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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】成形装置
(51)【国際特許分類】
   B30B 15/04 20060101AFI20221031BHJP
【FI】
B30B15/04 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021546088
(86)(22)【出願日】2019-09-17
(86)【国際出願番号】 JP2019036415
(87)【国際公開番号】W WO2021053729
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000208455
【氏名又は名称】大和製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】山本 正道
(72)【発明者】
【氏名】小柳 朋彦
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-111764(JP,A)
【文献】特開昭62-267100(JP,A)
【文献】実開平6-023700(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に延設され、矩形状の領域の四隅に配置される、第1側面及び第2側面を有する四つの支柱と、
前記矩形状の領域内に配置され、加圧装置により押圧される第1スライドと、
前記加圧装置及び前記第1スライドの少なくともいずれか一方により押圧される第2スライドと、
前記第1側面それぞれに設けられ、前記一方向に延設される第1レールと、
前記第2側面それぞれに設けられ、前記一方向に延設される第2レールと、
前記第1レールに沿って移動可能に前記第1レールそれぞれに設けられ、前記第1スライドに固定される第1ガイドと、
前記第2レールに沿って移動可能に前記第2レールそれぞれに設けられ、前記第2スライドに固定される第2ガイドと、
を備える成形装置。
【請求項2】
前記支柱は、前記第1側面と前記第2側面とが直交する形状に形成され、
前記四つの支柱は、隣り合う前記支柱の前記第1側面同士及び前記第2側面同士が対向する請求項1に記載の成形装置。
【請求項3】
前記第1側面同士の間隔は、前記第2側面同士の間隔よりも大きい請求項2に記載の成形装置。
【請求項4】
前記第1ガイド及び前記第2ガイドは、各前記第1レールまたは各前記第2レールに複数設けられる請求項1に記載の成形装置。
【請求項5】
前記第2スライドに固定される上金型と、
前記上金型に対向して配置される下金型と、をさらに備える請求項1に記載の成形装置。
【請求項6】
前記下金型は複数設けられ、
前記複数の下金型を前記上金型に対向する位置に順次移動する搬送装置をさらに備える請求項5に記載の成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料を成形する成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
成形装置として、上金型及び下金型により金属板を成形するプレス成形を行うものが知られている。日本国特開2008-132719号公報に開示されるように、成形装置は、例えば、上金型が固定されたスライドを、加圧装置により下金型に向かって一方向に押圧することで、材料を成形する。このような成形装置は、例えば、ボトル缶の缶体等の円筒状缶の成形に用いられる。
【0003】
また、成形装置において、円柱状のガイドポスト及び当該ガイドポストに沿って一方向に案内される円筒状のリニアブッシュを設けることで、スライドの移動を一方向に案内する技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特開2008-132719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、成形装置において、スライドの移動をガイドポスト及びリニアブッシュにより案内する構成では、ガイドポストとリニアブッシュとの間で摺動するときに生じる摩擦抵抗により、スライドの移動速度を向上することが困難であった。この点で、従来の成形装置には生産性の問題があった。
【0006】
また、ガイドポスト及びリニアブッシュは、プレス成形時に生じる荷重により変位を生じやすく、耐久性の問題があった。
【0007】
また、ガイドポスト及びリニアブッシュは一方向に長く重なることから、成形装置のメンテナンス時に、ガイドポスト及びリニアブッシュを分解する作業及び組み立てる作業が困難なものとなる虞があった。
【0008】
そこで、本発明は、生産性、耐久性及びメンテナンス性を向上できる成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、成形装置1は、一方向に延設され、矩形状の領域の四隅に配置される、第1側面及び第2側面を有する四つの支柱と、前記矩形状の領域内に配置され、加圧装置により押圧される第1スライドと、前記加圧装置及び前記第1スライドの少なくともいずれか一方により押圧される第2スライドと、前記第1側面それぞれに設けられ、前記一方向に延設される第1レールと、前記第2側面それぞれに設けられ、前記一方向に延設される第2レールと、前記第1レールに沿って移動可能に前記第1レールそれぞれに設けられ、前記第1スライドに固定される第1ガイドと、前記第2レールに沿って移動可能に前記第2レールそれぞれに設けられ、前記第2スライドに固定される第2ガイドと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、生産性、耐久性及びメンテナンス性を向上できる成形装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る成形装置の構成を示す平面図である。
図2図2は、同成形装置の構成を一部断面で示す側面図である。
図3図3は、同成形装置の構成を一部省略して示す平面図である。
図4図4は、同成形装置に用いられるレールガイドの構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る成形装置1の構成を、図1乃至図4を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る成形装置1の構成を示す平面図であり、図2は、成形装置1の構成を一部断面で示す側面図である。図3は、成形装置1の構成を一部省略して示す平面図である。図4は、レールガイド13の構成を示す平面図である。
【0013】
図1及び図2に示すように、成形装置1は、例えば、フレーム11と、スライド12と、レールガイド13と、加圧装置14と、補助加圧装置15と、上金型16と、下金型17と、搬送装置18と、制御装置19と、を備える。成形装置1は、上金型16及び下金型17により材料に圧力を印加し、材料を成形する装置である。成形装置1は、例えば、下金型17に対して重力方向に沿って上方に上金型16を配置し、材料に対して重力方向に圧力を印加可能に構成される。成形装置1は、例えば、ボトル缶の缶体を成形する一工程に使用される。
【0014】
フレーム11は、例えば、成形装置1を設置する設置面に設けられる第1基部21と、第1基部21に設けられる四つの支柱22と、加圧装置14が設置される第2基部と、を有する。なお、第2基部は、加圧装置14が設置可能な構成であればよく、その具体的な説明は省略する。
【0015】
第1基部21は、四つの支柱22が所定の配置で固定される。第1基部21は、例えば、四つの支柱22が固定される主面が矩形状に形成される。
【0016】
支柱22は、一方向に延設される。本実施形態では、支柱22は、重力方向に沿って一方向に延設される。四つの支柱22は、矩形状の領域の四隅に配置される。換言すると、四つの支柱22は、所謂四本柱の配置関係に配置され、隣り合う支柱22の外面同士を結んだ領域が矩形状に構成される。即ち、四つの支柱22それぞれは、他の二つの支柱22と直交する二方向で対向し、対向する二つの支柱22が所定の間隔を空けて配置される。例えば、四つの支柱22は、第1基部21の四隅に配置される。
【0017】
支柱22は、複数の側面を有し、そのうちの二つの側面が、一方向に延びる第1側面22aと、一方向に延び、第1側面22aに対して面方向に交差する第2側面22bと、を構成する。支柱22は、例えば、第1側面22aと第2側面22bとが直交する形状に形成される。具体例として、支柱22は、水平方向の断面が矩形状に形成され、四つの側面のうち隣り合う二つの側面がそれぞれ第1側面22a及び第2側面22bを構成する。
【0018】
各支柱22は、隣り合う二本の支柱22の第1側面22a同士及び第2側面22b同士を対向して配置される。ここで、各支柱22の第1側面22a同士が為す間隔は、各支柱22の第2側面22b同士が為す間隔よりも大きく配置される。
【0019】
スライド12は、例えば、一部に上金型16が固定される。スライド12は、加圧装置14により押圧され、レールガイド13に移動を案内されることで一方向に移動する。スライド12は、加圧装置14により押圧されることで、固定した上金型16を下金型17に向かって移動する。
【0020】
スライド12は、例えば、第1スライド31と、第2スライド32と、を有する。第1スライド31及び第2スライド32は、それぞれ異なる複数のレールガイド13の一部に連結される。このようなスライド12は、第1スライド31と第2スライド32とが互いに独立して移動可能に構成される。スライド12は、例えば、加圧装置14により押圧された第1スライド31により、第2スライド32を移動方向に沿って押圧可能に構成される。
【0021】
第1スライド31は、第2スライド32に重力方向に当接可能に構成される。第1スライド31は、加圧装置14により一方向に押圧されることで、第2スライド32に当接するとともに、当接した第2スライド32を一方向に押圧する。また、第1スライド31は、レールガイド13の一部に連結可能に構成される。第1スライド31は、四方に配置された四つの支柱22の内側に配置される。例えば、第1スライド31は、四つの支柱22が配置される矩形状の領域の内側に配置される。ここで、四つの支柱の内側とは、対向する第1側面22a及び第2側面22bの間の領域を含む。具体的には、第1スライド31は、四つの支柱22の対向する第1側面22a同士の間に位置するとともに、対向する第2側面22b同士の間よりも内側に位置する。
【0022】
具体例として、第1スライド31は、第2スライド32に当接可能に形成される天板部41と、天板部41に設けられる一対の側板部42と、一対の側板部それぞれに固定される複数の第1連結部材43と、を有する。また、第1スライド31は、第2スライド32がレールガイド13の一部に連結できるスペースを構成する。
【0023】
天板部41は、第2スライド32に上方から当接可能に形成される。天板部41は、例えば、加圧装置14により水平方向の主面が矩形の平板状に形成される。また、天板部41は、上面から下面に連通する複数の孔部41aを有する。複数の孔部41aは、加圧装置14の後述する連結部92が通過可能に形成される。
【0024】
一対の側板部42は、一方が天板部41の下面の一辺に沿って設けられ、他方が当該一辺に対向する他の一辺に設けられる。また、一対の側板部42は、支柱22の第2側面22b同士が対向する方向で主面同士が対向する。側板部42は、複数の第1連結部材43が固定される。
【0025】
第1連結部材43は、レールガイド13の一部に連結される。第1連結部材43は、側板部42の主面であって、支柱22の第1側面22aに近接した位置に設けられる。また、第1連結部材43は、一つのレールガイド13に対して、レールガイド13一つ当たりに設けられる後述するガイド62と同数が設けられる。本実施形態では、第1連結部材43は、一つのレールガイド13に対して二つ設けられる。
【0026】
第2スライド32は、第1スライド31の内側に配置され、加圧装置14または第1スライド31の少なくとも一方により押圧可能に構成される。第2スライド32は、第1スライド31の配置に対して、加圧装置14により押圧された第1スライド31に押圧される方向に配置される。例えば、第2スライド32は、第1スライド31に対して押圧方向で下方に配置される。また、第2スライド32は、レールガイド13の一部が固定可能に構成される。また、第2スライド32は、下部に上金型16が固定可能に構成される。
【0027】
具体例として、図1乃至図3に示すように、第2スライド32は、保持部51と、第2連結部材52と、を有する。
【0028】
保持部51は、上金型16を保持可能に構成される。保持部51は、第1スライド31の内側に配置される。具体的には、保持部51は、移動方向で天板部41の下方に位置するとともに、移動方向に直交する方向で一対の側板部42の内側に位置する。
【0029】
第2連結部材52は、レールガイド13の一部に連結される。第2連結部材52は、保持部51の外面であって、支柱22の第2側面22bに近接した位置に設けられる。また、第2連結部材52は、一つのレールガイド13に対して、レールガイド13一つ当たりに設けられる後述するガイド62と同数が設けられる。本実施形態では、第2連結部材52は、一つのレールガイド13に対して二つ設けられる。
【0030】
図1及び図2に示すように、レールガイド13は、レール61と、ガイド62と、を有する。レールガイド13は、レール61が一方向に延設されるとともに、ガイド62がレール61の延設方向に沿って移動可能に構成される。また、レールガイド13は、レール61の延設方向に直交する方向へのガイド62の移動が規制される。レールガイド13は、所謂リニアガイドであり、例えば、LMガイド(登録商標)である。レールガイド13は、第1連結部材43または第2連結部材52を介して連結された第1スライド31または第2スライド32の移動を案内する。
【0031】
レール61は、ガイド62の移動を一方向に案内可能に形成される。具体例として、図4に示すように、レール61は、一方向に延設され、延設方向に直交する方向でガイド62に当接する複数の当接面71を有する。また、レール61は、延設方向に沿って複数取り付けられるボルト等により、支柱22に固定される。
【0032】
複数の当接面71は、それぞれレール61の延設方向に直交し、且つ、互いに交差する二方向でガイド62の一部に当接する。複数の当接面71は、例えば、レール61の延設方向に直交する方向であって、支柱22の第1側面22a及び第2側面22bに対して傾斜する四つに設けられる。
【0033】
レール61は、各支柱22の第1側面22a及び第2側面22bそれぞれに設けられる。なお、説明の便宜上、第1側面22aに設けられるレール61を第1レール61aとし、第2側面22bに設けられるレール61を第2レール61bとして以下説明する。
【0034】
第1レール61aは、各支柱の第1側面22aに設けられる。第1レール61aは、支柱22の延設方向と同じ一方向に延設される。
【0035】
第2レール61bは、各支柱22の第2側面22bに設けられる。第2レール61bは、支柱22の延設方向と同じ一方向に延設される。即ち、第2レール61bは、第1レール61aと同じ方向に延設され、第1レール61aの延設方向に直交する方向に第1レール61aを90度回転した向きで配置される。
【0036】
ガイド62は、ガイド体81と、ガイド体81に組み込まれる複数の転動体82と、を有する。ガイド62は、各レール61にそれぞれ設けられ、レール61の延設方向に沿って移動可能、且つ、レール61の延設方向に直交する方向への移動が規制可能に構成される。
【0037】
ガイド体81は、レール61の各当接面71に各転動体82を当接可能に構成される。ガイド体81は、例えば、レール61に形成された一対の窪みを含むレール61の外形に沿う切り欠きが形成されたブロック状に形成される。また、ガイド体81は、第1連結部材43または第2連結部材52に連結される。
【0038】
転動体82は、ガイド体81に組み込まれ、レール61の表面に当接して設けられる。また、転動体82は、複数箇所に設けられ、ガイド体81がレール61から脱落することを防止可能に配置される。具体的には、図4に示すように、複数の転動体82は、レール61の各当接面71に当接可能に、延設方向に直交する二方向でそれぞれ対向して設けられる。転動体82は、例えば、ボールやころである。
【0039】
ガイド62は、第1レール61a及び第2レール61bそれぞれに設けられる。なお、説明の便宜上、第1レール61aに設けられるガイド62を第1ガイド62aとし、第2レール61bに設けられるガイド62を第2ガイド62bとして以下説明する。
【0040】
第1ガイド62aは、第1レール61aに沿って移動可能に各第1レール61aに設けられる。また、各第1ガイド62aは、第1連結部材43を介して第1スライド31に固定される。また、第1ガイド62aは、例えば、一つの第1レール61aに対して複数設けられる。本実施形態では、一つの第1レール61aに対して第1ガイド62aは二つ設けられ、一方が第1スライド31の上端部に、他方が第1スライド31の下端部に固定される。
【0041】
第2ガイド62bは、第2レール61bに沿って移動可能に各第2レール61bに設けられる。即ち、第2ガイド62bは、レール61の延設方向に直交する方向に、第1ガイド62aを90度回転した向きで配置される。また、各第2ガイド62bは、第2連結部材52を介して第2スライド32に固定される。また、第2ガイド62bは、例えば、一つの第2レール61bに対して複数設けられる。本実施形態では、一つの第2ガイド62bに対して二つ設けられ、一方が第2スライド32の上端部に、他方が第2スライド32の下端部に固定される。
【0042】
加圧装置14は、スライド12を移動方向に押圧可能に構成される。本実施形態では、加圧装置14は、スライド12を重力方向に押圧する。また、加圧装置14は、例えば、第1スライド31及び第2スライド32を、それぞれ別個に押圧可能に構成される。加圧装置14は、例えば、加圧部91と、連結部92と、を備える。加圧装置14は、例えば、所謂クランク機構のプレス機械である。
【0043】
加圧部91は、連結部92を一方向に加圧可能に構成される。具体例として、加圧部91は、動力源によりクランクシャフトを回転し、クランクを一方向に往復動させる。加圧部91は、クランクの往復動を連結部92に伝達する。
【0044】
連結部92は、例えば、スライド12の移動方向に沿って延設される矩形柱状に形成される。連結部92は、一端が加圧部91に連結され、他端がスライド12に固定される。連結部92は、例えば、第1スライド31の上面に一対に固定される。また、連結部92は、例えば、第1スライド31に設けられた二つの孔部41aを通過して、第2スライド32に一対に固定される。連結部92は、加圧部91により一方向に往復動することで、第1スライド31及び第2スライド32に対して一方向に圧力を伝達する。
【0045】
加圧装置14は、例えば、第1スライド31に固定される連結部92に動力を伝達するクランクと、第2スライド32に固定される連結部92に動力を伝達するクランクとで、互いの往復動に位相差を設けて構成される。このような加圧装置14は、第1スライド31及び第2スライド32の往復動に位相差を生じさせる。
【0046】
補助加圧装置15は、第1スライド31及び第2スライド32それぞれを、移動方向に押圧可能に構成される。本実施形態では、補助加圧装置15は、第1スライド31及び第2スライド32それぞれを、重力方向で上方に押圧可能に構成される。補助加圧装置15は、例えば、エアシリンダ及び当該エアシリンダに空気を供給する供給手段を有する。図1に示すように、補助加圧装置15は、第1スライド31及び第2スライド32それぞれに設けられる。ここで、補助加圧装置15は、第1スライド31または第2スライド32の中心軸に関して対称に複数設けられる。第1スライド31に設けられる複数の補助加圧装置15は、例えば、エアシリンダに供給される空気圧により、少なくとも第1スライド31の重量と同等の押圧力を第1スライド31に印加可能に構成される。第2スライド32に設けられる複数の補助加圧装置15は、例えば、エアシリンダに供給される空気圧により、少なくとも第2スライド32及び第2スライドに設けられる上金型16の重量と同等の押圧力を第2スライド32に印加可能に構成される。なお、補助加圧装置15により第1スライド31及び第2スライド32に印加される押圧力は、適宜設定される。
【0047】
上金型16及び下金型17は、一方向に圧力が印加されることで、互いの間に配置された材料を成形可能に構成される。上金型16及び下金型17は、例えば、円筒状の缶体を成形する絞り工程の一工程として使用可能に構成される。
【0048】
上金型16は、第2スライド32に固定される。下金型17は、上金型16に対向して配置される。下金型17は、例えば、搬送装置18に複数設けられる。
【0049】
搬送装置18は、複数の下金型17を上金型16に対向する位置に順次移動可能に構成される。図1及び図2に示すように、搬送装置18は、例えば、一方向に所定の間隔を空けて複数の下金型17が配置され、複数の下金型17を一方向に搬送する。ここで、所定の間隔とは、上金型16及び下金型17を加圧する際に、成形装置1の各構成が隣り合う他の下金型17に干渉しない間隔である。
【0050】
制御装置19は、加圧装置14、補助加圧装置15及び搬送装置18の動作を制御可能に構成される。具体的には、制御装置19は、例えば、加圧装置14の動力源を制御する。また、制御装置19は、例えば、補助加圧装置15の供給手段を制御する。また、制御装置19は、例えば、搬送装置18の送り量や、加圧装置14の動作に応じた搬送装置18の送りの時機を制御する。
【0051】
このような成形装置1は、以下の工程により材料を成形する動作の一例を説明する。
まず、制御装置19は、加圧装置14により、上金型16が下金型17から離間する位置に第1スライド31及び第2スライド32を待機させる。ここで、第1スライド31及び第2スライド32の待機位置は、例えば、それぞれ加圧装置14及びレールガイド13により移動が案内される範囲の最上位置である。制御装置19は、この状態で、搬送装置18により、第2スライド32の下部に固定されている上金型16に対向する位置に下金型17を搬送する。
【0052】
次に、制御装置19は、加圧装置14を駆動し、連結部92を介して第1スライド31及び第2スライド32をそれぞれ押圧する。押圧された第1スライド31及び第2スライド32は、それぞれレールガイド13により移動を案内され、支柱22の延設方向に沿った一方向に移動する。
【0053】
また、ここで、第1スライド31及び第2スライド32は、それぞれ異なる位相で往復動する。具体的に説明すると、加圧装置14による第1スライド31及び第2スライド32の押圧に際して、第2スライド32は、例えば、加圧装置14による往復動の位相差により、第1スライド31の押圧に先駆けて押圧される。これにより、第2スライド32は、上面から第1スライド31の天板部41が離間した状態で、下金型17に向かって上金型16を移動及び押圧する。
【0054】
続いて、第1スライド31が下方に移動することで、第1スライド31の天板部41が第2スライド32に当接する。この状態で第1スライド31がさらに押圧されることで、第2スライドは、加圧装置14による押圧に加え、第1スライド31の天板部41によりさらに押圧される。これにより、下金型17に向かう上金型16の押圧力が増大する。
【0055】
このように、成形装置1は、加圧装置14による第2スライド32の押圧に加えた第1スライド31による第2スライド32の押圧による押圧力を以って、上金型16及び下金型17により材料を成形する。
【0056】
次に、制御装置19は、下金型17に配置された材料の成形が完了すると、第1スライド31及び第2スライド32を上方に移動し、下金型17から上金型16を離間させる。ここで、制御装置19は、第1スライド31及び第2スライド32に設けられた補助加圧装置15の供給手段をそれぞれ制御して、エアシリンダに空気を供給する。補助加圧装置15は、エアシリンダに供給された空気圧により、第1スライド31及び第2スライド32それぞれに重力方向で上方への押圧力を印加し、第1スライド31及び第2スライド32の上方への移動を補助する。
【0057】
続いて、制御装置19は、搬送装置18により、隣に配置された他の下金型17を上金型16に対向する位置に搬送する。そして、制御装置19は、再び上述した手順により材料を成形する。
【0058】
このように構成された成形装置1によれば、第1スライド31及び第2スライド32がそれぞれレールガイド13により一方向の移動を案内される。ここで、レールガイド13は、ガイド62がレール61に対して、転がりによって移動を案内されることから、第1スライド31及び第2スライド32の移動時に生じる摩擦抵抗を小さいものとすることができる。したがって、成形装置1は、第1スライド31及び第2スライド32の移動時に生じる損失を小さいものとできることから、第1スライド31及び第2スライド32の移動速度を向上できる。これにより、成形装置1は、生産性を向上することができる。
【0059】
また、成形装置1は、各支柱22の異なる側面にそれぞれ支持されることから、各支柱22による第1スライド31及び第2スライド32の各支持位置の間隔を極力小さいものとすることができる。これにより、成形装置1は、成形時に生じる荷重による各構成の変位を低減でき、耐久性を向上することができる。また、成形装置1は、レール61及びガイド62の分解及び組立の作業が容易であることから、メンテナンス性を向上することができる。
【0060】
また、成形装置1は、各支柱22が、第1側面22aと第2側面22bとが直交する形状に形成され、隣り合う二本の支柱22と第1側面22a同士及び第2側面22b同士が対向して配置されている。これにより、成形装置1の各構成は、スライド12の移動方向対して直交して設けられることから、成形時に生じる荷重に対する剛性を向上することができる。また、支柱22の第1側面22a及び第2側面22bを基準とできることから、成形装置1の各構成の位置決めが容易となり、設置の作業性やメンテナンス性を向上することができる。
【0061】
また、成形装置1は、各支柱22の対向する第1側面22a同士が為す間隔が、対向する第2側面22b同士が為す間隔よりも大きく構成されている。即ち、第1スライド31を支柱22に支持する間隔と比較して、第2スライド32を支柱22で支持する間隔が小さく構成されている。これにより、第1スライド31と比較して成形時により大きな荷重を受ける、第2スライド32の剛性を向上することができる。
【0062】
また、成形装置1は、第1ガイド62a及び第2ガイド62bが、一つの第1レール61aまたは一つの第2レール61bに対してそれぞれ複数設けられている。これにより、成形時に生じる荷重を一つのレール61毎に複数のガイド62で受けられることから、各ガイド62並びに各ガイド62に連結される第1連結部材43及び第2連結部材52に生じる変位を低減できる。
【0063】
上述したように、本発明の一実施形態に係る成形装置1によれば、生産性、耐久性及びメンテナンス性を向上することができる。
【0064】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されない。例えば、支柱22は、レールガイド13のレール61が設置可能であれば、水平方向の断面の形状は適宜設定可能である。例えば、支柱22は、水平方向の断面が矩形以外の多角形状に形成されていてもよい。また、支柱22は、水平方向の断面が円状に形成されていてもよい。水平方向の断面が円状に形成される場合は、支柱22において、第1側面22aと第2側面22bとは同一面である。このとき、支柱22の側面において、一部が第1側面22aを構成し、円周方向に所定の角度位相した他の一部が第2側面22bを構成する。ただし、スライド12の剛性の向上、並びに、スライド12及びレールガイド13の位置決めや設置の容易さの観点から、支柱22は、水平方向の断面が矩形状に形成されることが好ましい。
【0065】
また、本実施形態では、支柱22にレール61を設け、スライド12にガイド62を設ける例を説明したが、これに限定されない。支柱22にガイド62を設け、スライド12にレール61を設ける構成であってもよい。ただし、メンテナンス時の作業の容易さを考慮すると、上記実施形態のように、支柱22にレール61が設けられ、スライド12にガイド62が設けられる構成が好ましい。
【0066】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。
【符号の説明】
【0067】
1…成形装置、11…フレーム、12…スライド、13…レールガイド、14…加圧装置、15…補助加圧装置、16…上金型、17…下金型、18…搬送装置、19…制御装置、21…第1基部、22…支柱、22a…第1側面、22b…第2側面、31…第1スライド、32…第2スライド、41…天板部、41a…孔部、42…側板部、43…第1連結部材、51…保持部、52…第2連結部材、61…レール、61a…第1レール、61b…第2レール、62…ガイド、62a…第1ガイド、62b…第2ガイド、71…当接面、81…ガイド体、82…転動体、91…加圧部、92…連結部。
図1
図2
図3
図4