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特許7167393計器読取システム、計器読取方法、及び計器読取プログラム、並びに計器読取システムを備えた点検支援システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】計器読取システム、計器読取方法、及び計器読取プログラム、並びに計器読取システムを備えた点検支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06V 30/19 20220101AFI20221101BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20221101BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20221101BHJP
   G08C 19/36 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
G06V30/19 D
G05B23/02 301Z
G08C17/00 Z
G08C19/36
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020007291
(22)【出願日】2020-01-21
(65)【公開番号】P2021114215
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2021-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】522372393
【氏名又は名称】株式会社共伸電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100181630
【弁理士】
【氏名又は名称】原 晶子
(72)【発明者】
【氏名】八田 明久
(72)【発明者】
【氏名】八田 直也
(72)【発明者】
【氏名】八田 侑香
(72)【発明者】
【氏名】八田 聡太
(72)【発明者】
【氏名】筒井 大士朗
【審査官】笠田 和宏
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-163475(JP,A)
【文献】特開平11-316794(JP,A)
【文献】特開2001-224557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 30/19
G05B 23/02
G08C 17/00
G08C 19/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル数字で計測値を表示する計器から計測値を読み取る計器読取システムであって、
前記計器を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置により撮像された画像を処理する処理装置と、を備え、
前記処理装置は、
前記画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部により取得された前記画像の計測値の周辺にベースポインタを表示し、且つ、前記画像の計測値の上の予め設定された位置に複数のポインタを表示するポインタ表示部と、
前記ポインタ表示部により表示された前記ベースポインタ及び前記ポインタを使用して計測値を読み取る値読取部と、を備え、
前記ベースポインタ及び前記複数のポインタは、互いに異なる色を有する計器読取システム。
【請求項2】
デジタル数字で計測値を表示する計器から計測値を読み取る計器読取方法であって、
撮像装置により撮影された計器の画像を取得するステップと、
取得された前記画像の計測値の周辺にベースポインタを表示し、且つ、前記画像の計測値の上の予め設定された位置に複数のポインタを表示するステップと、
表示された前記ベースポインタ及び前記ポインタを使用して計測値を読み取るステップと、を備え、
前記ベースポインタ及び前記複数のポインタは、互いに異なる色を有する計器読取方法。
【請求項3】
デジタル数字で計測値を表示する計器から計測値を読み取る方法をコンピュータに実行させるための計器読取プログラムであって、
撮像装置により撮影された計器の画像を取得するステップと、
取得された前記画像の計測値の周辺にベースポインタを表示し、且つ、前記画像の計測値の上の予め設定された位置に複数のポインタを表示するステップと、
表示された前記ベースポインタ及び前記ポインタを使用して計測値を読み取るステップと、をコンピュータに実行させ、
前記ベースポインタ及び前記複数のポインタは、互いに異なる色を有する計器読取プログラム。
【請求項4】
請求項1に記載の計器読取システムと、
前記計器読取システムに備えられ、前記計器読取システムで読み取った計測値を送信する送信装置と、
前記送信装置を介して送られてきた前記計測値を表示する表示装置と、を備え
前記送信装置は、中波帯域の中の低い周波数帯域の電波を使用して計測値を送信する点検支援システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計器読取システム、計器読取方法、及び計器読取プログラムに関し、特に、計測値がデジタル数字で表示される計器の読取システム、読取方法、及び読取プログラムに関する。また、その計器読取システムを備えた点検支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プラントの機器の点検は、作業員がプラントの現場に行き、現場で機器の計器の計測値を確認することで行っている。しかしながら、近年の人手不足や高齢化に伴い、日々の点検業務の負担が高まり、作業の自動化が望まれている。
【0003】
このような問題を解決する方法として、計器を撮像し、撮像された画像から計測値を読み取って自動でデジタル化する技術が研究開発されている。計測値がデジタル数字で表示される計器についても、撮像された画像から計測値を読み取る装置及び方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-16027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような計器読取装置及び方法では、デジタル数字が7セグメント形式で表されているものしかデジタル化できず、他の形式でデジタル数字を表示する計器には利用できないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、デジタル数字の表示形式に関わらず、計器に表示されるデジタル数字を読み取ることができる計器読取システム、計器読取方法及び計器読取プログラムを提供することを目的とする。また、その計器読取システムを備え、プラントの点検業務の省人化を図ることができる点検支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、デジタル数字で計測値を表示する計器から計測値を読み取る計器読取システムである。計器読取システムは、計器を撮像する撮像装置と、撮像装置により撮像された画像を処理する処理装置とを備える。処理装置は、画像を取得する画像取得部と、画像取得部により取得された画像の計測値の周辺にベースポインタを表示し、且つ、画像の計測値の上の予め設定された位置に複数のポインタを表示するポインタ表示部と、ポインタ表示部により表示されたベースポインタ及びポインタを使用して計測値を読み取る値読取部とを備える。ベースポインタ及び複数のポインタは、互いに異なる色を有する。
【0008】
また、本発明は、デジタル数字で計測値を表示する計器から計測値を読み取る計器読取方法である。計器読取方法は、撮像装置により撮影された計器の画像を取得するステップと、取得された画像の計測値の周辺にベースポインタを表示し、且つ、画像の計測値の上の予め設定された位置に複数のポインタを表示するステップと、表示されたベースポインタ及びポインタを使用して計測値を読み取るステップとを備える。ベースポインタ及び複数のポインタは、互いに異なる色を有する。
【0009】
また、本発明は、デジタル数字で計測値を表示する計器から計測値を読み取る方法をコンピュータに実行させるための計器読取プログラムである。計器読取プログラムは、撮像装置により撮影された計器の画像を取得するステップと、取得された画像の計測値の周辺にベースポインタを表示し、且つ、画像の計測値の上の予め設定された位置に複数のポインタを表示するステップと、表示されたベースポインタ及びポインタを使用して計測値を読み取るステップとをコンピュータに実行させる。ベースポインタ及び複数のポインタは、互いに異なる色を有する。
【0010】
さらに、本発明は、上記計器読取システムを備えた点検支援システムである。点検支援システムは、上記計器読取システムと、計器読取システムに備えられ、計器読取システムで読み取った計測値を送信する送信装置と、送信装置を介して送られてきた計測値を表示する表示装置とを備える。送信装置は、中波帯域の中の低い周波数帯域の電波を使用して計測値を送信する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の計器読取システム、計器読取方法及び計器読取プログラムによれば、デジタル数字の表示形式に関わらず、計器に表示されるデジタル数字を読み取ることができる。また、本発明の点検支援システムによれば、上記計器読取システムを備えることで、プラントの機器の計器が表示するデジタル数字が如何なる表示形式であっても計器の計測値を読み取ることができる。その結果、計器の計測値を自動で読み取ることができ、プラントの点検業務の省人化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る点検支援システムの全体構成を示す図である。
図2図1の点検支援システムの計器読取システムの設定画面の一例を示す図である。
図3図1の点検支援システムの計器読取システムの計測値読取領域の一例を示す図である。
図4図1の点検支援システムの計器読取システムの運転工程における動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、本発明の計器読取システム10について説明する。計器読取システム10は、デジタル数字で計測値を表示する計器2(例えば、MLSS(活性汚泥浮遊物質)計、pH計、DO(溶存酸素)計等)から計測値を読み取るものである。この計器読取システム10は、コンピュータ装置により実現され、計器読取プログラムを実行することにより計器2の計測値を読み取る。
【0014】
<計器読取システム10の構成>
図1に示すように、本実施形態の計器読取システム10は、カメラ等の撮像装置11と、撮像装置11により撮像された画像を処理する処理装置12とを備えている。撮像装置11と処理装置12とは、有線で接続されている。
【0015】
処理装置12は、画像を取得する画像取得部121、画像を記憶する画像記憶部122、画像の前処理を行う画像処理部123、画像上にポインタを表示するポインタ表示部124、画像から計測値を読み取る値読取部125、及び、読み取った計測値を数値データとして保存する値保存部126を備えている。また、処理装置12は、プログラムを実行するCPU(図示略)、CPUが実行するプログラム及びデータを一時的に格納するRAM(図示略)、並びに、CPUが実行するプログラム及びデータを不揮発的に記憶するROM(図示略)を備えている。
【0016】
画像記憶部122は、USB又はSDカード等の記憶媒体を備えている。そして、画像取得部121で取得された画像は、そのままの状態で画像記憶部122に記憶される。
【0017】
画像処理部123は、画像取得部121で取得された画像に対し、明暗を調整することで、画像上の計測値が認識しやすくなるように処理するものである。
【0018】
ポインタ表示部124は、画像取得部121で取得された画像、より具体的には画像処理部123で明暗を調整された画像の計測値MVの周辺及び計測値MVの上に、ベースポインタPb及び複数のポインタP(P1~P9)を表示する(図3参照)。本実施形態では、計測値MVの周辺の計測値MVに重ならない位置に白色のベースポインタPbを表示し、計測値MVの上、すなわち計測値MVに重なる位置に白色以外の互いに異なる複数の色のポインタP1~P9を表示する。ポインタPは、後述するように、デジタル数字の形によって、数が決められる。ここで、計測値MVの上とは、「8」が表示されたときに、数字を表している部分をいう。なお、ベースポインタPb及び複数のポインタPの色は互いに異なる任意の色とすることができる。つまり、ベースポインタPbを白色以外とし、複数のポインタPを互いに異なり且つベースポインタPbとも異なる色とすることもできる。
【0019】
値読取部125は、ポインタ表示部124により表示されたベースポインタPb及びポインタP(P1~P9)を使用して計測値MVを読み取るものである。
【0020】
画像取得部121、画像記憶部122、画像処理部123、ポインタ表示部124、値読取部125、及び値保存部126は、処理装置12のCPUでプログラムを実行させることで実現される。
【0021】
本実施形態の計器読取システム10は、計器2の計測値の読み取りを実現するために、設定工程と運転工程がある。設定工程では、撮像装置11により撮像された計器2の画像から計測値を読み取るための条件の設定を行う。運転工程では、設定工程で設定された各条件に基づいて、撮像装置11により撮像された計器2の画像から計器2の計測値を読み取る。
【0022】
<設定工程>
次に、図2及び図3を参照して、計器読取システム10の設定工程における手順について説明する。図2は、計器読取システム10の設定画面30を示し、図3は、その設定画面30の中の計測値MVが表示される計測値読取領域32のみを示している。図3(a)は、計測値MVが7セグメント形式で表示されている例、図3(b)は、計測値MVが7セグメント形式に近いフォントで表示されている例、図3(c)は、計測値MVが7セグメント形式とは異なるフォントで表示されている例を示している。
【0023】
設定工程は、計器2の正面に撮像装置11を設置した後、又は、撮像装置11の位置を修正した後に行う。この設定工程は手動で行う。
【0024】
まず、処理装置12のROMから、図2に示す計器読取システム10の設定画面30を立ち上げる。そして、設定画面30の画像表示部31に、撮像装置11で撮像した計器2の画像を読み込む。このとき、計器2の計測値MVが表示される部分が、計測値読取領域32である。その後、条件設定部33で、計測値を読み取るための条件の設定を行う。
【0025】
初めに、条件設定部33の「数字の形」の項目で、計測値MVのデジタル数字の形式を選択する。すなわち、デジタル数字が、「7セグ形式」であるのか、「他のフォント」であるのかを選択する。「7セグ形式」とは、7セグメント形式(図3(a)の形式)又は7セグメント形式に近いフォント(図3(b)のフォント)をいう。また、「他のフォント」とは、7セグメント形式とは異なる形のフォント(図3(c)のフォント)をいう。
【0026】
この「数字の形」の項目を選択すると、選択した項目に応じた数のポインタP及びベースポインタPbが画像表示部31に表示される。具体的には、図3(a)及び図3(b)のような「7セグ形式」の場合、7個のポインタP1~P7が表示される。一方、図3(c)のような「他のフォント」の場合、9個のポインタP1~P9が表示される。このとき、ベースポンタPbは白色であり、ポインタP1~P9は白色以外の互いに異なる色である。例えば、P1は赤色、P2は橙色、P3は黄色、P4は緑色、P5は青色、P6は藍色、P7は紫色、P8は桃色、P9は灰色というように、ポインタP1~P9の色が同じ色にならないように振り分けられる。ポインタP1~P9の色は、背景部分及び計測値MV部分との色差や輝度差が大きくなる色が好ましい。なお、図2及び図3では、図面のカラー表示ができないため、ポインタP1~P9は全て灰色で示している。
【0027】
画像表示部31にベースポインタPbが表示されると、マウス等の入力装置を利用してベースポインタPbを、計測値MVの周辺の計測値MVと重ならない位置に配置させる。
【0028】
次に、「桁数」の項目において計測値MVの桁数を入力し、「小数点以下の桁数」の項目において、計測値MVの小数点以下の桁数を入力する。ここで入力する「桁数」は、小数点より上の桁数と、小数点より下の桁数とを足したものである。なお、計器2で計測される計測値が整数の場合、「小数点以下の桁数」の項目はなくてもよい。
【0029】
その後、「設定桁」の項目を入力する。本実施形態では、「設定桁」は、計測値読取領域32の一番右(一番下)を1桁、その左隣を2桁、さらにその左隣を3桁としている。「設定桁」の項目は、「桁数」の回数だけ順に入力する。
【0030】
「設定桁」を入力するごとに、画像表示部31に表示されるポインタP1~P7(図2では)を、マウス等の入力装置を利用して、ポインタP1~P7が計測値MVの上に重なるように配置する。このとき、「設定桁」が「1」の場合は、計測値読取領域32の一番右の数字の上にポインタP1~P7を配置する。「設定桁」が「2」になると、計測値読取領域32の右から二番目の数字の上にポインタP1~P7を配置する。このようにして、「桁数」の数だけ、「設定桁」の入力と、ポインタP1~P7の配置を繰り返す。ポインタP1~P7の位置は、「設定桁」ごとに記憶させる。
【0031】
ポインタPは、7セグメント形式では、各セグメントの略中央位置に1個ずつポインタP1~P7を配置する。図3(c)に示すような他のフォントでは、ポインタP1~P9を利用して、0~9の全ての数字が判別できるように配置する。例えば、図3(c)のように上部に3個、中部に3個、下部に3個のポインタP1~P9を配置する。これにより、設定工程が完了する。
【0032】
<運転工程>
次に、図4を参照して、本実施形態の計器読取システム10の運転工程における手順、すなわち計器読取方法について説明する。計器読取方法は、計器読取システム10に格納されている計器読取プログラムを実行することで実現される。
【0033】
まず、処理装置12のCPUが撮像装置11へ撮像の指示を行い、計器2の画像を撮像する(S1)。撮像された画像を画像取得部121が撮像装置11から取得する(S2)。取得された画像は、画像記憶部122に記憶する(S3)。また、取得された画像は、画像処理部123に送られ、画像処理部123において、画像の明暗を調整し、計測値MVが認識しやすくなるよう画像を補正する(S4)。
【0034】
その後、ポインタ表示部124において、補正された画像の計測値MVの周辺にベースポインタPbを表示するとともに、計測値MVの上に複数のポインタPを表示する(S5)。ベースポインタPb及びポインタPは、設定工程において予め設定しておいた位置に表示する。最初は、ポインタPは、一番右(一番下)の桁を読み取る位置に表示する。
【0035】
値読取部125では、以下の手順で値が読み取られる。まず、ベースポインタPb及びポインタPから色情報(例えばRGB)を取得する。そして、ベースポインタPbの色情報と各ポインタP1~P9(図3(a)及び図3(b)の例ではポインタP1~P7)の色情報とを比較する。
【0036】
ここで、各ポインタP1~P9には、ベースポインタPbと比較した際の色情報が予め決められている。各ポインタP1~P9が計測値MVの数字部分と重なると、ベースポインタPbと比較した色情報が変化する。この色情報の変化で、どのポインタP1~P9が計測値MVの数字部分と重なっているかを判断する。また、各数字(0~9)と、色情報が変化したポインタPの組合せとの関係は、予め計器読取プログラムにおいて設定されている。例えば、図3(a)の例では、ポインタP3及びポインタP6の色情報が変化すると、数字は1ということが予め設定されている。
【0037】
上記の手順にて、ベースポインタPbの色情報と各ポインタP1~P9の色情報とを比較し、色情報が変化したポインタPの組合せを特定する。そして、数字と色情報が変化したポインタPの組合せとの関係を利用して、計測値MVの数値を読み取る。このようにして、表示されたベースポインタPb及びポインタPを使用して計測値MVを読み取る(S6)。
【0038】
計測値MVの値が読み取れると、その値を数値データとして値保存部126に記録する(S7)。一方、計測値MVの値が読み取れない場合は、エラーとして値保存部126に記録する(S8)。
【0039】
計測値MVの一番右(一番下)の桁の値の読み取りが終了すると、その左隣(右から二番目)の桁の計測値MVの値を読み取る。すなわち、再びポインタ表示部124において、計測値MVの右から二番目の桁にポインタPを表示し、計測値MVの一番右の桁の値を読み取ったのと同様にして、値読取部125で計測値MVの右から二番目の値を読み取り、読み取った値を数値データとして値保存部126に記録する。これを全ての桁、つまり設定工程において「桁数」で入力した数に対して行う。全ての桁の値を読み取れると、計器2の計測値の読み取りが終了する。
【0040】
<点検支援システム>
再び図1を参照して、本実施形態の点検支援システム1について説明する。点検支援システム1は、上記した計器読取システム10と、計器監視システム20とを備えている。計器読取システム10には、送信装置13が備えられており、計器監視システム20には、受信装置21が備えられている。この送信装置13及び受信装置21を利用して、計器読取システム10で読み取った計測値MVが計器監視システム20に送られる。
【0041】
送信装置13は、中波帯域の中の低い周波数帯域の電波を使用して無線通信を行う。具体的には、920MHz帯のWi-SUNを使用して通信する。これにより、有線通信における線の配置の煩わしさもなく、また、Wi-Fiが使用できないプラントでも点検システムを利用することができる。
【0042】
計器監視システム20には、表示装置22が備えられている。表示装置22は、例えば、パソコン又はタブレット等であり、受信装置21で受信した計測値MVを表示する。この表示装置22を利用して計器2の数値を確認することで、計器2の状態を監視する。また、表示装置22に搭載されているCPU(図示略)を利用して、計器2の数値データをまとめたり、数値データの正常・異常を判断して、異常が検知された場合にメール等により警告を行ったりすることができる。
【0043】
以上のように、本実施形態の計器読取システム10、計器読取方法及び計器読取プログラムでは、ポインタPの数及び配置を変えるだけで、7セグメント形式のデジタル数字のみならず、異なるフォントのデジタル数字も読み取ることができる。
【0044】
具体的には、数字「7」について、7セグメント形式(図3(a)及び図3(b))では、ポインタP1,P3,P6の色情報が変われば「7」と判断できる。また、図3(c)のような7セグメント形式と異なるフォントでは、計器2のデジタル数字のフォントに応じてポインタPの数及び配置を変えることができる。これにより、7セグメント形式ではポイントP6の色情報が変わらず「7」と判断できない図3(c)のようなフォントの「7」でも、図3(c)に示すようにポインタP1~P9を配置し、ポインタP1,P3,P8の色情報が変わればその値は「7」と設定しておくことで、正確に数値を読み取ることができる。
【0045】
このように、ポインタPの数及び配置を変えることで、計器2で表示されるデジタル数字のフォントが如何なるフォントであっても、本実施形態の計器読取システム10、計器読取方法及び計器読取プログラムでは、計器2に表示されるデジタル数字を正確に読み取ることできる。
【0046】
さらに、本実施形態の点検支援システム1では、上記計器読取システム10を備えるため、如何なるデジタル数字を表示する計器2にも適用でき、如何なるデジタル数字で表示される計測値も自動で読み取ることができる。その結果、幅広いプラントに点検支援システム1を適用でき、多くのプラントで点検業務の省人化及び効率化を図ることができる。
【0047】
また、本実施形態の点検支援システム1は、撮像装置11に接続された計器読取システム10で計器2の計測値MVを読み取り、数値データを計器監視システム20に送信する。これにより、計器監視システム20に送信するデータ容量を抑えることができ、中波帯域の中の低い周波数帯域の電波(Wi-SUN)を使用することができる。その結果、Wi-Fiを使用できない場所でも無線通信が可能となり、より幅広いプラントで点検支援システム1を使用することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0049】
例えば、上記実施形態では、一番下の桁から順にポインタPを表示して計測値MVを読み取っている。しかしながら、この形態に限られず、計測値MVを読み取る手順は、一番上の桁から順にポインタPを表示して計測値MVを読み取ってもよい。また、ポインタPの数を増やして、全ての桁の上にポインタPを一度に表示して、一度で計測値MVを読み取ってもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、ポインタPの数は、7個又は9個としているが、「0」~「9」の数字が正確に読み取れれば、ポインタPの数は任意の数とすることができる。
【0051】
また、上記実施形態では、計器読取プログラムの中にポインタPの状態と数値との対応関係が設定されている。しかしながら、この形態に限られず、ポインタPの状態と数値との対応関係は、設定工程において、設定画面30で設定できるようにしてもよい。これにより、ポインタPと数値との対応条件が変化しても、計器読取プログラムを変更することなく、設定工程における設定画面30で容易にポインタPと数値との対応条件を変更することができる。
【0052】
また、上記実施形態では、Wi-SUNで計器監視システム20まで数値データを送信している。しかしながら、この形態に限られず、Wi-SUNを利用して無線通信可能な場所まで通信し、そこからゲートウェイを介してWi-Fi等を利用して通信してもよい。また、ゲートウェイからAWS(Amazon Web Services)等のクラウドコンピューティングサービスに送信し、監視者のタブレット又はパソコンから、クラウドコンピューティングサービスにアクセスして確認できるようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、処理装置12は画像処理部123を備えている。しかしながら、この形態に限られず、計測値MVを読み取るときに特に画像を処理する必要がない場合、画像処理部123は備えなくてもよい。この場合、計器読取方法及び計器読取プログラムにおいても、画像を処理又は補正する工程を省略することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 点検支援システム
2 計器
10 計器読取システム
11 撮像装置
12 処理装置
121 画像取得部
124 ポインタ表示部
125 値読取部
13 送信装置
22 表示装置
MV 計測値
Pb ベースポインタ
P,P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8,P9 ポインタ

図1
図2
図3
図4