(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】PMVKを有効成分として含む放射線抵抗性癌診断用または放射線治療予後予測用バイオマーカー組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7088 20060101AFI20221031BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20221031BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20221031BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221031BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221031BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221031BHJP
A61K 39/395 20060101ALN20221031BHJP
A61K 38/02 20060101ALN20221031BHJP
【FI】
A61K31/7088 ZNA
A61K31/713
A61K31/7105
A61P35/00
A61P43/00 111
A61K45/00
A61K39/395 N
A61K39/395 D
A61K38/02
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021111826
(22)【出願日】2021-07-05
(62)【分割の表示】P 2020546259の分割
【原出願日】2018-11-21
【審査請求日】2021-07-12
(31)【優先権主張番号】10-2017-0156320
(32)【優先日】2017-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0143493
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520178685
【氏名又は名称】エンハンストバイオ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ENHANCEDBIO INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173473
【氏名又は名称】高井良 克己
(72)【発明者】
【氏名】チョイ ウンギョン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ソンユン
(72)【発明者】
【氏名】ソン シヨル
(72)【発明者】
【氏名】パク ユンヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク ソクスン
(72)【発明者】
【氏名】ジュ ウンジン
(72)【発明者】
【氏名】コ ウンジュン
【審査官】吉川 阿佳里
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0363816(US,A1)
【文献】国際公開第2005/067391(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61P 1/00-43/00
A61K 45/00-45/08
A61K 39/00-39/44
A61K 38/00-38/58
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスホメバロン酸キナーゼ(PMVK)タンパク質の
発現抑制剤を有効成分として含
み、前記PMVKタンパク質の発現抑制剤は、PMVK遺伝子のmRNAに相補的に結合するアンチセンスヌクレオチド、小さな干渉RNA(siRNA)及び短ヘアピンRNA(shRNA)で構成された群から選択された何れか1つであることを特徴とする肺癌細胞または膵臓癌細胞に対する放射線敏感性増進用薬学組成物。
【請求項2】
(1)
肺癌細胞または膵臓癌細胞から選択される癌細胞に試験物質を接触させる段階と、
(2)前記試験物質を接触した癌細胞でPMVKタンパク質の発現または活性程度を測定する段階と、
(3)対照群試料と比較して、前記PMVKタンパク質の発現または活性程度が減少した試験物質を選別する段階と、
を含む
肺癌細胞または膵臓癌細胞から選択される癌細胞に対する放射線敏感性増進剤スクリーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスホメバロン酸キナーゼ(phosphomevalonate kin
ase;PMVK)タンパク質またはそれをコーディングする遺伝子を有効成分として含
む放射線抵抗性癌診断用バイオマーカー組成物及びそれを用いた放射線抵抗性癌診断方法
に関する。また、PMVKを有効成分として含む癌患者の放射線治療予後予測用バイオマ
ーカー組成物及びそれを用いた癌患者の放射線治療予後予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
癌の治療方法には、外科的手術、化学的薬物治療、放射線治療などがあり、最近、放射
線治療の重要性がさらに大きくなっている。外科的手術が難しい場合、放射線治療のみで
も腫瘍を効率的に完治した事例が報告されており、放射線を利用した腫瘍治療方法も、毎
年発展しており、放射線治療は、患者に特別な苦痛や拒否感なしに体内の腫瘍を効率的に
治療することができる方法として位置づけられている。
【0003】
しかし、癌細胞の放射線耐性獲得、高線量の放射線治療時に、正常組織の損傷などが放
射線治療の効率を低下させる問題点として指摘されており、放射線治療の効率を増進させ
るための放射線治療敏感剤についての研究が必要な実情である。現在まで報告された放射
線治療敏感剤は、主に抗癌剤であって、例えば、タキソール(taxol)とシスプラチ
ン(cisplatin)とが乳癌、子宮癌、肺癌、胃癌、大腸癌などの固形癌で放射線
治療敏感剤として使われると報告されている。しかし、これらの放射線治療敏感剤は、そ
れ自体が抗癌剤として使われる物質であって、高い副作用を示すので、その利用が制限的
であるという問題点がある。
【0004】
したがって、このような既存の放射線治療敏感剤の限界を超えて、放射線治療結果を予
測するだけではなく、放射線抵抗性を有する細胞に敏感性を増加させるための分子信号に
ついての研究が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、PMVKを有効成分として含む放射線抵抗性癌診断用バイオマーカー
組成物、PMVKの発現レベルを測定することができる製剤を有効成分として含む放射線
抵抗性癌診断用組成物を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、PMVKを有効成分として含む癌患者の放射線治療予後予測用バ
イオマーカー組成物、PMVKの発現レベルを測定することができる製剤を有効成分とし
て含む癌患者の放射線治療予後予測用組成物を提供することである。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、PMVKタンパク質の発現または活性抑制剤を有効成分と
して含む癌細胞に対する放射線敏感性増進用薬学組成物を提供することである。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、PMVKタンパク質の発現及び活性レベルを利用した放射
線抵抗性癌診断方法及び癌患者の放射線治療予後予測方法を提供することである。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、PMVKタンパク質の発現レベルの測定を通じた癌細胞に
対する放射線敏感性増進剤スクリーニング方法を提供することである。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、放射線抵抗性癌診断のためのバイオマーカーであって、P
MVKタンパク質またはそれをコーディングする遺伝子の用途を提供することである。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、放射線抵抗性癌診断のためのPMVKの発現レベルを測定
することができる製剤の用途を提供することである。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、癌患者の放射線治療予後予測のためのバイオマーカーであ
って、PMVKタンパク質またはそれをコーディングする遺伝子の用途を提供することで
ある。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、癌患者の放射線治療予後予測のためのPMVKの発現レベ
ルを測定することができる製剤の用途を提供することである。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、癌細胞に対する放射線敏感性の増進のための薬剤を製造す
るためのPMVKタンパク質の発現または活性抑制剤の用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を果たすために、本発明は、ホスホメバロン酸キナーゼ(PMVK)タンパク
質またはそれをコーディングする遺伝子を有効成分として含む放射線抵抗性癌診断用バイ
オマーカー組成物を提供する。
【0016】
また、本発明は、PMVKの発現レベルを測定することができる製剤を有効成分として
含む放射線抵抗性癌診断用組成物及びそれを含む放射線抵抗性癌診断用キットを提供する
。
【0017】
前記他の目的を果たすために、本発明は、ホスホメバロン酸キナーゼ(PMVK)タン
パク質またはそれをコーディングする遺伝子を有効成分として含む癌患者の放射線治療予
後予測用バイオマーカー組成物を提供する。
【0018】
また、本発明は、PMVKの発現レベルを測定することができる製剤を有効成分として
含む癌患者の放射線治療予後予測用組成物及びそれを含む癌患者の放射線治療予後予測用
キットを提供する。
【0019】
前記さらに他の目的を果たすために、本発明は、ホスホメバロン酸キナーゼ(PMVK
)タンパク質の発現または活性抑制剤を有効成分として含む癌細胞に対する放射線敏感性
増進用薬学組成物を提供する。
【0020】
前記さらに他の目的を果たすために、本発明は、(1)癌患者から分離された試料から
PMVK遺伝子のmRNA発現レベルまたはPMVKタンパク質の発現レベルを測定する
段階;(2)前記PMVK遺伝子のmRNA発現レベルまたはPMVKタンパク質の発現
レベルを対照群試料と比較する段階;及び(3)前記PMVK遺伝子のmRNA発現レベ
ルまたはPMVKタンパク質の発現レベルが対照群試料よりも高い場合、放射線抵抗性癌
であると判断する段階;を含む放射線抵抗性癌診断に必要な情報を提供する方法を提供す
る。
【0021】
また、本発明は、(1)癌患者から分離された試料からPMVK遺伝子のmRNA発現
レベルまたはPMVKタンパク質の発現レベルを測定する段階;(2)前記PMVK遺伝
子のmRNA発現レベルまたはPMVKタンパク質の発現レベルを対照群試料と比較する
段階;及び(3)前記PMVK遺伝子のmRNA発現レベルまたはPMVKタンパク質の
発現レベルが対照群試料よりも高い場合、放射線治療予後が良くないと判断する段階;を
含む癌患者の放射線治療予後予測に必要な情報を提供する方法を提供する。
【0022】
前記さらに他の目的を果たすために、本発明は、(1)癌細胞に試験物質を接触させる
段階;(2)前記試験物質を接触した癌細胞でPMVKタンパク質の発現または活性程度
を測定する段階;及び(3)対照群試料と比較して、前記PMVKタンパク質の発現また
は活性程度が減少した試験物質を選別する段階;を含む癌細胞に対する放射線敏感性増進
剤スクリーニング方法を提供する。
【0023】
また、本発明は、放射線抵抗性癌診断のためのバイオマーカーであって、PMVKタン
パク質またはそれをコーディングする遺伝子の用途を提供する。
【0024】
また、本発明は、放射線抵抗性癌診断のためのPMVKの発現レベルを測定することが
できる製剤の用途を提供する。
【0025】
また、本発明は、癌患者の放射線治療予後予測のためのバイオマーカーであって、PM
VKタンパク質またはそれをコーディングする遺伝子の用途を提供する。
【0026】
また、本発明は、癌患者の放射線治療予後予測のためのPMVKの発現レベルを測定す
ることができる製剤の用途を提供する。
【0027】
また、本発明は、癌細胞に対する放射線敏感性の増進のための薬剤を製造するためのP
MVKタンパク質の発現または活性抑制剤の用途を提供する。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、ホスホメバロン酸キナーゼ(PMVK)タンパク質またはそれをコーディン
グする遺伝子を有効成分として含む放射線抵抗性癌診断用バイオマーカー組成物または放
射線治療予後予測用バイオマーカー組成物に関するものであって、ヒト肺癌細胞であるA
549細胞で放射線の敏感度を増進させるPMVK遺伝子を究明し、shRNAを用いて
A549細胞及び膵臓癌細胞であるMiapaca-2細胞を対象にして安定細胞株を構
築した後、細胞と動物実験を通じて放射線敏感度の増進効果を検証し、さらに臨床的デー
タ分析を通じてPMVKの過発現が放射線の抵抗性に寄与することを確認したので、人の
肺癌及び膵臓癌でPMVKを放射線抵抗性の克服のための治療標的遺伝子として活用する
ことができるので、PMVKを標的に放射線敏感度を高める遺伝子治療剤またはその他の
薬物を開発して、放射線治療の効果を一層増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施例において、ヒトキナーゼsiRNAライブラリースクリーニングを通じて放射線敏感度増進遺伝子PMVKを確認した結果を示した図面である(A:A549ヒト肺癌細胞株でヒトキナーゼsiRNAライブラリースクリーニングを通じて放射線敏感度増進遺伝子PMVKを確認した結果、B:PMVK siRNAによるPMVKタンパク質の発現抑制及び放射線処理時に、細胞生存率の減少結果を確認した結果である)。
【
図2】本発明の一実施例において、PMVK shRNA安定細胞株を構築し、該構築された細胞に放射線を処理して集落形成生存分析法を施行した結果を示した図面である(A:A549/shPMVK安定細胞株でPMVKタンパク質の発現抑制効果を確認した結果、B:A549/shPMVK安定細胞株で放射線が集落形成に及ぼす影響を確認した結果、C:Miapaca-2/shPMVK安定細胞株でPMVKタンパク質の発現抑制効果を確認した結果、D:Miapaca-2/shPMVK安定細胞株で放射線が集落形成に及ぼす影響を確認した結果である)。
【
図3】3A~3Dは、本発明の一実施例において、A549/shPMVK細胞移植マウスモデルでの放射線に対する効能評価に対する結果を示した図面である(
図3A:癌の成長を体積で示して比較したもの、
図3B:マウスの体重を比較したもの、
図3C:摘出された癌のサイズを比較したもの、
図3D:摘出された癌の重量を比較したものである)。
【
図4】本発明の一実施例において、肺癌患者群に放射線処理時に、PMVK発現による臨床的誘電体データの分析結果を示した図面である。
【
図5】本発明の一実施例において、Miapaca-2/shPMVK細胞移植マウスモデルでの放射線に対する効能評価に対する結果を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0031】
本発明は、ホスホメバロン酸キナーゼ(PMVK)タンパク質またはそれをコーディン
グする遺伝子を有効成分として含む放射線抵抗性癌診断用バイオマーカー組成物を提供す
る。
【0032】
望ましくは、前記バイオマーカー組成物は、既存に知られた放射線抵抗性バイオマーカ
ーを追加的にさらに含み、既存に知られた放射線抵抗性バイオマーカーは、CD133、
CD144及びCD24などがあるが、これらに制限されるものではない。
【0033】
本明細書において、用語「診断」は、特定疾病または疾患に対する一客体の感受性(s
usceptibility)を判定すること、一客体が特定疾病または疾患を現在有し
ているか否かを判定すること、特定疾病または疾患にかかった一客体の予後(progn
osis)を判定すること、またはセラメトリックス(therametrics)(例
えば、治療効能についての情報を提供するために、客体の状態をモニタリングすること)
を含む。
【0034】
また、本発明は、PMVKの発現レベルを測定することができる製剤を有効成分として
含む放射線抵抗性癌診断用組成物を提供する。
【0035】
詳細には、前記PMVKの発現レベルを測定することができる製剤は、前記PMVK遺
伝子に特異的に結合するプライマーまたはプローブ、前記PMVKタンパク質に特異的に
結合する抗体、ペプチド、アプタマーまたは化合物であるが、これらに制限されるもので
はない。
【0036】
前記癌は、肺癌または膵臓癌であるが、これらに制限されるものではない。
【0037】
また、本発明は、前記組成物を含む放射線抵抗性癌診断用キットを提供する。
【0038】
また、本発明は、ホスホメバロン酸キナーゼ(PMVK)タンパク質またはそれをコー
ディングする遺伝子を有効成分として含む癌患者の放射線治療予後予測用バイオマーカー
組成物を提供する。
【0039】
本明細書において、用語「予後予測」は、疾患の経過及び結果をあらかじめ予測する行
為を意味する。より具体的に、予後予測とは、疾患の治療後、経過は患者の生理的または
環境的状態によって変わり、このような患者の状態を総合的に考慮して、治療後、病の経
過を予測するあらゆる行為を意味するものと解釈される。
【0040】
本発明の目的上、前記予後予測は、癌患者の放射線治療後、疾患の経過及び完治の有無
をあらかじめ予想して、癌患者の無病生存率または生存率を予測する行為として解釈され
る。例えば、「予後が良い」と予測することは、放射線治療後、癌患者の無病生存率また
は生存率が高いレベルを示して、癌患者が治療される可能性が高いということを意味し、
「予後が悪い」と予測することは、放射線治療後、癌患者の無病生存率または生存率が低
いレベルを示して、癌患者から癌が再発するか、または癌によって死亡する可能性が高い
ということを意味する。
【0041】
また、本発明は、PMVKの発現レベルを測定することができる製剤を有効成分として
含む癌患者の放射線治療予後予測用組成物を提供する。
【0042】
この際、PMVKの発現レベルを測定することができる製剤は、前記PMVK遺伝子に
特異的に結合するプライマーまたはプローブ、前記PMVKタンパク質に特異的に結合す
る抗体、ペプチド、アプタマーまたは化合物である。
【0043】
前記癌は、肺癌または膵臓癌であるが、これらに制限されるものではない。
【0044】
また、本発明は、前記組成物を含む癌患者の放射線治療予後予測用キットを提供する。
【0045】
本明細書において、用語「プライマー」は、短い自由3末端水酸基(free 3’-
hydroxyl group)を有する核酸配列であって、相補的なテンプレート(t
emplate)と塩基対を形成し、テンプレート鎖のコピーのための開始地点として作
用する短い核酸配列を言う。プライマーは、適切な緩衝溶液及び温度で重合反応のための
試薬(すなわち、DNAポリメラーゼまたは逆転写酵素)及び異なる4種のヌクレオシド
三リン酸の存在下でDNA合成を開始することができる。PCR条件、センス及びアンチ
センスプライマーの長さは、当業者に公知の技術によって適切に選択されうる。
【0046】
本明細書において、用語「プローブ」は、mRNAに特異的に結合をなしうる短くは数
塩基ないし長くは数百塩基に該当するRNAまたはDNAなどの核酸断片を意味し、ラベ
リングされており、特定mRNAの存否、発現量を確認することができる。プローブは、
オリゴヌクレオチド(oligonucleotide)プローブ、一本鎖DNA(si
ngle strand DNA)プローブ、二本鎖DNA(double stran
d DNA)プローブ、RNAプローブなどの形態で製作することができる。適切なプロ
ーブの選択及び混成化条件は、当該技術分野に公知の技術によって適切に選択することが
できる。
【0047】
本明細書において、用語「抗体」は、当該技術分野に公知の用語であって、抗原性部位
に対して指示される特異的な免疫グロブリンを意味する。本発明での抗体は、本発明のP
MVKに対して特異的に結合する抗体を意味し、当該技術分野の通常の方法によって抗体
を製造することができる。前記抗体の形態は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル
抗体を含み、あらゆる免疫グロブリン抗体が含まれる。前記抗体は、2個の全長の軽鎖及
び2個の全長の重鎖を有する完全な形態を意味する。また、前記抗体は、ヒト化抗体など
の特殊抗体も含まれる。
【0048】
本明細書において、用語「ペプチド」は、標的物質に対する結合力が高い長所があり、
熱/化学処理時にも変性が起こらない。また、分子サイズが小さいために、他のタンパク
質に結合させて融合タンパク質への利用が可能である。具体的に、高分子タンパク質鎖に
結合させて利用可能なので、診断キット及び薬物伝達物質として用いられる。
【0049】
本明細書において、用語「アプタマー(aptamer)」とは、それ自体で安定した
三次構造を有しながら、標的分子に高い親和性と特異性とで結合することができる特徴を
有した特別な種類の一本鎖核酸(DNA、RNAまたは変形核酸)で構成されたポリヌク
レオチドの一種を意味する。前述したように、アプタマーは、抗体と同様に抗原性物質に
特異的に結合することができながらも、タンパク質よりも安定性が高く、構造が簡単であ
り、合成が容易なポリヌクレオチドで構成されているので、抗体を代替して使われる。
【0050】
また、本発明のキットは、マーカー成分に特異的に結合する抗体、基質との反応によっ
て発色する標識体が接合された2次抗体接合体(conjugate)、前記標識体と発
色反応する発色基質溶液、洗浄液及び酵素反応停止液などを含み、使われる試薬成分を含
む多数の別途パッケージングまたはコンパートメントで製作することができる。
【0051】
また、本発明は、ホスホメバロン酸キナーゼ(PMVK)タンパク質の発現または活性
抑制剤を有効成分として含む癌細胞に対する放射線敏感性増進用薬学組成物を提供する。
【0052】
詳細には、前記PMVK発現抑制剤は、PMVK遺伝子のmRNAに相補的に結合する
アンチセンスヌクレオチド、小さな干渉RNA(small interfering
RNA;siRNA)及び短ヘアピンRNA(short hairpin RNA;s
hRNA)で構成された群から選択された何れか1つであり、前記PMVK活性抑制剤は
、PMVKタンパク質に特異的に結合する低分子化合物、ペプチド、ペプチドミメティク
ス、アプタマー、抗体、及び天然物で構成された群から選択された何れか1つであるが、
これらに制限されるものではない。
【0053】
この際、前記癌細胞は、肺癌細胞または膵臓癌細胞である。
【0054】
本発明の薬学組成物は、化学物質、ヌクレオチド、アンチセンス、siRNAオリゴヌ
クレオチド及び天然物抽出物を有効成分として含みうる。本発明の薬学組成物または複合
製剤は、有効成分の以外に薬剤学的に適し、生理学的に許容される補助剤を使用して製造
可能であり、前記補助剤としては、賦形剤、崩壊剤、甘味剤、結合剤、被覆剤、膨張剤、
潤滑剤、滑沢剤または香味剤などの可溶化剤を使用することができる。本発明の薬学組成
物は、投与のために、有効成分の以外にさらに薬剤学的に許容可能な担体を1種以上含ん
で薬学組成物として望ましく製剤化することができる。液状溶液で製剤化される組成物に
おいて、許容可能な薬剤学的担体としては、滅菌及び生体に適したものであって、食塩水
、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、アルブミン注射溶液、デキストロース溶液、マルト
デキストリン溶液、グリセロール、エタノール及びこれらの成分のうち、1成分以上を混
合して使用し、必要に応じて抗酸化剤、緩衝液、静菌剤など他の通常の添加剤を添加する
ことができる。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤及び潤滑剤を付加的に添加し
て、水溶液、懸濁液、乳濁液のような注射用剤型、丸薬、カプセル、顆粒または錠剤で製
剤化することができる。
【0055】
本発明の薬学組成物の薬剤の製剤形態は、顆粒剤、散剤、被覆錠、錠剤、カプセル剤、
坐剤、シロップ、汁、懸濁剤、乳剤、点滴剤または注射可能な液剤及び活性化合物の徐放
出型製剤などになりうる。本発明の薬学組成物は、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、動
脈内、腹腔内、胸骨内、経皮、鼻側内、吸入、局所、直腸、経口、眼球内または皮内経路
を通じて通常の方式で投与することができる。本発明の薬学組成物の有効成分の有効量は
、疾患の予防または治療時に要求される量を意味する。したがって、疾患の種類、疾患の
重症度、組成物に含有された有効成分及び他の成分の種類及び含量、剤型の種類及び患者
の年齢、体重、一般健康状態、性別及び食餌、投与時間、投与経路及び組成物の分泌率、
治療期間、同時使われる薬物を含めた多様な因子によって調節される。これらに制限され
るものではないが、例えば、成人の場合、1日1回ないし数回投与時に、本発明の組成物
は、1日1回ないし数回投与時に、化合物である場合、0.1ng/kg~10g/kg
、ポリペプチド、タンパク質または抗体である場合、0.1ng/kg~10g/kg、
アンチセンスヌクレオチド、siRNA、shRNAi、miRNAである場合、0.0
1ng/kg~10g/kgの容量で投与することができる。
【0056】
しかも、本発明は、(1)癌患者から分離された試料からPMVK遺伝子のmRNA発
現レベルまたはPMVKタンパク質の発現レベルを測定する段階;(2)前記PMVK遺
伝子のmRNA発現レベルまたはPMVKタンパク質の発現レベルを対照群試料と比較す
る段階;及び(3)前記PMVK遺伝子のmRNA発現レベルまたはPMVKタンパク質
の発現レベルが対照群試料よりも高い場合、放射線抵抗性癌であると判断する段階;を含
む放射線抵抗性癌診断に必要な情報を提供する方法を提供する。
【0057】
また、本発明は、(1)癌患者から分離された試料からPMVK遺伝子のmRNA発現
レベルまたはPMVKタンパク質の発現レベルを測定する段階;(2)前記PMVK遺伝
子のmRNA発現レベルまたはPMVKタンパク質の発現レベルを対照群試料と比較する
段階;及び(3)前記PMVK遺伝子のmRNA発現レベルまたはPMVKタンパク質の
発現レベルが対照群試料よりも高い場合、放射線治療予後が良くないと判断する段階;を
含む癌患者の放射線治療予後予測に必要な情報を提供する方法を提供する。
【0058】
この際、前記癌は、肺癌または膵臓癌であるが、これらに制限されるものではない。
【0059】
本明細書において、用語「癌患者から分離された試料」とは、放射線抵抗性癌診断用バ
イオマーカーである前記PMVK遺伝子またはPMVKタンパク質の発現レベルにおいて
、対照群と差が出る組織、細胞、全血、血清、血しょう、唾液、喀痰、脳脊髄液、または
尿のような試料を含むが、これらに限定されるものではない。
【0060】
詳細には、前記mRNA発現レベルを測定する方法は、RT-PCR、競争的RT-P
CR(Competitive RT-PCR)、リアルタイムRT-PCR(Real
-time RT-PCR)、RNase保護分析法(RPA;RNase prote
ction assay)、ノーザンブロッティング(Northern blotti
ng)及びDNAチップを利用するが、これらに限定されるものではない。
【0061】
詳細には、前記タンパク質の発現レベルを測定する方法は、ウェスタンブロット、EL
ISA(enzyme linked immunosorbent asay)、放射
線免疫分析(Radioimmunoassay;RIA)、放射免疫拡散法(radi
oimmunodiffusion)、オクタロニー(Ouchterlony)免疫拡
散法、ロケット(rocket)免役電気泳動、組織免疫染色、免疫沈殿分析法(Imm
unoprecipitation assay)、補体固定分析法(Compleme
nt Fixation Assay)、FACS及びタンパク質チップを利用するが、
これらに限定されるものではない。
【0062】
本明細書において、「放射線抵抗性癌診断」は、癌患者の放射線治療戦略及び放射線治
療の効果に対する予測のために、癌細胞が放射線に抵抗性であるか、または敏感性である
かを確認するためである。
【0063】
また、本発明は、(1)癌細胞に試験物質を接触させる段階;(2)前記試験物質を接
触した癌細胞でPMVKタンパク質の発現または活性程度を測定する段階;及び(3)対
照群試料と比較して、前記PMVKタンパク質の発現または活性程度が減少した試験物質
を選別する段階;を含む癌細胞に対する放射線敏感性増進剤スクリーニング方法を提供す
る。
【0064】
本発明のスクリーニング方法を言及しながら使われる用語「試験物質」は、遺伝子の発
現量に影響を及ぼすか、タンパク質の発現または活性に影響を及ぼすか否かを検査するた
めに、スクリーニングで用いられる未知の候補物質を意味する。前記試料は、化学物質、
ヌクレオチド、アンチセンスRNA、siRNA(small interferenc
e RNA)及び天然物抽出物を含むが、これらに制限されるものではない。
【0065】
また、本発明は、放射線抵抗性癌診断のためのバイオマーカーであって、PMVKタン
パク質またはそれをコーディングする遺伝子の用途を提供する。
【0066】
また、本発明は、放射線抵抗性癌診断のためのPMVKの発現レベルを測定することが
できる製剤の用途を提供する。
【0067】
また、本発明は、癌患者の放射線治療予後予測のためのバイオマーカーであって、PM
VKタンパク質またはそれをコーディングする遺伝子の用途を提供する。
【0068】
また、本発明は、癌患者の放射線治療予後予測のためのPMVKの発現レベルを測定す
ることができる製剤の用途を提供する。
【0069】
また、本発明は、癌細胞に対する放射線敏感性の増進のための薬剤を製造するためのP
MVKタンパク質の発現または活性抑制剤の用途を提供する。
【0070】
以下、本発明の理解を助けるために、実施例を挙げて詳細に説明する。但し、下記の実
施例は、本発明の内容を例示するものであり、本発明の範囲が、下記の実施例に限定され
るものではない。本発明の実施例は、当業者に本発明をより完全に説明するために提供さ
れるものである。
【0071】
<実施例1>ヒトキナーゼsiRNAライブラリー(human kinases s
iRNA library)スクリーニングを通じた放射線敏感度増進遺伝子PMVK確
認
【0072】
1.実験方法
【0073】
A549ヒト肺癌細胞(ATCCから購入)でダーマコン(Dharmacon)si
GENOME(R) SMARTpool(R) siRNAライブラリー(718個のヒトタ
ンパク質キナーゼ:G-003505)を用いて放射線に対する敏感度を増進させる遺伝
子を3次にわたったスクリーニングを通じて掘り出した。
【0074】
具体的に、siRNAがそれぞれ50nMの濃度で存在する96ウェルプレートにリポ
フェクタミン(Lipofectamine(R))RNAiMAX試薬(Reagent
)(Invitrogen:13778-150)0.5μlを添加し、A549細胞を
0.3×104個でシーディングした後、24時間培養した。該培養された細胞に6-M
V光子線線形加速器(6-MV photon beam linear accele
rator)を用いて8Gyの放射線を処理した。放射線処理後、9日目にCCK-8ア
ッセイを通じて細胞の生存率を3次にわたって分析して、その結果、PMVK遺伝子が放
射線に対する敏感度と関連がある候補遺伝子であるという情報を獲得した。また、siR
NAライブラリーに存在するダーマコンsiGENOME(R) SMARTpool(R)ヒ
トPMVK siRNA(標的シーケンス(Target Sequences):UU
UAUCCGCUCCAGACUUU(配列番号1)、CGAGAACCAUGGAGU
UGAA(配列番号2)、AAUGUGGCCUGGACAACUU(配列番号3)、G
GUGAGUGACACACGGAGA(配列番号4);Cat# M-006782-
01)によるタンパク質のノックダウン(knock-down)の有無は、PMVK
siRNAが50nMの濃度で存在する24ウェルプレートにリポフェクタミン(Lip
ofectamine(R))RNAiMAX試薬(Invitrogen:13778-
150)1μlを添加し、A549細胞を3×104個でシーディングした後、24時間
培養した後、1つのウェルでタンパク質を抽出した後、PMVK抗体を利用したウェスタ
ンブロッティングを行うことで確認した。残った24ウェルには、放射線を5Gy、10
Gy処理した後、CCK-8アッセイを行って、細胞の生存率を再確認した。
【0075】
2.実験結果
【0076】
その結果、
図1Aに示されたように、PMVK siRNAをトランスフェクション(
transfection)した後、放射線を処理した時、siScramble(対照
群、標的シーケンス:UGGUUUACAUGUCGACUAA(配列番号5)、UGG
UUUACAUGUUGUGUGA(配列番号6)、UGGUUUACAUGUUUUC
UGA(配列番号7)、UGGUUUACAUGUUUUCCUA(配列番号8);ダー
マコン、非標的プール(Non-Targeting pool)、Cat# D-00
1810-10-20)に放射線を処理した時よりも細胞の生存率が著しく減少すること
を観察することができた。
【0077】
また、
図1Bに示されたように、ウェスタンブロッティング遂行結果、PMVK si
RNAによってタンパク質がノックダウンされたことを確認し、この際、放射線処理時に
細胞の生存率が減少することをもう一度確認した。
【0078】
したがって、このような結果に基づいてPMVK発現の減少が放射線の敏感度の増進に
関与すると判断した。
【0079】
<実施例2>PMVK shRNA安定細胞株の構築及び集落形成生存分析
【0080】
1.実験方法
【0081】
安定したPMVKのノックダウンのために、PMVK shRNA安定(stable
)細胞株をA549(肺癌)、Miapaca-2(膵臓癌;ATCCから購入)細胞に
構築した。具体的に、ダーマコンPMVK shRNA(Clone ID:V3LHS
_350080、成熟アンチセンス(Mature Antisense):TCTGA
CTCAGCATCGTCCA;配列番号9)をA549細胞とMiapaca-2細胞
とにFuGENE(R)トランスフェクション試薬(Tansfection Reage
nt)(Roche:REF 04 709 713 001)を使用してトランスフェ
クションさせた後、ピューロマイシン4μg/mlで15日間選択して、A549/sh
PMVK細胞(2個のクローン;A549/shPMVK#1及びA549/shPMV
K#3)とMiapaca-2/shPMVK細胞株(3個のクローン;Mia/shP
MVK#1、Mia/shPMVK#2、Mia/shPMVK#3)とを構築し、ウェ
スタンブロッティングを通じてPMVKタンパク質の発現量を確認した。
【0082】
また、このように構築されたA549/shPMVK安定細胞株とMiapaca-2
/shPMVK安定細胞株とが放射線の敏感度を増進させるかを調べるために、2つの細
胞株に放射線を処理した後、細胞集落形成生存分析法(colony forming
assay)を行った。すなわち、6ウェルプレートに細胞を200個または2000個
ずつシーディングした後、放射線を0、2、4、5、8、10Gyで処理し、7~14日
後、20%メタノールと0.5%クリスタルバイオレットとでコロニーを染色して個数を
カウンティングすることにより、定量的に分析した。
【0083】
2.実験結果
【0084】
その結果、
図2の(A)及び
図2の(C)に示されたように、親細胞(parent;
A549、Miapaca-2)と非沈黙対照群(Non-silencing con
trol;A549/NS、Miapaca-2/NS)とに比較した時、新たに構築さ
れたA549/shPMVK安定細胞株とMiapaca-2/shPMVK安定細胞株
とでPMVKタンパク質の発現が著しく減少したことを確認した。
【0085】
また、
図2の(B)及び
図2の(D)に示されたように、このように構築されたA54
9/shPMVK安定細胞株とMiapaca-2/shPMVK安定細胞株とを対象と
した細胞集落形成生存分析法の結果、集落形成が著しく減少することが分かった。
【0086】
<実施例3>A549/shPMVK細胞移植マウスモデルで放射線に対する効能評価
【0087】
1.実験方法
【0088】
生体内(in vivo)実験のために、ヌードマウス右側ふくらはぎにA549、A
549/NS、A549/shPMVK#1(配列番号9のshRNAでトランスフェク
ションされた安定A549細胞株)及びA549/shPMVK#3(配列番号9のsh
RNAでトランスフェクションされた安定A549細胞株)細胞1×106個をそれぞれ
移植して、癌組織を形成させた。以後、放射線5Gyを二日間隔で2回照射し、一週間に
3回キャリパーを用いてサイズを測定して、30日間の癌成長の変化を観察し、同時にマ
ウス体重も測定した後、30日である時、癌組織を摘出して、サイズと重量とを確認した
。この際、癌サイズは、下記式1に記載の通りに計算した。
【0089】
【0090】
2.実験結果
【0091】
その結果、
図3に示されたように、A549/shPMVK#1と#3とに放射線を処
理した時、A549またはA549/NSに放射線を処理したものよりも著しく癌成長を
阻害していることを確認し(
図3A及び
図3C)、この際、マウスの体重変化は見えなか
った(
図3B)。実験終了時点であらゆるマウスの癌組織を摘出して、癌重量を測定した
時も、A549/shPMVK#1と#3とに放射線を処理した癌組織の重量が最も少な
いことを確認した(
図3D)。
【0092】
<実施例4>臨床的誘電体データの分析
【0093】
1.実験方法
【0094】
PMVK発現と患者で生存率との関連性を調査するために、既存に報告された肺癌患者
群誘電体データ(GSE68465;NCBI.GEO、n=442)の分析を通じて生
存率を調査した。放射線処理患者群(n=65)とそうではない患者群(n=364)と
にそれぞれ分けた後、患者生存率をPMVKの発現によって調査した。
【0095】
2.実験結果
【0096】
その結果、
図4に示されたように、放射線処理患者群では、PMVKの発現が高い患者
群であるほど生存率が不良な一方、PMVKの発現が低い患者群に放射線治療した結果、
患者の生存率が向上することが分かった。しかし、放射線治療を行っていない患者群の場
合、PMVKの発現の有無と関係なく生存率に影響を与えないことを確認した。
【0097】
このような結果を通じてPMVKの発現と放射線治療時に、患者の生存率が密接な関係
があり、また、PMVKの抑制を通じて放射線治療時に、患者の生存率の向上に役に立つ
ことを確認した。
【0098】
<実施例5>Miapaca-2/shPMVK細胞移植マウスモデルで放射線に対す
る効能評価
【0099】
1.実験方法
【0100】
生体内実験のために、ヌードマウス右側ふくらはぎにMiapaca-2、Miapa
ca-2/NS、Miapaca-2/shPMVK#2(配列番号9のshRNAでト
ランスフェクションされた安定Miapaca-2細胞株)及びMiapaca-2/s
hPMVK#3(配列番号9のshRNAでトランスフェクションされた安定Miapa
ca-2細胞株)細胞2×106個をそれぞれ移植して、癌組織を形成させた。以後、放
射線2Gyを二日間隔で3回照射し、一週間に3回キャリパーを用いてサイズを測定して
、30日間の癌成長の変化を観察し、同時にマウス体重も測定して確認した。この際、癌
サイズは、下記式1に記載の通りに計算した。
【0101】
【0102】
2.実験結果
【0103】
その結果、
図5に示されたように、Miapaca-2/shPMVK#2と#3とに
放射線を処理した時、Miapaca-2またはMiapaca-2/NSに放射線を処
理したものよりも著しく癌成長を阻害していることを確認し(
図5の(A))、この際、
マウスの体重変化は見えなかった(
図5の(B))。
【0104】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳しく記述したところ、当業者において、このよう
な具体的な記述は、単に望ましい実施形態であり、これにより、本発明の範囲が制限され
るものではない点は明白である。すなわち、本発明の実質的な範囲は、下記の特許請求の
範囲とそれらの等価物とによって定義される。
【配列表】