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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20221031BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20221031BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20221031BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20221031BHJP
   H01L 21/8242 20060101ALI20221031BHJP
   H01L 27/108 20060101ALI20221031BHJP
   H01L 27/1156 20170101ALI20221031BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20221031BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20221031BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
H01L29/78 616S
H01L27/06 102A
H01L27/088 E
H01L27/088 H
H01L27/088 331E
H01L27/108 321
H01L27/108 621Z
H01L27/108 671C
H01L27/1156
H01L29/78 371
H01L29/78 618B
H01L29/78 619A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019541497
(86)(22)【出願日】2018-09-10
(86)【国際出願番号】 IB2018056862
(87)【国際公開番号】W WO2019053573
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-08-30
(31)【優先権主張番号】P 2017177432
(32)【優先日】2017-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】方堂 涼太
(72)【発明者】
【氏名】松林 大介
(72)【発明者】
【氏名】倉田 求
(72)【発明者】
【氏名】本田 龍之介
【審査官】田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-034051(JP,A)
【文献】特開2015-188062(JP,A)
【文献】特開2001-291770(JP,A)
【文献】特開2016-111233(JP,A)
【文献】国際公開第2018/178806(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0228799(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
H01L 21/8234
H01L 27/088
H01L 21/8242
H01L 27/1156
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャネル形成領域に酸化物を有する半導体装置であって、
前記半導体装置は、
基板の上の酸化物と、
前記酸化物の上面に接する第1の絶縁体と、
前記第1の絶縁体の上の第2の絶縁体と、
第3の絶縁体と、
前記第3の絶縁体の上の導電体と、
層間膜と、
バリア膜と、を有し、
前記酸化物と、前記第1の絶縁体と、は接する領域を有し、
前記第2の絶縁体上には、前記層間膜が配置され、
前記第1の絶縁体と、前記第2の絶縁体と、には、前記酸化物を露出する第1の開口が設けられ、
前記層間膜には、第2の開口が設けられ、
前記バリア膜は、前記第2の開口に面する前記層間膜の側壁を覆うように配置され、
前記第3の絶縁体は、前記第1の開口に面する前記酸化物の上面、前記第1の開口に面する前記第1の絶縁体の側壁、前記第1の開口に面する前記第2の絶縁体の側壁、及び前記バリア膜を覆って、凹部の形状を有するように配置され、
前記導電体は、前記第3の絶縁体の前記凹部を埋め込むように配置され、
前記導電体は、前記第3の絶縁体を介して、前記酸化物と重なる領域を有し、
前記バリア膜は、酸化アルミニウムを含み、
前記第1の絶縁体は前記酸化物の主成分以外の元素を含む、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
チャネル形成領域に酸化物を有する半導体装置であって、
前記半導体装置は、
基板の上の酸化物と、
前記酸化物の上面に接する第1の絶縁体と、
前記第1の絶縁体の上の第2の絶縁体と、
第3の絶縁体と、
前記第3の絶縁体の上の導電体と、
層間膜と、
バリア膜と、
第4の絶縁体と、
第5の絶縁体と、
第6の絶縁体と、
第1の配線と、
第2の配線と、を有し、
前記酸化物と、前記第1の絶縁体と、は接する領域を有し、
前記第2の絶縁体上には、前記層間膜が配置され、
前記第1の絶縁体と、前記第2の絶縁体と、には、前記酸化物を露出する第1の開口が設けられ、
前記層間膜には、第2の開口が設けられ、
前記バリア膜は、前記第2の開口に面する前記層間膜の側壁を覆うように配置され、
前記第3の絶縁体は、前記第1の開口に面する前記酸化物の上面、前記第1の開口に面する前記第1の絶縁体の側壁、前記第1の開口に面する前記第2の絶縁体の側壁、及び前記バリア膜を覆って、凹部の形状を有するように配置され、
前記導電体は、前記第3の絶縁体の前記凹部を埋め込むように配置され、
前記導電体は、前記第3の絶縁体を介して、前記酸化物と重なる領域を有し、
前記バリア膜は、酸化アルミニウムを含み、
前記第1の絶縁体は前記酸化物の主成分以外の元素を含み、
前記第4の絶縁体は、前記第2の絶縁体と、前記第3の絶縁体と、前記導電体と、の上に配置され、
前記第1の絶縁体と、前記第2の絶縁体と、前記第4の絶縁体と、には、前記酸化物を露出する第の開口および第の開口が設けられ、
前記第5の絶縁体は、前記第の開口の内壁を覆うように配置され、
前記第1の配線は、前記第の開口を埋め込むように配置され、
前記第6の絶縁体は、前記第の開口の内壁を覆うように配置され、
前記第2の配線は、前記第の開口を埋め込むように配置される、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記酸化物は、In-Ga-Zn酸化物である、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記元素は、水素および窒素の少なくとも一である、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
前記第1の絶縁体は、窒化シリコン膜である、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
前記第1の絶縁体と前記第2の絶縁体との間、または、前記第2の絶縁体と前記第3の絶縁体との間、のいずれか一方または双方に、酸化アルミニウムを有する、
ことを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、半導体装置、および半導体装置の作製方法に関する。または、本発明の一態様は、半導体ウエハ、モジュールおよび電子機器に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の一態様は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。
【0003】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。トランジスタなどの半導体素子をはじめ、半導体回路、演算装置、記憶装置は、半導体装置の一態様である。表示装置(液晶表示装置、発光表示装置など)、投影装置、照明装置、電気光学装置、蓄電装置、記憶装置、半導体回路、撮像装置、電子機器などは、半導体装置を有すると言える場合がある。
【背景技術】
【0004】
近年、半導体装置の開発が進められ、LSIやCPUやメモリが主に用いられている。CPUは、半導体ウエハから切り離された半導体集積回路(少なくともトランジスタおよびメモリ)を有し、接続端子である電極が形成された半導体素子の集合体である。
【0005】
LSIやCPUやメモリなどの半導体回路(ICチップ)は、回路基板、例えばプリント配線板に実装され、様々な電子機器の部品の一つとして用いられる。
【0006】
また、絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜を用いてトランジスタを構成する技術が注目されている。当該トランジスタは集積回路(IC)や画像表示装置(単に表示装置とも表記する)のような電子デバイスに広く応用されている。トランジスタに適用可能な半導体薄膜としてシリコン系半導体材料が広く知られているが、その他の材料として酸化物半導体が注目されている。
【0007】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態でのリーク電流(オフ電流)が極めて小さいことが知られている。例えば、酸化物半導体を用いたトランジスタのリーク電流が低いという特性を応用した低消費電力のCPUなどが開示されている(特許文献1参照)。
【0008】
また、トランジスタのキャリア移動度の向上を目的として、電子親和力(または真空準位から伝導帯下端までのエネルギー)が異なる酸化物半導体層を積層させる技術が開示されている(特許文献2および特許文献3参照)。
【0009】
また、近年では電子機器の小型化、軽量化に伴い、トランジスタなどを高密度に集積したICの要求が高まっている。また、ICを含む半導体装置の生産性の向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2012-257187号公報
【文献】特開2011-124360号公報
【文献】特開2011-138934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の一態様は、信頼性の高い半導体装置を提供することを課題の一つとする。本発明の一態様は、良好な電気特性を有する半導体装置を提供することを課題の一つとする。本発明の一態様は、長期間においてデータの保持が可能な半導体装置を提供することを課題の一つとする。
【0012】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、チャネル形成領域に酸化物を有する半導体装置であって、半導体装置は、基板の上の酸化物と、酸化物の上の第1の絶縁体と、第1の絶縁体の上の第2の絶縁体と、第3の絶縁体と、第3の絶縁体の上の導電体と、を有し、酸化物と、第1の絶縁体と、は接する領域を有し、第1の絶縁体と、第2の絶縁体と、には、酸化物を露出する開口が設けられ、第3の絶縁体は、開口の内壁および底面を覆うように配置され、導電体は、開口を埋め込むように配置され、導電体は、第3の絶縁体を介して、酸化物と重なる領域を有し、第1の絶縁体は酸化物の主成分以外の元素を含む半導体装置である。
【0014】
また、本発明の一態様は、チャネル形成領域に酸化物を有する半導体装置であって、半導体装置は、基板の上の酸化物と、酸化物の上の第1の絶縁体と、第1の絶縁体の上の第2の絶縁体と、第3の絶縁体と、第3の絶縁体の上の導電体と、第4の絶縁体と、第5の絶縁体と、第6の絶縁体と、第1の配線と、第2の配線と、を有し、酸化物と、第1の絶縁体と、は接する領域を有し、第1の絶縁体と、第2の絶縁体と、には、酸化物を露出する第1の開口が設けられ、第3の絶縁体は、第1の開口の内壁および底面を覆うように配置され、導電体は、開口を埋め込むように配置され、導電体は、第3の絶縁体を介して、酸化物と重なる領域を有し、第1の絶縁体は酸化物の主成分以外の元素を含み、第4の絶縁体は、第2の絶縁体と、第3の絶縁体と、導電体と、の上に配置され、第1の絶縁体と、第2の絶縁体と、第4の絶縁体と、には、酸化物を露出する第2の開口および第3の開口が設けられ、第5の絶縁体は、第2の開口の内壁を覆うように配置され、第1の配線は、第2の開口を埋め込むように配置され、第6の絶縁体は、第3の開口の内壁を覆うように配置され、第2の配線は、第3の開口を埋め込むように配置される半導体装置である。
【0015】
上記において、酸化物は、In-Ga-Zn酸化物であることが好ましい。
【0016】
また、上記において、元素は、水素および窒素の少なくとも一であることが好ましい。
【0017】
また、上記において、第1の絶縁体は、窒化シリコン膜であることが好ましい。
【0018】
また、上記において、第1の絶縁体と第2の絶縁体との間、または、第2の絶縁体と第3の絶縁体との間、のいずれか一方または双方に、酸化アルミニウムを有することが好ましい。
【0019】
本発明の一態様は、基板の上に酸化物を形成し、酸化物に接するように、酸化物の上に第1の絶縁体を形成し、第1の絶縁体の上に第2の絶縁体を形成し、第2の絶縁体と、第1の絶縁体と、に、酸化物に達する開口を形成し、開口の内壁および底面を覆うように、第3の絶縁体を形成し、開口を埋め込むように、第3の絶縁体の上に、導電体を成膜し、導電体の一部を除去することで、開口に埋め込まれた導電体を形成する半導体装置の作製方法である。
【0020】
上記において、酸化物は、In-Ga-Zn酸化物であることが好ましい。
【0021】
また、上記において、第1の絶縁体は、窒化シリコン膜であることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様により、信頼性の高い半導体装置を提供できる。本発明の一態様により、良好な電気特性を有する半導体装置を提供できる。本発明の一態様により、長期間においてデータの保持が可能な半導体装置を提供できる。
【0023】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する上面図および断面図。
図2】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する断面図。
図3】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図4】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図5】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図6】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図7】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図8】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図9】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図10】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図11】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図12】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図13】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図14】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する上面図および断面図。
図15】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する上面図および断面図。
図16】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する上面図および断面図。
図17】本発明の一態様に係る記憶装置の構成を示す断面図。
図18】本発明の一態様に係る記憶装置の構成を示す断面図。
図19】本発明の一態様に係る記憶装置の構成例を示すブロック図。
図20】本発明の一態様に係る記憶装置の構成例を示す回路図。
図21】本発明の一態様に係る記憶装置の構成例を示すブロック図。
図22】本発明の一態様に係る記憶装置の構成例を示すブロック図、および回路図。
図23】本発明の一態様に係る半導体装置の構成例を示すブロック図。
図24】本発明の一態様に係る半導体装置の構成例を示すブロック図、回路図、および半導体装置の動作例を示すタイミングチャート。
図25】本発明の一態様に係る半導体装置の構成例を示すブロック図。
図26】本発明の一態様に係る半導体装置の構成例を示す回路図、および半導体装置の動作例を示すタイミングチャート。
図27】本発明の一態様に係るAIシステムの構成例を示すブロック図。
図28】本発明の一態様に係るAIシステムの応用例を説明するブロック図。
図29】本発明の一態様に係るAIシステムを組み込んだICの構成例を示す斜視模式図。
図30】本発明の一態様に係る電子機器を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0026】
また、図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状または値などに限定されない。また、図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0027】
また、特に上面図(「平面図」ともいう)において、発明の理解を容易とするため、一部の構成要素の記載を省略する場合がある。また、一部の隠れ線などの記載を省略する場合がある。
【0028】
また、本明細書などにおいて、第1、第2等として付される序数詞は便宜上用いるものであり、工程順又は積層順を示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」又は「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書等に記載されている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
【0029】
また、本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描画する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0030】
また、本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
【0031】
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0032】
また、本明細書等において、「絶縁体」という用語を、絶縁膜または絶縁層と言い換えることができる。また、「導電体」という用語を、導電膜または導電層と言い換えることができる。また、「半導体」という用語を、半導体膜または半導体層と言い換えることができる。
【0033】
なお、本明細書等において、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものであって、好ましくは酸素が55原子%以上65原子%以下、窒素が1原子%以上20原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以下の濃度範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シリコン膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものであって、好ましくは窒素が55原子%以上65原子%以下、酸素が1原子%以上20原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以下の濃度範囲で含まれるものをいう。
【0034】
なお、本明細書において、バリア膜とは、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する膜のことであり、該バリア膜が導電性を有する場合は、導電性バリア膜と呼ぶことがある。
【0035】
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い意味での金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む)、酸化物半導体(Oxide Semiconductorまたは単にOSともいう)などに分類される。例えば、トランジスタの活性層に金属酸化物を用いた場合、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、OS FETあるいはOSトランジスタと記載する場合においては、金属酸化物または酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
【0036】
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物と言える。不純物が含まれることにより、例えば、半導体において欠陥準位が形成されることや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、酸化物半導体の主成分以外の遷移金属などがあり、例えば、水素、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。酸化物半導体の場合、水も不純物として機能する場合がある。また、酸化物半導体の場合、例えば不純物の混入によって酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコンである場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15族元素などがある。
【0037】
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極)の間にチャネル形成領域を有しており、チャネル形成領域を介して、ソースとドレインとの間に電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル形成領域とは、電流が主として流れる領域をいう。
【0038】
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
【0039】
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。すなわち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
【0040】
チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。すなわち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
【0041】
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネル幅(以下、「実効的なチャネル幅」ともいう)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、「見かけ上のチャネル幅」ともいう)と、が異なる場合がある。例えば、ゲート電極が半導体の側面を覆う場合、実効的なチャネル幅が、見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつゲート電極が半導体の側面を覆うトランジスタでは、半導体の側面に形成されるチャネル形成領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、見かけ上のチャネル幅よりも、実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
【0042】
このような場合、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
【0043】
そこで、本明細書では、見かけ上のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channel Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込みチャネル幅などは、断面TEM(Transmission Electron Microscope(透過型電子顕微鏡))像などを解析することなどによって、値を決定することができる。
【0044】
また、本明細書等に示すトランジスタは、明示されている場合を除き、エンハンスメント型(ノーマリーオフ型)の電界効果トランジスタとする。また、本明細書等に示すトランジスタは、明示されている場合を除き、nチャネル型のトランジスタとする。よって、そのしきい値電圧(「Vth」ともいう)は、明示されている場合を除き、0Vよりも大きいものとする。
【0045】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置の構成例および作製方法について、図1乃至図13を用いて説明する。なお、図1乃至図13においては明瞭化のため、半導体装置の構成を一部省略して図示している。
【0046】
<半導体装置の構成例>
以下では、本発明の一態様に係るトランジスタ200を有する半導体装置の構成例について説明する。図1は、トランジスタ200およびその周辺の上面図および断面図である。図1(A)は上面図である。なお、図1(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。図1(B)は、図1(A)にA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図である。つまり、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図を示す。図1(C)は、図1(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位の断面図である。つまり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図を示す。
【0047】
本発明の一態様の半導体装置は、トランジスタ200、バリア膜276(バリア膜276a、およびバリア膜276b)、絶縁体214、絶縁体216、絶縁体281、絶縁体282、および絶縁体286を有する。また、トランジスタ200と電気的に接続し、プラグとして機能する導電体246(導電体246a、および導電体246b)および導電体248(導電体248a、および導電体248b)とを有する。
【0048】
また、バリア膜276は、絶縁体281、絶縁体282、絶縁体286などの開口の側面に接して形成され、バリア膜276の側面および当該開口の底面に導電体246が形成され、さらに内側に導電体248が形成されている。ここで、導電体246および導電体248の上面の高さと、絶縁体286の上面の高さは同程度にできる。なお、本実施の形態では、プラグとして機能する導電体が、導電体246と導電体248との2層の積層構造である構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、プラグとして機能する導電体は、単層、または3層以上の積層構造でもよい。
【0049】
図1に示すように、本発明の一態様に係るトランジスタ200は、第1のゲート(トップゲートともいう)電極として機能する導電体260(導電体260a、および導電体260b)と、第2のゲート(バックゲートともいう)電極として機能する導電体205(導電体205a、および導電体205b)と、層間膜として機能する絶縁体280と、絶縁体280の開口の内壁と接するバリア膜270と、第1のゲート絶縁膜として機能する絶縁体250と、第2のゲート絶縁膜として機能する絶縁体220、絶縁体222、および絶縁体224と、酸化物230(酸化物230a、および酸化物230b)と、酸化物230と接する絶縁体240と、絶縁体240と接するバリア膜244と、を有する。
【0050】
トランジスタ200は、チャネルが形成される領域(以下、チャネル形成領域ともいう)を含む酸化物230(酸化物230a、および酸化物230b)に、半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう)を用いることが好ましい。
【0051】
チャネル形成領域に酸化物半導体を用いたトランジスタ200は、非導通状態において極めてリーク電流が小さいため、低消費電力の半導体装置を提供できる。また、酸化物半導体は、スパッタリング法などを用いて成膜できるため、高集積型の半導体装置を構成するトランジスタ200に用いることができる。
【0052】
例えば、酸化物230として、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種)等の金属酸化物を用いるとよい。また、酸化物230として、In-Ga酸化物、In-Zn酸化物を用いてもよい。
【0053】
なお、酸化物230は、各金属原子の原子数比が異なる酸化物により、積層構造を有することが好ましい。具体的には、酸化物230aに用いる金属酸化物において、構成元素中の元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、構成元素中の元素Mの原子数比より、大きいことが好ましい。また、酸化物230aに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物230bに用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物230aに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。
【0054】
また、酸化物230aと酸化物230bとは、酸素以外に共通の構成元素(主成分となる元素)を有することが好ましい。酸化物230aと酸化物230bとが、酸素以外に共通の構成元素を有することで、酸化物230aと酸化物230bとの界面における欠陥準位密度を低くすることができる。例えば、酸化物230bがIn-Ga-Zn酸化物の場合、酸化物230aとして、In-Ga-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、酸化ガリウムなどを用いるとよい。
【0055】
酸化物230は、酸化物230aと、酸化物230a上の酸化物230bと、を有する。酸化物230a上に、酸化物230bを有することで、酸化物230aよりも下方に形成された構造物から、酸化物230bに対する不純物の拡散を抑制することができる。
【0056】
なお、トランジスタ200では、酸化物230a、および酸化物230bの2層を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、酸化物230bの単層、または3層以上の積層構造を設ける構成にしてもよい。
【0057】
ここで、図1(B)における破線で囲む領域239の拡大図を図2(A)に示す。図2(A)に示すように、酸化物230bは、トランジスタ200のソース領域またはドレイン領域として機能する領域231(領域231a、および領域231b)と、トランジスタ200のチャネル形成領域として機能する領域234と、を有する。領域231は、キャリア密度が高い、低抵抗化した領域である。また、領域234は、領域231よりも、キャリア密度が低い領域である。
【0058】
また、トランジスタ200のソース領域またはドレイン領域として機能する領域231と、チャネル形成領域として機能する領域234との間に、領域232(領域232a、および領域232b)が形成される場合がある。領域232は、領域231よりもキャリア密度が低く、領域234よりもキャリア密度が高い領域である。すなわち、領域232は、ソース領域またはドレイン領域と、チャネル形成領域との間の接合領域としての機能を有する。接合領域を有することで、トランジスタ200において、オン電流を大きくし、かつ、非導通時のリーク電流(オフ電流)を小さくすることができる。
【0059】
なお、図2(A)では、領域231、領域232、および領域234が、酸化物230bに形成されているが、これに限られることなく、例えば、これらの領域は酸化物230aにも形成されても良い。また、図2(A)では、各領域の境界を、酸化物230bの上面に対して略垂直に表示しているが、本実施の形態はこれに限られるものではない。例えば、領域234が、酸化物230bの表面近傍では、導電体246側(図示せず)に進行し、酸化物230bの下面近傍では、狭まった形状になる場合がある。
【0060】
酸化物230bを選択的に低抵抗化するには、例えば、インジウムなどの導電性を高める金属元素、および不純物の少なくとも一を、所望の領域に添加すればよい。なお、不純物としては、酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損に捕獲される元素などを用いればよい。例えば、当該元素として、水素、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、リン、硫黄、塩素、チタン、希ガス等が挙げられる。また、希ガスの代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等がある。
【0061】
したがって、領域231は、上記の酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損に捕獲される元素の含有率を高くすることで、キャリア密度を高くし、低抵抗化を図ることができる。
【0062】
例えば、酸化物230bに接するように、酸化物230b上にソース電極またはドレイン電極として機能する導電体を形成することで、酸化物230bを選択的に低抵抗化する場合がある。一方、当該導電体を形成した後に実施する熱処理工程や、モジュールを作製するための接続配線を形成する工程における熱履歴などにより、当該導電体が酸化してしまう。当該導電体の酸化により導電性が低下することで、当該導電体に接続する配線との抵抗が上がる、同じ電流量を得るのに必要な電圧が増えてしまう、オン電流が低下してしまうなど、トランジスタの特性が変動する蓋然性が高い。そのため、当該導電体を形成した後に、第1のゲート絶縁膜として機能する絶縁体などを成膜する際の成膜温度の自由度が制限される。よって、半導体装置の信頼性向上などを目的とした、当該絶縁体などの改質が困難となってしまう。
【0063】
また、例えば、酸化物230b上にソース電極またはドレイン電極として機能する導電体を形成することで、ソース電極として機能する導電体と第1のゲート電極とは重畳する領域を有し、ドレイン電極として機能する導電体と第1のゲート電極とは重畳する領域を有する。したがって、ソース電極として機能する導電体と第1のゲート電極との間、およびドレイン電極として機能する導電体と第1のゲート電極との間に、寄生容量が生じてしまう。
【0064】
そこで、図1および図2(A)に示すように、酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損に捕獲される元素を含む絶縁体240を、酸化物230bに接するように、酸化物230b上に成膜する。このような構成にすることで、酸化物230bの絶縁体240と接する領域を中心に、酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損に捕獲される元素が添加される。これにより、酸化物230bの絶縁体240と接する領域を中心に、当該元素により酸素欠損が形成され、さらに当該元素が酸素欠損に入り込むことで、キャリア密度が高くなり、低抵抗化される。
【0065】
上記のように、ソース電極およびドレイン電極として機能する導電体の代わりに当該元素を含む絶縁体240を設けることで、前述のような導電体の酸化が起こることなく、酸化物230bを選択的に低抵抗化することができる。これにより、同じ電流量を得るのに必要な電圧が増加することを防ぐことができる、または、オン電流が低下することを防ぐことができる。したがって、トランジスタの特性悪化を抑制することができる。
【0066】
また、酸化物230b上に、ソース電極またはドレイン電極として機能する導電体の代わりに上記元素を含む絶縁体240を設けることで、絶縁体240を形成した後の工程に熱処理を実施することができる。また、モジュールを作製するための接続配線を形成する工程における熱履歴などを気にしなくてもよい。したがって、第1のゲート絶縁膜として機能する絶縁体などが改質され、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0067】
また、酸化物230b上に、ソース電極またはドレイン電極として機能する導電体の代わりに絶縁体240を設けることで、酸化物230bの低抵抗化した領域と、第1のゲート電極として機能する導電体260との間隔が広がる。したがって、酸化物230bの低抵抗化した領域と、第1のゲート電極として機能する導電体260との間に生じる寄生容量を低減することができる。
【0068】
チャネル形成領域として機能する領域234のキャリア密度を低く、高抵抗化させることで、ソース領域とドレイン領域とが導通してしまうことを防ぎ、良好な電気特性を有する半導体装置を得ることができる。例えば、絶縁体250に過剰酸素を含む酸化物を用いる場合、絶縁体250となる絶縁膜の成膜時、あるいは絶縁体250となる絶縁膜成膜以降の熱処理によって、酸化物230bの絶縁体250と接する領域(領域234)を中心に、酸素を供給することができる。酸素が領域234を中心に供給されることで、領域234に存在する酸素欠損を補償することができる。酸素欠損が補償された領域234はキャリア密度が低くなり、高抵抗化される。このような構成にすることにより、ソース領域またはドレイン領域と、チャネル形成領域の作り分けが容易となる。
【0069】
また、例えば、絶縁体250の上面は、絶縁体281と接している。例えば、絶縁体281として、加熱により酸素が放出される絶縁体を用いることで、加熱処理などを行うことにより、絶縁体281から放出された酸素が絶縁体250を通り、酸化物230bの絶縁体250と接する領域(領域234)へ添加される。したがって、領域234に存在する酸素欠損が補償され、キャリア密度が低くなり、高抵抗化される。このような構成にすることにより、ソース領域またはドレイン領域と、チャネル形成領域の作り分けが容易となる。
【0070】
<半導体装置の作製方法>
以下に、図1に示した、トランジスタ200を有する半導体装置の作製方法の一例を図3乃至図13を用いて説明する。なお、各図の(A)は、トランジスタ200およびその周辺の上面図である。各図の(B)は、各図の(A)にA1-A2の一点鎖線で示す、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図である。また、各図の(C)は、各図の(A)にA3-A4の一点鎖線で示す、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図である。
【0071】
まず、基板(図示せず)を準備する。
【0072】
基板(図示せず)としては、例えば、絶縁体基板、半導体基板または導電体基板を用いればよい。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板など)、樹脂基板などがある。また、半導体基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの半導体基板、または炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムからなる化合物半導体基板などがある。さらには、前述の半導体基板内部に絶縁体領域を有する半導体基板、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板などがある。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板などがある。または、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する基板などがある。さらには、絶縁体基板に導電体または半導体が設けられた基板、半導体基板に導電体または絶縁体が設けられた基板、導電体基板に半導体または絶縁体が設けられた基板などがある。または、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよい。基板に設けられる素子としては、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、発光素子、記憶素子などがある。
【0073】
また、基板として、可とう性基板を用いてもよい。なお、可とう性基板上にトランジスタを設ける方法としては、非可とう性の基板上にトランジスタを作製した後、トランジスタを剥離し、可とう性基板である基板に転置する方法もある。その場合には、非可とう性基板とトランジスタとの間に剥離層を設けるとよい。なお、基板として、繊維を編みこんだシート、フィルムまたは箔などを用いてもよい。また、基板が伸縮性を有してもよい。また、基板は、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有してもよい。または、元の形状に戻らない性質を有してもよい。基板は、例えば、5μm以上700μm以下、好ましくは10μm以上500μm以下、さらに好ましくは15μm以上300μm以下の厚さとなる領域を有する。基板を薄くすると、トランジスタを有する半導体装置を軽量化することができる。また、基板を薄くすることで、ガラスなどを用いた場合にも伸縮性を有する場合や、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有する場合がある。そのため、落下などによって基板上の半導体装置に加わる衝撃などを緩和することができる。即ち、丈夫な半導体装置を提供することができる。
【0074】
可とう性基板である基板としては、例えば、金属、合金、樹脂もしくはガラス、またはそれらの繊維などを用いることができる。可とう性基板である基板は、線膨張率が低いほど環境による変形が抑制されて好ましい。可とう性基板である基板としては、例えば、線膨張率が1×10-3/K以下、5×10-5/K以下、または1×10-5/K以下である材質を用いればよい。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリルなどがある。特に、アラミドは、線膨張率が低いため、可とう性基板である基板として好適である。
【0075】
次に、絶縁体214、および絶縁体216を成膜する。
【0076】
絶縁体214、および絶縁体216は、例えば、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法(熱CVD法、有機金属CVD(MOCVD:Metal Organic CVD)法、プラズマ励起CVD(PECVD:Plasma Enhanced CVD)法等を含む)、分子線エピタキタシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法、パルスレーザ堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法などを用いて形成することができる。特に、当該絶縁体をCVD法、好ましくはALD法等によって成膜すると、被覆性を向上させることができるため好ましい。また、プラズマによるダメージを減らすには、熱CVD法、MOCVD法またはALD法が好ましい。また、TEOS(Tetra-Ethyl-Ortho-Silicate)若しくはシラン等と、酸素若しくは亜酸化窒素等とを反応させて形成した段差被覆性のよい酸化シリコン膜を用いることもできる。
【0077】
例えば、絶縁体214として、スパッタリング法により酸化アルミニウムを形成する。スパッタリング法は、ALD法よりも成膜速度が高いため、生産性を向上することができる。また、例えば、絶縁体216として、CVD法により、酸化窒化シリコンを形成する。絶縁体216は、絶縁体214よりも誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
【0078】
次に、絶縁体216に絶縁体214に達する溝を形成する。溝とは、たとえば凹部、穴、開口部なども含まれる。溝の形成はウェットエッチングを用いてもよいが、ドライエッチングを用いるほうが微細加工には好ましい。また、絶縁体214は、絶縁体216をエッチングして溝を形成する際のエッチングストッパ膜として機能する絶縁体を選択することが好ましい。
【0079】
溝の形成後に、導電体205となる導電膜を成膜する。絶縁体216の開口の内壁に接して導電体205aとなる導電膜を成膜し、さらに内側に導電体205bとなる導電膜を成膜する。導電体205aとなる導電膜、および導電体205bとなる導電膜は、スパッタリング法、蒸着法、CVD法(熱CVD法、MOCVD法、PECVD法等を含む)などにより成膜することができる。また、プラズマによるダメージを減らすには、熱CVD法、MOCVD法またはALD法が好ましい。
【0080】
次に、化学的機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)処理を行うことで、導電体205aとなる導電膜、および導電体205bとなる導電膜の一部を除去し、絶縁体216を露出する。その結果、開口部のみに、導電体205aとなる導電膜、および導電体205bとなる導電膜が残存する。これにより、上面が平坦な、導電体205aおよび導電体205bを形成することができる(図3参照)。なお、当該CMP処理により、絶縁体216の一部が除去される場合がある。
【0081】
導電体205には、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素を含む金属膜、または上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化タンタル膜、窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。特に、窒化タンタルなどの金属窒化物膜は、水素または酸素に対するバリア性があり、かつ、酸化しにくい(耐酸化性が高い)ため、好ましい。又は、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの導電性材料を適用することもできる。
【0082】
例えば、導電体205aとして、水素に対するバリア性を有する導電体として、窒化タンタル等を用い、導電体205bとして、導電性が高いタングステンを用いるとよい。当該組み合わせを用いることで、配線としての導電性を保持したまま、酸化物230への水素の拡散を抑制することができる。なお、図3では、導電体205として、導電体205a、および導電体205bの2層構造を示したが、当該構成に限定されず、導電体205は、単層でも3層以上の積層構造でもよい。例えば、バリア性を有する導電体と導電性が高い導電体との間に、バリア性を有する導電体および導電性が高い導電体に対して、密着性が高い導電体を形成してもよい。
【0083】
次に、絶縁体220、絶縁体222、および絶縁体224を成膜する。絶縁体224は、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などの、酸素を含む絶縁体であることが好ましい。特に、絶縁体224には、過剰酸素領域が形成されていることが好ましい。トランジスタの活性層に酸化物半導体を用いる場合、トランジスタの周辺材料に、過剰酸素領域を有する絶縁体を設けることで、トランジスタが有する酸化物半導体の酸素欠損を低減させ、信頼性を向上させることができる。
【0084】
過剰酸素領域を有する絶縁体として、具体的には、加熱により一部の酸素が脱離する酸化物材料を用いることが好ましい。加熱により酸素が脱離する酸化物とは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm以上、好ましくは1.0×1019atoms/cm以上、さらに好ましくは2.0×1019atoms/cm以上、または3.0×1020atoms/cm以上である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上400℃以下の範囲が好ましい。
【0085】
また、絶縁体224が、過剰酸素領域を有する場合、絶縁体222は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)、水素(例えば、水素原子、水素分子など)、および水に対するバリア性を有することが好ましい。絶縁体222が、酸素に対するバリア性を有することで、過剰酸素領域の酸素は、絶縁体222の下側へ拡散することなく、効率よく酸化物230へ供給することができる。また、導電体205が、絶縁体224が有する過剰酸素領域の酸素と反応することを抑制することができる。
【0086】
また、絶縁体224が、過剰酸素領域を有する場合、例えば、導電体205上に、バリア性を有する導電体を形成することで、絶縁体220、および絶縁体222は必ずしも設ける必要はない。バリア性を有する導電体を形成することで、導電体205が、過剰酸素領域の酸素と反応し、酸化物を生成することを抑制することができる。
【0087】
絶縁体220、絶縁体222、および絶縁体224は、絶縁体214、または絶縁体216と同様の材料および方法で形成することができる。
【0088】
また、絶縁体222は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、(Ba,Sr)TiO(BST)などのいわゆるhigh-k材料を含む絶縁体を単層または積層で用いることが好ましい。トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体に、high-k材料を用いることで物理膜厚を保ち、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。
【0089】
また、絶縁体220は、熱的に安定していることが好ましい。例えば、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、high-k材料の絶縁体と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。
【0090】
例えば、絶縁体222として、ALD法により酸化アルミニウムを形成する。ALD法を用いて絶縁層を形成することで、緻密な、クラックやピンホールなどの欠陥が低減された、または均一な厚さを備える絶縁層を形成することができる。また、例えば、絶縁体220、および絶縁体224として、CVD法により、酸化窒化シリコンを形成する。絶縁体224は、過剰酸素を含む絶縁層であることが好ましい。また、絶縁体224の形成後に酸素ドープ処理を行ってもよい。
【0091】
なお、絶縁体220、絶縁体222、および絶縁体224は、連続成膜することが好ましい。連続的に成膜することで、絶縁体220と絶縁体222との界面、および絶縁体222と絶縁体224との界面に不純物が付着することなく、信頼性が高い絶縁体を形成することができる。
【0092】
また、絶縁体224の成膜後に、熱処理を行っても良い。熱処理として、例えば、窒素を含む雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行うとよい。当該熱処理によって、絶縁体224に含まれる水素や水などの不純物を除去することができる。
【0093】
なお、絶縁体220、絶縁体222、および絶縁体224が、それぞれ2層以上の積層構造を有していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構造に限定されず、異なる材料からなる積層構造でもよい。
【0094】
次に、絶縁体224上に、酸化物230aとなる酸化膜230A、および酸化物230bとなる酸化膜230Bを順に成膜する。なお、当該酸化物は、大気環境にさらさずに連続して成膜することが好ましい。大気開放せずに成膜することで、酸化膜230A、および酸化膜230B上に大気環境からの不純物または水分が付着することを防ぐことができ、酸化膜230Aと酸化膜230Bとの界面近傍を清浄に保つことができる。
【0095】
酸化膜230A、および酸化膜230Bの成膜はスパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
【0096】
例えば、酸化膜230A、および酸化膜230Bをスパッタリング法によって成膜する場合は、スパッタリングガスとして酸素、または、酸素と希ガスの混合ガスを用いる。スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を高めることで、成膜される酸化膜中の過剰酸素を増やすことができる。また、上記の酸化膜をスパッタリング法によって成膜する場合は、上記のIn-M-Zn酸化物ターゲットを用いることができる。
【0097】
特に、酸化膜230Aの成膜時に、スパッタリングガスに含まれる酸素の一部が絶縁体224に供給される場合がある。したがって、酸化膜230Aのスパッタリングガスに含まれる酸素の割合は70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは100%とすればよい。酸化膜230Aに過剰酸素を含む酸化物を用いることで、後の加熱処理によって酸化物230bに酸素を供給することができる。
【0098】
また、酸化膜230Bをスパッタリング法で形成する場合、スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を1%以上30%以下、好ましくは5%以上20%以下として成膜すると、酸素欠乏型の酸化物半導体が形成される。酸素欠乏型の酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られる。
【0099】
本実施の形態では、酸化膜230Aとして、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]のターゲットを用いて成膜する。また、酸化膜230Bとして、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のターゲットを用いて成膜する。なお、各酸化膜は、成膜条件、および原子数比を適宜選択することで、酸化物230に求める特性に合わせて形成するとよい。
【0100】
次に、熱処理を行ってもよい。熱処理は、上述した熱処理条件を用いることができる。当該熱処理によって、酸化膜230A、および酸化膜230B中の水素や水などの不純物を除去することなどができる。本実施の形態では、窒素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行った後に、連続して酸素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行う。
【0101】
次に、ハードマスクとなる膜290Aを成膜する(図3参照)。例えば、膜290Aとして、タングステンをスパッタリング法で成膜する。
【0102】
次に、膜290A上に、フォトリソグラフィ法により、レジストマスク292aを形成する(図3参照)。レジストマスクはリソグラフィ法などを用いて形成すればよい。
【0103】
なお、リソグラフィ法では、まず、マスクを介してレジストを露光する。次に、露光された領域を、現像液を用いて除去または残存させてレジストマスクを形成する。次に、当該レジストマスクを介してエッチング処理することで導電体、半導体または絶縁体などを所望の形状に加工することができる。例えば、KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光、EUV(Extreme Ultraviolet)光などを用いて、レジストを露光することでレジストマスクを形成すればよい。また、基板と投影レンズとの間に液体(例えば水)を満たして露光する、液浸技術を用いてもよい。また、前述した光に代えて、電子ビームやイオンビームを用いてもよい。なお、電子ビームやイオンビームを用いる場合には、マスクは不要となる。なお、レジストマスクの除去には、アッシングなどのドライエッチング処理を行う、ウェットエッチング処理を行う、ドライエッチング処理に加えてウェットエッチング処理を行う、またはウェットエッチング処理に加えてドライエッチング処理を行うことができる。
【0104】
ドライエッチング装置としては、平行平板型電極を有する容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)エッチング装置を用いることができる。平行平板型電極を有する容量結合型プラズマエッチング装置は、平行平板型電極の一方の電極に高周波電圧を印加する構成でもよい。または平行平板型電極の一方の電極に複数の異なった高周波電圧を印加する構成でもよい。または平行平板型電極に同じ周波数の高周波電圧を印加する構成でもよい。または平行平板型電極に周波数の異なる高周波電圧を印加する構成でもよい。または高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置を用いることができる。高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置は、例えば、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)エッチング装置などを用いることができる。
【0105】
レジストマスク292aを用いて、膜290Aの一部を選択的に除去し、島状のハードマスク(図示せず)を形成する。その後、アッシングやレジスト剥離液によりレジストマスク292aを除去する。
【0106】
続いて、上記ハードマスクを用いて酸化膜230A、および酸化膜230Bの一部を選択的に除去する。なお、本工程において、同時に絶縁体224の一部も除去される場合がある。本工程により、島状の酸化物230a、および島状の酸化物230bを形成することができる。その後、上記ハードマスクを除去する(図4参照)。
【0107】
次に、絶縁体240となる絶縁膜240A、およびバリア膜244Aを成膜する(図5参照)。
【0108】
絶縁膜240Aとして、例えば、窒素、水素など、酸化物230bの主成分以外の元素を含む膜を用いることができる。具体的には、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコンなどを用いることができる。特に、CVD法により形成された窒化シリコンを用いることが好ましい。絶縁膜240Aに窒化シリコンを用いることで、酸化物230bに酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損に捕獲される元素を添加する。これにより、酸化物230bのキャリア密度を高くし、低抵抗化させる。なお、酸化物230aにも、酸素欠損を形成する元素、又は酸素欠損に捕獲される元素が添加される場合がある。
【0109】
ここで、図5(B)における破線で囲む、領域239の拡大図を図2(B)に示す。図2(B)に示すように、酸化物230bに、絶縁膜240Aが接することで、酸化物230bに酸素欠損を形成する元素、または酸化物230bの酸素欠損に捕獲される元素が添加される。従って、酸化物230bは、酸素欠損が形成され、全面が低抵抗化する。つまり、低抵抗化した領域231Aが、酸化物230b全体に広がっている。
【0110】
例えば、バリア膜244Aとして、ALD法により酸化アルミニウムを形成するとよい。ALD法を用いて形成することで、緻密な、クラックやピンホールなどの欠陥が低減された、または均一な厚さを備える膜を形成することができる。
【0111】
次に、バリア膜244A上に、絶縁体280となる絶縁膜280Aを形成する(図6参照)。また、絶縁膜280Aを成膜した後、その上面の平坦性を高めるためにCMP法等を用いた平坦化処理を行ってもよい。
【0112】
例えば、絶縁体280として、CVD法により、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などの、酸素を含む絶縁体を形成する。比較的誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
【0113】
続いて、絶縁膜280A上に、ハードマスクとなる膜(図示せず)を成膜する。例えば、該膜として、スパッタリング法により、タングステンを形成する。
【0114】
次に、上記ハードマスクとなる膜上に、フォトリソグラフィ法によりレジストマスク(図示せず)を形成する。
【0115】
次に、上記レジストマスクをマスクとして、上記ハードマスクとなる膜の一部を除去して、ハードマスク290bを形成する。続いて、ハードマスク290bを用いて絶縁膜280Aに、バリア膜244Aに到達する開口を形成することで、該開口を有する絶縁体280を形成する(図7参照)。本工程において、上記レジストマスクはエッチングされて消失することがある。
【0116】
次に、ハードマスク290b上、および上記開口の内壁に接してバリア膜270Aを成膜する(図8参照)。ここで、バリア膜270Aは、酸素が透過しにくい材料を用いることが好ましく、例えば、ALD法による酸化アルミニウムなどを用いることができる。
【0117】
続いて、バリア膜270Aと、バリア膜244Aと、の一部を除去する。例えば、絶縁膜240Aが露出するまで、エッチバック処理を行うことで、バリア膜270、およびバリア膜244を形成することができる(図9参照)。
【0118】
バリア膜270を設けることで、後工程で形成される絶縁膜250Aに含まれる過剰酸素が、絶縁体280へ拡散することを抑制することができる。したがって、絶縁膜250Aに含まれる過剰酸素を、酸化物230bの領域234へ効率的に供給することができる。
【0119】
次に、酸化物230bが露出するまで、プラズマ処理を行うことで、絶縁膜240Aの一部を除去する。これにより、絶縁体240を形成することができる(図10参照)。
【0120】
次に、絶縁体250となる絶縁膜250Aを成膜する(図11参照)。
【0121】
絶縁膜250Aは過剰酸素を含む絶縁膜であることが好ましい。絶縁膜250Aとして、例えば、CVD法により酸化窒化シリコンを形成するとよい。また、絶縁膜250Aに酸素ドープ処理を行ってもよい。また、絶縁膜250Aの形成後に、加熱処理を行ってもよい。
【0122】
ここで、図11(B)における破線で囲む、領域239の拡大図を図2(C)に示す。図2(C)に示すように、過剰酸素を含む絶縁膜250Aを設けることで、酸化物230bの絶縁膜250Aと接する領域234に酸素が供給される。したがって、酸化物230bの領域234に形成された酸素欠損が補償され、酸化物230bの領域234が高抵抗化される。一方、酸化物230bの絶縁膜250Aと接しない領域231aおよび領域231bは、低抵抗のままである。したがって、低抵抗である領域231aおよび領域231bと、高抵抗である領域234を、容易に作り分けることができる。また、領域234と領域231aとの間、および領域234と領域231bとの間に、領域231よりもキャリア密度が低く、領域234よりもキャリア密度が高い領域(接合領域)232を有していてもよい。
【0123】
また、図11(C)に示すように、過剰酸素を含む絶縁膜250Aを設けることで、絶縁体224にも酸素を供給することができる。絶縁体224上に絶縁体240を形成することで、絶縁体224の過剰酸素が絶縁体240へ拡散し、絶縁体224が酸素欠乏状態となる場合がある。絶縁体224上の絶縁体240の一部を除去し、絶縁体224上に絶縁膜250Aを設けることで、絶縁膜250A中の酸素を絶縁体224へ供給することができる。したがって、酸化物230aの下面側にも酸素を供給することができ、酸化物230aに形成された酸素欠損が補償され、酸化物230aが高抵抗化される場合がある。
【0124】
なお、絶縁膜250Aは、2層以上の積層構造でもよい。例えば、過剰酸素を含む絶縁膜と、酸素や水素に対してバリア性のある絶縁膜とを積層した構成としてもよい。このような構成にすることで、絶縁膜250Aに含まれる過剰酸素が、後工程で形成される導電体260へ拡散することを抑制することができる。したがって、絶縁膜250Aに含まれる過剰酸素を、酸化物230bの領域234へ効率的に供給することができる。また、後工程で形成される導電体260中の不純物としての水素、および導電体260を構成する元素の一部が外部へ拡散することを抑制することができる。また、導電体260が、トランジスタまたは外部からの不純物としての水素の拡散経路となることを抑制することができる。
【0125】
次に、導電体260aとなる導電膜、および導電体260bとなる導電膜を成膜する。導電体260aとなる導電膜、および導電体260bとなる導電膜は、導電体205a、および導電体205bと同様の材料および方法で作製することができる。例えば、導電体260aとなる導電膜として、スパッタリング法により、窒化チタンを形成する。また、例えば、導電体260bとなる導電膜として、スパッタリング法により、タングステンを形成する。
【0126】
続いて、導電体260bとなる導電膜、導電体260aとなる導電膜、および絶縁膜250Aの不要な部分を除去する。例えば、エッチバック処理、または、CMP処理などにより、絶縁体280が露出するまで、導電体260bとなる導電膜、導電体260aとなる導電膜、および絶縁膜250Aの一部、ならびにハードマスク290bを除去することで、導電体260(導電体260a、および導電体260b)、および絶縁体250を形成する(図12参照)。なお、トランジスタ200では、導電体260aおよび導電体260bの2層を積層する構成について示しているが、当該構成に限定されず、単層でも3層以上の積層構造でも良い。
【0127】
以上の工程により、本発明の一態様に係るトランジスタ200を作製することができる。
【0128】
続いて、絶縁体280、バリア膜270、絶縁体250、および導電体260上に、絶縁体281、絶縁体282、絶縁体286を順に成膜する(図13参照)。
【0129】
絶縁体281は、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などの、酸素を含む絶縁体である。過剰酸素を含む絶縁体を形成する方法としては、CVD法やスパッタリング法における成膜条件を適宜設定して膜中に酸素を多く含ませた酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜を形成することができる。
【0130】
なお、絶縁体281に酸素を過剰に含有させるためには、例えば酸素雰囲気下にて絶縁体281の成膜を行えばよい。または、成膜後の絶縁体281に酸素を導入して酸素を過剰に含有する領域を形成してもよく、双方の手段を組み合わせてもよい。
【0131】
例えば、成膜後の絶縁体281に酸素(少なくとも酸素ラジカル、酸素原子、酸素イオンのいずれかを含む)を導入して酸素を過剰に含有する領域を形成する。酸素の導入方法としては、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法、プラズマ処理などを用いることができる。
【0132】
また、酸素導入処理には、酸素を含むガスを用いることができる。酸素を含むガスとしては、酸素、一酸化二窒素、二酸化窒素、二酸化炭素、一酸化炭素などを用いることができる。また、酸素導入処理において、酸素を含むガスに希ガスを含ませてもよく、例えば、二酸化炭素と水素とアルゴンの混合ガスを用いることができる。
【0133】
絶縁体281に過剰な酸素を導入することで、過剰酸素領域を形成することができる。絶縁体281の過剰な酸素は、絶縁体250を介して、酸化物230bの領域234を中心に供給され、酸化物230bの領域234中の酸素欠損を補償することができる。
【0134】
なお、絶縁体281を成膜しなくてもよい場合がある。例えば、絶縁体250が、酸化物230bの領域234に形成された酸素欠損を補償するのに十分な量の過剰酸素を有する場合、絶縁体281は必ずしも設けなくともよい。
【0135】
絶縁体282は、スパッタリング装置により成膜することが好ましい。スパッタリング法を用いることで、容易に絶縁体282の下層である絶縁体281に過剰酸素領域を形成することができる。
【0136】
スパッタリング法による成膜時には、ターゲットと基板との間には、イオンとスパッタされた粒子とが存在する。例えば、ターゲットは、電源が接続されており、電位E0が与えられる。また、基板は、接地電位などの電位E1が与えられる。ただし、基板が電気的に浮いていてもよい。また、ターゲットと基板の間には電位E2となる領域が存在する。各電位の大小関係は、E2>E1>E0である。
【0137】
プラズマ内のイオンが、電位差E2-E0によって加速され、ターゲットに衝突することにより、ターゲットからスパッタされた粒子がはじき出される。このスパッタされた粒子が成膜表面に付着し、堆積することにより成膜が行われる。また、一部のイオンはターゲットによって反跳し、反跳イオンとして形成された膜を介して、形成された膜の下部にある絶縁体281に取り込まれる場合がある。また、プラズマ内のイオンは、電位差E2-E1によって加速され、成膜表面に衝突する。この際、イオンの一部は、絶縁体281の内部まで到達する。イオンが絶縁体281に取り込まれることにより、イオンが取り込まれた領域が絶縁体281に形成される。つまり、イオンが酸素を含むイオンであった場合において、絶縁体281に過剰酸素領域が形成される。
【0138】
従って、絶縁体282を成膜する手段として、スパッタリング装置を用いて、酸素ガス雰囲気下で成膜を行うことで、絶縁体282を成膜しながら、絶縁体281に酸素を導入することができる。例えば、絶縁体282に、バリア性を有する酸化アルミニウムを用いることで、絶縁体281に導入した過剰酸素を、トランジスタ200側に、効果的に封じ込めることができる。
【0139】
例えば、絶縁体286として、CVD法により、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などの、酸素を含む絶縁体を形成する。絶縁体286は、絶縁体282よりも誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
【0140】
次に、絶縁体286上に、ハードマスクとなる膜(図示せず)を成膜する。例えば、該膜として、スパッタリング法により、タングステンを形成する。
【0141】
次に、上記膜上に、フォトリソグラフィ法によりレジストマスク(図示せず)を形成する。
【0142】
次に、上記レジストマスクを用いて、上記膜の一部を除去して、ハードマスクを形成する。続いて、該ハードマスクを用いて、絶縁体286、絶縁体282、絶縁体281、絶縁体280、およびバリア膜244に、絶縁体240に到達する開口を形成する。本工程において、上記レジストマスクはエッチングされて消失することがある。
【0143】
次に、上記ハードマスク上、および上記開口において、バリア膜(図示せず)を成膜する。例えば、当該バリア膜として、ALD法により酸化アルミニウムを形成する。
【0144】
続いて、上記バリア膜において、絶縁体240と接する領域の一部を除去する。例えば、絶縁体240が露出するまで、エッチバック処理を行うことで、図1(B)に示すバリア膜276a、バリア膜276bを形成することができる。
【0145】
バリア膜276aおよびバリア膜276bを設けることで、後工程で形成される導電体246(導電体246a、および導電体246b)および導電体248(導電体248a、および導電体248b)中の不純物としての水素、および導電体246および導電体248を構成する元素の一部が外部へ拡散することを抑制することができる。また、導電体246および導電体248が、トランジスタまたは外部からの不純物としての水素の拡散経路となることを抑制することができる。
【0146】
次に、酸化物230bが露出するまで、プラズマ処理を行うことで、絶縁体240の一部を除去する。
【0147】
次に、導電体246(導電体246a、および導電体246b)となる導電膜、および導電体248(導電体248a、および導電体248b)となる導電膜を成膜する。例えば、導電体246となる導電膜、および導電体248となる導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。導電体246となる導電膜、および導電体248となる導電膜は、絶縁体280などに形成された開口を埋めるように成膜する。従って、CVD法(特にMOCVD法)を用いることが好ましい。また、MOCVD法で成膜する導電体の密着性を高めるために、ALD法などによって成膜した導電体と、CVD法で成膜した導電体との多層膜にすると好ましい場合がある。例えば、導電体246となる導電膜として、窒化チタンを成膜し、導電体248となる導電膜として、タングステンを成膜するとよい。
【0148】
続いて、導電体246となる導電膜、および導電体248となる導電膜の不要な部分を除去する。例えば、エッチバック処理、または、CMP処理などにより、絶縁体286が露出するまで、導電体246となる導電膜、および導電体248となる導電膜の一部、および上記ハードマスクを除去することで導電体246、および導電体248を形成する。この際、絶縁体286をストッパ層として使用することもでき、絶縁体286が薄くなる場合がある。
【0149】
なお、本実施の形態で示す半導体装置では、導電体246が、絶縁体280、バリア膜244、および絶縁体240に形成された開口を介して、ソース領域またはドレイン領域として機能する酸化物230bの低抵抗化した領域の上面と接する構成について示しているが、当該構成に限定されない。例えば、導電体246が、酸化物230bの低抵抗化した領域の上面および側面と接する構成でもよい。
【0150】
以上の工程により、図1に示した、トランジスタ200を有する半導体装置を作製することができる。
【0151】
<金属酸化物>
酸化物230として、半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう)を用いることが好ましい。以下では、本発明に係る酸化物230に適用可能な金属酸化物について説明する。
【0152】
金属酸化物は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
【0153】
ここでは、金属酸化物が、インジウム、元素Mおよび亜鉛を有するIn-M-Zn酸化物である場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
【0154】
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
【0155】
[金属酸化物の構造]
酸化物半導体(金属酸化物)は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、非晶質酸化物半導体などがある。
【0156】
CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のナノ結晶が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。
【0157】
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合がある。また、歪みにおいて、五角形、および七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリーともいう)を確認することは難しい。すなわち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためである。
【0158】
また、CAAC-OSは、インジウム、および酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛、および酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In,M,Zn)層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In,M)層と表すこともできる。
【0159】
CAAC-OSは結晶性の高い金属酸化物である。一方、CAAC-OSは、明確な結晶粒界を確認することが難しいため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、金属酸化物の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損(V:oxygen vacancyともいう)など)の少ない金属酸化物ともいえる。したがって、CAAC-OSを有する金属酸化物は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する金属酸化物は熱に強く、信頼性が高い。
【0160】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
【0161】
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する金属酸化物である。a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。すなわち、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。
【0162】
酸化物半導体(金属酸化物)は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0163】
<トランジスタの変形例1>
本実施の形態に示すトランジスタ200は図1に示すものに限られるものではない。以下では、本実施の形態に示すトランジスタ200の変形例について、図14を用いて説明する。また、以下において、トランジスタ200と同一の符号を付した構成については、トランジスタ200の対応する記載を参酌することができる。
【0164】
図14(A)は、トランジスタ200aの上面図であり、図14(B)は図14(A)の一点鎖線A1-A2間の断面図であり、図14(C)は図14(A)の一点鎖線A3-A4間の断面図である。
【0165】
図14に示すトランジスタ200aは、酸化物230bの領域231と比べて、酸化物230bの領域234の膜厚が、薄膜化している点において、図1に示すトランジスタ200と異なる。
【0166】
トランジスタ200aのチャネル形成領域として機能する領域234の膜厚が薄くなることで、キャリアが流れる経路が延長される。よって、実効L長が長くなることで、短チャネル効果を抑制することができる。
【0167】
また、酸化物230bの領域232の一部が、後工程で形成される絶縁体250と接することで、絶縁体250に含まれる過剰酸素が、酸化物230bの領域234、および領域232に供給される。領域232に供給される過剰酸素の量は、絶縁体250と接しない領域231よりも多く、領域234よりも少ないことから、領域232は、領域231よりもキャリア密度が低く、領域234よりもキャリア密度が高い領域となる。すなわち、領域232は、ソース領域またはドレイン領域と、チャネル形成領域との間の接合領域としての機能を有する。接合領域を設けることで、領域231と、領域234との間に高抵抗領域が形成されず、トランジスタ200aのオン電流を大きくすることができる。
【0168】
次に、図14に示すトランジスタ200aの作製方法について説明する。トランジスタ200aの作製方法は、図9に示す、バリア膜270、およびバリア膜244を形成する工程まで、トランジスタ200の作製方法と同じでよい。
【0169】
次に、プラズマ処理を行うことで、絶縁膜240Aの一部を除去し、絶縁体240を形成する際、酸化物230bの一部も除去する。酸化物230bの一部を除去することで、酸化物230bの領域234の膜厚を薄くすることができる。
【0170】
次に、絶縁体250となる絶縁膜250Aを成膜する。絶縁膜250Aの成膜以降の、トランジスタ200aの作製方法は、トランジスタ200の作製方法と同じでよい。
【0171】
以上の工程により、トランジスタ200aを作製することができる。
【0172】
<トランジスタの変形例2>
以下では、本実施の形態に示すトランジスタ200の変形例について、図15を用いて説明する。また、以下において、トランジスタ200と同一の符号を付した構成については、トランジスタ200の対応する記載を参酌することができる。
【0173】
図15(A)は、トランジスタ200bの上面図であり、図15(B)は図15(A)の一点鎖線A1-A2間の断面図であり、図15(C)は図15(A)の一点鎖線A3-A4間の断面図である。
【0174】
図15に示すトランジスタ200bは、バリア膜270が、絶縁体280、バリア膜244、および絶縁体240の側面と接する点において、図1に示すトランジスタ200と異なる。
【0175】
バリア膜270が、絶縁体240の側面と接することで、絶縁体250の過剰酸素が、絶縁体240へ拡散することを抑制し、該過剰酸素を酸化物230bへ効率的に供給することができる。
【0176】
次に、図15に示すトランジスタ200bの作製方法について説明する。トランジスタ200bの作製方法は、図7に示す、バリア膜244Aに到達する開口を有する絶縁体280を形成する工程まで、トランジスタ200の作製方法と同じでよい。
【0177】
トランジスタ200bでは、上記開口において、バリア膜244A、および絶縁膜240Aの一部を除去することで、酸化物230bに到達する開口を形成する。
【0178】
次に、ハードマスク290b上、および上記開口においてバリア膜270Aを成膜する。
【0179】
続いて、バリア膜270Aにおいて、酸化物230bと接する領域の一部を除去する。例えば、酸化物230bが露出するまで、エッチバック処理を行う。
【0180】
なお、上記処理を行う際、酸化物230bの一部も除去してもよい。酸化物230bの一部を除去することで、酸化物230bの絶縁体250と接する領域の膜厚が薄くなる。該領域はトランジスタ200bのチャネル形成領域として機能するため、該領域の膜厚が薄くなることで、短チャネル効果を抑制することができる。
【0181】
次に、絶縁体250となる絶縁膜250Aを成膜する。絶縁膜250Aの成膜以降の、トランジスタ200bの作製方法は、トランジスタ200の作製方法と同じでよい。
【0182】
以上の工程により、トランジスタ200bを作製することができる。
【0183】
<トランジスタの変形例3>
以下では、本実施の形態に示すトランジスタ200の変形例について、図16を用いて説明する。また、以下において、トランジスタ200と同一の符号を付した構成については、トランジスタ200の対応する記載を参酌することができる。
【0184】
図16(A)は、トランジスタ200cの上面図であり、図16(B)は図16(A)の一点鎖線A1-A2間の断面図であり、図16(C)は図16(A)の一点鎖線A3-A4間の断面図である。
【0185】
図16に示すトランジスタ200cは、バリア膜270、バリア膜244、および絶縁体240の側面、ならびに酸化物230bの上面に接して形成される酸化物230cを有する点において、図1に示すトランジスタ200と異なる。
【0186】
例えば、酸化物230cに過剰酸素を含む酸化物を用いる場合、酸化物230cとなる酸化膜の成膜時、あるいは酸化物230cとなる酸化膜成膜以降の熱処理によって、酸化物230bの酸化物230cと接する領域を中心に、酸素を供給することができる。また、酸化物230cとなる酸化膜の成膜時に、スパッタリングガスに含まれる酸素の一部が酸化物230bに供給される場合がある。酸素が該領域を中心に供給されることで、該領域に存在する酸素欠損を補償することができる。酸素欠損が補償された該領域はキャリア密度が低くなり、高抵抗化される。このような構成にすることにより、ソース領域またはドレイン領域と、チャネル形成領域の作り分けが容易となる。
【0187】
また、例えば、上記領域は、酸化物230cを介して、絶縁体250と重なる領域に形成される。絶縁体250として、加熱により酸素が放出される絶縁体を用いることで、加熱処理などを行うことにより、絶縁体250から放出された酸素が酸化物230cを通り、酸化物230bの酸化物230cと接する領域へ添加される。したがって、領域234に存在する酸素欠損が補償され、キャリア密度が低くなり、高抵抗化される。このような構成にすることにより、ソース領域またはドレイン領域と、チャネル形成領域の作り分けが容易となる。
【0188】
また、酸化物230bと酸化物230cとは、酸素以外に共通の構成元素(主成分となる元素)を有することが好ましい。酸化物230bと酸化物230cとが、酸素以外に共通の構成元素を有することで、酸化物230bと酸化物230cとの界面における欠陥準位密度を低くすることができるため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さく、高いオン電流が得られる。
【0189】
また、酸化物230b上に、酸化物230cを有することで、酸化物230cよりも上方に形成された構造物から、酸化物230bに対する不純物の拡散を抑制することができる。
【0190】
次に、図16に示すトランジスタ200cの作製方法について説明する。トランジスタ200bの作製方法は、図10に示す、絶縁体240を形成する工程まで、トランジスタ200の作製方法と同じでよい。
【0191】
次に、酸化物230cとなる酸化膜、絶縁体250となる絶縁膜250A、導電体260aとなる導電膜、および導電体260bとなる導電膜を順に成膜する。
【0192】
続いて、導電体260bとなる導電膜、導電体260aとなる導電膜、絶縁膜250A、および酸化物230cとなる酸化膜の不要な部分を除去する。例えば、エッチバック処理、または、CMP処理などにより、絶縁体280が露出するまで、導電体260bとなる導電膜、導電体260aとなる導電膜、絶縁膜250A、および酸化物230cとなる酸化膜の一部、ならびにハードマスク290bを除去することで、導電体260(導電体260a、および導電体260b)、絶縁体250、および酸化物230cを形成する。
【0193】
以上の工程により、トランジスタ200cを作製することができる。
【0194】
なお、本実施の形態は、ほかの実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0195】
(実施の形態2)
本実施の形態では、半導体装置の一形態を、図17、および図18を用いて説明する。
【0196】
<記憶装置>
図17、および図18に示す記憶装置は、トランジスタ300、トランジスタ200、および容量素子100を有している。図17は、トランジスタ200およびトランジスタ300のチャネル長方向の断面図である。図18には、トランジスタ300近傍のトランジスタ300のチャネル幅方向の断面図を示す。なお、図17に示す記憶装置において、先の実施の形態に示した半導体装置を構成する構造と同機能を有する構造には、同符号を付記する。
【0197】
トランジスタ200は、酸化物半導体を有する半導体層にチャネルが形成されるトランジスタである。トランジスタ200は、オフ電流が小さいため、これを記憶装置に用いることにより長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、あるいは、リフレッシュ動作の頻度が極めて少ないため、記憶装置の消費電力を十分に低減することができる。
【0198】
図17に示す記憶装置において、配線1001はトランジスタ300のソースと電気的に接続され、配線1002はトランジスタ300のドレインと電気的に接続されている。また、配線1003はトランジスタ200のソースおよびドレインの一方と電気的に接続され、配線1004はトランジスタ200の第1のゲートと電気的に接続され、配線1006はトランジスタ200の第2のゲートと電気的に接続されている。そして、トランジスタ300のゲート、およびトランジスタ200のソースおよびドレインの他方は、容量素子100の電極の一方と電気的に接続され、配線1005は容量素子100の電極の他方と電気的に接続されている。
【0199】
図17に示す記憶装置は、トランジスタ300のゲートの電位が保持可能という特性を有することで、以下に示すように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
【0200】
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、配線1004の電位を、トランジスタ200が導通状態となる電位にして、トランジスタ200を導通状態とする。これにより、配線1003の電位が、トランジスタ300のゲート、および容量素子100の電極の一方と電気的に接続するノードSNに与えられる。すなわち、トランジスタ300のゲートには、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位レベルを与える電荷(以下Lowレベル電荷、Highレベル電荷という)のどちらかが与えられるものとする。その後、配線1004の電位を、トランジスタ200が非導通状態となる電位にして、トランジスタ200を非導通状態とすることにより、ノードSNに電荷が保持される(保持)。
【0201】
トランジスタ200のオフ電流が小さい場合、ノードSNの電荷は長期間にわたって保持される。
【0202】
次に情報の読み出しについて説明する。配線1001に所定の電位(定電位)を与えた状態で、配線1005に適切な電位(読み出し電位)を与えると、配線1002は、ノードSNに保持された電荷量に応じた電位をとる。これは、トランジスタ300をnチャネル型とすると、トランジスタ300のゲートにHighレベル電荷が与えられている場合の見かけ上のしきい値電圧Vth_Hは、トランジスタ300のゲートにLowレベル電荷が与えられている場合の見かけ上のしきい値電圧Vth_Lより低くなるためである。ここで、見かけ上のしきい値電圧とは、トランジスタ300を「導通状態」とするために必要な配線1005の電位をいうものとする。したがって、配線1005の電位をVth_HとVth_Lの間の電位Vとすることにより、ノードSNに与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、ノードSNにHighレベル電荷が与えられていた場合には、配線1005の電位がV(>Vth_H)となれば、トランジスタ300は「導通状態」となる。一方、ノードSNにLowレベル電荷が与えられていた場合には、配線1005の電位がV(<Vth_L)となっても、トランジスタ300は「非導通状態」のままである。このため、配線1002の電位を判別することで、ノードSNに保持されている情報を読み出すことができる。
【0203】
<記憶装置の構造>
本発明の一態様の記憶装置は、図17に示すようにトランジスタ300、トランジスタ200、および容量素子100を有する。トランジスタ200はトランジスタ300の上方に設けられ、容量素子100はトランジスタ300、およびトランジスタ200の上方に設けられている。
【0204】
トランジスタ300は、基板311上に設けられ、導電体316、絶縁体315、基板311の一部からなる半導体領域313、ならびにソース領域またはドレイン領域として機能する低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bを有する。
【0205】
トランジスタ300は、図18に示すように、半導体領域313の上面およびチャネル幅方向の側面が絶縁体315を介して導電体316に覆われている。このように、トランジスタ300をFin型とすることにより、実効上のチャネル幅が増大することによりトランジスタ300のオン特性を向上させることができる。また、ゲート電極の電界の寄与を高くすることができるため、トランジスタ300のオフ特性を向上させることができる。
【0206】
トランジスタ300は、pチャネル型、あるいはnチャネル型のいずれでもよい。
【0207】
半導体領域313のチャネルが形成される領域、その近傍の領域、ソース領域、またはドレイン領域となる低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bなどにおいて、シリコン系半導体などの半導体を含むことが好ましく、単結晶シリコンを含むことが好ましい。または、Ge(ゲルマニウム)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、GaAs(ガリウムヒ素)、GaAlAs(ガリウムアルミニウムヒ素)などを有する材料で形成してもよい。結晶格子に応力を与え、格子間隔を変化させることで有効質量を制御したシリコンを用いた構成としてもよい。またはGaAsとGaAlAs等を用いることで、トランジスタ300をHEMT(High Electron Mobility Transistor)としてもよい。
【0208】
低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bは、半導体領域313に適用される半導体材料に加え、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元素、またはホウ素などのp型の導電性を付与する元素を含む。
【0209】
ゲート電極として機能する導電体316は、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元素、もしくはホウ素などのp型の導電性を付与する元素を含むシリコンなどの半導体材料、金属材料、合金材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。
【0210】
なお、導電体の材料により、仕事関数が定まるため、導電体の材料を変更することでしきい値電圧を調整することができる。具体的には、導電体に窒化チタンや窒化タンタルなどの材料を用いることが好ましい。さらに導電性と埋め込み性を両立するために導電体にタングステンやアルミニウムなどの金属材料を積層として用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが耐熱性の点で好ましい。
【0211】
なお、図17に示すトランジスタ300は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
【0212】
トランジスタ300を覆って、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326が順に積層して設けられている。
【0213】
絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326として、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどを用いればよい。
【0214】
絶縁体322は、その下方に設けられるトランジスタ300などによって生じる段差を平坦化する平坦化膜としての機能を有していてもよい。例えば、絶縁体322の上面は、平坦性を高めるために化学機械研磨(CMP)法等を用いた平坦化処理により平坦化されていてもよい。
【0215】
また、絶縁体324には、基板311、トランジスタ300などから、トランジスタ200が設けられる領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。
【0216】
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、例えば、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。ここで、トランジスタ200等の酸化物半導体を有する半導体素子に、水素が拡散することで、該半導体素子の電気特性が低下する場合がある。したがって、トランジスタ200と、トランジスタ300との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
【0217】
水素の脱離量は、例えば、昇温脱離ガス分析法(TDS)などを用いて分析することができる。例えば、絶縁体324の水素の脱離量は、TDS分析において、膜の表面温度が50℃から500℃の範囲において、水素原子に換算した脱離量が、絶縁体324の面積当たりに換算して、10×1015atoms/cm以下、好ましくは5×1015atoms/cm以下であればよい。
【0218】
なお、絶縁体326は、絶縁体324よりも誘電率が低いことが好ましい。例えば、絶縁体326の比誘電率は4未満が好ましく、3未満がより好ましい。また例えば、絶縁体326の比誘電率は、絶縁体324の比誘電率の0.7倍以下が好ましく、0.6倍以下がより好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
【0219】
また、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326には容量素子100、またはトランジスタ200と電気的に接続する導電体328、および導電体330等が埋め込まれている。なお、導電体328、および導電体330はプラグ、または配線としての機能を有する。また、プラグまたは配線としての機能を有する導電体は、複数の構造をまとめて同一の符号を付与する場合がある。また、本明細書等において、配線と、配線と電気的に接続するプラグとが一体物であってもよい。すなわち、導電体の一部が配線として機能する場合、および導電体の一部がプラグとして機能する場合もある。
【0220】
各プラグ、および配線(導電体328、および導電体330等)の材料としては、金属材料、合金材料、金属窒化物材料、金属酸化物材料などの導電性材料を、単層または積層して用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、タングステンを用いることが好ましい。または、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。低抵抗導電性材料を用いることで配線抵抗を低くすることができる。
【0221】
絶縁体326、および導電体330上に、配線層を設けてもよい。例えば、図17において、絶縁体350、絶縁体352、および絶縁体354が順に積層して設けられている。また、絶縁体350、絶縁体352、および絶縁体354には、導電体356が形成されている。導電体356は、プラグ、または配線としての機能を有する。なお導電体356は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0222】
なお、例えば、絶縁体350は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体356は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体350が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成されることが好ましい。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ200とは、水素に対するバリア性を有する層(バリア層ともいう)により分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
【0223】
なお、水素に対するバリア性を有する導電体としては、例えば、窒化タンタル等を用いるとよい。また、窒化タンタルと導電性が高いタングステンを積層することで、配線としての導電性を保持したまま、トランジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。この場合、水素に対するバリア性を有する窒化タンタル層が、水素に対するバリア性を有する絶縁体350と接する構造であることが好ましい。
【0224】
絶縁体354、および導電体356上に、配線層を設けてもよい。例えば、図17において、絶縁体360、絶縁体362、および絶縁体364が順に積層して設けられている。また、絶縁体360、絶縁体362、および絶縁体364には、導電体366が形成されている。導電体366は、プラグ、または配線としての機能を有する。なお導電体366は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0225】
なお、例えば、絶縁体360は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体366は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体360が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
【0226】
絶縁体364、および導電体366上に、配線層を設けてもよい。例えば、図17において、絶縁体370、絶縁体372、および絶縁体374が順に積層して設けられている。また、絶縁体370、絶縁体372、および絶縁体374には、導電体376が形成されている。導電体376は、プラグ、または配線としての機能を有する。なお導電体376は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0227】
なお、例えば、絶縁体370は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体376は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体370が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
【0228】
絶縁体374、および導電体376上に、配線層を設けてもよい。例えば、図17において、絶縁体380、絶縁体382、および絶縁体384が順に積層して設けられている。また、絶縁体380、絶縁体382、および絶縁体384には、導電体386が形成されている。導電体386は、プラグ、または配線としての機能を有する。なお導電体386は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0229】
なお、例えば、絶縁体380は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体386は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体380が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
【0230】
上記において、導電体356を含む配線層、導電体366を含む配線層、導電体376を含む配線層、および導電体386を含む配線層、について説明したが、本実施の形態に係る記憶装置はこれに限られるものではない。導電体356を含む配線層と同様の配線層を3層以下にしてもよいし、導電体356を含む配線層と同様の配線層を5層以上にしてもよい。
【0231】
絶縁体384、および導電体386上には絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体216が、順に積層して設けられている。絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体216のいずれかは、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。
【0232】
例えば、絶縁体210、および絶縁体214には、例えば、基板311、トランジスタ300を設ける領域などから、トランジスタ200を設ける領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。従って、絶縁体324と同様の材料を用いることができる。
【0233】
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。ここで、トランジスタ200等の酸化物半導体を有する半導体素子に、水素が拡散することで、該半導体素子の電気特性が低下する場合がある。従って、トランジスタ200と、トランジスタ300との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
【0234】
また、水素に対するバリア性を有する膜として、例えば、絶縁体210、および絶縁体214には、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物を用いることが好ましい。
【0235】
特に、酸化アルミニウムは、酸素、およびトランジスタの電気特性の変動要因となる水素、水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分などの不純物のトランジスタ200への混入を防止することができる。また、トランジスタ200を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、酸化アルミニウムは、トランジスタ200に対する保護膜として用いることに適している。
【0236】
また、例えば、絶縁体212、および絶縁体216には、絶縁体320と同様の材料を用いることができる。また、比較的誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体212、および絶縁体216として、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
【0237】
また、絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体216には、導電体218、およびトランジスタ200を構成する導電体(導電体205)等が埋め込まれている。なお、導電体218は、容量素子100、またはトランジスタ300と電気的に接続するプラグ、または配線としての機能を有する。導電体218は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0238】
特に、絶縁体210、および絶縁体214と接する領域の導電体218は、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する導電体であることが好ましい。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ200とは、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する層で、分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
【0239】
絶縁体216の上方には、トランジスタ200が設けられている。なお、トランジスタ200の構造は、先の実施の形態で説明した半導体装置が有するトランジスタを用いればよい。また、図17に示すトランジスタ200は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
【0240】
トランジスタ200の上方には、絶縁体280を設ける。
【0241】
絶縁体280上には、絶縁体281が設けられている。絶縁体281は、加熱により酸素が放出される絶縁体を用いることが好ましい。例えば、絶縁体281には、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを用いることが好ましい。
【0242】
絶縁体281上には、絶縁体282が設けられている。絶縁体282は、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。したがって、絶縁体282には、絶縁体214と同様の材料を用いることができる。例えば、絶縁体282には、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物を用いることが好ましい。
【0243】
特に、酸化アルミニウムは、酸素、およびトランジスタの電気特性の変動要因となる水素、水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分などの不純物のトランジスタ200への混入を防止することができる。また、トランジスタ200を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、トランジスタ200に対する保護膜として用いることに適している。
【0244】
また、絶縁体282上には、絶縁体286が設けられている。絶縁体286は、絶縁体320と同様の材料を用いることができる。また、比較的誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体286として、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
【0245】
また、絶縁体240、絶縁体244、絶縁体280、絶縁体281、絶縁体282、絶縁体286等には、導電体246、導電体248等が埋め込まれている。
【0246】
導電体246、および導電体248は、容量素子100、トランジスタ200、またはトランジスタ300と電気的に接続するプラグ、または配線としての機能を有する。導電体246、および導電体248は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0247】
続いて、トランジスタ200の上方には、容量素子100が設けられている。容量素子100は、導電体110、導電体120、および絶縁体130を有する。
【0248】
また、導電体246、および導電体248上に、導電体112を設けてもよい。導電体112は、容量素子100、トランジスタ200、またはトランジスタ300と電気的に接続するプラグ、または配線としての機能を有する。導電体110は、容量素子100の電極としての機能を有する。なお、導電体112、および導電体110は、同時に形成することができる。
【0249】
導電体112、および導電体110には、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素を含む金属膜、または上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化タンタル膜、窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜等)を用いることができる。または、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの導電性材料を適用することもできる。
【0250】
図17では、導電体112、および導電体110は単層構造を示したが、当該構成に限定されず、2層以上の積層構造でもよい。例えば、バリア性を有する導電体と導電性が高い導電体との間に、バリア性を有する導電体および導電性が高い導電体に対して、密着性が高い導電体を形成してもよい。
【0251】
また、導電体112、および導電体110上に、容量素子100の誘電体として、絶縁体130を設ける。絶縁体130は、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、窒化酸化ハフニウム、窒化ハフニウムなどを用いればよく、積層または単層で設けることができる。
【0252】
例えば、絶縁体130には、酸化窒化シリコンなどの絶縁耐力が大きい材料を用いるとよい。当該構成により、容量素子100は、絶縁体130を有することで、絶縁耐力が向上し、容量素子100の静電破壊を抑制することができる。
【0253】
絶縁体130上に、導電体110と重畳するように、導電体120を設ける。なお、導電体120は、金属材料、合金材料、金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが好ましい。また、導電体などの他の構造と同時に形成する場合は、低抵抗金属材料であるCu(銅)やAl(アルミニウム)等を用いればよい。
【0254】
導電体120、および絶縁体130上には、絶縁体150が設けられている。絶縁体150は、絶縁体320と同様の材料を用いて設けることができる。また、絶縁体150は、その下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜として機能してもよい。
【0255】
本構造を用いることで、酸化物半導体を有するトランジスタを用いた半導体装置において、電気特性の変動を抑制すると共に、信頼性を向上させることができる。または、オン電流が大きい酸化物半導体を有するトランジスタを提供することができる。または、オフ電流が小さい酸化物半導体を有するトランジスタを提供することができる。または、消費電力が低減された半導体装置を提供することができる。
【0256】
以上、本実施の形態に示す構成、構造、方法などは、他の実施の形態に示す構成、構造、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0257】
(実施の形態3)
本実施の形態では、図19および図20を用いて、本発明の一態様に係る、金属酸化物をチャネル形成領域に用いたトランジスタ(以下、OSトランジスタと呼ぶ)、および容量素子が適用されている記憶装置の一例として、NOSRAMについて説明する。NOSRAM(登録商標)とは「Nonvolatile Oxide Semiconductor Random Access Memory」の略称であり、ゲインセル型(2T型、3T型)のメモリセルを有するRAMを指す。なお、以下において、NOSRAMのようにOSトランジスタを用いたメモリ装置を、OSメモリと呼ぶ場合がある。
【0258】
NOSRAMでは、メモリセルにOSトランジスタが用いられるメモリ装置が適用されている。OSメモリは、少なくとも容量素子と、容量素子の充放電を制御するOSトランジスタを有するメモリである。OSトランジスタが極小オフ電流のトランジスタであるので、OSメモリは優れた保持特性をもち、不揮発性メモリとして機能させることができる。
【0259】
<<NOSRAM>>
図19にNOSRAMの構成例を示す。図19に示すNOSRAM1600は、メモリセルアレイ1610、コントローラ1640、行ドライバ1650、列ドライバ1660、および出力ドライバ1670を有する。なお、NOSRAM1600は、1のメモリセルで多値データを記憶する多値NOSRAMである。
【0260】
メモリセルアレイ1610は複数のメモリセル1611、複数のワード線WWL、複数のワード線RWL、複数のビット線BL、および複数のソース線SLを有する。ワード線WWLは書き込みワード線であり、ワード線RWLは読み出しワード線である。NOSRAM1600では、1のメモリセル1611で3ビット(8値)のデータを記憶する。
【0261】
コントローラ1640は、NOSRAM1600全体を統括的に制御し、データWDA[31:0]の書き込み、データRDA[31:0]の読み出しを行う。コントローラ1640は、外部からのコマンド信号(例えば、チップイネーブル信号、書き込みイネーブル信号など)を処理して、行ドライバ1650、列ドライバ1660および出力ドライバ1670の制御信号を生成する。
【0262】
行ドライバ1650は、アクセスする行を選択する機能を有する。行ドライバ1650は、行デコーダ1651、およびワード線ドライバ1652を有する。
【0263】
列ドライバ1660は、ソース線SLおよびビット線BLを駆動する。列ドライバ1660は、列デコーダ1661、書き込みドライバ1662、およびDAC(デジタル-アナログ変換回路)1663を有する。
【0264】
DAC1663は3ビットのデジタルデータをアナログ電圧に変換する。DAC1663は32ビットのデータWDA[31:0]を3ビットごとに、アナログ電圧に変換する。
【0265】
書き込みドライバ1662は、ソース線SLをプリチャージする機能、ソース線SLを電気的に浮遊状態にする機能、ソース線SLを選択する機能、選択されたソース線SLにDAC1663で生成した書き込み電圧を入力する機能、ビット線BLをプリチャージする機能、ビット線BLを電気的に浮遊状態にする機能等を有する。
【0266】
出力ドライバ1670は、セレクタ1671、ADC(アナログ-デジタル変換回路)1672、および出力バッファ1673を有する。セレクタ1671は、アクセスするソース線SLを選択し、選択されたソース線SLの電圧をADC1672に送信する。ADC1672は、アナログ電圧を3ビットのデジタルデータに変換する機能を持つ。ソース線SLの電圧はADC1672において、3ビットのデジタルデータに変換され、出力バッファ1673はADC1672から出力されるデータを保持する。
【0267】
<メモリセル>
図20(A)はメモリセル1611の構成例を示す回路図である。メモリセル1611は2T型のゲインセルであり、メモリセル1611はワード線WWL、ワード線RWL、ビット線BL、ソース線SL、および配線BGLに電気的に接続されている。メモリセル1611は、ノードSN、OSトランジスタMO61、トランジスタMP61、および容量素子C61を有する。OSトランジスタMO61は書き込みトランジスタである。トランジスタMP61は読み出しトランジスタであり、例えばpチャネル型Siトランジスタで構成される。容量素子C61はノードSNの電位を保持するための保持容量である。ノードSNはデータの保持ノードであり、ここではトランジスタMP61のゲートに相当する。
【0268】
メモリセル1611の書き込みトランジスタがOSトランジスタMO61で構成されているため、NOSRAM1600は長時間データを保持することが可能である。
【0269】
図20(A)の例では、ビット線は、書き込みと読み出しで共通のビット線であるが、図20(B)に示すように、書き込みビット線WBLと、読み出しビット線RBLとを設けてもよい。
【0270】
図20(C)乃至図20(E)にメモリセルの他の構成例を示す。図20(C)乃至図20(E)には、書き込み用ビット線と読み出し用ビット線を設けた例を示しているが、図20(A)のように書き込みと読み出しで共有されるビット線を設けてもよい。
【0271】
図20(C)に示すメモリセル1612は、メモリセル1611の変形例であり、読み出しトランジスタをnチャネル型トランジスタ(MN61)に変更したものである。トランジスタMN61はOSトランジスタであってもよいし、Siトランジスタであってもよい。
【0272】
メモリセル1611、メモリセル1612において、OSトランジスタMO61はバックゲートの無いOSトランジスタであってもよい。
【0273】
図20(D)に示すメモリセル1613は、3T型ゲインセルであり、ワード線WWL、ワード線RWL、ビット線WBL、ビット線RBL、ソース線SL、配線BGL、および配線PCLに電気的に接続されている。メモリセル1613は、ノードSN、OSトランジスタMO62、トランジスタMP62、トランジスタMP63、および容量素子C62を有する。OSトランジスタMO62は書き込みトランジスタである。トランジスタMP62は読み出しトランジスタであり、トランジスタMP63は選択トランジスタである。
【0274】
図20(E)に示すメモリセル1614は、メモリセル1613の変形例であり、読み出しトランジスタおよび選択トランジスタをnチャネル型トランジスタ(MN62、MN63)に変更したものである。トランジスタMN62、トランジスタMN63はOSトランジスタであってもよいし、Siトランジスタであってもよい。
【0275】
メモリセル1611乃至メモリセル1614に設けられるOSトランジスタは、バックゲートの無いトランジスタでもよいし、バックゲートが有るトランジスタであってもよい。
【0276】
容量素子C61の充放電によってデータを書き換えるため、NOSRAM1600は原理的には書き換え回数に制約はなく、かつ、低エネルギーで、データの書き込みおよび読み出しが可能である。また、長時間データを保持することが可能であるので、リフレッシュ頻度を低減できる。
【0277】
上記実施の形態に示す半導体装置をメモリセル1611、メモリセル1612、メモリセル1613、メモリセル1614に用いる場合、OSトランジスタMO61、およびOSトランジスタMO62としてトランジスタ200を用い、容量素子C61、および容量素子C62として容量素子100を用い、トランジスタMP61、およびトランジスタMN62としてトランジスタ300を用いることができる。これにより、トランジスタと容量素子一組当たりの上面視における占有面積を低減することができるので、本実施の形態に係る記憶装置をさらに高集積化させることができる。よって、本実施の形態に係る記憶装置の単位面積当たりの記憶容量を増加させることができる。
【0278】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
【0279】
(実施の形態4)
本実施の形態では、図21および図22を用いて、本発明の一態様に係る、OSトランジスタ、および容量素子が適用されている記憶装置の一例として、DOSRAMについて説明する。DOSRAM(登録商標)とは、「Dynamic Oxide Semiconductor Random Access Memory」の略称であり、1T(トランジスタ)1C(容量)型のメモリセルを有するRAMを指す。DOSRAMも、NOSRAMと同様に、OSメモリが適用されている。
【0280】
<<DOSRAM1400>>
図21にDOSRAMの構成例を示す。図21に示すように、DOSRAM1400は、コントローラ1405、行回路1410、列回路1415、ならびにメモリセルおよびセンスアンプアレイ1420(以下、「MC-SAアレイ1420」と呼ぶ)を有する。
【0281】
行回路1410はデコーダ1411、ワード線ドライバ回路1412、列セレクタ1413、およびセンスアンプドライバ回路1414を有する。列回路1415はグローバルセンスアンプアレイ1416、および入出力回路1417を有する。グローバルセンスアンプアレイ1416は複数のグローバルセンスアンプ1447を有する。MC-SAアレイ1420はメモリセルアレイ1422、センスアンプアレイ1423、グローバルビット線GBLL、およびグローバルビット線GBLRを有する。
【0282】
(MC-SAアレイ1420)
MC-SAアレイ1420は、メモリセルアレイ1422をセンスアンプアレイ1423上に積層した積層構造をもつ。グローバルビット線GBLL、グローバルビット線GBLRはメモリセルアレイ1422上に積層されている。DOSRAM1400では、ビット線の構造に、ローカルビット線とグローバルビット線とで階層化された階層ビット線構造が採用されている。
【0283】
メモリセルアレイ1422は、N個(Nは2以上の整数)のローカルメモリセルアレイ1425<0>乃至ローカルメモリセルアレイ1425<N-1>を有する。図22(A)にローカルメモリセルアレイ1425の構成例を示す。ローカルメモリセルアレイ1425は、複数のメモリセル1445、複数のワード線WL、複数のビット線BLL、および複数のビット線BLRを有する。図22(A)の例では、ローカルメモリセルアレイ1425の構造はオープンビット線型であるが、フォールデッドビット線型であってもよい。
【0284】
図22(B)にメモリセル1445の回路構成例を示す。メモリセル1445はトランジスタMW1、容量素子CS1、端子B1、および端子B2を有する。トランジスタMW1は容量素子CS1の充放電を制御する機能をもつ。トランジスタMW1のゲートはワード線に電気的に接続され、トランジスタMW1の第1端子はビット線に電気的に接続され、トランジスタMW1の第2端子は容量素子の第1端子に電気的に接続されている。容量素子CS1の第2端子は端子B2に電気的に接続されている。端子B2には、定電位(例えば、低電源電位)が入力される。
【0285】
上記実施の形態に示す半導体装置をメモリセル1445に用いる場合、トランジスタMW1としてトランジスタ200を用い、容量素子CS1として容量素子100を用いることができる。これにより、トランジスタと容量素子一組当たりの上面視における占有面積を低減することができるので、本実施の形態に係る記憶装置を高集積化させることができる。よって、本実施の形態に係る記憶装置の単位面積当たりの記憶容量を増加させることができる。
【0286】
トランジスタMW1はバックゲートを備えており、バックゲートは端子B1に電気的に接続されている。そのため、端子B1の電圧によって、トランジスタMW1のVthを変更することができる。例えば、端子B1の電圧は固定電位(例えば、負の定電位)であってもよいし、DOSRAM1400の動作に応じて、端子B1の電圧を変化させてもよい。
【0287】
トランジスタMW1のバックゲートをトランジスタMW1のゲート、ソース、またはドレインに電気的に接続してもよい。あるいは、トランジスタMW1にバックゲートを設けなくてもよい。
【0288】
センスアンプアレイ1423は、N個のローカルセンスアンプアレイ1426<0>乃至ローカルセンスアンプアレイ1426<N-1>を有する。ローカルセンスアンプアレイ1426は、1のスイッチアレイ1444、および複数のセンスアンプ1446を有する。センスアンプ1446には、ビット線対が電気的に接続されている。センスアンプ1446は、ビット線対をプリチャージする機能、ビット線対の電位差を増幅する機能、この電位差を保持する機能を有する。スイッチアレイ1444は、ビット線対を選択し、選択したビット線対とグローバルビット線対との間を導通状態にする機能を有する。
【0289】
ここで、ビット線対とは、センスアンプによって、同時に比較される2本のビット線のことをいう。グローバルビット線対とは、グローバルセンスアンプによって、同時に比較される2本のグローバルビット線のことをいう。ビット線対を一対のビット線と呼ぶことができ、グローバルビット線対を一対のグローバルビット線と呼ぶことができる。ここでは、ビット線BLLとビット線BLRが1組のビット線対を成す。グローバルビット線GBLLとグローバルビット線GBLRとが1組のグローバルビット線対をなす。以下、ビット線対(BLL,BLR)、グローバルビット線対(GBLL,GBLR)とも表す。
【0290】
(コントローラ1405)
コントローラ1405は、DOSRAM1400の動作全般を制御する機能を有する。コントローラ1405は、外部からの入力されるコマンド信号を論理演算して、動作モードを決定する機能、決定した動作モードが実行されるように、行回路1410、列回路1415の制御信号を生成する機能、外部から入力されるアドレス信号を保持する機能、内部アドレス信号を生成する機能を有する。
【0291】
(行回路1410)
行回路1410は、MC-SAアレイ1420を駆動する機能を有する。デコーダ1411はアドレス信号をデコードする機能を有する。ワード線ドライバ回路1412は、アクセス対象行のワード線WLを選択する選択信号を生成する。
【0292】
列セレクタ1413、センスアンプドライバ回路1414はセンスアンプアレイ1423を駆動するための回路である。列セレクタ1413は、アクセス対象列のビット線を選択するための選択信号を生成する機能をもつ。列セレクタ1413の選択信号によって、各ローカルセンスアンプアレイ1426のスイッチアレイ1444が制御される。センスアンプドライバ回路1414の制御信号によって、複数のローカルセンスアンプアレイ1426は独立して駆動される。
【0293】
(列回路1415)
列回路1415は、データ信号WDA[31:0]の入力を制御する機能、データ信号RDA[31:0]の出力を制御する機能を有する。データ信号WDA[31:0]は書き込みデータ信号であり、データ信号RDA[31:0]は読み出しデータ信号である。
【0294】
グローバルセンスアンプ1447はグローバルビット線対(GBLL,GBLR)に電気的に接続されている。グローバルセンスアンプ1447はグローバルビット線対(GBLL,GBLR)間の電位差を増幅する機能、この電位差を保持する機能を有する。グローバルビット線対(GBLL,GBLR)へのデータの書き込み、および読み出しは、入出力回路1417によって行われる。
【0295】
DOSRAM1400の書き込み動作の概要を説明する。入出力回路1417によって、データがグローバルビット線対に書き込まれる。グローバルビット線対のデータは、グローバルセンスアンプアレイ1416によって保持される。アドレス信号が指定するローカルセンスアンプアレイ1426のスイッチアレイ1444によって、グローバルビット線対のデータが、対象列のビット線対に書き込まれる。ローカルセンスアンプアレイ1426は、書き込まれたデータを増幅し、保持する。指定されたローカルメモリセルアレイ1425において、行回路1410によって、対象行のワード線WLが選択され、選択行のメモリセル1445にローカルセンスアンプアレイ1426の保持データが書き込まれる。
【0296】
DOSRAM1400の読み出し動作の概要を説明する。アドレス信号によって、ローカルメモリセルアレイ1425の1行が指定される。指定されたローカルメモリセルアレイ1425において、対象行のワード線WLが選択状態となり、メモリセル1445のデータがビット線に書き込まれる。ローカルセンスアンプアレイ1426によって、各列のビット線対の電位差がデータとして検出され、かつ保持される。スイッチアレイ1444によって、ローカルセンスアンプアレイ1426の保持データのうち、アドレス信号が指定する列のデータが、グローバルビット線対に書き込まれる。グローバルセンスアンプアレイ1416は、グローバルビット線対のデータを検出し、保持する。グローバルセンスアンプアレイ1416の保持データは入出力回路1417に出力される。以上で、読み出し動作が完了する。
【0297】
容量素子CS1の充放電によってデータを書き換えるため、DOSRAM1400には原理的には書き換え回数に制約はなく、かつ、低エネルギーで、データの書き込みおよび読み出しが可能である。また、メモリセル1445の回路構成が単純であるため、大容量化が容易である。
【0298】
トランジスタMW1はOSトランジスタである。OSトランジスタはオフ電流が極めて小さいため、容量素子CS1から電荷がリークすることを抑えることができる。したがって、DOSRAM1400の保持時間はSiトランジスタを用いたDRAMに比べて非常に長い。したがってリフレッシュの頻度を低減できるため、リフレッシュ動作に要する電力を削減できる。よって、DOSRAM1400は大容量のデータを高頻度で書き換えるメモリ装置、例えば、画像処理に利用されるフレームメモリに好適である。
【0299】
MC-SAアレイ1420が積層構造であることよって、ローカルセンスアンプアレイ1426の長さと同程度の長さにビット線を短くすることができる。ビット線を短くすることで、ビット線容量が小さくなり、メモリセル1445の保持容量を低減することができる。また、ローカルセンスアンプアレイ1426にスイッチアレイ1444を設けることで、長いビット線の本数を減らすことができる。以上の理由から、DOSRAM1400のアクセス時に駆動する負荷が低減され、消費電力を低減することができる。
【0300】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
【0301】
(実施の形態5)
本実施の形態では、図23乃至図26を用いて、本発明の一態様に係る、OSトランジスタ、および容量素子が適用されている半導体装置の一例として、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)について説明する。本実施の形態のFPGAは、コンフィギュレーションメモリ、およびレジスタにOSメモリが適用されている。ここでは、このようなFPGAを「OS-FPGA」と呼ぶ。
【0302】
<<OS-FPGA>>
図23(A)にOS-FPGAの構成例を示す。図23(A)に示すOS-FPGA3110は、マルチコンテキスト構造によるコンテキスト切り替え、細粒度パワーゲーティング、NOFF(ノーマリオフ)コンピューティングが可能である。OS-FPGA3110は、コントローラ(Controller)3111、ワードドライバ(Word driver)3112、データドライバ(Data driver)3113、およびプログラマブルエリア(Programmable area)3115を有する。
【0303】
プログラマブルエリア3115は、2個の入出力ブロック(IOB)3117、およびコア(Core)3119を有する。IOB3117は複数のプログラマブル入出力回路を有する。コア3119は、複数のロジックアレイブロック(LAB)3120、および複数のスイッチアレイブロック(SAB)3130を有する。LAB3120は複数のプログラマブルロジックエレメント(PLE)3121を有する。図23(B)には、LAB3120を5個のPLE3121で構成する例を示す。図23(C)に示すようにSAB3130はアレイ状に配列された複数のスイッチブロック(SB)3131を有する。LAB3120は自身の入力端子と、SAB3130を介して4(上下左右)方向のLAB3120に接続される。
【0304】
図24(A)乃至図24(C)を参照して、SB3131について説明する。図24(A)に示すSB3131には、data、datab、信号context[1:0]、信号word[1:0]が入力される。data、databはコンフィギュレーションデータであり、dataとdatabは論理が相補的な関係にある。OS-FPGA3110のコンテキスト数は2であり、信号context[1:0]はコンテキスト選択信号である。信号word[1:0]はワード線選択信号であり、信号word[1:0]が入力される配線がそれぞれワード線である。
【0305】
SB3131は、PRS(プログラマブルルーティングスイッチ)3133[0]、およびPRS3133[1]を有する。PRS3133[0]、およびPRS3133[1]は、相補データを格納できるコンフィギュレーションメモリ(CM)を有する。なお、PRS3133[0]とPRS3133[1]とを区別しない場合、PRS3133と呼ぶ。他の要素についても同様である。
【0306】
図24(B)にPRS3133[0]の回路構成例を示す。PRS3133[0]とPRS3133[1]とは同じ回路構成を有する。PRS3133[0]とPRS3133[1]とは入力されるコンテキスト選択信号、ワード線選択信号が異なる。信号context[0]、信号word[0]はPRS3133[0]に入力され、信号context[1]、信号word[1]はPRS3133[1]に入力される。例えば、SB3131において、信号context[0]が“H”になることで、PRS3133[0]がアクティブになる。
【0307】
PRS3133[0]は、CM3135、およびSiトランジスタM31を有する。SiトランジスタM31は、CM3135により制御されるパストランジスタである。CM3135は、メモリ回路3137、およびメモリ回路3137Bを有する。メモリ回路3137、メモリ回路3137Bは同じ回路構成である。メモリ回路3137は、容量素子C31、OSトランジスタMO31、およびトランジスタMO32を有する。メモリ回路3137Bは、容量素子CB31、OSトランジスタMOB31、およびOSトランジスタMOB32を有する。
【0308】
上記実施の形態に示す半導体装置をSAB3130に用いる場合、OSトランジスタMO31、OSトランジスタ32、OSトランジスタMOB31、およびOSトランジスタMOB32としてトランジスタ200を用い、容量素子C31、および容量素子CB31として容量素子100を用いることができる。これにより、トランジスタと容量素子一組当たりの上面視における占有面積を低減することができるので、本実施の形態に係る半導体装置を高集積化させることができる。
【0309】
OSトランジスタMO31、OSトランジスタMO32、OSトランジスタMOB31、およびOSトランジスタMOB32はバックゲートを有し、これらバックゲートはそれぞれ固定電位を供給する電源線に電気的に接続されている。
【0310】
SiトランジスタM31のゲートがノードN31であり、OSトランジスタMO32のゲートがノードN32であり、OSトランジスタMOB32のゲートがノードNB32である。ノードN32、ノードNB32はCM3135の電荷保持ノードである。OSトランジスタMO32はノードN31と信号context[0]用の信号線との間の導通状態を制御する。OSトランジスタMOB32はノードN31と低電位電源線VSSとの間の導通状態を制御する。
【0311】
メモリ回路3137、メモリ回路3137Bが保持するデータは相補的な関係にある。したがって、OSトランジスタMO32またはOSトランジスタMOB32のいずれか一方が導通する。
【0312】
図24(C)を参照して、PRS3133[0]の動作例を説明する。PRS3133[0]にコンフィギュレーションデータが既に書き込まれており、PRS3133[0]のノードN32は“H”であり、ノードNB32は“L”である。
【0313】
信号context[0]が“L”である間はPRS3133[0]は非アクティブである。この期間に、PRS3133[0]の入力端子(input)が“H”に遷移しても、SiトランジスタM31のゲートは“L”が維持され、PRS3133[0]の出力端子(output)も“L”が維持される。
【0314】
信号context[0]が“H”である間はPRS3133[0]はアクティブである。信号context[0]が“H”に遷移すると、CM3135が記憶するコンフィギュレーションデータによって、SiトランジスタM31のゲートは“H”に遷移する。
【0315】
PRS3133[0]がアクティブである期間に、入力端子が“H”に遷移すると、メモリ回路3137のOSトランジスタMO32がソースフォロアであるために、ブースティング(boosting)によってSiトランジスタM31のゲート電位は上昇する。その結果、メモリ回路3137のOSトランジスタMO32は駆動能力を失い、SiトランジスタM31のゲートは浮遊状態となる。
【0316】
マルチコンテキスト機能を備えるPRS3133において、CM3135はマルチプレクサの機能を併せ持つ。
【0317】
図25にPLE3121の構成例を示す。PLE3121はLUT(ルックアップテーブル)ブロック(LUT block)3123、レジスタブロック3124、セレクタ3125、およびCM3126を有する。LUTブロック3123は、入力inA乃至inDに従って内部の16ビットCM対の出力をマルチプレクスする構成である。セレクタ3125は、CM3126が格納するコンフィギュレーションに従って、LUTブロック3123の出力またはレジスタブロック3124の出力を選択し、出力outとする。
【0318】
PLE3121は、パワースイッチ3127を介して電圧VDD用の電源線に電気的に接続されている。パワースイッチ3127のオンオフは、CM3128が格納するコンフィギュレーションデータによって設定される。各PLE3121にパワースイッチ3127を設けることで、細粒度パワーゲーティングが可能である。細粒度パワーゲーティング機能により、コンテキストの切り替え後に使用されないPLE3121をパワーゲーティングすることができるので、待機電力を効果的に低減できる。
【0319】
NOFFコンピューティングを実現するため、レジスタブロック3124は、不揮発性レジスタで構成される。PLE3121内の不揮発性レジスタはOSメモリを備えるフリップフロップ(以下[OS-FF]と呼ぶ)である。
【0320】
レジスタブロック3124は、OS-FF3140[1]、およびOS-FF3140[2]を有する。信号user_res、信号load、信号storeがOS-FF3140[1]、OS-FF3140[2]に入力される。クロック信号CLK1はOS-FF3140[1]に入力され、クロック信号CLK2はOS-FF3140[2]に入力される。図26(A)にOS-FF3140の構成例を示す。
【0321】
OS-FF3140は、FF3141、およびシャドウレジスタ3142を有する。FF3141は、ノードCK、ノードR、ノードD、ノードQ、およびノードQBを有する。ノードCKにはクロック信号が入力される。ノードRには信号user_resが入力される。信号user_resはリセット信号である。ノードDはデータ入力ノードであり、ノードQはデータ出力ノードである。ノードQとノードQBとは論理が相補関係にある。
【0322】
シャドウレジスタ3142は、FF3141のバックアップ回路として機能する。シャドウレジスタ3142は、信号storeに従いノードQ、ノードQBのデータをそれぞれバックアップし、また、信号loadに従い、バックアップしたデータをノードQ、ノードQBに書き戻す。
【0323】
シャドウレジスタ3142は、インバータ回路3188、インバータ回路3189、SiトランジスタM37、SiトランジスタMB37、メモリ回路3143、およびメモリ回路3143Bを有する。メモリ回路3143、およびメモリ回路3143Bは、PRS3133のメモリ回路3137と同じ回路構成である。メモリ回路3143は容量素子C36、OSトランジスタMO35、およびOSトランジスタMO36を有する。メモリ回路3143Bは容量素子CB36、OSトランジスタMOB35、およびOSトランジスタMOB36を有する。ノードN36、およびノードNB36はそれぞれ、OSトランジスタMO36、およびOSトランジスタMOB36のゲートであり、それぞれ電荷保持ノードである。ノードN37、およびノードNB37はそれぞれ、SiトランジスタM37、およびSiトランジスタMB37のゲートである。
【0324】
上記実施の形態に示す半導体装置をLAB3120に用いる場合、OSトランジスタMO35、およびOSトランジスタMOB35としてトランジスタ200を用い、容量素子C36、および容量素子CB36として容量素子100を用いることができる。これにより、トランジスタと容量素子一組当たりの上面視における占有面積を低減することができるので、本実施の形態に係る半導体装置を高集積化させることができる。
【0325】
OSトランジスタMO35、OSトランジスタMO36、OSトランジスタMOB35、およびOSトランジスタMOB36はバックゲートを有し、これらバックゲートはそれぞれ固定電位を供給する電源線に電気的に接続されている。
【0326】
図26(B)を参照して、OS-FF3140の動作方法例を説明する。
【0327】
(バックアップ(Backup))
“H”の信号storeがOS-FF3140に入力されると、シャドウレジスタ3142はFF3141のデータをバックアップする。ノードN36は、ノードQのデータが書き込まれることで、“L”となり、ノードNB36は、ノードQBのデータが書き込まれることで、“H”となる。しかる後、パワーゲーティングが実行され、パワースイッチ3127をオフにする。FF3141のノードQ、ノードQBのデータは消失するが、電源オフであっても、シャドウレジスタ3142はバックアップしたデータを保持する。
【0328】
(リカバリ(Recovery))
パワースイッチ3127をオンにし、PLE3121に電源を供給する。しかる後、“H”の信号loadがOS-FF3140に入力されると、シャドウレジスタ3142はバックアップしているデータをFF3141に書き戻す。ノードN36は“L”であるので、ノードN37は“L”が維持され、ノードNB36は“H”であるので、ノードNB37は“H”となる。よって、ノードQは“H”になり、ノードQBは“L”になる。つまり、OS-FF3140はバックアップ動作時の状態に復帰する。
【0329】
細粒度パワーゲーティングと、OS-FF3140のバックアップ/リカバリ動作とを組み合わせることで、OS-FPGA3110の消費電力を効果的に低減できる。
【0330】
メモリ回路において発生し得るエラーとして放射線の入射によるソフトエラーが挙げられる。ソフトエラーは、メモリやパッケージを構成する材料などから放出されるα線や、宇宙から大気に入射した一次宇宙線が大気中に存在する原子の原子核と核反応を起こすことにより発生する二次宇宙線中性子などがトランジスタに照射され、電子正孔対が生成されることにより、メモリに保持されたデータが反転するなどの誤作動が生じる現象である。OSトランジスタを用いたOSメモリはソフトエラー耐性が高い。そのため、OSメモリを搭載することで、信頼性の高いOS-FPGA3110を提供することができる。
【0331】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
【0332】
(実施の形態6)
本実施の形態では、図27を用いて、上記実施の形態に示す半導体装置を適用した、AIシステムについて説明を行う。
【0333】
図27はAIシステム4041の構成例を示すブロック図である。AIシステム4041は、演算部4010と、制御部4020と、入出力部4030と、を有する。
【0334】
演算部4010は、アナログ演算回路4011と、DOSRAM4012と、NOSRAM4013と、FPGA4014と、を有する。DOSRAM4012、NOSRAM4013、およびFPGA4014として、上記実施の形態に示す、DOSRAM1400、NOSRAM1600、およびOS-FPGA3110を用いることができる。
【0335】
制御部4020は、CPU(Central Processing Unit)4021と、GPU(Graphics Processing Unit)4022と、PLL(Phase Locked Loop)4023と、SRAM(Static Random Access Memory)4024と、PROM(Programmable Read Only Memory)4025と、メモリコントローラ4026と、電源回路4027と、PMU(Power Management Unit)4028と、を有する。
【0336】
入出力部4030は、外部記憶制御回路4031と、音声コーデック4032と、映像コーデック4033と、汎用入出力モジュール4034と、通信モジュール4035と、を有する。
【0337】
演算部4010は、ニューラルネットワークによる学習または推論を実行することができる。
【0338】
アナログ演算回路4011はA/D(アナログ/デジタル)変換回路、D/A(デジタル/アナログ)変換回路、および積和演算回路を有する。
【0339】
アナログ演算回路4011はOSトランジスタを用いて形成することが好ましい。OSトランジスタを用いたアナログ演算回路4011は、アナログメモリを有し、学習または推論に必要な積和演算を、低消費電力で実行することが可能になる。
【0340】
DOSRAM4012は、OSトランジスタを用いて形成されたDRAMであり、DOSRAM4012は、CPU4021から送られてくるデジタルデータを一時的に格納するメモリである。DOSRAM4012は、OSトランジスタを含むメモリセルと、Siトランジスタを含む読み出し回路部を有する。上記メモリセルと読み出し回路部は、積層された異なる層に設けることができるため、DOSRAM4012は、全体の回路面積を小さくすることができる。
【0341】
ニューラルネットワークを用いた計算は、入力データが1000を超えることがある。上記入力データをSRAMに格納する場合、SRAMは回路面積に制限があり、記憶容量が小さいため、上記入力データを小分けにして格納せざるを得ない。DOSRAM4012は、限られた回路面積でも、メモリセルを高集積に配置することが可能であり、SRAMに比べて記憶容量が大きい。そのため、DOSRAM4012は、上記入力データを効率よく格納することができる。
【0342】
NOSRAM4013はOSトランジスタを用いた不揮発性メモリである。NOSRAM4013は、フラッシュメモリや、ReRAM(Resistive Random Access Memory)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)などの他の不揮発性メモリと比べて、データを書き込む際の消費電力が小さい。また、フラッシュメモリやReRAMのように、データを書き込む際に素子が劣化することもなく、データの書き込み可能回数に制限が無い。
【0343】
また、NOSRAM4013は、1ビットの2値データの他に、2ビット以上の多値データを記憶することができる。NOSRAM4013は多値データを記憶することで、1ビット当たりのメモリセル面積を小さくすることができる。
【0344】
また、NOSRAM4013は、デジタルデータの他にアナログデータを記憶することができる。そのため、アナログ演算回路4011は、NOSRAM4013をアナログメモリとして用いることもできる。NOSRAM4013は、アナログデータのまま記憶することができるため、D/A変換回路やA/D変換回路が不要である。そのため、NOSRAM4013は周辺回路の面積を小さくすることができる。なお、本明細書においてアナログデータとは、3ビット(8値)以上分解能を有するデータのことを指す。上述した多値データがアナログデータに含まれる場合もある。
【0345】
ニューラルネットワークの計算に用いられるデータやパラメータは、一旦、NOSRAM4013に格納することができる。上記データやパラメータは、CPU4021を介して、AIシステム4041の外部に設けられたメモリに格納してもよいが、内部に設けられたNOSRAM4013の方が、より高速かつ低消費電力に上記データやパラメータを格納することができる。また、NOSRAM4013は、DOSRAM4012よりもビット線を長くすることができるので、記憶容量を大きくすることができる。
【0346】
FPGA4014は、OSトランジスタを用いたFPGAである。AIシステム4041は、FPGA4014を用いることによって、ハードウェアで後述する、ディープニューラルネットワーク(DNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)、自己符号化器、深層ボルツマンマシン(DBM)、深層信念ネットワーク(DBN)などの、ニューラルネットワークの接続を構成することができる。上記のニューラルネットワークの接続をハードウェアで構成することで、より高速に実行することができる。
【0347】
OS-FPGAは、SRAMで構成されるFPGAよりもメモリの面積を小さくすることができる。そのため、コンテキスト切り替え機能を追加しても面積増加が少ない。また、OS-FPGAはブースティングによりデータやパラメータを高速に伝えることができる。
【0348】
AIシステム4041は、アナログ演算回路4011、DOSRAM4012、NOSRAM4013、およびFPGA4014を1つのダイ(チップ)の上に設けることができる。そのため、AIシステム4041は、高速かつ低消費電力に、ニューラルネットワークの計算を実行することができる。また、アナログ演算回路4011、DOSRAM4012、NOSRAM4013、およびFPGA4014は、同じ製造プロセスで作製することができる。そのため、AIシステム4041は、低コストで作製することができる。
【0349】
なお、演算部4010は、DOSRAM4012、NOSRAM4013、およびFPGA4014を、全て有する必要はない。AIシステム4041が解決したい課題に応じて、DOSRAM4012、NOSRAM4013、およびFPGA4014の一または複数を、選択して設ければよい。
【0350】
AIシステム4041は、解決したい課題に応じて、ディープニューラルネットワーク(DNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)、自己符号化器、深層ボルツマンマシン(DBM)、深層信念ネットワーク(DBN)などの手法を実行することができる。PROM4025は、これらの手法の少なくとも1つを実行するためのプログラムを保存することができる。また、当該プログラムの一部または全てを、NOSRAM4013に保存してもよい。
【0351】
ライブラリとして存在する既存のプログラムは、GPUの処理を前提としているものが多い。そのため、AIシステム4041はGPU4022を有することが好ましい。AIシステム4041は、学習と推論で用いられる積和演算のうち、律速となる積和演算を演算部4010で実行し、それ以外の積和演算をGPU4022で実行することができる。そうすることで、学習と推論を高速に実行することができる。
【0352】
電源回路4027は、論理回路用の低電源電位を生成するだけではなく、アナログ演算のための電位生成も行う。電源回路4027はOSメモリを用いてもよい。電源回路4027は、基準電位をOSメモリに保存することで、消費電力を下げることができる。
【0353】
PMU4028は、AIシステム4041の電力供給を一時的にオフにする機能を有する。
【0354】
CPU4021およびGPU4022は、レジスタとしてOSメモリを有することが好ましい。CPU4021およびGPU4022はOSメモリを有することで、電力供給がオフになっても、OSメモリ中にデータ(論理値)を保持し続けることができる。その結果、AIシステム4041は、電力を節約することができる。
【0355】
PLL4023は、クロックを生成する機能を有する。AIシステム4041は、PLL4023が生成したクロックを基準に動作を行う。PLL4023はOSメモリを有することが好ましい。PLL4023はOSメモリを有することで、クロックの発振周期を制御するアナログ電位を保持することができる。
【0356】
AIシステム4041は、DRAMなどの外部メモリにデータを保存してもよい。そのため、AIシステム4041は、外部のDRAMとのインターフェースとして機能するメモリコントローラ4026を有することが好ましい。また、メモリコントローラ4026は、CPU4021またはGPU4022の近くに配置することが好ましい。そうすることで、データのやり取りを高速に行うことができる。
【0357】
制御部4020に示す回路の一部または全ては、演算部4010と同じダイの上に形成することができる。そうすることで、AIシステム4041は、高速かつ低消費電力に、ニューラルネットワークの計算を実行することができる。
【0358】
ニューラルネットワークの計算に用いられるデータは外部記憶装置(HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)など)に保存される場合が多い。そのため、AIシステム4041は、外部記憶装置とのインターフェースとして機能する外部記憶制御回路4031を有することが好ましい。
【0359】
ニューラルネットワークを用いた学習と推論は、音声や映像を扱うことが多いので、AIシステム4041は音声コーデック4032および映像コーデック4033を有する。音声コーデック4032は、音声データのエンコード(符号化)およびデコード(復号)を行い、映像コーデック4033は、映像データのエンコードおよびデコードを行う。
【0360】
AIシステム4041は、外部センサから得られたデータを用いて学習または推論を行うことができる。そのため、AIシステム4041は汎用入出力モジュール4034を有する。汎用入出力モジュール4034は、例えば、USB(Universal Serial Bus)やI2C(Inter-Integrated Circuit)などを含む。
【0361】
AIシステム4041は、インターネットを経由して得られたデータを用いて学習または推論を行うことができる。そのため、AIシステム4041は、通信モジュール4035を有することが好ましい。
【0362】
アナログ演算回路4011は、多値のフラッシュメモリをアナログメモリとして用いてもよい。しかし、フラッシュメモリは書き換え可能回数に制限がある。また、多値のフラッシュメモリは、エンベディッドで形成する(演算回路とメモリを同じダイの上に形成する)ことが非常に難しい。
【0363】
また、アナログ演算回路4011は、ReRAMをアナログメモリとして用いてもよい。しかし、ReRAMは書き換え可能回数に制限があり、記憶精度の点でも問題がある。さらに、2端子でなる素子であるため、データの書き込みと読み出しを分ける回路設計が複雑になる。
【0364】
また、アナログ演算回路4011は、MRAMをアナログメモリとして用いてもよい。しかし、MRAMは抵抗変化率が低く、記憶精度の点で問題がある。
【0365】
以上を鑑み、アナログ演算回路4011は、OSメモリをアナログメモリとして用いることが好ましい。
【0366】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
【0367】
(実施の形態7)
本実施の形態では、上記実施の形態に示すAIシステムの応用例について図28を用いて説明を行う。
【0368】
図28(A)は、図27で説明したAIシステム4041を並列に配置し、バス線を介してシステム間での信号の送受信を可能にした、AIシステム4041Aである。
【0369】
図28(A)に図示するAIシステム4041Aは、複数のAIシステム4041_1乃至AIシステム4041_n(nは自然数)を有する。AIシステム4041_1乃至AIシステム4041_nは、バス線4098を介して互いに接続されている。
【0370】
また図28(B)は、図27で説明したAIシステム4041を図28(A)と同様に並列に配置し、ネットワークを介してシステム間での信号の送受信を可能にした、AIシステム4041Bである。
【0371】
図28(B)に図示するAIシステム4041Bは、複数のAIシステム4041_1乃至AIシステム4041_nを有する。AIシステム4041_1乃至AIシステム4041_nは、ネットワーク4099を介して互いに接続されている。
【0372】
ネットワーク4099は、AIシステム4041_1乃至AIシステム4041_nのそれぞれに通信モジュールを設け、無線または有線による通信を行う構成とすればよい。通信モジュールは、アンテナを介して通信を行うことができる。例えば、World Wide Web(WWW)の基盤であるインターネット、イントラネット、エクストラネット、PAN(Personal Area Network)、LAN(Local Area Network)、CAN(Campus Area Network)、MAN(Metropolitan Area Network)、WAN(Wide Area Network)、GAN(Global Area Network)等のコンピュータネットワークに各電子装置を接続させ、通信を行うことができる。無線通信を行う場合、通信プロトコルまたは通信技術として、LTE(Long Term Evolution)、GSM(Global System for Mobile Communication:登録商標)、EDGE(Enhanced Data Rates for GSM Evolution)、CDMA2000(Code Division Multiple Access 2000)、W-CDMA(登録商標)などの通信規格、またはWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等のIEEEにより通信規格化された仕様を用いることができる。
【0373】
図28(A)、図28(B)の構成とすることで、外部のセンサ等で得られたアナログ信号を別々のAIシステムで処理することができる。例えば、生体情報のように、脳波、脈拍、血圧、体温等といった情報を脳波センサ、脈波センサ、血圧センサ、温度センサといった各種センサで取得し、別々のAIシステムでアナログ信号を処理することができる。別々のAIシステムのそれぞれで信号の処理、または学習を行うことで一つのAIシステムあたりの情報処理量を少なくできる。そのため、より少ない演算量で信号の処理、または学習を行うことができる。その結果、認識精度を高めることができる。それぞれのAIシステムで得られた情報から、複雑に変化する生体情報の変化を瞬時に統合的に把握することができるといったことが期待できる。
【0374】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
【0375】
(実施の形態8)
本実施の形態では、上記実施の形態に示すAIシステムが組み込まれたICの一例を示す。
【0376】
上記実施の形態に示すAIシステムは、CPU等のSiトランジスタでなるデジタル処理回路と、OSトランジスタを用いたアナログ演算回路、OS-FPGA、およびDOSRAM、NOSRAM等のOSメモリと、を、1つのダイに集積することができる。
【0377】
図29に、AIシステムを組み込んだICの一例を示す。図29に示すAIシステムIC7000は、リード7001および回路部7003を有する。回路部7003には、上記実施の形態で示した各種の回路が1のダイに設けられている。回路部7003は、先の実施の形態で図17に示すように、積層構造をもち、Siトランジスタ層7031、配線層7032、OSトランジスタ層7033に大別される。OSトランジスタ層7033をSiトランジスタ層7031に積層して設けることができるため、AIシステムIC7000の小型化が容易である。
【0378】
図29では、AIシステムIC7000のパッケージにQFP(Quad Flat Package)を適用しているが、パッケージの態様はこれに限定されない。
【0379】
CPU等のデジタル処理回路と、OSトランジスタを用いたアナログ演算回路、OS-FPGA、およびDOSRAM、NOSRAM等のOSメモリと、は、全て、Siトランジスタ層7031、配線層7032およびOSトランジスタ層7033に形成することができる。すなわち、上記AIシステムを構成する素子は、同一の製造プロセスで形成することが可能である。そのため、本実施の形態に示すICは、構成する素子が増えても製造プロセスを増やす必要がなく、上記AIシステムを低コストで組み込むことができる。
【0380】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
【0381】
(実施の形態9)
<電子機器>
本発明の一態様に係る半導体装置は、様々な電子機器に用いることができる。図30に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いた電子機器の具体例を示す。
【0382】
図30(A)は、自動車の一例を示す外観図である。自動車2980は、車体2981、車輪2982、ダッシュボード2983、ライト2984等を有する。また、自動車2980は、アンテナ、バッテリなどを備える。
【0383】
図30(B)に示す情報端末2910は、筐体2911、表示部2912、マイク2917、スピーカ部2914、カメラ2913、外部接続部2916、操作スイッチ2915等を有する。表示部2912には、可撓性基板が用いられた表示パネルおよびタッチスクリーンを備える。また、情報端末2910は、筐体2911の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。情報端末2910は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット型情報端末、タブレット型パーソナルコンピュータ、電子書籍端末等として用いることができる。
【0384】
図30(C)に示すノート型パーソナルコンピュータ2920は、筐体2921、表示部2922、キーボード2923、ポインティングデバイス2924等を有する。また、ノート型パーソナルコンピュータ2920は、筐体2921の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。
【0385】
図30(D)に示すビデオカメラ2940は、筐体2941、筐体2942、表示部2943、操作スイッチ2944、レンズ2945、接続部2946等を有する。操作スイッチ2944およびレンズ2945は筐体2941に設けられており、表示部2943は筐体2942に設けられている。また、ビデオカメラ2940は、筐体2941の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。そして、筐体2941と筐体2942は、接続部2946により接続されており、筐体2941と筐体2942の間の角度は、接続部2946により変えることが可能な構造となっている。筐体2941に対する筐体2942の角度によって、表示部2943に表示される画像の向きの変更や、画像の表示/非表示の切り換えを行うことができる。
【0386】
図30(E)にバングル型の情報端末の一例を示す。情報端末2950は、筐体2951、表示部2952等を有する。また、情報端末2950は、筐体2951の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。表示部2952は、曲面を有する筐体2951に支持されている。表示部2952には、可撓性基板を用いた表示パネルを備えているため、フレキシブルかつ軽くて使い勝手の良い情報端末2950を提供することができる。
【0387】
図30(F)に腕時計型の情報端末の一例を示す。情報端末2960は、筐体2961、表示部2962、バンド2963、バックル2964、操作スイッチ2965、入出力端子2966などを備える。また、情報端末2960は、筐体2961の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。情報端末2960は、移動電話、電子メール、文章閲覧および作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。
【0388】
表示部2962の表示面は湾曲しており、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、表示部2962はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面に触れることで操作することができる。例えば、表示部2962に表示されたアイコン2967に触れることで、アプリケーションを起動することができる。操作スイッチ2965は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オフ動作、マナーモードの実行および解除、省電力モードの実行および解除など、様々な機能を持たせることができる。例えば、情報端末2960に組み込まれたオペレーティングシステムにより、操作スイッチ2965の機能を設定することもできる。
【0389】
また、情報端末2960は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、情報端末2960は入出力端子2966を備え、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子2966を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子2966を介さずに無線給電により行ってもよい。
【0390】
例えば、本発明の一態様の半導体装置を用いた記憶装置は、上述した電子機器の制御情報や、制御プログラムなどを長期間保持することができる。本発明の一態様に係る半導体装置を用いることで、信頼性の高い電子機器を実現することができる。
【0391】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0392】
100:容量素子、110:導電体、112:導電体、120:導電体、130:絶縁体、150:絶縁体、200:トランジスタ、200a:トランジスタ、200b:トランジスタ、200c:トランジスタ、205:導電体、205a:導電体、205b:導電体、210:絶縁体、212:絶縁体、214:絶縁体、216:絶縁体、218:導電体、220:絶縁体、222:絶縁体、224:絶縁体、230:酸化物、230A:酸化膜、230a:酸化物、230B:酸化膜、230b:酸化物、230c:酸化物、231:領域、231A:領域、231a:領域、231b:領域、232:領域、232a:領域、232b:領域、234:領域、239:領域、240:絶縁体、240A:絶縁膜、244:バリア膜、244A:バリア膜、246:導電体、246a:導電体、246b:導電体、248:導電体、248a:導電体、248b:導電体、250:絶縁体、250A:絶縁膜、260:導電体、260a:導電体、260b:導電体、270:バリア膜、270A:バリア膜、276:バリア膜、276a:バリア膜、276b:バリア膜、280:絶縁体、280A:絶縁膜、281:絶縁体、282:絶縁体、286:絶縁体、290A:膜、290b:ハードマスク、292a:レジストマスク、300:トランジスタ、311:基板、313:半導体領域、314a:低抵抗領域、314b:低抵抗領域、315:絶縁体、316:導電体、320:絶縁体、322:絶縁体、324:絶縁体、326:絶縁体、328:導電体、330:導電体、350:絶縁体、352:絶縁体、354:絶縁体、356:導電体、360:絶縁体、362:絶縁体、364:絶縁体、366:導電体、370:絶縁体、372:絶縁体、374:絶縁体、376:導電体、380:絶縁体、382:絶縁体、384:絶縁体、386:導電体、1001:配線、1002:配線、1003:配線、1004:配線、1005:配線、1006:配線、1400:DOSRAM、1405:コントローラ、1410:行回路、1411:デコーダ、1412:ワード線ドライバ回路、1413:列セレクタ、1414:センスアンプドライバ回路、1415:列回路、1416:グローバルセンスアンプアレイ、1417:入出力回路、1420:MC-SAアレイ、1422:メモリセルアレイ、1423:センスアンプアレイ、1425:ローカルメモリセルアレイ、1426:ローカルセンスアンプアレイ、1444:スイッチアレイ、1445:メモリセル、1446:センスアンプ、1447:グローバルセンスアンプ、1600:NOSRAM、1610:メモリセルアレイ、1611:メモリセル、1612:メモリセル、1613:メモリセル、1614:メモリセル、1640:コントローラ、1650:行ドライバ、1651:行デコーダ、1652:ワード線ドライバ、1660:列ドライバ、1661:列デコーダ、1662:ドライバ、1663:DAC、1670:出力ドライバ、1671:セレクタ、1672:ADC、1673:出力バッファ、2910:情報端末、2911:筐体、2912:表示部、2913:カメラ、2914:スピーカ部、2915:操作スイッチ、2916:外部接続部、2917:マイク、2920:ノート型パーソナルコンピュータ、2921:筐体、2922:表示部、2923:キーボード、2924:ポインティングデバイス、2940:ビデオカメラ、2941:筐体、2942:筐体、2943:表示部、2944:操作スイッチ、2945:レンズ、2946:接続部、2950:情報端末、2951:筐体、2952:表示部、2960:情報端末、2961:筐体、2962:表示部、2963:バンド、2964:バックル、2965:操作スイッチ、2966:入出力端子、2967:アイコン、2980:自動車、2981:車体、2982:車輪、2983:ダッシュボード、2984:ライト、3110:OS-FPGA、3111:コントローラ、3112:ワードドライバ、3113:データドライバ、3115:プログラマブルエリア、3117:IOB、3119:コア、3120:LAB、3121:PLE、3123:LUTブロック、3124:レジスタブロック、3125:セレクタ、3126:CM、3127:パワースイッチ、3128:CM、3130:SAB、3131:SB、3133:PRS、3135:CM、3137:メモリ回路、3137B:メモリ回路、3140:OS-FF、3141:FF、3142:シャドウレジスタ、3143:メモリ回路、3143B:メモリ回路、3188:インバータ回路、3189:インバータ回路、4010:演算部、4011:アナログ演算回路、4012:DOSRAM、4013:NOSRAM、4014:FPGA、4020:制御部、4021:CPU、4022:GPU、4023:PLL、4024:SRAM、4025:PROM、4026:メモリコントローラ、4027:電源回路、4028:PMU、4030:入出力部、4031:外部記憶制御回路、4032:音声コーデック、4033:映像コーデック、4034:汎用入出力モジュール、4035:通信モジュール、4041:AIシステム、4041_1:AIシステム、4041_n:AIシステム、4041A:AIシステム、4041B:AIシステム、4098:バス線、4099:ネットワーク、7000:AIシステムIC、7001:リード、7003:回路部、7031:Siトランジスタ層、7032:配線層、7033:OSトランジスタ層
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