(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】導電性ペースト組成物およびそれによって製造された半導体デバイス
(51)【国際特許分類】
H01B 1/22 20060101AFI20221031BHJP
【FI】
H01B1/22 A
(21)【出願番号】P 2021111437
(22)【出願日】2021-07-05
(62)【分割の表示】P 2020073995の分割
【原出願日】2016-02-03
【審査請求日】2021-08-04
(32)【優先日】2015-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521109545
【氏名又は名称】ソーラー ペースト リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ステファン ウォルフ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ドナルド サマーズ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ベネディクト サウアー
(72)【発明者】
【氏名】ホアン ヴィ トラン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ディー.メイザー
(72)【発明者】
【氏名】ヒー ヒョン イ
(72)【発明者】
【氏名】エスター キム
(72)【発明者】
【氏名】マ ヘレン カティーボ
(72)【発明者】
【氏名】タオ ユエフェイ
【審査官】中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-323816(JP,A)
【文献】特表2014-529644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池の前面電極を形成するためのペースト組成物であって、
(a)電気導電性金属の供給源と、
(b)前記ペースト組成物の全重量に基いて0.25~8重量%のガラスフリットであって、前記ガラスフリットが0.5~1μmのd
50値を有する鉛テルル酸化物を含み、
(c)有機ビヒクルと、を含み、
前記有機ビヒクルの中に前記電気導電性金属の供給源と前記ガラスフリットとが分散され、前記有機ビヒクルが有機ポリマー材料と溶媒とを含み、前記有機ポリマー材料が、10
7~10
12の範囲の分子量を有するポリマー単位を有するミクロゲル粒子と、任意選択で、1つまたは複数の追加のポリマー材料を含み、前記有機ポリマー材料の全量が、前記ペースト組成物の全重量に基いて、0.01~5重量%であり、前記ミクロゲル粒子が、イソ-ブチルメタクリレート(iBMA)、ベンジルメタクリレート(BzMA)、n-ブチルメタクリレート(BMA)およびメチルメタクリレート(MMA)の混合物、またはBMA、MMAおよび2-(2-オキソ-1-イミダゾリジニル)エチルメタクリレート(UMA)の混合物である、ペースト組成物。
【請求項2】
前記ガラスフリットが、前記ペースト組成物の全重量に基いて0.01~2%のルテニウム酸リチウムを含む、請求項1に記載のペースト組成物。
【請求項3】
前記ルテニウム酸リチウムが、前記ペースト組成物の全重量に基いて0.05~1.5%含まれる、請求項2に記載のペースト組成物。
【請求項4】
前記ルテニウム酸リチウムが、前記ペースト組成物の全重量に基いて0.1~1%含まれる、請求項3に記載のペースト組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年2月4日に出願された米国特許出願第62/112,030号明細書および2015年6月12日に出願された米国特許出願第62/175,060号明細書(その内容の全体が参照により組み込まれる)に対する35U.S.C§120下での優先権を主張する。
【0002】
本発明は、様々な電気および電子デバイスの組み立てにおいて有用である導電性ペースト組成物に関し、より詳しくは、光電池デバイス用の前面電極などの導電性構造物を作成するときに有用なペースト組成物およびそれらの組立方法に関する。
【背景技術】
【0003】
太陽電池などの電気デバイスは、電気エネルギーを供給する電気負荷に接続され得る電極を有することが必要とされる。太陽電池のために一般的に使用されるいくつかの構造物は、電極の1つが電池の受光表面上に配置され、電極は、理想的には、入射光の遮光に起因する効率の低下を避けるためにできる限り小さくなるようにする。しかしながら、電極は、理想的には、高い電気導電率も有し、電池内のオーム加熱による効率の低下を最小にする。通常、これらの要件は、複数の細い導電線を備える構造物を必要とする。
【0004】
米国特許出願公開第2013011959号明細書には、(i)導電性粉末と、(ii)ガラスフリットと、(iii)有機ポリマーとしてエチルセルロースと、(iv)溶媒の重量に基づいて30~85重量パーセント(wt%)の1-フェノキシ-2-プロパノールを含む溶媒とを含む導電性ペーストを半導体基材上に適用する工程と、導電性ペーストを焼成する工程とを含む、太陽電池電極を製造する方法が開示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様は、
(a)電気導電性金属の供給源と、
(b)ガラスフリットと、
(c)有機ビヒクルであって、その中に電気導電性金属の供給源とガラスフリットとが分散され、有機ビヒクルがミクロゲル粒子と溶媒とを含む、有機ビヒクルと
を含むペースト組成物を提供する。
【0006】
様々な実施形態において、ミクロゲル粒子は単一のタイプまたは複数のタイプであってもよい。
【0007】
別の態様は、電気導電性構造物を基材上に形成するための方法を提供し、方法は、
(a)第1の主面を有する基材を提供する工程と、
(b)ペースト組成物を第1の主面の予め選択された部分上に適用する工程であって、ペースト組成物が、
i)電気導電性金属の供給源と、
ii)ガラスフリットと、
iii)有機ビヒクルであって、その中に電気導電性金属の供給源とガラスフリットとが分散され、有機ビヒクルがミクロゲル粒子と溶媒とを含む、有機ビヒクルと
を含む工程と、
(c)基材とその上のペースト組成物とを焼成する工程であって、それによって電気導電性構造物が基材上に形成される、工程と
を含む。
【0008】
さらに別の態様は、前述の方法によって形成されている、基材とその上の電気導電性構造物とを含む物品を提供する。例えば、基材はシリコンウエハーであってもよく、物品は半導体デバイスまたは光電池を含んでもよい。
【0009】
さらに別の態様は、
a.第1の主面上の反射防止コーティングと、
b.第1の主面の予め選択された部分上に堆積され、かつ焼成操作により、半導体基材と電気的に接触している導電性構造物へと形成されるように構成されているペースト組成物と
を含む、対向する第1および第2の主面を有する半導体基材を提供し、ペースト組成物は、
i)電気導電性金属の供給源と、
ii)ガラスフリットと、
iii)有機ビヒクルであって、その中に電気導電性金属の供給源とガラスフリットとが分散され、有機ビヒクルがミクロゲル粒子と溶媒とを含む、有機ビヒクルと
を含む。
【0010】
本発明は、好ましい実施形態の以下の詳細な説明および添付した図面への参照がなされる場合、より詳細に理解され、さらなる利点が明らかになり、ここで、同様の符号はいくつかの図面を通して同様の要素を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】太陽電池の電極製造法を説明するための断面図の図面である。
【
図1B】太陽電池の電極製造法を説明するための断面図の図面である。
【
図1C】太陽電池の電極製造法を説明するための断面図の図面である。
【
図1D】太陽電池の電極製造法を説明するための断面図の図面である。
【
図1E】太陽電池の電極製造法を説明するための断面図の図面である。
【
図1F】太陽電池の電極製造法を説明するための断面図の図面である。
【
図2】本ペースト組成物を使用して印刷される細い導体線の光学顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(電気デバイスの製造方法)
本開示の態様は、基材を作製する工程と、導電性ペーストを予め選択されるパターンで基材上に適用する工程と、適用された導電性ペーストを加熱して電極を形成する工程とを含む、電気デバイスを製造するための方法を提供する。
【0013】
電気デバイスとしてpベース型太陽電池を製造するための方法の1つの可能な実施形態が以下に考察される。しかしながら、ここで、この製造法および他の製造法は、説明されるタイプの太陽電池の製造に限定されない。例えば、当業者は、これらの製造法がn型太陽電池、他の構造の太陽電池、ならびに例えば印刷回路板、光学デバイスおよびディスプレイパネルなどの他の電気デバイスの製造に適用可能であることを認識するであろう。
【0014】
図1Aは、p型シリコン基材10を示す。
図1Bにおいて、逆導電型のn層20は、リン(P)等の熱拡散によって形成される。オキシ塩化リン(POCl
3)がリン拡散源として一般的に使用される。1つの可能な実施において、n層20がシリコン基材10の全表面上に形成される。シリコンウエハーはp型基材10からなり、n層20は、典型的に、数十オーム/スクエア(ohm/□)のオーダーのシート抵抗率を有する。
【0015】
任意のタイプの基材を本開示の実施のために選択することができる。他の有用な基材には、限定しないが、セラミック基材、ガラス基材、ポリマーフィルム基材、または他の半導体基材が含まれる。
【0016】
n層の1つの表面をレジスト等で保護した後、n層20はエッチングによって大部分の表面から除去され、それが
図1Cに示されるように第1の主面上のみに残っているようにする。レジストは、次に溶媒などを使用して除去される。
【0017】
次に、
図1Dは、プラズマ化学蒸着(CVD)などの方法によるn層20上の不動態化層30の形成を示す。SiN
x、TiO
2、Al
2O
3、SiO
xまたはITOを不動態化層のための材料として使用することができる。最も一般的に使用されるのはSi
3N
4である。不動態化層は、特に、太陽電池のための半導体基材の受光面として決められる前面上に形成されるとき、反射防止層と呼ばれることがある。
【0018】
図1Eに示されるように、前部電極のための導電性ペースト組成物50がシリコン基材上の不動態化層30上に適用され、次に乾燥される。実施形態において堆積のための予め選択されるパターンを画定するスクリーンマスクを通して導電性ペーストをスクリーン印刷することにより、前部電極が適用される。アルミニウムペースト60および銀ペースト70が基材10の裏面上にスクリーン印刷される。
【0019】
堆積後、ペーストは、任意選択により加熱によって乾燥され、それは実施形態において60~300℃の温度であってもよい。次に、電極は、しばしば焼成と呼ばれる操作において、印刷された導電性ペーストを加熱することによって形成される。様々な実施形態において、焼成は、約300℃~約1000℃、または約300℃~約525℃、または約300℃~約650℃、または約650℃~約1000℃の範囲であってもよい温度で実施される。焼成は任意の適した熱源を使用して行われてもよく、空気、窒素、不活性ガス、または例えば酸素と窒素との混合ガスなどの酸素含有混合物から構成される雰囲気中で行われてもよい。実施形態において、焼成は印刷されたペースト組成物パターンを担持する基材をベルト炉中に高い輸送速度で、例えば約100~約500cm/分で送ることによって達成され、生じるホールドアップ時間は約0.05~約5分である。例えば、加熱プロファイルは、400℃超で10~60秒および600℃超で2~10秒を提供することができる。加熱条件により、半導体基材への損傷を最小にすることができる。複数の温度領域を使用して炉内の所望の熱プロファイルを制御してもよく、領域の数は、例えば、3~11領域で変化してもよい。ベルト炉を使用して行われる焼成操作の温度は、炉の最高温領域の炉設定値によって慣例的に指定されるが、このようなプロセスにおいて通過基材が達するピーク温度は最も高い設定値よりもやや低いことが知られている。また、当業者に公知の他のバッチおよび連続急速焼成炉の設計が考えられえる。
【0020】
このように形成される導電性構造物は、任意の所望の構成を有することができる。太陽電池の平面前面電極のためにしばしば使用される1つの構成は、1つまたは複数の比較的幅の広い母線と、1本または複数の母線から垂直にくし状配列で延在してもよい複数の指状線セグメントまたは突出部とを備える。本ペースト組成物は、くし状電極構造物において細線を備える構成において印刷され得る。本明細書中で用いられるとき、用語「細線」は、その幅またはその高さを大幅に超える長さを有する基材上の導電材料のトレースを指す。特定の実施において、本ペースト組成物を使用して形成される細線は、10μm、15μm、20μm、25μm、または30μmの1つである下限線幅から35μm、40μm、45μm、または50μmの1つである上限線幅までの範囲の幅を有する。
【0021】
理想的には、太陽電池の前面電極のための細線導体は、高いアスペクト比(導体の高さ対幅の比を意味する)を有し、比較的細い導体が伝導方向に垂直な面において高い断面積を有することができるようにする。また、高断面積が導体の単位長さ当たりの抵抗を最小にする。実施形態において、本導電性構造物は、0.20、0.25、または0.30の最小アスペクト比、および完成電極の安定性に見合ったできる限り高い最大アスペクト比を有する1つまたは複数の線を含む。アスペクト比は、線幅および高さを求めることができる任意の適した技術によって測定され得る。例えば、Lasertec Corporation製のモデルOPTELICS C130などの共焦点レーザー顕微鏡により、線を画像化して高さを求めることができる。マイクロ画像チェッカーモデルA200(パナソニック)などの光学顕微鏡によって幅を求めることができる。典型的に、高さおよび幅は、複数の代表点において取られた測定値を平均して精度を改良することによって得られる。関連した実施形態において、導電性構造物は、前述の幅およびアスペクト比のいずれかの組合せを有する1つまたは複数の細線を含む。
【0022】
図1Fは、焼成操作の結果を示し、そこで前部電極51を備える導電性構造物が導電性ペースト50から形成される。ファイアスルー後、電極51はn型層20との電気的接触を形成する。また、焼成操作は、いくつかの実施形態において、有機材料の揮発および/または熱分解により、堆積されたペーストから有機ビヒクルの実質的に完全な燃焼消失をもたらすと考えられる。
【0023】
図1Fにまた示されるように、アルミニウムは、焼成する間にアルミニウムペーストから不純物としてシリコン基材10に裏面に拡散する場合があり、それによって高いアルミニウムドーパント濃度を含むp
+層40を形成する。焼成は、乾燥アルミニウムペースト60をアルミニウム裏面電極61に変換する。裏面銀ペースト70が同時に焼成され、銀後部電極71になる。焼成中、裏面アルミニウムと裏面銀との間の境界は、合金の状態を帯び、それによって電気接触を達成する。大部分の実施形態において、裏側の表面は、アルミニウム電極によって実質的に完全に覆われ、少なくとも部分的にp
+層40の形成を促進する。同時に、アルミニウム電極へのはんだ付けは容易ではないため、銀ペースト70を使用して、実施形態において銅リボン等によって太陽電池セルと負荷回路とを相互接続するための電極として裏面の選択された領域上に裏面電極71を形成する。
【0024】
pベース型太陽電池が実施例として示されるが、これは、nベース型太陽電池または例えば加熱もしくは焼成によって導電性ペーストを使用して導電性構造物が形成される任意の他の型の太陽電池または他の電気デバイスもしくは電子デバイスを作るために適用可能である。
【0025】
導電性ペースト
態様において、本開示は、電気導電性金属の供給源などの機能性導電性成分と、ガラスフリットまたは同様の酸化物材料と、任意選択の分離性フリット添加剤と、ミクロゲルを含有する有機ビヒクルとを含むペースト組成物を提供する。特定の実施形態は、本ペースト組成物を使用して製造された導電性構造物を備える光電池を含む。このような電池は、高い光電池変換効率、高い充填比、および低い直列抵抗のうちの1つまたは複数の任意の組合せを提供する場合がある。
【0026】
無機成分
A.電気導電性金属
本ペースト組成物は、電気導電性金属の供給源を含有する。典型的な金属には、限定しないが、銀、金、銅、ニッケル、パラジウム、白金、アルミニウム、および合金ならびにそれらの混合物が含まれる。銀は、有利には、良好な加工性および高い導電率をもたらす。理想的な太陽電池において、電池内に生成される電気エネルギーを外部回路負荷に効率的に供給することを可能にするために高導電率電極が必要とされる。しかしながら、少なくともある非貴金属を含有する組成物を使用して、コストを低減してもよい。
【0027】
導電性金属を金属粉末として本ペースト組成物中に直接混合してもよい。別の実施形態において、2つ以上のこのような金属の混合物を直接混合する。あるいは、金属は、焼成の熱に暴露したときに分解して金属を形成する金属酸化物または塩によって供給される。本明細書中で用いられるとき、用語「銀」は、元素銀金属、銀の合金、およびそれらの混合物を指すと理解されなければならず、酸化銀(Ag2OもしくはAgO)またはAgCl、AgNO3、AgOOCCH3(酢酸銀)、AgOOCF3(トリフルオロ酢酸銀)、Ag3PO4(オルトリン酸銀)などの銀塩、あるいはそれらの混合物から得られる銀をさらに含めてもよい。また、ペースト組成物の他の成分と相溶性の任意の他の形態の導電性金属を使用してもよい。
【0028】
本ペースト組成物において使用される電気導電性金属粉末は、以下のモルフォロジー:粉末形態、フレーク形態、球状形態、棒状形態、粒状形態、結節状形態、結晶形態、他の不規則形態のうちの任意の1つもしくは複数またはそれらの混合物を有する微粒子として供給されてもよい。また、電気導電性金属またはその供給源をコロイド懸濁液として提供してもよく、その場合、コロイドキャリアは、コロイド材料がその一部である固形分の重量パーセンテージのいかなる計算にも含まれない。
【0029】
金属の粒径は、いかなる特定の制限も受けない。本明細書中で用いられるとき、「粒径」は、50%体積分布サイズを意味する「メジアン粒径」またはd50を指すことを意図する。また、分布は、粒子の90体積%がd90よりも小さいことを意味する、d90などの他の分布パラメータで特性決定されてもよい。体積分布サイズは、Microtrac粒径分析計(Montgomeryville,PA)によって使用されるレーザー回折および分散法を含むが、それらに限定されない、当業者によって理解される多数の方法によって測定されてもよい。例えば、Horiba InstrumentsInc.(Irvine,CA)から市販されているモデルLA-910粒径分析計を使用するレーザー光散乱も使用され得る。様々な実施形態において、メジアン粒径は、0.01μm~10μm、または0.3μm~5μm、または0.8μm~3μmの範囲である。このような粒径により、導電性粉末は十分に焼結され得る。例えば、大きい粒子は、小さい粒子よりもゆっくりと焼結され得る。さらに、この粒径が、導電性ペーストを半導体基材上に適用するために使用される方法、例えば、スクリーン印刷に適切であり得ることも必要であり得る。実施形態において、異なる直径および/またはモルフォロジーの2つ以上のタイプの導電性粉末を混合することができる。
【0030】
実施形態において、導電性粉末は通常高い純度(99%)である。しかしながら、電極パターンの電気要件に応じて、それほど高純度でない導電性粉末も使用することができる。
【0031】
電気導電性金属は、ペースト組成物の組成の様々なパーセンテージのいずれかを占めてもよい。完成導電性構造物において高い導電率を達成するために、加工または最終使用のいずれかに関係するペースト組成物の他の必要とされる特性を維持しながら電気導電性金属の濃度ができるだけ高いことが一般に好ましい。実施形態において、導電性粉末は、導電性ペーストの全重量の50重量パーセント(wt%)以上を占める。他の実施形態において、導電性粉末は、導電性ペーストの60、70、75、80、85、または90重量%以上を占める。他の実施形態において、銀または他の電気導電性金属は、ペースト組成物の無機固形分成分の約75重量%~約99重量%、または約85重量%~約99重量%、または約95重量%~約99重量%を占めてもよい。別の実施形態において、ペースト組成物の固形分部分は、約80重量%~約90重量%の銀粒子および約1重量%~約9重量%の銀フレークを含有してもよい。実施形態において、ペースト組成物の固形分部分は、約70重量%~約90重量%の銀粒子および約1重量%~約9重量%の銀フレークを含有してもよい。別の実施形態において、ペースト組成物の固形分部分は、約70重量%~約90重量%の銀フレークおよび約1重量%~約9重量%のコロイド銀を含有してもよい。さらなる実施形態において、ペースト組成物の固形分部分は、約60重量%~約90重量%の銀粒子または銀フレークおよび約0.1重量%~約20重量%のコロイド銀を含有してもよい。
【0032】
本明細書において使用される電気導電性金属は、特に粉末形態であるとき、コートされてもコートされなくてもよく、例えば、それを界面活性剤で少なくとも部分的にコートして、加工を容易にしてもよい。適したコーティング界面活性剤には、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸塩の塩、パルミチン酸塩の塩、およびそれらの混合物が含まれる。同様に利用してもよい他の界面活性剤には、ラウリン酸、オレイン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、リノール酸、およびそれらの混合物が含まれる。同様に利用してもよいさらに他の界面活性剤には、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ベンゾトリアゾール、ポリ(エチレングリコール)酢酸、および他の同様の有機分子が含まれる。コーティング界面活性剤において使用するための適した対イオンには、限定しないが、水素、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、およびそれらの混合物が含まれる。電気導電性金属が銀であるとき、それは、例えば、リン含有化合物でコートされてもよい。
【0033】
実施形態において、本ペースト組成物において使用される導電性金属粉末のコーティングとして含有される任意の界面活性剤の他に1つまたは複数の界面活性剤が有機ビヒクル中に含有されてもよい。
【0034】
以下にさらに説明されるように、電気導電性金属は、調合物中に存在している金属相および他の成分のためのキャリアとして作用する有機ビヒクル中に分散され得る。
【0035】
B.ガラスフリット
本ペースト組成物は、可融性酸化物材料を含有する。本明細書中で用いられるとき、用語「可融性」は、焼成操作において使用される加熱など、加熱時に材料が流体になり得ることを指す。いくつかの実施形態において、可融性材料は、1つまたは複数の可融性副成分から構成される。例えば、可融性材料は、ガラス材料、または2つ以上のガラス材料の混合物を含んでもよい。例えば、微粉砕操作の結果として、微粉の形態のガラス材料は、しばしば「フリット」と呼ばれ、本ペースト組成物のいくつかの実施形態の酸化物材料として有利に使用される。
【0036】
本発明は操作のいかなる特定の理論によっても制限されないが、いくつかの実施形態において、ガラスフリット(または他の同様の酸化物材料)とフリット添加剤(存在する場合)とが焼成中に呼応して作用して、自然に生じるかまたは意図的に形成される不動態化層および/または反射防止コーティングなど、ウエハー上に通常存在している絶縁層を効率的に貫通すると考えられる。このような結果はしばしば「ファイアスルー」と呼ばれる。また、いくつかの実施形態において、ガラスフリットとフリット添加剤とは、電極を形成する導電性金属粉末、例えば銀の焼結を促進すると考えられる。
【0037】
本明細書中で用いられるとき、用語「ガラス」は、少なくとも主に非晶質である、酸化物またはオキシフッ化物などの微粒子固体形態を指し、短距離原子順位が任意の選択された原子の直近、すなわち、第1配位殻では保たれるが、より大きい原子レベルの距離では散逸する(すなわち、長距離周期的秩序がない)ことを意味する。そのため、完全に非晶質の材料のX線回折パターンは、幅広い拡散ピークを示し、結晶性材料の明瞭な狭いピークを示さない。後者では、特徴的な結晶面の規則的な間隔が狭いピークを生じさせ、逆格子空間におけるその位置はブラッグの法則に従っている。また、ガラス材料は、示差熱分析(DTA)走査に見られる二次転移点として定義される、そのガラス転移温度または軟化点、Tgの近くまたはそれよりも上への加熱時に実質的な結晶化発熱を示さない。実施形態において、本ペースト組成物に使用されるガラス材料の軟化点は、300~800℃の範囲にある。他の実施形態において、軟化点は、250~650℃、または300~500℃、または300~400℃、または390~600℃、または400~550℃、または410~460℃の範囲である。このような軟化点を有するガラスフリットは適切に溶融して、上述した効果などの効果を得ることができる。あるいは、「軟化点」をASTM C338-93の繊維引き伸ばし方法によって得ることができる。
【0038】
また、可融性酸化物材料の一部または全てが、ある結晶度を示す材料から構成されてもよいと考えられる。例えば、いくつかの実施形態において、複数の酸化物が一緒に溶融され、部分的に非晶質および部分的に結晶性である材料をもたらす。当業者によって認識されるように、このような材料は、広い拡散ピークを有するパターン上に重ねられる狭い結晶ピークを有するX線回折パターンを生じる。あるいは、可融性材料の1つまたは複数の構成成分、またはさらに実質的に全てが、主にまたはさらに実質的に完全に結晶性であってもよい。特定の実施形態において、本ペースト組成物の可融性材料において有用な結晶材料は、最高で700℃、750℃、または800℃の融点を有してもよい。
【0039】
無機粉末は、任意選択により、ガラスフリットをさらに含む。特に、導電性ペーストを焼成することによって電極を形成するとき、ガラスフリットが溶融して導電性粉末の焼結を促進し、電極を基材に付着させる。
【0040】
ガラスフリットの粒径は、実施形態において0.1~7μm、別の実施形態において0.3~5μm、別の実施形態において0.4~3μm、別の実施形態において0.5~1μmであり得る。このような粒径により、ガラスフリットはペースト中に均一に分散され得る。粒径(d50)は、導電性粉末について上に記載されたのと同じ方法で得ることができる。
【0041】
ここで、ガラスフリットの化学組成は限定されない。電子材料のための電気導電性ペーストにおいて使用するために適した任意のガラスフリットが許容範囲である。例えば、かつ限定しないが、ホウケイ酸鉛、ケイ酸鉛、および鉛テルルガラスフリットを使用することができる。例えば、本ペースト組成物において有用な鉛テルル酸化物含有ガラスフリットには、限定しないが、米国特許第8,497,420号明細書、米国特許第8,895,843号明細書、および米国特許第8,889,979号明細書(それらを全てが参照によりあらゆる目的のために本明細書に組み込まれる)によって提供されるものが含まれる。さらに、ホウケイ酸亜鉛または無鉛ガラスも使用することができる。
【0042】
いくつかの実施形態において、本組成物(ガラスフリットまたはそれに含有される同様の材料を含む)はかなりの量の鉛、酸化鉛、または他の鉛化合物を含有してもよいが、他の実施形態は無鉛である。本明細書中で用いられるとき、用語「無鉛ペースト組成物」は、(元素鉛としてまたは鉛含有合金、化合物、または他の同様の物質としていずれかで)鉛が特に添加されず、かつ微量成分または不純物として存在している鉛の量が1000パーツパーミリオン(ppm)以下であるペースト組成物を指す。いくつかの実施形態において、微量成分または不純物として存在している鉛の量が500ppm未満、または300ppm未満、または100ppm未満である。
【0043】
同様に、本ペースト組成物の実施形態は、例えば、5カチオン%までの量でカドミウムを含んでもよいが、他の実施形態は無カドミウムであり、それはまた、Cd金属または化合物が特に添加されず、かつ微量不純物として存在している量が1000ppm未満、500ppm未満、300ppm未満、または100ppm未満であることを意味する。
【0044】
ガラスフリットの量は導電性粉末および/または他のペースト構成成分の量に基いて定量され得る。導電性粉末およびガラスフリットの重量比(導電性粉末:ガラスフリット)は、実施形態において10:1~100:1、別の実施形態において25:1~80:1、別の実施形態において30:1~68:1別の実施形態において42:1~53:1であり得る。ガラスフリットのこのような量により、導電性粉末の焼結および電極と基材との間の接着性を適切にもたらすことができる。
【0045】
様々な実施形態において、ガラスフリットは、導電性ペーストの全重量に基いて0.25~8重量%、0.5~6重量%、0.5~4重量%、または1.0~3重量%であり得る。
【0046】
ガラスフリットまたは本明細書に記載された同様の材料の実施形態は限定的ではない。ガラス化学の当業者は、付加的な成分を多少取り替えることができ、基材およびその上の任意の絶縁層とのその相互作用など、与えられた組成物の所望の性質を実質的に変えないと考えられる。
【0047】
C.任意選択の酸化物添加剤
本ペースト組成物中の無機酸化物材料は、任意選択により、複数の別個の可融性物質、例えば1つもしくは複数のフリット、または別の結晶性フリット添加剤材料を有するフリットなどを含んでもよい。非限定的な実施形態において、ルテニウム酸リチウム(LiRuO3)は、適したフリット添加剤であることが見出された。様々な実施形態において、フリット添加剤は、導電性ペーストの全重量に基いて0.01~2%、0.05~1.5%、または0.1~1%を占めてもよい。
【0048】
II.有機ビヒクル
本組成物の無機成分を典型的に有機ビヒクル中に分散して、限定しないがスクリーン印刷などの印刷プロセスに適したものにするコンシステンシーおよびレオロジーを有する「ペースト」または「インク」と称される比較的粘稠な材料を形成する。混合は、典型的に、機械装置によって行われ、構成成分は、それらが均一に分散されかつ最終調合物が最終使用中に良好に適用され得るような特性を有する限り、任意の順に配合されてもよい。
【0049】
限定しないが、増粘剤、バインダー、または安定剤を含有してもしなくてもよい不活性な非水性液など、多様な不活性材料を本組成物中の有機媒体に混合することができる。「不活性」とは、実質的な残留物を全く残さずに焼成操作によって除去され得ると共に、ペーストまたは最終的な導体線性質に有害な他の効果を全く有さない材料を意味する。
【0050】
本ペースト組成物中の有機ビヒクルと無機成分との比率は、ペーストを適用する方法および使用される有機ビヒクルの種類に従って変化することができる。実施形態において、本ペースト組成物は、典型的に、無機成分約50~95重量%、76~95重量%、または85~95重量%と、有機ビヒクル約5~50重量%、5~24重量%、または5~15重量%を含有する。
【0051】
有機ビヒクルは、典型的には、良好な安定度で分散可能である媒体を提供する。特に、この組成物は、好ましくは、必須の製造、輸送、および貯蔵だけでなく、例えばスクリーン印刷プロセスによる、堆積中に直面する条件とも相性が良好な安定性を有する。理想的には、ビヒクルのレオロジー性質は、固形分の安定したかつ一様な分散、印刷のための適切な粘度およびチキソトロピー、ペースト固形分と印刷がその上で行なわれる基材との適切な湿潤性、堆積後の迅速な乾燥速度、ならびに安定した焼成特性などの良好な適用特性を組成物に与えるようなものである。
【0052】
A.ミクロゲル
本導電性ペースト組成物は、1つまたは複数のミクロゲルの粒子を含有する。本明細書中で用いられるとき、「ミクロゲルの粒子」という表現は、それらの非膨潤状態において20nm~2μmのメジアン粒径または平均粒径を有する架橋ポリマーの粒子を指す。様々な実施形態において、ミクロゲル粒子は、20、50、75、または100nmの下限から0.8、1、1.5、または2μmの上限までの範囲のメジアン粒径を有してもよい。このようなミクロゲル粒子の総体は、「ミクロゲルポリマー」と称されてもよい。
【0053】
ミクロゲルの粒子組成物は、適したモノマーまたはモノマーの組合せを重合させることができる任意の方法によって調製され得る。ミクロゲルは、いくつかの実施形態において、1つまたは複数の適したモノマー、有効量の架橋剤、および適した有機溶媒が水溶液に導入される乳化重合法によって製造される。
【0054】
適したモノマーには、限定しないが、ビニル含有モノマー、例えばアクリレートおよびメタクリレート、または任意のこのようなモノマーの組合せが含まれる。本明細書中で用いられるとき、専門用語「(メタ)アクリレート」は、一括してアクリレートとメタクリレートとの両方を指す。同様に、形容詞「(メタ)アクリル」は、「アクリル」または「メタクリル」のいずれかを意味すると理解される。
【0055】
本ペースト組成物に混合されるミクロゲル粒子として有用に調製される(メタ)アクリレートには、限定しないが、エチルアクリレート(EA)、メチルアクリレート(MA)、メチルメタクリレート(MMA)、n-ブチルメタクリレート(BMA)、イソ-ブチルメタクリレート(iBMA)、ベンジルメタクリレート(BzMA)、スチレン、および2-(2-オキソ-1-イミダゾリジニル)エチルメタクリレート(UMA)、ならびに任意の比率のそれらの混合物がある。様々な実施形態において、本ミクロゲル粒子は、任意の比率のBMAとMMAとの混合物または任意の比率のBMAと、MMAと、UMAとの混合物を使用して製造されてもよい。
【0056】
少なくとも二官能基をもたらす任意の使用可能なクロスカップリング剤を用いてもよい。適した二官能性架橋剤は、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)である。他の有用な架橋剤には、限定しないが、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、グリセロールトリメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、またはそれらの任意の混合物が含まれる。様々な実施形態において、架橋剤は、全モノマーの重量に基いて0.1、0.25、または0.5%の下限から1、2、4、6、または8%の上限までの範囲の量において存在している。架橋剤の含有量が少なくなると、ミクロゲル粒子が溶媒に導入されるときにそれらの膨潤が増し、与えられた濃度での粘度が大きくなることが典型的に見出される。
【0057】
また、三官能基以上を有するアクリレートおよびメタクリレート種を使用して、必要とされる架橋をもたらしてもよい。可能なトリアクリレート架橋剤には、限定されないが、トリメチロールプロパントリアクリレート、イソシアヌレートトリアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(2-ヒドロキ-シエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、エトキシ化グリセロールトリアクリレート、プロポキシ化グリセロールトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、アリールウレタントリアクリレート、脂肪族ウレタントリアクリレート、メラミントリアクリレート、エポキシノボラックトリアクリレート、脂肪族エポキシトリアクリレート、ポリエステルトリアクリレート、およびそれらの混合物、ならびにそれらのメタクリレート類似体のいずれかが含まれる。
【0058】
可能なテトラアクリレート架橋剤には、限定されないが、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリトリトールテトラアクリレート、プロポキシ化ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールテトラアクリレート、エトキシ化ジペンタエリトリトールテトラアクリレート、プロポキシ化ジペンタエリトリトールテトラアクリレート、アリールウレタンテトラアクリレート、脂肪族ウレタンテトラアクリレート、メラミンテトラアクリレート、エポキシノボラックテトラアクリレート、ポリエステルテトラアクリレートおよびそれらの混合物、ならびにそれらのメタクリレート類似体のいずれかが含まれる。
【0059】
本ペースト組成物のいくつかの実施形態は、単一組成物のミクロゲル粒子を含む。他の実施形態は、2つ以上の組成物のミクロゲルを含有する。例えば、同じモノマー(またはモノマーの混合物)から形成されるが、架橋剤の異なるタイプおよび/または量を有する2つのミクロゲルを含有してもよい。あるいは、それぞれのミクロゲルは、異なるモノマーから形成されてもよく、架橋剤の同一または異なるタイプおよび/または量を有してもよい。さらなる代替形態において、異なるメジアン粒径を有するミクロゲルを使用してもよい。
【0060】
溶液は、任意選択により、有機溶媒、開始剤、または界面活性剤のうちの1つまたは複数を含有する。次に、熱および/または真空によって粒子を分散体から除去することができる。典型的に、得られた粒子は、水性分散体中で測定されるとき、20nm~2μmのメジアン径の範囲である。実施形態において、粒子(溶媒の混合による任意の膨潤前)は、メジアン径が20nm、50nm、70nm、または100nmのうちの1つのミクロゲルのサイズ下限から300nm、500nm、1μm、1.5μm、または2μmのうちの1つのミクロゲルのサイズ上限までの範囲である。粒径測定は、例えばMicrotrac粒径分析器(Montgomeryville,PA)を使用して、レーザー光の散乱技術によって行うことができる。
【0061】
また、限定しないが、溶液重合、分散重合、ミニエマルション重合、沈殿重合などのミクロゲル粒子を製造するために適した他の重合技術を使用してもよい。必要に応じて、これらの技術によって製造される粒子を例えば機械的粉砕、ボールミル粉砕、ジェットミル粉砕等によって粉末にして、適した液体分散剤中に容易に分散される粉末を製造してもよい。
【0062】
実施形態において、ミクロゲル粒子には、107~1012、または107~1010、または108~109の範囲の分子量を有するポリマーが含まれる。有用なミクロゲル粒子には、限定しないが、溶媒に暴露時に膨潤性であるミクロゲル粒子が含まれる。
【0063】
ミクロゲルの他に、本ペースト組成物は、限定しないが、以下に挙げるポリマー材料などの1つまたは複数の他のポリマー材料を含有してもよい:58.0~49.5%のエトキシル含有量を有し、かつレオロジー改質剤およびバインダーとして作用するとその製造元によって言われるEthocel(登録商標)Std4エチルセルロース系ポリマー(Dow Chemical Company,Midland,MI);Vamac(登録商標)Gエチレン、メチルアクリレート、および硬化部位モノマーエラストマーのジアミン硬化ターポリマー(E.I.DuPont de Nemours and Company,Wilmington DE);およびForalynTM110水素化ロジンのペンタエリトリトールエステル(Eastman Chemical,Kingsport,TN)。
【0064】
可能な実施形態において、有機ポリマー(溶媒を除く)は、無機粉末が100重量部であるとき、0.01~5.0重量部、0.02~3.0重量部、または0.03~2.0重量部であり得る。導電性ペーストは、スクリーン印刷等による堆積を促進する有機ポリマーのこのような量によって適切な粘度を有することができる。
【0065】
有機ポリマーは、導電性ペーストの全重量に基いて0.01~5重量%、別の実施形態において0.03~2.5重量%、別の実施形態において0.05~1重量%であり得る。
【0066】
C.溶媒
1つまたは複数の溶媒が本有機ビヒクルに混合される。溶媒の有益な効果には、ミクロゲル粒子の膨潤および/または分散;ペースト中に含有される任意の有機樹脂の溶解;および存在している無機固形分の濃縮懸濁液の安定化のうちの任意の1つまたは複数が含まれる。理想的には、溶媒および他の有機化合物を焼成操作中に完全に除去することができる。
【0067】
実施形態において、溶媒は、テキサノールTM溶媒(TEX、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタジオールモノイソブチレート)(Eastman Chemical Co.,Kingsport,TN)などのエステルアルコール;ブチルカルビトールアセテート(BCA、ジエチレングリコールn-ブチルエーテルアセテート、Dow Chemical Company,Midland,MI);ジベンジルエーテル;ベンジルアルコールまたは他の高級アルコール;酢酸塩;ベンジルベンゾエート;2-ピロリドン;二塩基性エステル(DBE);テルピネオール;またはそれらの任意の混合物を含むことができる。DBEは、DBE-2、DBE-3、DBE-4、DBE-5、DBE-6、DBE-9またはDBE-IBの名称の様々な調合物としてINVISTA Inc.(Wilmington,DE)から得ることができる。1つまたは複数の有益なペースト性質を促進する他の溶媒も考えられる。
【0068】
無機粉末が100重量部を含むとき、溶媒は、実施形態において1~100重量部、別の実施形態において2~50重量部、別の実施形態において3~30重量部、別の実施形態において5~20重量部であり得る。
【0069】
溶媒は、導電性ペーストの重量に基いて実施形態において3.0~40.0重量%、別の実施形態において4.0~30.0重量%、別の実施形態において5.0~20.0重量%、別の実施形態において5.0~10.0重量%であり得る。このような量の溶媒により、導電性ペーストは印刷適性のための十分な粘度を得ることができる。
【0070】
D.他の有機化合物
有機ビヒクルは、限定しないが、界面活性剤、分散剤、増粘剤、チキソトロープ剤、他のレオロジー調節剤または粘度調節剤、およびバインダーなどの他の有機物質をさらに含んでもよい。
【0071】
本ペースト組成物において有用であることが見出された界面活性剤には、限定しないが:Duomeen(登録商標)TDO界面活性剤(Akzo Nobel Surface Chemistry,LLC,Chicago,IL);Tween(登録商標)20界面活性剤(Aldrich)、1,225ダルトンの計算分子量を有し、20のエチレンオキシド単位、1つのソルビトール、および第一脂肪酸として1つのラウリン酸を呈するものとして製造元によって示されるポリオキシエチレンソルビトールエステル;および硫酸ドデシルナトリウム(SDS)が含まれる。
【0072】
ゲル、有機化合物の他、ヒマシ油またはその誘導体などの天然源に由来する薬剤など、多様なチキソトロープ剤が有用である。このような物質は、いくつかの実施形態においてずり減粘挙動を促進する。Thixatrol(登録商標)MAXおよびThixatrol(登録商標)PLUSアミド(Elementis Specialties,Inc.,Hightstown,NJ)が典型的なチキソトロープレオロジー改質剤である。他の低分子量アミドまたはアミド-オレフィンオリゴマーも適している場合がある。
【0073】
有機ビヒクルの様々な成分が無機固形分と相互作用して、ペースト組成物のレオロジー、したがって、例えばスクリーン印刷によって堆積する間のその挙動に影響を与える。
【0074】
導電性ペースト組成物は、所望の堆積プロセスに適合する任意の粘度を有してもよい。しばしば、ペースト組成物は堆積前に適した溶媒の少量の保持量を増すことによって調節される。いくつかの実施において、25℃において約300±50Pa・s以上の最終粘度は、細い電極線をスクリーン印刷するために好都合であることが見出されている。他の実施形態において、25℃における粘度は330~550Pa・s、または350~520Pa・s、または420~500Pa・sである。導電性ペーストの粘度は、#14スピンドルを使用するユーティリティカップを有するブルックフィールドHBT粘度計(値は10rpmで3分後に取られる)または他の同様の装置によって測定することができる。
【0075】
いくつかの実施形態において、有機ビヒクルの成分の1つまたは複数がチキソトロピー、またはずり減粘を促進する。ずり減粘度の示度は、例えば、0.5rpm(3分)、10rpm(3分)、および/または50rpm(6分)で得られた値を比較することにより、異なる時間後および異なる回転速度で粘度測定を実施することによって得ることができる。
【実施例】
【0076】
本発明の特定の実施形態の操作および作用は、下に記載される一連の実施例(実施例1~51)からより詳細に理解され得る。これらの実施例が基づく実施形態は、単に代表的なものであり、本発明の態様を例証する実施形態の選択は、実施例に記載されない材料、成分、反応物質、条件、技術および/または構成が、本明細書での使用に適さないこと、または実施例に記載されない主題が、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲から排除されることを示さない。
【0077】
使用される成分
本ペースト組成物を調製するのに有用な成分には、以下のものが含まれる。特に断らない限り、これらの成分は、以下の実施例を調製するのに使用される。
【0078】
銀金属粉末:
略球形を有し、異なるロットから取り出される銀粉末であり、d50および有機界面活性剤のコーティングは以下に示される通りである。
Ag-A:(コートされた、d50約1.8~2.0μm)
Ag-B:(コートされない、d50約1.2μm)
Ag-C:(コートされた、d50約1.8~2.0μm)
Ag-D:(コートされた、d50約1.8~2.0μm)
【0079】
ガラスフリット:
0.5~0.7μmのd50値を有するPb-Te-O含有ガラス
【0080】
フリット添加剤:
ルテニウム酸リチウム(LiRuO3)(実験室で合成された)
【0081】
(メタ)アクリレートモノマー:
MMA:メチルメタクリレート(Aldrich)
BMA:n-ブチルメタクリレート(Aldrich)
BzMA:ベンジルメタクリレート(Aldrich)
UMA:MMA中の25重量%の2-(2-オキソ-1-イミダゾリジニル)エチルメタクリレート(Aldrich)
i-BMA:イソ-ブチルメタクリレート(Aldrich)
【0082】
他のポリマー:
Ethocel(登録商標)Std 4エチルセルロース系ポリマー(Dow Chemical Company,Midland,MI)、58.0~49.5%のエトキシル含有量を有し、レオロジー改質剤およびバインダーとして作用すると製造元によって言われている。
Vamac(登録商標)Gエチレン、メチルアクリレート、および硬化部位モノマーエラストマーのジアミン硬化ターポリマー(E.I.DuPont de Nemours and Company,Wilmington DE)
ForalynTM110水素化ロジンのペンタエリトリトールエステル(Eastman Chemical,Kingsport,TN)
【0083】
架橋剤:
EGDMA:エチレングリコールジメタクリレート
【0084】
溶媒:
TEX:テキサノールTMエステルアルコール溶媒(2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタジオールモノイソブチレート)(Eastman Chemical Co.,Kingsport,TN)
BCA:ブチルカルビトールTM溶媒(ジエチレングリコールn-ブチルエーテルアセテート)(Dow Chemical Company,Midland,MI)
二塩基性エステル-3(DBE-3)(E.I.DuPont de Nemours and Company,Wilmington,DE)
ベンジルベンゾエート
ジベンジルエーテル
【0085】
他の有機化合物:
Thixatrol(登録商標)MAXアミドチキソトロープレオロジー改質剤(Elementis Specialties,Inc.,Hightstown,NJ)
Thixatrol(登録商標)PLUSアミドチキソトロープレオロジー改質剤(Elementis Specialties,Inc.,Hightstown,NJ)
Duomeen(登録商標)TDO界面活性剤(Akzo Nobel Surface Chemistry,LLC,Chicago,IL)
Tween(登録商標)20界面活性剤:1,225ダルトンの計算分子量を有し、20のエチレンオキシド単位、1つのソルビトール、および第一脂肪酸として1つのラウリン酸を呈するものとして製造元によって示されるポリ オキシエチレンソルビトールエステル。(Aldrich)
硫酸ドデシルナトリウム(SDS)(Aldrich)
【0086】
その他:
過硫酸アンモニウム(APS)(Aldrich)
【0087】
実施例1
BMA/MMAミクロゲルエマルションポリマーの合成
スクリーン印刷可能な導電性ペースト組成物中に混合するように定められるミクロゲルエマルションポリマーを以下のように合成した。
【0088】
500mL丸底フラスコに冷却器、添加漏斗、およびバブラーを有する窒素ガス入口を取り付けた。フラスコは自動温度調節制御された油槽内に置かれ、PTFE/ガラス機械攪拌バーを備えた。脱イオン水(150g)を添加し、85℃に加熱した。次に134mgの硫酸ドデシルナトリウム(SDS)および0.44gの7%KH2PO4溶液(KOHを使用してpH約7に中和させた)を添加した。98mgのエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)架橋剤(0.264重量%に相当する)と共に、18.5gのn-ブチルメタクリレート(BMA)と18.5gのメチルメタクリレート(MMA)とのモノマー混合物をビーカー内で別個に調製した。(本明細書に記載された調製試料のいずれにおいても、供給されたままのモノマー中に製造元が含有させた一切の抑制剤を除去することは行われなかった。)モノマー混合物約10mLをフラスコ内に添加し、撹拌を314rpmで開始した。次に過硫酸アンモニウム(APS)開始剤の5重量%水溶液0.40gを添加した。継続的に撹拌しながらおよび窒素ヘッド下で、残りのモノマー混合物を部分に分けて1時間にわたって添加した。加熱および撹拌を合計5.5時間続けた。残存モノマーがあり、ごく軽い不透明度によって示される低い変換があるのが注目された。したがって、0.40gの5重量%APSの別のアリコートを添加し、さらに1.5時間にわたって撹拌混合する間に温度を90℃まで上昇させた。その後、撹拌を止め、得られたエマルションは非常に白みがかって見え、モノマーの臭気は少なかった。エマルションをドライアイス中で凍結によって凝固させ、次に最小限の洗浄で濾過し、最後に、部分真空および連続した窒素ガス流を使用する、約50~60℃に維持された炉内で乾燥させ、それによってミクロゲル粒子を形成した。
【0089】
実施例2
BMA/MMA/UMAミクロゲルエマルションポリマーの合成
スクリーン印刷可能な導電性ペースト組成物中に混合するように定められる別のミクロゲルエマルションポリマーを、実施例1において使用されるのと同じ装置を使用して以下のように合成した。
【0090】
脱イオン水(225g)を添加し、85℃に加熱した。次に208mgの硫酸ドデシルナトリウム(SDS)および0.660gの7%KH2PO4溶液(KOHを使用してpH約7に中和させた)を添加した。125mgのEGDMA架橋剤(0.249重量%に相当する)と共に、23.75gのn-ブチルメタクリレート(BMA)と、16.5gのメチルメタクリレート(MMA)と、MMA中の25重量%2-(2-オキソ-1-イミダゾリジニル)エチルメタクリレート(UMA)9.94gとのモノマー混合物をビーカー内で別個に調製した。モノマー混合物約40mLをフラスコ内に添加した。撹拌を300rpmで開始した。次に過硫酸アンモニウム(APS)開始剤の5重量%水溶液0.53gを添加した。継続的に撹拌しながらおよび窒素ヘッド下で、残りのモノマー混合物を40分間にわたって連続滴下して添加した。反応はゆっくりと進行していたため、0.53gの5重量%APSの付加的なアリコートを2時間および3.5時間で添加した。継続的に撹拌しながら、加熱を合計5.5時間続けた。約10mLを取っておき、残部を実験室の周囲空気中のアルミニウムパン内で乾燥させ、その後に機械的に砕き、それによってミクロゲル粒子を形成した。
【0091】
実施例3
BzMAミクロゲルエマルションポリマーの合成
スクリーン印刷可能な導電性ペースト組成物中に混合するように定められるミクロゲルエマルションポリマーを以下のように合成した。
【0092】
1L丸底フラスコに冷却器、添加漏斗、およびバブラーを有する窒素ガス入口を取り付けた。フラスコは自動温度調節制御された油槽内に置かれ、PTFE/ガラス機械攪拌バーを備えた。脱イオン水(450g)を添加し、85℃に加熱した。次に409mgの硫酸ドデシルナトリウム(SDS)および1.32gの7%KH2PO4溶液(KOHを使用してpH約7に中和させた)を添加した。109.0gのベンジルメタクリレート(BzMA)と、278mgのエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)架橋剤(0.255重量%に相当する)とのモノマー混合物をビーカー内で別個に調製した。モノマー混合物約30mLをフラスコ内に添加した。撹拌を301rpmで開始し、次に過硫酸アンモニウム(APS)開始剤の5重量%水溶液1.20gを添加した。成分を窒素ヘッド下において310rpmで撹拌し、残りのモノマー混合物を1.5時間にわたって連続滴下して添加した。継続的に撹拌しながら、加熱を合計6時間続けた。エマルションをドライアイス中で凍結によって凝固させ、次に最小限の洗浄で濾過し、最後に、部分真空下、窒素の連続流を使用する約37℃に維持された炉内で乾燥させ、それによってミクロゲル粒子を形成した。
【0093】
実施例4
4%架橋剤を使用するBMA/MMA/UMAミクロゲルエマルションポリマーの合成
スクリーン印刷可能な導電性ペースト組成物中に混合するように定められるミクロゲルエマルションポリマーを以下のように合成した。
【0094】
3000mLの丸底フラスコに冷却器、熱電対、およびバブラーを有する窒素ガス入口を取り付けた。フラスコは自動温度調節制御された油槽内に置かれ、PTFE/ガラス機械攪拌機を備えた。脱イオン水(900g)をフラスコに添加した。次に1.10gの硫酸ドデシルナトリウム(SDS)および3.51gの7%KH2PO4溶液(KOHを使用してpH約7に中和させた)を添加した。300rpmで撹拌しながらフラスコを85℃に加熱した。11gのエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)架橋剤(3.96重量%に相当する)と共に、126gのn-ブチルメタクリレート(BMA)と、88gのメチルメタクリレート(MMA)と、MMA中25重量%の2-(2-オキソ-1-イミダゾリジニル)エチルメタクリレート(UMA)53gとのモノマー混合物を別個のフラスコ内で調製した。(前と同様、供給されたままのモノマー中に製造元が含有させた一切の抑制剤を除去することは行われなかった。)モノマー混合物約80mLを丸底フラスコに添加し、10分間平衡させた。次に、9gの水に溶解した0.48gの過硫酸アンモニウム(APS)開始剤を添加した。継続的に撹拌しながらおよび窒素ヘッド下で、シリンジポンプを使用して、残りのモノマー混合物を80分間にわたって供給した。反応体をさらに5時間にわたって85℃で撹拌し、その後、得られたエマルションは非常に白みがかって見え、モノマーの臭気は少なかった。エマルションをミルク紙で濾過して凝固剤を除去し、次にアルミニウムパン内に注ぎ、ヒュームフード内で2日間気乾させた。得られたフレーク状のミクロゲル固形分を乳鉢および乳棒またはボールミル粉砕のいずれかで機械的に粉砕して、ペースト調合中に後になって容易に分散され得る微粉をもたらした。
【0095】
実施例5
ポリマー溶液/分散体の調製
ここに記載したペースト組成物中への確実な導入および混合を促進するために、典型的に様々なポリマーまたはミクロゲルを適した溶液または分散体中で調製する。これらの溶液/分散体を製造するための代表的な方法を以下に提供する。
【0096】
500mL容器に空気駆動オーバーヘッド攪拌機、窒素パージ、および熱電対を取り付ける。容器の下半分を循環シリコーン油槽内に置き、調製温度を制御する。適切な溶媒を容器に添加する。次に(通常は微粉の形態の)ポリマー樹脂またはミクロゲルの必要量をゆるやかに撹拌しながら容器にゆっくりと添加する。添加後、油槽の温度を80oCに上げる。混合物を窒素パージ下において80oCで1~6時間撹拌させておき、その時間中に材料は溶解してポリマー溶液を生じるかまたは分散された。ミクロゲルは、典型的にこれらの条件下で膨潤し、分散されるが溶解しない。撹拌を増やしながら90oCでの最終的な時間がミクロゲル調製試料のために有利に用いられ、粒子が十分に膨潤されかつよく分散されることを確実にする。当業者は、この処理において使用される温度および時間がある程度調節されてもよく、例えば110~120oCまでの温度を用いてもよいことを理解するであろう。
【0097】
表Iに記載された溶液または分散体は、指示された量により、前述の種類の方法を使用して調製される。調製試料P7は、BzMAのために使用される条件および量(実施例3)と同様の条件および量を使用する方法で製造されるi-BMAポリマーを使用して調製される。調製試料P8は、実施例2に一般的に説明されたように調合されたが、2重量%のEGDMA架橋剤を0.25重量%の代わりに使用した。調製試料P10のミクロゲルは、全モノマーの約0.06重量%のAPS開始剤量を使用して調合されたが、他のミクロゲルは約0.18重量%を使用して調合された。調製試料P11~P14は、実施例3に一般的に説明されたように調合されたが、記載されたEGDMAの量を使用した。
【0098】
【0099】
実施例6~16
比較例CE1
ポリマーとミクロゲルとを含有する導電性ペースト組成物の調製
特に断りがない限り、実施例6~16の導電性ペースト組成物は、表IIに示される調合物を使用して以下の一般的な方法で調製されてもよい。ポリマー溶液/分散体(実施例5において調製され、表Iに記載される)、それぞれの実施例において示される溶媒、チキソトロープ剤、および界面活性剤の必要量(g)を秤量し、次に適したミキサー内で混合して有機ビヒクルを形成する。実施例5に説明されるように、多くの場合、撹拌しながらやや高温に加熱することによって樹脂を指示された濃度で溶媒中に事前に予備分散させ、次に室温に冷却した。指示された量の無機固形分、すなわちガラスフリット、銀粉末、およびフリット添加剤を添加し、ミキサー内でさらに混合してペースト組成物を形成する。使用されるガラスフリットはPb-Te-O系フリットであるが、他の有鉛および無鉛フリットも使用され得る。銀粉末はペースト組成物の固形分の主部分であるため、それは、通常、段階的に増量しながら添加され、添加するたびに混合してより良好な浸潤を確実にする。例えば、遊星形遠心Thinky(登録商標)ミキサー(Thinky(登録商標)USA、Inc.(LagunaHills,CA)から入手可能)が適しているであろう。前述の混合工程のそれぞれをThinky(登録商標)ミキサー内において2000rpmで30秒間実施してもよい。
【0100】
よく混合された後、ペースト組成物は、0~400psi(約2.76MPa)に徐々に増加される圧力で25μm間隙を有する三本ロール練り機を繰り返し通過される。適した練り機は、Charles Ross and Son(Hauppauge,NY)から入手可能である。
【0101】
2種以上の銀粉末が配合において使用される場合、より小さいd50を有する銀が好ましくは最初に混合される。次に、より大きいd50を有する銀粉末が混合される前にこの試料をロール練りする。第2の銀粉末が添加された後、同じミルパラメータを使用して最終ペースト組成物を再び練る。
【0102】
それぞれのペースト組成物の分散度は、ASTM International(West Conshohocken,PA)によって発表され、参照によって本明細書に組み込まれる、ASTM標準試験法D1210-05に従って商用の磨砕度(FOG)ゲージ(例えば、Precision Gage and Tool(Dayton,Ohio)から入手可能なゲージ)を使用して測定されてもよい。得られたデータは、通常、検出される最大粒径がXμmであり、メジアン径がYμmであることを意味する、X/Yとして示されるFOG値として表される。実施形態において、本ペースト組成物のFOG値は、典型的に20/10以下であり、それは、通常、良好な印刷適性のために十分であることが見出されている。
【0103】
通常、加工されたペースト組成物は、細線をスクリーン印刷するために適した粘度を得るために必要に応じて少量の溶媒を加えることにより、印刷前に調節される。粘度の値は、#14スピンドルおよび#6カップのBrookfield粘度計(Brookfield,Inc.,Middleboro,MA)を用いて得てもよい。典型的に、(10rpm/3分で測定されたとき)約300Pa・sの最終粘度が良好なスクリーン印刷の結果をもたらすことが見出されているが、精密印刷装置およびパラメータに応じて、いくつかの別形、例えば±50Pa・s以上が許容範囲である。
【0104】
また、表IIは配合固形分の値を記載し、それは含有される銀粉末、ガラスフリット、および任意のフリット添加剤の総量から計算されてもよく、または配合ペースト組成物を灰化することによって測定されてもよい。
【0105】
【0106】
実施例17
線広がりの特性決定
15μmのエマルション厚さおよび3本のより幅が広めの母線から延在する複数の幅35μmの指線を使用し、Dynamesh360/16スクリーンを利用して実施例6~16および比較例CE1のペースト組成物をスクリーン印刷して、6インチ平方のInventec多結晶p型シリコンウエハー上に導電性構造物を提供した。
【0107】
次に、印刷されたペースト組成物は、例えば150℃の強制空気対流炉内で10分間または印刷されたウエハーを350℃のピーク温度設定値を有する複数領域ベルト炉を通過させることによって乾燥される。乾燥後、ウエハーは、それらを適したピーク温度設定値を有する複数領域ベルト炉を通過させることによって焼成される。この加熱によりペースト組成物の有機構成成分が熱分解されるかあるいは他の方法で除去され、さらに、銀粉末を焼結して下にあるシリコン基材に付着させ、それによって完成導電性構造物を製造する。実施形態においてピーク温度設定値は、特定の印刷パラメータおよびペースト組成物に応じて、最高温領域において885oC~930oCであってもよい。
【0108】
導電性構造物の指線部分の線寸法は、LaserTec H1200共焦点顕微鏡によって確認される。工程および反復プログラムを使用して、ウエハーの面積全体にわたり、印刷された指線寸法の30の測定値を得る。全平均を30の個々の測定値から計算して、それぞれの特定の試験条件について平均線寸法を得る。ペースト乾燥工程後および焼成工程後、印刷されたのみのウエハー上の指線の線寸法を得てもよい。このように測定される線広がり挙動は、実施例6および比較例CE1のペースト組成物を使用してSiウエハー上に製造される電極について表IIIに示される。
【0109】
【0110】
実施例18
太陽電池の電気特性決定
実施例17に説明されるように製造される前面電極を使用する太陽電池の電気性能が提供される。光変換効率の測定値は、Berger光電池試験機などの適した試験装置を使用して特性決定される。試験機内のXeアーク灯は、1太陽の公知の強度を有する直射日光をシミュレートし、電池の前面を照らす。試験機は4点接触法を使用して約400の負荷抵抗設定で電流(I)および電圧(V)を測定し、電池のI-V曲線を求める。充填比(FF)および効率(Eff)の両方とも、工業標準に準じた電池によって得られた相当する値へ正規化されて、I-V曲線から計算される。全平面、裏面電極は、例えばp型導体のためのSolamet(登録商標)PV381アルミニウムペーストおよび裏面にタブをつける銀組成物としてSolamet(登録商標)PV502などの市販のペースト組成物によって作製される。Solamet(登録商標)ペーストはE.I.DuPont de Nemours and Company(Wilmington,DE)から入手可能であるが、PASE-1206ペーストはMonocrystal(Stavropo,Russia)から市販されている。
【0111】
それぞれの組成物のために、電池は一連のピーク設定温度で焼成される。最良の温度で得られた電気データが実施例6および12~16のペースト組成物を使用して作製された電池について表IVに示される。(2つ異なる焼成条件下で取られた)比較例CE1のペースト組成物を使用して製造された電池のデータも提供される。
【0112】
【0113】
実施例19
線印刷適性の特性決定
本ペースト組成物が細線を解像する能力は、15μmエマルション厚さおよび5μm間隔で幅が40~20μmの範囲の複数の指線を使用して、Murakami360/16可変幅スクリーンを利用して印刷することによって確認される。可変幅設計は、6インチ(約150mm)平方のパターンの面積にわたって4回繰り返される。ペーストはSiウエハー上に印刷され、上述の方法に従って焼成される。線の完全性は、印刷されたおよび焼成されたウエハーのエレクトロルミネセンス画像を使用して判断される。ペーストは、可変幅パターンの40μm線がエレクトロルミネセンス画像の目視検査によって確認時に弁別される場合、細線を解像することができると見なされる。実施例7~11および比較例CE1のペーストの細線印刷適性の結果の概要が表Vに記載される。
【0114】
【0115】
実施例20~24
ミクロゲル含有導電性ペースト組成物の調製
ミクロゲル含有導電性ペースト組成物は、上述の実施例6~16に記載された方法と同様の方法を使用して調製される。(実施例5において調製されたように)溶媒中のBzMAミクロゲルの分散体またはi-BMAを調製し、および実施例21~24のために、表VI(g単位の量)に示された比率(g)で、Thixatrol MAX(登録商標)チキソトロープ剤およびDuomeen TDO(登録商標)界面活性剤をさらに組み合わせる。次に、この有機ビヒクルをAg-A、Pb-Te-Oガラスフリット、およびLiRuO3フリット添加剤を含有する予め組み合わせられた無機物と段階的に増量しながら混合してペースト組成物を形成する。必要に応じて付加的な溶媒を添加して、スクリーン印刷のために適した粘度を得る。粒子分散体の特性決定をして磨砕度を求める。
【0116】
【0117】
実施例25
ミクロゲル含有導電性ペースト組成物のスクリーン印刷
AMI-Presco(AMI,NorthBranch,NJ)MSP-485半自動スクリーン印刷機を使用して実施例20~24において調製されたペースト組成物を結晶シリコンウエハーの前面上にスクリーン印刷した。ウエハーはE-Ton Solar Tech Corporation(Tainan Township,Taiwan)から得られ、ホウ素ドープトp型ベースおよび高リンドープト前面エミッターを有するp型光電池の組立のために指定され、約65Ω/sqの表面抵抗率を有する。
【0118】
便宜上、印刷は、別記しない限り、ダイアモンドブレードソーを使用して大きい出発ウエハー(例えば、約156mm×156mm平方のウエハー、約200μm厚)をさいの目に切ることによって作製された約28mm×28mmの「切断」ウエハーを使用して実施される。このような28mm×28mmの電池の電気性能は、エッジ効果によって影響されることが知られており、それは、典型的に、フルサイズのウエハーによって得られるものから約1~3%も光電池の全効率を低下させる。慣例的に適用されるSiNx:H反射防止コーティング(ARC)がウエハーの前側(太陽の方に向いている)主面上に存在している。
【0119】
母線から垂直に延在している18の指線(ピッチ約0.20cm)を含むくし状パターンでそれぞれのウエハー上に導電性構造物が形成される。使用される印刷スクリーンは、指線領域に幅約30μmの開口を有する。
【0120】
それぞれの構造物の指線部分の一部を示す光学顕微鏡写真が
図2に示され、実施例20~24ペーストのそれぞれを使用して細線を印刷し得ることを実証する。
【0121】
実施例26~33
ミクロゲルを含有する導電性ペースト組成物の調製
別の一連のミクロゲル含有導電性ペースト組成物が、上述の実施例6~16および20~24に記載される方法と同様の方法を使用して調製される。(実施例4において調製されるように)溶媒中のBMA/MMA/UMAまたはBMA/MMAミクロゲルのいずれかの分散体を調製するが、ただし実施例32~33について、ミクロゲル分散体は、他の実施例において使用される0.25%の代わりに4.0重量%のEGDMA架橋剤を使用して調製される。実施例28~33について、指示された界面活性剤とThixatrol MAX(登録商標)チキソトロープ剤とを表VIIに示された比率でミクロゲル分散体にさらに組み合わせる。次に、この有機ビヒクルを銀粉末、ガラスフリット、およびLiRuO3フリット添加剤を含有する予め組み合わせられた無機物と段階的に増量しながら混合してペースト組成物を形成する。付加的な溶媒を必要に応じて添加して、スクリーン印刷のために適した粘度を得る。
【0122】
【0123】
実施例34
太陽電池の製造および電気特性決定
上述の実施例25に示される方法と同等の方法を使用して、実施例26~33の導電性ペースト組成物をpベース型シリコン太陽電池ウエハーの前面のPドープトエミッター上にスクリーン印刷し、乾燥および焼成して母線とそれから延在する複数の細線指線とを含む導電性構造物を形成する。得られた太陽電池は標準太陽電池試験装置を使用して試験され、高い光変換効率を示すことが見出されている。
【0124】
実施例35~39
ミクロゲルを含有する導電性ペースト組成物の調製
以下の表VIIIに示されるように、一連のミクロゲル含有導電性ペースト組成物が、上の実施例6~16、20~24、および26~33に記載された方法を使用して、重量パーセントによって指示された量によって実施例35~39として調製される。少量の溶媒を保持して、粘度をスクリーン印刷に適したレベルに調節することを可能にする。指示された2つの条件下で測定される組成物の粘度も記録される。この違いは良好なずり減粘を示す。
【0125】
【0126】
実施例40
太陽電池の製造および電気特性決定
実施例35~39のペースト組成物がp型太陽電池の製造のために定められるシリコンウエハーの前面上にスクリーン印刷される。全てが、焼成されて太陽電池電極として機能する導電性構造物を製造することができる細線(40μm以下)の堆積をもたらす。このように製造された電池は高いエネルギー変換効率を示す。
【0127】
実施例41~46
比較例CE2
異なる架橋剤量を有するミクロゲル組成物を含有する導電性ペースト組成物の調製および試験
2重量%または4重量%のいずれかのEGDMA架橋剤を使用して製造されたBMA/MMA/UMAミクロゲルを含むペースト組成物が実施例41~46として調製され、それらは表IXに示される。また、これらの調合物において溶媒の量が変化される。
【0128】
実施例41~46のペースト組成物を使用して、Solartech多結晶ウエハー上に製造される光電池の前面電極を作製する。3本のより大きい母線からぶら下がる幅35μmの110の指線を有するMurakamiスクリーンを使用するMicrotec半自動スクリーンプリンターを利用してペースト組成物がウエハー上に適用される。Monocrystal(Stavropol,Russia)から市販されているPASE-1206アルミニウム系金属化ペーストを使用して全アルミニウム裏平面をスクリーン印刷することによって裏面電極が形成される。印刷後、堆積されたペースト組成物を箱形炉内で乾燥させる。ウエハーを焼成するため、それらをピーク設定温度が885℃~930℃である複数領域Despatch炉を通過させる。また、電池は比較例CE2のペースト組成物を使用して製造される。焼成後のこれらの電池の電気的性質は、実施例18において上に記載されたように得られ、表IXに同様に示されるデータを与える。
【0129】
【0130】
実施例47~48
比較例CE3
複数のミクロゲルを含有する導電性ペースト組成物の調製および試験
異なる組成を有する複数のミクロゲルを含有するペースト組成物を表Xに示されるように実施例47~48として調製した。
【0131】
【0132】
実施例47~48のペースト組成物を使用して、実施例41~46について上に記載された手順を使用してSolar Tech多結晶ウエハー上に製造される光電池の前面電極を作製するが、ただし、ペースト堆積後の乾燥はUltraFlex赤外線ベルト炉内で実施される。また、比較例CE1のペースト組成物の別のバッチを使用して比較例CE3のために電池を製造する。焼成後のこれらの電池の電気的性質は実施例41~46において上に記載されたように得られ、表XIに示されるデータを与える。
【0133】
【0134】
実施例49~51
ミクロゲル導電性ペースト組成物の調製および試験
BMA/MMA/UMAミクロゲルを含むペースト組成物が実施例49~51として調製される。最初に、ミクロゲルエマルションポリマーは、0.25重量%および4重量%のEGDMA架橋剤を使用して、上の実施例2および4に記載されたように製造される。テキサノールとBCA溶媒との1:1混合物中のこれらのポリマーの懸濁液(それぞれ15および20重量%のポリマー)が実施例5におけるように調製され、次に上の実施例6~16において一般的に説明された技術を使用して、表XIIに示される量(g)で残りの成分と組み合わせられる。
【0135】
【0136】
実施例49~51のペースト組成物は、上記の実施例25に示された方法を使用して単結晶シリコンウエハー上にスクリーン印刷される。実施例49および50のペースト組成物は優れた剪断ずり減粘レオロジー挙動を示し、幅30μmの線開口を有するスクリーンを通して容易にスクリーン印刷され、印刷後で焼成前に、それぞれ幅約38μmおよび40μmの良品質の細い堆積されたトレースを生じることが見出されている。より低いミクロゲル含有量の実施例51のペースト組成物は、より少ない程度までのみずり減粘を示し、印刷がいっそう難しく、いくつかの線の破断を示す堆積線を生じる。
【0137】
このように本発明をかなり詳細に説明してきたが、この詳細は厳格に固執される必要はなく、しかし、さらなる変化形態および変更形態が当業者に想定され、全て添付された特許請求の範囲に定義される通りに本発明の範囲に入ることが理解される。
【0138】
数値の範囲が本明細書で列挙または規定されるが、その範囲は、その端点ならびにその範囲内の個別の整数および分数の全てを含み、かつまたあたかもより狭い範囲のそれぞれが明示的に列挙されるのと同じ程度に、記載された範囲内の値のより大きい群の下位群を形成する、端点ならびに内側の整数および分数の様々な可能な組合せの全てによって形成されるより狭い範囲のそれぞれを含む。数値の範囲が述べられた値よりも大きいと本明細書で述べられる場合、その範囲は、それにもかかわらず、有限であり、本明細書で記載される通り、本発明に関連して操作可能である値によってその上側端で拘束される。数値の範囲が、述べられた値よりも小さいと本明細書で述べられる場合、その範囲は、それにもかかわらず、ゼロでない値によってその下側端で拘束される。
【0139】
本明細書において、特に明示的に述べられないか、または使用に関連して反対に示されない限り、本明細書の主題の実施形態が、ある特定の特徴または要素を含む、包含する、含有する、有する、それらからなる、またはそれらによってもしくはそれらから構成されると述べられまたは記載される場合、明示的に述べられたまたは記載されたものに加えて、1つ以上の特徴または要素が実施形態で存在してもよい。しかしながら、本明細書の主題の代わりの実施形態が、ある特定の特徴または要素から本質的になると述べられまたは記載されてもよく、この実施形態では、操作の原理または実施形態の際立った特性を実質的に変更する特徴および要素はそこに存在しない。本明細書の主題のさらなる代わりの実施形態が、ある特定の特徴または要素からなると述べられまたは記載されてもよく、この実施形態またはその実態のない変形形態では、具体的に述べられまたは記載された特徴または要素のみが存在する。さらに、用語「含む」は、用語「から本質的になる」および「からなる」によって包含される例を含むことが意図される。同様に、用語「から本質的になる」は、用語「からなる」によって包含される例を含むことが意図される。
【0140】
本明細書において、いくつかの場合、ポリマー(ミクロゲルとして調製されるものを含める)は、ポリマーを製造するために使用されるモノマーまたはそれらの量に言及することによって説明されることは理解されるはずである。このような説明は、最終ポリマーを説明するために使用される特定の専門用語を含まなくてもよく、またはプロダクトバイプロセス用語が入ってなくてもよいが、モノマーおよび量への任意のこのような言及は、ポリマーがそれらのモノマー(すなわち、それらのモノマーの共重合単位)またはモノマーのその量、ならびに相当するポリマーおよびそれらの組成物を含むことを意味すると解釈されるべきである。
【0141】
量、濃度、または他の値もしくはパラメータが、範囲、好ましい範囲、または上側の好ましい値および下側の好ましい値のリストとして与えられる場合、これは、範囲が別個に開示されるかどうかにかかわらず、任意の上側範囲限界または好ましい値、および任意の下側範囲限界または好ましい値の任意の対から形成された範囲の全てを具体的に開示すると理解されるべきである。数値の範囲がここに記載される場合、別記しない限り、範囲は、それらの端点ならびに範囲内の全ての整数および分数を含めるものとする。範囲を規定するときに記載された特定の値に本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0142】
本明細書において、特に別に述べられないか、または使用に関連して反対に示されない限り、
(a)本明細書で列挙される量、サイズ、範囲、処方、パラメータ、ならびに他の量および特性は、特に用語「約」によって修飾される場合、必要ではないが正確であってもよく、また近似値であってもよく、および/または許容範囲、換算係数、四捨五入、測定誤差等を反映して、記載された値より(必要に応じて)大きいかまたは小さくてもよく、ならびに本発明に関連して、表記値に機能的および/または操作可能な均等性を有するそれ以外のそれらの値を表記値の範囲内で包含してもよく、および
(b)部、パーセンテージ、または比の全ての数量が重量部、重量パーセンテージ、または重量比として与えられ、記載された重量部、重量パーセンテージ、または重量比は合計100になってもならなくてもよい。