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特許7167107モータステータ抜板、モータステータ鉄心及びモータ
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  • 特許-モータステータ抜板、モータステータ鉄心及びモータ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】モータステータ抜板、モータステータ鉄心及びモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/12 20060101AFI20221031BHJP
【FI】
H02K1/12 A
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020161057
(22)【出願日】2020-09-25
(65)【公開番号】P2021065082
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2020-09-25
(31)【優先権主張番号】201910959949.7
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511268454
【氏名又は名称】ジン-ジン エレクトリック テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(72)【発明者】
【氏名】イー,ピィン
(72)【発明者】
【氏名】スゥー,イーシュエ
(72)【発明者】
【氏名】チァン,イー
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ハァィピィン
(72)【発明者】
【氏名】リィー,パァォヂィァン
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-199919(JP,A)
【文献】特開2004-201428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヨーク部を有するモータステータ抜板であって、
前記ヨーク部には、振動を弱めるためのいくつかの軸方向の溝が周方向に沿って設けられ、前記溝がダンピング媒体で充填されており、かつ、重量を軽減するためのいくつかの軸方向の重量軽減穴が周方向に沿って設けられ、前記重量軽減穴が前記溝間に配置されており、前記重量軽減穴の断面形状と前記溝の断面形状とが相補的であり、
前記溝の断面のエッジが直線と曲線で構成されているか、又は、前記溝の断面のエッジが波線で構成されており、もしくは、前記溝の断面のエッジが歯状であり、前記歯状は、T字形またはI字形であるか、又は、上下の幅が等しい、
ことを特徴とするモータステータ抜板。
【請求項2】
前記溝の断面が、三角形、台形又は菱形であり、前記溝の内壁が滑らかであるか又は凹凸を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のモータステータ抜板。
【請求項3】
外周縁が凹凸状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のモータステータ抜板。
【請求項4】
ヨーク部を有するモータステータ鉄心であって、
前記ヨーク部には、振動を弱めるためのいくつかの軸方向の溝が周方向に沿って設けられ、前記溝がダンピング媒体で充填されており、かつ、重量を軽減するためのいくつかの軸方向の重量軽減穴が周方向に沿って設けられ、前記重量軽減穴が前記溝間に配置されており、前記重量軽減穴の断面形状と前記溝の断面形状とが相補的であり、
前記溝の断面のエッジが直線と曲線で構成されているか、又は、前記溝の断面のエッジが波線で構成されており、もしくは、前記溝の断面のエッジが歯状であり、前記歯状は、T字形またはI字形であるか、又は、上下の幅が等しい、
ことを特徴とするモータステータ鉄心。
【請求項5】
請求項1~のいずれか一項に記載のモータステータ抜板を含み、いくつかの前記モータステータ抜板がラミネートされ、前記モータステータ抜板の溝が軸方向に連通しているか、又は、
請求項1~のいずれか一項に記載のモータステータ抜板を含んで一体的に作られている、
ことを特徴とする請求項に記載のモータステータ鉄心。
【請求項6】
モータハウジングと、請求項又はに記載のモータステータ鉄心とを含み、前記モータステータ鉄心が前記モータハウジングに固定されており、前記モータステータ鉄心の外周面が凹凸状であり、前記モータステータ鉄心の外周面と前記モータハウジングの内壁との間に隙間が残されており、前記隙間が、空所であるか、又は、ダンピング媒体で充填されている、
ことを特徴とするモータ。
【請求項7】
前記ダンピング媒体が、固体、膏体又は流体である、
ことを特徴とする請求項に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの技術分野に関し、具体的には、モータステータ抜板、モータステータ鉄心及びモータに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車製造業の発展に伴い、自動車のNVH性能は、現代の自動車製造品質の一つの総合的な技術指標となっている。NVHは、騒音、振動及びハーシュネス(Noise,Vibration,Harshness)の英字略称である。NVHは、自動車利用者に最も直接的で表面的な体感を与える。車両のNVH問題は、国際自動車業界で各大手車両製造企業及び部品企業が注目する問題の一つである。統計資料によると、車両全体の故障において、その約3分の1は、車両のNVH問題に関連している。
【0003】
車内の騒音の大きさに影響を与える主な励振源は、エンジン、モータ、減速機、タイヤ等の部品である。電気自動車については、主な励振源がモータである。自動車に用いられるモータの数量が多いため、モータの騒音及び振動に関する研究は、ますます重要となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術における上記問題について、本発明は、モータのNVHを効果的に低減できるモータステータ抜板、モータステータ鉄心及びモータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の技術案は、以下のように実現される。
【0006】
本発明の一つの局面は、ヨーク部を有するモータステータ抜板であって、前記ヨーク部には、いくつかの軸方向の溝が周方向に沿って設けられており、前記溝が、空所であるか、又は、ダンピング媒体で充填されているモータステータ抜板を提供している。
【0007】
また、前記溝の断面が、三角形、台形又は菱形であってもよい。
また、前記溝の内壁が滑らかであるか又は凹凸を有してもよい。
【0008】
また、前記溝の断面のエッジが直線と曲線で構成されていてもよい。
また、前記溝の断面のエッジが波線で構成されていてもよい。
【0009】
また、前記溝の断面のエッジが歯状であり、前記歯状は、T字形またはI字形であるか、又は、上下の幅が等しくてもよい。
【0010】
また、前記ヨーク部には、いくつかの軸方向の重量軽減穴が周方向に沿って設けられていてもよい。
【0011】
また、前記モータステータ抜板の外周縁が凹凸状に形成されていてもよい。
【0012】
また、前記重量軽減穴の断面形状と前記溝の断面形状とが相補的であり、前記重量軽減穴が前記溝間の隙間内に充填されていてもよい。
【0013】
また、前記モータステータ抜板のヨーク部には、いくつかの軸方向の取付穴が周方向に沿って設けられており、及び/又は、前記モータステータ抜板の外周縁には、いくつかの軸方向の取付穴が設けられていてもよい。
【0014】
本発明の他の局面は、ヨーク部を有するモータステータ鉄心であって、前記ヨーク部には、いくつかの軸方向の溝が周方向に沿って設けられており、前記溝が、空所であるか、又は、ダンピング媒体で充填されているモータステータ鉄心を提供している。
【0015】
また、前記モータステータ鉄心が、上記記載のモータステータ抜板を含み、いくつかの前記モータステータ抜板がラミネートされ、前記モータステータ抜板の溝が軸方向に連通していてもよい。
【0016】
また、前記モータステータ鉄心の外周面が凹凸状であってもよい。
【0017】
また、前記モータステータ抜板における重量軽減穴によって冷却チャネルが構成され、冷却媒体が、前記冷却チャネル内を流通して、前記モータステータ鉄心を降温してもよい。
【0018】
また、前記冷却チャネルに、冷却媒体として液体又は気体が流通してもよい。
【0019】
本発明のさらに他の局面は、モータであって、モータハウジングと、上記記載のモータステータ鉄心とを含み、前記モータステータ鉄心が前記モータハウジングに固定されており、前記モータステータ鉄心の外周面が凹凸状であり、前記モータステータ鉄心の外周面と前記モータハウジングの内壁との間に隙間が残されており、前記隙間が、空所であるか、又は、ダンピング媒体で充填されているモータを提供している。
【0020】
また、前記ダンピング媒体が、固体、膏体又は流体であってもよい。
【発明の効果】
【0021】
上記構造を有して構成された本発明は、以下の利点を有する。
本発明は、モータステータ抜板に溝が設けられ、溝が空所であるか又は溝にダンピング媒体が充填されているという構造により、ステータが発生する振動に起因してステータ鉄心が励振されることを弱め、ステータ鉄心のダンピング係数を大きくして、ステータ鉄心の応答周波数を低減し、振動、騒音の伝達経路を弱めることができるとともに、応答の振幅を減らすこともでき、これにより、振動及び騒音を抑制し、体感の快適性を向上させることができる。
【0022】
本発明では、モータステータ抜板の外周縁を凹凸状に設定することで、モータステータ抜板がラミネートされて形成されたモータステータ鉄心の外周面構造も凹凸状になる。こうすると、モータステータ鉄心をモータハウジングに挿入すると、モータステータ鉄心の外周面とモータハウジングの内壁との間に隙間が残されて、この隙間が空所であるか、又は、その中にダンピング媒体が充填される。隙間が空所であるか又は隙間にダンピング媒体が充填されているという構造により、ステータが発生する振動に起因してモータハウジングが励振されることを弱め、モータハウジングのダンピング係数を大きくして、モータハウジングの応答周波数を低減し、振動、騒音の伝達経路を弱めることができるとともに、応答の振幅を減らすこともでき、これにより、振動及び騒音を抑制し、体感の快適性を向上させることができる。
【0023】
本発明は、モータ全体(車両全体)が振動、騒音に対して高い要求を有する場合に適用され、モータ全体のNVHレベルを効果的に低減することが可能である。
【0024】
本発明は、構造が簡単で、拡張しやすくて、金型を変更することなく実際の使用に応じてステータ鉄心の長さを調整することができ、加工プロセスが簡単であり、品質が信頼でき、効率が高い。
【0025】
上記の説明は、本発明の技術案の概要に過ぎず、本発明の技術手段をより明らかに理解して、明細書の内容に従って実施することができるように、また、本発明の上記および他の目的、特徴および利点をより容易に理解するために、以下に、本発明の具体的な実施形態を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施例1におけるモータステータ抜板の正面図である。
図2】本発明の実施例1におけるモータステータ抜板の正面図である。
図3】本発明の実施例2におけるモータステータ抜板の正面図である。
図4】本発明の実施例2におけるモータステータとモータハウジングとの組立模式図である。
図5図4の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
先行技術における自動車のNVHレベルが高いという問題について、本発明は、モータステータ抜板に溝が設けられ、溝が空所であるか又は溝にダンピング媒体が充填されているという構造により、ステータが発生する振動に起因してステータ鉄心が励振されることを弱め、ステータ鉄心のダンピング係数を大きくして、ステータ鉄心の応答周波数を低減し、振動、騒音の伝達経路を弱めることができるとともに、応答の振幅を減らして、モータ全体のNVHレベルを効果的に低減することができる。
【0028】
本発明の目的、技術案及び利点が更に明確になるように、以下、図面を参照して、本発明の実施形態について更に詳しく説明する。
【0029】
[実施例1]
図1には、本発明の実施例1が示されており、この実施例では、ヨーク部を有するモータステータ抜板1であって、ヨーク部には、いくつかの軸方向の溝6が周方向に沿って設けられており、溝6が、空所であるか、又は、ダンピング媒体で充填されているモータステータ抜板1を提供している。
【0030】
発明者が研究した結果、モータから電磁騒音が出る根源は、ステータの振動によって、モータハウジングの周りの空気が振動して騒音を引き起こすことにあることが判明した。本実施例における溝6又は溝6にダンピング媒体が充填される構造は、ステータ鉄心のダンピング係数を大きくして、ステータ鉄心内の接続リブを薄くし、剛性接続を弱めることができる。
【0031】
ダンピング媒体の充填は、通常、モータステータ抜板1がラミネートされてモータステータ鉄心が形成された後に行われる。ダンピング媒体は、固体、膏体又は流体のいずれであってもよい。例えば、ゴム、シリカゲル、グリース、シリコーンオイルなどの材料が用いられる。固体を用いた場合は、例えば、溝6にゴムを注入し、ゴムが固まると、ステータ鉄心に固着することができる。
【0032】
溝6の断面は、略三角形、台形又は菱形であり、又は、矩形などその他の適切な形状に設計される。溝6の内壁は、滑らかになるか又は凹凸になるように設計されてもよい。
そして、溝6の断面については、構造を最適化し、応力集中によるクラックを防止するために、いずれも、丸み付け処理が行われる。
【0033】
また、溝6の断面のエッジが、直線と曲線で構成されていてもよい。例えば、溝6の断面のエッジが波線で構成されている。当該技術手段により、ダンピング媒体とモータステータ抜板1との十分な接触を保証できるとともに、ダンピング媒体とモータステータ抜板1との結合強度を向上させることもできる。
【0034】
又は、溝6の断面のエッジが歯状であり、前記歯状は、T字形またはI字形であるか、又は、上下の幅が等しくてもよい。当該技術手段により、ダンピング媒体とモータステータ抜板1との十分な接触を保証できるとともに、ダンピング媒体とモータステータ抜板1との結合強度を向上させることもできる。
【0035】
本実施例においては、溝6の断面は略菱形であり、断面のエッジが歯状に構成されている。
【0036】
図1に示すように、モータステータ抜板1のヨーク部には、いくつかの軸方向の重量軽減穴2が周方向に沿って設けられており、重量軽減穴2は、構造強度要件を満足することを前提に、モータステータ抜板1の重量を軽減することが可能である。
【0037】
重量軽減穴2の断面形状と溝6の断面形状とが相補的であり、重量軽減穴2が溝6間の隙間内に充填されている。このように、重量軽減穴2及び溝6がモータステータ抜板1の断面面積を十分に占めることができる。
重量軽減穴2の断面形状は、例えば略三角形、長円形などの様々な形状とされてもよい。
【0038】
図1に示すように、モータステータ抜板1のヨーク部には、いくつかの軸方向の取付穴3が周方向に沿って設けられており、モータステータ抜板1がラミネートされてモータステータ鉄心が形成された後、取付穴3を介してモータハウジング又は他の部品と接続して、最終的なモータ製品を形成することが可能である。
【0039】
又は、図2に示すように、モータステータ抜板1の外周縁には、いくつかの軸方向の取付穴7が設けられており、そうすると、モータステータ抜板1がラミネートされてモータステータ鉄心が形成された後、一部の特殊な取付構造に対応可能である。
【0040】
上記の溝6、重量軽減穴2及び取付穴3は、モータステータ抜板1を製造する際に一体成形されてもよい。
【0041】
実測データによって検証した結果、この実施例において、モータのNVHテスト結果は、次の通りである。
【0042】
48次の径方向及び軸方向の騒音について、ノイズ低減の効果が明らかであり、呼吸モード周波数での低減幅がいずれも3~5dBAである。これにより、モータは、最悪の振動及び騒音状況において、比較的に優れたNVH性能を示す。
96次の径方向及び軸方向の騒音について、低減幅が一般的に4~13dBAであり、ノイズ低減効果が比較的に明らかである。
【0043】
完全なモータステータ抜板を形成するために、モータステータ抜板1の内壁には、ステータスロットがさらに設けられる。これについては、先行技術を参照することができ、本実施例では、詳しく説明しない。
【0044】
本実施例は、モータステータ抜板1に溝6が設けられ、溝6が空所であるか又は溝6にダンピング媒体が充填されているという構造により、ステータが発生する振動に起因してステータ鉄心が励振されることを弱め、ステータ鉄心のダンピング係数を大きくして、ステータ鉄心の応答周波数を低減し、振動、騒音の伝達経路を弱めることができるとともに、応答の振幅を減すこともでき、これにより、振動及び騒音を抑制し、体感の快適性を向上させることができる。
【0045】
[実施例2]
図3には、本発明の実施例2が示されており、この実施例2は、実施例1に比べると、モータステータ抜板1の外周縁が凹凸状に形成される点で異なっている。
【0046】
モータステータ抜板1がラミネートされてモータステータ鉄心が形成された時、モータステータ鉄心の外周面が凹凸状になる。
【0047】
図4図5に示すように、モータステータ鉄心がモータハウジング4内に固定されており、モータステータ鉄心の外周面とモータハウジング4の内壁との間に隙間5が残されている。
隙間5が、空所であるか、又は、ダンピング媒体で充填されており、ダンピング媒体が、固体、膏体又は流体である。本実施例では、ダンピング媒体の充填は、モータステータとモータハウジング4とが組み立てられた後に行われる。
【0048】
モータステータ抜板1における重量軽減穴2によって冷却チャネルが構成され、冷却媒体が、冷却チャネル内を流通して、モータステータ鉄心を降温する。
冷却チャネルに、冷却媒体として液体(例えば、水、油、又はその他の好適な冷却液)又は気体が流通し、モータの作動時の温度を下げる。
【0049】
冷却チャネルのシーリングは、端部のシーリングリング又はシーリングブロックで行う必要があり、シーリングリング又はシーリングブロックは、モータステータ鉄心又はモータエンドカバーに設けられてもよい。
【0050】
上記のモータステータ抜板1の外周縁の凹凸構造は、モータステータ抜板1を製造する際に一体成形されてもよい。
【0051】
実測データによって検証した結果、この実施例において、モータのNVHテスト結果は、次の通りである。
【0052】
48次の径方向及び軸方向の騒音について、ノイズ低減の効果が明らかであり、呼吸モード周波数での低減幅がいずれも3~5dBAである。これにより、モータは、最悪の振動及び騒音状況において、比較的に優れたNVH性能を示す。
96次の径方向及び軸方向の騒音について、低減幅が一般的に4~13dBAであり、ノイズ低減効果が比較的に明らかである。
【0053】
本実施例では、モータステータ鉄心の外周面とモータハウジングの内壁との間に隙間が残されており、隙間が空所であるか又は隙間にダンピング媒体が充填されているという構造により、ステータが発生する振動に起因してモータハウジングが励振されることを弱め、モータハウジングのダンピング係数を大きくして、モータハウジングの応答周波数を低減し、振動、騒音の伝達経路を弱めることができるとともに、応答の振幅を減すこともでき、これにより、振動及び騒音を抑制し、体感の快適性を向上させることができる。
【0054】
本実施例2におけるモータステータ抜板1は、他の構造が実施例1と同じであり、ここで繰り返して説明しない。
【0055】
[実施例3]
本発明の実施例3は、モータステータ鉄心であって、実施例1又は実施例2に記載のモータステータ抜板1を含み、いくつかのモータステータ抜板1がラミネートされてモータステータ鉄心が形成され、モータステータ抜板1の溝が軸方向に連通しており、つまり、モータステータ鉄心のヨーク部に軸方向の溝が形成されており、溝が、空所であるか、又は、ダンピング媒体で充填されているモータステータ鉄心を提供する。
【0056】
本実施例3におけるモータステータ抜板1の構造は、実施例1又は実施例2と同じであり、ここで繰り返して説明しない。
【0057】
[実施例4]
本発明の実施例4は、一体的に作られたモータステータ鉄心であって、例えば、一体的に切断されてなるものや、一体的に鋳造されてなるものなどを提供する。
【0058】
モータステータ鉄心のヨーク部には、いくつかの軸方向の溝が周方向に沿って設けられており、溝が、空所であるか、又は、ダンピング媒体で充填されている。溝の構造は、実施例1に記載のモータステータ抜板1の溝6を参考にして設定可能であり、ダンピング媒体は、実施例1に記載のダンピング媒体を参考にして設定可能である。
溝は、後加工で作られてもよく、モータステータ鉄心と同時に作られてもよい。
【0059】
モータステータ鉄心のヨーク部に、重量軽減穴、取付穴等の構造がさらに設けられてもよく、モータステータ鉄心の外周縁に、いくつかの軸方向の取付穴が設けられていてもよい。重量軽減穴、取付穴の構造は、実施例1に記載のモータステータ抜板1における対応構造を参考にして設定可能である。
【0060】
好ましくは、本実施例におけるモータステータ鉄心の外周面が凹凸状である。
【0061】
[実施例5]
本発明の実施例5は、モータであって、モータハウジング4と、実施例3又は実施例4に記載のモータステータ鉄心とを含み、図4図5に示すように、モータステータ鉄心がモータハウジング4に固定されており、モータステータ鉄心の外周面が凹凸状であり、モータステータ鉄心の外周面とモータハウジング4の内壁との間に隙間5が残されており、隙間5が空所であるか、又は、ダンピング媒体で充填されているモータを提供する。
【0062】
本実施例では、ダンピング媒体の充填は、モータステータとモータハウジング4とが組み立てられた後に行われる。
【0063】
隙間5の大きさが比較的小さいが、隙間5は軸方向に連続し、円周方向に不連続であることが好ましく、これにより、モータハウジング4におけるモータステータ鉄心の径方向の固定に影響を与えない。
【0064】
本実施例5に記載のモータステータ鉄心の構造は、実施例3又は実施例4と同じであり、ここで繰り返して説明しない。
【0065】
上記は、あくまでも本発明の具体的な実施形態であり、本発明の上記開示の下で、当業者は、上記実施例に基づいて他の改良又は変形を行うことができる。当業者であれば、上記の具体的な記載は本発明の目的をより良く解釈するためのものであり、本発明の保護範囲が特許請求の範囲の保護範囲に基づくものであることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0066】
1…モータステータ抜板、2…重量軽減穴、3…取付穴、4…モータハウジング、5…隙間、6…溝、7…取付穴。
図1
図2
図3
図4
図5