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  • 特許-乗客コンベアの手摺りベルト清掃装置 図1
  • 特許-乗客コンベアの手摺りベルト清掃装置 図2
  • 特許-乗客コンベアの手摺りベルト清掃装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】乗客コンベアの手摺りベルト清掃装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 31/02 20060101AFI20221031BHJP
【FI】
B66B31/02 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021099396
(22)【出願日】2021-06-15
【審査請求日】2021-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤木 透央
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-109877(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109552978(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行する手摺りベルトに清掃液を噴霧するスプレーと、
前記清掃液が噴霧された前記手摺りベルトに、清掃シートを押圧して清掃する拭き掃除器と、
前記手摺りベルトの走行速度に対応して、前記スプレーが噴霧する前記清掃液の噴霧状態を制御して、前記走行速度に変化があっても清掃能力が保持されるように前記清掃液の使用量を減少させる清掃制御部と、
を有し、
前記清掃制御部は、前記手摺りベルトの前記走行速度が早いほど、前記清掃シートの押圧力を弱くして前記清掃シートの摩耗を減らす、
ことを特徴とする乗客コンベアの手摺りベルト清掃装置。
【請求項2】
前記清掃制御部は、前記手摺りベルトの前記走行速度が遅いほど、前記スプレーによる前記清掃液の噴霧間隔を長くする、
請求項1に記載の乗客コンベアの手摺りベルト清掃装置。
【請求項3】
前記清掃制御部は、前記手摺りベルトの前記走行速度が遅いほど、前記スプレーによる前記清掃液の1回の噴霧量を少なくする、
請求項1に記載の乗客コンベアの手摺りベルト清掃装置。
【請求項4】
前記拭き掃除器は、
前記清掃シートが巻回された巻出し軸と、
前記巻出し軸から巻き出された前記清掃シートを、走行する前記手摺りベルトに押圧して清掃する押圧部と、
前記手摺りベルトを清掃した前記清掃シートを巻き取る巻取り軸と、
を有し、
前記清掃制御部は、前記手摺りベルトの前記走行速度が遅いほど、前記清掃シートの巻取り間隔を長くする、
請求項1に記載の乗客コンベアの手摺りベルト清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗客コンベアの手摺りベルト清掃装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアの手摺りベルトが汚れた場合に、その汚れた部分に清掃液を噴霧して清掃シートで清掃する手摺りベルト清掃装置が用いられている。
【0003】
この手摺りベルト清掃装置は、乗客コンベアの制御装置からの運転信号を受信して、手摺りベルトを清掃する動作を一定時間行うのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-24782号公報
【文献】特開平10-36062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の感染症予防対策で手摺りベルトの清掃だけでなく、常時又は高頻度で除菌を行うことが望まれている。しかし、清掃、除菌を常時又は高頻度で行うと、清掃装置で用いられる清掃液と清掃シートが早期に消費されるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明の実施形態は上記問題点に鑑み、清掃、除菌という清掃能力を保持しつつ清掃装置の清掃液を節約できる、乗客コンベアの手摺りベルト清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、走行する手摺りベルトに清掃液を噴霧するスプレーと、前記清掃液が噴霧された前記手摺りベルトに、清掃シートを押圧して清掃する拭き掃除器と、前記手摺りベルトの走行速度に対応して、前記スプレーが噴霧する前記清掃液の噴霧状態を制御して、前記走行速度に変化があっても清掃能力が保持されるように前記清掃液の使用量を減少させる清掃制御部とを有し、前記清掃制御部は、前記手摺りベルトの前記走行速度が早いほど、前記清掃シートの押圧力を弱くして前記清掃シートの摩耗を減らす、ことを特徴とする乗客コンベアの手摺りベルト清掃装置である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態を示すエスカレータの左側面から見た全体図である。
図2】上階側の手摺りベルトの清掃装置を左側から見た説明図である。
図3】下階側の手摺りベルトの清掃装置を左側から見た説明図である。
図4】手摺りベルトの清掃制御に関するブロック図である。
図5】運転状態と清掃液の噴霧間隔、噴霧量、清掃シートの押圧力、巻取り間隔との関係を表す表である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態の乗客コンベアについて、図1図5を参照して説明する。本実施形態では、乗客コンベアとしてエスカレータ10で説明する。
【0010】
(1)エスカレータ10
エスカレータ10の全体の構造について図1を参照して説明する。図1は、エスカレータ10を左側面から見た説明図である。但し、エスカレータ10の内部構造をわかりやすくするために、エスカレータ10の左側の部材の図示を省略している。なお、エスカレータ10の前後方向を説明するときは、上階から下階を見下ろし、上階が後側、下階が前側とする。
【0011】
エスカレータ10の枠組みであるトラス12が、建屋1の上階と下階に跨がって支持アングル2,3を用いて前後方向に沿って支持されている。
【0012】
トラス12の上端部にある上階側の機械室14内部には、踏段30を走行させる駆動装置18、左右一対の踏段スプロケット24,24、左右一対のベルトスプロケット27,27が設けられている。この駆動装置18は、モータ20と、減速機21と、この減速機21の出力軸に取り付けられた駆動小スプロケット19と、モータ20の回転を停止させ、かつ、停止状態を保持するディスク式の電磁ブレーキ23とを有している。左右一対の踏段スプロケット24,24には、同軸に駆動大スプロケット17が取り付けられ、駆動小スプロケット19との間に無端状の駆動チェーン22が架け渡されている。左右一対の踏段スプロケット24,24と左右一対のベルトスプロケット27,27とは、不図示の連結ベルトにより連結され同期して回転する。また、上階側の機械室14内部には、モータ20や電磁ブレーキ23などを制御する制御装置50が設けられている。
【0013】
トラス12の下端部にある下階側の機械室16内部には、左右一対の従動スプロケット26,26が設けられている。上階側の左右一対の踏段スプロケット24,24と下階側の左右一対の従動スプロケット26,26との間には、左右一対の無端状の踏段チェーン28,28が架け渡されている。左右一対の踏段チェーン28,28の間には、複数の踏段30の左右一対の第1輪301,301が一定間隔毎に連結されている。モータ20が回転すると踏段30の第1輪301は、トラス12に固定された不図示の第1輪専用の案内レールを走行し、踏段30の第2輪302は、トラス12に固定された第2輪専用の案内レール25を走行する。
【0014】
トラス12の上部の左右両側には、左右一対の欄干36,36が立設されている。この欄干36の上部には手摺りレール39が設けられ、この手摺りレール39に沿って無端状の手摺りベルト38が移動する。
【0015】
左右一対の欄干36の上階側の正面下部には上階側の正面スカートガード40が設けられ、下階側の正面下部には下階側の正面スカートガード42が設けられている。正面スカートガード40,42から手摺りベルト38の出入口であるインレット部46,48がそれぞれ突出している。左右一対の欄干36の側面下部には、スカートガード44がそれぞれ設けられ、左右一対のスカートガード44,44の間を踏段30が走行する。
【0016】
手摺りベルト38は、ベルトスプロケット27が踏段スプロケット24と共に回転することにより踏段30と同期して移動する。例えば、図1に示すように、踏段30が下降しているときは、手摺りベルト38は、欄干36の上端部にある手摺りレール39に沿って下階側に向かって走行し、下階側のインレット部48から正面スカートガード42内に進入し、欄干36の側面下部にあるスカートガード44内を上へ移動し、複数の案内ローラ66を経てベルトスプロケット27に架け渡されて駆動力が与えられ、その後、複数の案内ローラ64を経て上階側のインレット部46から正面スカートガード40の外に現れる。また、回転するベルトスプロケット27に、走行する手摺りベルト38を押圧するための押圧部材68が、ベルトスプロケット27の下方に設けられている。
【0017】
上階側の左右一対のスカートガード44,44の間の乗降口である、機械室14の天井面には、上階側の乗降板32が水平に設けられている。下階側の左右一対のスカートガード44,44の間の乗降口である、機械室16の天井面には、下階側の乗降板34が水平に設けられている。上階側の乗降板32の先端には櫛歯状のコム60が設けられ、このコム60に踏段30が進入したり、引き出されたりする。また、下階側の乗降板34の先端にも櫛歯状のコム62が設けられている。
【0018】
(2)手摺りベルト38の清掃装置70,72
エスカレータ10には、図1に示すように、左右一対の手摺りベルト38,38を清掃するために、上階側の正面スカートガード40の近傍である、上階の左右一対の欄干36,36の下部に、左右一対の清掃装置70,70が設けられ、下階側の正面スカートガード42の近傍であって、下階の左右一対の欄干36,36の下部には、左右一対の清掃装置72,72を有している。
【0019】
上階に設けられている清掃装置70は、図2に示すように、上階側(後方)から順番に拭き掃除器76、スプレー74を有している。スプレー74は、その内部に清掃液のタンクを有し、このタンク内の清掃液を手摺りベルト38に噴霧する。なお、タンクはスプレー74と別体でもよい。拭き掃除器76は、布や紙などの清掃シート78を巻回した巻出し軸80と、この巻出し軸80から巻き出された清掃シート78を巻き取る巻取り軸82を有し、巻出し軸80と巻取り軸82との間には、清掃シート78を手摺りベルト38に押圧する押圧台84が設けられている。この押圧台84は、エアシリンダよりなる押圧部材86によって清掃シート78を押圧したり、その押圧を解除したりする。巻取り軸82には、清掃シート78の巻き取りを行うための巻取りモータ90が設けられている。スプレー74、巻取りモータ90、押圧部材86を制御するための清掃制御部88が設けられている。なお、清掃制御部88は、清掃シート78を巻き取るときは、図2の実線に示すように、押圧部材86による清掃シート78の押圧を一旦解除し、手摺りベルト38と清掃シート78との間に隙間を形成して、巻取りモータ90を一定時間動作させ、巻取り軸82で古い清掃シート78を巻き取った後に、新しく巻き出された清掃シート78を押圧部材86によって手摺りベルト38に再び押圧する。
【0020】
下階に設けられている清掃装置72は、図3に示すように、下階側(前方)から順番に拭き掃除器76、スプレー74が設けられている。拭き掃除器76は、上階側の拭き掃除器76と同様に、清掃シート78、巻出し軸80、巻取り軸82、巻取りモータ90、押圧台84、押圧部材86を有している。スプレー74と拭き掃除器76は下階側の清掃制御部88によって制御される。
【0021】
(3)エスカレータ10の電気的構成
次に、エスカレータ10における手摺りベルト38の清掃制御関係の電気的構成について図4のブロック図を参照して説明する。
【0022】
上階の機械室14に設けられた制御装置50には、上階の左側に設けられた清掃装置70の清掃制御部88、上階の右側に設けられた清掃装置70の清掃制御部88、下階の左側に設けられた清掃装置72の清掃制御部88、下階の右側に設けられた清掃装置72の清掃制御部88、モータ20の回転/停止、回転方向、回転速度を制御する駆動回路29が接続されている。この駆動回路29には、モータ20と電磁ブレーキ23が接続されている。
【0023】
上記各清掃制御部88には、スプレー74、押圧部材86、巻取りモータ90が、それぞれ接続されている。
【0024】
制御装置50が行うエスカレータ10の運転制御は、踏段30(手摺りベルト38)の速度が定格速度である通常運転、低速待機状態、停止待機状態である。通常運転の踏段30(手摺りベルト38)の定格速度は、20m/分である。低速待機状態とは、乗客がエスカレータ10に一定時間t1(例えば、15分間)乗っていなときに実施する制御であり、このときの踏段30(手摺りベルト38)の運転速度は、定格速度より低速(例えば、10m/分)である。停止待機状態とは、乗客がエスカレータ10に一定時間t1より長い時間t2(例えば、30分間)乗っていないときに踏段30の走行を停止させる制御である。
【0025】
(4)手摺りベルト38の清掃装置70,72の動作状態
次に、上階の手摺りベルト38の清掃装置70と、下階の手摺りベルト38の清掃装置72の動作状態について、図2図3図5の表を参照して説明する。
【0026】
踏段30を下降運転しているときは、制御装置50は上階側の左右一対の清掃装置70,70を動作させ、下階側の左右一対の清掃装置72,72は停止させておく。制御装置50は、エスカレータ10の運転状態、運転速度を上階側の清掃制御部88に送信する。踏段30が下降しているときは、図2に示すように、上階側の清掃装置70の上方において、手摺りベルト38は乗客が持つ表面が下側になって、左から右に移動している。そのため、清掃制御部88は、スプレー74から清掃液を噴霧し、拭き掃除器76の清掃シート78を押圧部材86によって、清掃液が噴霧された手摺りベルト38に押圧して清掃、除菌する(図2の二点鎖線の状態)。
【0027】
清掃制御部88は、エスカレータ10が停止待機状態であるか、低速待機状態であるか、定格速度で通常運転しているかによって、図5の表に示すように、清掃液の噴霧間隔、噴霧量、清掃シート78の押圧力、巻取り間隔を制御する。
【0028】
図5の表に示すように、エスカレータ10が停止待機状態のときは、スプレー74は清掃液を噴霧せず、押圧部材86は清掃シート78を手摺りベルト38に押圧せず、巻取りモータ90は清掃シート78を巻き取らない。
【0029】
図5の表に示すように、エスカレータ10が低速待機状態のときは、スプレー74は清掃液の噴霧間隔を長い間隔(例えば1分毎)で実施し、消毒液の一回の噴霧量を少ない量(例えば、1cc)で実施する。押圧部材86は、清掃シート78の押圧力を強い状態で実施し、巻取りモータ90は、清掃シート78の巻取り間隔を長い間隔(例えば10分毎)で実施する。
【0030】
図5の表に示すように、エスカレータ10が定格速度で通常運転しているときは、スプレー74は清掃液の噴霧間隔を低速待機状態より短い間隔(例えば30秒毎)で実施し、消毒液の一回の噴霧量を低速待機状態より多い量(例えば、2cc)で実施する。押圧部材86は、清掃シート78の押圧力を低速待機状態より弱い状態で実施し、巻取りモータ90は、清掃シート78の巻取り間隔を低速待機状態より短い間隔(例えば5分毎)で実施する。
【0031】
定格速度で通常運転しているときに、低速待機状態よりも清掃液の噴霧間隔を短くするのは、速く移動している手摺りベルト38の走行方向の全てに清掃液を噴霧するためである。
【0032】
定格速度で通常運転しているときに、低速待機状態よりも清掃液の噴霧量が多くするのは、手摺りベルト38の移動速度が速いため、一回の噴霧量を多くして手摺りベルト38の走行方向の全てに清掃液を噴霧するためである。
【0033】
定格速度で通常運転しているときに、低速待機状態よりも清掃シート78の押圧力を弱くするのは、手摺りベルト38が速い速度で移動しているため、清掃シート78の押圧による手摺りベルト38の摩耗を減らすためである。
【0034】
定格速度で通常運転しているときに、低速待機状態よりも清掃シート78の巻取り間隔を短くするのは、手摺りベルト38が速い速度で移動しているため、清掃シート78が摩耗しやすいため、摩耗していない新しい清掃シート78と交換するためである。
【0035】
踏段30を上昇運転しているときは、制御装置50は上階側の左右一対の清掃装置70,70を停止させ、下階側の左右一対の清掃装置72,72を動作させる。踏段30が上昇しているときは、図3に示すように、下階側の清掃装置72の上方において、手摺りベルト38は、手摺りベルト38は乗客が持つ表面が下側になって、右から左に移動する。そのため、清掃制御部88は、スプレー74で手摺りベルト38に清掃液を噴霧し、清掃シート78を押圧部材86によって、清掃液が噴霧された手摺りベルト38に押圧して清掃する(図3の二点鎖線の状態)。このときも、清掃制御部88は、上階の清掃装置70と同様にエスカレータ10が停止待機状態であるか、低速待機状態であるか、定格速度で通常運転しているかによって、図5の表に示すように、清掃液の噴霧間隔と噴霧量、清掃シート78の押圧力と巻取り間隔を制御する。
【0036】
(5)効果
本実施形態によれば、手摺りベルト38の走行速度が低速から定格速度に上がると、スプレー74から手摺りベルト38への清掃液の噴霧間隔を短くする。これにより、手摺りベルト38を速く走行させても、手摺りベルト38の走行方向の十分な清掃、除菌という清掃能力を有する。一方、低速待機状態では、定格速度のときよりも噴霧間隔を長くするため、清掃液の使用量が減って節約できる上、噴霧間隔を長くしても走行速度が遅いため、手摺りベルト38に噴霧される単位時間当たりの量を定格速度のときとほぼ同じ量とできるので、清掃能力は変化せず、このように走行速度が変化しても清掃能力を保持できる。
【0037】
また、手摺りベルト38の走行速度が低速から定格速度に上がると、スプレー74による清掃液の噴霧量を多くする。これにより、手摺りベルト38を速く走行させても、手摺りベルト38の走行方向の清掃液を十分に噴霧できる。一方、低速待機状態では清掃液の噴霧量を少なくするため、清掃液の使用量が減って節約できる上、使用量を減らしても走行速度が遅いため、手摺りベルト38に噴霧される単位時間当たりの量を定格速度のときとほぼ同じ量とできるので清掃能力は変化せず、このように走行速度が変化しても清掃能力を保持できる。
【0038】
また、手摺りベルト38の走行速度が低速から定格速度に上がると、清掃シート78の押圧力を弱くするので、手摺りベルト38の走行速度にかかわらず押圧力が一定の場合に比べて、清掃シート78の摩耗量を減らして節約できる。一方、低速待機状態では清掃シート78が摩耗し難いので押圧力を強くし、手摺りベルト38の清掃、除菌を確実に行える。
【0039】
また、手摺りベルト38の走行速度が低速から定格速度に上がると、清掃シート78の巻取り間隔を短くするので、清掃シート78が摩耗してもすぐに新しい清掃シート78となるので、手摺りベルト38の清掃、除菌を確実に行うことができる。一方、低速待機状態では清掃シート78の摩耗し難いので巻取り間隔を長くし、手摺りベルト38の走行速度にかかわらず巻取り間隔が一定の場合に比べて、清掃シート78の使用量を少なくして節約できる。
【変更例】
【0040】
上記実施形態では、エスカレータ10の走行速度を、停止、低速、定格速度の3段階で切り替えたが、さらに多段階で切り替えてもよい。具体的には、エスカレータ10の定格速度が一定速度でなく一定の幅がある場合(例えば20~30m/分)で制御する場合には、その速度に対応するように清掃液の噴霧間隔と噴霧量、清掃シート78の押圧力と清掃シート78の巻取り間隔を制御してもよい。この場合には、清掃液の噴霧間隔は速度が速くなるほど短く、噴霧量は走行速度が速くなるほど多く、清掃シート78の押圧力は走行速度が速くなるほど弱く、巻取り間隔は走行速度が速くなるほど短くする。
【0041】
また、上記実施形態では、エスカレータ10に適用して説明したが、これに代えて動く歩道に適用してもよい。
【0042】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
10・・・エスカレータ、20・・・モータ、30・・・踏段、38・・・手摺りベルト、50・・・制御装置、70・・・上階の清掃装置、72・・・下階の清掃装置、74・・・スプレー、76・・・拭き掃除器、78・・・清掃シート、88・・・清掃制御部
【要約】
【課題】清掃 、除菌という清掃能力を保持しつつ清掃装置の清掃液を節約できる乗客コンベアの手摺りベルト清掃装置を提供する。
【解決手段】走行する手摺りベルト38に清掃液を噴霧するスプレー74と、清掃液が噴霧された手摺りベルト38に清掃シート78を押圧して清掃する押圧部材86と、手摺りベルト38の走行速度に対応して、スプレー74が噴霧する清掃液の噴霧状態を制御して、走行速度に変化があっても清掃能力が保持されるように清掃液の使用量を減少させる清掃制御部88とを有する。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5