(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】マスク補助部材及びマスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20221031BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
(21)【出願番号】P 2022508876
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(86)【国際出願番号】 JP2020041442
(87)【国際公開番号】W WO2021240841
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-02-09
(31)【優先権主張番号】P 2020094895
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522054008
【氏名又は名称】小田 吉亮
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小田 吉亮
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録実用新案第20-0373952(KR,Y1)
【文献】登録実用新案第3155829(JP,U)
【文献】特開2017-192679(JP,A)
【文献】米国特許第07044127(US,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0058549(KR,A)
【文献】特開2011-120647(JP,A)
【文献】特開平10-313846(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0015127(KR,A)
【文献】中国実用新案第212661116(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/11
A62B18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクに装着されるマスク補助部材であって、
前記マスクを貫通する周壁であって、前記マスクの外側と内側とに向けて開口する開口部を画定する周壁と、
前記開口部を覆うように配置されるスリット弁を有する第1部材と、
一方向弁を有する第2部材であって、前記第1部材との間に前記マスクを挟むように配置される第2部材と、
を備え、
前記スリット弁は押圧によって開くように構成され、
前記第1部材および前記第2部材のうち少なくとも一方が前記周壁を有し、
前記第1部材および前記第2部材のうち一方は、他方に向けて突出する突起部を有し、前記他方は前記突起部と係合する溝を有し、
前記突起部が前記溝に係合することによって、前記マスク補助部材が前記マスクに着脱可能に装着される、
マスク補助部材。
【請求項2】
前記周壁が貫通可能な貫通孔を有する装飾部材をさらに備え、
前記装飾部材は、前記第1部材と前記マスクとの間に配置される、
請求項1に記載のマスク補助部材。
【請求項3】
前記マスクと、前記マスクの着用者の口との間に空間を画定するように構成されるスペーサーをさらに備え、
前記スペーサーは、前記周壁が挿通可能なフレームを有する、
請求項1
または2に記載のマスク補助部材。
【請求項4】
着用者の口と対応する位置に孔を有するマスク生地と、
前記孔を覆うように前記マスク生地に装着される、請求項1~
3のうち何れか一項に記載のマスク補助部材と、を備える、マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マスク補助部材及びマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、マスクの中央部分であって、着用者の口元を覆う折重ね部分に、横長の切り込み点線を入れる技術を開示している。この技術によれば、切り込み点線に沿ってマスクの中央部分を開けば、この開口を通じて、マスクを外さずに飲み物を飲むことができる。
【0003】
特許文献2には、着用者の顔全体を覆う防護マスクを装着したまま、水を飲むことができる防護マスクの水飲み装置が開示されている。防護マスクは、水筒に接続された第1端と、防護マスクを貫通してその内側に配置される第2端とを有するチューブを備える。このチューブは、防護マスクに対して気密に取り付けられている。そのため、外気による防護マスク内の汚染が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】登録実用新案第3157299号公報
【文献】実開平6-034652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されるマスクの着用者は、マスクを着用したまま飲み物を飲むことができる。しかしながら、切り込み点線に沿ってマスクの中央部分が開けられると、着用者の口元が露出し、マスク本来の機能が阻害される。
【0006】
また、特許文献2に示される防護マスクの着用者は、マスク内が外気によって汚染されることなく、マスクを着用したまま水を飲むことができる。しかしながら、この水飲み装置は構造が比較的複雑なので、衛生マスクに簡易に装着することは困難である。
【0007】
本開示の課題は、マスクの着用者の口及び鼻先を露出することなく、その口元付近に挿入物を到達させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係るマスク補助部材は、マスクに装着される。前記マスク補助部材は、前記マスクを貫通する周壁であって、前記マスクの外側と内側とに向けて開口する開口部を画定する周壁と、前記開口部を覆うように配置される開閉体と、を備える。前記開閉体は押圧によって開くように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係るマスクおよびマスク補助部材の使用状態を示す模式図。
【
図3】第2実施形態に係るマスク補助部材が装着されたマスクの正面図。
【
図6】
図3のマスク補助部材の作用を説明する断面図。
【
図7】
図3のマスク補助部材の作用を説明する断面図。
【
図8】第2実施形態のマスク補助部材の第1変更例を示す断面図。
【
図9】第2実施形態のマスク補助部材の第2変更例を示す断面図。
【
図10】第3実施形態に係るマスク補助部材の断面図。
【
図13】第4実施形態に係るマスク補助部材の斜視図。
【
図17】第5実施形態に係るマスク補助部材の斜視図。
【
図21】第6実施形態に係るマスク補助部材およびマスクの断面図。
【
図22】第2、第3および第6実施形態に係るマスク補助部材およびマスクの使用状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて、マスク補助部材1およびマスク100の実施形態について説明する。以下の実施形態は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0011】
図において、Y軸はマスク100の外方を示し、その反対方向がマスク100の内方、すなわち着用者103の顔に近づく方向を示す。Z軸は鉛直下方を示し、その反対方向が上方を示す。X軸は、Y軸およびZ軸と直交し、幅方向を示す。
【0012】
<第1実施形態>
図1に示すように、マスク100は、着用者103の口および鼻先を覆う生地105と、1以上(例えば2つ)の掛け紐106とを備える。生地105は、例えば不織布、布、またはウレタンで製造されてもよい。
【0013】
図2に示すように、生地105は、着用者103の口と対応する位置に孔104を有する。マスク補助部材1は、孔104を覆うようにマスク100、より詳細には生地105に装着される。マスク補助部材1は、マスク100に着脱可能に装着されてもよい。
【0014】
マスク補助部材1は、周壁40と、スリット弁43および一方向弁70の少なくとも一方と、を備える。スリット弁43および一方向弁70は、開閉体の一例である。
【0015】
周壁40は、マスク100の外側と内側とに向けて開口する開口部を画定する。より詳細には、周壁40は、マスク100の外側に向けて開口する第1開口部13と、マスク100の内側に向けて開口する第2開口部23と、を画定する。開口部13,23の形状は任意に変更することができ、例えば環状であってもよいし、矩形であってもよい。
【0016】
スリット弁43は、第1開口部13を覆うように配置される。一方向弁70は、第2開口部23を覆うように配置される。スリット弁43および一方向弁70は、切り込み(スリット)を有する弾性部材であってもよいし、撓み変位可能なフィルムであってもよい。あるいは、スリット弁43および一方向弁70は、対応する開口部13,23の異なる領域を覆う複数の弾性体であってもよい。
【0017】
スリット弁43および一方向弁70は、例えば、中心から放射方向に延びる複数のスリットを有してもよい。スリットの形状は、例えば、アスタリスク、十文字、一文字、U字、またはV字であってもよい。スリット弁43および一方向弁70は、同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
【0018】
マスク補助部材1は、周壁40の第1端に配置される第1フランジ41と、周壁40の第2端に配置される第2フランジ42と、を備えてもよい。第1フランジ41が生地105の外側に配置される場合、第2フランジ42は生地105の内側に配置される。
【0019】
周壁40、第1フランジ41、またはスリット弁43のうち少なくとも2つは、一体に形成されていてもよい。周壁40、第2フランジ42、または一方向弁70のうち少なくとも2つは、一体に形成されていてもよい。
【0020】
一体に形成されなかった複数の部分同士は、互いに組み合わせることにより、
図2に示す組立体とすることができる。この組み合わせ時には、第1フランジ41と第2フランジ42との間に生地105を配置するとよい。スリット弁43および一方向弁70は、他の部材に対して、着脱可能に装着されてもよい。
【0021】
次に、第1実施形態の作用を説明する。
【0022】
スリット弁43および一方向弁70は、周壁40、すなわち第1開口部13および第2開口部23を通過可能な挿入物101、例えばストロー、吸い口またはコップの押圧によって開くように構成される。これにより、マスク補助部材1は、挿入物101の通過を許容する。挿入物101によって開かれたスリット弁43および一方向弁70は、挿入物101が引き抜かれると、元の位置に戻る。そのため、開閉のための操作をすることなく、挿入物101を出し入れする動作によって、スリット弁43および一方向弁70を開閉することができる。
【0023】
一方向弁70は、第1開口部13から第2開口部23に向けて作用する力によって開き、かつ、第2開口部23から第1開口部13に向けて作用する力によって閉じる。そのため、着用者103の呼気、すなわち着用者103から外へ向かう気流は、一方向弁70によってその流れが阻害される。詳しくは、外に向かう気流によって一方向弁70が閉じるので、第2開口部23が塞がれる。
【0024】
以下に、第1実施形態の効果を説明する。
【0025】
(1-1)マスク100の着用者103は、スリット弁43および一方向弁70を通じて、その口元付近に挿入物101を到達させることができる。その結果、着用者103はマスク100を付けたまま、飲料102を飲むことができる。
【0026】
(1-2)着用者103の呼気により一方向弁70が第2開口部23を閉じるので、マスク100内の気流が開口部23,13を通過して外に流出しにくい。
【0027】
(1-3)フランジ41,42により、マスク補助部材1のマスク100からの脱落を抑制することができ、また、孔104と周壁40との間を通じた気流の流動を抑制できる。
【0028】
(1-4)フランジ41,42でマスク100を挟むようにマスク補助部材1を組み立てることにより、マスク補助部材1をマスク100に対して容易に着脱できる。
【0029】
(1-5)スリット弁43または一方向弁70の少なくとも一方を着脱可能にすることにより、その弁43,70が汚れたり壊れたりしたときには、容易に取り外して洗浄または交換をすることができる。
【0030】
以降の実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付して、それらの作用および効果の説明を省略する。第1実施形態に含まれる構成と以下に記載する実施形態に含まれる構成とは、技術的に矛盾しなければ、互いに組み合わせることができる。
【0031】
<第2実施形態>
図3~
図5に示すように、第2実施形態に係るマスク補助部材1は、円環状の第1部材10と、円環状の第2部材20と、円盤状の第1弾性部材11と、円盤状の第2弾性部材21とを備える。第1弾性部材11はスリット弁43の弁体である。第1弾性部材11は、挿入物101が通過可能な切り込み(スリット)12を有する。第1部材10および第2部材20は、例えば、樹脂製である。弾性部材11,21は、例えば、ゴム製またはウレタン製であってもよい。
【0032】
図5に示すように、第1部材10は、挿入物101が通過可能な第1開口部13と、マスク100の外側に配置される第1フランジ41とを有する。第2部材20は、周壁40と第2フランジ42とを有する。第2フランジ42は、第1部材10との間に生地105を挟むように配置される。
【0033】
図5に示すように、円形の第1開口部13は、第1部材10の中心部を貫通している。第1弾性部材11は、第1開口部13を覆うように、第1部材10の外面に取り付けられている。着用者103が第1弾性部材11の外側から挿入物101を切り込み12に押し当てると、第1弾性部材11が弾性変形して、挿入物101の第1開口部13内への進入が可能になる。
【0034】
第2部材20は、挿入物101が通過可能な第2開口部23を有する。第2開口部23は、第2部材20の中心部を貫通している。切り込み12は例えば十字状であり、その中心は第2開口部23の中心45と一致してもよい。第2部材20は、中心45より上方に取付面22を有する。
【0035】
第2弾性部材21は、第2開口部23を覆うように取付面22に取り付けられてもよい。第2弾性部材21の上部は固定端であり、下部は自由端である。そのため、挿入物101が外側から第2弾性部材21を押すと、第2弾性部材21は取付面22に取り付けられていない部分が弾性変形する。このとき弾性変形する部分が、第2開口部23を開閉するように配置される一方向弁70の弁体である。
【0036】
第1部材10は第2部材20に向けて突出する円環状の突起部14を有する。第2部材20は、その外面に円環状の係合溝24を有する。突起部14が係合溝24に係合することで、マスク補助部材1は、第1部材10と第2部材20の間に生地105を挟んだ状態でマスク100に着脱可能に装着される。
【0037】
突起部14の先端は、鋭角をなすように尖っていてもよい。突起部14の先端は、例えば、第1部材10の外周縁から内周縁に向かって傾斜していてもよい。例えば不織布製の生地105を突起部14と係合溝24とで挟むことにより、突起部14の先端によって生地105の一部を円形に切り取ってもよい。これにより、生地105には円孔104(
図2参照)が形成される。つまり、先端の傾斜は、生地105を切り抜くことができる角度であるとよい。
【0038】
突起部14の先端で切り抜かれた布地は、第1開口部13または第2開口部23を通じて取り出すことができる。ただし、切り取られた布地は、第1部材10を第2部材20から取り外した上で取り出してもよい。これに代えて、マスク補助部材1とは別の道具を使って、マスク補助部材1の装着前に生地105に孔104をあけておいてもよい。
【0039】
第2実施形態のマスク補助部材1の作用について説明する。
【0040】
図6は、挿入物101がマスク補助部材1を通じて生地105を貫通した状態を示す。挿入物101の先端が第1弾性部材11の切り込み12に挿入されると、挿入物101が切り込み12、開口部13,23を通過して、第2弾性部材21に達する。そして、挿入物101が第2弾性部材21を押すと、第2弾性部材21の下部が上方にめくり上がる。これにより、挿入物101の先端が着用者103の口に到達する。その結果、着用者103は、マスク100を着用したまま、飲料102(
図1参照)を飲むことができる。
【0041】
図7は、第2弾性部材21が着用者103の呼気に対する逆流防止弁として機能することを説明している。第2弾性部材21は、着用者103の呼気、すなわち着用者103から外へ向かう気体の流れを阻害する。詳しくは、外に向かう気流によって第2弾性部材21が第2部材20に押し付けられ、第2開口部23が第2弾性部材21によって塞がれる。そのため、マスク100内の気流が開口部23,13を通過して外に流出しにくい。
【0042】
第2実施形態によれば、上記実施形態の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0043】
(2-1)突起部14と係合溝24とで生地105に孔104をあけることができる。
【0044】
<第2実施形態の第1変形例>
図8に示す第1変形例のように、第1弾性部材11は第1部材10の外面と第1部材10の内面との間に配置されてもよい。第1弾性部材11は第1部材10と一体形成されてもよい。この場合も、挿入物101は、切り込み12を通じて第1開口部13を通過することができる。
【0045】
第2弾性部材21の上部は、第2部材20の外面と第2部材20の内面との間に配置されてもよい。第2弾性部材21は第2部材20と一体形成されてもよい。この場合においても、第2弾性部材21の下部は自由端であるとよい。
【0046】
<第2実施形態の第2変形例>
図9に示す第2変更例のように、突起部14の形状を変更してもよい。例えば、突起部14の先端は、第1部材10の外周縁および内周縁から中央に向かって傾斜していてもよい。
【0047】
第2変形例のマスク補助部材1は、綿織物を重ね合わせたガーゼタイプのマスクに好適に用いることができる。この場合、生地105の口元付近には予め孔104をあけておき、この孔104を挟むようにマスク補助部材1をマスク100に装着するとよい。
【0048】
<第3実施形態>
図10に示すように、第3実施形態のマスク補助部材1は、第1部材10と、第2部材20と、第1弾性部材11と、第2弾性部材21と、を備える。第1部材10は、第1フランジ41と、第1開口部13と、溝24である雌ねじとを有する。第2部材20は、第2フランジ42と、周壁40と、第2開口部23とを備える。周壁40は突起部14でもあり、突起部14は雄ねじでもある。
【0049】
第1弾性部材11は、係合フランジ15と、内周面17と、第2弾性部材21に接触する止め面18を有してもよい。止め面18は、係合フランジ15の先端面(
図10では右端面)である。内周面17は、止め面18から第1開口部13に向けて直径が拡大するように円錐状に傾斜していてもよい。内周面17がこのように傾斜することにより、止め面18の面積を広くすることができる。また、内周面17の傾斜により、挿入物101を第1開口部13から第2開口部23に向けて案内することができる。
【0050】
第2弾性部材21は係合フランジ15に係合する係合リム25を有してもよい。第1弾性部材11および第2弾性部材21は、係合フランジ15と係合リム25が互いに係合した状態で、周壁40の内周側に収容される。弾性部材11,21の素材は、例えば、シリコンまたはエラストマーである。
【0051】
図11および
図12に示すように、第1弾性部材11はスリット弁43であり、十字状の切り込み12を有する。第2弾性部材21はU字状の切り込み26を有する。切り込み26により画定される第2弾性部材21のU字状の舌片は、一方向弁70の弁体28である。
【0052】
図11に示すように、第1部材10または第1フランジ41は、滑り止め19を有してもよい。滑り止め19は、例えば、周方向に沿って配置された複数の突起である。第2部材20または第2フランジ42は、指でつかむできる手かけ部27を有してもよい。手かけ部27は、例えば、第2フランジ42の外縁に沿って配置された複数の凹部である。
【0053】
マスク補助部材1は、第1フランジ41と第2フランジ42との間に配置される装飾部材50を備えてもよい。装飾部材50は周壁40が貫通可能な貫通孔51を有する。装飾部材50は、貫通孔51に沿って配置される1以上(例えば、3つ)の受け部52を有してもよい。
【0054】
図12に示すように、装飾部材50は、貫通孔51に沿って配置される複数の凸部53を有してもよい。凸部53は、装飾部材50の内面、すなわち第2部材20に対面する面から、第2部材20に向けて突出している。凸部53は、例えば尖った先端を有してもよい。
【0055】
装飾部材50は、例えば、動物またはキャラクターの形を模した、任意の形状、色彩、素材、模様、または色を有することができる。装飾部材50には、シール、ラベル、または別の装飾パーツ(例えば、金属パーツ、ファー、またはシリコンなど)を取り付け可能であってもよい。これに代えて、あるいはこれに加えて、装飾部材50は、文字またはイラストを描きこむことのできる領域を有してもよい。
【0056】
第1部材10は、受け部52に係合するように配置された1以上(例えば、3つ)の位置決め部16を有してもよい。受け部52が切り欠きまたは凹部である場合、位置決め部16は装飾部材50に向けて突出する突起であってもよい。受け部52が突起である場合、位置決め部16は切り欠きまたは凹部であってもよい。
【0057】
次に、第3実施形態の作用を説明する。
【0058】
マスク補助部材1をマスク100に取り付ける時には、まず、周壁40の内周側に弾性部材11,21を収容する。次に、第2部材20の周壁40をマスク100の孔104に通す。そして、突起部14の雄ねじを溝24の雌ねじに螺合させる。これにより、第1部材10と、第2部材20と、第1弾性部材11と、第2弾性部材21と、が一体に組み合わされる。同時に、マスク補助部材1がマスク100に装着される。
【0059】
マスク補助部材1に装飾部材50を追加する場合には、第1部材10を第2部材20と組み合わせる前に、第1部材10に装飾部材50を係合させる。より詳細には、受け部52と位置決め部16とを係合させることにより、装飾部材50を第1部材10に対して適切な向きに配置する。そして、周壁40を孔104に通した後、周壁40を装飾部材50の貫通孔51に通して、突起部14の雄ねじを溝24の雌ねじに螺合させる。これにより装飾部材50が第1部材10を第2部材20との間に挟まれると、装飾部材50の複数の凸部53が第2フランジ42の外面である平坦面に接触する。
【0060】
第1部材10を第2部材20とは、雄ねじと雌ねじを緩めることで容易にマスク100から取り外すことができる。そのため、装飾部材50、第1弾性部材11(スリット弁43)、および第2弾性部材21(一方向弁70)の交換が容易である。
【0061】
弁体28は、切り込み12を通過した挿入物101によって押されると開き、挿入物101が抜かれると、元の位置に戻る。また、着用者103の呼気が弁体28に当たると、弁体28は止め面18に押し付けられる。これにより、第2開口部23が閉じられる。
【0062】
第3実施形態によれば、上記実施形態の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0063】
(3-1)装飾部材50により、マスク100を個人の好みに合わせて飾り付けることができる。
【0064】
(3-2)位置決め部16を受け部52と係合させることにより、装飾部材50のデザインに応じて、装飾部材50を第1部材10に対して正しく位置決めすることができる。
【0065】
(3-3)突起部14(雄ねじ)の溝24(雌ねじ)に対する締め方を調節することにより、装飾部材50の厚さに応じて第1フランジ41と第2フランジ42との間の距離を調整することができる。このとき、手かけ部27と滑り止め19があるので、ねじが締めやすい。
【0066】
(3-4)複数の凸部53が第2フランジ42に接触することにより、装飾部材50と第2部材20とが接触した場合の摩擦抵抗が増す。よって、装飾部材50を第2部材20に対してしっかりと固定できる。
【0067】
<第4実施形態>
図13~
図16に示すように、第4実施形態のマスク補助部材1は、第1部材10と、第2部材20と、スペーサー60と、を備える。第1部材10は、第1フランジ41と、スリット弁43と、溝24と、を有する。スリット弁43は、例えば十字状の切り込み12を有する。
【0068】
第2部材20は、第2フランジ42と、突起部14と、周壁40と、一方向弁70とを有する。周壁40は、その一端(マスク100の外側にある端)から第2部材20の半径方向外側に向けて突出する環状の突起部14を有する。周壁40の開口およびフランジ41,42の外形は矩形であってもよい。一方向弁70は、例えば、ダックビル弁であり、2つの傾斜壁71,72と、直線状の切り込み73とを有する。
【0069】
スペーサー60は、第1フレーム61と、複数(例えば、4本)のアーム62と、第2フレーム63とを有する。各アーム62は、第1フレーム61に接続される第1端と、第2フレーム63に接続される第2端とを有する。第1フレーム61は、周壁40に沿う形状を有する。スペーサー60、特に複数のアーム62は、弾性変形可能である。
【0070】
周壁40は第1フレーム61内に挿通される。第2フレーム63は、生地105の内側において、着用者103の顔、例えば鼻および頬の形状に沿う形状を有してもよい。スペーサー60は、生地105と着用者103の口との間に空間を画定する。一方向弁70であるダックビル弁は、この空間に収容される。
【0071】
次に、第4実施形態の作用を説明する。
【0072】
マスク補助部材1をマスク100に装着するときには、突起部14を弾性変形させて、突起部14および周壁40を第1フレーム61内に挿通する。これにより、スペーサー60と第2部材20とが組み合わされる。次に、突起部14を弾性変形させて、生地105の孔104に周壁40を通す。その後、突起部14を弾性変形させて溝24に係合させると、マスク補助部材1がマスクに着脱可能に装着される。マスク補助部材1は、装着時と同様に、突起部14を弾性変形させることにより、マスク100から容易に取り外すことができる。
【0073】
着用者103が飲料の入った容器、例えばコップ(挿入物101)をスリット弁43に押し付けると、コップは切り込み12を通じて周壁40の内側に入る。さらに、着用者103がコップを口に近づけると、コップは傾斜壁71,72に案内されて、切り込み73に近づく。このとき、押圧によりアーム62が弾性変形して、コップとともに傾斜壁71,72が着用者103に近づき、切り込み73が着用者103の口まで到達する。
【0074】
第4実施形態によれば、上記実施形態の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0075】
(4-1)スペーサー60が画定する空間により、生地105および一方向弁70が着用者103に接触しにくい。
【0076】
(4-2)着用者103は、マスク100を付けたまま、コップまたは吸い口から切り込み73を通じて、飲料を飲むことができる。
【0077】
<第5実施形態>
図17~
図20に示すように、第5実施形態では、フランジ41,42およびフレーム61,63の正面形状が概して円形である点が、第4実施形態と異なる。第5実施形態のマスク補助部材1は、概ね第4実施形態と同様の構成を備えるので、その他の説明は省略する。
【0078】
<第6実施形態>
図21に第6実施形態のマスク補助部材1およびマスク100を示す。このマスク補助部材1は、生地105と一体に形成された第3弾性部材31を備える。第3弾性部材31は切り込み32を有するスリット弁である。第3弾性部材31は生地105と一体に形成される。第3弾性部材31は、第1弾性部材11と同様の材質で構成することができる。
【0079】
第3弾性部材31の切り込み32が弾性変形することで、切り込み32を介してストローが第3弾性部材31に挿入される。これにより、挿入されたストローが、マスク着用者の口元付近に到達することになる。第6実施形態のマスク補助部材1は、一方向弁を備えない。
【0080】
図22は、第2、第3および第6実施形態に係るマスク補助部材1およびマスク100の使用状態を示す。
【0081】
上記実施形態は以下に示す変更例のように変更してもよい。
【0082】
・開閉体は一方向弁であってもよい。すなわち、マスク補助部材1がスリット弁43を備えなくてもよい。
【0083】
・第1~5実施形態のマスク補助部材1が一方向弁70を備えなくてもよい。
【0084】
・第6実施形態の第3弾性部材31が一方向弁であってもよい。
【0085】
・一方向弁70がスリット弁43よりもマスク100の外側に配置されてもよい。
【0086】
・第1,第2,第4,第5実施形態のマスク補助部材1が装飾部材50を備えてもよい。
【0087】
・装飾部材50は、他の部材、例えば、第1部材10、第2部材20、第1弾性部材11、第2弾性部材21、またはスペーサー60の何れかと一体に形成されていてもよい。
【0088】
・第1~第5実施形態のマスク補助部材1がスペーサー60を備えてもよい。
【0089】
・スペーサー60は、他の部材、例えば、第1部材10、第2部材20、第1弾性部材11、または第2弾性部材21の何れかと一体に形成されていてもよい。
【0090】
・開閉体は、スリット弁43でなくてもよい。例えば、開閉体は、周壁40に対して回動可能に取り付けられたプッシュオープン式の蓋であってもよい。この場合、着用者が好きなタイミングで、手指で蓋(開閉体)を閉じることができる。また、着用者は、挿入物101を使わずに、手指などを使って開閉体を開くことができる。すなわち、開閉体は、挿入物101以外の物で押されて開くように構成されてもよい。
【0091】
(例1)
着用者の口及び鼻先を覆うマスクに用いられるマスク補助部材において、
前記マスクの外気側に装着される第1部材であって、所定の挿入物を挿入可能に構成された第1開口部と、該第1部材が前記マスクに装着された状態で該マスクの外気側から着用者側に向かうように形成された突起部と、を有する第1部材と、
前記マスクの着用者側に装着される第2部材であって、前記第1部材の前記突起部が係合する係合溝を有し、前記突起部と該係合溝とが係合することで、前記マスクを挟んで前記第1部材と対をなすように構成される第2部材と、
前記第1部材の前記第1開口部を覆うように設けられる第1弾性部材であって、前記挿入物を挿入可能に切り欠かれた切り欠き部を有する第1弾性部材と、
を備える、マスク補助部材。
【0092】
(例2)
前記第2部材は、
前記挿入物を挿入可能に構成された第2開口部と、
前記第2開口部を覆うように、該第2部材における前記マスクの着用者側の取付面に固定されて設けられる第2弾性部材であって、該取付面が、該第2部材が前記マスクに装着された状態において、該第2部材の上部側に設けられることで、前記第2開口部から前記挿入物が挿入されると、前記取付面を支点に変形可能に構成された第2弾性部材と、
を更に有する、例1に記載のマスク補助部材。
【0093】
(例3)
前記第1部材の前記突起部は、その先端が所定の鋭角をなすように構成される、例1又は例2に記載のマスク補助部材。
【0094】
(例4)
着用者の口及び鼻先を覆うマスクにおいて、
前記マスクと一体に形成される第3弾性部材であって、前記マスクの外気側の面と着用者側の面とを挟んで配置される第3弾性部材と、
前記第3弾性部材に形成された切り欠き部であって、所定の挿入物を挿入可能に切り欠かれた切り欠き部と、を備える、マスク。