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特許7167321運転者支援システムを動作させる方法、運転者支援システム、車両ならびにコンピュータプログラムおよびデータ伝送信号
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】運転者支援システムを動作させる方法、運転者支援システム、車両ならびにコンピュータプログラムおよびデータ伝送信号
(51)【国際特許分類】
   B60Q 5/00 20060101AFI20221031BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
B60Q5/00 650A
G08G1/16 C
B60Q5/00 620Z
B60Q5/00 670D
B60Q5/00 670E
B60Q5/00 660Z
B60Q5/00 630B
B60Q5/00 640Z
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021515659
(86)(22)【出願日】2019-08-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2019072316
(87)【国際公開番号】W WO2020057882
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-03-19
(31)【優先権主張番号】102018216130.5
(32)【優先日】2018-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
【住所又は居所原語表記】Vahrenwalder Strasse 9, D-30165 Hannover, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】グイド マイヤー-アーレント
(72)【発明者】
【氏名】ハイディ フォン ビュホウスキー
(72)【発明者】
【氏名】カトリン ヴェンツェル
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-175998(JP,A)
【文献】特開平10-236227(JP,A)
【文献】特開2006-335312(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0025787(US,A1)
【文献】特表2017-535862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 5/00
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)における運転者支援システを動作させる方法であって、
前記運転者支援システムにより、少なくとも部分自動化された自律レベルにおいて前記車両(1)を動作させ、
前記車両(1)の車内空間に配置されている少なくとも1つの音響変換器を準備し、
前記車両(1)内に一人以上の車両乗員が存在するか否かを評価ユニットによって記録し、
前記音響変換器によって、音響出力を有する音響信号を送出し、
前記音響出力を前記音響変換器によって設定し、車両乗員の前記存在に依存して、前記音響変換器によって前記音響出力の前記設定を行う、
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
設定された前記音響出力に依存して、前記運転者支援システムによって行われるウィンドウリフタの操作により、前記車両(1)の開放可能なウィンドウ(4)を少なくとも部分的に開放し、かつ/または設定された前記音響出力に依存して、前記運転者支援システムによって行われるスライドルーフ駆動装置の操作により、前記車両の開放可能なスライドルーフを少なくとも部分的に開放する、ことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの移動する対象体が、前記車両(1)の少なくとも1つのセンサ(3)によって検出されるか否かを特定し、少なくとも1つの前記センサ(3)は、車両周囲内の移動する対象体を検出するように構成されており、ウィンドウリフタを用いて、前記対象体の方を向いた前記車両(1)の側に配置されている少なくとも1つの前記ウィンドウ(4)の少なくとも部分的な開放を行う、ことを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
車両周囲内の移動する対象体を検出するように構成されている、前記車両(1)の少なくとも1つのセンサ(3)によって、少なくとも1つの対象体が検出されるか否かを特定し、検出された前記対象体と、前記車両(1)との距離に依存して前記音響出力を設定する、ことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
車両周囲内の移動する対象体を検出するように構成されている、前記車両(1)の少なくとも1つのセンサ(3)によって、少なくとも1つの対象体が検出されるか否かを特定し、前記車両(1)に対する、検出された前記対象体の移動方向に依存して前記音響出力を設定する、ことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記車両(1)の周囲の少なくとも一部分に光信号を出力するように構成されている照明ユニット(5)によって前記光信号を出力する、ことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記運転者支援システムは、車庫入れプロセスおよび/または車庫出しプロセスを実行する駐車支援システム(2)として構成されており、前記車庫入れプロセスおよび/または前記車庫出しプロセスには、有利には、少なくとも2つの異なる駐車プロセスが含まれる、ことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
少なくとも、車庫入れおよび/または車庫出しの開始が、第1駐車プロセスとして、前記車両の操縦が、第2駐車プロセスとして、前記車庫入れおよび/または前記車庫出しの終了が、第3駐車プロセスとして含まれる、ことを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項9】
少なくとも2つの異なる駐車プロセスについて異なる音響信号を用意する、請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
音声出力および/またはサウンド出力として前記音響信号を構成する、ことを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記車両(1)の少なくとも1つの周囲パラメータに依存して前記音響出力を設定する、ことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項記載の方法を実施する、車両(1)における運転者支援システムであって、前記運転者支援システムは、
少なくとも部分自動化された自律レベルにおいて、前記車両(1)を動作させる少なくとも1つの第1動作モードと、
前記車両(1)内の一人以上の車両乗員の存在を記録するように設計されている評価装置と、
少なくとも1つの音響変換器と、
を有し、
少なくとも1つの前記音響変換器は、前記車両(1)の車内空間に配置されており、かつ音響出力を有する音響信号を送出するように構成されており、前記音響出力は、前記音響変換器によって設定可能であり、前記音響出力は、車両乗員の前記存在に依存して、前記音響変換器によって設定可能である、
運転者支援システム。
【請求項13】
少なくとも1つの開放されるウィンドウ(4)が設けられており、少なくとも1つの前記ウィンドウ(4)は、ウィンドウリフタの操作によって前記ウィンドウ(4)が少なくとも部分的に開放可能であるように構成されており、前記操作は、設定された前記音響出力に依存して前記運転者支援システムによって行われ、かつ/または開放されるスライドルーフが設けられており、前記スライドルーフは、スライドルーフ駆動装置の操作によって前記スライドルーフが少なくとも部分的に開放可能であるように構成されており、前記操作は、設定された前記音響出力に依存して前記運転者支援システムによって行われる、ことを特徴とする、請求項12記載の運転者支援システム。
【請求項14】
車両周囲内の少なくとも1つの移動する対象体を検出するセンサ(3)が設けられており、少なくとも部分的に開放される前記ウィンドウ(4)は、前記対象体の方を向いた、前記車両(1)の側に配置されている、ことを特徴とする、請求項13記載の運転者支援システム。
【請求項15】
車両周囲内の少なくとも1つの移動する対象体を検出するセンサ(3)が設けられており、前記音響変換器は、検出された前記対象体と前記車両(1)との距離に依存して前記音響出力を設定するように構成されている、ことを特徴とする、請求項12から14までのいずれか1項記載の運転者支援システム。
【請求項16】
車両周囲内の少なくとも1つの移動する対象体を検出するセンサ(3)が設けられており、前記音響変換器は、検出された前記対象体の、前記車両(1)に対する移動方向に依存して前記音響出力を設定するように構成されている、ことを特徴とする、請求項12から15までのいずれ1項記載の運転者支援システム。
【請求項17】
前記音響信号は、音声出力および/またはサウンド出力として構成されている、ことを特徴とする、請求項12から16までのいずれか1項記載の運転者支援システム。
【請求項18】
前記運転者支援システムは、駐車支援システムである、ことを特徴とする、請求項12から17までのいずれか1項記載の運転者支援システム。
【請求項19】
音響変換器を備えた車内空間を有する、請求項12から18までのいずれか1項記載の運転者支援システムを備えた車両(1)。
【請求項20】
請求項12から18までのいずれか1項記載の運転者支援システムにより、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法が実施されるようにする命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項21】
請求項20記載のコンピュータプログラムを伝送するデータ伝送信号。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両における運転者支援システム、特に駐車支援システムを動作させる方法に関する。本発明はさらに、運転者支援システム、車両、ならびにコンピュータプログラムおよびデータ伝送信号に関する。
【0002】
現代の車両は、今日、運転者に対して車両の操縦を大きく軽減する快適システムおよび支援システムを有する。このような支援システムのうちの1つが、例えば駐車支援システムである。この駐車支援システムにより、パーキングスペースへの、または駐車場における車両の車庫入れが支援される。この駐車支援システムには、たいてい、複数のセンサが含まれており、これらのセンサにより、障害物または別の危険の源を求めて車両の車両周囲が探索され、したがって車両の周囲が監視される。手動または部分自動化された駐車プロセスを支援するシステムでは、視覚的および音響的な情報の出力が行われる。周囲についての情報、例えば、障害物との間隔を運転者に伝えるために、情報の出力は、車両ディスプレイにおいて行われる。
【0003】
パーキングスペースまたは駐車場が識別されると、駐車支援システムにより、識別されたパーキングスペースに車庫入れするために、運転者がどのように車両を操縦すべきかを支援するヒントがこの運転者に対して供給される。
【0004】
特に快適なシステムは、これに必要な個々の操作またはすべての操作をそれ自体で実行可能である。これらのシステムは、例えば、駐車操舵支援システムまたは駐車操舵アシスタントと称することも可能である。ここでは、センサは、センサ信号を検出して評価する自立の制御装置に接続される。評価されたセンサ信号に基づき、この制御装置は、車両周囲のモデルを作成し、適切な操舵操作、走行操作または制動操作を実行するために、独立した別の自立の制御システムと通信する。これにより、全自動の駐車、例えばいわゆるバレーパーキングまたはいわゆるトレインドパーキングのような機能の、簡単かつコスト的に有利な実現が可能になる。
【0005】
バレーパーキングでは、運転者は、目印がつけられたゾーン、いわゆるドロップゾーン内に、車庫入れ対象の車両を駐車する。このドロップゾーンでは、運転者は、車庫入れプロセスをスタートさせて車両を離れる。この車両により、例えば、立体駐車場のパーキングスペースへの車庫入れプロセスが開始される。
【0006】
トレインドパーキングでは、例えば、ガレージの前の車両側に定義されているゾーン内で、車庫入れ操作に対して車両がトレーニングされる。車庫入れのために、運転者は、車両側に定義されているゾーン内に、車庫入れ対象の車両を駐車し、車庫入れプロセスをスタートさせてこの車両を離れる。この自動車は、前もってトレーニングされた車庫入れプロセス、例えばガレージの前でバックによる車庫入れを開始する。トレインドパーキングシステムは、運転されてトレーニングされた車庫入れプロセスに対応する、周囲についての情報を記録し、後の再現の際には、新たに検出した情報と、前もって記憶された情報とを関連付ける。
【0007】
車両は、自律的に、すなわち人間の運転者の手助けなしに、割り当てられた駐車場に移動し、運転者を迎える位置に再び戻る。
【0008】
運転者支援システム、特に自動化された駐車のための駐車支援システムでは、自動化されて車庫入れを行う車両の周囲の道路利用者に、この車両が自動化されて移動することがシグナリングされる。このために、光学式投影装置、例えばマトリックスライト、LEDヘッドランプまたはレーザプロジェクションによって、車道に情報を投影することが公知である。
【0009】
独国特許出願公開第102014011811号明細書には、車両の計画された移動について道路利用者に伝達するための照明システムを備えた車両が開示されている。道路利用者への伝達は、通行可能な面にライトパターンを結像することによって行われる。この照明システムは、この車両がオートパイロット制御の動作モードにあることを道路利用者が識別できる第1の特徴を有するライトパターンを生成するように設けられている。
【0010】
独国特許出願公開第102006041857号明細書には、車両が車道を走行する間の交通安全性を改善する方法が開示されており、この方法には、車両のすぐ近くの周囲における少なくとも1つの対象体を発見するステップと、発見された少なくとも1つの対象体を解析するステップと、解析された少なくとも1つの対象体が、車両の走行についての交通安全性の条件に該当するか否かを決定するステップと、車両の走行についての交通安全性の条件に該当すると思われる少なくとも1つの対象体を表すライトパターンを有する光源を用いて、車道を照明するステップとが含まれている。
【0011】
独国特許出願公開第102016008338号明細書には、完全にまたは部分的に自立した車両の運転を可能にする自動運転システムと、車両照明システムと、自動または部分自動運転の場合に照明システムを介して光信号を生成する制御装置と、を備えた車両が開示されており、この光信号は、従来の光信号とは異なる色および/または点滅タイプを有する。
【0012】
商用車の分野では、いわゆる圧電ブザーを用いて手動の後退走行中に信号音が出力される。しかしながらこのような圧電ブザーの有するサウンド品質は、極めて限られている。さらに圧電ブザーの使用には付加的なコストが伴う。
【0013】
本発明の根底にある課題は、車両においてさらに付加的な装備を行うことなく、高い信頼性でかつコスト的に有利に、自動運転モード/自動動作モードを提示することである。
【0014】
この課題は、請求項1の特徴を有する、運転者支援システムを動作させる方法の構成によって、また請求項12の特徴を有する、運転者支援システムの構成によって解決される。さらにこの課題は、請求項19の特徴を有する車両の構成によって解決される。この課題はさらに、請求項20の特徴を有するコンピュータプログラムの構成と、請求項21の特徴を有するデータ伝送信号の構成とによって解決される。
【0015】
下位請求項には、別の有利な手段がリストアップされており、これらの手段は、さらなる利点を達成するために互いに任意に組み合わせ可能である。
【0016】
この課題は、車両における運転者支援システム、特に駐車支援システムを動作させる方法の構成によって解決され、この方法は、以下の複数のステップ、すなわち、
・運転者支援システムにより、少なくとも部分自動化された自律レベルにおいて車両を動作させるステップと、
・車両の車内空間に配置されている少なくとも1つの音響変換器を準備するステップと、
・車両乗員が存在するか否かを評価ユニットによって記録するステップと、
・音響変換器によって、音響出力を有する音響信号を送出するステップと、を有し、音響出力を音響変換器によって設定し、車両乗員の存在に依存して、音響変換器によって音響出力の設定を行う。
【0017】
従来、自動運転は、レベル「0」からレベル「5」までの6段階に分類されている。少なくとも部分自動化された自律レベルとは、ここではレベル「2」、いわゆる部分自動化以上の自律レベルと理解され得る。この自律レベルには、自動車庫入れおよび/またはレーン維持などのような機能が含まれる。条件付き自動化のレベル「3」以上では、車両は、方向指示器の起動、レーンチェンジおよびレーン維持のような機能を自力で実行する。レベル「4」とは、車両の操作を持続的にシステムが引き受けることが可能な高度自動化と理解される。レベル「5」とは、もはや運転者が必要でない完全自動化と理解される。
【0018】
音響変換器とは、好適には、スピーカおよび/またはマイクロフォンのことであると理解可能である。音響出力とは、音源から単位時間当たりに送出される、音源の音響エネルギのことであると理解可能であり、これは音響的な量である。音響出力を設定することにより、音響レベル、すなわち音圧レベルを設定することができ、この音圧レベルは、特定の場所における音響作用を表し、例えば室内または野外のような周囲のタイプと、音源との距離とに大きく依存する。
【0019】
車両乗員は、人間であってよく、または動物であってもよい。車両乗員の存在は、多種多様な仕方で、例えばシートセンサによって特定可能である。
【0020】
自動化された運転プロセス、好適には自動化された車庫入れプロセスが開始されると直ちに、車両の近くの歩行者または自転車運転者のような交通弱者に伝えて警告するために、車両の車内空間に設けられているもしくは配置されている、スピーカのような音響変換器を用いて、音響信号を出力可能である。音響出力の設定は、車両乗員の存在に依存して行われる。車両乗員がいない場合、例えば車両乗員が存在する場合よりも、格段に大きな音響出力を設定可能である。これによって考慮されるのは、車両乗員がいれば、この車両乗員は、非常時に、例えば歩行者との衝突が差し迫っている場合に運転プロセスに介入できることである。
【0021】
より大きな音響出力は、車両に車両乗員がおらず、したがってこのような大きな音響出力の際に聴覚障害が生じ得ない場合に可能である。車両に車両乗員がいる場合、音響信号を出力しないか、または音響出力だけが大きく減じられた音響信号を出力することができる。
【0022】
車両側に設けられている音響変換器、例えば車内空間の、例えばエンタテインメントシステムのスピーカを用いて、自動化された運転プロセス、特に自律的またはリモートコントロールの駐車プロセス用の駐車プロセスについての音響信号が、車外の道路利用者もこの音響信号を認知できるような仕方で伝達されることが可能である。特にこの音響信号は、ユーザにも、駐車プロセスの周囲にいる道路利用者にも共に認知されることが可能である。
【0023】
これにより、自動運転プロセスにおいて、特に危険な道路利用者により良好に警告が行われる。
【0024】
付加的なコストに結び付く、車両の外部領域に付加的に組み込まれるスピーカの使用は、本発明によって回避可能である。車両乗員の存在に依存して、音響変換器によって音響出力が設定可能であることにより、コストを節約可能である。というのは、車両の外部空間における別の音響信号発生器は必要ないからである。
【0025】
さらに従来の音響式スピーカが有するサウンド品質は、極めて限られている。内部の音響変換器は、より高い音響出力品質を有する。
【0026】
特に好ましくは、設定された音響出力に依存して、運転者支援システムによって行われるウィンドウリフタの操作により、車両の開放可能なウィンドウを少なくとも部分的に開放し、かつ/または設定された音響出力に依存して、運転者支援システムによって行われるスライドルーフ駆動装置の操作により、車両の開放可能なスライドルーフを少なくとも部分的に開放する。特に、1つまたは複数のウィンドウには、車両サイドウィンドウが含まれる。これにより、音響信号は、道路利用者によってより良好に認知され得る。車両サイドウィンドウは、運転者支援システムによってシステム起動されて数センチメートルだけ開放される。例えば車両乗員に起因して、音響信号が発せられないかまたは減少された音響信号だけか発せられる場合、システム側で起動される車両サイドウィンドウの開放を阻止可能である。
【0027】
好ましくは、少なくとも1つの移動する対象体が、車両の少なくとも1つのセンサによって検出されるか否かを特定し、少なくとも1つのこのセンサは、車両周囲内で移動する対象体を検出するように構成されており、ウィンドウリフタを用いて、対象体の方を向いた車両の側に配置されている少なくとも1つのウィンドウの少なくとも部分的な開放を行う。これにより、不要な騒音負荷を回避することでき、自動化されて走行する車両の認知を同時に向上させることができる。
【0028】
移動する対象体とは、特に、他の道路利用者ことであり、または動物のことでもある。これにより、道路利用者が、少なくとも部分自動化されたモードで走行する車両に気づくように、所期のように仕向けることができる。車両側のセンサにより、例えば、左側の車両領域に、接近する道路利用者が識別される場合、左側のサイドウィンドウが開放されるかまたはさらに開放される。好ましくは付加的に、道路利用者が、自動で走行する車両が認知すること保証するために、音響信号の出力のための車内空間の左側の音響変換器、例えばスピーカの音響出力を上げることができる。
【0029】
好ましい一実施形態では、車両周囲内の移動する対象体を検出するように構成されている、車両の少なくとも1つのセンサによって、少なくとも1つの対象体が検出されるか否かを特定し、検出された対象体と、車両との距離に依存して音響出力を設定する。好ましくは、対象体、すなわち道路利用者の距離が遠い場合には小さな音響出力が、対象体の距離が近い場合には大きな音響出力が道路利用者に出力される。これにより、車両の近くにいる道路利用者は、より大きな音響出力により、まだ極めて遠くに離れている道路利用者よりも格段に強烈に、車両に用心するように警告される。これにより、交通の安全性が向上する。
【0030】
好ましくは、択一的または付加的に、車両周囲内の移動する対象体を検出するように構成されている、車両の少なくとも1つのセンサによって、少なくとも1つの対象体が検出されるか否かを特定し、車両に対する、検出された対象体の移動方向に依存して音響出力を設定する。
【0031】
車両から道路利用者が離れている場合、音響出力は、好ましくは低減され、道路利用者が近づくと、音響出力は、好ましくは増大される。したがって音響出力の適合化は、好ましくは、識別された道路利用者の距離および運動方向に依存して行われる。したがって車両と道路利用者との間の距離が小さければ小さいほど、音響出力は大きくなる。これにより、少なくとも部分的に自動化された車両の周囲における道路利用者の安全性が向上する。これにより、道路利用者と、自動走行する車両との衝突の危険性が格段に低減される。
【0032】
したがって音響出力のシステム起動の設定により、またウィンドウのシステム起動の開放により、それぞれの道路利用者は、音響信号をより良好に認知可能である。
【0033】
好ましい別の一実施形態では、車両の周囲の少なくとも一部分に光信号を出力するように構成されている照明ユニットによって光信号を出力する。付加的に光学的に出力することにより、車両の周囲にいる他の道路利用者の安全性が向上する。
【0034】
付加的な好ましい実施形態において、運転者支援システムは、車庫入れプロセスまたは車庫出しプロセスを実行する駐車支援システムとして構成されている。車庫入れプロセスおよび/または車庫出しプロセスには、有利には少なくとも2つの、異なる駐車プロセスが含まれる。特に好ましくは、少なくとも、車庫入れ/車庫出しの開始が、第1駐車プロセスとして、車両の操縦が、第2駐車プロセスとして、車庫入れ/車庫出しの終了が第3駐車プロセスとして含まれる。
【0035】
別の駐車プロセスは、例えば、以下、すなわち、
・車両が、自動化された駐車モードにあること、
・車両により、一人以上の道路利用者が発見されたこと、
・車両により、システム側において計画された駐車プロセスの方向に高い確率で移動する一人以上の交通弱者、例えば歩行者、自転車運転者が車両の近くに検出されたこと、
・車両により、駐車プロセスが休止されること、
・車両により、車庫入れ/車庫出しプロセスが継続されること、
・車両により、車庫入れ/車庫出しプロセスが終了されたこと、
・車両誤動作(システム問題)の出力、であってよい。
【0036】
好ましくは、少なくとも2つの、好適にはすべての異なる駐車プロセスについて異なる音響信号を用意する。さらに好ましくは、音声出力および/またはサウンド出力、特にメロディおよび/または音出力、特に警告音として音響信号を構成する。この際にはいわゆるイヤコン、すなわち短いメロディ列、および/または音声テキストおよび/または音声出力が出力されてよい。組み合わせも同様に可能である。例えば、車庫入れしている、または車庫出ししている車両に高い速度で接近する道路利用者、例えば自転車運転者の場合には警告音を出力可能である。
【0037】
したがって車内空間の音響変換器を使用することにより、広い範囲の種々異なる音響信号を生成可能である。付加的には、音響信号を個人専用に構成することが考えられる。この際には、運転者は、種々異なる駐車プロセスにおいて、例えば、種々異なるサウンドパターンの中から選択を行うことできる。これにより、車庫入れ/車庫出しプロセスの状態/進み具合が運転者によって正確に識別される。
【0038】
好適には、車両の少なくとも1つの周囲パラメータに依存して音響出力を設定する。典型的な周囲パラメータは、例えば温度のような天候状況、時刻、特に乾燥した天気であるかまたは湿った天気であるかというような天候状況である。好適には、雨の際には、ウィンドウの開放は行われない。別の周囲パラメータは、交通量であってよい。霧または交通量が多い際には、視界の悪さを補償するために音響出力を増大させることできる。
【0039】
さらに、上記の課題は、上で説明された方法を実施する、車両における運転者支援システムの構成によって解決され、この運転者支援システムは、少なくとも部分自動化された自律レベルにおいて、車両を動作させる少なくとも1つの第1動作モードと、
車両乗員の存在を記録するように設計されている評価装置と、
少なくとも1つの音響変換器、特にスピーカおよび/またはマイクロフォンと、を有し、少なくとも1つの音響変換器は、車両の車内空間に配置されており、かつ音響出力を有する音響信号を送出するように構成されており、音響出力は、音響変換器によって設定可能であり、この音響出力は、車両乗員の存在に依存して音響変換器によって設定可能である。
【0040】
したがって車両乗員が存在する際には、音響出力を小さく維持するか、もしくは音響出力を送出しないことが可能である。存在しない際には、音響出力を増大させることが可能である。上記の方法の利点は、この運転者支援システムにも適用可能である。
【0041】
好ましい一実施形態では、少なくとも1つの開放されるウィンドウが設けられており、少なくとも1つのこのウィンドウは、ウィンドウリフタの操作によってこのウィンドウが少なくとも部分的に開放可能であるように構成されており、この操作は、設定された音響出力に依存して運転者支援システムによって行われ、かつ/または開放されるスライドルーフが設けられており、このスライドルーフは、スライドルーフ駆動装置の操作によってこのスライドルーフが少なくとも部分的に開放可能であるように構成されており、この操作は、設定された音響出力に依存して運転者支援システムによって行われる。
【0042】
したがってウィンドウの開放は、設定された音響出力に依存して行われる。これは、車両乗員の存在に依存して行われる。したがって好ましくは、車両乗員が存在する場合には、すなわち音響出力が減少されているか、または音響出力が行われない場合には、ウィンドウの開放は行われない。大きな音響出力の場合および車両乗員が存在しない場合、ウィンドウの少なくとも部分的な開放を行うことができる。
【0043】
好ましい別の一実施形態では、車両周囲内の少なくとも1つの移動する対象体を検出するセンサが設けられており、少なくとも部分的に開放されるウィンドウは、この対象体の方を向いた、車両の側に配置されている。
【0044】
このことが意味するのは、例えば、運転者側を向いた側の歩行者のような道路利用者では、こちらの側の少なくとも1つのウィンドウが開かれ、例えば、同乗者側を向いた側の歩行者のような道路利用者では、こちらの側のウィンドウが開かれることである。これにより、同じままの音量で、歩行者/道路利用者による自動運転車両の確認をさらに向上させることができる。
【0045】
さらに好ましくは、車両周囲内の少なくとも1つの移動する対象体を検出するセンサが設けられている。音響変換器は、好ましくは、検出された対象体と車両との距離に依存して音響出力を設定するように構成されている。この際に音響出力は、対象体、すなわち道路利用者が車両から遠く離れている場合に小さくなり、対象体、すなわち道路利用者が車両に近い場合には大きくなる。
【0046】
好適には、車両周囲内の少なくとも1つの移動する対象体を検出するセンサが設けられている。音響変換器は、好ましくは、検出された対象体の、車両に対する移動方向に依存して音響出力を設定するように構成されている。この際に音響出力は、対象体、すなわち道路利用者が車両に接近する場合には大きく、対象体、すなわち道路利用者が車両から遠ざかるように移動する場合には小さくされる。
【0047】
さらに、好適には、音響信号は、音声出力および/またはサウンド出力、特にメロディおよび/または音出力、特に警告音として構成されている。警告音は、例えば、高速に接近する自転車運転者または歩行者に使用可能である。異なる音響信号により、近くにいる車両所有者/運転者は、例えば、車庫入れ/車庫出しプロセスが通常の枠内で進んでいるか、またはこの車両所有者/運転者が、道路使用者の危険を阻止するために、例えば駐車プロセスを直ちに停止するという手段を講じなければならないかを迅速に識別可能である。
【0048】
特に好ましくは、運転者支援システムは、駐車支援システムである。このようなシステムは、すでに多く車両に組み込まれている/設けられている。
【0049】
上記の課題はさらに、音響変換器を備えた車内空間を有する、上で説明した運転者支援システムを備えた車両の構成によって解決される。特に車両は、人間を運ぶ自動車である。
【0050】
さらに上記の課題は、上記の運転者支援システムにより、上で説明した方法が実施されるようにする命令を含む、コンピュータプログラムの構成によって解決される。特に、このコンピュータプログラムは、運転者支援システムを有するすべての車両に後からインストール可能である。
【0051】
さらに上記の課題は、上で挙げたコンピュータプログラムを伝送するデータ伝送信号の構成によって解決される。電子データ伝送信号は、任意のデジタル信号列によって得られ、このデータ信号列は、揮発性または不揮発性の電子記憶装置に格納可能である。このようなコンピュータプログラムは、例えば、クラウドまたはネットワークを介し、例えば、機能の追加を目的として車両メーカから伝送可能であり、その際に車両所有者は、工場に行く必要がない。
【0052】
本発明の別の特徴、特性および利点は、添付された図面を参照した以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】駐車支援システムとして構成された運転者支援システムを備えた車両のブロック図である。
図2】本発明による方法を示す流れ図である。
【0054】
好ましい実施例によって本発明を詳細に図解および説明したが、本発明は、開示された実施例によって制限されない。当業者は、後続の特許請求の範囲によって定められる本発明の権利保護範囲を逸脱することなく、これについての変化形態を導出可能である。
【0055】
図1には、本発明にしたがい、駐車支援システムとして構成された運転者支援システムを備えた車両1が略図で示されている。駐車支援システム2は、パーキングスペースの測定にも使用可能な複数のセンサ3を有する。これらのセンサには、フロントセンサ、サイドセンサまたはリアセンサまたはセンサアレイが含まれていてよい。好ましくは、これらのセンサは、超音波センサとして構成されていてよい。さらに、車両1には、ウィンドウリフタによって操作され得る、すなわち開放または閉鎖され得るウィンドウ4が含まれる。ウィンドウリフタは、駐車支援システム2によって操作可能である。さらに、同様に駐車支援システム2によって操作され得るスライドルーフ駆動装置を備えたスライドルーフ(図示せず)が設けられていてよい。
【0056】
さらに、車両1に取り付けられておりかつ外側に向かって車両周囲の方を向いている光学式照明ユニット5が設けられている。車両1は、ここでは参照符号6が付されておりかつ車内スピーカ6として構成された左側および右側の複数の音響変換器を有し、ここでは、左側および右側とは、運転者ドアにおける左側および右側、または運転者ドアを向いておりかつこれと向かい合う同乗者ドアにおける左側および右側のことである。車内スピーカ6は、音量を設定する制御器を有する。さらに、この制御器または別の制御器は、左側および右側の車内スピーカ6の音量を別々に設定するように構成可能である。
【0057】
さらに駐車支援システム2は、シートに加工可能なシートセンサ7または車両乗員の存在を検出する超音波センサを有する。車両1はさらに、クラウド8または外部サーバに外部接続するための通信インタフェースを有していてよい。これにより、上記の方法のアップデートは、いつでも問題なく車両1にインストール可能である。
【0058】
図2には、本発明による方法が示されている。車両1(図1)の運転者は、本発明にしたがい、ステップS1において自動化された車庫入れプロセスを開始する。このような車庫入れプロセスは、運転者の存在が必要でないバレーパーキングまたはトレインドパーキングとして構成されていてよい。このために、センサ3(図1)を用いてパーキングスペースを測定可能である。ステップS2では、車両1(図1)の駐車支援システム2(図1)により、車両乗員が車両1(図1)にいるか否かがチェックされる。これは、例えばシートセンサ7(図1)に基づいて検査される。
【0059】
車両1(図1)に一人以上の車両乗員がいる場合、ステップS3が実行され、駐車支援システム2(図1)は、「車両乗員あり」のモードに変えられる。このことが意味するのは、車内スピーカ6(図1)において、車両乗員を過剰に大きな騒音/サウンドから保護するために、音響出力が設定されないかまたは大きく制限された音響出力が設定されることである。しかしながら車両の外部車体における光学式照明ユニット5による表示が行われる。ステップS4では、車両1(図1)がその最終的な車庫入れ位置に到達したか否かが検査される。イエスの場合、この方法は、ステップS9に進んで終了する。
【0060】
ノーの場合、この方法はステップS3において、最終的な車庫入れ位置に到達するまで継続される。
【0061】
車両1(図1)に車両乗員がいない場合、ステップS5が実行され、駐車支援システム2(図1)は、「車両乗員なし」のモードに変えられる。ステップS5では、車両の外部車体における光学式照明ユニット5による表示が行われる。次のステップS6では、センサに基づいて、周囲パラメータがチェックされる、すなわち雨が降っているか否かがチェックされる。さらに、別のセンサに基づいて、道路利用者が車両周囲内にいるか否かが検査される。この際には正確な位置も、すなわち、この道路利用者が、運転者側または同乗者側のどちらの方を向いた側に存在するか、および車両1(図1)との距離も、移動方向も共に検出される。状況に応じて車内スピーカ6が設定される。交通弱者が発見されない場合、ステップS9においてこの方法が終了するまで、ステップS5およびステップS6が新たに実行される。
【0062】
ステップS7において交通弱者が発見される場合、ステップS8では、特定された周囲パラメータと、距離と、移動方法とに依存して、車内スピーカ6の音響出力が設定され、かつ天候に依存して、交通弱者の方を向いた少なくともウィンドウ側が開放される。すなわち、道路利用者が、運転者側を向いた側に特定される場合、乾いた天候の際にはこちらの側のウィンドウが開かれ、特定されたパラメータに基づいて、こちらの側の車内スピーカ6(図1)の音響出力が設定される。
【0063】
音響出力を行う別の車載装置もこのために使用可能である。運転者が遠く離れている場合、小さな音響出力を設定可能であり、この小さな音響出力は、道路利用者が車両1(図1)に近づくと増大される。さらに種々異なる音響信号を出力可能である。道路利用者が、車庫入れしている車両に極めて接近している場合、例えば、大きな信号音/警告音を出力可能である。車庫入れプロセスの開始および終了を短い信号音によって示すことも可能である。さらにこれを音声出力、例えば「車庫入れプロセス開始」によってサポート可能である。ステップS9では、車両1(図1)がその駐車位置に達したか否かが検査される。達していない場合、ステップS5、S6、S7およびS8が新たに順次に実行される。車両1(図1)がその位置に達した場合、この方法はステップS9において終了する。
【0064】
この方法は、例えば出庫、渋滞における走行などのようなすべての自動運転プロセスに適用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 車両
2 駐車支援システム
3 センサ
4 ウィンドウ
5 光学式照明ユニット
6 車内スピーカ
7 シートセンサ
8 クラウド
S 方法ステップ
図1
図2