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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】回転ノズルを備えたファン
(51)【国際特許分類】
   F04D 25/10 20060101AFI20221031BHJP
   F04D 23/00 20060101ALI20221031BHJP
   F04D 25/08 20060101ALI20221031BHJP
   F04D 29/70 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
F04D25/10 302K
F04D23/00 B
F04D25/08 302Z
F04D29/70 L
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021547954
(86)(22)【出願日】2019-10-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 GB2019052832
(87)【国際公開番号】W WO2020089579
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-04-28
(31)【優先権主張番号】1817849.1
(32)【優先日】2018-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】ピート スティーヴン エドゥアルド
(72)【発明者】
【氏名】スチュワート ニール アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】フライヤー ロバート ジェイムス
(72)【発明者】
【氏名】ジューク アダム ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ギブソン-ロビンソン ヴィクトリア アン ドロシー
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト ハリエット レベッカ
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー スティーブン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】デュヴァル トーマス グリア
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ ジャック デヴィッド
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206144830(CN,U)
【文献】特開2016-148341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 23/00
F04D 25/08
F04D 25/10
F04D 29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファン組立体であって、
ファン本体と、
前記ファン本体内に収容され、空気流を生成するように配置されたモータ駆動式インペラと、
前記ファン本体から前記空気流を受け入れるように配置された空気入口と、前記ファン組立体から前記空気流を放出するように配置された1又は2以上の空気出口とを有するノズル本体を含むノズルと、
前記ファン本体上に前記ノズルを着脱自在に保持するためのノズル保持機構と、
前記ファン本体に対して前記ノズル本体を回転させるための回転機構であって、駆動部材を駆動するように配置された回転モータと、回転軸の周りに回転するよう前記駆動部材によって駆動されるように配置された被駆動部材とを含む、回転機構と、
を備え、
前記ノズル本体が前記被駆動部材を含み、前記ファン本体が前記回転モータ及び前記駆動部材を含
前記ノズルが更に、前記ノズルが前記ファン本体上に取り付けられた時に前記ファン本体に接触するように配置されたベース部材を備え、
前記ノズル本体が、前記ベース部材に対して回転可能であり、
前記ノズル本体は、前記ベース部材を保持する一方で、前記ベース部材が前記ノズル本体に対して回転することを許容するように配置された複数のランナを備える、
ファン組立体。
【請求項2】
前記ノズル保持機構は、前記ノズルが前記ファン本体上に保持される第1構成と、前記ノズルが前記ファン本体から取り外すために解放される第2構成とを有する、請求項1に記載のファン組立体。
【請求項3】
前記ノズル保持機構は、前記第1構成と前記第2構成の間で前記ノズル及び前記ファン本体に対して移動可能な保持要素を含む、請求項に記載のファン組立体。
【請求項4】
前記保持要素がキャッチを含む、請求項3に記載のファン組立体。
【請求項5】
前記ファン本体は、前記ノズル保持機構のキャッチによって係合され、これにより前記ノズルを前記第1構成で前記ファン本体に保持するように配置された円形又は弧状のリップを備えている、請求項4に記載のファン組立体。
【請求項6】
記駆動部材がピニオンを含み、前記駆動部材が、少なくとも部分的に円形又は弧状のラックを含む、請求項1~5の何れか1項に記載のファン組立体。
【請求項7】
前記ピニオンは、直線状の歯と面取りされた上側部分を有する歯車を含む、請求項6に記載のファン組立体。
【請求項8】
前記ラックは、直線状の歯と面取りされた下側部分とを含む、請求項6又は7の何れか1項に記載のファン組立体。
【請求項9】
前記ノズル本体は、前記ノズル本体の回転範囲の端部を超えて前記ノズル本体が回転するのを阻止するように配置された少なくとも1つの止めを備えている、請求項1~8の何れか1項に記載のファン組立体。
【請求項10】
前記止め又は各止めは更に、前記ファン本体に対して前記ノズル本体の回転範囲外の向きにある場合に前記ノズルが前記ファン本体上に取り付けられるのを妨げるように配置される、請求項9に記載のファン組立体。
【請求項11】
前記ベース部材が、前記複数のランナの各々内に配置されて滑動するレールを備える、請求項に記載のファン組立体。
【請求項12】
前記ファン組立体が更に、前記ファン本体の少なくとも一部を覆って取り付けられたフィルタ組立体を備える、請求項1~11の何れか1項に記載のファン組立体。
【請求項13】
前記ノズルの前記ベース部材が更に、前記フィルタ組立体の上側表面に接触するように配置された上側フィルタシール要素を備える、請求項12に記載のファン組立体。
【請求項14】
前記上側フィルタシール要素は、前記ファン本体の表面に接触し、これにより前記ベース部材の下側表面と前記ファン本体との間のシールを形成するように配置される、請求項13に記載のファン組立体。
【請求項15】
前記ファン本体が、上側セクション及び下側セクションを備え、前記下側セクションは、前記フィルタ組立体が支持されているフィルタ座を提供する、請求項1214の何れか1項に記載のファン組立体。
【請求項16】
前記ファン本体の前記上側セクションは、前記フィルタ組立体が配置されるフィルタ区画を備える、請求項15に記載のファン組立体。
【請求項17】
前記フィルタ区画は、前記フィルタ組立体が前記フィルタ区画に挿入及び取り出すことができる開いた上端部を有する、請求項16に記載のファン組立体。
【請求項18】
ファン組立体のためのノズルであって、
前記ファン組立体の本体から空気流を受け入れるように配置された空気入口と、前記ノズルから前記空気流を放出するよう配置された1又は2以上の空気出口と、を有するノズル本体と、
前記ファン組立体の本体上に前記ノズルを着脱自在に保持するためのノズル保持機構と、
回転軸の周りで前記ノズル本体を回転させるよう駆動部材によって駆動されるように配置された被駆動部材と、
前記ノズルがファン本体上に取り付けられた時に前記ファン本体に接触するように配置されたベース部材と、
を備え、
前記ノズル本体が、前記ベース部材に対して回転可能であり、
前記ノズル本体は、前記ベース部材を保持する一方で、前記ベース部材が前記ノズル本体に対して回転することを許容するように配置された複数のランナを備える、
ノズル。
【請求項19】
前記ベース部材は更に、環状プレートを含み、好ましくは、前記レールは、前記環状プレートの上部に配置され、前記回転軸に対して半径方向に突出する、請求項11に記載のファン組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファン組立体、並びにそのようなファン組立体のためのノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の家庭用ファンは、一般的に、軸の周りに回転するように取り付けられた一組のブレード又は羽根と、一組のブレードを回転させて空気流を発生させるための駆動装置とを含む。空気流の移動及び循環は、「風冷」又は微風を作り出し、その結果として、対流及び蒸発を介して熱が放散されるので、ユーザは冷却効果を感じる。ブレードは一般に、ファンの使用中にユーザが回転しているブレードと接触するのを防ぎながら、空気流のハウジング内通過を可能にするケージ内に設置される。
【0003】
米国特許第2,488,467号は、ファン組立体から空気を投射するためにケージに入ったブレードを使用しないファンを記載する。その代わりに、ファン組立体は、モータ駆動式インペラを収容して空気流を引き込むベースと、ベースに連結され、各々がファンから空気流を放出するためにその前部に位置する環状出口を備えた一連の同心の環状ノズルとを備える。各ノズルはキャビティ軸の周りに延びて、ノズルが延びるキャビティを規定する。
【0004】
各ノズルは翼の形状であり、従って、ノズルの後部に位置する前縁部と、ノズルの前部に位置する後縁部と、前縁部と後縁部の間に延びる翼弦線とを有すると見なすことができる。米国特許第2,488,467号では、各ノズルの翼弦線は、ノズルのキャビティ軸と平行である。空気出口は翼弦線上に位置し、ノズルから離れて翼弦線に沿って延びる方向に空気流を放出するように構成される。
【0005】
ファン組立体から空気を投射するためにケージに入ったブレードを使用しない、別のファン組立体が、国際公開第2010/100451号に記載される。このファン組立体は、これもまた、モータ駆動式インペラを収容して一次空気流をベースに引き込むための円筒形ベースと、ベースに連結され、一次空気流がそれを通ってファンから放出される環状の口/出口を備えた単一の環状ノズルとを備える。ノズルは1つの開口部を定め、この開口部を介して、ファン組立体の局所環境内の空気が、前述の口から放出された一次空気流によって引き込まれ、一次空気流を増幅する。ノズルはコアンダ表面を含み、その表面にわたって、一次空気流を導くように口が配置される。コアンダ表面は、ファン組立体によって発生した空気流が、円柱形又は円錐台形のプロファイルを有する環状噴流の形態であるように、開口部の中心軸に関して対称的に延びる。
【0006】
ユーザは、空気流がノズルから放出される方向を、2つの方法の内の1つで変更することができる。ベースは振動機構を含み、この機構を作動させて、ファン組立体により発生した空気流が約180°の円弧の周りに掃引されるように、ノズル及びベースの一部をベースの中心を通る垂直軸の周りに振動させることができる。ベースはまた、ノズル及びベースの上側部品をベースの下側部品に対して最大で10°の角度で水平面に向けて傾斜させることを可能にする傾動機構を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第2,488,467号明細書
【文献】国際公開第2010/100451号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様によれば、ファン組立体が提供される。ファン組立体は、ファン本体と、ファン本体内に収容され、空気流を生成するように配置されたモータ駆動インペラと、ファン本体から空気流を受け入れるように配置された空気入口とファン組立体から空気流を放出するように配置された1又は2以上の空気出口とを有するノズル本体を含むノズルとを備える。ファン組立体は更に、ファン本体上にノズルを着脱自在に保持するためのノズル保持機構と、ファン本体に対してノズル本体を振動/回転させるための振動/回転機構とを含む。ノズル振動/回転機構は、駆動部材を駆動するように配置された振動/回転モータと、振動/回転軸の周りに回転するよう駆動部材によって駆動されるように配置された被駆動部材とを含み、ノズル本体は、被駆動部材を含み、ファン本体は、振動/回転モータ及び駆動部材を含む。
【0009】
本発明は、ファン組立体であって、ファン組立体から放出される空気流を方向転換するためにノズルがファン組立体の本体に対して回転及び/又は振動することができると同時に、例えばクリーニング又は交換用にノズルをファン組立体から取り外し及び取り除くことができるようになったファン組立体を提供する。対照的に、一部の従来のファン組立体は、ファン組立体の本体からノズルを取り外すことができるが、回転又は振動による空気の流れの何らかの方向転換には、ファン組立体の本体が、下側部分に対して回転可能な上部を有することが必要であり、これは通常、構造及び製造に対して制限及び複雑さをもたらす。
【0010】
好ましくは、ノズル保持機構は、ノズルがファン本体上に配置されたときにファン本体上に保持される(すなわち、ファン本体から分離されるのが防止される)第1の構成と、ノズルがファン本体からの取り外すために解放される第2の構成とを有する。好ましくは、ノズル保持機構は、第1の構成に向かって付勢される。ノズル保持機構は、ノズル保持機構を第1の構成に向けて付勢するための付勢/弾性部材を備えることができる。
【0011】
ノズル保持機構は、第1構成と第2構成との間でノズル及びファン本体に対して移動可能な保持要素を備えることができる。好ましくは、ノズル保持機構は、第1構成から第2構成への保持要素の移動をもたらすための手動で作動可能な部材を含む。手動で作動可能な部材及び保持要素は、枢動可能に取り付けられた単一の構成要素として形成することができ、手動で作動可能な部材が一端に設けられ、保持要素が他端に設けられて、手動で作動可能な部材に作用する圧力により、ファン本体からノズルを取り外すために保持要素が第2構成に移動するようにキャッチが枢動するようになる。保持要素及び手動で作動可能な部材は、ノズルに設けることができる。
【0012】
好ましくは、手動で作動可能な部材は、押下可能なボタンを含む。好ましくは、保持要素はキャッチを含む。好ましくは、ファン本体は、ノズル保持機構のキャッチによって係合され、これによりノズルがファン本体上に配置されたときに第1構成で本体上にノズルを保持するように配置された円形又は弧状のフランジ/リップを備えている。好ましくは、フランジ/リップは、回転/振動軸を少なくとも部分的に取り囲むように延びる。より好ましくは、フランジ/リップは、ファン本体に対するノズル本体の回転/振動の範囲全体の周りを延びる。
【0013】
好ましくは、被駆動部材は、ノズルがファン本体に配置されたときに駆動部材に設けられた歯と噛み合うように配置された被駆動部材の周辺部分に配置された1組の歯を備えている。好ましくは、駆動部材はピニオンを含み、被駆動部材は、少なくとも部分的に円形又は弧状のラック又はリングギアを含む。
【0014】
好ましくは、ピニオンは、直線状で回転軸に平行に整列された半径方向に突出する歯を有する平歯車又はストレートカット歯車を含む。好ましくは、ピニオンの上部(すなわち、ノズルがファン本体に取り付けられた時にノズルに向けて面するように配置されている)が面取りされる。歯車の上部の根元及び歯の両方が面取りすることができる。面取り部分の根元角度(θ)は約45度が望ましい。
【0015】
好ましくは、ラックは、ノズルがファン本体に配置されたときにピニオンに設けられた歯と噛み合うように配置された一組の歯を含む。ラックは、直線状で回転軸に平行に整列された複数の半径方向に突出した歯を有するスパーラック又はストレートカットラックを含むことができる。好ましくは、ラックの下側部分(すなわち、ノズルがファン本体に取り付けられた時にファン本体に向かって面するように配置された)が面取りされている。ラックの下側部分の根元と歯の両方が面取することができる。面取り部分の根元の角度は約45度とすることができる。
【0016】
ノズル本体は、ノズル本体の回転/振動の範囲の端部を超えてノズル本体が回転するのを阻止するように配置された少なくとも1つの止めを備えることができる。好ましくは、ノズル本体は、ノズル本体の回転/振動範囲の対向する第1及び第2の端部を超えてノズル本体が回転するのを防ぐように配置された2つの止めを備える。止め又は各止めは更に、ノズル本体が、ファン本体に対してノズル本体の回転/振動範囲外の向きにある場合に、ノズルがファン本体上に取り付けられるのを妨げるように配置することができる。ファン本体は、ノズル本体の振動範囲の端部に止め又は各止めによって接触され、これによって範囲の端部を超えて回転するのを防ぐように配置された隆起部分を備えることができる。好ましくは、ファン本体の隆起部分はまた、ファン本体に対してノズルの振動範囲外の向きにある間に、ノズル本体がファン本体に向かって移動するときに止め又は各止めによって接触するように配置される。
【0017】
ファン組立体は更に、ノズルがファン本体に取り付けられた時にファン本体に対するノズル本体の向きを検出するように配置されたノズル向き検出機構を備えることができる。ノズルの向き検出機構は、ノズル本体が現在、回転/振動範囲の2つの半分のうちのどちらであるかを検出するように構成することができる。好ましくは、向き検出機構は、ファン本体に設けられたフォトインタラプタと、ノズル本体が回転/振動の範囲の2つの半分のうちの1つにあるときに、フォトインタラプタによって検出されるように配置された少なくとも部分的に円形又は弧状のスクリーン/シールドと、を備える。好ましくは、スクリーン/シールドは、ノズル本体に依存し又はノズル本体から突出する。
【0018】
好ましくは、ノズルは更に、ノズルがファン本体に取り付けられた時にファン本体に接触するように配置されたベース部材を備え、ノズル本体は、ベース部材に対して回転可能である。ノズル本体は、ベース部材を保持する一方で、ベース部材がノズル本体に対して回転することを許容するように配置された複数のランナを備えることができる。好ましくは、ベース部材は、複数のランナの各々内で配置され滑動するフランジ/レールを備える。ベース部材は更に、環状プレートを含むことができる。次に、フランジ/レールは、環状プレート上に配置され、振動軸に対して半径方向に突出することができる。
【0019】
好ましくは、ファン組立体は更に、ファン本体の少なくとも一部を覆って取り付けられたフィルタ組立体を含む。好ましくは、ファン本体の少なくとも上側セクションは、円筒形であり、フィルタ組立体は、ファン本体の上側セクションの少なくとも一部を覆って同心円状に取り付けられている。好ましくは、フィルタ組立体は、ファン本体の上側セクションの全周を囲むように円筒形である。ノズルのベース部材は、フィルタ組立体の上面と接触し、これによってベース部材の下面とフィルタ組立体の上面との間にシールを形成するように配置された上側フィルタシール要素を備えることができる。好ましくは、上側フィルタシール要素は、ファン本体の表面に接触し、これによりベース部材の下面とファン本体との間にシールを形成するように配置される。
【0020】
好ましくは、ファン本体は、上側セクション及び下側セクションを含み、下側セクションは、フィルタ組立体が支持されるフィルタ座を提供する。次に、フィルタ組立体は、ファン本体の上側セクションの少なくとも一部を覆って取り付けることができる。好ましくは、フィルタ座は、ファン組立体に取り付けられた時にフィルタ組立体の下面に対してシールするように配置された下側フィルタシール要素を備えている。好ましくは、フィルタ座はファン本体内に設けられる。ファン本体の上側セクションは、フィルタ組立体を内部に配置できるフィルタ区画を提供することができる。好ましくは、フィルタ区画の上側セクションは、フィルタ組立体を区画に挿入及び取り出すことができる開いた上端部を有する。好ましくは、区画の開いた上端部は、ノズルがファン本体に取り付けられたときにノズルにより覆われている。
【0021】
ファン本体の下側セクションは、ファン組立体の様々な電子構成要素を収容することができる。好ましくは、ファン本体の下側セクションは、ファン本体の下側セクションの外面に形成されたアパーチャ又は窓を通して見えるディスプレイを収容する。好ましくは、ファン本体の下側セクションは、ファン組立体が置かれるベース(すなわち、下面)を提供する。フィルタ座の縁部には、フィルタ組立体をファン本体上で位置合わせする1又は2以上の先細/傾斜リブ/セグメントを設けることができる。好ましくは、これらのリブ/セグメントは、ファン本体の上側セクションの内壁の下端部から半径方向外側に突出している。
【0022】
ファン本体は更に、内壁と、内側円筒形壁から離間した外壁とを含み、これによりフィルタ組立体が定置/配置されるフィルタ区画を定めることができる。内壁と外壁の両方が円筒形であり、外壁は内壁を取り囲み且つ同心であり、これにより環状フィルタ区画を定める。フィルタ組立体は、円筒形で、内壁に同心円状に収まるように配置され、フィルタ座に支持される。内壁と外壁の両方には、空気が通過できる空気入口を設けることがでる。好ましくは、内壁は、モータ駆動のインペラが支持/配置される内部区画を定める。モータ駆動のインペラは、内側区画の上部内に配置されるインペラハウジング内に配置することができる。
【0023】
ファン組立体は、2以上のノズル保持機構を備えることができる。好ましくは、ファン組立体は、ファン組立体上で正反対に位置する一対のノズル保持機構を備える。
【0024】
第2の態様によれば、ファン組立体用のノズルが提供される。ノズルは、ファン組立体の本体から空気流を受け入れるように配置された空気入口と、ノズルから空気流を放出するように配置された1又は2以上の空気出口とを有するノズル本体を備える。ノズルは更に、ファン組立体の本体にノズルを着脱自在に保持するためのノズル保持機構と、回転軸の周りでノズル本体を回転させるよう駆動部材によって駆動されるように配置された被駆動部材と、を備える。被駆動部材は、ファン組立体の本体に設けられた駆動部材と係合するように配置される。
【0025】
好ましくは、ノズル保持機構は、ノズルがファン組立体の本体上に保持される第1構成と、ノズルがファン組立体の本体から取り外すために解放される第2構成とを有する。好ましくは、ノズル保持機構は、第1構成に向かって付勢されている。ノズル保持機構は、ノズル保持機構を第1構成に向けて付勢するための付勢/弾性部材を備えることができる。
【0026】
好ましくは、ノズル保持機構は、第1構成と第2構成との間でノズル本体に対して移動可能である保持要素を備える。好ましくは、ノズル保持機構は、第1構成から第2構成への保持要素の移動をもたらすための手動で作動可能な部材を備える。手動で作動可能な部材及び保持要素は、枢動可能に取り付けられた単一の構成要素として形成することができ、手動で作動可能な部材が一端に設けられ、保持要素が他端に設けられて、手動で作動可能な部材に作用する圧力により、ファン本体からノズルを取り外すために保持要素が第2構成に移動するようにキャッチが枢動するようになる。
【0027】
手動で作動可能な部材は、押下可能なボタンを含むことができる。保持要素はキャッチを備えることができる。
【0028】
好ましくは、被駆動部材は、少なくとも部分的に円形又は弧状のラック又はリングギアを含む。好ましくは、ラックは、ノズルがファン本体に配置された時にピニオンに設けられた歯と噛み合うように配置された歯のセットを含む。ラックは、直線状で回転軸に平行に整列した複数の半径方向に突出した歯を有するスパーラックを備えることができる。好ましくは、ラックの下側セクションの縁部(すなわち、ノズルをファン本体に取り付けた時にファン本体に向かって面するように配置された)が面取りされている。ラックの下側部分の根元及び歯の両方は、面取りすることができる。面取り部分の根元の角度は約45度とすることができる。
【0029】
ノズル本体は、ノズル本体の回転/振動の範囲の端部を超えてノズル本体が回転するのを阻止するように配置された少なくとも1つの止めを備えることができる。好ましくは、ノズル本体は、ノズル本体の回転/振動範囲の対向する第1及び第2の端部を超えてノズル本体が回転するのを防ぐように配置された2つの止めを備える。止め又は各止めは更に、ノズル本体が、ファン本体に対してノズル本体の回転/振動範囲外の向きにある場合に、ノズルがファン本体上に取り付けられるのを妨げるように配置することができる。
【0030】
好ましくは、ノズルは更に、ノズルがファン本体に取り付けられた時にファン本体に接触するように配置されたベース部材を備え、ノズル本体は、ベース部材に対して回転可能である。ノズル本体は、ベース部材を保持する一方で、ベース部材がノズル本体に対して回転することを許容するように配置された複数のランナを備えることができる。好ましくは、ベース部材は、複数のランナの各々内で配置され滑動するフランジ/レールを備える。ベース部材は更に、環状プレートを含むことができる。次に、フランジ/レールは、環状プレート上に配置され、振動軸に対して半径方向に突出することができる。
【0031】
ベース部材は更に、ノズルがファン組立体の本体に取り付けられている場合に、フィルタ組立体の上面に接触し、これによりベース部材の下面とフィルタ組立体の上面との間にシールを形成するように配置された上側フィルタシール要素を備えることができる。好ましくは、上側フィルタシール要素は、ファン組立体の本体の表面に接触し、これによりベース部材の下面とファン組立体の本体との間にシールを形成するように配置される。
【0032】
ノズルは、2以上のノズル保持機構を備えることができる。好ましくは、ノズルは、ファン組立体上で正反対に位置する一対のノズル保持機構を備える。
【0033】
更なる態様によれば、ファン組立体であって、ファン本体と、ファン本体内に収容され、空気流を生成するように配置されたモータ駆動インペラと、ファン本体から空気流を受け入れるように配置された空気入口とファン組立体から空気流を放出するように配置された1又は2以上の空気出口とを有するノズル本体を含むノズルと、ファン本体上にノズルを着脱自在に保持するためのノズル保持機構と、ファン本体に対してノズル本体を回転させるための回転機構と、を備えるファン組立体が提供される。ノズル回転機構は、駆動部材を駆動するように配置された回転モータと、駆動部材によって駆動されて回転軸の周りで回転するように配置された被駆動部材とを含み、ノズル本体は、被駆動部材を含み、ファン本体は回転モータと駆動部材とを含む。駆動部材はピニオンを含み、駆動部材は少なくとも部分的に円形又は弧状のラックを含む。ピニオンは、面取りされた上部を有する直線状歯車を備え、ラックは、面取りされた下側部分を有する直線状ラックを備える。
【0034】
更に別の態様によれば、ファン組立体であって、ファン本体と、ファン本体内に収容され、空気流を生成するように配置されたモータ駆動インペラと、ファン本体から空気流を受け入れるように配置された空気入口とファン組立体から空気流を放出するように配置された1又は2以上の空気出口とを有するノズル本体を含むノズルと、ファン本体上にノズルを着脱自在に保持するためのノズル保持機構と、ファン本体に対してノズル本体を回転させるための回転機構と、を備えたファン組立体が提供される。ノズル回転機構は、駆動部材を駆動するように配置された回転モータと、駆動部材によって駆動されて回転軸の周りで回転するように配置された被駆動部材とを備え、ノズル本体は、被駆動部材を含み、ファン本体は回転モータ及び駆動部材を含む。ノズル保持機構は、ノズルがファン本体に保持される第1構成と、ノズルがファン本体から取り外すための解放される第2構成とを有する。ノズル保持機構は、第1構成と第2構成との間でノズルと本体の両方に対して移動可能なノズルに設けられたキャッチを更に備え、ファン本体は、ノズル保持機構のキャッチによって係合され、これにより第1構成で本体上にノズルを保持するように配置された円形又は弧状のリップを備えている。
【0035】
更に別の態様によれば、ファン組立体であって、ファン本体と、ファン本体の少なくとも一部を覆って取り付けられたフィルタ組立体と、ファン本体内に収容され、空気流を生成するように配置されたモータ駆動インペラと、ファン本体からの空気流を受け入れるように配置された空気入口と、ファン組立体から空気流を放出するように配置された1又は2以上の空気出口とを有するノズル本体を含むノズルと、を備えたファン組立体が提供される。ファン組立体は更に、ファン本体にノズルを着脱自在に保持するためのノズル保持機構と、ファン本体に対してノズル本体を回転させるための回転機構とを備える。ノズルは更に、ノズルがファン本体に取り付けられた時にファン本体に接触するように配置されたベース部材を含み、ノズル本体は、ベース部材に対して回転可能である。ノズルのベース部材は更に、フィルタ組立体の上面に接触するように配置された上側フィルタシール要素を含む。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】ファン組立体の一実施形態の正面図である。
図2図1のファン組立体の側面図である。
図3図1のファン組立体の等角図である。
図4】本体からノズルを分離した状態の図1の、ファン組立体の等角図である。
図5図1のファン組立体を貫く断面側面図である。
図6】本体からノズルを分離した状態の、図1のファン組立体を貫く断面側面図である。
図7図1のファン組立体を貫く断面正面図である。
図8図1のファン組立体の本体に関する等角図である。
図9】振動機構を示す、図1のファン組立体を貫く拡大断面図である。
図10】本体からフィルタ組立体を取り外した状態の、図1のファン組立体の本体に関する等角図である。
図11】本明細書に記載するファン組立体と共に使用するのに適したフィルタ組立体を貫く断面側面図である。
図12図1のファン組立体のノズルに関する断面側面図である。
図13図1のファン組立体のノズルに関する断面正面図である。
図14図1のファン組立体のノズルに関する断面背面図である。
図15図1のファン組立体のノズル下端部に関する等角図である。
図16図12のノズルの弁部材に関する等角正面図である。
図17図12のノズルの弁部材に関する、端を前向きにした図である。
図18図12のノズルの弁部材に関する断面側面図である。
図19a】弁部材が第2の端部位置にあることを示す、図12のノズルの簡略化された垂直断面図である。
図19b】弁部材が第1の端部位置にあることを示す、図12のノズルの簡略化された垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
ここで、単一の空気流、例えば単一の空気供給源からの入力を受け入れ、ノズル又はノズルが取り付けられたファン組立体の何れかを傾動させることを必要とせずに、ノズルから放出される空気流の方向を変更できるように空気流を操作することのできるファン組立体用のノズルについて説明する。本明細書で使用する所の用語「ファン組立体」は、熱的快適性及び/又は環境制御又は雰囲気制御を目的に、空気流を発生させて送給するように構成されたファン組立体を指す。このようなファン組立体は、除湿空気流、加湿空気流、浄化空気流、濾過空気流、冷却空気流、及び加熱空気流の内の1又は2つ以上を発生させることができる。しかしながら、ファン組立体は、ヘアドライヤ又は他のヘアケア器具など、他の目的のために空気流を生成するのにも同様に適している。
【0038】
ノズルは、空気入口と、空気流を放出するための第1及び第2の空気出口であって、収束方向に方向付けられている第1及び第2の空気出口と、第1及び第2の空気出口を制御するための弁とを備える。弁は、第1の空気出口のサイズを調整すると同時に第2の空気出口のサイズを逆に調整するように移動可能な1又は2以上の弁部材を含む。1又は2以上の弁部材は、第1の空気出口が最大源に開いており第2の空気出口が最大限に閉塞されている第1の端部位置と、第1の空気出口が最大源に閉塞され第2の空気出口が最大限に開いている第2の端部位置との間の位置範囲にわたって移動可能である。弁は更に、1又は2以上の弁部材が第1の端部位置にあるときの第1の空気出口と第2の空気出口のサイズ差が、1又は2以上の弁部材が第2の端部位置にあるときの第1の空気出口と第2の空気出口のサイズ差よりも大きくなるように配置されている。
【0039】
本明細書で使用する用語「空気出口」は、空気流がノズルから流出するノズルの部分を指す。特に、本明細書に記載する実施形態では、各空気出口は、ノズルによって定められ、空気流がノズルから出て行く導管又はダクトを備える。従って、各空気出口を代わりに排出部と呼ぶことができる。これは、空気出口から上流側にあり、ノズルの空気入口と空気出口との間で空気流を流す役割を果たすノズルの他の部分とは対照的である。
【0040】
第2の空気出口のサイズに対して第1の空気出口のサイズ(すなわち、アパーチャ面積)を変化させることによって、第1及び第2の空気出口のそれぞれを通って放出される空気流の割合も変化し、それにより、ノズルが発生させる空気流のプロファイルの変化をもたらす。特に、第1及び第2の空気出口が収束方向に方向付けられるので、第1及び第2の空気流は衝突して、ノズルから離れるように導かれる単一の複合空気流を形成する。複合空気流がノズルから投射される角度又はベクトルは、第1及び第2の空気流の相対的な強さに強く依存する。従って、1又は2以上の弁部材を動かして第2の空気出口に対して第1の空気出口のサイズを調整することを通じて、それらの個々の強さを変化させることにより、複合空気流の方向を変えることが可能である。集合的空気出口の全体的なサイズが一定のままなので、この配置は、本システムが定負荷を受けることを意味する。これは、ノズルから放出される空気流を制御して前後に誘導できる場合に、ノズルに空気流を供給する圧縮機又は他の手段の動作点も一定のままであることを意味する。更に、これによってシステム全体の圧力を下げることができ、本システムをエネルギ効率のより良い、より静かなものにする。
【0041】
ノズルは、空気出口に隣接する外部案内面を備えることが好ましい。この外部案内面は、ファン組立体の外面を備え、平坦である又は少なくとも部分的に凸状であるとすることができる。その場合、第1及び第2の空気出口は各々、外部案内面の少なくとも一部分の上方で放出される空気流を導くように方向付けることができる。好ましくは、第1及び第2の空気出口は、空気出口に隣接するこの外部案内面の一部分と略平行な方向に空気流を放出するように方向付けられる。その場合、外部案内面は、空気流が第1及び第2の空気出口から放出される方向から離れる方向へ、逸れる又は向きを変えるように形づくられて、これらの空気流が外部案内面からの干渉を受けることなく収束点で/又はその周辺で衝突できるようになっていることが好ましい。外部案内面を横切って空気流を放出することにより、最初にノズルを出る際の空気流の乱れを最小限に抑え、それに続く空気流の外部案内面からの離脱により、外部案内面、放出された空気流、及び収束点の間に剥離泡を形成することが可能となる。剥離泡の形成は、2つの対向する空気流が衝突する時に形成される合成噴流又は複合空気流を安定させる上で助けとなることができる。
【0042】
図1、2及び3は、ファン組立体1000の一実施形態の外観図である。図1はファン組立体1000の正面図を示し、図2はファン組立体1000の側面図を示し、図3はファン組立体1000の等角図である。ファン組立体1000は、ファン組立体を通る空気流を生成するように構成されたモータ駆動式インペラを収納する本体又はスタンド1100と、本体1100の上に着脱自在に取り付けられ、それゆえ本体1100から取り外し可能であって、ファン組立体1000から空気流を放出するように構成されたノズル1200と、を備える。従って、図4は、本体1100からノズル1200を分離した状態の、ファン組立体1000の等角図を示している。
【0043】
図5が、ファン組立体1000を貫く断面側面図を示すのに対し、図6は、本体1100からノズル1200を分離した状態のファン組立体1000を貫く断面側面図を示し、図7は、ファン組立体1000を貫く断面正面図を示す。次に図8は、ファン組立体1000の本体の等角図である。図示の実施形態では、本体1100は、側壁と、閉じた下端部と、開いた上端部とを有する円筒形外側ハウジング/ケーシング1101を備え、閉じた下端部は、それによって、ファン組立体1000がその上に載る/支持されるベース1102(すなわち、下面)を提供し、本体1100の空気入口1103は、外側ケーシング1101の側壁に設けられる。図示の実施形態では、ファン組立体1000の本体1100内への空気入口1103は、外側ケーシング1101の側壁に形成されたアパーチャの配列を備えるが、空気入口1103は代わりに、側壁に形成された窓内に取り付けられた1又は2つ以上のグリル又はメッシュを備えることもできる。
【0044】
次に、ケーシング1101の内部は、ケーシング1101の下端部において、ケーシング1101内に配置された架台1104により下側セクションと上側セクションとに分離される。具体的には、架台1104は、ケーシング1101内部の断面積全体にわたって延びる略円形の表面/床と、その表面から下方に垂れ下がり/突出し、表面をケーシング1101の下端部から分離する略円筒形の側壁とを備える。それにより、架台1104の持ち上げられた表面は、外側ケーシング1101の内部を上側セクション及び下側セクションに分割し、下側セクションは、ケーシング1101内部の内、表面の下にある部分を含み、上側セクションは、表面の上にある部分を含む。
【0045】
下側セクションは、ファン組立体1000の様々な電子部品がその中に収容される区画1105を提供し、架台は、電子部品の上方に位置してそれらをファン組立体の残りの部分から分離するカバーを形成する。例えば、これらの電子部品は、典型的には、制御回路1106、電源接続部、並びに赤外線センサ、ダストセンサなどの1又は2以上のセンサを含む。更に、本体の下側セクションはまた、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの1又は2以上の無線通信モジュール、並びに何れかの関連電子機器を収容することもできる。下側セクションは更に、下側セクションに設けられた開口部又は少なくとも部分的に透明な窓を通して視認可能な電子ディスプレイ1107を備えることができる。図示の実施形態では、電子ディスプレイ1107は、下側セクション内に取り付けられて、架台1104の側壁に設けられた対応する開口部と、外側ケーシング1101の側壁に設けられた透明な窓との両方と整列するLCDディスプレイによって提供される。
【0046】
次に上側セクションは、空気流の生成に関与するファン組立体100の様々な構成部品がその中に収容される別個の区画1108を提供し、架台1104は、これらの構成部品をその上に支持することのできるベースを提供する。図示の実施形態では、外側ケーシング1101の側壁の内面から間隔を空けて配置された内壁1109が、上側セクション内に設けられる。それによって内壁1109は、上側セクションを、モータ駆動式インペラ1110が収容される内側区画と、フィルタ組立体1111を配置できる外側区画とに分離する。具体的には、内壁1109は、外側ケーシング1101の下端部に設けられた架台1104の上面に支持される開口した円筒を備え、それによって、モータ駆動式インペラ1110が取り付けられる略円筒形の内側区画を定める。内壁1109はまた、円筒形外側ケーシング1101よりも直径が小さく、外側ケーシング1101内に同心円状に配置されるので、外側ケーシング1101と内壁1109との間に定められる外側区画は環状であり、内側区画の外周を取り囲む。図6は、ファン組立体1000を貫く断面側面図を示し、ここでは、ファン本体1100の外側ケーシング1101と内壁1109との間に定められる外側区画を明確に示すために、フィルタ組立体1111がファン本体1100から取り外されている。
【0047】
内壁1109の下側部分にはアパーチャ配列1112が設けられ、それにより、空気は内側区画に流入することができ、ひいては内側区画内への空気入口が提供される。次に、出っ張り/棚1113が、アパーチャ配列1112の上方で内壁1109から半径方向内方に延びており、次いでモータ駆動式インペラ1110が、内側区画の上側部分内で棚1113によって支持される。図示の実施形態では、内側区画は、インペラ1110の周りに延びるインペラハウジング1114を収納し、インペラハウジング1114は、その空気入口1115を定める第1の端部と、第1の端部の反対側に位置し、インペラハウジング1114の空気出口1116を定める第2の端部とを有する。インペラハウジング1114は、インペラハウジング1114の長手方向軸がファン組立体100の本体1100の長手方向軸(X)と同一直線上にあるように、また、インペラハウジング1114の空気入口1115が空気出口1116の下方に位置するように、内側区画/外側ケーシング1101内で整列している。インペラハウジング1114は、略円錐台形の下壁1114aと、略円錐台形の上壁1114bとを備える。 次に、略環状の入口部材1117が、インペラハウジング1114内へ入ってくる空気流を案内するために、インペラハウジング1114の下壁1114bの底部に連結される。従って、インペラハウジング1114の空気入口1115は、インペラハウジング1114の開いた下端部に設けられた環状入口部材1117によって定められる。
【0048】
図示の実施形態では、インペラ1110は、混流形インペラの形態であり、略円錐形のハブと、ハブに連結された複数のインペラブレードと、ハブ及びブレードを取り囲むようにブレードに連結された略円錐台形のシュラウドと、を備える。インペラ1110は、インペラハウジング1114内に配置されたモータハウジング1120内に収容されたモータ1119から外方に延びる回転シャフト1118に連結される。図示の実施形態では、モータ1119は、使用者が与える制御入力に応じて制御回路1106により変更可能な速度を有するDCブラシレスモータである。
【0049】
モータハウジング1120は、モータ1119を支持する略円錐台形の下側部分1120aと、下側部分1120aに連結される略円錐台形の上側部分1120bとを備える。シャフト1118は、モータハウジング1120の下側部分1120aに形成されたアパーチャから突き出て、インペラ1110をシャフト1118に連結できるようになっている。モータハウジング1120の上側部分1120bは更に、モータハウジング1120の上側部分1120bの外面から突出する湾曲したブレード形態の環状ディフューザ1120cを備える。インペラハウジング1114の壁は、モータハウジング1120を取り囲み、モータハウジング1120から離間しているので、インペラハウジング1114とモータハウジング1120はその間に、インペラハウジング1114を通って延びる環状の空気流路を定める。次に、モータ駆動式インペラ1110によって生成された空気流がそれを通って排出されるインペラハウジング1114の空気出口1116は、モータハウジング1120の上側部分1120bとインペラハウジング1114の上壁1114bとによって定められる。
【0050】
次に、インペラハウジング1114上方の内側区画の上端部内には、ノズル座/マウント架台1121が配置される。ノズル座1121は、円形の断面を有し、上側部分1121bに連結された下側部分1121aを備え、下側部分1121aがインペラハウジング1114の上壁1114bの周りに嵌まっている。ノズル座1121の中央は、以下でより詳細に説明する滑り軸受/ジャーナル軸受組立体の一部を形成する軸受1122を備える。図示の実施形態では、軸受1122は、自己潤滑性ブッシュ軸受又はスリーブ軸受1122bを収容する中空シリンダ1122aを備える。例えば、このような自己潤滑性ブッシュは、潤滑剤を含浸させた少なくとも部分的に多孔質の管状部材を備えることができ、好ましくは12~20%の潤滑剤含有量を有する。ブッシュ1122bの上側開口端部では、内縁部を面取りして、ブッシュ1122bの中空内部に向かって半径方向内方に傾斜する表面を提供する。
【0051】
次に、ノズル座1121は、中央軸受1122を取り囲む環状通気口/開口部1123を更に備え、それは、インペラハウジング1114から排出された空気流がノズル座1121の環状通気口1123を通ってファン組立体1000の本体1100から出て行くように、インペラハウジング1114の空気出口1116と整列する。具体的には、ノズル座1121の環状通気口1123は、中央軸受1122の外面から突出して、中央軸受1122をノズル座1121の外側環状部分に連結させる複数の湾曲ブレード1124によって定められる。ノズル座1121の湾曲ブレード1124は、インペラハウジング1114の空気出口1116に設けられた環状ディフューザ1120cの湾曲ブレードと整列することが好ましい。
【0052】
次に、ノズル座1121は、環状通気口1123の外周に配置された本体出口シール部材1125を更に備え、この部材は、本体1100の空気出口1123とノズル1200の空気入口との境界面における空気の漏れを防止するために、ノズル1200がファン組立体1000の本体1100に取り付けられた時にノズル1200の底部に接触してシールを形成する。図示の実施形態では、出口シール部材1125は環状であって、ノズル座1121に設けられた対応する溝又はスロット内に保持され、ゴムなどの弾性材料から形成されるのが好都合である。次に、ノズル座1121は、出口シール部材1125の外周に配置された環状ノズル整列面1126を更に備え、この面は、出口シール部材1125に向かって下方に傾斜しており、従って、ノズル1200の空気入口を案内して本体1100の空気出口1123と整列させるのを補助するように配置される。
【0053】
次に、ノズル座1121は、環状通気口1123の大部分を取り囲む円弧状凹部1127を更に備え、この円弧状凹部は、ノズル整列面1126の外周の外側周りに、従って環状通気口1123及び出口シール部材1126に対して半径方向外方に配置される。弧状凹部1127の外壁には、弧状凹部を部分的に張り出すように半径方向内方に突出する出っ張り/リップ1128が設けられる。
【0054】
ノズル座1121は、ファン本体1100に対してノズル1200の少なくとも一部を振動させるために回転/振動機構の駆動部を更に備え、駆動部は、回転/振動モータ1129と、回転/振動モータ1129によって駆動されるように配置された駆動部材1130とを備える。図示の実施形態では、回転/振動モータ1129は、弧状凹部1127の2つの端部間に位置するノズル座1121の隆起部分の中/下に配置され、回転/振動モータ1129のシャフトは、ノズル座1121の隆起部分のアパーチャから突き出ている。次に、駆動部材は、ノズル座1121の隆起部分の上方で、シャフトの突出部分に取り付けられたピニオン1130によって提供される。従って、ピニオン1130は、ノズル座1121の最上面よりも上方に位置する。
【0055】
図9は、回転/振動機構を表示する、ファン組立体1000を貫く拡大断面図を示す。この実施形態では、ピニオン1130は、直線状で回転軸と平行に整列した半径方向に突出する歯を有する平歯車を備えるが、その歯車の上側部分は面取りされている。具体的には、歯車の上側部分の根元と歯の両方が面取りされており、面取りされた部分の根元の角度(θ)は約45度であることが好ましい。言い換えれば、ピニオン1130は、円柱形の下側部分と円錐形/円錐台形の上側部分とを有する直線状歯車を備え、上側部分が直歯傘歯車の形態を有するようになっている。
【0056】
加えて、ノズル座1121は、本体1100に取り付けられた時にノズル1200の向きを検出するための機構の一部として、フォトインタラプタ1131を更に備える。この点について、フォトインタラプタとは、発光素子と受光素子を備え、それらの間に定められる間隙を挟んで向かい合うように整列させたフォトセンサである。次に、フォトインタラプタは、対象物が両素子の間に来た時を検出することで動作し、発光素子からの光が受光素子に到達するのを阻止する。一般的に、発光素子として通常は赤外線放射体が使用されるのに対し、受光素子としては赤外線検出器が用いられる。図示の実施形態では、フォトインタラプタ1131は、発光素子と受光素子の間の間隙が弧状凹部1127と整列し、弧状凹部1127の略中間点において間隙の一方の側に発光素子が、他方の側に受光素子が位置するように配置される。
【0057】
上述したように、本体1100の上側セクションの外側区画は、フィルタ組立体1111が本体1100の空気入口1103の下流にあり、且つモータ駆動式インペラ1110の上流にあるようにフィルタ組立体1111をその中に配置することのできる空間を提供する。結果として、インペラ1110によって本体1100の内部に引き込まれた空気は、インペラ1110を通過する前に濾過される。これは、ファン組立体1000に損傷をもたらす恐れのある粒子を除去するのに役立ち、また、ノズル1200から放出される空気に微粒子のないことを保証する。加えて、フィルタ組立体1100は、ノズルから放出される空気が浄化されるように、潜在的に健康被害となる可能性のある様々な化学物質を空気流から除去する役割を果たす少なくとも1つの化学的濾過媒体を更に備えることが好ましい。
【0058】
図10は、本体1100からフィルタ組立体111を取り外した状態の、ファン組立体1000の本体1100に関する等角図を示す。図示の実施形態では、内壁1109によって定められた環状外側区画は、内側区画の外周を取り囲み、フィルタ組立体1111を外側区画に挿入し、並びに外側区画から取り外すことができるようにする開いた上端部を有する。従って、フィルタ組立体1111は、環状外側区画内で内壁1109の上へ同心円状に嵌まるように配置された中空円筒の形状を有し、フィルタ組立体1111が内壁1109の外周全体を取り囲むようになっている。具体的には、フィルタ組立体1111は、中空円筒形状に形成された1又は2以上の濾過媒体1132、1133を備え、その場合、1又は2以上の濾過媒体の2つの対向端部は各々、フィルタエンドキャップ1135、1136によって覆われる。
【0059】
図11は、本明細書に記載するファン組立体1000と共に使用するのに適したフィルタ組立体1111を貫く断面側面図を示す。図示の実施形態では、フィルタ組立体1111は、化学的濾過媒体層1132と、化学的濾過媒体層1132の外面を覆って配置され、それゆえ化学的濾過媒体層1132の上流にある微粒子濾過媒体層1133と、微粒子濾過媒体層1133の外面を覆って配置され、それゆえ微粒子フィルタ媒体層1133の上流にある外側メッシュ層1134と、を備える。次に、第1のエンドキャップ1135が、微粒子濾過媒体層1133、化学的濾過媒体層1132及び外側メッシュ層1134のそれぞれの第1の端部を覆って配置されるのに対し、第2のエンドキャップ1136が、微粒子濾過媒体層1133、化学的濾過媒体層1132及び外側メッシュ層1134のそれぞれの第2の端部を覆って配置される。例えば、微粒子濾過媒体1133は、襞状のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はグラスマイクロファイバ不織布を備えることができるのに対し、化学的濾過媒体1132は、カーボンクロスなどの活性炭濾過媒体を備えることができる。次に、フィルタエンドキャップ1135、1136は、プラスチック材料から成型され、接着剤を使用して濾過媒体の端部に取り付けられる/接着することができる。好ましい実施形態では、フィルタエンドキャップ1136の内の1つは、1又は2以上のタブを更に備え、そのタブは、フィルタエンドキャップ1136から長手方向に離れて突出し、従って、ユーザが掴んで、フィルタ組立体1111を環状外側区画から持ち上げるのを助けることができる。
【0060】
次に、架台1104の表面の内、上側セクションの内壁1109を超えて外側ケーシング1101の内面まで延びる部分は、フィルタ組立体1118を支持することのできるフィルタ座1138を提供する。次に、内壁1109の下端部の外周には下側フィルタ座要素1139が設けられ、内壁1109のこの下端部は、架台1104の上面に形成された凹部の中に受け入れられる。従って、下側フィルタシール要素1139は、フィルタ組立体1111がフィルタ座1138の上に支持される時に、フィルタ組立体1111の底部エンドキャップ1135に接触してシールを形成して、フィルタ組立体1111の底部周りの空気漏れを防止する。図示の実施形態では、下側フィルタシール要素1139は環状であり、ゴム材料から形成されるのが好都合である。次に、上側セクションの内壁1109にはまた、下側フィルタシール要素1139の上方で、内壁1109の下端部から半径方向外方に突出する複数のリブ/セグメント1140が設けられ、これらの突出セグメント1140の各々は、フィルタ組立体1111を内壁1109の周りに同心円状に整列させるのを助けるために先細になる/傾斜する外面を有する。
【0061】
フィルタ組立体1111が本体1100の外側区画内に配置されると、インペラ1110によって本体1100内に引き込まれた空気は、フィルタ組立体1111を通過するより前に、まず、外側ケーシング1101の側壁にあるアパーチャによって提供される本体1100の空気入口1103を通過する。この濾過された空気は次に、内壁1109の下側部分に設けられたアパーチャによって提供される内側区画の空気入口1112を通ってから、インペラハウジング1114の底部に設けられた空気入口1115を通ってインペラハウジング1114の環状空気流路に入る。次にこの空気は、インペラハウジング1114の頂部に設けられた空気出口1116を通ってインペラハウジング1114から出た後に、ノズル座1121によって設けられた通気口1123を介してファン組立体1000の本体1100から排出される。
【0062】
上述したように、そして図4及び図6に示すように、ノズル1200は、ファン本体1100に着脱自在に取り付けられるように構成される。従って、図12~15は、上述したファン本体1100に着脱自在に取り付けることのできるノズル1200の一実施形態を示す。図12はノズル1200の断面側面図を示し、図13はノズル1200の断面正面図を示し、図14はノズル1200の断面背面図を示し、そして図15は、ノズル1200の下端部の等角図を示す。ノズル1200は、ファン本体1100から空気流を受け入れように配置された空気入口1202と、ノズル1200から空気流を放出するための第1のフローベクタリング空気出口1203と、ノズル1200から空気流を放出するための第2のフローベクタリング空気出口1204とを少なくとも部分的に定めるノズル本体1201を備える。ノズル1200は、ファン本体1100上にノズル1200を着脱自在に保持するためのノズル保持機構と、振動機構の被駆動部との両方を更に備え、被駆動部は、ノズル本体1201を振動軸(X)の周りに回転させるために駆動部材1130によって駆動されるように配置された被駆動部材1205を備える。
【0063】
第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204は、放出された空気流が収束するように、収束方向に方向付けられる。言い換えれば、第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204は、第1のフローベクタリング空気出口1203から放出される第1流出空気流が、第2のフローベクタリング空気出口1204から放出される第2の流出空気流と衝突するように方向付けられる。ノズル1200は、空気入口1202と、第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204の両方との間に延びる内部空気通路1206を更に備える。従って、第1のフローベクタリング空気出口1203から放出される第1の流出空気流と第2のフローベクタリング空気出口1204から放出される第2の流出空気流は、それぞれ、空気入口1202を通ってノズル1200に入る流入空気流の少なくとも一部を含むことになる。次に、ノズル1200は、空気入口1202から第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204への空気の流れを制御するための弁を更に備え、この弁は、第1のフローベクタリング空気出口1203のサイズを調整すると同時に第2のフローベクタリング空気出口1204のサイズを逆に調整するために、移動可能な弁部材1207を備える。
【0064】
第2のフローベクタリング空気出口1204のサイズに対して第1のフローベクタリング空気出口のサイズ(すなわち、アパーチャ面積)を変化させることによって、第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204のそれぞれを通って放出される空気流の割合も変化し、それにより、ノズルが発生させる空気流のプロファイルの変化をもたらす。特に、第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204が収束方向に方向付けられるので、第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204から放出された空気流は衝突し、ノズル1200から離れるように導かれる単一の複合空気流を形成する。複合空気流がノズルから投射される角度又はベクトルは、第1及び第2の空気流の相対的な強さに強く依存する。従って、弁部材を動かして第2のフローベクタリング空気出口1204に対して第1のフローベクタリング空気出口のサイズを調整することを通じて、それらの個々の強さを変化させることにより、複合空気流の方向を変えることが可能である。集合的空気出口の全体サイズが一定のままなので、この配置は、本システムが定負荷を受けることを意味する。これは、ノズル1200から放出される空気流を制御して前後に誘導することができる場合に、ノズル1200に空気流を供給する圧縮機又は他の手段の動作点も一定のままであることを意味する。更に、これによってシステム全体の圧力を下げることができ、本システムをエネルギ効率のより良い、より静かなものにする。
【0065】
図示の実施形態では、ノズル本体1201は、切断された球体の一般形状を有し、第1の切断によりノズルの円形面1208が形成され、第2の切断によりノズル本体1200の円形ベース1209が形成される。ノズル1200の空気入口1202はノズル1200のベース1209に設けられ、一方で、第1のフローベクタリング空気出口1203と第2のフローベクタリング空気出口1204は、ノズル1200の面1208上で正反対に対向し、概ねノズル1200の面1208の中心軸(Y)に向かって方向付けられる。ノズル1200のベース1209に対するノズル1200の面1208の角度(α)は鋭角であり、ノズル1200の面1208上では、第1のフローベクタリング空気出口1203が第2のフローベクタリング空気出口1204よりも高くなるように固定される。図示の実施形態では、この角度(α)は約35度であるが、ノズル1200のベース1209に対する面1208の角度は、0~90度の何れでもよく、より好ましくは0~45度であり、更により好ましくは20~40度である。
【0066】
図示の実施形態では、ノズル本体1201は、切断された球体を定める外側ケーシング1210を備える。次に、外側ケーシング1210は、ノズル1200の円形面1208上の円形開口部1211と、ノズル1208の円形ベース1209の円形開口部1212とを定める。特に、ノズル本体1201は、第1の切断を形づくる、外側ケーシング1210の縁部から内方に延びるリップ1213を備える。このリップ1213は、形状が略円錐台形であり、円形面1208の中心に向かって内方に先細になっている。
【0067】
ノズル本体1201は更に、内部に配置された内側ケーシング1214を備え、それは、ノズル1200の単一の内部空気通路1206を定める。内側ケーシング1214は、その下端部に、ノズル1200のベース1208にある外側ケーシングの円形開口部内に同心円状に位置する円形開口部を有し、内側ケーシング1214のこの下側円形開口部が、本体1100から空気流を受け入れるための空気入口1202を提供している。内側ケーシング1214はまた、その上端部に、ノズル1200の面1208にある外側ケーシングの円形開口部1211と同心円状に位置する円形開口部を有する。次に、内側ケーシング1214の内方に湾曲した上端部は、外側ケーシング1210から内方に先細になるリップ1213と交わって/当接して、ノズル1200の円形面1208にある円形開口部1211を定める。
【0068】
次に、内側ケーシング1214の後方部分1214aは、空気入口1202と第1のフローベクタリング空気出口1203との間に延びるのに対し、内側ケーシング1214の対向する前方部分1214bは、空気入口1202と第2のフローベクタリング空気出口1204との間に延びる。内側ケーシング1214の後方及び前方部分1214a、1214bは、ノズル本体1201の面1208又はベース1209の何れかと平行な平面における内部空気通路1206の断面積が、空気入口1202とフローベクタリング空気出口1203、1204との間で変化するように湾曲している。特に、内側ケーシング1214の後方及び前方部分1214a、1214bは、空気入口1202の付近でお互いから離れるように外方に広がる又は裾広がりとなり、その後、フローベクタリング空気出口1203、1204の付近でお互いに向かって狭くなる。従って、空気通路1206の断面積は、空気通路1206が空気入口1202から延びるにつれて、空気入口1202とフローベクタリング空気出口1203、1204との間で最大値に達するまで増加した後、内部の空気通路1206がフローベクタリング空気出口1203、1204に近づくにつれて減少する。結果として、内側ケーシング1214の後方及び前方部分1214a、1214bは、外側ケーシング1210内での空間利用を最適化するためにノズル本体1201の形状に概ね適合し、空気入口1202からフローベクタリング空気出口1203、1204へ進む時に空気流の滑らかな移行を提供するように、全体的に湾曲している。本明細書で使用する用語「湾曲した」とは、滑らかに、連続的に平面性から徐々に逸脱する表面のことを指す。
【0069】
次に、内側ケーシング1214は、各々が側壁及び上向きの壁を備えた、対向する第1及び第2の段付き側部分1214c、1214d(すなわち、前方及び後方部分1214a、1214bに対して略垂直な部分)を備える。従って、内側ケーシング1214の第1及び第2の側壁は、略平坦であって、第1及び第2の空気出口1203、1204を二等分する平面と略平行である内部空気通路1206の側壁を形成する。次に、内側ケーシング1214の第1及び第2の上向きの壁は、内部空気通路1206の対向する側面から外側ケーシング1210の隣接する部分に向かって離れるように延びる出っ張りを形成するので、内側ケーシング1214の上端部は、内方に湾曲した上端部の下に略円盤状のキャビティを定める。第1及び第2の上向きの壁は、略平坦であり、内側ケーシング1214の上端部に設けられた円形開口部1211と略平行である。
【0070】
次に、内側ケーシング1214の第1の段付き側部分1214cは、内部空気通路1206から離れるように半径方向外方に延びる第1のサイドダクト1215を更に備え、内側ケーシング1214の第2の段付き側部分1214dは、内部空気通路1206から離れるように半径方向外方へ反対方向に延びる第2のサイドダクト1216を更に備える。従って、第1のサイドダクト1215と第2のサイドダクト1216は、互いに正反対に対向し、第1及び第2の空気出口1203、1204を二等分する平面と垂直である。具体的には、第1のサイドダクト1215及び第2のサイドダクト1216は各々、対応する側壁に設けられた入口開口部と、ノズル1200の面1208にある円形開口部1211の下に設けられた円盤状のキャビティに向かって上方へ傾斜するチャネルと、内側ケーシング1214の内方に湾曲した上端部の下に位置する、対応する上向きの壁に設けられた出口開口部又は側方空気出口1217、1218とを備える。
【0071】
内側ケーシング1214は、内部空気通路1206内に配置された1対の羽根1219を更に備え、この羽根は、ノズル本体1201の空気入口1202を通ってノズル1200に入る空気流を直線状にするように配置される。羽根1219は平坦で、第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204を二等分する平面と略平行であり、第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204の間の内部空気通路1206にわたって、空気入口1202に隣接する位置から第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204のそれぞれに隣接する位置まで延びる。言い換えれば、羽根1219は、内部空気通路1206の幅にわたって、並びに内部空気通路1206の深さの大部分にわたって延び、内部空気通路1206の断面積の大部分にわたって延びるようになっている。
【0072】
図示の実施形態では、内側ケーシング1214は、上述した滑り軸受/ジャーナル軸受組立体の別部品を形成するスピンドル1220を更に備える。具体的には、スピンドル1220は、内側ケーシング1214の下側円形開口部1212の中心(すなわち、ノズル1200の空気入口1202の中心)に配置され、従ってノズル1200の振動軸(X)と整列している。スピンドル1220は、ノズル座1121の中心に設けられた軸受1122内に嵌まって回転するように構成される。図示の実施形態では、スピンドル1220は、内側ケーシング1214から突出する好ましくはローレット加工されたシャフト又はロッド1220aと、シャフト1220aを覆って配置され、その上に保持される軸受スリーブ1220bとを備える。
【0073】
図示の実施形態では、ノズル本体1201は、内部空気通路1206内に配置され、空気入口1202を通ってノズル1200に入る空気流を、ノズル1200の空気出口1203、1204、1217、1218に向けて導くように構成された空気入口案内部材1221を更に備える。具体的には、空気入口案内部材1221は、斜円錐の一般形状を有し、空気入口案内部材1221の狭い端部又は頂点が空気入口1202に近接するように配置される。次に、空気入口案内部材1221の表面は、内側ケーシング1214の対向する部分の形状に概ね従うように形づくられるので、空気入口1202を通ってノズル1200に入る空気流が内部空気通路1206の周縁部に沿って導かれる。図示の実施形態では、内側ケーシング1214のスピンドル1220は、空気入口案内部材1221の狭い端部にあるアパーチャを貫いて突き出ている。
【0074】
次に、弁部材1207は、ノズル1200の円形面1208にある円形開口部1211(すなわち、外側ケーシング1210の上側円形開口部と内側ケーシング1214の上側円形開口部とによって定められる)に隣接して、ノズル本体1201内に配置される。具体的には、弁部材1207は、内側ケーシング1214の上端部によって定められるキャビティ内に配置される。
【0075】
図16、17及び18は、本明細書に記載するノズル1200と共に使用するのに適した弁部材1207の一実施形態を示す。図16は弁部材1207の等角正面図を示し、図17は弁部材1207の端を前向きにした図を示し、そして図18は、弁部材1207の断面側面図を示す。図示の実施形態では、弁部材1207は略円形の正面断面を有し、上側セクション1222と下側セクション1223とを備える。上側セクション1222の最外面/最上面は、略凸状であり(すなわち、外側に膨らむ)、ノズル1200の面1208に設けられた開口部1211内で露出している。本明細書で使用する用語「凸状の」は、外方に膨らむ表面を意味し、従って、湾曲した凸状の形状を有するか、又は少なくとも部分的に直線で構成された凸状多角形の形状を有することができる。結果として、上側セクション1222の最外面/最上面は、ノズル本体1201の外面を形成する。下側セクション1223の最内面/最下面もまた、略凸状であり、その最内面/最下面が内部空気通路1206に面するように、ノズル本体1201内に配置される。従って、下側セクション1223の最内面/最下面は、ノズル本体1201の内面を形成し、最内面/最下面の凸状形状は、内部空気通路1206内の空気流を、弁部材1207の外周に設けられた第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204に向けて導くのを支援する。
【0076】
次に、下側セクション1223の最内面/最下面には、弁部材1207がノズル本体1201内で、ノズル本体1201の面1208に設けられた開口部1211に対して横方向に(すなわち、横向きに、左右に)、第1の端部位置と第2の端部位置の間の位置範囲にわたって、摺動する(すなわち、表面に沿って滑らかに移動する)ことを可能にする摺動機構の一部を形成する1対の溝/トラック1224が、設けられる。これらの溝/トラック1224は、弁部材1207がノズル本体1201内に配置された時に、空気整流羽根1219の上側部分を覆って嵌まるように構成される。従って、空気整流羽根1219の上側部分は、弁部材1207の最内面/最下面に設けられた溝/トラック1224内に配置されるレールを提供し、従って、摺動機構の別部品を提供する。結果として、羽根/レール1219及び対応する溝/トラック1224の両方は、第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204を二等分する平面と平行であり、第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204の間を延びる方向へ内部空気通路1206にわたって広がっている。
【0077】
図示の実施形態では、ノズル1200の摺動機構は、ノズル本体1201に対する弁部材1207の移動に抵抗し、それによって、弁部材1207に外力が加えられていない時に弁部材1207の位置を保持するように(すなわち、唯一の印加力が重力である時に弁部材1207の移動に抵抗するように)構成された1対のブレーキ1225を更に備える。従って、ブレーキ1225によって与えられる抵抗力は、外力が加えられていない時に弁部材1207の位置を保持するのに十分であるが、ユーザが加えた/手動の力によって容易に克服することができる。例えば、ユーザが弁部材1207の最外面/最上面に手を置いて、弁部材1207をノズル本体1201の後部又は前部の何れかに向かって押す又は引くことで、抵抗力を容易に克服することができる。各ブレーキ1225は、摩擦パッド/部材1225aと、摩擦パッド1225aを制動面1225cに付勢するように構成された弾性部材1225b(例えば、圧縮ばね)とを備える。具体的には、各ブレーキ1225は、弾性部材1225bが摩擦パッド1225aを付勢する方向が、弁部材1207がノズル本体1207内を移動するように構成された方向と略直交する/垂直になるように構成される。図示の実施形態では、各ブレーキ1225は弁部材1207に取り付けられ、制動面1225cは、内側ケーシング1214の一部によって提供される。従って、弁部材1207には、1対のブレーキ座1225dが設けられ、その場合、各ブレーキ1225の弾性部材1225bは、対応する座1225dと摩擦パッド/部材1225aの間に位置し、摩擦パッド/部材1225aを弁部材1207に向かって付勢するように構成される。各ブレーキ座1225dは、弁部材1207から延びて、内側ケーシング1214の上向き壁の1つに設けられた対応するアパーチャ/スロットを通る突出部によって提供される。従って、各ブレーキ1225について、弾性部材1225bは、スロットの反対側に配置された内側ケーシング1214の上向き壁の下面の部分に対して摩擦パッド/部材1225aを付勢する。
【0078】
次に、第1のフローベクタリング空気出口1203は、ノズル1200の面1208にある円形開口部1211の縁部の第1の部分1211aと、縁部の第1の部分1211aに隣接する弁部材1207の最外面/最上面の第1の部分1207aとによって定められ、第2のフローベクタリング空気出口1204は、ノズル1200の面1208にある開口部1211の縁部の第2の部分1211bと、縁部の第2の部分1211bに隣接する弁部材1207の最外面/最上面の第2の部分1207bとによって定められる。従って、第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204は、ノズル1200の面1208においてノズル本体1201によって定められる円形開口部1211内で正反対に対向する1対の湾曲したスロットを備え、弁部材1207の最外面/最上面は、第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204の間に延びる。
【0079】
図示の実施形態では、第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204は、1対の合同な円弧状スロットを備え、それぞれ約60度の円弧角度(β)(すなわち、円形面1208の中心で弧によって限定される角度)を有するが、それらは各々、20~110度、好ましくは45~90度、より好ましくは60~80度の何れかの円弧角度を有することができる。第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204はまた、放出された空気流を、対応する空気出口に隣接する弁部材1207の最外面/最上面の一部分の上に導くように方向付けられる。結果として、弁部材1207の最外面/最上面は、ノズル本体1201の外部案内面を提供する。
【0080】
上記のように、弁の摺動機構により、弁部材1207は、第1の端部位置と第2の端部位置の間の位置範囲にわたって、ノズル本体1201内で横方向に摺動することができる。次いで、弁は、弁部材1207の移動が第1のフローベクタリング空気出口1203のサイズを調整し、同時に第2のフローベクタリング空気出口1204のサイズを逆に調整するように、ノズル本体1201内に配置される。特に、弁部材1207は、弁部材1207が第1の端部位置にある時に、第1のフローベクタリング空気出口1203が最大限に開口し(すなわち、第1のフローベクタリング空気出口1203のサイズが最大であるように、可能な限り最大限に)、第2のフローベクタリング空気出口1204が最大限に閉塞する(すなわち、第2のフローベクタリング空気出口1204のサイズが最小であるように、可能な限り最大限に)ように、並びに弁部材1207が第2の端部位置にある時に、第1のフローベクタリング空気出口1203が最大限に閉塞し、第2のフローベクタリング空気出口1204が最大限に開口するように、ノズル本体1207内に配置される。言い換えれば、第1のフローベクタリング空気出口1203のサイズは、弁部材1207が第1の端部位置にある時に最大であり、弁部材が第2の端部位置にある時に最小であるのに対し、第2のフローベクタリング空気出口1204のサイズは、弁部材1207が第1の端部位置にある時に最小であり、弁部材1207が第2の端部位置にある時に最大である。特に、第1の端部位置にある時に、弁部材1207の第2の部分1207b(すなわち、第2のフローベクタリング空気出口1204を部分的に定める部分)は、第2のフローベクタリング空気出口1204を最大限に閉塞させ、第2の端部位置にある時に、弁部材1207の第1の部分1207a(すなわち、第1の空気出口1203を部分的に定める部分)は、第1フローベクタリング空気出口1203を最大限に閉塞させる。
【0081】
更に、弁部材1207が第1の端部位置と第2の端部位置の間を移動する際に、第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204の総計/合わせたサイズを一定に保つために、弁部材1207の第1の部分1207a(すなわち、第1のフローベクタリング空気出口1203を部分的に定める部分)と、ノズル1200の面1208にある開口部1211と平行な平面との間に定められる角度は、弁部材1207の第1の部分1207a(すなわち、第1の流れベクトル化空気出口1203を部分的に定める部分)と、ノズル1200の面1208における開口部1211に平行な平面との間で定められる角度は、弁部材1207の第2の部分1207b(すなわち、第2のフローベクタリング空気出口1204を部分的に定める部分)と、ノズル1200の面1208にある開口部1211と平行な平面との間に定められる角度にほぼ等しい。この点に関して、弁部材1207の第1及び第2の部分1207a、1207bは、平坦である又は僅かに湾曲しているとすることができる。湾曲している場合、第1の部分1207a及び第2の部分1207bによってそれぞれに定められる角度は、曲線の弦の角度であり、弦は、曲線上の2つの点を繋ぐ線分である。角度の一致により、弁部材1207を横方向に移動させた時に、第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204は確実に同じ割合で開閉するので、第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204の総計サイズは、弁部材1207の位置に関係なく略一定である。
【0082】
図示の実施形態では、弁部材1207は、弁部材1207が第1の端部位置にある時の第1のフローベクタリング空気出口1203と第2のフローベクタリング空気出口1204のサイズ差が、弁部材1207が第2の端部位置にある時の第1のフローベクタリング空気出口1203と第2のフローベクタリング空気出口1204のサイズ差よりも大きくなるように構成される。具体的には、弁部材1207が第1の端部位置にある時(すなわち、第1のフローベクタリング空気出口1203が最大限にアパーチャしている時)の第1のフローベクタリング空気出口1203のサイズは、弁部材1207が第2の端部位置にある時(すなわち、第2のフローベクタリング空気出口1204が最大限にアパーチャしている時の)の第2のフローベクタリング空気出口1204のサイズよりも大きく、弁部材1207が第2の端部位置にある時(すなわち、第1のフローベクタリング空気出口1203が最大限に閉塞している時)の第1のフローベクタリング空気出口1203のサイズは、弁部材1207が第1の端部位置にある時(すなわち、第2のフローベクタリング空気出口1204が最大限に閉塞している時)の第2のフローベクタリング空気出口1204のサイズよりも大きい。
【0083】
この構成は、ノズル1200によって生成される空気流のベクタリング範囲が、ノズル1200の面に向かって設けられた第2のフローベクタリング空気出口1204の方に偏ることをもたらし、これは、ファン組立体1000が合成空気流を単一のユーザに提供するように意図されている場合、特に、ファン組立体1000がユーザの隣のテーブル又は机などの持ち上げられた表面上に配置される場合に、特に有利である。この偏りの一部を達成するために、弁部材1207には、適切な端部位置を超えた弁部材1207の移動を制限するように配置された弁端止め1226、1227が設けられる。図示の実施形態では、弁部材1207には、弁部材1207の最外面/最上面の第1の部分1207a(すなわち、第1のフローベクタリング化空気出口1203を部分的に定める部分)から突出する弁端止めの第1対1226と、弁部材1207の最外面/最上面の第2の部分1207b(すなわち、第2のフローベクタリング空気出口1204を部分的に定める部分)から突出する弁端止めの第2対1227とが設けられる。弁端止めの第1対1226は、第2の端部位置にある時に第1のフローベクタリング空気出口1203に隣接する内側ケーシング1214の一部に当接するように配置されるのに対し、弁端止めの第2対1227は、第1の位置にある時に第2のフローベクタリング空気出口1204に隣接する内側ケーシング1214の一部に当接するように配置される。弁端止めの第1対1226が弁部材1207から延びる距離は、弁端止めの第2対1227が弁部材1207から延びる距離よりも小さいので、弁部材1207が第2の端部位置にある時の第1のフローベクタリング空気出口1203のサイズは、弁部材1207が第1の端部位置にある時の第2のフローベクタリング空気出口1204のサイズよりも大きい/広大になる。図示の実施形態では、弁端止めの第1対1226と弁端止めの第2対1227の両方は、弁部材1207の両端部で弁部材1207の縁部から離れるように延びる1対の平面状突出部によって提供される。従って、これらの平面状突出部は、第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204から放出された空気を、弁部材1207の最外面/最上面上方の収束方向に流すことを補助するバッフルとしても機能することができる。
【0084】
図示の実施形態では、弁部材1207の最外面/最上面もまた、非対称のプロファイル/断面を有する。特に、弁部材1207は、第1の部分1207a(すなわち、第1のフローベクタリング空気出口1203を部分的に定める部分)における弁部材1207の最外面/最上面の深さ(Da)が、第2の部分1207b(すなわち、第2のフローベクタリング空気出口1204を部分的に定める部分)における最外面/最上面の深さ(Db)よりも小さいプロファイルを有する。結果として、弁は、開口部1211に並びに弁部材1207の横方向移動に垂直な方向において、開口部1211の縁部と弁部材1207の最外面/最上面との最小距離が、第1のフローベクタリング空気出口1203では第2のフローベクタリング空気出口1204よりも大きくなるように構成される。この点について、第1のフローベクタリング空気出口1203における最小距離は、弁部材1207が第2の端部位置にある時の、開口部1211の縁部の第1の部分1211aと、弁部材1207の最外面/最上面の第1の部分1207aとの距離であり、第2のフローベクタリング空気出口1204における最小距離は、弁部材1207が第1の端部位置にある時の、開口部1211の縁部の第2の部分1211bと、弁部材1207の最外面/最上面の第2の部分1207bとの距離である。この非対称性は、ノズル1200によって生成される空気流のベクタリング範囲が、ノズル1200の面に向かって設けられた第2のフローベクタリング空気出口1204に偏ることをもたらすものであり、なぜなら、第1のフローベクタリング空気出口1203から放出される最小の空気流が、第2のフローベクタリング空気出口1204から放出される最小の空気流よりも大きくなるからである。更に、この非対称性より、第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204のサイズにおける所望の変化に対して、弁部材1207の横方向の移動範囲を最大化することが可能となり、それによって、ユーザが利用できる制御の細分性が増大する。適切な非対称プロファイルは、対称プロファイルを採用し、プロファイルの一端を単にトリミングすることによって実現することができ、なぜなら、そうすることによって、弁部材1207の一方の部分が他方の部分よりも短くなるが、開口部1211に対する(並びに弁部材1207の運動方向に対する)2つの部分の角度が等しいままなので、弁部材1204が第1の端部位置と第2の端部位置の間を移動する際に、第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204の総計/合わせたサイズは一定であることが保証されるからである。
【0085】
前述のように、内側ケーシング1214は、内部空気通路1206から離れるように半径方向外方へ延びてノズル1200の面1211にある円形開口部に向かって上方へ傾斜する、第1のサイドダクト1215と正反対に対向する第2のサイドダクト1216とを備える。従って、サイドダクト1215、1216は、内部空気通路1206内からの空気流の一部を、内側ケーシング1214の上端部によって定められる略円盤状のキャビティ内に面するそれらの対応する出口開口部又は側方空気出口1217、1218に流す。次に、ノズル1200は、これらの側方空気出口1217、1218から放出されるあらゆる空気流を、第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204から放出された空気流が収束する点に向けて導くように構成される。この点について、これらの側方空気出口1217、1218は、モータ駆動式インペラ1210によって生成された空気流の比較的小部分だけを放出するように構成される。次に、側方空気出口1217、1218から放出される空気の比較的小さな噴流は、フローベクタリング空気出口1203、1204から放出される空気流の衝突を支援し、それによって、フローベクタリング空気出口1203、1204を通る空気の流れを大幅に減少させることなく、ノズル1200によって生成される合成空気流の速度増加をもたらす。
【0086】
図示の実施形態では、ノズル1200は、モータ駆動式インペラ1210によって生成された総空気流の約12.5%を側方空気出口1217、1218から放出することができる一方で、残りの空気流は、合成空気流の方向に関する可変制御を提供するために使用されるノズル1200のフローベクタリング空気出口1203、1204から放出されるように構成される。結果として、側方空気出口1217、1218のそれぞれの面積は、ノズル1200によって提供される出口の総面積の約6.25%であり、この総面積は、2つの側方空気出口1217、1218を合わせた面積と、ノズル1200のフローベクタリング空気出口1203、1204の総計面積である。しかしながら、側方空気出口1217、1218のそれぞれの面積は、これより大きくても小さくてもよい。例えば、側方空気出口1217、1218のそれぞれの面積は、ノズル1200によって提供される出口の総面積の12.5%~4%とすることができる。
【0087】
図示の実施形態では、弁部材1207にはまた、弁部材1207の周縁部から半径方向外方に突出する、正反対に対向する第1及び第2のフランジ部分1228、1229が設けられる。これらの第1及び第2のフランジ部分1228、1229は各々、スロット又はアパーチャ1230、1231を備え、このスロット又はアパーチャは、第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204から放出される空気流がほぼ等しい位置に弁部材1206が位置する時に、対応するサイドダクト1215、1216の側方空気出口1217、1218の上方に配置される/それらと整列するように、並びに弁部材1207がこの位置から遠ざかる時に、対応するサイドダクト1215、1216の側部空気出口1217、1218から離れる方向に変位するように構成される。結果として、側方空気出口1217、1218のサイズは、弁部材1207の位置に依存し、弁部材1207の移動は、側方空気出口1217、1218のサイズを同時に調整する。具体的には、第1及び第2のフランジ部分1228、1229は、第1の空気出口1203のサイズが第2の空気出口1204のサイズとほぼ等しい時に側方空気出口1217、1218が最大限に開口し、第1のフローベクタリング空気出口1203と第2のフローベクタリング空気出口1204とのサイズの差が最大である時に最大限に閉塞する/閉じるように構成される。以下でより詳細に説明するように、図示の実施形態では、弁部材1207が第2の端部位置にある時に、第1の空気出口1203のサイズは第2の空気出口1204のサイズとほぼ等しく、弁部材1207が第1の端部位置にある時に、第1のフローベクタリング空気出口1203と第2のフローベクタリング空気出口1204のサイズ差は最大である。次に、弁部材1207は、各スロット1230、1231について、1対の側部バッフル1232、1233を更に備え、これらのバッフルは、対応する側方空気出口1217、1218から放出された空気を弁部材1207の最外面/最上面上方の収束方向に流すことを補助するように構成される。
【0088】
前述のように、ノズル1200はファン本体1100に着脱自在に取り付けられ、従ってファン本体1100から取り外し可能である。従って、ノズル1200は、ノズル1200をファン本体1100に着脱自在に保持するためのノズル保持機構を備える。ノズル保持機構は、ノズル1200がファン本体1100に保持される第1構成と、ファン本体1100から取り外すためノズル1200が解放される第2構成とを有する。ノズル保持機構はまた、第1構成の方へ付勢されるように設けられるので、ユーザが第2構成に配置しない限り、ノズル保持機構はノズル1200をファン本体1100に保持することになる。
【0089】
図示の実施形態では、ノズル1200は、ノズル本体1201内で正反対に対向する1対のノズル保持機構1234、1235を備える。これらのノズル保持機構1234、1235は、ノズル本体1201の内側ケーシング1214と外側ケーシング1210の側部分間に定められる空間に配置される。これらのノズル保持機構1234、1235の各々は、第1構成と第2構成の間でノズル1200及びファン本体1100に対して移動可能なキャッチ形態の保持要素1234a、1235aを備える。次に、これらのノズル保持機構の各々は、保持要素1234a、1235aの第1構成から第2構成への移動をもたらすために、手動で作動可能な部材1234b、1235bを更に備える。具体的には、各手動で作動可能な部材1234b、1235bは、ノズル本体1201の外側ケーシング1210に設けられた対応するアパーチャ内に突出する押下可能なボタンの形態をとるので、これらの押下可能なボタンは、移動可能式キャッチ1234a、1235aを作動させてノズル1200をファン本体1100から解放するために、ユーザが利用できる。
【0090】
具体的には、各ノズル保持機構について、押下可能なボタン1234b、1235b及び移動可能式キャッチ1234a、1235aは、ノズル本体1201の外側ケーシング1210内に枢動自在に取り付けられる単一の構成ラッチとして形成され、押下可能なボタン1234b、1235bが一端に設けられ、キャッチ1234a、1235aが他端に設けられる。そして、圧縮ばね形態の付勢部材1234c、1235cが、押下可能なボタン1234b、1235bの裏面とノズル本体1201の内側部分との間に配置され、ラッチを外側ケーシング1214に向かって、第1構成に付勢する。従って、圧縮ばね1234c、1235cの力に抗して、押下可能なボタン1234b、1235bに圧力をかけると、ラッチが枢動し、キャッチ1234a、1235aが、ファン本体1100からノズル1200を取り外すために第2構成に移動するようになっている。前述のように、ファン本体1100のノズル座1121は、弧状凹部1127に部分的に張り出すように半径方向内方へ突出する出っ張り/リップ1128を有する。従って、ノズル保持機構は、ノズル保持機構が第1構成にある状態でノズル1200がファン本体1100上に配置されている時に、キャッチ1234a、1235aがこの出っ張り1128によって妨害され、それによってノズル1200の本体1100からの分離が防止されるように、並びにノズル保持機構が第2構成にある状態でノズル1200がファン本体1100上に配置されている時には、キャッチ1234a、1235aがこの出っ張り1128から離れ/妨害されず、それによってノズル1200の本体1100からの分離が可能となるように設けられる。
【0091】
前述のように、ノズル1200は、振動機構の被駆動部を更に備え、被駆動部は、ノズル本体1201を振動軸(X)の周りに回転させるために駆動部材1130によって駆動されるように配置された被駆動部材1205を備える。図示の実施形態では、被駆動部材1205は、少なくとも部分的に円形又は弧状のラックを備え、このラックは、ノズル1200がファン本体1100上に配置された時に、ラックが振動機構の駆動部材を提供するファン本体1100上のピニオン1130と係合するように設けられる。具体的には、ラック1205は、ノズル1200がファン本体1100上に配置された時に、ピニオン1130に設けられた歯と噛み合うように位置する1組の歯を備える。図9に示す実施形態では、ラック1205は、直線的で回転軸(X)と平行に整列した半径方向に突出する複数の歯を有するスプールラックを備えるが、ラック1205の下側部分の縁部は面取りされている。具体的には、ラック1205の下側部分の根元と歯の両方が面取りされており、面取りされた部分の根元の角度は好ましくは約45度である。従って、ピニオン1130の面取りされた上側部分とラック1205の面取りされた下側部分は、ノズル1200がファン本体1100に載置された時に、ラック1205とピニオン1130とが適切に噛み合うことを確実にすることによって、その噛み合いを補助すると同時に、歯が衝突した場合に発生し得る損傷のリスクを最小限に抑える。
【0092】
前述のように、図示の実施形態では、ピニオン1130は、ファン本体1100の環状通気口1123に対して半径方向外方に配置される。従って、ラック1205は、ノズル本体1201の空気入口1202に対して半径方向外方に配置される。具体的には、ラック1205は、内側ケーシング1214の周面上で、内側ケーシングの下端部に向かって(すなわち、内部空気通路内への空気入口に隣接して)取り付けられ、ラックの歯はラックの外周部分に設けられ、半径方向外方に突出している。
【0093】
次に、ノズル1200は、ノズル本体1201に設けられた1対のノズル止め1236、1237を更に備え、このノズル止め1236、1237は各々、ノズル本体1201がその振動範囲の端部を超えて回転するのを防止するように配置される。特に、第1ノズル止め1237は、ノズル本体1201がその振動範囲の第1の端部を超えて回転するのを防止するように配置され、第2ノズル止め1237は、ノズル本体1201がその振動範囲の反対側の第2の端部を超えて回転するのを防止するように配置される。図示の実施形態では、第1ノズル止め1236は、ノズル1200の内側ケーシング1214から半径方向外方に延びる第1突出部によって提供され、この突出部は、ノズル本体1201が振動範囲の第1の端部に達した時にファン本体1100の対応する部分に接触/当接するように配置される。次いで、第2ノズル止め1237は、ノズル1200の内側ケーシング1214から半径方向内方に延びる第2突出部によって提供され、この突出部は、ノズル本体1201が振動範囲の第2の端部に達した時にファン本体1100の対応する部分に接触/当接するように配置される。具体的には、第1ノズル止め1236は、ノズル本体1201が振動範囲の第1の端部に達した時に、ノズル座1121の隆起部分の第1の側部に当接するように配置され、第2ノズル止め1237は、ノズル本体1201が振動範囲の第2の端部に達した時に、ノズル座1121の隆起部分の反対側の第2の側部に当接するように配置される。
【0094】
また、第1及び第2のノズル止め1236、1237は、ノズル本体1201がファン本体1100に対してノズル本体1201の振動範囲外の向きにある場合に、ノズル1200がファン本体1100に取り付けられるのを妨げるように配置される。このため、第1及び第2のノズル止め1236、1237は、ノズル本体1201がファン本体1100に対して振動範囲外の向きにある間にノズル1200がファン本体1100に向かって下降した場合、ノズル座1121の隆起部分の上面に接触するように配置され、これにより、ノズル保持機構1234、1235がファン本体1100と係合するために、ノズル1200がファン本体1100に十分に接近するのを妨げる。具体的には、第1ノズル止め1236は、ノズル本体1201がファン本体1100に対して振動範囲の第1の端部を超えた向きにある間にノズル1200がファン本体1100に向かって下降した場合、ノズル座1121の隆起部分の上面に接触するように配置され、第2ノズル止め1237は、ノズル本体1201がファン本体1100に対して振動範囲の第2の端部を超えた向きにある間にノズル1200がファン本体1100に向かって下降した場合、ノズル座1121の隆起部分の上面に接触するように配置される。
【0095】
次に、ノズル1200は、向き検出機構の補完部品を更に備える。前述のように、ファン本体1100には、ノズル1200がファン本体1100に取り付けられた時に、ノズル本体1201の向きを検出する機構の一部として、フォトインタラプタ1131が設けられる。図示の実施形態では、ノズル本体1201に設けられる向き検出機構の補完部品は、ノズル本体1201から垂れ下がる/突出する少なくとも部分的に円形/弧状の仕切り/遮蔽板1238を備え、その仕切り/遮蔽板は、ノズル本体1201が振動範囲の両半分の一方にある時にフォトインタラプタ1131によって検出されるように配置される。具体的には、この遮蔽板1238は、ノズル1200がファン本体1100に取り付けられた時に、ノズル座1121の弧状凹部1127内に位置するように配置される。結果として、ノズル本体1201が振動範囲の両半分の第1半分にある時に、遮蔽板1238は、フォトインタラプタ1131の発光素子と受光素子の間隙内に位置することになり、これにより、発光素子からの光が受光素子に到達するのを妨げる。ノズル本体1201が振動範囲の両半分の第2半分にある時には、遮蔽板1238は、発光素子からの光が受光素子に到達するように間隙から離れることになる。
【0096】
フォトインタラプタ1131は、その出力を制御回路1106への入力として提供するように設けられる。次に、制御回路1106は、フォトインタラプタ1131からの入力を用いて、振動モータ1129を制御するように構成される。特に、最初は、フォトインタラプタ1131から受信された入力は、間隙が塞がれており、従ってノズル本体1201が振動範囲の両半分の第1半分にあるか、又は、間隙が開いており、従ってノズル本体1201が振動範囲の両半分の第2半分にあるかの何れかを示すことになる。次に、制御回路1106は、ノズル本体1201が振動範囲の中間点に向かって回転するように、振動モータ1129を動作させるように構成される。中間点に到達する際に、遮蔽板1238の縁部が間隙を通過するので、フォトインタラプタ1131が遮断状態と開放状態との間を移行することになり、それによって制御回路1106は、ノズル本体1206が振動範囲の中間点にあると判定する。次に、制御回路1106は、ノズル本体1201の回転を振動範囲内に制限するために、回転距離の制限(例えば、ステッピングモータが用いるステップ数によって規定される)と時間制限の一方又は両方を適用して振動モータ1129を制御するように構成される。
【0097】
ノズル1200は更に、ノズル1200がファン本体1100に取り付けられた時に、ファン本体1100に接触するように配置されたベース部材1239を備える。ノズル本体1200は、ベース部材1239に対して回転可能であるように配置され、ノズル1200がファン本体に取り付けられた時に、ベース部材1239がファン本体1100に対して静止状態を維持できるのに対し、ノズル本体1201は、ファン本体1100とノズル本体1200のベース部材1239の両方に対して回転するようになっている。次に、ベース部材1209は上側フィルタシール要素1239aを備え、上側フィルタシール要素1239aは、ノズル1200がファン本体1100に取り付けられた時に、上側フィルタシール要素1239aがフィルタ組立体1111の上面とファン本体1100の内面の両方に接触して、フィルタ組立体1111の上端部周りの空気漏れを防止するように配置される。
【0098】
図示の実施形態では、ベース部材1239は、環状プレート1239bを更に備える。その場合、上側フィルタシール要素1239aも環状であり、環状プレート1239bの下面に取り付けられる。上側フィルタシール要素1239aは、2つの別個のフラップシール部分を備え、第1シール部分が半径方向内方に突出し、第2シール部分が下方且つ半径方向外方に延びる。従って、上側フィルタシール要素1239aは、ノズル1200がファン本体1100に取り付けられた時に、第1シール部分がファン本体1100の内壁1109の上側部分に接触してシールを形成する一方で、第2シール部分がフィルタ組立体1111の上側エンドキャップ1136に接触してシールを形成するように配置される。上側フィルタシール要素1239aは、ゴム材料から形成されるのが好都合である。
【0099】
次に、ノズル本体1201は、ノズル本体1201のベース1209に向けて取り付けられた複数のランナ1240を更に備え、これらのランナは、ベース部材1239を保持する一方で、ベース部材1239がノズル本体1201に対して回転することを許容するように配置される。本明細書で使用する用語「ランナ」は、移動を案内することを意図した機械部品を指す。図示の実施形態では、各ランナ1240は、ベース部材1239の一部分受け入れるように構成された溝を備える。その場合、ベース部材1239は、複数のランナ1240のそれぞれの中で摺動するように配置され構成されたフランジ/レール1239cを更に備える。図示の実施形態では、フランジ/レール1239cは、環状プレート1239bの上面に設けられ、ノズル本体1201の振動軸(X)に対して半径方向に突出する。
【0100】
ファン組立体1000を使用するために、ユーザは、最初にノズル1200をノズル本体1100から取り外す。そのために、ユーザは、ノズル本体1201の外側ケーシング1210を介して利用できるノズル保持機構の押下可能なボタン1234b、1235bを押し、それによってラッチを枢動させ、対応するキャッチ1234a、1235bが第2構成へ移動するようになっている。次に、ユーザは、ノズル1200を、ファン組立体1000の長手方向軸(X)と平行な方向に、ファン本体1100から離れるように持ち上げ、ノズル座1121と外側区画の開いた上端部とを含めて、ファン本体1100の上端部を露出させる。次いで、ユーザは、フィルタ組立体1111がファン本体1100の内壁1109の外周全体を取り囲んだ状態で、下側エンドキャップ1135がフィルタ座1139に載るまで、フィルタ組立体1111を外側区画内へ降ろす。
【0101】
次に、ユーザは、ノズル1200をファン本体1100に再び取り付ける。このため、ユーザは、ノズル1200をファン本体1100の上端部と大まかに整列させ、ノズル1200をファン本体1100に向かって降ろす。ノズル1200の円形ベース1209において外側ケーシング1210によって定められた円形開口部1212は、ファン本体1100の上端部を覆って密接に嵌まるように配置されるので、ノズル1200がファン本体1100に向かって移動する際にファン本体1100の上端部が最初に円形開口部1212に入る。結果として、ノズル1200とファン本体1100の間に大きな位置ずれがある場合には、ノズル1200の円形ベース1209の縁部がファン本体1100の上端部の縁部とぶつかることになり、ファン本体1100に対してノズル1200を再度位置決めする必要があることをユーザに指摘する。ファン本体1100の上端部がノズル1200の円形ベース1209内へ移動するにつれて、ノズル1200に設けられた、滑り軸受組立体の一部を形成するスピンドル1220が、ノズル座1121の中心に設けられた軸受1122の中空に入る。ノズル1200とファン本体1100の間に位置ずれがある場合には、軸受1122の面取りされた内縁部が、スピンドル1220を軸受1122内に案内するのを助ける。
【0102】
ノズル1200の円形ベース1209がファン本体1100の上端部を覆って更に移動すると、環状プレート1239bの下面に取り付けられた上側フィルタシール要素1239aが、ファン本体1100とフィルタ組立体1111の両方に接触する。具体的には、上側フィルタシール要素1239aの第1シール部分は、ファン本体1100の内壁1109の上側部分に接触し、それにより、ノズル1200とファン本体1100の内壁1109との間にシールが形成される。次に、上側フィルタシール要素1239aの第2シール部分は、外側区画内に配置されたフィルタ組立体1111の上側エンドキャップ1139に接触し、それによって、ノズル1200とフィルタ組立体1100の間にシールが形成される。次いで、振動機構の駆動部材1130は、振動機構の被駆動部材1205と係合する。具体的には、その場合、ノズル1200に設けられたラック1205は、ファン本体1100に設けられたピニオン1130と噛み合い、ラック1205の下縁部とピニオン1130の上縁部の両方を面取りすることで、ラック1205の歯とピニオン1130の歯との整列が支援される。
【0103】
ノズル1200の円形ベース1209がファン本体1100の上端部を覆って更に移動すると、保持機構のキャッチ1234a、1235aが、ノズル座1121に設けられた出っ張り1128に接触する。この接触により、ラッチ1234、1235は、対応する圧縮ばね1234c、1235cの力に抗して枢動するので、キャッチ1234a、1235aが出っ張り1128の上を通過する。一旦キャッチ1234a、1235aが出っ張り1128を離れると、圧縮ばね1234c、1235cの力はラッチ1234、1235を枢動させて第1構成に戻し、ノズル1200がファン本体1100に保持されるようにする。また、ノズル本体1201の空気入口1202は、ノズル本体1100の環状通気口1123の周縁部に設けられた本体出口シール部材1125に接触し、それによってファン本体1100とノズル1200の内部空気通路1206との間にシールを形成し、本体出口シール部材1125の周縁部に配置されたノズル整列面1126が、ノズル1200の空気入口1202を案内して本体1100の空気出口1123と整列させる。
【0104】
次に、ユーザは、ファン組立体1100と対話して(例えば、遠隔制御を用いて)、制御回路1106が受信する制御入力を提供する。これらの入力に応答して、制御回路1106はモータ1119を始動させ、インペラ1110を回転させてファン組立体1000を通る空気流を生成するようにすることができる。具体的には、インペラ1110の回転により、外側ケーシング1101の側壁に設けられたアパーチャによって提供されるファン本体1100の空気入口1103を通して、次にフィルタ組立体1111を通して空気が引き込まれる。結果としての濾過された空気は次に、内壁1109の下側部分に設けられたアパーチャによって提供される内側区画の空気入口1112を通して引き込まれた後で、インペラハウジング1114の底部に設けられた空気入口1115を通ってインペラハウジング1114に入る。次にこの空気は、インペラハウジング1114の頂部に設けられた空気出口1116を通ってインペラハウジング1114から出た後に、ノズル座1121によって設けられた通気口1123を介してファン組立体1000の本体1100から排出され、ノズル本体1201の内側ケーシング1214の下側円形開口部によって提供された空気入口1202を通ってノズル1200の内部通路1206に入る。
【0105】
一旦ノズル1200の内部通路1206内に入ると、空気入口案内部材1221が、ノズル1200に入る空気流を内部空気通路1206の外周に向けて案内すると同時に、内部空気通路1206内に設けられた羽根1219は、ノズル1200の空気出口1203、1204に向けて空気流を直線状にする。次いで、弁部材1207の下側セクションの最内面/最下面もまた、ノズル1200の内部空気通路1206内の空気流を、弁部材1207の外周に設けられた第1及び第2の流れベクタリング空気出口1203、1204に向けて導くことを支援する。
【0106】
第1のフローベクタリング空気出口1203、第2のフローベクタリング空気出口1204、及び弁部材1207の最外面/最上面は、第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204から放出された空気流が、弁部材1207の最外面1207a、1207bの内、それぞれの空気出口1203、1204に隣接する部分の上に導かれるように配置される。特に、フローベクタリング空気出口1203、1204は、空気出口1203、1204に隣接する弁部材1207の最外面1207a、1207bの当該部分と略平行な方向に、空気流を放出するように配置される。次に、弁部材1207の最外面の凸状形状は、第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204から放出された空気流が、互いに近づくにつれて弁部材1207の最外面から離れることをもたらすので、これらの空気流は、弁部材1207の最外面からの干渉を受けずに衝突することができる。放出された空気流が衝突する時に剥離泡が形成され、これは、2つの対向する空気流が衝突する際に形成される合成噴流又は複合空気流を安定させる上で助けとなることができる。
【0107】
次に、前述のように、弁は、同時に第1のフローベクタリング空気出口1203のサイズを調整すると同時に、第2のフローベクタリング空気出口1204のサイズを逆に調整することによって、ノズル1200によって生成される空気流の方向を制御するように配置される。図示の実施形態では、弁の摺動機構により、弁部材1207は、第1のフローベクタリング空気出口1203が最大限に開口し、第2のフローベクタリング空気出口1204が最大限に閉塞する第1の端部位置と、第1のフローベクタリング空気出口1203が最大限に閉塞し、第2の空気出口1204が最大限に開口する第2の端部位置との間の位置範囲にわたって、ノズル本体1201内で横方向に摺動することができる。従って、図19A及び19Bは、第1のフローベクタリング空気出口1203のサイズを第2のフローベクタリング空気出口1204のサイズに対して変化させることによって達成できる2つの可能な合成空気流を示している。
【0108】
図19Aでは、弁は、弁部材1207が第2の端部位置にある状態に配置され、第1のフローベクタリング空気出口1203が最大限に閉塞し、第2のフローベクタリング空気出口1204が最大限に開口している。前述のように、ノズル1200によって生成される空気流のベクタリング範囲は、弁部材1207の適切な端部位置を超える移動を制限するように配置された弁端止め1226、1227によって、ノズル1200の面に向かって設けられた第2のフローベクタリング空気出口1204の方に偏っている。図19Aに示す実施形態では、弁端止めの第1対1226は、第1のフローベクタリング空気出口1203が第2のフローベクタリング空気出口1204と略同じサイズである場合に、第1のフローベクタリング空気出口1203に隣接する内側ケーシング1214の一部分に当接するように配置される。結果として、第2の端部位置にある時に第1のフローベクタリング空気出口1203と第2のフローベクタリング空気出口1204の両方から放出される空気流の量がおおよそ等しいので、それらの衝突から生じる合成空気流は、矢印AAで示すように、概ね上方に(すなわち、ノズル1200の面1208に対して略垂直に)導かれることにある。
【0109】
更に、図示の実施形態では、弁部材1207の第1及び第2のフランジ部分1228、1229は、弁部材1207が第2の端部位置にある時に(すなわち、第1のフローベクタリング空気出口1203のサイズが第2のフローベクタリング空気出口1204のサイズとほぼ等しい時に)、側方空気出口1217、1218が最大限に開口するように配置される。結果として、モータ駆動式インペラ1110によって生成された総空気流の比較的小部分は、側方空気出口1217、1218から放出され、第1及び第2のフローベクタリング空気出口1203、1204から放出された空気流が収束する点に向かって、弁部材1207の最外面/最上面の上に流されることになる。
【0110】
図19Bでは、弁は、弁部材1207が第1の端部位置にある状態に配置され、第1のフローベクタリング空気出口1203が最大限に開口し、第2のフローベクタリング空気出口1204が最大限に閉塞している。図19Bに示す実施形態では、弁端止めの第2対1227は、第2のフローベクタリング空気出口1204が完全にではないがほとんど閉塞している時に、第2のフローベクタリング空気出口1203に隣接する内側ケーシング1214の一部分に当接するように配置される。結果として、第1のフローベクタリング空気出口1203から放出される空気流の量は、第2のフローベクタリング空気出口1204から放出される空気流よりもかなり多くなるので、それらの衝突から生じる結果としての空気流は、矢印BBで示すように、ノズル1200の面1208から概ね下方に(すなわち、第1のフローベクタリング空気出口1203から放出される空気流の方向と略平行な方向に)導かれることになる。
【0111】
更に、図示の実施形態では、弁部材1207の第1及び第2のフランジ部分1228、1229は、弁部材1207が第1の端部位置にある時に(すなわち、第1のフローベクタリング空気出口1203と第2のフローベクタリング空気出口1204のサイズ差が最大となる時に)、側方空気出口1217、1218が最大限に閉塞する/閉じるように配置される。結果として、モータ駆動式インペラ1110によって生成された空気流は、側方空気出口1217、1218から全く放出されない。
【0112】
図19A及び19Bの例は、単に代表的なものに過ぎず、実際には極端な場合を表していると容易に理解されよう。弁部材1207を第1及び第2の端部位置間の位置に摺動させることにより、多種多様な結果としての空気流を実現することが可能である。例えば、図示の実施形態では、ノズル1200によって生成される合成空気流の可変範囲は、約44度である。具体的には、ノズル1200のベース1209に対する面1208の角度(α)が約35度であり、流れがノズル1200の前方に向かって偏っていることから、図示する実施形態のノズル1200は、ノズル1200のベース1209に対して37.5度の第1極値と、ノズル1200のベース1209に対して-6.5度の第2極値との間で、合成空気流の方向(γ)を変化させることができる。次に、振動モータ1129を制御することによって合成空気流の方向を更に変化させ、ファン組立体1000の本体1100に対するノズル本体1201の角度位置を調整することができる。
【0113】
上述の個々の項目を単独で、或いは図面に示した又は明細書に記載した他の項目と組み合わせて使用できること、並びに、互いに同じ節に又は互いに同じ図面に記載した項目を互いに組み合わせて使用する必要はないことが理解されよう。更に、「手段」という表現は、必要に応じてアクチュエータ又はシステム又はデバイスに置き換えることができる。加えて、「を備える」又は「から構成される」という言及によって、いかなる意味でも限定を意図するものではなく、読者は適宜に本明細書及び特許請求の範囲を解釈すべきである。
【0114】
更に、上述のように好ましい実施形態に関して本発明を記述してきたが、これらの実施形態は例示的なものに過ぎないことを理解されたい。当業者は、本開示の見地から変更形態及び代替形態を作成することができ、それらは添付の特許請求の範囲に入ると想定される。例えば、上述の発明が自立式ファン組立体だけでなく、他のタイプの環境制御ファン組立体にも等しく適用できる可能性があることを当業者は理解しよう。例として、このようなファン組立体は、自立式ファン組立体、天井取付型又は壁取付型のファン組立体、及び車載ファン組立体の何れでもよい。更に、上述の発明は、ヘアドライヤ又は他のヘアケア器具など、他のタイプの空気流生成デバイス又はブロワにも同様に適用可能である。
【0115】
別の例として、上述の弁機構が単一の直線移動可能式弁部材を含むのに対して、弁機構は、第1のフローベクタリング空気出口のサイズを第2のフローベクタリング空気出口のサイズに対して調整するために協働する複数の弁部材を含むことも同様に可能である。そのために、複数の弁部材は、それらが同時に動くように繋ぐことができる。更に、上述の実施形態では、弁部材の移動を駆動するために手動機構を使用するが、本明細書に記載するノズルは、代わりに、制御回路から受信した命令に応答して弁部材の移動を駆動するための弁モータを含むことができる。
【0116】
更に、ノズル及び出口は、上述したものとは異なる形状を有することができる。例えば、第1及び第2のフローベクタリング空気出口を提供するスロットは、円弧の一般形状を有するのではなく、各々が細長くてもよいし、楕円弧でもよい。同様に、ノズルは、球体の一般形状を有するのではなく、立方体、楕円体又は回転楕円体の一般形状を有することができる。その場合、ノズルの面は、円形ではなく、正方形、長方形、又は楕円形とすることができる。
【0117】
更に別の例として、上述の実施形態では、合成空気流の方向をノズルの前方に偏らせるために、弁部材に非対称の端止めと非対称のプロファイルの両方を設けるが、これらの特徴は、互いに独立して使用することができる。特に、弁部材に関する非対称の端止め又は非対称のプロファイルの何れかを使用して、ある程度の偏りを実現することができる。
【符号の説明】
【0118】
1202 空気入口
1203 第1のフローベクタリング空気出口
1207 弁部材
1208 円形面/面
1210 外側ケーシング
1211 円形面上の円形開口部
1212 円形ベースの円形開口部
1213 リップ
1214 内側ケーシング
1214c 第1の段付き側部分
1214d 第2の段付き側部分
1215 第1のサイドダクト
1216 第2のサイドダクト
1217 出口開口部又は側方空気出口
1218 出口開口部又は側方空気出口
1219 1対の羽根/空気整流羽根
1220 スピンドル
1221 空気入口案内部材
1234a 保持要素/移動可能式キャッチ
1234b 手動で作動可能な部材/押下可能なボタン
1234c 付勢部材
1235a 保持要素/移動可能式キャッチ
1235b 手動で作動可能な部材/押下可能なボタン
1235c 付勢部材
1239a 上側フィルタシール要素
1239b 環状プレート
図1
図2
図3
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図5
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図19A
図19B