(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】透過または反射光学系の製造方法およびレンズ
(51)【国際特許分類】
B23K 26/36 20140101AFI20221031BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20221031BHJP
B23K 26/352 20140101ALI20221031BHJP
B29D 11/00 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
B23K26/36
B23K26/00 N
B23K26/352
B29D11/00
(21)【出願番号】P 2019552332
(86)(22)【出願日】2017-12-13
(86)【国際出願番号】 DE2017000422
(87)【国際公開番号】W WO2018108197
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2019-06-12
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-28
(31)【優先権主張番号】102016014748.2
(32)【優先日】2016-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102017002986.5
(32)【優先日】2017-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102017007219.1
(32)【優先日】2017-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】594102418
【氏名又は名称】フラウンホーファー-ゲゼルシャフト ツル フェルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシュング エー ファウ
【氏名又は名称原語表記】Fraunhofer-Gesellschaft zur Foerderung der angewandten Forschung e.V.
【住所又は居所原語表記】Hansastrasse 27c, D-80686 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ラインハート ポプラーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン フォルナローリ
(72)【発明者】
【氏名】エトガー ヴィレンボアク
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ヴァインガーテン
(72)【発明者】
【氏名】アクセル フォン ヴァルフェルト
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ クラーゼン
【合議体】
【審判長】刈間 宏信
【審判官】鈴木 貴雄
【審判官】田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/119761(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/165435(WO,A1)
【文献】特開2014-182394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
素材(2)から透過または反射光学系(1)を製造する方法であって、除去レーザ(3)を用いて前記素材(2)に材料除去部(4)を生ぜしめ、前記除去レーザ(3)により前加工した前記素材(2)を、研磨レーザ(20)により後加工する、方法において、
前記除去レーザが前記素材に当たる領域において前記素材を蒸発させることにより、材料除去部を生ぜしめ、前記除去レーザの焦点直径は、5~50μmであり、前記除去レーザ(3)のパルス長は、1ns未満であり、前記研磨レーザを、0.1μm~100μmの範囲内のレーザ波長でもって操作し、
前記表面に対する個々のレーザパルスにより除去層内に形成される各除去凹部の間隔は、一定ではない、
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
密度勾配を有する素材が用いられる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
横断面が円形の素材(40)が用いられ、該素材(40)は中心(41)に向かって、縁部(42)に向かう光学密度とは異なる光学密度を有している、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
除去中および/または研磨中のパルスエネルギを変化させる、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
各レーザパルス照射の後あるいは1つまたは複数の層を加工した後で、前記光学系(1)の、加工された表面領域の形状(6)を測定する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記除去および/または前記研磨により、前記光学系の表面の光学密度を的確に変化させ、変化させられた屈折率が反射を阻止するようにする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記レーザ光線により、前記素材の前記材料を変化させ、完成したレンズが光学的な密度勾配を有するようにする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記除去レーザが1パルス当たり0.01~10μmの材料除去量を生ぜしめるように、前記除去レーザを操作する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記除去レーザは、100~1200nmのレーザ波長でもって操作される、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記除去レーザの走査速度は、500~5000mm/sである、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記除去レーザの前記パルスエネルギは、0.1μJ~10μJである、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記除去レーザの繰返し数は、5kHz~5000kHzである、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記研磨レーザは、500mm/s~20000mm/sの走査速度で、
少なくとも研磨すべき面の延在長さと同じ長さの線に沿って往復移動される、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記研磨レーザにより複数回の通過が実施される、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの素材から透過または反射光学系を製造する方法に関する。この場合、透過光学系は一般にレンズであり、反射光学系はミラーである。本発明は特に、眼内レンズ、コンタクトレンズ、屈折インプラント、眼鏡レンズ、例えばLED用の照明光学系または例えば顕微鏡、双眼鏡用または測定技術用の結像光学系の製造に関する。さらに本発明は、鏡面加工された表面および部分的に鏡面加工されておりかつ部分的に光線透過性である光学表面の加工にも関する。
【0002】
国際公開第9631315号(WO 96/31315)では、レーザを用いた任意の3D形状面の加工が説明される。この場合は特に、型工具における精密なシール面の製造が問題となっている。
【0003】
独国特許出願公開第102007058105号明細書(DE 10 2007 058 105 A1)には、除去レーザを備えた透過光学系の製造方法が記載されている。ただしこの方法では、材料除去は素材においてレーザにより達成されるのではなく、蒸発器と共に別個に被加工面に供給される除去手段により行われる。つまりこの方法では、材料除去は除去手段により達成され、レーザは素材の表面にではなく、除去手段に作用し、除去手段は、蒸気状の相または凝縮された液相として、レーザと素材との間でレーザ光線を吸収する。この出願に記載された500fs未満のパルス長は、蒸気状もしくは液状の除去手段に当たるレーザ光線に関するものであり、素材における材料除去をもたらすレーザ光線に関するものではない。このような方法は、特に硬い材料に適している。
【0004】
国際公開第2012119761号(WO 2012/119761 A1)は、エネルギ放射線、好適にはレーザ光線を用いた加工により光学素子を製造する方法に関する。この場合は石英ガラスから成る素材が、まず粗除去により加工され、次いで研磨および精密除去により加工される。この反復法は、極めて手間のかかる測定技術と複数の方法ステップとを要する。
【0005】
したがって本発明の根底を成す課題は、複数の材料から成る素材にも適用可能であり、好適には2つの方法ステップで間に合うと共に、手間のかかる測定技術を一切必要としない、請求項1の上位概念に記載の方法を提案することにある。特にこの方法は、迅速で廉価な製造を可能にすることが望ましい。
【0006】
この課題は、特許請求項1記載の特徴を有する方法により解決される。有利な改良は、それぞれ下位の請求項に記載されている。
【0007】
除去レーザのパルス長が極度に短い結果、パルス中に蒸発する材料が蒸発した後にエネルギ入力を妨げることはなく、各パルスの後で、2つのパルス間の短い中断中に、蒸気が加工領域からも十分に漏出することができるようになる、またはレーザを別の加工領域に向けることができるようになる。このことは、素材の表面上に極めて密に相接して位置する複数の小さな凹部を形成することができる、精密な表面加工を可能にする。
【0008】
短いパルス長により、溶融部またはレーザ光線の下で蒸発する材料の間で、相互作用はほぼ生じなくなる。材料除去は、直接的な蒸発により達成され、これにより、加工される材料が損傷されることはほとんどない。数フェムト秒~数ピコ秒または数ナノ秒の継続時間を有する超短レーザパルスは、従来の工具では不可能な新規の加工法を可能にする。これらのレーザ閃光は、大幅に時間を短縮することに基づき比較的小さなパルスエネルギでもって既に達成可能な、極度に高いピーク強度をもたらす。このことは、高精度の材料除去および感温性の材料の加工を可能にする。
【0009】
素材がプラスチックから製造されていると、有利である。このためにはモノマーおよびポリマーおよびこれらの組合せおよび特に透明プラスチックが適している。しかしまた、素材はガラス、セラミックまたは金属から製造されていてもよい。
【0010】
特に好適には、素材はアクリレートを有している。この場合、素材は複数の異なるプラスチックから製造されていてもよい。アクリレートは、好適には透明または部分的に透明である。アクリレートは、軟化剤と共にまたは軟化剤無しで使用され得る。適当な材料は、例えばHI56 SPECS(登録商標)、PMMA、CI26(登録商標)またはContaflex CI18(登録商標)、ヒドロゲル、シリコーンまたは例えばCollamer(登録商標)等の、コラーゲンとポリマーとの組合せである。
【0011】
素材は、特に円筒状の棒または板等の基体から切り取られるか、または切り抜かれてもよい。特に有利なのは、素材が射出成形または押出し成形により製造される場合である。
【0012】
1つの特に有利な実施形態は、素材が、粉末状、液状またはガス状の材料から付加製造(3Dプリント)により製造されていることを想定している。この場合、素材は既に、最終形状に適合させられた3次元形状を有することができ、この3次元形状は非対称に形成されていてもよい。しかしまた代替的に、素材は除去する手法によっても製造され得る。
【0013】
1つの有利な実施形態は、密度勾配を有する素材が使用されることを想定している。このような密度勾配は、素材内に、局所的に異なる光の屈折特性を生ぜしめる。これにより、素材内で光学密度を調整することで、比較的小さな表面曲率でもって、均質な素材と同一の光の屈折を生ぜしめる素材を製造し、使用することができるようになる。
【0014】
代替的または追加的に、素材は複数の異なる材料または材料種から製造されていることを提案する。これにより、材料選択および局所的な材料配置に基づき特定の屈折特性をもたらす、多重材料素材が生ぜしめられる。また、異なる密度を有する特定の複数の材料を選択した結果として、素材および光学系の屈折特性を決定する密度勾配を得ることもできる。
【0015】
例えば円筒において、外側の周面領域が核心領域とは異なる光学密度を有している場合には、円筒の平らな面に当たる光線が、材料の光学密度に相応して偏向され、表面を湾曲させて形成する必要はない。これにより、円形レンズにおける密度勾配は、半径方向において表面の曲率低下を可能にする。その結果、レーザ光線による、小さな曲率の表面の加工が容易になる。それというのも、比較的小さな曲率の結果として、レーザ光線をより簡単に、表面の湾曲部における法線に対してほぼ直角に案内することができるからである。しかしまた、素材は既に、レンズの所望の目標形状に近似した屈折特性を有していてもよい。これにより、レンズの加工手間が低減される。
【0016】
したがってさらに、中心に向かって、縁部に向かうのとは異なる光学密度を有する、横断面が円形の素材を用いることを提案する。
【0017】
レンズにおける密度勾配は、比較的小さな曲率を有するレンズまたはそれどころか曲率無しのレンズを製造することを可能にする。このことは、フレキシブルで巻き取ることができるように製造可能なレンズをもたらす。これにより、特に小さな開口を介してレンズを眼内に挿入するために、レンズを極めて小さく折り畳むことまたは巻くことが可能になる。つまり、破れやすい古いレンズを取り出して、新しいレンズを眼内へ挿入するためには、極めて小さな角膜切開で十分であり、新しいレンズは眼内で初めて展開するかまたは広がることになる。
【0018】
複数の異なる材料および密度勾配に関する各記載自体も、特許請求項1に記載のパルス長とは関係無く、本発明にとって重要である。
【0019】
パルスエネルギが、除去中および/または研磨中に変化させられると、有利である。よって、レーザのエネルギを時間的に変化させることを提案する。このことは、特定の表面領域において、その他の表面領域におけるよりも高いパルスエネルギでもって除去または研磨することを可能にする。レーザ光線が、例えば蛇行するライン上で素材の表面にわたり案内される場合には、例えば偏向領域においてエネルギ入力を減少させることができる。
【0020】
素材の形状を変化させるために材料の除去が重要である場合には、除去もしくは除去レーザと言う。これに対して形状を可能な限り不変に保とうとし、表面のみを平滑化しようとする場合には、研磨もしくは研磨レーザと言う。
【0021】
各レーザパルス後に、加工された表面領域における加工済みの光学系の形状が測定されると、特に有利である。この場合、面積範囲当たりの総除去量を求めることができるか、またはそれどころか凹部形状を求めることができる。このためには、好適には光コヒーレンストモグラフィが用いられる。このことは、場所データを記憶し、これらの場所データを次の面加工時または隣接面加工時に考慮することを可能にする。この場合、1回のパルスの直後に測定するか、または測定された面の加工が繰り返されるまでの時間または隣接面の加工までの時間中に測定する。このことは、マイクロメートル範囲またはそれどころかサブマイクロメートル範囲での精度を可能にする。
【0022】
加工された表面の測定の他に有利なのは、加工中に処理温度を測定システム、好適にはパイロメータまたはサーマルカメラにより監視する場合である。このことは、処理温度を所定の帯域幅内に保つように、処理温度を調整することを可能にする。
【0023】
レーザパルスは通常、面積にわたり、ガウス強度分布を有している。ただし、表面加工における特別な精度は、パルスのパルスエネルギ分布が局所的に非対称であることにより達成される。つまり矩形パルスとは異なり、矩形の側面がそれぞれ異なるように形成されていてもよい。特に、パルスは一方の側において中心に向かって、他方の側において中心から離反して低下するよりも急激に上昇してもよい。これにより、レーザ光線面積にわたるエネルギ分布を変化させることができ、湾曲面に光線が当たると、湾曲面に合わせた蒸発が生じることになる。特に、レーザパルスにより形成される凹部の深さを、パルス中に蒸発させられる体積を減少させずに浅くすることもできる。
【0024】
このことは、被加工面にわたりほぼ一定の除去を可能にする。さらに、除去断面を任意に変化させかつ操作することができる。
【0025】
さらにまた、被加工面全体にわたり、凹部深さが実質的に一定であることも望ましい。この場合、実質的にとは、レーザ光線の強度分布を調整し、これにより例えば半径rの円形面に照射した場合、半径r/2の円形面における平均凹部深さは最大で、r/2~rの範囲の環状面内の平均凹部深さの2倍の深さになることを意味する。それどころか好適には、この偏差はサブマイクロメートル範囲内である。
【0026】
1つの実施形態は、円形面または楕円形面における1回のパルスの最中のパルスエネルギ分布は、半径方向において少なくとも1つの最大値を有している、ということを想定している。パルスの強度分布は、例えば火山の噴火口の形状として表すことができ、円形の楕円面の縁部領域には、中央領域におけるよりも高い強度が作用する。このことは、課せられた課題に応じて、パルスが当たる面にわたってパルスの強度分布を個別に変化させることを可能にする。このパルス形状は、一度だけ調整可能であるか、または加工中に変更可能である。したがって、加工中にパルスエネルギ分布を、光線を横断する方向において変化させることを提案する。
【0027】
局所的なエネルギ分布および時間的なエネルギ分布に関する各記載自体も、特許請求項1記載のパルス長とは関係無く、本発明にとって重要である。
【0028】
レーザ光線の影響は、レーザ光線が被加工面に対して垂直に当たるのか、または所定の角度で当たるのかに応じて異なる。これにより、被加工面に対するレーザ光線の向きも、除去結果に影響を及ぼすことになる。この差を縮小するために、湾曲した光学系の加工中に、レーザ光線の向きを、レーザ光線と光学系との交点における接平面に対して実質的に垂直に保つことを提案する。この場合、実質的にとは、偏差が40%未満、好適には10%未満である場合を意味する。垂直とは、接平面に対して90°のレーザ光線の角度を表しているため、実質的に垂直とは、例えば接平面に対するレーザ光線の、70°よりも大きな角度を表す。代替的または追加的に、レーザ光線の強度または強度分布を入射角度に応じて変化させることもできる。
【0029】
レーザ光線を被加工面に対して可能な限り直角に当てさせるためには、ミラーを介して光線を偏向させることができる。しかしまた、レーザの位置と、加工されるべき光学系の位置とを互いに相対的に変化させてもよい。したがって、加工中に素材またはレーザの位置および/または向きを移動させることを提案する。
【0030】
既に1つの面または複数の面に、特に凸形または凹形等の所定の形状を有していて、1つの面においてのみレーザ加工される素材を使用することにより、加工の手間は大幅に削減され得る。1つの好適な実施形態は、素材が一方の面では対称に形成されておりかつ他方の面では非対称にまたは自由形状として加工されることを想定している。
【0031】
レーザ光線の向きおよび素材の形状に関する各記載自体も、特許請求項1記載のパルス長とは関係無く、本発明にとって重要である。
【0032】
さらに、除去および/または研磨により、光学系の表面の光学密度を的確に変化させ、変化させられた屈折率が反射を阻止するようにすることを提案する。特に極度の研磨により、ファブリ・ペロー効果および多重反射等の光の屈折を最小にすることができる。この場合、研磨剤は反射防止コーティングと同様に働く。このことは特に、複数の異なる層において屈折率が変化させられることによっても達成され得る。
【0033】
特に散乱光線を除去すると共に、増大された焦点深度を有するレンズおよび多焦点眼内レンズを製造することができるようにするためには、レーザ光線により素材の材料を変化させ、完成したレンズが光学的な密度勾配を有するようにすることを提案する。密度勾配の変化は、除去する手法および付加する手法により達成され得る。例えば、レーザ光スポットまたはレーザ焦点の向きが半径方向に共に回動させられることにより、密度勾配が達成され得る。特に、所定の光線分布によっても密度勾配が達成され得る。つまり、密度勾配または異なる密度の複数の領域を得るために、半径方向内側領域では、半径方向においてさらに外側に位置する領域におけるよりも高いレーザ光線強度でもって作業することができる。これに相応して、密度勾配または異なる密度の複数の領域を得るために、半径方向内側領域では、半径方向においてさらに外側に位置する領域におけるよりも低いレーザ光線強度でもって作業することもできる。この勾配または密度差は、透過性の光学系の屈折特性を計算する際に考慮され得る。有利には、レンズの2つの領域の間の光学的な密度差は、少なくとも0.01である。よって好適には半径方向において対称の、任意の屈折率勾配を、密度の変化として、または連続的な密度の移行として生ぜしめることができる。
【0034】
方法技術的に、除去レーザが1パルス当たり0.01~10μm、好適には0.02μm~5μm、特に好適には0.02μm~0.5μmの材料除去量を生ぜしめるように除去レーザを操作すると有利である、ということが判った。要求される材料除去量に応じて、除去を複数の層において実施してもよく、この場合、1層当たりの除去量は、20μm未満、好適には2μm未満、特に好適には1μm未満であることが望ましい。この場合、最初は比較的多量に除去して作業することができ、目標形状に近づいたら1層当たりの除去量を減らしてもよい。これにより、最初に比較的大きな強度または比較的大きな照射面でもって比較的多くの除去量が生ぜしめられ、次いで1パルスにつき、より少ない除去量が生ぜしめられることになり、これにより表面は、可能な限り平滑になると共に、あまり研磨されずに済む。
【0035】
除去レーザが、100~1200nm、好適には特に193nm~370nm等の400nm未満のレーザ波長でもって操作されると有利である、ということが判った。好適な波長は、193、248、266、343および355nmである。
【0036】
除去中、除去レーザの焦点直径は、5~50μm、好適には約20μmであることが望ましい。
【0037】
除去レーザの走査速度は、100~5000mm/s、好適には500~5000mm/s、特に好適には約1000mm/sである。
【0038】
除去レーザのパルスエネルギは、0.1μJ~10μJ、好適には約1μJであってもよい。
【0039】
除去レーザの繰返し数は、5kHz~5000kHz、好適には50~200または10~500kHzであってもよい。
【0040】
1つの有利な方法形態は、除去レーザのレーザ光線により、まず目標形状から間隔をおいて、材料の少なくとも50%が除去されるまで材料を除去し、次いで初めて目標形状付近の領域において、材料を除去することを想定している。この場合、レーザは上下方向に案内され得る。レーザを上方に向かって案内する場合にはまず、半径方向においてかなり外側で一部のみを除去してから、通常、さらに半径方向内側に達している、より小さな部分を除去する。下方向とは、最初に半径方向外側から最終形状に至るまで大きな部分を除去し、その後で、その下の、より小さな部分を除去することを意味する。
【0041】
さらに、表面に対する個々のレーザパルスにより、除去層内に形成される各除去凹部の間隔が一定ではないと有利である、ということが判った。平均的な除去層の密度を調整するためには、この間隔が変更されてもよい。これにより、面積当たりの除去量は、加工されるべき光学系における各パルス入射面の間隔に基づき変更されることになる。密に相並んで位置する各パルス入射面は、比較的多量の除去量を生ぜしめるのに対し、互いに大きく離間して位置する各パルス入射面は、比較的少量の除去量を生ぜしめる。
【0042】
研磨については、研磨レーザをパルス化または変調して、1μs超のパルス長でもって操作することを提案する。これにより、例えばプラスチックにおいて最適な研磨が達成され得る。
【0043】
研磨用の好適なレーザ波長は、0.1μm~100μm、好適には9μm~11μmまたは0.1μm~0.4μmの範囲内である。
【0044】
1つの特別な方法形態では、研磨レーザを連続的に操作することを想定している。つまりレーザは、研磨中にパルス化はされず、光線は、光学系の表面に対して相対的に、好適には強度までも変化させて、移動させられる。つまり、パルス化されたレーザとは異なり、常に一定のレーザ出力が存在している。
【0045】
研磨について、研磨レーザがワークにおいて、10mm未満、好適には0.1mm~8mmの光線直径を有していると有利である、ということが判った。研磨過程は、研磨レーザがワークにおいて、研磨すべき面以上の光線直径を有していることにより簡略化され得る。これにより、レーザを面にわたって往復移動させること無く、この面を一度に研磨することが可能になる。
【0046】
研磨レーザの有利な送り速度は、1~100mm/sである。
【0047】
さらに有利なのは、研磨レーザが500mm/s~20000mm/sの走査速度での走査移動に基づき、「準線形」に形成される場合である。
【0048】
研磨レーザは、1~500W、好適には約100~300Wの平均レーザ出力でもって操作され得る。光学系を研磨するためには、研磨レーザにより複数回の通過、好適には3~30回の通過が実施されると有利である。
【0049】
研磨レーザは、少なくとも研磨すべき面の延在長さと同じ長さの線長でもって操作されてもよい。つまりこのレーザ光線は、線として研磨すべき面にわたり案内され、その際には面全体がレーザ光線により捕らえられる、ということに注意する。
【0050】
本発明の根底を成す課題は、レンズの所定の領域に、別の領域におけるよりも1%だけ低い密度を有するレンズによっても解決される。このような密度勾配は特別な屈折特性をもたらし、これによりレンズは、その形状によってのみならず、特にその密度によっても、複数の異なる領域にそれぞれ異なる光の屈折を生ぜしめることになる。有利なのは、差が2~5%またはそれどころかそれ以上、例えば10%超の場合である。
【0051】
さらに、レンズが表面領域と核心領域とを有しており、表面領域の密度が、核心領域におけるよりも高いと有利である。追加的または代替的に、レンズは円形の横断面および半径方向の密度勾配を有していてもよい。
【0052】
用途に応じて、レンズが入射光線の5%未満、好適には1%未満を反射すると、有利な場合がある。
【0053】
除去および研磨におけるレーザのパラメータに関する各記載自体も、特許請求項1記載のパルス長および上述した別の特徴とは関係無く、本発明にとって重要である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
以下に、本発明による実施例を図示して説明する。
【
図3】レーザ加工後の加工済みの素材を示す概略図である。
【
図4】レンズ表面にレーザ光線が当たっているところを示す概略図である。
【
図5】レーザ光線が当たった後の溶融部と、生じた蒸気とを示す概略図である。
【
図7】レンズ表面に生ぜしめられた凹部を示す概略図である。
【
図8】レーザ光線によるレンズ表面の平滑化を示す概略図である。
【
図9】未加工のレンズ素材の表面を示す概略図である。
【
図10】レーザ除去後のレンズ表面を示す概略図である。
【
図12】加工中のレーザの送りを示す概略図である。
【
図13】レーザ出力と送り速度との関連を示す概略図である。
【
図14】密度勾配を有するレンズを示す概略平面図である。
【
図16】時間にわたるパルス強度の変化を示す概略図である。
【
図17】パルス強度の局所的な変化を示す概略図である。
【
図18】中央に強度が低下する部分を有するパルスを示す概略図である。
【
図19】レンズに対するレーザ光線の向きを示す概略図である。
【
図20】レンズ内部のレーザ加工を示す概略図である。
【
図21】レンズ表面上にそれぞれ異なる間隔をあけて配置された除去凹部を示す概略図である。
【
図22】レンズ内部の密度が高められたレンズを示す概略図である。
【
図23】レンズ表面の密度が高められたレンズを示す概略図である。
【
図25】レンズの半径方向外側領域の密度が高められたレンズを示す概略図である。
【
図27】半径方向において密度が変化するレンズを示す概略図である。
【0055】
図1には、透過光学系1としてレンズ素材2が示されている。
図2には、除去レーザ3を用いて前記素材2を加工する方法が示されている。この場合、
図2に示す例では既に、レンズ2の左側に示唆した材料除去部4が、レーザ3により達成されている。材料除去後には測定装置5により、レンズ2の加工済みの表面の領域の形状6が測定される。このことは、測定値に基づき好適にはまだ加工中に、レーザ3のパルス形式に影響を及ぼすことを可能にする。さらに、加工中に既にパイロメータ7により、処理温度が監視される。また処理温度も、レーザ3のレーザ光線形式に影響が及ぼされることにより影響され得、場合によっては制御さえされ得る。
【0056】
除去後に素材2は、
図3に示す、材料除去部4に起因すると見なされる、減少した体積を有する形状を有することになる。
【0057】
前記素材は、プラスチック、ガラス、セラミック、金属またはこれらの材料から成る混合物である。
図4には、レーザ光線9が素材8の表面10に当たり、その際に領域11において材料中にくぼみ状に侵入する様子が示されている。除去レーザのパルス長は約100フェムト秒であり、これにより、領域11において材料は蒸発させられる。この場合、くぼみ状の溶融領域12が生じ、このくぼみ状の領域12の内部には、蒸気から成る領域13が生じる。
【0058】
図6には、溶融部12が再び硬化すると共に、蒸気13が気化する様子が示されている。これにより、この過程の終了時には、材料8内に、
図7に示す凹部14が残されることになる。
【0059】
このような凹部を互いに密に並べて複数配置することで、面状の材料除去部4が得られる。この場合に形成される表面構造は、相接して並べられた凹部に基づき粗いものである。凹部深さの最小化および各凹部間の間隔の最小化により、表面上の粗さを低減させることができる。
【0060】
表面を平滑にするために有利なのは、レーザ強度が最小化されかつ/または被加工表面に対するレーザの入射面積が拡大される場合であり、その結果、材料はかろうじて溶融されるだけに過ぎず、可能な限り、材料が蒸発させられることはない。このためには一般に研磨レーザ20が用いられ、研磨レーザ20は、表面24にわたり所定の走査速度(Vscan)および入射幅22,23でもってライン21に沿って走査するように案内される。このとき研磨レーザ20は所定の送り速度(Vfeed)でもって、ライン21に対して垂直な矢印25の方向に前進させられる。
【0061】
これにより、
図9~
図11に示すように、まず素材2は除去レーザにより加工され、これにより材料除去部4が得られることで、素材2の粗い表面が生ずることになる。続くレーザ研磨により、
図11に示す、素材2の平滑な表面26が生ずる。
【0062】
この表面は、研磨後に鏡面加工されてもよい。
【0063】
本実施例では眼内レンズ2において、
図9に示す実施形態から選択的に材料除去を行うことにより、
図10に示す材料表面が形成され、次いでこの材料表面はレーザ研磨により、透明になるまで平滑化される。この場合、
図11に示す材料表面が生じる。
【0064】
除去レーザ3による材料除去4の最中に注意するのは、約100または200フェムト秒の超短パルスレーザ光線の作用により、周囲の材料を熱的に損傷すること無く、表面上のレーザ入射箇所においてのみ、選択的に局所的に限定された材料除去が達成される、という点である。本実施例では343nmのレーザ波長が用いられ、レーザ光線は、このレーザ波長の小さな光が侵入する深さに基づき、アクリレート内の表面付近で吸収されることになる。
【0065】
表面の初期形状と目標形状とを比較することにより、表面の各箇所における所要の除去深さひいては所要のレーザパルス数が決定される。これにより、レーザ光線形式の変更無しで、面積当たりのレーザパルス数に基づき、材料除去部4を確定することができる。この場合、レーザ材料除去用のレーザ光線は、被加工表面にわたり蛇行状に案内されてもよい。算出された、面積当たりのレーザパルス数に基づき、レーザは被加工面の上を移動する間、接続されたり遮断されたりする。
【0066】
図示の実施例では、材料表面におけるレーザ光線の、約20μmの光線直径、100kHzの繰返し数および1000mm/sの走査速度が用いられる。
【0067】
続くレーザ研磨(
図12)のためには、10.6μmの波長を有するレーザが使用される。それというのも、この波長も材料内の表面付近で吸収されるからである。レーザは連続運転させられ、レーザ出力は50~100ワットの範囲内である。これにより、レーザ研磨中にレーザ光線が作用することにより材料表面が溶融させられ、次いで材料表面は表面張力に基づき平滑化されてから、再び凝固することになる。
【0068】
図12に示す実施例では、表面を段階的に研磨するために20回、繰返し(移動の数)が実施され、この場合、目標粗さに到達するまで、繰返しの度に表面粗さを低下させる。試料の過熱を防ぐために、各繰返し間には20秒の中断が想定されている。
【0069】
図12に示した加工手段は、5000mm/sの走査速度を有する双方向性の走査手段が用いられ、これによりほぼ線状の焦点が生じる、という点において優れている。このほぼ線状の焦点35は、レンズ34の被研磨表面にわたり、30~40mm/sの送り速度33で案内される。ワークにおける光線直径31は、本実施例では6mmである。好適には、レーザ研磨の安定性をさらに改良するために、温度調整手段も使用される。
【0070】
平均的なレーザ出力が比較的高い場合には、より高い送り速度が使用され得、平均的なレーザ出力が比較的低い場合には、送り速度が低下させられる。つまりこのプロセスは、スケーラブルである。送り速度33と平均的なレーザ出力36との間の関連が、
図13に示されている。この場合、斜線で示す好適な作業範囲37が生じている。
【0071】
図14に示す特別な素材40は、射出成形により製造されている。射出成形法の結果として、この素材は密度勾配を有している。この場合、中心領域41は、縁部領域42よりも高い密度を備えて形成されている。この密度勾配は、射出成形時に、射出過程中の圧力状態により、または複数の異なるプラスチックが用いられる多成分射出成形によっても生ぜしめることができる。特に、粉末状、液状またはガス状の材料から付加製造する場合には、密度勾配を有する素材を簡単に、または複数の異なる材料から製造することができる。この密度勾配は、レンズ40における光の特別な屈折をもたらす。素材40の異なる密度が材料を除去する過程および研磨過程を損なわないようにするためには、レンズ40の内部にも異なる密度を有する領域を設けることができる一方で、加工に重要な表面領域を有する被加工表面は、均一な密度を有している。
【0072】
パルスエネルギが除去中に変化させられると、有利である。これに関して
図16には、時間的に連続した複数の異なるパルス50~55の強度が示されており、これらのパルス50~55は、それぞれ異なる強度56を有するが、(例示的に記号を付しただけに過ぎない)パルス長57は同じである。つまり、パルス50~55の強度56は、時間58にわたり変動する。これに相応して、個々のパルス50~55のパルス長57が変化するのに対し、パルス強度は一定のままであってもよい。最後に、時間にわたり、強度56とパルス長57とが変化させられると共に、好適には調整されてもよく、これにより、除去する過程に最適な影響を及ぼすことができると共に、過熱無しで迅速な加工を達成することができる。
【0073】
空間軸61および63上でのパルス60の局所的な強度分布が、
図17に例示されている。このパルスは左側において、局所的に限定された、右側よりも高いパルスエネルギ62を示している。この場合、パルスは例えば表面64に沿って緩やかに低下してもよいか、または湾曲した表面65に沿って激しく低下してもよく、これによりパルスの右側には、その左側よりも大幅に少ないエネルギが集中することになる。このことは、例えば所定の面積にわたりレーザ光線が移動させられた場合に、時間中、所定の面積範囲にもたらされる光線強度を変化させることを可能にする。
【0074】
図18には、パルス70の特別な局所エネルギ分布が示されており、パルス70の縁部領域71には、真ん中の中央領域72におけるよりも高いエネルギが存在している。これにより、レンズに生じている凹部の縁部領域の表面にパルスが当たると、凹部の中央領域におけるよりも高いエネルギがもたらされることになる。よって凹部は、鉢形というよりはむしろ矩形を有しており、相接して設けられた複数の凹部が、1つのほぼ平らな表面を形成している。
【0075】
このことを最適化するためには、加工中にパルスエネルギ分布を、光線を横断する方向において変化させることを提案する。
【0076】
レンズ81のレンズ形の表面80の均一な加工を達成するためには、レーザ光線82が、レーザ光線82とレンズ81との交点84における接平面83に対して実質的に垂直に保持されると、有利である。このことは、レーザ光線の向きが加工中に変化させられかつレンズ81の位置が一定に保持されること、またはレンズ81を加工中に動かすことで、レーザ光線82に対するレンズ81の向きが変化させられることにより、達成され得る。レンズ表面上の法線83に対して可能な限り垂直なレーザ光線82の向きを得るためには当然、レンズとレーザとが動かされてもよい。さらに、レーザを動かす代わりに、レーザ光線がレンズ表面に可能な限り垂直に当たるように、レーザ光線をミラーにより方向付けることもできる。
【0077】
図14および
図15に示したレンズの例のように、素材の材料選択または材料加工により、レンズの密度を変化させることができる。しかしまた、加工中に材料を除去しかつ/または研磨することによっても、密度を変化させることができる。このことは、レーザ光線形式により局所的に限定して、勾配として、レンズ表面に複数の異なる密度を設けることを可能にする。この場合、材料表面における密度は、屈折率の変化により反射が防止されるように増大され得る。ただし密度は、レーザ光線または複数のレーザ光線91,92により、レンズ93の内部90において変化させられてもよく、これにより、完成したレンズの光の屈折は、レンズの表面形状の結果としてではなく、レンズ93の表面領域94および/またはレンズ93の内部領域90における密度勾配の結果としても生じることになる。
【0078】
レンズ102の表面101における除去凹部100の配置形式は、
図21に示されている。この場合、除去凹部100は縁部領域103において、中央領域104におけるよりも大幅に間隔をあけて配置されている。これは、面積当たりの凹部の数によっても表面の加工形式を変えることができる方法を示すための一例であるに過ぎない。
【0079】
図22に示すレンズ110は、半径方向外側の領域112よりも大きな密度を有する、真ん中の中央領域111を有している。
【0080】
逆の密度配分が、
図23に示すレンズ120において実現されている。ここではより高い密度を示すために、外側領域がより濃色で図示されているのに対し、減少された密度を示すためには、内側領域122がより薄色で図示されている。
【0081】
したがって
図24に示す平面図では、可視表面のみを見る限りは、均一な密度が認められる。つまり両実施例では、密度勾配は光軸113もしくは123の方向に存在している。
【0082】
図25には、半径方向の密度勾配を有するレンズ130が示されている。光軸133の領域には、半径方向において大幅に外側に位置する領域131におけるよりも低い密度を有する領域132が位置している。したがって
図26の平面図には、比較的濃色の半径方向外側領域131と、より低い密度を備えた、比較的薄色の中央領域132とが示されている。
【0083】
図27には、多義の密度勾配を有するレンズ140が示されている。この場合、光軸142に接した真ん中の中央領域141から半径方向に、より低い光学密度を備えた領域143および144と、その間に位置する、より高い光学密度を備えた領域145とが交互に現れている。
【0084】
図28には平面図で、より高い光学密度の領域と、より低い光学密度の領域とが環状に形成されていることが示されている。
【0085】
図示の全ての実施例において、光学密度は勾配として変化させられた光学密度へ移行することができ、代替的に、それぞれ異なる光学密度の複数の領域は、明確に画定されて相接して位置していてもよい。この場合、変化する光学密度でもって、レーザ光線通過時のレンズの屈折特性およびレーザ光線の偏向に影響を及ぼすことができる。代替的または追加的に、特にレンズ表面の境界面において、その密度を介して反射特性に影響を及ぼすことができると共に、通常はこれに伴い、硬度にも影響を及ぼすことができる。