(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/18 20060101AFI20221031BHJP
B66C 23/74 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
E02F9/18
B66C23/74 D
(21)【出願番号】P 2020045690
(22)【出願日】2020-03-16
【審査請求日】2021-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲辻▼本 悠哉
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-044512(JP,A)
【文献】特開2000-291070(JP,A)
【文献】特開2016-160651(JP,A)
【文献】特開平07-268908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00- 9/18
E02F 9/24- 9/28
B66C 19/00-23/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に支持された上部旋回体と、
前記上部旋回体に支持されて前方に延びるフロント作業機と、
前記上部旋回体の後部に設けられた背板に着脱可能に取り付けられるカウンタウェイトと、
前記上部旋回体に支持されて、前記背板に対して前記カウンタウェイトを着脱する着脱装置とを備える作業機械であって、
前記着脱装置は、
前記背板の下部に取り付けられたブラケットと、
左右方向に延びる第1支持軸、左右方向に延びて前記カウンタウェイトに回動可能に連結された第2支持軸、及び前記第1支持軸及び前記第2支持軸それぞれに回動可能に連結された連結部材を有する連結具と、
前記カウンタウェイトが前記背板に取り付けられた状態で、一端が前記第1支持軸に連結され、他端が前記第1支持軸より前方で前記ブラケットに回動可能に連結されて、作動油の給排によって伸縮する油圧シリンダと、
前記カウンタウェイトが前記背板に取り付けられた状態で、一端が前記第1支持軸に回動可能に連結され、他端が前記第1支持軸より前方で前記ブラケットに回動可能に支持された回動アームとを備え、
前記カウンタウェイトは、上面から下方に向かって左右方向の幅が徐々に狭くなるガイド溝を有し、
前記背板は、前記カウンタウェイトに対面する背面から後方に延設され、前記カウンタウェイトが前記背板に装着される過程で前記ガイド溝に当接してガイドされるピンを有することを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
前記連結部材は、
前記第1支持軸に回動可能に連結された第1連結部材と、
前記第2支持軸に回動可能に連結された第2連結部材と、
前記第1支持軸及び前記第2支持軸に直交する方向に延びて、前記第1連結部材及び前記第2連結部材それぞれに回動可能に連結された第3支持軸とを有することを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項1に記載の作業機械において、
前記背板の背面には、ボス、及び前記カウンタウェイトが前記背板に装着される過程で前記ボスが進入するガイド穴の一方が形成され、
前記背板に対面する前記カウンタウェイトの腹面には、前記ボス及び前記ガイド穴の他方が形成され、
前記ボスの下端及び前記ガイド穴の下端は、前記ピンが前記ガイド溝の底壁に当接したときに、高さ位置が同一になることを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項3に記載の作業機械において、
前記ボスは、先細り形状であることを特徴とする作業機械。
【請求項5】
請求項1に記載の作業機械において、
前記回動アームの他端は、前記油圧シリンダの他端より前方で且つ上方において、前記ブラケットに回動可能に支持されていることを特徴とする作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱可能なカウンタウェイトを搭載した作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル、油圧クレーン等の作業機械では、車体の前側にショベル、クレーン等のフロント作業機を設け、車体の後側にフロント作業機とバランスさせるためにカウンタウェイトを着脱可能に設けている。また、車体の背板に対してカウンタウェイトを着脱する着脱装置を備えた作業機械も知られている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【0003】
着脱装置は、例えば、カウンタウェイトの上端に取り付けられて左右方向に延設された支持軸と、一端が支持軸に回動可能に連結され、他端が車体のブラケットに回動可能に連結されたリンク機構とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-44512号公報
【文献】特開平08-319637号公報
【文献】特開2007-162454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成の着脱装置は、リンク機構の遊び等によって、装着作業時に背板とカウンタウェイトとの間に左右方向の位置ずれが生じる。そして、カウンタウェイトは非常に重いので、左右方向の位置合わせが非常に難しい。
【0006】
本発明は、上記した実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、背板に対してカウンタウェイトを着脱する着脱装置を備えた作業機械において、背板とカウンタウェイトとの左右方向の位置合わせを容易に行える技術を提供することになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に支持された上部旋回体と、前記上部旋回体に支持されて前方に延びるフロント作業機と、前記上部旋回体の後部に設けられた背板に着脱可能に取り付けられるカウンタウェイトと、前記上部旋回体に支持されて、前記背板に対して前記カウンタウェイトを着脱する着脱装置とを備える作業機械であって、前記着脱装置は、前記背板の下部に取り付けられたブラケットと、左右方向に延びる第1支持軸、左右方向に延びて前記カウンタウェイトに回動可能に連結された第2支持軸、及び前記第1支持軸及び前記第2支持軸それぞれに回動可能に連結された連結部材を有する連結具と、前記カウンタウェイトが前記背板に取り付けられた状態で、一端が前記第1支持軸に連結され、他端が前記第1支持軸より前方で前記ブラケットに回動可能に連結されて、作動油の給排によって伸縮する油圧シリンダと、前記カウンタウェイトが前記背板に取り付けられた状態で、一端が前記第1支持軸に回動可能に連結され、他端が前記第1支持軸より前方で前記ブラケットに回動可能に支持された回動アームとを備え、前記カウンタウェイトは、上面から下方に向かって左右方向の幅が徐々に狭くなるガイド溝を有し、前記背板は、前記カウンタウェイトに対面する背面から後方に延設され、前記カウンタウェイトが前記背板に装着される過程で前記ガイド溝に当接してガイドされるピンを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、背板に対してカウンタウェイトを着脱する着脱装置を備えた作業機械において、背板とカウンタウェイトとの左右方向の位置合わせを容易に行うことができる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る作業機械の代表例である油圧ショベルの側面図である。
【
図5】カウンタウェイトが背板に装着される過程におけるピンとガイド溝との位置関係、及びガイド穴とボスとの位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る作業機械の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明に係る作業機械の代表例である油圧ショベル1の側面図である。なお、作業機械の具体例は油圧ショベル1に限定されず、下部走行体、上部旋回体、フロント作業機、及びカウンタウェイトを備えるあらゆる機械(例えば、クレーン、解体作業機、アースドリル等)であってもよい。また、本明細書中の前後左右は、特に断らない限り、油圧ショベル1に搭乗して操作するオペレータの視点を基準としている。
【0011】
油圧ショベル1は、下部走行体2と、下部走行体2に支持された上部旋回体3とを備える。下部走行体2は、左右一対のクローラ8を備える。そして、走行モータ(図示省略)の回転が伝達されて左右一対のクローラ8が回転すると、油圧ショベル1が走行する。但し、下部走行体2は、クローラ8に代えて、装輪式であってもよい。
【0012】
上部旋回体3は、下部走行体2に旋回可能に支持されている。上部旋回体3は、ベースとなる旋回フレーム5と、旋回フレーム5の前端中央に上下方向に回動可能に取り付けられたフロント作業機4と、旋回フレーム5の前方左側に配置されたキャブ(運転席)7と、旋回フレーム5の後部に配置された背板10(
図2及び
図3参照)と、背板10に着脱可能に取り付けられるカウンタウェイト20と、背板10に対してカウンタウェイト20を着脱する着脱装置30(
図2及び
図3参照)とを主に備える。
【0013】
フロント作業機4は、上部旋回体3に起伏可能に支持されたブーム4aと、ブーム4aの先端に揺動可能に支持されたアーム4bと、アーム4bの先端に揺動可能に支持されたバケット4cと、ブーム4a、アーム4b、及びバケット4cを駆動させる油圧シリンダ4d、4e、4fとを含む。
【0014】
キャブ7には、油圧ショベル1を操作するオペレータが搭乗する内部空間が形成されている。キャブ7の内部には、オペレータが着席するシート(図示省略)と、シートに着席したオペレータが操作する操作装置(ステアリング、ペダル、レバー、スイッチなど)が配置されている。そして、キャブ7に搭乗したオペレータが操作装置を操作することによって、下部走行体2が走行し、上部旋回体3が旋回し、フロント作業機4が動作する。
【0015】
次に、
図2~
図4を参照して、背板10、カウンタウェイト20、及び着脱装置30の構成を説明する。
図2は、背板10及び着脱装置30の背面図である。
図3は、背板10及び着脱装置30の側面図である。
図4は、カウンタウェイト20の斜視図である。
【0016】
図2及び
図3に示すように、背板10は、上部旋回体3の後部において、上下方向及び左右方向に延設された平板形状の部材である。以下、背板10の表面のうち、後方を向く面(装着されたカウンタウェイト20に対面する面)を「背面11」と表記する。背板10は、一対のピン12a、12bと、一対のガイド穴13a、13bと、一対のボルト穴14a、14bとを有する。また、背板10は、背面11の左右方向の中央部において、着脱装置30を支持している。
【0017】
一対のピン12a、12b、一対のガイド穴13a、13b、及び一対のボルト穴14a、14bは、左右方向に離間して形成されている。換言すれば、一対のピン12a、12b、一対のガイド穴13a、13b、及び一対のボルト穴14a、14bは、着脱装置30を挟んで反対側に形成されている。
【0018】
一対のピン12a、12bは、円筒形状の外形を呈する。ピン12a、12bは、背板10の上部において、背面11から後方に向かって突出している。一対のガイド穴13a、13bは、背板10の下部において、背面11から前方に向かって延びている。ガイド穴13a、13bは、背板10の背面11側に開口していれば、背板10を貫通していなくてもよい。一対のボルト穴14a、14bは、上下方向におけるピン12a、12b及びガイド穴13a、13bの間において、背板10を厚み方向に貫通する。
【0019】
カウンタウェイト20は、フロント作業機4との重量バランスを取るための重量物である。以下、カウンタウェイト20の表面のうち、上方を向く面を「上面21」と表記し、前方を向く面(装着されたときに背板10に対面する面)を「腹面22」と表記する。
図4に示すように、カウンタウェイト20は、凹部23と、一対の取付ブラケット24a、24bと、一対のガイド溝25a、25bと、一対のボス26a、26bと、一対のボルト穴27a、27bとを有する。
【0020】
凹部23は、カウンタウェイト20の左右方向に中央部において、腹面22から後方に延びる凹みである。凹部23は、カウンタウェイト20が背板10に装着されたときに、着脱装置30が収容される空間である。一対のガイド溝25a、25b、一対のボス26a、26b、及び一対のボルト穴27a、27bは、左右方向において、凹部23を挟んで反対側に配置されている。
【0021】
一対の取付ブラケット24a、24bは、凹部23の内部に設けられている。取付ブラケット24a、24bには、左右方向に貫通する貫通孔28a、28b(参照番号「28a」は図示省略)が形成されている。カウンタウェイト20は、貫通孔28a、28bに挿入された支持軸42a、42b(
図2参照)を介して、着脱装置30に回動可能に連結される。
【0022】
一対のガイド溝25a、25bは、カウンタウェイト20の上面から下方に凹み、且つ前後方向に延設されている。ガイド溝25a、25bの左右方向の幅(以下、「開口幅」と表記する。)は、下方に向かって徐々に狭くなっている。換言すれば、ガイド溝25a、25bの左右を画定する一対の側壁の間隔は、下方に向かって徐々に狭くなっている。
【0023】
そして、ガイド溝25a、25bの上端の開口幅は、ピン12a、12bの直径より大きい。ガイド溝25a、25bの下端の開口幅は、ピン12a、12bの直径より僅かに大きい。さらに、ガイド溝25a、25bの上下方向の長さ(溝深さ)は、ピン12a、12bの直径より長い。
【0024】
一対のボス26a、26bは、カウンタウェイト20の腹面22から前方に突出している。ボス26a、26bは、基端部の直径より先端部の直径の方が小さい。すなわち、ボス26a、26bは、先細り形状である。ボス26a、26bは、カウンタウェイト20が背板10に装着される過程において、背板10のガイド穴13a、13bに進入する。また、ボス26a、26bは、カウンタウェイト20が背板10に装着されたときに、ガイド穴13a、13bの底壁に当接する。
【0025】
一対のボルト穴27a、27bは、カウンタウェイト20を前後方向に貫通する。ボルト穴27a、27bは、カウンタウェイト20が背板10に装着されたときに、背板10のボルト穴14a、14bに連通する位置に形成されている。そして、連通したボルト穴14a、27a及びボルト穴14b、27bには、カウンタウェイト20を背板10に固定するためのボルト(図示省略)が螺合される。
【0026】
着脱装置30は、背板10に対してカウンタウェイト20を着脱する装置である。着脱装置30は、背板10の左右方向の中央において、背面11に固定されている。
図2及び
図3に示すように、着脱装置30は、支持ブラケット(ブラケット)31と、連結具32と、油圧シリンダ33と、回動アーム34a、34b(以下、これらを総称して、「回動アーム34」と表記することがある。)とを主に備える。
【0027】
支持ブラケット31は、背板10の背面11から後方に突出している。支持ブラケット31は、左右方向において、背板10の中央部(より詳細には、一対のピン12a、12b、一対のガイド穴13a、13b、及び一対のボルト穴14a、14bの間)に配置されている。支持ブラケット31は、油圧シリンダ33及び回動アーム34を支持する。
【0028】
支持ブラケット31は、固定プレート31a、31bと、支持プレート31c、31d、31e、31fとで構成される。固定プレート31a、31bは、上下方向に離間した位置において、背板10の背面11に固定されている。支持プレート31c、31d、31e、31fは、左右方向に離間した位置において、固定プレート31a、31bに固定されている。また、支持プレート31c、31d、31e、31fは、固定プレート31a、31bから後方に突出し、且つ上下方向に延設されている。
【0029】
そして、支持プレート31c、31dは、支持軸35を介して油圧シリンダ33の他端を回動可能に支持する。支持プレート31c、31eは、支持軸36aを介して回動アーム34aの他端を回動可能に支持する。支持プレート31d、31fは、支持軸36を介して回動アーム34bの他端を回動可能に支持する。
【0030】
連結具32は、カウンタウェイト20と油圧シリンダ33及び回動アーム34とを連結する。より詳細には、連結具32は、油圧シリンダ33及び回動アーム34に対してカウンタウェイト20を、直交する2つの回動軸線回りに回動可能に連結する。直交する2つの回動軸線のうちの一方は、左右方向に延びている。
【0031】
連結具32は、支持軸(第1支持軸)41と、支持軸(第2支持軸)42a、42b(以下、これらを総称して、「支持軸42」と表記することがある。)と、連結部材43a、43b(以下、これらを総称して、「連結部材43」と表記することがある。)とを主に備える。
【0032】
支持軸41は、左右方向に延設されている。また、支持軸41には、油圧シリンダ33の一端及び回動アーム34a、34bの一端が回動可能に連結されている。さらに、支持軸41には、回動アーム34a、34bより外側の両端部において、連結部材43a、43bが回動可能に連結されている。
【0033】
支持軸42は、左右方向に延設されている。支持軸42a、42bは、取付ブラケット24a、24bの貫通孔28a、28bに挿入される。すなわち、支持軸42は、取付ブラケット24a、24bを介して、カウンタウェイト20に回動可能に連結されている。また、支持軸42a、42bには、連結部材43a、43bが回動可能に連結されている。換言すれば、支持軸42は、連結部材43とカウンタウェイト20とを回動可能に連結している。
【0034】
連結部材43は、支持軸41、42それぞれに回動可能に連結されている。換言すれば、連結部材43は、支持軸41、42を連結する。連結部材43aは、第1連結部材44aと、第2連結部材45aと、支持軸(第3支持軸)46aとを備える。なお、連結部材43bは、連結部材43aと同様の構成であって、第1連結部材44bと、第2連結部材45bと、支持軸(第3支持軸)46bとを備える。
【0035】
第1連結部材44aは、支持軸41に回動可能に連結されている。第2連結部材45aは、支持軸42に回動可能に連結されている。支持軸46aは、支持軸41、42に直交する方向に延設されている。支持軸46aの延設方向は、油圧シリンダ33及び回動アーム34の回動角度によって変化する。そして、支持軸46aは、第1連結部材44a及び第2連結部材45aを回動可能に連結している。
【0036】
油圧シリンダ33は、ボトム室及びロッド室を有するシリンダチューブ33aと、シリンダチューブ33aから出没するシリンダロッド33bとで構成される。油圧シリンダ33は、作動油が給排されることによって伸縮する。より詳細には、ボトム室に作動油が供給され且つロッド室から作動油が排出されることによって、油圧シリンダ33が伸長する。また、ロッド室に作動油が供給され且つボトム室から作動油が排出されることによって、油圧シリンダ33が縮小する。
【0037】
シリンダロッド33b(油圧シリンダ33の一端)は、支持軸41に回動可能に連結されている。シリンダチューブ33a(油圧シリンダ33の他端)は、支持軸35周りに回動可能に支持ブラケット31に連結されている。
【0038】
回動アーム34a、34bは、左右方向において、油圧シリンダ33を挟んで反対側に配置されている。回動アーム34a、34bは、一端が支持軸41に回動可能に連結されている。また、回動アーム34a、34bは、他端が支持軸36a、36b周りに回動可能に支持ブラケット31に連結されている。
【0039】
そして、カウンタウェイト20が背板10に取り付けられた状態で、支持軸35、36a、36bは、支持軸41より前方に位置している。また、支持軸36a、36bは、支持軸35の前方で且つ上方に配置されている。さらに、支持軸41は、油圧シリンダ33の伸縮状態(換言すれば、カウンタウェイト20の位置)に拘わらず、常に支持軸35、36bの中心を結ぶ仮想線Lより上方に位置している。
【0040】
図5は、カウンタウェイト20が背板10に装着される過程におけるピン12a、12bとガイド溝25a、25bとの位置関係、及びガイド穴13a、13bとボス26a、26bとの位置関係を示す図である。
【0041】
油圧シリンダ33を縮小させると、油圧シリンダ33及び回動アーム34が支持軸35、36a、36bを中心に後方側に回動して、カウンタウェイト20が背板10から取り外される。そして、油圧シリンダ33が最大限縮小すると、カウンタウェイト20が油圧ショベル1の後方の地面に載置される。
【0042】
一方、油圧シリンダ33を伸長させると、油圧シリンダ33及び回動アーム34が支持軸35、36a、36bを中心に前方側に回動する。このとき、カウンタウェイト20は、上昇しながら背板10に向かって前進する。そして、油圧シリンダ33が最大限伸長すると、カウンタウェイト20が背板10の背面に当接する。
【0043】
背板10に対してカウンタウェイト20を装着する際の移動軌跡は、支持軸36a、36bを中心とし、回動アーム34の長さを半径とする円弧形状である。そして、カウンタウェイト20は、油圧シリンダ33が最大限縮小したときに最も下に位置し、油圧シリンダ33が最大限伸長したときに最も上に位置する。
【0044】
ここで、シリンダチューブ33aと支持軸35との間、シリンダロッド33bと支持軸41との間、回動アーム34と支持軸36a、36b、41との間には、遊びが存在する。また、第1連結部材44a、44bと第2連結部材45a、45bとが支持軸46a、46b周りに相対回動することによって、背板10とカウンタウェイト20との左右方向の相対位置が変化する。
【0045】
そのため、カウンタウェイト20は、背板10に装着される過程において、予め定められた位置から左右方向にずれている可能性がある。そこで
図5に示すように、本実施形態では、ピン12a、12b及びガイド溝25a、25bによって、背板10及びカウンタウェイト20の左右方向の位置合わせを行う。
【0046】
まず、カウンタウェイト20が上昇しながら前進すると、ピン12a、12bが上方からガイド溝25a、25bに進入する。このとき、
図6(A)に示すように、ピン12a、12bの位置は、ガイド溝25a、25bの左右方向の中心からずれている可能性がある。また、ボス26a、26bの位置は、ガイド穴13a、13bの左右方向の中心からずれている可能性がある。さらに、ボス26a、26bは、ガイド穴13a、13bより下方に位置している。
【0047】
また、カウンタウェイト20が背板10に近づくにつれて、ピン12a、12bはガイド溝25a、25b内を下方に移動する。このとき、ピン12a、12bは、開口幅が下方に向かって徐々に狭くなるガイド溝25a、25bの側壁に当接してガイドされながら、ガイド溝25a、25bの左右方向の中心に近づく。これにより、上下方向及び左右方向において、ガイド穴13a、13bとボス26a、26bとが近づく。
【0048】
そして、油圧シリンダ33が最大限伸長すると、
図6(B)に示すように、ピン12a、12bは、ガイド溝25a、25bの底壁に当接する。これにより、背板10とカウンタウェイト20とが左右方向に位置合わせされる。また、ガイド穴13a、13bの下端と、ボス26a、26bの下端とは、高さ位置が同一になる。
【0049】
このとき、背板10とカウンタウェイト20とは、前後方向に所定の間隔を隔てて離間している。しかしながら、上下方向及び左右方向において、ボルト穴14a、27aが位置合わせされ、ボルト穴14b、27bが位置合わせされている。すなわち、ボルト穴14a、27aが連通し、ボルト穴14b、27bが連通する。
【0050】
次に、連通したボルト穴14a、27a及びボルト穴14b、27bにボルトを螺合させると、カウンタウェイト20が背板10に近づく向きに平行移動する。これにより、ボス26a、26bがガイド穴13a、13bに進入する。また、ボス26a、26bは、ガイド穴13a、13bの底壁に当接する。
【0051】
そして、背板10とカウンタウェイト20とが当接するまでボルトを螺合することによって、背板10にカウンタウェイト20が装着される。さらに、油圧シリンダ33のボトム室及びロッド室を作動油タンクに連通させると、カウンタウェイト20の重量がガイド穴13a、13bの底壁によって支持される。
【0052】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0053】
上記の実施形態によれば、油圧シリンダ33及び回動アーム34の他端(すなわち、支持軸35、36a、36b)を支持軸41より前方に配置することによって、カウンタウェイト20が上昇しながら背板10に向かって前進する。
【0054】
そして、カウンタウェイト20が上昇しながら前進する過程において、ピン12a、12bがガイド溝25a、25bに上側から進入し、ガイド溝25a、25bに沿って下方に移動する。ここで、カウンタウェイト20が左右方向にずれていると、ピン12a、12bがガイド溝25a、25bの側壁に当接してガイドされながら下方に移動する。
【0055】
そして、ガイド溝25a、25bの開口幅は下方に向かって狭くなっているので、ピン12a、12bが下方に移動する過程で、背板10とカウンタウェイト20とが左右方向に自動的に位置合わせされる。また、ピン12a、12bがガイド溝25a、25bの底壁に当接したことによって、背板10とカウンタウェイト20とが上下方向に自動的に位置合わせされる。
【0056】
また、上記の実施形態によれば、支持軸41が仮想線Lより常に上方に位置する。これにより、着脱装置30は、油圧シリンダ33の縮小のみによってカウンタウェイト20を背板10から取外し、油圧シリンダ33の伸長のみによってカウンタウェイト20を背板10に装着することができる。換言すれば、カウンタウェイト20を背板10から取り外す(または、装着する)過程において、油圧シリンダ33の伸長及び縮小を組み合わせる必要がない。その結果、着脱装置30の構成をシンプルにすることができる。
【0057】
また、上記の実施形態によれば、ボス26a、26bをガイド穴13a、13bの底壁に当接させることによって、カウンタウェイト20の重量を、ボルト穴14a、14b、27a、27bに螺合したボルトと、ガイド穴13a、13bの底壁に当接したボス26a、26bとで支持することができる。これにより、同一重量のカウンタウェイト20を支持するのに、より細いボルトを用いることができる。また、同一径のボルトで、より重量の大きいカウンタウェイト20を支持することができる。
【0058】
なお、上記の実施形態では、背板10にガイド穴13a、13bを形成し、カウンタウェイト20にボス26a、26bを形成した例を説明したが、ガイド穴及びボスの配置は前述の例に限定されない。すなわち、背板10の背面11にボス及びガイド穴の一方が形成され、カウンタウェイト20の腹面22にボス及びガイド穴の他方が形成されていればよい。
【0059】
上述した実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 油圧ショベル
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 フロント作業機
4a ブーム
4b アーム
4c バケット
4d,4e,4f,33 油圧シリンダ
5 旋回フレーム
7 キャブ(運転席)
8 クローラ
10 背板
11 背面
12a,12b ピン
13a,13b ガイド穴
14a,14b,27a,27b ボルト穴
20 カウンタウェイト
21 上面
22 腹面
23 凹部
24a,24b 取付ブラケット
25a,25b ガイド溝
26a,26b ボス
28a,28b 貫通孔
30 着脱装置
31 支持ブラケット(ブラケット)
31a,31b 固定プレート
31c,31d,31e,31f 支持プレート
32 連結具
34a,34b 回動アーム
35,36a,36b 支持軸
41 支持軸(第1支持軸)
42a,42b 支持軸(第2支持軸)
43a,43b 連結部材
44a,44b 第1連結部材
45a,45b 第2連結部材
46a,46b 支持軸(第3支持軸)