることが可能になる。
【0015】
本発明において、固定側カバーおよび可動側カバーは、平板状に形成されていることが好ましい。このように構成すると、固定側カバーおよび可動側カバーの構成を簡素化することが可能になるとともに、上下方向においてメンテナンスユニットを薄型化することが可能になる。
【0016】
本発明において、第1開口部の第1方向の幅は、複数の第2開口部の第1方向の間隔よりも狭くなっており、第2開口部の第1方向の幅は、複数の第1開口部の第1方向の間隔よりも狭くなっていることが好ましい。このように構成すると、可動側カバーが閉鎖位置に配置されているときに、可動側カバーによって複数の第1開口部を確実に塞ぐことが可能になる。
【0017】
本発明において、上下方向と第1方向とに直交する方向を第2方向とすると、たとえば、第2方向においてインク受け部の第2方向の幅よりも狭い間隔をあけた状態で配置されるとともに第1方向において同じ位置に配置される少なくとも2個のインク受け部が、第1方向においてインク受け部の第1方向の幅以上の間隔をあけた状態で少なくとも2箇所に配置されている。
【0018】
本発明のメンテナンスユニットは、インク滴を吐出する複数のインクジェットヘッドと、複数のインクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、キャリッジを主走査方向に移動させるキャリッジ移動機構とを備えるインクジェットプリンタに用いることができる。このインクジェットプリンタでは、インク受け部の上面側を固定側カバーおよび可動側カバーで覆うことが可能であっても、インク受け部の上側を開放する際の可動側カバーの移動距離を短くすることが可能になる。
【0019】
本発明において、移動機構は、主走査方向に可動側カバーをスライドさせることが好ましい。このように構成すると、上下方向と主走査方向とに直交する副走査方向においてメンテナンスユニットを小型化することが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明では、インクジェットヘッドのノズルから流出するインクを受けるための複数のインク受け部の上面側をカバーで覆うことが可能であっても、インク受け部の上側を開放する際のカバーの移動距離を短くすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態にかかるインクジェットプリンタの斜視図である。
【
図2】
図1に示すキャリッジに搭載されるインクジェットヘッドの配置を説明するための底面図である。
【
図3】
図1に示すメンテナンスユニットのインク受け部および固定側カバーの構成を説明するための平面図である。
【
図4】
図1に示すメンテナンスユニットの可動側カバーの構成を説明するための平面図である。
【
図5】
図4に示す可動側カバーの動作を説明するための平面図である。
【
図6】本発明の他の実施の形態にかかるインク受け部、固定側カバーおよび可動側カバーの構成と、可動側カバーの動作を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
(インクジェットプリンタの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるインクジェットプリンタ1の斜視図である。
図2は、
図1に示すキャリッジ4に搭載されるインクジェットヘッド3の配置を説明するための底面図である。
【0024】
本形態のインクジェットプリンタ1(以下、「プリンタ1」とする。)は、印刷用紙等の印刷媒体に印刷を行うための業務用のインクジェットプリンタである。また、本形態のプリンタ1は、いわゆるフラットベット型のインクジェットプリンタである。プリンタ1は、印刷媒体にインク滴を吐出する複数のインクジェットヘッド3(以下、「ヘッド3」とする。)と、複数のヘッド3が搭載されるキャリッジ4とを備えている。本形態のプリンタ1は、10個のヘッド3を備えており、10個のヘッド3がキャリッジ4に搭載されている。
【0025】
また、プリンタ1は、主走査方向への移動が可能となるようにキャリッジ4を保持するYバー5と、Yバー5に対して主走査方向にキャリッジ4を移動させるキャリッジ移動機構6と、印刷媒体が載置されるテーブル7と、上下方向と主走査方向とに直交する副走査方向へテーブル7に対してYバー5をスライドさせるスライド機構とを備えている。以下の説明では、主走査方向(
図1等のY方向)を「左右方向」とし、副走査方向(
図1等のX方向)を「前後方向」とする。本形態の左右方向(Y方向)は、水平方向の一方向である第1方向となっている。また、前後方向(X方向)は、上下方向と第1方向とに直交する第2方向となっている。
【0026】
キャリッジ4は、テーブル7の上側に配置されている。ヘッド3は、テーブル7の上面に載置される印刷媒体に向かって上側からインク滴を吐出する。ヘッド3の下面には、インク滴を吐出する複数のノズルが配列されるノズル面(インク吐出面)3aが形成されている。ノズル面3aは、長方形状に形成されている。ヘッド3は、ノズル面3aの長辺が前後方向と平行になるように(すなわち、ノズル面3aの短辺が左右方向と平行になるように)、キャリッジ4に搭載されている。
【0027】
上述のように、キャリッジ4には、10個のヘッド3が搭載されている。具体的には、
図2に示すように、前後方向において一定の間隔をあけた状態で配置されるとともに左右方向において同じ位置に配置される2個のヘッド3が左右方向に一定の間隔をあけた状態で5箇所に配置されている。左右方向において同じ位置に配置される2個のヘッド3をヘッド組33とすると、ヘッド組33を構成する2個のヘッド3の前後方向の間隔S1は、ノズル面3aの前後方向の幅(長方形状に形成されるノズル面3aの長辺の長さ)W1よりも狭くなっている。
【0028】
5個のヘッド組33の左右方向の間隔S2は、ノズル面3aの左右方向の幅(長方形状に形成されるノズル面3aの短辺の長さ)W2よりも広くなっている。5個のヘッド組33のうちの3個のヘッド組33は、前後方向において同じ位置に配置されている。残りの2個のヘッド組33は、前後方向において同じ位置に配置されるとともに、3個のヘッド組33からずれた位置に配置されている。前後方向で同じ位置に配置される3個のヘッド組33と、前後方向において同じ位置に配置される残りの2個のヘッド組33との前後方向のずれ量は、ノズル面3aの前後方向の幅W1よりも小さくなっている。
【0029】
ヘッド3が吐出するインクは、紫外線硬化型のUVインクである。キャリッジ4には、ヘッド3から吐出されたインクに紫外線を照射する紫外線照射器が搭載されている。キャリッジ移動機構6は、たとえば、モータ、モータの動力で回転する駆動プーリ、従動プーリ、および、駆動プーリと従動プーリとに架け渡されるベルト等を備えている。ベルトの一部は、キャリッジ4に固定されている。Yバー5は、左右方向に細長い直方体状に形成されている。Yバー5には、左右方向(主走査方向)へキャリッジ4を案内するためのガイドレール8が固定されている。スライド機構は、たとえば、モータおよびボールねじ等を備えている。
【0030】
また、プリンタ1は、ヘッド3のノズルの詰まり(目詰まり)を防止するために設けられるメンテナンスユニット11を備えている。メンテナンスユニット11は、左右方向(主走査方向)において、印刷媒体の印刷領域から外れた位置であるキャリッジ4の所定の待機位置に配置されている。以下、メンテナンスユニット11の構成を説明する。
【0031】
(メンテナンスユニットの構成)
図3は、
図1に示すメンテナンスユニット11のキャップ体12および固定側カバー13の構成を説明するための平面図である。
図4は、
図1に示すメンテナンスユニット11の可動側カバー14の構成を説明するための平面図である。
図5は、
図4に示す可動側カバー14の動作を説明するための平面図である。
【0032】
メンテナンスユニット11は、ノズル面3aを覆ってノズルからインクを吸引するためのキャッピング機構を備えている。キャッピング機構は、ノズル面3aを下側から覆う複数のキャップ体12を備えている。具体的には、キャッピング機構は、キャリッジ4に搭載されるヘッド3と同じ数のキャップ体12を備えている。すなわち、キャッピング機構は、10個のキャップ体12を備えている。
【0033】
また、メンテナンスユニット11は、10個のキャップ体12の上面側を覆うために10個のキャップ体12の上側に配置される固定側カバー13と、10個のキャップ体12の上面側を覆うために10個のキャップ体12の上側で固定側カバー13と重なった状態で配置される可動側カバー14とを備えている。可動側カバー14は、固定側カバー13に対してスライド可能になっている。メンテナンスユニット11は、固定側カバー13に対して可動側カバー14をスライドさせる移動機構15を備えている。
【0034】
キャップ体12は、たとえば、ゴム製のゴムキャップと、ゴムキャップの上側に配置される着液部材とを備えている。キャップ体12の底面には、インク排出管の一端が接続され、インク排出管の他端は、廃インクタンクに接続されている。インク排出管の途中には吸引ポンプが配置されている。ヘッド3のノズルからインクが吸引されるときには、ゴムキャップの端部がヘッド3の下面に密着するとともに、ゴムキャップがノズル面3aを下側から覆った状態で、吸引ポンプが駆動する。本形態のキャップ体12は、吸引ポンプによって吸引されてヘッド3のノズルから流出するインクをノズル面3aの下側で受けるためのインク受け部である。
【0035】
上側から見たときのキャップ体12の形状は、長方形状となっている。長方形状をなすキャップ体12の一辺は、左右方向と平行になっている。すなわち、長方形状をなすキャップ体12の一辺に平行な方向が左右方向となっている。具体的には、長方形状をなすキャップ体12の短辺は、左右方向と平行になっている。すなわち、長方形状をなすキャップ体12の短辺に平行な方向が左右方向となっている。キャップ体12の前後方向の幅(長方形状をなすキャップ体12の長辺の長さ)W3は、ノズル面3aの前後方向の幅W1よりも若干広くなっている。キャップ体12の左右方向の幅(長方形状に形成されるキャップ体12の短辺の長さ)W4は、ノズル面3aの左右方向の幅W2よりも若干広くなっている。
【0036】
上述のように、キャッピング機構は、10個のキャップ体12を備えている。10個のキャップ体12は、キャリッジ4に搭載される10個のヘッド3に対応する位置に配置されている。すなわち、
図3に示すように、前後方向において一定の間隔をあけた状態で配置されるとともに左右方向において同じ位置に配置される2個のキャップ体12が左右方向に一定の間隔をあけた状態で5箇所に配置されている。左右方向において同じ位置に配置される2個のキャップ体12をキャップ体組42とすると、キャップ体組42を構成する2個のキャップ体12の前後方向の間隔S3は、キャップ体12の前後方向の幅W3よりも狭くなっている。5個のキャップ体組42の左右方向の間隔S4は、キャップ体12の左右方向の幅W4よりも広くなっている。
【0037】
このように本形態では、前後方向においてキャップ体12の前後方向の幅W3よりも狭い間隔S3をあけた状態で配置される2個のキャップ体12が、左右方向においてキャップ体12の左右方向の幅W4よりも広い間隔S4をあけた状態で5箇所に配置されている。また、本形態では、10個のキャップ体12が、左右方向においてキャップ体12の左右方向の幅W4よりも広い間隔S4をあけた状態で配置されている。
【0038】
5個のキャップ体組42のうちの3個のキャップ体組42は、前後方向において同じ位置に配置されている。残りの2個のキャップ体組42は、前後方向において同じ位置に配置されるとともに、3個のキャップ体組42からずれた位置に配置されている。前後方向で同じ位置に配置される3個のキャップ体組42と、前後方向において同じ位置に配置される残りの2個のキャップ体組42との前後方向のずれ量は、キャップ体12の前後方向の幅W3よりも小さくなっている。
【0039】
固定側カバー13は、平板状に形成されている。固定側カバー13は、固定側カバー13の厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。固定側カバー13には、上下方向で固定側カバー13を貫通するとともに10個のキャップ体12のそれぞれの上側に配置される10個の第1開口部13aが形成されている。すなわち、固定側カバー13には、
図3に示すように、前後方向において一定の間隔をあけた状態で配置されるとともに左右方向において同じ位置に配置される2個の第1開口部13aが左右方向に一定の間隔をあけた状態で5箇所に形成されている。
【0040】
第1開口部13aは、長方形状に形成されている。長方形状に形成される第1開口部13aの短辺は、左右方向と平行に配置されている。左右方向において同じ位置に配置される2個の第1開口部13aを第1開口部組43aとすると、第1開口部組43aを構成する2個の第1開口部13aの前後方向の間隔S5は、第1開口部13aの前後方向の幅(第1開口部13aの長辺の長さ)W5よりも狭くなっている。5個の第1開口部組43aの左右方向の間隔S6は、第1開口部13aの左右方向の幅(第1開口部13aの短辺の長さ)W6よりも広くなっている。
【0041】
第1開口部13aは、上側から見たときにキャップ体12の全体が露出する大きさに形成されている。すなわち、第1開口部13aの前後方向の幅W5は、キャップ体12の前後方向の幅W3よりも広くなっているとともに、第1開口部13aの左右方向の幅W6は、キャップ体12の左右方向の幅W4よりも広くなっている。上側から見たときに、10個の第1開口部13aのそれぞれの中心と10個のキャップ体12のそれぞれの中心とが一致している。また、たとえば、上側から見ると、第1開口部13aは、キャップ体12の相似形となっている。
【0042】
可動側カバー14は、平板状に形成されている。可動側カバー14は、可動側カバー14の厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。また、可動側カバー14は、固定側カバー13の下側に配置されている。可動カバー14は、左右方向にスライド可能となっている。なお、可動側カバー14は、固定側カバー13の上側に配置されていても良い。
【0043】
可動側カバー14には、上下方向で可動側カバー14を貫通するとともに10個のキャップ体12のそれぞれの上側に配置可能な10個の第2開口部14aが形成されている。すなわち、可動側カバー14には、
図4に示すように、前後方向において一定の間隔をあけた状態で配置されるとともに左右方向において同じ位置に配置される2個の第2開口部14aが左右方向に一定の間隔をあけた状態で5箇所に形成されている。
【0044】
第2開口部14aは、長方形状に形成されている。長方形状に形成される第2開口部14aの短辺は、左右方向と平行に配置されている。左右方向において同じ位置に配置される2個の第2開口部14aを第2開口部組44aとすると、第2開口部組44aを構成する2個の第2開口部14aの前後方向の間隔S7は、第2開口部14aの前後方向の幅(第2開口部14aの長辺の長さ)W7よりも狭くなっている。5個の第2開口部組44aの左右方向の間隔S8は、第2開口部14aの左右方向の幅(第2開口部14aの短辺の長さ)W8よりも広くなっている。
【0045】
第2開口部14aは、第2開口部14aがキャップ体12の上側に配置された状態で上側から見たときにキャップ体12の全体が露出する大きさに形成されている。すなわち、第2開口部14aの前後方向の幅W7は、キャップ体12の前後方向の幅W3よりも広くなっているとともに、第2開口部14aの左右方向の幅W8は、キャップ体12の左右方向の幅W4よりも広くなっている。可動側カバー14は、上側から見たときに、10個の第2開口部14aの中心と10個のキャップ体12の中心とが一致する位置までスライド可能となっている。
【0046】
第1開口部13aの左右方向の幅W6は、第2開口部組44aの左右方向の間隔S8よりも狭くなっている。すなわち、第1開口部13aの左右方向の幅W6は、10個の第2開口部14aの左右方向の間隔S8よりも狭くなっている。第2開口部14aの左右方向の幅W8は、第1開口部組43aの左右方向の間隔S6よりも狭くなっている。すなわち、第2開口部14aの左右方向の幅W8は、10個の第1開口部13aの左右方向の間隔S6よりも狭くなっている。本形態では、第2開口部14aは、第1開口部13aと同形状に形成されている。
【0047】
移動機構15は、左右方向に可動側カバー14をスライドさせる。移動機構15は、モータと、モータの動力を可動側カバー14に伝達する動力伝達機構とを備えている。動力伝達機構は、たとえば、モータの動力で回動等するカム部材を備えている。あるいは、動力伝達機構は、たとえば、モータの動力で回転するピニオンと、このピニオンと噛み合うラックとを備えている。また、動力伝達機構は、モータの動力で回転する駆動プーリと、従動プーリと、駆動プーリと従動プーリとに架け渡されるベルトとを備えていても良い。また、移動機構15は、駆動源として、モータに代えて、ソレノイドを備えていても良い。
【0048】
移動機構15は、
図5(A)に示すように、5個の第2開口部組44aのうちの4個の第2開口部組44aのそれぞれが5個の第1開口部組43aのそれぞれの間に配置されて可動側カバー14が10個の第1開口部13aを塞ぐ閉鎖位置14Aと、
図5(B)に示すように、閉鎖位置14Aにおいて左右方向で隣接する第1開口部組43aと第2開口部組44aとが上下方向で重なって上側から見たときに10個のキャップ体12の全体が露出する開放位置14Bとの間で可動側カバー14を左右方向にスライドさせる。
【0049】
すなわち、移動機構15は、8個の第2開口部14aが10個の第1開口部13aの左右方向の間に配置されて可動側カバー14が10個の第1開口部13aを塞ぐ閉鎖位置14Aと、閉鎖位置14Aにおいて左右方向で隣接する第1開口部13aと第2開口部14aとが上下方向で重なって上側から見たときに10個のキャップ体12の全体が露出する開放位置14Bとの間で可動側カバー14を左右方向にスライドさせる。可動側カバー14が開放位置14Bにあるときには、第1開口部13aと第2開口部14aとが完全に重なっている。
【0050】
本形態では、メンテナンスユニット11にキャリッジ4が配置されていないときに、可動側カバー14は、閉鎖位置14Aに配置されており、可動側カバー14が10個の第1開口部13aを塞いでいる。すなわち、10個のキャップ体12の上面側が固定側カバー13と可動側カバー14とによって覆われている。キャッピング機構によってヘッド3のノズルからインクを吸引するために、キャリッジ4がメンテナンスユニット11に移動してキャップ体12がノズル面3aを下側から覆うときには、可動側カバー14が閉鎖位置14Aから開放位置14Bに移動して、上側から見たときに10個のキャップ体12の全体が露出する。
【0051】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、メンテナンスユニット11は、10個のキャップ体12のそれぞれの上側に配置される10個の第1開口部13aが形成される固定側カバー13と、10個のキャップ体12のそれぞれの上側に配置可能な10個の第2開口部14aが形成される可動側カバー14とを備えている。また、本形態では、移動機構15は、5個の第2開口部組44aのうちの4個の第2開口部組44aが5個の第1開口部組43aの間に配置されて可動側カバー14が10個の第1開口部13aを塞ぐ閉鎖位置14Aと、閉鎖位置14Aにおいて左右方向で隣接する第1開口部組43aと第2開口部組44aとが上下方向で重なって上側から見たときに10個のキャップ体12の全体が露出する開放位置14Bとの間で可動側カバー14を左右方向にスライドさせている。
【0052】
すなわち、本形態では、閉鎖位置14Aにおいて左右方向で隣接する第1開口部組43aと第2開口部組44aとが上下方向で重なる位置まで可動側カバー14を左右方向の一方にスライドさせることで、可動側カバー14に覆われていたキャップ体12の上側を開放している。そのため、本形態では、キャップ体12の上面側を固定側カバー13および可動側カバー14で覆うことが可能であっても、キャップ体12の上側を開放する際の可動側カバー14の移動距離を短くすることが可能になる。
【0053】
特に本形態では、長方形状に形成される第2開口部14aの短辺と平行な方向である左右方向の一方に向かって、閉鎖位置14Aにある可動側カバー14を開放位置14Bまで移動させることで、可動側カバー14に覆われていたキャップ体12の上側を開放しているため、キャップ体12の上側を開放する際の可動側カバー14の移動距離をより短くすることが可能になる。
【0054】
本形態では、移動機構15は、左右方向(主走査方向)に可動側カバー14をスライドさせている。そのため、本形態では、前後方向(副走査方向)においてメンテナンスユニット11を小型化することが可能になる。また、本形態では、固定側カバー13および可動側カバー14が平板状に形成されているため、固定側カバー13および可動側カバー14の構成を簡素化することが可能になるとともに、上下方向においてメンテナンスユニット11を薄型化することが可能になる。
【0055】
本形態では、第1開口部13aの左右方向の幅W6は、5個の第2開口部組44aの左右方向の間隔S8よりも狭くなっている。そのため、本形態では、可動側カバー14が閉鎖位置14Aに配置されているときに、可動側カバー14によって10個の第1開口部13aを確実に塞ぐことが可能になる。
【0056】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0057】
上述した形態において、可動側カバー14が開放位置14Bにあるときに10個のキャップ体12の全体が露出するのであれば、可動側カバー14が開放位置14Bにあるときに第1開口部13aと第2開口部14aとが完全に重なっていなくても良い。また、上述した形態において、第1開口部13aの左右方向の幅W6は、第2開口部14aの左右方向の間隔S8と等しくなっていても良い。また、第2開口部14aの左右方向の幅W8は、第1開口部13aの左右方向の間隔S6と等しくなっていても良い。また、幅W6と間隔S8とが等しく、かつ、幅W8と間隔S6と等しい場合には、キャップ体組42の左右方向の間隔S4は、キャップ体12の左右方向の幅W4と等しくなっていても良い。この場合には、幅W4と幅W6と幅W8とが等しくなっている。また、上述した形態において、第2開口部14aは、第1開口部13aより小さく形成されていても良いし、第1開口部13aより大きく形成されていても良い。
【0058】
上述した形態において、キャリッジ4に搭載されるヘッド3の数は、9個以下の複数であっても良いし、11個以上であっても良い。この場合には、メンテナンスユニット11は、キャリッジ4に搭載されるヘッド3の数に応じた複数のキャップ体12を備えている。また、この場合には、キャップ体12の数に応じた第1開口部13a、第2開口部14aが固定側カバー13、可動側カバー14に形成されている。また、上述した形態において、4個以下の複数のヘッド組33が左右方向に一定の間隔S2をあけた状態で配置されていても良いし、6個以上のヘッド組33が左右方向に一定の間隔S2をあけた状態で配置されていても良い。この場合には、ヘッド組33の数に応じたキャップ体組42が左右方向に一定の間隔S4をあけた状態で配置されている。
【0059】
上述した形態において、3個以上のヘッド3によってヘッド組33が構成されていても良い。この場合には、ヘッド組33を構成するヘッド3の数に応じた3個以上のキャップ体12によってキャップ体組42が構成されている。また、上述した形態において、ヘッド組33を構成するヘッド3の数が他のヘッド組33と異なるヘッド組33があっても良いし、いくつかのヘッド組33に代えて、1個のヘッド3が配置されていても良い。
【0060】
上述した形態において、複数のヘッド3の全てが左右方向に一定の間隔S2をあけた状態で配置されていても良い。この場合には、複数のキャップ体12の全てが左右方向に一定の間隔S4をあけた状態で配置されている。なお、キャリッジ4に搭載されるヘッド3の数が2個の場合には、2個のヘッド3が左右方向に一定の間隔S2をあけた状態で配置されるとともに、2個のキャップ体12が左右方向に一定の間隔S4をあけた状態で配置されている。
【0061】
上述した形態において、ヘッド3の前後方向の間隔S1がノズル面3aの前後方向の幅W1より広くなっていても良い。この場合には、キャップ体12の前後方向の間隔S3は、キャップ体12の前後方向の幅W3以上となっており、第1開口部13aの前後方向の間隔S5は、第1開口部13aの前後方向の幅W5以上となっており、第2開口部14aの前後方向の間隔S7は、第2開口部14aの前後方向の幅W7以上となっている。
【0062】
この場合には、移動機構15は、前後方向(副走査方向)に可動側カバー14をスライドさせても良い。具体的には、移動機構15は、たとえば、第2開口部組44aを構成する2個の第2開口部14aのうちの前後方向の一方側に配置される第2開口部14aが、第1開口部組43aを構成する2個の第1開口部13aの前後方向の間に配置されて可動側カバー14が10個の第1開口部13aを塞ぐ閉鎖位置と、閉鎖位置において前後方向で隣接する第1開口部13aと第2開口部14aとが上下方向で重なって上側から見たときに10個のキャップ体12の全体が露出する開放位置との間で可動側カバー14を前後方向にスライドさせても良い。
【0063】
この場合には、前後方向(X方向)が第1方向となる。また、この場合には、キャップ体組42の左右方向の間隔S4がキャップ体12の左右方向の幅W4よりも狭くなっており、第1開口部組43aの左右方向の間隔S6が第1開口部13aの左右方向の幅W6よりも狭くなっており、第2開口部組44aの左右方向の間隔S8が第2開口部14aの左右方向の幅W8より狭くなっていても良い。
【0064】
上述した形態において、ヘッド3は、ノズル面3aの短辺が前後方向および左右方向に対して傾斜する方向と平行になるようにキャリッジ4に搭載されていても良い。この場合であっても、キャップ体12の短辺は、ノズル面3aの短辺と平行になっている。また、この場合には、たとえば、移動機構15は、キャップ体12の短辺に平行な方向へ可動側カバー14をスライドさせる。この場合には、キャップ体12の短辺に平行な方向は第1方向となっている。
【0065】
上述した形態において、ノズル面3aが正方形状に形成されていて、ノズル面3aの一辺が前後方向と平行になるように、ヘッド3がキャリッジ4に搭載されていても良い。この場合には、たとえば、
図6に示すように、上側から見たときのキャップ体12の形状は、正方形状となっている。また、第1開口部13aおよび第2開口部14aは、たとえば、正方形状に形成されている。
【0066】
上側から見たときのキャップ体12の形状が正方形状となっている場合であって、たとえば、キャップ体組42の左右方向の間隔S4がキャップ体12の左右方向の幅W4以上となっており、第1開口部組43aの左右方向の間隔S6が第1開口部13aの左右方向の幅W6以上となっており、第2開口部組44aの左右方向の間隔S8が第2開口部14aの左右方向の幅W8以上となっている場合には、移動機構15は、上述した形態と同様に、可動側カバー14を左右方向にスライドさせる。
【0067】
具体的には、移動機構15は、5個の第2開口部組44aのうちの4個の第2開口部組44aのそれぞれが5個の第1開口部組43aのそれぞれの間に配置されて可動側カバー14が10個の第1開口部13aを塞ぐ閉鎖位置14Aと、閉鎖位置14Aにおいて左右方向で隣接する第1開口部組43aと第2開口部組44aとが上下方向で重なって上側から見たときに10個のキャップ体12の全体が露出する開放位置14Bとの間で可動側カバー14を左右方向にスライドさせる。
【0068】
また、上側から見たときのキャップ体12の形状が正方形状となっている場合であって、たとえば、
図6に示すように、キャップ体12の前後方向の間隔S3がキャップ体12の前後方向の幅W3以上となっており、第1開口部13aの前後方向の間隔S5が第1開口部13aの前後方向の幅W5以上となっており、第2開口部14aの前後方向の間隔S7が第2開口部14aの前後方向の幅W7以上となっている場合には、移動機構15は、可動側カバー14を前後方向にスライドさせても良い。
【0069】
具体的には、移動機構15は、第2開口部組44aを構成する2個の第2開口部14aのうちの前後方向の一方側に配置される第2開口部14aが、第1開口部組43aを構成する2個の第1開口部13aの前後方向の間に配置されて可動側カバー14が10個の第1開口部13aを塞ぐ閉鎖位置14A(
図6(A)参照)と、閉鎖位置14Aにおいて前後方向で隣接する第1開口部13aと第2開口部14aとが上下方向で重なって上側から見たときに10個のキャップ体12の全体が露出する開放位置14B(
図6(B)参照)との間で可動側カバー14を前後方向にスライドさせても良い。この場合には、前後方向(X方向)が第1方向となる。
【0070】
上述した形態において、ノズル面3aは、長方形状および正方形状以外の形状に形成されていても良い。この場合には、キャップ体12、第1開口部13aおよび第2開口部14aは、ノズル面3aの形状に応じた形状に形成されている。また、上述した形態において、固定側カバー13は、平板状に形成されていなくても良いし、可動側カバー14は、平板状に形成されていなくても良い。たとえば、固定側カバー13および可動側カバー14は、ブロック状に形成されていても良い。
【0071】
上述した形態では、ノズル面3aを下側から覆うキャップ体12が、ヘッド3のノズルから流出するインクをノズル面3aの下側で受けるためのインク受け部となっているが、メンテナンスユニット11においてヘッド3のパージングやフラッシングが行われるときに、ヘッド3のノズルから強制的に吐出されて流出するインクを受けるためのインク受け部材が、ヘッド3のノズルから流出するインクをノズル面3aの下側で受けるためのインク受け部となっていても良い。
【符号の説明】
【0072】
1 プリンタ(インクジェットプリンタ)
3 ヘッド(インクジェットヘッド)
3a ノズル面
4 キャリッジ
6 キャリッジ移動機構
11 メンテナンスユニット
12 キャップ体(インク受け部)
13 固定側カバー
13a 第1開口部
14 可動側カバー
14A 閉鎖位置
14B 開放位置
14a 第2開口部
15 移動機構
S6 複数の第1開口部の第1方向の間隔
S8 複数の第2開口部の第1方向の間隔
W3 キャップ体の第2方向の幅(インク受け部の第2方向の幅)
W4 キャップ体の第1方向の幅(インク受け部の第1方向の幅)
W6 第1開口部の第1方向の幅
W8 第2開口部の第1方向の幅
X 第2方向
Y 主走査方向、第1方向