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特許7167061電磁放射線のファーストゲート式検出のための検出器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】電磁放射線のファーストゲート式検出のための検出器
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20221031BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20221031BHJP
   H01L 27/144 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L31/10 A
H01L27/144 K
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019559724
(86)(22)【出願日】2018-05-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-09
(86)【国際出願番号】 EP2018061928
(87)【国際公開番号】W WO2018206606
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】62/502,967
(32)【優先日】2017-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17182417.0
(32)【優先日】2017-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501180768
【氏名又は名称】フリーイェ・ユニヴェルシテイト・ブリュッセル
【氏名又は名称原語表記】VRIJE UNIVERSIEIT BRUSSEL
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】インゲルバーツ,ハンス
【審査官】田邊 顕人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0051730(US,A1)
【文献】特表2014-509382(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02960952(EP,A1)
【文献】特開2014-241490(JP,A)
【文献】特開2013-089873(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0277717(US,A1)
【文献】特開2011-086904(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0173581(US,A1)
【文献】特開2017-005276(JP,A)
【文献】特開平03-148869(JP,A)
【文献】特表2005-532695(JP,A)
【文献】特表2015-510259(JP,A)
【文献】特開2016-009691(JP,A)
【文献】H. Ingelberts,外1名,A current-assisted CMOS photonic sampler with two taps for fluorescence lifetime sensing,Proceedings of SPIE,米国,SPIE, the international society for optics and photonics,2016年04月29日,Vol. 9896,98960Y-1 - 98960Y-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 31/10
H01L 27/144
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(307)に衝突する電磁放射線の検出用の検出器デバイス(304、404)であって、前記衝突する放射線が、前記基板(307)に多数電荷キャリアと少数電荷キャリアとの対を生成し、前記検出器デバイス(304)が、
少なくとも1つの少数電荷検出構造(300)であって、前記基板(307)に生成された少数電荷キャリア(115)を検出するための、かつ第1のモードにおいて、検出されるために、前記少なくとも1つの少数電荷検出構造に向かって少数電荷キャリアを方向付けるための電界(302)を生み出すように、多数電流を注入するための、少なくとも1つの少数電荷検出構造(300)と、
少数電荷検出構造(300)ごとの2つ以上の少数電荷除去構造(301)であって、少数電荷キャリア(115)を排出するため、かつ第2のモードにおいて、関連付けられた電荷検出構造(300)から離れるように、前記2つ以上の少数電荷除去構造(301)に向かって少数電荷キャリアを方向付けるための電界(303)を生み出すように、多数電流を注入するための、少数電荷検出構造(300)ごとの2つ以上の少数電荷除去構造(301)と、
前記注入された多数電流を抽出するための少なくとも1つの基板多数電荷電流シンク(305、405)と、を備える、検出器デバイス(304、404)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの少数電荷検出構造(300)が、
第1の導電性タイプ(p-タイプ)のドープ領域(100、110)と、
前記第1の導電性タイプとは異なる第2の導電性タイプ(n-タイプ)のドープ領域(101、109)であって、前記第1の導電性タイプの前記ドープ領域(100、110)に近く、かつ前記基板(307)と第1のpn接合部を形成する、第2の導電性タイプ(n-タイプ)のドープ領域(101、109)と、を備え、
前記第1の導電性タイプの前記ドープ領域が、検出された電荷キャリアの読み出しのために、前記第2の導電性タイプ(n-タイプ)の前記ドープ領域(101、109)に向かって前記少数電荷キャリアを方向付けるための電界を生み出すように、多数電流を前記基板に注入する、または前記基板から抽出するために、多数電荷コンタクト(104)によって電気的に接触される、請求項1に記載の検出器デバイス(304、404)。
【請求項3】
前記少数電荷除去構造(301)が、
第1の導電性タイプ(p-タイプ)のドープ領域(200、207)と、
前記第1の導電性タイプとは異なる第2の導電性タイプ(n-タイプ)のドープ領域(201、208)であって、前記第1の導電性タイプの前記ドープ領域(200、207)に近く、かつ前記基板(307)と第2のpn接合部を形成する、第2の導電性タイプ(n-タイプ)のドープ領域(201、208)と、
前記形成された第2のpn接合部を短絡させる共通端子(205、209)と、を備える、請求項1および2のいずれかに記載の検出器デバイス(304、404)。
【請求項4】
前記共通端子(209)が、前記第1の導電性タイプの前記ドープ領域(200、207)への、かつ前記第2の導電性タイプの前記ドープ領域(201、208)への共通コンタクト(206)を備える、請求項3に記載の検出器デバイス(304、404)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの基板多数電荷電流シンクが、前記少なくとも1つの少数電荷検出構造(300)および前記2つ以上の少数電荷除去構造(301)を取り囲む単一の導電性構造(305)を備える、請求項1~4のいずれかに記載の検出器デバイス(304、404)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの少数電荷検出構造(300)および前記2つ以上の少数電荷除去
構造(301)が、前記検出器デバイスの上面に設けられ、少なくとも1つの基板多数電荷電流シンクが、前記上面とは反対の前記検出器デバイスの底部に導電性構造(405)を備える、請求項1~5のいずれかに記載の検出器デバイス(304、404)。
【請求項7】
複数の少数電荷検出構造(300)および複数の少数電荷除去構造(301)を備える、請求項1~6のいずれかに記載の検出器デバイス。
【請求項8】
前記複数の少数電荷検出構造(300)のうちの少なくとも2つが、前記少数電荷除去構造(301)のうちの少なくとも1つを共有する、請求項7に記載の検出器デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、これに限定されないが、可視光および赤外光の検出など、半導体基板において少数キャリアを生成する電磁放射線の検出の分野に関する。より具体的には、本発明は、主に可視光およびNIR光における、電磁放射線のゲート式検出に関する。
【背景技術】
【0002】
EP1513202B1には、入射光の復調のためのドリフト電界を生成するために、多数キャリア電流を印加する半導体検出器が記載されている。IEEE sensors journal Vol7、NO.3、317-318頁「Photonic demodulator with sensitivity control」には、3.3Vのタップにバイアシングを印加すると、復調感度を1%に落とすことができる排出タップが記載されている。
【0003】
Ingelberts Hらによる、2016年4月29日(2016-04-29)の文献「A Current-assisted CMOS photonic sampler with two taps for fluorescence lifetime sensing」、Proceedings optical diagnostics of living cells II、SPIE、US vol.9896、98960Yには、2つの電荷検出構造と、電荷を除去するための単一排出部およびミッドリングから成る構造を有する検出器構造が記載されている。このような検出器の速さおよびコンパクト性が改善され得る。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、電磁放射線の検出のための良好なデバイスを提供することである。
【0005】
上記の目的は、基板に衝突する電磁放射線の検出のための検出器デバイスによって達成され、それによって、衝突する放射線が多数電荷キャリアおよび少数電荷キャリアの対を生成する。検出器デバイスは、少なくとも1つの少数電荷検出構造であって、基板に生成された少数電荷キャリアを検出するための、かつ第1のモードにおいて、少なくとも1つの少数電荷検出構造に向かって少数電荷キャリアを方向付けるための電界を生み出すように、多数電流を注入するための、少なくとも1つの少数電荷検出構造と、それぞれの少数電荷検出構造に関連付けられた2つ以上の少数電荷除去構造、例えば、検出構造ごとの2つ以上の除去構造であって、少数電荷キャリアを排出するため、かつ第2のモードにおいて、関連付けられた電荷検出構造から離れるように、2つ以上の少数電荷除去構造に向かって少数電荷キャリアを方向付けるための電界を生み出すように、多数電流を注入するための、それぞれの少数電荷検出構造に関連付けられた2つ以上の少数電荷除去構造と、多数電流を抽出するための少なくとも1つの基板多数電荷電流シンクと、を備える。本発明の実施形態の利点は、ファーストゲート式検出が達成され得ることである。このファーストゲート式検出は、対応する少数電荷キャリアが少数電荷検出構造に向かって方向付けられるか、または少数電荷検出構造から離れて、それらが少数キャリアを除去するだけでよく、少数キャリアを検出する必要がないことから、素早い除去に最適化され得る、少数電荷除去構造に向かって方向付けられるように、コンタクト間で多数電流の流れを変化させることによって達成される。
【0006】
本発明の実施形態による検出器デバイスでは、少なくとも1つの少数電荷検出構造が、第1の導電性タイプ(例えば、p-タイプ)のドープ領域と、第1の導電性タイプとは異なる第2の導電性タイプ(例えば、n-タイプ)のドープ領域であって、第1の導電性タイプのドープ領域に近く、かつ基板とpn接合部を形成する、第2の導電性タイプ(例えば、n-タイプ)のドープ領域と、を備え、第1の導電性タイプのドープ領域が、検出された電荷キャリアの読み出しのために、第2の導電性タイプのドープ領域に向かって少数電荷キャリアを方向付けるための電界を生み出すように、多数電流(例えば、多数電荷キャリアによって生成された)を基板に注入する、または基板から抽出するために、多数電荷コンタクトによって電気的に接触される。
【0007】
本発明の実施形態による検出器デバイスでは、少数電荷除去構造が、第1の導電性タイプ(例えば、p-タイプ)のドープ領域と、第1の導電性タイプとは異なる第2の導電性タイプ(例えば、n-タイプ)のドープ領域であって、第1の導電性タイプのドープ領域に近く、かつ基板とpn接合部を形成する、第2の導電性タイプ(例えば、n-タイプ)のドープ領域と、形成されたpn接合部を短絡させる共通端子と、を備える。特定の実施形態では、共通端子は、第1の導電性タイプのドープ領域への、かつ第2の導電性タイプのドープ領域への共通コンタクトを備え得る。端子は、検出器の外側への電気接続である。本発明の実施形態に見られるような共通端子は、検出器デバイスを非常にコンパクトなものにする。
【0008】
本発明の実施形態による検出器デバイスでは、少なくとも1つの基板多数電荷電流シンクが、少なくとも1つの少数電荷検出構造および2つ以上の少数電荷除去構造、例えば、リング形状の導電性構造、例えば単一導電性リングを取り囲む導電性構造を備え得る。
【0009】
本発明の実施形態による検出器デバイスでは、少なくとも1つの少数電荷検出構造および2つ以上の少数電荷除去構造は、検出器デバイスの上面で提供される。本発明の実施形態では、少なくとも1つの基板多数電荷電流シンクは、上面とは反対の面上で、検出器デバイスの底において導電構造を備え得る。
【0010】
本発明の実施形態による検出器デバイスは、複数の少数電荷検出構造および複数の少数電荷除去構造を備え得る。本発明の実施形態では、複数の少数電荷検出構造の少なくとも2つは、少なくとも1つの少数電荷除去構造を共有し得る。
【0011】
本発明の特定のかつ好適な態様は、添付の独立請求項および従属請求項において述べられる。独立請求項からの特徴は、必要に応じて、かつ請求項に明示的に述べられているとおりだけでなく、独立請求項の特徴、および他の従属請求項の特徴と組み合わされ得る。
【0012】
先行技術に勝って達成される本発明および利点を要約する目的のために、本発明の特定の目的および利点が、本明細書の上記に説明されてきた。当然のことながら、すべてのこのような目的または利点は、必ずしも本発明の任意の特定の実施形態により達成されない場合があることが、理解されるべきである。したがって、例えば、本発明は、本明細書において教示または提案され得るような他の目的または利点を必ずしも達成することなく、本明細書において教示されたような1つの利点または一群の利点を達成または最適化する手法で具現化または実行され得ることを、当業者は理解するだろう。
【0013】
本発明の上記および他の態様は、以下に説明された実施形態に関連して、明白かつ明瞭になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明を、添付図面に関連して、例として、ここでさらに説明する。
【0015】
図1A】本発明の実施形態によるファーストゲート式検出器において使用され得る、既知の少数電荷検出構造の上面図および断面図を示す。
図1B】本発明の実施形態によるファーストゲート式検出器において使用され得る、ピン止めpn接合部に基づいた既知の少数電荷検出構造の断面図を示す。
図2A】本発明の実施形態によるファーストゲート式検出器において使用され得る、本発明の実施形態による少数電荷除去構造を示す。
図2B】本発明の実施形態によるファーストゲート式検出器において使用され得る、本発明の少数電荷除去構造の特定の実施形態を示す。
図3A】本発明の所見による、光生成された少数電荷キャリアが除去された状態におけるファーストゲート式検出器を示す。
図3B】本発明の所見による、光生成された少数電荷キャリアが除去された状態におけるファーストゲート式検出器を示す。
図3C】本発明の所見による、光生成された少数電荷キャリアが検出された状態におけるファーストゲート式検出器を示す。
図3D】本発明の所見による、光生成された少数電荷キャリアが検出された状態におけるファーストゲート式検出器を示す。図3Bおよび図3Dはそれぞれ、図3Aの直線I-I’および図3Cの直線II-II’を通る断面図である。
図4A】検出器の底において追加基板多数電流シンクがある状態の、図3Bおよび図3Dにおけるものと同様の構造の断面図を示す。
図4B】検出器の底において追加基板多数電流シンクがある状態の、図3Bおよび図3Dにおけるものと同様の構造の断面図を示す。
図5A】本発明の実施形態による、構造のための、様々な基板セットアップおよび光入射側を示す。
図5B】本発明の実施形態による、構造のための、様々な基板セットアップおよび光入射側を示す。
図6A】本発明の実施形態による、複数の少数電荷検出構造を使用した、3つのユースケースを示す。
図6B】本発明の実施形態による、複数の少数電荷検出構造を使用した、3つのユースケースを示す。
図6C】本発明の実施形態による、複数の少数電荷検出構造を使用した、3つのユースケースを示す。
図7A】本発明の実施形態による、ファーストゲート式検出器を使用して、どのように入射光信号がサンプリングされ得るかを示す。
図7B】本発明の実施形態による、ファーストゲート式検出器を使用して、どのように入射光信号がサンプリングされ得るかを示す。
【0016】
図面は、概略的であるに過ぎず、限定的ではない。図面では、いくつかの要素のサイズは、説明目的のために、誇張され、縮尺通りには描画されない場合がある。寸法および相対寸法は、本発明を実践するための実際の縮小とは必ずしも対応していない。様々な図では、同じ参照番号は、同じかまたは類似の要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、特定の実施形態および特定の図面に関連して説明されるが、本発明は、それには限定されず、請求項の範囲にのみ限定される。記載の図面は、概略的であるに過ぎず、限定的ではない。図面では、要素のうちのいくつかのサイズは、説明目的のために、誇張され、縮尺通りには描画されていない場合がある。寸法および相対寸法は、本発明の実際と現行の縮図とは必ずしも対応していない。
【0018】
請求項の範囲において使用される「備える(comprising)」という用語は、これ以降に列記される手段に限定されると解釈されるべきではないことに留意されたい。したがって、「手段AおよびBを備えるデバイス」という表現の範囲は、構成要素AおよびBのみを備えるデバイスに限定されるべきではない。それは、本発明に関して、デバイスの最も関連する構成要素がAおよびBであるということを意味する。
【0019】
同様に、「結合された(coupled)」という用語は、直接接続のみに限定されると解釈されるべきではないことを、留意されたい。したがって、「デバイスBに結合されたデバイスA」という表現の範囲は、デバイスAの出力が、デバイスBの入力に直接接続されている、デバイスまたはシステムに限定されるべきではない。それは、他のデバイスまたは手段を含む経路であり得る、Aの出力とBの入力との間の経路が存在することを意味する。
【0020】
本発明の文脈では、「p拡散またはn拡散」という用語は、元基板と比較してドーピングレベルおよび/またはドーピングタイプにおいて特定の変化を適用されてきた容積を指す。これが、例えば、CMOS鋳造場において達成されてきた方法は、本発明にとって不可欠ではない。それは、拡散によってだけではなく、埋め込みによっても、またはエピタキシャル層成長によって、またはこの結果を得るのに使用され得るどのような手法によっても、行われ得る。
【0021】
本開示では、pである第1の導電性タイプと、nである第2の導電性タイプについて述べる。これと反対の構成(第1の導電性タイプnおよび第2の導電性タイプp)も可能であるが、少数電荷キャリアが第2の導電性タイプのもので、それによりn-タイプになることから、この選択された構成が好ましい。電子は、正孔よりも高い移動度を有し、検出器を本質的により早くする。当業者は、反対の構成を使用して、本開示の発見を容易に実行することができる。しかし、本明細書の明瞭さおよび理解のために、最速の選択肢のみがさらに説明される。
【0022】
以下では、「少数電荷検出構造」および「少数電荷検出器構造」という用語は、交換可能である。
【0023】
本発明の実施形態のファーストゲート式検出器は、いくつかの部品を有する。それぞれのファーストゲート式検出器に対して、例えば、2つ以上の少数電荷除去構造210、211によって支持された、図1Aまたは図1Bに関連して開示されたような、少なくとも1つの少数電荷検出構造111、112、および、控えめにドープされた基板105に完全に埋め込まれた少なくとも1つの基板多数電流シンク305がある。ファーストゲート式検出を達成するために、ファーストゲート式検出器の構成要素は、特定のトポロジー規則に従わなければならない。
【0024】
少なくとも2つの少数電荷除去構造210、211は、1つの少数検出構造111、112に機能的に連接されるかまたは関連付けられ得る。「機能的に連接される」または「関連付けられる」場合には、構造は互いに直接相互作用することができる、例えば、それらは、電界線をそれらの間で生成することができ、また電荷キャリアがこれらの構造の間で移動することができるように、偏向され得ることを意味する。少数電荷除去構造210、211は、少数電荷検出構造111、112の周りの基板上に分散され得、離散島を形成する。例えば、それぞれの少数電荷検出構造111、112は、近くに少なくとも2つの少数電荷除去構造210、211を有し得、例えばそれに隣接して、例えば基板307の一部のみによって分離される。基板上の構造の分散は、オン/オフ変換の速度を改善するように適合され得る。
【0025】
換言すれば、電荷除去は電荷検出と関連付けられ、つまり、除去構造は、別の方法では検出され得る電荷を除去する。どの電荷検出構造も、それに関連付けされた少なくとも2つの電荷除去構造を有し、電荷除去を高速化し、完全な除去を容易化する。
【0026】
いくつかの実施形態において、離散少数電荷除去構造210、211は、少数検出構造111、112と、基板多数電流シンク305、例えば、検出構造および除去構造を取り囲む基板多数電流シンク305として働く、単一リング形状構造との間に置かれ得る。これは、速度増加にさらに寄与する。
【0027】
図1Aおよび図1Bは、最新技術において知られている、2つの少数電荷検出構造111、112を説明する。図1Aは、本発明の実施形態による、ファーストゲート式検出器において使用されるのに特によく適している、少数電荷検出構造111を示す。図1Aの最上部は、少数電荷検出構造111の上面図を示すが、図1Aの最下部は、直線V-V’による断面図を示す。少数電荷検出構造111は、厚さ106を有する基板105を備える。それは、p-ドープ領域、例えば、p-拡散100を有し、例えば、以下に限定されないが、円環形状、または四角ドーナツ形状を有する構造などの、正孔、例えば、中心正孔を有する閉構造を形成する。p-ドープ領域、例えば、p-拡散100は、1つまたは複数の多数電荷コンタクト104によって接触される。閉構造の正孔において、例えば、円環形状またはドーナツ形状の中心において、p-ドープ領域、例えば、p-拡散の近くに、空乏層102を生成するp-基板105を有するpn接合部を形成する、n-ドープ領域、例えば、n-拡散101もある。p-ドープ領域、例えば、p-拡散100は、p基板105にあり、基板より高いドーピングレベルを有する。多数キャリアは、この場合の正孔において、p-ドープ領域、例えば、p-拡散100から、p-基板105に自由に流れることができ、また、両方の領域が同じp-導電性タイプであるので、逆もまた同様である。n-ドープ領域、例えば、n-拡散101は、少数電荷コンタクト103によって接触される。p-ドープ領域、例えば、p-拡散100、n-ドープ領域、例えば、n-拡散101は、標準CMOSまたはBICMOSから継承される、ソース、ドレイン、p-ウェル、またはn-ウェルドーピングプロファイルを有することができ、または、設計者の選択に特に一致させることができる。
【0028】
多数電荷コンタクト104は、多数電流を生み出すように、基板105において、またはそこから多数電荷キャリアを注入抽出するために使用することができる。この多数電流は、基板105において電界を生み出す。
【0029】
さらに詳細には、多数電荷コンタクト104によって、基板105への多数電流の注入は、p-ドープ領域、例えば、p-拡散100を通して可能であり、それにより、これらの少数電荷キャリアが空乏層102に向かって拡散するところから、p-ドープ領域、例えば、p-拡散100の方へ、p-基板105における少数電荷キャリア115(この場合には電子)を引き付ける、p-基板105において電界を生み出す。空乏層102を通過すると、それらはn-ドープ領域、例えば、n-拡散101に達し、それにより、少数電荷キャリアは、n-ドープ領域、例えば、n-拡散101と、p-基板105との間のpn接合部上で検出されると、言うことができる。少数電荷キャリア115は、基板105に少数キャリアをもたらす、熱発生、光発生、または任意の他の機構から生じ得る。
【0030】
逆に、多数電荷コンタクト104を通した、基板105からの多数電荷キャリアの抽出は、p-ドープ領域、例えば、p-拡散100を通して可能であり、それにより、p-ドープ領域、例えばp-拡散100から離れる、また空欠層102からも離れる、p-基板105における少数電荷キャリアをはね返す、反対の電界をp-基板105に生み出し、そのために、少数電荷キャリア115がn-ドープ領域、例えばn-拡散101に達せず、またn-ドープ領域、例えばn-拡散101とp-基板105との間のpn-接合部にわたって検出されないことになる。少数電荷コンタクト103は、n-ドープ領域、例えば、n-拡散101に接触し、読み出し回路網(図示せず)が引き続いて接続されることを可能にする。周知の3T-トランジスタ回路、相互インピーダンス増幅器などを含む、いくつかの可能な読み出し回路がある。
【0031】
図1Bは、本発明の実施形態による、代替のファーストゲート式検出器において使用され得る、ピン止型の、代替の少数電荷検出構造112の断面図を示す。少数電荷検出構造112は、厚さ106を有する基板105を備える。それは、第1のp-ドープ領域、例えば、p-拡散110、近くのn-ドープ領域、例えば、n-拡散109に接続された多数電荷コンタクト104も有し、多数電荷コンタクト104は、上部に第2のp-ドープ領域、例えば、p-拡散108とともに、側部に第1のp-ドープ領域、例えば、p-拡散110とともに、また下部にp-基板105とともに、pn接合部を形成する。酸化物111の上部のゲート107は、当業者によって知られている、CMOS画像センサにおける伝統的な4トランジスタ(4T)読み出し構造において第1のトランジスタであり得る、トランジスタを形成する。画像センサにおける4Tの使用は、より良い信号対雑音比に達する利点を有する。図1Aの少数電荷検出構造111と同様に、多数電荷コンタクト104を介して、p-基板105への多数電流の挿入または抽出は、p-基板105における少数電荷キャリア115をそれぞれ引き付けるかまたははね返し、それにより、n-ドープ領域、例えば、n-拡散109へのそれらの電荷キャリアの検出をONまたはOFFに切り替える。ここで、n-ドープ領域、例えば、n-拡散109における検出された電荷キャリアの除去は、高電圧をゲート107に印加することによって、n-拡散109をコンタクト113と接続するゲート107のもとに形成され得る、チャネルを通じて生じる。その後、読み出し回路の残り(図1Bに示されず)は、コンタクト113に取り付けることができる。
【0032】
両少数電荷検出構造111、112では、検出は、多数電荷コンタクト104を通して多数電流の方向に応じて、有効(ON状態)または無効(OFF状態)にすることができる。多数電流が印加されない場合、ふらついている少数電荷キャリアは、n-拡散101、109に達し、検出され得る。これは、ONとOFFとの中間にあり、ニュートラル状態と呼ばれる。それは、多数電荷コンタクト104を浮動させることによって、または、多数電流がゼロとなるような電圧にバイアスをかけることによって、達成することができる。これは、例えば、少数電荷検出構造が使用されていない場合に、使用することができる。
【0033】
図2Aおよび図2Bは、本発明の実施形態による、2つの少数電荷除去構造210、211を描写する。
【0034】
少数電荷除去構造210、211の目的は、有効の場合、非常に素早くかつ非常に効率的な方式で、基礎をなすp-基板105における少数電荷キャリア115を排出することである。排出された少数電荷キャリア115は、定量化される必要はない。少数電荷除去構造210、211が無効である場合、少数電荷キャリア115は、除去されない。
【0035】
図2Aの少数電荷除去構造210は、検出器の外側に電気コンタクトを提供する端子を含む。特に、それは、異なるコンタクト203、204に、検出器の外部への同じ電気接続を提供し、前記コンタクトを短絡させる共有端子205を含み、コンタクトは、半導体材料とチップの第1の金属化層との間の垂直導電経路(垂直低抵抗性経路)である。図2Bの少数電荷除去構造211は、水平導電経路(水平低抵抗性経路)を含む。水平導電経路は、異なるドープ領域207、208と、単一の共通端子として機能する単一の共通コンタクト206との間に、同じ電気接続を提供する、導電層209を備え得る。
【0036】
図2Aおよび2Bのダイオードを短絡させる他の手段が、提供され得る。ドープ領域は、固定電位よりも、共通の変調電位または可変電位の電源に短絡されることが好ましく、このようにして、異なるバイアスを可能にする。
【0037】
図2Aは、本発明の実施形態による、第1の少数電荷除去構造210を示し、本発明の実施形態による、ファーストゲート式検出器において使用され得る。図2Aの最上部は、少数電荷除去構造210を示し、図2Aの最下部は、直線VI-VI’による断面図を示す。少数電荷除去構造210は、厚さ106を有する基板105を備える。多数電荷コンタクト204は、p-ドープ領域、例えば、p-拡散200に接続され、例えば、以下に限定されないが、円環形状、または四角ドーナツ形状を有する構造などの、正孔、例えば、中心正孔を有する閉構造を形成する。p-ドープ領域200によって形成された閉構造の開正孔においては、少数電荷コンタクト203によって接触される、n-ドープ領域、例えば、n-拡散201が設けられる。それは、中心に置かれたn-ドープ領域であり得る。n-ドープ領域、例えば、n-拡散201は、p-ドープ領域、例えば、p-拡散200とともに、また、p-基板105とともに、ダイオードを形成し、空乏層202を与える。ダイオードは、多数電荷コンタクト204を少数電荷コンタクト203と接続する、短絡手段、例えば、共通端子205によって短絡される。
【0038】
図2Bは、本発明の実施形態による、ファーストゲート式検出器において使用され得る、本発明の実施形態による、第2の少数電荷除去構造211を示す。図2Bの最上部は、少数電荷除去構造211の上面図を示すが、図2Bの最下部は、直線VII-VII’による断面図を示す。少数電荷検出構造211は、厚さ106を有する基板105を備える。この場合には、例えば、以下に限定されないが、円環形状、または四角ドーナツ形状を有する構造など、正孔、例えば、中心正孔を有する閉構造を形成する、p-ドープ領域、例えば、p-拡散207は、内部のn-ドープ領域、例えば、n-拡散208に当接する。図2Bのp-拡散207およびn-拡散208の機能は、図2Aのp-拡散200およびn-拡散201と類似している。ここで、これらのp-ドープ領域、例えば、拡散と、n-ドープ領域、例えば、拡散との間の望ましい短絡に達するいくつかの選択肢がある。第1の選択肢は、p-ドープ領域とn-ドープ領域の両方、例えば、拡散、例えば、非常に金属的かつ導電性である共通のケイ化物層209に接触する面上に、導電層209を有することである。別の選択肢は、ドープ領域の両タイプ、例えば、p-拡散とn-拡散の高ドーピングレベルを通して、それらの間に高レベルのトンネル効果およびブレークダウンがあり、実際、通常のダイオード挙動を破壊する。短絡のための様々な方法のいずれか(その組み合わせ)が可能である。n-ドープ領域、例えば、n-拡散208より下に、内蔵型ダイオード電圧を有する空乏層202がそれでも残り、基板105から少数電荷キャリア115を引き付け、かつ除去する能力をまだ有する。拡散207、208の両方に接続する共通コンタクト206が置かれ得、この方法で、少数電荷除去構造211を非常に小さい構造にする。拡散207、208の両方が別個のコンタクトを必要としない事実は、非常に有利な特徴であり、非常にコンパクトな電荷除去構造を可能にする。
【0039】
少数電荷除去構造210、211の両方に対して、共通端子205、例えば、共通コンタクト206に多数電流を印加することによって、p-基板105における多数電流は流れ、少数電荷キャリア115を引き付け、また、それぞれn-拡散201、208によって、また、それぞれp-拡散200、207とともに、また、p-基板105とともに、形成される短絡型pnダイオードで終わる、ドリフト電界を生成する。短絡のために、これらの電荷キャリアは効果的に除去され、もはや他の場所での検出に利用可能ではない。逆に、共通端子205、例えば、共通コンタクト206から多数電流を抽出することによって、p-基板105における多数電流は、反対方向に流れ、それらが除去されず、また他の場所での検出に利用可能なままであるような少数電荷キャリア115を拒絶する、反対方向にドリフト電界を生成する。少数電荷キャリア115がドープ領域、例えば、拡散207から拡散208まで移動しなければならない、ドープ領域200と201との間の距離に比べて短い距離のために、図2Bに示されているようなより小さい少数電荷除去構造211は、図2Aに示されている少数電荷除去構造210よりもより速くかつより効率的な応答時間を有する。さらに、図2Bの一つなどの当接したpn接合部は、非当接した接合部よりも、さらに小さいpドーピング幅を可能にする。短絡は、当接したpn接合部を使用することによって達成され、非当接した接合部の幅より小さいpドーピング幅をもたらす。この狭い幅は、幅に沿って、相応した短い少数キャリア移動時間を提供する利点を有する。したがって、電荷除去構造の構築方法は、非常にコンパクトな少数電荷除去構造211および非常に狭いpドープ領域を可能にし、この領域に沿った電荷移動時間を短くする。これは、センサの速度を増加させる。
【0040】
図3Aおよび3Cは、本発明の実施形態による、ファーストゲート式検出器304の、上面図を示し、また、図3Bおよび3Dはそれぞれ、直線I-I’およびII-II’による断面図を示す。検出器304は、厚さ308を有する基板307に実装されている。正方形300は、図1Aまたは図1Bに示されているように、例えば、少数電荷検出構造111、112として、少数電荷検出構造を象徴する。8つの正方形301は、図2Aまたは図2Bに示されるように、例えば、少数電荷除去構造210、211として、8つの少数電荷除去構造を象徴する。少数電荷検出構造300および少数電荷除去構造301は、基板307の上面に実装される。基板多数電流シンク305として機能する基板307に対して、リングコンタクト305、例えば、正方形リングコンタクトがある。リングコンタクト305は、検出器デバイスの表面に、例えば、電荷検出デバイス300および電荷除去デバイス301が設けられる表面にあり得る。検出器304が作動しているとき(ONまたはOFF状態)、このシンク305は、挿入されているがまだ抽出されていない多数電流の残りを抽出するようになる。その位置が力線挙動を決め、結果的に検出用容積が位置するようになる場所を決める。
【0041】
図3Aおよび3Bは、それにより基板307における光生生成式少数電荷キャリアが捨てられる状態を示す。それに対し、多数電流が、共通端子205、例えば、8個の少数電荷除去構造301の共通コンタクト206(図2Aまたは2B参照)に注入され、多数電流が、少数電荷検出構造300の多数電荷コンタクト104(図1Aまたは1B参照)において抽出される。注入された多数電流302、303は、これらの電流を受け取る(抽出する、除去する、または沈める)基板の多数シンク305に部分的に向かって(電流302)、基板105を通って、部分的に少数電荷検出構造300に流れる(電流303)。少数電荷電流は、反対方向に流れ、8個の少数電荷除去構造301において除去されるようになる。
【0042】
少数電流状態は、素早く、また一様に速く変えられ、検出が促進され得る(図3Cおよび3D)。それにより、多数電流が、8個の少数電荷除去構造301の共通端子205、例えば共通コンタクト206(図2Aまたは2B参照)から抽出され、多数電流が、少数電荷検出構造300の多数電荷コンタクト104に挿入される。これら後者の多数電流302、306は、これらの電流を受け取る(抽出する、除去する、または沈める)基板多数電流シンク305に部分的に向かって(電流302)、基板307を通って、部分的に8個の少数電荷除去構造301に流れる(電流306)。少数電荷キャリアは、すべて多数電荷流の反対方向に流れ、実質的にすべて検出され、少数電荷検出構造300のpn接合部において、後のまたは即時の読み出しに使用可能となる。
【0043】
図4Aおよび4Bは、図3のファーストゲート式検出器304と同様であるファーストゲート式検出器404の接続形態を示す。図3の検出器において見られるように、少数電荷検出構造300および少数電荷除去構造301が基板の上面に設けられるが、第1の基板多数電流シンク305に加えて、検出器の底部に、例えば、控えめにドープされた基板307(様々なドーピング濃度の酸化物、金属、空気、材料などによって取り囲まれ得る)が止まる上面とは反対の基板307の表面に位置する第2の基板多数電流シンク405もある。このようにして、基板を通る多数電流は、ここで、基板多数電流シンク305で終わり、検出器容積を力線406で埋めるとともに、より均一に埋めることができる。図4Aは、検出器のOFF状態を示し、図4Bは、検出器のON状態(サンプリング状態)を示す。第2の基板多数電流シンク405は、検出器の底部におけるいずれの導電性表面でもあり得、例えば、それは、平面の形状を有し得る。基板多数電流シンク305は、基板多数電流シンク405が底部にある場合には、随意である。
【0044】
ON状態とOFF状態との間の良好で素早い移行を得るには、少数検出器構造300ごとに少なくとも2つの少数電荷除去構造301を有することが好ましい。2つの少数電荷除去構造301は、少数検出器構造300の両側に位置し得る。2つより多い少数電荷除去構造301が検出器構造300ごとに設けられる場合、それらは、少数検出器構造300の周りにほぼ均等に広がり得る。
少なくとも2つの少数電荷除去構造301は、少数検出器構造300のさらに近くに位置する必要がある。「近くに」ということは、基板多数電流シンク305、405の最も近い部分までの距離によって決まってくる。許容できる速さに達するには、少なくとも2つの少数電荷除去構造301が、常に、使用される基板多数シンク305、405のいずれの部分よりも少数検出器構造300の近くに位置する必要がある。
【0045】
複数の少数検出器構造300が列をなしてある場合、少数電荷除去構造301が共有され得るが、それぞれの少数電荷検出器構造300は、近くに少なくとも2つの少数電荷除去構造301を有する必要がある。例えば、それぞれの少数電荷検出器構造300は、それを取り囲むか、または、少数電荷構造301とその機能的に連結された少数検出器構造300との間に何も中間構造がなければ、基板307、510の上面のエリアの一部によってのみ分けられる、2つの隣接する少数電荷除去構造301を有し得る。
【0046】
いくつかの実施形態において、少数電荷除去構造301は、例えば、1つまたは複数の少数電荷検出構造300に隣接して機能的に連結され得るが、それぞれの少数電荷検出構造300は、少なくとも2つの少数電荷除去構造301に機能的に連結される必要がある。このように、単一少数電荷除去構造301は、2つの少数電荷検出構造300により共有され得る。
【0047】
いくつかの実施形態において、少数電荷除去構造301は、少数電荷検出構造300と多数電流シンク305、405との間に離散島として置かれる。このことは、電荷キャリアが基板全体を通ってシンクに向かって移動する必要がないことから、速さも向上させる。例えば、単一リング形状の多数電流シンク305が、1つまたは複数の少数電荷検出構造および2つ以上の少数電荷除去構造を取り囲み得る。
【0048】
図5Aは、検出器304がどのように表面照射(FSI:Front Side Illumination)および裏面照射(BSI:Back-Side Illumination)を支持しているかを示す。多数電流が流れているp-基板307における検出容積は、上面501から、または底部502側から入射する光で照らされ得る。光生成された少数キャリアは、両方の場合で、ゲーティング期間中に事実上、検出されるようになる。
【0049】
しかし、p-基板307、510は、ほとんどの状況で、極めて薄く、数ミクロン~30ミクロンの厚さ512しかなく、機械的支持を必要とし得る。図5Bには優れたFSI仕組みが示され、それにより、p-基板510は、構造上の安定性と強さをもたらすのに十分な厚さ513を有する、厚い支持基板511の上面にあることができる。厚い基板511は、例えば、高度にp-ドープされ得、それにより、可能な基板多数電流シンクとしても働く。これは、工業用の仕組みであり、それにより、800~2000Ω.cmの低~超低導電性を有する、例えば、15ミクロンのEPI層が溶着される、20Ω.cmの比較的高い導電性を有するウエハから製造が始められる。当業者には、積層型CMOSウエハを使用するBSI用のものを含む他の選択肢が考えられ得る。
【0050】
図6Aは、単一矩形形状の基板多数電流シンク305内に、4個の画素600、601、602、603がグループ化され得、画素のそれぞれが単一矩形形状の基板多数電流シンク305によって囲まれたスペースの四分区間Q1、Q2、Q3、Q4を覆い、それにより、ファーストゲート式検出器の画素の有効解像度を4倍にする、ことを示す。少数電荷検出構造604、605、606、および607はそれぞれ、ほとんどクロストークなしで、それらのそれぞれの四分区間Q1、Q2、Q3、Q4から光生成された少数電荷キャリアを引き付ける。図6Aの右側部分の曲線610~614は、どのように電圧が同じ時間窓中にサンプルに印加されるかを示す。高レベルは、例えば3.3V、低レベルは0Vであり、矩形形状の基板多数電流シンク305における電圧は、永続的に、例えば-5Vであり得る。曲線610~613は、4個の少数電荷検出構造への印加電圧であり、614は、8個の少数電荷除去構造301に印加された電圧である。少数電荷除去構造における電圧も一定に保たれ得る。
【0051】
図6Bは、ほぼ同様の仕組みであるが、単一検出容積620と考えられ、それによって、4つの少数電荷検出構造621、622、623、および624がそれぞれ、様々な時間窓において、主に光生成された少数電荷キャリアを引き付ける。これは、様々な連続する期間で間に合ってゲートする印加電圧(これまでは電流)630、631、632、および633によって証明される。これらの期間は、重なり合っても重なり合わなくてもよい。曲線634は、8個の少数電荷除去構造301に印加された電圧である。少数電荷除去構造における電圧はまた、一定に保たれ得る。
【0052】
図6Cは、図6Aおよび6Bにおいて説明される原理の混合を示す。2つの検出容積640、641にわたって広がって4つの少数電荷検出構造642、643、644、および645が設けられる。解像度が2倍になり、2つの別個の期間が、検出器640および641のそれぞれに対してサンプリングされる。少数電荷検出構造642、643、644、および645はそれぞれ、ほとんどクロストークなしで、それらのそれぞれの二分区間H1、H2から主に光生成された少数電荷キャリアを引き付ける。図6Cの右側部分の曲線650、651、652、653は、どのように電圧が同じ時間窓中にサンプルに印加されるかを示す。高レベルは、例えば、3.3Vであり、低レベルは、0Vであり、矩形形状の基板多数電流シンク305における電圧は、永続的に、例えば-5Vであり得る。曲線650、651、652、653は、4つの少数電荷検出構造への印加電圧であり、654は、8個の少数電荷除去構造301に印加された電圧である。少数電荷除去構造における電圧はまた、一定に保たれ得る。
【0053】
図7Aは、曲線701によって規定された期間中に入射光信号700から、どのように検出機能がONに切り替えられ得るか、また光生成された少数キャリアが統合され得るか702を示す。図7Bは、4倍の入射光信号を使用し、同じ係数によって信号対雑音比を向上させるこの方式では、どのように入射光信号700の様々なスライスが、図6Bからの検出器620の4つの少数電荷検出構造621、622、623、および624にわたって統合され得るかを示す。
光信号700は、様々な起点、例えば、短光パルスによってちょうど刺激を受けた蛍光体から生じ得る。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B