IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アーベーベー・シュバイツ・アーゲーの特許一覧 ▶ アー・ベー・ベー・パワー・グリッズ・スウィツァーランド・アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

特許7167351ネストされたマイクログリッドのための分散型の偽データ軽減
<>
  • 特許-ネストされたマイクログリッドのための分散型の偽データ軽減 図1
  • 特許-ネストされたマイクログリッドのための分散型の偽データ軽減 図2
  • 特許-ネストされたマイクログリッドのための分散型の偽データ軽減 図3
  • 特許-ネストされたマイクログリッドのための分散型の偽データ軽減 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】ネストされたマイクログリッドのための分散型の偽データ軽減
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20221031BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
H02J13/00 M
H02J13/00 301A
H02J3/38 110
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021542079
(86)(22)【出願日】2019-10-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 US2019054040
(87)【国際公開番号】W WO2020072477
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-06-09
(31)【優先権主張番号】16/147,979
(32)【優先日】2018-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505056845
【氏名又は名称】アーベーベー・シュバイツ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ABB Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】Bruggerstrasse 66, 5400 Baden, Switzerland
(73)【特許権者】
【識別番号】519431812
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・スウィツァーランド・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY SWITZERLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ジュンホ
(72)【発明者】
【氏名】イーシェンコ,ドミトリー
(72)【発明者】
【氏名】ヌキ,レイナルド
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/048351(WO,A1)
【文献】特開2018-032382(JP,A)
【文献】特開2017-204722(JP,A)
【文献】Beg et al.,Detection of False-Data injection Attacks in Cyber-Physical DC Microgrids,IEEE TRANSACTIONS ON INDUSTRIAL INFORMATICS ,2017年10月,VOL.13,NO.5,2693-2703
【文献】Zonouz et al.,SCPSE:Security-Oriented Cyber-Physical State Estimation for Power Grid Criticai Infrastructures,IEEE TRANSACTIONS ON SMART GRID,2012年12月,VOL.3,NO.4,1790-1799
【文献】Feng et al.,Malicious False Data injection in Hierarchical Electric Power Grid State Estimation Systems,e-Energy'13,米国,2013年10月,183-192
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 3/00 - 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネストされたマイクログリッドシステムにおいて偽データを除去するための方法であって、前記方法は、
第1のマイクログリッドの第1のマイクログリッド制御システムにより、第1の複数のローカル測定値を用いて第1のローカル状態推定値を計算することと、
第2のマイクログリッドの第2のマイクログリッド制御システムにより、第2の複数のローカル測定値を用いて第2のローカル状態推定値を計算することと、
中央制御システムにより、前記第1の複数のローカル測定値および前記第2の複数のローカル測定値を用いる第1のグローバル状態推定値と、前記第1のローカル状態推定値および前記第2のローカル状態推定値を用いる第2のグローバル状態推定値とを含む、複数のグローバル状態推定値を計算することと、
前記第1のマイクログリッド制御システムにより、前記第1のローカル状態推定値および前記複数のグローバル状態推定値のうちの1つのグローバル状態推定値を用いて第1の偽データ検出テストを実行することと、
前記中央制御システムにより、前記第1のグローバル状態推定値および前記第2のグローバル状態推定値を用いて第2の偽データ検出テストを実行することと、
前記第1の偽データ検出テストまたは前記第2の偽データ検出テストの実行に応答して、偽データを検出することと、
前記偽データの検出に応答して、前記第1のグローバル状態推定値、前記第2のグローバル状態推定値、または前記第1のローカル状態推定値を更新することとを備える、方法。
【請求項2】
前記第1のマイクログリッドは、前記第1のマイクログリッドの物理的または電気的特性に対応する前記第1の複数のローカル測定値を生成するように構成された第1の複数のフィールドデバイスを含み、前記第2のマイクログリッドは、前記第2のマイクログリッドの物理的または電気的特性に対応する前記第2の複数のローカル測定値を生成するように構成された第2の複数のフィールドデバイスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の偽データ検出テストの実行に応答して偽データが検出され、前記偽データの検出に応答して更新することは、前記第1のマイクログリッド制御システムにより、前記第1のローカル状態推定値が偽データを含んでいると判断することと、前記第1のマイクログリッド制御システムにより、前記偽データを含まない前記ローカル状態推定値を再計算することと、再計算した前記ローカル状態推定値を前記中央制御システムに送信することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の偽データ検出テストの実行に応答して偽データが検出され、前記偽データの検出に応答して更新することは、前記中央制御システムにより、前記第1のローカル状態推定値が偽データを含んでいると判断することと、前記中央制御システムにより、前記偽データを含まない前記複数のグローバル状態推定値を再計算することと、再計算した1つのグローバル状態推定値を前記第1のマイクログリッド制御システムに送信することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のマイクログリッド制御システムにより、前記第1の複数のローカル測定値を用いて第1のマイクログリッドトポロジを生成することと、
前記中央制御システムにより、前記第1の複数のローカル測定値および前記第2の複数のローカル測定値を用いてシステムトポロジを生成することと、
前記第1のマイクログリッド制御システムにより、前記システムトポロジと前記第1のマイクログリッドトポロジとの比較に応答してトポロジエラーを検出することと、
前記トポロジエラーの検出に応答して前記第1のマイクログリッドトポロジを更新することとを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のマイクログリッド制御システムにより、切り替えコマンドを受信することと、
前記第1のマイクログリッド制御システムにより、シミュレートされたマイクログリッドトポロジを生成することとを備え、
前記ローカル状態推定値を計算することは、前記シミュレートされたマイクログリッドトポロジを用いることを含み、
偽データを検出することは、受信した前記切り替えコマンドが電圧崩壊または電圧制限違反を引き起こすと判断することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記偽データのソースを判定することと、
偽データが将来の状態推定値に導入されないようにすることとを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
偽データが将来の状態推定値に導入されないようにすることは、システム動作に警告を送信すること、または判定した前記偽データのソースから受信したデータをブロックすることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記偽データは、サイバー侵入者によってインジェクトされるデータを含み、判定した前記偽データのソースは、フィールドデバイス、前記第1のマイクログリッド制御システム、または前記中央制御システムである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
第1の複数のフィールドデバイスおよび前記第1のマイクログリッド制御システムは、ソフトウェア定義ネットワーキング(SDN)コントローラを介して通信するように構成され、偽データが将来の状態推定値に導入されないようにすることは、判定した前記偽データのソースによる通信を無効にするのに有効なコマンドを前記SDNコントローラに送信することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のマイクログリッドは回路遮断器を含み、偽データが将来の状態推定値に導入されないようにすることは、判定した前記偽データのソースによる通信を無効にする前に、前記SDNコントローラで前記回路遮断器をトグルすることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の複数のローカル測定値は、前記第1のマイクログリッドの第1の複数のバスについての電圧の大きさおよび位相角を含み、前記第2の複数のローカル測定値は、前記第2のマイクログリッドの第2の複数のバスについての電圧の大きさおよび位相角を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
第1のマイクログリッドを含むネストされたマイクログリッドシステムにおいて偽の切り替えコマンドを軽減するための方法であって、前記方法は、
前記第1のマイクログリッドの第1のマイクログリッド制御システムにより、前記第1のマイクログリッドの制御可能スイッチをトグルするのに有効な切り替えコマンドを受信することと、
前記第1のマイクログリッド制御システムにより、第1の複数のローカル測定値を用いて、シミュレートされたマイクログリッドトポロジを生成することと、
中央制御システムにより、第1の複数のローカル測定値および第2のマイクログリッドからの第2の複数のローカル測定値を用いて、シミュレートされたシステムトポロジを生成することと、
第1のマイクログリッドの第1のマイクログリッド制御システムにより、前記シミュレートされたマイクログリッドトポロジを用いて第1のローカル状態推定値を計算することと、
前記中央制御システムにより、シミュレートされたシステムトポロジを用いる第1のグローバル状態推定値と、前記第1のローカル状態推定値を用いる第2のグローバル状態推定値とを含む、複数のグローバル状態推定値を計算することと、
前記第1のマイクログリッド制御システムにより、前記第1のローカル状態推定値と前記複数のグローバル状態推定値のうちの1つのグローバル状態推定値とを比較することによって第1の偽データ検出テストを実行することと、
前記中央制御システムにより、前記第1のグローバル状態推定値と前記第2のグローバル状態推定値とを比較することによって第2の偽データ検出テストを実行することと、
前記第1の偽データ検出テストまたは前記第2の偽データ検出テストの実行に応答して、前記切り替えコマンドが偽データを含んでいると判断することと、
前記第1のマイクログリッド制御システムにより、受信した前記切り替えコマンドを無視することとを備える、方法。
【請求項14】
前記第1のマイクログリッドは、前記第1のマイクログリッドの物理的または電気的特性に対応する前記第1の複数のローカル測定値を生成するように構成された第1の複数のフィールドデバイスを含み、前記第2のマイクログリッドは、前記第2のマイクログリッドの物理的または電気的特性に対応する前記第2の複数のローカル測定値を生成するように構成された第2の複数のフィールドデバイスを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記切り替えコマンドが偽データを含んでいると判断することは、前記切り替えコマンドを実行すると前記第1のマイクログリッド上で電圧崩壊が起こると判断することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記切り替えコマンドが偽データを含んでいると判断することは、前記切り替えコマンドを実行すると前記第1のマイクログリッド上で過電圧状況または不足電圧状況が起こると判断することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
第1の複数のフィールドデバイス、前記第1のマイクログリッド制御システム、および前記中央制御システムは、ソフトウェア定義ネットワーキング(SDN)コントローラを介して通信するように構成され、受信した前記切り替えコマンドを無視することは、前記第1の複数のフィールドデバイスのうちの1つのフィールドデバイス、前記第1のマイクログリッド、または前記中央制御システムからの通信を無効にするのに有効なコマンドを前記SDNコントローラに送信することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のマイクログリッドは回路遮断器を含み、前記通信を無効にする前に、前記SDNコントローラで前記回路遮断器をトグルすることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記切り替えコマンドは前記中央制御システムから受信され、前記中央制御システムは、サイバー侵入者、故障したセンサ、または信号ノイズに起因する偽データを用いて前記切り替えコマンドを生成する、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記切り替えコマンドを無視することは、前記切り替えコマンドのソースをブロックすること、またはシステムオペレータに警告を出すことを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
本開示は、概してネストされたマイクログリッドに関し、当該ネストされたマイクログリッドは、電力網の残りの部分から切断されても独立して動作可能な少なくとも1つの電源と1つの負荷とを含む電力網の相互接続された部分である。ネストされたマイクログリッドシステムにおける状態推定により、オンラインモニタリングおよびネットワーク認識が可能になる。ネストされたマイクログリッドにおける正確な状態推定は、フィールドデバイスからの正確なデータに依存する。フィールドデバイスの障害または外部通信チャネルの干渉が原因で、マイクログリッド通信チャネルは状態推定器に偽データを通信する場合がある。故障したフィールドデバイスまたは偽データインジェクション攻撃が多すぎると、状態推定は不正確なシステムトポロジまたはシステムステータスを示すようになる。マイクログリッドコンポーネントの損傷または電力網のカスケード障害を防ぐために偽データを検出することが必要である。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究または開発に関する記載
本発明は、米国エネルギー省により付与された契約番号DE-FOA-0001441の下で米国政府の支援を受けてなされたものである。政府は本発明に一定の権利を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
開示の概要
本開示の例示的な実施形態は、ネストされたマイクログリッドのための固有のシステム、方法、技術および装置を含む。本開示のさらなる実施形態、形状、目的、特徴、利点、態様および利益は、以下の説明および図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】例示的なネストされたマイクログリッドシステムを示す回路図である。
図2】例示的なネストされたマイクログリッド通信システムを示すブロック図である。
図3】例示的な偽データ軽減プロセスを示すフローチャート図である。
図4図3の例示的な偽データ軽減プロセスを組み込んだ例示的な切り替えコマンド検証プロセスを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
説明のための実施形態の詳細な説明
図1を参照して、マイクログリッド制御システムレベルおよび中央制御システムレベルの両方において実行される多層状態推定を用いてマイクログリッド状態推定における偽データを検出するように構成された、ネストされたマイクログリッドシステム100が示されている。システム100は、ほんの数例を挙げると、ユーティリティグリッド配電システム、工場配電システム、および車両配電システムを含むさまざまな用途で実装され得ることが理解されるはずである。システム100のトポロジは説明のために示されており、本開示を限定することを意図していないことが理解されるはずである。たとえば、システム100は、より多いまたはより少ないマイクログリッドを含んでもよく、システム100のマイクログリッドは、各マイクログリッドが少なくとも1つの他のマイクログリッドに結合される限りは、どのような構成で配置されてもよい。さらに、各マイクログリッドのトポロジは説明のために示されており、本開示を限定することを意図していないことが理解されるはずである。たとえば、マイクログリッド110は、より多いまたはより少ないバス、より多いまたはより少ない電源、より多い負荷、およびより多いまたはより少ないフィールドデバイスを含んでもよい。システム100は単線図で示されているが、システム100は、単相交流(AC)電力、多相AC電力、または直流(DC)電力を伝送するように構成されてもよい。
【0006】
システム100は、接続線161、163、165、および167を介して結合されるマイクログリッド110、120、130、および140を含む。具体的には、マイクログリッド110は接続線163を介してマイクログリッド120に結合され、マイクログリッド120は接続線165を介してマイクログリッド130に結合され、マイクログリッド130は接続線167を介してマイクログリッド140に結合され、マイクログリッド140は接続線161を介してマイクログリッド110に結合される。ある実施形態では、システム100はユーティリティグリッドの一部に結合される。
【0007】
回路遮断器としても知られるタイブレーカー162が接続線161に動作可能に結合され、接続線161の中の電流の流れを選択的に遮断するように構成される。タイブレーカー164が接続線163に動作可能に結合され、接続線163の中の電流の流れを選択的に遮断するように構成される。タイブレーカー166が接続線165に動作可能に結合され、接続線165の中の電流の流れを選択的に遮断するように構成される。タイブレーカー168が接続線167に動作可能に結合され、接続線167の中の電流の流れを選択的に遮断するように構成される。
【0008】
マイクログリッド110は、他のネストされたマイクログリッドに接続されるかシステム100の残りの部分から切断されるかに関わらず、負荷119などのマイクログリッド負荷に電力を供給するように構成される。マイクログリッド110は、共通接続点としても知られる相互接続点(POI)と、接続線161とバス111bとの間に結合されるバス111aと、バス111bに結合されるバス111cと、バス111cと接続線163との間に結合されるPOIバス111dとを含む。マイクログリッド110はまた、電圧センサ113aおよび電圧センサ113bを含む、マイクログリッド110の電気的または物理的特性を測定するように構成された複数のフィールドデバイスを含む。電圧センサ113aはPOIバス111aに結合され、POIバス111aの電圧を測定するように構成される。電圧センサ113bはPOIバス111dに結合され、POIバス111dの電圧を測定するように構成される。ある実施形態では、マイクログリッド110は、ほんの数例を挙げると、リモートターミナルユニット(RTU)、インテリジェント電子デバイス(IED)、リレー、リクローザ(recloser)、フェーザ測定ユニット(PMU)、電流センサ、電圧変成器、および電流変成器など、追加の電圧センサまたは他のタイプのフィールドデバイスを含む。ある実施形態では、電圧センサは電圧の大きさおよび電圧位相角を測定するように構成され、電流センサは電流の大きさおよび電流位相角を測定するように構成される。
【0009】
マイクログリッド110は、バス111bに結合される電源115と、バス111cに結合される電源117とを含む。電源115および117は、ソーラーパネルアレイ、風力タービン、天然ガス発生器、または発電するように構成されたその他のシステムを含んでもよい。電源115は、バス111bと電源115との間に流れる電流を選択的に遮断するように構成された、スイッチングデバイスとしても知られる回路遮断器116を介してバス111bに結合される。電源117はバス111cに結合され、バス111cと電源117との間に流れる電流を選択的に遮断するように構成される。
【0010】
マイクログリッド110はマイクログリッド制御システム114を含み、マイクログリッド制御システム114は、以下により詳細に説明するように、マイクログリッド110の回路遮断器を含むフィールドデバイスと通信し、状態推定を実行し、偽データの検出および軽減を実行するように構成される。ある実施形態では、マイクログリッド制御システム114は、マイクログリッド110に隣接するタイブレーカーからの測定値を制御および受信するように構成される。マイクログリッド110の上述の特徴のいずれかまたはすべては、本明細書に開示されているシステム100の他のマイクログリッドにも存在し得ることが理解されるはずである。
【0011】
マイクログリッド120は、他のマイクログリッドに接続されるかシステム100の残りの部分から切断されるかに関わらず、負荷129などの結合された負荷に電力を供給するように構成される。マイクログリッド120は、接続線163とバスl21bとの間に結合されるPOIバスl21aと、バスl21bに結合されるバスl21cと、バスl21cと接続線163との間に結合されるPOIバスl21dとを含む。マイクログリッド120はまた、電圧センサ123aおよび電圧センサ123bを含む、マイクログリッド120の電気的または物理的特性を測定するように構成された複数のフィールドデバイスを含む。電圧センサ123aはPOIバス12ldに結合され、POIバス121aの電圧を測定するように構成される。電圧センサ123bはPOIバス12ldに結合され、POIバス12ldの電圧を測定するように構成される。
【0012】
マイクログリッド120は、バスl21bに結合される電源125と、バスl21cに結合される電源127とを含む。電源125は、バスl21bと電源125との間に流れる電流を選択的に遮断するように構成された回路遮断器126を介してバスl21bに結合される。電源127はバス121cに結合され、バス121cと電源127との間に流れる電流を選択的に遮断するように構成される。マイクログリッド120はマイクログリッド制御システム124を含み、マイクログリッド制御システム124は、以下により詳細に説明するように、マイクログリッド120のフィールドデバイスおよび回路遮断器と通信し、偽データの検出および軽減を実行するように構成される。
【0013】
マイクログリッド130は、他のマイクログリッドに接続されるかシステム100の残りの部分から切断されるかに関わらず、負荷139などの結合された負荷に電力を供給するように構成される。マイクログリッド130は、接続線161とバス131bとの間に結合されるPOIバス131aと、バス131bに結合されるバス131cと、バス131cと接続線163との間に結合されるPOIバス131dとを含む。マイクログリッド130はまた、電圧センサ133aおよび電圧センサ133bを含む、マイクログリッド130の電気的または物理的特性を測定するように構成された複数のフィールドデバイスを含む。電圧センサ133aはPOIバス131aに結合され、POIバス131aの電圧を測定するように構成される。電圧センサ133bはPOIバス131dに結合され、POIバス131dの電圧を測定するように構成される。
【0014】
マイクログリッド130は、バス131bに結合される電源135と、バス131cに結合される電源137とを含む。電源135は、バス131bと電源135との間に流れる電流を選択的に遮断するように構成された回路遮断器136を介してバス131bに結合される。電源137はバス131cに結合され、バス131cと電源137との間に流れる電流を選択的に遮断するように構成される。マイクログリッド130はマイクログリッド制御システム134を含み、マイクログリッド制御システム134は、以下により詳細に説明するように、マイクログリッド130のフィールドデバイスおよび回路遮断器と通信し、偽データの検出および軽減を実行するように構成される。
【0015】
マイクログリッド140は、他のマイクログリッドに接続されるかシステム100の残りの部分から切断されるかに関わらず、負荷149などの結合された負荷に電力を供給するように構成される。マイクログリッド140は、バス141bに結合されるPOIバス141aと、バス141bに結合されるバス141cと、バス141cと接続線163との間に結合されるPOIバス141dとを含む。マイクログリッド140はまた、電圧センサ143aおよび電圧センサ143bを含む、マイクログリッド140の電気的または物理的特性を測定するように構成された複数のフィールドデバイスを含む。電圧センサ143aはPOIバス141aに結合され、POIバス141aの電圧を測定するように構成される。電圧センサ143bはPOIバス141dに結合され、POIバス141dの電圧を測定するように構成される。
【0016】
マイクログリッド140は、バス141bに結合される電源145と、バス141cに結合される電源147とを含む。電源145は、バス141bと電源145との間に流れる電流を選択的に遮断するように構成された回路遮断器146を介してバス141bに結合される。電源147はバス141cに結合され、バス141cと電源147との間に流れる電流を選択的に遮断するように構成される。マイクログリッド140はマイクログリッド制御システム144を含み、マイクログリッド制御システム144は、以下により詳細に説明するように、マイクログリッド140のフィールドデバイスおよび回路遮断器と通信し、偽データの検出および軽減を実行するように構成される。
【0017】
システム100は中央制御システム150を含み、中央制御システム150は、マイクログリッド制御システム114、124、134、および144と通信し、システム100のフィールドデバイスからの生測定値と、システム100の各マイクログリッド制御システムからの集約されたローカル状態推定値との両方を用いてシステム100についてのグローバル状態推定を実行するように構成される。ある実施形態では、中央制御システム150は分散管理システム(DMS)または分散エネルギーリソース管理システム(DERMS)である。
【0018】
既存の状態推定システムには多くの短所および欠点がある。偽データ検出の精度を高めること、マイクログリッド制御コマンドの誤実行を防止すること、マイクログリッドセキュリティを強化すること等の要求は依然として満たされていない。たとえば、サイバー侵入者がマイクログリッドの単一のフィールドデバイスにアクセスすることにより、悪意のあるデータがマイクログリッド通信チャネルに入り、ネストされたマイクログリッドまたは電力網全体に悪影響を及ぼす可能性がある。さらに、サイバー侵入者は、状態推定用の少数の測定値を受信する単一の状態推定器では検出不可能な偽データをローカルまたは中央制御システムにインジェクトできる可能性がある。中央制御システム150ならびにマイクログリッド制御システム114、124、134、および144は同時に連携して動作して、通信システムのいずれかのエントリポイントにおいて、すなわち、フィールドデバイスにおいて、マイクログリッド制御システムにおいて、または中央制御システムにおいて、システム100の通信ネットワークに入る偽データを検出する。例示的な多層状態推定の利点を簡潔に示すために、以下の例を検討する。
【0019】
まず、サイバー侵入者が、回路遮断器118が閉路していることを示す偽データをマイクログリッド制御システム114にインジェクトし、さらに、この偽の回路遮断器ステータスをサポートする妥当な測定値を提供すると仮定する。マイクログリッド制御システム114が孤立したローカル状態推定値を用いた場合は、偽データを検出することは困難である。というのも、偽データインジェクションは妥当な測定値を含んでおり、マイクログリッド110は状態推定入力データを生成するための少数のフィールドデバイスを含んでいるからである。以下に説明する例示的な偽データ検出アルゴリズムを用いて、マイクログリッド制御システム114は、その計算されたトポロジを中央制御システム150によって計算されたグローバル状態推定値と比較することによって偽データを検出することができる。
【0020】
第2の例では、中央制御システム150は、偽データインジェクションの形態で中央制御システム150において受信した偽データに基づいて、切り替えコマンドを生成する。生成された切り替えコマンドは、回路遮断器116を開放するのに有効である。切り替えコマンドが実行された時にマイクログリッド110がアイランドモードで動作していた場合は、マイクログリッド110にブラックアウトが起こる。単独で動作する中央制御システム150は、偽データを検出しない。以下に説明する例示的な偽データ検出プロセスを用いて、並行して作動するマイクログリッド制御システム114および中央制御システム150は、切り替えコマンドをシミュレートし、切り替えコマンドの実行をブロックする。ある実施形態では、システム100は状態推定に用いられる測定値から偽データを除去するように構成されるだけでなく、システム100はさらにデータソースをブロックしてシステム100に対するさらなるサイバー攻撃を防ぐ。システム100の上述の特徴のいずれかまたはすべては、本明細書に開示されている他のネストされたマイクログリッドシステムにも存在し得ることが理解されるはずである。
【0021】
図2を参照して、マイクログリッド220、230、240、および250ならびに中央制御システム210を含むネストされたマイクログリッドシステム200が示されている。各マイクログリッドはマイクログリッド制御システムを含み、マイクログリッド制御システムは、通信チャネル263を介して他のマイクログリッド制御システムと通信し、通信チャネル265を介して同じマイクログリッドのフィールドデバイスと通信し、通信チャネル261を介して中央制御システム210と通信するように構成される。
【0022】
システム200の通信チャネルは、ほんの数例を挙げると、GOOSE、OPC UA、Pub-Sub、またはDDSなどの通信プロトコルを用いて、有線または無線通信によってデータを転送してもよい。ある実施形態では、システム200の通信チャネルの一部またはすべては、イーサネット(登録商標)スイッチなどの1つ以上のソフトウェア定義ネットワーキング(SDN)デバイスを含む。たとえば、フィールドデバイス251は各々がSDNデバイスの別個のポートに結合されてもよく、マイクログリッド制御システム253はSDNデバイスのポートに結合されてもよく、中央制御システム210はSDNデバイスのポートに結合されてもよい。各フィールドデバイスが通信するためには、SDNデバイスはフィールドデバイス用のポートと制御システム用のポートとを接続しなければならない。ある実施形態では、マイクログリッド制御システムまたは中央制御システム210は、フィールドデバイスのポートを無効にするようにSDNデバイスに命令することによって、フィールドデバイスからの偽データインジェクションをブロックしてもよい。ある実施形態では、偽データの複数のインジェクションがマイクログリッドに起こっている場合は、中央制御システム210は、影響を受けるマイクログリッド制御システムを分離するために、中央制御システム210をSDNデバイスに接続しているポートを切断するようにSDNデバイスに命令してもよい。ある実施形態では、SDNデバイスを用いて、IEDで回路遮断器を開放するなど、フィールドデバイスの分離前にフィールドデバイスを制御してもよい。
【0023】
マイクログリッド220は、複数のフィールドデバイス221およびマイクログリッド制御システム222を含む。マイクログリッド制御システム222は、処理デバイス226と、入出力デバイス225と、メモリデバイス223と、分散型状態推定アプリケーション224とを含む。システム200は、スタンドアロンデバイス、埋め込みシステム、またはシステム222に関して説明した機能を実行するように構成された複数のデバイスであってもよい。たとえば、システム222はマイクログリッドSCADAゲートウェイに組み込まれてもよい。
【0024】
入出力デバイス225は、マイクログリッド制御システム222が、複数のフィールドデバイス221、システム200の他のマイクログリッド、および中央制御システム210と通信することを可能にする。たとえば、入出力デバイス225は、ほんの数例を挙げると、ネットワークアダプタ、ネットワーククレデンシャル、インターフェイス、またはポート(たとえば、USBポート、シリアルポート、パラレルポート、アナログポート、デジタルポート、VGA、DVI、HDMI(登録商標)、FireWire、CAT5、イーサネット、ファイバ、またはその他のタイプのポートもしくはインターフェイス)を含んでもよい。入出力デバイス225は、これらのアダプタ、クレデンシャル、またはデータ受信用の第1のポートおよびデータ送信用の第2のポートなどのポート、のうちの2つ以上を含んでもよい。
【0025】
処理デバイス226は、ほんの数例を挙げると、1つもしくは複数のプロセッサ、演算論理装置(ALU)、中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含んでもよい。複数の処理装置を有する処理デバイス226の形態については、分散処理、パイプライン処理、または並列処理が用いられてもよい。処理デバイス226は、本明細書に説明されている動作を実行するためにのみに用いられてもよいし、1つ以上の追加のアプリケーションにおいて用いられてもよい。処理デバイス226は、メモリ223に格納された(ソフトウェアまたはファームウェアなどの)プログラミング命令によって定義されるような分散型状態推定アプリケーション224に従ってアルゴリズムを実行してデータを処理する、プログラマブル式であってもよい。これに代えてまたはこれに加えて、処理デバイス226のための分散型状態推定アプリケーション224は、ハードワイヤードロジックまたは他のハードウェアによって少なくとも部分的に定義される。処理デバイス226は、入出力デバイス225または他の場所から受信した信号を処理して所望の出力信号を提供するのに適した任意のタイプの1つ以上のコンポーネントを備えてもよい。そのようなコンポーネントは、デジタル回路、アナログ回路、または両方の組み合わせを含んでもよい。
【0026】
メモリデバイス223は、ほんの数例を挙げると、ソリッドステート式、電磁式、光学式、またはこれらの形態の組み合わせなど、1つ以上のタイプであってもよい。さらに、メモリデバイス223は、揮発性、不揮発性、一時的、非一時的、またはこれらのタイプの組み合わせであってもよく、メモリデバイス223の一部またはすべては、ほんの数例を挙げると、ディスク、テープ、メモリスティック、カートリッジなど、携帯式であってもよい。また、メモリデバイス223は、ほんの一例を挙げると、分散型状態推定アプリケーション224を定義するプログラミング命令を格納することに加えて、またはその代わりに、入出力デバイス225から受信するおよび/または入出力デバイス225に送信する信号を表すデータなど、処理デバイス226の分散型状態推定アプリケーション224によって操作されるデータを格納してもよい。マイクログリッド制御システム222の上述の特徴のいずれかまたはすべては、本明細書に開示されている他の制御システムにも存在し得ることが理解されるはずである。
【0027】
マイクログリッド230は、マイクログリッド制御システム232および複数のフィールドデバイス231を含む。マイクログリッド制御システム232は、メモリデバイス233と、入出力デバイス235と、処理デバイス236とを含む。分散型状態推定アプリケーション234がメモリデバイス233に格納されている。
【0028】
マイクログリッド240は、マイクログリッド制御システム242および複数のフィールドデバイス241を含む。マイクログリッド制御システム242は、メモリデバイス243と、入出力デバイス245と、処理デバイス246とを含む。分散型状態推定アプリケーション244がメモリデバイス243に格納されている。
【0029】
マイクログリッド250は、マイクログリッド制御システム252および複数のフィールドデバイス251を含む。マイクログリッド制御システム252は、メモリデバイス253と、入出力デバイス255と、処理デバイス256とを含む。分散型状態推定アプリケーション254がメモリデバイス253に格納されている。
【0030】
中央制御システム210は、メモリデバイス201と、入出力デバイス205と、処理デバイス207とを含む。集中型状態推定アプリケーション203がメモリデバイス201に格納されている。システム200の上述の特徴のいずれかまたはすべては、本明細書に開示されている他のネストされたマイクログリッドシステムにも存在し得ることが理解されるはずである。
【0031】
図3を参照して、ネストされたマイクログリッドシステムにおいて偽データを検出して軽減するためのプロセスが示されている。プロセス300の以下の説明は、図1に示されるネストされたマイクログリッドシステム100を参照しながら行う。具体的には、プロセス300は、マイクログリッド制御システム114および中央制御システム150によって同時に実行される動作を含む。しかしながら、プロセス300は、図2を参照して上述したような、他の形態のネストされたマイクログリッドシステムと組み合わせて用いられてもよいことが理解されるはずである。たとえば、プロセス300の1つ以上の態様の省略、さらなる条件および動作の追加、ならびに/または動作および条件の再編成もしくは別個のプロセスへの分割など、プロセス300に対する多数の変形および修正が企図されていることがさらに理解されるはずである。
【0032】
プロセス300のマイクログリッド制御システム114の部分は開始動作301で始まり、動作303に進み、マイクログリッド制御システム114はマイクログリッド110のフィールドデバイスから測定値を受信する。ある実施形態では、システム114はまた、マイクログリッド制御システム134または124など、隣接するマイクログリッドのマイクログリッド制御システムから計算された接続情報を受信する。マイクログリッド制御システム134に関して、当該計算された接続情報は、ほんの数例を挙げると、接続線161のインピーダンス、POIバス131aの電圧、タイブレーカー162のスイッチステータス、または接続線161の電流を含んでもよい。ある実施形態では、接続線インピーダンスは、プロセス300の開始前にマイクログリッド制御システム114によって既知である。
【0033】
【数1】

【0034】
推定電圧は、大きさ、位相角、または両方を含み得ることが理解されるはずである。バス131aの電圧が推定されると、システム114は、当該推定値を、集約された測定値または中央制御システム150によって計算された推定値に基づき得る、中央制御システム150から受信したバス131aの電圧の推定値と比較する。マイクログリッド制御システム114によって計算された推定値と、中央制御システム150から受信したバス131aの電圧の推定値とが一致しない場合、一例を挙げると5%よりも大きく異なる場合は、マイクログリッド制御システム114はトポロジエラーがあると判断する。トポロジエラーは、センサエラー、通信ノイズ、またはサイバー攻撃による偽データによって生じ得る。偽データインジェクションは、フィールドデバイスにおいて、マイクログリッド110において、または中央制御システム150において起こり得る。たとえば、サイバー侵入者は、遮断器162が開放されたままであることを示すセンサ113aからの測定値であると装っている偽データをマイクログリッド制御システム114にインジェクトしながら、遮断器162を閉路する可能性がある。
【0035】
内部トポロジエラーを検出するために、マイクログリッド制御システム114は式(1)を用いて、バス111bおよび111cなどのマイクログリッド110のすべてのバスのバス電圧を推定し続ける。マイクログリッド制御システム114は、バスの推定値をバスの測定値と比較して、回路遮断器116または118のスイッチステータスにトポロジエラーがあるか否かを判断する。
【0036】
マイクログリッド制御システム114がトポロジを検出して更新するのに加えて、マイクログリッド制御システム114はまた、中央制御システム150からトポロジ情報を受信してトポロジエラーを修正する。システム114は、これに応答して、偽スイッチステータスを中央制御システム150から受信した正しいステータスに置き換える。
【0037】
プロセス300は動作307に進み、マイクログリッド制御システム114は可観測性分析を行って、状態推定を実行するのに擬似測定値を含む十分な測定値があるか否かを判断する。具体的には、可観測性分析は、マイクログリッド110のフィールドデバイスからの測定値の数および位置によって状態推定変数のセットを計算することができるか否かを確認することを含む。ローカル測定値を用いて追加の擬似測定値を計算することにより、将来の動作の精度を高めてもよい。ほんの数例を挙げると、トポロジ技術もしくは数値技術、擬似測定値判定問題、またはヤコビ行列のヌル空間を計算するためのガウス消去法など、任意のタイプの可観測性分析が行われ得る。
【0038】
状態推定を実行するのに十分な測定値があるとマイクログリッド制御システム114が判断すると、プロセス300は動作309に進み、マイクログリッド制御システム114はローカル状態推定を実行する。使用する測定値がタイムスタンプなどによって同期される場合は、線形状態推定が用いられる。そうでなければ、非線形状態推定が用いられる。状態推定は以下の式を用いて実行されてもよく、式中、zはすべてのバス測定値、電流測定値、および擬似測定値を含む測定ベクトルであり、Hはマイクログリッドトポロジを含む行列であり、xは推定されたバス電圧の大きさおよび角度を含む状態ベクトルであり、eは測定誤差ベクトルである。
【0039】
z=Hx+e (2)
プロセス300は動作311に進み、動作309からのローカル状態推定値と中央制御システム150によって実行されたグローバル状態推定値とを用いて、偽データとしても知られる測定誤差がマイクログリッド制御システム114によって検出される。トポロジエラーと同様に、測定誤差は、センサエラー、通信ネットワークエラー、またはサイバー侵入によって生じ得る。たとえば、測定誤差は、ほんの数例を挙げると、計器用変圧器エラー、通信ネットワーク障害もしくは予期せぬノイズ、または偽データインジェクション攻撃によって生じ得る。マイクログリッド制御システム114は、ローカル状態推定値とグローバル状態推定値とを比較して偽データを検出する。ローカル状態推定値とグローバル状態推定値とを比較する技術として、カイ二乗分布、正規化残差、または仮説検定識別が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
プロセス300は動作313に進み、検出された偽データが、動作305から309によって用いられるローカル測定値のセットから除去される。ある実施形態では、マイクログリッド制御システム114はまた、ほんの数例を挙げると、検出された偽データに応答して警告を送信し、偽データのソースと同じであると装っているソースからのものと装っている将来の測定値をブロックするか、またはソフトウェア定義ネットワーキング技術を用いて偽データのソースを分離してもよい。プロセス300は次いで動作305に戻り、偽データが除去された状態で動作305から309を実行する。プロセス300が動作311に戻ると、マイクログリッド制御システム114は、さらなる偽データが検出されない限り、更新されたローカル状態推定値を中央制御システム150に送信する。
【0041】
プロセス300の中央制御システム150の部分は開始動作321で始まり、動作323に進み、中央制御システム150は、マイクログリッド110、120、130、および140のフィールドデバイスからの測定値を含む、システム100のすべてのマイクログリッドから周期的にポーリングされたデータを受信する。フィールドデバイス測定値は、中央制御システム150に直接送信されてもよいし、マイクログリッド制御システムを介して送信されてもよい。中央制御システム150はまた、各マイクログリッドからローカル状態推定値を受信する。
【0042】
プロセス300は動作325に進み、中央制御システム150はシステムトポロジエラーを検出する。まず、中央制御システム150は式(1)を用いて、すべてのマイクログリッドのフィールドデバイスから周期的にポーリングされた測定値を入力変数としてシステムトポロジを計算する。次に、中央制御システム150は式(1)を用いて、ローカル状態推定値を入力変数としてシステムトポロジを計算する。計算した2つのシステムトポロジ同士を動作305と同様に比較して、トポロジエラーが存在しており修正が必要であるか否かを判断する。トポロジが更新されると、修正されたトポロジが各マイクログリッドに送信される。
【0043】
プロセス300は動作327に進み、中央制御システム150は可観測性分析を行って、動作323において受信した測定値および擬似測定値の数および位置が状態推定を実行するのに十分であるか否かを判断する。
【0044】
状態推定を実行するのに十分な測定値があると中央制御システム150が判断すると、プロセス300は動作329に進み、中央制御システム150は式(2)を用いて2セットの状態推定値を生成する。第1に、中央制御システム150は、各マイクログリッドから受信したすべてのローカル状態推定値を用いて、状態に基づくグローバル状態推定を実行する。第2に、中央制御システム150は、フィールドデバイスから受信した生測定値を用いて、測定値に基づくグローバル状態推定を実行する。
【0045】
プロセス300は動作331に進み、中央制御システム150は、状態に基づくグローバル状態推定値と測定値に基づくグローバル状態推定値とを比較することによって偽データを検出する。これら2つのグローバル状態推定値間の不一致は偽データを示す。グローバル状態推定値同士を比較する技術として、カイ二乗分布、正規化残差、または仮説検定識別が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
偽データが検出されると、プロセス300は動作333に進み、検出された偽データが、動作325から329によって用いられる測定値のセットから除去される。ある実施形態では、中央制御システム150はまた、ほんの数例を挙げると、検出された偽データに応答して警告を送信し、偽データのソースと同じであると装っているソースからのものと装っている将来の測定値をブロックするか、またはソフトウェア定義ネットワーキング技術を用いて偽データのソースを分離してもよい。プロセス300は次いで動作325に戻り、偽データが除去された状態で、更新されたグローバル状態推定値を用いて動作325から329を実行する。
【0047】
プロセス300が偽データを検出することなく動作331を再実行した後、プロセス300は動作335に進み、中央制御システム150は、更新されたグローバル状態推定値を分析のために他のアプリケーションに送信する。中央制御システム150は、生測定値を用いて計算されたグローバル状態推定値、ローカル状態推定値を用いて計算されたグローバル状態推定値、またはそれらの組み合わせ、のいずれかを送信してもよい。グローバル状態推定値は、ほんの数例を挙げると、市場シミュレーション、安定性分析、および需要応答のための他のアプリケーションによって用いられてもよい。プロセス300は、フィールドデバイスから新たな測定値を受信するたびに、またはフィールドデバイスのセットから新たな測定値のセットを受信するたびに繰り返されてもよい。プロセス300はまた、ある時間間隔の後に繰り返されてもよい。たとえば、プロセス300は、PMUを含まないマイクログリッドシステムについては10秒毎に繰り返されてもよいし、PMUを含むマイクログリッドシステムについては毎秒50回繰り返されてもよい。
【0048】
図4を参照して、多層状態推定を用いる、ネストされたマイクログリッドシステムにおける切り替えコマンドの多層予測分析のための例示的なプロセス400が示されている。プロセス400の以下の説明は、図1に示されるネストされたマイクログリッドシステム100を参照しながら行う。しかしながら、プロセス400は、他の形態のネストされたマイクログリッドシステムと組み合わせて用いられてもよいことが理解されるはずである。たとえば、プロセス400の1つ以上の態様の省略、さらなる条件および動作の追加、ならびに動作および条件の再編成もしくは別個のプロセスへの分割など、プロセス400に対する多数の変形および修正が企図されていることがさらに理解されるはずである。
【0049】
プロセス400は開始動作401で始まり、動作403に進み、マイクログリッド制御システム114は、回路遮断器118を閉路するなどのマイクログリッド110内の回路遮断器の操作を命じる切り替えコマンドを受信する。切り替えコマンドは、ほんの数例を挙げると、DMSまたはDERMSなどの中央制御システム150から受信されてもよい。
【0050】
プロセス400は動作405に進み、マイクログリッド制御システム114は、更新された測定値およびスイッチステータスを含むデータについてフィールドデバイスをポーリングする。プロセス400は動作407に進み、マイクログリッド制御システム114は、図3の動作305に関して説明したように、動作405において受信したポーリングデータを用いてシステムトポロジを更新する。プロセス400は動作409に進み、マイクログリッド制御システム114は、受信した切り替えコマンドに基づいて、動作407で更新されたシステムトポロジを変更する。たとえば、切り替えコマンドが回路遮断器118を閉路することを含む場合は、システムトポロジは回路遮断器118が閉路していることを示すように更新される。
【0051】
プロセス400は動作411に進み、マイクログリッド制御システム114および中央制御システム150は、図3の動作309および329に関して説明したように多層状態推定を実行する。マイクログリッド制御システム114は、ローカル状態推定を実行し、ローカル状態推定値を中央制御システム150から受信したグローバル状態推定値と比較する。
【0052】
プロセス400は条件413に進み、マイクログリッド制御システム114は、状態推定値の解を得ることができるか否か、すなわち状態推定値によって収束結果がもたらされたか否かを判断する。新たな切り替えコマンドのシミュレーション中に状態推定値が収束できない場合は、シミュレーションは、切り替えコマンドが実行されるとシステム100に電圧崩壊が起こり得ることを示す。したがって、解を得ることができない場合は、プロセス400は動作415に進む。動作415では、切り替えコマンドは実行されず、中央制御システム150もしくは変電所のオペレータに警告が出されるか、または切り替えコマンドのソースがソフトウェア定義ネットワーク技術を用いて識別されて分離される。プロセスは次いで終了動作421に進む。
【0053】
条件413を引き続き参照して、状態推定値が収束する場合は、プロセス400は条件417に進み、マイクログリッド制御システム114はシミュレーションが電圧制限違反を示すか否かを判断する。切り替えコマンドがシステム100のバスのうちの1本に過電圧状況を発生させることによって回路遮断器がトリップすることをシミュレーションが示す場合は、プロセス400は動作415に進む。切り替えコマンドがシステム100のバスのうちの1本に不足電圧状況を発生させることによってロードシェディングを引き起こすことをシミュレーションが示す場合は、プロセスは動作415に進む。マイクログリッド制御システム114が、シミュレートされた状態推定値を用いて切り替えコマンドによって生じる問題を検出できない場合は、プロセス400は動作423に進み、切り替えコマンドが実行される。プロセス400は次いで終了動作421に進む。
【0054】
さまざまな実施形態からのさまざまな態様、特徴、処理、および動作は、特に反対のことが明示的に示されていない限り、他の実施形態のいずれかにおいて用いられ得ることが企図されている。例示されている特定の動作は、コンピュータが非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体上でコンピュータプログラムプロダクトを実行することによって実装されてもよく、コンピュータプログラムプロダクトは、コンピュータに動作のうちの1つ以上を実行させる命令、またはコンピュータに1つ以上の動作の実行を命じるコマンドを他のデバイスに発行させる命令を含む。
【0055】
次に、多数の例示的な実施形態の書面による説明を提供する。一実施形態は、ネストされたマイクログリッドシステムにおいて偽データを除去するための方法であって、上記方法は、第1のマイクログリッドの第1のマイクログリッド制御システムにより、第1の複数のローカル測定値を用いて第1のローカル状態推定値を計算することと、第2のマイクログリッドの第2のマイクログリッド制御システムにより、第2の複数のローカル測定値を用いて第2のローカル状態推定値を計算することと、中央制御システムにより、上記第1の複数の測定値および上記第2の複数の測定値を用いる第1のグローバル状態推定値と、上記第1のローカル状態推定値および上記第2のローカル状態推定値を用いる第2のグローバル状態推定値とを含む、複数のグローバル状態推定値を計算することと、上記第1のマイクログリッド制御システムにより、上記第1のローカル状態推定値および上記複数のグローバル状態推定値のうちの1つのグローバル状態推定値を用いて第1の偽データ検出テストを実行することと、上記中央制御システムにより、上記第1のグローバル状態推定値および上記第2のグローバル状態推定値を用いて第2の偽データ検出テストを実行することと、上記第1の偽データ検出テストまたは上記第2の偽データ検出テストの実行に応答して、偽データを検出することと、上記偽データの検出に応答して、上記第1のグローバル状態推定値、上記第2のグローバル状態推定値、または上記第1のローカル状態推定値を更新することとを備える。
【0056】
上述の方法のいくつかの例では、上記第1のマイクログリッドは、上記第1のマイクログリッドの物理的または電気的特性に対応する上記第1の複数のローカル測定値を生成するように構成された第1の複数のフィールドデバイスを含み、上記第2のマイクログリッドは、上記第2のマイクログリッドの物理的または電気的特性に対応する上記第2の複数のローカル測定値を生成するように構成された第2の複数のフィールドデバイスを含む。いくつかの例では、上記第1の偽データ検出テストの実行に応答して偽データが検出され、上記偽データの検出に応答して更新することは、上記第1のマイクログリッド制御システムにより、上記第1のローカル状態推定値が偽データを含んでいると判断することと、上記第1のマイクログリッド制御システムにより、上記偽データを含まない上記ローカル状態推定値を再計算することと、再計算した上記ローカル状態推定値を上記中央制御システムに送信することとを含む。いくつかの例では、上記第2の偽データ検出テストの実行に応答して偽データが検出され、上記偽データの検出に応答して更新することは、上記中央制御システムにより、上記第1のローカル状態推定値が偽データを含んでいると判断することと、上記中央制御システムにより、上記偽データを含まない上記複数のグローバル状態推定値を再計算することと、再計算した1つのグローバル状態推定値を上記中央制御システムに送信することとを含む。いくつかの例では、上記方法は、上記第1のマイクログリッド制御システムにより、上記第1の複数の測定値を用いて第1のマイクログリッドトポロジを生成することと、上記中央マイクログリッド制御システムにより、上記第1の複数の測定値および上記第2の複数の測定値を用いてシステムトポロジを生成することと、上記第1のマイクログリッド制御システムにより、上記システムトポロジのエラーと上記第1のマイクログリッドトポロジとの比較に応答してトポロジエラーを検出することと、上記トポロジエラーの検出に応答して上記第1のマイクログリッドトポロジを更新することとを備える。いくつかの例では、上記方法は、上記第1のマイクログリッド制御システムにより、切り替えコマンドを受信することと、上記第1のマイクログリッド制御システムにより、シミュレートされたマイクログリッドトポロジを生成することとを備え、上記ローカル状態推定値を計算することは、上記シミュレートされたマイクログリッドトポロジを用いることを含み、偽データを検出することは、受信した上記切り替えコマンドが電圧崩壊または電圧制限違反を引き起こすと判断することを含む。いくつかの例では、上記方法は、上記偽データのソースを判定することと、偽データが将来の状態推定値に導入されないようにすることとを備える。いくつかの例では、偽データが将来の状態推定値に導入されないようにすることは、システム動作に警告を送信すること、または判定した上記偽データのソースから受信したデータをブロックすることを含む。いくつかの例では、上記偽データは、サイバー侵入者によってインジェクトされるデータを含み、判定した上記偽データのソースは、フィールドデバイス、上記第1のマイクログリッド制御システム、または上記中央制御システムである。いくつかの例では、第1の複数のフィールドデバイスおよび上記第1のマイクログリッド制御システムは、ソフトウェア定義ネットワーキング(SDN)コントローラを介して通信するように構成され、偽データが将来の状態推定値に導入されないようにすることは、判定した上記偽データのソースによる通信を無効にするのに有効なコマンドを上記SDNコントローラに送信することを含む。いくつかの例では、上記第1のマイクログリッドは回路遮断器を含み、偽データが将来の状態推定値に導入されないようにすることは、判定した上記偽データのソースによる通信を無効にする前に、上記SDNコントローラで上記回路遮断器をトグルすることを含む。いくつかの例では、上記第1の複数の測定値は、上記第1のマイクログリッドの第1の複数のバスについての電圧の大きさおよび位相角を含み、上記第2の複数の測定値は、上記第2のマイクログリッドの第2の複数のバスについての電圧の大きさおよび位相角を含む。
【0057】
別の例示的な実施形態は、第1のマイクログリッドを含むネストされたマイクログリッドシステムにおいて偽の切り替えコマンドを軽減するための方法であって、上記方法は、上記第1のマイクログリッドの第1のマイクログリッド制御システムにより、上記第1のマイクログリッドの制御可能スイッチをトグルするのに有効な切り替えコマンドを受信することと、上記第1のマイクログリッド制御システムにより、第1の複数の測定値を用いて、シミュレートされたマイクログリッドトポロジを生成することと、中央制御システムにより、第1の複数の測定値および第2のマイクログリッドからの第2の複数の測定値を用いて、シミュレートされたシステムトポロジを生成することと、第1のマイクログリッドの第1のマイクログリッド制御システムにより、上記シミュレートされたマイクログリッドトポロジを用いて第1のローカル状態推定値を計算することと、上記中央制御システムにより、シミュレートされたシステムトポロジを用いる第1のグローバル状態推定値と、上記第1のローカル状態推定値を用いる第2のグローバル状態推定値とを含む、複数のグローバル状態推定値を計算することと、上記第1のマイクログリッド制御システムにより、上記第1のローカル状態推定値と上記複数のグローバル状態推定値のうちの1つのグローバル状態推定値とを比較することによって第1の偽データ検出テストを実行することと、上記第2のマイクログリッド制御システムにより、上記第1のグローバル状態推定値と上記第2のグローバル状態推定値とを比較することによって第2の偽データ検出テストを実行することと、上記第1の偽データ検出テストまたは上記第2の偽データ検出テストの実行に応答して、上記切り替えコマンドが偽データを含んでいると判断することと、上記第1のマイクログリッド制御システムにより、受信した上記切り替えコマンドを無視することとを備える。いくつかの例では、上記第1のマイクログリッドは、上記第1のマイクログリッドの物理的または電気的特性に対応する上記第1の複数のローカル測定値を生成するように構成された第1の複数のフィールドデバイスを含み、上記第2のマイクログリッドは、上記第2のマイクログリッドの物理的または電気的特性に対応する上記第2の複数のローカル測定値を生成するように構成された第2の複数のフィールドデバイスを含む。いくつかの例では、上記切り替えコマンドが偽データを含んでいると判断することは、上記切り替えコマンドを実行すると上記第1のマイクログリッド上で電圧崩壊が起こると判断することを含む。いくつかの例では、上記切り替えコマンドが偽データを含んでいると判断することは、上記切り替えコマンドを実行すると上記第1のマイクログリッド上で過電圧状況または不足電圧状況が起こると判断することを含む。いくつかの例では、第1の複数のフィールドデバイス、上記第1のマイクログリッド制御システム、および上記中央制御システムは、ソフトウェア定義ネットワーキング(SDN)コントローラを介して通信するように構成され、受信した上記切り替えコマンドを無視することは、上記第1の複数のフィールドデバイスのうちの1つのフィールドデバイス、上記第1のマイクログリッド、または上記中央制御システムからの通信を無効にするのに有効なコマンドを上記SDNコントローラに送信することを含む。いくつかの例では、上記第1のマイクログリッドは回路遮断器を含み、偽データが将来の状態推定値に導入されないようにすることは、通信を無効にする前に、上記SDNコントローラで上記回路遮断器をトグルすることを含む。いくつかの例では、上記切り替えコマンドは上記中央制御システムから受信され、上記中央制御システムは、サイバー侵入者、故障したセンサ、または信号ノイズに起因する偽データを用いて上記切り替えコマンドを生成する。いくつかの例では、上記切り替えコマンドを無視することは、上記切り替えコマンドのソースをブロックすること、またはシステムオペレータに警告を出すことを含む。
【0058】
本開示の非限定的で例示的な実施形態、その作製および使用の態様および処理を明確に、簡潔に、かつ正確に説明するために、ならびにその実施、作製および使用を可能にするために、図面に示されている実施形態を含む特定の例示的な実施形態を参照し、特定の文言を用いてそれらを説明した。それでもなお、本開示の範囲はそれによって限定されないこと、ならびに本開示は本開示の利益を享受する当業者が想起するような例示的な実施形態のそのような変更、修正、およびさらなる応用例を含み保護することが理解されるはずである。
【0059】
本開示を図面および上述の説明において詳細に図示し説明したが、これらは、説明を目的としたものであって、その特徴を限定するものではないとみなされるべきであって、特定の例示的な実施形態のみを図示し説明したこと、ならびに本開示の思想内で生じるあらゆる変更および修正の保護が所望されていることが理解されるはずである。上記の説明において用いた「好ましい」、「好ましくは」、「優先される」または「より優先される」などの語句の使用は、その特徴がより望ましいことの記載であるが、これは必須ではなく、その特徴を有していない実施形態も、添付の特許請求の範囲によって規定されている本開示の範囲に含まれると考えられる。特許請求の範囲を読む際に、「1つ」、「1つの」、「少なくとも1つの」または「少なくとも一部の」などの語句は、請求項において特に反対のことが記述されていない限り、その請求項を唯一の項目に限定しないことが意図されている。「~の」なる語は、別の項目との関連または関係、さらに、使用されている文脈から明らかになる他の項目への所属または他の項目との関係も意味していると考えられる。「~に結合される」、「~と結合される」および類似の語句は、間接的な接続および結合を含むが、特に反対のことが明示的に示されていない限り、直接的な結合または接続も含む。ただし、これは必須ではない。「少なくとも一部の」および/または「一部の」なる表現が使用される場合、特に反対のことが記述されていない限り、項目はその一部および/または全体を含み得る。
図1
図2
図3
図4