IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲーの特許一覧

特許7167340第2の電気機械を有するハイブリッドドライブトレイン
<>
  • 特許-第2の電気機械を有するハイブリッドドライブトレイン 図1
  • 特許-第2の電気機械を有するハイブリッドドライブトレイン 図2
  • 特許-第2の電気機械を有するハイブリッドドライブトレイン 図3
  • 特許-第2の電気機械を有するハイブリッドドライブトレイン 図4
  • 特許-第2の電気機械を有するハイブリッドドライブトレイン 図5
  • 特許-第2の電気機械を有するハイブリッドドライブトレイン 図6
  • 特許-第2の電気機械を有するハイブリッドドライブトレイン 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】第2の電気機械を有するハイブリッドドライブトレイン
(51)【国際特許分類】
   B60K 6/365 20071001AFI20221031BHJP
   F16H 3/72 20060101ALI20221031BHJP
   B60K 6/445 20071001ALI20221031BHJP
   B60K 6/52 20071001ALI20221031BHJP
【FI】
B60K6/365 ZHV
F16H3/72 A
B60K6/445
B60K6/52
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021526643
(86)(22)【出願日】2019-10-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 DE2019100891
(87)【国際公開番号】W WO2020098862
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】102018128654.6
(32)【優先日】2018-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーティン フォアネーム
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-111348(JP,A)
【文献】特開2010-234923(JP,A)
【文献】特開2015-036268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/365
F16H 3/72
B60K 6/445
B60K 6/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルクを加える内燃機関(3)及び電気機械(4)として形成された2つの一次駆動機械(2)と、前記一次駆動機械(2)によって生成されたトルクを伝達可能な遊星ギア変速機(5)であって、前記遊星ギア変速機(5)は、リングギア(6)と、少なくとも1つの太陽ギア(7)と、前記リングギア(6)及び前記少なくとも1つの太陽ギア(7)と噛み合う段付き遊星ギアセット(8)と、を有する、遊星ギア変速機(5)と、トルクを伝達するために、前記遊星ギア変速機(5)とトルクを伝達するように連結されている変速機出力シャフト(9)と、を備える、ハイブリッド自動車用のハイブリッドドライブトレイン(1)であって、前記変速機出力シャフト(9)は、トルクフローにおいて前記遊星ギア変速機(5)の下流に位置する二次駆動機械(10)にトルクを伝達するように結合可能であり、
前記遊星ギア変速機(5)は、第1の太陽ギア(12)及び第2の太陽ギア(13)を有し、前記第1の太陽ギア(12)は、前記第2の太陽ギア(13)よりも小さな直径を有し、
内燃機関(3)として形成された前記一次駆動機械(2)は、第1の連結器(16)を介して前記第1の太陽ギア(12)と結合可能であり、第2の連結器(17)を介して前記第2の太陽ギア(13)と結合可能であり、前記第1の連結器(16)及び前記第2の連結器(17)は、径方向に入れ子式に配置されているか、又は前記遊星ギア変速機(5)は、軸方向に前記第1の連結器(16)と前記第2の連結器(17)との間に配置されていることを特徴とする、ハイブリッドドライブトレイン(1)。
【請求項2】
前記二次駆動機械(10)は、電気機械(11)として形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッドドライブトレイン(1)。
【請求項3】
前記二次駆動機械(10)は、前記変速機出力シャフト(9)と直接に、伝動式に、又は連結解除可能に結合可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のハイブリッドドライブトレイン(1)。
【請求項4】
前記遊星ギア変速機は、第1の遊星段(24)及び第2の遊星段(25)を有し、前記第1の遊星段(24)は、前記第2の遊星段(25)よりも大きな直径を有することを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のハイブリッドドライブトレイン(1)。
【請求項5】
前記遊星ギア変速機は、第1の遊星段(24)及び第2の遊星段(25)を有し、前記第1の遊星段(24)は、前記第2の遊星段(25)よりも大きな直径を有し、
前記第1の遊星段(24)は、前記第1の太陽ギア(12)と噛み合い係合し、前記第2の遊星段(25)は、前記第2の太陽ギア(13)と噛み合い係合していることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のハイブリッドドライブトレイン(1)。
【請求項6】
電気機械(4)として形成された前記一次駆動機械(2)は、前記第1の太陽ギア(12)と結合可能である、かつ/又は、内燃機関(3)として形成された前記一次駆動機械(2)は、前記第1の太陽ギア(12)及び前記第2の太陽ギア(13)と結合可能であることを特徴とする、請求項のいずれか一項に記載のハイブリッドドライブトレイン(1)。
【請求項7】
前記第1の太陽ギア(12)と前記リングギア(6)との間の伝動比は、-1.2~-1.6である、かつ/又は、前記第2の太陽ギア(13)と前記リングギア(6)との間の伝動比は、-2~-2.5であることを特徴とする、請求項のいずれか一項に記載のハイブリッドドライブトレイン(1)。
【請求項8】
前記リングギア(6)に作用する制動装置(14)及び/又は電気機械(4)として形成された前記一次駆動機械(2)に作用する制動装置(15)が設けられていることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のハイブリッドドライブトレイン(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルクを加える2つの一次駆動機械、具体的には、内燃機関及び第1の電気機械と、一次駆動機械によって生成されたトルクを、好ましくは必要に応じてかつ/又は選択式に、例えば、連結器及び/又は伝動段の介在により伝達可能な遊星ギア変速機であって、遊星ギア変速機は、リングギアと、少なくとも1つの太陽ギアと、リングギア及び少なくとも1つの太陽ギアと噛み合う段付き遊星ギアセットと、を有する、遊星ギア変速機と、トルクを伝達するために、遊星ギア変速機とトルクを伝達するように連結されている変速機入力シャフトと、を備える、ハイブリッド自動車用のハイブリッドドライブトレインに関する。
【背景技術】
【0002】
段付き遊星ギアセットを備えたハイブリッド変速機は、例えば、独国特許第102015223256(A1)号から公知である。当該明細書は、内燃機関を連結するための第1の接続器と、電気モータを連結するための第2の接続器と、遊星ギア変速機セグメントであって、遊星ギア変速機セグメントは、リングギアと、複数の二重遊星ギアを有する遊星ギアキャリアであって、二重遊星ギアは、遊星ギアキャリア上に回転可能に配置され、二重遊星ギアはそれぞれ、相対回動不動にかつ互いに同軸に配置されている小遊星ギア及び大遊星ギアを有し、大遊星ギア又は小遊星ギアは、リングギアと噛み合う、遊星ギアキャリアと、小太陽ギア及び大太陽ギアであって、小太陽ギアは、大遊星ギアと噛み合い、大太陽ギアは、小遊星ギアと噛み合う、小太陽ギア及び大太陽ギアと、を有する、遊星ギア変速機セグメントと、第1のトルクパスであって、第1のトルクパスは、第1の接続器から小太陽ギアへと続き、第1のトルクパス内に、少なくとも1つの変速段を有する第1の切替装置及び電気モータに連結するための第2の接続器に結合する伝動結合が配置されている、第1のトルクパスと、第2のトルクパスであって、第2のトルクパスは、第1の接続器から大太陽ギアへと続く、第2のトルクパスと、少なくとも1つの変速装置であって、変速装置は、少なくとも1つの回転方向調整を行うことにより、2つのトルクパスの並列駆動時に二重遊星ギアが同一の回転方向に駆動され、第1及び第2のトルクパスは、互いに独立に開閉することができる、変速装置と、を備える、輸送機械用のハイブリッド変速機を開示している。しかし不利なことに、開示されたハイブリッド変速機は、比較的大きな組立スペースを必要とし、複雑であるため、高コストである。
【0003】
段付き遊星ギアを有する変速機もまた、日本国特許第6063128(A)号から公知であるが、その明細書では、遊星ギアキャリアが内燃機関に固定して結合されているため、すなわち、切替要素及び/又は摩擦要素がないため、運転モードの数及び種類が大幅に制限されている。
【0004】
さらに、米国特許第2018194214(A)号は、ハイブリッド変速機を開示しているが、当該ハイブリッド変速機では、内燃機関は、二重連結器を介して遊星ギアキャリア又は太陽ギアに切替可能に接続されている。ただしそれにより3段の代わりに2+R段のみが生じる。
【0005】
それに加えて、中国特許第207670178(A)号からハイブリッド変速機が公知であるが、当該ハイブリッド変速機では、出力フローは、1つの出力分離のみを使用可能なように実現されている。
【0006】
しかし、従来技術は、専用ハイブリッド変速機の既知の構造が広範に使用可能ではなく、それぞれの変速機種類に対して構成変更が必要であるか、又はそれぞれの変速機種類に対して全く異なる構造が必要となり、これが部品点数をあまりにも増加させることにつながるという欠点を常に有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、従来技術に由来する欠点を回避するか又は少なくとも低減することである。具体的には、特に、モジュール式で柔軟かつ広範に使用可能であり、複雑さが低く、費用対効果高く製造可能であり、多数の様々な運転モードの種類が可能であるハイブリッドドライブトレインを開発すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の課題は、本発明によれば上述の種類の装置において、変速機入力シャフトを、トルクフローにおいて遊星ギア変速機の下流に位置する二次駆動機械と直接に又は間接的にトルクを伝達するように結合可能にすることによって解決される。すなわち、追加の駆動機械が出力側に設けられている。
【0009】
これには、追加の駆動機械を設けることにより、ハイブリッドドライブトレインの最大出力が大幅に向上し、より多くの運転モードが設定可能となるため、出力を必要に応じてハイブリッド自動車の駆動輪に供給することができるという利点がある。
【0010】
有利な実施形態は、従属請求項に記載されており、以下で詳細に説明する。
【0011】
好適な実施形態では、二次駆動機械は、第2の電気機械として形成することができる。すなわち、本発明によるハイブリッドドライブトレインでは、2つの電気機械を有する構造が使用される。
【0012】
有利な発展形態によれば、二次駆動機械は、変速機入力シャフトに直接に、伝動式に又は連結解除可能に、すなわち、選択的に結合することができる。したがって、二次駆動機械の連結に関して、用途に応じて有利な柔軟な選択肢が実現可能である。それに加えて、2つの一次駆動機械を有するハイブリッド変速機を単独で運転するか、又は二次駆動機械と組み合わせることが可能である。
【0013】
それに加えて、構造様式に応じてドライブトレイン全体に関して様々な変形実施形態が実現可能であるように、ハイブリッドドライブトレインが形成されていると有利である。好ましくは、一次駆動機械及び二次駆動機械は、それらが共通の駆動軸又は分離された駆動軸を有するように配置されている。例えば、一次駆動機械は、前車軸を駆動するために、二次駆動機械は、後車軸を駆動するために使用することができる。
【0014】
さらに、遊星ギア変速機は、有利な実施形態によれば、第1の太陽ギア及び第2の太陽ギアを有し、第1の太陽ギアは、第2の太陽ギアよりも小さな直径を有する。以下では、第1の太陽ギアを小太陽ギア又はより小さな太陽ギアとも称し、第2の太陽ギアを大太陽ギア又はより大きな太陽ギアとも称する。
【0015】
さらに、遊星ギア変速機が第1の遊星段及び第2の遊星段を有し、第1の遊星段は、第2の遊星段よりも大きな直径を有すると適切である。具体的には、第1の遊星段が第1の太陽ギアと噛み合い係合し、第2の遊星段が第2の太陽ギアと噛み合い係合している/噛み合う場合が好適である。すなわち、大太陽ギアは、小遊星段と噛み合い、小太陽ギアは、大遊星段と噛み合う。
【0016】
それに加えて、電気機械として形成された一次駆動機械が、好ましくは直接に又は伝動式に、第1の太陽ギアと結合可能である、かつ/又は内燃機関として形成された一次駆動機械が、好ましくは二重連結器を介して切替可能に、第1の太陽ギア及び第2の太陽ギアと結合可能であることが有利である。あるいは、電気機械として形成された一次駆動機械を第2の太陽ギアと結合可能とすることが可能であり、これは、純粋な電気モードが長くなりすぎるが、Vモードでは電気機械の回転数及び変速機のコンバージョンを顕著に高めることにつながる。Vモードは、「長い」回転数伝動で好適に、具体的には、第4段よりも長く運転することができるため、無段オーバードライブ/第5段が実現されている。
【0017】
好適な発展形態によれば、第1の太陽ギアとリングギアとの間の伝動比は、-1.2~-1.6であり得、かつ/又は、第2の太陽ギアとリングギアとの間の伝動比は、-2~-2.5であり得る。これらの値は、効率的な出力伝達を確実にするために特に適切であることが証明されている。
【0018】
好適な実施形態では、内燃機関として形成された一次駆動機械は、第1の連結器を介して第1の太陽ギアと結合可能であり、第2の連結器を介して第2の太陽ギアと連結可能であり、第1の連結器及び第2の連結器は、径方向に入れ子式に配置されているか、又は遊星ギア変速機は、軸方向に第1の連結器と第2の連結器との間に配置されている。それにより、特に組立スペースを節約する2つの解決策がドライブトレインモジュール用に提供される。
【0019】
好ましくは、第1段において電気ブースト機能が設けられている場合、第1の連結器は、内燃機関のトルクの100%~110%が可能に設定されている。
【0020】
具体的には、連結器が湿式又は乾式の連結器として形成されている場合が好適である。連結器は、さらに形状接続式連結器として又は摩擦結合式連結器として形成することができ、摩擦結合式形態は、始動を容易にするため特に有利である。
【0021】
好適な実施形態では、変速機入力シャフトは、中空シャフトとして形成することができる。第1の太陽ギアを有する第1の太陽シャフト及び第2の太陽ギアを有する第2の太陽シャフトが、又は、第2の太陽ギアを有する第2の太陽シャフト及び内燃機関として形成された一次駆動機械のトルクを伝達する従動シャフトが、変速機入力シャフトの内部に径方向に配置されている場合が特に好適である。したがって、特に組立スペースを節約し、費用対効果の高い解決策を提供することができる。
【0022】
それに加えて、第1の太陽シャフト及び/又は第2の太陽シャフトが、内燃機関として形成された一次駆動機械のトルクを伝達する従動シャフトに対して同軸に、かつ/又は変速機入力シャフトに対して同軸に配置されている場合が適切である。
【0023】
また、リングギアに作用する(第1の)制動装置及び/又は電気機械として形成された一次駆動機械に作用する(第2の)制動装置が設けられている場合が有利である。それにより、設定可能な段数を増加させることができる。好ましくは、制動装置は、湿式又は乾式の制動装置として形成することができる。
【0024】
したがって、本発明によるハイブリッドドライブトレインの形成により、以下の走行機能が実現可能である。
【0025】
二次駆動機械を用いないSモード(第1の連結器オン、第2の連結器オフ、第1の制動機オフ、第2の制動機オフ):充電、滑走、内燃機関の始動。二次駆動機械を用いるSモード(第1の連結器オン、第2の連結器オフ、第1の制動機オフ、第2の制動機オフ):直列モード(発電機->モータ)
【0026】
二次駆動機械を用いないEモード(第1の連結器オフ、第2の連結器オフ、第1の制動機オン、第2の制動機オフ):電気走行。二次駆動機械を用いるEモード(第1の連結器オフ、第2の連結器オフ、第1の制動機オン、第2の制動機オフ):より大きな電気牽引力/全輪を用いる電気走行
【0027】
二次駆動機械を用いない1モード(第1の連結器オン、第2の連結器オフ、第1の制動機オン、第2の制動機オフ):第1の内燃機関段(P2ハイブリッドモジュールなど)。二次駆動機械を用いる1モード(第1の連結器オン、第2の連結器オフ、第1の制動機オン、第2の制動機オフ):より強力な電気機能/全輪
【0028】
二次駆動機械を用いない2モード(第1の連結器オフ、第2の連結器オン、第1の制動機オン、第2の制動機オフ):第2の内燃機関段、電気機械の迅速回転。二次駆動機械を用いる2モード(第1の連結器オフ、第2の連結器オン、第1の制動機オフ、第2の制動機オフ):より強力な電気機能/全輪
【0029】
二次駆動機械を用いない3モード(第1の連結器オン、第2の連結器オン、第1の制動機オフ、第2の制動機オフ):第3の内燃機関段i=1(P2ハイブリッドモジュールなど)。二次駆動機械を用いる3モード(第1の連結器オン、第2の連結器オン、第1の制動機オフ、第2の制動機オフ):より強力な電気機能/全輪
【0030】
二次駆動機械を用いない4モード(第1の連結器オフ、第2の連結器オン、第1の制動機オフ、第2の制動機オン):電気機械機能を用いない第4の内燃機関段。二次駆動機械を用いる4モード(第1の連結器オフ、第2の連結器オン、第1の制動機オフ、第2の制動機オン):電気機能/全輪
【0031】
二次駆動機械を用いないVモード(第1の連結器オフ、第2の連結器オン、第1の制動機オフ、第2の制動機オフ):可変モード、第5段として利用可能。二次駆動機械を用いるVモード(第1の連結器オフ、第2の連結器オン、第1の制動機オフ、第2の制動機オフ):プリウスモード(発電機->モータ)
【0032】
二次駆動機械を用いないNモード(第1の連結器オフ、第2の連結器オフ、第1の制動機オフ、第2の制動機オフ):ニュートラル、内燃機関及び電気機械を連結解除。二次駆動機械を用いるNモード(第1の連結器オフ、第2の連結器オフ、第1の制動機オフ、第2の制動機オフ):電気走行(低損失)
【0033】
換言すると、本発明は、2つの太陽ギアであって、2つの太陽ギアの第1及び第2の太陽ギアは、第1の駆動部、具体的には、第1の駆動部の従動シャフト、好ましくは内燃機関の従動シャフトと結合可能であり、第1若しくは第2の太陽ギアは、第2の駆動部、具体的には、第2の駆動部の従動シャフト、好ましくは(第1の)電気機械の従動シャフトと結合可能であるか又は結合されている、2つの太陽ギアと、段付き遊星ギアセットであって、遊星ギアセットの第1の遊星段は、第1の太陽ギアと噛み合い、遊星ギアセットの第2の遊星段は、第2の太陽ギアと噛み合う、段付き遊星ギアセットと、第1又は第2の遊星段が噛み合うリングギアと、好ましくはリングギアに作用する制動機と、遊星ギアセットが回転可能に支承されている変速機入力シャフトであって、変速機入力シャフトは、第3の駆動部、具体的には、第3の駆動部の従動シャフト、好ましくは第1の電気機械とは別個の/異なる(第2の)電気機械の従動シャフトとトルクを伝達するように結合可能である、変速機入力シャフトと、を備える、ハイブリッド自動車用のハイブリッド変速機、に関する。
【0034】
換言すると、本発明によるハイブリッドドライブトレイン又はハイブリッド変速機では、これまではそれぞれ特殊な変速機が必要であった多数のドライブトレインの種類を可能にする(パワースプリット、ハイブリッド段オートマチック変速機/二重連結器変速機、直列)。一方では多様な使い方による数量上の利点(開発コスト、製造コスト及びバージョン管理の低減など)を実現し、他方ではまた市場又は顧客傾向における推移及び好みに関して柔軟性を実現する。
【0035】
本発明を以下に図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明による第1の実施形態のハイブリッドドライブトレインの抽象的概略図である。
図2】第2の実施形態のハイブリッドドライブトレインの抽象的概略図である。
図3】第3の実施形態のハイブリッドドライブトレインの抽象的概略図である。
図4】ハイブリッドドライブトレインの一部分の抽象的概略図である。
図5図4に示した第1の実施形態のハイブリッドドライブトレインの一部分の構成形態の概略図である。
図6図4に示した第2の実施形態のハイブリッドドライブトレインの一部分の構成形態の概略図である。
図7図4に示した第3の実施形態のハイブリッドドライブトレインの一部分の構成形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
各図面は模式的な性質のものにすぎず、本発明の理解に資するためのものにすぎない。同じ部材は、同じ符号で示している。異なる実施形態の特徴は、任意に互いの間で交換することができる。
【0038】
図1は、本発明による第1の実施形態のハイブリッドドライブトレイン1の概略図を示す。ハイブリッドドライブトレイン1は、2つの一次駆動機械2を示し、一方の一次駆動機械2は、内燃機関3として形成され、他方の一次駆動機械2は、第1の電気機械4として形成されている。両方の一次駆動機械2は、遊星ギア変速機5とトルクを伝達するように結合可能である。
【0039】
遊星ギア変速機5は、リングギア6と、少なくとも1つの太陽ギア7と、リングギア6及び少なくとも1つの太陽ギア7と噛み合う段付き遊星ギアセット8と、を有する。リングギア6は、図示の実施例では制動固定可能に形成されている。トルクを伝達するために、遊星ギア変速機5は、変速機入力シャフト9と結合されている。本発明によれば、二次駆動機械10は、トルクフローにおいて遊星ギア変速機5の下流に位置する変速機出力シャフト9と結合可能であるか又は結合されている。二次駆動機械10は、第2の電気機械11として形成されている。
【0040】
遊星ギア変速機5は、2つの太陽ギア7を有する。2つの太陽ギア7のうちの第1の太陽ギア12は、第1の電気機械4と直接連結され、かつトルクを伝達するために内燃機関3と切替可能に結合されている。2つの太陽ギア7のうちの第2の太陽ギア13は、トルクを伝達するために内燃機関3と切替可能に結合されている。
【0041】
リングギア6には、リングギア6を制動するように作用することができるリングギア制動装置14が設けられている。第1の太陽ギア12には、第1の太陽ギア12を制動するように作用することができる太陽ギア制動装置15が設けられている。内燃機関3は、第1の(部分)連結器16を介して第1の太陽ギア12と結合され、第2の(部分)連結器17を介して第2の太陽ギア13に結合されている。トルクを伝達するために、第1の太陽ギア12を有する第1の太陽シャフト18は、第1の連結器16を介して内燃機関3と結合されているか、又は第2の太陽ギア13を有する第2の太陽シャフト19は、第2の連結器17を介して内燃機関3と結合されている。そのために、内燃機関3の従動シャフト20は、第1の太陽シャフト18及び/又は第2の太陽シャフト19と相対回動不動に連結される。
【0042】
図1では、第2の電気機械11は、変速機入力シャフト9に直接連結されている。図2は、第2の電気機械11が伝動式に変速機入力シャフト9に結合されていることを除いて、第1の実施形態に相当する、ハイブリッドドライブトレイン1の第2の実施形態を示す。そのために、概略的に示された伝動段21は、電気機械11と変速機出力シャフト9との間で作用する。
【0043】
図3は、実質的に第1及び第2の実施形態に相当する、ハイブリッドドライブトレイン1の第3の実施形態を示す。第1の実施形態及び第2の実施形態では、内燃機関3及び/又は第1の電気機械4は、第2の電気機械11と共に共通の駆動軸を駆動する。第3の実施形態では、第2の電気機械11のトルクは、内燃機関3及び/又は第1の電気機械4が第1の駆動軸22を駆動し、第2の電気機械11が第2の駆動軸23を駆動するように伝達される。したがって、分離された駆動軸を有するドライブトレイン全体が実現される。第1の駆動軸22は、例えば、前車軸であり得、第2の駆動軸23は、例えば、後車軸であり得る。ただし代替的にもまた、第1の駆動軸22は、前車軸であり得、したがって、第2の駆動軸23は、後車軸であり得る。
【0044】
図4は、第1、第2、及び第3の実施形態に共通するハイブリッドドライブトレイン1の一部分の抽象的概略図を示す。図5~7において、その一部分の様々な実施形態をより詳細に説明する。
【0045】
図5~7において、段付き遊星ギアセット8がより詳細に図示されている。それらの図では、遊星ギアセット8は、第1の遊星段24及び第2の遊星段25を有する。第1の遊星段24は、第2の遊星段25よりも大きな直径を有する。第1の遊星段24は、リングギア6及び第1の太陽ギア12と噛み合う。第2の遊星段25は、第2の太陽ギア13と噛み合う。
【0046】
第1の連結器16及び第2の連結器17は、径方向に入れ子式に配置されている。第1の連結器16は、第2の連結器の外側で径方向に配置されている。第1の太陽シャフト18及び第2の太陽シャフト19は、中空シャフト構成として形成されており、第2の太陽シャフト19は、第1の太陽シャフト19の内側で径方向に配置されている。
【0047】
図5では、太陽ギア制動装置15は、軸方向で第1の電気機械4と遊星ギア変速機5との間に配置されている。第1の電気機械4は、遊星ギア変速機5の内燃機関に対向する軸側に配置されている。変速機入力シャフト9は、遊星ギア変速機5の内燃機関とは反対の軸側に配置されている。第1の連結器16及び第2の連結器17は、径方向に入れ子式に配置されている。第1の連結器16は、第2の連結器の外側で径方向に配置されている。第1の太陽シャフト18及び第2の太陽シャフト19は、中空シャフト構成として形成されており、第2の太陽シャフト19は、第1の太陽シャフト19の内側で径方向に配置されている。連結器16、17及び/又は制動装置15及び/又は電気機械4について、オイルチャンバ又はドライチャンバ内に形成することが可能である。
【0048】
図6では、電気機械4は、軸方向で太陽ギア制動装置15と遊星ギア変速機との間に配置されている。第1の電気機械4は、遊星ギア変速機5の内燃機関に対向する軸側に配置されている。変速機出力シャフト9は、遊星ギア変速機5の内燃機関に対向する軸側に配置され、トルクを伝達するために平歯車26を有する。したがって、変速機出力シャフト9は、中空シャフトとして形成され、第1の太陽シャフト18及び第2の太陽シャフト19は、変速機出力シャフト9の内側で径方向に配置されている。第1の連結器16及び第2の連結器17は、径方向に入れ子式に配置されている。第1の連結器16は、第2の連結器の外側で径方向に配置されている。第1の太陽シャフト18及び第2の太陽シャフト19は、中空シャフト構成として形成されており、第2の太陽シャフト19は、第1の太陽シャフト18の内側で径方向に配置されている。
【0049】
図7では、第1の電気機械4は、第1の連結器16の外側で径方向に配置されている。また、図7では、第1の電気機械4は、遊星ギア変速機5の内燃機関とは反対の軸側に配置されている。変速機出力シャフト9は、遊星ギア変速機5の内燃機関に対向する軸側に配置され、トルクを伝達するために平歯車26を有する。したがって、変速機出力シャフト9は、中空シャフトとして形成され、第2の太陽シャフト19及び駆動シャフト20は、変速機出力シャフト9の内側で径方向に配置されている。図7に図示された実施例では、太陽ギア制動装置15が設けられていない(ただし電気機械4の近くにあると考えられる)。
【符号の説明】
【0050】
1 ハイブリッドドライブトレイン
2 一次駆動機械
3 内燃機関
4 第1の電気機械
5 遊星ギア変速機
6 リングギア
7 太陽ギア
8 段付き遊星ギアセット
9 変速機出力シャフト
10 二次駆動機械
11 第2の電気機械
12 第1の太陽ギア
13 第2の太陽ギア
14 リングギア制動装置
15 太陽ギア制動装置
16 第1の連結器
17 第2の連結器
18 第1の太陽シャフト
19 第2の太陽シャフト
20 従動シャフト
21 伝動段
22 第1の駆動軸
23 第2の駆動軸
24 第1の遊星段
25 第2の遊星段
26 平歯車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7