(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】トレーニング用器具
(51)【国際特許分類】
A63B 23/04 20060101AFI20221031BHJP
A63B 21/055 20060101ALI20221031BHJP
A63B 21/04 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
A63B23/04 Z
A63B21/055
A63B21/04
(21)【出願番号】P 2020198596
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】517191091
【氏名又は名称】日本プラスチックス・テクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129676
【氏名又は名称】▲高▼荒 新一
(72)【発明者】
【氏名】横山 契
(72)【発明者】
【氏名】島 道一
【審査官】石原 豊
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-164664(JP,U)
【文献】登録実用新案第3137279(JP,U)
【文献】米国特許第05997448(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0016539(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 1/00-26/00
A61H 1/00- 5/00
A61H99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紐状弾性部材と、前記紐状弾性部材の一方側端部に設けられる身体取付具と、前記紐状弾性部材の他方側端部に設けられる取着用部材と、を備えたトレーニング用弾性部材と、
前記トレーニング用弾性部材を取り付け可能な取付用バー及び受動的に回転可能な円筒状のローラーバーを有するローラー部材を有する支持部材と、前記支持部材を保持する固定用台と、を有する被取付部材を備え、
前記トレーニング用弾性部材は、前記取着用部材によって前記取付用バーに取り付けられ、前記ローラー部材を介して前記身体取付具が身体側に配置されることを特徴とするトレーニング用器具。
【請求項2】
前記取付用バーは、取付位置を変更可能であることを特徴とする請求項1に記載のトレーニング用器具。
【請求項3】
前記ローラー部材は、前記取付用バーに対して、着脱自在であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトレーニング用器具。
【請求項4】
前記支持部材は、トレーニングをする者が立位の状態で把持可能なハンドル部を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のトレーニング用器具。
【請求項5】
前記支持部材は、前記固定用台に対して可倒可能に設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のトレーニング用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーニング用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、身体を鍛錬するためのトレーニング用器具が種々提案されている。こうしたトレーニング用器具は、必ずしもスポーツ選手のように身体の運動機能を向上させるため、非常に高いレベルで行うスポーツ用途に限らず、女性のダイエットや高齢者などの歩行訓練等のトレーニングのように高強度ではないが複数の種類のトレーニングに使用できるトレーニング用器具も求められている。
【0003】
こうしたトレーニング用器具として、ゴム等のチューブを利用したトレーニング用器具が提案されている。ゴム等のチューブは、軽量かつコンパクトであり、安価であることから簡易なトレーニング用器具の負荷手段として使用されている(特許文献1)。しかしながら、ゴム等のチューブを付加手段として使用し、様々な種類のトレーニングを行えるようにすると、装置が非常に大型になってしまうという欠点があった。また、ゴム等のチューブの一方端部を装置に支持して、他方側の端部を身体に固定したり、把持したりして使用する場合、チューブの長さをある程度確保しなければ、効果的な運動強度、移動距離を確保することができないため、運動部位を支持点からある程度離れた状態で運動しなければならないという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、ゴムチューブ等の弾性部材を使用して軽量かつコンパクトでありながら、様々な種類のトレーニングを行うことができ、また、運動を装置のなるべく近くで行うことができるトレーニング用器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明にかかるトレーニング用器具は、紐状弾性部材と、前記紐状弾性部材の一方側端部に設けられる身体取付具と、前記紐状弾性部材の他方側端部に設けられる取着用部材とを備えたトレーニング用弾性部材と、
前記トレーニング用弾性部材を取り付け可能な取付用バー及び受動的に回転可能な円筒状のローラーバーを有するローラー部材を有する支持部材と、前記支持部材を保持する固定用台と、を有する被取付部材を備え、
前記トレーニング用弾性部材は、前記取着用部材によって前記取付用バーに取り付けられ、前記ローラー部材を介して前記身体取付具が身体側に配置されることを特徴とする。
【0008】
本発明にかかるトレーニング用器具によれば、身体側に配置される他方側端部と、支持部材に取り付けられる一方側端部との間にローラー部材を備えているので、身体のトレーニング部位が支持部材に非常に近い場合であっても最適な強度と可動距離を確保することができる。
【0009】
また、本発明にかかるトレーニング用器具において、前記取付用バーは、取付位置を変更可能であることを特徴とするものであってもよい。
【0010】
さらに、本発明にかかるトレーニング用器具において、前記ローラー部材は、取付用バーに対して、着脱自在であることを特徴とするものであってもよい。
【0011】
さらに、本発明にかかるトレーニング用器具において、前記支持部材は、トレーニングをする者が立位の状態で把持可能なハンドル部を備えることを特徴とするものであってもよい。
【0012】
さらに、本発明にかかるトレーニング用器具において、前記支持部材は、固定用台に対して可倒可能に設けられていることを特徴とするものであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかるトレーニング用器具によれば、ゴムチューブ等の弾性部材を使用して軽量かつコンパクトでありながら、様々な種類のトレーニングを行うことができるトレーニング用器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、第1実施形態にかかるトレーニング用器具100の斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態にかかるトレーニング用器具100の使用方法を示す一例である。
【
図3】
図3は、第1実施形態にかかるトレーニング用器具100との比較例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態にかかるトレーニング用器具100との比較例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態にかかるトレーニング用器具100の別実施形態を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態にかかるトレーニング用器具100の収納状態を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態にかかるトレーニング用器具100の異なる使用形態を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態にかかるトレーニング用器具100のさらなる別実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明にかかるトレーニング用器具100について、図を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
【0016】
(第1実施形態)
第1実施形態にかかるトレーニング用器具100は、
図1に示すように主として、トレーニング用弾性部材10と、このトレーニング用弾性部材10が取り付けられる被取付部材50と、を備えている。
【0017】
トレーニング用弾性部材10は、主として、引張弾性を有する紐状弾性部材11と、紐状弾性部材11の一方側端部に設けられた身体取付具12と、紐状弾性部材11の他方側端部に設けられる取着用部材13と、を備えている。
【0018】
紐状弾性部材11は、弾性を有する素材であるゴム、ウレタン又はシリコン等で作製された長尺の部材であり、この弾性力によってトレーニング時に身体に負荷を与える機能を有する。紐状弾性部材11の断面形態は、断面円形、中空のチューブ状又は平たいバンド状等種々の形態を採用することができる。本実施形態においては、中空のチューブ状の部材を採用している。
【0019】
身体取付具12は、主として、トレーニングをする際に、手又は脚に取り付けたり、把持したりするための器具であり、
図1に示すバンドのように受動的に手首や足首に巻きつけ固定することができるものに加え、手で握ることができる部材のように能動的に掴む把持部材も含む。好ましくは、フック等によって、トレーニングの種類に応じて、バンド等と把持部材を交換できるように設けるとよい。
【0020】
取着用部材13は、トレーニング用弾性部材10を被取付部材50に取り付けるための部材である。取着用部材13は、トレーニング用弾性部材10を被取付部材50、特に取付用バー51に対してトレーニング中に外れることなく、かつ取付用バー51の長手方向(軸方向)に移動可能に取り付けられるものであれば、特に限定するものではなく、バックル等の留め具や面ファスナーであってもよい。本実施形態においては、取着用部材13は、平バンドに面ファスナーを設けてあり、容易に被取付部材50に取り付けたり、取り外したりすることができるようにしてある。
【0021】
被取付部材50は、腕、脚等のトレーニングの種類に応じて、トレーニング用弾性部材10を取り付けて、トレーニング用弾性部材10の他方側端部を固定支持するための部材である。被取付部材50は、主として、トレーニング用弾性部材10を取り付けるための取付用バー51を有する支持部材53と、この取付用バー51その他のバーに取り付けられるトレーニング用弾性部材10の紐状弾性部材11を引っ掛ける外周が円筒状のローラー部材52と、支持部材53を可倒可能に固定する固定用台54と、を備えている。
【0022】
支持部材53は、固定用台54に取り付けられて位置を支持するとともに、取着用部材13が取り付けられる棒状の取付用バー51を備えている。取付用バー51は、1本であってもよいし、ローラー部材52との距離を選択して取り付けることができるように複数設けても良いし、
図1の取付用バー51aのように、螺合部材等によって位置を変更することができるように設けてもよい。少なくとも1本は、固定用台54の上面から、2cmから10cmの間に設けるとよい。
【0023】
ローラー部材52は、取付用バー51又はその他のバーに取付可能な取付部52aと、取付部52aから間隔を空けて回転可能に取り付けられる円筒状のローラーバー52bと、を備えている。
【0024】
こうして作製されたトレーニング用器具100は、以下のようにして使用される。以下、本実施形態においては、立位において足首に取付け、レッグリフトを行う場合を例に説明する。
図1に示すように、トレーニング用弾性部材10の取着用部材13を取付用バー51に取付け、紐状弾性部材11はローラーバー52bを介して被取付部材50を足首に取り付ける。この状態で
図2に示すように、脚を矢印の方向のように振り出す動作を行うことで、レッグリフトによるトレーニングを行うことができる。この際に、紐状弾性部材11は、ローラーバー52bを介しているので、脚が支持部材53に非常に近い場合であっても最適な強度と可動距離を確保することができる。すなわち、ローラーバー52bを使用することなく、トレーニング用弾性部材10を設置すると、
図3Aに示すように、紐状弾性部材11の距離dが短くなるため、必要な強度を確保しようとすると伸縮範囲が短くなりすぎ、伸縮範囲を確保しようとすると必要な強度を得られなくなってしまうという問題が発生する。かかる問題を解決するには、紐状弾性部材11の長さを長くすればよいが、単に長くするのみであると、
図3Bに示すように、取付位置から遠くなりすぎてしまうという問題が発生する。そこで、本発明では、取付用バー51の間にローラーバー52bを介して取り付けることによって、支持部材53に非常に近い位置に被取付部材50を配置した場合であっても、チューブの長さを確保することができるようにしたものである。なお、この際に、ローラーバー52bを単なる回転しない非回転バー55にしてしまうと、
図4Aに示すように、紐状弾性部材11と非回転バー55とが滑らずに、結局非回転バー55と身体取付具12との距離dの間にある紐状弾性部材11のみが伸縮して
図3Aと同様の状態になってしまう。そこで、本発明では、ローラーバー52bを介することによって、紐状弾性部材11の全長に渡って伸縮するようにしたものである。さらに、本発明においては、紐状弾性部材は、取付バー51を軸方向へ移動可能であり、かつローラーバー52bの幅広の円筒形状としたことによってローラーバーの間は移動可能であるので、チューブトレーニング時、引っ張る方向が一方向である必要がなく、あらゆる方向に引っ張ることができ、様々なトレーニングが実現できる。
【0025】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得る。
【0026】
上述した第1実施形態にかかるトレーニング用器具100は、レッグリフトを利用して説明したが、もちろん、トレーニングの種類はこれらに限定するものではなく、例えば、同様に足首に被取付部材50を装着した状態で腿上げ、バッグレッグリフト、レッグカール、アダクションに加え、被取付部材50に把持部材を使用して、アームカールやローイングといった腕を鍛えるトレーニングに使用してもよい。
【0027】
また、本実施形態にかかるトレーニング用器具100は、
図5に示すように、ローラー部材52を取付用バー51の様々な場所に取り付けることができるので、取付位置によって様々な異なるトレーニングをすることができる。
【0028】
さらに、本実施形態にかかるトレーニング用器具100は、支持部材53が固定用台54に対して可倒自在に設けられているので、使用後に収納する場合には、
図6に示すように、支持部材53を倒すことによって、全体を略板状に折りたたんでコンパクトにして収納することができる。
【0029】
さらに、本実施形態にかかるトレーニング用器具100は、支持部材53が固定用台54に対して可倒自在に設けられているので、
図7に示すように、支持部材53に背もたれ部57を被せることで、座椅子として使用することができる。
【0030】
さらに、本実施形態にかかるトレーニング用器具100において、支持部材53の大きさや取付用バー51の数は特に限定するものではなく、
図8に示すように、立位状態でトレーニング可能なように、支持部材53の高さを高くして、立位状態で支持部材53を掴むことができるようにハンドル部60を設けても良い。
【0031】
さらに、本実施形態にかかるトレーニング用器具100において、トレーニング用弾性部材10をローラー部材52を介することなく、トレーニング可能な取付用バー51cを設けても良い。例えば、
図1に示すように、固定用台54のサイドに取付用バー51cを設けて、この取付用バー51cにトレーニング用弾性部材10を設けて、直接ショルダープレスに使用したりしてもよい。
【符号の説明】
【0032】
10…トレーニング用弾性部材、11…紐状弾性部材、12…身体取付具、13…取着用部材、50…被取付部材、51…取付用バー、51a…取付用バー、51c…取付用バー、52…ローラー部材、52a…取付部、52b…ローラーバー、53…支持部材、54…固定用台、55…非回転バー、57…背もたれ部、60…ハンドル部、100…トレーニング用器具