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特許7167178車載装置、車両、切断検知方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】車載装置、車両、切断検知方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/007 20060101AFI20221031BHJP
【FI】
G01M17/007 K
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020550987
(86)(22)【出願日】2018-10-02
(86)【国際出願番号】 JP2018036886
(87)【国際公開番号】W WO2020070803
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-04-02
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】竹内 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】坂井 康彦
(72)【発明者】
【氏名】中本 大道
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-254258(JP,A)
【文献】特開2006-298194(JP,A)
【文献】特開2003-112606(JP,A)
【文献】特開2004-322850(JP,A)
【文献】特開2003-132441(JP,A)
【文献】特開2009-169869(JP,A)
【文献】特開2008-077483(JP,A)
【文献】特開2007-276573(JP,A)
【文献】特開2006-117131(JP,A)
【文献】特開平06-199222(JP,A)
【文献】特開2015-047912(JP,A)
【文献】特開2010-242446(JP,A)
【文献】特開2010-285122(JP,A)
【文献】特開2007-133828(JP,A)
【文献】特開2017-072493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、起動中に当該車両の走行に係る情報を含むプローブ情報を取得して、前記プローブ情報に基づいて前記車両の課金エリアの走行に対する課金処理を実行するセンターサーバへ送信する車載装置であって、
CPUと、
前記車両の動きを検知可能な検知センサと、
前記車両から起動信号が入力される入力線の切断の有無を検知する切断検知部と、
前記車両のバッテリと電源線を介して接続され、前記起動信号が入力された場合に前記バッテリから前記CPUへの給電を開始して前記車載装置を起動し、前記起動信号が入力されていない場合に前記バッテリから前記CPUへの給電を停止して前記車載装置を停止させるとともに、前記車載装置が起動しているか停止しているかに関わらず、前記バッテリから前記検知センサ及び前記切断検知部に常に給電を行う電源制御部と、
を備え、
前記切断検知部は、
前記起動信号が前記入力線を介して入力されているか否かを判定する起動判定部と、
前記検知センサから受け付ける検知信号に基づいて、前記車両が動いているか否かを判定する動作判定部と、
前記起動信号が入力されていないと判定され、且つ、前記車両が動いていると判定された場合、前記入力線が切断されていると判断する判断部と、
を備える車載装置。
【請求項2】
前記判断部は、前記入力線が切断されていると判断した場合、当該入力線の切断を示す情報を記憶部に記憶する、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記切断検知部は、前記入力線が切断されていると判断された場合、当該入力線の切断を示す情報と、前記車両を特定可能な識別情報とを関連付けて通知する通知処理部を更に備える、
請求項1又は2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記検知センサとして、衛星から受信した信号に基づいて前記車両の位置を特定し、前記検知信号として出力する衛星信号受信部を更に備え、
前記動作判定部は、時系列に連続する前記検知信号を比較して、当該車両が動いているか否かを判定する、
請求項1から3の何れか一項に記載の車載装置。
【請求項5】
前記検知センサとして、前記車両の角速度を計測し、前記検知信号として出力するジャイロセンサを更に備え、
前記動作判定部は、時系列に連続する前記検知信号を比較して、当該車両が動いているか否かを判定する、
請求項1から3の何れか一項に記載の車載装置。
【請求項6】
前記検知センサとして、前記車両の加速度を計測し、前記検知信号として出力する加速度センサを更に備え、
前記動作判定部は、時系列に連続する前記検知信号を比較して、当該車両が動いているか否かを判定する、
請求項1から3の何れか一項に記載の車載装置。
【請求項7】
前記検知センサとして、基地局を介して広帯域通信を行い、前記基地局を識別可能な基地局IDを前記検知信号として出力する広帯域通信部を更に備え、
前記動作判定部は、時系列に連続する前記検知信号を比較して、当該車両が動いているか否かを判定する、
請求項1から3の何れか一項に記載の車載装置。
【請求項8】
前記車両に設けられた検知センサから出力され、当該車両の速度、加速度、角速度、及びステアリング角度のうち少なくとも一つを含む検知信号を受信する検知信号取得部を更に備え、
前記動作判定部は、時系列に連続する前記検知信号を比較して、当該車両が動いているか否かを判定する、
請求項1から3の何れか一項に記載の車載装置。
【請求項9】
請求項1から8の何れか一項に記載の車載装置を備える車両。
【請求項10】
CPUと、
車両の動きを検知可能な検知センサと、
前記車両から起動信号が入力される入力線の切断の有無を検知する切断検知部と、
前記車両のバッテリと電源線を介して接続され、前記起動信号が入力された場合に前記バッテリから前記CPUへの給電を開始して車載装置を起動し、前記起動信号が入力されていない場合に前記バッテリから前記CPUへの給電を停止して前記車載装置を停止させるとともに、前記車載装置が起動しているか停止しているかに関わらず、前記バッテリから前記検知センサ及び前記切断検知部に常に給電を行う電源制御部と、
を備え、、起動中に当該車両の走行に係る情報を含むプローブ情報を取得して、前記プローブ情報に基づいて前記車両の課金エリアの走行に対する課金処理を実行するセンターサーバへ送信する車載装置の前記入力線の切断の有無を検知する切断検知方法であって、
前記起動信号が前記入力線を介して入力されているか否かを判定する起動判定ステップと、
前記検知センサから受け付ける検知信号に基づいて、前記車両が動いているか否かを判定する動作判定ステップと、
前記起動信号が入力されていないと判定され、且つ、前記車両が動いていると判定された場合、前記入力線が切断されていると判断する判断ステップと、
を有する切断検知方法。
【請求項11】
CPUと、
車両の動きを検知可能な検知センサと、
前記車両から起動信号が入力される入力線の切断の有無を検知する切断検知部と、
前記車両のバッテリと電源線を介して接続され、前記起動信号が入力された場合に前記バッテリから前記CPUへの給電を開始して車載装置を起動し、前記起動信号が入力されていない場合に前記バッテリから前記CPUへの給電を停止して前記車載装置を停止させるとともに、前記車載装置が起動しているか停止しているかに関わらず、前記バッテリから前記検知センサ及び前記切断検知部に常に給電を行う電源制御部と、
を備え、、起動中に当該車両の走行に係る情報を含むプローブ情報を取得して、前記プローブ情報に基づいて前記車両の課金エリアの走行に対する課金処理を実行するセンターサーバへ送信する車載装置のコンピュータを機能させるプログラムであって、前記コンピュータに、
前記起動信号が前記入力線を介して入力されているか否かを判定する起動判定ステップと、
前記検知センサから受け付ける検知信号に基づいて、前記車両が動いているか否かを判定する動作判定ステップと、
前記起動信号が入力されていないと判定され、且つ、前記車両が動いていると判定された場合、前記入力線が切断されていると判断する判断ステップと、
を実行させるプログラム。
【請求項12】
前記電源制御部は、前記起動信号が入力されていないと判定され、且つ、前記車両が動いていると判定された場合、前記バッテリから前記CPUへの給電を開始して前記車載装置を起動する、
請求項1から8の何れか一項に記載の車載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置、車両、切断検知方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載された車載装置により、車両の走行位置、速度、加速度等の走行に係る情報を含むプローブ情報を取得する技術が知られている。
【0003】
車載装置が取得したプローブ情報は、センターサーバ等で収集されて様々な目的のために使用される。
例えば、特許文献1には、センターサーバが収集したプローブ情報に基づいて、車両が課金エリア(課金対象となる領域又は道路)を走行したか否かを判断して課金を行う課金システムが記載されている。
また、他の例として、センターサーバが収集したプローブ情報に基づいて、車両の急発進、急ブレーキ、速度超過等を検出し、車両の運転者が安全運転又はエコ運転(環境に配慮した運転)を行ったか否かを評価する運転評価システムが考えられている。更に、センターサーバがタクシーに搭載された車載装置から収集したプローブ情報に基づいて、タクシーの走行経路、走行距離、走行時間、料金等を集計して業務管理を行うシステムが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-198571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車載装置は、車両の起動信号(例えばイグニッション(IGCT)スイッチのONを示す信号)の入力を受け付けると起動され、プローブ情報を取得してセンターサーバへ送信する処理を継続して実行する。また、車両の停止信号(例えばIGCTスイッチのOFFを示す信号)の入力を受け付けるとプローブ情報の取得及び送信処理を含む各種処理を終了し、非起動状態となる。
【0006】
しかしながら、車載装置に車両の起動信号を入力するための入力線が故障により断線した場合、又は不正行為により接続されていない場合、車両が起動信号を出力しても車載装置は起動されなくなる。そうすると、例えば車両が課金エリアを走行した場合あっても、センターサーバは当該車両の車載装置からプローブ情報を収集できないので、当該車両に正しく課金できない可能性がある。また、同様に、車両が走行中に車載装置が起動していない期間があると、センターサーバは、プローブ情報に基づく運転評価、タクシーの業務管理等の様々な処理を正しく行うことができない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用している。
本発明の第1の態様によれば、車載装置(20)は、車両(10)の起動信号が入力線(L1)を介して入力されているか否かを判定する起動判定部(210)と、前記車両(10)の動きを検知可能な検知センサから受け付ける検知信号に基づいて、前記車両が動いているか否かを判定する動作判定部(211)と、前記起動信号が入力されていないと判定され、且つ、前記車両(10)が動いていると判定された場合、前記入力線(L1)が切断されていると判断する判断部(212)と、を備える。
このようにすることで、車載装置は、入力線に断線、接触不良等の故障が生じていること、又は、不正行為により入力線が車載装置に接続されていないことを検知することができる。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様に係る車載装置(20)において、前記判断部(212)は、前記入力線(L1)が切断されていると判断した場合、当該入力線(L1)の切断を示す情報を記憶部(25)に記憶する。
このように、入力線が切断されたことが記憶されることにより、ユーザ(車両の運転者等)が故意に入力線を切断する等の不正行為を行うことを抑制することができる。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、第1又は第2の態様に係る車載装置(20)は、前記入力線(L1)が切断されていると判断された場合、当該入力線(L1)の切断を示す情報と、前記車両(10)を特定可能な識別情報とを関連付けて通知する通知処理部(213)を更に備える。
このようにするとこで、車載装置は、入力線が切断されたことを通知することにより、ユーザ等に故障による入力線の切断を認識させることができるとともに、ユーザが故意に入力線を切断する等の不正行為を行うことを抑制することができる。
【0010】
本発明の第4の態様によれば、第1から第3の何れか一の態様に係る車載装置(20)は、前記検知センサとして、衛星から受信した信号に基づいて前記車両(10)の位置を特定し、前記検知信号として出力する衛星信号受信部(23)を更に備え、前記動作判定部(211)は、時系列に連続する前記検知信号を比較して、当該車両(10)が動いているか否かを判定する。
このようにすることで、動作判定部は、衛星から受信した信号に基づいて、車両が動いているか否かを判定することができる。
【0011】
本発明の第5の態様によれば、第1から第3の何れか一の態様に係る車載装置(20)は、前記検知センサとして、前記車両(10)の角速度を計測し、前記検知信号として出力するジャイロセンサ(27)を更に備え、前記動作判定部(211)は、時系列に連続する前記検知信号を比較して、当該車両(10)が動いているか否かを判定する。
このようにすることで、動作判定部は、ジャイロセンサにより計測された角速度に基づいて、車両が動いているか否かを判定することができる。
【0012】
本発明の第6の態様によれば、第1から第3の何れか一の態様に係る車載装置(20)は、前記検知センサとして、前記車両(10)の加速度を計測し、前記検知信号として出力する加速度センサ(28)を更に備え、前記動作判定部(211)は、時系列に連続する前記検知信号を比較して、当該車両(10)が動いているか否かを判定する。
このようにすることで、動作判定部は、加速度センサにより計測された加速度に基づいて、車両が動いているか否かを判定することができる。
【0013】
本発明の第7の態様によれば、第1から第3の何れか一の態様に係る車載装置(20)は、前記検知センサとして、基地局を介して広帯域通信を行い、前記基地局を識別可能な基地局IDを前記検知信号として出力する広帯域通信部(24)を更に備え、前記動作判定部(211)は、時系列に連続する前記検知信号に基づいて、前記基地局IDが変化した場合、当該車両(10)が動いていると判定する。
このようにすることで、動作判定部は、広帯域通信部が取得した基地局IDに基づいて、車両が動いているか否かを判定することができる。
【0014】
本発明の第8の態様によれば、第1から第3の何れか一の態様に係る車載装置(20)は、前記車両(10)に設けられた検知センサ(13)から出力され、当該車両(10)の走行距離、イグニッション状態、速度、加速度、角速度、及びステアリング角度のうち少なくとも一つを含む検知信号を受信する検知信号取得部(29)を更に備え、前記動作判定部(211)は、時系列に連続する前記検知信号を比較して、当該車両(10)が動いているか否かを判定する。
このようにすることで、動作判定部は、車両に予め設けられている検知センサから出力された検知信号に基づいて、車両が動いているか否かを判定することができる。
【0015】
本発明の第9の態様によれば、車両(10)は、当該車両(10)の起動信号が入力線(L1)を介して入力されているか否かを判定する起動判定部(210)と、前記車両(10)の動きを検知可能な検知センサから受け付ける検知信号に基づいて、前記車両(10)が動いているか否かを判定する動作判定部(211)と、前記起動信号が入力されていないと判定され、且つ、前記車両(10)が動いていると判定された場合、前記入力線(L1)が切断されていると判断する判断部(212)と、を備える。
【0016】
本発明の第10の態様によれば、切断検知方法は、車両(10)の起動信号が入力線(L1)を介して入力されているか否かを判定する起動判定ステップと、前記車両(10)の動きを検知可能な検知センサから受け付ける検知信号に基づいて、前記車両(10)が動いているか否かを判定する動作判定ステップと、前記起動信号が入力されていないと判定され、且つ、前記車両が動いていると判定された場合、前記入力線(L1)が切断されていると判断する判断ステップと、を有する。
【0017】
本発明の第11の態様によれば、車両に搭載される車載装置(20)のコンピュータを機能させるプログラムであって、当該プログラムは、前記コンピュータに、車両(10)の起動信号が入力線(L1)を介して入力されているか否かを判定する起動判定ステップと、前記車両(10)の動きを検知可能な検知センサから受け付ける検知信号に基づいて、前記車両(10)が動いているか否かを判定する動作判定ステップと、前記起動信号が入力されていないと判定され、且つ、前記車両(10)が動いていると判定された場合、前記入力線(L1)が切断されていると判断する判断ステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0018】
上述の車載装置、車両、切断検知方法、及びプログラムによれば、車両の起動信号を入力するための入力線の切断を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施形態に係る切断検知システムの概略を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る切断検知システムの機能構成を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る切断検知システムの処理の一例を示す第1のフローチャートである。
図4】本発明の第1の実施形態に係る切断検知システムの処理の一例を示す第2のフローチャートである。
図5】本発明の第1の実施形態に係る切断検知情報の一例を示す図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る切断検知システムの機能構成を示す図である。
図7】本発明の第3の実施形態に係る切断検知システムの機能構成を示す図である。
図8】本発明の第4の実施形態に係る切断検知システムの機能構成を示す図である。
図9】本発明の第5の実施形態に係る切断検知システムの機能構成を示す図である。
図10】本発明の少なくとも一つの実施形態に係る車載装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態に係る切断検知システム1について、図1図5を参照しながら説明する。
【0021】
(全体構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る切断検知システムの概略を示す図である。
図1に示すように、切断検知システム1は、車両10と、車両10に搭載される車載装置20と、センターサーバ30とを備えている。
なお、図1の例では、車両10とセンターサーバ30が一台ずつ示されているが、これに限られることはない。切断検知システム1は、複数の車両10と複数のセンターサーバ30とを備える態様であってもよい。
【0022】
車両10は、イグニッション(IGCT)スイッチ11と、バッテリ12とを有している。
ICGTスイッチ11は、運転者によりON操作が行われるとイグニッション信号を「ON」にする。また、IGCTスイッチ11は、運転者によりOFF操作が行われると、イグニッション信号を「OFF」にする。なお、イグニッション信号は、入力線L1を介して車載装置20に入力される。
バッテリ12は、電源線L2を介して車載装置20に接続され、車載装置20が動作するための電力を供給する。
【0023】
車載装置20は、ICGTスイッチ11から入力線L1を介して入力されたイグニッション信号に基づいて、起動又は停止(スリープ)を行う。
本実施形態では、車載装置20は、イグニッション信号が「ON」のとき、起動信号が入力されたと判断して起動する。一方、車載装置20は、イグニッション信号が「OFF」のとき、起動信号が入力されていないと判断して停止(スリープ)する。
また、車載装置20は、起動中、車両10の走行に係る情報を含むプローブ情報を取得してセンターサーバ30に送信する。プローブ情報には、例えば、車両10を特定可能な識別情報、車両10の走行位置(緯度、経度)、速度、進行方向、加速度、角速度等が含まれる。車両10を特定可能な識別情報とは、例えば、車両10のナンバープレート情報(分類番号、車両番号等)、車両10に搭載された車載装置20の車載装置ID等である。
【0024】
センターサーバ30は、広帯域通信ネットワークNWを介して車載装置20からプローブ情報を収集し、プローブ情報に基づく各種処理を実行する。
本実施形態では、例えば、センターサーバ30は、プローブ情報に基づいて課金エリアを走行した車両10に課金する課金処理を実行するものとする。具体的には、センターサーバ30は、プローブ情報に含まれる車両10の走行位置と、課金エリアとして設定されている領域又は道路を特定可能な地図情報とに基づいて、車両10が課金エリアを走行したか否かを判断する。そして、センターサーバ30は、課金エリアを走行した車両10に対し、所定の利用料金を課金する。
【0025】
(機能構成)
図2は、本発明の第1の実施形態に係る切断検知システムの機能構成を示す図である。
図2に示すように、車載装置20は、切断検知部21と、電源制御部22と、衛星信号受信部23と、広帯域通信部24と、記憶部25と、CPU26と、を有している。
【0026】
切断検知部21は、車両10のIGCTスイッチ11から起動信号(イグニッション信号=ON)が入力される入力線L1の切断の有無を検知する。
切断検知部21は、起動判定部210と、動作判定部211と、判断部212と、通知処理部213とを有している。
【0027】
起動判定部210は、車両10の起動信号が車載装置20に入力されているか否かを判定する。
【0028】
動作判定部211は、車両10の動きを検知可能な検知センサから受け付ける検知信号に基づいて、車両10が動いているか否かを判定する。
【0029】
判断部212は、起動判定部210により起動信号が入力されていないと判定され、且つ、動作判定部211により車両10が動いていると判定された場合、入力線L1が切断されていると判断する。また、判断部212は、入力線L1が切断されていると判断した場合、当該入力線L1の切断を示す情報(切断ログ)を記憶部25に記憶する。切断ログには、例えば切断を検知した日時、検知内容(「入力線L1の切断」を示す情報)等が含まれる。
【0030】
通知処理部213は、入力線L1が切断されていると判断された場合、当該入力線L1の切断を示す情報(切断ログ)と、車両10を特定可能な識別情報とを関連付けた「切断検知情報D1(図5)」をセンターサーバ30に通知する。
【0031】
電源制御部22は、車両10のIGCTスイッチ11より入力されるイグニッション信号に基づいて、車載装置20の電源ON及び電源OFFの制御を行う。
具体的には、電源制御部22は、起動信号(イグニッション信号=ON)が入力されると、車両10のバッテリ12からCPU26に給電を開始させて車載装置20の電源をONにする。
また、電源制御部22は、車両10のIGCTスイッチ11より起動信号が入力されなくなった(イグニッション信号=OFF)場合、CPU26への給電を停止させて車載装置20の電源をOFFにする。
なお、電源制御部22は、入力線L1の切断の有無を検知するために必要な構成要素に対しては、常にバッテリ12より必要最低限の電力を供給する。本実施形態では、電源制御部22は、車載装置20の電源OFF時には、例えば切断検知部21、検知センサ(衛星信号受信部23)、及び広帯域通信部24に対し必要最低限の電力を供給し、他の構成要素には電力を供給しないものとする。
【0032】
衛星信号受信部23は、GNSS(全地球航行衛星システム:Global Navigation Satellite System)を構成する衛星から、車両10の位置情報(緯度、経度)を検出可能な衛星信号を受信する。衛星信号には、現在の日時を検出可能な信号が含まれていてもよい。
また、本実施形態では、衛星信号受信部23は、車両10の動きを検知可能な検知センサとして機能する。そして、衛星信号受信部23は、衛星信号に基づき特定した車両10の位置情報を、検知信号として切断検知部21に出力する。
【0033】
広帯域通信部24は、データ通信端末(携帯電話等)の基地局を用いて遠隔地に存在する各種機器間を接続する広帯域通信ネットワークNWを経由してセンターサーバ30と通信を行う。
【0034】
記憶部25は、不揮発性記憶装置であり、プローブ情報、入力線L1の切断ログ等が記憶される。また、記憶部25には、CPU26により実行される各種プログラム等が予め記憶されている。
【0035】
CPU26は、車載装置20の全体の動作を司る演算処理装置である。CPU26は、電源制御部22を介して電力が供給されると起動され、記憶部25に記憶されたプログラムに従って、各種機能を実行する。
なお、本実施形態では、CPU26は、予め記憶されたプログラムに従い、プローブ情報を取得してセンターサーバ30に送信する処理を実行するものとする。
【0036】
(処理フロー)
図3は、本発明の第1の実施形態に係る切断検知システムの処理の一例を示す第1のフローチャートである。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る切断検知システムの処理の一例を示す第2のフローチャートである。
以下、図3図4を参照して、車載装置20の切断検知部21が入力線L1の切断の有無を検知する処理の一例について説明する。
まず、判断部212は、入力線L1の切断の有無を監視する前に、入力線L1の切断検知フラグを初期化(FLAG=0)する(ステップS10)。例えば、判断部212は、車載装置20の電源OFF時に切断検知フラグを初期化する。
【0037】
次に、判断部212は、入力線L1の切断の有無を監視する監視ループを開始する(ステップS11)。この監視ループにおいて、起動判定部210は、IGCTスイッチ11からの起動信号の入力の有無を常時監視する。そして、判断部212は、起動判定部210により起動信号が入力されていないと判断され、且つ、切断検知フラグが初期状態(FLAG=0)である間、以下のステップS12~S14を繰り返し実行する。
【0038】
動作判定部211は、検知センサから所定の間隔(例えば10分)おきに検知信号を取得する(ステップS12)。
本実施形態では、動作判定部211は、衛星信号受信部23から車両10の位置情報を検知信号として取得する。
【0039】
次に、動作判定部211は、時系列に連続する位置情報に基づいて、車両10が動いているか否かを判定する(ステップS13)。
具体的には、動作判定部211は、ステップS12において取得した最新の位置情報と、前回取得した位置情報とを比較する。そして、動作判定部211は、車両10の位置が所定距離(例えば10m)以上変化した場合、車両10が動いていると判定する(ステップS13:YES)。一方、動作判定部211は、車両10の位置が所定距離以上変化していない場合、車両10が動いていないと判定する(ステップS13:NO)。
【0040】
次に、判断部212は、動作判定部211により車両10が動いていると判定された場合(ステップS13:YES)、入力線L1が切断されていると判断して、切断検知フラグをON(FLAG=1)にする(ステップS14)。
【0041】
また、判断部212は、動作判定部211により車両10が動いていないと判定された場合(ステップS13:NO)、処理を行わずに待機する。
【0042】
次に、判断部212は監視ループの終了条件チェックを行う(ステップS15)。判断部212は、起動信号が入力された場合、又は、切断検知フラグがON(FLAG=1)になった場合、監視ループを抜け、図4の処理に進む。一方、判断部212は、起動信号が入力されておらず、且つ、切断検知フラグがOFF(FLAG=0)のままである場合、ステップS12に戻り、上述の各ステップを繰り返し実行する。
【0043】
次に、判断部212は、監視ループを抜けた後、入力線L1の切断が検知された(FLAG=1)場合(ステップS16:YES)、当該入力線L1の切断を示す切断ログを記憶部25に記憶する(ステップS17)。
【0044】
また、通知処理部213は、入力線L1の切断が検知された(FLAG=1)場合(ステップS16:YES)、当該入力線L1の切断を示す情報(切断ログ)と、車両10を特定可能な識別情報とを関連付けた「切断検知情報D1(図5)」をセンターサーバ30に通知する(ステップS18)。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る切断検知情報の一例を示す図である。
図5に示すように、切断検知情報D1は、「識別情報」と、入力線L1の切断を検知した「検知日時」と、「検知内容」とを含む。識別情報は、車両10を特定可能であればどのような情報でもよく、例えば、車両10のナンバープレート情報(分類番号、車両番号等)、車両10に搭載された車載装置20の車載装置ID等である。また、「検知内容」は、「入力線L1の切断」を示す情報であり、テキスト情報であってもよいし、予めセンターサーバ30との間で規定されたエラーコードであってもよい。
【0045】
また、図4の説明に戻って、入力線L1の切断が検知されていない(FLAG=0)場合(ステップS16:NO)、IGCTスイッチ11から起動信号が入力されているため、電源制御部22により車載装置20の電源がONされる(ステップS19)。
【0046】
車載装置20は、電源OFFされる度に図3図4に示される処理を繰り返し実行、入力線L1の切断の有無を監視する。
なお、図4の例では、通知処理部213は、入力線L1の切断を検知する度にセンターサーバ30に切断検知情報D1を通知するが、これに限られることはない。他の実施形態では、通知処理部213は、所定の時間(例えば1日)が経過したタイミング、又は、車載装置20が電源ONされたタイミングで、記憶部25に切断ログが記憶されている場合、センターサーバ30に切断検知情報D1を通知するようにしてもよい。このとき、記憶部25に複数の切断ログが記憶されている場合、通知処理部213は、複数の切断ログを含む切断検知情報D1を作成してセンターサーバ30に通知してもよい。
【0047】
センターサーバ30には、車両10それぞれから通知された切断検知情報D1が記憶される。
例えば課金システムの管理者は、センターサーバ30に記憶された切断検知情報D1を参照することにより、故障又は不正行為により入力線L1が切断されている車両10を特定し、当該車両10のユーザに警告、ペナルティを与えるようにしてもよい。
また、センターサーバ30が定期的(例えば1ヶ月毎)に切断検知情報D1を確認し、入力線L1が切断されている車両10に対して警告、ペナルティを与える処理を自動的に実行するようにしてもよい。このようにすることで、センターサーバ30は、ユーザの不正行為等を取り締まることができる。
【0048】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る車載装置20は、車両10の起動信号が入力線L1を介して入力されているか否かを判定する起動判定部210と、車両10の動きを検知可能な衛星信号受信部23(検知センサ)から受け付ける位置情報(検知信号)に基づいて、車両10が動いているか否かを判定する動作判定部211と、起動信号が入力されていないと判定され、且つ、車両10が動いていると判定された場合、入力線L1が切断されていると判断する判断部212と、を備える。
このようにすることで、車載装置20は、入力線L1に断線、接触不良等の故障が生じていること、又は、不正行為により入力線L1が車載装置20に接続されていないことを検知することができる。
【0049】
また、判断部212は、入力線L1が切断されていると判断した場合、当該入力線L1の切断を示す情報である切断ログを記憶部25に記憶する。
このように、入力線L1が切断されたことが記憶されることにより、ユーザ(車両の運転者等)が故意に入力線L1を切断する等の不正行為を行うことを抑制することができる。
【0050】
また、車載装置20は、入力線L1が切断されていると判断された場合、当該入力線L1の切断を示す情報である切断ログと、前記車両10を特定可能な識別情報とを関連付けた切断検知情報D1を通知する通知処理部213を更に備える。
このようにするとこで、車載装置20は、入力線L1が切断されたことを通知することにより、ユーザ等に故障による入力線L1の切断を認識させることができるとともに、ユーザが故意に入力線L1を切断する等の不正行為を行うことを抑制することができる。
また、車載装置20の通知処理部213は、記憶部25に記憶された切断ログを参照し、所定のタイミングで切断検知情報D1を通知するようにしてもよい。これにより、課金システムの管理者等は、過去に当該車載装置20において入力線L1が切断されたか否かを認識することができる。
【0051】
また、車載装置20は、検知センサとして、衛星から受信した信号に基づいて車両10の位置を特定し、位置情報(検知信号)として出力する衛星信号受信部23を更に備え、動作判定部211は、時系列に連続する位置情報を比較して、当該車両10が動いているか否かを判定する。
このようにすることで、動作判定部211は、衛星から受信した信号に基づいて、車両10が動いているか否かを判定することができる。
また、動作判定部211は、車両10の位置が所定距離以上変化した場合、当該車両10が動いていると判定してもよい。これにより、動作判定部211は、センサ誤差により車両10が動いていると誤判定してしまうことを抑制できる。
【0052】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係る切断検知システム1について図6を参照しながら説明する。
第1の実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0053】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る切断検知システムの機能構成を示す図である。
図6に示すように、本実施形態に係る車載装置20は、ジャイロセンサ27を更に有している。
【0054】
ジャイロセンサ27は、車両10の角速度を計測する。また、本実施形態では、ジャイロセンサ27は車両10の動き(進行方向等の傾きの変化)を検知可能な検知センサとして機能する。そして、ジャイロセンサ27は、計測した角速度を検知信号として切断検知部21に出力する。
【0055】
本実施形態に係る切断検知部21の動作判定部211は、入力線L1の監視ループ(図3)において、検知センサであるジャイロセンサ27から角速度を検知信号として取得する(図3のステップS12)。
そして、動作判定部211は、ジャイロセンサ27から取得した最新の角速度と、前回取得した角速度とを比較して、角速度が所定の閾値以上変化した場合、車両10の傾きが変化している、即ち、車両10が動いていると判定する(ステップS13:YES)。一方、動作判定部211は、角速度が所定の閾値以上変化していない場合、車両10の傾きが変化していないと判定する(ステップS13:NO)。
【0056】
以上のように、本実施形態に係る車載装置20は、検知センサとして、車両10の角速度を計測し、検知信号として出力するジャイロセンサ27を更に備え、動作判定部211は、時系列に連続する検知信号が示す角速度を比較して、当該車両10が動いているか否かを判定する。
このようにすることで、動作判定部211は、ジャイロセンサ27により計測された角速度に基づいて、車両10が動いているか否かを判定することができる。
また、動作判定部211は、車両10の傾きが所定の閾値以上変化した場合、当該車両10が動いていると判定してもよい。これにより、動作判定部211は、センサ誤差により車両10が動いていると誤判定してしまうことを抑制できる。
【0057】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態に係る切断検知システム1について図7を参照しながら説明する。
上述の各実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0058】
図7は、本発明の第3の実施形態に係る切断検知システムの機能構成を示す図である。
図7に示すように、本実施形態に係る車載装置20は、加速度センサ28を更に有している。
【0059】
加速度センサ28は、車両10の加速度を計測する。また、本実施形態では、加速度センサ28は車両10の動き(運動の変化)を検知可能な検知センサとして機能する。そして、加速度センサ28は、計測した加速度を検知信号として切断検知部21に出力する。
【0060】
本実施形態に係る切断検知部21の動作判定部211は、入力線L1の監視ループ(図3)において、検知センサである加速度センサ28から加速度を検知信号として取得する(図3のステップS12)。
そして、動作判定部211は、加速度センサ28から取得した最新の加速度と、前回取得した加速度とを比較して、加速度が所定の閾値以上変化した場合、車両10が動いていると判定する(ステップS13:YES)。一方、動作判定部211は、加速度が所定の閾値以上変化していない場合、車両10が動いていないと判定する(ステップS13:NO)。
【0061】
以上のように、本実施形態に係る車載装置20は、検知センサとして、車両10の加速度を計測し、検知信号として出力する加速度センサ28を更に備え、動作判定部211は、時系列に連続する検知信号が示す加速度を比較して、当該車両10が動いているか否かを判定する。
このようにすることで、動作判定部211は、加速度センサ28により計測された加速度に基づいて、車両10が動いているか否かを判定することができる。
また、動作判定部211は、車両10の加速度が所定の閾値以上変化した場合、当該車両10が動いていると判定してもよい。これにより、動作判定部211は、センサ誤差により車両10が動いていると誤判定してしまうことを抑制できる。
【0062】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態に係る切断検知システム1について図8を参照しながら説明する。
上述の各実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0063】
図8は、本発明の第4の実施形態に係る切断検知システムの機能構成を示す図である。
図8に示すように、本実施形態に係る車載装置20は、広帯域通信部24を検知センサとして用いる。
広帯域通信部24は、複数の基地局のうち、車両10の位置に応じて何れか一の基地局と通信を行うことにより、遠隔地に存在するセンターサーバ30と接続される。複数の基地局それぞれには、基地局を一意に識別可能な基地局IDが付与されている。本実施形態に係る広帯域通信部24は、基地局と通信を行う際に、当該基地局の基地局IDを取得する。
【0064】
本実施形態に係る切断検知部21の動作判定部211は、入力線L1の監視ループ(図3)において、検知センサである広帯域通信部24から基地局IDを検知信号として取得する(図3のステップS12)。
そして、動作判定部211は、広帯域通信部24から取得した最新の基地局IDと、前回取得した基地局IDとを比較して、基地局IDが変化した場合、車両10が動いていると判定する(ステップS13:YES)。一方、動作判定部211は、基地局IDが変化していない場合、車両10が動いていないと判定する(ステップS13:NO)。
【0065】
以上のように、本実施形態に係る車載装置20は、検知センサとして、基地局を介して広帯域通信を行い、基地局を識別可能な基地局IDを検知信号として出力する広帯域通信部24を備え、動作判定部211は、時系列に連続する検知信号に基づいて、基地局IDが変化した場合、当該車両10が動いていると判定する。
このようにすることで、動作判定部211は、広帯域通信部24が取得した基地局IDに基づいて、車両10が動いているか否かを判定することができる。
【0066】
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態に係る切断検知システム1について図9を参照しながら説明する。
上述の各実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0067】
図9は、本発明の第5の実施形態に係る切断検知システムの機能構成を示す図である。
図9に示すように、本実施形態に係る車両10は、検知センサとして車両センサ13を有している。車両センサ13は、例えば、車両10の走行距離、イグニッション状態、速度、加速度、角速度、ステアリング角度を計測して検知信号として出力する速度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、舵角センサのうち少なくとも一つである。なお、走行距離は、車両10の製造完了後からの累積の総走行距離を意味する。イグニッション状態は、車両10から出力される車両状態を示す信号に含まれる、エンジンON(イグニッションON)、アクセサリON、エンジンOFF等の状態を意味する。
また、本実施形態に係る車載装置20は、車両センサ13から出力された検知信号を取得する検知信号取得部29を有している。なお、検知信号取得部29は、車両センサ13から車両10の走行距離、イグニッション状態、速度、加速度、角速度、及びステアリング角度のうち一つのみを取得してもよいし、複数を取得してもよい。
【0068】
本実施形態に係る切断検知部21の動作判定部211は、入力線L1の監視ループ(図3)において、検知センサである車両センサ13から、検知信号取得部29を介して、検知信号を取得する(図3のステップS12)。
そして、動作判定部211は、取得した最新の検知信号と、前回取得した検知信号とを比較して、検知信号の変化量が所定の閾値以上である場合、車両10が動いていると判定する(ステップS13:YES)。一方、動作判定部211は、検知信号の変化量が所定の閾値以上でない場合、車両10が動いていないと判定する(ステップS13:NO)。
なお、閾値は車両センサ13から取得する検知信号の種別に応じて予め定められる。例えば、動作判定部211は、車両10の速度を検知信号として取得する場合、所定の速度(10km/h)以上である状態が一定時間(例えば1分間)以上継続した場合、当該車両10が動いていると判定する。即ち、閾値には、車両10が動いていると判定するための変化量の閾値と、その継続時間の閾値との両方が含まれていてもよい。これにより、動作判定部211は、センサ誤差、信号ノイズ等に起因する、短期間の検知信号の変化を無視することができる。
また、動作判定部211は、検知信号取得部29が取得した検知信号のうち、何れか一つに基づいて車両10が動いているか否か判定してもよいし、二つ以上の検知信号を組み合わせて判定してもよい。
【0069】
以上のように、本実施形態に係る車載装置20は、車両10に設けられた検知センサ13から出力され、当該車両10の速度、加速度、角速度、及びステアリング角度のうち少なくとも一つを含む検知信号を受信する検知信号取得部29を更に備え、動作判定部211は、時系列に連続する検知信号を比較して、当該車両10が動いているか否かを判定する。
このようにすることで、動作判定部211は、車両10に予め設けられている車両センサ13から出力された検知信号に基づいて、車両10が動いているか否かを判定することができる。
また、動作判定部211は、検知信号の変化量が所定の閾値以上である場合、又は、検知信号の変化量が所定の閾値以上である状態が一定時間以上継続した場合、車両10が動いていると判定してもよい。これにより、動作判定部211は、センサ誤差により車両10が動いていると誤判定してしまうことを抑制できる。
【0070】
(ハードウェア構成)
図10は、本発明の少なくとも一つの実施形態に係る車載装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図10に示すように、コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、インタフェース904を備える。
上述の車載装置20は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901(切断検知部21、CPU26)は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、切断検知部21、CPU26が各種処理に用いる記憶領域を主記憶装置902に確保する。
【0071】
補助記憶装置903の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。補助記憶装置903は、コンピュータ900のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース904又は通信回線を介してコンピュータ900に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0072】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0073】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
例えば、上述の各実施形態において、入力線L1の切断を検知した場合、車載装置20が記憶部25に切断ログを記憶するとともにセンターサーバ30に切断検知情報D1を通知する態様について説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、車載装置20の電源制御部22は、起動信号が入力されていないにも関わらず車両10が動いていることを検知した場合、車載装置20の電源をONするようにしてもよい。このようにすることで、入力線L1が切断されている場合であっても、車両10が動いている場合は車載装置20を起動させて、プローブ情報の取得及び送信を正しく行うことができる。
また、更に他の実施形態では、車載装置20は、入力線L1の切断を検知した場合、車載装置20又は車両10の一部機能を制限する(例えば、入力線L1の接続を確認するまでイグニッションON操作を制限する等)指令を出力するようにしてもよい。これにより、車載装置20は、ユーザに対し、車両10を正常に動作させるために、入力線L1が正しく接続することを促すことができる。
【0074】
また、上述の各実施形態において、通知処理部213は、切断検知情報D1をセンターサーバ30に通知する態様について説明したが、これに限られることはない。通知処理部213は、ユーザ(車両10の運転者等)に対し、車載装置20の表示部及びスピーカ(不図示)を用いて切断検知情報D1を通知(テキストメッセージ、音声による通知等)してもよい。
これにより、通知処理部213は、ユーザに対し入力線L1を修理する、又は、正しく接続することを促すことができる。
【0075】
また、上述の各実施形態において、車載装置20が各機能部(切断検知部21、電源制御部22、検知センサ(衛星信号受信部23、ジャイロセンサ27、加速度センサ28、広帯域通信部24)、記憶部25、CPU26)を有する態様について説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、車両10がこれらの機能部を有していてもよい。
【0076】
また、上述の各実施形態において、センターサーバ30がプローブ情報に基づいて課金処理を実行する態様について説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、センターサーバ30は、プローブ情報に含まれる車両10の速度、加速度、角速度等に基づいて、車両10の急発進、急ブレーキ、急ハンドル、速度超過等を検出し、車両の運転者が安全運転又はエコ運転を行ったか否かを評価する運転評価処理を実行してもよい。
更に、他の実施形態では、センターサーバ30は、タクシーに搭載された車載装置20から収集したプローブ情報に基づいて、タクシーの走行経路、走行距離、走行時間、料金等を集計して業務管理処理を実行してもよい。
【0077】
また、上述の第5の実施形態において、動作判定部211は、車両10の検知信号の変化量が閾値以上である状態が、一定時間(例えば1分間)以上継続した場合、当該車両10が動いていると判定する態様について説明した。当該態様は、第1から第4の実施形態に係る動作判定部211に適用されてもよい。これにより、動作判定部211は、センサ誤差、信号ノイズ等に起因する、短期間の検知信号の変化を無視することができる。これにより、動作判定部211は、車両10が動いているか否かを判定する精度が低下してしまうことを抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
上述の車載装置、車両、切断検知方法、及びプログラムによれば、車両の起動信号を入力するための入力線の切断を検知することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 切断検知システム
10 車両
11 イグニッション(IGCT)スイッチ
12 バッテリ
13 車両センサ(検知センサ)
20 車載装置
21 切断検知部
210 起動判定部
211 動作判定部
212 判断部
213 通知処理部
22 電源制御部
23 衛星信号受信部(検知センサ)
24 広帯域通信部(検知センサ)
25 記憶部
26 CPU
27 ジャイロセンサ(検知センサ)
28 加速度センサ(検知センサ)
29 検知信号取得部
30 センターサーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10