(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】ビーム特性を変化させるためのファイバ結合デバイス
(51)【国際特許分類】
G02F 1/01 20060101AFI20221031BHJP
G02B 27/09 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
G02F1/01 C
G02B27/09
(21)【出願番号】P 2019565363
(86)(22)【出願日】2018-03-28
(86)【国際出願番号】 US2018024908
(87)【国際公開番号】W WO2018217300
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-03-12
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2017/034848
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518055899
【氏名又は名称】エヌライト,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】クライナー,ダブ・エイ.ブイ
(72)【発明者】
【氏名】ファロー,ロジャー
【審査官】野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-534354(JP,A)
【文献】特開昭63-216003(JP,A)
【文献】特開2010-140030(JP,A)
【文献】国際公開第2016/058624(WO,A1)
【文献】特表2015-500571(JP,A)
【文献】特許第6114431(JP,B1)
【文献】特開平08-150485(JP,A)
【文献】特開2007-190560(JP,A)
【文献】FINI, John M.,Large Mode Area Fiber Design With Asymmetric Bend Compensation,OSA/CLEO 2011,Optical Society of America,2011年05月01日,JWA30,pp. 1-2,DOI:10.1364/CLEO_AT.2011.JWA30
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02-6/10
6/44
G02F 1/00-1/125
1/21-7/00
H01S 3/00-3/02
3/04-3/0959
3/098-3/102
3/105-3/131
3/136-3/213
3/23-4/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器であって、
入力ビームを受け、出力ビームを生成するように位置付けられたビーム・カプラであって、前記ビーム・カプラによって定められる光路が自由空間部分を含む、ビーム・カプラと、
入力ファイバと、摂動アセンブリと、少なくとも2つの閉じ込め領域を有する出力ファイバと、を含む可変ビーム特性(VBC)デバイスであって、前記入力ファイバが前記出力ファイバに光学的に結合され、前記入力ファイバおよび前記出力ファイバが連続長のファイバの少なくとも一部を形成する、可変ビーム特性(VBC)デバイスと、
を備え、
前記摂動アセンブリが、前記入力ファイバおよび前記出力ファイバの内少なくとも1つに結合され、前記出力ファイバが偏光ビームを伝送するように、前記ビーム・カプラから受けた前記出力ビームの1つ以上のビーム特性を修正し、
前記出力ファイバが、前記摂動アセンブリによって修正された前記1つ以上のビーム特性の少なくとも一部を保存する屈折率分布を有
し、
前記入力ファイバの屈折率分布(RIP)が、前記出力ファイバのRIPとは異なる、機器。
【請求項2】
請求項
1記載の機器において、前記ビーム・カプラが、前記ビーム・カプラからの前記出力ビームを前記VBCデバイスの入力ファイバに誘導するように位置付けられた少なくとも1つのレンズを含む、機器。
【請求項3】
請求項
2記載の機器において、前記ビーム・カプラの前記少なくとも1つのレンズが、第1レンズと第2レンズとを含み、前記第1レンズが、無誘導入力光ビームを受け、平行化光ビームを前記第2レンズに伝送するように位置付けられ、前記第2レンズが、前記平行化光ビームを前記VBCデバイスの入力ファイバに合焦するように位置付けられる、機器。
【請求項4】
請求項1記載の機器において、前記ビーム・カプラが、光ファイバから光ビームを受け、前記光ファイバからの光ビームを前記VBCデバイスの入力ファイバに誘導するように位置付けられた少なくとも1つのレンズを含むファイバ間カプラ(FFC)を備える、機器。
【請求項5】
請求項
4記載の機器において、前記FFCの少なくとも1つのレンズが、第1レンズと第2レンズとを含み、前記第1レンズが、前記光ファイバから前記光ビームを受け、平行化光ビームを前記第2レンズに伝送するように位置付けられ、前記第2レンズが、前記平行化光ビームを前記VBCデバイスの入力ファイバに合焦するように位置付けられる、機器。
【請求項6】
請求項1記載の機器であって、更に、前記ビーム・カプラからの出力ビームを前記VBCデバイスの入力ファイバに供給するように結合されたビーム伝送ファイバを備え、前記ビーム伝送ファイバが、前記VBCデバイスの入力ファイバのRIPとは異なるRIPを有する、機器。
【請求項7】
請求項
4記載の機器であって、更に、前記ビーム・カプラからの出力ビームを前記VBCデバイスの入力ファイバに供給するように結合されたビーム伝送ファイバを備え、前記ビーム伝送ファイバが、前記VBCデバイスの入力ファイバのRIPとは異なるRIPを有する、機器。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1項記載の機器において、前記ビーム・カプラが、前記出力
ビームを受けるように位置付けられたビーム伝送ファイバを含み、前記ビーム伝送ファイバが、前記VBCデバイスの入力ファイバに結合される、機器。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか1項記載の機器において、前記1つ以上のビーム特性が、ビーム径、発散分布、ビーム・パラメータ積(BPP)、強度分布、輝度、M
2値、開口数(NA)、光強度、パワー密度、半径方向ビーム位置、放射輝度、またはスポット・サイズ、あるいはこれらの任意の組み合わせを含む、機器。
【請求項10】
方法であって、
入力光ビームを受け、前記入力光ビームを無誘導ビームとして伝搬させるステップと、
前記伝搬
した無誘導ビームを、第1RIPを有する第1長のファイバに結合するステップと、
前記第1長のファイバに摂動を起こすことにより、前記第1長のファイバに結合される前記入力光ビームの1つ以上のビーム特性を修正するステップと、
前記第1長のファイバからの前記
ビーム特性が修正
された入力光ビームを、第2RIPを有する第2長のファイバに結合するステップであって、前記第2長のファイバが、前記1つ以上の修正されたビーム特性の少なくとも一部を少なくとも2つの閉じ込め領域内に保存するように形成された第2RIPを有し、前記第1RIPおよび前記第2RIPが異なる、ステップと、
を含み、前記第1長のファイバおよび前記第2長のファイバが連続長のファイバの少なくとも一部を形成する、方法。
【請求項11】
請求項
10記載の方法において、前記入力光ビームをファイバから受け、更に、レンズによって、前記入力光ビームを前記第1長のファイバに合焦するステップを含む、方法。
【請求項12】
請求項
10~
11のいずれか1項記載の方法において、前記入力光ビームが無誘導光ビームであり、更に、レンズによって前記入力光ビームを前記第1長のファイバに合焦するステップを含む、方法。
【請求項13】
請求項
10~
12のいずれか1項記載の方法において、前記入力光ビームが無誘導光ビームであり、更に、第1レンズによって前記入力光ビームを平行化し、第2レンズによって前記平行化
された入力光ビームを前記第1長のファイバに合焦するステップを含む、方法。
【請求項14】
機器であって、
レーザ・ビームを受けるように光学的に結合されたビーム伝送システムを備え、前記ビーム伝送システムが、入力ファイバと、前記入力ファイバに光学的に結合された出力ファイバであって、前記入力ファイバおよび前記出力ファイバが連続長のファイバの少なくとも一部を形成する、出力ファイバと、前記入力ファイバおよび前記出力ファイバの内少なくとも1つに結合され、前記受けたレーザ・ビームの1つ以上のビーム特性を修正し、修正レーザ・ビームを前記出力ファイバから伝送する摂動アセンブリとを備え、
前記入力ファイバおよび前記出力ファイバが異なるRIPを有し、
前記出力ファイバが、少なくとも2つの閉じ込め領域を規定して、前記摂動アセンブリによって修正された前記1つ以上のビーム特性の内少なくとも一部を保存するRIPを有し、
前記ビーム伝送システムが、自由空間部分を含む光路を定める、機器。
【請求項15】
請求項
14記載の機器であって、更に、前記レーザ・ビームを受け、前記レーザ・ビームを前記入力ファイバに結合するように位置付けられたFFCを備え、前記FFCが前記光路の自由空間部分を定める、機器。
【請求項16】
請求項
15記載の機器であって、更に、前記レーザ・ビームを受け、前記レーザ・ビームを前記FFCに結合するように位置付けられたレーザ入力ファイバを備える、機器。
【請求項17】
請求項
14~
16のいずれか1項記載の機器であって、更に、前記出力ファイバに光学的に結合されたビーム伝送ファイバを備え、前記入力ファイバ、前記出力ファイバ、および前記ビーム伝送ファイバが異なるRIPを有する、機器。
【請求項18】
請求項
14~
17のいずれか1項記載の機器であって、更に、前記入力ファイバが前記レーザからのレーザ・ビームを受けるように切り替え可能に結合されるように、ファイバ間スイッチを備え、前記光路の自由空間部分が、前記ファイバ間
スイッチによって定められる、機器。
【請求項19】
請求項
14記載の機器であって、更に、
レーザ・ビームをレーザ出力ファイバにおいて供給するように位置付けられたレーザを備え、前記ビーム伝送システムが、前記レーザから前記レーザ・ビームを受けるように位置付けられたFFCを含み、前記FFCが、前記レーザ出力ファイバからの前記レーザ・ビームを平行化するように位置付けられた第1レンズと、前記平行化
されたレーザ・ビームを前記入力ファイバに誘導するように位置付けられた第2レンズとを含み、前記レーザ出力ファイバのRIPが前記入力ファイバのRIPとは異なり、前記1つ以上のビーム特性が、ビーム径、発散分布、ビーム・パラメータ積(BPP)、強度分布、輝度、M
2値、開口数(NA)、光強度、パワー密度、半径方向ビーム位置、放射輝度、またはスポット・サイズ、あるいはこれらの任意の組み合わせを含む、機器。
【請求項20】
請求項
19記載の機器において、前記第1レンズの焦点距離が、前記第2レンズの焦点距離とは異なる、機器。
【請求項21】
請求項
14~
20のいずれか1項記載の機器において、前記摂動アセンブリが前記出力ファイバに結合される、機器。
【請求項22】
請求項
16記載の機器であって、更に、前記出力ファイバに光学的に結合されたビーム伝送ファイバを備え、前記入力ファイバ、前記出力ファイバ、および前記ビーム伝送ファイバの内2つ以上が共通のRIPを有する、機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2017年5月26日に出願された米国特許出願第15/607,399号、2017年5月26日に出願された米国特許出願第15/607,410号、2017年5月26日に出願された米国特許出願第15/607,411号、および2017年5月26日に出願された特許協力機構出願第PCT/US2017/034848号の一部継続出願である。これらの全ては、2016年9月29日に出願された米国仮特許出願第62/401,650号の権利を主張する。これらの出願をここで引用したことにより、これら全ての開示内容全体が本願にも含まれるものとする。
【0002】
分野
本開示は、レーザ・ビーム特性を修正するための方法および機器に関する。
【従来技術】
【0003】
レーザ・ビームの空間分布および発散分布(「ビーム特性」)の制御は、多くの用途で重要である。従来の光処理システムの多くでは、レーザ・ビームは、光ファイバおよび光ビームをこの光ファイバから受ける光学素子を通じて、作業片に誘導される。光ファイバから光ビームを受ける光学素子は、選択されたビーム特性を生成することができるが、このようなビーム特性は、著しい複雑さ、コスト、サイズ、重量、光損失、または他の望ましくない特徴(feature)を光学系に導入することなく、変化させるのは難しいことが多い。通例、ビーム伝送ファイバの出力におけるビーム特性は固定されており、伝送ファイバの下流側にある光学素子(例えば、プロセス・ヘッド)が、ビームを、固定された他の1組の特性を有するものに変換する(例えば、伝送ファイバの出力を撮像することによって)。処理要件または他の適用要件が変化するに連れて(または、複数のビーム・プロファイルを必要とする用途において)、変化する要件を満たすために、利用可能なレーザを適合化することは、同じ理由で難題となる可能性がある。
【0004】
他の実用上の問題が、現場でのビーム修正を難しくする。多くの高パワー・レーザ・システムは、操作員に安全を提供し、レーザ出力異常の検出を補助することができる信号を制御するために、安全インターロックおよびパワー監視システムを含み、光損傷の前にレーザの修理または調節を可能にする。このようなインターロックおよび監視システムは内蔵型であり、望ましい再構成の多くは、これらの安全性対策を無効にするか、またはリセットするためには複雑で繊細な調節を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ファイバの接続(splicing)は通信用途においては単純明快であるが、スプライスを高パワー・レーザ・システムに導入するのは、難題となる可能性がある。高パワー・レーザを他のファイバに結合するために使用されるスプライスは、多くの場合、絶縁物に埋め込み(potted)、歪みを軽減し、被覆し、または他の方法で機械的に保護しなければならず、多くの場合、容認できない動作条件を検出するために、スプライス領域を光学的および熱的に監視しなければならない。このように、ファイバをこのような用途において接続することは、実用的ではない傾向があり、特に、レーザ製造業者によって使用されるプロセスおよび組み立て工具を通常では使用することがないエンド・ユーザにとって、実用的でない。したがって、可変で制御可能なビーム・プロファイルを付与するために改良された手法が求められており、特に、設置された高パワー・レーザの再構成に適した(adapted)手法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
少なくとも本明細書において開示するのは、光ビーム特性を変化させるための方法、システム、および機器である。方法は、第1長のファイバまたは第2長のファイバ、あるいはその組み合わせにおいて、光ビームの1つ以上のビーム特性を調節するために、第1長のファイバ内を伝搬する光ビームに摂動を起こすステップと、摂動を起こされた光ビームを第2長のファイバに結合するステップと、1つ以上の閉じ込め領域を有する第2長のファイバ内に、1つ以上の調節されたビーム特性の内少なくとも一部を維持するステップとを含んでもよい。更に、方法は、第1長のファイバの第1屈折率分布(RIP)または第2長の第2RIP、あるいはその組み合わせの選択に応答して、調節されたビーム特性を有する選択出力ビームを、第2長のファイバから生成するステップを含んでもよい。ある例では、摂動を起こされた光ビームの1つ以上のビーム特性が、第1長のファイバに摂動を起こしたことに応答して、調節された光ビームを生成するために、第1長のファイバの1つ以上のコア寸法、または第2長のファイバの1つ以上の閉じ込め領域の寸法、あるいはその組み合わせの選択に基づいて調節され、調節される光ビームが、第2長のファイバの出力において、ビーム径、発散分布、ビーム・パラメータ積(BPP)、強度分布、輝度、M2値、開口数(NA)、光強度、パワー密度、半径方向ビーム位置、放射輝度、またはスポット・サイズ、あるいはこれらの任意の組み合わせである、調節された特異項目(particular)を有する。ある例では、方法は、光ビームの1つ以上のモードが、第1長のファイバの長手方向軸に関して半径方向に変位されるように、第1長のファイバの曲げ半径を変更するため、または第1長のファイバの曲げ領域の長さを変更するため、あるいはこれらの組み合わせのために、第1長のファイバを曲げることによって光ビームに摂動を起こすステップを含み、第2長のファイバが、第1閉じ込め領域および第2閉じ込め領域を定めるRIPを有する。ある例では、調節された1つ以上のビーム特性は、第2長のファイバの2つ以上の閉じ込め領域内に光ビームを閉じ込めることによって生成される。この方法例は、更に、光ビームの1つ以上の変位されたモードが、第1閉じ込め領域または第2閉じ込め領域、あるいはその組み合わせに選択的に結合され維持されるように、摂動を起こされた光ビームを第1長のファイバから第1閉じ込め領域または第2閉じ込め領域、あるいはその組み合わせに発射するステップを含んでもよい。開示する方法は、第2長のファイバの出力において、光ビームの少なくとも1つのビーム特性を調節するために、第1長のファイバまたは第1長のファイバにおける光ビーム、あるいはその組み合わせに摂動を起こすことによって、光ビームの1つ以上のビーム特性に摂動を起こすステップを含んでもよい。第1長のファイバに摂動を起こすステップは、曲げる、特定の長さにわたって曲げる、マイクロベンディングを行う、音響光学的励起を加える、熱摂動、引き伸ばし、または圧電摂動を加える、あるいはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。第2長のファイバは、中央コアを含む第1閉じ込め領域と、第1閉じ込め領域を取り囲む環状コアを含む第2閉じ込め領域とを備えてもよい。光ビームの1つ以上のビーム特性を調節するステップは、前述の調節に続いて、最低次モード、1つ以上のそれよりも高次のモード、またはその組み合わせの所望のモード形状を生成するように、第1長のファイバのRIPを選択するステップを含んでもよい。ある例では、第1長のファイバがコアを有し、二乗分布型の屈折率分布が、コアの放射方向の一部または全部に及ぶ。第1長のファイバのRIPは、光ビームに摂動を起こしたことに応答して、最低次モード、それよりも高次のモード、またはその組み合わせの幅を増大または減少させるように選択されてもよい。第1長のファイバまたは第2長のファイバ、あるいはその組み合わせが、光ビームの発散プロファイルを修正する(modify)ように構成された少なくとも1つの発散構造を含んでもよい。閉じ込め領域が1つ以上のクラッディング構造によって分離されてもよく、発散構造が、クラッディング構造から離れた少なくとも1つの閉じ込め領域内に配置されてもよく、発散構造に隣接する閉じ込め領域よりも低い屈折率を有する材料を含む。ある例では、第2長のファイバが方位角方向に非対称であってもよい。
【0007】
本明細書において開示する機器は、光ビーム伝送デバイスを含んでもよく、この光ビーム伝送デバイスは、摂動デバイスによる光ビームの1つ以上のビーム特性の修正を可能にするように形成された第1RIPを含む第1長のファイバと、第1長のファイバに結合され、第2RIPを有する第2長のファイバであって、第2RIPが、光ビームの修正されたビーム特性の少なくとも一部を1つ以上の閉じ込め領域内に閉じ込めるように形成される、第2長のファイバとを備える。ある例では、第1RIPおよび第2RIPは異なる。ある例では、第2長のファイバが、複数の閉じ込め領域を備える。摂動デバイスは、第1長のファイバに結合されるか、または第1長のファイバと一体であるか、またはその組み合わせであってもよい。第1長のファイバは、少なくとも半径方向の中央部においてグレーデッド・インデックスRIPを備えてもよく、第2長のファイバは、中央コアを備える第1閉じ込め領域と、環状であり第1閉じ込め領域を取り囲む第2閉じ込め領域とを有する。第1閉じ込め領域および第2閉じ込め領域は、第1閉じ込め領域および第2閉じ込め領域の屈折率よりも低い屈折率を有するクラッディング構造によって分離されてもよい。クラッディング構造は、フルオロケイ酸塩を含んでもよい。第1長のファイバまたは第2長のファイバ、あるいはその組み合わせは、光ビームの発散プロファイルを修正するように構成された少なくとも1つの発散構造を含んでもよく、発散構造は、発散構造を取り囲む第2材料よりも低い屈折率を有する第1材料を含んでもよい。第2長のファイバは、方位角方向に非対称であってもよく、第1コアを含む第1閉じ込め領域と、第2コアを含む第2閉じ込め領域とを備えてもよい。ある例では、第1閉じ込め領域および第2閉じ込め領域が同軸状であってもよい。他の例では、第1閉じ込め領域および第2閉じ込め領域が同軸状でなくてもよい。ある例では、第2閉じ込め領域が三日月形状であってもよい。第1RIPは、第1半径を有する第1部分において二乗分布型であってもよい。ある例では、第1RIPが、第2半径を有する第2部分において一定であってもよく、第2半径は第1半径よりも大きい。第1RIPは、第1長のファイバのコアのエッジまでに及び半径方向に傾斜する屈折率を含んでもよく、第1RIPは、摂動デバイスによるビーム特性の修正に応答して、光ビームの1つ以上のモードの幅を増大または減少させるように形成される。第1長のファイバは、第1半径までに及び屈折率が半径方向に傾斜するコアと、これに続いて第2半径までに及び屈折率が一定の部分とを有してもよく、第2半径が第1半径よりも大きい。ある例では、第2長のファイバが、約0から100ミクロンの範囲の直径を有する中央コアと、約10から600ミクロンの範囲の直径を有し中央コアを取り囲む第1環状コアと、約20から1200ミクロンの範囲の直径を有する第2環状コアとを備える。摂動デバイスは、光ビームのビーム特性を修正するために、曲げ半径を変更するように、または第1長のファイバの曲げ長を変更するように、あるいはこれらの組み合わせとなるように構成された曲げ加工アセンブリを備えてもよい。ある例では、摂動デバイスが、曲げ加工アセンブリ、マンドレル、ファイバにおけるマイクロベンディング、音響光学変換器、熱デバイス、ファイバ・ストレッチャ、または圧電デバイス、あるいはこれらの組み合わせを備えてもよい。第1長のファイバおよび第2長のファイバは、互いに繋がれた別個の受動ファイバであってもよい。
【0008】
本明細書において開示するシステムは、光ビーム伝送システムを含んでもよい。このシステムは、第1および第2長のファイバを含む光ファイバと、第2長のファイバに結合され、修正されたビーム特性を含む光ビームを受けて送信するように構成された1つ以上の自由空間光学素子を含む光学系とを備える。第1長のファイバは、1つ以上のビーム特性を修正するように配された摂動アセンブリによって光ビームの1つ以上のビーム特性の修正を少なくとも部分的に可能にするように形成された第1RIPを含んでもよく、摂動アセンブリが第1長のファイバに結合される、または第1長のファイバと一体である、あるいはその組み合わせであってもよい。第2長のファイバは、第1長のファイバに結合されてもよく、摂動アセンブリによって修正された光ビームの1つ以上のビーム特性の内少なくとも一部を1つ以上の第1閉じ込め領域内に保存するように形成された第2RIPを有してもよい。ある例では、第1RIPおよび第2RIPが異なる。
【0009】
光ビーム伝送システムは、更に、第1プロセス・ヘッドと光学系との間に結合された第1プロセス・ファイバを含んでもよく、第1プロセス・ファイバが、修正された1つ以上のビーム特性を含む光ビームを受けるように構成される。第1プロセス・ファイバは、プロセス・ファイバの1つ以上の第2閉じ込め領域内に、光ビームの修正された1つ以上のビーム特性の内少なくとも一部を保存するように構成された第3RIPを含んでもよい。一例では、自由空間光学素子の少なくとも一部が、光ビームの修正された1つ以上のビーム特性を更に修正するように構成されてもよい。1つ以上のビーム特性は、ビーム径、発散分布、BPP、強度分布、輝度、M2値、NA、光強度、パワー密度、半径方向ビーム位置、放射輝度、またはスポット・サイズ、あるいはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。第3RIPが第2RIPと同じであっても異なってもよい。第3RIPは、光ビームの修正された1つ以上のビーム特性を更に修正するように構成されてもよい。ある例では、1つ以上の第2閉じ込め領域の少なくとも1つが、光ビームの発散プロファイルを修正するように構成された少なくとも1つの発散構造を含む。発散構造は、第2閉じ込め領域よりも低い屈折率の材料のエリアを含んでもよい。
【0010】
光ビーム伝送システムは、更に、第4RIPを有し、光学系と第2プロセス・ヘッドとの間に結合された第2プロセス・ファイバを含んでも良く、第2プロセス・ファイバが、第2プロセス・ファイバの1つ以上の第2閉じ込め領域内において、修正された1つ以上のビーム特性を含む光ビームを受けるように構成されてもよい。ある例では、第1プロセス・ファイバまたは第2プロセス・ファイバ、あるいはその組み合わせが、光ビームの修正された1つ以上のビーム特性を更に修正するように構成されてもよい。第2プロセス・ファイバは、光ビームの発散プロファイルを修正するように構成された少なくとも1つの発散構造を含んでもよい。第2プロセス・ファイバは、1つ以上の第2閉じ込め領域の内少なくとも1つによって取り囲まれた中央コアを備えてもよく、コアおよび第2閉じ込め領域は、中央コアの第2屈折率および第2閉じ込め領域の第3屈折率よりも低い第1屈折率を有するクラッディング構造によって分離され、第2閉じ込め領域が少なくとも1つの発散構造を含んでもよい。少なくとも1つの発散構造は、第2閉じ込め領域よりも低い屈折率の材料のエリアを備えてもよい。一例では、第2RIPが、愛3RIPまたは第4RIP、あるいはその組み合わせとは異なってもよい。あるいは、第2RIPが、第3RIPまたは第4RIP、あるいはその組み合わせと同じであってもよい。修正されてもよい1つ以上のビーム特性は、ビーム径、発散分布、BPP、強度分布、輝度、M2値、NA、光強度、パワー密度、半径方向ビーム位置、放射輝度、またはスポット・サイズ、あるいはこれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0011】
ある例では、自由空間光学素子の少なくとも一部が、光ビームの修正された1つ以上のビーム特性を更に修正するように構成されてもよい。第1プロセス・ヘッドと光学系との間に第1プロセス・ファイバが結合されてもよく、第1プロセス・ファイバが、2回修正された1つ以上のビーム特性を含む光ビームを受けるように構成される。第1プロセス・ファイバは、第1プロセス・ファイバの1つ以上の第2閉じ込め領域内に、光ビームの2回修正された1つ以上のビーム特性の少なくとも一部を保存するように構成された第3RIPを有してもよい。第3RIPは、第2RIPとは異なってもよく、第3RIPは、光ビームの2回修正された1つ以上のビーム特性を更に修正するように構成される。
【0012】
ある例では、第1プロセス・ファイバが、光ビームの2回修正された1つ以上のビーム特性を更に修正するように構成された発散構造を含んでもよい。ある例では、光学系と第2プロセス・ヘッドとの間に第2プロセス・ファイバが結合されてもよく、第2プロセス・ファイバが、2回修正された1つ以上のビーム特性を受けるように構成される。
【0013】
ある例では、第1プロセス・ファイバまたは第2プロセス・ファイバ、あるいはその組み合わせが、光ビームの2回修正された1つ以上のビーム特性を更に修正するように構成される。第1プロセス・ファイバまたは第2プロセス・ファイバ、あるいはその組み合わせは、光ビームの2回修正された1つ以上のビーム特性を更に修正するように構成された少なくとも1つの発散構造を含んでもよい。光学系は、ファイバ間カプラ、ファイバ間スイッチ、またはプロセス・ヘッド等、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。
【0014】
他の例では、機器は、入力ビームを受け出力ビームを生成するように位置付けられたビーム・カプラを備え、このビーム・カプラによって定められる光路は自由空間部分を含む。VBCデバイスが、ビーム・カプラに結合され、入力ファイバ、摂動アセンブリ、および出力ファイバを含み、入力ファイバは出力ファイバに光学的に結合される。摂動アセンブリは、入力ファイバまたは出力ファイバの内少なくとも1つに結合され、出力ファイバが修正ビームを伝送するように、ビーム・カプラから受ける出力ビームの1つ以上のビーム特性を修正する。出力ファイバは、摂動アセンブリによって修正された1つ以上のビーム特性の少なくとも一部を保存する屈折率分布を有する。ある例では、入力ファイバの屈折率分布(RIP)は出力ファイバのRIPとは異なる。ある実施形態では、ビーム・カプラは、ビーム・カプラによって生成された出力ビームをVBCデバイスの入力ファイバに誘導するように位置付けられた少なくとも1つのレンズを備える。更に他の例では、ビーム・カプラの少なくとも1つのレンズは、第1レンズと第2レンズとを含む。第1レンズは、無誘導入力光ビームを受け、平行化光ビームを第2レンズに伝送するように位置付けられ、第2レンズは、平行化光ビームをVBCデバイスの入力ファイバに合焦するように位置付けられる。
【0015】
ある例によれば、ビーム・カプラはファイバ間カプラ(FFC)を備える。ファイバ間カプラ(FFC)は、光ファイバから光ビームを受け、この光ビームを光ファイバからVBCデバイスの入力ファイバに誘導するように位置付けられた少なくとも1つのレンズを含む。FFCの少なくとも1つのレンズは、第1レンズと第2レンズとを含む。第1レンズは、光ファイバから光ビームを受け、平行化光ビームを第2レンズに伝送するように位置付けられ、第2レンズは、平行化光ビームをVBCデバイスの入力ファイバに合焦するように位置付けられる。更に他の例では、出力ビームをビーム・カプラからVBCデバイスの入力ファイバに供給するために、ビーム伝送ファイバが結合される。通例、ビーム伝送ファイバは、VBCデバイスの入力ファイバおよび出力ファイバのRIPとは異なるRIPを有する。ある例では、1つ以上のビーム特性が、ビーム径、発散分布、ビーム・パラメータ積(BPP)、強度分布、輝度、M2値、開口数(NA)、光強度、パワー密度、半径方向ビーム位置、放射輝度、またはスポット・サイズ、あるいはこれらの任意の組み合わせを含む。
【0016】
代表的な方法は、入力光ビームを受け、入力光ビームを無誘導ビームとして伝搬させるステップと、伝搬する無誘導ビームを、第1RIPを有する第1長のファイバに結合するステップとを含む。第1長のファイバに結合される光ビームの1つ以上のビーム特性は、第1長のファイバに摂動を起こすことによって、修正される。修正ビームは、第1長のファイバから、第2RIPを有する第2長のファイバに結合される。第2長のファイバは、修正ビームの1つ以上のビーム特性の内少なくとも一部を、1つ以上の第1閉じ込め領域内に保存するように形成され、第1RIPおよび第2RIPは異なる。ある実施形態では、入力光ビームは、ファイバから受けてレンズによって第1長のファイバに合焦する。他の例では、入力光ビームは無誘導光ビームであり、レンズによって第1長のファイバに合焦される。追加の例では、入力光ビームは無誘導光ビームであり、第1レンズによって平行化され、第2レンズによって第1長のファイバに合焦される。
【0017】
更に他の例では、機器は、レーザ・ビームを受けるように光学的に結合されたビーム伝送システムを備え、このビーム伝送システムは、入力ファイバと、入力ファイバに光学的に結合された出力ファイバと、入力ファイバおよび出力ファイバの内少なくとも1つに結合され受けたレーザ・ビームの1つ以上のビーム特性を修正し、修正レーザ・ビームを出力ファイバから伝送する摂動アセンブリとを備える。入力ファイバおよび出力ファイバは、異なるRIPを有し、ビーム伝送システムは、自由空間部分を含む光路を定める。ある例では、レーザ・ビームを受け、このレーザ・ビームを入力ファイバに結合するようにFFCが位置付けられ、このFFCは光路の自由空間部分を定める。他の例では、レーザ入力ファイバが、レーザ・ビームを受け、このレーザ・ビームをFFCに結合するように位置付けられる。更に他の例では、ビーム伝送ファイバが光学的に出力ファイバに結合され、入力ファイバ、出力ファイバ、およびビーム伝送ファイバは異なるRIPを有する。ある例によれば、入力ファイバがレーザからレーザ・ビームを受けるように切り替え可能に結合されるように、ファイバ間光スイッチが位置付けられ、光路の自由空間部分がファイバ間光スイッチによって定められる。更に他の例では、レーザ出力ファイバにおいてレーザ・ビームを供給するようにレーザが位置付けられ、ビーム伝送システムは、レーザ・ビームをレーザから受けるように位置付けられたFFCを含む。FFCは、レーザ出力ファイバからのレーザ・ビームを平行化するように位置付けられた第1レンズと、平行化レーザ・ビームを入力ファイバに誘導するように位置付けられた第2レンズとを含み、レーザ出力ファイバのRIPは、入力ファイバのRIPとは異なる。ある実施形態では、第1レンズの焦点距離は、第2レンズの焦点距離とは異なる。
【0018】
添付図面では、同様の参照番号は同様のエレメントを表し、添付図面は説明と共に本明細書に組み込まれその一部を構成し、ここで開示する技術の利点および原理を説明する。図面において、
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、可変ビーム特性を有するレーザ・ビームを供給するためのファイバ構造の例を示す。
【
図2】
図2は、可変ビーム特性を有するビームを伝送するためのファイバ構造の例の断面図を示す。
【
図3】
図3は、可変ビーム特性を有するビームを供給するためのファイバ構造に摂動を起こす方法の例を示す。
【
図4】
図4は、異なるファイバ曲げ半径に対する第1長のファイバについて計算された最低次モード(LP
01)の空間プロファイルを示すグラフである。
【
図5】
図5は、ビーム特性を変化させるためのファイバがほぼ直線であるときの接合部における二次元強度分布の例を示す。
【
図6】
図6は、ビーム特性を変化させるためのファイバが折り曲げられ、第2長のファイバの特定の閉じ込め領域を優先的に励起させるように半径が選択されたときの接合部における二次元強度分布の例を示す。
【
図7】
図7は、
図2に示すビーム特性を変化させるためのファイバの種々の曲げ半径に対する更なる出力ビームを例示する実験結果を示す。
【
図8】
図8は、
図2に示すビーム特性を変化させるためのファイバの種々の曲げ半径に対する更なる出力ビームを例示する実験結果を示す。
【
図9】
図9は、
図2に示すビーム特性を変化させるためのファイバの種々の曲げ半径に対する更なる出力ビームを例示する実験結果を示す。
【
図10】
図10は、
図2に示すビーム特性を変化させるためのファイバの種々の曲げ半径に対する更なる出力ビームを例示する実験結果を示す。
【
図11】
図11は、ファイバ・アセンブリにおいてビーム特性の調節を可能にするための第1長のファイバの例の断面図を示す。
【
図12】
図12は、ファイバ・アセンブリにおいてビーム特性の調節を可能にするための第1長のファイバの例の断面図を示す。
【
図13】
図13は、ファイバ・アセンブリにおいてビーム特性の調節を可能にするための第1長のファイバの例の断面図を示す。
【
図14】
図14は、ファイバ・アセンブリにおいてビーム特性の調節を可能にするための第1長のファイバの例の断面図を示す。
【
図15】
図15は、ファイバ・アセンブリにおいてビーム特性の調節を可能にするための第1長のファイバの例の断面図を示す。
【
図16】
図16は、ファイバ・アセンブリにおいてビーム特性の調節を可能にするための第1長のファイバの例の断面図を示す。
【
図17】
図17は、ファイバ・アセンブリにおいて調節されたビーム特性を閉じ込めるための第2長のファイバ(「閉じ込めファイバ」)の例の断面図を示す。
【
図18】
図18は、ファイバ・アセンブリにおいて調節されたビーム特性を閉じ込めるための第2長のファイバ(「閉じ込めファイバ」)の例の断面図を示す。
【
図19】
図19は、ファイバ・アセンブリにおいて調節されたビーム特性を閉じ込めるための第2長のファイバ(「閉じ込めファイバ」)の例の断面図を示す。
【
図20】
図20は、可変ビーム特性を提供するように構成されたファイバ・アセンブリにおいて、調節されたビームの発散角を変化させ、調節されたビームを閉じ込めるための第2長のファイバの例の断面図を示す。
【
図21】
図21は、可変ビーム特性を提供するように構成されたファイバ・アセンブリにおいて、調節されたビームの発散角を変化させ、調節されたビームを閉じ込めるための第2長のファイバの例の断面図を示す。
【
図22A】
図22Aは、供給ファイバとプロセス・ヘッドとの間に配備され可変ビーム特性を提供するように構成されたファイバ・アセンブリを含むレーザ・システムの例を示す。
【
図22B】
図22Bは、供給ファイバとプロセス・ヘッドとの間に配備され可変ビーム特性を提供するように構成されたファイバ・アセンブリを含むレーザ・システムの例を示す。
【
図23】
図23は、供給ファイバと複数のプロセス・ヘッドとの間に配備され可変ビーム特性を提供するように構成されたファイバ・アセンブリを含むレーザ・システムの例を示す。
【
図24】
図24は、本明細書において提示する種々の例にしたがって可変ビーム特性を提供するための種々の摂動アセンブリの例を示す。
【
図25】
図25は、光ファイバの修正特性を調節および維持するためのプロセスの例を示す。
【
図26】
図26は、ファイバ・アセンブリにおいて調節されたビーム特性を閉じ込めるための第2長のファイバ(「閉じ込めファイバ」)の例を示す断面図である。
【
図27】
図27は、ファイバ・アセンブリにおいて調節されたビーム特性を閉じ込めるための第2長のファイバ(「閉じ込めファイバ」)の例を示す断面図である。
【
図28】
図28は、ファイバ・アセンブリにおいて調節されたビーム特性を閉じ込めるための第2長のファイバ(「閉じ込めファイバ」)の例を示す断面図である。
【
図29】
図29は、ビーム修正システムの入力ファイバに接続された出力ファイバを有するレーザ・システムを示す。
【
図30】
図30は、ファイバ間カプラ(FFC)によってビーム修正システムの入力ファイバに結合された出力ファイバを有するレーザ・システムを示す。
【
図31】
図31は、レーザ出力ビームをビーム修正システムに結合するFFCと、形状修正光ビームを1つ以上の選択された目標エリアに伝送する光学系とを含むレーザ処理システムを示す。
【
図32】
図32は、直列接続された入力ファイバを有するビーム修正システムに接続された(splice)出力ファイバを有するレーザ・システムを示す。
【
図33】
図33は、無誘導レーザ・ビームがVBCデバイスに結合されるレーザ・システムを示す。
【
図34】
図34は、レーザがFFCに結合され、次いでFFCがVBCデバイスに結合されるレーザ・システムを示す。
【
図35】
図35は、レーザ・ビームを1つ以上のVBCデバイスに選択的に結合するファイバ間スイッチを含むレーザ・システムを示す。
【
図36】
図36は、無誘導レーザ・ビームがVBCデバイスに結合される代替レーザ・システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[0029] 本開示および請求項において使用する場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに違うことを規定するのでないならば、複数形も含むものとする。加えて、「含む」(includes)という用語は「備える」(comprises)を意味する。更に、「結合された」(coupled)という用語は、結合された品目間における中間エレメントの存在を除外しない。また、「修正する」(modify)および「調節する」(adjust)という用語は、「変更する」(alter)を意味するように相互交換可能に使用される。
【0021】
[0030] 本明細書において説明するシステム、機器、および方法は、限定として解釈しては決してならない。代わりに、本開示は、種々の開示する実施形態の態様が単独であっても、そして種々の組み合わせであっても、更に互いとのサブコンビネーションであっても、全て新規で非自明な特徴の達成に向けられる。開示するシステム、方法、および機器は、いずれの特定の態様にも、特徴にも、その組み合わせにも限定されず、更に開示するシステム、方法、および機器はいずれも、いずれか1つ以上の特定の利点が存在することも、問題が解決されることも求めない。あらゆる動作理論は、説明を容易にするためのものであるが、開示するシステム、方法、および機器はそのような動作理論に限定されるのではない。
【0022】
[0031] 開示する方法のいくつかの動作は、利便性の良い表示のために特定の順序で説明されるが、下記に説明される特定の言語によって特定の順序が必要とされない限り、この説明の方法が並べ替えを包含することは理解されてしかるべきである。例えば、順番に記載される動作は、場合によっては、並べ替えるかまたは同時に実行してもよい。更に、簡略化のために、添付図面は、開示されたシステム、方法、及び機器を他のシステム、方法、及び機器と併用できる様々な方法を示さない場合がある。加えて、その説明はときとして、「生じさせる」および「提供する」等の用語を使用して、開示する方法を説明する。これらの用語は、実行される実際の動作の高度な抽象概念である。これらの用語に対応する実際の動作は、特定の実装に応じて変化することになり、当業者によって容易に認識可能である。
【0023】
[0032] ある例では、値、手順、または機器が「最低」、「最良」、「最小」等と呼ばれることがある。このような説明は、多くの使用される機能的代用物から選択を行うことができ、このような選択は他の選択肢よりも必ずしも勝る、小さい、またそうでなければ好ましいという訳ではないことを示すという意図があることは認められよう。「上記の」(above)、「下記の」(below)、「上の」(upper)、「下の」(lower)等を示す方向を参照して、例について説明する。これらの用語は、説明の都合上使用されるのであって、特定の空間的な向きを暗示するのではない。
【0024】
定義
本明細書において使用する場合の単語および用語の定義
【0025】
1.「ビーム特性」(beam characteristics)という用語は、光ビームを記述するために使用される以下の用語の内1つ以上を指す。一般に、最も関心のあるビーム特性は、用途または光学システムの詳細次第で異なる。
【0026】
2.「ビーム径」(beam diameter)という用語は、放射照度(強度)が最大放射照度の1/e2に等しい軸に沿ったビームの中心を横切る距離として定義される。本明細書において開示する例は、一般に、方位角方向対称モードで伝搬するビームを使用するが、楕円形または他のビーム形状も使用することができ、ビーム径は異なる軸に沿って異なることもあり得る。円形ビームは1つのビーム径によって特徴付けられる。他のビーム形状は、異なる軸に沿って異なるビーム径を有する可能性がある。
【0027】
3.「スポット・サイズ」(spot size)という用語は、最大放射強度の中心点から1/e2点までの半径方向距離(半径)である。
【0028】
4.「ビーム発散分布」(beam divergence distribution)という用語は、パワー対最大円錐角である。この量は、「角度分布」(angular distribution)または「NA分布」(NA distribution)と呼ばれることもある。
【0029】
5.レーザ・ビームの「ビーム・パラメータ積」(beam parameter product)(BPP)という用語は、ビーム半径(ビームのくびれにおいて測定される)とビーム発散半角(遠場において測定される)との積として定義される。BPPの単位は通例mm-mradである。
【0030】
6.「閉じ込めファイバ」(confinement fiber)は、1つ以上の閉じ込め領域を保有するファイバであると定義される。ここで、閉じ込め領域は、屈折率が低い方の領域(クラッディング領域)によって包囲された屈折率が高い方の領域(コア領域)を含む。閉じ込めファイバのRIPは、屈折率が低い方の領域(クラッディング領域)によって包囲された1つ以上の屈折率が高い方の領域(コア領域)を含んでもよく、光は屈折率が高い方の領域内において誘導される。各閉じ込め領域および各クラッディング領域は、ステップ・インデックス型(step-index) およびグレーデッド・インデックス型(graded-index)を含むがこれらに限定されない、任意のRIPを有することができる。閉じ込め領域は、同心円状であってもなくてもよく、更に円形、環状、多角形、弓状、楕円形、または不規則形状等、あるいはこれらの組み合わせのような種々の形状であってもよい。特定の閉じ込めファイバにおける閉じ込め領域は、全て同じ形状であってもよく、または異なる形状であってもよい。更に、閉じ込め領域は同軸状であってもよく、または互いに対してずれた軸を有してもよい。閉じ込め領域は、長手方向の中心軸を中心に均一の厚さでもよく、または厚さは長手方向の中心軸を中心に変化してもよい。
【0031】
7.「強度分布」(intensity distribution)という用語は、線分(1Dプロファイル)に沿った位置または平面(2Dプロファイル)上における位置の関数としての光強度を指す。線分または平面は、光の伝搬方向に対して垂直に取られるのが普通である。これは定量的プロパティである。
【0032】
8.「輝度」(luminance)とは、所与の方向に進む光の単位面積当たりの光度の測光尺度である。
【0033】
9.「M2係数」(M2 factor)(「ビーム品質係数」または「ビーム伝搬係数」とも呼ぶ)は、レーザ・ビームのビーム品質を定量化するための、次元がないパラメータであり、M2=1の場合回折限界ビームであり、M2値が大きくなるに連れて低いビーム品質に対応する。M2はBPPをλ/πで除算した値に等しく、ここでλはミクロン単位のビームの波長である(BPPがmm-mrad単位で表される場合)。
【0034】
10.光学系の「開口数」(numerical aperture)または「NA」という用語は、その系が光を受け入れるまたは発することができる角度の範囲を特徴付ける、次元のない数値である。
【0035】
11.「光強度」(optical intensity)という用語は、正式な(SI)単位ではなく、表面上の単位面積当たりの入射パワーまたは平面を貫通する入射パワーを示すために使用される。
【0036】
12.「パワー密度」(power density)という用語は、単位面積当たりの光パワーを指すが、これは「光強度」(optical intensity)とも呼ばれる。
【0037】
13.「半径方向ビーム位置」(radial beam position)という用語は、ファイバ軸に対して垂直な方向におけるファイバ・コアの中心に関して測定されたファイバ内におけるビームの位置を指す。
【0038】
14.「放射輝度」(radiance)とは、光源(例えば、レーザ)の単位面積によって所与の方向に単位立体角当たり放出される放射光線(radiation)である。放射輝度は、ビーム強度分布および/またはビーム発散プロファイルもしくは分布を変化させることによって変更することができる。レーザ・ビームの放射輝度プロファイルを変化させる能力は、BPPを変化させる能力を暗示する。
【0039】
15.「屈折率分布」(refractive-index profile)または「RIP」は、ファイバ軸に対して垂直な線分(1D)に沿った位置、または平面(2D)における位置の関数とした屈折率を指す。多くのファイバは方位角方向に対称であり、この場合1D RIPはあらゆる方位角に対して同一となる。
【0040】
16.「ステップ・インデックス・ファイバ」(step-index fiber)は、ファイバ・コア内では平坦なRIPを有する(位置に関係ない屈折率)。
【0041】
17.「グレーデッド・インデックス・ファイバ」(graded-index fiber)は、半径方向位置が増大するに連れて(即ち、ファイバ・コアの中心からの距離が増大するに連れて)屈折率が減少するRIPを有する。
【0042】
18.「二乗分布型ファイバ」(parabolic-index fiber)は、グレーデッド・インデックス・ファイバの特異事例であり、ファイバ・コアの中心からの距離が増大するに連れて、屈折率が二次関数的に減少する。
【0043】
19.「自由空間伝搬」(free space propagation)または「無誘導伝搬」(unguided propagation)は、通例、ビーム・レイリー範囲よりも5倍、10倍、20倍、100倍またはそれ以上の光距離にわたって、1つ以上の導波路(光ファイバ等)に制約されることなく伝搬する光フビームを指すために使用される。このような伝搬は、ガラス、溶融シリカ、半導体、空中、結晶性材料、真空というような光媒体において可能である。
【0044】
20.「平行化ビーム」(collimated beam)は、一般に、ビームが平面波面を有する、有する場合がある(would have)、または有するように見える位置(ガウス・ビームの焦点におけるまたは光ファイバの出力におけるというな位置)からの視距離が、焦点距離fの焦点から焦点距離fの10%、5%、2%、1%、0.5%、0.1%未満となるように、レンズ、あるいは湾曲ミラー、フレネル・レンズ、またはホログラフ光学素子のような他の合焦素子を位置付けることによって生成される。
【0045】
21.「光路」(optical path)とは、光素子間に空間を含む光学系を横断するときに、光ビームが辿る経路を指す。光路長は、光路の実際の長さに関係するが、光路上に位置付けられた任意の光媒体の屈折率に関連付けられる寄与も含む。
【0046】
ビーム特性を変化させるためのファイバ
本明細書において開示するのは、先に説明した従来の方法のコスト、複雑さ、光損失、またはその他の欠点を減らすことができ、可変ビーム特性(VBC)を有するレーザ・ビームを供給するように動作可能なファイバを提供するように構成された方法、システム、および機器である。このVBCファイバは、広範囲におよぶ多様な光ビーム特性を変化させるように構成される。このようなビーム特性は、VBCファイバを使用して制御することができ、つまり、ユーザが広く多様なレーザ処理用途の個々の要件に適するように、種々のビーム特性を調整する(tune)ことを可能にする。例えば、ビーム径、ビーム発散分布、BPP、強度分布、M2係数、NA、光強度、パワー密度、半径方向ビーム位置、放射輝度、スポット・サイズ等、またはこれらの任意の組み合わせを調整するために、VBCファイバを使用することができる。
【0047】
一般に、開示する技術は、レーザ・ビームをファイバ内に結合し、このファイバにおいて、種々の方法の内任意のもの(例えば、ファイバを折り曲げる、または1つ以上の他の摂動を導入する)によってレーザ・ビームに摂動を起こしおよび/または第1長のファイバに摂動を起こすことによってレーザ・ビームの特性を調節することができ、調節したビーム特性を完全にまたは部分的に第2長のファイバにおいて維持することを伴う。第2長のファイバは、調節したビーム特性を維持する、および/または更に修正するように特別に構成される。ある場合には、第2長のファイバは、レーザ・ビームのその最終的な使用(例えば、材料処理)への伝達の間中、調節したビーム特性を保存する。第1および第2長のファイバは、同じファイバまたは異なるファイバを含んでもよい。
【0048】
開示する技術は、レーザ・ファイバおよびファイバ結合レーザと適合する。ファイバ結合レーザは、通例、ステップ・インデックス型の屈折率分布(RIP)を有する伝送ファイバ、即ち、ファイバ・コア内の屈折率が平坦または一定である伝送ファイバを通じて出力を伝送する。実際には、伝送ファイバのRIPはファイバの設計によっては、完全に平坦ではない場合もある。重要なパラメータは、ファイバ・コア径(dcore)およびNAである。コア径は、通例、10~1000ミクロンの範囲内であり(しかし、他の値も可能である)、NAは、通例、0.06~0.22の範囲内である(しかし、他の値も可能であるx)。レーザからの伝送ファイバは、直接プロセス・ヘッドまたは作業片に導かれることもあり、あるいはファイバ間カプラ(FFC:fiber-to-fiber coupler)またはファイバ間スイッチ(FFS:fiber-to-fiber switch)に導かれることもあり、このカプラまたはスイッチが光を伝送ファイバからプロセス・ファイバに結合し、プロセス・ファイバがビームをプロセス・ヘッドまたは作業片に送信する。
【0049】
殆どの材料処理ツール、特に、高パワー(>1kW)のものは、多モード(MM:multimode)ファイバを採用するが、一部は、dcoreおよびNA範囲の下端にある単一モード(SM)ファイバを採用する。SMファイバからのビーム特性は、ファイバ・パラメータによって一意に決定される。しかしながら、MMファイバからのビーム特性は、ファイバに結合されているレーザ源(1つまたは複数)からのビーム特性、ファイバへの発射(launching)または繋ぎ(splicing)条件、ファイバのRIP、ファイバの静的および動的外形(曲げ、渦巻き、動き、マイクロベンディング等)に応じて、変動する可能性がある(単位毎、および/またはレーザ・パワーや時間の関数として)。SMおよびMM双方の伝送ファイバについては、所与の材料処理作業にとってビーム特性が最適にならない場合があり、広範囲の作業にとって最適になることはありそうにないので、特定の処理作業に合わせてこれらをカスタム化するまたは最適化するために、系統的にビーム特性を変化させることを可能にしたいという要望が高まっている。
【0050】
一例では、VBCファイバは第1長および第2長を有することができ、ビーム特性の所望の調節可能性を提供するために、伝送ファイバとプロセス・ファイバとの間におけるファイバ内デバイスとして介在させるように構成することができる。ビームの調節を可能にするために、摂動デバイスおよび/またはアセンブリをVBCファイバに近接して配置し、および/またはVBCファイバと結合し、ビーム特性がファイバの第1長において変更されるように、第1長においてビームに摂動を起こす役割を果たし、変更された特性は、ビームが第2長のファイバ内を伝搬する間保存されるか、または更に変更される。摂動を起こされたビームは、調節されたビーム特性を保存するように構成された第2長のVBCファイバ内に発射される。第1および第2長のファイバは、同じファイバでも異なるファイバでもよく、および/または第2長のファイバは閉じ込めファイバを構成することができる。第2長のVBCファイバによって保存されたビーム特性は、ビーム径、ビーム発散分布、BPP、強度分布、輝度、M2係数、NA、光強度、パワー密度、半径方向ビーム位置、放射輝度、スポット・サイズ等、またはこれらの任意の組み合わせの内任意のものを含むことができる。
【0051】
図1は、ビーム特性を変化させるために自由空間光学素子の使用を必要とせずに、可変ビーム特性を有するレーザ・ビームを提供するためのVBCファイバの例100を示す。VBCファイバ100は、第1長のファイバ104と第2長のファイバ108とを含む。第1長のファイバ104および第2長のファイバ108は、同じファイバでも異なるファイバでもよく、同じRIPまたは異なるRIPを有してもよい。第1長のファイバ104および第2長のファイバ108は、スプライスによって一緒に接合されてもよい。第1長のファイバ104および第2長のファイバ108は、他の方法で結合されてもよく、離間されてもよく、あるいは他の長さのファイバ、自由空間光学素子、糊、屈折率整合材(index-matching material)等、またはこれらの組み合わせのような、介在部品を介して接続されてもよい。
【0052】
摂動デバイス110が、摂動領域106に近接して配置される、および/または摂動領域106を包み込む。摂動デバイス110は、デバイス、アセンブリ、ファイバ内構造、および/またはその他の機構(feature)でもよい。摂動デバイス110は、少なくとも、光ビーム102の1つ以上のビーム特性を調節するために、第1長のファイバ104または第2長のファイバ108、あるいはその組み合わせにおいて、光ビーム102に摂動を起こす。摂動デバイス110による摂動に応答するビーム102の調節は、第1長のファイバ104または第2長のファイバ、あるいはその組み合わせにおいて行われてもよい。摂動領域106は、種々の幅にわたって広がってもよく、更に第2長のファイバ108の一部に及んでも及ばなくてもよい。ビーム102がVBCファイバ100内を伝搬すると、摂動デバイス110は、ファイバに摂動を起こしビーム102の特性を調節するように、VBCファイバ100に物理的に作用することができる。あるいは、摂動デバイス110は、ビーム102のビーム特性を変更するために、直接ビーム102に作用してもよい。調節された後、摂動を起こされたビーム112はビーム102とは異なるビーム特性を有し、このビーム特性は第2長のファイバ108において完全にまたは部分的に保存される。他の例では、摂動デバイス110をスプライスに近接して配置する必要はない。更に、スプライスが全く不要となる場合もある。例えば、VBCファイバ100が1本のファイバである場合、第1長のファイバおよび第2長のファイバを離間させることができる場合、または小さな間隙をもって固定される場合である(空気で離間される、あるいは光セメントまたは屈折率整合材のような光材料で満たされる)。
【0053】
摂動を起こされたビーム112は、第2長のファイバ108内に発射され、この中で、摂動を起こされたビーム112の特性はほぼ維持されるか、または摂動を起こされたビーム112が伝搬するに連れて発達し続け、第2長のファイバ108の出力において、調節されたビーム特性が得られる。一例では、新たなビーム特性は調節された強度分布を含むのでもよい。一例では、変更されたビーム強度分布は、第2長のファイバ108の種々の構造的に制限された閉じ込め領域内に保存される。つまり、ビーム強度分布は、特定のレーザ処理作業に合わせて最適化された所望のビーム強度分布に調整することができる。一般に、摂動ビーム112の強度分布は、それが第2長のファイバ108内を伝搬するに連れて発達し、第1長のファイバ104内における条件および摂動デバイス110によって起こされた摂動に応答して、 摂動を起こされたビーム112が入射する閉じ込め領域(1つまたは複数)を満たす。加えて、ビームが第2ファイバ内を伝搬するに連れて、発射条件およびファイバ特性に応じて角度分布も発達することがある。一般に、ファイバは、入力発散分布をほぼ保存するが、入力発散分布が狭い場合、および/またはファイバが不規則性を有するもしくは発散分布に摂動を起こす意図的な構造を有する場合、この分布を広げることができる。種々の閉じ込め領域、摂動、および第2長のファイバ108のファイバ構造(fiber feature)については、以下で更に詳しく説明する。ビーム102および112は、可変ビーム特性を提供するために、ビームがどのようにVBCファイバ100を伝搬するとよいか例示することを意図した概念的な抽象化であり、特定の光ビームの挙動を詳しくモデル化することを意図するのではない。
【0054】
VBCファイバ100は、PCVD(プラズマ化学蒸着)、OVD(外部蒸着)、VAD(気相軸付け法)、MOCVD(金属有機化学蒸着)、および/またはDND(直接ナノ粒子堆積)を含む種々の方法によって製造することができる。VBCファイバ100は、種々の材料を含むことができる。例えば、VBCファイバ100は、SiO2、GeO2がドープされたSiO2、ゲルマノシリケート、五酸化りん、ホスホシリケート、Al2O3、アルミノケイ酸塩等、またはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。閉じ込め領域は、フッ素、硼素等またはその任意の組み合わせがドープされたクラッディングによって囲まれるとよい。アクティブ・ファイバには他のドーパントが添加されてもよく、Er3+(エルビウム)、Yb3+(イッテルビウム)、Nd3+(ネオジウム)、Tm3+(ツリウム)、Ho3+(ホルミウム)等、またはこれらの任意の組み合わせのような希土類イオンを含む。閉じ込め領域は、フッ素または硼素のドーピングによって、閉じ込め領域よりも低い屈折率を有するクラッディングによって囲まれるとよい。あるいは、VBCファイバ100はフォトニツク結晶ファイバまたは微細構造ファイバを含んでもよい。
【0055】
VBCファイバ100は、種々のファイバ、光ファイバ、またはファイバ・レーザ・デバイスの内任意のものにおける使用に適しており、連続波およびパルス状ファイバ・レーザ、ディスク・レーザ、固体レーザ、またはダイオード・レーザ(物理的制約による以外には、パルス・レートは制限を受けない)を含む。更に、単にファイバだけでなく、平面導波路または他の種類の導波路における実装も、特許請求する技術の範囲内に該当する。
【0056】
図2は、光ビームのビーム特性を調節するためのVBCファイバの例200の断面図を示す。一例では、VBCファイバ200はプロセス・ファイバとしてもよい。何故なら、これは材料処理のためにビームをプロセス・ヘッドに伝送することができるからである。VBCファイバ200は、接合部206において第2長のファイバ208に繋がれた第1長のファイバ204を含む。摂動アセンブリ210が、接合部206に近接して配置される。摂動アセンブリ210は、VBCファイバ200内を伝搬する光ビーム202のビーム特性の調節を可能にするように構成された種々のデバイスの内任意のものでよい。一例では、摂動アセンブリ210は、スプライス付近においてVBCファイバ200の曲げ半径および/または曲げ長を変化させる手段を提供することができるマンドレル(mandrel)および/または他のデバイスでもよい。摂動デバイスの他の例について、
図24に関して以下で論ずる。
【0057】
一例では、第1長のファイバ204は、左側のRIPグラフによって示されるように、二乗分布型屈折率RIP212を有する。ビーム202の強度分布の殆どは、ファイバ204が直線状またはほぼ直線状であるときは、ファイバ204の中央に集中する。第2長のファイバ208は、右側のRIPグラフに示すようなRIP214を有する閉じ込めファイバである。第2長のファイバ208は、閉じ込め領域216、218、および220を含む。閉じ込め領域216は、2つの環状(またはリング形状)閉じ込め領域218および220によって囲まれた中央コアである。層222および224は、閉じ込め領域(216、218、および220)間における、屈折率がもっと低い材料の構造的バリアであり、一般に「クラッディング」領域と呼ばれる。一例では、層222および224は、フルオロケイ酸塩のリングを構成してもよく、ある実施形態では、フルオロケイ酸塩のクラッディング層は比較的薄い。他の材料も同様に使用することができ、特許請求する主題がこれに関して限定されることはない。
【0058】
一例では、ビーム202がVBCファイバ200に沿って伝搬すると、摂動アセンブリ210が物理的にファイバ208および/またはビーム202に作用して、そのビーム特性を調節し、調節されたビーム226を生成することができる。この例では、ビーム202の強度分布が摂動アセンブリ210によって修正される。ビーム202の調節後では、調節されたビーム226の強度分布は、外側の閉じ込め領域218および220に集中することができ、中央の閉じ込め領域216では比較的小さい強度となる。閉じ込め領域216、218、および/または220の各々はバリア層222および224において屈折率がもっと低い材料の薄い層によって分離されるので、第2長のファイバ208は、調節されたビーム226の調節された強度分布を実質的に維持することができる。ビームは、通例、所与の閉じ込め領域内で方位角方向に分散される(distribute)が、第2長のファイバ208に沿って伝搬する際に、閉じ込め領域間で(著しく)移行することはない。つまり、調節されたビーム226の調節されたビーム特性は、分離された閉じ込め領域216、218、および/または220内においてほぼ保存される。ある場合には、ビーム226のパワーが1つの領域に集中するのではなく、閉じ込め領域216、218、および/または220間で分割されることが望ましいこともあり、この条件は、しかるべく調節されたビーム226を生成することによって達成することができる。
【0059】
一例では、コア閉じ込め領域216ならびに環状閉じ込め領域218および220は、溶融シリカ・ガラスで構成されてもよく、閉じ込め領域を定めるクラッディング222および224は、フルオロケイ酸塩ガラスで構成されてもよい。種々の閉じ込め領域(216、218、および220)を形成するためには、他の材料を使用してもよく、ゲルマノケイ酸塩、りんケイ酸塩、アルミノケイ酸塩等、またはこれらの組み合わせを含み、特許請求する主題がそれに限定されることはない。バリア・リング(222および224)を形成するには、溶融シリカ、ホウケイ酸等、またはこれらの組み合わせを含む他の材料を使用してもよく、特許請求する主題がそれらに限定されることはない。他の実施形態では、光ファイバまたは導波路は、種々のポリマー、またはプラスチック、または結晶材料を含む、またはこれらによって構成される。一般に、コア閉じ込め領域の屈折率は、隣接するバリア/クラッディング領域の屈折率よりも大きい。
【0060】
ある例では、ビーム・プロファイルを微調整するために、第2長のファイバにおける閉じ込め領域の数を増やして、ビーム変位に対するビーム制御の粒度を高めることが望ましい場合もある。例えば、閉じ込め領域は、段階的なビーム変位が得られるように構成されてもよい。
【0061】
図3は、光ビームの可変ビーム特性を提供するためにファイバ200に摂動を起こす方法の例を示す。ファイバの曲げ半径を変化させると、ファイバ内におけるビームの半径方向ビーム位置、発散角、および/または放射輝度プロファイルを変化させることができる。VBCファイバ200の曲げ半径は、ステップ型マンドレル(stepped mandrel)またはコアを摂動アセンブリ210として使用することによって、スプライス接合部206を中心として、第1曲げ半径R
1から第2曲げ半径R
2に減少させることができる。加えてまたは代わりに、マンドレル(1つまたは複数)またはコアの係合長も変化させることができる。VBCファイバ200を摂動アセンブリ210に係合させるために、ローラ250を採用してもよい。一例では、ローラ250のファイバ200との係合量は、固定のマンドレル半径を用いて、強度プロファイルの分布をファイバ200の外側の閉じ込め領域218および220に移すように示されている。ファイバ200の曲げ半径を変化させるには、クランプ・アセンブリ(clamping assembly)、フレキシブル・チューブ(flexible tubing)等、またはその組み合わせを使用するというように、種々の他の方法があり、特許請求する主題がこれに関して限定されることはない。他の例では、特定の曲げ半径に対して、VBCファイバ200が曲げられる長さも、制御され再現可能な方法で、ビーム特性を変化させることができる。例では、曲げ半径、および/または特定の曲げ半径においてファイバが曲げられる長さを変化させることによっても、1つ以上のモードをファイバ・コアの中心から半径方向に移すことができるように、ビームの強度分布を修正する。
【0062】
接合部206を跨ぐファイバの曲げ半径を維持することによって、光ビーム202の半径方向ビーム位置および放射輝度プロファイルのような調節されたビーム特性が、第2長のファイバ208に発射される前に、ビーム202の非摂動状態に戻らないことを確保する。更に、調節されたビーム226の位置、発散角、および/または強度分布を含む、調節された半径方向ビーム特性を、VBCファイバ200曲げ半径の減少度合いおよび/または曲げ長の度合いに基づいて変化させることができる。このように、この方法を使用すると、特定のビーム特性を得ることができる。
【0063】
現在の例では、第1RIP212を有する第1長のファイバ204は、接合部206において、第2RIP214を有する第2長のファイバ208に繋がれる。しかしながら、ビーム202のビーム特性の摂動を可能にする(例えば、マイクロベンディングによって)、更に調節されたビームの保存を可能にするように形成された1つのRIPを有する1本のファイバを使用することは可能である。このようなRIPは、
図17、
図18、および/または
図19に例示されるファイバにRIPと同様であってもよい。
【0064】
図7~
図10は、VBCファイバ200(
図2および
図3において示した)に対する実験結果を示し、更に、摂動アセンブリ210がVBCファイバ200に作用してファイバを曲げたときの、VBCファイバ200の摂動に対するビーム応答も示す。
図4~
図6はシミュレーションであり、
図7~
図10は、SM1050nm光源からのビームが、40ミクロンのコア径を有する入力ファイバ(図示せず)に発射されたときの実験結果である。入力ファイバは、第2長のファイバ204に繋がれている。
【0065】
図4は、異なるファイバ曲げ半径402に対する第1長のファイバ204について計算された最低次モード(LP
01)のプロファイルを示すグラフの例400であり、ここでは、摂動アセンブリ210はVBCファイバ200を曲げることを伴う。ファイバの曲げ半径が減少するに連れて、VBCファイバ200のコアの中心404(r=0ミクロン)からコア/クラッディング界面(この例ではr=100ミクロンに位置する)に向けて遠ざかるように、モードが半径方向に移るように、VBCファイバ200内を伝搬する光ビームが調節される。これよりも高次のモード(LP
in)も、曲げによって移る。つまり、直線状またはほぼ直線状のファイバ(曲げ半径が非常に大きい)では、LP
01の曲線406は、VBCファイバ200の中心または中心付近を中心とする。約6cmの曲げ半径では、LP
01の曲線408は、VBCファイバ200の中心406から約40μmの半径方向位置に移される。約5cmの曲げ半径では、LP
01の曲線410は、VBCファイバ200の中心406から約50μmの半径方向位置に移される。約4cmの曲げ半径では、LP
01の曲線412は、VBCファイバ200の中心406から約60μmの半径方向位置に移される。約3cmの曲げ半径では、LP
01の曲線414は、VBCファイバ200の中心406から約80μmの半径方向位置に移される。約2.5cmの曲げ半径では、LP
01の曲線416は、VBCファイバ200の中心406から約85μmの半径方向位置に移される。尚、このモードの形状は比較的一定のままであり(コアのエッジに近づくまで)、これは二乗分布型RIPの特異なプロパティであることを注記しておく。このプロパティは、ある状況では望ましい場合もあるが、VBC機能のために必須であるのではなく、他のRIPが採用されてもよい。
【0066】
一例では、VBCファイバ200を真っ直ぐにした場合、LP
01モードは、ファイバの中心に戻るように移る。つまり、第2長のファイバ208の目的は、ビームの調節された強度分布を、VBCファイバ200の中心から変位した閉じ込め領域に「捕獲する」または閉じ込めることである。ファイバ204および208間のスプライスは、曲げ領域に含まれ、このために、移されたモード・プロファイルは、リング形状の閉じ込め領域218および220の一方に優先的に発射され、そうでなければ閉じ込め領域間で分散されることになる。
図5および
図6はこの効果を示す。
【0067】
図5は、VBCファイバ200がほぼ直線状であるときの、第2長のファイバ208内の接合部206における二次元強度分布の例を示す。LP
01およびLP
inの大部分が、ファイバ208の閉じ込め領域216内にある。
図6は、VBCファイバ200が、第2長のファイバ208の閉じ込め領域220(最も外側の閉じ込め領域)を優先的に励起するように選択された半径で曲げられたときの、第2長のファイバ208内の接合部206における二次元強度分布を示す。LP
01およびLP
inの大部分が、ファイバ208の閉じ込め領域220内にある。
【0068】
一例では、第2長のファイバ208の閉じ込め領域216の直径は100ミクロンであり、閉じ込め領域218は、直径が120ミクロンと200ミクロンとの間であり、閉じ込め領域220は、直径が220ミクロンと300ミクロンの間である。閉じ込め領域216、218、および220は、厚さ10μmのフルオロケイ酸塩のリングによって分離されており、これらの閉じ込め領域に対して0.22のNAが得られる。閉じ込め領域の内径および外径、閉じ込め領域を分離するリングの厚さ、閉じ込め領域に対するNA値、ならびに閉じ込め領域の数は、他のものも採用することができる。
【0069】
再度
図5を参照して、先に記したパラメータを用いると、VBCファイバ200が直線状であるとき、パワーの約90%が中央の閉じ込め領域216内に収容され、パワーの約100%が閉じ込め領域216および218内に収容される。ここで
図6を参照すると、第2リング閉じ込め領域220を優先的に励起するようにファイバ200を曲げると、パワーのほぼ75%が閉じ込め領域220内に収容され、パワーの95%超が閉じ込め領域218および220内に収容される。これらの計算には、LP
01および2つのこれよりも高次のモードが含まれるが、これは2~4kWファイバ・レーザにおいては典型的である。
【0070】
図5および
図6から、摂動アセンブリ210がファイバを曲げるためにVBCファイバ200に作用する場合、曲げ半径が、第1長のファイバ204のモード強度分布の第2長のファイバ208の異なる誘導閉じ込め領域(216、218、および220)との空間的重複を決定することは明らかである。つまり、曲げ半径を変化させると、第2長のファイバ208の出力において強度分布を変化させることができ、これによってビームの直径またはスポット・サイズを変化させ、こうしてその放射輝度およびBPP値も変化させることができる。このスポット・サイズの調節は、全ファイバ構造において遂行することができ、自由空間光学素子を伴わず、結果的に、先に論じた自由空間光学素子の欠点を低減または解消することができる。また、このような調節は、曲げ半径、曲げ長、ファイバ張力、温度、または以下で論ずるその他の摂動を変更する他の摂動アセンブリによって行うこともできる。
【0071】
典型的な材料処理システム(例えば、切断または溶接ツール)では、プロセス・ファイバの出力が、プロセス・ヘッドによって、作業片においてまたはその近くで撮像される。つまり、
図5および
図6に示したように強度分布を変化させると、プロセスを所望通りに調整および/または最適化するために、作業片におけるビーム・プロファイルの変更(variation)が可能になる。以上の計算を目的にするためにのみ、2つのファイバに対して特定的なRIPを想定したが、他のRIPも可能であり、特許請求する主題がこれに関して限定されないことはない。
【0072】
図7~
図10は、
図2に示したVBCファイバ200の種々の曲げ半径に対する、更に他の出力ビームを例示するために、実験結果(測定された強度分布)を示す。
【0073】
図7において、VBCファイバ200が直線状であるとき、ビームはほぼ完全に閉じ込め領域216に閉じ込められる。曲げ半径が減少するに連れて、強度分布は大きな直径の方に移っていく(
図8~
図10)。
図8は、VBCファイバ200の曲げ半径が、閉じ込め領域218に優先的に強度分布を移すように選択されたときの強度分布を示す。
図9は、曲げ半径を更に減少させ、閉じ込め領域220および閉じ込め領域218に向かって外側に強度分布を移すように選択されたときの実験結果を示す。
図10において、最も小さい曲げ半径のとき、ビームはほぼ「ドーナツ・モード」となり、強度の殆どが最も外側の閉じ込め領域220に入っている。
【0074】
スプライス接合部206の一方側からの閉じ込め領域の励起にも拘わらず、強度分布は、ビームがVBCファイバ200内を伝搬するときの閉じ込め領域内部のスクランブリング(scrambling)のために、方位角方向にほぼ対称になる。ビームは、伝搬するときに、方位角方向にスクランブルするのが通例であるが、このプロセスを促進するために、種々の構造または摂動(例えば、コイル)を含ませることができる。
【0075】
図7~
図10に示した実験に使用されたファイバ・パラメータについて、複数の閉じ込め領域に何らかの強度が存在したので、特定の閉じ込め領域だけが排他的に励起されることはなかった。この特徴は、ビーム強度分布をより平坦化するまたは分散することによって材料処理用途に最適化し、有利に活用することができる。所与の閉じ込め領域の励起をもっと明確にしなければならない用途では、異なるファイバRIPを採用すれば、この特徴を活用することができる。
【0076】
図7~
図10に示す結果は、この実験において使用された特定のファイバに関するのであり、詳細は実施の詳細によって様々に変化する。具体的には、出力ビームの空間プロファイルおよび発散分布、ならびにそれらの曲げ半径に対する依存度は、採用される特定のRIP、スプライス・パラメータ、および第1ファイバに発射されるレーザ源の特性に依存する。
【0077】
図2に示したものとは異なるファイバ・パラメータも使用してもよく、特許請求する主題の範囲内に入ることに変わりはない。具体的には、異なる入力ビーム・プロファイルとの適合性を促進するため、そして異なる出力ビーム特性を可能にするために、異なるRIPならびにコア・サイズおよび形状を使用してもよい。第1長のファイバに対するRIPの例には、
図2に示した二乗分布型の屈折率分布に加えて、他のグレーデッド・インデックス型分布、ステップ・インデックス、ペデスタル設計(pedestal design)(即ち、ファイバの中心からの距離が大きくなるに連れて累進的に屈折率が低くなるネスト状コア)、および屈折率値は同じであるが、中央コアおよび周囲のリングに対して種々のNA値を用いるネスト状コアによる設計が含まれる。第2長のファイバに対するRIPの例には、
図2に示した分布に加えて、閉じ込め領域の数が異なる閉じ込めファイバ、非均一な閉じ込め領域の厚さ、閉じ込め領域を囲むリングの厚さに対する異なるおよび/または非均一な値、閉じ込め領域に対する異なるおよび/または非均一なNA値、RIPの高屈折率および低屈折率部分に対する異なる屈折率値、円形以外の閉じ込め領域(楕円形、長円形、多角形、正方形、矩形、またはこれらの組み合わせのような領域)、更に
図26~
図28に関して更に詳しく論ずるようなその他の設計が含まれる。更に、VBCファイバ200、および本明細書において説明するVBCファイバの他の例は、2本のファイバの使用に限定されるのではない。ある例では、実施態様が1本のファイバまたは2本よりも多いファイバの使用を含んでもよい。ある場合には、ファイバ(1本または複数本)は軸方向に均一でなくてもよい。例えば、これらは、ファイバ・ブラグ・グレーティングまたは長周期グレーティングを含むことができ、あるいは直径がファイバの長さに沿って変化することも可能である。加えて、ファイバは、方位角方向に対称である必要はなく、例えば、コア(1つまたは複数)が正方形または多角形の形状を有することも可能である。種々のファイバ・コーティング(バッファ)を採用してもよく、高屈折率または屈折率整合コーティング(ガラス-ポリマー界面において光を除去する(strip))、および低屈折率コーティング(ガラス-ポリマー界面において全内部反射によって光を誘導する)を含む。ある例では、VBCファイバ200上に複数のファイバ・コーティングを使用してもよい。
【0078】
図11~
図16は、第1長のファイバ内を伝搬する光ビームの摂動に応答して、VBCファイバにおけるビーム特性の調節を可能にするための、第1長のファイバの例の断面図を示す。第1長のファイバにおいて調節することができるビーム特性のいくつかの例には、ビーム径、ビーム発散分布、BPP、強度分布、輝度、M
2係数、NA、光強度プロファイル、パワー密度プロファイル、半径方向ビーム位置、放射輝度、スポット・サイズ等、またはこれらの任意の組み合わせがある。
図11~
図16に示し以下で説明する第1長のファイバは、単なる例であり、VBCファイバ・アセンブリにおけるビーム特性の調節を可能にするために利用することができる種々の第1長のファイバの網羅的な列挙(recitation)を示すのではない。
図11~
図16に示す第1長のファイバに対する材料、適切なRIP、およびその他の変数の選択は、少なくとも、所望のビーム出力に依存する。多種多様なファイバ変数が考えられ、特許請求する主題の範囲内に入る。つまり、特許請求する主題がここで示される例によって限定されることはない。
【0079】
図11において、第1長のファイバ1100は、ステップ・インデックス型分布1102を含む。
図12は、「ペデスタルRIP」(即ち、ステップ・インデックス領域と、これを取り囲むもっと大きなステップ・インデックスの領域とを含むコア)1202を含む第1長のファイバ1200を示す。
図13は、多重ペデスタルRIP(multiple-pedestal RIP)1302を含む第1長のファイバ1300を示す。
【0080】
図14Aは、ドープ減少領域(down-doped region)1404によって囲まれたグレーデッド・インデックス型分布1418を含む第1長のファイバ1400を示す。ファイバ1400に摂動が起こされると、ファイバ1400においてモードが半径方向の外側に移る(例えば、ファイバ1400の曲げの間)として差し支えない。グレーデッド・インデックス型分布1402は、モード形状の維持または圧縮をも促進するように設計することができる。この設計は、ファイバの外周(即ち、ファイバ軸から変位したファイバ・コアの部分)に集中するビーム強度分布を有するビームを生成するように、ファイバ1400内を伝搬するビームの調節を促進することができる。先に説明したように、調節されたビームが、閉じ込め領域を有する第2長のファイバ内に結合されると、調節されたビームの強度分布を最も外側の閉じ込め領域内に捕獲し、ドーナツ形状の強度分布を得ることができる。ビーム・スポットが狭い外側閉じ込め領域を有すると、特定の材料処理作用を可能にするのに有用となる場合もある。
【0081】
図14Bは、ファイバ1400と同様に、 ドープ減少領域1408によって囲まれたグレーデッド・インデックス型分布1414を含む第1長のファイバ1406を示す。しかしながら、ファイバ1406は、分布1412において見ることができるように、発散構造1410(低屈折率領域)を含む。発散構造1410は、周囲のコアよりも低い屈折率を有する材料のエリアである。ビームが第1長のファイバ1406に発射されると、発散構造1410からの屈折が、第1長のファイバ1406においてビーム発散を増大させる。増大する発散の量は、ビームの発散構造1410との空間的重複量、および発散構造1410とコア材料との間の屈折率の差の大きさに依存する。発散構造1410は、入力発散分布および所望の出力発散分布に応じて、種々の形状を有することができる。一例では、発散構造1410は、三角形またはグレーデッド・インデックス形状を有する。
【0082】
図15は、屈折率一定領域1504によって囲まれた二乗分布型屈折率の中央領域1502を含む第1長のファイバ1500を示し、屈折率一定領域1504は、それよりも屈折率が低い環状層1506によって囲まれている。低屈折率環帯1506は、ファイバ1500内を伝搬するビームを誘導するのを補助する。伝搬するビームが摂動を受けると、モードはファイバ1500において半径方向に外側に移る(例えば、ファイバ1500の曲げの間)。1つ以上のモードが半径方向の外側に移ると、二乗分布型屈折率領域1502はモード形状の保持を促進する。モードがRIP1510の屈折率一定領域に達すると、これらは低屈折率リング1506に衝突して(against)圧縮され、これによって、第2ファイバにおける最外側の閉じ込め領域の優先的励起が生ずる(
図14に示す第1ファイバRIPと比較して)。一実施態様では、このファイバ設計は、中央のステップ・インデックス・コアおよび1つの環状コアを有する閉じ込めファイバと相性がよい。RIPの二乗分布型屈折率部分1502は、閉じ込めファイバの中央のステップ・インデックス・コアと重複する。屈折率一定部分1504は、閉じ込めファイバの環状コアと重複する。第1ファイバの屈折率一定部分1504は、曲げによって、環状コアとの重複部分にビームを移動させやすくすることを意図している。このファイバ設計は、閉じ込めファイバの他の設計とも相性がよい。
【0083】
図16は、誘導領域1604、1606、1608、および1616と、これらを取り囲み、これらよりも屈折率が低い層1610、1612、および1614とを含む第1長のファイバ1600を示す。屈折率が低い方の層1610、1612、および1614は、ステップ型であり、更に一般的には、全てが同じ値を有していない。ステップ・インデックス層は、摂動アセンブリ210(
図2参照)がファイバ1600に作用したときに、ビーム強度を特定の誘導領域(1604、1606、1608、および1616)に拘束する役割を果たすことができる。このように、ある範囲の摂動作用にわたって(ある範囲の曲げ半径、ある範囲の曲げ長、ある範囲のマイクロベンディング圧力、および/またはある範囲の音響光学信号にわたってというように) 調節されたビーム光が誘導領域に捕獲され、ビーム強度分布がファイバ1600においてもっと離れた半径方向位置に移される前に、一定の度合いの摂動許容度を考慮に入れるようにしてもよい。つまり、ビーム特性の変化は、階段状に制御することができる。誘導領域1604、1606、1608、および1616の半径方向の幅は、用途によって要求されてもよいように、所望のリング幅を達成するために調節することができる。また、誘導領域は、所望であれば、到達するビーム・プロファイルからより多くの断片の捕獲をし易くするために、もっと厚い半径方向幅を有することができる。領域1606はこのような設計の一例である。
【0084】
図17~
図21は、第2長のファイバ(例えば、ファイバ208)において、調節されたビーム特性の維持および/または閉じ込めを可能にするように構成されたファイバの例を示す。これらのファイバ設計を「リング形状閉じ込めファイバ」と呼ぶ。何故なら、これらは、中央コアと、これを取り囲む環状またはリンク形状コアとを含むからである。これらの設計は単なる例に過ぎず、ファイバ内における、調節されたビーム特性の維持および/または閉じ込めを可能にするために使用することができる種々のファイバRIPの網羅的な列挙ではない。つまり、特許請求する主題がここで示す例に限定されることはない。更に、
図11~
図16に関して先に説明した第1長のファイバはいずれも、
図17~
図21において説明する第2長のファイバのいずれとでも組み合わせることができる。
【0085】
図17は、VBCファイバ・アセンブリにおいて、調節されたビーム特性を維持するおよび/または閉じ込めるための第2長のファイバの一例の断面図を示す。摂動を受けたビームが第1長のファイバから第2長のファイバ1700に結合されると、第2長のファイバ1700は、第1長のファイバにおける摂動に応答して調節されたビーム特性の内少なくとも一部を、閉じ込め領域1704、1706、および/または1708の内1つ以上の中に維持することができる。ファイバ1700はRIP1702を有する。閉じ込め領域1704、1706、および/または1708の各々は、それよりも屈折率が低い層1710および/または1712によって取り囲まれている。この設計によって、第2長のファイバ1700が、調節されたビーム特性を維持することが可能になる。その結果、ファイバ1700によるビーム出力は、第1長のファイバにおいて修正されたままに、調節されたビームを受けて実質的に維持し、処理作業または他の用途に合わせてカスタム化することができる調節ビーム特性(adjusted beam characteristics)を、出力ビームに与える。
【0086】
同様に、
図18は、VBCファイバ・アセンブリにおいて、第1長のファイバにおける摂動に応答して調節されたビーム特性を維持するおよび/または閉じ込めるための第2長のファイバの例1800の断面図を示す。ファイバ1800はRIP1802を有する。しかしながら、閉じ込め領域1808、1810、および/または1812は、閉じ込め領域1704、1706、および1708とは異なる厚さを有する。閉じ込め領域1808、1810、および/または1812の各々は、それよりも屈折率が低い層1804および/または1806によって取り囲まれている。閉じ込め領域(および/またはバリア領域)の厚さを変化させることにより、調節されたビームを閉じ込めるようとする特定の半径方向位置を選択することによって、閉じ込められた調節放射輝度プロファイルの個別調整(tailoring)または最適化を可能にする。
【0087】
図19は、可変ビーム特性を提供するように構成されたVBCファイバ・アセンブリにおいて、調節されたビームを維持するおよび/または閉じ込めるための、RIP1902を有する第2長のファイバの例1900の断面図を示す。この例では、閉じ込め領域1904、1906、1908、および1910の数および厚さは、ファイバ1700および1800とは異なり、バリア層1912、1914、および1916も異なる厚さのものとなっている。更に、閉じ込め領域1904、1906、1908、および1910は異なる屈折率を有し、バリア層1912、1914、および1916も異なる屈折率を有する。この設計は、更に、ファイバ1900内部の特定の半径方向位置への調節されたビーム放射輝度の閉じ込めおよび/または維持の一層粒度の高いあるいは最適化された個別調整を可能にするとして差し支えない。摂動を起こされたビームが第1長のファイバから第2長のファイバ1900に発射されると、ビームの修正されたビーム特性(調節された強度分布、半径方向位置、および/または発散角等、あるいはこれらの組み合わせを有する)が第2長のファイバ1900の閉じ込め領域1904、1906、1908、および/または1910の内1つ以上によって、特定の半径に閉じ込められる。
【0088】
先に注記したように、ビームの発散角が保存されてもよく、または調節され次いで第2長のファイバにおいて保存されてもよい。ビームの発散角を変化させるには種々の方法がある。以下にあげるのは、ビーム特性を変化させるためのファイバ・アセンブリにおいて、第1長のファイバから第2長のファイバに伝搬するビームの発散角の調節を可能にするように構成されたファイバの例である。しかしながら、これらは単なる例に過ぎず、ビーム発散の調節を可能にするために使用することができる種々の方法の網羅的な列挙ではない。つまり、特許請求する主題がここで示される例に限定されることはない。
【0089】
図20は、第1長のファイバにおける摂動に応答して調節されたビーム特性を修正する、維持する、および/または閉じ込めるための、RIP2002を有する第2長のファイバの例の断面図を示す。この例では、第2長のファイバ2000は、以前に説明した第2長のファイバと同様であり、先に論じたように可変ビーム特性を伝えるためのVBCファイバ・アセンブリの一部を形成する。3つの閉じ込め領域2004、2006、および2008、ならびに3つのバリア層2010、2012、および2016がある。また、第2長のファイバ2000は、閉じ込め領域2006内に位置する発散構造2014も有する。発散構造2014は、周りの閉じ込め領域よりも低い屈折率を有する材料のエリアである。ビームが第2長のファイバ2000に発射されると、発散構造2014からの屈折が、第2長のファイバ2000においてビーム発散を増大させる。増大する発散の量は、ビームと発散構造2014との空間的重複量、および発散構造2014とコア材料との間の屈折率の差の大きさに依存する。第2長のファイバ2000への発射点付近においてビームの半径方向位置を調節することによって、発散分布を変化させることができる。ビームの調節された発散は、ファイバ2000内に保存される。ファイバ2000は、調節されたビームをプロセス・ヘッド、他の光学系(例えば、ファイバ間カプラまたはファイバ間スイッチ)、作業片等、またはこれらの組み合わせに伝送するように構成される。一例では、発散構造2014は、周りの材料に関して約10
-5~3×10
-2の屈折率の低下(dip)を有するとよい。屈折率低下の他の値も、本開示の範囲内で採用することもでき、特許請求する主題がそのように限定されることはない。
【0090】
図21は、第1長のファイバにおける摂動に応答して調節されたビーム特性を修正する、維持する、および/または閉じ込めるための、RIP2102を有する第2長のファイバの例2100の断面図を示す。第2長のファイバ2100は、可変特性を有するビームを伝送するためのVBCファイバ・アセンブリの一部を形成する。この例では、3つの閉じ込め領域2104,2106、および2018、ならびに3つのバリア層2110、2112、および2116がある。また、第2長のファイバ2100は、複数の発散構造2114および2118も有する。発散構造2114および2118は、傾斜状に屈折率が低くなる材料のエリアである。ビームが第1長のファイバから第2長のファイバ2100に発射されると、発散構造2114および2118からの屈折が、ビーム発散を増大させる。増大する発散の量は、ビームと発散構造との空間的重複の量、ならびに、発散構造2114および/または2118とそれぞれの閉じ込め領域2106および2104の周りのコア材料との間の屈折率の差の大きさに依存する。第2長のファイバ2100への発射点付近においてビームの半径方向位置を調節することによって、発散分布を変化させることができる。
図21に示す設計は、特定の閉じ込め領域と、この閉じ込め領域内における発散分布との双方を選択することによって、強度分布および発散分布をいくらか独立して変化させることを可能にする(各閉じ込め領域が発散構造を含んでもよいためである)。ビームの調節された発散は、ファイバ2100内に保存される。ファイバ2100は、調節されたビームをプロセス・ヘッド、他の光学系、または作業片に伝送するように構成される。発散構造2114および2118をグレーデッド・インデックス、即ち、一定でない屈折率によって形成することにより、ファイバ2100内を伝搬するビームの発散プロファイルの調整が可能になる。放射輝度プロファイルおよび/または発散プロファイルのような、調節されたビーム特性は、これが第2ファイバによってプロセス・ヘッドに伝送されるときに、保存することができる。あるいは、放射輝度プロファイルおよび/または発散プロファイルのような調節されたビーム特性は、これが第2ファイバによってファイバ間カプラ(FFC)および/またはファイバ間スイッチ(FFC)を介して、ビームをプロセス・ヘッドまたは作業片に伝送するプロセス・ファイバに導かれるときに、保存する、または更に調節することもできる。
【0091】
図26~
図28は、方位角方向に非対称的な第2長のファイバ内を伝搬するビームの調節されたビーム特性の維持および/または閉じ込めを可能にするように構成されたファイバおよびファイバRIPの例を示す断面図であり、ビーム特性は、第2長のファイバに結合された第1長のファイバの摂動、および/または摂動デバイス110によるビームの摂動に応答して調節される。これらの方位角方向に非対称的な設計は、単なる例に過ぎず、方位角方向に非対称的なファイバ内における、調節されたビーム特性の維持および/または閉じ込めを可能にするために使用することができる種々のRIPの網羅的な列挙ではない。つまり、特許請求する主題がここで示す例に限定されることはない。更に、種々の第1長のファイバ(例えば、先に説明したもののようなファイバ)の内任意のものが、任意の方位角方向に非対称的な第2長のファイバ(例えば、
図26~
図28において説明するもののようなファイバ)と組み合わされてもよい。
【0092】
図26は、楕円状ファイバ2600を通る断面の種々の方位角におけるRIPを示す。第1方位角2602において、ファイバ2600は第1RIP2604を有する。第1方位角2602から45°回転した第2方位角2606において、ファイバ2600は第2RIP2608を有する。第2方位角2606から更に45°回転した第3方位角2610において、ファイバ2600は第3RIP2612を有する。第1、第2、および第3RIP2604、2608、および2612は全て異なる。
【0093】
図27は、多重コア・ファイバ2700を通る断面の種々の方位角におけるRIPを示す。第1方位角2702において、ファイバ2700は第1RIP2704を有する。第2方位角2706において、ファイバ2700は第2RIP2708を有する。第1および第2RIP2704および2708は異なる。一例では、摂動デバイス110は、調節されたビームを、方位角方向に非対称的な第2ファイバの異なる領域に発射するために複数の平面において作用することができる。
【0094】
図28は、少なくとも1つの三日月形状のコアを有するファイバ2800を通る断面の種々の方位角におけるRIPを示す。ある場合には、三日月の角部を丸めても、平坦にしても、またはそれ以外の形状にしてもよく、こうすることによって光損失を最小限に抑えることができる。第1方位角2802において、ファイバ2800は第1RIP2804を有する。第2方位角2806において、ファイバ2800は第2RIP2808を有する。第1および第2RIP2804および2808は異なる。
【0095】
図22Aは、可変ビーム特性を提供するように構成されたVBCファイバ・アセンブリ2202を含むレーザ・システムの例2200を示す。VBCファイバ・アセンブリ2202は、第1長のファイバ104、第2長のファイバ108、および摂動デバイス110を含む。VBCファイバ・アセンブリ2202は、供給ファイバ2212(即ち、レーザ源からの出力ファイバ)とVBC伝送ファイバ2240との間に配置される。VBC伝送ファイバ2240は、調節されたビーム特性を修正する、維持する、および/または閉じ込める、第2長のファイバ108または第2長のファイバ108の延長部を含んでもよい。ビーム2210は、供給ファイバ2212を通じて、VBCファイバ・アセンブリ2202に結合される。ファイバ・アセンブリ2202は、以上で説明した種々の例にしたがって、ビーム2210の特性を変化させるように構成される。ファイバ・アセンブリ2202の出力は、調節されたビーム2214であり、VBC伝送ファイバ2240に結合される。VBC伝送ファイバ2240は、調節されたビーム2214を自由空間光学素子アセンブリ2208に伝送し、次いで、自由空間光学素子アセンブリ2208はビーム2214をプロセス・ファイバ2204に結合する。次いで、調節されたビーム2214は、プロセス・ファイバ2204によって、プロセス・ヘッド2206に伝送される。プロセス・ヘッドは、導波路光学素子(ファイバおよびファイバ・カプラのような素子)、レンズ、ミラー、光学フィルタ、回折格子のような自由空間光学素子、検流計スキャナ、ポリゴン・ミラー・スキャナ、またはビーム2214を整形し整形したビームを作業片に伝送するために使用される他のスキャン・システムのようなビーム・スキャン・アセンブリを含むことができる。
【0096】
レーザ・システム2200では、調節されたビーム2214の種々の光学的操作(
図22Aにおいてビーム2210とは異なる点線(dashing)で表される)を実行するために、アセンブリ2208の自由空間光学素子の内1つ以上がFFCまたは他のビーム・カプラ2216内に配置されてもよい。例えば、自由空間光学素子アセンブリ2208は、ビーム2214の調節されたビーム特性を保存することもできる。プロセス・ファイバ2204は、VBC伝送ファイバ2240と同じRIPを有してもよい。つまり、調節されたビーム2214の調節されたビーム特性は、プロセス・ヘッド2206に至る経路の全てで保存することができる。プロセス・ファイバ2204は、閉じ込め領域を含む前述の第2長のファイバの内任意のものと同様のRIPを含んでもよい。
【0097】
あるいは、
図22Bに示すように、自由空間光学素子アセンブリ2208は、例えば、ビーム2214の発散および/またはスポット・サイズを増大あるいは減少させることによって(例えば、ビーム2214を拡大または縮小することによって)、および/またはそれ以外で更に調節されたビーム2214を修正することによって、ビーム2214の調節されたビーム特性を変化させることもできる。更に、プロセス・ファイバ2204は、VBC伝送ファイバ2240とは異なるRIPを有してもよい。したがって、プロセス・ファイバ2204のRIPは、2回調節されたビーム2224(
図22Bにおいてビーム2214とは異なる点線で表される)を生成するために、アセンブリ2208の自由空間光学素子によって行われる、調節されたビーム2214の追加の調節を保存するように選択されてもよい。
【0098】
図23は、供給ファイバ2312とVBC伝送ファイバ2340との間に配置されたVBCファイバ・アセンブリ2302を含むレーザ・システムの例2300を示す。動作中、ビーム2310は、供給ファイバ2312を通じて、VBCファイバ・アセンブリ2302に結合される。ファイバ・アセンブリ2302は、第1長のファイバ104、第2長のファイバ108、および摂動デバイス110を含み、以上で説明した種々の例にしたがってビーム2310の特性を変化させるように構成される。ファイバ・アセンブリ2302は、調節されたビーム2314を生成し、VBC伝送ファイバ2340によって出力する。VBC伝送ファイバ2340は、以上で説明した種々の例にしたがって(例えば、
図17~
図21参照)ファイバ・アセンブリ2302において、調節されたビーム特性を修正する、維持する、および/または閉じ込めるために第2長のファイバ108を含む。VBC伝送ファイバ2340は、調節されたビーム2314をビーム・スイッチ(FFS)2332に結合し、次いで、ビーム・スイッチ2332はその種々の出力ビームを、複数のプロセス・ファイバ2304、2320、および2322の内1つ以上に結合する。プロセス・ファイバ2304、2320、および2322は、調節されたビーム2314、2328、および2330を、それぞれのプロセス・ヘッド2306、2324、および2326に伝送する。
【0099】
一例では、ビーム・スイッチ2332は、調節されたビーム2314の種々の光学的操作を実行するように構成された1組以上の自由空間光学素子2308、2316、および2318を含む。自由空間光学素子2308、2316、および2318は、ビーム2314の調節されたビーム特性を保存するまたは変化させることができる。つまり、調節されたビーム2314は、自由空間光学素子によって維持される、または更に調節されることが可能である。プロセス・ファイバ2304、2320、および2322は、自由空間光学素子アセンブリ2308、2316、および2318からそれぞれのプロセス・ファイバ2304、2320、および2322に進むビームを保存することまたは更に修正することが望ましいか否かに応じて、VBC伝送ファイバ2340と同じRIPまたは異なるRIPを有することができる。他の例では、ビーム2310の1つ以上のビーム部分が、調節されずに、作業片に結合されるか、または複数のビーム特性に関連付けられたビーム部分が同時作業片処理のために供給できるように、異なるビーム部分がそれぞれのVBCファイバ・アセンブリに結合される。あるいは、ビーム2310を1組のVBCファイバ・アセンブリの内1つ以上に切り替えることができる。
【0100】
自由空間光学素子アセンブリ2208、2316、および2318の内任意のものを介して、調節されたビーム2314を導くことによって、種々の追加的に調節されたビームのプロセス・ヘッド2206、2324、および2326への伝送が可能になる。したがって、レーザ・システム2300は、ビームの特性を変化させる自由度を高め、更にプロセス・ヘッド間でビームを切り替える(「時分割」)、および/または複数のプロセス・ヘッドに同時にビームを伝送する(「パワー分割」)自由度も高める。
【0101】
例えば、ビーム・スイッチ2332における自由空間光学素子は、ビーム2314の調節された特性を保存するように構成された自由空間光学素子アセンブリ2316に、調節されたビーム2314を方向付ける(direct)ことができる。プロセス・ファイバ2304は、VBC伝送ファイバ2340と同じRIPを有してもよい。つまり、プロセス・ヘッド2306に伝送されるビームは、調節され保存されたビーム2314となる。
【0102】
他の例では、ビーム・スイッチ2332が、調節されたビーム2314の調節された特性を保存するように構成された自由空間光学素子アセンブリ2318に、調節されたビーム2314を方向付けることもできる。プロセス・ファイバ2320は、VBC伝送ファイバ2340とは異なるRIPを有してもよく、ビーム2314の発散分布に対して追加の調節を行うために、
図20および
図21に関して説明したような、発散変更構造が装備されても(configured with)よい。つまり、プロセス・ヘッド2324に伝送されるビームは、調節されたビーム2314とは異なるビーム発散プロファイルを有する、2回調節されたビーム2328となる。
【0103】
プロセス・ファイバ2304、2320、および/または2322は、以上で説明した第2長のファイバの内任意のものと同様のRIPを含んでも良く、閉じ込め領域または多種多様な他のRIPを含み、特許請求する主題がこれに関して限定されることはない。
【0104】
更に他の例では、自由空間光学素子アセンブリ2332が、調節されたビーム2314のビーム特性を変化させるように構成された自由空間光学素子アセンブリ2308に、調節されたビーム2314を方向付けるのでもよい。プロセス・ファイバ2322は、VBC伝送ファイバ2340とは異なるRIPを有してもよく、ビーム2314の新たに更に調節された特性を保存する(または、代わりに、更に修正する)ように構成されてもよい。つまり、プロセス・ヘッド2326に伝送されるビームは、調節されたビーム2314とは異なるビーム特性を有する(調節された発散プロファイルおよび/または強度プロファイルのために)2回調節されたビーム2330となる。
【0105】
図22A、
図22B、および
図23では、FFCまたはFFSにおける光学素子は、ビーム2214がプロセス・ファイバ内に発射する前にビーム2214を拡大または縮小することによって、空間プロファイルおよび/または発散プロファイルを調節することができる。また、これらは、他の光学的変換(transformation)によって、空間プロファイルおよび/または発散プロファイルを調整することもできる。また、これらは、プロセス・ファイバへの発射位置を調節することもできる。これらの方法は、単独でも組み合わせても使用することができる。
【0106】
図22A、
図22B、および
図23は、調節されたビーム2214および2314を保存または修正するために、自由空間光学素子およびファイバRIPの種々の組み合わせを使用する、ビーム特性に対する調節の組み合わせの例を示すに過ぎない。以上であげた例は、網羅的ではなく、例示を目的にするに過ぎないことを意味する。つまり、特許請求する主題がこれに関して限定されることはない。
【0107】
図24は、本明細書においてあげた種々の例にしたがって、VBCファイバ200、および/またはVBCファイバ200内を伝搬する光ビームに摂動を起こすための摂動デバイス、アセンブリ、または方法(簡単にするために、ここでは纏めて「摂動デバイス110」と呼ぶ)の種々の例を示す。摂動デバイス110は、VBCファイバ200内を伝搬するビームのビーム特性の調節を可能にするように構成された種々のデバイス、方法、および/またはアセンブリの内任意のものでよい。一例では、摂動デバイス110は、マンドレル2402、VBCファイバにおけるマイクロベンディング2404、フレキシブル・チュービング2406、音響光学変換器2408、熱デバイス(thermal device)2410、圧電デバイス2412、グレーティング2414、クランプ2416(または他の締結具)等、またはこれらの組み合わせでもよい。これらは、摂動デバイス100の例に過ぎず、摂動デバイス100の網羅的な列挙(listing)ではなく、特許請求する主題がこれに関して限定されることはない。
【0108】
マンドレル2402は、VBCファイバ200を曲げることができる形状を与えることによって、VBCファイバ200に摂動を起こすために使用することができる。先に論じたように、VBCファイバ200の曲げ半径を小さくすると、ビームの強度分布が半径方向の外側に動く。ある例では、マンドレル2402は、離散曲げ半径レベルを得るために、ステップ型にしてもまたは円錐形状にしてもよい。あるいは、マンドレル2402は、曲げ半径を更に粒度高く制御するための連続曲げ半径が得られるように、段のない円錐形状を含んでもよい。マンドレル2402の曲率半径は、一定(例えば、円筒形状)であっても、一定でなくても(例えば、長円形状)よい。同様に、フレキシブル・チュービング2406、クランプ2416(または他の様々な締結具)、またはローラ250も、マンドレル2402の周りでVBCファイバ200の曲げを誘導および制御するために使用することができる。更に、特定の曲げ半径においてファイバを曲げる長さを変更することによって、ビームの強度分布を修正することができる。VBCファイバ200およびマンドレル2402は、第1ファイバ内における強度分布を予測可能に変化させるように構成することができる(例えば、ファイバを曲げる長さおよび/または曲げ半径に比例する)。ローラ250は、VBCファイバ200の曲げ半径を変化させるために、プラットフォーム2434上のトラック2442に沿って往復運動する(move up and down)ことができる。
【0109】
クランプ2416(または他の締結具)も、マンドレル2402を用いてまたは用いずに、VBCファイバ200の曲げを誘導および制御するために使用することができる。クランプ2416は、トラック2442またはプラットフォーム2446に沿って往復運動することができる。また、クランプ2416は、VBCファイバ200の曲げ半径、張力、または方向を変化させるために、旋回することもできる。コントローラ2448はクランプ2416の移動を制御することができる。
【0110】
他の例では、摂動デバイス110は、フレキシブル・チュービング2406であってもよく、マンドレル2402を用いてまたは用いずに、VBCファイバ200の曲げを誘導することができる。フレキシブル・チュービング2406は、VBCファイバ200を包み込む(encase)ことができる。チュービング2406は、種々の材料で作ることができ、コントローラ2444によって制御される圧電変換器を使用して操作することができる。他の例では、クランプまたは他の締結具を使用して、フレキシブル・チュービング2406を移動させてもよい。
【0111】
VBCファイバのマイクロベンディング2404は、ファイバに対する横方向の機械的応力によって生ずる局所的な摂動である。マイクロベンディングは、ファイバ内において1つの閉じ込め領域から他の閉じ込め領域へのモード結合および/または移行の原因となる可能性があり、VBCファイバ200内を伝搬するビームのビーム特性を変化させる結果となる。機械的応力は、コントローラ2440によって制御されるアクチュエータ2436によって加えられてもよい。しかしながら、これは、ファイバ200において機械的応力を誘発する方法の一例に過ぎず、特許請求する主題がこれに関して限定されることはない。
【0112】
音波を使用してVBCファイバ内を伝搬するビームの摂動を誘発するために、音響光学変換器(AOT:acousto-optic transducer)2408を使用することもできる。音波の発振する機械的圧力によるファイバの屈折率修正によって、摂動を生じさせる。音波の周期および強度は、音波の周波数および振幅に関係があり、音響摂動の動的な制御を可能にする。つまり、AOT2408を含む摂動アセンブリ110は、ファイバ内を伝搬するビームのビーム特性を変化させるように構成することができる。一例では、圧電変換器2418が音波を発生してもよく、コントローラまたはドライバ2420によって制御されてもよい。リアルタイムでVBC200内において光ビームのビーム特性を変化させるおよび/または制御するために、AOT2408において誘発された音波を変調することができる。しかしながら、これはAOT2408を発生し制御する方法の一例に過ぎず、特許請求する主題がこれに関して限定されることはない。
【0113】
熱を使用してVBCファイバ内を伝搬するビームの摂動を誘発するために、熱デバイス2410も使用することができる。熱によって誘発されるファイバのRIPの修正によって、摂動を生じさせる。ファイバに移転する熱の量、および熱が加えられる長さを制御することによって、摂動を動的に制御することができる。つまり、熱デバイス2410を含む摂動アセンブリ110は、ビーム特性の範囲を変化させるように構成することができる。熱デバイス2410は、コントローラ2450によって制御することができる。
【0114】
圧電作用を使用して、VBCファイバ内を伝搬するビームの摂動を誘発するために、圧電変換器2412を使用することができる。ファイバに取り付けられた圧電材料によって誘発されるファイバのRIPの修正によって、摂動を生じさせる。裸のファイバを囲むジャケットの形態とした圧電材料が、ファイバに張力または圧縮力を加えて、結果的に生ずる密度変化によって、その屈折率を修正することができる。摂動は、圧電デバイス2412への電圧を制御することによって動的に制御することができる。このように、圧電変換器2412を含む摂動アセンブリ110は、特定の範囲にわたってビーム特性を変化させるように構成することができる。
【0115】
一例では、圧電変換器2412は、どのように圧電変換器2412がVBCファイバ200に取り付けられるか、圧電材料の分極方向、印加電圧等を含む種々の要素に応じて、種々の方向(例えば、軸方向、半径方向、および/または横方向)にVBCファイバ200を変位させるように構成することができる。加えて、圧電変換器2412を使用して、VBCファイバ200の曲げ加工も可能である。例えば、対向電極を含む複数のセグメントを有するある長さの圧電材料を駆動することによって、圧電変換器2412を横方向に曲げさせることができる。VBCファイバ200の変位を制御するために、電極2424によって圧電変換器2412に印加される電圧を、コントローラ2422によって制御することができる。リアルタイムでVBCファイバ200における光ビームのビーム特性を変化させるおよび/または制御するために、変位を変調することができる。しかしながら、これは、圧電変換器2412を使用してVBCファイバ200の変位を制御する方法の一例に過ぎず、特許請求する主題がこれに関して限定されることはない。
【0116】
グレーティング2414は、VBCファイバ200内を伝搬するビームの摂動を誘発するために、使用することができる。グレーティング2414は、屈折率の周期的変動をコア内に刻み込むことによって、ファイバ内に書き込むことができる。ファイバ・ブラグ・グレーティングのようなグレーティング2414は、光ファイバとしてまたは反射器として動作することができる。長周期グレーティングは、共伝搬ファイバ・モード間で遷移を誘発することができる。したがって、元のモードの1つ以上を、異なる放射輝度および/または発散プロファイルを有する1つ以上の異なるモードに結合するために、長周期グレーティングを使用して、1つ以上のモードで構成されるビームの放射輝度、強度プロファイル、および/または発散プロファイルを調節することができる。調節は、屈折率グレーティングの周期または振幅(amplitude)を変化させることによって行われる。このような調節のためには、ファイバ・ブラグ・グレーティングの温度、曲げ半径、および/または長さ(例えば、引き伸ばし)を変化させるというような方法を使用することができる。グレーティング2414を有するVBCファイバ200をステージ2426に結合することができる。ステージ2426は、種々の機能の内任意のものを実行するように構成することができ、コントローラ2428によって制御することができる。例えば、ステージ2426は、締結具2430によってVBCファイバ200に結合されてもよく、締結具2430を使用して、てこの作用でVBCファイバ200を引き延ばすおよび/または曲げるように構成することもできる。ステージ2426は、埋め込み熱デバイスを有してもよく、VBCファイバ200の温度を変化させることができる。
【0117】
図25は、ビーム特性を調節するために自由空間光学素子を使用せずに、ファイバ内においてビーム特性を調節および/または維持するためのプロセス例2500を示す。ブロック2502において、第1長のファイバおよび/または光ビームに摂動を起こし、1つ以上の光ビーム特性を調節する。プロセス2500はブロック2504に進み、ここで光ビームを第2長のファイバに発射する。プロセス2500はブロック2506に進み、ここで、調節されたビーム特性を有する光ビームを、第2長のファイバ内を伝搬させる。プロセス2500はブロック2508に進み、ここで、光ビームの1つ以上のビーム特性の内少なくとも一部を、第2長のファイバの1つ以上の閉じ込め領域内で維持する。第1および第2長のファイバは、同じファイバで構成されてもよく、またはこれらは異なるファイバであってもよい。
【0118】
以上のVBCデバイスは、ビーム特性の修正を可能にするために、任意の光源に結合することができる。つまり、このようなVBCデバイスは、光源に対する最小の変更に関連付けられる。例えば、ファイバ結合ダイオード・レーザ、ソリッド・ステート・レーザ、またはファイバ・レーザでは、出力ファイバ、出力光コネクタ、動作ソフトウェア、および/またはレーザ安全インターロック・システムを変更する必要はない。このような変更を行うとすれば、高パワー・レーザの用途では法外に複雑になるであろう。高パワー・レーザ出力を結合するために使用される光ファイバは、レーザ・ビームに対して正確に位置付けされ、冷却材または保護材が設けられるコネクタ(またはコネクタ・アセンブリ)を含むのが通例である。場合によっては、高光パワーを受けるファイバ・スプライスが保護を必要とし、再被覆、絶縁物埋め込み(potting)、または他の保護措置が必要となる。他の場合には、散乱または他の光パワー・レベルにアクセスするため、あるいは1つ以上の検出器、サーミスタ、または他のデバイスによってコネクタ、光ファイバ、またはスプライスの温度を判定するために、スプライスおよび/またはコネクタを監視する。また、高パワー・システムは安全インターロックも含む。安全インターロックは、出力光ファイバにおける光パワーに応答して有効化され、出力光ファイバに何らかの外乱が生ずると、安全インターロックに対する修正を必要とする可能性がある。最後に、このような外乱は、レーザ・システムにおける種々の場所で危険な光パワーが生じ、光損質を発生させ、保証を無効にし、または火事のような他の種類の安全性の懸念を生じさせる可能性がある。
【0119】
図29を参照すると、光学系2900は、レーザ2902を含むレーザ・システム2901を含む。レーザ2902は、光ビームを統合出力ファイバ2904に結合する。レーザ・システム2901は、通常、所定の特性を有する出力ファイバ2904を通じて出力ビームを生成する。模式的に示すように、出力ファイバ2904は、サーミスタ(T)のような温度センサ2908、出力ファイバ2904に付随するコア、被覆、コーティング、あるいは他の保護コーティングまたは遮蔽コーティングもしくはエンクロージャの内1つ以上を伝搬する光ビームの一部を検出するように位置付けられた光検出器(PD)2906、あるいはヒート・シンク(HS)のような温度制御デバイス2910の内1つ以上に結合されている。光検出器2906、温度センサ2908、およびヒート・シンク2910は、コントローラ2911に結合され、コントローラ2911は、温度、光ビーム・パワーを調整し、通例、光検出器2906によって検出された光パワーが、人員にとって安全である範囲内でない場合、あるいはレーザ動作に関連する信頼性または損傷限界の範囲内ではない場合、応答してレーザ2902を無効化させるように、安全インターロックを設ける。ファイバ2904は、通常、レーザ2902からの光ビームを受け、動作上の問題を回避するように位置付けられ、好ましくは、製造業者によってレーザ2902に結合される。光ファイバ2904の外乱(光コネクタの追加または除去、光学的接続(splicing)、あるいは光ファイバ2904の短縮等)は、通例、コントローラ2911がもはや潜在的に危険な動作条件または破壊的な動作条件を検出することができない程に重大な動作上の相違を生じさせ、相違は、レーザ・システム2901が光ビームを生成するのを中止するように、安全インターロックの起動(triggering)を生じさせることができる。
【0120】
図29に示すように、レーザ・システム2900は光スプライス2912を含む。光スプライス2912は、出力ファイバ2904を、VBCデバイス2916の一部として機能するように構成された第1ファイバ2914に結合する。光スプライス2912および第1ファイバ2914は、通常では、レーザの製造中、またそうでなければ工場での組み立て中にレーザ2902に結合される。場合によっては、光スプライス2912および第1ファイバ2914は、レーザ・ビームの空間プロファイルを変更する必要はないが、摂動ユニット2918および第2ファイバ2920を含むVBCデバイス2916に対して適した接続を与えるように機能する。通例、VBCデバイス2916は、コントローラ2911によって変調または減衰が選択されるように、コントローラ2911に結合される。他の例では、VBCデバイス2916は手動で制御される。
【0121】
先に注記したように、光スプライスは、
図29に示すように、高パワー・レーザをVBCデバイスに結合するために使用することができるが、スプライスにおける光損傷、レーザ2902への後方反射(back reflection)を回避するため、更に危険な光ビーム漏れを回避するために、スプライス特性を総合的に厳しく制御しなければならない。このようなスプライス特性のいずれかがこのような障害または危険な状態を誘発するおそれがある場合、コントローラ2911は、このような状態を検出し、しかるべくレーザ2902を制御するように構成されるのが一般的である。このような状態の検出には、通例、出力ファイバ2904およびそのレーザ2902への結合が、本来の工場設定値から乱されないままでいることが必要となる。スプライスの設置に応答して、レーザ2902、出力ファイバ2904、またはコントローラ2911によって設けられるインターロックに変更が生ずることは望ましくなく、レーザ・システムのユーザによって満足行くように実施するのは困難または不可能である。このため、第1ファイバ2914のレーザ出力ファイバ2904に対する工場設置(接続)により、現場においてレーザの調節を行う必要性を回避する。代替例では、以後のビーム・プロファイルの調節に合わせて、レーザ出力ファイバ2904を適宜選択することができるが、このような交換は、レーザ生産に影響を及ぼす可能性があることから、望ましくない場合もあり得る。
【0122】
適したファイバ2914をレーザ2902に接続する(splice)ことによって、ユーザは、必要に応じて、摂動アセンブリ2918および第2ファイバ2920に関して第1ファイバ2914を位置付けることができる。第1ファイバ2914および出力ファイバ2904は、融着スプライス2912によって光学的に結合することができる(または他の方法で光学的に結合することができる)。これら追加のカップリング(coupling)は複雑さを増やす原因になり得るが、レーザ2902の基本的な構成は変化せず、コントローラ2911による熱、光、およびその他の監視ならびに制御は、継続することができる。しかしながら、一般に、安全インターロックおよび監視システムが信頼性高く作用することを可能にするためには、融着スプライス2912はレーザの製造業者または供給業者によって導入されなければならない。殆どの実用的な例では、このような設定以外のユーザによる融着接続(fusion splicing)は、満足行くものにはならない。
【0123】
図30に示す代替例では、レーザ・システム3000は、レーザ・ビームをレーザ出力ファイバ3004に結合するレーザ3002を含む。この例では、光ファイバ3004は光検出器3006およびヒート・シンク3008に結合され、これらの温度をサーミスタ3010または他の熱センサによって監視することができる。場合によっては、熱電冷却器または他の冷却デバイスをレーザ出力ファイバ3004に結合することができる。レーザ出力ファイバ3004は、光コネクタ3012において終端する。
【0124】
FFC3020は、光コネクタ3012内に設けられるファイバ面において、レーザ出力ファイバ3004に光学的に結合されている。FFC3020は、レンズ3022を含む。レンズ3022は、コネクタ3012から発散ビーム3024を受け、集束ビーム3026をVBCデバイス3030の入力光ファイバ3032に結合する。レンズ3022は、発散ビーム3024および集束ビーム3026が異なるビーム開口数を有し、例えば、異なるファイバ開口数に対処するように、位置付けることができる。入力光ビーム3032は、出力光ファイバ3034に光学的に結合され、光ファイバ3032、3034の内少なくとも1つが摂動アセンブリ3038に結合され、摂動アセンブリ3038は、コントローラ3040からの制御信号に応答して、ビーム特性に摂動を起こさせる。摂動アセンブリ3038、入力光ファイバ3032、および出力光ファイバ3034は、先に説明したいずれの実施形態におけるこれらのいずれでも可能である。通例、光ファイバ3032、3034の一方または双方の摂動は、融着スプライス、突き合わせ結合、または近接結合のように、カップリング3036においてまたはその近くにおいて加えられる。
【0125】
FFC3020は、センサ、インターロック、およびレーザ・システム3000の光制御を乱すことなく、VBCデバイス3030をレーザ3002に結合することを可能にする。先に注記したように、レーザ出力ファイバ3004のVBCデバイス3030の入力ファイバ3032への直接結合には、加熱、反射、またはその他の動作変更を伴う可能性があり、これらは、一般に高パワー・レーザでは望ましくなく、特にユーザが設置する場合には対処するのが難しい。
【0126】
図31は、処理ビームを光ファイバ3104に結合するレーザ3102を含む処理システム3100を示す。レンズ3108、3110を含むFFC3106は、処理ビームを受け、この処理ビームをVBCデバイス3112の入力ファイバ3114に結合する。出力ファイバ3118は、インターフェース領域3116から処理ビームを受け、整形した処理ビームをレーザ処理光学素子3130に誘導するように位置付けられる。VBCデバイス3112は、軸3124を中心に回転可能なドラム3120を含む。入力ファイバ3114および出力ファイバ3118の一方または双方は、ドラム3120の回転に応答して接触し、またそうでなければ変形可能であり、可変ビーム摂動を起こさせる。
【0127】
整形されたビームは、レーザ処理光学素子3130に誘導される。レーザ処理光学素子3130は、合焦光学素子3132、ビーム・エキスパンダ、アナモフィック・レンズ(anamorphic lenses)、アナモルフィック・プリズム(anamorphic prisms)、または他の光学素子というような、追加のビーム整形光学素子3134、および整形ビームを基板3140上の1つ以上の位置にスキャンするスキャナ3136を含む。スキャナ3136は、1つ以上のポリゴン・ミラー、検流計、光電、音響光学、あるいはその他のビーム・スキャニング・システムまたはエレメントを含むことができる。基板3140は、通例、基板ステージ3142によって保持され、基板ステージ3142は、整形ビームに関する基板3140の位置を変化させることができる。レーザ・ビームのパワー、反復率(repetition rate)、波長、パルス長、偏光状態、ビーム焦点位置およびサイズ、ビーム形状、スキャナ面積および速度、スキャン位置における滞留時間、ならびに基板ステージによる基板3140の並進の制御のために、プロセッサ・コントローラ3150がレーザ3102、VBCデバイス3112、レーザ処理光学素子3130、および基板ステージ3142に結合されている。個々の基板はいずれも、その処理中に、これらのパラメータの内いずれかに複数の値が必要とされる場合がある。例えば、プロセス・コントローラ3150をVBCデバイス3112に結合し、異なるプロセス工程に合わせて異なるサイズおよび形状のビームを生成することができ、または1つ以上のプロセス工程中にビーム形状およびサイズを変化させることができる。
【0128】
図32を参照すると、レーザ処理システム3200は、レーザ3204を有するレーザ・システム3202を含む。レーザ3204は、光ビームをレーザ出力ファイバ3205に誘導するように結合されている。例えば、安全インターロックを設けるために、フォトダイオード、サーミスタ、ヒート・シンク、あるいは他の監視または保護デバイス3206をレーザ3204またはレーザ出力ファイバ3205に結合する。レーザ出力ファイバ3205は、スプライス3208または光コネクタによって、VBCデバイス3220の第1入力ファイバ3210に結合されている。第1入力ファイバ3210は、レーザ出力ファイバ3205と実質的に同じコア直径および開口数を有するように選択され、レーザ出力ファイバ3205上に設置されたコネクタに基づいて、コネクタを選択することができる。また、VBCデバイス3220は、スプライス3212または他のカプラによって第1入力ファイバ3210に結合された第2入力ファイバ3214も含む。摂動デバイス3216は、第2入力ファイバ3214およびビーム出力ファイバ3218の内少なくとも1つと接触するか、またはこれに近接する。コントローラ3230は、VBCデバイス3220およびレーザ・システム3202に結合されている。スプライス3212は、設定を制御して、設けることができ、ビーム特性の摂動のために必要に応じて、第2入力ファイバ3212を選択することができ、通例、第2入力ファイバ3212は前述のようなRIPを有する。
【0129】
図33を参照すると、レーザ・システム3300は、ビーム3302を生成するレーザ3304を含む。レーザ3302は、ビーム-ファイバ・カプラ3310に誘導される。ビーム-ファイバ・カプラ3310は、通例、ビーム3202を受けビーム3202をVBCデバイス3312の入力ファイバ3313に合焦するように位置付けられたレンズを含む。VBCコントローラ3320からの制御信号に基づいて、好ましいビーム特性を有するビームが、出力ファイバ3314を通じて出力される。この構成は、VBCデバイス3312および他のコンポーネントのレーザ3304との相互作用を低減し易くする。
図34を参照すると、レーザ3402は、レーザ・ビームを、FFC3406に結合されたファイバ3404に誘導する。FFC3406は、レーザ3402からのビームを、出力ファイバ3408に結合するために整形する。FFC3406の出力ビームは、出力ファイバ3408によってスプライス3410(または他のカップリング)に、そしてVBCデバイス3414の入力ファイバ3412に結合されている。VBCデバイス3414の出力ファイバ3416は、VBCデバイス3414によって制御されたビーム・プロファイルを有する整形出力ビームを、目標の光学素子または追加の光学素子に結合する。
【0130】
図35を参照すると、レーザ3502はファイバ3504を通じてファイバ間スイッチ(FFS:fiber-to-fiber switch)3506にビームを誘導する。FFS3506は、レンズ3509、3510、3511に切り替え可能に結合される入力レンズ3508を含み、レンズ3509、3510、3511は、反射器3507の位置に基づいて選択されると、それぞれのファイバ3513、3514、3515に、ビームまたはビームの一部を結合することができる。
図35に示すように、VBCデバイス3518、3520は、ビーム形状を独立して選択できるように、ファイバ3513、3514に結合されている。他の例では、レーザ3502は出力ファイバを含まず、自由空間ビームまたは他の無誘導ビームを入力レンズ3508に誘導することができる。
【0131】
図36を参照すると、レーザ・システム3600はビーム3602を生成するレーザ3604を含む。ビーム3602は、ビーム-ファイバ・カプラ3610に誘導される。ビーム-ファイバ・カプラ3610は、通例、ビーム3602を受けこのビーム3602を第1ファイバ3611に合焦するように位置付けられたレンズを含み、第1ファイバ3611は、光スプライス3617によって、VBCデバイス3612の入力ファイバ3613に結合されている。ビーム・コントローラ3620からの制御信号に基づいて、好ましいビーム形状を有するビームが、出力ファイバ3614を通じて出力される。この構成は、VBCデバイス3612および他のコンポーネントのレーザ3604との相互作用を低減し易くする。
【0132】
以上で説明した構成により、レーザ出力コネクタまたは出力ファイバに結合されるセンサ・コンポーネント等の、安全なレーザ動作または信頼性が高いレーザ動作を検証し確定するための制御およびセンサ・コンポーネントは、ファイバ・ベースのビーム・シェーパに接続されたまま、動作し続けることができる。
【0133】
以上、本明細書において開示した技術の例について、その総合的および特定的な原理を説明し図示したが、これらの例は、このような原理から逸脱することなく、構成および詳細を変更できることは認められてしかるべきである。以下の請求項の趣旨および範囲内に該当する全ての変更および変形を特許請求する。