(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】振動子ユニット
(51)【国際特許分類】
H04R 9/00 20060101AFI20221031BHJP
【FI】
H04R9/00 B
(21)【出願番号】P 2021188635
(22)【出願日】2021-11-19
(62)【分割の表示】P 2017167490の分割
【原出願日】2017-08-31
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000221926
【氏名又は名称】東北パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】加藤 利文
【審査官】西村 純
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-112158(JP,U)
【文献】特開2004-282680(JP,A)
【文献】特開平4-150297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の筐体本体、及びボイスコイルに連結された天板を有する筐体と、
ヨーク、マグネット及び該マグネットより上方に位置するプレートから成り、同軸上において前記筐体内に浮上した状態に配設された磁気回路と、
前記天板と前記磁気回路との間に位置する第1支持部材と、
前記筐体本体の底面と前記磁気回路との間に位置する第2支持部材と、を備え、
前記第1支持部材及び前記第2支持部材のうち少なくとも何れか一方は、断面形状が台形状となるように形成されていることを特徴とする振動子ユニット。
【請求項2】
前記第1支持部材及び前記第2支持部材の両方が、断面形状が台形状となるように形成され、
前記第1支持部材の長辺と、前記第2支持部材の長辺が、それぞれ前記磁気回路に当接することを特徴とする請求項1に記載の振動子ユニット。
【請求項3】
前記第1支持部材及び前記第2支持部材の両方が、断面形状が台形状となるように形成され、
前記第1支持部材の短辺と、前記第2支持部材の短辺が、それぞれ前記磁気回路に当接することを特徴とする請求項1に記載の振動子ユニット。
【請求項4】
前記磁気回路は、前記ヨークが、円板状の底板部と、この底板部の中心から立ち上がるように形成された柱部と、を一体に備えた外磁型磁気回路であり、
前記第1支持部材及び前記第2支持部材が、前記ヨークを挟んで上下に並んで設けられていることを特徴とする請求項1~3のうち何れか一項に記載の振動子ユニット。
【請求項5】
筒状の筐体本体、及びボイスコイルに連結された天板を有する筐体と、
ヨーク、マグネット及び該マグネットより上方に位置するプレートから成り、同軸上において前記筐体内に浮上した状態に配設された磁気回路と、
前記天板と前記磁気回路との間に位置する第1支持部材と、
前記筐体本体の底面と前記磁気回路との間に位置する第2支持部材と、を備え、
前記磁気回路を前記筐体と同軸に支持するサスペンションを備え、
前記磁気回路は、前記ヨークが、円板状の底板部と、この底板部の外縁から立ち上がるように形成された円筒状の筒部と、を一体に備えた内磁型磁気回路であり、
前記第1支持部材が、円環状に形成され、前記天板と前記ヨークの前記筒部との間に位置し、
前記第2支持部材が、円盤状に形成され、前記筐体本体の底面と前記底板部との間に位置していることを特徴とする振動子ユニット。
【請求項6】
前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、それぞれ、上下の各面の面積が略等しくなるように形成され、かつ、前記第1支持部材の前記各面の面積、及び前記第2支持部材の前記各面の面積が略等しくなるように形成されていることを特徴とする請求項5に記載の振動子ユニット。
【請求項7】
筒状の筐体本体、及びボイスコイルに連結された天板を有する筐体と、
ヨーク、マグネット及び該マグネットより上方に位置するプレートから成り、同軸上において前記筐体内に浮上した状態に配設された磁気回路と、
前記天板と前記磁気回路との間に位置する第1支持部材と、
前記筐体本体の底面と前記磁気回路との間に位置する第2支持部材と、を備え、
前記磁気回路は、前記ヨークが、円板状の底板部と、この底板部の外縁から立ち上がるように形成された円筒状の筒部と、を一体に備えた内磁型磁気回路であり、
前記第1支持部材が、円環状に形成され、前記天板と前記ヨークの前記筒部との間に位置し、
前記第2支持部材が、円盤状に形成され、前記筐体本体の底面と前記底板部との間に位置していることを特徴とする振動子ユニット。
【請求項8】
前記第1支持部材の内径寸法と前記第2支持部材の径寸法が略等しい寸法となるように形成されていることを特徴とする請求項5~7のうち何れか一項に記載の振動子ユニット。
【請求項9】
前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、所定の力に対する変形量が略等しいことを特徴とする請求項1~8のうち何れか一項に記載の振動子ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動子ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
人間に振動を感じさせる振動ユニットが知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の振動子ユニットは、ケース内に磁気回路構成体を支持部材で支持し、ケースに取り付けられたコイルに電流が流れることにより、磁気回路構成体が振動される。
【0003】
特許文献1に記載の振動子ユニットは、内蔵するボイスコイルに連結された円柱状の筐体と、マグネット、マグネットを挟んで対峙し、ボイスコイル用の磁気ギャップを構成するプレート及びポールヨークからなり、同軸上において筐体内に浮上した状態に配置させられた磁気回路構成体と、磁気回路構成体を筐体内部に支持するとともに磁気回路構成体の振動を支持させる複数の支持部材と、を備えている。
【0004】
特に特許文献1に記載の支持部材は、磁気回路構成体及び筐体に接着剤を用いて固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、定められた位置に均一に接着剤を塗布するのは困難であり、接着剤の塗布状態によっては、振動の減衰特性にばらつきが生じてしまう場合があった。
【0007】
このような振動子ユニットにおいては、電気信号に対する応答性の良さ、すなわち、磁気回路構成体の振動を適切に伝達させることに加え、適切に減衰させることも求められている。
【0008】
本発明が解決しようとする課題としては、上述した従来技術において生じる振動の減衰特性のばらつきという問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の振動子ユニットは、筒状の筐体本体、及びボイスコイルに連結された天板を有する筐体と、ヨーク、マグネット及び該マグネットより上方に位置するプレートから成り、同軸上において前記筐体内に浮上した状態に配設された磁気回路と、前記天板と前記磁気回路との間に位置する第1支持部材と、前記筐体本体の底面と前記磁気回路との間に位置する第2支持部材と、を備え、前記第1支持部材及び前記第2支持部材のうち少なくとも何れか一方は、断面形状が台形状となるように形成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の振動子ユニットは、筒状の筐体本体、及びボイスコイルに連結された天板を有する筐体と、ヨーク、マグネット及び該マグネットより上方に位置するプレートから成り、同軸上において前記筐体内に浮上した状態に配設された磁気回路と、前記天板と前記磁気回路との間に位置する第1支持部材と、前記筐体本体の底面と前記磁気回路との間に位置する第2支持部材と、を備え、前記磁気回路を前記筐体と同軸に支持するサスペンションを備え、前記磁気回路は、前記ヨークが、円板状の底板部と、この底板部の外縁から立ち上がるように形成された円筒状の筒部と、を一体に備えた内磁型磁気回路であり、前記第1支持部材が、円環状に形成され、前記天板と前記ヨークの前記筒部との間に位置し、前記第2支持部材が、円盤状に形成され、前記筐体本体の底面と前記底板部との間に位置していることを特徴とする。
請求項7に記載の振動子ユニットは、筒状の筐体本体、及びボイスコイルに連結された天板を有する筐体と、ヨーク、マグネット及び該マグネットより上方に位置するプレートから成り、同軸上において前記筐体内に浮上した状態に配設された磁気回路と、前記天板と前記磁気回路との間に位置する第1支持部材と、前記筐体本体の底面と前記磁気回路との間に位置する第2支持部材と、を備え、前記磁気回路は、前記ヨークが、円板状の底板部と、この底板部の外縁から立ち上がるように形成された円筒状の筒部と、を一体に備えた内磁型磁気回路であり、前記第1支持部材が、円環状に形成され、前記天板と前記ヨークの前記筒部との間に位置し、前記第2支持部材が、円盤状に形成され、前記筐体本体の底面と前記底板部との間に位置していることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施例にかかる振動子ユニットを示す断面図である。
【
図3】前記振動子ユニットの製造方法を説明するための図である。
【
図4】本発明の第2実施例にかかる振動子ユニットを示す断面図である。
【
図5】本発明の第3実施例にかかる振動子ユニットを示す断面図である。
【
図6】本発明の第4実施例にかかる振動子ユニットを示す断面図である。
【
図7】本発明の第4実施例にかかる振動子ユニットを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を説明する。本発明の実施形態に係る振動子ユニットは、筒状の筐体本体、及びボイスコイルに連結された天板を有する筐体と、ヨーク、マグネット及び該マグネットより上方に位置するプレートから成り、同軸上において筐体内に浮上した状態に配設された磁気回路と、天板と磁気回路との間に位置する第1支持部材と、筐体本体の底面と磁気回路との間に位置する第2支持部材と、を備えている。即ち、第1支持部材が天板と磁気回路との間に挟まれて保持され、第2支持部材が筐体本体の底面と磁気回路との間に挟まれて保持されている。これによれば、接着剤を用いずとも、第1支持部材及び第2支持部材を、適切な位置に配置することができる。従って、従来技術の如く、接着剤の塗布状態によって、振動の減衰特性にばらつきが生じてしまうことを抑制しつつ、第1支持部材及び第2支持部材が、適切な位置に配置されていることで磁気回路の振動を適切に減衰させることができる。
【0012】
また、第1支持部材及び第2支持部材の上下の各面またはこれらの何れかの面に接着剤を塗付した場合においても、接着剤はこれら部材を位置決めしてそれを維持するための補助的な固定手段であり、これら部材の弾性によって自らを保持することができるため、接着剤の塗布状態は減衰特性にほとんど影響を与えない。このように、接着剤を用いたとしても、磁気回路の振動を適切に減衰させることができる。
【0013】
また、前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、所定の力に対する変形量が略等しくなるように形成されていてもよい。これによれば、振動の減衰特性に上下方向間で差がなく、磁気回路の振動を適切に減衰させることができる。
【0014】
また、前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、それぞれ、上下の各面の面積が略等しくなるように形成され、かつ、前記第1支持部材の前記各面の面積、及び前記第2支持部材の前記各面の面積が略等しくなるように形成されていてもよい。これによれば、磁気回路の振動を適切に減衰させることができる。
【0015】
また、前記第1支持部材及び前記第2支持部材のうち少なくとも何れか一方は、断面形状が台形状となるように形成されていてもよい。これによれば、磁気回路の振動の衝撃により、第1支持部材及び第2支持部材のうち少なくとも何れか一方が圧縮されるが、圧縮されることにより、抵抗が徐々に大きくなるので、底付き(振動力が減衰の振幅の限界を超えてしまいそのまま筐体に伝わってしまうこと)の抑制を図ることができる。
【0016】
また、前記第1支持部材及び前記第2支持部材の両方が、断面形状が台形状となるように形成される場合には、前記第1支持部材の長辺と、前記第2支持部材の長辺が、それぞれ前記磁気回路に当接するように設けられていてもよいし、前記第1支持部材の短辺と、前記第2支持部材の短辺が、それぞれ前記磁気回路に当接するように設けられていてもよい。
【0017】
また、前記磁気回路は、前記ヨークが、円板状の底板部と、この底板部の中心から立ち上がるように形成された柱部と、を一体に備えた外磁型磁気回路であり、前記第1支持部材及び前記第2支持部材が、前記ヨークを挟んで上下に並んで設けられていてもよい。これによれば、接着剤を用いずとも、第1支持部材及び第2支持部材を、適切な位置に配置することができる。従って、従来技術の如く、接着剤の塗布状態によって、振動の減衰特性にばらつきが生じてしまうことを抑制しつつ、第1支持部材及び第2支持部材が、適切な位置に配置されていることで磁気回路の振動を適切に減衰させることができる。
【0018】
また、前記磁気回路は、前記ヨークが、円板状の底板部と、この底板部の外縁から立ち上がるように形成された円筒状の筒部と、を一体に備えた内磁型磁気回路であり、前記第1支持部材が、円環状に形成され、前記天板と前記ヨークの前記筒部との間に位置し、 前記第2支持部材が、円盤状に形成され、前記筐体本体の底面と前記底板部との間に位置していてもよい。これによれば、接着剤を用いずとも、第1支持部材及び第2支持部材を、適切な位置に配置することができる。従って、従来技術の如く、接着剤の塗布状態によって、振動の減衰特性にばらつきが生じてしまうことを抑制しつつ、第1支持部材及び第2支持部材が、適切な位置に配置されていることで磁気回路の振動を適切に減衰させることができる。
【0019】
また、前記第1支持部材の内径寸法と前記第2支持部材の径寸法が略等しい寸法となるように形成されていてもよい。これによれば、第1支持部材及び第2支持部材を、一回のプレス加工で形成することができるとともに、端材を少なくできるから、材料歩留りを向上させることができる。
【実施例】
【0020】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例について
図1~
図3を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施例にかかる振動子ユニット1を示す断面図である。
図2は、振動子ユニット1の分解斜視図である。
図1等に示す軸方向は、振動子ユニット1が振動する振動方向であり、径方向は、磁気回路40の軸に直交する方向である。軸方向のうち、上ケース21が位置する側を「上方」と記し、後述する下ケース本体221が位置する側を「下方」と記す場合がある。また、
図1等に示すP方向は、振動子ユニット1の中心軸を示している。
【0021】
振動子ユニット1は、
図1、
図2に示すように、上ケース21及び下ケース22を備え中空かつ円盤状のケース2(筐体)と、上ケース21に固定されたボイスコイル3と、ケース2に内蔵された磁気回路部4と、磁気回路40の振動を減衰する減衰部5と、を有している。
【0022】
上ケース21は、
図1、
図2に示すように、円盤状に形成された上ケース本体211(天板)と、上ケース本体211の周縁から下方に立設して設けられた周壁212と、周壁212に形成された不図示の孔部を取り囲みつつ孔部の周縁から径方向の外側に角筒状に突出して設けられた端子カバー213(
図2に示す)と、を備えている。なお、
図1において、端子カバー213は省略されている。
【0023】
上ケース本体211は、
図1、
図2に示すように、中央部に位置する中央円盤部214と、中央円盤部214の外周縁から径方向の外側に延在する円環状部215と、を備えている。中央円盤部214は、中心軸Pを中心とする円盤状に形成されている。中央円盤部214は、
図1に示すように、上面及び下面がそれぞれ略平坦な面から構成されているとともに、厚みが略一定となるように形成されている。また、中央円盤部214は、円環状部215より下方に位置している。中央円盤部214の外周端面214aには、後述するボイスコイル3の上端が固定されている。
【0024】
周壁212は、
図1に示すように、円環状部215の外周縁から下方に円筒状に立設された第1周壁216と、第1周壁216の下側の周縁に連続されるとともに下方に円筒状に立設された第2周壁217と、を備えている。第2周壁217の内径寸法は、第1周壁216の内径寸法よりも大きくなるように形成されている。第1周壁216の下端には、軸に直交する方向に延在する面(下端面216aと記す)が設けられている。第1周壁216の下端面216aと、下ケース22の後述する下ケース本体221の上端面221aとの間には、磁気回路部4の後述するサスペンション44が挟持されている。
【0025】
下ケース22は、
図1、
図2に示すように、受け皿状(円筒状または角筒状)に形成された下ケース本体221(筐体本体)と、下ケース本体221の上端面221aより下方の位置から径方向の外側に延在する延在壁部222と、延在壁部222の外周縁から上方に円筒状に立設された円筒壁部223と、を備えている。下ケース本体221において、上端面221aを含む下ケース本体221の一部(符号221Aを付与する)と円筒壁部223との間には、上ケース21の第2周壁217が挿入される。また、
図2に示すように、円筒壁部223には、上ケース21の孔部と重なる位置に切欠き223aが形成されている。そして、後述するボイスコイル3から引き出された不図示の銅線は、連通する孔部及び切欠き223aを介して端子カバー213内に挿通されて、ケース2の外部に導出されている。
【0026】
さらにケース2は、上ケース21と下ケース22とをロックするロック部23を有している。ロック部23は、係止部231を有するロックアーム232と、ロックアーム232の係止部231が係止する受け部233と、を備えている。ロックアーム232は、下ケース22の円筒壁部223に設けられている。受け部233は、上ケース21の周壁212において、第1周壁216と第2周壁217との境界にある段差のことである。このようなロック部23は、上ケース21の第2周壁217を、下ケース本体221の上端面221aを含む一部221Aと円筒壁部223との間に挿入させることにより、ロックアーム232の係止部231が、上ケース21の受け部233として機能する段差を係止する。こうして、ロック部23により、上ケース21と下ケース22の係止状態が維持される。
【0027】
ボイスコイル3は、円筒状のボビン31と、銅線30がボビン31に巻き回されることで形成されたコイル部32と、を有して構成されている。コイル部32は、その一部が、円環部本体215に形成された不図示の導線通路に配索されて、ケース2の外部に引き出されている。このようなボイスコイル3は、磁気回路40に形成された磁気ギャップG(磁束が集中する場所、
図1に示す)内に浮上した状態で配設されている。
【0028】
磁気回路部4は、ケース2の中心軸P上において、同軸に位置するように配置された円板状のマグネット41、円板状のプレート42及びヨーク43を含むヨーク部45と、を有して構成されている。マグネット41、プレート42、及びヨーク43は、磁気回路40を構成する。
【0029】
マグネット41は、ネオジム磁石から構成されている。マグネット41は、プレート42とヨーク43の底板部431との間に位置している。マグネット41の外径は、ヨーク43の筒部432の内径より小さくなるように形成されているとともに、プレート42の外径より僅かに小さくなるように形成されている。プレート42及びヨーク43は、それぞれ、鉄材から構成されている。また、プレート42及びヨーク43は、磁気ギャップGに磁束を集中させるために設けられている。
【0030】
ヨーク部45は、ヨーク43と、ヨーク43に連結されて磁気回路40を支持するサスペンション44(維持部材)と、を備えている。
【0031】
ヨーク43は、円板状に形成された底板部431と、底板部431の外縁から円筒状に立設されてその内側にマグネット41及びプレート42を位置させる筒部432と、筒部432の底板部431から離れた端部(上端)から径方向の外側に延在する延在部433と、を備えて構成されている。本実施例の磁気回路40は、ヨーク43が、円板状に形成された底板部431と、底板部431の外縁から円筒状に立設されてその内側にマグネット41及びプレート42を位置させる筒部432と、を備えて構成された内磁型磁気回路である。
【0032】
このような磁気回路40は、ボイスコイル3に信号電流が入力されるとフレミング左手の法則に従い、軸方向に力を発生させるが、ボイスコイル3は、ケース2に固定されており動くことができないから、その反作用により磁気回路40を上下に振動させる。
【0033】
サスペンション44は、
図1、
図2に示すように、円環状に形成されているとともに、板状の部材から構成されている。サスペンション44は、径寸法が異なるように形成されているとともに、径方向に並んで配置される複数(図示例では3個)の幅狭円環部440A、440B、440C(
図2に示す)と、これら3個の幅狭円環部440A、440B、440Cのうち、径方向に隣接する幅狭円環部440A、440B、440C同士を連結する複数の連結部444D(
図2に示す)と、を備えて構成されている。
【0034】
図1に示すように、幅狭円環部440A、440B、440Cのうち、最も中心軸P側(内周側)に位置する幅狭円環部440Aは、断面略C字状のヨーク支持部441を備えている。
【0035】
このようなサスペンション44は、内周側の端部に位置する幅狭円環部440Aのヨーク支持部441により、ヨーク43の延在部433が挿入支持され、外周側の端部に位置する幅狭円環部440Cが、上ケース21の下端面216aと下ケース22の上端面221aとの間に挟まれて支持されている。
【0036】
このようなサスペンション44がヨーク43の所定の位置に固定されることにより、磁気回路40が、中心軸Pと同軸に支持される。また、ボイスコイル3に信号電流が入力されるとフレミング左手の法則に従い、軸方向の一方(上方)に力を発生させるが、ボイスコイル3は、ケース2に固定されており動くことができないから、磁気回路40の振動の反作用により、サスペンション44を介してケース2に上下振動が与えられる。
【0037】
減衰部5は、所定の厚みを有する円盤状に形成されて、磁気回路40の振動を吸収して減衰させる一対のダンパー5A(第1支持部材)、5B(第2支持部材)を備えている。本実施例の一対のダンパー5A、5Bは、ウレタンフォームから構成されている。これら一対のダンパー5A、5Bは、略同一機能乃至略同一構成を有している。即ち、一対のダンパー5A(第1支持部材)、5B(第2支持部材)は、所定の力に対する変形量が略等しくなるように構成されている。
【0038】
各ダンパー5A、5Bは、
図2に示すように、平坦な面から構成された上面51と、上面51に対向するとともに平坦な面から構成された下面52と、中心(中心軸P)からの距離が略一定と成るように形成された外周面53と、を有して構成されている。外周面53は、上下方向の何れの位置においても中心(中心軸P)からの距離が略一定と成るように形成されている。即ち、一対のダンパー5A、5Bは、それぞれ、上下の各面51、52の面積が略等しくなるように形成されている。各ダンパー5A,5Bの径寸法は、軸寸法より大きくなるように形成されている。ダンパー5Aは、上ケース21の中央円盤部214と磁気回路40のプレート42との間に自然状態或いは僅かに圧縮された状態で挟持され、ダンパー5Bは、下ケース22の下ケース本体221と、ヨーク43の底板部431との間に自然状態或いは僅かに圧縮された状態で挟持されている。一対のダンパー5A、5Bは、磁気回路40を挟んで上下に並ぶ位置に設けられている。本実施例では、ダンパー5Aは、接着剤を用いずに、上ケース21の中央円盤部214と磁気回路40のプレート42との間に挟持され、ダンパー5Bは、接着剤を用いずに、下ケース22の下ケース本体221と、ヨーク43の底板部431との間に挟持されている。
【0039】
本実施例では、ヨーク部45は、
図3(A)~(G)に示すように、インサート成形により形成されている。ヨーク部45のインサート成形に際しては、
図3(A)~(G)に示すように、金型Mを用いる。金型Mは、軸方向に型開き可能な雌雄の各型M10、M11で構成されている。金型Mの内部には、ヨーク部45を収容可能なヨーク部収容部M1が形成されている。ヨーク部収容部M1は、ヨーク43の筒部432の内部に挿入される成形突起M2と、成形突起M2を中心とする円環状に形成されてサスペンション44を収容可能なサスペンション収容部M3と、ヨーク43を収容可能なヨーク収容部M4と、を有している。
【0040】
まず、
図3(A)(B)に示すように、雌雄の各型M10、M11を型開きした状態で、ヨーク収容部M4の成形突起M2にヨーク43をセットする。そして、
図3(C)に示すように、各型M10、M11同士を近付けて各型M10、M11同士の型閉じをする。この後、
図3(D)(E)に示すように、ヨーク部収容部M1内に溶融状態の樹脂を充填する。溶融状態の樹脂が硬化したのち、
図3(F)に示すように、雌雄の各型M10、M11を型開きする。こうして、ヨーク43及びサスペンション44が一体化されたヨーク部45が製造される。ヨーク部45がインサート成形により製造されていることにより、接着剤や支持具を用いることなく、予めヨーク43とサスペンション44を一体化させることができるから、部品点数を減らしつつ、ヨーク43とサスペンション44を組み立てるための工程を削減することができる。
【0041】
このような振動子ユニット1は、ダンパー5A(第1支持部材)が上ケース本体211(天板)と磁気回路40との間に挟まれて保持され、ダンパー5B(第2支持部材)が下ケース本体221(筐体本体)の底面と磁気回路40との間に挟まれて保持されている。これによれば、接着剤を用いずとも、ダンパー5A(第1支持部材)及びダンパー5B(第2支持部材)を、適切な位置に配置することができる。従って、従来技術の如く、接着剤の塗布状態によって、振動の減衰特性にばらつきが生じてしまうことを抑制しつつ、ダンパー5A(第1支持部材)及びダンパー5B(第2支持部材)が、適切な位置に配置されていることで磁気回路40の振動を適切に減衰させることができる。
【0042】
また、ダンパー5A(第1支持部材)が上ケース本体211(天板)と磁気回路40との間に挟まれて保持され、ダンパー5B(第2支持部材)が下ケース本体221(筐体本体)の底面と磁気回路40との間に挟まれて保持されており、接着剤や、接着剤による固定を補うための固定具を用いずとも、ダンパー5A(第1支持部材)及びダンパー5B(第2支持部材)が適切な位置に配置されるから、部品点数を減らしつつヨーク43とサスペンション44を組み立てるための工程を削減することができる。
【0043】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形例も本発明に含まれる。
【0044】
第1実施例では、各ダンパー5A、5B(第1支持部材及び第2支持部材)は、接着剤を用いずに、所定の位置に挟持されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。第1支持部材及び第2支持部材は、上下の各面またはこれらの何れかの面に接着剤が塗付されていてもよい。即ち、第1支持部材及び第2支持部材の上下の各面またはこれらの何れかの面に接着剤を塗付した場合においても、接着剤はこれら部材を位置決めしてそれを維持するための補助的な固定手段であり、これら部材の弾性によって自らを保持することができるため、接着剤の塗布状態は減衰特性にほとんど影響を与えない。このように、接着剤を用いたとしても、磁気回路40の振動を適切に減衰させることができる。
【0045】
また、第1実施例では、各ダンパー5A、5B(第1支持部材及び第2支持部材)は、略同一機能乃至略同一構成を有しているが、本発明はこれに限定されるものではない。第1支持部材及び第2支持部材のうち一方が、比較的硬い素材から構成され、他方が、一方に比して柔軟性が高い素材から構成されていてもよい。この場合には、一方の径方向の面積を他方に比して小さくなるように形成しておくことで、所定の力に対する変形量が略等しくなるように構成されていてもよい。
【0046】
また、第1実施例において磁気回路40は、ヨーク43が、円板状に形成された底板部431と、底板部431の外縁から円筒状に立設されてその内側にマグネット41及びプレート42を位置させる筒部432と、を備えて構成された内磁型磁気回路を一例に説明していたが、本発明はこれに限定されるものではない。磁気回路は、ヨーク43が、円盤状に形成された底板部431と、底板部431の略中央部から柱状に立設されてその径方向の外側に円環状のマグネット41及び円環状のプレート42を位置させる柱部と、を備えて構成された外磁型磁気回路であってもよい。その場合には、減衰部は、第1実施例と略同一機能乃至略同一構成を有する一対のダンパーを備えていてもよい。一対のダンパーのうち一方が、上ケース21の中央円盤部214と、ヨーク43の柱部の上面との間に自然状態或いは僅かに圧縮された状態で挟持され、一対のダンパーのうち他方が、下ケース22の下ケース本体221(筐体本体)と、ヨーク43の底板部431との間に自然状態或いは僅かに圧縮された状態で挟持されていてもよい。即ち、一対のダンパーが、ヨーク43を挟んで上下に並ぶ位置に設けられていてもよい。磁気回路が、外磁型磁気回路であっても、第1実施例と略同様の効果が奏される。
【0047】
また、第1実施例では、サスペンション44(維持部材)は、径寸法が異なるように形成されているとともに、径方向に並んで配置される複数(図示例では3個)の円環部本体440A、440B、440C(
図2に示す)と、これら3個の円環部本体440A、440B、440Cのうち、径方向に隣接する円環部本体440A、440B、440C同士を連結する複数の連結部444D(
図3に示す)と、を備えて構成されている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。維持部材は、例えば弾性を有する材料を用いて円環状に形成されているとともに、径方向の内縁から外縁まで、周方向に連続形成されていてもよい。即ち、維持部材は、スピーカーのエッジ形状を有していてもよく、磁気回路40を支持することができれば、如何なる構成であっても構わない。
【0048】
また、第1実施例では、ヨーク部45は、インサート成形により形成されている。即ち、インサート成形により、ヨーク43及びサスペンション44が一体化されたヨーク部45が製造されているが、ヨーク43及びサスペンション44は、別々に製造され、適宜な位置に接着剤が塗付されて一体化されていてもよい。
【0049】
このような振動子ユニットは、枕、椅子クッション等に装着し、体感音響用駆動ユニット、振動駆動ユニット、マッサージ駆動ユニット、発音用振動駆動ユニット等、様々な形で活用することができる。
【0050】
また、振動子ユニットはリモコン、スマートフォン、各種センサ等の入力装置による入力情報を受信する制御部を有し、振動子を振動させてもよい。制御部は振動ユニットとは別の制御装置に設けられていてもよく、振動ユニットと制御装置は有線または無線問わず接続している構成であってもよい。
【0051】
(第2実施例)
次に、本発明の第2実施例にかかる振動子ユニットを、
図4を参照して説明する。なお、前述した第1実施例と略同一構成乃至略同一機能を有する部位には同一符号を付して説明を省略する。第2実施例にかかる振動子ユニットと第1実施例にかかる振動子ユニットとの差異は、筐体の形状が異なる点にある。
図4は、本発明の第2実施例にかかる振動子ユニットを示す断面図である。
【0052】
振動子ユニット1Aは、
図4に示すように、上ケース121及び下ケース122を備え中空かつ円盤状のケース102(筐体)と、上ケース121に固定されたボイスコイル3と、ケース102に内蔵された磁気回路40を有する磁気回路部4と、磁気回路40の振動を減衰する減衰部5と、を有している。
【0053】
上ケース121は、円盤状に形成された上ケース本体211と、上ケース本体211の周縁から下方に立設して設けられた周壁212と、周壁212に形成された不図示の孔部を取り囲みつつ孔部の周縁から径方向の外側に角筒状に突出して設けられた端子カバー213と、を備えている。なお、
図4において、端子カバー213は省略されている。
【0054】
上ケース本体211は、中央部に位置する中央円盤部214と、中央円盤部214の外周縁から径方向の外側に延在する円環状部215と、を備えている。中央円盤部214は、中心軸Pを中心とする円盤状に形成されている。中央円盤部214には、円盤状に形成されてその下面にダンパー5Aが設置されるダンパー設置面214Aが設けられている。ダンパー設置面214Aは、中心(中心軸P)に近づくにしたがって出寸法が大きくなるような曲面から構成されている。また、中央円盤部214は、円環状部215より下方に位置している。
【0055】
下ケース22は、受け皿状に形成された下ケース本体221と、下ケース本体221の上端面より下方の位置から径方向の外側に延在する延在壁部222と、延在壁部222の外周縁から上方に円筒状に立設された円筒壁部223と、を備えている。下ケース本体221には、円盤状に形成されてその上面にダンパー5Bが設置されるダンパー設置面221Aが設けられている。ダンパー設置面221Aは、中心(中心軸P)に近づくにしたがって出寸法が大きくなるような曲面から構成されている。
【0056】
上述した実施例によれば、上ケース121及び下ケース122には、それぞれ、中心(中心軸P)に近づくにしたがって出寸法が大きくなるような曲面から構成されたダンパー設置面214A、221Aが形成されているから、ダンパー5Aは、上ケース121の中央円盤部214と磁気回路40のプレートとの間に僅かに圧縮された状態で挟持され、ダンパー5Bは、下ケース122の下ケース本体221と、ヨーク43の底板部431との間に僅かに圧縮された状態で挟持される。従って、接着剤なしでも、さらには接着剤の使用量が少ない、或いは、均一に塗付されていなくとも、ダンパー5A,5Bが安定状態で維持され、磁気回路40の振動を、適切に減衰させることができる。
【0057】
(第3実施例)
次に、本発明の第3実施例にかかる振動子ユニット1Bを、
図5を参照して説明する。なお、前述した第1実施例と略同一構成乃至略同一機能を有する部位には同一符号を付して説明を省略する。第3実施例にかかる振動子ユニット1Bと第1実施例にかかる振動子ユニット1との差異は、第1支持部材及び第2支持部材の形状が異なる点にある。
図5は、本発明の第3実施例にかかる振動子ユニット1Bを示す断面図である。
【0058】
一対のダンパー15A(第1支持部材)及び15B(第2支持部材)は、それぞれ、所定の厚みを有する円盤状に形成されて、磁気回路40の振動を吸収して減衰させる。これら一対のダンパー15A、15Bは、ウレタンフォームから構成され、略同一機能乃至略同一構成を有している。即ち、一対のダンパー15A(第1支持部材)、15B(第2支持部材)は、所定の力に対する変形量が略等しくなるように形成されている。各ダンパー15A、15Bは、平坦な面から構成された上面51Aと、上面51Aに対向するとともに平坦な面から構成された下面52Aと、軸方向の一方に進むにしたがって径寸法が小さくなるように傾斜して形成された外周面53Aと、を有して断面形状が等脚台形状(台形状)となるように形成されている。このようなダンパー15Aは、長辺(下面52A)が、磁気回路40のプレート42に当接され、ダンパー15Bは、長辺(上面51A)が、磁気回路40のヨーク43の底板部431に当接されている。即ち、各ダンパー15A、15Bの各長辺51A、52Aは、磁気回路に当接されている。
【0059】
上述した実施例によれば、ダンパー15A(第1支持部材)及びダンパー15B(第2支持部材)の両方が、断面形状が台形状となるように形成され、各ダンパー15A、15Bの各長辺51A、52Aが、磁気回路40に当接されている。これによれば、磁気回路40の振動の衝撃により、徐々に各ダンパー15A、15Bが圧縮されるが、圧縮されることにより各ダンパー15A、15Bの抵抗が徐々に大きくなるので、底付き(振動力が減衰の振幅の限界を超えてしまいそのまま筐体に伝わってしまうこと)の抑制を図ることができる。
【0060】
(第4実施例)
次に、本発明の第4実施例にかかる振動子ユニットを、
図6を参照して説明する。なお、前述した第3実施例と略同一構成乃至略同一機能を有する部位には同一符号を付して説明を省略する。第4実施例にかかる振動子ユニットと第3実施例にかかる振動子ユニットとの差異は、第1支持部材及び第2支持部材の設置の格好が異なる点にある。第3実施例では、各ダンパー25A、25Bの断面における各長辺51A、52Aが、磁気回路40に当接されているのに対し、第4実施例では、各ダンパー25A、25Bの断面における各短辺51B、52Bが、磁気回路40に当接されている。これによれば、第3実施例と略同様の効果が奏される。
【0061】
(第5実施例)
次に、本発明の第5実施例にかかる振動子ユニット1Dを、
図7を参照して説明する。なお、前述した第1実施例と略同一構成乃至略同一機能を有する部位には同一符号を付して説明を省略する。第5実施例にかかる振動子ユニット1Dと第1実施例にかかる振動子ユニット1との差異は、第1支持部材及び第2支持部材の形状及び設置位置にある。
図7は、本発明の第5実施例にかかる振動子ユニット1Dを示す断面図である。
【0062】
第1ダンパー35A(第1支持部材)は、所定の厚みを有する円環状に形成されている。第2ダンパー35B(第2支持部材)は、所定の厚みを有する円盤状に形成されている。また、第1ダンパー35Aの内径寸法と、第2ダンパー35Bの外径寸法は、略等しい寸法となるように形成されていて、これらの第1ダンパー35A及び第2ダンパー35Bは、一回のプレス加工で形成されている。また、第1ダンパー35Aの上下の各面の面積と、第2ダンパー35Bの上下の各面の面積は、略等しい面積と成るように形成されている。このような第1ダンパー35Aは、上ケース21の円環状部215と磁気回路40のヨーク43の延在部433との間に自然状態或いは僅かに圧縮された状態で挟持され、第2ダンパー35Bは、下ケース22の下ケース本体221と、ヨーク43の底板部431との間に自然状態或いは僅かに圧縮された状態で挟持されている。なお、本実施例では、サスペンション44の第2延在部444は省略されている。
【0063】
上述した実施例によれば、磁気回路40は、ヨーク43が、円板状の底板部431と、この底板部431の外縁から立ち上がるように形成された円筒状の筒部432と、を一体に備えた内磁型磁気回路であり、第1ダンパー35A(第1支持部材)が、円環状に形成され、上ケース本体211(天板)とヨーク43の筒部432との間に位置し、第2ダンパー35B(第2支持部材)が、円盤状に形成され、下ケース本体221(筐体本体)の底面と、ヨーク43の底板部431との間に位置していてもよい。これによれば、接着剤を用いずとも、第1ダンパー35A(第1支持部材)及び第2ダンパー35B(第2支持部材)を、適切な位置に配置することができる。従って、従来技術の如く、接着剤の塗布状態によって、振動の減衰特性にばらつきが生じてしまうことを抑制しつつ、第1ダンパー35A(第1支持部材)及び第2ダンパー35B(第2支持部材)が、適切な位置に配置されていることで磁気回路40の振動を適切に減衰させることができる。
【0064】
また、第1ダンパー35A(第1支持部材)の内径寸法と第2ダンパー35B(第2支持部材)の径寸法が略等しい寸法となるように形成されている。これによれば、第1ダンパー35A(第1支持部材)及び第2ダンパー35B(第2支持部材)を、一回のプレス加工で形成することができるとともに、端材を少なくできるから、材料歩留りを向上させることができる。
【0065】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施例に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び、目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施例に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0066】
1 振動子ユニット
2 ケース(筐体)
211 上ケース本体(天板)
221 下ケース本体(筐体本体)
3 ボイスコイル
40 磁気回路
41 マグネット
42 プレート
43 ヨーク
431 底板部
432 筒部
5A、15A、25A ダンパー(第1支持部材)
35A 第1ダンパー(第1支持部材)
5B、15B、25B ダンパー(第2支持部材)
35B 第2ダンパー(第2支持部材)