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特許7167209人工装具インプラントにおいて開窓をマーキング及び/又は補強するためのシステム、デバイス及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】人工装具インプラントにおいて開窓をマーキング及び/又は補強するためのシステム、デバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/07 20130101AFI20221031BHJP
【FI】
A61F2/07
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021024175
(22)【出願日】2021-02-18
(62)【分割の表示】P 2018564736の分割
【原出願日】2017-06-13
(65)【公開番号】P2021079140
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2021-03-15
(31)【優先権主張番号】62/349,287
(32)【優先日】2016-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506074417
【氏名又は名称】ボルトン メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ユーバンクス,シャノン
(72)【発明者】
【氏名】ウルフマン,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ミアズガ,ジャイ
(72)【発明者】
【氏名】ピハ,ダニエル
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-152549(JP,A)
【文献】米国特許第04787391(US,A)
【文献】米国特許第4041931(US,A)
【文献】特開2002-301083(JP,A)
【文献】特表平11-512950(JP,A)
【文献】特表2015-527156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)内部及び外側表面を有するグラフト(361)であって、パイロット穴(365)及びカット(367)を画定するフラップ部分(369)を含む、グラフト(361)と、
b)内側エッジを画定するリング形パッチ(340)であって、前記グラフトの前記フラップ部分を取り囲むエリアに結合される、リング形パッチ(340)と、
c)前記フラップ部分及び前記リング形パッチに結合される外側パッチと、
を備え、それによって更に前記フラップ部分を適所に固定する、
システム。
【請求項2】
前記グラフトは、エンドグラフトである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記リング形パッチは、放射線不透過性材料から形成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記リング形パッチは、接着剤、縫合糸、又は溶接によって前記グラフトに結合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記フラップ部分は、前記グラフトの前記内部から離れて近位に引っ張られ、前記グラフトの前記外側表面に向かって折り畳まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記フラップ部分は、前記リング形パッチに取り付けられる、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記リング形パッチは、前記フラップ部分が前記リング形パッチに固定されるように、感圧接着剤でコーティングされる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
ファスナを更に含み、
前記外側パッチは、フラップ部分、前記パッチ、及び前記グラフトの少なくとも1つに留められる、請求項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[1001] 本願は、2016年6月13日付けの「Systems, Devices, and Methods for Marking and/or Reinforcing Fenestrations in Prosthetic Implants」という名称の米国特許出願第62/349,287号の優先権及び利益を主張し、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[1002] 本明細書に記載される実施形態は、概して、例えば大動脈ステントグラフトなどの、グラフト内の開窓をマーキング及び/又は補強するためのデバイス、システム、及び方法に関する。
【0003】
[1003] 動脈瘤は、一般に、動脈などの血管の異常な腫脹又は拡張を含む。異常に拡張した血管の壁は、典型的には弱くなり破裂を起こしやすい。例えば、腹部大動脈瘤(AAA)は、重大な健康被害を引き起こす一般的なタイプの動脈瘤である。AAA及び他のタイプの動脈瘤を治療する一般的な手法は、ステントグラフトが、血管系の罹患部分の近位端及び遠位端にわたって広がり、それらを超えて延在するように、血管内ステントグラフトを配置することである。ステントグラフトは、罹患血管系をリラインし、動脈瘤を高圧血流から隔離する代替血液導管を提供し、それによって破裂のリスクを低減又は除去するように設計される。
【0004】
[1004] ステントグラフトを使用する低侵襲血管内修復術は、しばしば、従来の開腹外科修復術に関連付けられるリスクを回避するために好ましい。しかしながら、これらのステントグラフトは、グラフトが主要な分枝血管を覆うことなく安定した位置に配置できるときにのみ使用可能である。拡張が腎動脈まで延在するが腎動脈を含まない腎傍動脈瘤の場合、ステントグラフトの近位部分は、腎動脈の上の大動脈壁に固定され、それによって腎動脈への開口を閉塞させる必要がある。したがって、かなりの割合の腹部大動脈瘤症状を表す腎傍動脈瘤を伴う患者は、典型的には、血管内治療から除外される。
【0005】
[1005] より広範囲の症状の血管内修復術を可能にするために、時折、特定の分枝血管起点に対処するために、製造中にステントグラフト内に開口が作成されるか、又は外科医によってカットされ、これは「開窓」と呼ばれるプロセスである。したがって、例えば腎傍動脈瘤を治療する際に、ステントグラフトの開窓又は開口は腎動脈と位置合わせされることになる。従来、開窓プロセスは、血管起点の医用画像(CTスキャンなど)に基づく測定を含む。縦方向の距離が測定され得、相対的な角度ロケーションが基準点から推定され得る。
【0006】
[1006] しかしながら、これらの手動測定は、特に複数の分枝血管に対処しなければならないとき、かなりの時間と努力を要する可能性がある。例えば、腹部大動脈瘤では、開窓は左及び右の両方の腎動脈、上腸間膜動脈(SMA)、及び腹腔動脈に必要であり得る。加えて、分枝開口の配置の近似は、真の分枝血管枝起点に比べて開口の配置における誤差につながる可能性がある。いくつかの場合、開口は、ステント支柱の上に誤って配置される場合がある。手術室の状態において、外科医はしばしばステント本体内に即時に開窓をカットする必要がある。加えて、手術室状態において外科医によってカットされるとき、及び、グラフトの製造時に開窓が作成されるときの両方の場合に、グラフト材料のカットに関連付けられた問題が存在する。典型的なグラフト材料は可撓性であり、カットツールによって圧迫されることに応えてシフトする。したがって、ステントグラフト内に開窓を作成するための、単純であるが正確であり、費用対効果の高い手法が求められる。更に、開窓を囲むグラフトの部分を補強すること、並びに、送出中及び/又はグラフトが使用されている間に開窓を容易に配置できるように、開窓をマーキングすることが求められる。
【発明の概要】
【0007】
[1007] 本明細書において、グラフト内の開窓をマーキング及び/又は補強するためのデバイス、システム、及び方法が開示される。いくつかの実施形態において、グラフト用の放射線不透過性マーカが提供される。マーカが放射線イメージングを介して見えるように、マーカを開窓近くのエリア内でグラフトに固定することができる。いくつかの実施形態において、放射線不透過性マーカは、放射線不透過性スレッド、放射線不透過性ビーズ、放射線不透過性添加剤、又は放射線不透過性接着剤の形である。いくつかの実施形態において、放射線不透過性マーカは、開窓を取り囲むような形状及びサイズの円形ディスクの形であり、円形ディスクは放射線不透過性材料から形成される。いくつかの実施形態において、放射線不透過性マーカは、開窓の1つ以上のエッジが保護されるように、及び/又は、かみ合いステントと係合し、かみ合いステントをシールするのを支援するように、開窓を補強するように構成された補強部材として構成可能であるか、又は補強部材に取り付け可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】[1008]一実施形態に従った、テンプレートを示す概略図である。
図2】[1009]一実施形態に従った、パッチを示す概略図である。
図3】[1010]一実施形態に従った、第1の構成におけるグラフトの斜視図である。
図4】[1011]一実施形態に従った、第2の構成における図3のグラフトの拡大斜視図である。
図5】[1012]一実施形態に従った、第3の構成における図3のグラフトの拡大斜視図である。
図6】[1013]一実施形態に従った、第4の構成における図3のグラフトの拡大斜視図である。
図7】[1014]一実施形態に従った、グラフトに取り付けられる補強部材の正面図である。
図8】[1015]一実施形態に従った、補強部材の斜視図を示す概略図である。
図9A】[1016]第1の構成における図8の補強部材の概略断面図である。
図9B】[1017]第2の構成における図8の補強部材の概略断面図である。
図9C】[1018]第3の構成における図8の補強部材の概略断面図である。
図10】[1019]一実施形態に従った、グラフトに取り付けられる補強部材の側面図である。
図11】[1020]一実施形態に従った、グラフトに取り付けられる補強部材の側面図である。
図12】[1021]一実施形態に従った、補強部材の斜視図である。
図13】[1022]一実施形態に従った、グラフトに取り付けられる補強部材の正面図である。
図14】[1023]一実施形態に従った、グラフトに取り付けられる補強部材の正面図である。
図15】[1024]一実施形態に従った、グラフトに取り付けられる補強部材の側面図である。
図16】[1025]一実施形態に従った、補強部材の斜視図である。
図17】[1026]一実施形態に従った、補強部材の斜視図である。
図18】[1027]一実施形態に従った、補強部材の概略図である。
図19A】[1028]一実施形態に従った、補強部材の斜視図である。
図19B】[1029]図19Aの補強部材の外側要素の斜視図である。
図19C】[1030]図19Aの補強部材の内側要素の斜視図である。
図20】[1031]一実施形態に従った、方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[1032] 本明細書では、グラフトにおいて開窓をマーキング及び/又は補強するためのデバイス、システム、及び方法が開示される。いくつかの実施形態において、装置が部材及び少なくとも1つの放射線不透過性要素を含む。部材は、人工装具によって画定される開窓を部材が取り囲むように、患者特有の人工装具に固定されるように構成可能である。開窓は、患者の血管の一部における分枝血管のロケーションに対応可能である。少なくとも1つの放射線不透過性要素は、放射線イメージングを介して開窓のロケーションを示すように構成可能である。
【0010】
[1033] いくつかの実施形態において、グラフトのための放射線不透過性マーカが提供される。放射線イメージングを介してマーカが見えるように、マーカを開窓近くのエリア内でグラフトに固定することができる。いくつかの実施形態において、放射線不透過性マーカは、放射線不透過性スレッド、放射線不透過性ビーズ、放射線不透過性添加剤、放射線不透過性ワイヤ又はコイル、別の基板に埋め込まれた放射線不透過性パウダー、及び/又は放射線不透過性接着剤の形であり、及び/又は、それらを含む。いくつかの実施形態において、放射線不透過性マーカは、開窓を取り囲むような形状及びサイズの円形ディスクの形であり、及び/又は、そのような円形ディスクを含み、円形ディスクは放射線不透過性材料から形成される。
【0011】
[1034] いくつかの実施形態において、グラフト用のマーカテンプレートが提供される。開窓テンプレートは、グラフト上の1つ以上の望ましいマーカロケーションに対応する1つ以上の開口を含むことができる。開窓テンプレートは、マーカ要素が開口を介してグラフトに印加可能なように、グラフトに結合可能である。いくつかの実施形態において、マーカ要素は開窓テンプレートに取り付け可能であり、開窓テンプレートがグラフトに結合されたとき、グラフトに移送可能である。
【0012】
[1035] いくつかの実施形態において、グラフト用の補強部材(本明細書では、パッチ又はグロメットとも呼ばれる)が提供される。補強部材は、放射線不透過性マーカを含む、放射線不透過性材料から形成される、及び/又は、放射線不透過性材料と共に埋め込むことが可能である。補強部材は、開窓が補強及び/又は保護されるように、構成すること、及びグラフトに印加することが可能である。例えば補強部材は、グラフトの開窓のエッジがすり減るのを防ぐことができる。いくつかの実施形態において、補強部材は、グラフトと別のかみ合いステントとの間の係合及びシーリングを支援することができる。いくつかの実施形態において、補強部材は、開窓を取り囲むエリアを補強し、開窓のロケーションをマークするために、グラフトに送達されるように構成されたパッチとして形成可能である。いくつかの実施形態において、補強部材は、グロメットがグラフトの開窓内に固定されるように、グラフトに送達されるように構成されたグロメットとして形成可能である。グロメットは、開窓を取り囲むグラフトのエリアを補強すること、及び開窓のロケーションをマークすることが可能である。
【0013】
[1036] 本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確に規定していない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば「部材」という用語は、単一の部材又は部材の組み合わせを意味することが意図され、「材料」は、1つ以上の材料又はそれらの組み合わせを意味することが意図される。
【0014】
[1037] 本明細書で用いられる場合、「近位」及び「遠位」という用語は、それぞれ、例えば医用デバイスのオペレータにより近い方向及びオペレータから離れる方向を指す。したがって、例えば患者の身体に接している医用デバイスの端部は医用デバイスの遠位端となり、遠位端と反対の端部は医用デバイスの近位端となる。同様に、患者の一部分内に血管内ステントグラフトなどのデバイスが配設されるとき、患者の心臓により近いデバイスの端部は近位端となり、近位端の反対の端部は遠位端となる。言い換えれば、こうしたデバイスの近位端は、デバイスの遠位端のアップストリームであり得る。
【0015】
[1038] 本明細書で用いられる場合、「補強された」及び「補強された」の変形(例えば、補強されている、補強、補強する)は、材料のエッジがすり減るのを防ぐように、材料の一部の形状が維持されるように、及び/又は、別の材料との係合及びシーリングが改良されるように、強化又は支持されることを意味する。
【0016】
[1039] 本明細書で説明する実施形態は、1つ以上の生体適合性材料から形成又は構築可能である。好適な生体適合性材料の例は、金属、セラミック、又はポリマーを含む。好適な材料の例は、医薬品グレードのステンレス鋼、金、チタン、ニッケル、鉄、プラチナ、スズ、クロム、銅、タンタル、及び/又はそれらの合金を含む。ポリマーの例は、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸塩、エチレン酢酸ビニル及び他のアシル置換酢酸セルロース、非分解性ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、フッ化ビニル樹脂、ポリビニルイミダゾール、クロロスルホン化ポリオレフィン、ポリエチレン酸化物、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及び/又は、それらの混合及び共重合体を含む。
【0017】
[1040] 本明細書で説明する実施形態及び方法を使用して、患者特有の人工装具デバイスを形成すること、及び/又は、患者の一部分内にある人工装具デバイスの機能及び/又は統合を容易にすること、が可能である。例えばいくつかの実施形態において、本明細書で説明するデバイス及び/又は方法は、ステントグラフトを使用する血管内修復と関連して使用すること、及び/又は、その他の方法で、ステントグラフトを使用する血管内修復を含むこと、が可能である。本明細書では、実施形態は、例えば血管内修復を容易にするために使用されるものとして図示及び説明されるが、他の実施形態では、本明細書で説明するデバイス及び/又は方法のいずれかを使用して、患者の任意の部分の治療を容易にすることが可能である。例えば、本明細書で説明するデバイス及び方法は、患者の血管組織、神経組織、筋肉骨格組織などの、患者の身体の一部において、任意の好適なインプラント、プロテーゼ、デバイス、機構、機械、及び/又はその他の統合を、形成すること及び/又は容易にすることが可能である。したがって本明細書では、実施形態は、腹部大動脈瘤の血管内修復術において使用されるものとして図示及び説明されるが、それらは例として提示されており、それらに限定されない。
【0018】
[1041] 本明細書で説明するデバイス及び/又は方法のいくつかは、ステントグラフトを使用する血管内修復術などの低侵襲治療技法において使用可能である。こうした修復技法は、一般に、従来の開腹外科修復術よりも好ましく、結果としてしばしば、罹患率又は死亡率を減少させる。しかしながら、いくつかの場合において、罹患血管系の配置は、結果として、ステントグラフトを身体に挿入するのに先立ってその一部を変更する必要が生じる可能性がある。例えば、腹部大動脈瘤の血管内修復術において、動脈瘤は、大動脈の一部から分枝している正常に機能する血管に近接して、及び/又は直接的に遠位に、位置する可能性がある。ステントグラフトを使用して動脈瘤をリラインするために、外科医はしばしば、特定の分枝血管起点に対処するようにステントグラフトファブリック内に開口をカットし、これは「開窓」と呼ばれるプロセスである。具体的に言えば、例えば腎傍動脈瘤を治療する際、ステントグラフトの開窓又は開口は、とりわけ、左右の腎動脈、上腸間膜動脈(SMA)、及び/又は腹腔動脈の、サイズ、形状、及び/又は相対的位置に対応可能である。
【0019】
[1042] 従来、開窓プロセスは、血管起点の医用画像(CTスキャンなど)に基づく測定を含む。例えばいくつかの場合、分枝血管の縦方向距離が測定可能であり、分枝血管の相対的な角度ロケーションが基準点から推定及び/又は計算可能である。これらの測定及び/又は計算に基づいて、外科医又は製造業者は、1つ以上の開窓を画定するためにステントグラフトのステントファブリックをマーク及びカットすることができる。開窓されたステントグラフトは、その後、罹患血管系内で(例えば、血管内手術を介して)位置決めし、開窓と対応する分枝血管の開口とを実質的に位置合わせするように配向することができる。
【0020】
[1043] 様々な実施形態において、開窓は、任意の好適な方法を用いて、ステントグラフトなどの人工装具インプラント内に作成可能である。例えば開窓は、3D印刷又は付加的プロトタイピング/製造技術、除去的製造技術、2D印刷、及びその他、又はそれらの組み合わせなどの、任意の好適な技術を用いて製造される、開窓テンプレートを使用して作成可能である。いくつかの実施形態において、開窓テンプレートは、例えば患者特有のイメージングデータに基づいて患者特有の構造について生成される。こうした開窓テンプレート及びこうした開窓テンプレートの生成の例は、2013年5月1日出願の「Fenestration Template For Endovascular Repair of Aortic Aneurysms」という名称の米国特許公開第2013/0296998号、2017年4月25日発行の「Devices and Methods for Anatomic Mapping for Prosthetic Implants」という名称の米国特許第9,629,686号、及び、2017年4月25日発行の「Devices and Methods for Anatomic Mapping for Prosthetic Implants」という名称の米国特許第9,629,705号に記載され、それらの開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0021】
[1044] いくつかの実施形態において、任意の好適な方法を用いてステントグラフト内に開窓が作成可能である。例えば図3から図6を参照しながら下記で説明するのと同様に、いくつかの三角形又はパイスライス型のフラップ部分にグラフトをセグメント化するために、いくつかのカットが作成可能である。フラップ部分をグラフトの外側表面に取り付けることができるように、フラップ部分を引っ張るか、又は折り畳み構造で折り畳み、結果として開窓を作成することができる。1本以上の縫合糸を使用して、フラップ部分を折り畳み構造でグラフトに取り付けるか、又は取り付けを補強することができる。縫合糸は、放射線イメージングを使用する縫合糸の視覚化のために、例えば金などの、放射線不透過特性を備える材料を含むことが可能である。縫合糸の視覚化は、ユーザがグラフトのロケーション及び/又は配向を識別するのを助けることができる。縫合糸の代替又は追加として、例えばステープル、リベット、マイクロリベット、接着剤、及び/又は溶接などのファスナを使用して、フラップ部分を折り畳み構造でグラフトに固定することができる。ファスナは、放射線イメージングを使用してファスナが見えるように、放射線不透過特性を備える材料を含むか、又は放射線不透過特性を備える材料から形成されることが可能である。
【0022】
[1045] いくつかの実施形態において、1つ以上の放射線不透過性ビーズをグラフトに取り付けることができる。各ビーズがグラフトにビーズを取り付ける(例えば縫い付ける)ための糸を受け取ることができるように、ビーズに穴を開けることができる。グラフトに縫い付けることの代替又は追加として、ビーズをグラフトに接着するために、ビーズを接着材料でコーティングすることができる。例えば接着剤は、加熱によって活性化されるか又は溶融温度が低い接着剤、あるいは感圧接着剤とすることができる。いくつかの実施形態において、ビーズ自体を、グラフトに直接接着可能な溶融温度が低い材料で作ることができる。任意の好適な数のビーズをグラフトに取り付けることができる。
【0023】
[1046] いくつかの実施形態において、非離散的マーカを使用して、グラフト内の開窓のロケーションを識別すること及び/又は開窓を補強することが可能である。例えば、放射線不透過性グルーをグラフトに塗布することができる。いくつかの実施形態において、開窓の作成に先立ち、開窓するように意図された部分に近いグラフトのエリアにグルーを塗布することができる。例えば、開窓が意図されたエリアを取り囲む円形帯としてグルーを塗布することができる。グルーの塗布後、円形帯の内側部分をカットして前述のようにフラップ部分を作成することができる。開窓を作成するために、フラップ部分を折り畳んでグルーと接触させることができる。
【0024】
[1047] いくつかの実施形態において、リング形又はワッシャ形マーカなどの円形マーカは、放射線不透過性ファイバ又は放射線不透過性パウダーなどの放射線不透過性材料を含み、グラフトに取り付けることができる。いくつかの実施形態において、放射線不透過性ファイバ又は放射線不透過性パウダーは、円形マーカ全体に均一に分散させることができる。感圧接着剤及び/又はシリコン接着剤などの接着剤を使用して、円形マーカをグラフトに固定することができる。いくつかの実施形態において、熱処理を介して円形マーカをグラフトに固定することができる。例えば、加熱によって活性化されるか又は溶融温度が低い接着剤であり得る接着剤を介して、円形マーカをグラフトに固定することができる。代替又は追加として、例えば、ステープル、リベット、及びマイクロリベットなどのファスナを使用して、マーカをグラフトに固定することができる。加えて前述のように、ファスナは、マーカ及びファスナの両方が放射線イメージングを使用して見えるように、放射線不透過特性を備える材料を含むことができる。マーカは、円形マーカとして説明しているが、卵形、花形、星形、又は長方形などの、任意の好適な形状とすることができる。
【0025】
[1048] いくつかの実施形態において、マーカテンプレートを使用して、放射線不透過性要素を位置決めするのを支援することができる。前述の開窓テンプレートと同様に、マーカテンプレートは3D印刷が可能である。いくつかの実施形態において、開窓テンプレート及びマーカテンプレートの特徴を組み合わせて、1つ以上の開窓を位置決めすること、及び1つ以上のマーカを印加することを支援するように構成された、組み合わされた開窓及びマーカテンプレートを形成することができる。
【0026】
[1049] いくつかの実施形態において、マーカがテンプレートに組み込まれるように、マーカテンプレート又は組み合わされた開窓及びマーカテンプレートを形成(例えば、印刷)することができる。追加又は代替として、マーカテンプレート又は組み合わされた開窓及びマーカテンプレートは、マーカを受け取るように構成されたアパーチャを画定することができる。例えば図1は、組み合わされた開窓及びマーカテンプレート100の概略図である。図1に示されるように、テンプレート100は、開窓アパーチャ110と、第1のマーキングアパーチャ120A、第2のマーキングアパーチャ120B、第3のマーキングアパーチャ120C、及び第4のマーキングアパーチャ120D(本明細書では、集合的に「マーキングアパーチャ120」と呼ぶ)とを含む。開窓アパーチャ110が所望の開窓ロケーションと位置合わせされ、マーキングアパーチャ120の各々が所望のグラフトマーカロケーションと位置合わせされるように、テンプレート100をグラフトに結合することができる。カッティングツール(本明細書で説明するカッティングツールのいずれかなど)を使用して、開窓アパーチャ110と位置合わせされたグラフトの部分をカットすることができる。接触カッティングツール(例えば、鋭利な刃又は焼灼器を備えるカッティングツール)が使用されるいくつかの実施形態において、カッティングツールは、開窓アパーチャ110を介してグラフトとのカッティング接触部に挿入し、開窓アパーチャ110と位置合わせされたグラフトの部分をカットすることができる。非接触カッティングツール(例えば、エアナイフ、ウォータジェット、又はプラズマトーチ)が使用されるいくつかの実施形態において、カッティングツールは、カッティング機構がグラフトをカットするためのガイド又は輪郭として開窓アパーチャ110を使用するように、開窓アパーチャ110と位置合わせすることができる。加えて、マーキングツールを使用して、本明細書で説明する放射線不透過性要素のいずれかなどの放射線不透過性要素(すなわち、マーカ)を、マーキングアパーチャ120と位置合わせされたグラフトの部分に印加することができる。例えば、前述の放射線不透過性ビーズなどのマーカを、マーキングアパーチャ120を介してグラフト内に縫い込むこと、又はマーキングアパーチャ120を介してグラフトにポップリベット留めすることができるように、マーキングアパーチャ120の形状及びサイズが決められる。その後、テンプレート100をグラフトから取り外すことができる。
【0027】
[1050] いくつかの実施形態において、本明細書で説明する補強部材のいずれかの印加の前又は後に、例えば機械的なカッティング手段(例えば、鋭利な刃)又は加熱を用いて、グラフト内の開窓が作成可能である。加えて、いくつかの実施形態において、カッティングツール又は別のツールを使用して、グラフトのエッジをシーリングするために加熱することができる。いくつかの実施形態において、本明細書で説明する開窓のいずれかを作成するために使用されるカッティングツールは、銛形又はU字形(即ち、フック形)とすることが可能であり、ユーザの引き抜き工程の間、グラフトの材料を支持すること及びユーザ方向に引っ張ることが可能である。本明細書で説明するカッティングツールを使用して、任意の好適な数、形状、及びサイズのカット及び/又は開窓を作成することができる。
【0028】
[1051] いくつかの実施形態において、前述の放射線不透過性ビーズ又は円形マーカなどの、1つ以上のマーカを、テンプレートの内面に配設することができる。グラフトがテンプレート内に位置決め可能であり、バルーンがグラフト内に配設可能である。バルーンがテンプレートの内面に対してグラフトを押し付けるように、バルーンを膨らませることができる。いくつかの実施形態において、マーカは、マーカ上の接着剤コーティングを介してテンプレートからグラフトへと自動的に移送可能である。いくつかの実施形態において、マーカはファスナを介してグラフトに固定可能である。いくつかの実施形態において、1つ以上のマーカがテンプレートの外面に配設可能であり、テンプレートがグラフト内に位置決め可能である。テンプレートの外面上の1つ以上のマーカを、接着剤又はファスナの印加を介してグラフトに移送できるように、グラフトに外圧を印加することができる。
【0029】
[1052] いくつかの実施形態において、グラフトがカット又は開窓されるのに先立ち、カッティング動作を支援するために、マーカ(例えば、放射線不透過性ビーズ)をエンドグラフトなどのグラフトに固定することができる。例えば、1つ以上のマーカを、個別の糸を用いてグラフトに縫い付けることができる。グラフトのカッティングを支援するために、グラフトの材料がピンと張った状態を保持できるように糸の張力を維持することができる。前述と同様にフラップ部分が作成されるように、グラフトをカットすることができる。開窓が画定及び補強されるように、フラップ部分を折り畳み、グラフトの外面に固定することができる。
【0030】
[1053] いくつかの実施形態において、エンドグラフトなどのグラフトは、前述と同様にフラップ部分が作成されるようにカットすることができる。1つ以上のマーカをフラップ部分の上又は近くに配置することができる。各フラップ部分がフラップ部分とグラフトの外面との間に少なくとも1つのマーカを挟み込むように、各フラップ部分を折り畳むことができる。その後、フラップ部分は、例えば1つ以上の縫合糸、接着剤、及び/又はヒートボンディングを使用して適切な位置に固定可能であり、それによって放射線不透過性マーカが適切な位置に固定される。
【0031】
[1054] いくつかの実施形態において、カッティング及びマーキングツールを使用して、開窓を作成し、マーカを印加することができる。カッティング及びマーキングツールを使用して、本明細書で説明する任意のカッティングツールと同様に開窓を作成することができる。例えば、カッティング及びマーキングツールは、カッティング部分及び貫通部分を含むことができる。いくつかの実施形態において、貫通部分はカッティング部分の端部に配設可能である。いくつかの実施形態において、貫通部分は、カッティング部分とは別のカッティングツールの構成要素とすることができる。貫通部分を使用して、グラフト内にパイロット穴を作成することができる。例えば、貫通部分がグラフト内にパイロット穴を作成するまで、貫通部分を、開窓が望ましいエリア内のグラフトとの貫通接触点内に遠位に押し込むことができる。カッティング部分又はカッティングの残余部分を、パイロット穴を介してグラフトの内部へと移動させることができる。カッティング部分がグラフトの内部に到達すると、カッティング部分が近位に、及びグラフトの内部から離れて引っ張られている間に、グラフト内にカットを作成するように、カッティング部分を近位に引っ張ることができる。カッティング及びマーキングツールは、マーキング部分も含むことができる。いくつかの実施形態において、マーキング部分は、マーカをグラフトへと送達すること、及び/又は、例えば縫合糸、ファスナ、又は接着剤を使用して、マーカをグラフトに固定することが可能である。
【0032】
[1055] いくつかの実施形態において、補強部材は可撓性又は柔軟なパッチの形である。可撓性又は柔軟なパッチは、グラフトによって画定される開窓を補強及び/又はマークするために、エンドグラフトなどのグラフトに印加することができる。例えば、開窓を補強する(例えば、すり減りを防ぐ)ため、及び/又は、カッティングのためにグラフトを硬くするのを支援するために、所期の開窓のエリアにパッチを結合することができる。いくつかの実施形態において、パッチは放射線不透過性材料を含むことができる。例えばパッチは、パッチ材料全体にほぼ均一に分散される放射線不透過性材料を含むことができる。パッチは、事前アセンブルされたメンブレンとして形成可能である。いくつかの実施形態において、パッチは1つ以上の放射線不透過性マーカを含むことができる。放射線不透過性マーカは、パッチ材料内に埋め込むか、又はパッチの表面に固定することができる。パッチは、開窓が作成される前又は後のいずれかに、グラフトに印加することができる。いくつかの実施形態において、パッチは放射線不透過性ドーナツ形マーカとして形成可能である。ドーナツ形マーカは可撓性であり得、放射線不透過性メンブレン材料から形成可能である。
【0033】
[1056] パッチは、任意の好適な手段を用いてグラフトに取り付け可能である。いくつかの実施形態において、パッチはグラフトに縫い付けることができる。例えばパッチは、いくつかのロケーション(例えば、4又は6)での縫い付けを介して、取り付け可能である。いくつかの実装において、針に縫合糸が事前に装着され、パッチ及びグラフト材料を介して縫合糸を送達するためにすべての針が同時に作動可能なように針がパッチに取り付けられる方法を介して、パッチをグラフトに取り付けることができる。いくつかの実施形態において、パッチは、感圧接着剤、シアノアクリレート、又はシリコン接着剤などの、接着剤を用いてグラフトに固定可能である。パッチは、ヒートボンディングを介して接着剤に固定することもできる。いくつかの実施形態において、パッチはグラフトにヒートボンディングすることができる。例えば、パッチ及びグラフトはどちらも、熱エネルギーの印加によってDACRON(登録商標)対DACRON(登録商標)固着を作成するような、DACRON(登録商標)(即ち、ポリエチレンテレフタレート)から形成可能である。代替として、パッチは、熱エネルギーの印加によって、パッチ材料が固定のためにDACRON(登録商標)材料のファイバ内を流れることができるように、DACRON(登録商標)よりも溶融温度が低い(即ち、温度差が存在するような)材料から形成可能である。いくつかの実施形態において、熱エネルギーの印加によってパッチをグラフトに固着できるように、パッチはポリウレタンから形成可能であり、グラフトはポリエチレンテレフタレートから形成可能である。加えて、グラフト内の開窓は、グラフトへのパッチの固着と同時に、その前に、又はその後に、熱エネルギーの印加を介して作成可能である。いくつかの実施形態において、パッチは、例えばステープル又はリベットなどのファスナを介して、グラフトに固定可能である。こうした実施形態において、ファスナは放射線不透過性材料を含むことができる。
【0034】
[1057] パッチは、任意の好適な材料から、任意の好適な形状又は構成で形成可能である。例えばパッチは、放射線不透過性ファブリックから、又は、放射線不透過性材料が可撓性材料に埋め込まれた任意の可撓性材料から、形成可能である。追加又は代替として、いくつかの実施形態において、前述の放射線不透過性ビーズなどの放射線不透過性マーカを、パッチに埋め込むことができる。図2は、パッチ200の概略図である。図2に示されるように、パッチ200は円形であり得る。第1のマーカ230A、第2のマーカ230B、及び第3のマーカ230C(本明細書では、集合的に「マーカ230」と呼ばれる)などのマーカは、標的の中心又は星形などの所定のパターンで、パッチ200上に配置され得る。いくつかの実施形態において、マーカ230は、エンドグラフトなどのグラフト内に開窓を作成するための、カッティングテンプレートとして使用可能である。こうした実施形態において、マーカ230のいくつかは、チャード除去ステップの間に、グラフトのカッティング後に廃棄され得る。
【0035】
[1058] いくつかの実施形態において、パッチはリングとして形成可能である。放射線不透過性マーカは、リング内に埋め込むことができる。例えばリング形パッチは、シリコン又は熱可塑性エラストマから形成し、リング形に成形することができる。例えばタングステンなどの放射線不透過性マーカを、リングの外側表面内に埋め込むことができる。いくつかの実施形態において、放射線不透過性マーカを、リングの外側表面に取り付けることができる。いくつかの実施形態において、パッチは円形ドーナツとして形成可能である。円形ドーナツ形パッチは、放射線不透過性材料を含むことができる。例えば、円形ドーナツ形パッチは、ホイル、放射線不透過性ファイバ、又は金属化フィルムから形成可能である。
【0036】
[1059] 図3から図6は、グラフト361と、カッティングのためにグラフト361を硬くするのを支援するため、すり減りを防ぐため、及び/又は、開窓のロケーションをマークするために、グラフト361の所期の開窓のエリアに結合可能な補強部材340(本明細書では、「補強及びマーキングパッチ」とも呼ばれる)とを含む、システムの例の様々な図である。補強及びマーキングパッチ340は、カッティング動作の前又は後にグラフト361に結合可能である。例えば図3は、グラフト361の斜視図である。グラフト361は、例えばエンドグラフトであり得る。図に示されるように、グラフト361は、パイロット穴365、カット367、及びフラップ部分369を含む。グラフト361は、8つのカット367及び8つのフラップ部分369を含むようにカットされているものとして示されているが、グラフト361は任意の好適な数のカット又はフラップ部分を含むことができる。加えて、パイロット穴365及びカット367は、本明細書で説明する任意の好適な方法を介して作成可能である。
【0037】
[1060] フラップ部分369がグラフト361の側面に作成された後、フラップ部分369を取り囲むエリアに補強及びマーキングパッチ340を結合することができる。例えば図4は、パッチ340がグラフト361に結合された、グラフト361の一部の拡大図である。パッチ340はリング又はドーナツ形であり得、例えば、接着剤(例えば、感圧接着剤又はシリコン接着剤)、縫合糸、又はグラフト361へのパッチ340の溶接(即ち、溶融)などの、任意の好適な取り付け手段を介して、グラフト361に結合可能である。パッチ340は、カット367のエッジがパッチ340の内側エッジと位置合わせされるように、フラップ部分369に対して配置可能である。パッチ340は、カット367が作成された後にグラフト361に結合されているように説明されるが、パッチ340は、所期のカット367のエリア内でグラフト361の材料を強化するために、カット367の作成前に結合することができる。パッチ340の事前カット適用によって、グラフト361がより容易にカットされるように、グラフト361の補強パッチ340に囲まれたエリア内でのグラフト361の剛性及び/又は緊張を増加させることができる。更に、パッチ340は、パッチ340が放射線イメージングを使用して見えるように、本明細書で説明するパッチのいずれかと同様に、放射線不透過性要素を含み得るか、又は放射線不透過性材料から形成可能である。
【0038】
[1061] 加えて、フラップ部分369がグラフト361の内部から離れて近位に引っ張られ、グラフト361の外側表面に向かって折り畳まれた後、パッチ340を使用して、フラップ部分369を固定することができる。例えば図5は、フラップ部分369がパッチ340に取り付けられた、グラフト361の一部の拡大図である。図5に示されるように、フラップ部分369は、フラップ部分369がパッチ340の表面に対して平坦であるように折り畳むことが可能であり、結果として開窓363を生じさせる。いくつかの実施形態において、パッチ340は、フラップ部分369がパッチ340と接触するように折り畳まれた後、パッチ340に固定されるように、感圧接着剤でコーティング可能である。いくつかの実施形態において、縫合糸、ステープル、リベット、及びマイクロリベットなどのファスナ(図示せず)を使用して、パッチ340及び/又はグラフト361との確実な関係を築くためにフラップ部分369を縫合することができる。いくつかの実施形態において、感圧接着剤及び/又はファスナは、感圧接着剤又はファスナが放射線イメージングを使用して見えるように、放射線不透過特性を備える材料を含むことができる。更に他の実施形態において、フラップ部分369は、フラップ部分369が図5に示される位置で固定されるように、熱エネルギーを介してパッチ340に固着する(例えば、溶接する)ことができる。
【0039】
[1062] 加えて、フラップ部分369を更に適所に固定するために、任意選択の外側パッチをフラップ部分369及びパッチ340に結合することが可能である。例えば図6は、透明であるように示された外側パッチ342を備えるグラフト361の一部の拡大図である。外側パッチ342は、フラップ部分369がパッチ340と外側パッチ342との間に固定されるように、パッチ340(図5に示される)及びフラップ部分369に結合可能である。外側パッチ342は、フラップ部分369及びパッチ340と接触している外側パッチ342の側面上に接着剤を含むことができる。いくつかの実施形態において、外側パッチ342は、フラップ部分369、パッチ340、及び/又はグラフト361に留める(即ち、縫合糸、ステープル、又はリベットで留める)ことができる。いくつかの実施形態において、接着剤及び/又はファスナは、接着剤又はファスナが放射線イメージングを使用して見えるように、放射線不透過特性を備える材料を含むことができる。更に他の実施形態において、外側パッチ342は、熱エネルギーを介してフラップ部分369、パッチ340、及び/又はグラフト361に固着する(例えば、溶接する)ことができる。更に、外側パッチ342は、外側パッチ342が放射線イメージングを使用して見えるように、本明細書で説明するパッチのいずれかと同様に、放射線不透過性要素を含むか、又は放射線不透過性材料から形成することが可能である。
【0040】
[1063] 図示されていないが、いくつかの実施形態において、パッチ340が使用されない場合がある。代わりに、フラップ部分369をグラフト361の外側表面に対して折り畳むことが可能であり、フラップ部分369がグラフト361の外側表面と外側パッチ342との間に挟み込まれるように、外側パッチ342をグラフト361に結合することが可能である。外側パッチ342は、外側パッチ342及びフラップ部分369を適所に固定するために、グラフト361及びフラップ部分369と接触している側面上に接着剤を含むことができる。いくつかの実施形態において、外側パッチ342、フラップ部分369、及びグラフ361を適所に留める(例えば、縫合糸、ステープル、又はリベットで留める)ことが可能である。いくつかの実施形態において、接着剤及び/又はファスナは、接着剤又はファスナが放射線イメージングを使用して見えるように、放射線不透過特性を備える材料を含むことができる。更に他の実施形態において、外側パッチ342、フラップ部分369、及びグラフ361は、溶接を介して適所に固定可能である。
【0041】
[1064] いくつかの実施形態において、パッチは均一に分散された放射線不透過性材料を含むことができる。例えば図7は、グラフト1361に固定されたパッチ1340の正面図を示す。図7に示されるように、パッチ1340はほぼ円形又はドーナツ形(即ち、リング形)であり、パッチ1340がグラフト1361によって画定される開窓1363と同心であるように、グラフト1361上に配設される。パッチ1340は、パッチ1340が放射線イメージングを介して見えるように、放射線不透過性材料を含む。パッチ1340及び開窓1363の同心位置決めに起因して、患者の体内にグラフト1361を配置する間、放射線イメージングを介して開窓1363のロケーションを識別することができる。例えば、放射線イメージングを使用してパッチ1340を見ながら、開窓1363と患者の分枝動脈とを位置合わせすることが可能である。
【0042】
[1065] いくつかの実施形態において、パッチ1340はポリウレタンを含むことができる。パッチ1340内の放射線不透過性材料は、均一に分散可能であり、例えば、タングステンを含むことができる。いくつかの実施形態において、パッチ1340はグラフト1361のステント支柱1392の上に配設可能である。いくつかの実施形態において、パッチ1340は、パッチ1340がステント支柱1392と重ならないように配設可能である。いくつかの実施形態において、パッチ1340は、パッチ1340がステント支柱1392と重ならないようにカットアウトを含むことができる。いくつかの実施形態において、パッチ1340は可撓性であり得る。パッチ1340は任意の好適な結合方法を介して、及び具体的に言えば、本明細書で説明する任意の好適な結合方法を介して、グラフト1361に固定することができる。例えば、パッチ1340は、グラフト1361に接着結合することができる。いくつかの実施形態において、パッチ1340は、グラフト1361にヘッドボンディング可能である。いくつかの実施形態において、パッチ1340はグラフト1361に縫い付けるか又は他の方法で留めることができる。加えて、パッチ1340は、パッチ340を参照しながら前述したように、開窓1363が作成される前、作成と同時、又は後に、グラフト1361に印加することができる。
【0043】
[1066] いくつかの実施形態において、補強部材は、可撓性グロメットを形成するために接合される、第1のパッチ及び第2のパッチを含むことができる。可撓性グロメットは、前述と同様に開窓プロセスを介して作成された、エンドグラフトなどのグラフトの1つ以上のマーカ及び/又は1つ以上のフラップ部分を挟み込むように構成可能である。いくつかの実施形態において、1つ以上のマーカをフラップ部分上又は近くに配置することができる。各フラップ部分は、各フラップ部分がフラップ部分とグラフトの外側表面との間に少なくとも1つのマーカを挟み込むように、折り畳むことができる。フラップ部分及び/又はマーカが第1のパッチと第2のパッチとの間に挟み込まれるように、第1のパッチはグラフトの外側表面に固定可能であり、第2のパッチはグラフトの内側表面に固定可能である。第1のパッチ及び第2のパッチは、例えば1本以上の縫合糸又は糸を使用して、相互に及び/又はグラフトに固定可能である。代替として、第1のパッチ及び第2のパッチは、ヒートシーリングなどのシーリングプロセスを介して、相互に及び/又はグラフトに固定可能である。いくつかの実施形態において、アセンブルされた構成では、1つ以上のマーカを、第1のパッチとフラップ部分及び/又はグラフトとの間に、又は第1のパッチと第2のパッチとの間に、配設可能である。
【0044】
[1067] 図8は、補強部材500(本明細書では「可撓性グロメット」とも呼ばれる)の斜視図の概略図である。可撓性グロメット500は、第1のパッチ562及び第2のパッチ564を含む。第1のパッチ562は第1のワイヤ566を含む。第1のワイヤ566は、放射線不透過性材料から形成される円形マーカワイヤとすることができる。第2のパッチ564は第2のワイヤ568を含む。第2のワイヤ568は、放射線不透過性材料から形成される円形マーカワイヤとすることができる。第2のワイヤ568は、展開前又は展開済みバイアス拡張構成と、展開されていない圧縮構成との間で、グラフトの開窓を介した挿入のために移動可能である。例えば、第2のワイヤ568は、ニチノールなどの形状記憶特性を有する材料から形成可能である。第2のワイヤ568は、第2のワイヤ568の形状及び/又は位置が第2のパッチ564の形状及び/又は位置を制御できるように、例えば、第2のパッチ564の外側エッジに沿って、外側エッジの近くに、及び/又は外側エッジと同心などで、第2のパッチ564に固定(例えば、縫い付け又は埋め込み)可能である。言い換えれば、第2のワイヤ568は圧縮されるように構成可能であるため、展開されていない構成における第2のワイヤ568及び第2のパッチ564は、拡張構成における第2のワイヤ568及び第2のパッチ564が有するよりも小さい直径を有することになる。第1のパッチ562の表面及び第2のパッチ564の表面は、縫い目569に沿って、縫い付けなどの任意の好適な手段を介してヒートボンディング又は接合可能である。いくつかの実施形態において、第1のワイヤ566及び第1のパッチ562は、構造及び/又は機能において第2のワイヤ568及び第2のパッチ564と同一又は同様であり得るため、可撓性グロメット500のいずれかの側は、開窓を介してグラフト内に挿入可能であり、可撓性グロメット500が開窓内で可撓性グラフトに対して固定されるように展開構成へと拡張可能となる。
【0045】
[1068] 図9Aから図9Cは、展開前構成、圧縮構成、及び展開済み構成における、可撓性グロメット500の概略断面図である。図9Aに示されるように、第2のワイヤ568はバイアス拡張構成であり、第2のパッチ564は、グラフトの開窓を介する可撓性グロメット500の挿入前に、ディスク形又はドーナツ形(即ち、リング形)である。図9Bは圧縮構成の可撓性グロメット500を示し、第2のパッチ564がグラフトの開窓を介して挿入できるように、第2のワイヤ568は圧縮されているか又は折り畳まれている。9Cは、展開済み構成の可撓性グロメット500を示し、可撓性グロメット500は、グラフト壁561内の開窓563を介して挿入され、グラフト壁561に固定されている。図9Cに示されるように、第2のワイヤ568を含む第2のパッチ564が開窓563を介して挿入された後、第2のワイヤ568が形状記憶特性を有することに起因して、第2のワイヤ568は自動的に展開済み構成に移行することが可能である。第2のワイヤ568が展開済み構成へと拡張する結果として、可撓性グロメット500はグラフト561に固定される。具体的に言えば、第1のパッチ562は、グラフト561の第1の側面上に位置決めすること及び/又は第1の側面と係合することが可能であり、第2のパッチ564は、グラフト561の第2の側面上に位置決めすること及び/又は第2の側面と係合することが可能である。いくつかの実施形態において、第1のワイヤ566及び/又は第2のワイヤ568は拡張するように構成可能であるため、第1のパッチ562及び/又は第2のパッチ564のパッチに対向する側面は、それぞれ、第1のパッチ562及び/又は第2のパッチ564とグラフト561との間の任意の空間を最小にするために、グラフト561の表面と部分的又は全体的に係合することになる。例えば、第1のワイヤ566及び/又は第2のワイヤ568は拡張するように構成可能であるため、第1のパッチ562及び/又は第2のパッチ564のパッチに対向する側面は、第1のパッチ562及び/又は第2のパッチ564の少なくとも外周の周辺又は付近でグラフト562と接触して配設されることになる。第1のワイヤ566及び/又は第2のワイヤ568が放射線特性を有し、開窓563を取り囲んでいることに起因して、開窓563が放射線イメージングを使用して例えば分枝動脈と位置合わせされるように、グラフト561を患者の体内で位置決めすることができる。
【0046】
[1069] いくつかの実施形態において、補強部材は、シリコン層と他のエラストマとの間に放射線不透過性リングが埋め込まれた複合材料を作成するファブリックの上に、シリコン又はウレタンなどの別のエラストマをオーバーモールド成形することによって、形成可能である。補強部材は、リング又はドーナツ形の可撓性パッチとして形成可能である。例えば、図10は、補強部材670(本明細書では、「パッチ」とも呼ばれる)を含むグラフト600の側面図である。パッチ670は、パッチ670内に埋め込まれた放射線不透過性リング又はファイバ630を含むことができる。パッチ670は、糸650を介してグラフト600に固定される。図に示されるように、放射線不透過性リング又はファイバ630は、開窓663のロケーションが放射線イメージングを使用して識別可能なように、グラフト600内の開窓663と同心、及び/又は開窓663を取り囲むように、配置可能である。
【0047】
[1070] いくつかの実施形態において、補強部材は、ファブリックグロメットとして形成可能であり、放射線不透過性リングを包含することができる。図11は、補強部材770(本明細書では、「可撓性グロメット」又は「ファブリックグロメット」とも呼ばれる)を含む、グラフト700の側面図である。図11に示されるように、可撓性グロメット770はファブリックから作ることが可能であり、第1のリング又はドーナツ形ファブリック部分771及び第2のリング又はドーナツ形ファブリック部分(図示せず)を含むことが可能である。第1のドーナツ形ファブリック部分771及び第2のドーナツ形ファブリック部分は、第1のドーナツ形ファブリック部分771及び第2のドーナツ形ファブリック部分の内側表面に沿って、又はそれらの近くに、糸773を介して取り付けることができる。具体的に言えば、第1のドーナツ形ファブリック部分771はグラフト700の外部又は第1の側面上に配設可能であり、第2のドーナツ形ファブリック部分はグラフト700の内部又は第2の側面上に配設可能である。放射線不透過性リング(図示せず)が、第1のドーナツ形ファブリック部分771と第2のドーナツ形ファブリック部分との間に配設可能であり、第1のドーナツ形ファブリック部分771、第2のドーナツ形ファブリック部分、及びグラフト700の開窓763に対して適所に、糸773を介して固定可能である。いくつかの実施形態において、放射線不透過性リングは、第1のドーナツ形ファブリック部分771とグラフト700の外部又は第1の側面との間に配設可能である。いくつかの実施形態において、放射線不透過性リングは、第2のドーナツ形ファブリック部分とグラフト700の内部又は第2の側面との間に配設可能である。糸773が図示及び説明されるが、第1のドーナツ形ファブリック部分771及び第2のドーナツ形ファブリック部分は、接着剤又はヒートボンディングなどの任意の好適な手段を介して取り付け可能である。加えて、任意の好適な数の補強部材をグラフト700に取り付けることができる。例えば図11に示されるように、グラフト700は、第2の開窓763Aに対して取り囲むように固定された、第2の可撓性グロメット770Aを含むことができる。第2の可撓性グロメット770Aは、構造及び/又は機能において可撓性グロメット770と同一又は同様であり得る。したがって、開窓763及び第2の開窓763Aの両方が、各開窓を取り囲む放射線リングに起因して、放射線イメージングを使用して識別可能である。
【0048】
[1071] いくつかの実施形態において、補強部材はファブリックグロメットとして形成可能であり、放射線不透過性糸の縫合糸を含むことができる。図12は、補強部材870(本明細書では、「可撓性グロメット」又は「ファブリックグロメット」とも呼ばれる)の斜視図である。可撓性グロメット870は、例えばDACRON(登録商標)などのファブリックから作ることが可能であり、第1のリング又はドーナツ形ファブリック部分871及び第2のリング又はドーナツ形ファブリック部分872として形成可能である。第1のリング又はドーナツ形ファブリック部分871及び第2のリング又はドーナツ形ファブリック部分872は、第1のドーナツ形ファブリック部分871及び第2のドーナツ形ファブリック部分872の内側表面に沿って、又はそれらの近くに、縫合糸873を介して取り付けることができる。縫合糸873は、放射線不透過性糸から形成可能である。したがって縫合糸873は、可撓性グロメット870がグラフトの開窓内に固定されるとき、縫合糸がグラフトの開窓のロケーションを示すことができるように、可撓性グロメット870上に位置決め可能である。可撓性グロメット870は、例えばヒートシーリング又は縫合を介して、グラフトに取り付けることができる。いくつかの実施形態において、縫合糸873を使用して、第1のドーナツ形ファブリック部分871を第2のドーナツ形ファブリック部分872に固定すること、及び、ファブリック部分871、872の両方をグラフトに固定することの、両方が可能である。いくつかの実施形態において、第1のドーナツ形ファブリック部分871及び第2のドーナツ形ファブリック部分872のうちの一方又は両方は、可撓性グロメット870が固定される開窓が、放射線イメージングを使用してより容易に識別できるように、全体に均一に分散された放射線物質を有するなどの、放射線材料も含むことが可能である。
【0049】
[1072] いくつかの実施形態において、補強部材は、1つ以上の放射線不透過性要素がグラフトの開窓に対して固定されるように、グラフトに結合された基板として形成可能である。例えば、図13に示されるように、いくつかの離散放射線不透過性要素1530を、グラフト1561内の開窓1563の周辺を取り囲む関係で位置決めすることができる。その後、離散放射線不透過性要素1530が基板1540とグラフト1561との間に挟み込まれるように、離散放射線不透過性要素1530の上に、基板1540を印加すること(例えば、オーバーモールド成形すること)が可能である。加えて、開窓1563を取り囲むグラフト1561のエリアが補強される(例えば、すり減りが低減及び/又は防止される)ように、基板1540をグラフト1561に印加することが可能である。17個の離散放射線不透過性要素1530が示されているが、開窓1563のロケーションを示す任意の好適な数の放射線不透過性要素1530が使用可能である。いくつかの実施形態において、放射線不透過性要素1530は、例えば、金、タンタル、及び/又はプラチナから形成されるか、又はそれらでコーティングされることが可能である。いくつかの実施形態において、基板1540はポリウレタンから形成されるか又はポリウレタンを含むことが可能である。
【0050】
[1073] いくつかの実施形態において、離散放射線不透過性要素及びグラフト上に基板をオーバーモールド成形するのではなく、放射線不透過性コイルリング及びグラフト上に基板をオーバーモールド成形することができる。例えば、図14は、グラフト1461内に画定された開窓1463の周辺を取り囲む関係で配設された放射線不透過性コイル1430を示す。放射線不透過性コイル1430が基板1440とグラフト1461との間に挟み込み及び/又は埋め込みされるように、放射線不透過性基板1440を放射線不透過性コイル1430の上にオーバーモールド成形することができる。いくつかの実施形態において、基板1440は、ポリウレタンから形成されること及び/又はポリウレタンを含むことが可能である。コイル1430が開窓1463を取り囲むことに起因して、放射線イメージングを介して開窓1463のロケーションを識別することができる。いくつかの実施形態において、コイル1430及び/又は基板1440を、グラフト1461のステント支柱1492の上に配設することができる。いくつかの実施形態において、コイル1430及び/又は基板1440がステント支柱1492に重ならないように、コイル1430及び/又は基板1440を、ステント支柱1492の間及び/又はステント支柱1492から少し離して配設することができる。いくつかの実施形態において、熱エネルギーの印加によって基板1440をグラフト1461に固着できるように、基板1440はポリウレタンから形成可能であり、グラフト1461はポリエチレンテレフタレートから形成可能である。
【0051】
[1074] いくつかの実施形態において、放射線不透過性リングがグロメット内に埋め込まれるように、補強部材は、オーバーモールド成形された材料から形成されるグロメットとして形成可能である。例えば、放射線不透過性リングは、DACRON(登録商標)及び/又はシリコンの層間に、オーバーモールド成形プロセスを介して埋め込むことができる。いくつかの実施形態において、シリコン及び他のエラストマの層間に放射線不透過性リングが埋め込まれたファブリックの上に、シリコン又は、ウレタンなどの別のエラストマをオーバーモールド成形することによって、可撓性グロメットが形成可能である。
【0052】
[1075] いくつかの実施形態において、補強部材がシリコングロメットとして形成可能である。例えば図15は、何枚かのリーフがグラフト400の内側に位置決めされるように構成され、何枚かのリーフがグラフト400の外側に位置決めされるように構成され、それによってリーフ間にグラフト400が挟み込まれる、補強部材470(本明細書では、「リーフグロメット」とも呼ばれる)を含む、グラフト400の側面図である。リーフグロメット470は、リーフグロメット470内に埋め込まれた1つ以上のマーカ430を含む。1つ以上のマーカ430は離散マーカとして示されているが、いくつかの実施形態において、リーフグロメット470は放射線不透過性リングとして形成されるマーカ430を含むことが可能である。リーフグロメット470は、糸450を含む1つ以上の結び目及び/又は接着剤を介してグラフト400に固定することができる。加えて、リーフグロメット470は、図16を参照しながら下記で説明するリーフグロメット970と同一又は同様の構造及び/又は機能を有することが可能である。
【0053】
[1076] 図16は、補強部材970(本明細書では、「グロメット」とも呼ばれる)の斜視図である。グロメット970は、図15を参照しながら上記で説明したリーフグロメット470と同一又は同様の構造及び/又は機能を有し得る。グロメット970は、第1の部分971及び第2の部分972を含むことができる。第1の部分971及び第2の部分972は、シリコンから形成可能である。第1の部分971は、ドーナツ又はリング形のベース974aと、ベースから延在するいくつかの突出部分975aとを含むことができる。同様に、第2の部分972は、ドーナツ又はリング形のベース974bと、ベースから延在するいくつかの突出部分975bとを含むことができる。第1の部分971及び第2の部分972は、各々3つの突出部分を含むように示されているが、第1の部分971及び第2の部分972は任意の好適な数の突出部分を含むことができる。第1の部分971の突出部分975a及び第2の部分972の突出部分975bは、相互に放射状にオフセット可能であるため、突出部分975bはグラフトの内側に位置決め可能であり、突出部分975aはグラフトの外側に位置決め可能であり、それによってグラフトを挟み込み、グロメット970をグラフトの開窓に対して適所に固定するようになっている。
【0054】
[1077] グロメット970は、グロメット970の中心(及びしたがって、グロメット970が取り付けられるグラフトの開窓)が、放射線イメージングを使用して識別可能なように、第1の部分971と第2の部分972との間に挟み込まれた放射線不透過性リング930を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、シリコングロメットは、放射線不透過性糸及び/又は放射線不透過性ビーズを含むことが可能であり、及び/又は、放射線不透過性材料で形成可能である。グロメット970は、縫合糸、ヒートボンディング、リベット、及び/又は、本明細書で説明する任意の他の好適な取り付け手段を介して、グラフトに取り付けることができる。いくつかの実施形態において、グロメット970は、開窓が作成される前又は後のいずれかに、開窓を取り囲むグラフトのエリアを補強することが可能である。グロメット970はシリコンから形成されるものとして説明されるが、いくつかの実施形態において、グロメットは、エラストマポリウレタン又はポリアミドなどの任意の他の好適な材料から形成可能である。加えて、グロメットは、リング形ベース及び突出部を有するものとして形状化されるように示されているが、グロメットは任意の好適な形状とすることができる。例えば、グロメットはOリング(すなわち、リング形ベースを有するが突出部はない)と同様に形状化可能である。
【0055】
[1078] いくつかの実施形態において、補強部材は、ファブリック、放射線不透過性要素、及びファブリック上にオーバーモールド成形されるエラストマ材料の組み合わせを含む、グロメットとして形成可能である。例えば図17は、補強部材1070(本明細書では、「グロメット」とも呼ばれる)の斜視図である。グロメット1070は、第1の部分1071a、第2の部分1071b、及び第3の部分1072を含むことができる。第1の部分1071a及び第2の部分1071bは、例えばシリコンから形成可能である。第3の部分1072は、例えばDACRON(登録商標)などのファブリックから形成可能である。第1の部分1071a、第2の部分1071b、及び第3の部分1072は、各々、中央開口を備える円形ディスクとして形状化可能である。第1の部分1071a及び第2の部分1071bは、第1の部分1071a、第2の部分1071b、及び第3の部分1072の開口が軸方向に位置合わせされるように、第3の部分1072を挟み込むように配置可能である。グロメット1070は、第1の放射線不透過性要素1030A、第2の放射線不透過性要素1030B、第3の放射線不透過性要素1030C、及び第4の放射線不透過性要素1030D(本明細書では、集合的に「放射線不透過性要素1030」と呼ばれる)を含むことができる。図17では、4つの放射線不透過性要素1030が説明及び図示されているが、任意の好適な数の放射線不透過性要素1030を含むことができる。放射線不透過性要素1030は、例えば、リング又はビーズなどの任意の好適な形状の1つ以上のマーカを含むことができる。放射線不透過性要素1030は、例えば接着剤又は縫合糸を介して、第3の部分1072に固定可能である。いくつかの実施形態において、放射線不透過性要素1030は、第1の部分1071aと第3の部分1072との間、及び/又は、第2の部分1071bと第3の部分1072との間に、埋め込むことができる。例えば、エラストマとファブリックとの間に放射線不透過性要素1030が埋め込まれるように、第1の部分1071a及び/又は第2の部分1071bのエラストマ材料を、第3の部分1072のファブリックにオーバーモールド成形することが可能である。グロメット1070は、例えばヒートシーリング又は縫合を介して、エンドグラフトなどのグラフトに取り付けることができる。グロメット1070は、第1の部分1071a及び/又は第3の部分1072がグラフトに直接固定され、第2の部分1071bがグラフトの開窓内に配設されるように、グラフトに取り付けることができる。第2の部分1071bは、グラフトの開窓の形状及びサイズが維持されるようにグラフトの開窓の形状及びサイズに対応するために、及び/又は、グラフトの開窓の形状及びサイズをマークするために、形状及びサイズを決定することができる。いくつかの実施形態において、第1の部分1071a及び/又は第2の部分1071bは、放射線不透過性添加剤を含むことができる。例えば、放射線不透過性添加剤は、第1の部分1071a及び/又は第2の部分1071b全体に均一に分散可能である。
【0056】
[1079] いくつかの実施形態において、補強部材が、グラフト内の開窓をマーク及び/又は補強するために使用される圧着装置として形成可能である。例えば図18は、補強部材1180(本明細書では、「圧着装置」とも呼ばれる)の概略図である。圧着装置1180は、圧着構造1182及びワイヤ又はケーブル1184を含むことができる。圧着構造1182は、例えばレーザカッティングを介してシムストックから形成可能である。圧着構造1182は、圧着構造1182が開窓を取り囲むグラフト(例えば、DACRON(登録商標)ファブリックから形成されるグラフト)のエリア上へと圧着可能なように、ワイヤ1184の周辺で圧着可能又は折り畳み可能とすることができる。ワイヤ1184は、ワイヤ1184が放射線イメージングを使用して視覚化可能なように、放射線不透過性材料を含むことができる。圧着構造1182は、外側タブ(例えば、第1の外側タブ1186A及び第2の外側タブ1186B(本明細書では、集合的に「外側タブ1186」と呼ばれる))及び内側タブ(例えば、第1の内側タブ1188A及び第2の内側タブ1188B(本明細書では、集合的に「内側タブ1188」と呼ばれる))を含むことができる。内側タブ1188は、グラフトに圧着装置を適用する際に、グラフトが外側タブ1186と内側タブ1188との間に固定され、ワイヤ1184が開窓のロケーションを取り囲む、及び/又は指定するように、開窓を介して外側タブ1186に対して折り畳むことが可能である。圧着装置1180は、任意の好適な数の外側タブ1186及び内側タブ1188を含むことができる。
【0057】
[1080] いくつかの実施形態において、補強部材は、グラフト内の開窓の両側に位置決めされるように、及び、グラフト内の開口を介して相互に取り付けられるように構成された、外側要素及び内側要素を含むことができる。外側要素は、例えばエラストマ材料から形成可能である。外側要素は、例えばプラスチックから形成可能な離散剛性接続機構を含むことができる。内側要素は、放射線不透過性金属リングとして形成可能であり、外側要素の接続機構に対応する離散剛性接続機構を含むことができる。外側要素の接続機構及び内側要素の接続機構は、グラフト内の穴と位置合わせ可能であり、例えば超音波溶接を使用して相互に取り付け可能である。いくつかの実施形態において、グラフト内の開口は、グラフト内に開窓が作成されるのと同時に作成可能である。他の実施形態において、開口は、外側要素及び内側要素のグラフトへの取り付けと同時に作成可能である。
【0058】
[1081] いくつかの実施形態において、補強部材は、グラフト内の開窓の両側で位置決めされるように、及び、スナップ機構を介し、グラフト内の開口を介して相互に取り付けられるように構成された、外側要素及び内側要素を含むことができる。例えば、図19Aは、補強部材1270(本明細書では、「マーキング及び補強アセンブリ」又は「アセンブリ」とも呼ばれる)の斜視図である。アセンブリ1270は、外側要素1271及び内側要素1272を含む。外側要素1271は、スナップ機構1276を含む。4つのスナップ機構1276が示されているが、任意の好適な数のスナップ機構を含むことができる。スナップ機構1276は、ステム部分及び円錐部分を含むことができる。円錐部分はステム部分よりも大きな直径を有し得、ステップ部分から離れるほど先細りし得る。外側要素1271の斜視図である図19Bに示されるように、スナップ機構1276は、スナップ機構1276が別の材料内の開口を介して挿入可能であるが、いったん挿入されると、開口を介して引き抜くことはできないように、形状及びサイズを決定することができる。外側要素1271は、例えば、可撓性エラストマ材料から形成可能である。内側要素1272の斜視図である図19Cに示されるように、内側要素1272は、スナップ機構1276が開口1277を通過できるが、いったん内側要素1272と完全に係合すると開口1277から引き抜くことはできないように、形状及びサイズが決定された開口1277を画定することができる。内側要素1272は、例えばレーザカットシムとすることができる。内側要素1272は、外側要素1271よりも剛性であり得る。いくつかの実施形態において、グラフト内の開口は、グラフト内に開窓が作成されるのと同時に作成可能である。他の実施形態において、開口は、外側要素及び内側要素をグラフトに取り付けるのと同時に作成可能である。いくつかの実施形態において、内側要素1272及び/又は外側要素1271は、放射線不透過性材料から形成可能であるか、又は、放射線不透過性ビーズ又は糸などの離散放射線不透過性要素を含むことができる。
【0059】
[1082] いくつかの実施形態において、方法1600は、1602で、患者特有の人工装具内に開窓を生成することを含む。方法1600は、本明細書で説明する補強部材のいずれかで使用可能である。開窓は、患者の血管の一部における分枝血管のロケーションに対応可能である。方法1600は、1604で、患者特有の人工装具にマーカを結合することを更に含むことができる。マーカは、パッチが開窓を取り囲むように、患者特有の人工装具に固定するように構成された部材を含むことができる。マーカは、放射線イメージングを介して開窓のロケーションを示すように構成された、少なくとも1つの放射線不透過性要素を含むこともできる。いくつかの実施形態において、患者特有の人工装具にマーカを結合することは、開窓の生成に先立って実行される。いくつかの実施形態において、患者特有の人工装具にマーカを結合することは、開窓の生成の後に実行される。いくつかの実施形態において、結合することは、熱エネルギーをマーカ及び患者特有の人工装具に印加することを含む。いくつかの実施形態において、マーカ及び患者特有の人工装具は、どちらもポリエチレンテレフタレートを含む。いくつかの実施形態において、結合することは、少なくとも1つの放射線不透過性要素及び患者特有の人工装具上に部材をオーバーモールド成形することを含む。いくつかの実施形態において、マーカを患者特有の人工装具に結合することは、開窓を生成することと同時に実行される。任意選択として、方法1600は、1606で、マーカが放射線イメージングを使用して分枝血管のロケーションと位置合わせするように、患者の体内で患者特有の人工装具を位置決めすることを更に含み得る。
【0060】
[1083] 以上、システム、方法、及びデバイスの様々な実施形態について説明してきたが、それらは単なる例として提示されたものであり、制限ではないことを理解されよう。前述の方法及びステップはある順序で発生するあるイベントを示すが、本開示の恩恵を受ける当業者であれば、あるステップの順序は改変可能であり、こうした改変は本発明の変形形態に従うものであることを理解されよう。加えて、あるステップは、可能であれば並列プロセスにおいて同時に実行され得、並びに前述の順序で実行され得る。実施形態を詳細に図示及び説明してきたが、形式及び細部における様々な変更が実行され得ることを理解されよう。
【0061】
[1084] 例えば、構成要素の特定の特徴及び/又は組み合わせを有するものとして様々な実施形態を説明してきたが、本明細書で説明する実施形態のいずれかからの任意の特徴及び/又は構成要素の任意の組み合わせ又は副組み合わせを有する他の実施形態が可能である。更に、様々な構成要素の特定の構成も変更可能である。例えば、様々な構成要素のサイズ及び特定の形状は図示された実施形態とは異なる可能性があるが、依然として本明細書で説明する機能を提供している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9A
図9B
図9C
図10
図11
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図14
図15
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図19A
図19B
図19C
図20