(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/22 20100101AFI20221031BHJP
H01L 33/32 20100101ALI20221031BHJP
【FI】
H01L33/22
H01L33/32
(21)【出願番号】P 2021520269
(86)(22)【出願日】2019-07-08
(86)【国際出願番号】 CN2019094986
(87)【国際公開番号】W WO2020011117
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2020-12-23
(31)【優先権主張番号】201821104745.2
(32)【優先日】2018-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810765845.8
(32)【優先日】2018-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520503533
【氏名又は名称】江西兆馳半導体有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】武良文
【審査官】小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-135215(JP,A)
【文献】国際公開第2006/082687(WO,A1)
【文献】特開2009-260203(JP,A)
【文献】特開2015-192138(JP,A)
【文献】特開2009-164423(JP,A)
【文献】特開2012-169481(JP,A)
【文献】特開2015-065329(JP,A)
【文献】特開2015-046598(JP,A)
【文献】特開2008-187059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造がn型半導体層(2)、コーンピット準備層(3)、能動層(4)、p型半導体層(5)、p型電極(6)、反射層(7)、結合層(8)、n型電極(9)及び基板(10)を含み、コーンピット準備層(3)がn型半導体層(2)、能動層(4)がコーンピット準備層(3)、p型半導体層(5)が能動層(4)に隣接し、n型半導体層(2)にn型電極層(9)、p型半導体層(5)にp型電極層(6)、p型電極層(6)と基板(10)との間に順に反射層(7)及び結合層(8)が形成され、コーンピット準備層(3)に六角形の多面体構造のコーンピットが形成されており、
能動層(4)は、コーンピット準備層(3)に接した側の表面とコーンピット準備層(3)から離れた側の表面とに、いずれも、コーンピット準備層(3)のコーンピットの側壁の表面形状に沿った六角形の多面体構造のコーンピットが形成されており、
コーンピットを結合するプラットフォームエリアの投影面積と全能動層(4)の投影面積との比が30%以下であることを特徴とする光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップ
の製造方法であって、
下記のプロセスステップ、
1
)有機金属気相成長法(MOCVD)でn型半導体層(2)、コーンピット準備層(3)、能動層(4)及びp型半導体層(5)が相次いでエピタキシャル基板(1)に堆積するようにする、
を含み、
下記のプロセスステップ、
1)p型電極(6)、反射層(7)及び結合層(8)が相次いでp型半導体層(5)の表面に堆積するようにし、金属結合プロセスで、エピタキシャル基板(1)から結合層(8)まで順に堆積した層構成が上下逆になるように裏返して、結合層(8)を基板(10)に接着し、
2)前記エピタキシャル基板(1)をはがしてn型半導体層(2)を露出させ、n型電極(9)が露出したn型半導体層(2)に堆積するようにして紫外LEDチップを取得する、
を含み、
前記コーンピット準備層(3)がSiを混入したAl
x
Ga
1-x
Nであり、Al成分がx(1≧x≧0.1)、Siは混入濃度が5E17~1E20 cm
-3
、厚さが0.1~5μmであり、この層の成長温度、H
2
雰囲気及び厚さを調節してコーンピットの密度及び口の大きさを調節することを特徴とする光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップの製造方法。
【請求項2】
構造がn型半導体層(2)、コーンピット準備層(3)、能動層(4)、p型半導体層(5)、p型電極(6)、反射層(7)、結合層(8)、n型電極(9)及び基板(10)を含み、コーンピット準備層(3)がn型半導体層(2)、能動層(4)がコーンピット準備層(3)、p型半導体層(5)が能動層(4)に隣接し、n型半導体層(2)にn型電極層(9)、p型半導体層(5)にp型電極層(6)、p型電極層(6)と基板(10)との間に順に反射層(7)及び結合層(8)が形成され、コーンピット準備層(3)に六角形の多面体構造のコーンピットが形成されており、
能動層(4)は、コーンピット準備層(3)に接した側の表面とコーンピット準備層(3)から離れた側の表面とに、いずれも、コーンピット準備層(3)のコーンピットの側壁の表面形状に沿った六角形の多面体構造のコーンピットが形成されており、
コーンピットを結合するプラットフォームエリアの投影面積と全能動層(4)の投影面積との比が30%以下であることを特徴とする光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップの製造方法であって、
下記のプロセスステップ、
1)有機金属気相成長法(MOCVD)でn型半導体層(2)、コーンピット準備層(3)、能動層(4)及びp型半導体層(5)が相次いでエピタキシャル基板(1)に堆積するようにする、
を含み、
下記のプロセスステップ、
1)エピタキシャル層をp型半導体層(5)側からn型半導体層(2)側へエッチングしてn型半導体層(2)の一部を露出させ、n型電極(9)が露出したn型半導体層(2)に堆積するようにし、
2)p型電極(6)、反射層(7)及び結合層(8)が相次いでp型半導体層(5)の表面に堆積するようにし、
3)金属結合プロセスで、エピタキシャル基板(1)から結合層(8)まで順に堆積した層構成が上下逆になるように裏返して、結合層(8)を基板(10)に接着して紫外LEDチップを取得する、
を含み、
前記コーンピット準備層(3)がSiを混入したAl
x
Ga
1-x
Nであり、Al成分がx(1≧x≧0.1)、Siは混入濃度が5E17~1E20 cm
-3
、厚さが0.1~5μmであり、この層の成長温度、H
2
雰囲気及び厚さを調節してコーンピットの密度及び口の大きさを調節することを特徴とする光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLED生産技術分野、特に光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
III族窒化物(III-nitride)ワイドギャップ半導体材料に基づく紫外LED(Ultraviolet Light-Emitting Diode、UV-LED)は消毒、ポリマー硬化、生化学的検出、非視線通信及び特別な照明などの分野に幅広い用途がある。従来のUV光源の水銀ランプと比べてみると、紫外LEDは水銀フリー、環境にやさしい、小型で持ち運び可能、低消費電力、低電圧など多くの長所があるので、近年、ますます注目を集めていて、大切にされてきたものである。
【0003】
AlGaN材料は紫外LEDを製造するための中核的な材料、AlxGa1-xN材料は広帯域ギャップ直接バンドギャップ半導体材料であり、三元化合物AlGaNのAl成分を調節して3.4~6.2eVにおけるAlGaNエネルギーギャップの持続的な変化に達成して波長範囲210~365nmの紫外線を取得できる。しかしながら、従来の技術に従う紫外LED、特に深紫外LEDは発光効率が普遍的に低く、紫外LEDの更になる利用が制限されている。
【0004】
紫外LEDの低い発光効率は主な原因がその低い光取出し効率にある。紫外LEDの光取出し効率を制限する因子は主に次の2方面に表現する。第一、紫外線に対するp型GaN
の強い吸収により、紫
外LED
の表面からの光が大量に吸収されるので、普通、紫外LEDにフリップ構造または垂直構造を採用する。第二、紫外線の偏光特性、即ち、Al成分の増加及び波長の減少に伴って、紫外線は能動層の発光がTEモードの偏光からTMモード偏光に転換し、TEモード及びTMモード偏光の方向がそれぞれ能動層の成長平面と垂直したり、水平になったりする。
能動層及びp型半導体層がエピタキシャル成長基板と平行になる現行
のLEDのエピタキシャル構造に対して、TEモードの偏光の方向
はLED
の表面と垂直し、光が容易にあまり厚くないn型半導体層(約3μm)またはp型半導体層(約0.1μm)を貫通し、LEDから抽出されるが、TMモード偏光の方向
はLED
の表面と水平になり、光
が能動層の近くで長経路 (
図1の通りに、LEDサイズ約1000×1000μm、水平方向の光の広がりで一般に数百μmを行進するまでLEDの側面に達することができない)
進み、容易に能動層に吸収されて光がLEDから抽出され難い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術の不足に対して、本発明は光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップ及びその製造方法を提案して従来の技術の紫外LED発光効率の普遍的に低いという課題を解決した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に達成するために、本発明は下記の技術を提案する。
構造がn型半導体層、コーンピット準備層、能動層、p型半導体層、p型電極、反射層、結合層、n型電極及び基板を含む光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップ。
【0007】
その中、コーンピット準備層はn型半導体層、能動層はコーンピット準備層、p型半導体層は能動層に隣接し、n型半導体層にn型電極層、p型半導体層にp型電極層、p型電極層と基板との間に順に反射層及び結合層が形成され、コーンピット準備層に六角形の多面体構造のコーンピットが形成されている。
【0008】
前記能動層は、コーンピット準備層に接した側の表面とコーンピット準備層から離れた側の表面とに、いずれも、コーンピット準備層のコーンピットの側壁の表面形状に沿った六角形の多面体構造のコーンピットが形成されており、コーンピットを結合するプラットフォームエリアの投影面積と全能動層の投影面積との比が30%以下である。
【0009】
光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップ。その中、前記紫外LEDチップの能動層の発光の支配的な波長が365nm以下である。
【0010】
光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップ。その中、能動層側から離れた前記p型半導体層の表面には、コーンピット準備層のコーンピットの側壁の表面形状に沿った六角形の多面体構造のコーンピットが形成されている。
【0012】
光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップ。その中、前記p型半導体層は、能動層側から離れた表面が平面である。
【0013】
光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップ。その中、前記n型半導体層はn型AlxGa1-xN(1≧x≧0.2)であり、エピタキシャル基板に成長し、前記エピタキシャル基板はサファイア、炭化ケイ素、シリコン、酸化亜鉛、窒化アルミニウムまたは窒化ガリウム製である。
【0014】
光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップ、その中、前記n型半導体層(2)がn型AlGaNであり、エピタキシャル基板(1)に成長し、前記エピタキシャル基板(1)サファイア、炭化ケイ素、シリコン、酸化亜鉛、窒化アルミニウムまたは窒化ガリウム製である。
【0015】
光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップ。その中、前記コーンピット準備層はn型AlxGa1-xN(1≧x≧0.1)である。
【0016】
光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップ。その中、前記コーンピット準備層(3)はn型AlGaNである。
【0017】
光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップ。その中、前記p型半導体層はp型AlxGa1-xN(1≧x≧0.1)電子バリア層及びp型GaN接触層を含む。
【0018】
光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップ。その中、前記p型半導体層(5)はp型AlGaN電子バリア層及びp型GaN接触層を含む。
【0019】
光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップ。その中、前記能動層はInxAlyGa1-x-yN(0.2≧x≧0、0.8≧y≧0)量子井戸層とAlxGa1-xN(1≧z≧0.1)量子バリアが交替で成長する積層構造である。
【0020】
光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップ。その中、前記能動層(4)はInAlGaN量子井戸層とAlGaN量子バリアが交替で成長する積層構造である。
【0021】
光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップ。その中、前記基板はSi、セラミック、合金基板またはプリント回路基板(PCB)である。
【0022】
本発明は下記のプロセスステップを含む光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップの製造方法を提案した。
【0023】
1)有機金属気相成長法(MOCVD)でエピタキシャル基板に相次いでn型半導体層、コーンピット準備層、能動層及びp型半導体層を堆積する。
【0024】
後続のステップは紫外LEDチップ構造に関する。
【0025】
垂直構造の紫外LEDに対して、後続のステップは下記のとおりである。
【0026】
1)p型半導体層の表面に相次いでp型電極、反射層及び結合層を堆積し、金属結合プロセスで、エピタキシャル基板から結合層まで順に堆積した層構成が上下逆になるように裏返して、結合層(8)を基板に接着する。
【0027】
2)前記エピタキシャル基板をはがしてn型半導体層を露出させ、露出したn型半導体層にn型電極を堆積して紫外LEDチップを取得する。
【0028】
フリップ構造の紫外LEDチップに対して、後続のステップは下記のとおりである。
【0029】
1)エピタキシャル層をp型半導体層側からn型半導体層側へエッチングしてn型半導体層の一部を露出させ、n型電極が露出したn型半導体層に堆積するようにする。
【0030】
2)p型半導体層の表面に相次いでp型電極、反射層及び結合層を堆積する。
【0031】
3)金属結合プロセスで、エピタキシャル基板から結合層まで順に堆積した層構成が上下逆になるように裏返して、結合層を基板に接着してフリップ構造の紫外LEDチップを取得する。
【0032】
光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップの製造方法。その中、前記n型半導体層はSiを混入したAlxGa1-xNであり、Al成分がx(1≧x≧0.2)、Siは混入濃度が1E18~5E20 cm-3、厚さが1~10μmである。
【0033】
光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップの製造方法。その中、前記コーンピット準備層はSiを混入したAlxGa1-xNであり、Al成分がx(1≧x≧0.1)、Siは混入濃度が5E17~1E20 cm-3、厚さが0.1~5μmである。この層の成長温度、H
2
雰囲気及び厚さを調節してコーンピットの密度及び口の大きさを調節する。
【0034】
光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップの製造方法。その中、前記能動域はInxAlyGa1-x-yN量子井戸層とAlzGa1-zN量子バリアが交替で成長する積層構造、この層の量子井戸層及び量子バリアの成長周期数がn(2<n<15)、量子井戸層の厚さが0.5~5nm、量子バリアの厚さが2~20nmである。量子井戸層のIn及びAlは成分がそれぞれx及びy、量子バリアのAlは成分がz(0.2≧x≧0、0.8≧y≧0、1≧z≧0.1、y<z)である。
【0035】
光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップの製造方法。その中、前記p型半導体層はp型AlxGa1-xN電子バリア層及びp型GaN接触層を含み、前記電子バリア層はAl成分がx(1≧x≧0.1)、厚さが10~200nm、Mgの混入濃度が1E18cm-3~5E20cm-3、前記p型接触層は厚さが10~200nm、Mgの混入濃度が1E19cm-3~5E21cm-3である。
【0036】
光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップの製造方法。その中、前記反射層はAl、Ag、Ni、Ti、Crのいずれかまたは複数からなる。
【0037】
光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップの製造方法。その中、前記結合層はAu、Ag、Al、Bi、Cu、Zn、In、Sn及びNiのいずれかまたは複数からなる。
【0038】
光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップの製造方法。その中、前記基板はSi、セラミック、合金基板またはプリント回路基板(PCB)である。
【発明の効果】
【0039】
従来の技術と比べてみると、本発明は光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップ及びその製造方法を提案し、下記の効果がある。能動層に六角形の多面体コーンピットを形成して能動層におけるTMモード偏光の光の方向を変えてTMモード偏光が能動層の近くでロングパス伝搬を行うことが不要となるようにすると同時に、能動層にあるコーンピットの口の大きさ及び密度を調節して能動層のコーンピットを結合するプラットフォームエリアの投影面積が能動層の総投影面の30%以内に制御されるようにして紫外LEDの光取出し効率を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】従来のエピタキシャル構造及び本発明のエピタキシャル構造の光広がりのイメージ
【
図2】本発明の紫外LEDのエピタキシャル構造断面のイメージ
【
図3】本発明の実施例1の紫外LED断面のイメージ
【
図4】本発明の実施例2の紫外LED断面のイメージ
【
図5】本発明の実施例3の紫外LED断面のイメージ
【発明を実施するための形態】
【0041】
次に、本発明の実施例の添付図と結び合わせて本発明の実施例の技術的な解決策についてはっきりして、完全に説明を行う。言うまでもなく、ここで、実施例は本発明の実施例の一部だけである。本発明の実施例に基づいて、本分野の普通の技術者が創造的な労働をしないで取得した他のすべての実施例が本発明の範囲にある。
【実施例1】
【0042】
図2、3に示すとおり、本実施例は垂直構造の光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップであり、n型半導体層2、コーンピット準備層3、能動層4、p型半導体層5、p型電極6、
反射層7、結合層8、n型電極9及び基板10を含む。その中、コーンピット準備層3はn型半導体層2、能動層4はコーンピット準備層3、p型半導体層5は能動層4に
隣接し、n型半導体層2にn型電極層9、p型半導体層5にp型電極層6、p型電極層6と基板10との間に
順に反射層7及び結合層8
を形成し、前記能動層4と前記p型半導体層5に六角形の多面体構造のコーンピットを形成し、コーンピットを結合するプラットフォームエリアの投影面積と全能動層4の投影面積との比が30%以下
である。
【0043】
その中、前記n型半導体層2はn型AlGaNであり、エピタキシャル基板1に成長し、前記エピタキシャル基板1はサファイア、炭化ケイ素、シリコン、酸化亜鉛、窒化アルミニウムまたは窒化ガリウム製である。
【0044】
その中、前記p型半導体層5はp型AlGaN電子バリア層及びp型GaN接触層を含む。
【0045】
その中、前記能動層4はInAlGaN量子井戸層とAlGaN量子バリアが交替で成長する積層構造である。
【0046】
その中、前記p型半導体層5は表面がでこぼこし、金属結合で前記基板10に移す。
【0047】
その中、前記基板10はSi、セラミック、合金基板またはプリント回路基板(PCB)である。
【0048】
本実施例では、垂直構造の光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップの製造方法は具体的に下記のステップを含む。
【0049】
ステップ1
【0050】
有機金属気相成長法(MOCVD)でエピタキシャル基板1に相次いでn型半導体層2、コーンピット準備層3、能動層4及びp型半導体層5を堆積する。
【0051】
本実施例では、エピタキシャル基板1はサファイア基板である。エピタキシャル層は具体的な成長ステップが下記のとおりである。
【0052】
1)MOCVDでサファイア基板にn型半導体層2が成長するようにする。前記n型半導体層は緩衝層、応力放出層及びn型ドーピング層を含む。具体的に、MOCVD反応チャンバーの温度を600℃、圧力を100 torrに制御し、厚さ30nmのAlN緩衝層が成長するようにしてから反応チャンバーの温度を1100℃、圧力を100 torrに制御し、厚さ2.5μmの応力放出層Al0.55Ga0.45Nが成長するようにしてから反応チャンバーの圧力が変わらないようにし、反応チャンバーの温度を1300℃に制御し、厚さ2μmのSiを混入したAl0.55Ga0.45Nが成長するようにする。その中Siは混入濃度が1E20cm-3である。
【0053】
2)n型半導体層にコーンピット準備層3が成長するようにする。具体的に、反応チャンバーの温度を825℃に制御し、20%H2の雰囲気を入れて0.45μm/hの成長速度で厚さ0.75μmのSiを混入したAl0.55Ga0.45Nが成長するようにしてそれをコーンピット準備層3にする。その中、Siは混入濃度が1E18 cm-3である。この成長中に、Al0.55Ga0.45N層は転位のところに六角形の多面体構造のコーンピットを形成し、準備層3の成長温度及びH2の割合に応じるコーンピット密度を形成すると同時に、準備層3の厚さの増加に伴って、このコーンピットは口のサイズが大きくなり、準備層3の成長温度、H2の割合及び準備層3の厚さを調節して後続の量子井戸におけるコーンピットの密度及び口を調節してコーンピットを結合するプラットホームの面積比を制御する。本実施例では、コーンピットを結合するプラットホーム面積は全能動層の投影面積の10%となる。
【0054】
3)コーンピット準備層3上に能動層4を成長させ、六角形の多面体構造のあるコーンピット形状の能動層を形成するようにする。前記能動層4は交替で成長する5周期のIn0.03Al0.45Ga0.52Nの量子井戸層及びAl0.5Ga0.5Nの量子バリアを含む。能動層は成長温度が1100℃、量子井戸層In0.03Al0.45Ga0.52Nは厚さが2nm、量子バリアAl0.5Ga0.5Nは厚さが5nmである。
【0055】
4)能動層4にp型半導体層5が成長するようにし、p型半導体層5が前記能動層4を覆って能動層の外観・形状に似るp型半導体層5を形成するようにする。前記p型半導体層5はMgを混入したAl0.6Ga0.4Nの電子バリア層及びMgを混入したGaN接触層を含む。具体的に、反応チャンバーの温度を1150℃、圧力を100torrに制御し、厚さ35nmの、Mgを混入したAl0.6Ga0.4Nの電子バリア層が成長するようにする。その中、Mgは混入濃度が1E19 cm-3である。そして、反応チャンバーの温度を960℃に制御し、圧力が変わらないようにし、厚さ20nmの、Mgを混入したGaN接触層が成長するようにする。その中、Mgは混入濃度が1E20 cm-3である。
【0056】
本実施例のもう一つの実施結果として、エピタキシャル基板1はサファイア基板である。前記n型半導体層2及びコーンピット準備層3はともにn型AlGaNである。その中、コーンピット準備層3は六角形の多面体コーンピットが低温で緩く成長する。コーンピット準備層3の厚さの増加に伴って、このコーンピットは欠陥がだんだんに成長し、コーンピット準備層3の厚さを調節してコーンピットの大きさを調節できる。そして、コーンピットの側面にそれぞれ5周期にAlInGaNの量子井戸及びAlGaN量子バリアの交替構造の能動層4及びp型半導体層5が成長する。その中、p型半導体層5はp型AlGaN電子バリア層及びp型GaN接触層を含む。
【0057】
ステップ2
【0058】
蒸発メッキまたはスパッタプロセスでp型半導体層5の表面に相次いでp型電極6、反射層7及び結合層8を堆積し、金属結合プロセスで前記紫外LEDを上下逆になるように裏返して基板10に接着する。本実施例では、p型電極6はNi/Au、反射層7はAl、結合層8はAuSn、基板10はSi基板である。
【0059】
ステップ3
【0060】
エキサイマーレーザーでサファイア
基板1側から照射し、サファイア
基板1をはがしてから露出したn型半導体層2にn型電極9を堆積して
図3に示した発光波長290nmの垂直構造の紫外LEDチップを取得する。本実施例では、エキサイマーレーザーは波長が193nm、n型電極9がNi/Auである。
【実施例2】
【0061】
図2、4に示すとおりに、本実施例はフリップ構造の光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップであり、n型半導体層2、コーンピット準備層3、能動層4、p型半導体層5、p型電極6、
反射層7、結合層8、n型電極9及び基板10を含む。その中、コーンピット準備層3はn型半導体層2、能動層4はコーンピット準備層3、p型半導体層5は能動層4に
隣接し、n型半導体層2にn型電極層9、p型半導体層5にp型電極層6、p型電極層6と基板10との間に
順に反射層7及び結合層8を形成する。前記能動層4と前記p型半導体層5に六角形の多面体構造のコーンピットを形成し、コーンピットを結合するプラットフォームエリアの投影面積と全能動層4の投影面積との比が30%以下
である。
【0062】
本実施例では、フリップ構造の光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップの製造方法は具体的に下記のステップを含む。
【0063】
ステップ1
【0064】
実施例1と同じように、有機金属気相成長法(MOCVD)で
基板1に
図2に示したエピタキシャル層が成長する。
【0065】
ステップ2
【0066】
黄色のライトマスク及びドライエッチングプロセスでp型半導体5側からn型半導体2側へエッチングし、n型半導体2の一部を露出させ、露出したn型半導体2にn型電極9を堆積する。
【0067】
ステップ3
【0068】
p型半導体5の表面に相次
いでp型電極6及び
反射層7を堆積してから
反射層7及びn型電極9に結合層8を堆積し、金属結合プロセスで前記紫外LEDを
上下逆になるように裏返して基板10に接着してから
図4に示した発光波長285nmのフリップ構造の紫外LEDチップを取得する。
【実施例3】
【0069】
図2、5に示すとおり、本実施例は垂直構造の光取出し効率を向上させるための紫外LEDチップであり、実施例1との違いとして、p型半導体5は能動層側
から離れた表面が平面であり、即ち、p型半導体層の成長条件及び厚さを調節してp型半導体層が平坦になるまで能動
層の六角形の多面体構造のコーンを充填し、エピタキシャル層の表面が平坦になるようにする。他のステップは同じであり、
図5に示した発光波長285nmの垂直構造の紫外LEDチップを取得する。
【0070】
ちなみに、本書では、「第一」や「第二」のような関係用語は実体または操作を他の実体または操作と区分するためのものだけであり、これらの実体または操作の間にいかなるそのような実際の関係または順序を求めたり、暗示したりすることではない。また、用語の「含む」または他のいかなる類義表現は非独占的に「含む」を包括しており、シリーズの要素を含む過程、方法及び品物または機器がそれらの要素を含むだけでなく、明らかに示されていない他の要素またはそんな過程、方法、品物または機器の固有的要素を含むようにするためのものである。更に多く制限されていない場合、「……を含む」という表現に限定される要素は前記の要素を含む過程、方法、品物または機器に別途に同じ要素があることを除外としない。
【0071】
ここで本発明の実施例について説明を行ったが、本分野の普通技術者にとって、本発明の原理及び精神を離脱しない場合にこれらの実施例に対する様々な変更、修正、書き換え及び変換を行うことができるが、本発明の範囲は本書に記載の請求項及びそれと同様な表現に限定されるものである。
【符号の説明】
【0072】
1:エピタキシャル基板
2:n型半導体層
3:コーンピット準備層
4:能動層
5:p型半導体層
6:p型電極
7:反射層
8:結合層
9:n型電極
10:基板