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特許7167007切断のためのインサートアダプタ及びこのアダプタを含む工具アセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】切断のためのインサートアダプタ及びこのアダプタを含む工具アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B23B 27/08 20060101AFI20221031BHJP
   B23B 27/04 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
B23B27/08 A
B23B27/04
【請求項の数】 36
(21)【出願番号】P 2019506435
(86)(22)【出願日】2017-08-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-19
(86)【国際出願番号】 IL2017050975
(87)【国際公開番号】W WO2018047162
(87)【国際公開日】2018-03-15
【審査請求日】2020-07-06
(31)【優先権主張番号】62/383,739
(32)【優先日】2016-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ベン ハロウチェ デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】マルカ アサフ
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-290303(JP,A)
【文献】特表平08-502454(JP,A)
【文献】特表2001-517555(JP,A)
【文献】特開2014-094446(JP,A)
【文献】特開2015-009360(JP,A)
【文献】特表2015-512794(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0156516(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0126969(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00497257(EP,A2)
【文献】独国実用新案第29908767(DE,U1)
【文献】特表2005-517538(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0082519(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0343825(US,A1)
【文献】特表2015-500149(JP,A)
【文献】特表2014-509563(JP,A)
【文献】特開平07-227702(JP,A)
【文献】特表2009-531186(JP,A)
【文献】特表2013-540058(JP,A)
【文献】特開平02-160409(JP,A)
【文献】国際公開第2016/030016(WO,A1)
【文献】中国実用新案第201192736(CN,Y)
【文献】中国実用新案第201613362(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 27/00-29/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アダプタインデックス軸を有する切断用インサートアダプタであって、
アダプタの周囲の周縁に延びるアダプタ周縁表面によって接続される平行なアダプタ第1側面及び第2側面であって、前記アダプタインデックス軸は、前記第1側面及び前記第2側面の中心を通って延び、前記アダプタ周縁表面には、複数のポケット及び前記ポケットの間に延びる直線的なベアリング表面が形成される、アダプタ第1側面及び第2側面と、
弾性クランプのために構成され、かつ、弾性の上方及び下方締結表面を含む前記ポケットのそれぞれと、
を備え
前記インサートアダプタは、前記インサートアダプタを包含する仮想上の円柱の50%より大きい容積の素材を有し、
前記インサートアダプタは、金属で製造される、インサートアダプタ。
【請求項2】
前記複数のポケットは、少なくとも3つのポケットである、請求項1に記載のインサートアダプタ。
【請求項3】
前記複数のポケットは、最大5つのポケットである、請求項1に記載のインサートアダプタ。
【請求項4】
前記インサートアダプタの側面視で、それぞれの直線的なベアリング表面は、前記ポケットの1つに隣接するように配置された凹部と、非凹部と、前記凹部及び前記非凹部を接続する移行部と、を含む、請求項1に記載のインサートアダプタ。
【請求項5】
前記ポケットは、前記アダプタ周縁表面の周囲に均等に間を空けられる、請求項1から4の何れか一項に記載のインサートアダプタ。
【請求項6】
前記アダプタ第1側面及び第2側面は、平坦である、請求項1から5の何れか一項に記載のインサートアダプタ。
【請求項7】
前記上方及び下方の締結表面のいずれか又は両方は、尾根形状を有する、請求項1から6の何れか一項に記載のインサートアダプタ。
【請求項8】
前記上方及び下方の締結表面のうちの正確に1つは、浮彫凹部によって離された2つの接触領域を含む、請求項1から7の何れか一項に記載のインサートアダプタ。
【請求項9】
それぞれのポケットには、インサートストッパ表面が形成される、請求項1から8の何れか一項に記載のインサートアダプタ。
【請求項10】
弾性の溝を有さない、請求項1から9の何れか一項に記載のインサートアダプタ。
【請求項11】
前記容積は、前記仮想上の円柱の容積の55%よりも大きく、75%よりも小さい、請求項1から10の何れか一項に記載のインサートアダプタ。
【請求項12】
前記アダプタ第1側面及び第2側面へ開口する単一の中心のねじ孔がさらに形成される、請求項1から11の何れか一項に記載のインサートアダプタ。
【請求項13】
前記アダプタ第1側面及び第2側面へ開口し、周方向に均等に間を空ける複数のねじ孔がさらに形成される、請求項1から11の何れか一項に記載のインサートアダプタ。
【請求項14】
前記ねじ孔の数は、前記インサートアダプタの前記ポケットの数と等しい、請求項13に記載のインサートアダプタ。
【請求項15】
操作位置で、最も前のベアリング表面は、操作方向Dに対して本質的に垂直に延びるように構成される、請求項1から14の何れか一項に記載のインサートアダプタ。
【請求項16】
工具に前記インサートアダプタを締結するための複数のねじ孔を含む非中心締結構造でさらに形成される、請求項1に記載のインサートアダプタ。
【請求項17】
前記ねじ孔は互いに周方向に均等に間を空けられる、請求項16に記載のインサートアダプタ。
【請求項18】
ポケットのそれぞれと関連づけられた開放孔をさらに備える、請求項1に記載のインサートアダプタ。
【請求項19】
工具ホルダと、前記工具ホルダの工具ヘッドのアダプタ凹部に取り付けられる請求項1~18のいずれか1項に記載のインサートアダプタと、前記インサートアダプタの前記ポケットの1つに取り付けられるインサートと、を含む工具アセンブリであって、
前記インサートは、操作目的のために配置される前記工具アセンブリの切断刃のみである切断刃を備える、工具アセンブリ。
【請求項20】
前記切断刃は、前記アダプタインデックス軸Iと平行に測定される切断刃厚さを有し、
前記インサートアダプタは、前記アダプタインデックス軸Iと平行に測定されるアダプタ厚さを含み、前記アダプタ厚さは、前記切断刃厚さよりも小さい、請求項19に記載の工具アセンブリ。
【請求項21】
前記インサートアダプタは、少なくとも1つのねじ孔を含み、
前記工具ホルダは、少なくとも1つの工具孔を含み、そして
前記アセンブリは、前記工具ホルダに前記ねじ孔及び工具孔を介して前記インサートアダプタを固定するための少なくとも1つのねじをさらに含み、
前記少なくとも1つのねじは、頭部及び軸部を有し、
前記軸部は、前記インサートアダプタのアダプタ厚さよりも少なくとも三倍大きい軸部長さを有する、請求項19に記載の工具アセンブリ。
【請求項22】
前記軸部は、ねじの形成されたサブ部と、前記ねじの形成されたサブ部及び前記頭部の間に配置されるねじの形成されていないサブ部と、を含み、
前記ねじの形成されていないサブ部は、前記ねじの形成されていないサブ部に沿って測定され、アダプタ厚さよりも大きな長さの軸長さを有する、請求項21に記載の工具アセンブリ。
【請求項23】
冷却剤路は、前記アダプタ凹部の下に延び、前記アダプタ凹部の最も前の部分に開口し、前記インサートアダプタの前記アダプタ第1側面及び第2側面を2つに分けるアダプタ平面と並ぶ、請求項19に記載の工具アセンブリ。
【請求項24】
前記インサートアダプタは、所望の方向に前記インサートアダプタを付勢するために、前記アダプタ凹部内の対応の工具孔からずれたねじ孔を有するように形成される、請求項19に記載の工具アセンブリ。
【請求項25】
前記切断刃は、前記インサートの切断刃のみである、請求項19に記載の工具アセンブリ。
【請求項26】
前記切断刃は、同じ軸に沿って測定される前記インサートの残りの部分の厚さよりも大きい厚さを有する、請求項19に記載の工具アセンブリ。
【請求項27】
前記インサートが細長い形状を有する、請求項19に記載の工具アセンブリ。
【請求項28】
前記工具ホルダが、細長い工具軸を有する、請求項19に記載の工具アセンブリ。
【請求項29】
前記工具ホルダの操作方向は、前記細長い工具軸の長手方向と平行である、請求項28に記載の工具アセンブリ。
【請求項30】
前記工具軸は、四辺形の断面を有する、請求項28に記載の工具アセンブリ。
【請求項31】
前記アダプタ凹部は、少なくとも1つのアダプタ設置面突起を備える、請求項19に記載の工具アセンブリ。
【請求項32】
前記工具ヘッドは、前記アダプタ凹部の周囲に沿って前記工具ホルダから突出する第1及び第2工具ベアリング表面を備える、請求項19に記載の工具アセンブリ。
【請求項33】
前記第1及び第2工具ベアリング表面は、前記インサートアダプタがの3つの領域のみ、すなわち前記インサートアダプタの側面のうちの1つ及びちょうど2つの直線的なベアリング表面を介して前記工具ホルダに接触するように、前記工具ホルダの前記工具ベアリング表面のみである、請求項32に記載の工具アセンブリ。
【請求項34】
前記第1及び第2工具ベアリング表面の少なくとも1つは、浮彫凹部によって離された2つの接触領域によって形成される、請求項32に記載の工具アセンブリ。
【請求項35】
前記工具ヘッドは、くぼんだ工具ヘッド前方表面を備える、請求項19に記載の工具アセンブリ。
【請求項36】
操作位置で、前記インサートアダプタのもっとも前のベアリング表面は、本質的に、操作方向Dに対して垂直に延びるように構成される、請求項19に記載の工具アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の主題は、切断操作のためのインサートアダプタに関し、インサートアダプタは、インサートのためのポケットを含む。特に、本出願の主題は、中央インデックス軸の周りを回転するだけ(すなわち、角度割り出し(インデックス)付き)で、単一のポケット、したがってポケットに実装されているインサートを、ワークピースを加工するための操作位置へともたらすインサートアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第0497257は、工具ホルダに回転可能に接続されるアダプタを含むとともに、アダプタのポケット内のインサートを含むワークピースを回転させる切断装置を開示している。図4に示すように、インサートポケットは、アダプタの側部で直径方向に対向して配置される。これは、インサートの切断刃がアダプタよりも広いため、切断深さを最大化するために行われる。また、切断刃を互いに近づけると深く切断する能力が低下するからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】欧州特許第0497257号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1により理解されるように、回転しない工具は、同時に使用されるものとは対照的に、連続して用いられるインサートとして構成される。詳細には、操作刃が例えば擦り切れた後、次の刃が操作刃として選択される。これにより、二つの方法のうちの一つが達成される。すなわち、ポケット内の擦り切れたインサートを新しいインサート又は回転している(インデックス付きの)アダプタと取り替えることで、異なるインサートが異なるポケットに新しい操作刃として現れる。
【0005】
この出願は、中心のインデックス軸(以降アダプタインデックス軸と呼ぶ)の周りを回転(インデックス)するように構成されるタイプのアダプタのみに向けられたものであり、中心のインデックス軸は、異なるインサートを、切断の適用のためにアクティブなインサートとなるように配置する。言い換えれば、操作位置にある単一のインサート及び使用後のそれを、操作位置における別の単一のインサートに配置するインサートアダプタ(すなわち、継続的なインサートの使用)に関する。
【0006】
そのような切断操作を行うために、ワークピースが回転されて、アダプタがワークピースへと操作方向に移動する。操作方向は、工具ホルダの長軸の長手方向と、典型的には平行であり、又は実質的に平行である。
【0007】
本出願の目的は、新しく改善されたインサートアダプタ及び/又はこれを含む工具アセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の主題の第1側面にしたがって、アダプタインデックス軸を有する切断用のインサートアダプタが提供される。インサートアダプタは、アダプタの周りの周縁に延びるアダプタ周縁表面によって接続される、平行なアダプタ第1及び第2側面と、第1側面及び第2側面の中心を通るアダプタインデックス軸と、を有し、アダプタ周縁表面には、少なくとも三つのポケットが形成される。
【0009】
これまでは、二つのポケットのみがそのようなアダプタとして知られていた。インサートアダプタの周縁表面の周りのポケットの数を増加させると、直径方向に対向する二つのポケットを有する公知のアダプタと比較して、(使用中にポケットの内部のインサートの切断刃の幅によって制限されるので)切断深さが浅くなる。また、追加的なポケットを製造するため製造コストが増加するので、以前は不利だと考えられていた。そのような欠点は、増加したポケットの寿命を長くすることで、アダプタ全体の寿命が長くなり、相殺されると思われる。
【0010】
さらに別の効果として、周方向に間を空けた三つ以上の切断刃を有するインサートを製造しても、別々のアダプタとインサートを製造する構造(ポケット等の製造が必要となる)よりは単純であろう。比較的長いセメントで接着された炭化物のインサートは、金属、特に鋼よりも大きな幅を必要とするので、相対的に深い切断が必要となる切断操作において、素材の消耗が増すことがわかっている。セメントで接着された炭化物が構造的に強い一方で、わずかに薄いアダプタが、セメントで接着された炭化物以外の金属で達成されることができ、いくつかの操作では効果的である。
【0011】
一つのインサートのみを有するインサートアダプタを使用するとき、これまでに検討された切断長さが小さくなるという不利な効果を取り除くことができる。
【0012】
本発明の主題の第2側面に沿って、アダプタインデックス軸を有する切断用のインサートアダプタが提供される。インサートアダプタは、アダプタの周縁に延びるアダプタ周縁表面によって接続される、平行なアダプタ第1及び第2側面を含み、アダプタインデックス軸は第1及び第2側面の中心を通って延び、アダプタ周縁表面には、正確に五つのポケットが形成される。
【0013】
アダプタ周縁表面に沿う五つのポケットのために、ポケットの数が少ない場合に対して可能な切断深さが小さくなるとしても(切断アセンブリにとって、切断刃は隣接するアダプタの部分よりも広く延びることを理解したうえで)、そのような数のポケットは、ほとんどの適用で切り屑の放出空間が提供されるので、切断刃の数に関しては、最適な数であると思われる。すべての実施形態で、ポケットが切断インサートを弾性的に保持するように構成されることが好ましいが、五つのポケットのインサートアダプタの有利な点は、(例えばろう付け等によって)インサートに永久に取り付けられた(例えば、セメントで接着された炭化物や、鋼製のインサートアダプタ等のインサートアダプタ自体よりも固い素材で製造された)インサートのための特定の場合でさらに有利になると信じられている。しかしながら、現在進行中のすべての開発と同様に、切り屑の放出空間が小さくなるけれども、他の側面のいずれに関しても、五つ以上のポケットも実現可能である。
【0014】
本出願の主題の第3の側面に沿って、アダプタインデックス軸を有する切断用のインサートアダプタが提供される。インサートアダプタは、アダプタの周縁に延びるアダプタ周縁表面によって接続される平行なアダプタの第1及び第2側面を含む。アダプタインデックス軸は、第1及び第2側面の中心を通って延び、アダプタ周縁表面は、複数のポケット及びポケットの間に延びるベアリング表面により形成される。
【0015】
回転するインサートアダプタと異なり、アダプタは、インサートアダプタの周縁に沿って取り付けられる。周縁の少なくとも一部は、ワークピースに近接しないからである。
【0016】
インサートアダプタは、多くの幾何学的形状を有して形成されることができることが理解されるだろう。にもかかわらず、特に切断に適用するために(材料の消耗を低減するために溝(スロット)は可能な限り薄く形成することがより経済的であるが)、直線的なベアリング表面が、相対的に非常に薄いアダプタのために最も構造的に強いと思われる。
【0017】
本出願の主題の第4の側面に沿って、アダプタインデックス軸を有する切断用のインサートアダプタが提供される。インサートアダプタは、アダプタの周縁に延びるアダプタ周縁表面によって接続される平行なアダプタ第1及び第2側面を含む。アダプタインデックス軸は、第1及び第2側面の中心を通って延び、アダプタ周縁表面には、少なくとも三つのポケットが形成され、ポケットのそれぞれは、弾性の上方及び下方の締結表面及び/又はその後端に放出ギャップを含む。
【0018】
本出願におけるすべての「インサート」の言及は、インサートアダプタから取り外し可能であり、永久的にインサートアダプタに取り付けられたもの(例えばロウ付け等で)ではないことが理解されるだろう。
【0019】
したがって、本発明の第5の主題は、操作位置で、ポケット内に一つのみのインサートが取り付けられ、少なくともそのポケットに隣接するポケットにはインサートがない、インサートアダプタの使用(機械加工の方法)となるだろう。
【0020】
本出願の主題の第6の側面に沿って、以前の側面のいずれか一つのインサートアダプタを保持するように構成された、工具ホルダが提供される。
【0021】
工具ホルダは、回転しない工具ホルダ(すなわち、回転するように構成されていない)である。ここで、アダプタ凹部は工具ホルダの側面に沿って延び、回転する工具のように、長手方向に対して垂直になる必要はない。
【0022】
本出願の主題の第7の側面に沿って、前述の側面に沿う工具ホルダと、第1~第4の側面のいずれか一つのインサートアダプタと、インサートアダプタに取り付けられる一以上のインサートと、を含む工具アセンブリが提供される。
【0023】
本出願の主題の第8の側面に沿って、工具ホルダと、前述の側面のいずれか一つに沿うインサートアダプタと、インサートアダプタのポケットの一つに取り付けられるインサートと、を含む工具アセンブリが提供される。インサートは、アダプタインデックス軸Iと平行に測定される切断刃厚さを有する切断刃を含み、インサートアダプタは、アダプタインデックス軸Iと平行に測定されるアダプタ厚さを含み、アダプタ厚さは、切断刃厚さよりも小さく、インサートアダプタは、工具ホルダのアダプタ凹部に取り付けられる。
【0024】
本出願の主題の第9の側面に沿って、工具ホルダにインサートアダプタを保持させるねじを緩めること、異なるインサートがアクティブな切断位置に配置されるまで、インサートアダプタを回転すること、ねじを締結し、インサートアダプタを取り付け位置に固定すること、を含む工具アセンブリをインデックス加工する方法が提供される。
【0025】
上記は要約であり、次の特徴は、単独で又は組み合わせて、上述の側面のいずれにも適用できることが理解される。
A.インサートアダプタは、その中心を通って延びるインデックス軸を有してよい。特に、アダプタインデックス軸は、インサートアダプタのアダプタ第1側面及び第2側面の中心を通って延びてよい。インサートアダプタには、アダプタ周縁表面に沿うポケットが形成されてよく、アダプタインデックス軸の周りをインサートアダプタが回転することで、異なるポケットを操作位置にもってくる。ポケットは、好ましくはアダプタ周縁表面の周りで周方向に均等に間を空けていてよい。言い換えれば、インサートアダプタは、条件を満たす回転度の回転対称を有してよい(360度/ポケットの全数)。
B.インサートアダプタは、アダプタの周りの周縁に延びるアダプタ周縁表面によって接続される平行なアダプタ第1及び第2側面を含んでよい。
C.アダプタ第1及び第2側面は、平坦であってよい。言い換えれば、例えば、アダプタ第1及び第2側面は、突出するベアリング表面を有さなくてよい。
D.アダプタ周縁表面には、少なくとも三つのポケットが形成されてよい。アダプタ周縁表面には、好ましくは三つから五つのポケットが形成されてよい。最も好ましくは、アダプタ周縁表面には、正確に五つのポケットが形成される。それより大きな数のポケットがあっても実現可能であることが理解されるだろう。
E.ポケットの一つ又はそれぞれは、インサートを弾性的に締結(保持)するように構成されてよい。例えば、ポケットの一つ又はそれぞれは、弾性の上方及び下方の締結表面を含んでよい。本出願の主題によるインサートアダプタは、ポケットとねじ孔を有する構造、すなわちインサートがポケットにねじで固定されるタイプではないことが理解されるだろう。これは、ねじ、又はより正確にはそのねじ孔が、切断操作に全く適していない、相対的に広いインサートアダプタを必要とするからである。したがって、締結構造の一部であるねじ孔を除いて、インサートアダプタは、ねじ孔を有さなくてよいことが理解されるだろう。言い換えれば、インサートアダプタは、ポケットに関連するねじ孔を有さなくてよい。さらに言い換えれば、それぞれのポケットは、ねじ孔を有さなくてよい。
F.ポケットの一つ又はそれぞれは、その後端にインサートを放出するための放出ギャップを含んでよい。放出ギャップは、それに先行するポケットの締結部分よりも大きくてよい。放出ギャップは、凹状の端部を有してよい。
G.ポケットの一つ又はそれぞれには、上方及び下方の締結表面が形成されていてよい。上方及び下方の締結表面のいずれか又は両方が、尾根形状を有していてよい。上方及び下方の締結表面のいずれか又は両方は、頂部形状を有していてよい。上方及び下方の締結表面の一方は、尾根形状を有し、他方が頂部形状を有してよい。切断操作側の力が小さくても、そのような構造はインサートの安定性を助ける。上方及び下方の締結表面の少なくとも一つには、浮彫凹部によって離される二つの接触領域が形成されていてよい。好ましくは、上方及び下方の締結表面のうちの正確に一つは、浮彫凹部を含む。
H.ポケットの一つ又はそれぞれには、インサートストッパ表面、好ましくはポケットごとに一つのインサートストッパ表面が形成されていてよい。インサートストッパ表面は、ポケットの後端に配置されてよい。そのような場合、インサートストッパ表面は、ポケットの長手方向うに対して垂直であるか、又はそれに対して斜めであってよい。代替的に、インサートストッパ表面は、ポケット前端及び締結表面の間のインサートアダプタの周縁に沿って配置されてよい。
I.アダプタ周縁表面には、複数のポケット及びポケット間に延びるベアリング表面が形成されていてよい。ベアリング表面のそれぞれは、直線的(言い換えれば、ベアリング表面は、側面視で、直線的な路に沿って延び、すわなち、中央のインデックス軸に沿って延びてよい。)ベアリング表面のそれぞれは、平坦でよい。インサートアダプタは、多くの幾何学的形状で形成されてよいことが理解されるだろう。にもかかわらず、特に切断の適用のためには(素材の無駄を低減するために、できるだけ溝(スロット)を薄く形成することが経済的である)、直線的なベアリング表面は、相対的に非常に薄いアダプタにとって、もっとも高い構造強度を提供すると信じられる。
J.操作位置では、ベアリング表面のもっとも前は、操作インサートの切断刃から直接下方に延びてよい。言い換えれば、操作位置におけるもっとも前のベアリング表面は、本質的に、操作方向Dに対して垂直である。
K.ベアリング表面は、ポケットに隣接して配置される凹部と、非凹部と、及び凹部及び非凹部を接続する移行部と、を含んでよい。言い換えれば、ベアリング表面は、ポケットに最も近い部分から窪んだポケットまで、基本的に直線的に延びてよい。
L.インサートアダプタは、一体構造を有してよい(言い換えれば、インサートアダプタは、ポケットの間の弾性の溝を有さなくよい)。想定される切断操作のために溝が典型的に有利である一方、一体構造のインサートアダプタが好ましいと思われる。それがインサートや相対的により硬いポケットからインサートを除去することを複雑にすることがあったとしてもである。言い換えれば、インサートアダプタは、インサートポケットと、その出口、ねじ孔を除いて一体構造を有してよい。数値化すると、インサートアダプタは、インサートアダプタを包含する仮想上の円柱の50%よりも大きな容積の材料を有してよい。包含するとは、最も小さな円柱がインサートアダプタを含むことができることを意味する。好ましくは、上記の容積は、仮想上の円柱の80%より小さい。もっとも好ましくは、容積は、仮想上の円柱の容積の55%より大きく、75%よりも小さい。値は65%以上がさらに好ましい傾向がある(以下の例では、容積は836mmであり、包含する円柱は、容積率71%である1175mの容積を有する)。そのような一体構造は、理論的には、最適な構造上の強度を提供すると考えられる。にもかかわらず、インサートアダプタが弾性溝(アダプタ周縁表面に開口している)を有さなくてもよい一方で、インサートアダプタは、インサートを放出するための開放孔を有してよい(そしてまだ上述の一体構造を有していると考えられる)。
M.インサートアダプタには、その中心に締結構造が形成されてよい。締結構造は、好ましくはアダプタ第1及び第2側面に開口する単一のねじ孔であってよい。単一のねじ孔は、インサートアダプタの中心に形成されてよい。ねじ孔は、アダプタインデックス軸と同心であってよい。
N.インサートアダプタは、非中心締結構造で形成されてよい。詳細には、インサートアダプタは、インサートアダプタを工具に締結するための複数のねじ孔を含んでよい。言い換えれば、インサートアダプタは、第1及び第2側面を通って延びる複数のねじ孔を含んでよい。ねじ孔は、周方向に互いに間を空けてよい。間隔は、周方向に均等に空いてよい。ポケットのそれぞれに、単一のねじ孔があってよい。ねじ孔は開放孔としての二重の機能を有してもよい。
O.インサートアダプタは、ポケットのそれぞれと関連づけられた開放孔を含んでよい。
P.ねじ孔は、アダプタ第1及び第2側面のいずれか又は両方から、内側に傾斜してよい。代替的に、ねじ孔は、単純な円柱状の孔であってもよい。ねじ孔は、対応する工具孔からずれていてよく、インサートアダプタを望ましい方向へ付勢する。
Q.インサートアダプタは、インサートアダプタ第1及び第2側面と交差するアダプタ平面に対して対照であってよい。
R.インサートアダプタに取り付けられるように構成されたインサートは、インサートアダプタよりも固い素材で製造される。インサートアダプタは、金属で製造されてよい。金属は、好ましくは鋼であってよい。インサートは、インサートアダプタよりも固い素材で製造されてよい。インサートは、好ましくは、セメントで接着された炭化物で製造されてよい。
S.インサートは切断刃を含んでよい。インサートは、一つだけの切断刃を含んでもよい。切断刃の厚さは、インサートの残りの部分よりも大きくてよい。切断刃の厚さは、アダプタの厚さよりも大きくてよい。切断刃の厚さは、アダプタインデックス軸と平行に測定されてよい。インサートアダプタは、アダプタインデックス軸と平行に測定されるアダプタ厚さを含み、それは切断刃の厚さよりも小さい。また、インサートアダプタは、工具ホルダのアダプタ凹部に取り付けられる。切断刃は、操作目的のために配置される工具アセンブリの切断刃のみであってよい。他の言葉では、工具アセンブリは、複数のインサートを同時に(すなわち、同時使用で)使用するのではなく、インサートを連続的に使用するように構成される。インサートは細長い形状を有してよい。
T.工具ホルダは、工具軸及び工具軸から延びる工具ヘッドを含んでよい。
U.工具軸は細長くてよい。工具軸は、四辺形の断面を含んでよい。(好ましくは四角形である)工具軸には、冷却剤入口が形成されてよい。
V.工具ホルダの操作方向は、細長い軸の長手方向と平行であってよい。アダプタインデックス軸とは、上記長手方向に対して斜め、好ましくは垂直であってよい。
W.工具ヘッドは、アダプタをそこに受け入れるように構成されたアダプタ凹部を含んでよい。アダプタ凹部は、少なくとも一つのアダプタ設置面突起を含んでよい。
X.工具ヘッドは、アダプタ凹部の周囲に沿う工具ホルダから突出する第1及び第2の工具ベアリング表面を含んでよい。第1及び第2の工具ベアリング表面は、工具ホルダのベアリング表面のみであってよい。言い換えれば、工具アセンブリは、インサートアダプタが工具ホルダの三つの領域のみを介して接触するように構成されてよい(例えば、インサートアダプタの側面の一つ、及び正確に二つの直線的なベアリング表面。好ましくはそれぞれは他のベアリング表面によって離されている)。
Y.工具ベアリング表面の少なくとも一つは、浮彫凹部によって離される二つの接触領域によって形成されてよい。好ましくは、正確に一つのベアリング表面が、一つの浮彫凹部を含む。
Z.第1及び第2の工具ベアリング表面から延びる仮想上の工具ベアリング表面の線は、正確な工具ベアリング表面角度を形成することができる。工具ベアリング表面角度は、好ましくは25度から45度の間である。より好ましくは、30度~40度である。第1及び第2の工具ベアリング表面は、仮想上の五角形における二つの隣接しない側面として配置される。
AA.工具ヘッドは、バックアップベアリング表面を含んでよい。バックアップベアリング表面は、通常の状況下で工具ホルダに取り付けられるインサートアダプタから離れるように構成されてよい。言い換えれば、工具アセンブリは、インサートアダプタと、バックアップベアリング表面との間に隙間を有して設計される。インサートアダプタの望ましくない動きの下でのみ、バックアップベアリング表面がインサートアダプタに当接して、動きを防止する。バックアップベアリング表面は、仮想上の五角形の側面に配置されてよく、追加的な側面を構成する第1及び第2の工具ベアリング表面の間に配置される。
BB.工具ヘッドは、工具孔又は複数の工具孔を含んでよい。工具孔にはねじが形成されていてよい。工具孔は、インサートアダプタのねじ孔と同心ではなくてよく(言い換えれば、中心からずれている)、アダプタを工具ホルダに締結されたときに、ある方向へ付勢する。方向は、バックアップベアリング表面に向かう方向であってよい。
CC.工具アセンブリは、工具ホルダ、インサートアダプタ、及びインサートアダプタに取り付けられる一以上のインサートを含んでよい。
DD.工具アセンブリは、インサートアダプタを工具ホルダに固定するための一以上のねじを含んでよい。
EE.ねじは、頭部及びねじの形成された軸部を含んでよい。
FF.軸部は、インサートアダプタのアダプタ厚さよりも少なくとも三倍大きい軸長さを有してよい。好ましくは、少なくとも五倍大きい。その長さだと、インデックス加工の間、部品が落下する可能性を低くしながら、工具ホルダにインサートアダプタを接続し続けることができる。
GG.工具アセンブリが組み立てられた操作構成にあるときに、ねじはアダプタ凹部から離れてインサートアダプタよりも遠くに突出することができる。ねじ又は他の締結構成は、インサートアダプタと同一平面上にある場合、より大きな切断深さが達成されることが理解されるだろう。にもかかわらず、比較的薄い金属のインサートアダプタの相対的に低い構造強度を埋め合わせるために、そのような平らでない構成も用いられてよい。本出願の主題は、アダプタ厚さが3.5mmよりも小さく、好ましくは3mmよりも小さく、最も好ましくは2mm以下のインサートアダプタに関する特に有利な解決方法を提供するということが理解されるだろう。同様に、本出願の主題は、30mmよりも大きく、好ましくは35mmよりも大きいアダプタの外接円径DACの外接円を有するインサートアダプタに関する特に有利な解決方法を提供するということが理解されるだろう。さらに、アダプタの外接円径は、50mmよりも小さく、42mmよりも小さいことが好ましい。
HH.軸部は、ネジの形成されたサブ部と、ネジの形成されたサブ部及び頭部の間に配置されるねじの形成されていないサブ部と、を含んでよい。そのようなねじの構成によれば、インデックス加工の間、インサートアダプタを回転させるために、ネジの形成されていない領域を有利に提供することができる。ねじの形成されていないサブ部は、好ましくは、ねじの形成されたサブ部よりも小さな径を有してよい。ねじの形成されていないサブ部は、ねじの形成されていないサブ部76に沿って測定され、アダプタ厚さよりも大きな軸長さLS3(以下第3の軸長さと呼ぶ)を有してよい。好ましくは、上記の軸長さLS3は、アダプタ厚さよりも三倍より小さくてよい。上述の構造的な特徴のそれぞれによれば、さらにインサートアダプタのインデックス加工をユーザーフレンドリーに補助することができる。
II.軸部は、工具を受け入れる構成(例えば、torx(トーレックス、トルクス、トークス)(登録商標)のソケット)を含んでよい。これにより、ねじ孔が工具ホルダの両側面に延びるとき、インサートアダプタを締結する側面の反対側の工具ホルダの側面からでさえも、使用者がねじを回転させることができるようになる。
JJ.頭部は、工具アセンブリから頭部の突起を小さくするように円錐台状の形状を有し、よりコンパクトな構造としてよい。円錐台状の形状は、軸部よりも大きな径まで延びてよい。
KK.頭部は、工具を受け入れる構成を含んでよい。
LL.冷却剤路は、アダプタ凹部の下へ延びてよい。
MM.冷却剤路出口は、アダプタ凹部の最も前の部分に開口してよい。
NN.冷却剤路出口は、インサートアダプタと並んでよい。言い換えれば、冷却剤路出口は、インサートアダプタのアダプタ平面と並んでよい。
OO.方法は、さらに一以上の摩耗したインサートを、異なるインサートと取り替えることを含んでよい。
PP.一つのねじを緩め、締結するように、ねじを緩め、締結する方法がさらに規定される。言い換えれば、工具アセンブリは、インサートアダプタを工具ホルダに締結するための一つのねじのみを含んでよい。一つのねじが複数のねじよりも安定性に劣るとしても、使用性の利点が、より安定した取り付け構造の利点を上回る(一つのねじを緩めるだけか、又は、工具ホルダにねじを接続させたまま、一つのねじを部分的に緩めるだけである)。このことは、本質的にではないが、比較的強い取り付けの安定性を提供する上述の直線的なベアリング表面の配置によって補助されると思われる。もし締結構造が、インサートアダプタを工具ホルダに保持させる一より多いねじを含む場合、インサートアダプタを、ねじの少なくとも一つを取り除かずにインデックス加工することが不可能となるかもしれないことがさらに注目されるだろう。
QQ.方法はさらに、工具ホルダから完全に取り除かれないようにねじを緩めて、インサートアダプタのベアリング表面及び工具ホルダがもはや並んでいないようにインサートアダプタを工具ホルダから離して、インサートアダプタの回転を実行させることを含んでよい。
RR.ねじを緩め、及び締結する方法は、ねじの軸部で工具を受け入れる構造を介して、一つのねじを緩め又は締結することとして規定されてよい。
【0026】
本出願の主題をよりよく理解するために、そしてこれが実際にどのように実施されるかを示すために、添付の図面が参照されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1A図1Aは、切断工具アセンブリの一部の側面図である。
図1B図1Bは、図1Aの切断工具アセンブリの一部の上面図である。
図1C図1Cは、図1A及び図1Bの切断工具アセンブリの一部の正面図である。
図2A図2Aは、図1A図1Cの切断工具アセンブリのインサートアダプタの上面図であり、単一のインサートがインサートアダプタのポケット内に保持されている。
図2B図2Bは、図2Aのインサートアダプタの側面図である。
図2C図2Cは、ポケットを含む、図2Aのインサートアダプタの一部の拡大正面図である。
図2D図2Dは、ポケットを含む、図2Cのインサートアダプタの一部の拡大側面図である。
図2E図2Eは、代替的なインサートアダプタのポケットの拡大側面図である。
図2F図2Fは、さらに他の代替的なインサートアダプタのポケットの拡大側面図である。
図3A図3Aは、図1A図1Cの切断工具アセンブリの工具ホルダの側面図である。
図3B図3Bは、図3Aの工具ホルダの上面図である。
図3C図3Cは、図3A及び図3Bの工具ホルダの正面図である。
図4図4は、図3BのIV-IV線における断面図である。
図5図5は、図1A図1Cの切断工具アセンブリのねじの部分的な断面の概略側面図である。
図6A図6Aは、代替的な切断工具アセンブリの一部の側面図である。
図6B図6Bは、図6Aの切断工具アセンブリの一部の上面図である。
図6C図6Cは、図6A及び図6Bの切断工具アセンブリの一部の正面図である。
図7A図7Aは、図6A図6Cの切断工具アセンブリのインサートアダプタの上面図であり、単一のインサートがインサートアダプタのポケット内に保持されている。
図7B図7Bは、図7Aのインサートアダプタ及びインサートの側面図である。
図8A図8Aは、図6A図6Cの切断工具アセンブリの工具ホルダの側面図である。
図8B図8Bは、図8Aの工具ホルダの上面図である。
図8C図8Cは、図8A及び図8Bの工具ホルダの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
切断操作のために構成された工具アセンブリ10を説明する図1A及び図1Bを参照する。
【0029】
工具アセンブリ10は、インサートアダプタ12、インサートアダプタ12に取り付けられるインサート14(図2B,インサートの符号の付与は、追加的に又は代替的に、例えば、第1、2、3及び4番目のポケット14A、14B、14C、14D、14Eのように接尾語とともに指定される。以下のさらなる符号の付与は、同様になされる)、工具ホルダ16、インサートアダプタ12を工具ホルダ16に固定するために用いられるねじ18を含んでよい。
【0030】
図2A及び図2Bをここで参照して、インサートアダプタ12は、アダプタの周縁表面22によって接続される平行なアダプタ第1側面20A及び第2側面20Bを含み、アダプタ第1側面20A及び第2側面20Bの中心を通って延びる、アダプタのインデックス軸Iを有してよい。
【0031】
アダプタの周縁表面22には、ポケット24(例えば同様に第1、2、3、4及び5番目のポケット24A、24B、24C、24D、24Eと符号が付与される)が形成される。ポケット24は、インデックス軸Iの周りで好ましくは周方向に等間隔を空けて配置されてよい。
【0032】
好ましくは、ポケット24のそれぞれは、本例に示すように、同一であり、簡潔さのためにのみ、図2C~2Dで示される、符号「24」が付与された概括的なポケットが詳細に説明される。
【0033】
ポケット24は、前端26に向けて開口していてよく、さらに後端28、及び、前端26及び後端28の間に延びて、対向する上部及び下部の締結表面30、32を含んでよい。
【0034】
締結ギャップ34は、上部及び下部の締結表面30、32によって規定されてよい。
【0035】
放出ギャップ36が締結ギャップ34と後端28との間に規定されてよい。そして本例では、ポケット24は、その最も後端において、単一のくぼんだ端部38を含む。
【0036】
図2Cでは、上部及び下部の締結表面30、32は尾根(ridge)形状、すなわち、それぞれが、第1側面20A及び第2側面20Bを二分するアダプタの平面PA(図2C)と並ぶ先端40A、40Bを好ましく有する凸形状を有する。反対の形状、すなわち頂部(crest)形状も他の可能性の一つであることが理解されるべきである。
【0037】
図2Dの側面図では、締結表面の一つが示される。この例では、上部の締結表面30は、真っ直ぐ(言い換えれば、示されたような側面図では線状の路に沿っている)である。一方他の締結表面で、この例の下方の締結表面32は、浮彫のくぼみ42Cによって離された二つの接触領域42A、42Bを含み、インサート14(図2Dには示されていない)の取付けをより確実にする。
【0038】
放出ギャップ36もまた、締結ギャップ34よりも拡大された浮彫部分を構成してよい。より正確には、参照される拡大は、側面図(図2D)において示されており、上部及び下部の締結表面30、32の間で、垂直方向の最小第1距離Lは、最小第1距離Lに対して平行な放出ギャップ36の最小第2距離Lよりも小さい。
【0039】
ポケット24は、さらにインサートストッパ表面44により形成されることができる。図2Dでは、インサートストッパ表面44は、前端26と上方締結表面30との間でインサートアダプタ12の周縁に沿って配置されている。インサートストッパ表面44は、上方締結表面30に対して必ずしも垂直方向でなくてよいが、斜めである。中間の表面45は、インサートストッパ表面44及びこれに隣接するベアリング表面52の間に存在してもよく、しなくてもよい。(例えば図2Fと比較して見よ)
【0040】
図2Eでは、代替的なインサートストッパ表面44’が例示され、ポケット24’の後端28’に配置されることが例示されている。インサートストッパ表面44’は、ポケット24’の長手方向DEに対して本質的に垂直である。しかしながら、図2Fに示されるように、インサートストッパ表面44’’がポケット24’’の後端28’’に配置されていたとしても、ポケット24’’の長手方向Dに対して直角である必要はない(この場合、D方向に沿ってやや下向きである)。異なるインサートの形状を収容するために、ポケット24’’は、追加的なインサートストッパ表面44’’’を含んでよい。いくつかの実施形態では、二つの放出又は浮彫ギャップ36’、36’’があってもよい。
【0041】
図2A及び2Bに戻って、インサートアダプタ12を工具ホルダ16に締結しやすくするために、インサートアダプタ12は、その中央で締結構造により形成されてよい。好ましくは、締結構造46は、第1側面20A及び第2側面20Bに向かって開口する単一のねじ孔48であってよい。ねじ孔48は、第1側面20A及び第2側面20Bから内側に向かって傾斜するテーパ部50を含んでよい。
【0042】
アダプタの周縁の表面22は、真っ直ぐなベアリング表面52(例えば接尾辞の付された第1、2、3、4、5番目のポケットベアリング表面52A、52B、52C、52D、52E)により形成されてよい。ベアリング表面52は、すなわち側面図(例えば図2B)で、ポケット24同士の間に延びている。好ましくは、ベアリング表面52は、平坦であってもよい。ベアリング表面52は、本例では、好ましくは基本的な五角形を形成するように配置される。
【0043】
上述の通り、インサートアダプタ12は、インサートポケット24及びねじ孔48を除いて、特に一体構造を有してよい。数値で表すために、仮想上の円I図2B)は、インサートアダプタ12を包含する、インサートアダプタの厚さT図2A)を有する仮想上の円柱まで延長させることができる。インサートアダプタ12は、好ましくは、仮想上の円柱の容積の50%よりも大きな容積の素材を有してよい。
【0044】
仮想状の円Icは、さらにアダプタ直径DACを規定してもよい。
【0045】
図2Aに示すように、インサート14は、切断刃厚さTの単一の切断刃53を含み、厚さは、アダプタインデックス軸Iと平行に測定され、アダプタインデックス軸Iと平行に測定されたときにそれはインサート14の残りの部分よりも大きい。切断刃厚さTは、アダプタインデックス軸Iと平行に測定され、切断操作に必要なように、アダプタの厚さTよりも厚い。インサート14は、図2Bに示すように、細長い形状を有してよい。
【0046】
図3Aから図3Cを参照して、工具ホルダ16は、細長い工具軸54及びそこから延びる工具ヘッド56を含んでよい。
【0047】
工具軸54は、好ましくは、使用されないときにプラグ58(図1A)とともに選択的に閉じられる冷却剤入口57を有して形成されてよい。
【0048】
工具ヘッド56は、インサートアダプタ12を受け入れるように構成されたアダプタ凹部60を含んでよい。アダプタ凹部60は、インサートアダプタの第1側面20A及び第2側面20Bのいずれかと安定して接触するように、アダプタ凹部60の他の部分63よりも突出する少なくとも一つのアダプタ設置面突起62を含んでよい。
【0049】
工具ヘッド56は、さらに、第1及び第2の工具ベアリング表面64A,64Bを含んでよく、それはアダプタ凹部60の周縁に沿って、工具ホルダ16から突出する。
【0050】
図3Aの側面図では、第1の工具ベアリング表面64Aは、直線であってよい(言い換えれば、線状の路に沿っている)ことが示される。一方、他のクランプ表面は、この例では、第2の工具ベアリング表面64Bは、インサートアダプタ12をより確実に取り付けるように、浮彫凹部65Cによって離された二つの接触領域65A、65Bを含む。
【0051】
第1及び第2の工具ベアリング表面64A、64Bから延びる仮想上の工具ベアリング表面線IT1、IT2は、正確な工具ベアリング表面角度Aを形成することができる。
【0052】
工具ヘッド56は、さらにバックアップベアリング表面66を含んでよい。
【0053】
第1及び第2の工具ベアリング表面64A、64B及びバックアップベアリング表面66のそれぞれの端部には、浮彫部分67(第1、2、3、4番目の浮彫部分67A、67B、67C、67Dとも符号が付される)が形成され、第2、3、4及び5のインサート14B、14C、14D、14E(又はより正確にはその切断刃)と工具ヘッド56との間に隙間を提供する。
【0054】
工具ヘッド56は、さらに工具孔68を含んでよい。工具孔68は、内側にねじが形成されていてよく、また貫通孔(すなわち、工具ヘッド56を完全に貫通して延びている)でもある。好ましくは、工具孔68は、特に強く締結するために、バックアップベアリング表面66に向かう付勢方向DBにインサートアダプタ12を付勢するように構成されてよい。
【0055】
図1Bを参照すると、好ましくは凹状の、くぼんだ工具ヘッド前方表面69は、切断深さを促進することができる。特定の例における切断深さは、インサートアダプタ12から突出するねじ18によって制限される第1の切断深さDC1まで延びる。しかし、潜在的には、他の実施形態では、工具ヘッド前方表面69の最も後ろ側の部分への長さに対応する第2の切断深さDC2まで延びることができる。
【0056】
図5を参照すると、選択的に好ましい特徴を有するねじ18が示される。
【0057】
ねじ18は、頭部70及びねじが切られた軸部72を含み、ねじの全長Lを有する。
【0058】
頭部70は、示されるように円錐台状を有してよく、図1Bに示す突起を小さくするために、工具を受け入れる構成74を含んでよい。
【0059】
頭部70の円錐台状の表面73が、45プラスマイナス5度の角度Aを形成してよい。
【0060】
軸部72は、ねじが形成されたサブ部75及びねじが形成されていないサブ部76を含んでよい。
【0061】
軸部72は、インサートアダプタのアダプタ厚さAよりも少なくとも三倍より長い軸長さLS1を有してよい。好ましい数値が上記に列挙される。軸長さLS1はねじ(工具ホルダ16を掴むための)を含む軸部72の一部についてのみ言及され、第2のねじ長さLS2として例示されるねじが形成されていない部分や、ねじが形成されていないサブ部76に沿って測定される第3の軸長さLS3を含んでいないということが明らかにされるだろう。
【0062】
軸部72は、さらに、工具を受け入れる構成78を含んでよい。
【0063】
図4を参照して、冷却剤入口57(図3A)から始まる冷却剤路80がアダプタ凹部60の下に延びてよい。切断操作の間に狭いスリット領域へ流れるようにするために、冷却剤路80は、アダプタ凹部60の最も前の部分の直下に並ぶ冷却剤出口82(図1B及び3Bも参照)で開口して、アクティブな切断刃(図1B)の方へ向いてよい。冷却剤路80は、他の言い方では、望ましい冷却剤出口82の位置を達成するために、曲がった通り道を必要とする。好ましくは、単一の冷却剤出口82のみがある。図示されるように、冷却剤路80は、ドリルで穴を開けるといった伝統的な流路形成方法を用いて、複数の直線的な冷却剤路区域84A,84B,84C,84Dを含んでよい。昨今の追加的な製造方法のもとで、冷却剤路80には、一以上の曲線状の区域(図示せず)が形成されてもよい。
【0064】
さらに詳細な操作では、ポケット24の一又は好ましくはそれぞれは、そこへ取り付けられるインサート14を有してよい。インサート14は、インサートアダプタ12が図1A~1Cに示す締結位置にあるより前に取り付けられる(好ましくは、インサート14は、インサートアダプタ12が工具ホルダ16に全く取り付けられてない間に取り付けられる。)
【0065】
インサート14は、ポケット24に、ポケット24の前端26から後端28へスライドするように取り付けられてよい。インサート14は対向する上方及び下方の締結表面30、32をわずかに離すように力を加える。インサートアダプタ12の弾性によってインサート14が締結表面30、32の間に弾性的に締結される(特にインサート14は、好ましくは上方締結表面30及び下方の締結表面32の二つの接触領域42A,42Bにのみ接触するように構成される)。
【0066】
柔らかい表面のハンマー(図示せず)のような工具が、典型的に取り付けのために用いられるだろう。ポケット24は、好ましくは弾性溝を有さないインサートアダプタ12を考慮して、弾性タイプのポケットのために、相対的な硬さを有してよい。それは、超薄型の切断操作のためのインサートアダプタの構造的に十分な強度を維持するために、好ましい実施形態では省略されている。
【0067】
その後、インサートアダプタ12は、ねじ18を締結することで工具ホルダ16に締結されてよい。操作位置では、インサートアダプタ12は、第1側面20A及び直線的なベアリング表面のうちの正確に二つ(例えば、第2及び第4ベアリング表面52B、52D)を介してのみ、工具ホルダ16に接触する。特に、インサートアダプタ12とバックアップベアリング表面66との間に、典型的には隙間86が設計される。
【0068】
図1Aから図1Cでは、第1のインサート14Aのみがワークピース(図示せず)を切断するための操作位置にあり、典型的には、工具アセンブリ10によって図示の操作方向Dへ移動する。
【0069】
第1のインサート14Aが擦り切れると、と押し出されることによって取り替えられる(例えば、押し出し工具(図示せず)の一部が、押し出し隙間34に挿入され、押し出し工具を後端28に対しててこで動かすことにより第1のインサート14Aを押し出す。そして、図示されていない別の工具が上述の通りに挿入されてよい)。又は、インサート14のそれぞれが連続的に擦り切れるまで、インサートアダプタ12をインデックス加工し、その後すべてが取り替えられる。
【0070】
インサートアダプタ12は、インデックス加工のために完全に取り除かれてもよく、又は、好ましくはねじ18を緩める工程が(受け入れる構成74、78のいずれかを介して)、ねじ18を部分的に工具ヘッド56へ取り付けた状態を維持しながら、実行される。そのように緩めた後、インサートアダプタ12は、工具ヘッド56から遠くへ移動されて、第1及び第2の工具ベアリング表面64A,64Bに接触することなく回転してよく、隣接するインサート14を操作位置へもたらす。その後、インサートアダプタ12は、工具ヘッド56に接触するように戻り、ねじ18をまわすことによって締結される。そのようなインデックス加工は、部品が落下する可能性が非常に低くなるため、ユーザーフレンドリーである。
【0071】
図6A~8Cを参照して、インサートアダプタ112、インサート114及び工具ホルダ116を含む代替的な工具アセンブリ110が示される。対応する要素についての参照符号は、「100」の値に変更される。
【0072】
代替的な工具アセンブリ110は、基本的に前述した工具アセンブリ10と類似しているが、三つの重要な違いがある。第1の重要な違いは、中心に配置されないねじ118(及びねじ孔137)を用いて、インサートアダプタ112を工具ホルダ116に保持することである。第2の重要な違いは、ネジ孔137は、傾斜しておらず、単純な円柱形の孔である。第3は、操作インサート114のベアリング表面152の方向に対する配置である。
【0073】
明らかに、異なるインサートの種類及びポケットもあるが、しかしながら、述べられた相違点又は明らかに視認されるインサートの種類のような違いとは別に、上述のすべての他の機能的な特徴は、この重要な違いとともに、本発明のどの実施形態にも適用することが可能であると見なされる。以下の記述に注目すると、重要な又は目に見える違いに注目するだろう。そして、述べられない部分は、上記に例示されたものに対応していると見なされてよい。
【0074】
図7Aから7Bを参照すると、インサートアダプタ112は、アダプタの周縁表面122によって接続される平行なアダプタ第1及び第2側面120A、120Bを含んでよい。そして、アダプタ第1及び第2側面120A、120Bの中心を通るアダプタインデックス軸Iを有してよい。
【0075】
アダプタ周縁表面122には、ポケット124が形成される(第1、2、3、4、5番目のポケット124A、124B、124C、124D、124Eで符号が付与される)。インサート114(一つのインサートのみが示されるが、しかし、明らかに数個が同時に取り付けられてよい)及び本例のポケット124は、それぞれが同一であり、このため、説明は単一の例に限られる。
【0076】
説明のために5番目のポケット124Eを用いると、それは前端126に向かって開口し、後端128と、前端126及び後端128の間に延びる対向する上方及び下方の締結表面130、132とを含んでよい。
【0077】
締結ギャップ134は、上方及び下方の締結表面30、32の間に規定されてよい。
【0078】
放出ギャップ136E(第1、2、3、4、及び5番目の放出ギャップ136A、136B、136C、136D、136Eとも符号を付与される。)は、締結ギャップ134及び後端128の間に規定されてよい。
【0079】
放出ギャップ136のそれぞれは、開放孔137(第1、2、3、4、及び5番目の開放孔137A、137B、137C、137D、137Eとも符号を付与される。)を伴ってよい。5番目の開放孔137Eは、機能的に5番目のポケット124E及び5番目の放出ギャップ136Eに接続されている。
【0080】
公知のように、二つの突起を有する工具(図示せず)は、5番目の放出ギャップ136E及び5番目の開放孔137E内の両方に挿入されることができ、インサート114(5番目のポケット124E内には図示されず、1番目のポケット124A内に示されている)を押し出す。
【0081】
重要なことは、開放孔137は、アダプタ周縁表面122へは開口しておらず、弾性溝(図示せず)が弱める程度ほどにはインサートアダプタ112を弱めない。
【0082】
ここで1番目のポケット124Aを参照すると、さらにインサートストッパ表面144が形成されてよい。インサートストッパ表面144は、前端126及び上方締結表面30に隣接するインサートアダプタ112の周縁に沿って配置される。
【0083】
インサートアダプタ112には、前の例と異なり、中心にない締結構造146が形成されてよい。詳細には、締結構造146は、一以上のねじ孔を含み、この非限定的な例では、開放孔137の二重の機能も有する。
【0084】
この例示では、図6Aに示す操作位置では、インサート114が示されるとき、ねじ孔として機能する三つの開放孔137C、137D、137E(図7B)がある。言い換えれば、インサート114から最も遠いねじ孔は、得られる切断深さを最大化する。
【0085】
中心の締結構造46を用いる利点は上述された。例えば、インサートアダプタのインデックス加工性を容易にし、少ない要素で、要素に関連した少ない製造で、小さなアダプタ12を製造することが大変容易になる。これに対し、ここで例示される一以上の中心に配置されないねじ孔(言い換えれば、周囲に配置されたねじ孔)によれば、より深い切断深さが可能になる(前の例では、突出するねじの存在のために、アダプタの中心に制限されていた)。
【0086】
最初、単一の中心の締結構造46の利点の方が優れていると信じられていた。しかし、驚くべき利点は代替の構造にも発見された。インサート114(この効果に対しては、特定のインサートの形状は重要ではないことに注意)は、ポケット124が摩耗する前に、複数回容易に放出され、取り替えられる。インサートアダプタ112をインデックス加工するためにこれら3本のねじ118の全て(例えば図6Aで118C、118D、118Eと符号を付与される)を完全に取り除くことの損傷は、他の設計(例えば一体化された複数の刃が周縁に沿って間を空ける五角形のインサート)と比べて、はるかに損傷が少ない。
【0087】
このように、以前考慮された少し大きな切断深さの控え目な効果は、当初信じられていたほどには複数のねじによって大きく損なわれることはなく、さらにそのようなインサートアダプタのコストの効率を上げる。
【0088】
この例では、ねじ孔137は、傾斜せず、ねじ孔137は工具ホルダの工具孔168(168C、168D、168Eとも符号を付与される)とずれていない。言い換えれば、この例では、ねじ孔137は単純な円筒形の孔である。驚くべきことに、前の実施形態で例示された傾斜もなく及び/又はずれてもいないことで、インサートアダプタを工具ホルダに付勢することが援助され、インサートアダプタを工具ホルダに適切に締結することが達成された。これは、はるかに単純な設計であるが、しかし付勢させる効果を提供するために、(前の例示の通り)ねじ孔を傾斜させたり裏したりする選択枝も残される。これらの三つの選択肢は、本発明の実施形態のいずれにも実現可能である。
【0089】
インサートアダプタにねじ孔と開放孔の両方を含めること、又はねじ孔のみ(インサートの除去の方法に応じて)を含めることは、理論的に可能である。しかし、開放孔及びねじ孔の両方が用いられた実施形態では、構造的な強度及び組み合わされた機能を有する製造に関して、明らかに有利である。
【0090】
アダプタ周縁表面122は、直線的なベアリング表面152(第1、2、3、4、5番目のベアリング表面152A、152B、152C,152D,152Eとも符号を付与される)によって形成されてよい。すなわち、側面図(例えば図2B)では、ポケット24の間に延びる。
【0091】
上述した重要な違いの一つは、ベアリング表面152の位置に対する操作インサート114の位置である(特にインサート114の直下の1番目のベアリング表面152A)。図6Aで最もよく理解される通り、1番目のベアリング表面152Aは、インサート114の直下に延びる。言い換えれば、操作位置の1番目のベアリング表面152Aは、操作方向Dに対して本質的に垂直である。詳細には、比較すると、前の例では、ベアリング表面52Bは、操作方向Dと本質的に平行だったが、一方、本例では、対応する下方のベアリング表面は、操作方向Dの正確な下方表面ベアリング角度αを形成すると見ることができる。角度は、好ましくは次の条件を満たす。5度<α<25度、好ましくは10度<α<20度、最も好ましくは13度<α<19度である。
【0092】
そのような位置は、インサートの下をよく支持する。これは、ポケット124の位置に対して(前の例に対して)ベアリング表面152を回転させることで達成される。この効果的な回転は、前の例で示された他のタイプのインサートに選択的に組み入れられることもできる。しかしながら、この図で示される角度をつけたインサートタイプには、そのような位置は必要ないと信じられる。
【0093】
さらなるベアリング表面152の改善は、選択的に、しかし好ましく、インサート114に直に隣接する凹部153を含んでよいことである。ベアリング表面152は、このように、凹部153、移行部155、及び非凹部157を含んでよい。
【0094】
完全に直線的なベアリング表面152を有さず、凹部153を含むことで、インサート114によって生じる変形は(機械加工中の衝撃によって)、非凹部157よりも凹部153に大きく影響する。したがって、変形又は少なくとも小さな変形が、工具ホルダ116に当接するように用いられた非凹部157に起きる。明らかに、この特徴は、どの実施形態に組み入れられても有利である。
【0095】
図8A~8Cを参照すると、工具ホルダ116は、おおむね類似しており、重要な違いは、三つの孔の工具孔168及びベアリング表面152のそれぞれの非凹部157に接触するように構成された回転する工具ベアリング表面164A、164Bである。残りの特徴はこれまでの例とおおむね類似する。
【0096】
上記の記載は、例示的な実施形態及び必要であれば、クレームされた主題の実施可能とするための詳細を含み、例示されていない実施形態や本出願のクレームの範囲からの詳細を除外するものではない。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C