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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】薬物送達装置用の用量検出システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20221031BHJP
【FI】
A61M5/315 550J
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021507645
(86)(22)【出願日】2019-08-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 US2019045895
(87)【国際公開番号】W WO2020036822
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-02-12
(31)【優先権主張番号】62/719,380
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・エドワード・カトゥイン
(72)【発明者】
【氏名】ショーン・マシュー・プシェニー
(72)【発明者】
【氏名】オリバー・ブライアン・レゲル
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-506845(JP,A)
【文献】特表2012-507314(JP,A)
【文献】国際公開第2018/141571(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/013419(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送達装置であって、
用量投与イベント中に回転可能な投与部材と、
検出システムであって、位置インジケータと、位置検知部材と、第1の電気回路と、第2の電気回路と、を含み、
前記位置インジケータ及び前記位置検知部材のうちの一方は、前記投与部材に結合されており、
前記位置検知部材は、前記位置検知部材の軸方向表面に沿って互いに半径方向に配置された、セグメント化された半径方向のパッドと、電気的に接地された半径方向のパッドと、を含み、
前記セグメント化された半径方向のパッドは、交互のパターンで配置された、複数の第1のセグメント化されたパッドと、複数の第2のセグメント化されたパッドと、を含み、前記第1及び第2のセグメント化されたパッドは交互のパターンで配置されており、
前記第1の電気回路は、前記位置インジケータが前記第1のセグメント化されたパッド及び前記電気的に接地された半径方向のパッドと接触関係にあることに応答して、第1の信号を生成するように構成されており、前記第2の電気回路は、前記位置インジケータが前記第2のセグメント化されたパッド及び前記電気的に接地された半径方向のパッドと接触関係にあることに応答して、第2の信号を生成するように構成されている、
前記検出システムと、
前記第1の電気回路及び前記第2の電気回路と通信し、生成された前記第1の信号及び前記第2の信号のうちの少なくとも一方に直接的又は間接的に基づいて、前記投与部材の回転単位数を判定するように動作可能なコントローラと、
を備
前記コントローラは、前記第1の電気回路及び前記第2の電気回路の各々に動作可能に結合された変換制御モジュールと、前記変換制御モジュールに動作可能に結合された処理コアと、を含み、
前記変換制御モジュールは、前記生成された第1及び第2の信号から波状単位信号を生成するように構成されており、
前記処理コアは、生成された前記波状単位信号の立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジ、又はそれらの両方の数に基づいて、前記回転単位数を判定するように構成されている、
送達装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記生成された第1及び第2の信号の両方を受信し、生成された前記第1の信号及び前記第2の信号のうちの少なくとも一方のアクティブ化割込みの数を判定して、前記単位数を判定するように構成されている、請求項1に記載の送達装置。
【請求項3】
前記変換制御モジュールはラッチ回路を備える、請求項に記載の送達装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記変換制御モジュールと前記処理コアとの間に動作可能に結合されたイベントログモジュールを含み、
前記イベントログモジュールは、生成された前記波状単位信号の立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジ、又はそれらの両方の前記数をカウントするように構成されている、
請求項に記載の送達装置。
【請求項5】
前記イベントログモジュールは、前記処理コアがより低い電力状態にあるときに、生成された前記波状単位信号の立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジ、又はそれらの両方の前記数をカウントするように構成されており、
前記コントローラは、前記イベントログモジュールにより生成された前記波状単位信号からの、判定された最後のカウントの期間の満了に応答して、前記処理コアを前記より低い電力状態から電源オンにし、前記イベントログモジュールから生成された前記波状単位信号の立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジ、又はその両方の数のカウントを受信するように構成されている、
請求項に記載の送達装置。
【請求項6】
前記位置インジケータは前記投与部材に結合されている、請求項1からのいずれか一項に記載の送達装置。
【請求項7】
前記位置インジケータは、
前記投与部材に結合された基部と、
前記投与部材から離れるように付勢され、前記基部から延在する1つ以上のアームと、
前記セグメント化された半径方向のパッド及び前記電気的に接地された半径方向のパッドの両方に同時に接触するように構成された接触部分と、
を有する、
請求項に記載の送達装置。
【請求項8】
前記位置インジケータは、前記投与部材に結合された基部と、前記投与部材から離れるように付勢され、前記基部から延在する2つ以上のアームと、
を有し、
前記複数のアームのうちの1つは、前記セグメント化された半径方向のパッドのうちの一方と、前記電気的に接地された半径方向のパッドとに接触するように構成された接触部分を含み、
前記アームのうちの他の1つは、前記セグメント化された半径方向のパッドのうちの他方と、同時に別のアームと接触している前記電気的に接地された半径方向のパッドとに接触するように構成された接触部分を含む、
請求項に記載の送達装置。
【請求項9】
ボタンをさらに備え、
前記ボタンは、前記位置インジケータの近位に配置された前記位置検知部材を収容し、
用量設定イベント中に、前記投与部材及び前記ボタン、そして前記位置インジケータ及び前記位置検知部材が装置本体に対して共に回転するように、前記投与部材は前記ボタンに回転的に結合され、
用量投与イベントの間に、前記投与部材が回転的に固定されたボタンに対して回転し、そして前記位置インジケータは、回転的に固定されている前記位置検知部材に対して回転するように、前記投与部材は前記ボタンから回転的に切り離される、
請求項に記載の送達装置。
【請求項10】
ボタンをさらに備え、
前記位置検知部材は前記投与部材に結合され、前記ボタンは、前記位置検知部材の近位に配置されている前記位置インジケータを収容し、
用量設定イベント中に、前記投与部材及び前記ボタンが装置本体に対して共に回転するように、前記投与部材は、前記ボタンに回転的に結合され、
用量投与イベントの間に、前記投与部材が前記ボタンに対して回転するように、前記投与部材は前記ボタンから回転的に切り離される、
請求項1からのいずれか一項に記載の送達装置。
【請求項11】
前記コントローラは、前記第1の信号及び前記第2の信号の一方又は両方に1つ以上のアクティブ化割込みを提供して、前記回転単位数を判定するように構成されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の送達装置。
【請求項12】
前記コントローラは、前記第1の電気回路に結合された第1の入力と、前記第2の電気回路に結合された第2の入力とを含み、
前記コントローラは、
前記第2の入力を無視して、前記第1の入力のアクティブ化に基づいて投与完了タイマーを開始し、
アクティブ化された前記第1の入力による前記第1の信号に基づいて、用量単位の送達カウントの増分を判定し、
前記第2の入力をアクティブ化し、前記第1の入力を無視することで、前記第1の信号にアクティブ化割込みを提供して、前記アクティブ化された第2の入力による前記第2の信号に基づいて、前記回転単位数を判定するように構成されている、
請求項11に記載の送達装置。
【請求項13】
容器と、前記容器内に配備され、前記用量投与イベント中に前記容器から排出され得る薬物と、をさらに備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の送達装置。
【請求項14】
送達装置であって、
長手方向軸を有する装置本体と、
前記装置本体に結合され、用量投与イベント中に前記装置本体に対して回転可能な投与部材と、
前記装置本体の近位端に結合され、前記用量投与イベント中に前記装置本体に対して回転的に固定され、上部ハウジングと、前記上部ハウジングの遠位にある下部ハウジングとを備えるボタンと、
前記用量投与イベント中に前記投与部材の回転を検出するように構成された検出システムであって、
前記下部ハウジング内に収容された位置検知部材と、前記投与部材に結合された位置インジケータと、を備え、
前記位置検知部材は、前記位置検知部材の軸方向表面に沿って交互のパターンで半径方向に配置された、複数の第1のセグメント化されたパッド及び複数の第2のセグメント化されたパッドと、前記第1のセグメント化されたパッド及び前記第2のセグメント化されたパッドに対して半径方向に軸方向表面に沿って配置された連続的な半径方向のパッドと、を含み、
前記位置インジケータは、前記連続的な半径方向のパッドと、前記第1のセグメント化されたパッド及び前記第2のセグメント化されたパッドのうちの一方とに同時に接触するように半径方向にサイズ設定され、
用量投与イベント中に、前記位置検知部材は、前記位置インジケータが前記連続的な半径方向のパッド及び前記第1のセグメント化されたパッドと接触したときに第1の信号を生成し、前記位置インジケータが前記連続的な半径方向のパッド及び前記第2のセグメント化されたパッドと接触したときに第2の信号を生成するように構成されている、
前記検出システムと、
生成された前記第1の信号及び前記第2の信号のうちの少なくとも一方に直接的又は間接的に基づいて、前記投与部材の回転量を表す単位数を判定するように動作可能なコントローラと、
を備
前記位置インジケータは、前記第1の信号を生成するように動作可能な第1の電気回路と、前記第2の信号を生成するように動作可能な第2の電気回路と、を含み、
前記コントローラは、前記第1の電気回路及び前記第2の電気回路の各々に動作可能に結合されたラッチ回路を含み、
前記ラッチ回路は、前記位置インジケータと処理コアとの間に配置され、前記第1の信号及び前記第2の信号から波状単位信号を生成するように構成されており、
前記処理コアは、生成された前記波状単位信号の立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジ、又はそれらの両方の数に基づいて、前記単位数を判定するように構成されている、
送達装置。
【請求項15】
前記上部ハウジングによって画定された上部内腔及び前記下部ハウジングによって画定された下部内腔を少なくとも部分的に分離する壁を有し、
前記コントローラは、それぞれが前記ボタンの前記上部ハウジングの前記上部内腔内に収容されている電源及び前記処理コアを含む、
請求項14に記載の送達装置。
【請求項16】
前記下部ハウジングは、前記投与部材の構成要素に堅固に結合された装着カラーを含み、
用量設定イベント中に、前記投与部材及び前記ボタンが前記装置本体に対して共に回転するように、前記投与部材が前記ボタンに回転的に結合され、
用量投与イベントの間に、前記投与部材が前記ボタンに対して回転するように、前記投与部材は前記ボタンから回転的に切り離される、
請求項15に記載の送達装置。
【請求項17】
前記コントローラは、前記ラッチ回路と前記処理コアとの間に動作可能に結合されたイベントログモジュールを含み、
前記イベントログモジュールは、生成された前記波状単位信号の立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジ、又はそれらの両方の前記数に基づいて前記単位数を判定し、前記単位数を前記処理コアに伝達するように構成され、
前記コントローラは、前記イベントログモジュールにより判定された、生成された前記波状単位信号からの最後のカウントの期間の満了に応答して、前記装置を低電力状態構成に設定するように構成されている、
請求項14に記載の送達装置。
【請求項18】
前記コントローラは、生成された前記第1の信号及び前記第2の信号の両方を受信し、生成された前記第1の信号及び前記第2の信号のうちの少なくとも一方のアクティブ化割込みの数を判定して、前記アクティブ化割込みの数に基づいて、前記単位数を判定するように構成されている、
請求項15に記載の送達装置。
【請求項19】
送達装置を用いて投与量を判定する方法であって、
前記送達装置は、位置インジケータと位置検知部材とを備え、
前記位置インジケータ及び前記位置検知部材のうちの一方は用量投与イベントの間に回転するように構成された投与部材に結合されており、
前記位置検知部材は、前記位置検知部材の軸方向表面に沿って互いに半径方向に配置された、セグメント化された半径方向のパッドと、電気的に接地された半径方向のパッドと、を含み、
前記セグメント化された半径方向のパッドは、交互のパターンで配置された、複数の第1のセグメント化されたパッドと、複数の第2のセグメント化されたパッドと、を含み、
前記位置インジケータは、前記第1のセグメント化されたパッド及び前記電気的に接地された半径方向のパッドに接触するように半径方向にサイズ設定されており、前記位置インジケータは、前記第2のセグメント化されたパッド及び前記電気的に接地された半径方向のパッドに接触するように半径方向にサイズ設定されており、
前記第1のセグメント化されたパッドは、第1の電気回路に結合されており、前記第2のセグメント化されたパッドは、第2の電気回路に結合されており、前記第1の電気回路及び前記第2の電気回路の少なくとも一方は、コントローラに結合されており、
前記位置インジケータが前記電気的に接地された半径方向のパッド及び前記第1のセグメント化されたパッドと接触しているときに、前記第1の電気回路で第1の信号を生成することと、
前記位置インジケータが前記電気的に接地された半径方向のパッド及び前記第2のセグメント化されたパッドと接触しているときに、前記第2の電気回路で第2の信号を生成することと、
ラッチ回路を用いて、生成された前記第1の信号及び前記第2の信号から波状単位信号を生成することと、
前記コントローラを用いて、生成された前記波状単位信号の立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジ、又はそれらの両方の数に基づいて、前記投与部材の回転量を表す単位数を判定することと、
を含む、
方法。
【請求項20】
前記コントローラを用いて、生成された前記第1の信号及び前記第2の信号のうちの少なくとも一方のアクティブ化割込みの数を判定することを更に含み、前記コントローラを用いて前記投与部材の回転量を表す単位数を判定するステップは、判定された前記アクティブ化割込みの数に基づいて、前記投与部材の前記回転量を表す前記単位数を判定することをさらに含む、
請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬物送達装置用の電子用量検出システムに関し、例示的に、送達装置によって送達された薬物の用量を判定するためのデータを検出する接触検知をともなう電子用量検出モジュール又は一体化された用量検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な疾患に罹患している患者は、自分自身に薬物を注射しなければならないことが頻繁にある。人が薬を便利にかつ正確に自己投与することを可能にするために、注射器又は注射ペンとして広く知られている様々な装置が開発されている。一般に、これらのペンは、ピストンを含み、かつ複数用量の液体薬物を含有するカートリッジが装備されている。駆動部材は、前方に移動可能であり、カートリッジ内のピストンを前進させて、含有された薬物を遠位カートリッジ端の出口から、典型的には針を介して、投与する。使い捨て又は事前充填されたペンでは、ペンがカートリッジ内の薬物の供給量を使い果たすように利用された後、ユーザは、ペン全体を廃棄し、新しい代わりのペンを使用し始める。再使用可能なペンでは、ペンがカートリッジ内の薬物の供給量を使い果たすように利用された後、ペンは、分解されて、使用済みのカートリッジを新しいカートリッジに交換することが可能になり、次に、ペンは、その後の使用のために再組み立てされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多くの注射器及び他の薬物送達装置は、装置の動作によって送達された用量に比例した様態で、部材が互いに対して回転及び/又は平行移動する機械的システムを利用する。したがって、当該技術分野では、送達された用量を評価するために、薬物送達装置の部材の相対的な運動を正確に測定する信頼性の高いシステムを提供する努力がなされてきた。そのようなシステムは、薬物送達装置の第1の部材に固設され、装置の第2の部材に固設された被検知構成要素の相対的な運動を検出するセンサを含み得る。
【0004】
適切な量の薬物の投与は、薬物送達装置によって送達される用量が正確であることを必要とする。多くの注射器ペン及び他の薬物送達装置は、注射イベント(event)中に装置によって送達された薬物の量を自動的に検出して記録するための機能を含まない。自動化システムがない場合、患者は各注射の量及び時間を手動で追跡しなければならない。したがって、注射イベント中に薬物送達装置のユーザに対して用量窓に表示された用量に直接対応する機械的部分を測定することによって、送達された用量と相互に関連付けられ得る情報を自動的に検出するように動作可能な装置が必要である。検出システムの精度及び信頼性を向上させる必要もある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、送達装置は、用量投与イベント中に回転可能な投与部材と、検出システムと、を含み、検出システムは、位置インジケータと、位置検知部材と、第1の電気回路と、第2の電気回路と、を含む。位置インジケータ及び位置検知部材のうちの一方は、投与部材に結合されている。位置検知部材は、位置検知部材の軸方向表面に沿って互いに半径方向に配置された、セグメント化された半径方向のパッドと、電気的に接地された半径方向のパッドと、を含む。セグメント化された半径方向のパッドは、複数の第1のセグメント化されたパッドと、複数の第2のセグメント化されたパッドと、を含む。第1及び第2のセグメント化されたパッドは、交互のパターンで配置されている。第1の電気回路は、位置インジケータが第1のセグメント化されたパッド及び電気的に接地された半径方向のパッドと接触関係にあることに応答して、第1の信号を生成するように構成されている。第2の電気回路は、位置インジケータが第2のセグメント化されたパッド及び電気的に接地された半径方向のパッドと接触関係にあることに応答して、第2の信号を生成するように構成されている。コントローラは、第1及び第2の電気回路と通信しており、生成された第1及び第2の信号の少なくとも一方に直接的又は間接的に基づいて、投与部材の回転単位数を判定するように動作可能である。
【0006】
別の実施形態では、送達装置による用量投与の量を判定する方法が開示される。送達装置は、位置インジケータと位置検知部材とを含む。位置インジケータ及び位置検知部材のうちの一方は、投与部材に結合されている。位置検知部材は、位置検知部材の軸方向表面に沿って互いに半径方向に配置された、セグメント化された半径方向のパッドと、電気的に接地された半径方向のパッドと、を含む。セグメント化された半径方向のパッドは、交互のパターンで配置された、複数の第1のセグメント化されたパッドと、複数の第2のセグメント化されたパッドを含む。位置インジケータは、第1のセグメント化されたパッド及び電気的に接地された半径方向のパッドに接触するように半径方向にサイズ設定されている。位置インジケータは、第2のセグメント化されたパッド及び電気的に接地された半径方向のパッドに接触するように半径方向にサイズ設定されている。第1のセグメント化されたパッドは、第1の電気回路に結合され、第2のセグメント化されたパッドは、第2の電気回路に結合されている。第1及び第2の電気回路のうちの少なくとも一方は、コントローラに結合されている。本方法は、以下のステップの1つ以上を含み得る。位置インジケータが電気的に接地された半径方向のパッド及び第1のセグメント化されたパッドと接触しているときに、第1の電気回路で第1の信号を生成する。位置インジケータが電気的に接地された半径方向のパッド及び第2のセグメント化されたパッドと接触しているときに、第2の電気回路で第2の信号を生成する。コントローラを用いて、生成された第1及び第2の信号のうちの少なくとも一方に基づいて、投与部材の回転量を表す単位数を判定する。
【0007】
本開示の特徴及び利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を考慮すると、当業者にさらに明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の例示的な薬物送達装置の斜視図である。
図2図1の例示的な薬物送達装置の縦断面斜視図である。
図3図1の例示的な薬物送達装置の近位部分の斜視図である。
図4図3の例示的な薬物送達装置の近位部分の部分分解斜視図である。
図5】本開示の別の例示的なボタンをともなう薬物送達装置の斜視図である。
図6図5の薬物送達装置の近位部分内に配置された、例示的実施形態による用量検出システムの断面図である。
図7図6の用量検出システムの部分分解斜視図である。
図8図6の用量検出システムの電気的位置検知部材の別の実施形態の斜視図である。
図9】電気的位置検知部材を省略した、図6の用量検出システムの部分分解斜視図である。
図10】電気的位置検知部材上に配置された位置インジケータをともなう用量検出システムの別の実施形態の概略軸方向図である。
図11】ツーピースボタン内に配置された用量検出システムの部分分解斜視図である。
図12図11の組み立てられたツーピースボタン内に配置された用量検出システムの部分斜視図である。
図13】対になった外部装置と通信している制御システムと通信している用量検出システムの概略図である。
図14】用量検出システムと制御システムのコントローラとの間に配置された例示的な変換制御モジュールをともなう用量検出システムの別の例の概略図である。
図15】制御システムのコントローラに伝達された、変換制御モジュールによって生成された制御信号の概略図である。
図16】本明細書に記載の用量検出システムのいずれかのための電気的位置検知部材の別の実施形態の軸方向図である。
図17】変換制御モジュールをともなわない用量検出システムの別の例の概略図である。
図18図17のシステムによって生成された制御信号の概略図である。
図19A】用量検出の制御ロジックのブロック図である。
図19B図17のシステムの制御ロジックのブロック図である。
図20】本明細書に記載の用量検出システムのいずれかの位置インジケータの別の実施形態を示している。
図21】本明細書に記載の薬物送達装置のいずれか1つの近位部分内に配設された別の実施形態による用量検出システムの部分断面図である。
図22】本明細書に記載の用量検出システムのいずれかの位置インジケータの別の実施形態を示している。
図23】本明細書に記載の用量検出システムのいずれかの位置インジケータの別の実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の原理の理解を促進するために、次に、図面に例示された実施形態を参照し、特定の言語を使用して、これを説明しよう。しかしながら、これによって本発明の範囲を限定することを意図しないことが理解されるだろう。
【0010】
本開示は、薬物送達装置用の検出システムに関する。一態様では、検出システムは、薬物送達装置によって送達された用量を判定するために、薬物送達装置の用量設定部材とアクチュエータとの間の相対的回転運動を検知するように構成されている。ついで、送達されるそのような用量は、例えば、携帯電話の医療用モバイルアプリ、ウェブサイトを介したコンピュータ、又はそれらの任意の組み合わせをともなう装置のLEDディスプレイ上などで、患者又は医療提供者に示され、及び/又は伝達され得る。いくつかの実施形態では、装置は、回転の単位を判定するように構成されており、回転の単位は、ついで、回転の総単位を用量と相関させる外部装置に伝達される。検知された相対回転移動は、送達される用量と相関している。
【0011】
例として、薬物送達装置は、ペン型注射器の形態で記載されている。しかしながら、薬物送達装置は、ペン型注射器、注入ポンプ及びシリンジ、ボーラス注射器、及び/又は自己注射器などの、ある薬物の用量を設定しかつ送達するために使用される任意の装置であってもよい。薬物は、このような薬物送達装置によって送達され得る種類のうちのいずれかであってもよい。一例では、送達装置は、用量投与イベント中に回転可能な投与部材と、投与部材の回転の開始及び終了、ならびに回転運動の総量を判定するための用量検出システムと、を含み、用量検出システムは、送達された用量の総量を判定するために使用され得る。一例では、用量検出システムは、位置インジケータと位置検知部材とを含む。位置検知部材は、位置検知部材の軸方向表面に沿って互いに半径方向に配置された、セグメント化された半径方向のパッドと、電気的に接地された半径方向のパッドと、を含み得る。セグメント化された半径方向のパッドは、交互のパターンで互いに対して配置された複数の第1及び第2のセグメント化されたパッドを含み得る。位置インジケータは、第1の信号を生成する第1の電気回路のための第1のセグメント化されたパッド及び電気的に接地された半径方向のパッドと接触し、かつ第2の信号を生成する第2の電気回路のための第2のセグメント化されたパッド及び電気的に接地された半径方向のパッドと接触するようなサイズ又は形状であってもよい。本明細書に記載のそのような検出システムは、信号のデバウンスなどの望ましいノイズよりも高いノイズをともなう信号の影響を受けやすく、したがって、投与中の可変周波数の影響を受けやすく、デバウンス時間より長く持続するパッドとの接触の影響を受けやすく、及び/又は接触アームがその後の投与で同じパッドに接触した場合、繰り返しカウントの影響を受けやすい接触イベントカウンタ又は他の手段を備えて配置された他の滑り接触システムよりも、回転量を判定する精度及び信頼性を改善することができる。
【0012】
送達装置は、装置本体内に統合された制御システムを有することができる。一例では、制御システムは、主にボタン内に位置している。他の実施形態では、制御システムは、装置のボタンに取り付け可能な別個のモジュラーユニット内に統合されている。制御システムは、信号を受信し、用量投与及び/又は用量設定中の回転量を判定するコントローラを含み得る。制御システムは、回転量又は判定された用量のデータを外部装置に無線で送信するように構成された通信モジュールを有することができる。いくつかの実施形態では、制御システムは、コントローラの処理電力需要を低減するために、ラッチ回路及び/又はイベントログモジュールを含む。いくつかの実施形態では、制御システムは、処理コア及びコントローラのメモリ内にプログラムされたソフトウェア命令を用いて、2つの信号からの回転量を判定することができる。
【0013】
装置10、210、又は700などの本明細書に記載の装置は、例えば、リザーバ又はカートリッジ20内になど、薬物をさらに含み得る。別の実施形態では、システムは、装置10を含む1つ以上の装置及び薬物を含み得る。「薬物」という用語は、限定されないが、インスリン、インスリンリスプロ又はインスリングラルギンなどのインスリンアナログ、インスリン誘導体、ダラグルチド又はリラグルチドなどのGLP-1受容体アゴニスト、グルカゴン、グルカゴン類似体、グルカゴン誘導体、胃抑制ポリペプチド(GIP)、GIP類似体、GIP誘導体、オキシントモジュリン類似体、オキシントモジュリン誘導体、治療用抗体及び上記の装置による送達が可能な任意の治療薬を含む、1つ以上の治療薬を指す。本装置において使用されるような薬物は、1つ以上の賦形剤と共に製剤化されてもよい。装置は、人に薬物を送達するために、患者、介護者、又は医療専門家によって、概して上述のような様態で操作される。
【0014】
例示的な薬物送達装置10は、針24を通して患者に薬物を注射するように構成された注射器ペンとして図1~4に例示されている。例示の薬物送達装置10は注射器ペンであるが、薬物送達装置10は、ある用量の薬物を設定して送達するために使用される任意の装置であってもよい。薬物は、このような薬物送達装置10によって送達され得る任意のタイプのものであってもよい。
【0015】
薬物送達装置10は、遠位部分14と近位部分16とを有する装置の種類の様式で成形された本体11を含む。例示の装置10では、本体11は、長手方向軸Lに沿って配置された遠位部分14と近位部分16とを含む細長いペン型ハウジング12を含む。遠位部分14は、ペンキャップ18内に受容可能である。図2を参照して、遠位部分14は、投与動作中にその遠位出口端25を通して投与されるべき薬液を保持するように構成されたリザーバ又はカートリッジ20を含む。他の実施形態では、遠位部分14は、再利用可能な装置などで交換可能なカートリッジを受容するように構成されている。遠位部分14の出口端25には、注射針24を含む取り外し可能な針アセンブリ22が装備されている。ピストン26は、流体リザーバ20内に位置付けられている。注射機構又は駆動部材28、例示的にねじは、近位部分16に位置付けられ、用量投与動作中にリザーバ20の出口端25に向かってピストン26を前進させて、含有薬物を強制的に針の付いた出口端25に通すように、長手方向軸Lに沿ってハウジング12に対して軸方向に移動可能である。
【0016】
用量設定部材30は、装置10によって投与されるべき用量を設定するためにハウジング12に結合される。例示される実施形態では、用量設定部材30は、用量設定動作中及び用量投与動作中にハウジング12に対して螺旋運動する(すなわち、長手方向軸Lに沿って軸方向に、かつ長手方向軸Lを中心として回転的に同時に移動する)ように動作可能なねじ要素の形態である。図1及び2は、そのホーム又はゼロ位置でハウジング12内に完全にねじ込まれた用量設定部材30を例示する。用量設定部材30は、所望の用量設定に対応する伸張位置に到達するまで、ハウジング12から近位方向にねじ切るように動作可能である。伸張位置は、ある増分伸張位置(0.5又は1単位の用量設定など)に対応する位置から、1回の注射でデバイス10によって送達可能な最大用量に対応する完全伸張位置までの間にあって、1回の注射でデバイス10によって送達可能な最小用量に対応するホーム又はゼロ位置に到達するまで、ハウジング12を遠位方向にねじ込む、任意の位置とすることができる。
【0017】
図2~4を参照して、用量設定部材30がハウジング12に対して螺旋運動することを可能にするように、用量設定部材30は、ハウジング12の対応するねじ山付き内面13に係合する螺旋状ねじ山付き外面33を有する円筒状ダイヤル部材32を含み得る。ダイヤル部材32は、装置10のスリーブ34(図2)のねじ山付き外面に係合する螺旋状ねじ山付き内面をさらに含み得る。ダイヤル部材32の外面33は、設定された用量をユーザに示すために、投与窓36を通して視認可能な数字などの用量指標マーキングを含み得る。用量設定部材30は、ダイヤル部材32の開放近位端に結合され、かつダイヤル部材32の開口部41内に受容された戻り止め40によってダイヤル部材32に対して軸方向にかつ回転的に係止されている、管状フランジ38をさらに含むように図示されている。用量設定部材30は、その近位端でダイヤル部材32の外周の周りに位置付けられたスカート又はカラー42をさらに含み得る。スカート42は、スロット46に受容されるタブ44によってダイヤル部材32に対して軸方向にかつ回転的に係止される。
【0018】
したがって、ダイヤル部材32、フランジ38、及びスカート42が全て、回転的にかつ軸方向に共に固定されているため、用量設定部材30は、それらのいずれか又は全てを備えていると見なすことができる。ダイヤル部材32は、用量を設定すること、及び薬物の送達を駆動することに直接関与する。フランジ38は、ダイヤル部材32に取り付けられており、後で記載されるように、クラッチ52と協働して、ダイヤル部材32を用量ボタン56と選択的に結合させる。スカート42は、本体11の外部に表面を提供して、ダイヤル部材32を回転させる。
【0019】
図1に示す実施形態では、例示された装置10の用量ボタン56は、図1図4のスカート42及び用量ボタン56の両方を組み合わせた一体的構成要素である。本実施形態では、フランジ38は、ダイヤル部材32に取り付けられ、クラッチ52と協働して、ダイヤル部材32を一体的な用量ボタン56と選択的に結合させる。一体的な用量ボタン56の半径方向外側表面は、本体11の外側表面を提供して、ダイヤル部材32を回転させる。
【0020】
スカート42は、例示的に、スカート42の外面49上に形成された複数の表面特徴部48を含む。表面特徴部48は、例示的に、スカート42の外面の周りに円周方向に離間された長手方向に延在するリブ及び溝であり、ユーザがスカートを把持して回転させ易くする。代替的な実施形態では、スカート42は取り外されるか、又はダイヤル部材32と一体化され、ユーザは、用量設定のために、用量ボタン56及び/又はダイヤル部材32を把持して回転させることができる。ユーザは、用量設定のために、同様に複数の表面特徴部を含むボタン56の半径方向外側表面を把持して回転させることができる。
【0021】
図3及び4を参照すると、送達装置10は、ダイヤル部材32内に受容されるクラッチ52を有するアクチュエータ50を含む。図2に示されるように、クラッチ52は、その近位端に軸方向に延在するステム54を含む。アクチュエータ50は、用量設定部材30のスカート42の近位に位置付けられた用量ボタン56をさらに含む。アクチュエータ50はまた、図5及び図6に示されるように、ボタン256と称する、スカートなしで構成されたボタンを含み得る。図2の用量ボタン56は、用量ボタン56の遠位側表面の中央に位置する装着カラー(mounting collar)58を含む。カラー58は、用量ボタン56とクラッチ52を一緒に軸方向にかつ回転的に固定するために、締まり嵌め又は超音波溶接などによりクラッチ52のステム54に取り付けられる。
【0022】
用量ボタン56は、円盤状の近位側表面又は面60と、遠位に延在し、かつ面60の外周縁の半径方向内側に離間された環状壁部分62とを含み、その間に環状リップ64を形成する用量ボタン56の近位面60は、アクチュエータ50を遠位方向に押すために、手動で、すなわち、ユーザによって直接的に、力が加えられ得る押圧面として機能する。用量ボタン56は、例示的に、近位面60の中央に位置する凹状部分66を含む(図3及び4)が、近位面60は、代替的に平坦な表面であってもよい。同様に、図5に示される用量ボタン256は、近位面の中央に位置する陥凹部分を含み、又は代替的に平坦な表面であってもよい。付勢部材68、例示的にばねが、ボタン56の遠位側表面72と管状フランジ38の近位側表面70との間に配置され、アクチュエータ50及び用量設定部材30を互いから軸方向に離して付勢する。用量ボタン56は、用量投与動作を開始するようにユーザによって押下可能である。
【0023】
送達装置10は、以下でさらに説明されるように、用量設定モードの動作、及び用量投与又は送達モードの動作で動作可能である。図5に示される実施形態では、用量ボタン256は、以下の説明の用量ボタン56と実質的に同じように動作する。キャップを取り外して、充填済みシリンジシステムの針又はカートリッジベースのシステムの場合は針ハブを露出させる。針プロテクタも取り外して、針を完全に露出させ、薬物投与の準備をする。
【0024】
用量設定モードの動作では、装置10によって送達されるべき所望の用量を設定するために、用量設定部材30をハウジング12に対してダイヤルする(回転させる)。近位方向へのダイヤルは、設定用量を増加させるように機能し、遠位方向へのダイヤルは、設定用量を減少させるように機能する。用量設定部材30は、用量設定動作中に設定用量の最小増分増加又は減少に対応する回転増分(例えば、クリック)で調節可能である。例えば、1回の増分又は「クリック」は、1単位又は2分の1単位の薬物と等しい。設定用量は、投与窓36を通して示されるダイヤル指標マーキングを介してユーザに視認可能である。アクチュエータ50の用量ボタン56は付勢部材68によって一緒に付勢される相補的かつ互いに面するスプライン74(図2)によって用量設定部材30のスカート42に対して回転的に固定されるため、ボタン56及びクラッチ52を含むアクチュエータ50は、用量設定モードのダイヤル中に用量設定部材30と共に軸方向にかつ回転的に移動する。用量設定動作の過程で、スカート42及び用量ボタン56は、ハウジング12に対して「開始」位置から「終了」位置まで螺旋運動の様態で移動する。ハウジング12に対するこの回転は、薬物送達装置10の動作によって設定される用量の量に比例する。
【0025】
所望の用量が設定されてから、注射針24が、例えばユーザの皮膚を適切に貫通するように装置10を操作される。用量投与モードの動作は、長手方向軸Lに沿って用量ボタン56の近位面60に加えられる軸方向の遠位力に応答して開始される。この軸方向の遠位力は、長手方向軸Lに沿ってハウジング12に対して遠位方向にアクチュエータ50を軸方向に運動させる。以下でさらに記載されるように、ユーザによって用量ボタン56に直接又は間接的に軸方向力を加えることができる。用量投与モードの動作はまた、別個のスイッチ又はトリガー機構を起動させることによっても開始され得る。
【0026】
アクチュエータ50の軸方向への移動動作は、付勢部材68を圧縮し、用量ボタン56と管状フランジ38との間の間隙を縮小するか又は閉鎖する。この相対的な軸方向の運動は、クラッチ52及びフランジ38上の相補的スプライン74(図2)を分離し、かつそれにより、アクチュエータ50を、用量設定部材30に回転的に固定された状態から係合解除する。具体的には、用量設定部材30をアクチュエータ50から回転的に結合解除して、アクチュエータ50に対する用量設定部材30の後方駆動回転を可能にする。
【0027】
アクチュエータ50がハウジング12に対して回転しない状態で軸方向に押し込まれ続けると、ダイヤル部材32が用量ボタン56に対して回転するにつれて、ダイヤル部材32がハウジング12内にねじ戻される。注射されるべき量がまだ残っていることを示す用量マーキングは、窓36を通して視認可能である。用量設定部材30が遠位にねじ止めされると、駆動部材28は、遠位に前進されて、リザーバ20を通してピストン26を押し込み、かつ針24(図2)を通して薬物を放出する。
【0028】
用量投与動作中に、薬物送達装置10から放出された薬物の量は、ダイヤル部材32がハウジング12内にねじ戻される際のアクチュエータ50に対する用量設定部材30の回転運動の量に比例する。注射は、ダイヤル部材32の雌ねじがスリーブ34の対応する雄ねじの遠位端に到達したときに完了する(図2)。次に、装置10は、図2及び図3に示されるような準備状態又はゼロ用量位置に再び位置決めされる。装置10は、治療のために所望の量の薬物を送達する前に、プライミングする必要がある場合がある。例えば、針を通した1~2単位の薬物のプライムショットは、治療のために送達される薬物の所望の量のために用量ダイヤルをリセットする前に実施され得る。
【0029】
アクチュエータ50の用量ボタン56に対する用量設定部材30の用量ダイヤル部材32の、ひいては、回転的に固定されたフランジ38及びスカート42の、上記の「開始」及び「終了」角度位置は、用量投与動作中に角度位置の「絶対」変化を提供する。相対回転の程度の判定は、いくつかの方法で判定される。例として、全回転は、以下で説明されるような検知システムによって任意の数の方法で測定された用量設定部材30の増分運動も考慮に入れることによって判定することができる。
【0030】
例示的な送達装置10の設計及び動作のさらなる詳細は、Medication Dispensing Apparatus with Triple Screw Threads for Mechanical Advantageと題される米国特許第7,291,132号に見出すことができ、その全体的な開示は、参照により本明細書に組み込まれる。送達装置の別の例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Automatic Injection Device With Delay Mechanism Including Dual Functioning Biasing Member」と題される米国特許第8,734,394号に見出すことができる自動注射装置であり、そのような装置は、薬物送達装置内の相対回転の検知に基づいて薬物送達装置から送達された薬物の量を判定するように、本明細書に記載の1つ以上の様々なセンサシステムを用いて変更される。送達デバイスの別の例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Medication Injector Apparatus with Drive Assembly that Facilitates Reset」と題された米国特許第7,195,616号に見出すことができる再使用可能ペン型デバイスであり、そのようなデバイスは、薬剤送達デバイス内の相対回転の検知に基づいて薬剤送達デバイスから送達された薬剤の量を決定するように、本明細書に記載の1つ以上の様々なセンサシステムを用いて変更される。
【0031】
図5は、スカート42をともなわない用量ボタン256内に配置された検出センサシステム284(破線は検出センサシステム284が装置及びボタン内にあることを表す)をともなう、ここでは210として参照される装置の別の実施形態を示す。示されていないが、検出センサシステム284は、装置10に組み込まれ得る。図6は、装置210の近位部分の断面図を示している。装置210は、電子機器アセンブリ内の電子部品の少なくとも一部分を含む、装置10を参照して説明されたような用量設定及び用量投与のために動作する同じ構成要素の多くを含み、そのような構成要素には同じ対応する説明がなされる。装置210は、統合用量検出システム内の装置として示され、そのような検出システムは、用量ボタンへの取り外し可能な取り付けのためのモジュール内に組み込まれ得る。また、用量検出システム284は、図1~4に示されるスカート42をともなうボタン構成を備えていてもよい。
【0032】
本開示の薬物送達装置又は別の好適な薬物送達装置と共に使用するための、別の用量検出システム284が開示されている。用量検出システム284は、用量投与動作中に、アクチュエータ及び/又は薬物送達装置の別の構成要素に対する用量設定部材の回転を検知することができる。開始位置及び終了位置ならびに/又は全体の動きなどの用量設定部材の検知された回転を使用して、薬物送達装置から送達される薬物の量を判定することができる。用量検出システム284は、薬物送達装置に取り外し可能に結合されるモジュール式構成要素であってもよい。この取り外し可能な結合により、用量検出システム284を第1の薬物送達装置から取り外し、その後、第2の薬物送達装置に取り付けることが可能になる。
【0033】
用量設定部材230は、デバイス210によって投与される用量を設定するためにデバイスハウジング212に結合されている。用量設定部材230は、ハウジング212から近位方向に、1回の注射で装置210によって送達可能な最大用量に対応する完全に延長された位置までの、その位置を含む任意の位置に到達するまで、ねじ切るように動作可能である。用量設定部材230の円筒形用量ダイヤル部材232は、ハウジング212の対応するねじ山付き内側表面と係合する螺旋形ねじ山付き外側表面を含み、用量設定部材230はハウジング212に対して螺旋運動することが可能となる。用量ダイヤル部材232は、図2のスリーブ34などの、デバイス210のスリーブのねじ山付き外側表面と係合する螺旋形ねじ山付き内側表面を含む。ダイヤル部材232の外側表面は、ユーザに設定用量を示すために、投与窓を通して視認可能な用量指標マーキングを含み得る。用量設定部材230の管状フランジ238は、ダイヤル部材232の開放近位端内に結合され、例えば、図2に示すように、ダイヤル部材232の開口部内に受容されている戻り止めによって、用量ダイヤル部材232に軸方向にかつ回転的に係止されている。
【0034】
送達装置210のアクチュエータ250は、用量ダイヤル部材232内に受容されているクラッチ252を含む。クラッチ252の近位端は、その近位端から軸方向に延在するステム254を含む。アクチュエータ250の用量ボタン256は、図示したように、用量設定部材230の近位側に配置されている。用量ボタン256の装着カラー258は、締まり嵌め又は超音波溶接などで、クラッチ252のステム254に取り付けられ、用量ボタン256とクラッチ252とを一緒に軸方向にかつ回転可能に固定する。付勢部材268、例示的にばねが、装着カラー258の遠位側表面と管状フランジ238の近位側表面との間に配置され、アクチュエータ250及び用量設定部材230を互いから軸方向に離して付勢する。用量ボタン256は、用量投与動作を開始するようにユーザによって押下可能である。付勢部材268は、用量ボタン256を(図6に示すような)近位の第1の位置に付勢し、用量ボタン256は、用量設定動作の間、ユーザが、用量投与動作のために、部材268の付勢力に打ち勝って用量ボタン256を遠位の第2の位置まで動かすのに十分に大きい軸方向力を加えるまで、そこに留まる。
【0035】
用量ボタン256は、ディスク状近位端面260を有する上方近位壁261と、近位壁261から遠位側に延在してボタンハウジング内腔265を画定する環状壁部分262とを含む。用量ボタン256の面260は、アクチュエータ250を遠位方向に押すために力が手動で、すなわち、ユーザによって直接的に加えられ得る、押圧面として機能する。用量ボタン256は、近位壁261から軸方向に離間された遠位壁263を含む。遠位壁263は、内腔265を2つの近位上側及び遠位下側の内腔部分265A、265Bに少なくとも部分的に分割することができる。用量ボタン256の装着カラー258は、クラッチ252のステム254との取り付けのために、遠位壁263の中間位置から遠位側に延在するように示されている。
【0036】
遠位壁263は、コネクタ又は電線導管などの、センサシステムの一部分が遠位壁263を超えて遠位方向に延在することを可能にするように構成され得る。遠位壁263は、別個の開口部267を含んでいてもよく、又は環状壁部分262の一部分から内腔265を横切って部分的に延在し、環状壁部分の反対側の端部の手前で止まって、軸方向開口を画定してもよい。開口部267又は開口は、軸AAから外端に向かって半径方向に離間させることができる。
【0037】
検出センサシステム284の制御システムは、用量ボタン256内に収容されて示される電子機器アセンブリ276を含む。電子機器アセンブリ276の回路基板325は、複数の電子部品を含み、遠位壁261の近位面上に装着されて示されている。検出センサシステム284は、検知された回転を表す信号をセンサから受信するために、回路基板325のコントローラと動作可能に通信する回転センサ286を含む。回転センサ286は、回路基板325の遠位面に取り付けることができる。一実施形態では、回転センサ286は、開口部267及び位置インジケータ304を通って延在する導管又はリードを介して回路基板325に電気的に接続されて示される電気的位置検知部材302を含む。例えば、図13に示されるような電子機器アセンブリ276のコントローラは、電気通信及び内部メモリに少なくとも1つの処理コアを含む。検出センサシステム284の制御システムは、電子部品に電力を供給するための電源として、電池B、例示的にはコイン型電池を含む。コントローラの処理コアは、アクチュエータに対する用量設定部材の検出された回転に基づいて、薬物送達装置によって送達された用量を検出することを含む、本明細書に記載の動作を実行するように動作する制御ロジックを含む。電子機器アセンブリ内の構成要素は、説明のみを目的として未接続として示され、当技術分野で理解されているように、実際には互いに電気的に接続されている。
【0038】
様々なセンサシステムが本明細書において企図される。概して、検出センサシステムは、少なくとも一対の検知構成要素、検知構成要素及び被検知構成要素を備える。「検知構成要素」という用語は、被検知要素の相対角度位置又は移動を検出することができる任意の構成要素を指す。検知構成要素は、センサを、センサを動作させるための関連する電気構成要素と共に含む。「被検知要素」とは、関連するセンサに対して移動し、センサがセンサに対する運動を検出することができる任意の構成要素である。被検知構成要素は、1つ以上の被検知要素を備える。したがって、センサは、被検知要素(複数可)の移動を検出し、被検知要素の相対位置(複数可)を表す出力を提供することができる。
【0039】
検出センサシステム284は、図7により詳細に示されている。検出センサシステム284の回転センサ286は、検知構成要素としての電気的位置検知部材302と、電気的位置検知部材302と係合可能な検知構成要素としての位置インジケータ304とを含む。用量ボタン256が用量設定動作のためにその近位の第1の位置にあるとき、検知部材302は、位置インジケータ304との係合から軸方向に離間している。用量ボタン256が用量投与動作のためにその遠位の第2の位置に動かされると、検知部材302は軸方向に動かされて、位置インジケータ304と係合する。あるいは、位置インジケータは、用量設定及び用量投与の間、検知部材との係合を維持することができる。位置インジケータ304は、用量投与動作中に電気的位置検知部材302と電気的に接触し、電気的位置検知部材302に沿った位置インジケータ304の漸進的な動きを示す信号を生成するように構成されている。
【0040】
電気的位置検知部材302は、少なくとも部分的に回路基板材料を形成したディスク形状又は環状形状を有することができる。検知部材302の針に面する側305に沿って、1つ以上の電気接触検知パッド303が配置され得る。一実施形態では、接触パッドは、単一のリング(図示せず)を含み得る。別の実施形態では、一対の接触パッド303は、同心円状の配置で第1のリング306と、第1のリング306から半径方向内側に配置された第2のリング308とを含む。第1及び第2のリングの一方は連続的なリングであってもよく、第1及び第2のリングの他方はセグメント化されたリング、すなわち、それらの間のギャップによって互いに円周方向に配置された複数の弧状リングセグメントを含むことができる。リングセグメントの数及びパッドセグメント間のギャップ距離は、投与部材の所望の増分位置を判定するための電気信号を提供するために提供され得る。別の例では、リングの両方がセグメント化されていてもよく、それらの間のギャップによって互いに円周方向に配置された複数の弧状リングセグメントを含み、リングの一方は電気的に接地され、他方は接触して信号を生成する。
【0041】
一実施形態では、第2のリング308は連続的なものであり、第1のリング306は、図7に示されるように、セグメント化されたリングである。ここで、第1のリング306は、リング形状を形成するように配置された、番号311で参照される非検知材料のギャップ領域によって互いに円周方向に配置された複数の弧状リングセグメント309を含む。セグメント309の数は、10~36の範囲であってもよい。一例では、20のセグメントが提供されている。一形態では、例えば、半分の数のパッドなどの1組のセグメントパッド309が、セット回路などの第1の回路に結合され、例えば、半分の数のパッドなどの1組のセグメントパッド309が、リセット回路などの第2の回路に結合される。異なる回路をともなうパッドは、後述するように、互いに交互のパターンになっている。図8に示すように、302’として参照される電気的位置検知部材の別の実施形態では、第1のリング306’は連続的なものであり、第2のリング308’はセグメント化されたリングである。第1及び第2のリングの一方は、電気的に接地されたものとして構成され得、第1及び第2のリングの他方は、コントローラに電気的に結合された検知部分として構成され得る。図示の一実施形態では、連続的な第2のリング308は電気的に接地され、セグメント化された第1のリング306は、検知信号を生成するために使用される。図7は、長手方向軸から等しい半径で配置されたパッド309を示している。図16は、交互に配置され、それぞれ第1及び第2の回路に結合されたパッド309の連続的な接地リングとしての内側リング308と、セグメント化されたリングとしての外側リング306とを含む電気的位置検知部材を示す。図16のパッド309は、互いに半径方向にオフセットされている。すなわち、第1の回路に結合されたパッド309A’は、第2の回路に結合された隣接するパッド309B’から半径方向内側に配置されるか、又はその逆である。一実施形態では、第2のリング309は、第1の回路に電気的に接続されたパッドセグメント309A又は309A’の第2のリングと、第2の回路に電気的に接続されたパッドセグメント309B又は309B’の第3のリングとを含む。パッドセグメント309A又は309A’は、共通の半径方向距離だけ軸から半径方向に離間させることができる。パッドセグメント309B又は309B’は、共通の半径方向距離だけ軸から半径方向に離間させることができる。一例では、パッドセグメント309B又は309B’は、パッドセグメントが交互のパターンを画定するように、それぞれのパッドセグメント309A又は309A’に対して円周方向にオフセットされている。パッドセグメント309A又は309A’の第2のリング及びパッドセグメント309B又は309B’の第3のリングは、図7に示されるようにほぼ同じ半径方向距離で、又は図16に示されるように異なる半径方向距離で、軸から半径方向に離間され得る。
【0042】
図9では、位置インジケータ304が、回転的にかつ軸方向に固定された方法で用量設定部材230に結合されて示されている。一実施形態では、位置インジケータ304は、フランジ238のボタンに面する表面310に結合されている。位置インジケータ304は、上記のフランジなどの用量設定部材230に結合するように構成された基部312と、基部312から近位方向に延在する1つ以上のインジケータアーム314とを含み得る。基部312は、弧状の形状を有することができ、半環構成を有することが示されているが、図22に示されるように、完全なリング形状が採用されてもよい。基部312は、例えば、図22に示されるような、ステーキングポスト及び超音波溶接を受容するための装着穴を有することによって、例えば、フランジなどの、用量設定部材構成要素の近位軸方向表面に固定的に結合され得る。接着剤又はフリクションフィットなどの他の取り付け機構を使用してもよい。位置インジケータ304は、リング306、308の一部に同時に接触するように構成されている。インジケータアーム314は、基部312の円周方向端部315の1つから、基部面に対して鈍角317で延在することができるが、アーム314の延長の角度317は、基部に対して直交又は鋭角であってもよい。一例では、アーム314の任意の部分は、パッド303の両方と同時に接触可能な接触部分を含む。インジケータアーム314の先端320は、電気接触パッド303の1つ以上に接触するように構成され得る。一実施形態では、先端320は、第1及び第2のリング306、308の両方に同時に接触するサイズの半径方向幅W1を有する。図10は、先端320の半径方向幅W1と、第1及び第2のリング306、308の組み合わされた半径方向幅W2とを示している。半径方向幅W1は、組み合わされた半径方向幅W2の50%~150%のサイズにすることができる。後述する別の例では、接触部分をともなう2つ以上のアームを使用して、それぞれのリングに同時に接触させることができる。
【0043】
図9図20図22、及び図23を参照して、アームの先端は、研磨又は平滑化された表面及び/又は(フック形状321で示されているような)丸みを帯びた表面及び/又は(図22及び図23に示されるような)ドーム型表面を含んで、パッド303に沿った、及びパッド303間の滑り接触を増進させて、その移動中の潜在的な引っ掛かりを回避するように構成され得る。本明細書に記載のインジケータアームは、その基部から特定の軸方向位置に付勢されて、弾力性があってもよい。例えば、インジケータアームは、例えば、図9に示されるように、インジケータアームが基部から最大範囲で軸方向に離間されている場合、自然な構成を有することができる。電気的位置検知部材との接触は、インジケータアームをその自然な状態から動かすことができ、アームの弾力性のために、先端が検知部材の接触パッドに係合するときに、アームは軸方向の力を加えることができる。そのような軸方向の力は、検知エラーを抑制するために、検知中に位置インジケータの先端が接触パッドと係合したままであることを確実にすることができる。本明細書に記載の位置インジケータの基部及びインジケータアームは、金属などの導電性材料などの同じ材料から一体的に形成することができる。基部及びインジケータアームは、同じ材料又は異なる材料から別個に形成されてもよい。別個に形成される場合、基部及びインジケータアームは、例えば、溶接、金属溶接エポキシ、ろう付け、又は構成要素の材料に応じた他の手段などで、互いに結合されてもよい。基部及びインジケータアームは、少なくとも先端部分にプラスチック材料を含浸させた導電性材料を有するか、又は先端に沿って導電性材料被膜を有するプラスチック材料から形成されてもよい。一例では、基部及びインジケータアームは、導電性金属材料から一体的に形成され、インジケータが板ばね構成を有するように、リビングヒンジ接合部で互いに結合されている。
【0044】
用量投与中、位置インジケータ304は、用量投与中に回転しない電気的位置検知部材302に対して回転する。位置インジケータ304は、接触パッド303、すなわち、用量投与中に同時に電気的位置検知部材の第1及び第2のリング306、308に接触して、コントローラに送信される電気信号を生成するように構成されている。例えば、インジケータアーム、又はいくつかの実施形態では複数のインジケータアームの先端320が、連続的なパッド、例えば、第1のリング306又は第2のリング308と、第1又は第2のセグメント化されたパッドとに電気的に接触している場合、電気信号が生成される。位置インジケータ304が静止した電気的位置検知部材302に対して回転し、その結果、インジケータアーム304の先端320が一方のリングのセグメント309間のギャップ領域311に沿って配置され、他方のリングと接触しているとき、前回に生成された電気信号は停止する。例えば、図13に示されるようなコントローラは、生成された信号から投与カウントを判定するように構成されている。判定された投与カウントから、コントローラは、初期投与カウント及び最終投与カウント又は投与カウントの総数を含む投与記録を、用量設定部材の全角運動、したがって相関する用量投与の合計を判定するために、外部装置に伝達することができる。一例では、初期カウントは、前回の用量からの最終カウントになるであろう。コントローラはまた、投与カウントの総数を判定し、その数カウントを、メモリに格納された参照テーブル又はデータベースを用いて、用量設定部材の全角運動と相関させ、したがって、投与された用量の総量を判定して投与記録を生成するように構成され得る。判定された用量は、例えば、図13に示されるようなLEDディスプレイ上で、装置に沿って示され、及び/又はユーザに示すために外部装置に伝達され得る。
【0045】
図11及び図12は、検出センサシステム284を保持するように構成されたツーピースボタンハウジングの実施形態を示している。256’として参照されるボタンは、上部近位ハウジング部分400と、下部遠位ハウジング部分402と、を含む。下部遠位部分402は、軸方向壁404と、軸方向壁404から遠位方向に延在する半径方向壁408と、を含み、逆カップ形状を形成する。壁404、408は共に、電気的位置検知部材302を受容するようなサイズ及び形状にされた下部遠位部分内腔412を画定する。用量ボタン256’の装着カラー414は、用量ボタン256’及びクラッチを軸方向及び回転可能に共に固定するように、クラッチのステムに取り付けるために軸方向壁404の針に面する表面415から延在する。電気的位置検知部材302は、装着カラーの周りに円周方向に適合するようなサイズにされた中央ボア416で形作られている。組み立て中、電気的位置検知部材302は、内腔412内に挿入され、軸方向壁404の表面415に対して配置され、電気的位置検知部材302は、自由に浮遊するか、又は表面もしくは壁に固定され得る。環状の凹み420は、半径方向壁408の上部近位端に沿って形成され得る。凹み420は、近位部分400の下部遠位端を受容するようなサイズにされた凹んだ近位領域421を画定する。図11及び図12には示されていないが、開口部(開口部267と同様)は、コントローラと通信するためのコネクタ及び/又は導管の通過を可能にするように形成されている。
【0046】
上部近位部分400は、軸方向壁430と、軸方向壁430から遠位方向に延在する半径方向壁432と、を含み、逆カップ形状を形成する。壁430、432は共に、回路基板325及び/又は電池B及び/又は他の構成要素を受容するようにサイズ設定及び成形された上部近位部分内腔434を画定する。例示的なフレーム430は、ユーザに面する近位又は上面431と、下部ハウジング402に面する遠位又は下面433と、を含む。オペレータは、長手方向軸AA(図6)に沿って軸方向遠位力を上面431に加えることによって用量を送達することができる。この軸方向遠位力は、近位部分400から用量ボタン256’の下部ハウジング402に伝達され得る。上述のように、残りの用量投与動作を継続することができる。一実施形態では、近位部分400の下部遠位端435は、図12に示されるように、下部遠位部分420の凹んだ近位領域421にわたって適合するようにサイズ設定される。別の実施形態(図示せず)では、近位部分400の内腔434は、下部遠位部分402を受容するようなサイズにされ、その結果、半径方向壁432が、下部402の半径方向壁408にわたって、そしていくつかの例では、下部402の遠位端を超えて、延在する。部分400、402を保つために、接着剤及び/又は締まりばめなどの固定機能を提供することができる。ツーピースボタンの利点の1つは製造にあり、製造プロセス及び製造装置への最小限の設計変更で、下部ハウジング402を送達装置に取り付けることができ、近位部分400を、取り付け可能なモジュールとして、例えば、製造現場で、又は後で患者によって、別個に追加することができる。
【0047】
次に図13を参照して、装置210の実施形態が例示的な装置として説明されているが、本明細書に記載の対応する用量検出システムのいずれかと共に使用するための電子制御システム500が提供される。制御システム500は、用量検出システムの回転センサと通信して、薬物送達装置210のハウジング212、アクチュエータ250、及び/又は別の構成要素に対する用量設定部材230の検知された回転に関する情報を受信することができる。制御システム500は、回転センサからの情報を使用して、薬物送達装置210から送達された薬物の量を判定することができる。例示的な制御システム500は、薬物送達装置210のハウジング212に搭載されたマイクロコントローラユニット(MCU)502を含む。しかしながら、MCU502の場所は変化することができる。例えば、制御システム500が用量検出システム284と共に使用されるように適合されている場合、MCU502は、薬物送達装置210のアクチュエータ250上に位置することができる。
【0048】
コントローラMCUは、コントローラのメモリに格納されたソフトウェア及び/又はファームウェアを実行する、少なくとも1つのプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)を含む。ソフトウェア/ファームウェアコードは、プロセッサによって実行されると、コントローラに本明細書に記載の制御ロジック及びステップの機能を実施させる命令を含む。例示的なMCU502は、処理コア504と、メモリ506(例えば、内部フラッシュメモリ、オンボード電気的消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EEPROM)など)と、電源508(例えば、コイン型電池)と、通信ポート510と、を含む。これらの構成要素は、例えば、可撓性プリント基板(FPCB)などの、回路基板325に装着され、それを介して通信することができる。MCU502は、例えば、電気的位置検知部材302などの回転センサ286と通信する。MCU502は、回転センサ286から受信した情報に基づいて、薬物送達装置210から送達される薬物の量を判定するために使用される用量設定部材の全角運動を示す単位数を判定することを含む、本明細書に記載の動作を実行するように動作する。MCU502は、検出された単位又は角運動及び/又は薬物の量を、メモリ506内の生成された投与記録に、別々に又は共に格納することができる。生成された投与記録は、時間/日付スタンプ、用量送達量、バッテリ充電状態、エラーログメッセージなどを含み得る。MCU502はまた、通信ポート510を介して、検出された薬物又は単位又は角運動の量を表す投与記録データを、ユーザのコンピュータ又はスマートフォンなどのペアリングされた遠隔装置511に送信することができる。情報は、有線、又はBluetooth low energy(BLE)無線通信プロトコルなどの無線通信プロトコルを介して、通信ポート510から伝送され得る。
【0049】
上記のように、回転センサ286の電気的位置検知部材は、第1の信号S1及び第2の信号S2を電気的に生成する。第1の信号S1は、インジケータ304が第1のリング306及び第2のリング308のセグメント化されたパッド309のうちの第1のパッド309Aに同時に接触するときに生成される。第2の信号S2は、インジケータ304が第1のリング306及び第2のリング308のセグメント化されたパッド309のうちの第2のパッド309Bに同時に接触するときに生成される。図14に示される例では、第1のセグメント化されたパッド309Aは、ラッチ回路のリセット回路に結合され、第2のセグメント化されたパッド309Bは、ラッチ回路のセット回路に結合される。一実施形態では、コントローラは、信号S1又はS2のうちの一方の第1の信号を受信すると起動するように構成され得るので、コントローラは、開始時に電源を入れる必要はない。図17に示されるような別の例では、第1及び第2の信号S1、S2は、投与カウントの数を判定するためのデジタル処理(ADC、フィルタ、及びプログラミングを含む)のために、コントローラが最初に電源投入された状態で、コントローラに直接送信され得る。
【0050】
回転センサ286とMCUの処理コア504との間に、変換制御モジュール514が配置され得る。変換制御モジュール514は、それぞれ設定信号S及びリセット信号Rとも称する、(交互に配置された)生成された第1及び第2の信号S1、S2から、波状(undulating)単位信号S3を生成するように構成されている。
【0051】
一例では、変換制御モジュール514は、ラッチ回路を含み、別の例では、SRラッチ回路を含む。ラッチ回路は、ラッチ回路によって受信された交互の接点入力信号に応じて、ハイ又はローに切り替わる出力信号を含む。変換制御モジュール514は、第1及び第2の信号S1、S2を、MCUの処理コア504への単一の入力としてスイッチのような汎用入力/出力(GPIO)信号に変換するように動作可能である。ラッチ回路を提供する利点の1つは、処理電力の需要を削減することができることである。
【0052】
図14は、回転センサ286とコントローラMCUの処理コア504との間に配置されたSRラッチ回路としての変換制御モジュール514をともなう検出センサシステム555の例を例示的に示している。位置インジケータ304は、接地として示されるリング306にスライド可能に接触し、かつ接触したままであり、一方、セグメント化された接触パッド309にスライド可能に接触して、検知信号を生成する。セグメント化された接触パッド309は交互のパターンであり、セットS回路とリセットR回路との間で分割されている。変換制御モジュール514のラッチ回路は、S2として示されるセット信号、S1として示されるリセットR信号、ならびにセットとリセットとの間の接地信号及びフリップフロップを受信して、Q信号及び非Q信号を生成するように示される。Q信号及び非Q信号の例が図15に示されている。MCU502の処理コア504は、立ち上がりの数Cに基づいて回転の単位を判定するために、ここではS3として示されるQ信号を受信及び処理するように動作可能であり、又はQ信号内でセットされるように切り替えられ、メモリに格納され得る。それに加えて、又はその代替として、回転の単位は、立ち下がりエッジの数に基づいて判定され得るか、又はQ信号内でリセットされるように切り替えられて、その後メモリに格納され得る。投与カウントは、回転の単位を判定するステップの前に、処理コアによってメモリに格納され得る。非Q信号は偶発信号として使用され得、Q信号の予想されるパターンが実証されない場合に備えて、制御システムに冗長機能を提供する。他の実施形態では、非Q信号は、処理コアに送信される場合は無視されてもよく、処理コアから省略されてもよい。システム555は、1つのGPIO入力のみを必要とすることができる。システム555の利点の1つは、各単位が1回カウントされることである。別の利点は、接触アームが次の投与で同じパッドに接触した場合に、システム555が重複投与カウントを回避するように構成されていることである。システム555は、投与速度及び/又は投与変動性とは無関係であり得る。
【0053】
システム555の別の利点は、それがロバストなデバウンス回路として機能することである。すなわち、システム555に不均一な信号が入ってくる場合、ラッチ機能のために、信号S1が繰り返し見られる場合、これはS2からの信号がある場合にのみ発生するので、状態変化はない。ここで説明するシステムが単にデバウンス回路を使用したりソフトウェアデバウンスを使用したりするよりも優れている理由は、不均一な信号が必要とすることができるデバウンスの量が信号の周波数に依存するためである。不均一な信号の周波数が高く、デバウンスが高く設定されている場合、複数の信号が共に不鮮明になり、コントローラは、予想よりも少ない投与カウントを判定する。同様に、不均一な信号の周波数が低く、デバウンスが低く設定されている場合、コントローラは予想よりも高い投与カウントを判定する。加えて、交流信号が存在するため、リング306の直径が小さい場合、本明細書に記載のシステムは、システムの機械的公差を改善することができる。例えば、信号が1つしかない場合、位置インジケータ304は、パッド309A及び309Bに沿って移動するときに接触を維持することがあり、コントローラは、2回のクリックで信号を区別できないことがある。
【0054】
別の実施形態では、イベントログモジュール516は、MCUの変換制御モジュール514と処理コア504との間に配置され得る。イベントログモジュール516は、図15におけるQ信号のセット又は立ち上がりCを切り替える回数のような、単一の入力信号の立ち上がりエッジ及び/又は立ち下がりエッジの数をカウント及びログ記録することによって単位数を判定するように構成されている。生成された信号S3の立ち上がりエッジの総数は、単位の総数と相関しており、これは、投与部材の回転量を表す。あるいは、イベントログモジュールは、立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの両方をカウントして、回転量を判定することができる。イベントログモジュール516は、判定されたカウント総数CをMCU502の処理コア504に伝達するように動作可能である。さらなる例では、MCUの処理コア504は、単一の入力信号からの第1のカウントの受信に基づいて、システムの電源をオンにするか、又はシステムを低電力状態から高電力状態に起動させるように構成されている。システムが低電力状態構成にあるとき、イベントログモジュール516は、少なくともいくつかの単位のうちの最初の1つを判定するのに十分な電力を有する。
【0055】
別の実施形態では、時間遅延モジュール518が、イベントログモジュール516及びリアルタイムクロックRTCとして示されるタイマーと通信していてもよい。時間遅延モジュール518は、イベントログモジュールの立ち上がりエッジC間の経過時間Tの量を判定するように動作可能である。一例では、イベントログモジュールは、コントローラが低電力状態にあるときに動作することができる。時間遅延ブロックに基づいて投与が完了すると、コントローラが起動し、イベントログモジュールから信号を受信し、投与情報のデータをメモリに保存することができる。時間遅延ブロックのための信号の最後のカウントからの経過時間として選択された時間、例えば3秒は、用量投与動作後にイベントログモジュールと通信するためにコントローラの電源を入れるために使用され得、それにより、電源508からの電力需要を低減する。この後、MCU502はすぐにオフとなり、外部装置とペアリングされたときなど、別の時間に待機して、用量の1つ以上の投与記録データを通信することができる。あるいは、選択された時間、例えば3秒は、電源508からの電力需要を低減するために、経過時間後にコントローラの電源を切るのに有益な場合がある。イベントログモジュールによって判定された最後の単位の時間から期間Tが経過した後、システムは低電力状態構成に入るように構成されている。選択された時間は、MCUの処理コア504からの電源オフコマンドの前に、外部ソースへのデータの通信送信をトリガーするのに有益な場合がある。
【0056】
図17は、別個のGPIOピンでコントローラMCUの処理コア504に直接送信される、異なる接点入力信号である第1及び第2の信号S1、S2をともなう代替の検出センサシステム560を示している。本明細書に記載の変換制御モジュールは、処理コア及びメモリにプログラムされたソフトウェア命令を介して機能的に達成される。位置インジケータ304は、第1及び第2の検知信号を生成するために交互にセグメント化された接触パッド309A、309Bにスライド可能に接触しながら、正の供給電圧(Vcc)として示されるリング306にスライド可能に接触し、かつ接触したままである。セグメント化された接触パッド309A、309Bは、セットS回路とリセットR回路との間で分割されている。処理コア504は、S1として示されるセット信号を第1のGPIO1入力信号として受信し、S2として示されるリセットR信号を第2のGPIO2入力信号として受信するように示されている。図18は、システム560の交互のGPIO1信号S1及びGPIO2信号S2の例を示しており、ATと称する割り込みがアクティブに追跡され、処理コアによって記録されている。MCUは、GPIO1及びGPIO2信号を受信及び処理するように動作可能であり、フリップフロップ機能を複製することを交互に行うアクティブ化割込みATに基づいて回転単位を判定するために、一方又は両方の信号におけるアクティブ化割込みATの数を判定する。判定された回転単位は、メモリに格納され得る。投与カウントは、回転の単位を判定するステップの前に、処理コアによってメモリに格納され得る。システム560の利点の1つは、各単位が1回カウントされることである。ラッチ回路ハードウェアをともなうシステムよりも、製造及び/又は運用コストが安価な場合がある。別の利点は、接触アームが次の投与で同じパッドに接触した場合に、システム560が重複投与カウントを回避するように構成されていることである。システム560は、投与速度及び/又は投与変動性とは無関係であり得る。
【0057】
図19Aは、本明細書に記載の検出センサシステムのいずれか1つのハードウェアインターフェースに基づく用量検出(570として参照される)のための例示的なソフトウェアロジックを説明する流れ図である。処理コアは、処理コアによって実行されると、コントローラMCUに本明細書に記載の制御アルゴリズムの機能を実行させる命令を含む、コントローラMCUのメモリに格納されたソフトウェア及び/又はファームウェアを実行する。コントローラは、次のステップの1つ以上を実行するように構成されている。位置インジケータが電気的に接地された半径方向のパッド及び第1のセグメント化されたパッドと接触しているときに、第1の電気回路で第1の信号を生成する(ステップ572)。位置インジケータが電気的に接地された半径方向のパッド及び第2のセグメント化されたパッドと接触しているときに、第2の電気回路で第2の信号を生成する(ステップ574)。生成された第1及び第2の信号のうちの少なくとも一方に基づいて、投与部材の回転量を表す単位数を判定する(ステップ576)。以下のステップの1つ以上が含まれてもよい。生成された第1及び第2の信号から、ラッチ回路を用いて波状単位信号を生成する。コントローラのイベントログモジュールを用いて、生成された波状単位信号の立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジ、又はそれらの両方の数を判定する。生成された第1及び第2の信号のうちの少なくとも一方のアクティブ化割込みの数を判定する。判定されたアクティブ化割込みの数に基づいて、投与部材の回転量を表す単位数を判定する。
【0058】
図19Bは、例えば、図17に示される検出センサシステムのハードウェアインターフェースに基づく投与カウント用(580として参照される)のソフトウェア論理を説明する流れ図である。処理コアは、コントローラMCUのメモリに格納されているソフトウェア及び/又はファームウェアを実行する。ソフトウェア/ファームウェアコードは、処理コアによって実行されると、コントローラMCUに、第1及び第2の信号の一方又は両方に1つ以上のアクティブ化割込みを提供して、投与カウントの回転単位数を判定するなど、本明細書に記載の制御アルゴリズムの機能を実行させる命令を含む。
【0059】
図19Bは、入力された第1及び第2の信号のうちの一方によって生じるノイズを無視するように、投与カウント用IRQルーチンによってアクティブ化割込みを実行することができるメインルーチンを説明する。記載のステップのいくつか又はすべてが実行され得ることが理解される。ルーチンの開始時に、GPIOピン1及びGPIOピン2の両方が、MCUの処理コア504を低電力状態から起床させるように構成されている(ステップ581)。信号(信号S1又は信号S2のうちの一方)が受信され、MCUの処理コア504が低電力状態から電源オンされると、投与カウントが1つ増加され(ステップ582)、初期信号(信号S1又は信号S2のうちの一方)をカウントする。続いて、アクティブ状態であるGPIO(例えば、GPIO1が初期信号S1に対してアクティブである)は無視されるように指示され、次のGPIOがアクティブ状態に保持される(ステップ583)(例えば、GPIO2が現在アクティブである)。次のGPIOに信号があると(例えば、GPIO2上の信号S2)、投与完了タイマーが開始され(ステップ584)、投与カウントが1つ増分される(ステップ585)。次に、前のGPIO(例えば、GPIO2)はここで無視され、今度次のGPIO(他のGPIOは、ここではGPIO1)は、投与カウントに対してアクティブに構成される(ステップ586)。ステップ585及び586は、アクティブ化割込みを提供することができる。次に、現在の投与カウントが前の投与カウントと比較される(ステップ587)。現在の投与カウントが前の投与カウントと等しくない場合、現在の用量は、次の投与カウントにおいて前の用量となる(ステップ589で)。ステップ589の後、現在の投与カウントと前の投与カウントとが等しくなるまで、すなわち、用量検出システムがカウントする用量設定部材の回転がなくなるまで、ステップ584、585、及び586は、繰り返し実行され、送達される用量単位の次の増分をカウントする。次に、用量送達が実際に停止されることを保証するタイマー機能がある。例えば、現在の投与カウントが前の投与カウントと等しいとき、合計経過時間が最大投与時間と比較される(ステップ588)。合計経過時間が最大投与時間よりも短い場合、合計経過時間増分が判定される(ステップ590)。合計経過時間が最大投与時間以上のとき、すなわち、最後にカウントされた投与増分の間に十分な時間が経過したとき、MCUのメモリに書き込むか、又は保存することによって、新たな投与記録が生成される(ステップで591)。本明細書に記載されるように、新たな投与記録及び/又は以前に保存された投与記録は、ペアリング又はリンクされたときに、ディスプレイによって示され、及び/又は外部装置に通信することができる。
【0060】
MCUの処理コア504は、総経過時間が最大投与時間に等しい(ステップ588)ときに、投与完了タイマーがGPIOイベント間の特定の閾値に達するまで、そのように動作し続ける。この場合、新たな投与記録が保存される。図19Bに基づいて、S1からの信号が記録されると、アクティブ化割込みがオフになり、S2によって読み取られる信号が存在するまで、このGPIO1から何も記録されないことを意味する。この場合、S2が記録されると、GPIO2のアクティブ化割込みは非アクティブになり、GPIO1のアクティブ化割込みは再びアクティブになる。
【0061】
図20は、ここでは604として参照される位置インジケータの代替構成を示している。位置インジケータ604は、第1の指606と第2の指608とを含む。第1及び第2の指604、606は、例えば、基部312などの、インジケータ基部に結合された基部610で相互接続されて示されている。基部610の反対側にある第1の指606の先端612は、連続的な接触パッド615又はセグメント化された接触パッド617のうちの一方に電気的に接触するように構成されている。基部610の反対側にある第2の指608の先端614は、連続的又はセグメント化された接触パッド615、617の他方に電気的に接触するように構成されている。位置インジケータの一般的な構成について図9をさらに参照すると、インジケータ604の基部610は、投与部材に結合された基部312などのインジケータ基部に結合され得、その結果、指606、608は、投与部材から近位方向に延在する。この構成の利点の1つは、パッドに接触するための指の弾力性、形状、及びサイズを調整できることである。あるいは、図22では、ここでは804として参照される位置インジケータの第1の指806及び第2の指808は、互いに円周方向にオフセットされて、インジケータ基部812から延在することができ、その結果、指806、808は、異なる円周方向の位置に沿って延在する。ここで、第1の指806は、連続的な接触パッド又はセグメント化された接触パッドの一方に接触するように半径方向に配置され、第2の指808は、連続的な接触パッド又はセグメント化された接触パッドの他方に接触するように第1の指808から半径方向にオフセットされて配置されている。アーム806、808の先端は、ドーム型表面817を含むように示されている。指は、依然として、インジケータ基部812で互いに電気的に結合されているであろう。基部812は、完全なリング形状を有し、フランジなどの用量設定部材に取り付けるためにその中に形成された装着穴815を含んで示されている。図23は、半リング状の基部820をともなう、804’として参照される位置インジケータを示している。
【0062】
図21は、別の薬物送達装置700の、ここでは710として参照される用量検出システムの代替構成を示している。装置710は、電子機器アセンブリ内の電子部品の少なくとも一部分を含む、装置10を参照して説明されたような用量設定及び用量投与のために動作する同じ構成要素の多くを含み、そのような構成要素には同じ対応する説明がなされる。装置700は、長手方向軸AAの周りに配置された装置本体を含む。投与部材730は、装置本体に結合され、用量設定動作中に装置本体に対して回転可能である。アクチュエータは、装置本体に結合され、用量投与動作中に装置本体に対して移動可能である。検出システム710は、用量投与動作中に投与部材730の回転を検出するように構成されている。検出システム710は、電気的位置検知部材702と、電気的位置検知部材と係合可能な位置インジケータ704と、を含む。位置インジケータ704は、用量投与動作中に電気的位置検知部材と電気的に接触し、電気的位置検知部材に沿った位置インジケータの増分位置を示す第1及び第2の信号を生成するように構成されている。制御システムは、位置インジケータ704と通信する。制御システムは、MCUと、アナログ信号であり得る第1及び第2の位置信号をデジタル信号であり得る波状信号に変換するように構成された変換制御モジュールと、を含む。制御システムは、波状信号に基づいて、投与部材の回転単位数を判定するようにプログラムされている。
【0063】
電気的位置検知部材702は、位置インジケータ704の遠位に配置されている。検知部材702は、回転的及び軸方向に固定された方法で、フランジ738などの投与部材730に結合されている。1つ以上の電気接触パッド、連続的なパッド703A、及びセグメントパッド703Bは、検知部材702のボタンに面する側705に沿って配置することができる。上記のように、連続的なパッド703Aは、セグメントパッド703Bに対して半径方向外向きに配置することができ、又はその逆も可能である。図示のように、位置インジケータ704は、第1のピン715及び第2のピン717として示される検知用のピンを含み、これらは、下部724の壁721によって画定されるハウジング開口719を通して受容されている。ピン715、717の各々は、対応する接触パッド703A、703Bに対して静止することができる遠位接触先端725を有するように位置付けられている。第1のピン715は、セグメント化されたパッド703Bと接触することができ、第2のピン717は、連続的なパッド703Aと接触することができる。第1のピンは、長手方向軸AAから第1の距離D1だけ半径方向に位置し、第2のピンは、長手方向軸AAから第1の距離D1よりも大きい第2の距離D2だけ半径方向に位置する。ピン715、717の各々は、下部ハウジング部分724とピン715、717の各々との間に位置付けられたコイルばね741のように付勢されて、ピンを先端が接触パッドに接触する位置で遠位方向に外側に付勢する。ばね741は、下部ハウジングとピンの端部との間に配置されて示されている。ただし、ばねはピンシャフト又は他の場所に沿って配置されてもよい。ピンは、ピンが信号を生成するように動作可能であるように、ピンモジュール753を介して回路基板751と電気的に通信している。ピンモジュール753は、ピンの端部をばねに収容するように構成されているだけでなく、検知信号を生成するための電気回路として機能する。
【0064】
上述のように、用量設定部材の検知された回転を使用して、薬物送達装置から送達された薬物の量を判定することができる。特定の実施形態では、アクチュエータに結合された電気的位置検知部材のそれぞれの接触検知パッドを横切って用量設定部材に結合された位置インジケータの各回転は、1つの用量単位もしくは回転単位、又はそのいくつかの一部と相関することができる。したがって、電気的位置検知部材から受信した情報に基づいて、用量検出システムは、位置インジケータが電気的位置検知部材を横切って回転する回数を開始から終了まで漸進的に用量をカウントし、その数を薬物送達装置から送達される薬物の量と相関させることができる。しかしながら、各電気的位置検知部材の接触パッドのサイズ、形状、及び間隔は、他の用量単位と相関するように変化することができる。
【0065】
ある特定の実施形態では、制御システム500は、用量設定部材の回転の方向を区別するように構成され得る。例えば、制御システム500は、用量設定部材が用量設定動作中に第1の方向に回転するか、用量投与動作中に第2の方向に回転するかを区別するように構成され得る。薬物送達装置のいずれか1つから実際に送達された薬物の量を判定するために、制御システム500は、用量設定動作中に用量設定部材の回転を無視し、実際の用量投与動作中に用量設定部材の回転のみを処理することができる。制御システム500は、これらの方向を、例えば、位相シフト又はシフトレジスタ符号化を使用して区別することができる。
【0066】
本明細書に記載の送達装置のいずれか1つを用いて用量投与の量を判定する方法。一実施形態では、第1の信号は、位置インジケータが連続的な半径方向のパッド及び第1のセグメント化されたパッドと接触しているときに、第1の電気回路で生成される。第2の信号は、位置インジケータが連続的な半径方向のパッド及び第2のセグメント化されたパッドと接触しているときに、第2の電気回路で生成される。単位数は、投与部材の回転量を表し、生成された第1及び第2の信号のうちの少なくとも一方に基づいて、制御システムによって判定される。一実施形態では、波状単位信号は、例えば、ラッチ回路などの変換制御モジュールを用いて、生成された第1及び第2の信号から生成され得る。制御システムのイベントログモジュールを使用して、単位数が判定された数に基づくように、生成された波状単位信号の立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジ、又はそれらの両方の数を判定することができる。別の実施形態では、制御システムは、生成された第1及び第2の信号のうちの少なくとも一方のアクティブ化割込みの数を判定し、判定されたアクティブ化割込みの数に基づいて、投与部材の回転量を表す単位数を判定することができる。
【0067】
第1のセグメント化されたセンサパッド及び接地パッドと接触し、第2のセグメント化されたセンサパッド及び接地パッドと接触する位置インジケータから生成される交流回路信号、ならびに交流回路信号の少なくとも1つに基づいて投与部材の回転量を判定するための変換手段は、回転量のより正確かつ信頼できる判定を提供することができる。単位の誤カウントを可能にする可能性のある入力信号内のデバウンス及びノイズの問題を回避することができる。また、検出システムの再同期を省略することができる。
【0068】
本発明は例示の設計を有するものとして説明されてきたが、本発明は、本開示の趣旨及び範囲内でさらに修正されてもよい。したがって、本出願は、本発明の一般的原理を用いた本発明の任意の変形、使用、又は適応を包含することが意図される。さらに、本出願は、本発明が関係し、添付の特許請求の範囲の限定の範囲内に入る、当該技術分野で既知の又は慣習的な実施の範囲内に入るものとして、本開示からのそのような逸脱を網羅することを意図する。
【0069】
以下の態様を含むがこれらに限定されない様々な態様が、この開示に記載されている。
1. 送達装置であって、用量投与イベント中に回転可能な投与部材と、検出システムであって、位置インジケータと、位置検知部材と、第1の電気回路と、第2の電気回路と、を含み、位置インジケータ及び位置検知部材のうちの一方は、投与部材に結合されており、位置検知部材は、位置検知部材の軸方向表面に沿って互いに半径方向に配置された、セグメント化された半径方向のパッドと、電気的に接地された半径方向のパッドと、を含み、セグメント化された半径方向のパッドは、交互のパターンで配置された、複数の第1のセグメント化されたパッドと、複数の第2のセグメント化されたパッドと、を含み、第1及び第2のセグメント化されたパッドは交互のパターンで配置されており、第1の電気回路は、位置インジケータが第1のセグメント化されたパッド及び電気的に接地された半径方向のパッドと接触関係にあることに応答して、第1の信号を生成するように構成されており、第2の電気回路は、位置インジケータが第2のセグメント化されたパッド及び電気的に接地された半径方向のパッドと接触関係にあることに応答して、第2の信号を生成するように構成されている、検出システムと、第1の電気回路及び第2の電気回路と通信し、生成された第1の信号及び第2の信号のうちの少なくとも一方に直接的又は間接的に基づいて、投与部材の回転単位数を判定するように動作可能なコントローラと、を備える、送達装置が提供される。
【0070】
2.コントローラは、生成された第1の信号及び第2の信号の両方を受信し、生成された第1の信号及び第2の信号のうちの少なくとも一方のアクティブ化割込みの数を判定して、単位数を判定するように構成されている、態様1に記載の装置が提供される。
【0071】
3.コントローラは、第1の電気回路及び第2の電気回路の各々に動作可能に結合された変換制御モジュールと、変換制御モジュールに動作可能に結合された処理コアと、を含み、変換制御モジュールは、生成された第1の信号及び第2の信号から波状単位信号を生成するように構成されており、処理コアは、生成された波状単位信号の立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジ、又はそれらの両方の数に基づいて、回転単位数を判定するように構成されている、態様1又は2に記載の装置が提供される。
【0072】
4.変換制御モジュールはラッチ回路を備える、態様3に記載の装置が提供される。
【0073】
5.コントローラは、変換制御モジュールと処理コアとの間に動作可能に結合されたイベントログモジュールを含み、イベントログモジュールは、生成された波状単位信号の立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジ、又はそれらの両方の数をカウントするように構成されている、態様3に記載の装置が提供される。
【0074】
6.イベントログモジュールは、処理コアがより低い電力状態にあるときに、生成された波状単位信号の立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジ、又はそれらの両方の数をカウントするように構成されており、コントローラは、イベントログモジュールにより判定された、生成された波状単位信号からの最後のカウントの期間の満了に応答して、ログモジュールから、生成された波状単位信号を受信するように、処理コアをより低い電力状態から電源オンにするように構成されている、態様5に記載の装置が提供される。
【0075】
7.位置インジケータは投与部材に結合されている、態様1から6のいずれか1つに記載の装置が提供される。
【0076】
8.位置インジケータは、投与部材に結合された基部と、投与部材から離れるように付勢され、基部から延在する1つ以上のアームと、セグメント化された半径方向のパッド及び電気的に接地された半径方向のパッドの両方に同時に接触するように構成された接触部分と、を有する、態様7に記載の装置が提供される。
【0077】
9.位置インジケータは、投与部材に結合された基部と、投与部材から離れるように付勢され、基部から延在する2つ以上のアームと、を有し、アームのうちの1つは、セグメント化された半径方向のパッドのうちの一方と、電気的に接地された半径方向のパッドとに接触するように構成された接触部分を含み、アームのうちの他の1つは、セグメント化された半径方向のパッドのうちの他方と、同時に別のアームと接触している電気的に接地された半径方向のパッドとに接触するように構成された接触部分を含む、態様7に記載の装置が提供される。
【0078】
10.ボタンをさらに備え、ボタンは、位置インジケータの近位に配置された位置検知部材を収容し、用量設定イベント中に、投与部材及びボタン、そして位置インジケータ及び位置検知部材が装置本体に対して共に回転するように、投与部材はボタンに回転的に結合され、用量投与イベントの間に、投与部材が回転的に固定されたボタンに対して回転し、そして位置インジケータは、回転的に固定されている位置検知部材に対して回転するように、投与部材はボタンから回転的に切り離される、態様7に記載の装置が提供される。
【0079】
11.ボタンをさらに備え、位置検知部材は投与部材に結合され、ボタンは、位置検知部材の近位に配置されている位置インジケータを収容し、用量設定イベント中に、投与部材及びボタンが装置本体に対して共に回転するように、投与部材は、ボタンに回転的に結合され、用量投与イベントの間に、投与部材がボタンに対して回転するように、投与部材はボタンから回転的に切り離される、態様1から10のいずれか1つに記載の装置が提供される。
【0080】
12.コントローラは、第1の信号及び第2の信号の一方又は両方に1つ以上のアクティブ化割込みを提供して、回転単位数を判定するように構成されている、態様1から11のいずれか1つに記載の装置が提供される。
【0081】
13.コントローラは、第1の電気回路に結合された第1の入力と、第2の電気回路に結合された第2の入力とを含み、コントローラは、第2の入力を無視して、第1の入力のアクティブ化に基づいて投与完了タイマーを開始し、アクティブ化された第1の入力による第1の信号に基づいて、用量単位の送達カウントの増分を判定し、第2の入力をアクティブ化し、第1の入力を無視することで、第1の信号にアクティブ化割込みを提供して、アクティブ化された第2の入力による第2の信号に基づいて、回転単位数を判定するように構成されている、態様12に記載の装置が提供される。
【0082】
14.送達装置であって、長手方向軸を有する装置本体と、装置本体に結合され、用量投与イベント中に装置本体に対して回転可能な投与部材と、装置本体の近位端に結合され、用量投与イベント中に装置本体に対して移動可能であって、上部ハウジングと、上部ハウジングの遠位にある下部ハウジングとを備えるボタンと、用量投与イベント中に投与部材の回転を検出するように構成された検出システムであって、下部ハウジング内に収容された位置検知部材と、投与部材に結合された位置インジケータと、を備え、位置検知部材は、位置検知部材の軸方向表面に沿って交互のパターンで半径方向に配置された、複数の第1のセグメント化されたパッド及び複数の第2のセグメント化されたパッドと、第1のセグメント化されたパッド及び第2のセグメント化されたパッドに対して半径方向に軸方向表面に沿って配置された連続的な半径方向のパッドと、を含み、位置インジケータは、連続的な半径方向のパッドと、第1の半径方向のパッド及び第2の半径方向のパッドのうちの一方とに同時に接触するように半径方向にサイズ設定され、用量投与イベント中に、位置検知部材は、位置インジケータが連続的な半径方向のパッド及び第1のセグメント化されたパッドと接触したときに第1の信号を生成し、位置インジケータが連続的な半径方向のパッド及び第2のセグメント化されたパッドと接触したときに第2の信号を生成するように構成されている、検出システムと、生成された第1の信号及び第2の信号のうちの少なくとも一方に直接的又は間接的に基づいて、投与部材の回転量を表す単位数を判定するように動作可能なコントローラと、を備える、送達装置が提供される。
【0083】
15.上部ハウジングによって画定された上部内腔及び下部ハウジングによって画定された下部内腔を少なくとも部分的に分離する壁を有し、コントローラは、それぞれがボタンの上部ハウジングの上部内腔内に収容されている電源及び処理コアを含む、態様14に記載の装置が提供される。
【0084】
16.下部ハウジングは、投与部材の構成要素に堅固に結合された装着カラーを含み、用量設定イベント中に、投与部材及びボタンが装置本体に対して共に回転するように、投与部材がボタンに回転的に結合され、用量投与イベントの間に、投与部材がボタンに対して回転するように、投与部材はボタンから回転的に切り離される、態様15に記載の装置が提供される。
【0085】
17.位置インジケータは、第1の信号を生成するように動作可能な第1の電気回路と、第2の信号を生成するように動作可能な第2の電気回路と、を含み、コントローラは、第1の電気回路及び第2の電気回路の各々に動作可能に結合されたラッチ回路を含み、ラッチ回路は、位置インジケータと処理コアとの間に配置され、第1の信号及び第2の信号から波状単位信号を生成するように構成されており、処理コアは、生成された波状単位信号の立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジ、又はそれらの両方の数に基づいて、単位数を判定するように構成されている、態様14から16のいずれか1つに記載の装置が提供される。
【0086】
18.コントローラは、ラッチ回路と処理コアとの間に動作可能に結合されたイベントログモジュールを含み、イベントログモジュールは、生成された波状単位信号の立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジ、又はそれらの両方のカウントに基づいて単位数を判定し、単位数を処理コアに伝達するように構成され、コントローラは、イベントログモジュールにより判定された、生成された波状単位信号からの最後のカウントの期間の満了に応答して、装置を低電力状態構成に設定するように構成されている、態様17に記載の装置が提供される。
【0087】
19.コントローラは、生成された第1の信号及び第2の信号の両方を受信し、生成された第1の信号及び第2の信号のうちの少なくとも一方のアクティブ化割込みの数を判定して、アクティブ化割込みの数に基づいて、単位数を判定するように構成されている、態様14から18のいずれか1つに記載の装置が提供される。
【0088】
20.送達装置を用いた用量投与の量を判定する方法であって、送達装置は、位置インジケータと位置検知部材とを備え、位置インジケータ及び位置検知部材のうちの一方は投与部材に結合されており、位置検知部材は、位置検知部材の軸方向表面に沿って互いに半径方向に配置された、セグメント化された半径方向のパッドと、電気的に接地された半径方向のパッドと、を含み、セグメント化された半径方向のパッドは、交互のパターンで配置された、複数の第1のセグメント化されたパッドと、複数の第2のセグメント化されたパッドと、を含み、位置インジケータは、第1のセグメント化されたパッド及び電気的に接地された半径方向のパッドに接触するように半径方向にサイズ設定されており、位置インジケータは、第2のセグメント化されたパッド及び電気的に接地された半径方向のパッドに接触するように半径方向にサイズ設定されており、第1のセグメント化されたパッドは、第1の電気回路に結合されており、第2のセグメント化されたパッドは、第2の電気回路に結合されており、第1の電気回路及び第2の電気回路の少なくとも一方は、コントローラに結合されており、位置インジケータが電気的に接地された半径方向のパッド及び第1のセグメント化されたパッドと接触しているときに、第1の電気回路で第1の信号を生成することと、位置インジケータが電気的に接地された半径方向のパッド及び第2のセグメント化されたパッドと接触しているときに、第2の電気回路で第2の信号を生成することと、コントローラを用いて、生成された第1の信号及び第2の信号のうちの少なくとも一方に基づいて、投与部材の回転量を表す単位数を判定することと、を含む、方法が提供される。
【0089】
21.ラッチ回路を用いて、生成された第1の信号及び第2の信号から波状単位信号を生成することと、コントローラのイベントログモジュールを用いて、生成された波状単位信号の立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジ、又はそれらの両方の数を判定することであって、コントローラを用いて投与部材の回転量を表す単位数を判定するステップは、判定された数に基づいて、投与部材の回転量を表す単位数を判定することをさらに含む、コントローラのイベントログモジュールを用いて、生成された波状単位信号の立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジ、又はそれらの両方の数を判定することと、をさらに含む、態様20に記載の方法が提供される。
【0090】
22.コントローラを用いて、生成された第1の信号及び第2の信号のうちの少なくとも一方のアクティブ化割込みの数を判定することであって、コントローラを用いて投与部材の回転量を表す単位数を判定ステップは、判定されたアクティブ化割込みの数に基づいて、投与部材の回転量を表す単位数を判定することをさらに含む、コントローラを用いて、生成された第1の信号及び第2の信号のうちの少なくとも一方のアクティブ化割込みの数を判定することをさらに含む、態様20又は21に記載の方法が提供される。
【0091】
容器と、容器内に配備され、用量投与イベント中に容器から排出することができる薬物と、をさらに備える、前掲の態様のいずれか1つに記載の装置が提供される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図20
図21
図22
図23