(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】スパイラル型巻線要素用の橋梁支持及び低減した供給スペーサ
(51)【国際特許分類】
B01D 63/00 20060101AFI20221031BHJP
B01D 63/10 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
B01D63/00 510
B01D63/10
(21)【出願番号】P 2020520313
(86)(22)【出願日】2018-10-12
(86)【国際出願番号】 US2018055671
(87)【国際公開番号】W WO2019075370
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-08-20
(32)【優先日】2017-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519350775
【氏名又は名称】アクア メンブレインズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ウェインガート,ケンダル
(72)【発明者】
【氏名】ヘリントン,ロドニー,イー
(72)【発明者】
【氏名】ロデリック,ケヴィン
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-508446(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0097597(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0007970(US,A1)
【文献】実開昭59-044506(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00-71/82
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浸透キャリアを備えた積層構造に使用するための膜シートであって、前記膜シートは、選択的な流体分離を提供するように構成された活性表面及び前記活性表面の反対側の不活性表面を有し、前記膜シートは、前記活性表面の2つの対向する縁部のそれぞれの付近の供給スペーサ領域で前記活性表面上に配置された供給間隔要素を有し、前記膜シートは、前記2つの対向する縁部以外の前記膜シートの縁部付近の領域で前記活性表面、前記不活性表面、又はそれらの組合せの上に配置された剛性橋梁特徴を有
し、
前記剛性橋梁特徴は、前記縁部の周りに延在しない、膜シート。
【請求項2】
前記剛性橋梁特徴は前記活性表面上に配置される、請求項1に記載の膜シート。
【請求項3】
前記剛性橋梁特徴は前記不活性表面上に配置される、請求項1に記載の膜シート。
【請求項4】
供給間隔領域の間の前記膜シートの前記活性表面の中央領域は、供給間隔要素がない、請求項1に記載の膜シート。
【請求項5】
前記橋梁剛性特徴は、前記膜シートに添付され、膜シートから前記供給間隔要素の高さに少なくとも等しい距離だけ離れて突出する、請求項1に記載の膜シート。
【請求項6】
前記橋梁剛性特徴は、供給間隔領域の間で膜にわたって連続する、請求項1に記載の膜シート。
【請求項7】
前記橋梁剛性特徴は、供給間隔領域の間で膜に一緒に広がる複数の要素を含む、請求項1に記載の膜シート。
【請求項8】
スパイラル型巻線要素に使用するための積層構造であって、
(a)浸透キャリアと、
(b)選択的に流体分離を提供するように構成された活性表面及び前記活性表面の反対側の不活性表面を有する膜シートであって、前記膜シートは前記活性表面の2つの対向する縁部のそれぞれの付近の領域で前記活性表面上に配置された供給間隔要素を有し、前記膜シートは、前記2つの対向する縁部以外の前記膜シートの縁部付近の領域で前記活性表面、前記不活性表面、又はそれらの組合せの上に配置された剛性橋梁特徴を有し、
前記剛性橋梁特徴は、前記浸透キャリアの端部を覆わない、膜シートと、を備え、
(c)前記膜シートは、前記不活性表面が前記浸透キャリアと接触するように配置される、積層構造。
【請求項9】
前記剛性橋梁特徴は前記活性表面上に配置される、請求項
8に記載の積層構造。
【請求項10】
前記剛性橋梁特徴は前記不活性表面上に配置される、請求項
8に記載の積層構造。
【請求項11】
前記膜シートの前記活性表面の中央領域は、供給間隔要素がない、請求項
8に記載の積層構造。
【請求項12】
前記橋梁剛性特徴は、前記膜シートに添付され、膜シートから前記供給間隔要素の高さに少なくとも等しい距離だけ離れて突出する、請求項
8に記載の積層構造。
【請求項13】
前記橋梁剛性特徴は、供給間隔領域の間で膜にわたって連続する、請求項
8に記載の積層構造。
【請求項14】
前記橋梁剛性特徴は、供給間隔領域の間で膜に一緒に広がる複数の要素を含む、請求項
8に記載の積層構造。
【請求項15】
前記膜シートは幅及び長さを有し、前記膜シートは、前記活性表面が互いに面するように前記膜シートの長さのほぼ中間の折り線に沿って折り畳まれ、前記膜シートは、前記剛性橋梁特徴が前記浸透キャリアから遠位の前記膜シートの一部の上にあるように、前記浸透キャリア上に配置される、請求項
8に記載の積層構造。
【請求項16】
スパイラル型巻線要素を生成する方法であって、
(a)長さ及び幅を有する浸透キャリアシートを提供することと、
(b)採取管を提供することと、
(c)選択的に流体分離を提供するように構成された活性表面及び前記活性表面の反対側の不活性表面を有する膜シートを提供すること
と、
前記活性表面の2つの対向する縁部のそれぞれの付近の領域で前記活性表面上に供給間隔要素を配置することと、前記2つの対向する縁部以外の前記膜シートの縁部付近の領域で前記活性表面、前記不活性表面、又はそれらの組合せの上に剛性橋梁特徴を配置することとを含み、前記剛性橋梁特徴は、前記縁部の周りに巻いておらず、前記膜シートは、浸透キャリアの幅と実質的に等しい幅、及び前記浸透キャリアの長さの約2倍に実質的に等しい長さを有する、ことと、
(d)前記膜シートの前記活性表面が折り畳んだシートの内側であるように、前記膜シートの前記幅に沿って延在する折り線に沿って前記膜シートを折り畳むことと、
(e)
前記膜シートの前記折り目付近の第1の端部及び前記折り目の反対側で前記折り目に平行な第2の端部を有する要素リーフを形成するために、前記不活性表面が前記浸透キャリアと接触するように前記折り畳んだ膜シートを置くことであって、前記2つの対向する縁部は折り畳まれ、前記第1の端部及び第2の端部を連結
し、並びに
前記折り畳んだ膜シートは、前記浸透キャリア付近の第1の部分及び前記第1の部分によって前記浸透キャリアから分離された第2の部分を有する、ことと、
(f)接着剤が前記第1の縁部付近及び前記2つの縁部付近で膜リーフにわたって延在するように、前記膜シート、前記浸透キャリア、又はそれらの組合せに前記接着剤を塗布することと、
(g)前記採取管を中心に前記要素リーフを巻き付けること、前記要素リーフの前記第1の端部が前記採取管の付近にある状態で、スパイラル型巻線要素を形成することと、を含む方法。
【請求項17】
前記接着剤を硬化すること、次いで前記要素リーフの前記2つの縁部に対応する前記スパイラル型巻線要素の一部を取り除くことを更に含み、前記要素リーフは、このように取り除いた後、前記第2の端部及び前記2つの縁部に沿って前記浸透キャリアを中心に前記膜シートを完全に密封する接着剤を依然として有する、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
ステップ(e)は、前記剛性橋梁特徴が前記膜シートの前記第2の部分を備えるように前記膜シートを置くことを含む、請求項
16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 技術分野
[0002] 本発明は、逆浸透システムに使用するようなスパイラル型巻線要素用の膜の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
[0003] 背景技術
[0004] スパイラル型巻線要素は、当技術分野で公知であり、従来は採取するために穿孔中心管に分離した流体を長手方向に流すことができる、多孔質メッシュに密封した半透膜の被覆多孔質シートからなる。従来の装置は、要素内で軸方向若しくは長手方向に流すことができる、織物又は押出加工の多孔質スペーサメッシュも含む。このメッシュは、典型的には構築用であるが、生物汚染の可能性、流れへの抵抗、スケール形成、及び構築の複雑さという形で著しい不都合を提供する。
【0003】
[0005] スパイラル型巻線膜の改良は、Bargerら及びBradfordらによって、膜シートの活性被覆表面由来の堆積アイランド又は突起を使用することにより、織物又は押出加工の多孔質メッシュの代わりに要素内で軸方向に一定の流体流れ間隔を維持するために支持を提供すると説明されてきた。これらの特徴は、適切に設計されると、供給チャネル内の流れ制限を低減し、生物膜成長、スケール形成、又は粒子捕獲から要素を汚染する機会を低減すると同様に、要素の製造も単純化し得る。
【0004】
[0006] 多孔質メッシュがスパイラル型巻線濾過要素内に供給間隔を提供するために使用する時、メッシュ密度は、典型的には非常に高いので要素が巻かれている際に要素の面積全体にわたって支持さえも提供し、それによって、貫通する流れが通る密封された外皮を生成するために、浸透キャリアを通って膜リーフ縁部の中に貫通するように巻いている間に使用する接着剤に圧力さえも掛けることができる。しかし分離スペーサメッシュを使用しない要素の設計については、分離メッシュからの支持がないことにより、一様でない又は望ましくない糊の圧縮に起因して、特に糊線に隣接した浸透キャリアから膜の反対側の供給空間面積に組み立てる際に問題が起きる可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
[0007] 発明の開示
[0008] 本発明は、流体流れ抵抗が著しく低減し、チャネル流れ面積が増加し、印刷又は堆積材料から閉塞された膜表面の面積が少なく、製造の容易さが増した、流体構成要素を分離するためのスパイラル型巻線要素の構築の改良を提供する。具体的には、スパイラル型巻線要素は、膜シートの末端付近に糊の貫通及び密封のための支持を提供するために、固体の長手方向スペーサを含む印刷又は堆積スペーサを使用して構築される。改良された構築方法は、スパイラル型巻線要素の内部に使用できる供給スペーサがなくてもよい。
【0006】
[0009] 本発明の実施形態は、浸透キャリアを備えた積層構造に使用するための膜シートを提供し、膜シートは、選択的な流体分離を提供するように構成された活性表面及び活性表面の反対側の不活性表面を有し、膜シートは、活性表面の2つの対向する縁部のそれぞれの付近の供給スペーサ領域で活性表面上に配置された供給間隔要素を有し、膜シートは、2つの対向する縁部以外の膜シートの縁部付近の領域で活性表面、不活性表面、又はそれらの組合せの上に配置された剛性橋梁特徴を有する。典型的には、このような膜シートは長さが幅より大きい長方形であり、供給間隔要素は長さ、又は折り畳んだ時に供給間隔要素が折り畳んだシートの長さに沿って延在するように、長さの半分に沿って配置される。このような構成では、剛性橋梁特徴は、折り畳んだ時に剛性橋梁特徴が、2つの端部が一緒に集まる端部にあるように、1端部付近のシートの幅に沿って配置される。このようなシートは、典型的には浸透キャリアと一致し、縁部の周りに塗布された接着剤を有し、次いでスパイラル型巻線要素を形成するために採取管を中心に巻かれる。
【0007】
[0010] 一部の実施形態では、剛性橋梁特徴は活性表面上に配置される。一部の実施形態では、剛性橋梁特徴は不活性表面上に配置される。一部の実施形態では、供給間隔領域の間の膜シートの活性表面の中央領域は、供給間隔要素がない。一部の実施形態では、橋梁剛性特徴は、膜シートに添付され、膜シートから供給間隔要素の高さに少なくとも等しい距離だけ離れて突出する。一部の実施形態では、橋梁剛性特徴は、供給間隔要素の間で膜にわたって連続する。一部の実施形態では、橋梁剛性特徴は、供給間隔領域の間で膜に一緒に広がる複数の要素を含む。
【0008】
[0011] 本発明の実施形態は、スパイラル型巻線要素に使用するための積層構造であって、(a)浸透キャリアと、(b)選択的に流体分離を提供するように構成された活性表面及び活性表面の反対側の不活性表面を有する膜シートであって、膜シートは、活性表面の2つの対向する縁部のそれぞれの付近の領域で活性表面上に配置された供給間隔要素を有し、膜シートは、2つの対向する縁部以外の膜シートの縁部付近の領域で活性表面、不活性表面、又はそれらの組合せの上に配置された剛性橋梁特徴を有する、膜シートとを含み、(c)膜シートは、不活性表面が浸透キャリアと接触するように配置される、積層構造を提供する。このような実施形態は、典型的には3つの縁部(剛性橋梁特徴を備えた縁部及び2つの長い縁部)の周りに塗布された接着剤を有し、次いでスパイラル型巻線要素を形成するために採取管を中心に巻かれる。
【0009】
[0012] 一部の実施形態では、剛性橋梁特徴は活性表面上に配置される。一部の実施形態では、剛性橋梁特徴は不活性表面上に配置される。一部の実施形態では、膜シートの活性表面の中央領域は、供給間隔要素がない。一部の実施形態では、橋梁剛性特徴は、膜シートに添付され、膜シートから供給間隔要素の高さに少なくとも等しい距離だけ離れて突出する。一部の実施形態では、橋梁剛性特徴は、供給間隔要素の間で膜にわたって連続する。一部の実施形態では、橋梁剛性特徴は、供給間隔領域の間で膜に一緒に広がる複数の要素を含む。一部の実施形態では、膜シートは、幅及び長さを有することを特徴とし、膜シートは、活性表面が互いに面するように膜シートの長さのほぼ中間の折り線に沿って折り畳まれ、膜シートは、剛性橋梁特徴が浸透キャリアから遠位の膜シートの一部の上にあるように、浸透キャリア上に配置される。
【0010】
[0013] 本発明の実施形態は、スパイラル型巻線要素を生成する方法であって、(a)長さ及び幅を有する浸透キャリアシートを提供することと、(b)採取管を提供することと、(c)選択的に流体分離を提供するように構成された活性表面及び活性表面の反対側の不活性表面を有する膜シートを提供することであって、膜シートは、活性表面の2つの対向する縁部のそれぞれの付近の領域で活性表面上に配置された供給間隔要素を有し、膜シートは、2つの対向する縁部以外の膜シートの縁部付近の領域で活性表面、不活性表面、又はそれらの組合せの上に配置された剛性橋梁特徴を有し、膜シートは、浸透キャリアの幅と実質的に等しい幅、及び浸透キャリアの長さの約2倍に実質的に等しい長さを有する、提供することと、(d)膜シートの活性表面が折り畳んだシートの内側であるように、膜シートの幅に沿って延在する折り線に沿って膜シートを折り畳むことと、(e)不活性表面が浸透キャリアと接触するように折り畳んだ膜シートを置くこと、膜シートの折り目付近の第1の端部及び折り目の反対側で折り目に平行な第2の端部を有する要素リーフを形成することであって、2つの対向する縁部は折り畳まれ、第1の端部と第2の端部を連結する、形成すること、並びに浸透キャリア付近の第1の部分及び第1の部分によって浸透キャリアから分離された第2の部分を有することと、(f)接着剤が第1の縁部付近及び2つの縁部付近で膜リーフにわたって延在するように、膜シート、浸透キャリア、又はそれらの組合せに接着剤を塗布することと、(g)採取管を中心に要素リーフを巻き付けること、要素リーフの第1の端部が採取管の付近にある状態で、スパイラル型巻線要素を形成することとを含む、方法を提供する。膜シートの寸法が浸透キャリアの寸法と「実質的に等しい」とは、対応する寸法がほぼ等しいので、不要な無駄がなく好都合に組み立てて巻くことができることを意味する。例えば幅は、得られる要素の端部が通常のように切り取られる場合と厳密に等しい必要はないが、幅は、切り取った要素が適切に密封されるようにほぼ等しい必要がある。例えば長さは、管を中心にスパイラル型に巻き付けたシートを収容するのに必要なわずかな差異に起因して厳密に等しくなくてもよいが、長さは、得られるスパイラル型巻線要素が膜シート又は浸透キャリアを超える過剰な長さを持たないようにほぼ等しくなければならない。
【0011】
[0014] 一部の実施形態は、接着剤を硬化すること、次いで要素リーフの2つの縁部に対応するスパイラル型巻線要素の一部を取り除くことを更に含み、要素リーフは、このように取り除いた後、第2の端部及び2つの縁部に沿って浸透キャリアを中心に膜シートを完全に密封する接着剤を依然として有する。
【0012】
[0015] 一部の実施形態では、ステップ(e)は、剛性橋梁特徴が膜シートの第2の部分を備えるように膜シートを置くことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
[0016] 図面の簡単な説明
【
図1】中心採取管1、膜リーフの内部半体2及び外部半体3、並びに浸透キャリア4から構成されたスパイラル型巻線要素の図である。要素は、側縁部上に配置された縁部間隔特徴5、及び活性表面上の膜シート2の最内層の末端に配置された固体剛性橋梁特徴6を含有する。但し「最内層」は、要素が管を中心に巻かれた時に管により近い膜シートの層を意味する。
【
図2】中心採取管1、膜リーフの内部半体2及び外部半体3、並びに浸透キャリア4から構成されたスパイラル型巻線要素の図である。要素は、不活性表面7上の膜シート2の内層の末端に配置された固体剛性橋梁特徴6を含有する。この図では、縁部間隔特徴は、膜リーフの内部半体2の裏側に配置されており、従って図では見えない。
【
図3】両側に縁部間隔特徴5及び膜シートの活性表面の末端に完全に均一な剛性橋梁特徴6を備えた、巻いていない膜シートの内部半体2の遠位端の図である。
【
図4】両側に縁部間隔特徴5及び膜シートの末端に連続して隣接した剛性ストリップ8を備えた、巻いていない膜シートの内部半体2の遠位端の図である。
【
図5】両側に縁部間隔特徴5及び膜シートの末端に不連続の隣接した剛性ストリップセグメント9を備えた、巻いていない膜シートの内部半体2の遠位端の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0022] 本発明を実行するための形態及び産業上の利用可能性
[0023] 以下の特許及び特許出願、すなわちPCT/US2014/018813号、PCT/US2018/016318号、PCT/US2017/052116号、PCT/US2017/062424号、PCT/US2017/062425号、PCT/US2018/027367号、PCT/US2018/028453号は、本発明の理解を促すことができ、参照により本明細書に組み込まれている。
【0015】
[0024] 要素を組立中又は巻く間、典型的には接着剤は、浸透キャリアの内端部を中心管に接着するため、且つ浸透キャリアを膜シートにその3つの外縁に沿って同時に付着するために使用され、これは膜を通過する流体を除いて供給又は未処理/拒絶流から浸透キャリアの中に流体が入るのを防ぐ作用をする。接着剤は、膜シート及び浸透キャリアの両方の縁部を密封し、あらゆる流体を供給部から膜を通過して浸透領域に流す。接着密封は、浸透外皮の3つの縁部を同時に画定し、この外皮内の流れを中心採取管に向けることができる。中心採取管は一般に円筒形状であるが、「管」は、所望の組立及び動作特性と互換性がある、あらゆる形状を有することができる。
【0016】
[0025] 接着剤は、典型的にはスパイラル型巻線要素が巻かれる前に塗布され、一旦接着剤が硬化すると、過剰な膜、浸透キャリア、及び接着剤は、各端部で円筒要素の軸に垂直な平面から固定長を切り取られる。効果的な作動のために、流体の入口流れ及び出口流れを分離できるように、スパイラル型巻線要素の隣接した活性リーフの間に間隔を提供することが必要である。要素の製造中、このスペーサは、開放供給/拒絶チャネルを維持するために剛性を提供する一方で、浸透外皮を密封するために浸透キャリアを通って接着剤を貫通させる。一部の要素では、材料の連続したシートは、供給スペーサを提供するために隣接したリーフの間に配置されていた。このような連続した供給スペーサは、流体流れを制限し、汚染に曝される可能性がある。
【0017】
[0026] 一部の要素では、間隔特徴が、膜の選択された領域のみに、例えば堆積又は印刷によって置かれる。一例として、間隔特徴は、必要な間隔を提供するために要素の供給及び未処理/拒絶縁部のみに沿って堆積することができる。又このような間隔特徴は、上述した接着剤の貫通を促進するために膜も支持し、すなわち間隔特徴は、接着剤が膜リーフの入口縁部及び出口縁部に沿って堆積される反対側の面積に配置されるので、スペーサは、浸透キャリアに所望の糊が貫通するのを膜が促すことができるように膜を十分に支持する。しかし縁部に沿った間隔特徴は、リーフの遠位端では支持を提供しない。
【0018】
[0027] 本発明の一例示的実施形態は、リーフの遠位端に追加の支持を提供する剛性橋梁特徴を提供する。間隔特徴の追加領域は要素内に用いることもできるが、剛性橋梁は、不連続の間隔特徴セグメントの間を空き領域にすることができる。剛性橋梁特徴は、膜を巻いてスパイラル型巻線要素にする時、縁部間隔特徴はそれぞれの追加の巻き付けを支持するためにスパイラル型に互いの上に積層する一方で、遠位端の剛性橋梁特徴は、縁部間隔特徴又はストリップの間のあらゆる材料以外の支持がその下にないので、縁部間隔特徴より多くの剛性を膜シートに与えるように構成される。従って剛性橋梁特徴は、巻く工程の間に接着剤によって著しい内方の撓みが生じることなく支持を提供するように、十分な剛性を提供するべきである。剛性橋梁特徴は、剛性橋梁特徴の厚さ及び剛性橋梁特徴を作り上げる材料の引張強度に比例して膜リーフに曲げ強さを追加する。典型的な膜フィルムの薄さに起因して、剛性橋梁特徴に少量の材料を追加することにより、フィルム/橋梁システムの曲げ強さを著しく増加することができる。
【0019】
[0028] 本発明の一部の実施形態では、縁部間隔特徴の間の面積は空のままにすることができ、又はこの領域内の膜フィルムの上に印刷若しくは堆積した追加の特徴を含有することができる。巻く工程の間に要素を支持する縁部間隔特徴に起因して、これらの追加の中心特徴は、縁部間隔特徴の厚さ以下のあらゆる厚さからなることが可能である。中心特徴は、存在する場合、縁部間隔特徴より薄い又は異なるパターンの膜表面の上に堆積又は印刷した特徴を含むことができる。中心特徴は、縁部間隔特徴と異なる幾何形状のメッシュを含むことができる。これらの中心特徴は、流体流れ内の局所の渦度又は乱流を高める、又はスパイラル型巻線要素内を汚染する可能性を最小にするために、それらの機能を選ぶことができる。
【0020】
[0029] 本発明の実施形態は、要素を巻く工程の間に適切な接着密封を不連続領域に作ることができる剛性橋梁特徴と組み合わせて不連続の供給間隔要素を用いる。不連続の供給間隔要素は、2つの離散領域を含むことができ、1つは膜リーフの入口端部に配置され、1つは出口端部に配置され、それらの間に隙間を備える。他の実施形態は、供給間隔要素のあらゆる構成を含むことができ、スペーサの高さは、3つの個別の領域(各縁部に1つ、及びそれらの間でリーフの中心に1つ)からなる供給スペーサ、又は異なる厚さの領域で製造される押出加工のメッシュなどの、約1インチ以上の長さスケールに不連続である。あらゆる上記の状況において、剛性橋梁特徴は、標準の要素を巻く技法を膜リーフの遠位又は末端に適切な接着密封を達成するために使用できるように追加される。
【0021】
[0030]
図1に示された本発明の一例示的実施形態では、単一の均質な剛性橋梁特徴6は、リーフが折り畳まれてスパイラル型巻線要素が組み立てられる時、剛性橋梁特徴6が、要素に巻いた時に中心採取管に対して折り畳んだリーフの内部半体2の遠位端に配置されるように、膜リーフの活性表面の内部半体2の上に堆積される。剛性橋梁特徴6の高さ及び形状は、巻く工程の間に接着剤によって生じる撓みを低減するために膜リーフの遠位端を剛性橋梁特徴6が支持するように、この領域内の膜リーフを補強するように構成される。剛性橋梁特徴は、示されたように膜の幅にわたって延在することができ、又は例えば縁部間隔特徴を有する領域が膜の端部まで延在する場合、縁部間隔特徴を有する2つの領域の間のみに延在することができる。所望の剛性は、接着剤、膜、浸透キャリア、巻く手順及び力、並びに所望の接着剤の貫通の特性に基づいて決定することができる。遠位領域の剛性は、積層された挟持を生成するために使用する遠位糊線が、挟持された浸透キャリア4に貫通させ、最内膜リーフ2をスパイラル型巻線要素の中心に向かって内方に撓ませることなく、反対側の膜シート3に接着させることを確保する助けとなることができる。
【0022】
[0031]
図2に示された本発明の別の例示的実施形態では、単一の連続した剛性ストリップ6は、リーフが折り畳まれてスパイラル型巻線要素が組み立てられる時、剛性橋梁特徴6が、膜リーフの遠位端、及び要素に巻いた時に中心採取管1に対して折り畳んだリーフの内部半体2の上に配置されるように、膜リーフ7の内側又は不活性支持表面の上に堆積される。特徴の高さ及び形状は、積層された挟持を生成するために使用する糊が、挟持された浸透キャリア4に貫通させ、内膜シート2をスパイラル型巻線要素の中心に向かって撓ませることなく、反対側の膜シート3に接着させることを確保するために、巻く間に膜のこの部分に追加の剛性を提供するように構成される。
【0023】
[0032] 一例示的実施形態では、12インチ幅の薄いフィルムの合成膜シートが80インチの長さに切断される。供給間隔要素を支持する縁部は、流体の入口流れから出口流れの方向に45°に、且つ互いに90°に配向された格子のパターンを含む。供給間隔要素は、この例示的実施形態では、長さ約0.25インチ、幅0.018インチ、及び高さ0.015インチであり、活性側面上の膜シートの半体の上にUV硬化インクジェット・プリンタを使用し、膜シートのいずれかの長手方向縁部に沿って幅2インチのストリップに位置合わせされ、印刷されていない中心に8インチの膜シートを残して膜表面上に堆積される。他の供給間隔要素の設計及び工程が適切であることが可能であり、他の例については、参照により本明細書に組み込まれたPCT特許出願を参照されたい。加えて固体剛性橋梁特徴は、膜シートの印刷された半体の遠位端に印刷され、幅12インチ、長さ1.5インチ、及び高さ0.015インチで、同じUV硬化インクジェット工程を使用して堆積される。他の寸法、例えばシートの幅の3分の1~全幅のあらゆる幅、0.1インチ~5.0インチ、又は1インチ~2.5インチのあらゆる長さ、及び供給間隔要素の高さの0.5~2.0倍の高さが適することが可能である。縁部支持スペーサ及び剛性橋梁特徴が構築された後、リーフは、印刷特徴が折り畳んだリーフの内側にある状態で、膜の活性表面が互いに面するように折り畳まれる。折り畳んだリーフは、50インチx12インチの長さの浸透キャリアの上に置かれ、リーフの印刷されていない半体は浸透キャリアと接触するように配向される。浸透キャリアは、長さ12インチ、直径0.67インチの中心管に12インチの縁部の一方に沿って取り付けられる。膜リーフは、リーフの折り目が取付部から中心管に約5インチ間隔を空けるように浸透キャリア上に置かれる。接着剤は、膜リーフの縁部から1インチで中心管に取り付けた浸透キャリアで開始する点から、一方の長縁部に沿って続き、折り目の反対の縁部を周り、縁部から1インチの距離で他方の長縁部に沿って戻る連続ビード状に塗布される。接着剤の堆積の次に、リーフは、中心管を中心に巻いて約1.8インチの外径のスパイラル型巻線要素を生成する。接着剤が乾燥した後、スパイラル型巻線要素の端部は、中心管の各縁部から約1インチが切り取られ、12インチの長さの中心管上に長さ約10インチx直径約1.8インチであるスパイラル型巻線要素構造が残る。要素の各縁部上のおよそ1インチの縁部間隔特徴は、供給流が入り、拒絶流が出ることができるままである。この記載は一例示的実施形態について記載している。しかしこれらの印刷パターンは、異なる直径及び長さのスパイラル型巻線要素に適用してもよい。
【0024】
[0033] 剛性橋梁特徴は様々な幾何形状を含むことができ、異なる形状は、異なる形状が支持する面積を十分に覆う限り使用することができ、膜リーフの遠位又は末端における接着線は、巻いた時に沿の面積を覆う。接着線の幅は、巻く間に完全に圧縮されると、典型的には長さ1インチ~2.5インチの範囲になり、膜リーフの端部の全幅を覆う。
図3~5は、固体ストリップ6、中心採取管1に平行に走る平行線8若しくは線分9の組、又は他の複雑な形状が全体として、要素を巻いている間に特徴が中心管1に向かって印刷若しくは堆積される領域の撓みを防ぐ限り他の複雑な形状を含む、いくつかの例を例示する。寸法全体を通して固体でない形状は、それらの構造に材料をあまり使用しないために好ましい可能性がある。
【0025】
[0034] 剛性橋梁特徴は、分離した流体及びこれに限定されないが、プラスチック、熱可塑性プラスチック、反応性高分子、ワックス、又は樹脂を含む浸透キャリアと互換性がある、あらゆる数の材料から構成することができる。
【0026】
[0035] 剛性橋梁特徴は、種々の技法によって堆積することができる。オフセット印刷、グラビア印刷、及びスクリーン印刷などの従来の印刷技法は適することが可能であるが、これらの堆積技法は、厚さ及び幾何形状の制限を表す可能性がある。より厚い特徴は、マイクロディスペンシング、インクジェット印刷、熱溶解積層法によって、又はシートのロール転写若しくは個別の特徴のピックアンドプレースを含むことができる接着剤を使用する適用を介して堆積することができる。
【0027】
[0036] 縁部間隔特徴は、スパイラル型巻線要素を巻く間に、供給間隔を維持するために巻く前に膜リーフの片側又は両側の活性側面の上に置かれる。これらの縁部間隔特徴は、適所に残すことができ、又はスパイラル型巻線要素を巻いた後に切り取る工程の間若しくは後に一部を取り除くことができる。縁部間隔特徴5は、接着剤が浸透キャリア4に完全に染み込み、浸透キャリアの両側に膜シート2を付着させることを確保する一方で、供給スペーサ特徴の高さにほぼ等しい縁部で高さの分離を維持するために、要素の縁部に沿って要素を巻いている間に接着剤を圧縮することができる。
【0028】
[0037] この方法で置かれた縁部間隔特徴は、離散ストリップ又は不連続セグメント(例えば点、線、その他)であることが可能である。離散ストリップが使用される場合、離散ストリップは、その後要素を切り取る間は完全に取り除かなければならず、又は切り取った後にストリップの一部が決まった場所に残る場合、流体がストリップの一部を通って流れることができるために多孔質材料から構成しなければならない。多孔質の縁部間隔特徴は、織物若しくは不織布、又は押出加工若しくは織物メッシュなどの多孔質材料から構成することができ、これは供給流体が縁部特徴を通って流れることができるために、糊線を約半インチより越えて要素の内部に延在しない。
【0029】
[0038] 本発明は、様々な例示的実施形態に関連して記載された。上記は本発明の原理の適用の例示に過ぎず、その範囲は本明細書に照らして考慮して特許請求の範囲によって決定されるべきであることが理解されよう。本発明の他の変形及び修正が、当業者には明らかになろう。