(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/235 20060101AFI20221031BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20221031BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20221031BHJP
B64D 47/08 20060101ALI20221031BHJP
B64D 47/04 20060101ALI20221031BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20221031BHJP
【FI】
H04N5/235 400
H04N5/232 030
H04N5/232 990
B64C39/02
B64D47/08
B64D47/04
G03B15/00 U
G03B15/00 T
(21)【出願番号】P 2021528256
(86)(22)【出願日】2020-06-16
(86)【国際出願番号】 JP2020023547
(87)【国際公開番号】W WO2020262105
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2021-12-10
(31)【優先権主張番号】P 2019120211
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後 友恵
(72)【発明者】
【氏名】亀山 直季
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 雄一朗
(72)【発明者】
【氏名】北村 康裕
【審査官】吉田 千裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/169516(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0313416(US,A1)
【文献】特開2018-120409(JP,A)
【文献】国際公開第2016/059877(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222-5/257
B64C 39/02
B64D 47/08
B64D 47/04
G03B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の路面を撮像する第1飛行体と、前記路面に光を照射する第2飛行体とを制御する制御部であって、
前記道路の点検日時における天気予報を取得し、太陽の位置及び前記天気予報から予測される太陽光の光量に応じて、前記路面において段差が発生すると予め予想されている箇所と、前記第1飛行体から前記箇所に対する撮像方向と、前記第2飛行体
又は前記太陽から前記箇所に対する光の照射方向との関係が、前記段差が発生している場合に前記箇所に影が生じて且つ当該影を撮像可能な関係となるように、前記第1飛行体及び前記第2飛行体を制御する制御部を備える
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記太陽光が所定の光量以上の場合においては、前記箇所と、前記第1飛行体から前記箇所に対する撮像方向と、前記箇所に対する太陽光の方向との関係が、前記段差が発生している場合に前記箇所に影が生じて且つ当該影を撮像可能な関係となるように、前記第1飛行体を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記太陽光が所定の光量以上の場合であって、前記箇所と、前記第1飛行体から前記箇所に対する撮像方向と、前記箇所に対する太陽光の方向との関係が、前記段差が発生している場合に前記箇所に影が生じて且つ当該影を撮像可能な関係となるような制御ができない場合、又は、太陽光が前記所定の光量未満の場合においては、前記箇所と、前記第1飛行体から前記箇所に対する撮像方向と、前記第2飛行体から前記箇所に対する光の照射方向との関係が、前記段差が発生している場合に前記箇所に影が生じて且つ当該影を撮像可能な関係となるように、前記第1飛行体及び前記第2飛行体を制御する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
道路の路面を撮像する第1飛行体と、前記路面に光を照射する第2飛行体とを制御する制御部であって、前記路面において段差が発生すると予め予想されている箇所と、前記第1飛行体から前記箇所に対する撮像方向と、前記第2飛行体から前記箇所に対する光の照射方向との関係が、前記段差が発生している場合に前記箇所に影が生じて且つ当該影を撮像可能な関係となるように、前記第1飛行体及び前記第2飛行体を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
太陽光が所定の光量以上の場合においては、前記箇所と、前記第1飛行体から前記箇所に対する撮像方向と、前記箇所に対する太陽光の方向との関係が、前記段差が発生している場合に前記箇所に影が生じて且つ当該影を撮像可能な関係となるように、前記第1飛行体を制御し、
太陽光が所定の光量以上の場合であって、前記箇所と、前記第1飛行体から前記箇所に対する撮像方向と、前記箇所に対する太陽光の方向との関係が、前記段差が発生している場合に前記箇所に影が生じて且つ当該影を撮像可能な関係となるような制御ができない場合、又は、太陽光が前記所定の光量未満の場合においては、前記箇所と、前記第1飛行体から前記箇所に対する撮像方向と、前記第2飛行体から前記箇所に対する光の照射方向との関係が、前記段差が発生している場合に前記箇所に影が生じて且つ当該影を撮像可能な関係となるように、前記第1飛行体及び前記第2飛行体を制御する
ことを特徴とす
る情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、太陽光が所定の光量以上の場合であって、前記箇所と、前記第1飛行体から前記箇所に対する撮像方向と、前記箇所に対する太陽光の方向との関係が、前記段差が発生している場合に前記箇所に影が生じて且つ当該影を撮像可能な関係となるような制御ができない場合、又は、太陽光が前記所定の光量未満の場合においては、前記太陽光の光量又は前記箇所に対する太陽光の方向に応じて、前記第2飛行体から前記箇所に対する光の光量を制御する
ことを特徴とする請求項
4記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記路面において段差が発生すると予め予想されている箇所は、舗装された路面の継ぎ目である
ことを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、道路の延伸方向に前記第1飛行体及び前記第2飛行体を飛行させて前記制御を行ったのちに、それまでの飛行経路を逆方向に前記第1飛行体及び前記第2飛行体を飛行させて前記制御を行う
ことを特徴とする請求項1~
6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体を制御するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
災害の発生後に道路の通行を再開する前には、その路面を点検して例えば5cm以上の段差がないことを確認する必要がある。このための技術として、例えば特許文献1には、車両に搭載された路面撮像装置によって、その車両の走行中に路面を赤外光によって撮像し、路面のひび割れ等を検出することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年ではドローンと呼ばれる無人飛行体が普及しつつあることから、上記のような撮像装置をこの種の無人飛行体に搭載して路面を点検することができれば便利である。ただし、様々な気象条件が考えられる屋外における無人飛行体による撮像となるため、撮像条件によっては、道路に生じた段差の有無を正確に検出できない場合が考えられる。
【0005】
そこで、本発明は、飛行体によって撮像された画像に基づいて、道路に生じた段差をより正確に検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、道路の路面を撮像する第1飛行体と、前記路面に光を照射する第2飛行体とを制御する制御部であって、前記路面において段差が発生すると予め予想されている箇所と、前記第1飛行体から前記箇所に対する撮像方向と、前記第2飛行体から前記箇所に対する光の照射方向との関係が、前記段差が発生している場合に前記箇所に影が生じて且つ当該影を撮像可能な関係となるように、前記第1飛行体及び前記第2飛行体を制御する制御部を備えることを特徴とする情報処理装置を提供する。
【0007】
前記制御部は、太陽光が所定の光量以上の場合においては、前記箇所と、前記第1飛行体から前記箇所に対する撮像方向と、前記箇所に対する太陽光の方向との関係が、前記段差が発生している場合に前記箇所に影が生じて且つ当該影を撮像可能な関係となるように、前記第1飛行体を制御し、太陽光が所定の光量以上の場合であって、前記箇所と、前記第1飛行体から前記箇所に対する撮像方向と、前記箇所に対する太陽光の方向との関係が、前記段差が発生している場合に前記箇所に影が生じて且つ当該影を撮像可能な関係となるような制御ができない場合、又は、太陽光が前記所定の光量未満の場合においては、前記箇所と、前記第1飛行体から前記箇所に対する撮像方向と、前記第2飛行体から前記箇所に対する光の照射方向との関係が、前記段差が発生している場合に前記箇所に影が生じて且つ当該影を撮像可能な関係となるように、前記第1飛行体及び前記第2飛行体を制御するようにしてもよい。
【0008】
前記制御部は、太陽光が所定の光量以上の場合であって、前記箇所と、前記第1飛行体から前記箇所に対する撮像方向と、前記箇所に対する太陽光の方向との関係が、前記段差が発生している場合に前記箇所に影が生じて且つ当該影を撮像可能な関係となるような制御ができない場合、又は、太陽光が前記所定の光量未満の場合においては、前記太陽光の光量又は前記箇所に対する太陽光の方向に応じて、前記第2飛行体から前記箇所に対する光の光量を制御するようにしてもよい。
【0009】
前記路面において段差が発生すると予め予想されている箇所は、舗装された路面の継ぎ目であってもよい。
【0010】
前記制御部は、道路の延伸方向に前記第1飛行体及び前記第2飛行体を飛行させて前記制御を行ったのちに、それまでの飛行経路を逆方向に前記第1飛行体及び前記第2飛行体を飛行させて前記制御を行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、飛行体によって撮像された画像に基づいて、道路に生じた段差をより正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】飛行システム1の構成の一例を示す図である。
【
図2】飛行体10のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】サーバ装置20のハードウェア構成を示す図である。
【
図4】飛行システム1の機能構成の一例を示す図である。
【
図5】路面の段差Gと飛行体10aと太陽Lとの関係を例示する図である。
【
図6】路面の段差Gと飛行体10aと太陽Lとの関係を例示する図である。
【
図7】サーバ装置20の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[構成]
図1は、飛行システム1の構成の一例を示す図である。飛行システム1は、例えばドローンと呼ばれる無人の飛行体10a,10bと、サーバ装置20と、これらを通信可能に接続する通信網2とを備える。サーバ装置20は、飛行体10a,10bを制御する情報処理装置として機能する。通信網2は、例えばLTE(Long Term Evolution)等の無線通信網である。飛行体10は、サーバ装置20による制御のもとで自律的に飛行(いわゆる自動操縦飛行)することが可能な飛行体である。なお、以下の説明において、飛行体10というときには、複数の飛行体のそれぞれのことを指す。
【0014】
例えば都心部の高速道路等は、地上よりも高い位置に架け渡されている構造(いわゆる高架構造)になっていることがある。地震等の災害時には、このような構造の舗装された路面の継ぎ目において、段差が発生することがある。そこで、このように段差が発生する可能性があるとして予め予想されている箇所へと飛行体10を飛行させて、その飛行体10によりその箇所を撮像させ、太陽光によってその段差に生じる影の有無や大きさに基づいて、その段差の状態を検出することが考えられる。
【0015】
ただし、太陽光の方向や光量によっては、段差に影が生じにくい場合がある。そこで、飛行体10a(第1飛行体)には道路の路面を撮像する機能を搭載する一方、飛行体10b(第2飛行体)には路面に光を照射する機能を搭載して、飛行体10bからの照射光によって段差に影を生じさせ、その影を飛行体10aで撮像する。サーバ装置20は、これら飛行体10a,10bの飛行を制御するとともに、飛行体10aによる撮像と飛行体10bによる光の照射を制御する。具体的には、サーバ装置20は、路面において段差が発生すると予め予想されている箇所と、飛行体10aからその箇所に対する撮像方向と、飛行体10bからその箇所に対する光の照射方向との関係が、段差が発生している場合にその箇所に影が生じて且つその影を撮像可能となるような関係となるように、飛行体10a及び飛行体10bを制御する。
【0016】
図2は、飛行体10のハードウェア構成を示す図である。飛行体10は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、飛行装置1007、センサ1008、測位装置1009及びこれらを接続するバスなどを含むコンピュータ装置として構成されている。これらの各装置は図示せぬ電池から供給される電力によって動作する。なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。飛行体10のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0017】
飛行体10における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0018】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。また、例えばベースバンド信号処理部や呼処理部などがプロセッサ1001によって実現されてもよい。
【0019】
プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、後述する動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。飛行体10の機能ブロックは、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよい。各種の処理は、1つのプロセッサ1001によって実行されてもよいが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介して通信網2から飛行体10に送信されてもよい。
【0020】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本実施形態に係る方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0021】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。ストレージ1003は、例えば飛行体10の識別情報(飛行体識別情報という)を記憶する。この飛行体識別情報はサーバ装置20による飛行体10の制御に用いられる。
【0022】
通信装置1004は、通信網2を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。通信装置1004は、例えば周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)及び時分割複信(TDD:Time Division Duplex)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。例えば、送受信アンテナ、アンプ部、送受信部、伝送路インターフェースなどは、通信装置1004によって実現されてもよい。送受信部は、送信制御部と受信部とで、物理的に、又は論理的に分離された実装がなされてもよい。
【0023】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キー、マイクロフォン、スイッチ、ボタンなど)であり、特に飛行体10aの入力装置1005は路面を撮像する撮像装置を含む。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)であり、特に飛行体10bの出力装置1006は路面に光を照射する発光装置を含む。
【0024】
飛行装置1007は、飛行体10を空中で飛行させるための機構であり、例えばプロペラや、そのプロペラを駆動するためのモータ及び駆動機構を含む。
【0025】
センサ1008は、例えば飛行体10の状態を検出する。センサ1008は、例えば温度センサ、モータの回転数を検出する回転数センサ、電流/電圧等の何らかの入力/出力に関する値を検出するセンサ(例えば電池の電力残量センサ)、ジャイロセンサ、加速度センサ、気圧(高度)センサ、磁気(方位)センサ、超音波センサ、照度センサ等のセンサ群を含む。
【0026】
測位装置1009は、飛行体10の三次元の位置を測定する。測位装置1009は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機であり、複数の衛星から受信したGPS信号に基づいて飛行体10の位置を測定する。
【0027】
本実施形態では、上述したセンサ1008及び測位装置1009により、飛行体10の位置及び姿勢が特定される。
【0028】
プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバスによって接続される。バスは、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0029】
飛行体10は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0030】
図3は、サーバ装置20のハードウェア構成を示す図である。サーバ装置20は、物理的には、プロセッサ2001、メモリ2002、ストレージ2003、通信装置2004、入力装置2005、出力装置2006及びこれらを接続するバスなどを含むコンピュータ装置として構成されている。サーバ装置20における各機能は、プロセッサ2001、メモリ2002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ2001が演算を行い、通信装置2004による通信を制御したり、メモリ2002及びストレージ2003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。プロセッサ2001、メモリ2002、ストレージ2003、通信装置2004及びこれらを接続するバスは、飛行体10について説明したプロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004及びこれらを接続するバスと、ハードウェアとしては同様であるため、その説明を省略する。入力装置2005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサ、ジョイスティック、ボールコントローラなど)である。出力装置2006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置2005及び出力装置2006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0031】
図4は、飛行システム1の機能構成の一例を示す図である。飛行体10aにおいて、撮像部11aは、路面を撮像する。飛行体10bにおいて、発光部12bは、路面に光を照射する。
【0032】
サーバ装置20において、取得部21は、飛行体10a,10bから通信網2経由で各種のデータ(例えば各飛行体10の位置及び姿勢等の各種挙動データ)を取得する。
【0033】
サーバ装置20において、制御部22は、路面において段差が発生すると予め予想されている箇所(以下、段差発生予想箇所という)と、飛行体10aから段差発生予想箇所に対する撮像方向と、飛行体10bから段差発生予想箇所に対する光の照射方向との関係が、段差が発生している場合にその箇所に影が生じて且つその影を撮像可能となるような関係となるように、飛行体10a及び飛行体10bを制御する。
【0034】
ここで、制御部22による飛行体10に対する制御は、太陽光によって段差に生じる影を撮像可能な場合と、太陽光によって段差に生じる影を撮像することが困難な場合とで、異なる内容となる。まず、太陽光が所定の光量以上の場合においては、段差発生予想箇所と、飛行体10aから段差発生予想箇所に対する撮像方向と、段差発生予想箇所に対する太陽光の方向とが、段差が発生している場合にその段差発生予想箇所に影が生じて且つその影を撮像可能となるような関係となるように、飛行体10aを制御する。
【0035】
前述したように、段差発生予想箇所は路面の継ぎ目である。よって、段差は、道路の幅方向(道路の延伸方向に直交する方向)が長手方向となるように生じる。ここで、
図5に例示するように、飛行体10aが道路上をその道路の延伸方向Fに飛行して撮像を行う場合において、路面Rに、飛行体10aの手前側が低く奥側が高くなるような段差Gが生じていると仮定する。この場合、段差Gの位置を挟んで、飛行体10aと太陽Lとが互いに反対側にあれば(つまり、段差の撮像に対して太陽光がいわゆる逆光又は斜光の場合には)、太陽光Bにより段差Gにおいて生じた影S(図中の三角形のエリア)を飛行体10aが撮像することができる。
【0036】
一方、
図6に例示するように、段差Gの位置から見て、飛行体10aと太陽Lとが同じ側にあれば(段差の撮像に対して太陽光がいわゆる順光の場合)、太陽光Bによる影は段差Gには生じない。
【0037】
制御部22は、太陽光が所定の光量以上の場合(つまり撮像画像に段差の影が明瞭に表れる程度の光量以上の場合)には、段差発生予想箇所の位置、段差発生予想箇所の位置における道路の延伸方向から予測される段差の長手方向、飛行体10aの位置及び撮像方向、及び段差発生予想箇所から見たときの太陽の位置(方向及び高度)を特定し、これらの関係が、段差が発生している場合に段差発生予想箇所に影が生じて且つその影を撮像可能となるように、飛行体10aの飛行及び撮像方向を制御する。
【0038】
ただし、
図6に例示したように、太陽光が所定の光量以上の場合であっても、段差発生予想箇所、飛行体10aから段差発生予想箇所に対する撮像方向、及び段差発生予想箇所に対する太陽光の方向が段差の影を撮像可能な関係となるような制御をできない場合(つまり順光の場合)がある。また、太陽光が所定の光量未満の場合(つまり曇、雨、夜間等の場合)においても、撮像画像に段差の影が明瞭に表れない。そこで、このような場合には、制御部22は、段差発生予想箇所と、飛行体10aから段差発生予想箇所に対する撮像方向と、飛行体10bから段差発生予想箇所に対する光の照射方向とが、段差が発生している場合に段差発生予想箇所に影が生じて且つその影を撮像可能となるように、飛行体10a及び飛行体10bを制御する。具体的には、制御部22は、
図5の太陽Lがある位置に、その太陽Lに代えて、飛行体10bの発光部12bを配置し、その光の照射方向が太陽光Bと同様になるように、飛行体10bの飛行及び発光を制御する。
【0039】
このとき、制御部22は、太陽光の光量又は段差発生予想箇所に対する太陽光の方向に応じて、飛行体10bから段差発生予想箇所に対する光の光量を制御する。具体的には、太陽光の光量が多い場合には、その太陽光の影響を受けずに段差に影を生じさせるために、飛行体10bから段差発生予想箇所に対する光の光量を多くする。また、段差発生予想箇所において太陽光の方向が影を生じさせない程度(いわゆる順光の度合い)が大きい場合には、飛行体10bから段差発生予想箇所に対する光の光量を多くする。
【0040】
なお、上記は、飛行体10aが道路上をその道路の延伸方向Fに飛行して撮像を行う場合において、路面Rに、飛行体10aの手前側が低く奥側が高くなるような段差Gが生じていると仮定した場合であった。一方、これとは逆、つまり、飛行する飛行体10aの手前側が高く奥側が低くなるような段差Gが生じる場合もあり得る。このような場合を想定して、制御部22は、道路の延伸方向に飛行体10a及び飛行体10bを往路飛行させたのちに、それまでの飛行経路を逆方向に飛行体10a及び飛行体10bを復路飛行させて、上記制御を行う。これにより、往路飛行と復路飛行とで、段差発生予想箇所における順光と逆光が逆になる。つまり、往路飛行において飛行体10aの手前側が高く奥側が低くなるような段差Gは、往路飛行では影による検出ができないが、復路飛行ではその検出が可能となる。
【0041】
なお、撮像は例えば静止画であり、制御部22は、飛行体10aによる撮像と飛行体10bによる光の照射とを同期して行わせるように制御する。また、撮像が動画である場合は、制御部22は、飛行体10aによる動画の撮像中に飛行体10bから継続的に光を照射させてもよいし、飛行体10aによる動画の撮像中に飛行体10bから間欠的に光を照射させてもよい。後者のように間欠的に光を照射させる場合、動画において光が照射されたタイミングに相当するフレーム画像において、影の有無や大きさに基づいて段差の状態を検出すればよい。また、撮像時においては、制御部22は、飛行体10a,10bの速度及び高度を下げて段差発生予想箇所に近づき、より高頻度で撮像処理を行わせるように制御してもよい。
【0042】
[動作]
次に、サーバ装置20の動作について説明する。なお、以下の説明において、サーバ装置20を処理の主体として記載する場合には、具体的にはプロセッサ2001、メモリ2002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることで、プロセッサ2001が演算を行い、通信装置2004による通信や、メモリ2002及びストレージ2003におけるデータの読み出し及び/又は書き込みを制御することにより、処理が実行されることを意味する。飛行体10についても同様である。
【0043】
図7において、サーバ装置20の制御部22は、点検予定を取得する(ステップS11)。この点検予定は、道路の点検日時、点検対象となる道路の位置及び段差発生箇所の位置等を含み、所定の方法でサーバ装置20に入力される。
【0044】
次に、制御部22は、点検対象となる道路の位置及びその点検日時における天気予報を取得する(ステップS12)。この天気予報は、例えば天気予報提供装置から通信網2経由でサーバ装置20に入力される。これにより、制御部22は、点検対象となる道路の位置及びその点検日時における太陽光の光量を予想することができる。
【0045】
次に、制御部22は、ステップS11,S12にて取得した情報を用いて、道路における段差の有無を点検するために各飛行体10の飛行及び動作スケジュールを策定する(ステップS13)。具体的には、制御部22は、飛行体10a,10bの発着基地から点検対象の道路に飛行し、さらにその道路の延伸方向に道路上を往復するための飛行経路を生成する。さらに、制御部22は、その飛行経路において段差発生予想箇所を通過するときの、太陽の位置、太陽光の予想光量、飛行体10aの位置、及び飛行体10aから段差発生予想箇所に対する撮像方向に基づいて、飛行体10a,10bの飛行時期、飛行位置、撮像時期、光の照射時期、光の照射方向を含む飛行及び動作スケジュールを策定する。この飛行及び動作スケジュールは、
図5又は
図6に例示したような飛行体10a、段差発生予想箇所、太陽及び飛行体10bの位置関係を実現するものである。
【0046】
そして、制御部22は、策定した飛行及び動作スケジュールに従い、飛行体10a,10bの遠隔制御を開始する(ステップS14)。
【0047】
飛行体10a,10bの飛行中、制御部22は、飛行及び動作スケジュールを策定時に想定した想定条件から乖離したか否かを判断する(ステップS15)。想定条件から乖離するケースとは、例えば、天気予報に反して、太陽光の光量が意図せず増減するような場合である。この太陽光の光量は、飛行体10a又は10bのセンサ1008の照度センサによって実測することができるから、制御部22はこの実測値を通信網2経由で取得すればよい。
【0048】
制御部22は、飛行及び動作スケジュールの想定条件から乖離したと判断した場合(ステップS15;YES)、新たな想定条件(例えば実測した太陽光の光量を加味した条件)にて飛行及び動作スケジュールを策定する(ステップS16)。この策定処理は、ステップS13の処理と同様の処理である。ステップS15及びS16の処理は、道路点検のための飛行が終了するまで繰り返される(ステップS17)。
【0049】
以上説明した実施形態によれば、飛行体によって撮像された画像に基づいて、道路に生じた段差をより正確に検出することが可能となる。
【0050】
[変形例]
段差発生予想箇所は、舗装された路面の継ぎ目に限らず、路面において段差が生じる可能性がある箇所であればよい。また、発光部12bから発する光の波長域はどのようなものでもよく、例えば可視光でもよいし、赤外光であってもよい。撮像部11aは、発光部12bから発する光の波長域に応じた撮像が可能であればよい。
【0051】
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0052】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信制御部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0053】
例えば、本開示の一実施の形態におけるサーバ装置などは、本開示の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。
【0054】
本開示において説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G(4th generation mobile communication system)、5G(5th generation mobile communication system)、FRA(Future Radio Access)、NR(new Radio)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE 802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及びこれらに基づいて拡張された次世代システムの少なくとも一つに適用されてもよい。また、複数のシステムが組み合わされて(例えば、LTE及びLTE-Aの少なくとも一方と5Gとの組み合わせ等)適用されてもよい。
【0055】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0056】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0057】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0058】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0059】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0060】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
なお、本開示において説明した用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。
【0061】
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。
【0062】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0063】
本開示において使用する「第1」、「第2」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0064】
上記の各装置の構成における「部」を、「手段」、「回路」、「デバイス」等に置き換えてもよい。
【0065】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0066】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0067】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1:飛行システム、10,10a,10b:飛行体、11a:撮像部、12b:発光部、1001:プロセッサ、1002:メモリ、1003:ストレージ、1004:通信装置、1005:入力装置、1006:出力装置、1007:飛行装置、1008:センサ、1009:測位装置、20:サーバ装置、21:取得部、22:制御部、2001:プロセッサ、2002:メモリ、2003:ストレージ、2004:通信装置、2005:入力装置、2006:出力装置、F:道路の延伸方向、C:撮像方向、R:路面、G:段差、L:太陽、B:太陽光、S:影。