(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】基地局、車両、及び交通通信システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/087 20060101AFI20221031BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
G08G1/087
G08G1/09 Q
G08G1/09 R
(21)【出願番号】P 2020539445
(86)(22)【出願日】2019-08-26
(86)【国際出願番号】 JP2019033339
(87)【国際公開番号】W WO2020045355
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】P 2018160441
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】星 李佳
【審査官】稲垣 彰彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-30782(JP,A)
【文献】特開2014-222475(JP,A)
【文献】特表2002-541536(JP,A)
【文献】特開2004-355237(JP,A)
【文献】特開2008-305090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般道路及び特定道路が交わる交差点に設けられる交通安全装置を制御する基地局であって、
前記一般道路を走行する対象車両から少なくとも1つのメッセージを受信する通信部と、
前記少なくとも1つのメッセージに基づいて、前記対象車両が前記特定道路を走行することが許可される所定車両であるか否か、及び前記対象車両が前記特定道路に進入しようとしているか否かを判定する制御部と、を備え、
前記対象車両が前記所定車両であったとき、前記制御部は、
前記対象車両が前記特定道路に進入しようとしていると判定された場合に、前記対象車両が前記特定道路に進入することを許可するよう前記交通安全装置を制御
し、
前記少なくとも1つのメッセージは、前記対象車両の種別を示す種別情報及び前記対象車両が緊急車両であるか否かを示す緊急車両情報のうち少なくとも1つを含み、
前記制御部は、前記種別情報及び前記緊急車両情報に基づいて、前記対象車両が前記所定車両であるか否かを判定し、
前記少なくとも1つのメッセージは、前記対象車両に設けられた方向指示器の状態を示す方向指示器情報及び前記対象車両の走行予定の経路を示す経路情報のうち少なくとも1つを含み、
前記制御部は、前記方向指示器情報及び前記経路情報のうちの少なくとも1つに基づいて、前記対象車両が前記特定道路に進入しようとしているか否かを判定する、基地局。
【請求項2】
前記特定道路は、所定種別の車両に専用で用いる専用道路で
ある、請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
前記交通安全装置は、前記交差点における前記特定道路への入り口に設けられたゲートを含み、
前記制御部は、前記対象車両が前記所定車両であり、且つ前記対象車両が前記特定道路に進入しようとしていると判定された場合に、前記ゲートを開けるよう前記交通安全装置を制御する、請求項1
又は2に記載の基地局。
【請求項4】
前記交通安全装置は、前記交差点における前記特定道路への入り口に設けられた交通信号機であって、
前記制御部は、前記対象車両が前記所定車両であり、且つ前記対象車両が前記特定道路に進入しようとしていると判定された場合に、前記交通信号機によって表示される信号の切替を制御する、請求項1
又は2に記載の基地局。
【請求項5】
前記交通安全装置は、指示信号を無線で車両に送信する無線機であって、
前記制御部は、前記対象車両が前記所定車両であり、且つ前記対象車両が前記特定道路に進入しようとしていると判定された場合に、前記対象車両が前記特定道路に進入することを許可する
前記指示信号を前記対象車両に送信するよう前記無線機を制御する、請求項1
又は2に記載の基地局。
【請求項6】
一般道路及び特定道路が交わる交差点に設けられる交通安全装置と、
前記交通安全装置を制御する基地局と、を備え、
前記基地局は、
前記一般道路を走行する対象車両から少なくとも1つのメッセージを受信する通信部と、
前記少なくとも1つのメッセージに基づいて、前記対象車両が前記特定道路を走行することが許可される所定車両であるか否か、及び前記対象車両が前記特定道路に進入しようとしているか否かを判定する制御部と、を備え、
前記対象車両が前記所定車両であったとき、
前記制御部は、前記対象車両が前記所定車両であり、且つ前記対象車両が前記特定道路に進入しようとしていると判定された場合に、前記対象車両が前記特定道路に進入することを許可するよう前記交通安全装置を制御
し、
前記少なくとも1つのメッセージは、前記対象車両の種別を示す種別情報及び前記対象車両が緊急車両であるか否かを示す緊急車両情報のうち少なくとも1つを含み、
前記制御部は、前記種別情報及び前記緊急車両情報に基づいて、前記対象車両が前記所定車両であるか否かを判定し、
前記少なくとも1つのメッセージは、前記対象車両に設けられた方向指示器の状態を示す方向指示器情報及び前記対象車両の走行予定の経路を示す経路情報のうち少なくとも1つを含み、
前記制御部は、前記方向指示器情報及び前記経路情報のうちの少なくとも1つに基づいて、前記対象車両が前記特定道路に進入しようとしているか否かを判定する、道路交通システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局、車両、及び交通通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高度交通システム(例えば、ITS;Intelligent Transport System)において、道路周辺に設けられる基地局である路側機と車両との間で通信を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】一般社団法人電波産業会、”700MHz帯高度道路交通システム ARIB-STD T109 1.3版“,[online]、平成29年7月27日、[平成30年6月22日検索]、インターネットhttp://www.arib.or.jp/tyosakenkyu/kikaku_tushin/tsushin_kikaku_number.html
【発明の概要】
【0004】
第1の態様に係る基地局は、一般道路及び特定道路が交わる交差点に設けられる交通安全装置を制御する。前記基地局は、前記一般道路を走行する対象車両から少なくとも1つのメッセージを受信する通信部と、前記少なくとも1つのメッセージに基づいて、前記対象車両が前記特定道路を走行することが許可される所定車両であるか否か、及び前記対象車両が前記特定道路に進入しようとしているか否かを判定する制御部とを備える。前記制御部は、前記対象車両が前記所定車両であり、且つ前記対象車両が前記特定道路に進入しようとしていると判定された場合に、前記対象車両が前記特定道路に進入することを許可するよう前記交通安全装置を制御する。
【0005】
第2の態様に係る車両は、一般道路及び特定道路が交わる交差点に設けられる交通安全装置を制御する基地局との通信を行う。前記車両は、当該車両が一般道路を走行する状態において、当該車両が前記特定道路を走行することが許可される所定車両であるか否か及び当該車両が前記特定道路に進入しようとしているか否かを前記基地局が判定するための少なくとも1つのメッセージを送信する送信部を備える。
【0006】
第3の態様に係る道路交通システムは、一般道路及び特定道路が交わる交差点に設けられる交通安全装置と、前記交通安全装置を制御する基地局とを備える。前記基地局は、前記一般道路を走行する対象車両から少なくとも1つのメッセージを受信する通信部と、前記少なくとも1つのメッセージに基づいて、前記対象車両が前記特定道路を走行することが許可される所定車両であるか否か、及び前記対象車両が前記特定道路に進入しようとしているか否かを判定する制御部とを備える。前記制御部は、前記対象車両が前記所定車両であり、且つ前記対象車両が前記特定道路に進入しようとしていると判定された場合に、前記対象車両が前記特定道路に進入することを許可するよう前記交通安全装置を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る交通通信システムの一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る路側機の構成を示す図である。
【
図4】実施形態に係る路車間通信期間を示す図である。
【
図5】実施形態に係る交通通信システムの動作例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る路側機の動作フロー例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
道路の中には、所定車両に限って走行が許可される特定道路が存在する。しかしながら、所定車両は、特定道路を走行する場合に限らず、一般的な車両の走行が許可される一般道路を走行する場合がある。
【0009】
よって、一般道路及び特定道路が交わる交差点に設けられる交通安全装置(ゲート又は交通信号機)を基地局が制御する場合において、基地局は、一般道路を走行する所定車両の存在を考慮した制御を行う必要がある。
【0010】
そこで、本発明は、交通安全装置を適切に制御することを可能とする。
【0011】
実施形態に係る基地局は、一般道路及び特定道路が交わる交差点に設けられる交通安全装置を制御する。前記基地局は、前記一般道路を走行する対象車両から少なくとも1つのメッセージを受信する通信部と、前記少なくとも1つのメッセージに基づいて、前記対象車両が前記特定道路を走行することが許可される所定車両であるか否か、及び前記対象車両が前記特定道路に進入しようとしているか否かを判定する制御部とを備える。前記制御部は、前記対象車両が前記所定車両であり、且つ前記対象車両が前記特定道路に進入しようとしていると判定された場合に、前記対象車両が前記特定道路に進入することを許可するよう前記交通安全装置を制御する。
【0012】
実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0013】
(交通通信システム)
図1は、実施形態に係る交通通信システム100の一例を示す図である。実施形態では、
図1に示すように、特定道路110及び一般道路120が交わるケースについて例示する。
図1において、特定道路110及び一般道路120が交わるケースとして十字路を例示しているが、十字路に限らずT字路(三叉路或いは丁字路ともいう)であってもよい。また
図1において、特定道路110及び一般道路120は直交しているが、特定道路110及び一般道路120が交わる角度は限定されない。
【0014】
以下において、「交差点」とは、二以上の道路が交わる場合における当該二以上の道路(歩道と車道の区別のある道路においては、車道)の交わる部分をいい、十字路及びT字路の両方を含む概念であるとする。
【0015】
特定道路110は、所定車両に限って走行が許可される道路である。所定車両は、所定種別の車両であってもよい。所定種別の車両は、バスであってもよい。バスとは、ある決まったルートで乗客を運ぶ比較的大型の自動車をいう。所定種別の車両は、路面電車等であってもよい。以下において、特定道路110が、バスに専用で用いるバス専用道路である一例について説明する。
【0016】
所定車両は、緊急車両であってもよい。緊急車両とは、人命救助や火災対応など、何らかの理由で急を要する業務に利用される車両をいい、例えば、救急車、消防車、又は警察車両等が緊急車両に含まれる。所定車両は、緊急車両のうち緊急走行中のものに限定されていてもよい。緊急走行中とは、サイレンを鳴らしながら走行している状態や、回転灯を点灯させながら走行している状態をいう。以下において、緊急車両は、例外的にバス専用道路での走行が許可されうると仮定して説明を進める。
【0017】
一般道路120は、一般的な車両の走行が許可される道路である。一般的な車両とは、緊急車両に限定されないすべての車両をいう。
図1において、特定道路110上を車両10Aが走行しており、一般道路120上を車両10Bが走行しているケースを例示している。さらに、特定道路110の路側に路側機40が設けられるケースを例示している。路側機40は、基地局の一例である。
【0018】
特定道路110及び一般道路120の交差点において、特定道路110上にゲート装置130(ゲート装置131及びゲート装置132)が設けられており、一般道路120上に交通信号機140(交通信号機141及び交通信号機142)が設けられてもよい。ゲート装置130は、交通安全装置の一例であり、交通信号機140は、交通安全装置の他の例である。
【0019】
車両10(車両10A及び車両10B)は、自動二輪車、自動三輪車、又は自動四輪車などの自動車であってもよい。車両10は、路側機40と通信(路車間通信)を行う。ここでは、車両10Aがバスであるケースを例示する。車両10の詳細については後述する(
図2を参照)。
【0020】
路側機40は、車両10と通信(路車間通信)を行う。路側機40は、ゲート装置130と通信を行う機能を有する。路側機40は、交通信号機140と通信を行う機能を有していてもよい。車両10は、他の車両との車車間通信を行ってもよい。車車間通信は、路車間通信が行われていないタイミングで行われてもよい。路側機40の詳細については後述する(
図3を参照)。
【0021】
ゲート装置130は、特定道路110への車両10Bの進入を制限するためのゲートを有する。ゲート装置130は、ゲートに加えて、ゲートを開閉する駆動機構や、路側機40との通信を行うための通信インターフェイスを有する。
【0022】
ゲート装置130は、車両10Aが交差点を通過しないときに閉じ、車両10Aが交差点を通過するときに開くように構成される。例えば、ゲート装置130は、車両10Aの運行スケジュールに応じて開閉してもよい。ゲート装置130は、交差点への車両10Aの接近に応じて開き、交差点からの車両10Aの離脱に応じて閉じてもよい。車両10Aの接近及び離脱は、車両10Aからメッセージを受信できるか否かに基づいて路側機40によって検出された上で、路側機40からゲート装置130に通知されてもよい。
【0023】
交通信号機140は、車両10Bの交差点の通過を許可するか否かを示す信号(例えば、青信号、黄信号、赤信号)を表示するように構成される。交通信号機140は、車両10Bに注意喚起を促す点滅信号を表示するように構成されてもよい。例えば、交通信号機140は、予め定められたスケジュールに応じて信号を切り替えてもよい。ゲート装置130は、交差点への車両10Aの接近及び交差点からの車両10Aの離脱に応じて信号を切り替えてもよい。車両10Aの接近及び離脱は、車両10Aからメッセージを受信できるか否かに基づいて路側機40によって検出された上で、路側機40から交通信号機140に通知されてもよい。
【0024】
実施形態において、バスが特定道路110を走行する場合に限らず、バスが一般道路120を走行しうるシナリオを想定する。このようなシナリオにおいて、一般道路120及び特定道路110が交わる交差点に設けられる交通安全装置を制御する路側機40は、一般道路120を走行するバスの存在を考慮した制御を行う必要がある。
【0025】
(車両)
図2は、実施形態に係る車両10の構成を示す図である。
図2に示すように、車両10は、通信部11及び制御部12を有する。
【0026】
通信部11は、無線通信モジュールによって構成される。通信部11は、キャリアセンスを行って電波の周波数(例えば、700MHz帯)の空き状態を判定する機能を有していてもよい。通信部11は、電波の周波数が空いているタイミングでパケットを送信する。1以上のパケットによって1つのメッセージが構成されてもよい。
【0027】
通信部11は、路車間通信を行ってもよく、車車間通信を行ってもよい。パケットは、送信元の識別に用いる識別情報、路側機40に対する同期方法を示す同期情報、パケットの送信時刻、及び/又は路車間通信の期間を示す期間情報(路車間通信の転送回数、及び/又は路車間通信の期間長)などを含む。車車間通信は、路車間通信に伴って生じる通信(パケット転送)を含む。
【0028】
以下において、上述したメッセージを踏まえて、メッセージの詳細について説明する。
【0029】
メッセージは、車両10の種別を示す種別情報を含んでもよい。車両10の種別を示す種別情報は、車両10の種別が何であるかを一意に識別する情報であってもよい。車両10がバスである場合、種別情報は、バスであることを示す情報ということになる。或いは、種別情報は、車両種別がバスであるか否かを示す1ビットのフラグであってもよい。
【0030】
メッセージは、車両10が緊急車両であるか否かを示す緊急車両情報を含んでもよい。緊急車両情報は、車両10が緊急走行中であるか否かを示す情報であってもよい。緊急車両情報は、車両10が緊急車両であるか否かを示す1ビットのフラグ又は車両10が緊急走行中であるか否かを示す1ビットのフラグであってもよい。
【0031】
メッセージは、車両10に設けられた方向指示器の状態を示す方向指示器情報を含んでもよい。方向指示器とは、車両用の保安部品の1つであり、右左折や進路変更の際に、その方向を周囲に示すための装置である。一般に、車両10は、右折するために右側の方向指示器を点滅させ、左折するために左側の方向指示器を点滅させる。方向指示器情報は、方向指示器が点滅しているか否かを示す情報、及び/又は左右どちらの方向指示器が点滅しているかを示す情報等を含んでもよい。
【0032】
メッセージは、車両10の走行予定の経路を示す経路情報を含む。経路情報は、車両10のカーナビゲーションシステムが案内する経路を示す情報であってもよい。車両10が自動運転中である場合、経路情報は、自動運転により走行予定の経路を示す情報であってもよい。経路情報は、車両10の出発地から到着地までの全経路を示す情報である必要はなく、直近の一定時間又は一定距離における走行予定の経路のみを示す情報であってもよい。
【0033】
制御部12は、メモリ及びCPUなどを有する制御回路によって構成される。制御部12は、少なくとも通信部11を制御する。制御部12は、車両10が一般道路120を走行している場合において、上述した情報を含む少なくとも1つのメッセージを送信するように通信部11を制御してもよい。
【0034】
実施形態において、メッセージは、ブロードキャストで送信されてもよい。このようなケースにおいて、メッセージは、宛先を特定する情報、及び/又は宛先を特定する情報を含んでいなくてもよい。
【0035】
(路側機)
図3は、実施形態に係る路側機40の構成を示す図である。
図3に示すように、路側機40は、通信部41及び制御部42を有する。
【0036】
路側機40の無線通信方式は、ARIB T109、3GPP(3rd GenerationPartnership Project)で定義されるV2X(Vehicle to Everything)、及び/又は無線LANなどの方式に準拠してもよい。路側機40は、これらの通信規格の全てに対応可能なオールインタイプであってもよい。
【0037】
通信部41は、無線通信モジュールによって構成される。通信部41は、キャリアセンスを行って電波の周波数(例えば、700MHz帯)の空き状態を判定する機能を有していなくてもよい。通信部41は、制御部42によって決定されたタイミングでパケットを送信する。1以上のパケットによって1つのメッセージが構成されてもよい。
【0038】
通信部41は、路車間通信を行ってもよい。パケットは、送信元の識別に用いる識別情報、路側機40に対する同期方法を示す同期情報、パケットの送信時刻、及び/又は路車間通信の期間を示す期間情報(例えば、路車間通信の転送回数、及び/又は路車間通信の期間長)などを含む。
【0039】
通信部41は、車両10から、当該車両10の種別を示す種別情報及び/又は当該車両10が緊急車両であるか否かを示す緊急車両情報を含む少なくとも1つのメッセージを受信する。
【0040】
また、通信部41は、車両10から、当該車両10に設けられた方向指示器の状態を示す方向指示器情報及び/又は当該車両10の走行予定の経路を示す経路情報を含む少なくとも1つのメッセージを受信する。
【0041】
制御部42は、メモリ及びCPUなどを有する制御回路によって構成される。制御部42は、少なくとも通信部41を制御する。制御部42は、車両10から受信した少なくとも1つのメッセージに基づいて、当該車両10が特定道路110を走行することが許可される所定車両であるか否か、及び当該車両10が特定道路110に進入しようとしているか否かを判定する。
【0042】
具体的には、制御部42は、車両10から受信した少なくとも1つのメッセージに含まれる種別情報及び/又は緊急車両情報に基づいて、当該車両10が特定道路110を走行することが許可される所定車両であるか否かを判定する。例えば、制御部42は、種別情報がバスを示す場合に、当該車両10が所定車両であると判定してもよい。制御部42は、緊急車両情報が緊急車両を示す場合に、当該車両10が所定車両であると判定してもよい。
【0043】
また、制御部42は、車両10から受信した少なくとも1つのメッセージに含まれる方向指示器情報及び/又は経路情報に基づいて、当該車両10が特定道路110に進入しようとしているか否かを判定する。例えば、制御部42は、方向指示器情報が特定道路110への右折又は左折を示す場合に、当該車両10が特定道路110に進入しようとしていると判定してもよい。制御部42は、経路情報が示す経路に特定道路110が含まれる場合に、当該車両10が特定道路110に進入しようとしていると判定してもよい。
【0044】
制御部42は、当該車両10が所定車両であり、且つ当該車両10が特定道路110に進入しようとしていると判定された場合に、当該車両10が特定道路110に進入することを許可するようゲート装置130を制御する。
【0045】
例えば、制御部42は、車両10が特定道路110に進入することを許可するように、ゲート装置130のゲートを開くことを指示する制御コマンドをゲート装置130に送信してもよい。このような通信は、有線で行われてもよく、無線で行われてもよい。
【0046】
制御部42は、車両10が特定道路110に進入することを許可するように、交通信号機140によって表示される信号の切替を制御してもよい。このようなケースにおいて、制御部42は、交通信号機140によって表示される信号の切替を指示する制御コマンドを交通信号機140に送信してもよい。このような通信は、有線で行われてもよく、無線で行われてもよい。
【0047】
(路車間通信)
図4は、実施形態に係る路車間通信期間を示す図である。
図4では、ARIB T109に基づく路車間通信期間を例示している。
【0048】
図4に示すように、路側機40及び車両10は、100ms周期での通信を基本とする。路側機40は、自身の送信情報として送信時刻及び路車間通信期間情報(転送回数・路車間通信期間長)を周囲の車両10に通知することにより、自身の送信時間を確保する。また、路側機40間では±16μs以下の同期精度を保つこととされている。
【0049】
車両10は、路側機40から受信した送信時刻に基づいて時刻同期し、路車間通信期間情報に基づいて自身の送信を停止することで、路側機40の送信期間以外のタイミングで送信を行う。
【0050】
100msの制御周期内において16μsを制御単位時間(ユニット)としており、制御周期は6250ユニットで構成される。1制御周期中に設定可能な路車間通信期間数の最大値は16であり、制御周期の先頭から390ユニット(6240μs)間隔で配置する。設定可能な路車間通信期間長の最大値は、189ユニット(3024μs)である。
【0051】
路側機40には、1制御周期中にある16の路車間通信期間のうち1つの路車間通信期間が割り当てられる。路側機40は、自身の路車間通信期間においてのみ無線信号を送信する。
【0052】
路側機40は、自身の路車間通信期間に関する情報を含む路車間通信期間情報を含む無線信号をブロードキャストする。車両10は、路車間通信期間情報に基づいて、路側機40が使用している路車間通信期間を把握し、路側機40が使用している路車間通信期間において無線信号を送信しないようにする。
【0053】
(動作例)
図5は、実施形態に係る交通通信システム100の動作例を示す図である。
【0054】
図5に示すように、一般道路120に対して特定道路110が交わるT字路において、特定道路110への入り口にゲート装置130(ゲート)が設けられている。また、T字路の路側には、ゲート装置130を制御する路側機40が設けられている。
【0055】
路側機40は、一般道路120に沿った方向に指向性パターンを有するアンテナを備える。路側機40は、一般道路120における特定道路110への分岐点の手前の領域に指向性を向けることにより当該領域を自身の通信エリアとしており、当該通信エリア内の車両10との通信を行う。車両10は、一般道路120の左側車線を走行しており、特定道路110への分岐点に差し掛かっている。車両10は、路側機40の通信エリア内において、路側機40に対して少なくとも1つのメッセージを送信する。
【0056】
このような状況下において、路側機40は、車両10から受信した少なくとも1つのメッセージに基づいて、車両10がバス又は緊急車両であり、且つ、車両10が一般道路120から特定道路110へ左折しようとしていると判定した場合に、ゲート装置130のゲートを開く。これにより、路側機40は、車両10が特定道路110に進入することを許可する。路側機40は、ゲート装置130のゲートを開いた後、センサ等により車両10がゲートを通過したことを検知した場合に、ゲート装置130のゲートを閉じる。
【0057】
(動作フロー)
図6は、実施形態に係る路側機40の動作フロー例を示す図である。
【0058】
図6に示すように、ステップS101において、通信部41は、車両10から、当該車両10の種別を示す種別情報及び/又は当該車両10が緊急車両であるか否かを示す緊急車両情報を含む少なくとも1つのメッセージを受信する。また、通信部41は、車両10から、当該車両10に設けられた方向指示器の状態を示す方向指示器情報及び/又は当該車両10の走行予定の経路を示す経路情報を含む少なくとも1つのメッセージを受信する。
【0059】
ステップS102において、制御部42は、車両10から受信した少なくとも1つのメッセージに含まれる種別情報及び/又は緊急車両情報に基づいて、当該車両10が特定道路110を走行することが許可される所定車両であるか否かを判定する。当該車両10が所定車両でないと判定された場合(ステップS102:NO)、ステップS105において、制御部42は、ゲート装置130のゲートを開かない。
【0060】
当該車両10が所定車両であると判定された場合(ステップS102:YES)、ステップS103において、制御部42は、当該車両10から受信した少なくとも1つのメッセージに含まれる方向指示器情報及び/又は経路情報に基づいて、当該車両10が特定道路110に進入しようとしているか否かを判定する。当該車両10が特定道路110に進入しようとしていると判定されない場合(ステップS103:NO)、ステップS105において、制御部42は、ゲート装置130のゲートを開かない。
【0061】
当該車両10が特定道路110に進入しようとしていると判定された場合(ステップS103:YES)、ステップS104において、制御部42は、ゲート装置130のゲートを開くように制御する。
【0062】
なお、ステップS102及びステップS103の順序は逆であってもよい。
【0063】
このように、本実施形態によれば、所定車両が特定道路110だけではなく一般道路120を走行する場合であっても、一般道路120及び特定道路110が交わる交差点に設けられる交通安全装置を適切に制御することにより、一般道路120を走行する所定車両を特定道路110に進入させることができる。
【0064】
(その他の実施形態)
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0065】
実施形態において、交通安全装置がゲート装置又は交通信号機である一例について説明した。しかしながら、交通安全装置は、各種の指示を無線で車両10に送信する無線機であってもよい。そのような交通安全装置(無線機)は、車両10の通行の可否を指示する信号(言い換えると、特定道路110への車両10の進行/停止の指示信号)を車両10に送信する。また、そのような交通安全装置(無線機)は、路側機40と一体に構成されてもよい。
【0066】
実施形態では特に触れていないが、路側機40は、他の路側機と通信を行ってもよい(路路間通信)。
【0067】
実施形態では、車両10A及び路側機40を中心に説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。車両及び路側機40の少なくともいずれか1つに設けられる通信装置が提供されてもよい。通信装置は、通信部11の機能又は通信部41の機能を有する。
【0068】
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0069】
本願は、日本国特許出願第2018-160441号(2018年8月29日出願)の優先権を主張し、その内容の全てが本願明細書に組み込まれている。