(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】エレベータシステム及び乗場呼び登録切替方法
(51)【国際特許分類】
B66B 1/18 20060101AFI20221031BHJP
【FI】
B66B1/18 K
(21)【出願番号】P 2020207500
(22)【出願日】2020-12-15
【審査請求日】2020-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】槇岡 良祐
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-141558(JP,A)
【文献】特開2010-195532(JP,A)
【文献】特開2008-150208(JP,A)
【文献】特開2017-159970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗場に設置され、利用者が行先階を入力する入力キー及び割当号機を表示する表示部を少なくとも有する行先階登録部と、上下釦を有する上下呼び登録部とを一つの表示パネル内に備えた乗場呼び登録装置と、
前記乗場呼び登録装置を制御する乗場呼び登録制御装置と、
前記乗場呼び登録装置からの乗場呼び登録情報を入力して号機割当を実施する割当制御部と、呼び登録切替条件が成立したときに、前記行先階登録部と前記上下呼び登録部との間でどちらを使用するか呼び登録の受付切替を判定する受付切替判定部とを有する群管理制御装置とを備え、
前記受付切替判定部は、呼び登録切替条件を満たした場合に、利用者による呼び登録の入力操作状況をチェックし、
利用者が呼び登録の入力操作中であるかどうかを判定して、その
判定結果に基づく状況に応じて呼び登録切替タイミングを調整する処理を実行するエレベータシステム。
【請求項2】
前記受付切替判定部は、前記行先階登録部からの行先階登録情報又は上下呼び登録部からの上下呼び情報を参照し
、
利用者が入力操作中の場合には受付切替を実施するタイミングを遅らせ、
利用者が入力操作を完了した時点で前記乗場呼び登録制御装置へ切替指令を送信するとともに、前記行先階登録部又は前記上下呼び登録部のどちらを使用するか、どちらの操作画面を表示するかを切替える請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項3】
乗場に設置され、利用者が行先階を入力する入力キー及び割当号機を表示する表示部を少なくとも有する行先階登録部と、
乗場に設置され、上下釦を有する上下呼び登録部と、
前記行先階登録部を制御する乗場行先階登録制御装置と、
前記上下呼び登録部を制御する上下釦登録制御装置と、
前記行先階登録部からの行先階登録情報と、上下呼び登録部からの上下呼び情報とを入力して号機割当を実施すると割当制御部と、前記行先階登録部と前記上下呼び登録部との間でどちらを使用するか呼び登録の受付切替を判定する受付切替判定部とを有する群管理制御装置とを備え、
前記受付切替判定部は、呼び登録切替条件を満たした場合に、利用者による呼び登録の入力操作状況をチェックし、その状況に応じて呼び登録切替タイミングを調整するとともに、前記行先階登録部からの登録が不可の場合には、前記表示部に使用不可の表示をする変更処理を実行するエレベータシステム。
【請求項4】
前記受付切替判定部は、前記行先階登録部、前記乗場行先階登録制御装置、前記上下呼び登録部及び前記上下釦登録制御装置の各故障状況を判定し、何れかの装置が故障して登録が実施できないことを検出した場合には、故障していない装置に切替えることで利用者の呼び登録を継続させる請求項3に記載のエレベータシステム。
【請求項5】
前記上下呼び登録部からの上下呼び登録情報に対して、前記行先階登録部からの行先階呼び登録情報と同じデータ構造となるように情報を補完又は変換する情報変換部を有する請求項1乃至4の何れか1項に記載のエレベータシステム。
【請求項6】
乗場に設置され、利用者が行先階を入力する入力キー及び割当号機を表示する表示部を少なくとも有する行先階登録部と、上下釦を有する上下呼び登録部とに接続された群管理制御装置が実行する乗場呼び登録切替方法であって、
呼び登録切替条件が成立したときに、前記行先階登録部からの行先階登録情報又は上下呼び登録部からの上下呼び情報を参照し、利用者が呼び登録の入力操作中であるかどうかを判定し、
利用者が入力操作中の場合には受付切替を実施するタイミングを遅らせ、
利用者が入力操作を完了した時点で、前記行先階登録部又は前記上下呼び登録部のどちらを使用するか、どちらの操作画面を表示するかを切替える乗場呼び登録切替方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータシステム及び乗場呼び登録切替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの乗場にて利用者が乗るエレベータを呼び出すには、上下呼び釦の操作により利用者の行先階方向のエレベータを呼ぶ上下呼び登録装置を利用する。また、最近では、乗場に行先階登録装置(以下、「HDC装置」とも称する)を設置して、HDC装置から行先階登録を実施する。この場合、HDC装置の画面上に割当号機を表示することで利用者に対して乗車すべき号機を通知している。
【0003】
また他の従来例として、乗場に1つのタッチパネルを設置し、このタッチパネルにて登録可能な呼びを、行先階登録装置用画面と上下釦用画面とで切替て使用する技術がある。利用者は行先階登録装置用画面が表示されているときには、テンキー等から行先階を入力した後、割当号機の表示を待つ。一方、上下釦用画面が表示されているときには、上方向または下方向の釦をタッチした後、割当号機の表示を待つ。
【0004】
この従来例では、予め設定された切替時間や外部からのスイッチ操作等により表示切替指令が出力されると、利用者の釦操作状況に関わらず、切替を実施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-141558号公報
【文献】国際公開2010/030289A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、利用者の釦操作状況を確認せずに表示の切替を実施すると次のような不具合が生じる。すなわち、利用者が行先階登録装置用画面で行先階を登録している最中に上下釦用画面への切替が実施されてしまうと、呼び入力が完了しないおそれがある。群管理制御装置から見た場合には、不完全な呼び情報や誤った呼び情報が入力されたもの解釈され、混乱を生じるおそれがある。この状態は、利用者側から見ると、行先階を登録中であって未だ入力が完了していないのにも関わらず、釦表示が切替わることで、登録したい呼び登録が実施できずに利便性を損なう可能性がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、利用者の利便性を損なうことなく正確な乗場呼び入力を可能にするエレベータシステム及び乗場呼び登録切替方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための実施形態は、乗場に設置され、利用者が行先階を入力する入力キー及び割当号機を表示する表示部を少なくとも有する行先階登録部と、上下釦を有する上下呼び登録部とを一つの表示パネル内に備えた乗場呼び登録装置と、前記乗場呼び登録装置を制御する乗場呼び登録制御装置と、前記乗場呼び登録装置からの乗場呼び登録情報を入力して号機割当を実施する割当制御部と、呼び登録切替条件が成立したときに、前記行先階登録部と前記上下呼び登録部との間でどちらを使用するか呼び登録の受付切替を判定する受付切替判定部とを有する群管理制御装置とを備え、前記受付切替判定部は、呼び登録切替条件を満たした場合に、利用者による呼び登録の入力操作状況をチェックし、その状況に応じて呼び登録切替タイミングを調整する処理を実行するエレベータシステムである。
【0009】
他の態様は、乗場に設置され、利用者が行先階を入力する入力キー及び割当号機を表示する表示部を少なくとも有する行先階登録部と、上下釦を有する上下呼び登録部とに接続された群管理制御装置が実行する乗場呼び登録切替方法であって、呼び登録切替条件が成立したときに、前記行先階登録部からの行先階登録情報又は上下呼び登録部からの上下呼び情報とを参照し、利用者が呼び登録の入力操作中であるかどうかを判定し、利用者が入力操作中の場合には受付切替を実施するタイミングを遅らせ、利用者が入力操作を完了した時点で、前記行先階登録部又は前記上下呼び登録部のどちらを使用するか、どちらの操作画面を表示するかを切替える乗場呼び登録切替方法である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態の構成を示すブロック図。
【
図2】本発明の第1実施形態の処理手順を示すフローチャート。
【
図3】本発明の第1実施形態における表示内容の遷移を表示パターン別に示す説明図。
【
図4】本発明の第2実施形態の構成を示すブロック図。
【
図5】本発明の第2実施形態の処理手順を示すフローチャート。
【
図6】本発明の第2実施形態における表示内容の遷移を表示パターン別に示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
《第1実施形態の構成》
図1は本発明の第1実施形態の構成を示すブロック図である。なお、
図1に示すエレベータシステム1では各号機(A号機、B号機)を制御する号機制御装置については記載を省略している。
【0012】
同図に示すように、第1実施形態のエレベータシステム1は、群管理制御装置10と、乗場呼び登録制御装置20とを備えている。
【0013】
また、エレベータシステム1は、A号機エレベータと、B号機エレベータとから成り、A号機エレベータとB号機エレベータの乗場ドア付近には、タッチパネル30が設置されている。
【0014】
タッチパネル30は、行先階登録部40と上下呼び登録部50とを備え、エレベータの利用状況等に応じて、登録可能な呼びを行先階登録と上下釦との間で切替えることができる。また、行先階登録部40は、利用者が行先階を入力するテンキー41と、割当号機等を表示する表示部42とを備えている。上下呼び登録部50は利用者が上下呼びを入力する上下釦51を備える。
【0015】
群管理制御装置10は、割当制御部11と、受付切替判定部12と、情報変換部13とを備えている。
【0016】
乗場呼び登録制御装置20は、行先階呼び入力受付部21と、上下呼び入力受付部22と、乗場呼び登録入力受付切替部23と、乗場呼び登録画面表示制御部24とを備えている。
【0017】
行先階呼び入力受付部21は、タッチパネル30の行先階登録部40からの行先階登録情報を入力し、入力した行先階登録情報を群管理制御装置10に出力する。また、割当号機情報及び画面表示切替指令をタッチパネル30の行先階登録部40へ出力する。
【0018】
上下呼び入力受付部22は、上下呼び登録部50からの上下呼び情報を入力し、入力した上下呼び情報を群管理制御装置10に出力する。また、画面表示切替指令をタッチパネル30の上下呼び登録部50へ出力する。
【0019】
乗場呼び登録入力受付切替部23は、群管理制御装置10からの受付切替判定結果(呼び登録切替条件)を入力して、乗場呼び登録入力を行先階呼びと上下呼びとの間で切替える。
【0020】
乗場呼び登録画面表示制御部24は、表示切替条件が成立した場合に行先階登録部40と上下呼び登録部50の乗場呼び登録画面表示を切替える制御を実施する。
【0021】
群管理制御装置10の割当制御部11は、行先階登録部40から入力された行先階情報又は上下呼び登録部50から入力された上下呼び情報に基づき、号機の割当制御を実施する。
【0022】
受付切替判定部12は、予定された切替時間や利用者数等の呼び登録切替条件に基づき、行先階登録部40と上下呼び登録部50との間での受付切替を判定する。また、タッチパネル30上のテンキー41による行先階登録画面と上下釦51による登録画面との間で表示切替条件を満たしているかどうかを判定する。
【0023】
情報変換部13は、上下呼び登録部50からの上下呼び情報を上下呼び入力受付部22を介して入力し、行先階呼び情報のデータ構造との整合性を担保するために情報変換した後、割当制御部11へ出力する。すなわち、上下釦51の操作による上下呼び情報は、出発階の情報と、行先階方向の情報のみで構成され、行先階(目的階)については分からない。そこで、情報変換部13では、過去の行先階情報を記憶したデータベースを参照して、行先階情報を予測して割当制御部11に出力する。例えば、1~10階の建物において、過去1か月の間で1階から上方向に行く場合、2階には5%、3階には10%、・・・5階には30%、・・・8階には35%、10階には10%という割合であった場合、この割合に基づいて、1階から上方向に行く利用者の行先階を予測して上下呼び情報を補完する。
【0024】
《第1実施形態の作用》
図2は第1実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
図3は第1実施形態のタッチパネル30上における表示内容の遷移を表示パターン別に示す説明図である。
【0025】
以下の処理では、呼び登録切替条件を満たした場合に、利用者の釦操作状況をチェックし、その状況に応じて呼び登録切替タイミングをずらす処理(調整する処理、最適化する処理)を実施する。
【0026】
まず、受付切替判定部12は、タッチパネル30上のテンキー41による行先階登録画面から上下釦51による登録画面への表示切替条件を満たしたかどうかを確認する(ステップS1)。表示切替条件は、外部から入力された切替指令やソフトタイマによる切替といった切替判定や、各種カメラから得られる乗場待ち人数、かごの運行状況(平均未応答時間等)による切替判定等が想定される。
【0027】
表示切替条件が成立し、切替を実施すると判定した場合(ステップS1YES)には、現在表示している釦の種類を確認する。既に上下釦51を表示している場合には、それを継続すればよいため、上下釦51の表示を継続する(ステップS3)。行先階登録釦(テンキー41)を表示している場合(ステップS2YES)には、ステップS4に進み、切替を実施しても問題ないかどうかをチェックする。
【0028】
このチェック処理では、行先階登録釦(テンキー41)が押されているかどうかをチェックし、押されていれば(ステップS4YES)、上下釦51への切替を実施すると操作途中の利用者が混乱するため、表示切替タイミングをずらして、行先階登録釦(テンキー41)の表示を継続する(ステップS5)。
【0029】
ステップS5の処理にて、利用者が登録を完了した場合は、ステップS5から再度、行先階登録釦の押下の判定(ステップS4NO)を行い、ステップS6へ移行してもよい。
【0030】
行先階登録釦(テンキー41)が押されていない場合(ステップS4NO)には、登録を完了して割当表示の実施を完了しているかどうかをチェックする(ステップS6)。チェックの結果、表示が完了している場合は、乗場呼び登録から号機割当表示までの一連の処理が完了しているので、上下釦51への切替を実施しても問題ない。このため、ステップS7へ進んで上下釦51への切替を実施する。このときの表示内容は
図3の表示パターン1-1に示す通りである。
【0031】
ステップS6の処理で、乗場呼び登録は完了したが、未だ、号機割当表示中の場合には、ステップS8へ進んで行先階登録釦表示のままとする。
【0032】
ステップS4→(S5)→S6→S8の手順で処理が進んだときの表示内容の遷移は
図3の表示パターン1-2に示す通りである。表示パターン1-2において、テンキー41から行先階を入力すると、例えば、1~20階の建物で、利用者の行先階が12階のとき、“1”を入力した時点では、行先階が11階なのか、12階なのか、あるいは19階なのか不明である。“1”が入力された時点で、釦表示が切り替わってしまうと、利用者は呼び登録ができない。そこで、行先階登録が完了して割当号機表示がされた後、上下釦表示に切替えるようにしている。行先階登録の完了は例えば、上記の“1”が入力され、所定の時間内にテンキー41が押下されなかった場合、または、テンキー41に設けられた登録を完了するボタン(完了ボタン等)が押下された場合に完了する。これにより、利用者の利便性を損なうことなく正確な乗場呼び入力が可能になる。
【0033】
ステップS1にて切替を実施しない場合、すなわち、上下釦51ではなく行先階登録釦(テンキー41)を表示する場合(ステップS1NO)には、現在、上下釦51を表示しているかをチェックする(ステップS9)。表示していない場合、すなわち、行先階登録釦(テンキー41)を表示している場合(ステップS9NO)には、行先階登録釦(テンキー41)の表示を継続する(ステップS10)。上下釦51が表示されている場合(ステップS9YES)には、上下釦51が押下中かどうかをチェックする(ステップS11)。上下釦51が押されていない場合は、行先階登録釦(テンキー41)への切替を実施しても問題ないことからステップS12へ進んで、行先階登録釦(テンキー41)を表示する(ステップS12)。このときの表示内容は、
図3の表示パターン1-3に示す通りである。
【0034】
ステップS11にて上下釦51が押されている最中であれば、上下釦表示のままとする(ステップS13)。このときの表示内容は、
図3の表示パターン1-4に示す通りである。上下釦51による入力が完了した後に、行先階登録釦(テンキー41)への表示に切替わる。
【0035】
このように、第1実施形態によれば、利用者による乗場呼びの操作状況に基づき、一連の釦操作が完了した後に、行先階登録釦(テンキー41)と上下釦51との間で表示切替を実施するようにした。このため、利用者が操作中に画面表示が切替わってしまうという不具合を未然に防止することが可能となる。
【0036】
また、単一の基盤で構成されたタッチパネル30上に表示された行先階登録釦(テンキー41)又は上下釦51から乗場呼びを入力するようにしたのでエレベータシステム1の構成を簡単化することができる。
【0037】
さらに、群管理制御装置10は、上下呼び登録部50の上下呼び情報に対して情報を補完して行先階登録部40で登録された行先階呼び情報のデータ構造との整合性を担保することで、1つの群管理制御装置10で割当処理を可能とする。
【0038】
<第2実施形態>
第1実施形態では、登録可能な呼びを入力できる1つのタッチパネル30を設置して、利用状況等に応じて、行先階登録釦(テンキー41)と上下釦51との間で切替る方式を採用した。第2実施形態では、同一階に行先階登録装置と上下釦登録装置とを物理的に両方設置し、これらの装置を切替えていずれか一方を使用可能とする。
【0039】
《第2実施形態の構成》
図4は第2実施形態の構成を示すブロック図である。
【0040】
同図に示すように、第2実施形態におけるエレベータシステム100は、群管理制御装置10と、乗場行先階登録制御装置80と、上下釦登録制御装置90とを備えている。第2実施形態では、呼び登録装置を、乗場行先階登録制御装置80と上下釦登録制御装置90と分けて設置し、物理的に別々の装置として各階に設置される。また、各階には、行先階登録装置としての行先階登録部60と、上下釦登録装置としてのA号機用の上下呼び登録部70A及びB号機用の上下呼び登録部70Bとが設定されている。なお、群管理制御装置10の基本的な構成は、第1実施形態と同じであるため、その説明は省略する。
【0041】
行先階登録部60は、テンキー61と表示部62とを備えた単一の登録装置として構成され、この行先階登録部60は、乗場行先階登録制御装置80に接続されている。また、A号機用の上下呼び登録部70Aは上下釦71Aを備えた単一の登録装置として構成され、この上下呼び登録部70Aは、上下釦登録制御装置90に接続されている。同様に、B号機用の上下呼び登録部70Bは上下釦71Bを備えた単一の登録装置として構成され、この上下呼び登録部70Bは、上下釦登録制御装置90に接続されている。
【0042】
乗場行先階登録制御装置80は、行先階呼び入力受付部81と、行先階登録入力受付切替部82と、乗場呼び登録画面表示制御部83とを備える。行先階呼び入力受付部81は、行先階登録部60と接続され、行先階呼び入力を受け付けて群管理制御装置10に出力する。行先階登録入力受付切替部82は、群管理制御装置10からの受付切替判定結果(呼び登録切替条件)を入力して、乗場呼び登録入力を行先階呼びと上下呼びとの間で切替える。乗場呼び登録画面表示制御部83は、表示切替条件が成立した場合に行先階登録部60の乗場呼び登録画面表示を切替える制御を実施する。
【0043】
上下釦登録制御装置90は、各号機の上下呼びを受け付ける上下呼び入力受付部91A,91B,…,91Xと、各号機の上下釦の入力受付を切替えるA号機上下釦入力受付切替部92A、B号機上下釦入力受付切替部92B、…、X号機上下釦入力受付切替部92Xとを備える。
【0044】
《第2実施形態の作用》
図5は第2実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
図6は第2実施形態の行先階登録部60における表示内容の遷移を表示パターン別に示す説明図である。
【0045】
まず、行先階登録釦から上下釦への使用切替条件を満たしたかどうかを確認する(ステップS21)。表示切替条件は、第1実施形態と同様、外部から入力された切替指令やソフトタイマによる切替といった切替判定や、各種カメラから得られる乗場待ち人数、かごの運行状況(平均未応答時間等)による切替判定等が想定される。加えて、第2実施形態では、行先階登録釦が故障などにより、使用したい釦(キーパット)での呼び登録が実施できない場合に強制的に切替を実施するケースが想定される。
【0046】
切替を実施すると判定した場合(ステップS21YES)には、上下釦71A,71Bを即時使用可能とする(ステップS22)。その一方で、行先階登録装置では利用者が操作を実施している最中の可能性があることから、切替を実施しても問題ないかどうかをチェックする(ステップS23)。
【0047】
ステップ23の処理では、既に切替が完了しており行先階登録部60が使用できない状態であるかをチェックし、使用できない状態であれば(ステップS23NO)、「使用不可」表示を継続する(ステップS24)。
【0048】
一方、行先階登録部60が使用可能な状態であれば(ステップS23YES)、行先階登録釦が押されているかどうかをチェックする(ステップS25)。行先階登録釦(テンキー61)が押されていれば、行先階登録部60を使用不可とすると操作途中の利用者が混乱するため、行先階登録表示を継続する(ステップS26)。
【0049】
ステップS26の処理にて、利用者が登録を完了した場合は、ステップS25から再度、行先階登録釦の押下の判定(ステップS25NO)を行い、ステップS27へ移行してもよい。
【0050】
行先階登録釦(テンキー61)が押されていない場合(ステップS25NO)は、登録を完了して割当表示の実施を完了しているかどうかをチェックする(ステップS27)。呼び登録から割当表示までの一連の処理が完了している場合には、行先階登録部60を使用不可としても問題ない。このため、
図6の表示パターン2-1に示すように、行先階登録部60の使用を不可として、上下釦71A,71Bへの切替を実施する(ステップS28)。
【0051】
表示が完了していない場合、すなわち、呼び登録から割当表示までの一連の処理が完了していない場合には、割当号機表示を継続する。
図6の表示パターン2-2に示す通り、行先階の12階が入力され、割当号機としてA号機が表示された後には、「使用不可」表示がされる(ステップS29)。
【0052】
ステップS21の処理にて切替を実施しない場合、すなわち、上下釦71A,71Bではなく行先階登録部60を使用する場合には、即時、上下釦71A,71Bを使用不可とする(ステップS30)。その後、行先階登録部60が使用可能状態かをチェックする(ステップS31)。行先階登録部60が使用可能な場合には、行先階登録部60にて登録可能である旨の「登録可能」表示を継続する(ステップS32)。行先階登録部60が使用不可の場合には、行先階登録部60を使用可能とし、即時、
図6の表示パターン2-3に示すように、登録可能表示へと切替える(ステップS33)。
【0053】
このように、第2実施形態によれば、利用者による乗場呼びの操作状況に基づき、一連の釦操作が完了した後に、行先階登録部60から上下呼び登録部への表示切替を実施するようにした。このため、利用者が操作中に画面表示が切替わってしまうという不具合を未然に防止することが可能となる。
【0054】
また、第2実施形態の構成では、乗場行先階登録装置(行先階登録部60)と上下呼び登録部70A,70Bが別の装置(別基盤)として設置されるため、情報入力も異なる経路から入力される。この際に、第1実施形態で説明したように、群管理制御装置10は、上下釦71A,71Bの情報に対して情報を補完して行先階登録部60で登録された行先階呼び情報のデータ構造との整合性を担保することで、1つの群管理制御装置10で割当処理を可能とする。
【0055】
これにより、利用者の操作状況を基に行先階登録釦と上下釦71A,71Bとの間での表示切替を実施することで、利用者が操作中に画面表示が切替わってしまうことを防ぐ機能を達成することができる。
【0056】
<他の実施形態>
第2実施形態においては、行先階登録部60及び乗場行先階登録制御装置80から成る行先階登録ルートと、上下呼び登録部70A,70B及び上下釦登録制御装置90から成る上下呼びルートとは、別ルートで構成されている。このため、群管理制御装置10は、一方のルートの故障が検知された場合には、他方のルートに切替えて乗場呼びを継続する。例えば、予め、設定された時間を待っても装置からの応答が無い場合には、応答の無い装置を故障と認定して、他の装置に切替えて乗場呼びを継続する。これにより、利用者の利便性を損なうことなく、エレベータシステムを利用することが可能になる。
【0057】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1,100…エレベータシステム、10…群管理制御装置、11…割当制御部、12…受付切替判定部、13…情報変換部、20…乗場呼び登録制御装置、21…行先階呼び入力受付部、22…上下呼び入力受付部、23…乗場呼び登録入力受付切替部、24…乗場呼び登録画面表示制御部、30…タッチパネル(乗場呼び登録装置)、40,60…行先階登録部、41,61…テンキー、42,62…表示部、50,70A,70B…上下呼び登録部、51,71A,71B…上下釦、80…乗場行先階登録制御装置、81…行先階呼び入力受付部、82…行先階登録入力受付切替部、83…乗場呼び登録画面表示制御部、90…上下釦登録制御装置、91A、91B,91X…上下呼び入力受付部、92A…A号機上下釦入力受付切替部、92B…B号機上下釦入力受付切替部、92X…X号機上下釦入力受付切替部