(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】器具座屈検出のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 34/30 20160101AFI20221031BHJP
A61M 25/092 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
A61B34/30
A61M25/092
(21)【出願番号】P 2019537036
(86)(22)【出願日】2017-09-20
(86)【国際出願番号】 US2017052534
(87)【国際公開番号】W WO2018057633
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-09-09
(32)【優先日】2016-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ドゥインダム,ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】ソーパー,ティモシー ディー.
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-505507(JP,A)
【文献】国際公開第2014/148068(WO,A1)
【文献】特表2009-542419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 ― 1/32
A61B 17/00 ― 90/98
A61M 25/00 ― 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
命令を記憶する機械可読媒体であって、前記命令は1つ又は複数のプロセッサによって実行されるとき、前記1つ又は複数のプロセッサに:
形状拘束機構内に配置される細長い可撓性器具のセクションの形状をセンサで測定するステップと;
前記細長い可撓性器具の前記セクションの測定された前記形状を予想される形状と比較するステップと;
前記細長い可撓性器具の前記セクションの前記測定された形状が前記予想される形状と
、前記細長い可撓性器具の前記セクションが座屈していることを示す予め定義された閾値だけ異なるかどうかを決定するステップと;
を実行させる、
機械可読媒体。
【請求項2】
前記細長い可撓性器具の前記セクションの前記形状は、解剖学的構造の出入口と近位器具部分との間で測定される、
請求項1に記載の機械可読媒体。
【請求項3】
前記細長い可撓性器具の前記セクションの前記測定された形状が前記予想される形状と異なるかどうかを決定するステップは、前記セクションの遠位部分が基準軸からまたは基準軸に沿って逸れるより大きく前記セクションの近位部分が前記基準軸からまたは前記基準軸に沿って逸れているかどうかを決定するステップを含む、
請求項1に記載の機械可読媒体。
【請求項4】
前記細長い可撓性器具の前記セクションの前記測定された形状が前記予想される形状と異なるかどうかを決定するステップは、前記セクションの一部が予め定義された方向に動くかどうかを決定するステップを含む、
請求項1に記載の機械可読媒体。
【請求項5】
前記細長い可撓性器具の前記セクションの前記形状を測定するステップは、前記細長い可撓性器具の最大曲率を測定するステップを含む、
請求項1に記載の機械可読媒体。
【請求項6】
前記細長い可撓性器具の前記セクションの前記形状を測定するステップは、前記セクションの総累積曲げ角度を決定するステップを含む、
請求項1に記載の機械可読媒体。
【請求項7】
測定されている前記細長い可撓性器具の前記セクションの長さは、前記細長い可撓性器具が解剖学的構造の出入口に入るまたはそこから後退するときリアルタイムで変化する、
請求項1に記載の機械可読媒体。
【請求項8】
前記命令はさらに、前記1つ又は複数のプロセッサに、前記細長い可撓性器具の前記セクションの前記測定された形状が前記予想される形状と異なることを決定することに応答して、前記細長い可撓性器具を安全な状態にするステップをさらに実行させる、
請求項1に記載の機械可読媒体。
【請求項9】
前記命令はさらに、前記1つ又は複数のプロセッサに、前記細長い可撓性器具の前記セクションの前記測定された形状が前記予想される形状と異なることを決定することに応答して、前記セクションの一部が前記予め定義された閾値内になるまで、前記細長い可撓性器具を自動的に操作するステップをさらに実行させる、
請求項1に記載の機械可読媒体。
【請求項10】
器具駆動システムと、
前記器具駆動システムに接続された細長い可撓性器具と、
前記細長い可撓性器具の形状を測定するための前記細長い可撓性器具に関連付けられたセンサと、
前記器具駆動システムと前記細長い可撓性器具の遠位端部との間のセクションで前記細長い可撓性器具を拘束するように配置された形状拘束機構と、
前記器具駆動システムを使用して前記細長い可撓性器具を操作し且つ前記形状拘束機構の少なくとも一部内の前記細長い可撓性器具の前記セクションが予め定義された閾値を超えて座屈するかどうかを決定するように構成された制御システムと、
を有する、
システム。
【請求項11】
前記形状拘束機構の少なくとも一部内の前記細長い可撓性器具の前記セクションが予め定義された閾値を超えて座屈するかどうかを決定するために、前記制御システムは、前記セクションが、前記形状拘束機構に関連付けられた境界の外に延びているかどうかを決定するようにさらに構成される、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記形状拘束機構の少なくとも一部内の前記細長い可撓性器具の前記セクションが予め定義された閾値を超えて座屈するかどうかを決定するために、前記制御システムは、前記セクションの遠位部分が基準軸から逸れるより大きく前記セクションの近位部分が前記基準軸から逸れているかどうかを決定するようにさらに構成される、
請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記形状拘束機構の少なくとも一部内の前記細長い可撓性器具の前記セクションが予め定義された閾値を超えて座屈するかどうかを決定するために、前記制御システムは、前記セクションの一部が、前記形状拘束機構の長手方向軸から離れて予め定義された方向に動くかどうかを決定するようにさらに構成される、
請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記センサは:光ファイバ形状センサ、電磁センサ、光学マーキング、またはビデオカメラのうちの少なくとも1つを含む、
請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記細長い可撓性器具の前記セクションの長さは、前記細長い可撓性器具が動くとき、リアルタイムで変化する、
請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、その全体が参照により本出願に援用される2016年9月21日に出願された“SYSTEMS AND METHODS FOR INSTRUMENTS
BUCKLING DETECTION”と題する米国仮特許出願第62/397,426号の優先権および出願日の利益を主張する。
【0002】
本開示は医療器具を患者のエントリポイントに誘導するためのシステムおよび方法を対象にし、より具体的には、エントリポイントを位置特定するためのシステムおよび方法を対象にする。
【背景技術】
【0003】
低侵襲医療技術は、医療処置中に損傷を受ける組織の量を減らし、それによって患者の回復時間、不快感、および有害な副作用を減らすことを意図している。このような低侵襲技術は、患者の解剖学的構造における自然開口部を通して、または1つ若しくは複数の外科的切開部を通して行われ得る。これらの自然の開口部または切開部を通して、オペレータは、標的組織位置に到達するように低侵襲医療器具(手術用、診断用、治療用または生検用器具を含む)を挿入し得る。このような医療器具がエントリポイントに挿入されると、エントリポイントの外側の医療器具のセクションは座屈しやすくなることがある。医療器具の改善された使用を提供するために、そのような座屈を軽減する方法およびシステムを使用することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態は、説明に続く特許請求の範囲によって要約される。
【0005】
いくつかの実施形態と一致して、方法は、細長い可撓性器具のセクションの形状をセンサで測定するステップ、および細長い可撓性器具のセクションの測定された形状を予想される形状と比較するステップを含む。方法はまた、細長い可撓性器具のセクションの測定された形状が予想される形状と予め定義された閾値だけ異なるかどうかを決定するステップを含む。
【0006】
いくつかの実施形態と一致して、方法は、器具駆動機構で、細長い可撓性器具を操作するステップ、およびセンサで、細長い可撓性器具のセクションの形状を測定するステップを含む。細長い可撓性器具のセクションは、細長い可撓性器具の遠位部分と近位器具部分との間にある。この方法は、センサと通信している制御システムで、細長い可撓性器具のセクションの形状が予め定義された閾値を超えて座屈する(buckles)かどうかを決定するステップをさらに含む。
【0007】
いくつかの実施形態と一致して、システムは、器具駆動システムと、器具駆動システムに接続された細長い可撓性器具と、細長い可撓性器具の形状を測定するための細長い可撓性器具に関連付けられたセンサとを有する。システムはまた、器具駆動システムと細長い可撓性器具の遠位端部との間のセクションで細長い可撓性器具を拘束するように配置された形状拘束機構と、器具駆動機構を使用して細長い可撓性器具を操作し且つ形状拘束機構の少なくとも一部内の細長い可撓性器具のセクションが予め定義された閾値を超えて座屈するかどうかを決定するように構成された制御システムとを有する。
【0008】
いくつかの実施形態と一致して、システムは、第1の器具駆動システムに接続された第1のカテーテルと、第1のカテーテルの第1の形状を測定するように第1のカテーテルと関連付けられた第1のセンサと、第1の器具駆動システムと第1のカテーテルの遠位端部との間の第1のカテーテルセクションにおいて第1のカテーテルを拘束するように配置された第1の形状拘束機構とを有する。このシステムはまた、第2の器具駆動システムに接続され、第1のカテーテルの長さをスライド可能に受けるようにサイズ決めされた第2のカテーテルと、第1の器具駆動機構を使用して第1のカテーテルを操作し、 第1の形状拘束機構内の第1のカテーテルセクションが第1の予め定義された閾値を超えて座屈しているかどうかを決定するように構成された制御システムとを有する。
【0009】
いくつかの実施形態と一致して、システムは、外側カテーテルと、外側カテーテルの少なくとも一部分内に延び且つそれに対してスライドするようにサイズ決めされたセクションを含む内側カテーテルと、内側カテーテルの形状を測定するように内側カテーテルと関連付けられたセンサと、内側カテーテルのセクションが予め定義された閾値を超えて座屈するかどうかを決定するように構成された制御システムとを有する。
【0010】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、本質的に例示および説明であり、本開示の範囲を限定することなく本開示の理解を提供することを意図していることが理解されるべきである。その点に関して、本開示のさらなる態様、特徴、および利点が、以下の詳細な説明から当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の態様は、添付の図面と共に読まれるとき、以下の詳細な説明から最もよく理解される。業界の標準的な慣例に従って、さまざまな特徴は一定の縮尺で描かれていないことが強調される。実際、様々な特徴の寸法は、説明を明確にするために任意に拡大または縮小されている場合がある。加えて、本開示は、様々な例において参照番号および/または文字を繰り返すことがある。この繰り返しは、単純さと明瞭さの目的のためであり、それ自体は、議論された様々な実施形態および/または構成の間の関係に影響しない。
【0012】
【
図1】いくつかの実施形態による遠隔操作医療システムの簡略図である。
【
図2A】いくつかの実施形態による医療器具システムの簡略図である。
【
図2B】いくつかの実施形態による伸長された医療ツールを持つ医療器具の簡略図である。
【
図3A】いくつかの実施形態による挿入アセンブリに取り付けられた医療器具を含む患者座標空間の側面視の簡略図である。
【
図3B】いくつかの実施形態による挿入アセンブリに取り付けられた医療器具を含む患者座標空間の側面視の簡略図である。
【
図4A】本明細書に記載の原理の一例による、形状拘束機構内に位置決めされた細長い可撓性器具を含む手術座標空間の図を示す。
【
図4B】本明細書に記載の原理の一例による、形状拘束機構内に位置決めされた細長い可撓性器具を含む手術座標空間の図を示す。
【
図5】本開示の一例による、細長い可撓性器具の座屈を検出するための例示的方法を示すフローチャートである。
【
図6A】細長い可撓性器具の座屈を検出するのに使用するための形状データセットを示す。
【
図6B】細長い可撓性器具の座屈を検出するのに使用するための形状データセットを示す。
【
図7A】本明細書に記載の原理の一例による、細長い可撓性器具の座屈を検出するために使用され得る予想される境界とともに形状データセットを示す。
【
図7B】本明細書に記載の原理の一例による、細長い可撓性器具の座屈を検出するために使用され得る予想される境界とともに形状データセットを示す。
【
図8】本開示の一例による、挿入方向からの細長い可撓性器具の方向偏差を示す。
【
図9】本開示の一例による、座屈メカニズムを用いる複数器具システムを示す。
【0013】
本開示の実施形態およびそれらの利点は、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解される。1つまたは複数の図に示されている同様の要素を識別するために同様の参照番号が使用されており、そこに示されているのは本開示の実施形態を例示する目的であり、それを限定する目的ではないことが理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明では、本開示と一致するいくつかの実施形態を記載する特定の詳細が説明される。実施形態の完全な理解を提供するために多数の特定の詳細が述べられる。しかし、いくつかの実施形態がこれらの具体的な詳細のいくつかまたはすべてがなくても実施され得ることが当業者には明らかであろう。本明細書に開示された特定の実施形態は、例示的であり、限定するものではないことを意味する。当業者は、本明細書に具体的に記載されていないが、本開示の範囲および精神内にある他の要素を理解し得る。加えて、不必要な繰り返しを避けるために、1つの実施形態に関連して図示および説明された1つまたは複数の特徴は、他に具体的に記載されない限り、または1つまたは複数の特徴が実施形態を機能しなくする場合を除き、他の実施形態に組み込まれ得る。
【0015】
いくつかの例では、実施形態の態様を不必要に曖昧にしないように、よく知られている方法、手順、構成要素、および回路は詳細に説明されていない。
【0016】
本開示は、様々な器具および器具の一部を、三次元空間におけるそれらの状態に関して説明する。本明細書で使用されるとき、用語「位置」は、三次元空間(例えば、デカルトx、y、およびz座標に沿った並進3自由度)における物体または物体の一部の場所を指す。本明細書で使用されるとき、用語「向き」は、物体または物体の一部の回転配置(回転3自由度-例えば、ロール、ピッチ、およびヨー)を指す。本明細書で使用されるとき、用語「姿勢」は、並進自由度の少なくとも1つの自由度における物体または物体の一部の位置、および回転自由度の少なくとも1つの自由度における物体または物体の一部の向きを指す(合計6自由度まで)。本明細書で使用されるとき、用語「形状」は、物体に沿って測定された姿勢、位置、または向きのセットを指す。
【0017】
図1は、いくつかの実施形態による遠隔操作医療システム100の簡略図である。いくつかの実施形態では、遠隔操作医療システム100は、例えば、外科、診断、治療、または生検処置における使用に適し得る。
図1に示すように、医療システム100は一般に、患者Pに様々な処置を行う際に医療器具104を操作するための遠隔操作マニピュレータアセンブリ102を含む。遠隔操作マニピュレータアセンブリ102は手術台Tまたはその近くに取り付けられる。マスタアセンブリ106は、オペレータO(例えば、
図1に示されるような外科医、臨床医、または内科医)が、介入部位を見るとともに遠隔操作マニピュレータアセンブリ102を制御することを可能にする。
【0018】
マスタアセンブリ106は、患者Pが配置されている手術台の側部など、通常は手術台Tと同じ部屋に配置されている医師のコンソールなどのユーザステーションに配置され得る。しかし、オペレータOは、患者Pとは異なる部屋または全く異なる建物に位置することができることが理解されるべきである。マスタアセンブリ106は一般に、遠隔操作マニピュレータアセンブリ102を制御するための1つまたは複数の制御装置を含む。制御装置は、ジョイスティック、トラックボール、データグローブ、トリガーガン、手動操作コントローラ、音声認識装置、体動センサまたは存在センサなどのような多くの様々な入力装置を含み得る。オペレータOに器具104を直接制御している強い感覚を提供するために、制御装置は関連する医療器具104と同じ自由度を備え得る。このようにして、制御装置はオペレータOにテレプレゼンスまたは制御装置が医療器具104と一体である知覚を提供する。
【0019】
いくつかの実施形態では、制御装置は、関連する医療器具104より多いまたは少ない自由度を有し、それでもオペレータOにテレプレゼンスを提供し得る。いくつかの実施形態では、制御装置は、オプションで、6自由度で動き得るとともに、器具を作動させるための(例えば、把持ジョーを閉じる、電極に電位を印加する、薬物療法を届けるなどのための)作動可能ハンドルも含み得る、手動入力装置であり得る。
【0020】
遠隔操作マニピュレータアセンブリ102は、医療器具104を支持し、1つまたは複数の非サーボ制御リンク(例えば、手動で位置決めされ且つ定位置にロックされ得る、一般にセットアップ構造と呼ばれる1つまたは複数のリンク)および遠隔操作マニピュレータの運動学的構造を含み得る。遠隔操作マニピュレータアセンブリ102は、制御システム(例えば、制御システム112)からのコマンドに応答して医療器具104への入力を駆動する複数のアクチュエータまたはモータをオプションで含み得る。アクチュエータは、医療器具104に結合されたときに医療器具104を自然にまたは外科的に作られた解剖学的構造の開口部内に前進させ得る駆動システムをオプションで含み得る。他の駆動システムは、3自由度の直線運動(例えば、X、Y、Zデカルト軸に沿った直線運動)および3自由度の回転運動(例えば、X、Y、Zデカルト軸周りの回転)を含み得る多自由度で医療器具104の遠位端部を動かし得る。加えて、アクチュエータは、生検装置等のジョー部内で組織を把持するために医療器具104の関節運動可能なエンドエフェクタを作動させるために使用することができる。レゾルバ、エンコーダ、ポテンショメータ、および他の機構などのアクチュエータ位置センサが、モータシャフトの回転および向きを記述するセンサデータを医療システム100に提供し得る。この位置センサデータは、アクチュエータによって操作された物体の動きを決定するために使用され得る。
【0021】
遠隔操作医療システム100は、遠隔操作マニピュレータアセンブリ102の器具に関する情報を受信するための1つまたは複数のサブシステムを有するセンサシステム108を含み得る。このようなサブシステムは、位置/ロケーションセンサシステム(例えば、電磁(EM)センサシステム);医療器具104を構成し得る可撓性ボディに沿った遠位端部および/または1つ若しくは複数のセグメントの位置、向き、速さ、速度、姿勢、および/または形状を決定するための形状センサシステム;並びに/または医療器具104の遠位端部から画像を取り込むための視覚化システムを含み得る。
【0022】
遠隔操作医療システム100はまた、手術部位およびセンサシステム108のサブシステムによって生成された医療器具104の画像または表現を表示するための表示システム110を含む。表示システム110およびマスタアセンブリ106は、オペレータOが、テレプレゼンスの知覚を伴って医療器具104およびマスタアセンブリ106を制御することができるように、配向され得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、医療器具104は、手術部位の同時またはリアルタイム画像を記録し、表示システム110の1つまたは複数のディスプレイなどの医療システム100の1つまたは複数のディスプレイを通じてその画像をオペレータに提供する観察スコープアセンブリを含み得る視覚化システム(以下でさらに詳細に説明される)を有し得る。同時画像は、例えば、手術部位内に配置された内視鏡によって取り込まれた二次元または三次元画像であり得る。いくつかの実施形態では、視覚化システムは、医療器具104に一体にまたは取り外し可能に結合され得る内視鏡構成要素を含む。しかし、いくつかの実施形態では、別個のマニピュレータアセンブリに取り付けられた別個の内視鏡が、手術部位を撮像するために医療器具104と共に使用され得る。視覚化システムは、制御システム112のプロセッサを含み得る1つまたは複数のコンピュータプロセッサと対話するか、そうでなければそれによって実行されるハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアまたはそれらの組合せとして実装され得る。
【0024】
表示システム110はまた、視覚化システムによって取り込まれた手術部位および医療器具の画像を表示し得る。いくつかの例では、遠隔操作医療システム100は、医療器具の相対位置がオペレータOの目と手の相対位置に類似するように、医療器具104およびマスタアセンブリ106の制御部を設定し得る。この方法では、オペレータOは、医療器具104および手制御部を、あたかも実質的に真の存在下で作業スペースを見ているかのように操作することができる。真の存在とは、画像の提示が、医療器具104を物理的に操作しているオペレータの視点をシミュレートする真の透視画像であることを意味する。
【0025】
いくつかの例では、表示システム110は、コンピュータ断層撮影法(CT)、磁気共鳴画像法(MRI)、蛍光透視法、サーモグラフィ、超音波、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)、サーマルイメージング、インピーダンスイメージング、レーザイメージング、ナノチューブX線イメージングなどの画像化技術からの画像データを使用して術前または術中に記録された手術部位の画像を提示し得る。術前または術中の画像データは、二次元、三次元、または四次元(例えば、時間ベースまたは速度ベースの情報を含む)画像として、および/または、術前もしくは術中の画像データセットから作成されたモデルからの画像として提示され得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、しばしば画像化誘導手術処置の目的のために、表示システム110は、医療器具104の実際の位置が術前または同時画像/モデルと位置合わせされる(すなわち動的に参照される)仮想ナビゲーション画像を表示し得る。これは、医療器具104の視点から内部手術部位の仮想画像をオペレータOに提示するために行われ得る。いくつかの例では、視点は医療器具104の先端からであり得る。医療器具104の先端の画像および/または他のグラフィックもしくは英数字のインジケータが、オペレータOが医療器具104を制御するのを助けるために、仮想画像に重ね合わされ得る。いくつかの例では、医療器具104は仮想画像中に見えないことがある。
【0027】
いくつかの実施形態では、表示システム110は、外部の視点からの手術部位内の医療器具104の仮想画像をオペレータOに提示するように、医療器具104の実際の位置が術前画像または同時画像と位置合わせされる仮想ナビゲーション画像を表示し得る。医療器具104の一部の画像または他のグラフィックまたは英数字のインジケータが、医療器具104の制御においてオペレータOを補助するために仮想画像に重ね合わせられ得る。本明細書で説明するように、データポイントの視覚的表現が表示システム110にレンダリングされ得る。例えば、測定されたデータポイント、移動されたデータポイント、位置合わせされたデータポイント、および本明細書に記載の他のデータポイントは、視覚的表現で表示システム110に表示され得る。データポイントは、表示システム110上の複数のポイントまたはドットによって、またはデータポイントのセットに基づいて作成されたメッシュまたはワイヤモデルなどのレンダリングされたモデルとして、ユーザインターフェースに視覚的に表され得る。いくつかの例では、データポイントはそれらが表すデータに従って色分けされ得る。いくつかの実施形態では、データポイントを変更するために各処理動作が実施された後に表示システム110内で視覚的表現がリフレッシュされ得る。
【0028】
遠隔操作医療システム100はまた、制御システム112を含み得る。制御システム112は、医療器具104、マスタアセンブリ106、センサシステム108、および表示システム110の間の制御を行うための少なくとも1つのメモリおよび少なくとも1つのコンピュータプロセッサ(図示せず)を含む。制御システム112はまた、表示システム110に情報を提供するための命令を含む、本明細書に開示される態様に従って説明される方法のいくつかまたはすべてを実施するためのプログラム命令(例えば命令を記憶する非一時的機械可読媒体)を含む。制御システム112は、
図1の単純化された概略図において単一のブロックとして示されているが、システムは、処理の一部がオプションで遠隔操作マニピュレータアセンブリ102上またはその近傍で実行され、処理の別の部分がマスタアセンブリ106で実行されるなどの2つ以上のデータ処理回路を含み得る。制御システム112のプロセッサは、本明細書に開示され以下により詳細に説明されるプロセスに対応する命令を含む命令を実行し得る。多種多様な集中型または分散型データ処理アーキテクチャのいずれも使用され得る。同様に、プログラムされた命令は、いくつかの別々のプログラムまたはサブルーチンとして実装されてもよく、あるいはそれらは、本明細書で説明される遠隔操作システムのいくつかの他の態様に統合されてもよい。一実施形態では、制御システム112は、ブルートゥース(登録商標)、IrDA、ホームRF、IEEE802.11、DECT、および無線テレメトリなどの無線通信プロトコルをサポートする。
【0029】
いくつかの実施形態において、制御システム112は、医療器具104から力および/またはトルクフィードバックを受信し得る。フィードバックに応答して、制御システム112は、マスタアセンブリ106に信号を送信し得る。いくつかの例では、制御システム112は、医療器具104を動かすように遠隔操作マニピュレータアセンブリ102の1つまたは複数のアクチュエータに指示する信号を送信し得る。医療器具104は、患者Pの身体の開口部を介して患者Pの身体内の内部手術部位内に延び得る。任意の適切な従来のおよび/または専用のアクチュエータが使用され得る。いくつかの例では、1つまたは複数のアクチュエータは、遠隔操作マニピュレータアセンブリ102から分離し得るまたは遠隔操作マニピュレータアセンブリ102と一体化され得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のアクチュエータおよび遠隔操作マニピュレータアセンブリ102は、患者Pおよび手術台Tに隣接して配置される遠隔操作カートの一部として提供される。
【0030】
制御システム112は、画像誘導手術処置中に医療器具104を制御するときに操作者Oにナビゲーション支援を提供するための仮想視覚化システムをオプションでさらに含み得る。仮想視覚化システムを使用する仮想ナビゲーションは、解剖学的構造の通路の取得された術前または術中データセットへの参照に基づき得る。仮想視覚化システムは、コンピュータ断層撮影法(CT)、磁気共鳴画像法(MRI)、蛍光透視法、サーモグラフィ、超音波、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)、サーマルイメージング、インピーダンスイメージング、レーザイメージング、ナノチューブX線イメージングなどの画像化技術を用いて画像化された手術部位の画像を処理する。手動入力と組み合わせて使用され得るソフトウェアが、記録された画像を、部分的または全体の解剖学的器官または解剖学的領域のセグメント化された二次元または三次元の合成表現(composite representation)に変換するために使用される。画像データセットは合成表現に関連付けられる。合成表現および画像データセットは、通路のさまざまな位置および形状ならびにそれらの接続性(connectivity)を記述する。合成表現を生成するために使用される画像は、臨床処置中に術前または術中に記録され得る。いくつかの実施形態では、仮想視覚化システムは、標準的表現(すなわち、患者固有ではない)または標準的表現と患者固有のデータとのハイブリッドを使用し得る。合成表現および合成表現によって生成される任意の仮想画像は、動きの1つまたは複数のフェーズ(phases)中(例えば、肺の吸気/呼気サイクル中)の変形可能な解剖学的構造の領域の静的姿勢(static posture)を表し得る。
【0031】
仮想ナビゲーション手順の間、センサシステム108は、患者Pの解剖学的構造に対する医療器具104のおおよその位置を計算するために使用され得る。位置は、患者Pの解剖学的構造のマクロレベル(外部)追跡画像および患者Pの解剖学的構造の仮想内部画像の両方を生成するために使用されることができる。システムは、手術前に記録された外科手術画像と医療器具を一緒に位置合わせし且つ表示するために、1つまたは複数の電磁(EM)センサ、光ファイバセンサ、および/または他のセンサを実装し得る。例えば、仮想視覚化システムからのものなどが知られている。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第13/107,562号(2011年5月13日出願)(“Medical System Providing Dynamic Registration of a Model of an
Anatomic Structure for Image-Guided Surgery”を開示する)は、1つのそのようなシステムを開示している。
【0032】
遠隔操作医療システム100は、照明システム、ステアリング制御システム、洗浄(irrigation)システム、および/または吸引システムなどのオプションの操作およびサポートシステム(図示せず)をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、遠隔操作医療システム100は、1より多い遠隔操作マニピュレータアセンブリおよび/または1より多いマスタアセンブリを含み得る。遠隔操作マニピュレータアセンブリの正確な数は、他の要因の中でもとりわけ、手術処置および手術室内の空間的制約に依存するであろう。マスタアセンブリ106は、並置されてもよく、またはそれらは別々の位置に配置されてもよい。複数のマスタアセンブリは、一人または複数のオペレータが一つまたは複数の遠隔操作マニピュレータアセンブリを様々な組み合わせで制御することを可能にする。
【0033】
図2Aは、いくつかの実施形態による医療器具システム200の簡略図である。いくつかの実施形態では、医療器具システム200は、遠隔操作医療システム100を用いて行われる画像誘導医療処置において医療器具104として使用され得る。いくつかの例では、医療器具システム200は、非遠隔操作試験的処置または内視鏡検査などの伝統的な手動操作医療器具を伴う処置のために使用され得る。オプションで、医療器具システム200は、患者Pなどの患者の解剖学的構造の通路内の位置に対応するデータポイントのセットを収集(すなわち測定)するために使用され得る。
【0034】
医療器具システム200は、駆動ユニット204に結合された可撓性カテーテルなどの細長い装置202を含む。細長い装置202は、近位端部217および遠位端部または先端部分218を有する可撓性ボディ216を含む。いくつかの実施形態では、可撓性ボディ216は約3mmの外径を有する。他の可撓性ボディの外径はより大きくてもより小さくてもよい。
【0035】
医療器具システム200はさらに、以下でさらに詳細に説明するように、1つまたは複数のセンサおよび/または撮像装置を用いて可撓性ボディ216に沿った遠位端部218および/または1つ若しくは複数のセグメント224の位置、向き、速さ、速度、姿勢、および/または形状を決定する追跡システム230を含む。遠位端部218と近位端部217との間の可撓性ボディ216の全体の長さは、セグメント224に効果的に分割され得る。医療器具システム200が遠隔操作医療システム100の医療器具104と一致する場合、追跡システム230。追跡システム230は、
図1の制御システム112のプロセッサを含み得る、1つまたは複数のコンピュータプロセッサと対話するか、そうでなければそれによって実行されるハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの組合せとしてオプションで実装され得る。
【0036】
追跡システム230は、形状センサ222を使用して遠位端部218および/またはセグメント224の1つ若しくは複数をオプションで追跡し得る。形状センサ222は、可撓性ボディ216と位置合わせされた光ファイバをオプションで含み得る(例えば内部チャネル(図示せず)内に設けられるまたは外部に取り付けられる)。一実施形態では、光ファイバは約200μmの直径を有する。他の実施形態では、寸法はより大きくてもより小さくてもよい。形状センサ222の光ファイバは、可撓性ボディ216の形状を決定するための光ファイバ曲げセンサを形成する。一代替形態では、ファイバブラッグ格子(FBG)を含む光ファイバが、1または複数の次元の構造の歪み測定値を提供するために使用され得る。三次元で光ファイバの形状および相対位置を監視するための様々なシステムおよび方法が、米国特許出願第11/180,389号(2005年7月13日出願)(“Fiber optic position and shape sensing device and method relating
thereto”を開示);米国特許出願第12/047,056号(2004年7月16日に出願)(“Fiber-optic shape and relative position sensing”を開示);および米国特許第6,389,187号(1998年6月17日に出願)(“Optical Fibre Bend Sensor”を開示)に記載され、これらは全て参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態におけるセンサは、レイリー散乱、ラマン散乱、ブリルアン散乱、および蛍光散乱などの他の適切な歪み感知技術を用い得る。いくつかの実施形態では、細長い装置の形状は他の技術を使用して決定され得る。例えば、可撓性ボディ216の遠位端部姿勢の履歴が、時間間隔にわたる可撓性ボディ216の形状を再構成するために使用されることができる。いくつかの実施形態では、追跡システム230は、オプションでおよび/または追加的に、位置センサシステム220を使用して遠位端部218を追跡し得る。位置センサシステム220は、オプションで、外部発生電磁場に曝され得る1つまたは複数の導電性コイルを含む位置センサシステム220を持つEMセンサシステムの構成要素であり得る。次に、EMセンサシステム220の各コイルは、外部発生電磁場に対するコイルの位置および向きに依存する特性を有する誘導電気信号を生成する。いくつかの実施形態では、位置センサシステム220は、6自由度、例えば3つの位置座標X、Y、Z、および基点のピッチ、ヨー、およびロールを示す3つの配向角(orientation angles)、または5自由度、例えば3つの位置座標X、Y、Z、およびベース点のピッチおよびヨーを示す2つの配向角を測定するように構成され且つ位置決めされ得る。位置センサシステムのさらなる説明は、米国特許第6,380,732号(1999年8月11日出願)(“Six-Degree of Freedom Tracking System Having a Passive
Transponder on the Object Being Tracked”を開示)に提供され、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
いくつかの実施形態では、追跡システム230は、代替的におよび/または追加的に、呼吸などの交互運動のサイクルに沿った器具システムの既知のポイントについて格納された過去の姿勢、位置または向きデータに頼り得る。この格納されたデータは、可撓性ボディ216についての形状情報を展開するために使用され得る。いくつかの例では、位置センサ220のセンサと同様の電磁(EM)センサなどの一連の位置センサ(図示せず)が、可撓性ボディ216に沿って位置決めされ、その後形状検知に使用され得る。いくつかの例では、特に解剖学的構造の通路が概して静的である場合、処置中に取られたこれらのセンサのうちの1つまたは複数からのデータの履歴が、細長い装置202の形状を表すために使用され得る。
【0038】
可撓性ボディ216は、医療器具226を受容するようにサイズ決めされ且つ形成されたチャネル221を含む。
図2Bは、いくつかの実施形態に従って伸長された医療器具226を持つ可撓性ボディ216の簡略図である。いくつかの実施形態では、医療器具226は、手術、生検、切除、照明、洗浄、または吸引などの処置に使用され得る。医療器具226は、可撓性ボディ216のチャネル221を通って展開され、解剖学的構造内の標的位置で使用され得る。医療器具226は、例えば、画像取込プローブ、生検器具、レーザアブレーションファイバ、および/または他の手術用、診断用もしくは治療用ツールを含み得る。医療ツールは、メス、ブラントブレード、光ファイバ、電極などの単一の作業部材を有するエンドエフェクタを含み得る。他のエンドエフェクタは、例えば、鉗子、把持器、鋏、クリップアプライヤなどを含み得る。他のエンドエフェクタは、電気手術用電極、トランスデューサ、センサなどの電気的に作動するエンドエフェクタをさらに含み得る。様々な実施形態では、医療器具226は生検器具であり、これは標的の解剖学的構造の位置からサンプル組織または細胞のサンプリングを除去するために使用され得る。医療器具226は、これもまた可撓性ボディ216内にある画像取込プローブと共に使用され得る。様々な実施形態では、医療器具226は、表示のために視覚化システム231によって処理される、並びに/または遠位端部218および/または1つ若しくは複数のセグメント224の追跡をサポートするために追跡システム230に提供される画像(ビデオ画像を含む)を取り込むために、可撓性ボディ216の遠位端部218またはその近くに立体カメラまたはモノスコープカメラを持つ遠位部分を含む画像取込プローブであり得る。画像取込プローブは、取り込まれた画像データを送信するためにカメラに連結されたケーブルを含み得る。いくつかの例では、画像取込器具は、視覚化システム231に結合する、ファイバスコープなどの光ファイバ束であり得る。画像取込器具は、例えば、可視、赤外線、および/または紫外線のスペクトルの1つまたは複数で画像データを取り込む、単一またはマルチスペクトルであり得る。代替的には、医療器具226は、それ自体が画像取込プローブであり得る。医療器具226は、処置を実行するためにチャネル221の開口部から前進させられ、次いで処置が完了したときにチャネル内に引き戻され得る。医療器具226は、可撓性ボディ216の近位端部217から、または可撓性ボディ216に沿った別のオプションの器具ポート(図示せず)から取り外され得る。
【0039】
医療器具226は追加的に、その近位端部と遠位端部との間に延びて医療器具226の遠位端部を制御可能に曲げるケーブル、リンケージ、または他の作動制御部(図示せず)を収容し得る。操縦可能な器具は、米国特許第7,516,681号(2005年10月4日出願)(“Articulated
Surgical Instrument for Performing Minimally Invasive Surgery with Enhanced
Dexterity and Sensitivity”を開示)および米国特許出願第12/286,644号(2008年9月30日出願)(“Passive Preload and Capstan Drive for Surgical Instruments”を開示)に詳細に記載され、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0040】
可撓性ボディ216はまた、駆動ユニット204と遠位端部218との間に延びて例えば遠位端部218の破線描写219によって示されるように遠位端部218を制御可能に曲げるケーブル、リンケージ、または他の操縦制御部(図示せず)を収容し得る。いくつかの例では、遠位端部218のピッチを制御するための独立した「上下」操縦および遠位端部218のヨーを制御するための「左右」操縦を提供するために、少なくとも4本のケーブルが使用される。操縦可能な細長い装置は、米国特許出願第13/274,208号(2011年10月14日出願)(“Catheter
with Removable Vision Probe”を開示)に詳細に記載され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。医療器具システム200が遠隔操作アセンブリによって作動される実施形態では、駆動ユニット204は、遠隔操作アセンブリのアクチュエータなどの駆動要素に取り外し可能に結合し、そこから動力を受け取る駆動入力部を含み得る。いくつかの実施形態において、医療器具システム200は、把持機構、手動アクチュエータ、または医療器具システム200の動きを手動で制御するための他の構成要素を含み得る。細長い装置202は、操縦可能であり得る、又は代替的には、システムは、遠位端部218の曲げのオペレータ制御のための一体化された機構を持たない操縦不能であり得る。いくつかの例では、それを通って医療器具が標的手術位置に展開され且つそこで使用されることができる1つまたは複数の管腔が、可撓性ボディ216の壁内に画定される。
【0041】
いくつかの実施形態では、医療器具システム200は、肺の検査、診断、生検、または治療に使用するための、気管支鏡または気管支カテーテルなどの可撓性気管支器具を含み得る。医療器具システム200はまた、結腸、腸、腎臓および腎杯、脳、心臓、脈管系を含む循環系などを含む様々な解剖学的構造のシステムのいずれかにおいて、自然のまたは外科的に作成された接続通路を介したナビゲーションおよび他の組織の治療にも適している。
【0042】
追跡システム230からの情報は、ナビゲーションシステム232に送られ、そこで視覚化システム231および/または術前に得られたモデルからの情報と組み合わされて、オペレータまたは他のオペレータにリアルタイムの位置情報を提供する。いくつかの例では、リアルタイム位置情報は、医療器具システム200の制御に使用するために
図1の表示システム110に表示され得る。いくつかの例では、
図1の制御システム112は、医療器具システム200を位置決めするためのフィードバックとして位置情報を利用し得る。光ファイバセンサを使用して手術器具を手術画像と位置合わせして表示するための様々なシステムが、2011年5月13日に出願され、“Medical System Providing Dynamic Registration of a Model of an
Anatomic Structure for Image-Guided Surgery”を開示する米国特許出願第13/107,562号に提供され、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
いくつかの例では、医療器具システム200は、
図1の医療システム100内で遠隔操作され得る。いくつかの実施形態では、
図1の遠隔操作マニピュレータアセンブリ102は、直接オペレータ制御に置き換えられ得る。いくつかの例では、直接オペレータ制御は、器具の手持ち式操作のための様々なハンドルおよびオペレータインタフェースを含み得る。
【0044】
図3Aおよび3Bは、いくつかの実施形態による挿入アセンブリに取り付けられた医療器具を含む患者座標空間の側面視の簡略図である。
図3Aおよび3Bに示すように、手術環境300は、プラットフォームT上に位置決めされた患者Pを含む。患者Pは、全体的な患者の動きが鎮静作用、拘束、および/または他の手段によって制限されるという意味で、手術環境内で静止し得る。患者が呼吸動作を一時的に中断するために息を止めるように頼まれない限り、患者Pの呼吸および心臓の動きを含む周期的な解剖学的構造の動作は継続し得る。したがって、いくつかの実施形態では、データは、呼吸の特定のフェーズで収集され得るとともに、そのフェーズでタグ付けされ且つ識別され得る。いくつかの実施形態では、データが収集されるフェーズは、患者Pから収集された生理学的情報から推測され得る。手術環境300内では、ポイント収集器具304が器具キャリッジ306に結合される。いくつかの実施形態では、ポイント収集器具304は、EMセンサ、形状センサ、および/または他のセンサモダリティを使用し得る。器具キャリッジ306は、手術環境300内に固定された挿入ステージ308に取り付けられている。代替的には、挿入ステージ308は、移動可能であるが、手術環境300内で(例えば、追跡センサまたは他の追跡装置を介して)既知の位置を有し得る。器具キャリッジ306は、挿入動作(すなわちA軸に沿った動作)およびオプションでヨー、ピッチ、およびロールを含む複数の方向の細長い装置310の遠位端部318の動作を制御するために、ポイント収集器具304に結合する遠隔操作マニピュレータアセンブリ(例えば遠隔操作マニピュレータアセンブリ102)の構成要素であり得る。器具キャリッジ306または挿入ステージ308は、挿入ステージ308に沿った器具キャリッジ306の動きを制御するサーボモータ(図示せず)などのアクチュエータを含み得る。
【0045】
細長い装置310は、器具ボディ312に結合されている。器具ボディ312は、器具キャリッジ306に対して結合され且つ固定されている。いくつかの実施形態では、光ファイバ形状センサ314が、器具ボディ312上の近位ポイント316に固定されている。いくつかの実施形態では、光ファイバ形状センサ314の近位ポイント316は器具ボディ312と共に移動可能であり得るが、近位ポイント316の位置は(例えば、追跡センサまたは他の追跡装置を介して)既知であり得る。形状センサ314は、近位ポイント316から細長い装置310の遠位端部318などの別のポイントまでの形状を測定する。ポイント収集器具304は、医療器具システム200と実質的に同様であり得る。
【0046】
位置測定装置320が、器具ボディ312が挿入軸Aに沿って挿入ステージ308上を移動するときの器具ボディ312の位置に関する情報を提供する。位置測定装置320は、レゾルバ、エンコーダ、ポテンショメータ、および/または、器具キャリッジ306の動き、したがって器具ボディ312の動きを制御するアクチュエータの回転および/または向きを決定する他のセンサを含み得る。いくつかの実施形態では、挿入ステージ308は直線的である。いくつかの実施形態では、挿入ステージ308は湾曲していてもよく、または湾曲した部分と直線部分との組み合わせを有していてもよい。
【0047】
図3Aは、挿入ステージ308に沿った後退位置にある器具ボディ312および器具キャリッジ306を示す。この後退位置では、近位ポイント316は軸A上の位置L0にある。挿入ステージ308に沿ったこの位置では、近位ポイント位置の成分(component)は、挿入ステージ308上の器具キャリッジ306の位置、したがって近位ポイント316を記述するためのベース基準を提供するために、ゼロおよび/または別の基準値に設定され得る。器具ボディ312および器具キャリッジ306のこの後退位置では、細長い装置310の遠位端部318は、患者Pのエントリオリフィスのちょうど内部に位置決めされ得る。この位置でも、位置測定装置320は、ゼロおよび/または他の基準値(例えば、I=0)に設定され得る。折り畳み可能な(collapsible)形状拘束装置272が、器具ボディ312と患者Pのエントリオリフィスとの間で細長い装置310を支持する。折り畳み可能な形状拘束装置272は、形状拘束装置によって画定される狭いチャネルに可撓性細長装置310を拘束し、器具ボディが軸Aに沿って前に(遠位に)押されるとき、座屈に抗して器具を支持する。本開示の実施形態と一致して、装置は、それが非直線形状(non-linear
shape)、特に予め定義されたしきい値を超える非直線形状を示す場合に座屈すると考えられ得る。予め定義された閾値は、即時の機械的故障に関連付けられる必要はないが、精度低下(reduced
accuracy)、制御低下(reduced
control)、予測される故障、または準最適な性能に関連付けられる形状であり得る。予め定義された閾値は、挿入距離、摩擦の検出、障害物の検出、遠位端部の湾曲の検出、または計画されたナビゲーション経路などの他の測定値に依存し得る。
【0048】
図3Bでは、器具ボディ312および器具キャリッジ306は、挿入ステージ308の直線軌道に沿って前進しており、細長い装置310の遠位端部318は患者Pの中に前進している。この前進位置では、近位ポイント316は軸A上の位置L1にある。いくつかの例では、挿入ステージ308に沿った器具キャリッジ306の移動を制御する1つまたは複数のアクチュエータからのエンコーダおよび/または他の位置データ、および/または、器具キャリッジ306および/または挿入ステージ308に関連付けられる1つまたは複数の位置センサが、位置L0に対する近位ポイント316の位置Lxを決定するために使用される。いくつかの例では、位置Lxはさらに、細長い装置310の遠位端部318が患者Pの解剖学的構造の通路に挿入される距離または挿入深さの指標として使用され得る。
【0049】
折り畳み可能な形状拘束装置272は、器具ボディ312が患者エントリオリフィスに向かって前進するときに可撓性の細長い装置310の座屈を防止するのを助ける。装置272内に収容された可撓性の細長い装置310の長さは、予想される直線形状を有する。装置内の可撓性の細長い装置310の形状は、形状センサ314によって測定され得る。形状センサ314の測定された形状が、予め定義された閾値を超える非直線形状または座屈を示す場合、形状拘束装置が、可撓性の細長い器具、したがって形状センサについて予想される形状(configuration)を維持することができなかったことを示すエラーが報告され得る。
【0050】
図4Aおよび
図4Bは、形状拘束装置408内に配置された可撓性の細長い器具404(例えば装置310、202)を含む手術座標空間400の図を示す。前述のように、可撓性の細長い器具はカテーテルであり得る。形状拘束装置408は、カテーテルがエントリポート406に挿入されるとき収縮(contract)し、カテーテルがエントリポートから後退されるとき伸張(expand)し得る。カテーテル404は器具ボディ402に結合されている。カテーテル304は形状センサ412も含む。
図4Aは伸張位置の形状拘束装置408を示し、
図4Bは収縮位置の形状拘束装置を示す。
【0051】
形状センサ412は、カテーテル404の形状を決定するために使用することができる形状データを生成する。形状データは、手術座標空間400内のカテーテル404の遠位端部407の姿勢を決定するために使用され得る。例えば、カテーテル404の特定の部分の位置が手術座標空間400(すなわち、カテーテル404のベース403)内で既知であるか追跡される場合、形状データは、手術座標空間400におけるカテーテル304に沿った任意のポイントの位置を決定するために使用されることができる。様々な形状検知システムが、形状データを生成するために、代替的にまたは組み合わせて使用され得る。
【0052】
一例では、形状センサ412は光ファイバ形状センサである。このような形状センサは、カテーテル404の長さに沿って延びる1つまたは複数の光ファイバケーブルを含み得る。光ファイバ形状センサは、1つまたは複数の光学コアを含み得る。場合によっては、光ファイバ形状センサは1つまたは複数の光ファイバを含み、各光ファイバは1つまたは複数の光学コアを有し得る。上述のように、コアは、一または複数の次元におけるひずみ測定値を提供するためのファイバブラッグ格子を含み得る。他の代替形態では、他の歪み検知技術を採用しているセンサが適切であり得る。一例では、光ファイバ形状センサは、カテーテル404のベース403の近位に配置されたインテロゲーション(interrogation)システム(図示せず)を利用する。動作中、インテロゲーションシステムは光を生成し、光ファイバ形状センサの現在の形状を決定するために戻ってきた光を検出する。インテロゲーションシステムは次に、検出された光を表すデータを作成し得る。このデータは、カテーテル404の長さに沿った任意のポイントの位置および向きを決定するために分析され得る。基準固定具として作用するベース403は、手術座標空間400内に固定された、既知のまたは追跡された位置を有し得るので、手術座標空間に対するカテーテル404に沿った任意のポイントの位置および向きは、センサデータから決定され得る。
【0053】
一例では、形状センサ412は、カテーテル404の長さに沿って複数の電磁(EM)センサを含む。上述のように、EMセンサは、EMエミッタ(図示せず)によって生成される電磁場に曝され得る1つまたは複数の導電性コイルを含み得る。次に、EMセンサの各コイルは、EMエミッタによって生成された電磁場に対するコイルの位置および向きに依存する特性を有する誘導電気信号を生成する。したがって、EMセンサは、6つの自由度、例えば3つの位置座標X、Y、Z並びにベース点のピッチ、ヨー、およびロールを示す3つの配向角を測定し得る、または5つの自由度、たとえば3つの位置座標並びにベース点のピッチおよびヨーを示す2つの配向角を測定し得る。
【0054】
一例では、形状センサ412は、ビデオカメラシステムによって得られた画像データを分析するための光学マーキングを含む。例えば、複数のビデオカメラまたはスチルカメラが、エントリポート406の外側にあるカテーテル404の部分410に向けられ得る。カメラは、手術座標空間400内のカテーテル404の位置を表すデータを得るために立体視であり得る。光学マーキングは、ビデオカメラによって生成された画像データのより効率的な分析を可能にし得る変化する色、反射率、質感、または他の特徴を含み得る。
【0055】
器具ボディ402は、ボディ312と実質的に同様であり得るとともに、カテーテル404がエントリポート406に挿入されるおよびエントリポート406から後退されることをもたらすように、挿入ステージ418に沿って手術座標空間内で移動可能である遠隔操作マニピュレータアセンブリ(例えばアセンブリ102)の一部であり得る器具キャリッジ416に接続されている。遠隔操作マニピュレータアセンブリは、カテーテルを操作するためのプロセッサおよびメモリならびにソフトウェア(機械可読命令)を有する制御システム414を含む遠隔操作システム(例えばシステム100)の一部であり得る。例えば、制御システムは、器具駆動機構402の動きを制御するモータ、ならびに引張ワイヤを制御するモータおよびカテーテル404の遠位端部を操作する他の機構を操作し得る。制御システム414はまた、リアルタイムでカテーテル404の形状を決定するために形状センサ412から得られたデータを処理し得る。
【0056】
カテーテル404は、患者の自然の開口部または手術で作成された切開部に挿入され得る。エントリポート406は、オリフィスが患者の口である場合には、例えば、気管内チューブであり得る。エントリポート406は、開口部が手術で形成された切開部である場合、例えば、トロカールカニューレであり得る。
【0057】
形状拘束装置408は、器具ボディ402とエントリポート406との間に配置される。形状拘束装置408は、カテーテル404がエントリポート406に挿入されるときの座屈を制限し得る。様々な種類の形状拘束装置が本明細書に記載の原理に従って使用され得る。例えば、形状拘束装置408は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2013年5月15日に出願され、“Guide
Apparatus for Delivery of a Flexible Instrument and Methods of Use”と題する米国仮特許出願第61/823,666号に記載されたような一連のリンケージを含み得る。いくつかの例では、形状拘束装置408は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2014年7月28日に出願され、”Guide Apparatus for Delivery of a
Flexible Instrument and Methods of Use”と題する米国特許仮出願第62/029,917号および2016年7月8日に出願、“Guide
Apparatus For Delivery Of An Elongate Device And Methods Of Use”と題する米国仮特許出願第62/359,957号に記載されているような一連の保持部材および一連の支持部材を含み得る。
【0058】
形状拘束装置408は、一般に、カテーテル404の座屈、垂れ下がり、または他の非直線形成を防止するのに役立つが、カテーテルと装置との間の摩擦の蓄積を防止することにも役立ち、装置はカテーテルよりもわずかに大きい(例えば、2-10mm)サイズにされ得る。サイズの差のために、前進位置では、カテーテル404は正確な直線形状を維持することができず、その結果、エントリポート406の外側にあるカテーテル404の部分は長さD1よりも長くなり得る。センサ412からの形状センサデータは、長さD1にわたるカテーテル404の形状を決定するために使用され得る。決定された形状が、予想される(概して直線の)形状を閾値だけ超える場合、システム414は、ユーザ警告、さらなる前進を止めるためのフィードバック信号、または形状を修正するために加えられる力などの動作を実行し得る。
【0059】
制御システム414は、エントリポート406の外側にあるカテーテル404の部分410の最小長さを決定するために使用され得る。
図4Bに示すように、カテーテル404がエントリポート406に挿入されるにつれ、部分410の長さは短くなる。カテーテル404の動作中の任意の所与の時点での部分410の最小長さを決定するために様々な技法が使用され得る。一例では、カテーテル404を駆動する器具キャリッジ416のモータに関連する挿入センサ(例えばエンコーダ)からのデータが、部分410の最小長さを決定するために使用され得る。例えば、後退位置では、器具ボディ402上の近位ポイント420は軸A上の位置L
0にある。挿入ステージ418に沿ったこの位置では、近位ポイント420の位置の成分は、挿入ステージ418上の器具キャリッジ416の、したがって近位ポイント420の位置を記述するためのベース基準を提供するためにゼロおよび/または他の基準値に設定され得る。器具ボディ402および器具キャリッジ416のこの後退位置では、可撓性の細長器具404の遠位端部407は、エントリポート406のちょうど内側に位置し得る。この後退位置では、エントリポート406の外側の部分410の最小長さは長さD1である。器具404が概して座屈していない場合、部分410の最小長さは、部分410の最小長さとほぼ同じであり得る。また、この位置では、挿入センサは、初期値(例えば、ゼロおよび/または他の基準値)に設定され得る。
図4Bにおいて、器具ボディ402および器具キャリッジ416は、挿入ステージ418に沿って前進しており、可撓性の細長い器具404の遠位端部は、エントリポート406を通って前進している。この前進位置では、近位ポイント420はA軸上の位置L
1にある。挿入センサからのデータは、L
0とL
1との間の距離を示す。より具体的には、エンコーダセンサからのデータは、モータ状態の変化を示し得る。モータの状態は、モータの現在の回転位置、ならびにモータが基準状態から成した回転数を含み得る。エントリポート406の外側の部分410の最小長さは、長さD2であり、これはおおよそ長さD1からL
0とL
1との間の前進距離を引いたものである。エントリポート406の外側の部分410が座屈する場合、部分410の実際の長さは長さD2を超え得る。
【0060】
制御システム414は、カテーテルの動作中にカテーテル404の形状を分析し得る。例えば、制御システムは、形状センサ412からのデータを分析してカテーテル404の現在の形状を決定する。次に制御システム414は、形状センサから受信した形状データを予想される形状と比較する。予想される形状を定義するために様々な技術が使用され得る。例えば、以下でさらに詳細に説明されるように、形状データを予想される形状と比較することは、カテーテル404の現在の形状が予想される境界を超えるかどうかを決定することを含み得る。形状データを予想される形状と比較することはまた、カテーテルの一部が軸Aから予め定義された距離だけ外れていると決定することを含み得る。形状データを予想される形状と比較することはまた、挿入方向と直交する方向におけるカテーテル404の方向性移動(directional
movement)を決定することを含み得る。
【0061】
制御システム414が、現在の形状が予想される形状と所定の量だけ異なると決定する場合、制御システムは、座屈緩和動作をトリガし得る。一例では、座屈緩和動作は、警告またはエラーメッセージをカテーテル404のオペレータに報告することを含む。一例では、座屈緩和動作は、カテーテル制御システムを安全な状態に移行させることを含む。安全な状態は、カテーテルのそれ以上の動きが禁止されている状態である。いくつかの例では、座屈緩和動作は、予想される形状を超えたカテーテル404の正確な部分をユーザに示すことを含み得る。いくつかの例では、座屈緩和作用は、現在のカテーテル404の形状が予想される形状により近い状態に戻るまで、カテーテル404の位置を自動的に後退させるまたは調整することを含み得る。一例では、座屈緩和動作は、測定された座屈を低減するために形状拘束装置の形状を修正することを含み得る。例えば、形状拘束装置は、カテーテルを予想される形状に戻すように、測定された座屈と反対方向に変形するように制御され得る。代替的には、カテーテルが拘束装置との摩擦のために座屈している場合、拘束装置は、静摩擦を克服するようにその長手方向軸の周りに回転され得る。
【0062】
図5は、細長い可撓性器具の座屈を検出するための例示的な方法450を示すフローチャートである。方法450は、一連の動作またはプロセス452-456として
図5に示される。例示されたプロセス452-456のすべてが、方法450の全ての実施形態で実行されるわけではない。加えて、
図5に明示的に例示されていない1つまたは複数のプロセスが、プロセス452-456の前、後、間、または一部として含まれ得る。いくつかの実施形態において、プロセスの1つまたは複数は、少なくとも部分的に、1つまたは複数のプロセッサ(例えば制御システム112または414のプロセッサ)によって実行されるとき、1つまたは複数のプロセッサにプロセスの1つまたは複数を実行させ得る非一時的で有形の機械可読媒体に格納された実行可能コードの形態で実装され得る。
【0063】
本実施例によれば、方法450は、センサで患者の口のエントリポート406または手術で作られた開口のカニューレなどの解剖学的構造の出入口と、器具ボディ402などの近位器具部分との間の細長い可撓性器具のセクションの形状を測定するステップ452を含む。このセンサは、例えば、光ファイバ形状センサ、一連のEMセンサ、または画像センサであり得る。方法450はさらに、細長い可撓性器具のセクションの測定された形状を予想される形状と比較するステップ454を含む。予想される形状は、解剖学的構造の出入口と近位器具部分との間に配置される座屈防止機構408などの形状拘束装置を通る中心軸またはベース軸などの基準軸に対応する線であり得る。代替的には、予想される形状は、中心軸またはベース軸などの軸から予め定義された累積偏差を有する形状であり得る。代替的には、予想される形状は、予め定義された体積内に収まる任意の形状であり得る。代替的には、予想形状は、遠位端部が近位端部からの予想距離である形状であり得る。方法450は、細長い可撓性器具のセクションの測定された形状が予め定義された閾値だけ予想される形状と異なるかどうかを決定するステップ456をさらに含む。オプションで、方法は、オペレータに警告を提供すること、遠隔操作システムを介して矯正力を加えること、安全な状態に入ること、またはユーザに矯正動作のための指示を提供することなどの緩和動作をトリガするステップをさらに含み得る。
【0064】
図6Aは、エントリポートと近位器具ボディとの間の可撓性器具のセクション内のセンサ412などの形状センサから取得された形状データ500を示す。一例では、このセクションは形状拘束装置408によって拘束され得る。軸502はセクションの予想される形状である。様々な例では、予想される形状502は、形状拘束装置408を通る中心軸または形状拘束装置の重力底部に沿ったベース軸を表し得る。予め定義された閾値504は、所望の挿入運動精度を達成するのに必要とされる予想される形状への適合に基づく予想される形状502からの距離510に設定される。この閾値は、形状の長さに沿って一定であり得る、または予想される形状に沿った異なるポイントでの予想される偏差の量に応じて変動し得る。この例では、形状データ500は、予め定義された閾値504を超える偏差506を有する。したがって、偏差506は緩和動作をトリガする。この例では、形状データ500はまた、それぞれ予め定義された閾値504よりも小さい偏差508、512を有する。偏差508も偏差512も、それ自体では緩和動作をトリガしない。一例では、偏差508および512の累積的な大きさは、予め定義された閾値504を超え得る。この累積的な偏差は緩和措置をトリガし得る。
【0065】
予め定義された閾値は、測定値、または既知の状態もしくは検出された状態に可変的に依存し得る。例えば、カテーテルは、障害物または曲がりくねった経路のために解剖学的構造の通路の内側で摩擦を受けるとき、形状拘束装置の内側で曲がることが予想され得る。そのような条件下では、予め定義された閾値は広げられる得る。例えば、高い入力される力がセンサで又は挿入モータ電流を参照して測定されるとき、閾値は増加され得る。例えば、閾値は、カテーテルの遠位端部が患者の解剖学的構造内で十分に湾曲した形状を有するときに増加され得る。例えば、閾値は、計画されたナビゲーション経路が曲がりくねっていると予測されるとき増加され得る。
【0066】
いくつかの例では、座屈緩和動作は、1つの偏差が他の偏差を所定の値だけ超えた場合にトリガされる。一例では、座屈緩和動作は、偏差506が他の偏差508、512より所定の値だけ大きい場合、トリガされる。いくつかの例では、座屈緩和動作は、特定の偏差506がより遠位の偏差508または偏差512を所定の値だけ超えた場合に、トリガされる。
【0067】
図6Bは、可撓性器具のセクションの測定形状が予想される形状測定値と異なるかどうかを決定するための代替技術を示す。前述のように、エンコーダまたは他の位置センサが、近位器具ボディ402によって進められる距離(すなわち、L
0とL
1との間の距離)を決定するために、使用され得る。この例では、形状データ550は形状センサ412から得られる。形状データ550の近位端部552は、近位器具ボディ402に対する固定ポイント(例えば、ポイント420またはカテーテル端部403)に対応し得る。形状データ550の遠位端部554は、エントリポート406の外側にあるカテーテルの遠位端部407またはカテーテル404の部分410の遠位端部に対応し得る。形状データ550の遠位端部554は、エントリポート406によって引き起こされる形状の摂動(perturbation)、エントリポート406における温度の変化またはカテーテルがエントリポートに入ったという他の指標によって決定され得る。データポイント552と554との間の直線距離D3が、L
0とL
1との間の距離よりも小さい場合、この比較は、カテーテル404が座屈に見舞われていることを示し得る。距離D3がL
0とL
1との間の距離を所定の閾値だけ超えている場合、緩和動作がトリガされて、例えば、座屈をユーザに警告し得るまたは座屈を矯正し得る。
【0068】
図7Aおよび7Bは、細長い可撓性器具604(例えば器具404)の座屈を検出するために使用され得る予想される境界602を示す。方法450の予想される形状は、境界602によって画定される三次元容積内に収まる任意の形状であり得る。一例では、予想される境界602は、形状拘束装置408によって規定される容積に対応する手術座標空間400内の容積を規定する。容積は、実質的に管状の形状を有し得る。管状形状は、実質的に直線状または弓状であり得る。いくつかの実装形態では、予想される境界602によって規定される容積は、形状拘束装置408によって規定される容積と実質的に一致し得る。いくつかの実装形態では、予想される境界602によって規定される容積は、形状拘束装置408によって規定される容積よりわずかに大きく増やされ得るまたはわずかに小さく減らされ得る。予想される境界602は、形状データ504が得られた細長い可撓性器具がそれに沿って挿入されることが予想される軸605に対して定義され得る。予想される境界602は、形状データ604が超えた場合に緩和動作がトリガされることを引き起こす予め定義された閾値を表す。
【0069】
いくつかの例では、予想される境界602は解剖学的構造の管腔に対応し得る。たとえば、患者の解剖学的構造は、CTスキャンなどのさまざまな医療用イメージング技術を使用してマッピングされ得る。可撓性器具が患者の解剖学的構造に挿入されると、予想される境界602は、形状データ404が得られた可撓性器具の特定の部分が現在存在する解剖学的構造の管腔の幾何学的形状に基づいて定義され得る。
【0070】
図7Aは、形状データ604が予想される境界602内に留まる例を示す。形状データ604はわずかな座屈603を有するように示されているが、その座屈は予想される境界602によって定義される予め定義された閾値を超えない。しかし、
図7Bは、形状の部分608が予想される境界602を超えるように形作られた形状データ606を示す。そのような場合、制御システム(例えば、制御システム414)は緩和動作をトリガし得る。制御システムは、形状拘束機構を通して挿入軸に対して定義されるように形状センサ(例えば、センサ412)からの形状データを予想される境界602と比較することによって、形状604の部分608が予想される境界602を超えていると決定し得る。
【0071】
図8は、座屈を検出するための(例えば軸Aに沿った)挿入方向658からの細長い可撓性器具652の方向偏差を示す。具体的には、制御システムは、特定の部分が挿入方向658と実質的に直交する方向に動いているかどうかを決定するためにリアルタイムで形状センサデータを分析し得る。
図8は、挿入方向658と実質的に直交する第1の方向660に動いている器具652の部分654を示す。加えて、器具652の部分656は、第1の方向と反対且つ挿入方向658に対して実質的に直交する第2の方向662に動いている。緩和動作は、特定の部分が挿入方向658と直交する方向660、662に所定の距離または所定の期間動く場合にトリガされ得る。この例では、部分654は所定の距離または期間を超え得る、一方、部分656は所定の距離または期間を超えない。追加的または代替的に、形状拘束装置内の形状の局所的な曲率(たとえば、最もきつい曲げ半径)または累積的な曲率(たとえば、総曲げ角度)が特定のしきい値を超える場合に、緩和動作がトリガされ得る。
【0072】
図9は、複数の器具間、ならびに器具駆動機構とエントリポートとの間の形状拘束装置を用いる複数器具システム701を示す。医療器具システム701(例えば、器具104、200)は、外側カテーテル728、内側カテーテル726、および医療ツール724を含む。本実施例によれば、各医療器具は遠隔操作マニピュレータアセンブリ702、712、718(例えばマニピュレータアセンブリ102)に接続されている。
【0073】
マニピュレータアセンブリ702は、ベース704aと、リンク706aのセット、ジョイントのセット708aを含む運動学的アームアセンブリ709aと、端部機構710とを含む。ジョイント708aは、アーム709aの動きを1または複数の自由度で駆動するモータまたは他のアクチュエータを含み得る。この例は2つのジョイント708aによって結合された3つのリンク706aを示しているが、他の例は他の数のリンク706およびジョイント708を有し得る。いくつかの例では、リンクは所定の距離延びることができる伸縮リンクであり得る。リンクは、端部機構を手術座標系内の所望の位置に動かすように、ジョイントの周りで旋回可能である。いくつかのジョイントは、1つの平面内でのみ回転を可能にし得る。他のジョイントでは、複数の平面での回転を可能にし得る。
【0074】
リンク706aとジョイント708aとの組み合わせは、3自由度の直線運動(例えば、X、Y、Zデカルト軸に沿った直線運動)および3自由度の回転運動(たとえば、X、Y、Zデカルト軸周りの回転)を含み得る6自由度の端部機構710の運動を提供し得る。アーム709aは、制御システム703(例えば制御システム112)からアクチュエータ並びに器具および端部機構710に結合された器具エンドエフェクタに電力および制御信号を伝達するための配線、回路、および他の電子機器を含み得る。レゾルバ、エンコーダ、ポテンショメータ、および他の機構などのアクチュエータ位置センサが、モータシャフトの回転および方向を記述するセンサデータを制御システムに提供し得る。この位置センサデータは、モータによって操作される物体の動きを決定するために使用され得る。例えば、ジョイントは、ジョイントの回転位置を決定し得るまたはジョイントを接続する2つのリンクが現在位置している角度を決定し得るセンサを有し得る。さらに、リンクが延長可能である場合、そのようなリンクは、リンクが現在延長されている距離を決定するためのセンサを含み得る。このようにして、ベースに対する端部機構の位置は、そのようなセンサからのデータに基づいて決定されることができる。具体的には、制御システム703は、そのようなセンサによって受信されたデータを処理し、それらの対応するベースに対する端部機構710、716、722の位置を決定し得る。さらに、医療ツール724およびカテーテル726、728は、上述のように形状および位置センサを含み得るので、端部機構に対する医療ツールおよびカテーテルのそれぞれの遠位端部は知られ得る。したがって、手術座標空間内の互いに対するおよび固定ポイント(例えばベース704のうちの1つ)に対する医療ツールおよびカテーテルの遠位端部の位置および向きは決定され得る。
【0075】
マニピュレータアセンブリ712は、ベース704bと、リンク706bのセット、ジョイント708bのセットを含む運動学的アームアセンブリ709bと、端部機構716とを含む。マニピュレータアセンブリ718は、ベース704cと、リンク706cのセット、ジョイント708cのセットを含む運動学的アームアセンブリ709cと、端部機構722とを含む。アセンブリ712、718の作動および制御は、アセンブリ702と実質的に同様であり得る。
【0076】
ベース704a、704b、704cは、各マニピュレータアセンブリが患者の近くの手術空間内に望み通りに別々に配置され且つ固定されることができるように持ち運び可能であり得る。代替的には、マニピュレータアセンブリの1つまたは複数が、患者の近くの手術空間内に配置され得るカートまたは他の共通のプラットフォームに結合され得る。
【0077】
図9の例では、医療ツール724は端部機構710に接続されている。ツール724の作動は、端部機構710を介して電力および制御信号によって少なくとも部分的に制御され得る。内側カテーテル726はコネクタ機構714によって端部機構716に接続されている。コネクタ機構714は、医療ツール724を内側カテーテル726内に案内するように機能し得る。内側カテーテル726の作動は、端部機構716を介して電力および制御信号によって少なくとも部分的に制御され得る。外側カテーテル728は、コネクタ機構720によって端部機構722に接続されている。コネクタ機構720は、内側カテーテル726を外側カテーテル728内に案内するように機能し得る。外側カテーテル728の作動は、端部機構722を介して電力および制御信号によって少なくとも部分的に制御され得る。医療ツール724は、内側カテーテル726内に嵌合、スライド、および回転するようにサイズおよび形状が決められている。さらに、内側カテーテル726は、外側カテーテル728に嵌合、スライド、および回転するようにサイズおよび形状が決められている。内側カテーテル726および外側カテーテル728は、上で説明され、
図2Aに示されるカテーテル202と同様であり得る。医療ツール724は、生検ツール、取込プローブ、切除プローブ、または他の手術用もしくは診断用ツールを含む様々な医療ツールのうちの1つであり得る。代替実施形態では、カテーテルの一方または両方が省略され得る。
【0078】
3つの端部機構710、716、722は、医療ツール724およびカテーテル726、728を要望通りに動かすように別々に制御され得る。例えば、内側カテーテル726を外側カテーテル728内にさらに挿入するために、端部機構716は端部機構722の近くに動かされ得る。医療ツール724をさらに内側カテーテル726と外側カテーテル728の両方の中に挿入するために、端部機構710は端部機構716の近くに動かされ得る。
【0079】
端部機構710、716、722は、医療ツール724およびカテーテル726、728の遠位端部を、エントリポート736を通って患者の体内に挿入するように動かされ得る。上述のように、ツールおよびカテーテルは、自然のまたは手術で作られた開口部を通して挿入され得る。
【0080】
第1の形状拘束装置740が、第1の端部機構710と第2の端部機構716との間に配置され得る。したがって、第1の形状拘束装置740は、医療ツール724が内側カテーテル726内に挿入されるときの医療ツール724の座屈を低減するのを助ける。第2の形状拘束装置742が、第2の端部機構714と第3の端部機構722との間に配置される。したがって、第2の形状拘束装置742は、内側カテーテル726が外側カテーテル728内に挿入されるときの内側カテーテル726の座屈を低減するのを助ける。上述の形状拘束装置308のように、第3の形状拘束装置746が第3の端部機構720とエントリポート736との間に配置される。第3の形状拘束装置746は、外側カテーテル228がエントリポート736に挿入されるときの外側カテーテル228の座屈を低減するのを助ける。制御システム703は、予想される形状を規定し、医療ツール724、内側カテーテル726、または外側カテーテル728からの形状データがその規定さられた形状を超えているかどうかを決定するために上述の技法のいずれかを利用し得る。いくつかの例では、外側カテーテル728は内側カテーテル726のための形状拘束装置として機能し、内側カテーテル726はツール724のための形状拘束装置として機能し得る。可撓性であるにもかかわらず、カテーテル726、728は、貫通する装置のための支持を提供するのに十分硬くなり得る。
【0081】
本発明の実施形態の1つまたは複数の要素は、制御システム112などのコンピュータシステムのプロセッサ上で実行するためにソフトウェアで実施され得る。ソフトウェアで実施する場合、本発明の実施形態の要素は、本質的に、必要なタスクを実行するためのコードセグメントである。プログラムまたはコードセグメントは、光媒体、半導体媒体、および磁気媒体を含む情報を記憶することができる任意の媒体を含む、非一時的プロセッサ可読記憶媒体または装置に記憶することができる。プロセッサ可読記憶装置の例は、電子回路、半導体装置、半導体メモリ装置、リードオンリーメモリ(ROM)、フラッシュメモリ、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM)、フロッピーディスケット、CD-ROM、光ディスク、ハードディスク、または他の記憶装置を含む。コードセグメントは、インターネット、イントラネットなどのコンピュータネットワークを介してダウンロードされ得る。
【0082】
提示されたプロセスおよび表示は、本質的にいかなる特定のコンピュータまたは他の装置にも関連しないことに留意されたい。これらの様々なシステムに必要な構造は、請求項の要素として現れるであろう。さらに、本発明の実施形態は、特定のプログラミング言語を参照して説明されていない。本明細書に記載の本発明の教示を実施するために様々なプログラミング言語が使用され得ることが理解されるであろう。
【0083】
本発明の特定の例示的な実施形態が説明されるとともに添付の図面に示されたが、そのような実施形態は単なる例示であり、広範な本発明を限定するものではないこと、ならびに他の様々な修正が当業者には想起されるであろうから、本発明の実施形態が図示されるとともに説明された特定の構造および構成に限定されないことが理解されるべきである。