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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】アルブミン結合PSMA阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 223/20 20060101AFI20221031BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20221031BHJP
   C07D 257/02 20060101ALI20221031BHJP
   A61K 31/55 20060101ALI20221031BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221031BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20221031BHJP
   A61K 51/04 20060101ALI20221031BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221031BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20221031BHJP
【FI】
C07D223/20 CSP
C07D487/04 150
C07D257/02
A61K31/55
A61P35/00
A61P13/08
A61K51/04 200
A61K51/04 100
A61K45/00
A61K47/54
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019527426
(86)(22)【出願日】2017-11-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 US2017063182
(87)【国際公開番号】W WO2018098390
(87)【国際公開日】2018-05-31
【審査請求日】2020-11-20
(31)【優先権主張番号】62/425,810
(32)【優先日】2016-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508276774
【氏名又は名称】キャンサー ターゲテッド テクノロジー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】バークマン, クリフォード
(72)【発明者】
【氏名】チョイ, シンディー
【審査官】中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/030329(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/028664(WO,A1)
【文献】特表2014-524419(JP,A)
【文献】国際公開第2010/108125(WO,A2)
【文献】特表2019-535727(JP,A)
【文献】特表2018-531243(JP,A)
【文献】Liolios, C. et al.,Novel Bispecific PSMA/GRPr Targeting Radioligands with Optimized Pharmacokinetics for Improved PET Imaging of Prostate Cancer,Bioconjugate Chemistry,2016年,27(3),737-751
【文献】Shallal, Hassan M. et al.,Heterobivalent Agents Targeting PSMA and Integrin-αvβ3,Bioconjugate Chemistry ,2014年,25(2),393-405
【文献】REGISTRY(STN)[online],2013.03.03[検索日 2021.10.16]CAS登録番号 1422239-57-3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化80】
[式中
およびLは、各々独立して共有結合または二価の連結基であり;
Rは、治療用の放射性同位体またはPET活性、SPECT活性もしくはMRI活性放射性同位体を必要に応じてキレート化するキレート化剤であり、ここで、前記キレート化剤が、DOTA、NOTA、PCTA、DO3A、またはデスフェリオキサミンであり
Bは、以下の式の基
【化8】
であり;
各a、bおよびcは、独立して0、1、2または3であり;
dおよびeは、それぞれ独立して0、1、2、3、4または5であり;
は、水素、C ~C アルキルまたは保護基であり;そして
各Rは、独立して水素、C~Cアルキルまたは保護基である]
化合物たはその薬学的に許容される塩である化合物。
【請求項2】
式(Ia)
【化81】
化合物たはその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(Ic)
【化83A】
有する化合物であるかまたはその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、式
【化86】
の基[式中、
mは、1、2、3または4であり;
各nは、独立して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12であり;
但し、m(n+2)は3を超えるかまたは3に等しく、21未満であるかまたは21に等しい];
または式
【化87】
の基[中、oおよびpは各々独立して0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12である];
または式
【化88】
の基、または式
【化89】
の基[式中、XおよびYは各々独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシまたはアルコキシである];
またはその組合せである、請求項1~のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物が、式(Ie)
【化90】
を有し、
ここで、nは、1、2、3、4、5、6または7である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物が、式(If)
【化91】
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物が、式(Ig)
【化92】
を有し、
ここで、nは、1、2、3、4、5、6または7である
請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
前記化合物が、式(Ih)
【化93】
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
前記化合物が、式(Ii)
【化94】
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
前記化合物が、式(Ij)
【化95】
を有
ここで、nは、1、2、3、4、5、6または7である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
前記キレート化剤が、66Ga、68Ga、64Cu、89Zr、186/188Re、89Y、90Y、177Lu、153Sm、212Bi、213Bi、225Ac、227Th、111In、212Pbおよび223Raである、治療用の放射性同位体またはPET活性、SPECT活性もしくはMRI活性放射性同位体をキレート化する、請求項1~1のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
各Rが水素である、請求項1~1のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
前記化合物が、
【化96】
【化97】
またはその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
請求項1~1のいずれか一項に記載の化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項15】
患者における1つまたは複数の前立腺がん細胞を画像化するための、請求項1~1のいずれか一項に記載の化合物を含む組成物、あるいは請求項1に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、前立腺(prostrate)特異的膜抗原(PSMA)への高い親和性および特異性を有する小分子、ならびに診断および治療目的のためにそれらを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の要旨
前立腺特異的膜抗原(PSMA)は、前立腺がん細胞の表面に加えて様々な固形腫瘍の新血管系でも特異的に過剰発現される。その結果、PSMAは前立腺がんの検出および管理のための臨床バイオマーカーとして注目を集めている。一般的に、これらのアプローチは、画像化剤または治療剤を導くためにPSMAを特異的に標的にする抗体を利用する。例えば、前立腺がんの検出および画像化のためにFDAの承認を得たProstaScint(Cytogen、Philadelphia、PA)は、キレート化された放射性同位体(インジウム111)を送達するために抗体を利用する。しかし、ProstaScint技術は死細胞の検出に限定され、したがってその臨床上の妥当性は疑わしいことが今では認識されている。
【0003】
抗体を使用したがんの診断および療法の成功は、免疫原性および劣った血管透過性などの難題によって制限される。さらに、細胞表面標的に結合した大きな抗体は、近隣の細胞表面部位でさらなる抗体の以降の結合のための障壁を提示し、細胞表面標識化の低下をもたらす。
【0004】
診断または治療用の薬剤を送達する抗体のための細胞表面標的としての役割を果たすことに加えて、PSMAのほとんど見落されている固有の特性は、その酵素活性である。つまり、PSMAは、ジペプチドと同程度の小さい分子を認識し、プロセシングすることが可能である。この特性の存在にもかかわらず、新規の診断および治療用の戦略の開発の観点から、それはほとんど未踏である。PSMAの標識された小分子阻害剤を使用して前立腺がん細胞を検出した結果を記載した文献に、2、3の近年の例がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の要旨
本明細書において、PSMAに対する小分子阻害剤の効力および特異的親和性を利用する、前立腺がんのための画像診断薬および治療薬が提供される。適当な治療剤による処置のために患者をモニタリングし、層化するために、診断薬を使用することができる。
【0006】
したがって、一態様では、本開示は、式(I)
【化1】
(式中
およびLは、各々独立して共有結合または二価の連結基であり;
Rは、検出可能な標識または治療薬であり;
Bは、アルブミン結合部分であり;
各a、bおよびcは、独立して0、1、2または3であり;
各Rは、独立して水素、C~Cアルキルまたは保護基である)
の化合物またはその薬学的に許容される塩である化合物を提供する。
【0007】
別の態様では、本開示は、式(Ia)
【化2】
の化合物を提供する。
【0008】
別の態様では、本開示は、式(Ib)
【化3】
(式中
およびLは、各々独立して共有結合または二価の連結基であり;
Rは、治療薬であるか、または治療用の放射性同位体またはPET活性、SPECT活性もしくはMRI活性放射性同位体を必要に応じてキレート化するキレート化剤であり;
各RおよびRは、各々独立して水素、C~Cアルキルまたは保護基である)
の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0009】
別の態様では、本開示は、式(Ic)
【化4】
(式中、dおよびeは、各々独立して0、1、2、3、4または5である)
の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0010】
別の態様では、本開示は、式(Id)
【化5】
(式中、dおよびeは、各々独立して0、1、2、3、4または5である)
の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0011】
別の態様では、本開示は、前述の態様の化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0012】
別の態様では、本開示は、患者における1つまたは複数の前立腺がん細胞または腫瘍関連の血管系を画像化するための方法であって、前述の態様のいずれかの化合物または医薬組成物を患者に投与することを含む方法を提供する。
【0013】
本出願で引用される全ての公開文書は、それらの教示が本開示と矛盾しない範囲で、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
特定の実施形態では、例えば、以下が提供される:
(項目1)
式(I)
【化80】
[式中
およびL は、各々独立して共有結合または二価の連結基であり;
Rは、検出可能な標識または治療薬であり;
Bは、アルブミン結合部分であり;
各a、bおよびcは、独立して0、1、2または3であり;
各R は、独立して水素、C ~C アルキルまたは保護基である]
を有する化合物であるかまたはその薬学的に許容される塩である化合物。
(項目2)
式(Ia)
【化81】
[式中
およびL は、各々独立して共有結合または二価の連結基であり;
Rは、検出可能な標識または治療薬であり;
Bは、アルブミン結合部分であり;
各R は、独立して水素、C ~C アルキルまたは保護基である]
を有する化合物であるかまたはその薬学的に許容される塩である、項目1に記載の化合物。
(項目3)
式(Ib)
【化82】
[式中
およびL は、各々独立して共有結合または二価の連結基であり;
Rは、治療薬であるか、または治療用の放射性同位体またはPET活性、SPECT活性もしくはMRI活性放射性同位体を必要に応じてキレート化するキレート化剤であり;
各R およびR は、各々独立して水素、C ~C アルキルまたは保護基である]
を有する化合物であるかまたはその薬学的に許容される塩である、項目1に記載の化合物。
(項目4)
式(Ic)
【化83】
[式中、dおよびeは、各々独立して0、1、2、3、4または5である]
を有する化合物であるかまたはその薬学的に許容される塩である、項目1に記載の化合物。
(項目5)
式(Id)
【化84】
[式中、dおよびeは、各々独立して0、1、2、3、4または5である]
を有する化合物であるかまたはその薬学的に許容される塩である、項目1に記載の化合物。
(項目6)
が、
【化85】
[式中、
は、-(CH N(H)- であり、式中、tは1~30であり;
は、#-(CH -C(O)-、#-(CH -Z-Y-C(O)-、#-C(O)-(CH -C(O)-または#-C(O)-(CH -Z-Y-C(O)-であり、式中、
の#末端は、上のジベンゾシクロオクチンまたはトリアゾリル基に結合しており、
Yは、-(CH -または ** -CH CH -(OCH CH -であり、式中、nは1~20(例えば、4~12、または4、または8、または12)であり、 ** 末端はZに結合しており;
uは、1~30であり;
Zは、-C(O)O-、-C(O)N(R 00 )-、-OC(O)-、-N(R 00 )C(O)-、-S(O) N(R 00 )-、-N(R 00 )S(O) -、-OC(O)O-、-OC(O)N(R 00 )-、-N(R 00 )C(O)O-または-N(R 00 )C(O)N(R 00 )-であり、式中、各R 00 は独立して水素またはC ~C アルキルである]
である、項目1~5のいずれかに記載の化合物。
(項目7)
が、式
【化86】
の基[式中、
mは、1、2、3または4であり;
各nは、独立して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12であり;
但し、m(n+2)は3を超えるかまたは3に等しく、21未満であるかまたは21に等しい];
または式
【化87】
の基[中、oおよびpは各々独立して0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12である];
または式
【化88】
の基、または式
【化89】
の基[式中、XおよびYは各々独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシまたはアルコキシである];
またはその組合せである、項目1~6のいずれかに記載の化合物。
(項目8)
前記化合物が、式(Ie)
【化90】
を有する、項目1に記載の化合物。
(項目9)
前記化合物が、式(If)
【化91】
を有する、項目1に記載の化合物。
(項目10)
前記化合物が、式(Ig)
【化92】
を有する、項目1に記載の化合物。
(項目11)
前記化合物が、式(Ih)
【化93】
を有する、項目1に記載の化合物。
(項目12)
前記化合物が、式(Ii)
【化94】
を有する、項目1に記載の化合物。
(項目13)
前記化合物が、式(Ij)
【化95】
を有する、項目1に記載の化合物。
(項目14)
RがDOTA、NOTA、PCTA、DO3Aまたはデスフェリオキサミンを含む、項目1~13のいずれか一項に記載の化合物。
(項目15)
前記キレート化剤が、 66 Ga、 68 Ga、 64 Cu、 89 Zr、 186/188 Re、 89 Y、 90 Y、 177 Lu、 153 Sm、 212 Bi、 213 Bi、 225 Ac、 227 Th、 111 In、 212 Pbおよび 223 Raである、治療用の放射性同位体またはPET活性、SPECT活性もしくはMRI活性放射性同位体をキレート化する、項目1~14のいずれか一項に記載の化合物。
(項目16)
各R が水素である、項目1~15のいずれか一項に記載の化合物。
(項目17)
各R が水素である、項目1~16のいずれか一項に記載の化合物。
(項目18)
前記化合物が、
【化96】
【化97】
またはその薬学的に許容される塩である、項目1に記載の化合物。
(項目19)
項目1~18のいずれか一項に記載の化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
(項目20)
患者における1つまたは複数の前立腺がん細胞を画像化するための方法であって、項目1~18のいずれか一項に記載の化合物または項目19に記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
一態様では、本開示は、PSMAに対する小分子阻害剤の効力および特異的親和性を利用する、前立腺がんのためのPET画像診断薬および放射線治療薬として有用である化合物を提供する。
【0015】
第1の態様の実施形態Iには、構造式(I)
【化6】
(式中
およびLは、各々独立して共有結合または二価の連結基であり;
Rは、検出可能な標識または治療薬であり;
Bは、アルブミン結合部分であり;
各a、bおよびcは、独立して0、1、2または3であり;
各Rは、独立して水素、C~Cアルキルまたは保護基である)
を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩である化合物が含まれる。
【0016】
第1の態様の実施形態Iには、構造式(Ia)
【化7】
(式中
およびLは、各々独立して共有結合または二価の連結基であり;
Rは、検出可能な標識または治療薬であり;
Bは、アルブミン結合部分であり;
各Rは、独立して水素、C~Cアルキルまたは保護基である)
を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩である化合物が含まれる。
【0017】
本発明の化合物および方法において有用な多数のアルブミン結合部分が当技術分野で公知であり、例えば、以下において開示および参照される部分が含まれる(その各々は参照により本明細書に組み込まれる):Ghumanら、「Structural Basis of the Drug-binding Specificity of Human Serum Albumin」、Journal of Molecular Biology、353巻(1号)、2005年10月14日、38~52頁;Carter, D.C.およびHo, J. X.(1994年)「Structure of serum albumin」、Adv. Protein Chem.、45巻、153~203頁;Curry, S.(2009年)「Lessons from the crystallographic analysis of small molecule binding to human serum albumin」、Drug Metab. Pharmacokinet.、24巻、342~357頁;Kratochwil, N. A.ら(2002年)「Predicting plasma protein binding of drugs: a new approach」、Biochem. Pharmacol.、64巻、1355~1374頁;Zsilaら(2011年)「Evaluation of drug-human serum albumin binding interactions with support vector machine aided online automated docking」、Bioimformatics27巻(13号)、1806~1813頁;Elsadekら、J Control Release.、「Impact of albumin on drug delivery--new applications on the horizon」、2012年1月10日;157巻(1号):4~28頁;Nematiら、「Assessment of Binding Affinity between Drugs and Human Serum Albumin Using Nanoporous Anodic Alumina Photonic Crystals」、Anal Chem.2016年6月7日;88巻(11号):5971~80頁;Larsen, M. T.ら、「Albumin-based drug delivery: harnessing nature to cure disease」、Mol Cell. Ther.、2016年、2月27日;4巻:3頁;Howard, K. A.、「Albumin: the next-generation delivery technology」、Ther. Deliv.、2015年、3月;6巻(3号):265~8頁;Sleep D.ら、「Albumin as a versatile platform for drug half-life extension」、Biochim. Biophys. Acta.、2013年、12月;1830巻(12号):5526~34頁;Sleep, D.、「Albumin and its application in drug delivery」、Expert Opin. Drug Deliv.、2015年、5月;12巻(5号):793~812頁;Qi, Jら、「Multidrug Delivery Systems Based on Human Serum Albumin for Combination Therapy with Three Anticancer Agents」、Mol. Pharm.、2016年、8月8日、印刷前の論文ASAP電子出版;Karimi M.ら、「Albumin nanostructures as advanced drug delivery systems」、Expert Opin. Drug Deliv.、2016年、6月3日:1~15頁、印刷前の論文ASAP電子出版;Gou, Y.ら、「Developing Anticancer Copper(II) Pro-drugs Based on the Nature of Cancer Cells and the Human Serum Albumin Carrier IIA Subdomain」、Mol. Pharm.、2015年、10月5日;12巻(10号):3597~609頁;Yang, F.ら、「Interactive associations of drug-drug and drug-drug-drug with IIA subdomain of human serum albumin」、Mol. Pharm.、2012年、11月5日;9巻(11号):3259~65頁;Agudelo, D.ら、「An overview on the delivery of antitumor drug doxorubicin by carrier proteins」、Int. J. Biol. Macromol.、2016年、7月;88巻:354~60頁;Durandin, N. A.ら、「Quantitative parameters of complexes of tris(1-alkylindol-3-yl)methylium salts with serum albumin: Relevance for the design of drug candidates」、J. Photochem. Photobiol. B.、2016年、7月18日;162巻:570~576頁;Khodaei, A.ら、「Interactions Between Sirolimus and Anti-Inflammatory Drugs: Competitive Binding for Human Serum Albumin」、Adv. Pharm. Bull.、2016年、6月;6巻(2号):227~33頁;Gokara, M.ら、「Unravelling the Binding Mechanism and Protein Stability of Human Serum Albumin while Interacting with Nefopam Analogues: A Biophysical and Insilco approach」、J. Biomol. Struct. Dyn.、2016年、7月25日:1~44頁;Zhang, H.ら、「Affinity of miriplatin to human serum albumin and its effect on protein structure and stability」、Int. J. Biol. Macromol.、2016年、7月22日;92巻:593~599頁;Bijelic, A.ら、「X-ray Structure Analysis of Indazolium trans-[Tetrachlorobis(1H-indazole)ruthenate(III)] (KP1019) Bound to Human Serum Albumin Reveals Two Ruthenium Binding Sites and Provides Insights into the Drug Binding Mechanism」、J. Med. Chem.、2016年、6月23日;59巻(12号):5894~903頁;Fasano, M.ら、「The Extraordinary Ligand Binding Properties of Human Serum Albumin」、Life、57巻(12号):787~796頁。アルブミン結合性は、多くの公知の薬物、例えばワルファリン、ロラゼパムおよびイブプロフェンにおいても利用される。
【0018】
一部の実施形態では、アルブミン結合部分は、二環式アルブミン結合部分、例えばPollaro, L.ら、「Bicyclic Peptides Conjugated to an Albumin-Binding Tag Diffuse Efficiently into Solid Tumors」Mol. Cancer Ther.2015年、14巻、151~161頁に記載されるものであってよい。
【0019】
一部の実施形態では、アルブミン結合部分は、アルブミン結合性Fab、例えばDennis, M. S.ら、「Imaging Tumors with an Albumin-Binding Fab, a Novel Tumor-Targeting Agent」Cancer Res.2007年、67巻、254~261頁に記載されるものであってよい。
【0020】
一部の実施形態では、アルブミン結合部分は、エバンスブルー色素、例えばJacobson, O.ら「Albumin-Binding Evans Blue Derivatives for Diagnostic Imaging and Production of Long-Acting Therapeutics」Bioconjugate Chem.、2016年、27巻(10号)、2239~2247頁;および、Chen, H.ら「Chemical Conjugation of Evans Blue Derivative: A Strategy to Develop Long-Acting Therapeutics through Albumin Binding」Theranostics.、2016年6巻(2号)、243~253頁に記載されるものであってよい。
【0021】
本発明による一部の実施形態では、Bは
【化8】
である。
【0022】
実施形態Iには、式(Ib)
【化9】
(式中
およびLは、各々独立して共有結合または二価の連結基であり;
Rは、検出可能な標識または治療薬であり;
Bは、アルブミン結合部分であり;
各Rは、独立して水素、C~Cアルキルまたは保護基である)
を有する化合物またはその薬学的に許容される塩である化合物が含まれる。
【0023】
実施形態Iには、式(Ic)
【化10】
(式中
およびLは、各々独立して共有結合または二価の連結基であり;
Rは、検出可能な標識または治療薬であり;
Bは、アルブミン結合部分であり;
各Rは、独立して水素、C~Cアルキルまたは保護基であり;
dおよびeは、各々独立して1、2、3、4または5である)
を有する化合物またはその薬学的に許容される塩である化合物が含まれる。
【0024】
実施形態Iには、式(Id)
【化11】
(式中
およびLは、各々独立して共有結合または二価の連結基であり;
Rは、検出可能な標識または治療薬であり;
各Rは、独立して水素、C~Cアルキルまたは保護基であり;
dおよびeは、各々独立して0、1、2、3、4または5である)
を有する化合物またはその薬学的に許容される塩である化合物が含まれる。
【0025】
二価の連結基には、式、-(C~C10アルキル-Q)0~1-C~C10アルキル-の基が含まれ、式中、Qは、結合、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール、C~Cシクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;各アルキル基の1以下のメチレンは、必要に応じて、独立して、-O-、-S-、-N(R00)-、-C(H)=C(H)-、-C≡C-、-C(O)-、-S(O)-、-S(O)-、-P(O)(OR00)-、-OP(O)(OR00)-、-P(O)(OR00)O-、-N(R00)P(O)(OR00)-、-P(O)(OR00)N(R00)-、-OP(O)(OR00)O-、-OP(O)(OR00)N(R00)-、-N(R00)P(O)(OR00)O-、-N(R00)P(O)(OR00)N(R00)-、-C(O)O-、-C(O)N(R00)-、-OC(O)-、-N(R00)C(O)-、-S(O)O-、-OS(O)-、-S(O)N(R00)-、-N(R00)S(O)-、-S(O)O-、-OS(O)-、-S(O)N(R00)-、-N(R00)S(O)-、OC(O)O-、-OC(O)N(R00)-、-N(R00)C(O)O-、-N(R00)C(O)N(R00)-、-OS(O)O-、-OS(O)N(R00)-、-N(R00)S(O)O-、-N(R00)S(O)N(R00)-、-OS(O)O-、-OS(O)N(R00)-、-N(R00)S(O)O-、または-N(R00)S(O)N(R00)-によって置き換えられ、式中、各R00は、独立して水素またはC~Cアルキルである。
【0026】
二価の連結基には、1~10残基の天然および非天然のアミノ酸を含むペプチドを含めることもできる。
【0027】
実施形態Iでは、二価の連結基は、以下の式の基(各場合において式中、の印を付けた末端がキレート化剤に結合している):
(a)-(OCHCH-(式中、nは1~20(例えば、4~12、または4、または8、または12)である);
(b)-(C(O)-(CH0~1-CH(R)N(R))(式中、
mは、1~8であり;
各Rは、独立して天然または非天然アミノ酸の側鎖であり(例えば、各Rは、独立して水素、C~Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールC~CアルキルまたはヘテロアリールC~Cアルキルであり、アルキル、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキル基は、1、2、3、4または5個のR11基によって必要に応じて置換され、各R11は、独立してハロ、シアノ、-OR12、-SR12、-N(R12、-C(O)OR12、-C(O)N(R12、-N(R12)C(=NR12)N(R12またはC~Cアルキルであり、各R12は、独立して水素またはC~Cアルキルであり);
各Rは、独立して水素であるか、または同じ残基の中のRと一緒にヘテロシクリル(例えば、5員を有する)を形成する);
(c)-(C(O)(CH-(C(O))0~1-NH)-(式中、pは1~30である(例えば、pは1~7である))(例えば、6-アミノヘキサン酸、すなわち-C(O)(CHNH-);
(d)-(C(O)-(CH-フェニル-(G)0~1-(CH-(C(O))0~1-NH)-(式中、Gは-O-または-N(H)-であり、rおよびqは、各々独立して0~30(例えば、0~20;または0~10、または0~6、または1~6)である)
(例えば、-(C(O)-フェニル-N(H)(CH-(C(O))0~1-NH)-(式中、qは1~6である);
または-(C(O)-(CH-フェニル-(CH-NH)-(式中、rおよびqは各々独立して0~6であるか;
またはフェニルの上の2つの置換基は、例えばrが0であり、qが1である場合の4-アミノメチル安息香酸
【化12】
におけるように;または例えばrが0であり、qが2である場合の4-アミノエチル安息香酸
【化13】
におけるように、互いにパラである);または
(e)
【化14】
(式中、
は、-(CHN(H)-であり、式中、tは1~30であり;
は、#-(CH-C(O)-、#-(CH-Z-Y-C(O)-、#-C(O)-(CH-C(O)-または#-C(O)-(CH-Z-Y-C(O)-であり、式中、
の#末端は、上のジベンゾシクロオクチンまたはトリアゾリル基に結合しており、
Yは、-(CH-または**-CHCH-(OCHCH-であり、式中、nは1~20(例えば、4~12、または4、または8、または12)であり、**末端はZに結合しており;
uは、1~30であり;
Zは、-C(O)O-、-C(O)N(R00)-、-OC(O)-、-N(R00)C(O)-、-S(O)N(R00)-、-N(R00)S(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(R00)-、-N(R00)C(O)O-または-N(R00)C(O)N(R00)-であり、式中、各R00は独立して水素またはC~Cアルキルである);
(f)
【化15】
(式中、
は、-(CHN(H)-であり、式中、tは1~30であり;
は、#-(CH-C(O)-、#-(CH-Z-Y-C(O)-、#-C(O)-(CH-C(O)-または#-C(O)-(CH-Z-Y-C(O)-であり、式中、
の#末端は、上のジベンゾシクロオクチンまたはトリアゾリル基に結合しており、
Yは、-(CH-または**-CHCH-(OCHCH-であり、式中、nは1~20(例えば、4~12、または4、または8、または12)であり、**末端はZに結合しており;
uは、1~30であり;
Zは、-C(O)O-、-C(O)N(R00)-、-OC(O)-、-N(R00)C(O)-、-S(O)N(R00)-、-N(R00)S(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(R00)-、-N(R00)C(O)O-または-N(R00)C(O)N(R00)-であり、式中、各R00は独立して水素またはC~Cアルキルである);
(g)
【化16】
(式中、
は、-(CHN(H)-であり、式中、tは1~30であり;
は、#-(CH-C(O)-、#-(CH-Z-Y-C(O)-、#-C(O)-(CH-C(O)-または#-C(O)-(CH-Z-Y-C(O)-であり、式中、
の#末端は、上のジベンゾシクロオクチンまたはトリアゾリル基に結合しており、
Yは、-(CH-または**-CHCH-(OCHCH-であり、式中、nは1~20(例えば、4~12、または4、または8、または12)であり、**末端はZに結合しており;
uは、1~30であり;
Zは、-C(O)O-、-C(O)N(R00)-、-OC(O)-、-N(R00)C(O)-、-S(O)N(R00)-、-N(R00)S(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(R00)-、-N(R00)C(O)O-または-N(R00)C(O)N(R00)-であり、式中、各R00は独立して水素またはC~Cアルキルである);
(h)
【化17】
(式中、
は、-(CHN(H)-であり、式中、tは1~30であり;
は、#-(CH-C(O)-、#-(CH-Z-Y-C(O)-、#-C(O)-(CH-C(O)-または#-C(O)-(CH-Z-Y-C(O)-であり、式中、
の#末端は、上のジベンゾシクロオクチンまたはトリアゾリル基に結合しており、
Yは、-(CH-または**-CHCH-(OCHCH-であり、式中、nは1~20(例えば、4~12、または4、または8、または12)であり、**末端はZに結合しており;
uは、1~30であり;
Zは、-C(O)O-、-C(O)N(R00)-、-OC(O)-、-N(R00)C(O)-、-S(O)N(R00)-、-N(R00)S(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(R00)-、-N(R00)C(O)O-または-N(R00)C(O)N(R00)-であり、式中、各R00は独立して水素またはC~Cアルキルである);
(i)
【化18】
(式中、
は、-(CHN(H)-であり、式中、tは1~30であり;
は、#-(CH-C(O)-、#-(CH-Z-Y-C(O)-、#-C(O)-(CH-C(O)-または#-C(O)-(CH-Z-Y-C(O)-であり、式中、
の#末端は、上のジベンゾシクロオクチンまたはトリアゾリル基に結合しており、
Yは、-(CH-または**-CHCH-(OCHCH-であり、式中、nは1~20(例えば、4~12、または4、または8、または12)であり、**末端はZに結合しており;
uは、1~30であり;
Zは、-C(O)O-、-C(O)N(R00)-、-OC(O)-、-N(R00)C(O)-、-S(O)N(R00)-、-N(R00)S(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(R00)-、-N(R00)C(O)O-または-N(R00)C(O)N(R00)-であり、式中、各R00は独立して水素またはC~Cアルキルである);
(j)
【化19】
(式中、
は、-(CHN(H)-であり、式中、tは1~30であり;
は、#-(CH-C(O)-、#-(CH-Z-Y-C(O)-、#-C(O)-(CH-C(O)-または#-C(O)-(CH-Z-Y-C(O)-であり、式中、
の#末端は、上のジベンゾシクロオクチンまたはトリアゾリル基に結合しており、
Yは、-(CH-または**-CHCH-(OCHCH-であり、式中、nは1~20(例えば、4~12、または4、または8、または12)であり、**末端はZに結合しており;
uは、1~30であり;
Zは、-C(O)O-、-C(O)N(R00)-、-OC(O)-、-N(R00)C(O)-、-S(O)N(R00)-、-N(R00)S(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(R00)-、-N(R00)C(O)O-または-N(R00)C(O)N(R00)-であり、式中、各R00は独立して水素またはC~Cアルキルである);
(k)
【化20】
(式中、
は、-(CHN(H)-であり、式中、tは1~30であり;
は、#-(CH-C(O)-、#-(CH-Z-Y-C(O)-、#-C(O)-(CH-C(O)-または#-C(O)-(CH-Z-Y-C(O)-であり、式中、
の#末端は、上のジベンゾシクロオクチンまたはトリアゾリル基に結合しており、
Yは、-(CH-または**-CHCH-(OCHCH-であり、式中、nは1~20(例えば、4~12、または4、または8、または12)であり、**末端はZに結合しており;
uは、1~30であり;
Zは、-C(O)O-、-C(O)N(R00)-、-OC(O)-、-N(R00)C(O)-、-S(O)N(R00)-、-N(R00)S(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(R00)-、-N(R00)C(O)O-または-N(R00)C(O)N(R00)-であり、式中、各R00は独立して水素またはC~Cアルキルである);
(l)
【化21】
(式中、
は、-(CHN(H)-であり、式中、tは1~30であり;
は、#-(CH-C(O)-、#-(CH-Z-Y-C(O)-、#-C(O)-(CH-C(O)-または#-C(O)-(CH-Z-Y-C(O)-であり、式中、
の#末端は、上のジベンゾシクロオクチンまたはトリアゾリル基に結合しており、
Yは、-(CH-または**-CHCH-(OCHCH-であり、式中、nは1~20(例えば、4~12、または4、または8、または12)であり、**末端はZに結合しており;
uは、1~30であり;
Zは、-C(O)O-、-C(O)N(R00)-、-OC(O)-、-N(R00)C(O)-、-S(O)N(R00)-、-N(R00)S(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(R00)-、-N(R00)C(O)O-または-N(R00)C(O)N(R00)-であり、式中、各R00は独立して水素またはC~Cアルキルである);ならびに
(m)前述のものの組合せ(各場合において式中、末端はキレート化剤に結合している)、例えば:
(i)-(CHCHO)-(C(O)(CH-(C(O))0~1-NH)-(式中、nおよびpは上で定義される通りである)(例えば、nは4であり、pは6である);
(ii)-(CHCHO)-(C(O)-(CH0~1-CH(R)N(R))(式中、R、R、nおよびmは上で定義される通りである)(例えば、nは4であり、mは2である);
(iii)-(CHCHO)-(C(O)-(CH-フェニル-(G)0~1-(CH-(C(O))0~1-NH)-(式中、G、n、qおよびrは上で定義される通りである)(例えば、nは4であり、qは1であり、rは0である);
(iv)-(C(O)-(CH0~1-CH(R)N(R))-(C(O)(CH-(C(O))0~1-NH)-(式中、R、R、mおよびpは上で定義される通りである)(例えば、mは2であり、pは6である);
(v)-(C(O)-(CH0~1-CH(R)N(R))-(C(O)-(CH-フェニル-(G)0~1-(CH-(C(O))0~1-NH)-(式中、G、R、R、m、qおよびrは上で定義される通りである)(例えば、mは2であり、qは1であり、rは0である;またはmは2であり、qは2であり、rは0である);
(vi)-(C(O)(CH-(C(O))0~1-NH)-(C(O)-(CH-フェニル-(G)0~1-(CH-(C(O))0~1-NH)-(式中、G、p、qおよびrは上で定義される通りである)(例えば、pは6であり、qは1であり、rは0である;pは6であり、qは2であり、rは0である;pは5であり、qは1であり、rは0である;またはpは5であり、qは2であり、rは0である);
(vii)-(C(O)(CH-(C(O))0~1-NH)-(C(O)-(CH0~1-CH(R)N(R))(式中、R、R、mおよびpは上で定義される通りである)(例えば、mは2であり、pは6である);
(viii)-(C(O)-(CH-フェニル-(G)0~1-(CH-(C(O))0~1-NH)-(C(O)-(CH0~1-CH(R)N(R))(式中、G、R、R、m、qおよびrは上で定義される通りである)(例えば、mは2であり、qは1であり、rは0である;またはmは2であり、qは2であり、rは0である);
(ix)-(C(O)-(CH-フェニル-(G)0~1-(CH-(C(O))0~1-NH)-(C(O)(CH-(C(O))0~1-NH)-(式中、G、p、qおよびrは上で定義される通りである)(例えば、pは6であり、qは1であり、rは0である;pは6であり、qは2であり、rは0である;pは5であり、qは1であり、rは0である;またはpは5であり、qは2であり、rは0である);
(x)-(C(O)(CH-(C(O))0~1-NH)-(CHCHO)(式中、nおよびpは上で定義される通りである)(例えば、nは4であり、pは6である);
(xi)-(C(O)-(CH0~1-CH(R)N(R))-(CHCHO)(式中、R、R、nおよびmは上で定義される通りである)(例えば、nは4であり、mは2である);
(xii)-(C(O)-(CH-フェニル-(G)0~1-(CH-(C(O))0~1-NH)-(CHCHO)(式中、G、n、qおよびrは上で定義される通りである)(例えば、nは4であり、qは1であり、rは0である;nは4であり、qは2であり、rは0である);
(xiii)-(C(O)(CHN(H)C(O)(CHNH-)(式中、各pは独立して上で定義される通りである)(例えば、各pは5である、-C(O)(CHNH-C(O)(CHNH-);
(xiv)共有結合
のうちの1つから選択される。
【0028】
実施形態I5aでは、二価の連結基は以下の式の基(各場合において式中、末端はキレート化剤に結合している):
(xv)-(C(O)(CH-(C(O))0~1-NH)-(式中、pは1~7である(例えば、6-アミノヘキサン酸、すなわち-C(O)(CHNH-));
(xvi)-(C(O)-(CH-フェニル-(G)0~1-(CH-(C(O))0~1-NH)-(式中、Gは-N(H)-であり、rは0~6(例えば、0~3、または0~2、または0、または1、または2、または1~6)であり、qは1~6(例えば、1~3、または1~2、または1、または2)である)(例えば、フェニルの上の2つの置換基は、例えばrが0であり、qが1である場合の4-アミノメチル安息香酸
【化22】
におけるように;または例えばrが0であり、qが2である場合の4-アミノエチル安息香酸
【化23】
におけるように、互いにパラである);または
(xvii)-(C(O)(CH-(C(O))0~1-NH)-(C(O)-(CH-フェニル-(G)0~1-(CH-(C(O))0~1-NH)-(式中、G、p、qおよびrは上で定義される通りである)(例えば、pは6であり、qは1であり、rは0である;pは6であり、qは2であり、rは0である;pは5であり、qは1であり、rは0である;またはpは5であり、qは2であり、rは0である);
(xviii)-(C(O)-(CH-フェニル-(G)0~1-(CH-(C(O))0~1-NH)-(C(O)(CH-(C(O))0~1-NH)-(式中、G、p、qおよびrは上で定義される通りである)(例えば、pは6であり、qは1であり、rは0である;pは6であり、qは2であり、rは0である;pは5であり、qは1であり、rは0である;またはpは5であり、qは2であり、rは0である);
(xix)-(C(O)(CHN(H)C(O)(CHNH-)(式中、各pは独立して上で定義される通りである)(例えば、各pは5である、-C(O)(CHNH-C(O)(CHNH-);
(xx)共有結合
のうちの1つから選択される。
【0029】
実施形態I5bでは、二価の連結基は、以下の式の基(各場合において式中、末端はキレート化剤に結合している):
(xxi)-(C(O)(CH-(C(O))0~1-NH)-(式中、pは4~6である(例えば、6-アミノヘキサン酸、すなわち-C(O)(CHNH-));
(xxii)-(C(O)-(CH-フェニル-(G)0~1-(CH-(C(O))0~1-NH)-(式中、Gは-N(H)-であり、rは0~6であり、qは1~3である)(例えば、フェニルの上の2つの置換基は、例えばqが1である場合の4-アミノメチル安息香酸
【化24】
におけるように;または例えばqが2である場合の4-アミノエチル安息香酸
【化25】
におけるように、互いにパラである);または
(xxiii)-(C(O)(CH-(C(O))0~1-NH)-(C(O)-(CH-フェニル-(G)0~1-(CH-(C(O))0~1-NH)-(式中、p、qおよびrは上で定義される通りである)(例えば、pは6であり、qは1であり、rは0である;pは6であり、qは2であり、またはrは0である;pは5であり、qは1であり、rは0である;またはpは5であり、qは2であり、rは0である);
(xxiv)-(C(O)-(CH-フェニル-(G)0~1-(CH-(C(O))0~1-NH)-(C(O)(CH-(C(O))0~1-NH)-(式中、G、p、qおよびrは上で定義される通りである)(例えば、pは6であり、qは1であり、rは0である;pは6であり、qは2であり、rは0である;pは5であり、qは1であり、rは0である;またはpは5であり、qは2であり、rは0である);
(xxv)-(C(O)(CHN(H)C(O)(CHNH-)(式中、各pは独立して上で定義される通りである)(例えば、各pは5である、-C(O)(CHNH-C(O)(CHNH-);
(xxvi)共有結合
のうちの1つから選択される。
【0030】
実施形態I5cでは、二価の連結基は、以下の式の基(各場合において式中、末端はキレート化剤に結合している):
(i)-C(O)(CHNH-
(ii)
【化26】
(iii)
【化27】
(iv)
【化28】
(v)
【化29】
(vi)-C(O)(CHNH-C(O)(CHNH-
(vii)C~Cアルキル;
(viii)C~Cアルキル-NH-;
(ix)共有結合
のうちの1つから選択される。
【0031】
実施形態Iでは、Lは、式L1A-NH-CHCH-(OCHCH-)-C(O)-の部分であり、式中、
yは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12であり;
1Aは、二価の連結基である。
【0032】
実施形態I6aでは、化合物は、yが以下の群(1a)~(1x):
【表1】
のうちの1つから選択される、実施形態Iを有する。
【0033】
実施形態Iでは、化合物は、L1Aが、
【化30】
であり、式中、
wは、1、2、3、4、5または6であり;
環Aは、複素環であり;
1Bは、二価のリンカーである、実施形態Iを有する。
【0034】
実施形態I7aでは、化合物は、L1BがC~Cアルキル-NH-である、実施形態Iを有する。
【0035】
実施形態I7bでは、化合物は、L1Aが、
【化31】
であり、式中、
wは、1、2、3、4、5または6であり;
環Aは、複素環であり;
1Bは、二価のリンカーである、実施形態Iを有する。
【0036】
実施形態I7cでは、化合物は、L1BがC~Cアルキル-NH-である、実施形態I7bを有する。
【0037】
実施形態I7dでは、化合物は、L1Aが、
【化32】
であり、式中、
wは、1、2、3、4、5または6であり;
環Aは、複素環であり;
1Bは、二価のリンカーである、実施形態Iを有する。
【0038】
実施形態I7eでは、化合物は、L1BがC~Cアルキル-NH-である、実施形態I7dを有する。
【0039】
実施形態I7fでは、化合物は、L1Aが、
【化33】
であり、式中、
wは、1、2、3、4、5または6であり;
環Aは、複素環であり;
1Bは、二価のリンカーである、実施形態Iを有する。
【0040】
実施形態I7gでは、化合物は、L1BがC~Cアルキル-NH-である、実施形態I7fを有する。
【0041】
実施形態I7hでは、化合物は、L1Aが、
【化34】
であり、式中、
xは、0、1、2、3、4、5または6であり;
wは、1、2、3、4、5または6であり;
環Aは、複素環である、実施形態Iを有する。
【0042】
実施形態I7iでは、化合物は、L1Aが、
【化35】
であり、式中、
wは、1、2、3、4、5または6であり;
環Aは、複素環である、実施形態I7hを有する。
【0043】
実施形態I7jでは、化合物は、L1Aが、
【化36】
であり、式中、
wは、1、2、3、4、5または6であり;
環Aは、複素環である、実施形態Iを有する。
【0044】
実施形態I7kでは、化合物は、wが以下の群(4a)~(4p):
【表2】
のうちの1つから選択される、実施形態I7aI7jのいずれかを有する。
【0045】
実施形態I7lでは、化合物は、L1Aが、
【化37】
である、実施形態Iを有する。
【0046】
実施形態I7mでは、化合物は、L1Aが、
【化38】
である、実施形態Iを有する。
【0047】
実施形態I7nでは、化合物は、L1Aが、
【化39】
である、実施形態Iを有する。
【0048】
実施形態Iでは、Lは、式
【化40】
の基(式中、
mは、1、2、3または4であり;
各nは、独立して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12であり;
但し、m・(n+2)は3を超えるかまたは3に等しく、21未満であるかまたは21に等しい);
または式
【化41】
の基(式中、oおよびpは、各々独立して0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12である);
または式
【化42】
の基、または式
【化43】
の基(式中、XおよびYは各々独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシまたはアルコキシである);
またはその組合せである。
【0049】
実施形態I8aでは、化合物は、mが以下の群(2a)~(2o):
【表3】
のうちの1つから選択される、実施形態Iを有する。
【0050】
実施形態I8bでは、化合物は、各n、oおよびpが以下の群(3a)~(3x)のうちの1つ:
【表4】
から独立して選択される、実施形態IまたはI8aのもの、またはその薬学的に許容される塩である。
【0051】
実施形態I8cでは、化合物は、Lが、式
【化44】
を有する、実施形態Iを有する。
【0052】
実施形態Iでは、本開示は、式(Ie)
【化45】
の化合物を提供する。
【0053】
実施形態I10では、本開示は、式(If)
【化46】
の化合物を提供する。
【0054】
実施形態I11では、本開示は、式(Ig)
【化47】
の化合物を提供する。
【0055】
実施形態I12では、本開示は、式(Ih)
【化48】
の化合物を提供する。
【0056】
実施形態I13では、本開示は、式(Ii)
【化49】
の化合物を提供する。
【0057】
実施形態I14では、本開示は、式(Ij)
【化50】
の化合物を提供する。
【0058】
実施形態I15では、化合物は、Rが、治療用の放射性同位体またはPET活性、SPECT活性もしくはMRI活性放射性同位体を必要に応じてキレート化するキレート化剤である、実施形態I~I14のいずれかを有する。キレート化剤は、当技術分野で公知である任意のキレーターを含むことができ、例えば、Parusら、「Chemistry and bifunctional chelating agents for binding (177)Lu」、Curr Radiopharm.2015年;8巻(2号):86~94頁;Waenglerら、「Chelating agents and their use in radiopharmaceutical sciences」、Mini Rev Med Chem.2011年10月;11巻(11号):968~83頁;Liu、「Bifunctional Coupling Agents for Radiolabeling of Biomolecules and Target-Specific Delivery of Metallic Radionuclides」、Adv Drug Deliv Rev.2008年9月;60巻(12号):1347~1370頁を参照されたい。具体例には、例えば:
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
およびその誘導体が含まれる。
【0059】
例えば、実施形態I15aでは、Rは、その4つのカルボン酸基のいずれかを通して結合されるDOTA:
【化51】
であってよい。
【0060】
実施形態I15bでは、Rは、
【化52】
であってよい。
【0061】
実施形態I15cでは、Rは、
【化53】
であってよい。
【0062】
実施形態I15dでは、Rは、
【化54】
であってよい。
【0063】
実施形態I15eでは、Rは、
【化55】
であってよい。
【0064】
実施形態I15fでは、Rは、
【化56】
であってよい。
【0065】
実施形態I15gでは、Rは、
【化57】
であってよい。
【0066】
実施形態I15hでは、Rは、
【化58】
であってよい。
【0067】
実施形態I15iでは、Rは、
【化59】
であってよい。
【0068】
実施形態I15jでは、Rは、
【化60】
であってよい。
【0069】
実施形態I15kでは、Rは、
【化61】
であってよい。
【0070】
実施形態I15lでは、Rは、
【化62】
であってよい。
【0071】
実施形態I15mでは、Rは、
【化63】
であってよい。
【0072】
実施形態I15nでは、Rは、
【化64】
であってよい。
【0073】
実施形態I15oでは、Rは、
【化65】
であってよい。
【0074】
実施形態I15pでは、Rは、
【化66】
であってよい。
【0075】
実施形態I15qでは、Rは、
【化67】
であってよい。
【0076】
実施形態I15rでは、Rは、
【化68】
であってよい。
【0077】
実施形態I15sでは、Rは、
【化69】
であってよい。
【0078】
実施形態I15tでは、Rは、
【化70】
であってよい。
【0079】
実施形態I15uでは、Rは、
【化71】
であってよい。
【0080】
必要に応じて、文献の手順を使用してさらなる二官能性キレーターも容易に調製することができる。
【0081】
実施形態I16 では、前述の化合物の各々は、66Ga、68Ga、64Cu、89Zr、186/188Re、89Y、90Y、177Lu、153Sm、212Bi、213Bi、225Ac、227Th、111In、212Pbおよび223Raから選択される、治療用の放射性同位体またはPET活性、SPECT活性もしくはMRI活性放射性同位体でキレート化することができる。
【0082】
実施形態I16では、前述の化合物の各々は、68Ga、64Cu、89Zr、186/188Re、90Y、177Lu、153Sm、213Bi、225Ac、227Thおよび223Raから選択される、治療用の放射性同位体またはPET活性、SPECT活性もしくはMRI活性放射性同位体でキレート化することができる。
【0083】
実施形態I16aでは、前述の化合物の各々は、89Zrである、治療用の放射性同位体またはPET活性、SPECT活性もしくはMRI活性放射性同位体でキレート化することができる。
【0084】
実施形態I16bでは、前述の化合物の各々は、治療用の放射性同位体またはPET活性、SPECT活性もしくはMRI活性放射性同位体、すなわち64Cuでキレート化することができる。
【0085】
実施形態I16cでは、前述の化合物の各々は、68Gaである、治療用の放射性同位体またはPET活性、SPECT活性もしくはMRI活性放射性同位体でキレート化することができる。
【0086】
実施形態I16dでは、前述の化合物の各々は、186/188Reである、治療用の放射性同位体またはPET活性、SPECT活性もしくはMRI活性放射性同位体でキレート化することができる。
【0087】
実施形態I16eでは、前述の化合物の各々は、90Yである、治療用の放射性同位体またはPET活性、SPECT活性もしくはMRI活性放射性同位体でキレート化することができる。
【0088】
実施形態I16fでは、前述の化合物の各々は、177Luである、治療用の放射性同位体またはPET活性、SPECT活性もしくはMRI活性放射性同位体でキレート化することができる。
【0089】
実施形態I16gでは、前述の化合物の各々は、153Smである、治療用の放射性同位体またはPET活性、SPECT活性もしくはMRI活性放射性同位体でキレート化することができる。
【0090】
実施形態I16hでは、前述の化合物の各々は、213Biである、治療用の放射性同位体またはPET活性、SPECT活性もしくはMRI活性放射性同位体でキレート化することができる。
【0091】
実施形態I16iでは、前述の化合物の各々は、225Acである、治療用の放射性同位体またはPET活性、SPECT活性もしくはMRI活性放射性同位体でキレート化することができる。
【0092】
実施形態I16jでは、前述の化合物の各々は、227Thである、治療用の放射性同位体またはPET活性、SPECT活性もしくはMRI活性放射性同位体でキレート化することができる。
【0093】
実施形態I16kでは、前述の化合物の各々は、223Raである、治療用の放射性同位体またはPET活性、SPECT活性もしくはMRI活性放射性同位体でキレート化することができる。
【0094】
実施形態I16lでは、前述の化合物の各々は、66Gaである、治療用の放射性同位体またはPET活性、SPECT活性もしくはMRI活性放射性同位体でキレート化することができる。
【0095】
実施形態I16mでは、前述の化合物の各々は、89Yである、治療用の放射性同位体またはPET活性、SPECT活性もしくはMRI活性放射性同位体でキレート化することができる。
【0096】
実施形態I16nでは、前述の化合物の各々は、212Biである、治療用の放射性同位体またはPET活性、SPECT活性もしくはMRI活性放射性同位体でキレート化することができる。
【0097】
実施形態I16oでは、前述の化合物の各々は、111Inである、治療用の放射性同位体またはPET活性、SPECT活性もしくはMRI活性放射性同位体でキレート化することができる。
【0098】
実施形態I16pでは、前述の化合物の各々は、212Pbである、治療用の放射性同位体またはPET活性、SPECT活性もしくはMRI活性放射性同位体でキレート化することができる。
【0099】
実施形態I17では、化合物は、RおよびRが、群(5a)~(5o)のうちの1つから各々独立して選択される、実施形態I~I16jのいずれかを有する:
(5a)水素、C~Cアルキルまたは保護基。
(5b)水素またはC~Cアルキル。
(5c)C~Cアルキルまたは保護基。
(5d)C~Cアルキル
(5e)水素または保護基。
(5f)水素。
(5g)保護基。
(5h)C~Cアルキルが、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチルまたはn-ヘキシルである、群(5a)~(5d)のいずれか。
(5i)C~Cアルキルが、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチルまたはtert-ブチルである、群(5a)~(5d)のいずれか。
(5j)C~Cアルキルが、メチル、エチル、n-プロピルまたはtert-ブチルである、群(5a)~(5d)のいずれか。
(5k)C~Cアルキルが、メチル、エチルまたはtert-ブチルである、群(5a)~(5d)のいずれか。
(5l)C~Cアルキルが、メチルまたはエチルである、群(5a)~(5d)のいずれか。
(5m)C~Cアルキルがメチルである、群(5a)~(5d)のいずれか。
(5n)C~Cアルキルがエチルである、群(5a)~(5d)のいずれか。
(5o)C~Cアルキルがtert-ブチルである、群(5a)~(5g)のいずれか。
【0100】
本明細書で使用される「保護基」には、必要に応じて置換されたベンジル、t-ブチルエステル、アリルエステル、アルキルエステル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル)、フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc)、ならびにGreene's Protective Groups in Organic Synthesis、第4版(参照により組み込まれる)に記載されるアミノ、カルボン酸およびリン酸保護基が限定されずに含まれる。一部の実施形態では、Rはカルボン酸保護基(例えば、メチルまたはt-ブチルエステル)である。一部の実施形態では、Rは窒素保護基(例えば、Bocまたはベンジル)である。
【0101】
必要に応じて、ベンジル基には、非置換ベンジル、トリフェニルメチル(トリチル)、ジフェニルメチル、o-ニトロベンジル、2,4,6-トリメチルベンジル、p-ブロモベンジル、p-ニトロベンジル、p-メトキシベンジル(PMB)、2,6-ジメトキシベンジル、4-(メチルスルフィニル)ベンジル、4-スルホベンジル、4-アジドメトキシベンジル、およびピペロニル、ならびにGreene's Protective Groups in Organic Synthesis(その関連部分は参照により組み込まれる)に開示されている、カルボン酸およびリン酸のためのベンジル保護基が限定されずに含まれる。
【0102】
実施形態I18では、式(I)の化合物は、以下のもの:
【化72】
【化73】
またはその薬学的に許容される塩から選択することができる。
【0103】
実施形態I19では、本開示は、式(I)の化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0104】
実施形態I20では、本開示は、患者における1つまたは複数の前立腺がん細胞を画像化するための方法であって、式(I)の化合物またはその医薬組成物を患者に投与することを含む方法を提供する。本方法は、in vivoで式(I)の化合物を画像化することをさらに含むことができる。画像化は、当技術分野で公知の任意のPET画像化技術で実行することができる。
【0105】
この態様の実施形態IIでは、本開示は、式(II)
【化74】
の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供し、式中
およびLは、各々独立して共有結合または二価の連結基であり;
dおよびeは、各々独立して0、1、2、3、4または5であり;
RGは、-NH、または
【化75】
であり;
各RおよびRは、各々独立して水素、C~Cアルキルまたは保護基である。
【0106】
実施形態II1aでは、RGは-NHである。
【0107】
実施形態II1bでは、RGは
【化76】
である。
【0108】
実施形態IIでは、化合物は、RG-L-が式LRG-NH-CHCH-(OCHCH-)-C(O)-を有し、式中、
yは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12であり;
RGは、
【化77】
である、実施形態IIを有する。
【0109】
実施形態IIでは、実施形態II~II1bまたはIIにおけるyは、群(1a)~(1x)のうちの1つから選択される。
【0110】
別の態様では、本開示は、式(I)による化合物を調製するための方法を提供する。本発明による化合物は、業界認定の技術を下で開示されるものに類似した方法と組み合わせて使用することによって作製することができる。
定義
【0111】
本明細書で使用する場合、用語「細胞」は、in vitro、ex vivoまたはin vivoである細胞を指すものである。一部の実施形態では、ex vivo細胞は、哺乳動物などの生物から切除された組織試料の一部であってよい。一部の実施形態では、in vitro細胞は、細胞培養物の中の細胞であってよい。一部の実施形態では、in vivo細胞は、哺乳動物などの生物の中の生きている細胞である。
【0112】
本明細書で使用する場合、用語「接触させる」は、in vitro系またはin vivo系において指示された部分を一緒にすることを指す。例えば、PSMAを化合物と「接触させる」ことは、ヒトなどの個体または患者への本明細書に記載される化合物の投与、ならびに、例えば、PSMAを含有する細胞のまたは精製された調製物を含有する試料に化合物を導入することを含む。
【0113】
本明細書で使用する場合、互換的に使用される用語「個体」または「患者」は、哺乳動物、好ましくはマウス、ラット、他の齧歯動物、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマまたは霊長類、最も好ましくはヒトを含む任意の動物を指す。
【0114】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される塩」という句は、薬学的に許容される酸および塩基付加塩と溶媒和物の両方を指す。そのような薬学的に許容される塩には、例えば塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸、スルフィン酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硝酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、ヨウ化水素酸、アルカン酸、例えば酢酸、HOOC-(CH-COOH(式中nは0~4である)などの酸の塩が含まれる。無毒の医薬用塩基付加塩には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウムなどの塩基の塩が含まれる。ある特定の実施形態では、薬学的に許容される塩は、ナトリウム塩である。当業者は、各種の無毒の薬学的に許容される付加塩を認識する。
【0115】
例えば関節内(intraarticular)(関節内(in the joints))、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内および皮下経路による非経口投与のために適する医薬組成物には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬、および製剤を予定レシピエントの血液と等張性にする溶質を含有することができる、水性および非水性の等張性無菌注射溶液、ならびに、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤および保存剤を含むことができる、水性および非水性の無菌懸濁液が含まれる。組成物は、例えば、静脈内注入、経口的、局所的、腹腔内、膀胱内またはクモ膜下腔内に投与することができる。
【0116】
本明細書で使用する用語「アルキル」は、特に明記しない限り、1~10個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖の炭化水素を意味する。アルキルの代表例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、3-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、およびn-デシルが限定されずに含まれる。「アルキル」基が2つの他の部分の間の連結基である場合には、それは直鎖または分枝鎖であってもよく;例には、-CH-、-CHCH-、-CHCHCHC(CH)-、-CHCH(CHCH)CH-が限定されずに含まれる。
【0117】
本明細書で使用する用語「ヘテロシクリル」は、単環式複素環または二環式複素環を意味する。単環式複素環は、O、NおよびSからなる群から独立して選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する、3、4、5、6または7員環であり、ここで、環は飽和または不飽和であるが、芳香族でない。3または4員環は、O、NおよびSからなる群から選択される1個のヘテロ原子を含有する。5員環は、ゼロまたは1つの二重結合、ならびにO、NおよびSからなる群から選択される1、2または3個のヘテロ原子を含有することができる。6または7員環は、ゼロ、1または2つの二重結合、ならびにO、NおよびSからなる群から選択される1、2または3個のヘテロ原子を含有する。単環式複素環は、単環式複素環の中に含まれる任意の炭素原子または任意の窒素原子を通して親分子部分に連結される。単環式複素環の代表例には、アゼチジニル、アゼパニル、アジリジニル、ジアゼパニル、1,3-ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、1,3-ジチオラニル、1,3-ジチアニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オキサジアゾリニル、オキサジアゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、チアジアゾリニル、チアジアゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、チオモルホリニル、1,1-ジオキシドチオモルホリニル(チオモルホリンスルホン)、チオピラニルおよびトリチアニルが限定されずに含まれる。二環式複素環は、フェニル、単環式シクロアルキル、単環式シクロアルケニル、単環式複素環または単環式ヘテロアリールに縮合した単環式複素環である。二環式複素環は、二環式環系の単環式複素環部分の中に含有される任意の炭素原子または任意の窒素原子を通して親分子部分に連結される。二環式ヘテロシクリルの代表例には、限定されずに、2,3-ジヒドロベンゾフラン-2-イル、2,3-ジヒドロベンゾフラン-3-イル、インドリン-1-イル、インドリン-2-イル、インドリン-3-イル、2,3-ジヒドロベンゾチエン-2-イル、デカヒドロキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、オクタヒドロ-1H-インドリルおよびオクタヒドロベンゾフラニルが含まれる。ヘテロシクリル基は、各々独立してオキソまたはチアである1つまたは2つの基によって必要に応じて置換される。ある特定の実施形態では、二環式ヘテロシクリルは、フェニル環、5または6員の単環式シクロアルキル、5または6員の単環式シクロアルケニル、5または6員の単環式ヘテロシクリル、あるいは5または6員の単環式ヘテロアリールに縮合した、5または6員の単環式ヘテロシクリル環であり、ここで、二環式ヘテロシクリルは、各々独立してオキソまたはチアである1つまたは2つの基によって必要に応じて置換される。
【0118】
本明細書で使用する用語「オキソ」は、=O基を意味する。
【0119】
本明細書で使用する用語「飽和」は、参照される化学構造がいかなる多重炭素-炭素結合も含有しないことを意味する。例えば、本明細書で定義される飽和シクロアルキル基には、シクロヘキシル、シクロプロピルなどが含まれる。
【0120】
本明細書で使用する用語「チア」は、=S基を意味する。
【0121】
本明細書で使用する用語「不飽和」は、参照される化学構造が少なくとも1つの多重炭素-炭素結合を含有するが、芳香族でないことを意味する。例えば、本明細書で定義される不飽和シクロアルキル基には、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニルなどが含まれる。
【実施例
【0122】
(実施例1:合成例)
【化78】
【化79】