(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】防曇モイスチャーチャンバーメガネ
(51)【国際特許分類】
G02C 11/08 20060101AFI20221101BHJP
G02C 5/02 20060101ALI20221101BHJP
G02C 11/00 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
G02C11/08
G02C5/02
G02C11/00
(21)【出願番号】P 2021189056
(22)【出願日】2021-11-20
【審査請求日】2021-11-20
(31)【優先権主張番号】202110434265.2
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521510659
【氏名又は名称】温州医科大学附属眼視光医院
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】陳蔚
(72)【発明者】
【氏名】鄭欽象
【審査官】小西 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-118127(JP,A)
【文献】特開昭50-147192(JP,A)
【文献】中国実用新案第209048426(CN,U)
【文献】特開平11-221247(JP,A)
【文献】中国実用新案第204666991(CN,U)
【文献】中国実用新案第211658494(CN,U)
【文献】中国実用新案第209060339(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0139235(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00 - 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メガネ本体(1)と、前記メガネ本体(1)に取り付けられたレンズ(2)とを含み、前
記メガネ本体(1)にアイカップ構造(11)が形成され、前記アイカップ構造(11)
が眼部に密着され、前記アイカップ構造(11)と眼部の間に密閉チャンバー(12)が
形成される防曇モイスチャーチャンバーメガネであって、
前記メガネ本体(1)内に、レンズ(2)と密閉チャンバー(12)を加熱するための加
熱コンポーネント(3)が設けられ、前記加熱コンポーネント(3)はレンズ(2)を第
1温度に加熱し、加熱コンポーネント(3)は密閉チャンバー(12)を第2温度に加熱
し、前記第1温度と第2温度は以下の条件を満たす:
a、前記第1温度が前記第2温度よりも高く、
b、前記第1温度と前記第2温度の差が3~20℃であり、
前記加熱コンポーネント(3)は、レンズ(2)を加熱するための加熱膜(31)と、前
記加熱膜(31)に接続され密閉チャンバー(12)を加熱するための導熱体(32)と
を含み、前記加熱膜(31)が前記レンズ(2)に密着され、前記導熱体(32)は密閉
チャンバー(12)の外壁の周りに設けられ、
前記メガネ本体(1)は、互いに係合されたフェースカバー(13)およびフロントカバ
ー(14)を含み、前記フェースカバー(13)とフロントカバー(14)の構造の一部
が後方に延在して前記アイカップ構造(11)を形成し、フェースカバー(13)とフロ
ントカバー(14)の間に空間が形成され、前記加熱コンポーネント(3)の構造の一部
が前記空間に位置し、
前記メガネ本体(1)に薬剤が充填され、前記加熱コンポーネント(3)は前記薬剤を第
3温度に加熱し、ブラケット(5)と前記ブラケット(5)に取り付けられた脱脂綿(5
1)とをさらに含み、前記薬剤が脱脂綿(51)に付着され、前記ブラケット(5)が密
閉チャンバー(12)に係止され、
前記薬剤の各成分には、重量部で、20部のアンジェリカ、5部のアサルム、10部のウ
ルフベリー、15部の桑の葉、
及び水が含まれ、
前記ブラケット(5)は環状の構造を有し、前記ブラケット(5)にボトムブラケット(
52)が成形され、前記脱脂綿(51)が前記ボトムブラケット(52)に位置し、前記
ボトムブラケット(52)は支持の作用を果たし、前記ブラケット(5)にハンドル(5
3)が成形され、前記ハンドル(53)によって前記ブラケット(5)の着脱が容易にな
り、前記ブラケット(5)に3個の固定フック(54)が成形される、
ことを特徴とする防曇モイスチャーチャンバーメガネ。
【請求項2】
前記第1温度は35~65℃である、ことを特徴とする請求項1に記載の防曇モイスチャ
ーチャンバーメガネ。
【請求項3】
前記メガネ本体(1)は、シリコーンスリーブ(18)をさらに含み、前記シリコーンス
リーブ(18)は前記フロントカバー(14)に嵌設される、ことを特徴とする請求項1
に記載の防曇モイスチャーチャンバーメガネ。
【請求項4】
頭部を取り囲む固定バンド(4)をさらに含み、前記固定バンド(4)の両端が前記メガ
ネ本体(1)に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の防曇モイスチャーチャン
バーメガネ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モイスチャーチャンバーメガネの技術分野に関し、特に防曇モイスチャーチャ
ンバーメガネに関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオ端末の普及、環境汚染の増加、オフィスの空調環境の乾燥に伴い、多くのサラリー
マンが「ドライアイ症候群」を患っている。ドライアイの一般的な症状には、ドライアイ
、視覚疲労、赤目、かゆみ、異物感、灼熱感、粘着性分泌物、風への恐怖、羞明、外部刺
激に対する感受性、一時的なかすみ目などが含まれ、視力に影響を与える。臨床的には、
ドライアイの包括的な治療法はまだ不足しているが、主な治療法は、人工涙液によって症
状を緩和することである。したがって、従来技術ではモイスチャーチャンバーメガネが開
示され、モイスチャーチャンバーメガネによって人工涙液が蒸発され眼部に作用して、ド
ライアイ症候群を軽減する。モイスチャーチャンバーメガネでは人工涙液が蒸発され、レ
ンズが曇って、使用に影響を与える。中国特許出願番号CN201910737710.
5号の発明(公開日:2020年10月15日)では、モイスチャーチャンバーメガネ用
のレンズ取付構造およびモイスチャーチャンバーメガネが開示され、取付部を含み、取付
部に外レンズと内レンズが設けられ、外レンズおよび内レンズと取付部の間に密閉の空気
加熱チャンバーが形成され、空気加熱チャンバーの周囲に空気加熱チャンバー内の空気を
加熱するための加熱コンポーネントが設けられ、加熱コンポーネントによって外レンズお
よび内レンズと取付部間に形成された密閉の空気加熱チャンバー内の空気を加熱して、モ
イスチャーチャンバーメガネと眼窩領域内の水蒸気が冷たい手でレンズに凝縮することは
なく、モイスチャーチャンバーメガネの使用中にレンズに曇っている技術的問題を解決す
る。上記の技術的解決策では、内側と外側の2つのレンズを使用することで霧を分離し、
レンズに曇らないようにするが、このような構造ではレンズの数が増加するだけでなく、
複数層のレンズもモイスチャーチャンバーメガネの使用便利性に深刻な影響を与える。
【発明の概要】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的問題は、上記の従来技術の欠点を克服して、レンズに曇
らなく使用しやすい防曇モイスチャーチャンバーメガネを提供することである。
【0004】
メガネ本体と前記メガネ本体に取り付けられたレンズを含み、前記メガネ本体にアイカッ
プ構造が形成され、前記アイカップ構造が眼部に密着され、前記アイカップ構造と眼部の
間に密閉チャンバーが形成される防曇モイスチャーチャンバーメガネであって、前記メガ
ネ本体内にレンズと前記チャンバーを加熱するための加熱コンポーネントが設けられ、前
記加熱コンポーネントはレンズを第1温度に加熱し、加熱コンポーネントはチャンバーを
第2温度に加熱し、前記第1温度と第2温度は以下の条件を満たす:
a、前記第1温度が前記第2温度よりも高く、
b、前記第1温度と前記第2温度の差が3~20℃である、
ことを特徴とする防曇モイスチャーチャンバーメガネである。
【0005】
本発明の一側面によれば、前記第1温度は35~65℃であり、レンズをこの温度範囲に
加熱し、レンズの温度がチャンバーの環境温度よりも高くなり、チャンバー中の蒸気がレ
ンズに曇ることを回避し、モイスチャーチャンバーメガネの通常使用を確保する。
【0006】
本発明の一側面によれば、前記加熱コンポーネントは、レンズを加熱するための加熱膜、
前記加熱膜に接続されてチャンバーを加熱するための導熱体を含み、前記加熱膜が前記レ
ンズに密着され、前記導熱体は前記チャンバーの外壁を取り囲んで、加熱膜とレンズが密
着されるようにレンズを直接加熱することで、レンズの加熱時間を短縮し、レンズが最初
に第1温度に到着し、同時に、導熱体がチャンバーの外壁を取り囲んで、構造上でチャン
バーの側壁との接触面積が増加しているため、第2温度が第1温度よりも遅く、したがっ
て、この構造によれば、第1温度と第2温度の間に常に温度差があり、防曇作用を果たす
。
【0007】
本発明の一側面によれば、前記メガネ本体は、互いに係合されたフェースカバーとフロン
トカバーを含み、前記フェースカバーとフロントカバーの構造の一部が後方に延在して前
記アイカップ構造を形成し、フェースカバーと前記フロントカバーの間に空間が形成され
、前記加熱コンポーネントの構造の一部が前記空間に位置し、アイカップ構造が患者の眼
部に密着され、外部の冷気がチャンバー内に侵入し、第1温度と第2温度間の温度差が縮
小され、モイスチャーチャンバーメガネの防曇効果に悪影響を与え、その使用信頼性を低
下させるのを防ぎ、フェースカバーとフロントカバーの間に形成された空間は収納作用を
果たし、モイスチャーチャンバーメガネヲ構成する一部のコンポーネントを統括的に収納
して、外観の美しさを向上させる。
【0008】
本発明の一側面によれば、前記メガネ本体は、シリコーンスリーブをさらに含み、前記シ
リコーンスリーブが前記フロントカバーに嵌設され、前記シリコーンスリーブが眼部に密
着され、シリコーンスリーブによって患者の使用快適さが向上し、前記フロントカバーの
頂部に環状の突起が成形され、前記シリコーンスリーブが前記環状の突起に取り付けられ
、前記シリコーンスリーブは異なる顔の形に合わせて変形して、異なるユーザに適合し、
前記環状の突起によって前記シリコーンスリーブがより適切に固定され、シリコーンスリ
ーブの取付が簡単である。
【0009】
本発明の一側面によれば、頭部を取り囲む固定バンドをさらに含み、前記固定バンドの両
端が前記メガネ本体に接続され、シリコーン材料の固定バンドを設けることで、メガネ本
体を患者の頭部に固定し、両手を解放し、モイスチャーチャンバーメガネの使用実用性を
高める。
【0010】
本発明の一側面によれば、前記メガネ本体に薬剤が充填され、前記加熱コンポーネントは
前記薬剤を第3温度に加熱し、前記第3温度によって前記薬剤の蒸発速度が制御され、そ
の内に、重量比で計算すると、この薬剤の各成分には、重量部で、20部のアンジェリカ
、5部のアサルム、10部のウルフベリー、15部の桑の葉が含まれ、且1部の重量が5
gであり、ドライアイ症候群の患者への薬物燻蒸によって、眼部の不快感の症状を大幅に
軽減し、快適さを向上させる同時に、薬物の加熱温度を厳密に制御することで、薬剤の蒸
発速度とモイスチャーチャンバーメガネ全体の作業効率を向上させ、ブラケットと前記ブ
ラケットに取り付けられた脱脂綿をさらに含み、前記薬剤が脱脂綿に付着され、前記ブラ
ケットが前記チャンバーに係止され、前記ブラケットは環状の構造を有し、前記ブラケッ
トにボトムブラケットが成形され、前記脱脂綿が前記ボトムブラケットに位置し、前記ボ
トムブラケットは支持の作用を果たし、前記ブラケットにハンドルが成形され、前記ハン
ドルによって前記ブラケットの着脱が容易になり、前記ブラケットに複数の固定フックが
成形され、前記固定フックは前記薬物を引っ掛け、前記固定フックは前記脱脂綿を固定し
、薬剤付きの脱脂綿をチャンバー内に配置し、導熱体によってチャンバーを加熱すると、
薬剤が蒸発されて眼部の燻蒸治療を実現し、さらにドライアイ症候群の患者の眼部の不快
感を軽減する。
【0011】
本発明の一側面によれば、前記フェースカバーにレンズ穴が成形され、前記レンズが前記
レンズ穴に取り付けられ、前記レンズ穴にシールリングが設けられ、前記レンズが前記シ
ールリングに取り付けられ、前記フロントカバーは前記シールリングと前記レンズを押し
付け、前記シールリングは固定および封止作用を果たし、前記レンズの取付を容易にして
、前記フェースカバーに係合フックが成形され、前記フロントカバーに係合スナップが形
成され、前記係合フックが前記係合スナップに係止され、前記フェースカバーと前記フロ
ントカバーは上記の係止構造によって接続され、取付が容易になる。
【0012】
上記モイスチャーチャンバーメガネの作業プロセスは以下の通りである。
(1)ドライアイ症候群の患者が固定バンドでメガネ本体を頭部に固定し、シリコーンス
リーブを眼部に密着させ、モイスチャーチャンバーメガネの着用を完了する。
(2)電源スイッチを入れ、加熱膜と導熱体をそれぞれ始動し、加熱膜によって、レンズ
の内面の温度が設定された第1温度になるようにレンズを加熱し、導熱体によって、チャ
ンバーが設定された第2温度になるようにチャンバーを加熱する同時に、NTC温度コン
トローラーによって加熱温度を制御し、レンズ温度が常にチャンバーの環境温度よりも高
くなるように第1温度と第2温度を維持するため、蒸気がレンズに凝縮することがなく、
上記のプロセスによって人工涙液が蒸発され患者眼部に作用する。
(3)薬物燻蒸が必要な場合、脱脂綿に薬剤を付け、固定フックで前記脱脂綿を引っ掛け
、ハンドルでブラケットをチャンバーに取り付ければよい。
【0013】
従来技術と比較して、本発明は以下の有益な効果を有する。
本発明の加熱コンポーネントは、レンズ温度がチャンバーの内部温度よりも高くなるよう
にレンズを直接に第1温度に加熱し、前記チャンバー中の水蒸気がレンズに凝縮すること
なく、レンズに曇らなく、加熱コンポーネントはレンズを常に加熱するため、レンズ温度
が常にチャンバー温度よりも高く、レンズに常に曇らない。本発明は、レンズ温度とチャ
ンバー温度を制御することで防曇を実現し、構造がより簡単になり、防曇効果がより良好
である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図4】本発明の加熱コンポーネントの3次元分解図である。
【
図6】本発明のブラケットの別の視角の3次元分解図である。
【0015】
[符号の説明]
1 メガネ本体
11 アイカップ構造
12 チャンバー
13 フェースカバー
131 レンズ穴
14 フロントカバー
15 シールリング
16 係合フック
17 係合スナップ
18 シリコーンスリーブ
19 環状の突起
2 レンズ
3 加熱コンポーネント
31 加熱膜
32 導熱体
321 底壁
322 側壁
4 固定バンド
5 ブラケット
51 脱脂綿
52 ボトムブラケット
53 ハンドル
54 固定フック
6 電源スイッチ
61 回路基板
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施例1
図1および
図7に示すように、防曇モイスチャーチャンバーメガネは、メガネ本体1とメ
ガネ本体1に取り付けられたレンズ2、およびメガネ本体1に接続された固定バンド4を
含み、メガネ本体1にアイカップ構造11が形成され、アイカップ構造11が眼部に密着
され、アイカップ構造11と眼部の間に密閉チャンバー12が形成され、メガネ本体1内
にレンズ2とチャンバー12を加熱するための加熱コンポーネント3が設けられ、加熱コ
ンポーネント3はレンズ2を第1温度に加熱し、加熱コンポーネント3はチャンバー12
を第2温度に加熱し、第1温度は35℃であり、第2温度は32℃である。
その内に、加熱コンポーネント3は加熱コイルであり、固定バンド4の長さは調節不可能
である。
【0017】
実施例2
図1および
図7に示すように、防曇モイスチャーチャンバーメガネは、メガネ本体1とメ
ガネ本体1上に取り付けられたレンズ2、およびメガネ本体1に接続された固定バンド4
を含み、メガネ本体1にアイカップ構造11が形成され、アイカップ構造11眼部に密着
され、アイカップ構造11と眼部の間に密閉チャンバー12が形成され、メガネ本体1内
にレンズ2とチャンバー12を加熱するための加熱コンポーネント3が形成され、加熱コ
ンポーネント3はレンズ2を第1温度に加熱し、加熱コンポーネント3はチャンバー12
を第2温度に加熱し、第1温度は50℃であり、第2温度は40℃である。
その内に、加熱コンポーネント3は加熱コイルであり、固定バンド4はシリコーンバンド
であり、弾性を有し、長さが調節可能であり、異なる患者の使用に適し、モイスチャーチ
ャンバーメガネの実用性を向上させる。
【0018】
実施例3
図1および
図7に示すように、防曇モイスチャーチャンバーメガネは、メガネ本体1、メ
ガネ本体1上に取り付けられたレンズ2、およびメガネ本体1に接続された固定バンド4
を含み、メガネ本体1にアイカップ構造11が形成され、アイカップ構造11が眼部に密
着され、アイカップ構造11と眼部の間に密閉チャンバー12が形成され、メガネ本体1
内にレンズ2とチャンバー12を加熱するための加熱コンポーネント3が設けられ、加熱
コンポーネント3はレンズ2を第1温度に加熱し、加熱コンポーネント3はチャンバー1
2を第2温度に加熱し、第1温度は65℃であり、第2温度は45℃であり、
その内に、加熱コンポーネント3は加熱コイルであり、固定バンド4はシリコーンバンド
であり、弾性を有し、長さが調節可能であり、異なる患者の使用に適し、モイスチャーチ
ャンバーメガネの実用性を向上させる。
【0019】
実施例4
本実施例は以下の点で実施例2と異なる。
図2に示すように、加熱コンポーネント3は、レンズ2を加熱するための加熱膜31、加
熱膜31に接続されてチャンバー12を加熱するための導熱体32を含み、加熱膜31が
レンズ2に密着され、導熱体32はチャンバー12の外壁を取り囲んで、加熱膜31は環
状構造であり、レンズ2の周囲に密着され、視覚に影響を与えない。導熱体32によって
加熱面積が増加し、第2温度の加熱速度を高める。
メガネ本体1にNTC温度コントローラーがさらに設けられ、NTC温度コントローラー
によって加熱膜31と導熱体32の動作を制御して、第1温度と第2温度に加熱して維持
する目的を達成する。
図4に示すように、導熱体32は、加熱膜31に密着された底壁321、および底壁32
1に接続された側壁322を含み、導熱体32全体の形状はチャンバー12の形状に類似
し、チャンバー12を効果的に加熱する。
【0020】
実施例5
本実施例は以下の点で実施例4と異なる。
図2および
図3に示すように、メガネ本体1は、互いに係合されたフェースカバー13と
フロントカバー14を含み、フェースカバー13とフロントカバー14の構造の一部が後
方に延在してアイカップ構造11を形成し、アイカップ構造11が患者の眼部に密着され
、外部の冷気がチャンバー12内に侵入し、第1温度と第2温度の間の温度差が縮小され
、モイスチャーチャンバーメガネの防曇効果に悪影響を与え、その使用信頼性を低下させ
るのを防ぐ。
図7および
図8に示すように、フェースカバー13とフロントカバー14の間に空間が形
成され、導熱体32が空間に位置し、フロントカバー14の構造の一部がチャンバー12
の外壁を形成し、導熱体32がこの構造の一部に密着され、チャンバー12を加熱し、フ
ェースカバー13とフロントカバー14の間に形成された空間は収納作用を果たし、統括
的に収納し、外観の美しさを向上させる。
図3に示すように、フェースカバー13にレンズ穴131が成形され、レンズ2がレンズ
穴に取り付けられ、
図2に示すように、レンズ穴131にシールリング15が設けられ、
レンズ2がシールリング15に取り付けられ、フロントカバー14がシールリング15と
レンズ2を押し付け、シールリング15は固定および封止作用を果たし、レンズ2の取付
を容易にして、
図3に示すように、フェースカバー13に係合フック16が成形され、フ
ロントカバー14に係合スナップ17が形成され、係合フック16が係合スナップ17に
係止され、フェースカバー13とフロントカバー14が上記の係止構造によって接続され
、取付しやすく、フェースカバー13とフロントカバー14の間の空間に回路基板が取り
付けられ、フェースカバー13の側壁に電源スイッチ6が形成され、電源スイッチ6が回
路基板61に接続され、電源スイッチ6をフェースカバー13の側壁に設けることで、操
作が簡単で設置空間もあり、さらに、外接電源に接続してもよく、充電電池を使用しても
よい。
【0021】
実施例6
本実施例は以下の点で実施例5と異なる。
図2および
図3に示すように、メガネ本体1はシリコーンスリーブ18をさらに含み、シ
リコーンスリーブ18がフロントカバー14に嵌設され、シリコーンスリーブ18が眼部
に密着され、シリコーンスリーブによって患者の使用快適さが向上し、フロントカバー1
4の頂部に環状の突起19が成形され、シリコーンスリーブ18が環状の突起19に取り
付けられ、シリコーンスリーブ18は異なる顔の形に合わせて変形し、異なるユーザに適
合し、環状の突起19によってシリコーンスリーブ18がよりよく固定され、シリコーン
スリーブ18を取付を容易にすることができる。
【0022】
実施例7
本実施例は以下の点で実施例6と異なる。
図7~9に示すように、ブラケット5とブラケット5に取り付けられた脱脂綿51をさら
に含み、メガネ本体1に薬剤が充填され、薬剤が脱脂綿51に付着され、ブラケット5が
チャンバー12に係止され、薬剤付きの脱脂綿をチャンバー内に配置し、導熱体32でチ
ャンバーを加熱すると、薬剤が第3温度に加熱され、第3温度は50℃であり、第2温度
は40℃であり、第3温度によって薬剤の蒸発速度が制御され、この時、薬剤が蒸発され
て眼部への燻蒸治療を実現し、その内に、重量比で計算すると、この薬剤の各成分には、
重量部で、20部のアンジェリカ、5部のアサルム、10部のウルフベリー、15部の桑
の葉が含まれ、1部の重量が5gであり、ドライアイ症候群の患者への薬物燻蒸によって
、その眼部の不快感の症状を大幅に軽減し、快適さを高める。
図5および
図6に示すように、本発明の上記実施例では、さらに、ブラケット5は環状構
造であり、ブラケット5にボトムブラケット52が成形され、脱脂綿51がボトムブラケ
ット52に位置し、ボトムブラケット52は支持の作用を果たし、ブラケット5にハンド
ル53が成形され、ハンドル53によってブラケット5の着脱が容易であり、ブラケット
5に3つの固定フック54が成形され、固定フック54によって脱脂綿51を引っ掛け、
固定フック54は脱脂綿51を固定するために使用される。
本実施例のモイスチャーチャンバーメガネの作業プロセスは以下の通りである。
(1)ドライアイ症候群の患者が固定バンド4でメガネ本体1を頭部に固定し、シリコー
ンスリーブ18を眼部に密着させ、モイスチャーチャンバーメガネの着用を完了する。
(2)電源スイッチ6を入れ、加熱膜31と導熱体32をそれぞれ始動し、加熱膜31に
よって、レンズ2の内面の温度が設定された第1温度になるようにレンズ2を加熱し、導
熱体32によって、チャンバー12が設定された第2温度になるようにチャンバー12を
加熱する同時に、NTC温度コントローラーによって加熱温度を制御し、レンズ2温度が
常にチャンバー12の環境温度よりも高くなるように第1温度と第2温度を維持するため
、蒸気がレンズ2に凝縮することがなく、上記のプロセスによって人工涙液が蒸発され患
者眼部に作用する。
(3)薬物燻蒸が必要な場合、脱脂綿51に薬剤を付け、固定フック54で前記脱脂綿5
1を引っ掛け、ハンドル53でブラケット5をチャンバー12に取り付ければよい。
【0023】
実施例8
本実施例は以下の点で実施例7と異なる。
薬剤を第3温度に加熱し、第3温度は40℃である。
【0024】
実施例9
本実施例は以下の点で実施例8と異なる。
薬剤を第3温度に加熱し、第3温度は30℃である。
【0025】
試験例1
ドライアイ症候群とは、様々な要因で引き起こされるドライアイを主な症状とする涙腺分
泌機能障害眼疾患であり、多くの場合、両眼のかゆみ、異物感、灼熱感、羞明、かすみ目
、視力の変動などを伴い、このような損傷は、時間の経過とともに角膜および結膜の病変
を引き起こし、視力に影響を与える可能性がある。現在、ドライアイ症候群の主な治療手
段は、人工涙液によって症状を緩解することである。したがって、従来技術ではモイスチ
ャーチャンバーメガネが開示され、モイスチャーチャンバーメガネによって人工涙液を蒸
発して眼部に作用することで、ドライアイ症候群を軽減し、ドライアイ症候群の診断基準
に沿う。
本発明の実施例1~3のモイスチャーチャンバーメガネをそれぞれ使用して、ドライアイ
症候群の患者を治療したところ、治療結果が表1に示される。
表1:実施例1~3のモイスチャーチャンバーメガネの治療効果
【0026】
【0027】
表1から分かるように、実施例2では、第1温度と第2温度の差が10℃である場合、治
療後涙液の増加量が最も多く、レンズ湿度が最も低く、つまり曇る可能性が最も小さいた
め、実施例1~3では、実施例2は最適な解決策である。
試験例2
本発明の実施例2と実施例4のモイスチャーチャンバーメガネをそれぞれ使用して、ドラ
イアイ症候群の患者を治療し、その内に、実施例2の加熱コンポーネントは従来の加熱コ
イルであり、NTC温度コントローラーが設けられなく、治療結果が表2に示される。
表2:実施例2と実施例4のモイスチャーチャンバーメガネの効果比較表
【0028】
【0029】
表2から分かるように、実施例2では、第1温度の到達時間が20sであり、第2温度の
到達時間が18sであり、実施例4では、第1温度の到達時間が10sであり、第2温度
の到達時間が8sであるため、実施例4中の加熱コンポーネントの昇温速度が速く、パフ
ォーマンスがより優れ、実施例2ではNTC温度コントローラーが設けられないため、第
1温度と第2温度の間の温度差の誤差が高く、曇りやすく、レンズ湿度が大きく、実施例
2のモイスチャーチャンバーメガネよりも、実施例4がより優れ、実施例5では、実施例
4の基にアイカップ構造11が追加されるため、第1温度と第2温度の間の温度差が縮小
され、モイスチャーチャンバーメガネの防曇を実現し、フェースカバー13とフロントカ
バー14の間にチャンバーが形成され、統括的に収納し、外観の美しさを向上させ、フェ
ースカバー13とフロントカバー14が係止構造によって接続され、取付しやすく、した
がって、実施例5は実施例4よりも優れ、実施例6では、実施例5の基にシリコーンスリ
ーブ18と環状の突起19が追加され、シリコーンスリーブ18は異なる顔の形に合わせ
て変形し、異なるユーザに適合し、環状の突起19によってシリコーンスリーブ18がよ
りよく固定され、シリコーンスリーブ18の取付を容易にするため、実施例6は実施例5
よりも優れ、実施例7のモイスチャーチャンバーメガネは、実施例6の基にブラケット5
とブラケット5に取り付けられた脱脂綿51が追加され、ドライアイ症候群の患者への薬
物燻蒸によって、その眼部の不快感の症状を大幅に軽減し、快適さを向上させるため、実
施例7のパフォーマンスが実施例6よりも優れ、以上のように、実施例7のパフォーマン
スは最良である。
【0030】
試験例3
本発明の実施例7~9のモイスチャーチャンバーメガネをそれぞれ使用して、ドライアイ
症候群の患者を治療し、治療結果が表3に示される。
表3:実施例7~9のモイスチャーチャンバーメガネの効果比較表
【0031】
【0032】
表3から分かるように、実施例7の第3温度と第1温度の温度差が最も小さいため、レン
ズ湿度が最も大きく、曇る可能性が最も高く、実施例9の第3温度と第1温度の温度差が
最も大きく、そのレンズ湿度が実施例8の温度差よりも大きく、同時にそのレンズ湿度が
実施例8のレンズ温度と相当し、温度差が大きくなるほど、電力消費量が大きいため、実
施例8のモイスチャーチャンバーメガネは曇りしにくく、エネルギーも節約し、実施例8
は最良の実施例である。
【0033】
試験例4
1、情報と症状
2020年7月から2021年7月に温州眼科病院の外来に入院した50人のドライアイ
患者を分析し、患者は、ドライアイ、視覚的倦怠感、赤目、かゆみ、異物感、灼熱感、粘
り気のある分泌物、風への恐怖、羞明、外部刺激に対する過敏症、一時的なかすみ目など
を訴え、病気の期間は1ケ月~2年間であり、その内に、30例は20~30歳、20例
は30~50歳で、男性は22例、女性は28例であり、各患者間に有意差がない。
2、治療方法
対照組として25人の患者をランダムに選択し、残りの25人の患者を実験組とし、上記
の診断基準を満たすドライアイ症候群の患者に以下の2つの治療方法を与える。
(1)対照組では、A・CLAIREモイスチャーチャンバーメガネを使用して患者の眼
部を治療する。
(2)実験組では、本出願の実施例8のモイスチャーチャンバーメガネを使用して患者の
眼部を治療する。
対照組と実験成でそれぞれ3日間対応のモイスチャーチャンバーメガネを使用し、毎日同
じ時間で15分間治療し、毎日の治療前および治療後の5分、30分で検査し、治療効果
を観察した。
3、治療結果の評価
(1)涙腺川高さ(TMH)
表4:治療前と治療後の異なる時点での涙腺川高さ
【0034】
【0035】
表4から分かるように、モイスチャーチャンバーメガネを使用して患者眼部を治療する場
合、実験組と対照組の患者眼部の涙腺川高さの値が治療前と比較して、治療後5分、30
分後の涙腺川高さの値が増加した傾向があるが、対照組と比較すると、実験組の値がより
速く増加した。
(2)涙液膜平均破裂時間(F-BUT)
表5:治療前と治療後の異なる時点での涙液膜平均破裂時間
【0036】
【0037】
表5から分かるように、実験組を対照組と比較すると、F-BUTは治療前の3.508
~6.027から治療後5分の7.856~20.362に増加し、F-BUTは有意に
増加し、且つ治療後30分で、治療前と比べて、F-BUTの増加量がやや低下するが、
治療前よりも大きく、対照組ではその増加幅が実験組よりも小さかった。
(3)脂質層の観察
実験組のすべての患者の脂質層の厚さは、モイスチャーチャンバーメガネを着用した後、
様々な程度で増加し、その内に、15例(60%)の患者は、治療後5分後を治療前と比
較すると、脂質層が顕著に増加し、元の灰白色干渉反射から青褐色干渉反射に変化し、治
療後30分でも脂質層は厚いレベルを維持することができる。
(4)満足度の調査
モイスチャーチャンバーメガネによる治療中、対照組では4人の患者は、快適さに満足し
ており、曇りなく快適に着用でき、6人の患者は、快適さが平均的であり、わずか曇りが
あるが快適に着用でき、15人の患者は、着用感が悪く、曇りやすいと訴え、つまり、着
用満足度は16%であることに対して、実験組では、21人の患者は、快適さに満足して
おり、曇りなく快適に着用でき、3人の患者は快適さが平均的であり、わずか曇りがある
が快適に着用でき、1人の患者は着用感が悪く、曇りやすいと訴え、つまり、着用満足度
は84%であった。
【0038】
結論:2組の視力、眼圧およびはやり目指数は治療前後で有意に変化せず、不良事件がな
く、かつほとんどの患者はモイスチャーチャンバーメガネの治療に満足し、同時に実験組
のモイスチャーチャンバーメガネは、ドライアイ症候群の患者の涙液膜安定性を高め、患
者の臨床的な症状を大幅に改善でき、効果的かつ安全であり、効果が対照組よりも優れ、
ドライアイ症候群の患者は、本出願のモイスチャーチャンバーメガネを選択してドライア
イの不快感症状を改善することができる。
【要約】 (修正有)
【課題】レンズに曇らなく使用しやすい防曇モイスチャーチャンバーメガネを提供する。
【解決手段】本発明は、防曇モイスチャーチャンバーメガネを開示し、メガネ本体と前記メガネ本体に取り付けられたレンズを含み、前記メガネ本体にアイカップ構造が形成され、前記アイカップ構造が眼部に密着され、前記アイカップ構造と眼部の間に密閉チャンバーが形成され、前記メガネ本体に加熱コンポーネントが設けられ、前記加熱コンポーネントは前記レンズを第1温度に加熱し、前記加熱コンポーネントは前記チャンバーを第2温度に加熱し、前記第1温度と第2温度は以下の条件を満たす:a、前記第1温度が前記第2温度よりも高く、b、前記第1温度と前記第2温度の差が3~20℃であり、本発明のレンズは曇りではなく、レンズ温度とチャンバー温度を制御することで防曇を実現し、構造がより簡単であり、防曇効果がより良好である。
【選択図】
図1