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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】積載ロジックを有する物品積載装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 57/03 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
B65G57/03 G
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2017544256
(86)(22)【出願日】2016-10-11
(86)【国際出願番号】 JP2016080119
(87)【国際公開番号】W WO2017061632
(87)【国際公開日】2017-04-13
【審査請求日】2019-10-10
(31)【優先権主張番号】P 2015200132
(32)【優先日】2015-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 謙二
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-064750(JP,A)
【文献】特開平06-271074(JP,A)
【文献】特開平07-251944(JP,A)
【文献】特開2004-307111(JP,A)
【文献】特開平03-243528(JP,A)
【文献】特開2015-037992(JP,A)
【文献】特開平11-079407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 57/00-57/32
B65G 60/00-61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品容器サイズ情報を含む物品個別識別情報を伴う物品入出庫管理情報装置と、
上面及び底面が略平滑である複数の物品容器を有する積載対象物品容器群から物品容器を積載し得る載置体と、
前記物品容器を移載元から前記載置体へと移載する積載ロボットと、
前記載置体に対して前記積載ロボットが前記物品容器を積載するための指示を行う積載ロジック情報処理指令部と
を具備する物品積載装置であって、
前記積載ロジック情報処理指令部は、
第1層の物品容器配列の構築に当たっては、前記載置体の積載底面が形成する空きスペースを次に物品容器を積載すべき空きスペースマップとした上で、前記積載対象物品容器群から前記空きスペースマップを最も面積を占有するように一つもしくは複数の物品容器を選択し、該選択された前記一つもしくは複数の物品容器を高さの高いものほど前記空きスペースマップの奥から載置し、前記複数の物品容器から前記載置された前記一つもしくは複数の物品容器を除いたものを前記積載対象物品容器群とすることで前記第1層の物品容器配列を構築し、
第2層の物品容器配列の構築に当たっては、前記第1層の物品容器配列を形成する物品容器のうち相対的に高さの最も低い最低高さ物品容器の略上面部を新たな空きスペースマップとした上で、前記積載対象物品容器群から前記新たな空きスペースマップを最も面積を占有するような第2層用物品容器を選択し、該選択された前記第2層物品容器を前記新たな空きスペースマップに載置し、前記積載対象物品容器群から前記載置された前記一つもしくは複数の第2層物品容器を除いたものを前記積載対象物品容器群とすることで前記第2層の物品容器配列を構築し
第2層の物品容器配列の構築において、前記新たな空きスペースマップとして認識された前記最低高さ物品容器の略上面に前記選択された第2層用物品容器を載置したときの高さが該最低高さ物品容器の奥に所在する物品容器の最上面の高さより高くなる場合には、前記最低高さ物品容器の略上面への前記選択された第2層用物品容器の載置を中止して、前記最低高さ物品容器の次に高さの低い次点最低高さ物品容器の略上面を前記新たな空きスペースマップとして認識し直し、
前記次点最低高さ物品容器の略上面を前記新たな空きスペースマップとして認識し直す際には、該新たな空きスペースマップに係る物品容器に隣接する隣接物品容器の上面にまで前記新たな空きスペースマップが拡張できる場合には、該拡張される部分のうち予め設定された許容範囲内の部分をオフセットとし、前記新たな空きスペースマップに前記オフセットを追加した合計を前記新たな空きスペースマップとして設定認識し直すことができる
ことを特徴とする物品積載装置。
【請求項2】
前記物品個別識別情報には、出荷情報、載置体情報、積載高さ制限情報、物品容器サイズ情報及び優先順位を付した積載高さ位置推奨情報、破損禁忌情報、物品重量情報、物品積載注意情報が含まれ、
前記空きスペースマップへの前記物品容器の載置においては、前記物品個別識別情報に規定された積載優先順位に従い前記物品容器を載置することを特徴とする請求項1に記載の物品積載装置。
【請求項3】
前記空きスペースマップへの前記物品容器の載置においては、前記空きスペースマップが長方形とならない場合には、その形状から想定可能な全ての最大長方形を前記空きスペースマップとして前記物品容器の載置方法をシミュレーション計算し、前記物品個別識別情報に規定された前記積載優先順位及び/若しくは前記積載効率に従い前記物品容器の載置を行うことを特徴とする請求項2に記載の物品積載装置。
【請求項4】
前記次点最低高さ物品容器の略上面を前記新たな空きスペースマップとして認識し直すにおいては、前記最低高さ物品容器の略上面には物品容器が被らないように前記物品容器が載置されることを特徴とする請求項1~3のうちのいずれか1項に記載の物品積載装置。
【請求項5】
前記第2層の物品容器配列の構築において、隣接する複数の物品容器である第1物品容器及び第2物品容器間の高さの差が予め設定した値以内である場合は、前記第1物品容器の上面部と前記第2物品容器の上面部とを結合して1つの前記空きスペースマップとして扱うことができることを特徴とする請求項1~4のうちのいずれか1項に記載の物品積載積装置。
【請求項6】
前記空きスペースマップへの前記物品容器の載置において、載置する物品容器を選定後、残余の前記空きスペースマップがある場合は、載置できる物品容器を底面積の大きいものから再度選択し載置の可否をシミュレーションすることを特徴とする請求項1~5のうちのいずれか1項に記載の物品積載積装置。
【請求項7】
前記空きスペースマップへの前記物品容器の載置において、複数の物品容器を左右横方向に載置する場合に、左右どちらの方向から載置するかの順序は、前記積載ロジック情報処理指令部に予め設定されていることを特徴とする請求項1~6のうちのいずれか1項に記載の物品積載積装置。
【請求項8】
前記物品個別識別情報は前記積載高さ制限情報を少なくとも含み、前記載置体に前記物品容器が積載されてできる高さが、前記積載高さ制限情報による制限高さに収まるように積載を終了することを特徴とする請求項2に記載の物品積載装置。
【請求項9】
前記載置体及びその載置体に積載する物品容器は、前記物品入出庫管理情報装置から予め設定されて、前記空きスペースマップの認定及び前記載置可否のシミュレーションが行われることを特徴とする請求項6に記載の物品積載装置。
【請求項10】
前記積載ロジック情報処理指令部は、前記載置される複数の前記物品容器の内、高さの差が予め定めた設定値より小さい物品容器同士を、略同一高さの物品容器として扱うことを特徴とする請求項1~9のうちのいずれか1項に記載の物品積載装置。
【請求項11】
前記物品個別識別情報の中には、最優先して厳守すべき厳守情報を予め設定することができ、前記積載優先順位は前記厳守情報に基づいて予め設定することができることを特徴とする請求項2に記載の物品積載装置。
【請求項12】
前記積載ロボットは、前記物品容器同士又は前記物品容器と前記載置体の側壁との間隙を前記積載ロジック情報処理指令部に定められたところに従い左右奥行方向別に若しくは均等に維持しながら前記物品容器を載置することを特徴とする請求項1~11のうちのいずれか1項に記載の物品積載装置。
【請求項13】
前記オフセットを追加した合計を前記新たな空きスペースマップとして設定認識し直す場合は、該追加されるオフセットに載置される物品容器の重心バランスが崩れないよう考慮したシミュレーションが実施されることを特徴とする請求項1~12のうちのいずれか1項に記載の物品積載装置。
【請求項14】
前記積載ロジック情報処理指令部に従い、物品を搬出配膳し及び/若しくは並べ替える積載ロボット補助装置をさらに有することを特徴とする請求項1~13のうちのいずれか1項に記載の物品積載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の移動台車等載置体への積載における自動積載装置に係り、特に、限定された載置領域に多様物品を効率的に積載するための積載ロジックを用いた自動積載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、商品物流拠点においては、大量に入荷される多品種商品を仕向け先別に仕分けし効率よく出荷するために、かご台車又はカートラック等の台車に商品を出荷先別に配膳する作業が必要となる。これらの作業においては、出荷される商品の種類がおびただしく多く且つその容器形状も様々であるため、一定の商品容器群を一定容積のカゴ台車等に効率よく積載することは非常に難しい。
【0003】
また商品によっては、壊れやすいため上への重ね積載を禁止するものや、非常に重いため積載においては最下位に載置すべきもの、重心のバランスが悪いため壁面に沿って載置すべきもの等、商品特有の様々な積載条件があるため、出荷前の配膳での商品のかご台車等への積載においては、これら商品の個別情報を考慮して効率よく且つ商品品質保持を最優先に積載する必要がある。
【0004】
商品出荷情報に基づき倉庫から出庫される商品は、例えば自動積載装置等を用いて、出荷先別に用意された台車又は出荷容器等に自動的に選別し載置・積載すればスピードも速く、効率的であるが、上記のような安全性や品質保持のため様々な個別商品の特徴及び積載条件に対応した臨機応変な積載対応が必要となる。これは自動機械で対応するには難しく、現在においても主に人間による手作業がほとんどである。
【0005】
このような作業を機械化又はロボット化するためには、例えばカメラ画像認識装置等を用いて出庫される商品容器を画像撮影することによって容器外形を認識し、商品個別情報を基に禁忌事項や安全情報などの商品情報を考慮し、一定の積み付けパターンに照らして積み付け可否をコンピュータ試算する精密なプログラム対応の精密積載装置(ロボット)が必要である。このように大量な情報を臨機応変に処理しつつ装置を自動稼働するためには、高額で繊細な精密機械装置又は自動ロボットを採用せざるを得ない。
【0006】
例えば、段ボール箱等の容器を積み付ける装置には、パレット等へ一定同一サイズの箱を積み付けるパレタイザ等が製造業を中心に広く普及しているが、流通業では不定サイズであり且つ重量も多種にわたる段ボール箱をかご台車等へ安全に積み付ける必要があり、自動化は進まず人による作業に頼っている。
【0007】
また、この作業を機械化するためには、ロボットアーム等を利用した積付け装置が考えられるが、不定サイズの容器を扱うハンド部分やかご台車への積み付け等、機械的な課題も多い。不定サイズの容器を効率良く積み付けるには、積載順番や配置を効率的に計算する積み付けロジックが重要となる。
【0008】
多種多様な大量商品を出荷先別に逐次出荷させる商品物流拠点において、上記のような高価な精密ロボットを多数稼動させることは、費用対効果という観点からも必ずしも得策ではなく、効率的で人間の作業に匹敵する臨機応変な対応のできる安価な物品積載装置の開発が望まれている。
【0009】
これらの解決策として、段ボール箱等の容器を認識し効率的な積載が可能で安全も確保できる自動装置として、下記に挙げるような技術の各種提案がなされてきた。
【0010】
たとえば、特許文献1では、かご台車に容器を自動機械によって積み付ける方法についての技術思想が開示されている。かご台車の底面に平面状に載置する容器の平面配列パターンを複数通り予め設定し、そのいずれかの平面配列パターンに最も適合して載置できる容器を商品個別データよりシミュレーションし選択する。平面載置のために選択される容器は全て略同等の高さ寸法のものが選択される。このようにして選択された容器で平面載置された上面は略平面となり、その上の平面に対しても同様に平面パターンと容器選択のためのシミュレーションを繰り返し、かご台車積載を成す技術思想である。
【0011】
つまり、これは積み付けるケースの中から同じ高さになる容器を抽出し、予め設定したパターンに合致する配置を決定し、かご台車等の積載面と同じ面積の層を下から重ねて行く方式である。この例では、必ずしも載置した各層は同一平面とはならず、容器間の傾きや傾斜、そして荷崩れを防止するための対策が必要になる。
【0012】
また、平面載置パターンが予め設定されており、そのパターンに適合するサイズの容器を選択しつつ、その高さは均等になることを要求されるため、適合する容器群を選択するシミュレーションにはおびただしいコンピュータ上の計算処理が必要になる。このような複雑な計算を、物品積載装置に秒単位のスピードをもって要求し稼働させることは大きな設備コストアップにつながってしまう。
【0013】
また特許文献2では、上記特許文献1の方式に対し、載置された平面積み付けの高さの違いから傾斜することを考慮し、傾斜する方向を計算に組み込む方式として新たな技術思想が開示されている。しかし、本技術思想のように予め箱の配置パターンを登録する方法では、様々な商品を扱う流通業には、不向きであり、また1つの出荷先に対する出荷箱数も比較的多くないため、パターンに当てはまる確率が低くなり、適用が難しい。このように、かご台車への出荷商品の簡易方法による自動積み付けという課題に対しては、経済性を含めて根本的な解決策を提示するには至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特開平2004-307111号公報
【文献】特開平2004-307110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
大小様々なサイズの商品である物品容器を効率よく積み付けるためには、物品容器の重量やサイズのみならず、かご台車等の載置体の形状、寸法及び特徴を考慮し、積載後の容積率等が最大効率となるよう予め積載するための順番や配置を計算で求めるロジックが必要になる。
【0016】
また、積載される物品には壊れやすい物、特別に重い物、早く取り出せる状態で積載したい物等の様々な商品個別の特性及び条件も考慮しなければならない。加えて、積載後の物品の傾きや重心の相違による荷崩れなど安定性・安全性・品質維持にも最大限の配慮が必要である。多品種大量の商品の入出荷を高速で実施しなければならない商品物流集配拠点においては、このようなあらゆる情報を加味した安全で効率のよい物品積載のための自動積載装置の導入が望まれている。
【0017】
本発明は、不定形サイズの段ボール箱を効率よくかご台車等の載置体へ積み付けるための積み付けロジックを提供することを具体的な目的とするが、上記のような従来技術上の問題点を総合的に解決することを企図したものであり、且つ安価で簡易な装置システムとして提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
かかる課題を解決するため、本発明に係る積載ロジックを有する物品積載装置は、
物品容器情報を含む物品個別識別情報を伴う物品入出庫管理情報装置と、
上面及び底面が略平滑である複数の物品容器を積載し得る載置体と、
上記載置体に底面積の大きい上記物品容器から平面状に載置した後、上記物品容器の上面に更に物品容器を積載する際、相対的に高さの低い上記物品容器の略上面部(平面領域)を次に物品容器を積載すべき「空きスペースマップ」として認識し、上記空きスペースマップ上に上記物品容器を平面載置することを繰り返す積載ロジック情報処理指令部と、
上記入出庫管理情報装置及び上記情報処理司令部に連動する積載ロボットと
を具備して構成される。上記相対的高さの比較においては、本発明における積載ロジックに予め比較許容値として設定が可能であり、その閾値内においては他の選択要件を優先することにより場合によっては高さの逆転選択もあり得る。
【0019】
また、本発明に係る積載ロジックを有する物品積載装置は、上記空きスペースマップへの積載においては、手前の積載空きスペースマップに載置する物品容器の略上面が当該物品の奥の積載空きスペースマップより高くなる場合には、上記手前の積載空きスペースマップへの載置を保留して、奥の最も物品容器高さが低い物品容器の略上面を次の積載空きスペースマップとして認識し、物品容器を平面載置することを繰り返す積載ロジックを含む情報処理指令部であることに特徴を有する。
【0020】
そして、上記物品個別識別情報には、出荷情報、載置体情報、積載高さ制限情報、物品容器サイズ情報及び優先順位を付した積載高さ位置推奨情報、破損禁忌情報若しくは物品重量情報、その他物品積載注意情報を含み、
上記空きスペースマップへの載置以降の上記平面載置においては、上記物品個別識別情報に規定された積載優先順位に従い物品容器の平面載置を繰り返す積載ロジックを含む情報処理指令部
であることに特徴を有する。(図17A参照)
【0021】
つまり本発明に係る積載ロジックを有する物品積載装置は、物品入出庫管理情報装置に連動していることから、入庫物品の出荷情報及び物品を積載すべきかご台車等の載置体情報を入手して、その載置体に複数の出荷物品(出荷物品容器)を効率よく積載する積載ロボットを具備して成る自動積載装置である。そして、その積載ロボットは積載ロジック情報処理司令部による積載ロジック及び積載効率等シミュレーション計算により決定された順番で且つ決定された位置に物品容器を載置する。
【0022】
本発明に係る積載ロジックを有する物品積載装置は、積載ロジックの一つとして積載すべき位置を「空きスペースマップ」として設定認識した後に、そのスペースに最も積載効率がよく且つ条件に適した物品容器をシミュレーション計算し載置する。よって、積載効率及び適合物品容器を選択するためのロジックを有する。そしてそのロジックに従うための判断の基礎となる情報である物品容器サイズ情報、物品重量情報、優先順位を付した積載高さ位置推奨情報、破損禁忌情報、物品積載注意情報、載置高さ制限情報等を含んだ物品個別識別情報を有する。これらの情報をロジックに従いシミュレーション計算し、積載効率及び適合物品容器を選択し決定された載置体の位置に載置ロボットが載置する。
【0023】
本発明に係る積載ロジックを有する物品積載装置の積載ロジック情報処理司令部が有するロジックの一つは、上記空きスペースマップへの載置以降の上記平面載置においては、積載空きスペースマップが長方形とならない場合には、その形状から想定可能な全ての最大長方形を積載空きスペースマップとして上記平面載置方法をシミュレーション計算し、上記物品個別識別情報に規定された積載優先順位及び/若しくは積載効率に従い物品容器の平面載置を繰り返す。
【0024】
本発明に係る積載ロジックを有する物品積載装置の積載ロジック情報処理司令部が有するロジックの一つは、上記空きスペースマップへの積載においては、手前の積載空きスペースマップに載置する物品容器の略上面が当該物品容器の奥の積載空きスペースマップより高くなる場合には、上記手前の積載空きスペースマップへの載置を保留して、奥の最も物品容器高さが低い物品容器の略上面を次の積載空きスペースマップとして認識する場合において、上記積載空きスペースマップより物品容器の高さが低い物品容器の上面には物品容器が被らないように(重ならないように)物品容器を載置する積載ロジックをもって積載を行うことである。
【0025】
本発明に係る積載ロジックを有する物品積載装置の積載ロジック情報処理司令部が有するロジックは、上記保留した上記積載空きスペースマップに物品容器を載置する際は、上記保留した積載空きスペースマップ情報の認識を解除し、新たな積載空きスペースマップを再度認識し直すことを含む。
【0026】
本発明に係る積載ロジックを有する物品積載装置の積載ロジック情報処理司令部が有するロジックは、複数の物品容器の積載高さの差が予め設定した値以内で隣接する積載空きスペースがある場合は、その空きスペースを結合して1つの積載空きスペースマップとして認識して扱うことを含む。
【0027】
本発明に係る積載ロジックを有する物品積載装置の積載ロジック情報処理司令部が有するロジックは、上記積載空きスペースマップへの物品容器の平面載置において、載置する物品容器を選定後、残余の上記空きスペースマップがある場合は、載置できる物品容器を底面積の大きいものから再度選択し載置の可否をシミュレーションすることを含む。
【0028】
本発明に係る積載ロジックを有する物品積載装置の積載ロジック情報処理司令部が有するロジックは、上記積載空きスペースマップへの物品容器の平面載置において、複数の物品容器を載置する場合は高さの高い物品容器から奥へ載置することを含む。
【0029】
本発明に係る積載ロジックを有する物品積載装置の積載ロジック情報処理司令部が有するロジックは、上記積載空きスペースマップへの物品容器の平面載置において、複数の物品容器を左右横方向に載置する場合は、左右どちらの方向から載置するかの順序決定は、上記積載ロジックに予め設定することができる。
【0030】
本発明に係る積載ロジックを有する物品積載装置の積載ロジック情報処理司令部が有するロジックは、上記空きスペースマップへの載置以降の平面積載高さが、上記積載高さ制限情報による制限高さを限度にして至った際、積載を終了することを含む。
【0031】
本発明に係る積載ロジックを有する物品積載装置の積載ロジック情報処理司令部が有するロジックは、上記載置体及びその載置体に積載する物品容器は、上記物品入出庫管理情報装置から予め設定され、その範囲で積載空きスペースマップの認定及び載置可否シミュレーションを実施することを含む。
【0032】
本発明に係る積載ロジックを有する物品積載装置の積載ロジック情報処理司令部が有するロジックは、積載される複数の物品容器の内、高さの差が予め定めた設定値より小さい物品容器同士は、略同一高さの物品容器であることを示すグループとして上記物品容器情報に認識されること、及び上記破損禁忌情報のように上記物品個別識別情報の中には、他の情報に最優先して厳守すべき情報を予め設定することができ、上記積載ロジックにおいては最優先されること、更に上記優先順位も予め設定することができることを含む。
【0033】
上記に記載したロジックは、本発明に係る積載ロジックを有する物品積載装置の積載ロジック情報処理司令部が有するロジックのなかの一部であり、その他周知技術の範囲で設定できるロジックについては全て本発明に包含するものである。
【0034】
本発明に係る積載ロジックを有する物品積載装置の積載ロボットは、物品容器同士又は物品容器と載置体の側壁との間隙を上記積載ロジック情報処理指令部に定められたところに従い左右奥行方向別に若しくは均等に維持しながら物品容器を載置することに特徴を有する。また上記載置体底面に最初から底面積の大きい上記物品容器から平面状に載置する際においても、積載すべき平面領域を空きスペースマップとして認識し、積載することに特徴を有する。
【0035】
そして本発明に係る積載ロジックを有する物品積載装置は、積載ロジックによって決定された物品の載置順位に従い、物品を搬出配膳し及び/若しくは並べ替える積載ロボット補助装置を有する。
【0036】
以上のように本発明に係る積載ロジックを有する物品積載装置は、上記ロジックに従い且つ諸々の物品個別情報を優先しつつ全ての出荷物品(物品容器)を自動で積載効率よく早く載置体に積載することができる。
【0037】
そして、従来は人による作業によって考慮されてきた物品の一定スペース内への積み付けに伴う配慮事項の全てが、積載ロジック情報処理司令部に設定されたロジックによるシミュレーションの結果に反映されるため、安全で信頼性のある物品積載及び物品出荷に貢献する。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、物流集配拠点での多種物品の出荷における移動台車等への選別積載の際、人手を介さず自動積載機により、物品の重量・サイズ・積載時の禁止事項等あらゆる物品の特性及び条件を考慮して且つ最大積載効率を満たす載置が可能となる。よって、出荷作業効率の向上及び作業スピードの向上が図られる上に、物品の品質保持、作業の安全性をも確保できるため、経済効率も格段に向上させることが可能な物流集配拠点が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の一実施形態に係る物品積載装置の空きスペースマップを示した概念図である。
図2】本発明の一実施形態に係る物品積載装置により物品容器の積載例を上から示した概念図である。
図3】本発明の一実施形態に係る物品積載装置により物品容器の積載例を前面から示した概念図である。
図4】本発明の一実施形態に係る物品積載装置により物品容器の積載例を上から示した概念図である。
図5】本発明の一実施形態に係る物品積載装置により物品容器の積載例を上から示した概念図である。
図6】本発明の一実施形態に係る物品積載装置により物品容器の積載例を上から示した概念図である。
図7】本発明の一実施形態に係る物品積載装置により物品容器の積載例を上から示した概念図である。
図7A】本発明の一実施形態に係る物品積載装置により物品容器の積載例を上から示した概念図である。
図8】本発明の一実施形態に係る物品積載装置により物品容器の積載例を上から示した概念図である。
図9】本発明の一実施形態に係る物品積載装置により物品容器の積載例を前面から示した概念図である。
図10】本発明の一実施形態に係る物品積載装置により物品容器の積載例を上から示した概念図である。
図11】本発明の一実施形態に係る物品積載装置により物品容器の積載例を前面から示した概念図である。
図12】本発明の一実施形態に係る物品積載装置により物品容器の積載例を上から示した概念図である。
図13】本発明の一実施形態に係る物品積載装置の空きスペースマップが長方形にならない場合の概念図である。
図14】本発明の一実施形態に係る物品積載装置の空きスペースマップが長方形にならない場合の概念図である。
図15】本発明の一実施形態に係る物品積載装置の空きスペースマップが長方形にならない場合の概念図である。
図16】本発明の一実施形態に係る物品積載装置の空きスペースマップが長方形にならない場合の概念図である。
図17A】本発明の一実施形態に係る物品積載装置の構成を説明する機能ブロック図である。
図17B】本発明の一実施形態に係る物品積載装置のロジックのプログラムの動作を説明するためのタイミング・フローチャートである。
図18】かご台車の例を示す図である。
図19】カートラックの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0041】
図1は、本発明の一実施形態に係る物品積載装置が物品を載置する「空きスペースマップ」(平面)を示した概念図である。同図に示すように、かご台車(図18)やカートラック(図19)のような物品積載移動台車の積載底面11を上から見ると略長方形平面の空きスペースとなり、この上に順次、物品が積載されていく。本発明の一実施形態に係る物品積載装置では、この空きスペースを、次の物品を載置する平面「空きスペースマップ」12として認識し、物品容器のサイズの大きい物から選定し、空スペースマップの占有率が高くなるように配置する。
【0042】
上記空きスペースマップ12は、その面積の左右前後の一定のスペースを余裕間隙として省いているため、実際のかご台車の底面積に等しいものではなく、図1に実線で示したように若干縮小したスペースとなる。場合によって物品容器を載置するロボットアームなどの移動スペースなどが余裕間隙として加味される場合もある。このように空きスペースマップ12の認識は、上から見た左右長さ寸法及び奥行長さ寸法を考慮した平面スペース(仮想空きスペース)として認識される。
【0043】
図2は、本発明の一実施形態に係る物品積載装置により物品容器の積載例を示した概念図である。同図に示すように、本発明の一実施形態に係る物品積載装置が上記空きスペースマップ12に大きい物品容器A、B、C、Dを載置した状態を上から見た概念図である。例えば、A、B、C、Dは、図1のように認識された空きスペースマップ12に最も面積占有率が高くなるように、大きいサイズの物品容器群の中から4個が選択される。この数は4個に限定されるものではなく、1個であっても6個であってもよい。空きスペースマップ12の面積占有率の有利性によって選択される。また、この様に空きスペースマップへの物品容器の平面載置において、複数の物品容器を載置する場合は高さの高い物品容器から奥へ載置する。
【0044】
図3は、本発明の一実施形態に係る物品積載装置により物品容器の積載例を前面から示した概念図である。同図に示すように、かご台車に平面状に第1層載置された物品容器を前面方向から見た概念図である。(図3図9図11には、かご台車の底面に平面状に積載された物品容器を第1層、次に積載するものを第2層と表現しているが、この「層」の表現は説明のための概念であって、本願のロジックを繰り返していくと、積載された物品容器高さの違いが大きくなり、正確な層概念に当てはまらなくなることがある。また、常に低い空きスペースを優先するロジックであるため、いずれ層の逆転が発生(例えば2層目で背の高い箱を配置すると、低い箱を何層か配置後に、高い箱の上を2層目として箱を配置することがある。)することもある。よって、図3図9図11において表現した「層」は、本願ロジックをわかり易く説明するために限定して用いた概念とする。)点線は、かご台車の内容積14を概念的に示している。図2のように平面状に第1層として載置された4個の物品容器は、それぞれサイズが異なる場合がほとんどであり、同様に高さも異なる。図3に示すように、例えば物品A、B、C、Dの容器高さの違いが認識される。本発明の一実施形態に係る物品積載装置も高さ方向について同様に認識する。本発明の一実施形態に係る物品積載装置によるこのような認識は、画像認識を要せず、全て物品容器サイズ情報(後述する図17A)でデータ認識されている。
【0045】
図4は、本発明の一実施形態に係る物品積載装置により物品容器の積載例を上から示した概念図である。同図に示すように、第2層の積載を行うための空きスペースマップ12の認識を示した概念図である。本発明の一実施形態に係る物品積載装置は、第2層平面に次の物品容器を載置するため、その空きスペースマップ12を認識する作業を行う。
【0046】
この認識条件である認識のためのロジックは、前の空きスペースマップ(図1)に平面載置された物品容器の中で最も高さの低い物品容器の略上面部を次の空きスペースマップ12として設定し認識することである。その面に入る物品容器をA、B、C、Dのように選定して載置した後は、載置した箱の上面の高さの内、最も低い位置に次の「空きスペースマップ」12を設定し認識し、再びその面に入る物品容器を選定配置することを繰り返す。
【0047】
但し、手前の空きスペースマップに載置する物品容器の上面が奥の空きスペースマップより高くなる場合は、手前の空きスペースマップの設定は保留として、奥の空きスペースマップを設定認識し直してそこへの物品容器の載置を先に実施するというロジックである。これは、かご台車等への機械による積み付け動作は上からではなく前面から行う動作になるため、手前よりも低い奥のスペースには、物品容器を積み込むことができないことによる。但し、かご台車の上部から下方に向かう積み付け動作仕様になる場合は、このロジックは解約すればよい。個々のロジックは臨機応変に設定可能である。
【0048】
図4に示すように、本発明の一実施形態に係る物品積載装置は、A、B、C、D物品容器のなかで最も高さの低いA容器をロジックに従い選択し、その略上面部を次の空きスペースマップ12として認識する。この空きスペースマップ12は、A容器の上面積の左右前後にある隣接容器の一定の空間スペースを加味し、且つ余裕間隙をも考慮して、左右奥行寸法が決定され空きスペースマップとして認識される。例えば、物品容器Aの奥行寸法がa、幅寸法がbとすると、設定された空きスペースマップ12の奥行寸法はc、幅寸法はdとなり、a<c、b<dとなる。このように隣接容器との間隙及び余裕間隙の寸法は予め設定された間隙数値を前提に決定される。
【0049】
次のロジックは、その認知されたA物品容器上部の空きスペースマップ12に、最も面積占有率が高くなるように、大きいサイズの物品容器群の中から選択し、載置することであるが、本発明の一実施形態に係る物品積載装置の特徴は、そのA物品容器の上面である空きスペースマップ12に次の物品容器を載置した場合、その容器の高さが、A物品容器の奥にある例えばB又はC物品容器の高さより高くなる場合は、A容器上の空きスペースマップに次の物品容器を載置することを中止しマップ設定を解除することにある。そのような仮の形態を図3において物品Xとして破線で示している。
【0050】
逆にA物品上に載置される物品容器の高さが、A物品容器の奥にある例えばB又はC物品容器の高さより低い場合は、A容器上の空きスペースマップにつぎの物品容器を載置する。
【0051】
図3の物品XのようにA物品容器の上面である空きスペースマップ12につぎの物品容器を載置した場合、その容器の高さが、A物品容器の奥にある例えばB又はC物品容器の高さより高くなる場合は、A容器上の空きスペースマップに次の物品容器Xを載置することを中止し、A物品上の空きスペースマップ12の認識を解除し、A物品容器の次に高さの低い例えばD物品容器の略上部平面を次の空きスペースマップとして上記同様に余裕間隙を考慮して設定し認識する。
【0052】
図5は、本発明の一実施形態に係る物品積載装置により物品容器の積載例を上から示した概念図である。同図に示すように、D物品容器の略上部に空きスペースマップ12が認識された場合の概念図を示している。上記同様にD物品容器の略上部の空きスペースマップに次の物品容器を載置した場合、その奥にあるC容器の高さより高くなるときは、その物品の載置を中止し、その空きスペースマップの認識を解除する。そして次に高さの低い第1層平面載置された物品容器である例えばB容器の略上面部平面を空きスペースマップとして設定し認識する。
【0053】
図6は、本発明の一実施形態に係る物品積載装置により物品容器の積載例を上から示した概念図である。同図に示すように、B物品容器の上部を空きスペースマップ12として認識した概念図を示している。そしてB物品容器の奥には他の容器が存在しないためロジック通り第2層平面積載として例えばF物品容器を載置する。この場合のように、A物品のように低い物品の上部スペースを保留して、B物品容器の略上部に新たな空きスペースマップを設定認識させるときは、その空きスペースマップ12は、保留した低い物品であるA物品容器及びD物品容器の略上部のスペースには掛からないように(かぶらないように)設定されることも本発明のロジックに含まれる。これは、奥のスペースに物品容器を載置した後、保留した前側の空きスペースマップを再度設定する際に、空きスペースが減少してしまうことを回避するためである。
【0054】
図7は、本発明の一実施形態に係る物品積載装置により物品容器の積載例を上から示した概念図である。同図は、物品容器Cの上部に空きスペースマップを設定し認識した状態を概念図で示している。図7における空きスペースマップ12は、前述までのロジックにおける物品容器Cの略上部の空きスペースマップ設定方法によるものである。しかし、ここで図7Aは、本発明の一実施形態に係る物品積載装置により物品容器の積載例を上から示した概念図である。同図に示すように、B物品容器の上部を空きスペースマップとして認識しF物品容器が載置された後、次にC物品容器の略上面部を空きスペースマップとして認識する場合、図7に示す空きスペースマップ12に限定されず、図7Aに示すようにB物品容器上部の空きスペースeをオフセットとして追加できることがわかる。この場合は、その利用できる平面スペースがC物品上部の空きスペースfに追加されて空きスペースマップ(f+e)として認識される。このような場合を以降「オフセット」と称する。
【0055】
この場合、C物品の略上面部の新たな空きスペースマップ12(f+e)に載置される物品容器は、重心が右側(図7Aの右側)になることによって傾く危険が生ずる。このような場合は物品容器の傾きを避けるために、物品容器Cの上部に載置される物品容器は、その幅寸法がC物品容器の幅寸法に対して例えば1.5倍以内というような予め設定された範囲で選択されて載置されることになる。つまり追加可能スペースeは、下の箱であるCの寸法(横幅、奥行き)に対する一定の割合で付加設定を行う。これは横幅方向、奥行き方向共通の設定値でもよい。このようなオフセットでの選択のロジックも本発明のロジックに含む。また、このオフセットによって追加されたスペースを含むスペースに物品容器を載置する場合は、オフセット部分にはみ出す範囲が載置する物品容器の底面寸法に対し、許容範囲内でなければならない。この許容範囲の算出は、載置する物品容器の底面寸法(横幅、奥行き)の一定の割合(例えば20%)で付加設定を行う。これは横方向、奥行き方向共通の設定値でもよい。
【0056】
図8は、上記のようなロジックの繰返しにより次の第2層への物品容器積載の一環として、C物品容器の略上部が空きスペースマップとして認識され、E物品容器が載置された状態を示している。
【0057】
図9は、本発明の一実施形態に係る物品積載装置により物品容器の積載例を前面から示した概念図である。同図は、図8の状態を前面側から見た概念を示している。物品容器A、B、C、Dは第1層であり、F、Eは第2層となる。
【0058】
図10は、本発明の一実施形態に係る物品積載装置により物品容器の積載例を上から示した概念図である。同図に示すように、次は再び最初の載置を保留された物品容器Aの略上面部が空きスペースマップ12として認識され(図4参照)、物品容器Gが選択されて載置される。
【0059】
図11は、図10を前面側から見た概念図である。物品Gは第2層となる。
【0060】
図12は、本発明の一実施形態に係る物品積載装置により物品容器の積載例を上から示した概念図である。同図に示すように、第2層の最後の物品容器載置として、D物品容器の略上面部が空きスペースマップ12として認識される。図12は、図11を上から見た概念図である。図12及び図11に示すように、D物品容器の略上面部を空きスペースマップとして再認識する場合、A物品容器上部が空きスペースeをオフセットとして追加できる。この場合は、その利用できる平面スペースがD物品上部の空きスペースfに追加されて空きスペースマップ(f+e)として認識される。
【0061】
つまり、奥の物品容器載置を実施後に保留していた前面側の空きスペースマップを設定する際には、低いマップ実施に伴い、空きスペースが広がる可能性があるため、再度空きスペースマップの設定を行うことになる。
【0062】
また、高さの差が設定値以内で同等の高さとみなすことができる隣接する物品容器同士の略上面部においては、空きスペースマップを設定する場合は、結合して1つの空きスペースマップとして扱うこともできる。例えば上記A物品とD物品の略上面部をこのようなロジックで解釈することもできる。
【0063】
空きスペースマップの認識時において上記のように隣接する複数の空きスペースのそれぞれの物品容器の上部高さが略均等又は予め規定した設定値以内の場合は、それぞれのスペースを包含した大きなスペースとして空きスペースマップを設定し認識することができる。この場合のように空きスペースマップは、通常の四角形スペース(以降、四角形スペースを「長方形スペース」と称する。)ではない複雑な平面形状(例えばL字型のような空きスペースマップ)となることがある。
【0064】
この場合は、本発明の一実施例に係る物品積載装置は、複雑な空きスペースマップの中に最大の長方形スペースを複数仮想設定し載置できる物品容器をシミュレーションし、空きスペースマップの占有率の有利な載置パターンで長方形のスペースを空きスペースマップとして選択する。
【0065】
図13は、本発明の一実施形態に係る物品積載装置により物品容器の積載例を上から示した概念図である。同図に示すように、空きスペースマップの再設定やオフセット処理等において例えば大小二つの長方形の空きスペースマップが併合して長方形でない大きな空きスペースマップ(異質な空きスペースマップ)となるような場合がある。これを図14に示す。同図は、本発明の一実施例に係る物品積載装置の空きスペースマップが長方形スペースにならない場合を示している。
【0066】
つまり、図14に示すように、大きい空きスペースと小さな空きスペースを統合して設定認識される空きスペースマップの場合、例えば図15のように考え得る最大長方形スペースとしての空きスペースマップを複数に分割して仮に想定し、それぞれの最大長方形スペースへの物品容器の載置をシミュレーションし、空きスペースの物品容器載置による占有率の効果によっていずれかの空きスペースマップを選択すべきかを判断決定する。つまり図15は、図14の空スペースを図15のように2つの長方形の空スペースとして認識し、各々シミュレーション処理して効率のよい方を採用するということを示している。そして、図16の場合は、上方の最大長方形の部分12を空きスペースマップと設定認識したことを示している。残った下方の長方形スペースは、新たな空きスペースマップとして再評価すればよい。
【0067】
長方形でない空きスペースマップをその有利な最大長方形の空きスペースマップで区切って認識した後は、残った長方形スペースを別の空きスペースとして配置することで、複雑な平面形状のスペースでも効率の良い配置を簡潔に算出でき、無用なシミュレーション計算時間を省くことができる。このようなシミュレーションのための条件は、必要に応じて予め設定すべきか否かの可否を判断することができる。これは、本発明の一実施例に係る物品積載装置のプログラムを構成するロジックが臨機応変に対応できることにより、不要な計算処理を割愛して空きスペースマップの設定認識を早め、載置時間の短縮化を優先する対応が容易であることを意味する。
【0068】
積載効率を最大優先するあまり載置条件に沿うシミュレーション計算に多大な時間及び費用を労することは回避すべきである。つまり本発明の一実施例に係る物品積載装置のロジックは最大積載効率を完全追求するための精密計算機械ではない。
【0069】
本発明の一実施形態に係る物品積載装置は、上記のようなロジックの繰返しにより、かご台車等の移動台車の底面から第1層平面、第2層平面と順次積載を繰り返し、必要な高さまで積載を実施し、載置される物品の上部高さが規定高さに達した時点で積載を終了させる。
【0070】
上記までは、主に空きスペースマップを決定し認識するためのロジックについて記載したが、以降は、設定認識された空きスペースマップに具体的に物品容器を選択して載置するためのロジックについて説明する。
【0071】
本発明の一実施形態に係る物品積載装置は、空きスペースマップが認識された領域に物品容器を選択し、載置する方法についてもロジックを有する。そのロジックに従い物品容器は載置選択のためのシミュレーションにかけられ、その結果において選択決定され載置される。
【0072】
例えば、積載される物品容器は、商品出荷情報に基づき物品(商品)の種類及び数が決定され物品容器の状態で倉庫から出庫される。そして出荷先等の情報は、その商品の例えば識別バーコードのような個別識別情報に紐付けされた状態となっている。
【0073】
出荷先別にかご台車又はカートラックのような積載移動台車が選択されて、且つそれらの積載移動台車の識別情報も決定される。つまり、個別の積載移動台車と出荷物品容器は全て出荷情報に基づいて紐付けされるため、例えば、個別の積載台車に掲載されるべき複数の物品容器(商品)は、本発明の一実施形態に係る物品積載装置が個別識別情報を伴う物品入出庫管理情報装置(システム)に連動していることにより出荷時において上記のような紐付け情報として特定される。ほとんどの場合は、約20~30個の出荷する物品容器が1台の特定かご台車に積載されるべく設定されるため、積載時には、かご台車の空きスペースマップに載置するための物品容器はデータ上決定されており、その中から載置のためのロジックによるシミュレーションのうえ載置順番・載置位置等が選択されることになる。
【0074】
全ての物品容器のサイズ(幅方向×奥行方向×高さ)及び重量は、個別商品識別情報に予め設定されている。その情報に加え、本発明の一実施形態に係る物品積載装置運用のための条件が個別情報として予め設定される。たとえば、条件例は、第1条件が易損度(壊れやすさに伴う載置高さの条件や上に物品載置を禁止するなどの条件)、第2条件が重量(できる限り積載においては下部に載置するなどの条件)、第3条件が出荷先別条件(かご台車からの積み降ろし順などに伴う降ろし易さのための載置位置等の条件)等が設定される。
【0075】
これらの条件は、載置順等の選択のためのシミュレーションにおいて配慮される優先順位が付されている。中には第一条件として厳守しなければならない条件や禁止・禁忌条件などが設定されるものがあれば、補助的な考慮条件として設定されるものもあり、これらの条件設定が選択優先順位を形成する。
【0076】
また大きさ及び重量などから積み付け高さを推奨する条件設定もすることができる。例えば、かご台車の最高積載高さのなかでの推奨載置高さを上/中/下の3段階で設定するとした場合、1はかご台車の下側、2は中央付近、3は上側のように付随数値によって個別物品容器に優先条件を設定することができる。これらの条件も選択のためのシミュレーションにおいて配慮される優先順位となる。
【0077】
このように空きスペースマップに載置する物品容器を選択する場合、上記のような優先順位情報によって物品容器がシミュレーションのうえ選択される。例えば、かご台車第1層からの載置においては下側載置条件1を付随数値として有する物品容器群のなかから選択され、その後中央付近2を有する物品容器群から選択され、そして最後には上側1を有する物品容器群からの選択となる。もちろん厳守事項として特定条件を指定することもできる。同じように禁忌・禁止事項として特定条件を指定することもできる。これらの厳守・禁忌・禁止条件は、他の全ての条件に優先して必ず満たさなければならない条件としてシミュレーションされる。
【0078】
本発明の一実施形態に係る物品積載装置は、ひとつの空きスペースマップに物品を載置する際、最も底面積(幅×奥行き)の大きい一つの物品容器と同一高さで底面積が小さい複数の物品容器があった場合、その底面積の合計で比較し、空きスペースマップの面積占有率に対して効率の良い(面積の大きい)方を選択採用するロジックを付加することもできる。もちろん複数の物品容器の一体的載置においては個々の物品容器間の間隙余裕(クリアランス)を含めてシミュレーション選定する。
【0079】
多項目にわたる条件の中には、複数の物品容器が同一条件になる場合や、優先順位に曖昧な部分等が発生する場合も考えられるため、これらの条件項目には条件種類によって種類間優先順位を設定することもできる。例えば、物品容器のサイズ条件よりも重さ条件重視で選択させたい場合は、「重さ条件>サイズ条件」のように条件に選択すべき優先荷重を加えることもできる。すべての条件が最終的に同一の場合は、一般的にデータの入力順とする手法がとられる。
【0080】
空きスペースマップに物品容器を載置する際は、一旦載置する物品容器を決定した後であっても、空きスペースの占有率が低い場合は再度他の物品容器を載置するスペースがあるかどうかをシミュレーションする。複数の物品容器を選定する場合は、それぞれの物品容器の空きスペースマップへの載置可否をシミュレーションし、スペース占有率を十分満たすまで物品容器をサイズ別に検討を繰り返す。
【0081】
本発明の一実施形態に係る物品積載装置は、その他にも諸々の条件をロジックの中に盛り込み、様々な条件を前提に空きスペースマップの設定や物品容器載置のためのシミュレーションに反映させることができる。例えば同一の空きスペースマップに複数の物品容器を載置する際は、その複数の物品容器を例えば左右どちらから載置するかを決定するロジックは、予め設定することができる。早く荷卸しする順に並べて載置することもできる。物品容器別に載置方向(向き)を決定することもできる。物品によっては重量のバランスを執る必要があるものもあるため、重心のかかる方向をかご台車の中心に向けて載置することもできる。これらの条件は物品個別識別情報から得ることができる。
【0082】
同様に、同一の空きスペースマップに複数の物品容器を載置する際、最初の物品容器は奥の方から載置し、順次手前の方へと載置順番を設定することもできる。また物品容器の高さ寸法の大きい方から奥に載置するロジックをも設定することができる。
【0083】
載置する物品容器を全て選定後、例えば、それぞれの物品容器同士のクリアランス(間隙)及びかご台車側面板とのクリアランス(間隙)を一定の設定値になるよう又は均等になるよう載置位置を決定するよう予め設定することができる。このような隣接物品容器との間隙寸法は場合によってはその物品特有の寸法を必要とするものもあり、これらの物品特有の情報は、物品個別識別情報のなかに加味される。本発明の一実施形態に係る物品積載装置は、このように個別物品容器の載置においては、様々な条件を予め設定することにより必要な配慮が講じられた物品容器の載置を可能とするものである。
【0084】
サイズの高さ情報を基に、高さの差が設定値以内の箱を同一高さ箱情報として、記憶しておくこともでき、これらを一群のセットとしてシミュレーションに追加反映させることもできる。
【0085】
本発明の一実施形態に係る物品積載装置は、ロボットのようなアームを用いた自動積載装置を用いて物品容器を載置する際、その載置場所や載置順番、載置向きなどもロジックとして個別物品識別情報に従って設定することができる。
【0086】
図17Aは、本発明の一実施形態に係る物品積載装置の構成を説明する機能ブロック図である。同図に示すように、本発明の一実施形態に係る物品積載装置200は、物品入出庫管理情報装置210、積載ロジック情報処理司令部230、積載ロボット240から構成される。物品入出庫管理情報装置210は、物流集配拠点である総物品入出庫管理情報と連動するものであり、物品の出荷情報218、載置体情報219に対してアクション開始することができる。
【0087】
また、物品入出庫管理情報装置210及び積載ロジック情報処理司令部230は、いずれも物品個別識別情報211に連接している。よって、積載ロジック情報処理司令部230は、物品個別識別情報211に含まれる物品容器情報212、物品容器サイズ情報213、物品重量情報214、優先順位を付した積載高さ位置推奨情報215、破損禁忌情報216、物品積載注意情報217、等の予め設定された様々な情報に基づいてロジックに従うシミュレーション計算250を行うことができる。
【0088】
そして上記のシミュレーション計算結果の指示に従い積載ロボット240が自動で物品容器を載置体であるかご台車等に積載する。
【0089】
図17Bは、本発明の一実施形態に係る物品積載装置のロジックのプログラムの動作を説明するためのタイミング・フローチャートである。同図に示すように、例えば出荷が決定された複数の物品(物品容器に収納されている。)を指定されたかご台車に積載する場合、本発明の一実施形態に係る物品積載装置は、かご台車の空きスペースや制限高さを認識する(101)。同様に全積載物品容器のサイズや個別条件を認識する(102)。これらの情報は予め記録されているが、改めて条件として入力し設定することもできる。
【0090】
最初にかご台車の空きスペースマップを設定認識して(103)、そのスペースに載置される物品容器を載置ロジックに従いシミュレーションする(104)。例えば大きな重量物品から第1層として載置するべき物品容器で、空きスペースマップの占有率を向上させる組合せの物品容器を選択する。この場合、かご台車との一定間隙をとる等の予め規定されたロジックも加味される(105)。ここで第1層とは、かご台車の底面に略平面状に載置される第1層の物品容器群を指し、それらの物品容器の上にさらに略平面状に載置される物品群は第2層、更に第3層と表現するものとする。
【0091】
そして第1層として物品容器を載置する(106)。この際、載置方法のロジックが反映される(107)。容器間隔をとることやかご台車の奥から大きな容器をバランスよく配置する等の載置方法ロジックが設定されている。これらの情報は予め記録されているが、改めて入力設定することもできる。
【0092】
次に第2層の空きスペースマップの設定認識を行う(108)。この際、空きスペースマップ設定ロジックに従い空きスペースマップを設定する(109A)。第1層の物品容器で高さの最も低い容器の略上面部に空きスペースマップを設定し、優先すべき条件に従い物品容器の載置シミュレーションを実施する(110)。空きスペースマップ設定の際は、物品容器間の間隔やかご台車との間隙等が考慮され、後述するが隣接の空きスペースが併合できる場合の併合(オフセット)の選択なども空きスペース設定ロジックの中には含まれている(109A)。
【0093】
載置シミュレーション(110)には、第1層の載置シミュレーションと同様に載置シミュレーションロジック(111)が条件として反映される。載置シミュレーションロジックの中には、禁止・禁忌条件、最優先条件、積載高さ条件(上、中、下)、物品個別条件、優先順位条件、同一高さの物品容器の複数一括載置条件などが含まれているため、人間作業による積載時の考慮事項のほとんどが自動的に反映される。
【0094】
空きスペースマップに第2層の物品容器載置のシミュレーション(111)と同期して空きスペースマップ設定ロジック(109B)が働く。例えば、第2層の手前に載置する容器の上面の高さが奥の第1層物品容器の上面より高くなる場合は、その奥の第1層物品容器のなかで最も高さの低い物品容器の略上面に空きスペースマップを再設定するという空きスペースマップ設定ロジックに従う(109B)。つまり、このような場合には、第2層空きスペースマップ設定・認識(108)に工程が戻り別の空きスペースマップを再設定し及び再シミュレーションを行い、最終的に最もベターな物品容器と載置順番・載置方法が決定される。結果、このような載置ロジックに従い第2層物品容器載置が行われる(112)。
【0095】
以上のようなロジックによるプログラムのフローの繰返しにより物品容器の積載が行われ、最終的にシミュレーションロジックの高さ制限条件に該当することになった時点で積載行為が終了する(113)。
【0096】
図17Bに示すタイミング・フローチャートは、本発明の一実施形態に係る物品積載装置のロジックのプログラムの動作を説明するための一実施例であって、同図に記載されたロジックや条件については逐次変更又は追加が可能であることは言うまでもない。
【0097】
本発明の一実施形態に係る物品積載装置は、かご台車を例に説明したが、カートラック(図19)のような中間に棚がある場合でも、棚を底面とみなして同ロジックを繰り返し実行すれば良く、サイズや高さを任意設定変更できる移動台車においても何ら支障はない。予め移動台車の条件を設定入力し、上記ロジックやシミュレーションに反映させればよいことは当然である。またこの方式は移動台車に限らず、静止か移動するかにかかわらず、様々な載置体に対して物品を積載する場合にも適用できる。
【0098】
つまり本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。これらはすべて、本技術思想の一部である。
【産業上の利用可能性】
【0099】
上述したように、本願に係る発明によれば、物流集配拠点での多種物品の出荷における移動台車等への選別積載の際、人手を介さず自動積載機により、物品の重量・サイズ・積載時の禁止事項等あらゆる物品の特性を考慮して且つ最大積載効率を満たす載置が可能となる。よって、出荷作業効率の向上及び作業スピードのアップが図られる上に、物品の品質保持、作業の安全性をも確保できるため、経済効率も格段に向上させることが可能な物流集配拠点が実現される。
【0100】
さらに、本発明に係る自動積載装置は、物流集配拠点での物品出荷時の移動台車への積載に限定されることなく、あらゆる物品の積載に利用・適用が可能である。よって、本願は、物流
業に限らず、各種産業に対して大きな有益性をもたらすものである。
【符号の説明】
【0101】
11 かご台車積載底面
12 空きスペースマップ
14 かご台車内容積
A,B,C,D,E,F,G 物品容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図7A
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19