(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】遠隔無線センシング装置
(51)【国際特許分類】
G08C 17/02 20060101AFI20221031BHJP
H04B 1/38 20150101ALI20221031BHJP
【FI】
G08C17/02
H04B1/38
(21)【出願番号】P 2021557894
(86)(22)【出願日】2020-03-16
(86)【国際出願番号】 US2020022921
(87)【国際公開番号】W WO2020205214
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-10-11
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ジンデル,グレッグ・イー
(72)【発明者】
【氏名】マクレスキー,ショーン・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ウェインバーガー,ロバート・エム
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特許第4208465(JP,B2)
【文献】国際公開第2017/205723(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線センサモジュールアセンブリであって、
ガスセンサ
であって、保護領域内に取り付け可能なセンサハウジングと、前記センサハウジング内に配置され、ガスをセンシングし、
センシングされたガスを示す
ガスセンサ信号を生成するように構成された
ガスセンシング素子
とを含
むガスセンサと、
無線デバイスであって、ユーザがアクセス可能な場所に取り付け可能であり、前記センサハウジングから離れて配置される無線デバイスハウジングと、前記
ガスセンサ信号を受信するように構成された通信回路部と、
前記無線デバイスハウジング内に配置され、プロセス産業無線標準プロトコルに従い、前記
ガスセンサ信号
に基づいて、無線情報を遠隔デバイスに転送するように構成された無線転送部
とを含む無線デバイスと、
前記
ガスセンシング素子を
前記無線デバイスの前記通信回路部に
物理的及び通信可能に接続する通信ケーブルと
を含む、
無線センサモジュールアセンブリ。
【請求項2】
前記通信ケーブルがシース及び絶縁体を含む、請求項1に記載の
無線センサモジュールアセンブリ。
【請求項3】
前記通信ケーブルが、前記センサ及び前記無線デバイスに電力を供給するための電力線を含む、請求項1に記載の
無線センサモジュールアセンブリ。
【請求項4】
第2のセンサを更に含み、前記第2のセンサが、第2の通信ケーブルを介して前記通信回路部に連結される第2のセンシング素子を含む、請求項1に記載の
無線センサモジュールアセンブリ。
【請求項5】
前記無線デバイスが、ユーザインタフェース機構部を含む、請求項1に記載の
無線センサモジュールアセンブリ。
【請求項6】
前記ユーザインタフェース機構部が、前記
ガスセンサでセンシングされた電流値を表示する表示部を含む、請求項
5に記載の
無線センサモジュールアセンブリ。
【請求項7】
前記ユーザインタフェース機構部が、作動時に前記
ガスセンサをキャリブレートするユーザ作動機構部を含む、請求項
5に記載の
無線センサモジュールアセンブリ。
【請求項8】
前記無線デバイスが、前記通信ケーブルを着脱可能に接続するケーブルインタフェースを含む、請求項1に記載の
無線センサモジュールアセンブリ。
【請求項9】
前記ケーブルインタフェースが工具不用のインタフェースである、請求項
8に記載の
無線センサモジュールアセンブリ。
【請求項10】
前記
ガスセンサがプロセス環境のアクセス不可能な領域に配置され、無線デバイスがプロセス環境のアクセス可能な領域に配置される、請求項1に記載の
無線センサモジュールアセンブリ。
【請求項11】
前記無線転送部が2.4GHz ISMバンドでデータを転送する、請求項1に記載の
無線センサモジュールアセンブリ。
【請求項12】
前記通信ケーブルが、前記ガスセンサ信号が前記無線転送部に受信されるように、
前記ガスセンシング素子を前記無線転送部に接続するシールド通信ケーブル
であり、
ここで、前記シールド通信ケーブルが、前記
ガスセンシング素子に接続する第1の端部と、前記無線デバイスハウジングのバスに着脱可能に接続する第2の端部
とを含む、
請求項1に記載の無線センサモジュールアセンブリ。
【請求項13】
前記無線デバイスハウジングのバスが複数のポートを含み、各ポートが、複数のセンサに通信可能に接続される複数のシールド通信ケーブルのうちの1つを受けるよう構成されている、請求項
12に記載の
無線センサモジュールアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
プロセス産業では、特定のガスの存在を検出するために、しばしば安全システムの一部としてガスセンサが使用される。多くのガスが人の健康や環境に有害である可能性があるため、これは重要である。工業用ガスセンサは、通常、プラント又は制御室のプロセス領域又は保護対象領域の近傍に設置される。一般的に、工業用のガスセンサは固定位置に設置され、ケーブルがガスセンサをモニタリングシステムに接続している。
【0002】
上述の議論は、単に一般的な背景情報を提供するものであり、クレームされた要旨の範囲を規定する際の一助として利用されることを意図するものではない。
【発明の概要】
【0003】
センサモジュールアセンブリは、流体の特性をセンシングし、その特性を示すセンサ信号を生成するように構成されたセンシング素子を収容するセンサハウジングを含む。センサモジュールアセンブリは、センサ信号を受信するように構成された通信回路部と、センサ信号を遠隔デバイスに無線で転送するように構成された無線転送部とを収容する無線デバイスハウジングを含む。センサモジュールアセンブリはまた、センサハウジング内のセンシング素子を無線デバイスハウジング内の通信回路部に通信可能に接続する通信ケーブルを含む。
【0004】
この要約は、以下の詳細な説明で更に説明される概念の一選択を簡略化した形式で紹介するために提供される。この要約は、クレームされた要旨事項の主要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、また、クレームされた要旨事項の範囲を規定する際の一助として利用されることを意図するものでもない。クレームされた要旨は、背景技術に記載されたいずれか又は全ての欠点を解決する実施に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、無線センサアセンブリの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、センサ及び無線デバイスアセンブリの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、複数センサ及び無線デバイスアセンブリの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、センサ及び無線デバイスアセンブリの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
ガスセンサは、燃焼性、可燃性及び毒性のガスを検出するために使用することができる。ガスセンサは、赤外線点センサ、超音波センサ、電気化学ガスセンサ及び半導体センサを含むことができる。
【0007】
図1は、センサシステムの一例を示す図である。センサシステム100は、図に示されるように、プロセス104の特性をセンシングするセンサモジュール102を含む。特性をセンシングするために、センサモジュール102はプロセス104と接触するセンシング素子108を有する。例えば、センシング素子はガスセンサであってもよく、プロセス104は1つ以上のガスを含むことができる。例えば、センシング素子108は二酸化炭素検出器であってもよく、プロセス104は二酸化炭素に敏感な生体反応を含む。
【0008】
センサモジュール102は、センシング素子108に連結された回路が収容され保護されるハウジング106を含む。ハウジング106は、センシングされた特性の無線通信を別の遠隔デバイスに転送することを可能にする無線コンポーネント112に連結された通信回路も収容する。
【0009】
センサモジュール102はまた、ユーザインタフェース110も含む。ユーザインタフェース110は、センシング素子108によってセンシングされる特性を示す電流値を示す表示部を含むことができる。例えば、プロセス104中の一酸化炭素濃度を百万分率(PPM)で示す値、又はプロセス104中の酸素濃度をパーセントで示す値である。ユーザインタフェース110は、センサモジュール102の制御を可能にするユーザ作動機構部を有することもできる。例えば、センサモジュール102と遠隔デバイスとの間の無線接続を確立することを容易にする機構である。
【0010】
センサモジュールのハウジング106内に無線コンポーネントを有することは利便性があるが、センサモジュール102(すなわち、ユーザインタフェース110)が制限された空間又はアクセス不可能な空間にあるときに無線接続を確立することは問題が生じ得る。加えて、プロセス環境内の各センサモジュール102に無線コンポーネント112を持たせることは、コストがかかるとともに、プロセス環境の管理の複雑さを増大させる場合もある。
【0011】
図2は、遠隔センサ及び無線デバイスのアセンブリの一例を示す図である。図に示されるように、遠隔センサ202は、アクセス不可能な領域201内にあって、プロセス204の特性をセンシングする。例示では、遠隔センサ202は、遠隔センサ202内のセンシング素子によってセンシングされるデータの長距離通信を可能にする無線コンポーネントを含まない。その代わりに、遠隔センサ202は、遠隔センサ202から遠隔デバイス(例えば、プロセス制御ステーション、データ解析センターなど)にデータを無線転送することができる無線デバイス206に接続されている。遠隔センサ202は、有線接続(例えば、ケーブル208)を介して無線デバイス206にデータを送信する。
【0012】
ケーブル208は、遠隔センサ202への接続を可能にする第1のインタフェース207と、無線デバイス206への接続を可能にする第2のインタフェース209とを有する。インタフェース207及びインタフェース209は、永久接続(例えば、はんだ、圧着など)及び/又は着脱可能な接続(例えば、オス/メス接続、接点接続など)を含むことができる。
【0013】
インタフェース209はケーブルインタフェース210を介して無線デバイス206に間接的に接続され得る。図示されるように、ケーブルインタフェース210は、無線デバイス206に対する着脱可能な接続を可能にするピン及びロック機構を含むインタフェースバスを含む。他の例において、ケーブルインタフェース210は、他の方法で無線デバイス206に接続されてもよい。ケーブルインタフェース210はまた、
図3に示されるように、複数のケーブルを無線デバイス206に接続可能とするものでもよい。
【0014】
図に示されるように、遠隔センサ202はアクセス不可能な領域201内にあり、無線デバイス206はアクセス可能な領域203内にある。アクセス可能な領域は、ユーザが比較的容易に出入りできる領域を含む。例えば、アクセス可能な領域は、ユーザが危険物保護具(例えば、人工呼吸器、化学防護服、放射線防護具など)を装着せずに入ることを可能にし得る。他の例として、保護具を必要としない場合であっても、他のデバイスの背後、作業領域からかなり上方又は下方、狭いスペース内など、物理的にアクセスが困難な領域はアクセス不可能であり得る。したがって、センサ202がアクセス不可能な領域201内にある場合には、無線接続を制御するためのインタフェースなどのユーザインタフェースをアクセス可能な領域203内に有することが有利であり得る。例えば、無線デバイス206は、
図1のユーザインタフェース110と同様のユーザインタフェースを含むことができる。
【0015】
図3は、無線デバイスに連結された複数のセンサを示す図である。図に示されるように、センサ202-1はケーブル208-1を介して無線デバイス206に連結され、センサ202-2は、ケーブル208-2を介して無線デバイス206に連結される。ケーブル208-1及びケーブル208-2の双方は、インタフェース209への直接接続を介して無線デバイス206に連結されている。他の例では、ケーブル208-1又はケーブル208-2のうちの一方のみがインタフェース209へ直接接続されてもよく、或いは遠隔センサ202-1及び遠隔センサ202-2がケーブル208-3を介して相互に接続され、それらでセンシングされたデータがケーブル208-1又はケーブル208-2のいずれかを介して無線デバイス206に送信されてもよい。この方式では、センサが互いにチェーン接続され、一方のケーブルのみが無線デバイス206に連結され、センサ202-1及び202-2の双方からデータを送信する。他の例では、各センサ202のための無線デバイス206であってもよい。
【0016】
図4は、センサ及び遠隔無線デバイスのアセンブリの例を示すブロック図である。この例示では、センサ202は、ケーブル208を介して無線デバイス206に連結され、通信している。センサ202は、センサ202の機能を提供する様々なコンポーネントを収容し、さもなくば連結するハウジング211を含む。
【0017】
センサ202は、物体又は環境と直接的又は間接的に接触し、その物体又は環境の特性をセンシングするセンシング素子212を含む。センシング素子212は、それがセンシングする特性を示すセンサ信号を生成する。例えば、センシング素子212は、プロセス204の特性をセンシングし、その特性に応じて変化する電圧を出力することができる。測定回路214は、センシング素子212によって生成されたセンサ信号を調整又は処理すべく、センシング素子212に通信可能に接続されている。例えば、測定回路214は、増幅器、アナログ-デジタル変換器、フィルタなどを含むことができる。例えば、センサ202が所与のアナログ電圧を出力するものと仮定すると、この場合、測定回路214は、アナログ-デジタル変換器と、電圧を計量値(例えば、パーセントで表した酸素濃度)に変換する何らかの処理ロジックとを含むことができる。
【0018】
センサ202はまた、測定回路214及びケーブルインタフェース218に通信可能に接続された通信回路216を含む。通信回路216は、測定回路214から他のコンポーネント(例えば、無線デバイス206)にデータを送信することができる。送信に先立ち、通信回路216はデータを更に処理することができ、例えば、送信のためより適切な形式にデータを編成することができる(例えば、エンコードなど)。図に示されるように、通信回路216は、ケーブルインタフェース218を介しケーブル208を通じて他のコンポーネントにデータを送信する。
【0019】
ケーブルインタフェース218は、ケーブル208のインタフェース207への永久接続(例えば、はんだ、圧着など)及び/又は着脱可能な接続(例えば、オス/メス接続、接点接続など)を含むことができる。ケーブルインタフェース218はまた、
図3のケーブル208-3のような、センサ202同士のチェーンを可能にするための接続を含むことができる。
【0020】
センサ202の上述のコンポーネントは、電源220によって電力が供給され得る。いくつかの例で、センサ202は、付加された又は外部の電源によって電力が供給され得る。もちろん、これらのコンポーネントは例に過ぎず、センサ202は、ブロック226で示されるように他のアイテムも含むことができる。
【0021】
通信ケーブル208は、例えば、センサ202に連結するインタフェース207と、無線デバイス206に連結するインタフェース209とを含む。インタフェース207及び/又はインタフェース209は、それぞれのコンポーネントへの接続を容易にするために、永久接続(例えば、はんだ、圧着など)を含むことができ、及び/又は着脱可能な接続(例えば、オス/メス接続、接点接続など)を含むことができる。いくつかの例で、センサ202は、インタフェース209を有し、ケーブル208を使用することなくケーブルインタフェース210に直接接続され得る。
【0022】
通信ケーブル208は、通信ライン228を介してセンサ202と無線デバイス206との間のデータ送信を容易にする。通信ライン228は、様々な異なるデータ導管を含むことができる。例えば、通信ライン228は、導電性材料(銅、銀、金など)、光ファイバなどを含むことができる。いくつかの例で、通信ケーブル208は、電力ライン230を介してセンサ202又は無線デバイス206に電力を供給し得る。
【0023】
通信ケーブル208は、物理的接触、化学物質、紫外線又は他の摩耗若しくは損傷から保護するシース232を含むことができる。通信ケーブル208はまた、通信ライン228及び電力ライン230を外部からの影響から保護する絶縁体234を含む(例えば、電気/磁気/放射妨害、ノイズなど)。通信ケーブル208は、ブロック236で示されるように他のアイテムも含むことができる。
【0024】
無線デバイス206は、無線デバイス206のコンポーネントを収容するか、さもなくば連結するハウジング248を含む。上述のように、無線デバイス206は、ケーブル208を介してセンサ202から受信したデータを無線で転送する。ケーブル208は、ケーブルインタフェース210を介して無線デバイス206に物理的に連結している。ケーブルインタフェース210は、永久接続(例えば、はんだ、圧着など)を含むことができ、及び/又はケーブル208を無線デバイス206に連結可能にするは着脱可能な接続(例えば、オス/メス接続、接点接続など)を含むことができる。いくつかの例で、ケーブル208は、工具を用いずに無線デバイス206に連結することができる。
【0025】
無線デバイス206は、ケーブルインタフェース210を介して信号を受信し処理するセンサ通信回路250を含む。そして、無線デバイス206は、このデータを遠隔デバイスに無線で転送することができる。プロセス産業における無線通信プロトコルのいくつかの好ましい例には、ハイウェイアドレス可能遠隔リモートトランスデューサ(HART)(登録商標)プロトコル、FOUNDATION(商標)フィールドバスプロトコル、又は、IEC62591(2.4GHz ISMバンド)などの無線プロセス通信プロトコルが含まれる。この無線転送無線通信回路252は、無線コンポーネント254を介して遠隔地へ無線転送するための信号を処理する。無線コンポーネント254は、アンテナ及び他の放送コンポーネントを含むことができる。センサ通信回路250は、データ又はコマンドをセンサ202に送信することもできる。例えば、ユーザは、無線デバイス206のユーザインタフェースコンポーネント256を作動させて、センサ202(例えば、接続の確立、キャリブレーションの実行、センサ感度の制御など)の動作を制御することができる。
【0026】
ユーザは、ユーザインタフェースコンポーネント256を介して無線デバイス206と対話して、無線デバイス206(及び引き延ばされたセンサ202を介し)と別の遠隔デバイスとの間の無線接続を初期化することができる。ユーザインタフェースコンポーネント256は、表示部、電気ボタンなどを含むことができ、これらはまた、無線デバイス206及びケーブル208を介して無線デバイス206に連結された任意のセンサ202の他の機能の制御を容易にすることができる。
【0027】
無線デバイス206の上述したコンポーネントは、電源258によって電力が供給され得る。いくつかの例で、無線デバイス206は、付加された若しくは外部の電源又は電力ライン230により電力が供給され得る。もちろん、上述のコンポーネントは例に過ぎず、無線デバイス206は、ブロック260で示されるように他のアイテムも含むことができる。
【0028】
本発明を好ましい実施形態を参照して説明したが、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細に変更を加えることができることが理解されよう。