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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】バルーンカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20221031BHJP
【FI】
A61M25/10 530
A61M25/10 512
A61M25/10 550
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019525653
(86)(22)【出願日】2018-06-20
(86)【国際出願番号】 JP2018023413
(87)【国際公開番号】W WO2018235852
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-05-19
(31)【優先権主張番号】P 2017122767
(32)【優先日】2017-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】393015324
【氏名又は名称】株式会社グッドマン
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100152515
【弁理士】
【氏名又は名称】稲山 朋宏
(72)【発明者】
【氏名】尾川 智一
(72)【発明者】
【氏名】岩野 健志
【審査官】黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/029109(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0143130(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0171912(US,A1)
【文献】特表2015-509439(JP,A)
【文献】国際公開第03/013642(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0024087(US,A1)
【文献】米国特許第04351341(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端から先端に延びるカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトに接続され、膨張可能な膨張領域を有するバルーンと、
前記膨張領域よりも前記先端側に位置する先端部と、前記膨張領域よりも前記基端側に位置する基端部とを有する線状部材であって、前記先端部と前記基端部との少なくとも一方が、前記カテーテルシャフトの延伸方向に沿って移動可能である線状部材と、
前記先端部及び前記基端部のうち前記延伸方向に移動可能な移動部を、前記バルーンの前記膨張領域から離れる方向に付勢可能であり、前記カテーテルシャフトに一部分が接合された付勢部材と
を備え
前記付勢部材の一部分は、前記カテーテルシャフトの外面に直接接合されたことを特徴とするバルーンカテーテル。
【請求項2】
前記移動部は前記基端部であることを特徴とする請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項3】
前記線状部材は、前記先端部で前記カテーテルシャフト又は前記バルーンに接合されたことを特徴とする請求項2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項4】
前記付勢部材は、前記移動部よりも前記バルーンの前記膨張領域側に配置されたことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のバルーンカテーテル。
【請求項5】
前記付勢部材は、前記延伸方向に3等分した各部分のうち、最も前記バルーンの前記膨張領域に近接する部分で、前記カテーテルシャフトに接合されたことを特徴とする請求項4に記載のバルーンカテーテル。
【請求項6】
前記付勢部材のうち、前記バルーンに近接する側の端部は、前記バルーンに接触することを特徴とする請求項4又は5に記載のバルーンカテーテル。
【請求項7】
前記付勢部材は、前記カテーテルシャフトの一部に巻回されたコイルバネであることを特徴とする請求項1からの何れかに記載のバルーンカテーテル。
【請求項8】
前記コイルバネの素線の端部が、前記素線の前記端部を除く何れかの部分に接合されたことを特徴とする請求項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項9】
前記コイルバネの素線の端部は丸みを帯びた形状を有することを特徴とする請求項又はに記載のバルーンカテーテル。
【請求項10】
前記コイルバネを外側から覆う被覆部材を更に備えたことを特徴とする請求項からの何れかに記載のバルーンカテーテル。
【請求項11】
前記付勢部材の一部分は、接着剤によって前記カテーテルシャフトに接合されたことを特徴とする請求項1から10の何れかに記載のバルーンカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバルーンカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
血管の狭窄した箇所を拡張する治療に使用されるバルーンカテーテルが知られている。特許文献1は、カテーテルチューブ、バルーン、固定傘状部、及び、3本の線状部材を備えたバルーンカテーテルを開示する。カテーテルチューブ(「カテーテルシャフト」と称される場合もある)は、内側チューブ及び外側チューブを有する。バルーンは、外側チューブ及び内側チューブに接合される。バルーンは、圧縮流体が供給された場合に膨張する。固定傘状部は弾性変形可能であり、先端側が内側チューブの先端に接合される。3本の線状部材は、バルーンの外周側に配置される。3本の線状部材の先端側は、固定傘状部の基端側に接合される。3本の線状部材の基端側は、カテーテルチューブの延伸方向に沿って移動可能である。3本の線状部材の基端側と、外側チューブに設けられたストッパとの間に、付勢バネが設けられる。
【0003】
バルーンの膨張に応じて、3本の線状部材は内側チューブから離れる方向に移動する。この場合、3本の線状部材の基端側はバルーン側に移動し、付勢バネを圧縮する。一方、バルーンの収縮に応じて、3本の線状部材は内側チューブに近接する方向に移動する。この場合、3本の線状部材の基端側は、付勢バネの付勢力を受け、バルーンと反対側に移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2012/029109号
【発明の概要】
【0005】
特許文献1に記載されたバルーンカテーテルにおいて、付勢バネは外側チューブに対して接合されておらず、摺動可能に設けられている。血管内にはステント等の部材が留置されていることもある。付勢バネが外側チューブに接合されていない場合、付勢バネが血管内でステント等に引っかかり、外側チューブから脱落する可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、脱落し難い付勢部材を備えたバルーンカテーテルを提供することである。
【0007】
本発明に係るバルーンカテーテルは、基端から先端に延びるカテーテルシャフトと、前記カテーテルシャフトに接続され、膨張可能な膨張領域を有するバルーンと、前記膨張領域よりも前記先端側に位置する先端部と、前記膨張領域よりも前記基端側に位置する基端部とを有する線状部材であって、前記先端部と前記基端部との少なくとも一方が、前記カテーテルシャフトの延伸方向に沿って移動可能である線状部材と、前記先端部及び前記基端部のうち前記延伸方向に移動可能な移動部を、前記バルーンの前記膨張領域から離れる方向に付勢可能であり、前記カテーテルシャフトに一部分が接合された付勢部材とを備え、前記付勢部材の一部分は、前記カテーテルシャフトの外面に直接接合されたことを特徴とする。
【0008】
バルーンカテーテルにおいて、バルーンが膨張した場合、線状部材は外側に移動する。このためバルーンカテーテルは、血管の狭窄した箇所にバルーンが配置された状態でバルーンが膨張したときに、血管の狭窄した箇所に線状部材を作用させることができる。線状部材の先端部及び基端部のうち延伸方向に移動可能な移動部は、バルーンの膨張に応じてバルーン側に移動する。このため、バルーンカテーテルは、バルーンの膨張が線状部材によって阻害されることを抑制できる。
【0009】
付勢部材は、バルーンの膨張領域から離れる方向に移動部を付勢する。従って、バルーンが膨張した状態から収縮した状態に戻る場合、線状部材の移動部は、付勢部材から受ける付勢力に応じて、バルーンの膨張領域から離れる方向に移動する。この場合、バルーンが収縮した状態で線状部材の撓みが抑制される。従って、バルーンカテーテルは、線状部材の撓みに応じてクロッサビリティ(通過性)が低下することを抑制できる。
【0010】
更に、付勢部材の一部分は、カテーテルシャフトに接合される。このため例えば、血管内に留置されたステント等に付勢部材が引っかかった場合でも、カテーテルシャフトから付勢部材が脱落することを防止できる。
【0011】
本発明において、前記移動部は前記基端部であってもよい。この場合、バルーンカテーテルは、先端側の外径が付勢部材によって増大することを抑制できる。従って、バルーンカテーテルは、血管の狭窄した箇所に向けてバルーンを移動させる場合のクロッサビリティを良好にできる。
【0012】
本発明において、前記線状部材は、前記先端部で前記カテーテルシャフト又は前記バルーンに接合されてもよい。この場合、例えば、線状部材の先端部とカテーテルシャフト又はバルーンとの間に、弾性変形可能な部材が設けられる場合と比べて、先端側の外径を小さくできる。従って、バルーンカテーテルは、血管の狭窄した箇所までバルーンを移動させる場合のクロッサビリティを更に良好にできる。
【0013】
本発明において、前記付勢部材は、前記移動部よりも前記バルーンの前記膨張領域側に配置されてもよい。この場合、バルーンカテーテルは、線状部材の移動部に対してバルーンの膨張領域側と反対側の部分の外径が、付勢部材によって増大することを抑制できる。従って、バルーンカテーテルは、血管の狭窄した箇所までバルーンを移動させる場合、及び、血管からバルーンを引き抜く場合のクロッサビリティを良好にできる。
本発明において、前記付勢部材は、前記延伸方向に3等分した各部分のうち、最も前記バルーンの前記膨張領域に近接する部分で、前記カテーテルシャフトに接合されてもよい。

本発明において、前記付勢部材のうち、前記バルーンに近接する側の端部は、前記バルーンに接触してもよい。
【0014】
本発明において、前記付勢部材は、前記カテーテルシャフトの一部に巻回されたコイルバネであってもよい。この場合、バルーンカテーテルは、付勢部材(コイルバネ)による外径の増大を効果的に抑制できる。又、例えば付勢部材としてコイルバネの代わりに筒状の樹脂が使用された場合と比べて、経年劣化による付勢力の低下を軽減できる。
【0015】
本発明において、前記コイルバネの素線の端部が、前記素線の前記端部を除く何れかの部分に接合されてもよい。この場合、バルーンカテーテルは、コイルバネの素線の端部が血管に引っ掛かることを抑制できる。
【0016】
本発明において、前記コイルバネの素線の端部は丸みを帯びた形状を有してもよい。この場合、バルーンカテーテルは、コイルバネの素線の端部が血管に引っ掛かることを抑制できる。
【0017】
本発明において、前記コイルバネを外側から覆う被覆部材を更に備えてもよい。この場合、血管内でコイルバネが血液に接触することが被覆部材によって規制されるので、バルーンカテーテルは、コイルバネに血栓が付着することを抑制できる。
【0018】
本発明において、前記付勢部材の一部分は、接着剤によって前記カテーテルシャフトに接合されてもよい。この場合、付勢部材の一部分がカテーテルシャフトに接合されたバルーンカテーテルを容易に作製できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】バルーンカテーテル10の側面図である。
図2】収縮状態におけるバルーン3及び線状部材4の側面図である。
図3図2のA-A線における矢視方向断面図である。
図4】収縮状態におけるバルーン3及び線状部材4の断面図である。
図5】膨張状態におけるバルーン3及び線状部材4の側面図である。
図6図5のB-B線における矢視方向断面図である。
図7】膨張状態におけるバルーン3及び線状部材4の断面図である。
図8】バルーン3が拡大した状態における第1装着部材21A近傍の拡大側面図である。
図9】バルーン3が収縮した状態における第1装着部材21A近傍の拡大側面図である。
図10】第1付勢部材5の素線5Aの端部5Bを拡大した図である。
図11】変形例において、第1付勢部材5の素線5Aの端部5Bを拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1に示すように、バルーンカテーテル10は、カテーテルシャフト2、バルーン3、及び、線状部材4A、4B、4C(図3等参照。以下、総称して「線状部材4」という。)を有する。バルーン3は、カテーテルシャフト2の一方側の端部に接続される。線状部材4は、膨張した状態のバルーン3の外側に配置される。バルーンカテーテル10は、カテーテルシャフト2の他方側の端部にハブ6が接続された状態で使用される。ハブ6は、カテーテルシャフト2を介してバルーン3に圧縮流体を供給可能である。以下、カテーテルシャフト2の両端のうち一方側の端を、「先端」という。カテーテルシャフト2の両端のうち他方側の端を、「基端」という。カテーテルシャフト2に沿って延びる方向を、「延伸方向」という。延伸方向と直交する方向において、カテーテルシャフト2の断面中心に近接する側を「内側」といい、カテーテルシャフト2の断面中心から離隔する側を「外側」という。
【0021】
<カテーテルシャフト2>
図4図7に示すように、カテーテルシャフト2は、外側チューブ21及び内側チューブ22を有する。外側チューブ21及び内側チューブ22は、それぞれ、可撓性を有する管状の部材である。外側チューブ21は、内側の面である内面212で囲まれた空間(以下、「内腔213」という。)を有する。内側チューブ22は、内側の面(以下、「内面222」という。)で囲まれた空間(以下、「内腔223」という。)を有する。外側チューブ21及び内側チューブ22は、ポリアミド系樹脂により形成される。外側チューブ21の内径は、内側チューブ22の外径よりも大きい。
【0022】
内側チューブ22は、先端側の所定部分を除き、外側チューブ21の内腔213内に配置される。内側チューブ22の先端側の所定部分は、外側チューブ21の先端側の端(以下、「先端211」という。)から先端側に向けて突出する。このため、内側チューブ22の先端側の端(以下、「先端221」という。)は、外側チューブ21の先端211よりも先端側に配置される。以下、内側チューブ22の先端側の所定部分を、「突出部分225」という。内側チューブ22の突出部分225に、放射線不透過マーカ(以下、単に「マーカ」という。)22A、22Bが装着される。マーカ22A、22Bは、白金とイリジウムとの合金により形成されている。マーカ22A、22Bは、上記の材料で形成された円筒部材が内側チューブ22の突出部分225にかしめられることによって、内側チューブ22の外周面(以下「外面224」という。)に固定される。マーカ22A、22Bは、延伸方向において所定長さを有する。マーカ22A、22Bは、放射線を透過させない。マーカ22Aは、マーカ22Bよりも先端側に配置される。マーカ22A、22Bは、延伸方向に離隔する。
【0023】
図2図4図5図7に示すように、外側チューブ21の外周面(以下「外面214」という。)のうち、先端211よりも基端側の部分に、第1装着部材21Aが装着される。第1装着部材21Aは円筒状を有する。第1装着部材21Aは、延伸方向に沿って移動可能ある。第1装着部材21Aの内径は、外側チューブ21の外径よりも大きい。第1装着部材21Aの材料として、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂が用いられる。
【0024】
図4図7に示すように、外側チューブ21の内面212と内側チューブ22の外面224との間の空間には、ハブ6(図1参照)から供給される圧縮流体が通流する。バルーン3は、圧縮流体の供給に応じて膨張する(図5図7参照)。内側チューブ22の内腔223には、図示しないガイドワイヤが挿通される。
【0025】
<バルーン3>
バルーン3は、図2から図4に示すように、圧縮流体が供給されない状態で、内側に収縮する。一方、バルーン3は、図5から図7に示すように、圧縮流体が供給された状態で、外側に膨張する。バルーン3は、ポリアミド系樹脂により形成されている。図2図4図5図7に示すように、バルーン3は、基端側レッグ部31、基端側コーン領域32、膨張領域33、先端側コーン領域34、及び、先端側レッグ部35を有する。基端側レッグ部31、基端側コーン領域32、膨張領域33、先端側コーン領域34、及び、先端側レッグ部35は、延伸方向に沿ってバルーン3を5分割したそれぞれの部分に対応する。膨張領域33の延伸方向の長さは、基端側レッグ部31、基端側コーン領域32、先端側コーン領域34、及び、先端側レッグ部35のそれぞれの延伸方向の長さよりも長い。
【0026】
図4図7に示すように、基端側レッグ部31は、外側チューブ21の外面214のうち、先端211よりも基端側、且つ、第1装着部材21Aが装着される部分よりも先端側の部分に、熱溶着によって接続される。基端側コーン領域32は、基端側レッグ部31に対して先端側に隣接する。膨張領域33は、基端側コーン領域32に対して先端側に隣接する。先端側コーン領域34は、膨張領域33に対して先端側に隣接する。先端側レッグ部35は、先端側コーン領域34に対して先端側に隣接する。先端側レッグ部35は、内側チューブ22の突出部分225の外面224のうち、先端221よりも基端側の部分に、熱溶着によって接続される。基端側レッグ部31、基端側コーン領域32、膨張領域33、先端側コーン領域34、及び、先端側レッグ部35は、基端側から先端側に向けて順番に並ぶ。基端側コーン領域32、膨張領域33、先端側コーン領域34、及び、先端側レッグ部35は、内側チューブ22の突出部分225を外側から覆う。
【0027】
図2から図4に示すように、バルーン3は、3枚羽式のバルーンである。バルーン3は、収縮した状態で3枚の羽根を形成する。図3に示すように、バルーン3は、収縮した状態において、羽3A、3B、3Cが形成されるように折畳まれる。羽3A、3B、3Cのそれぞれは、内側チューブ22の突出部分225の周囲に巻きつく。この状態で、羽3Aは、後述する線状部材4Aを外側から覆う。羽3Bは、後述する線状部材4Bを外側から覆う。羽3Cは、後述する線状部材4Cを外側から覆う。羽3A、3B、3Cは、「フラップ」「ウイング」とも呼ばれる。
【0028】
図5から図7を参照し、膨張した状態のバルーン3について説明する。図6に示すように、バルーン3の断面形状は円形である。図5図7に示すように、基端側コーン領域32はテーパ形状を有する。基端側コーン領域32は、基端側から先端側に向けて連続的且つ直線的に直径が大きくなる。膨張領域33は、延伸方向の全域に亘って同一径となる。先端側コーン領域34はテーパ形状を有する。先端側コーン領域34は、基端側から先端側に向けて連続的且つ直線的に直径が小さくなる。つまり、バルーン3の断面の直径は、基端側コーン領域32、膨張領域33、及び、先端側コーン領域34の間で段階的に変化する。膨張領域33の外形は、バルーン3において最大となる。
【0029】
図7に示すように、膨張領域33の先端側の境界、言い換えれば、膨張領域33と先端側コーン領域34との境界の位置は、延伸方向において、マーカ22Aの先端側の端部の位置P11と一致する。膨張領域33の基端側の境界、言い換えれば、膨張領域33と基端側コーン領域32との境界の位置は、延伸方向において、マーカ22Bの基端側の端部の位置P21と一致する。
【0030】
<線状部材4>
図4から図9を参照し、線状部材4について説明する。線状部材4は、モノフィラメント状の弾性体である。線状部材4は、曲げ変形に対して復元力を有する。線状部材4は、ポリアミド系樹脂によって形成されている。線状部材4は三角形状の断面を有する。断面とは、線状部材4の延伸方向に対して垂直な面である。線状部材4A、4B、4Cは同一形状である。線状部材4は延伸方向に沿って延びる。
【0031】
図4図5図7に示すように、線状部材4の先端側の端部(以下、「先端部41」という。)は、バルーン3の膨張領域33よりも先端側、より詳細には、バルーン3の先端側レッグ部35の外周面に、熱溶着によって接続される。線状部材4A、4B、4Cのそれぞれの先端部41は、バルーン3の先端側レッグ部35の外周面を周方向に3等分したそれぞれの位置に接続される。
【0032】
線状部材4の基端側の端部(以下、「基端部42」という。)は、バルーン3の膨張領域33よりも基端側、より詳細には、第1装着部材21Aの外周面に、熱溶着によって接続される。線状部材4A、4B、4Cのそれぞれの基端部42は、第1装着部材21Aの外周面を周方向に3等分したそれぞれの位置に接続される。線状部材4の基端部42は、外側チューブ21の外面214に沿って第1装着部材21Aが延伸方向に移動することに応じ、延伸方向に移動可能である。なお、線状部材4は、先端部41及び基端部42を除く部分でバルーン3に接続されない。本実施形態では、基端部42が本発明の「移動部」に相当する。
【0033】
線状部材4は、バルーン3の膨張領域33を跨いで先端部41と基端部42とに亘って配置される。図6に示すように、バルーン3が膨張した状態において、線状部材4A、4B、4Cは、バルーン3の膨張領域33の外周面を周方向に略3等分したそれぞれの位置で、延伸方向に直線状に延びる。
【0034】
<第1付勢部材5>
図2図4図5図7に示すように、バルーンカテーテル10は第1付勢部材5を備える。第1付勢部材5は、第1装着部材21Aよりも先端側に配置されている。言い換えれば、第1付勢部材5は、第1装着部材21Aに接続する線状部材4の基端部42に対してバルーン3の膨張領域33側に配置されている。第1付勢部材5は、カテーテルシャフト2の外側チューブ21に巻回された圧縮コイルバネである。第1付勢部材5として、SUS(ステンレス鋼)製のコイルバネが使用される。第1付勢部材5の内径は、外側チューブ21の外径と略同一である。第1付勢部材5の先端側の一部、より詳細には、第1付勢部材5を延伸方向に3等分した各部分のうち最も先端側に位置する部分は、外側チューブ21の外面214に対して、接着剤により接合される。接着剤として、紫外線硬化性を有する周知の医療用接着剤が使用される。この場合、第1付勢部材5の先端側の一部は、カテーテルシャフト2に対して延伸方向に移動不能である。一方、第1付勢部材5の基端側の部分、より詳細には、第1付勢部材5のうち接着剤によって接合されていない部分は、カテーテルシャフト2に対して延伸方向に移動可能である。従って、第1付勢部材5は、接着剤によって接合されていない部分において弾性変形可能である。
【0035】
図8図9に示すように、第1付勢部材5の基端側の端部は、第1装着部材21Aの先端側の端部に対して接離可能である。第1付勢部材5は、基端側に向かう方向に第1装着部材21Aを付勢する。このため、第1装着部材21Aに接続された線状部材4の基端部42は、第1付勢部材5により、バルーン3の膨張領域33から離れる方向に付勢される。
【0036】
第1付勢部材5は、被覆部材50によって外側から覆われる。被覆部材50は、樹脂製の筒状部材である。被覆部材50は、第1付勢部材5に対して外側から密着する。このため、第1付勢部材5全体は露出しない。図10に示すように、第1付勢部材5の素線5Aの端部5Bは、先端側及び基端側の何れも、隣接する素線5Aの一部に溶接されている。これによって、素線5Aの端部5Bの角は角張らずに丸みを帯びた形状となっている。
【0037】
<バルーン3の膨張/収縮に伴う線状部材4の動作>
ハブ6から圧縮流体が供給されることに応じてバルーン3が膨張する場合の、線状部材4の状態について説明する。バルーン3の膨張に伴い、線状部材4は外側に向かう方向の力をバルーン3から受ける。線状部材4は外側に移動しようとする(図7参照)。線状部材4の先端部41はバルーン3の先端側レッグ部35に接続されている。このため、線状部材4の基端部42には、バルーン3の膨張領域33に近接する方向(先端側に向かう方向)の力が作用する。この力によって、図8に示すように、線状部材4の基端部42に接続された第1装着部材21Aは、延伸方向に沿って先端側に移動する。従って、線状部材4の中央部分は外側に移動し、線状部材4の基端部42は先端側に移動する。線状部材4の中央部分は、線状部材4のうち基端部42と先端部41との間の部分である。なお、第1装着部材21Aの先端側には第1付勢部材5が配置されている。第1付勢部材5は、バルーン3の膨張領域33から離れる側に向かう方向(基端側に向かう方向)に第1装着部材21Aを付勢する。具体的には、バルーン3が完全に収縮した状態において、第1付勢部材5は第1装着部材21Aを基端側に向けて付勢する。このため、バルーン3の膨張時、第1装着部材21Aは、第1付勢部材5による基端側に向かう方向の付勢力に逆らって先端側に移動することになる。
【0038】
膨張した状態のバルーン3から圧縮流体が排出されることに応じてバルーン3が収縮する場合の、線状部材4の状態について説明する。バルーン3が収縮する場合、線状部材4に対して作用する外側に向かう方向の力は弱められる。このとき、図9に示すように、線状部材4の基端部42に接続した第1装着部材21Aは、第1付勢部材5から受ける基端側に向かう方の付勢力により、基端側に移動する。このため、線状部材4は、内側チューブ22の突出部分225に近づく。線状部材4の撓みは、第1付勢部材5の付勢力に応じて第1装着部材21Aが基端側に移動することによって抑制される。線状部材4Aは羽3Aによって外側から覆われる。線状部材4Bは羽3Bによって外側から覆われる。線状部材4Cは羽3Cによって外側から覆われる(図3参照)。
【0039】
<実施形態の主たる作用、効果>
バルーン3の膨張領域33が膨張した場合、線状部材4は外側に移動する。このためバルーンカテーテル10は、血管の狭窄した箇所にバルーン3が配置された状態で膨張領域33が膨張したときに、血管の狭窄した箇所に線状部材4を作用させることができる。線状部材4の基端部42は、延伸方向に沿って移動可能な第1装着部材21Aに接続される。線状部材4の基端部42は、バルーン3の膨張に応じてバルーン3側に移動する。このため、バルーンカテーテル10は、バルーン3の膨張が線状部材4によって阻害されることを抑制できる。
【0040】
第1付勢部材5は、バルーン3の膨張領域33から離れる方向に第1装着部材21Aを付勢する。従って、バルーン3が膨張した状態から収縮した状態に戻る場合、第1装着部材21Aに接続する線状部材4の基端部42は、第1付勢部材5から受ける付勢力に応じて、延伸方向に沿ってバルーン3の膨張領域33から離れる方向に移動する。この場合、バルーン3が収縮した状態で線状部材4の撓むことが抑制される。従って、バルーンカテーテル10は、バルーン3が収縮した状態において、線状部材4の撓みに応じてクロッサビリティ(通過性)が低下することを抑制できる。第1付勢部材5が第1装着部材21Aを基端側に向けて付勢することで、線状部材4のうち第1装着部材21Aに接続する基端部42は延伸方向に沿って基端側に移動する。線状部材4の中央部分は、カテーテルシャフト2に近接するように移動する。これに伴い、線状部材4はバルーン3をカテーテルシャフト2に向けて押し付ける。即ち、バルーン3が収縮する場合、線状部材4は第1付勢部材5と協働してバルーン3が収縮することを支援する。そのため、バルーンカテーテル10は、第1付勢部材5が設けられない形態と比べ、バルーン3をより小さく収縮させることができる。
【0041】
第1付勢部材5の先端側の一部は、カテーテルシャフト2のうち外側チューブ21の外面214に接合される。例えば、カテーテルシャフト2のうち外側チューブ21の外面214に設けられたストッパによって第1付勢部材5がカテーテルシャフト2に保持される場合、バルーンカテーテル10の剛性は、ストッパの部分で他の部分よりも大きくなる。バルーンカテーテル10において、延伸方向の剛性変化が大きくなる程、よれやよじれ等(キンク)が発生し易くなる。これに対し、バルーンカテーテル10では、第1付勢部材5はカテーテルシャフト2に直接接合される。このため、バルーンカテーテル10は、延伸方向の剛性変化の程度を小さくできる。従って、バルーンカテーテル10は、延伸方向の剛性変化に基づくキンクの発生を抑制できる。第1付勢部材5の一部が外側チューブ21の外面214に接合されているので、第1付勢部材5が血管内に配置されたステント等に引っかかった場合でも、カテーテルシャフト2から第1付勢部材5が血管内で脱落することが防止される。
【0042】
線状部材4の基端部42が接続する第1装着部材21Aは、バルーン3の膨張領域33に対して基端側に設けられる。この場合、バルーンカテーテル10は、先端側の外径が第1装着部材21Aによって増大することを抑制できる。従って、バルーンカテーテル10は、血管の狭窄した箇所に向けてバルーン3を移動させる場合のクロッサビリティを良好にできる。
【0043】
線状部材4の先端部41は、バルーン3の先端側レッグ部35の外周面に接続される。言い換えれば、線状部材4の先端部41は、バルーン3の先端側レッグ部35を介してカテーテルシャフト2に接続される。これに対し、バルーン3の膨張又は収縮時において線状部材4が移動し易いように、線状部材4の先端部41とカテーテルシャフト2との間に弾性変形可能な部材を介在させる場合がある。この場合、バルーンカテーテル10の先端側の外径が大きくなり、クロッサビリティが低下する可能性がある。これに対し、バルーンカテーテル10において、線状部材4の先端部41は、バルーン3を介してカテーテルシャフト2に直接接続される。従って、バルーンカテーテル10は、先端側の外径を小さくできる。このため、バルーンカテーテル10は、血管の狭窄した箇所までバルーン3を移動させる場合のクロッサビリティを更に良好にできる。
【0044】
第1付勢部材5は、第1装着部材21Aよりも先端側、言い換えれば、第1装着部材21Aに接続する線状部材4の基端部42に対してバルーン3の膨張領域33側に設けられる。この場合、バルーンカテーテル10は、第1装着部材21Aよりも基端側、言い換えれば、線状部材4の基端部42に対してバルーン3の膨張領域33側と反対側の部分の外径が、第1付勢部材5によって増大することを抑制できる。従って、バルーンカテーテル10は、血管の狭窄した箇所までバルーンを移動させる場合、及び、血管からバルーンを引き抜く場合のクロッサビリティを良好にできる。
【0045】
第1付勢部材5は、カテーテルシャフト2の外側チューブ21の一部に巻回された圧縮コイルバネである。この場合、バルーンカテーテル10は、第1付勢部材5が設けられることによる外径の増加を最小限に抑制できる。又、例えば第1付勢部材5としてコイルバネの代わりに筒状の樹脂が使用された場合と比べて、経年劣化による付勢力の低下を軽減できる。
【0046】
第1付勢部材5の素線5Aの端部5Bは、隣接する素線5Aの一部に溶接される。このため、素線5Aの端部5Bの角は角張らずに丸みを帯びた形状となる。この場合、バルーンカテーテル10は、素線5Aの端部5Bが血管に引っ掛かることを抑制できる。
【0047】
第1付勢部材5は、被覆部材50によって外側から覆われる。この場合、血管内で第1付勢部材5が血液に接触することが、被覆部材50によって規制される。従って、バルーンカテーテル10は、第1付勢部材5に血栓が付着することを抑制できる。
【0048】
第1付勢部材5の先端側の一部は、外側チューブ21の外面214に対して接着剤により接合される。この場合、第1付勢部材5の一部分がカテーテルシャフト2に接合されたバルーンカテーテル10を容易に作製できる。
【0049】
<変形例>
本発明は上記の実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。上記実施形態において、膨張領域33の先端側の境界の位置は、延伸方向において、マーカ22Aの先端側の端部の位置P11と一致した。膨張領域33の基端側の境界の位置は、延伸方向において、マーカ22Bの基端側の端部の位置P21と一致した。膨張領域33の先端側の境界の位置と、マーカ22Aの先端側の位置P11とは、延伸方向において完全に一致しなくてもよい。例えば、膨張領域33の先端側の境界の位置は、延伸方向において、マーカ22Aの先端側の端部の位置P11と基端側の端部の位置P12との間の何れかの位置と一致してもよい。膨張領域33の基端側の境界の位置は、マーカ22Bの基端側の位置P21と、延伸方向において完全に一致しなくてもよい。例えば、膨張領域33の基端側の境界の位置は、延伸方向において、マーカ22Bの基端側の端部の位置P21と先端側の端部の位置P22との間の何れかの位置と一致してもよい。マーカ22Aとマーカ22Bとの位置は、膨張領域33の先端側の境界の位置と、膨張領域33の基端側の境界の位置とに夫々、対応していればよい。マーカの数は2つに限定されず、1つ、又は3つ以上であってもよい。例えばマーカの数が1つの場合、マーカは膨張領域33の中央位置に対応する位置に設けられる。また、マーカ22A,22Bは放射線不透過性を有する材料が混合された樹脂製でもよい。
【0050】
上記実施形態において、膨張した状態のバルーン3の基端側コーン領域32と膨張領域33との境界部分、及び、膨張領域33と先端側コーン領域34との境界部分は、それぞれ湾曲してもよい。この場合、それぞれの境界の位置は、例えば、ぞれぞれの湾曲した境界部分に接する複数の仮想平面を定義したときに、複数の仮想平面のうち、延伸方向とのなす角度の鋭角が45度である仮想平面が接する境界部分の位置を、それぞれの境界の位置としてもよい。上記実施形態では、基端側コーン領域32と先端側コーン領域34とは夫々、基端側から先端側に向けて直線的に直径が変化する領域であった。しかし基端側コーン領域32と先端側コーン領域34とは夫々、基端側から先端側に向けて曲線的に直径が変化する領域でもよい。基端側コーン領域32と先端側コーン領域34のうち、一方が曲線的に直径が変化する領域であり、他方が直線的に直径が変化する領域でもよい。バルーン3の厚みは延伸方向に沿って変化してもよい。例えば、基端側コーン領域32と先端側コーン領域34との厚みは夫々、膨張領域33に向けて徐々に大きくなってもよい。基端側コーン領域32と先端側コーン領域34とで、厚みの増加度は異なってもよい。基端側コーン領域32と先端側コーン領域34との何れか一方の厚みのみが変化してもよい。膨張領域33の径は、延伸方向に沿って変化してもよい。例えば、膨張領域33の径は延伸方向において中央部に向けて大きくなってもよいし、小さくなってもよい。膨張領域33の厚みは、延伸方向において中央部に向けて大きくなってもよいし、小さくなってもよい。バルーン3は、ポリエステルやポリエチレンを用いて形成されてもよい。
【0051】
上記実施形態において、線状部材4は、延伸方向に沿って略直線状に延びる部材であった。線状部材4の形状は、上記実施形態に限定されない。例えば、線状部材4は、延伸方向に沿って螺旋状に延びる部材でもよい。線状部材4は三角形以外の断面を有してもよい。例えば、線状部材4は円形の断面を有してもよい。線状部材4の数は3つ以外でもよい。線状部材4は弾性体でなくてもよい。線状部材4は金属製の部材でもよい。
【0052】
上記実施形態において、バルーンカテーテル10の第1付勢部材5は、引張コイルバネでもよい。引張コイルバネは、第1装着部材21Aよりも基端側、言い換えれば、第1装着部材21Aに接続する線状部材4の基端部42よりも基端側に配置されてもよい。上記実施形態において、バルーンカテーテル10は、内側チューブ22の突出部分225の先端部に第2装着部材を更に備えていてもよい。第2装着部材は、内側チューブ22の外面224に沿って延伸方向に移動可能であってもよい。線状部材4の先端部41は、第2装着部材に接続されてもよい。これによって、線状部材4の先端部41を延伸方向に移動可能としてもよい。バルーン3の膨張領域33側と反対側に向けて第2装着部材を付勢する第2付勢部材が設けられてもよい。第2付勢部材は、第2装着部材に接続する線状部材4の先端部41に対してバルーン3の膨張領域33側に設けられた圧縮コイルバネでもよいし、

第2装着部材に接続する線状部材4の先端部41に対してバルーン3の膨張領域33と反対側に設けられた引張コイルバネでもよい。バルーンカテーテル10は、第2装着部材及び第2付勢部材のみ有し、第1装着部材21A及び第1付勢部材5を有していなくてもよい。この場合、先端部41が本発明の「移動部」に相当する。先端部41と基端部42とがそれぞれ移動可能に構成される場合、先端部41と基端部42が本発明の「移動部」に相当する。第1付勢部材5はDLC(Diamond-Like Carbon)コーティングされたコイルバネでもよい。第1付勢部材5及び第2付勢部材はコイルバネに限定されず、装着部材に付勢力を付勢することが可能な他の弾性部材であってもよい。例えば、第1付勢部材5及び第2付勢部材は、弾性を有する樹脂(ゴム等)であってもよい。
【0053】
第1付勢部材5は、バルーン3が完全に収縮した状態では、第1装着部材21Aを基端側に付勢しないように構成されてもよい。例えば、バルーン3が完全に収縮した状態において、第1付勢部材5は第1装着部材21Aに接触するが付勢しないように配置されてもよい。また、バルーン3が完全に収縮した状態において、第1付勢部材5は第1装着部材21Aに接触しないよう配置されてもよい。この場合、第1付勢部材5は、バルーン3の膨張に応じて第1装着部材21Aが先端側に向けて所定の距離移動したときに、第1装着部材21Aを基端側に向けて付勢するよう構成されてもよい。また、第1付勢部材5の基端部と第1装着部材21Aの先端部とは接合されていてもよい。
【0054】
線状部材4の先端部41は、カテーテルシャフト2の内側チューブ22のうち、バルーン3の先端側レッグ部35が接続する部分よりも先端側の部分に接続してもよい。言い換えれば、線状部材4の先端部41は、カテーテルシャフト2に直接接続されてもよい。カテーテルシャフト2は、内側チューブ22先端に接合された先端チップを備えてもよい。例えば、先端チップは内側チューブ22よりも柔軟な部材である。先端チップは内側チューブ22の先端221から先端側に向けて延びる。先端チップには内側チューブ22の内腔223と連通する貫通孔が形成されている。先端チップの外径は、内側チューブ22の外径と略同等でよく、先端に向けて小さくなってもよい。内側チューブ22と先端チップの接合部は、バルーン3の先端側レッグ部35よりも基端側に位置してもよいし、先端側に位置してもよい。内側チューブ22と先端チップの接合部が先端側レッグ部35よりも先端側に位置する場合、先端側レッグ部35は内側チューブ22と先端チップの接合部の外面に接合されてもよい。線状部材4の先端部41は先端チップの外面に接合されてもよい。
【0055】
第1付勢部材5の素線5Aの端部5Bは、隣接する素線5Aの一部に溶接されていなくてもよい。例えば、図11に示すように、第1付勢部材5の素線5Aの端部5Bに、半球体状の球体部5Cが接続されていてもよい。球体部5Cは、素線5Aの端部5Bを丸みを帯びた形状とすることができるので、素線5Aの端部5Bが血管に引っ掛かることを抑制できる。なお、第1付勢部材5の素線5Aの端部5Bの形状は、丸みを帯びた形状に限定されず、角張っていてもよい。
【0056】
被覆部材50は、第1付勢部材5の全体を覆ってもよいし、第1付勢部材5の一部を覆ってもよい。被覆部材50は、螺旋状のスリットが形成された筒状部材でもよい。スリットが形成されることで、被覆部材50の延伸方向における剛性変化を緩やかにできる。バルーンカテーテル10は被覆部材50を備えなくてもよい。
【0057】
第1付勢部材5の先端側の一部は、接着剤を用いずにカテーテルシャフト2に接合されてもよい。例えば、第1付勢部材5の先端部の一部は、カテーテルシャフト2の外側チューブ21にかしめられることによって接合されてもよい。第1付勢部材5が外側チューブ21に接合される部分は、第1付勢部材5が3等分された各部分のうち最も先端側に位置する部分でなくてもよい。第1付勢部材5は、外側チューブ21との接合部分と第1装着部材21Aとの間に、第1装着部材21Aを基端側に向けて付勢する付勢部分を備えればよい。例えば、第1付勢部材5のうち、延伸方向において中央部分が外側チューブ21と接合されてもよい。第1付勢部材5は、複数の部分で外側チューブ21と接合されてもよい。
【0058】
上記実施形態では、外側チューブ21及び内側チューブ22を有するカテーテルシャフト2を例に挙げた。本発明において、カテーテルシャフト2は、外側チューブ21及び内側チューブ22を有していなくてもよい。例えば、カテーテルシャフト2は、可撓性を有する1つのチューブのみを有していてもよい。
図1
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図11