(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 5/22 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
H02K5/22
(21)【出願番号】P 2017184787
(22)【出願日】2017-09-26
【審査請求日】2020-09-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三好 諒
(72)【発明者】
【氏名】三宅 拓郎
【審査官】三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-017919(JP,A)
【文献】特開平05-219673(JP,A)
【文献】特開2002-233094(JP,A)
【文献】実開昭55-083855(JP,U)
【文献】特開平11-230224(JP,A)
【文献】特開平6-305643(JP,A)
【文献】実開平7-037858(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のコイルを有するステータと、
前記ステータの一方側の端面と対向するベースと、
前記ベースの前記ステータと対向する面から反対側の面に貫通し前記コイルと接続された引出線が通る少なくとも一つの引出線挿入孔と、
前記引出線挿入孔に挿入されたブッシュと、を備えたモータであって、
前記ブッシュは、
前記引出線挿入孔に挿入する方向である第1方向に延びる
とともに前記引出線挿入孔に挿入される本体部と、
前記第1方向に貫通する複数の貫通孔と、
前記第1方向に延びる前記本体部の周面において、前記第1方向と直交する第2方向に突出するとともに前記第1方向に延びる複数の突出部と、
を備え、
前記貫通孔は、
前記第1方向の一方側に開口を有するとともに前記第1方向に延びる円筒状の第1孔部と、
前記第1方向の他方側に開口を有し、前記第1孔部と前記第1方向に連続するとともに、前記第1孔部に向かって内径が小さくなる傾斜面を有する第2孔部と、
を備え、
前記ブッシュが前記引出線挿入孔に取り付けられたとき、前記突出部は前記引出線挿入孔の内面と接触し、
前記引出線の一部が、前記貫通孔に配置されるモータ。
【請求項2】
前記第2孔部の前記傾斜面は、前記第1孔部側の延長が前記第1孔部の内面と交差する傾斜を有する請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記本体部は、前記第2方向に平行に並んだ2個の平面を有し、
複数の前記突出部は、前記2個の平面のうち少なくとも一方から前記第2方向に突出する請求項1又は請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
複数の前記貫通孔は、前記第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向に延びる直線上に配列されている請求項3に記載のモータ。
【請求項5】
複数の前記突出部の少なくとも1つは、前記貫通孔と前記第3方向にずれている請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
複数の前記突出部のうち、前記第3方向の両端部の少なくとも1つは、前記第3方向の端部に配置された貫通孔よりも、前記第3方向中央側にずれている請求項5に記載のモータ。
【請求項7】
複数の前記突出部は、前記本体部の前記第3方向の両端面の少なくとも一方から前記第3方向に突出する少なくとも1つの第2突出部を有する請求項4から請求項6のいずれかに記載のモータ。
【請求項8】
前記第1方向において、前記突出部の長さは、前記本体部よりも短い請求項1から請求項7のいずれかに記載のモータ。
【請求項9】
前記第1方向において、前記突出部の長さは、前記本体部の前記第1方向の長さの半分以下である請求項8に記載のモータ。
【請求項10】
前記本体部の前記第1方向の一方側の端部には、外側に拡がるフランジ部を備える請求項1から請求項9のいずれかに記載のモータ。
【請求項11】
前記突出部は、前記第1方向の端部が前記フランジ部と接続する請求項10に記載のモータ。
【請求項12】
前記突出部は、下部と、上部と、
を備え、
前記下部は、前記第1方向と直交する面で切断した断面が半円である半円柱状である請求項1から請求項11のいずれかに記載のモータ。
【請求項13】
前記上部は、前記下部の前記第1方向の他方側と連続して形成され、
前記上部は、前記第1方向の他方側に向かって、
前記第1平面に接近する傾斜面を備え、
前記傾斜面の
前記第1方向の他方側の端部は、前記第1平面と交差し、
交差部分は、前記第3方向平行な直線である請求項12に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のモータは、例えば、特許文献1に開示される。特許文献1に記載のモータは、ベース部材にコイルから引き出された導線の端末を挿通する挿通孔を有している。導線に接続される電源板を備えたコネクタを備えており、コネクタは中空のボス部を備えている。そして、ボス部を挿通孔に圧入嵌合している。導線は、ボス部の内部の円筒状部である連通孔を貫通した後に、電極板に接着等によって固定されることで、電源装置に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のモータでは、連通孔が円柱状の孔であり、挿通孔が小さくなると、導線に対する開口が狭くなり、導線を挿入しにくくなる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、コイルに接続された引出線を保護しつつ、組み立て作業効率の高いモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的なモータは、複数個のコイルを有するステータと、前記ステータの一方側の端面と対向するベースと、前記ベースの前記ステータと対向する面から反対側の面に貫通し前記コイルと接続された引出線が通る少なくとも一つの引出線挿入孔と、前記引出線挿入孔に挿入されたブッシュと、を備えたモータであって、前記ブッシュは、前記引出線挿入孔に挿入する方向である第1方向に延びる本体部と、前記第1方向に貫通する複数の貫通孔と、前記第1方向に延びる前記本体部の周面において、前記第1方向と直交する第2方向に突出するとともに前記第1方向に延びる複数の突出部と、を備え、前記貫通孔は、前記第1方向の一方側に開口を有するとともに前記第1方向に延びる円筒状の第1孔部と、前記第1方向の他方側に開口を有し、前記第1孔部と前記第1方向に連続するとともに、前記第1孔部に向かって内径が小さくなる傾斜面を有する第2孔部と、を備え、前記引出線の一部が、前記貫通孔に配置される。
【発明の効果】
【0007】
例示的な本発明のモータによれば、コイルに接続された引出線を保護しつつ、組み立て作業効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明にかかるモータの一例の分解斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すモータを中心軸を含む面で切断した端面図である。
【
図3】
図3は、本発明にかかるモータに備えられるブッシュの斜視図である。
【
図7】
図7は、ブッシュを引出線挿入孔に挿入している状態を第3方向と直交する面で切断したときの断面図である。
【
図8】
図8は、本発明にかかるモータに備えられるブッシュの他の例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書では、モータの中心軸C1と平行な方向を「軸方向」、中心軸C1と直交する方向を「径方向」、中心軸C1を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」とそれぞれ称する。また、本明細書では、
図2に示すモータAを基準として、中心軸C1に沿って「上」、「下」を定義し、各部の形状や位置関係を説明する。なお、上下方向は単に説明のために用いられる名称であって、モータの使用状態における位置関係及び方向を限定しない。
【0010】
<1.モータAの全体構成>
以下に本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明にかかるモータAの一例の分解斜視図である。
図2は、
図1に示すモータAを中心軸を含む面で切断した端面図である。本発明にかかるモータAは、ハードディスクDs等の円板状の記録ディスクを回転する、いわゆる、スピンドルモータである。モータAは、ロータ部10が、軸受30を介してステータ部20に回転可能に支持される。すなわち、ロータ部10は、中心軸C1を中心として、ステータ部20に対して回転可能に支持される。
【0011】
図1及び
図2に示すように、本発明にかかるモータAは、ベース1と、シャフト2と、スリーブ3と、ステータ4と、ハブ5と、ロータマグネット6と、配線基板7とを備える。ロータ部10は、シャフト2と、ハブ5と、ロータマグネット6とを備える。ステータ部20は、ベース1と、ステータ4とを備える。また、軸受30は、スリーブ3を備える。
【0012】
<2.ロータ部10について>
ロータ部10では、ハブ5の中央にシャフト2が固定される。また、ロータマグネット6は、ハブ5の内部に配置されており、シャフト2及びロータマグネット6の中心が、中心軸C1で一致する。
【0013】
<2.1 シャフト2について>
図1、
図2に示すように、シャフト2は、円柱状である。シャフト2は、第1軸部21と、第2軸部22と、ねじ孔23と、フランジ部24とを備える。シャフト2は、金属製である。シャフト2は、中心軸C1に沿って配置される。
【0014】
第1軸部21は、軸方向に延びる。第2軸部22は、円筒状であり、第1軸部21の軸方向上側に配置される。第2軸部22は、第1軸部21よりも小径である。第1軸部21と第2軸部22とは、同一の部材で一体的に形成される。ねじ孔23は、シャフト2の軸方向上面より下側に凹む。ねじ孔23は、内面に雌ねじを備える。また、フランジ部24は、シャフト2の軸方向下側の端部に配置されて、径方向外側に拡がる。フランジ部24は円板状である。
【0015】
<2.2 ハブ5及びロータマグネット6について>
ハブ5の中央には、シャフト2に固定される。ハブ5はシャフト2と共に回転する。
図1、
図2に示すとおり、ハブ5は、ハブ天板部51と、ハブ筒部52と、ディスクフランジ53と、ラビリンス凸部54と、シャフト固定孔55とを備える。なお、本実施形態では、シャフト2が回転するモータを例として説明しているが、これに限らない。すなわち、シャフト2が固定されたモータにも適用可能である。
【0016】
ハブ天板部51は、径方向に拡がる。ハブ天板部51は、軸方向に見て円形である。ハブ筒部52は、ハブ天板部51の径方向外縁から軸方向下側に向かって延びる。ハブ筒部52は、円筒状である。ディスクフランジ53は、ハブ筒部52の軸方向下端部から径方向外側に拡がる。ディスクフランジ53は、軸方向に見て円形である。ハブ天板部51、ハブ筒部52及びディスクフランジ53は、同一の部材で一体的に成形される。
【0017】
ディスクフランジ53は、軸方向上面が、中心軸C1に対して直交する平面である。そして、ディスクフランジ53の軸方向上面には、ディスクDsが接触して配置される。このとき、ディスクDsは、ハブ5に固定される。これにより、ディスクDsは、中心軸C1、すなわち、回転軸に垂直に固定される。そして、ハブ5の回転によってディスクDsも回転する。なお、本実施形態では、1枚のディスクDsを取り付けているが、これに限定されず、複数枚のディスクDsが中心軸C1方向に間隔あけて固定される場合もある。この場合も、全てのディスクDsが、中心軸C1と直交して固定される。
【0018】
シャフト固定孔55は、ハブ天板部51の軸方向に見て中央に形成され、軸方向に貫通する貫通孔である。シャフト固定孔55にシャフト2の第2軸部22が挿入されて固定される。シャフト固定孔55と第2軸部22とは、例えば、圧入によって固定される。
【0019】
ラビリンス凸部54は、ハブ天板部51の下面から下側に突出する。ラビリンス凸部54は、筒状であり、ラビリンス凸部54の内径は、シャフト固定孔55の内径よりも大きい。
図2に示すとおり、ラビリンス凸部54は、軸受30の後述するスリーブ本体31の軸方向上端部の一部よりも径方向外側に配置される。ラビリンス凸部54は、ハブ天板部51と同一の部材で一体的に成形される。
【0020】
図2に示すとおり、ハブ筒部52の内面には、ロータマグネット6が配置される。ロータマグネット6は、中心軸C1に沿う方向に延び円筒状である。ロータマグネット6の内面は、ステータ4の径方向外面、と径方向に間隙をあけて対向する。ロータマグネット6は、N極とS極とが対をなす1対の磁極を複数個備える。ロータマグネット6は、複数個のマグネットを周方向に並べた構成であってもよいし、円筒形の磁性体に対して、周方向にN極とS極とを交互に着磁させた構成であってもよい。また、ロータマグネット6は、例えば、圧入によって、ハブ筒部52の内部に固定される。なお、ロータマグネット6の固定方法は、圧入に限定されず、接着、溶着及び機械的な固定方法等が採用されてもよい。本発明にかかるモータAにおいて、ロータマグネット6は、8個の磁極を備えている。
【0021】
<3.ステータ部20について>
ステータ部20は、ベース1と、ステータ4とを備える。ステータ4がベース1に保持されることで、ステータ4の径方向外面はロータ部10のロータマグネット6の径方向内面と間隙を介して、径方向に対向する。
【0022】
<3.1 ベース1について>
図1、
図2に示すように、ベース1は、モータAの軸方向下端を覆う底部である。すなわち、ベース1は、ステータ4の一方側の端面と対向する。ベース1は、ベースプレート11と、スリーブ取付部12と、ステータ保持部13と、引出線挿入孔14とを備える。ベースプレート11は、軸方向に見て円形、すなわち、円板状である。ベースプレート11の軸方向上面には、軸方向下側に凹むベース凹部111が形成される。ベース凹部111は、中心軸C1と垂直な断面が円形であり、ハブ5の軸方向下端部が回転可能に収納される。すなわち、ベース凹部111は、円筒状であり、ハブ5の軸方向下端部は、ベース凹部111の内部で中心軸C1回りに回転する。
【0023】
なお、本発明では、ベース1のベースプレート11を円板状としているが、円板状に限定されない。例えば、ベース1は、軸方向に見て四角形、六角形等の多角形状であってもよいし、楕円形状等であってもよい。ベース1は、モータAが取り付けられる機器に合わせた形状を広く採用することが可能である。また、ベース凹部111は、円筒状に限定されず、ハブ5の軸方向下端部が回転可能に収納できる形状であれば円筒状以外の形状であってもよい。
【0024】
ベースプレート11の中央には、軸方向に貫通する貫通孔110が形成されている。スリーブ取付部12は、貫通孔110の辺縁部から軸方向上側に突出した円筒状である。なお、スリーブ取付部12は、ベースプレート11と同一の部材にて一体的に形成されてもよいし、ベースプレート11と別部材であって、ベースプレート11に固定されてもよい。なお、モータAにおいて、貫通孔110は、ベース凹部111の中央でもある。
【0025】
スリーブ取付部12の内面には、軸受30の後述するスリーブ本体31が接触し、固定される。ステータ保持部13は、スリーブ取付部12の軸方向上面から軸方向上側に突出する筒状部である。ステータ保持部13は、ステータ4の後述するステータコア41の内面と接触し、ステータ4を保持する。なお、
図2に示すように、ステータ4の軸方向下側はスリーブ取付部12の径方向外面と接触してもよい。すなわち、ステータ4は、少なくとも一部が、ステータ保持部13に保持されている。
【0026】
引出線挿入孔14は、ベース凹部111に配置される。引出線挿入孔14は、ベースプレート11を軸方向に貫通する貫通孔である。引出線挿入孔14には、ブッシュ8が挿入される。ブッシュ8は、貫通孔82を備えている。ステータ4の後述するコイル42から引き出された引出線43が貫通孔82を貫通する。そして、引出線43が貫通孔82を貫通することで、引出線43は、引出線挿入孔14を通る。すなわち、引出線挿入孔14にブッシュ8が挿入される。そして、引出線挿入孔14はベース1に少なくとも一つ配置され、ベース1のステータ4と対向する面から反対側の面に貫通しコイル52から引き出された引出線43が通る。また、ベース1の軸方向下面には、配線基板7が取り付けられる。引出線43は、引出線挿入孔14に挿入されたブッシュ8の貫通孔82の軸方向上側の開口824から挿入され、軸方向下側の開口823から引き出される。そして、引き出された引出線43は、配線基板7に接続される。
【0027】
<3.2 ステータ4について>
ステータ4は、ベース1に備えられたステータ保持部13に保持される。ステータ4は、ステータコア41と、複数個のコイル42と、引出線43とを備える。すなわち、ステータ4は、複数個のコイル42を有する。
【0028】
ステータコア41は複数の珪素鋼板を積層して形成される。
図1に示すように、ステータコア41は、環状のコアバック部411と、ティース部412とを備える。
図2に示すように、ステータコア41は、板状の部材を軸方向に積層して形成される。すなわち、ステータコア41は、積層体である。しかしながら、これに限定されない。
【0029】
コアバック部411は、軸方向に延びる環状である。コアバック部411の内面がステータ保持部13の外面と接触して、コアバック部411、すなわち、ステータ4は、ステータ保持部13に保持される。なお、ステータ保持部13とコアバック部411とは、圧入にて固定される。なお、これ以外にも、接着、溶着、溶接等、ステータ保持部13とコアバック部411とを強固に固定できる固定方法を広く採用できる。
【0030】
ティース部412は、コアバック部411の径方向外面から径方向外側に突出する。ステータコア41は、12個のティース部412を備える。ティース部412は、周方向に等間隔に配列される。ステータ4は、12スロットである。本発明のモータAは、磁極数8のロータマグネット6と、スロット数12のステータ4を備える。すなわち、モータAは、8極12スロットのアウターロータ型モータである。
【0031】
ステータコア41の各ティース部412には、不図示の絶縁体に覆われる。絶縁体に覆われたティース412には、導線を巻き回して形成したコイル42が備えられる。絶縁体によって、ステータコア41とコイル42とが絶縁される。コイル42は、ステータコア41のティース部412のそれぞれに配置される。すなわち、ステータ4は、12個のコイル42を備える。そして、ステータ4に備えられた12個のコイル42は、電流が供給されるタイミングによって3系統(以下、3相とする)に分けられる。この3相を、それぞれ、U相、V相、W相とする。つまり、ステータ4は、4個のU相巻線、4個のV相巻線及び4個のW相巻線を備える。なお、以下の説明において、各相の巻線をまとめて単にコイル42として説明する。
【0032】
引出線43は、U相、V相、W相のそれぞれのコイル42と配線基板7に実装された回路(不図示)とを電気的に接続する。
図2に示すとおり、引出線43は、ステータ4の軸方向下側から下側に引き出される。そして、引出線43は、ベース1に備えられた引出線挿入孔14を通して、ベース1の下側に引き出され、配線基板7の配線パターン(不図示)に電気的に接続される。なお、引出線43と配線パターンとの接続は、半田付けにて行われる。しかしながら、半田付けに限定されず、コネクタ等の接続部材を用いて接続してもよい。
【0033】
<4.軸受30について>
次に、ステータ部20に対して、ロータ部10を回転可能に支持する軸受30について説明する。軸受30は、流体を利用した流体動圧式の軸受である。軸受30は、シャフト2を回転可能に支持する。軸受30は、スリーブ本体31と、シールキャップ32とを備える。スリーブ本体31及びシールキャップ32は、例えば、ステンレス鋼等により構成される。スリーブ本体31及びシールキャップ32がスリーブ3を構成する。
【0034】
スリーブ本体31は、中心軸C1を中心とする円筒状である。スリーブ本体31は、下部に、上側に窪む段差部311を有する。段差部311内には、シャフト2のフランジ部24が収容される。また、フランジ部24の下側を覆うように、シールキャップ32は、段差部311に取り付けられる。なお、シールキャップ32は、接着剤等を用いた固定方法で固定される。
【0035】
スリーブ本体31における中心軸C1よりも径方向外側には、軸方向に貫通する循環孔312が配置される。この循環孔312は、スリーブ本体31の下部の段差部311とシールキャップ32との間隙に連通している。
【0036】
スリーブ本体31の内周面とシャフト2の外周面との間、スリーブ本体31とフランジ部24の上面及び外周面との間、並びに、シールキャップ32の上面とフランジ部24の下面との間に微小間隙が構成される。この微小間隙に、流体として潤滑油が連続して充填される。これにより、モータ10では、スリーブ本体31、シールキャップ32、シャフト2及び潤滑油により軸受30が構成される。
【0037】
シャフト2のスリーブ本体31の内面と径方向に対向する部分及びフランジ部24には、溝が形成されている。シャフト2が回転するときに、この溝によって潤滑油に動圧が発生する。そして、動圧によってスリーブ本体31の内面とシャフト2の外面との間隙及びスリーブ本体31の軸方向上端面とハブ5のハブ天板部51の軸方向下面との間隙に潤滑油が循環する。これにより、シャフト2がスリーブ本体31に対して潤滑油を介して非接触にて支持され、ロータ部10がステータ部20に対して高精度且つ低騒音にて回転される。
【0038】
すなわち、軸受30は、シャフト2の外面とスリーブ本体31との間隙を循環する潤滑油を含んで構成され、シャフト2の回転を支持する、いわゆる、ラジアル軸受を有する。また、軸受30は、スリーブ本体31とハブ天板部51の軸方向下面との間隙を循環する潤滑油を含んで構成され、シャフト2を軸方向に支持する、いわゆる、スラスト軸受を有する。
【0039】
本発明にかかるモータAは以上示した構成を有する。次に本発明にかかるモータAの要部について図面を参照して説明する。
【0040】
(第1実施形態)
図3は、本発明にかかるモータに備えられるブッシュの斜視図である。
図4は、
図3に示すブッシュの平面図である。
図5は、
図3に示すブッシュの正面図である。
図6は、
図3に示すブッシュの縦断面図である。なお、本実施形態においては、
図5に示すブッシュ8の上下方向を第1方向D1とし、
図4に示す、ブッシュ8の短手方向を第2方向D2とし、ブッシュ8の長手方向を第3方向D3とする。また、
図5に示すブッシュ8において、下側を第1方向D1の一方側とし、上側を第1方向D1の他方側として説明する。
【0041】
ブッシュ8は、ゴム、シリコン等の弾性変形可能な部材で形成されている。ブッシュ8は、ベース1の引出線挿入孔14に挿入される。そして、ブッシュ8は、引き出し線挿入孔14を通る引出線43を保護したり、引出線43を絶縁したりする。
【0042】
図3~
図6に示すように、ブッシュ8は、本体部81と、複数の貫通孔82と、複数の突出部83と、フランジ部84とを備える。すなわち、ブッシュ8は、本体部81と、複数の貫通孔82と、複数の突出部83と、を備える。本体部81は、長方形の長手方向の両端部が円弧状に形成された長尺形状の底面を有する柱状である。すなわち、本体部81は、第1方向D1に延びる形状を有する。なお、第1方向D1は、ブッシュ8の引出線挿入孔14(
図1、
図2参照)への挿入方向である。また、本体部81は、第1方向D1と直交する第2方向D2の端部に第1平面811及び第2平面812を備える。第1平面811及び第2平面812は、第2方向D2に平行に並んでいる。すなわち、本体部81は、第2方向D2に平行に並んだ2個の平面を有する。
【0043】
本体部81の第1方向D1の一方側の端部、すなわち、
図3、
図5の下側の端部にフランジ部84を備える。フランジ部84は、平面視において、本体部81よりも大きな外形を有する。すなわち、フランジ部84は、本体部81の外面から外側に拡がる。なお、本体部81とフランジ部84とは、一体成形体である。すなわち、フランジ部84は、本体部81の第1方向D1の一方側の端部に備えられ、フランジ部84は、外側に拡がる。このように、フランジ部84を備えることで、本体部81を引出線挿入孔14に挿入するときに挿入方向の位置決めが容易になる。
【0044】
貫通孔82は、本体部81に3個備えられる。なお、貫通孔82の個数は、3個に限定されない。貫通孔82は、本体部81の第1方向D1の両端面を繋ぐ貫通孔である。すなわち、複数の貫通孔82は、第1方向に貫通する。そして、3個の貫通孔82は、第3方向D3に並んで配置される。すなわち、複数個の貫通孔82は、第1方向D1及び第2方向D2と直交する第3方向に延びる直線上に配列される。引出線43は、貫通孔82を貫通する。すなわち、引出線43の一部が、貫通孔82に配置される。
【0045】
図6に示すように、貫通孔82は、第1孔部821と、第2孔部822とを備える。第1孔部821は、第1方向D1に沿って延びる円筒状の孔である。そして、第1孔部821は、第1方向の一方側、すなわち、
図6において下側に開口823を有する。すなわち、第1孔部821は、第1方向D1の一方側に開口823を有するとともに第1方向D1に延びる円筒状である。
【0046】
また、第2孔部822は、第1方向D1に沿って延びる貫通孔である。第2孔部822は、第1孔部821の第1方向D1の他方側に配置される。第2孔部822は、第1方向D1の他方側に開口824を有する。第1孔部821の第1方向D1の他方側と、第2孔部822の第1方向D1の一方側が接続する。すなわち、第2孔部822は、第1方向D1の他方側に開口824を有し、第1孔部821と第1方向D1に連続するとともに、第1孔部821に向かって内径が小さくなる傾斜面825を有する。このような構成とすることで、第2孔部822の内径が、開口824で最大となるため、引出線43を挿入しやすい。
【0047】
図6に示すように、貫通孔82において、第2孔部822の傾斜面825の第1孔部821側を延長したとき、その延長部分は、第1孔部821の内面と交差する。すなわち、第2孔部822の傾斜面825は、第1孔部821側の延長が第1孔部821の内面と交差する傾斜を有する。このようにすることで、引出線43を第2孔部822の開口824から挿入したとき、引出線43の先端が必ず第1孔部821の内面と接触する。そして、引出線43は、第1孔部821に沿って、すなわち、第1方向D1に沿って延びる。さらに、引出線43は、第1孔部821の開口823から、第1方向D1に沿って引き出される。
【0048】
例えば、第2孔部822の開口824において、第1方向D1に沿っていなくても、第1孔部821の開口823から第1方向D1に沿う方向に引き出される。そして、ブッシュ8には、このような、貫通孔82を複数個(ここでは、3個)備えられている。そのため、各貫通孔82の開口824に挿入されるときの引出線43の向きがばらばらであっても、開口823から引き出されるときには、いずれの引出線43も第1方向D1に沿って引き出される。これにより、引出線43の配線基板7への配線作業を効率よく行える。また、複数の引出線43がいずれも第1方向D1に沿って、すなわち、平行又は略平行に引き出されるため、引出線43同士が短絡したり、干渉したりするのを抑制できる。
【0049】
複数個の突出部83は、本体部81の周面から突出する。
図3、
図4に示すように、3個の突出部83は、第1平面811から第2方向D2に突出する。また、3個の突出部83は、第2平面812から第2方向D2に突出する。すなわち、複数の突出部83は、2個の平面811、812のうち少なくとも一方から第2方向D2に突出する。さらに、本体部81の第3方向D3の両端部から、それぞれ1個ずつ第3方向D3に突出部83が突出する。なお、本体部81の第3方向D3の両端から第3方向D3に突出する突出部83を、第2突出部85とする。
【0050】
第1平面811及び第2平面812から突出する突出部83について説明する。なお、本説明では、6個の突出部83を代表して、第1平面811に備えられた突出部83を参照して説明する。
図3、
図4、
図5に示すように、突出部83は、本体部81と一体に形成される。突出部83は、第1平面811に沿って第1方向D1の一方側の端部から他方側の端部に向かって延びる。本体部81の第1方向D1の一方側の端部には、フランジ部84が備えられている。そのため、突出部83の第1方向D1の端部が、フランジ部84と接続する。このように、突出部83とフランジ部84とが接続することで、突出部83の強度を高めることが可能である。
【0051】
突出部83は、下部831と、上部832とを備える。下部831は、第1方向D1と直交する面で切断した断面が半円である半円柱状である。そして、上部832は、下部831の第1方向D1の他方側と連続して形成される。上部832は、第1方向D1の他方側に向かって、第1平面811に接近する傾斜面833を備える。傾斜面833の第1方向D1の他方側の端部は、第1平面811と交差する。そして、その交差部分は、第3方向D3と平行な直線である。
【0052】
また、
図5に示すように、突出部83の第1方向D1の長さL1は、本体部81の第1方向D1の長さL2に比べて短い。第1方向D1において、突出部83の長さは、本体部81よりも短い。
【0053】
そして、上述のとおり、第1平面811から第2方向D2に3個の突出部83が突出する。ここで、3個の突出部83及び3個の貫通孔82の位置関係について説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて、中央の貫通孔82を中央貫通孔82Cとし、
図6において中央貫通孔82Cの左右の貫通孔をそれぞれ、第1貫通孔82F、第2貫通孔82Sする。また、同様に、中央の突出部83を中央突出部83C1とし、
図4において、中央突出部83C1の左右の突出部をそれぞれ、第1隣接突出部83F1、第2隣接突出部83S1とする。また、第2平面812から突出する突出部83について、中央の突出部83を中央突出部83C2とし、
図4において、中央突出部83C2の左右の突出部をそれぞれ、第1隣接突出部83F2、第2隣接突出部83S2とする。
【0054】
図4に示すように、中央突出部83C1及び83C2は、本体部81において第3方向D3の中央に配置される。すなわち、中央突出部83C1及び83C2は、第2方向D2に重なる位置に配置される。また、第1隣接突出部83F1及び83F2はそれぞれ、
図4において中央突出部83C1及び83C2の左側に配置される。そして、第1隣接突出部83F1及び83F2も第2方向D2に重なる位置に配置される。さらに、第2隣接突出部83S1及び83S2はそれぞれ、
図4において中央突出部83C1及び83C2の右側に配置される。そして、第2隣接突出部83S1及び83S2も第2方向D2に重なる位置に配置される。
【0055】
すなわち、中央突出部83C1と83C2、第1隣接突出部83F1と83F2及び第2隣接突出部83S1と83S2とは、それぞれ、第2方向D2の反対側に突出し、対をなしている。
【0056】
そして、
図4に示すように、第1隣接突出部83F1及び83F2の第3方向D3の中心は、第1貫通孔82Fの中心よりも第3方向D3において中央よりに配置される。また、第2隣接突出部83S1及び83S2の第3方向D3の中心も、第2貫通孔82Sの中心よりも第3方向D3において中央よりに配置される。すなわち、複数の突出部83のうち、第3方向D3の両端部83F1、83F2、83S1及び83S2の少なくとも1つは、第3方向D3の端部に配置された貫通孔82F及び82Sよりも、第3方向D3中央側にずれている。また、複数の突出部83C1、83C2、83F1、83F2、83S1及び83S2の少なくとも1つは、貫通孔82C、82F及び82Sと第3方向D3にずれている。
【0057】
本体部81は、直方体形状を有している。そして、その一面から第1方向D1に貫通孔83が形成されている。そのため、貫通孔83の第2方向D2の先端部分では、本体部81の外面と貫通孔83との間隙が狭い。すなわち、本体部81が薄肉になる。詳細は後述するが、ブッシュ8を引出線挿入孔14に挿入するとき、突出部83は引出線挿入孔14の内面によってブッシュ8の内側に向かって押される。薄肉部分は、変形しやすい。
【0058】
第1隣接突出部83F1及び83F2の第3方向D3の中心を、第1貫通孔82Fの中心よりも第3方向D3において中央よりに配置することで、第1隣接突出部83F1及び83F2が第2方向D2に押されたときの第1貫通孔82F近傍の薄肉部分の変形を抑制できる。また、同様に、第2隣接突出部83S1及び83S2の第3方向D3の中心を、第2貫通孔82Sの中心よりも第3方向D3において中央よりに配置することで、第2隣接突出部83S1及び83S2とが第2方向D2に押されたときの第2貫通孔82S近傍の薄肉部分の変形を抑制できる。これにより、第1貫通孔82F及び第2貫通孔82Sの変形を抑制して、引出線43を容易に挿入可能とすることができる。
【0059】
なお、
図4に示すブッシュ8において、中央突出部83C1及び83C2の第3方向D3の中心は、中央貫通孔83Cの中心と第2方向D2において重なっている。これにより、ブッシュ8を引出線挿入孔14に挿入するときのバランスが悪くなるのを抑制している。一方で、中央突出部83C1及び83C2の第3方向D3の中心も、中央貫通孔83Cの中心と第3方向D3にずれていてもよい。このようにすることで、中央貫通孔83C近傍の薄肉部の変形が抑制される。これにより、第1貫通孔82F及び第2貫通孔82Sの変形が抑制され、引出線43を容易に挿入可能とすることができる。
【0060】
第2突出部85は、本体部81の第3方向D3の両端面から第3方向D3に突出する。すなわち、複数の突出部83は、本体部81の第3方向D3の両端面の少なくとも一方から第3方向D3に突出する少なくとも1つの第2突出部85を有する。第2突出部85は、突出部83と同じ構成を有する。
図3、
図4等に示すように、本体部81は、第3方向D3を長手方向とする長尺形状の底面を有し、第1方向D1に延びる柱状である。そして、このような柱状の本体部81では、長手方向である第3方向D3の強度が高い。すなわち、本体部81において、第3方向D3の力が作用した場合において、第2方向D2に作用した場合よりも変形しにくい。そして、第2突出部85は、強度が高い本体部81の長手方向の両端部から第3方向D3に突出するため、ブッシュ8の耐久性を高めることが可能である。また、十分な耐荷重を得ることが可能である。
【0061】
次に、ブッシュ8を引出線挿入孔に挿入する手順について説明する。
図7は、ブッシュを引出線挿入孔に挿入している状態を第3方向と直交する面で切断したときの断面図である。
【0062】
図7に示すように、ブッシュ8は、本体部81の第1方向D1の他方側を、ベースプレート11に備えられた引出線挿入孔14の軸方向下側の開口に挿入する。そして、本体部81の第1方向D1の一方側を押す。このとき、本体部81の第1方向D1の一方側の端部には、フランジ部84が設けられている。そのため、本体部81を押すときに、作業者の指、工具、治具等が接触する面積が広くなり、作業性を上げることができる。
【0063】
そして、ブッシュ8の本体部81が、引出線挿入孔14の内部を移動することで、突出部83、及び、第2突出部85が、引出線挿入孔14の辺縁部と接触する。このとき、突出部83の傾斜面833が、本体部81と引出線挿入孔14の間隙に入る。傾斜面833は、いわゆる、楔型であり、傾斜面833が引出線挿入孔14の内部に移動することで、突出部83及び第2突出部85は引出線挿入孔14から、内側に向く力を受ける。この内側への力によって、ブッシュ8は、引出線挿入孔14に保持される。そして、フランジ部84が引出線挿入孔14の辺縁部と接触することで、ブッシュ8は引出線挿入孔14に強固に固定される。
【0064】
例えば、ブッシュ8の本体部81よりも引出線挿入孔14が大きい場合、本体部81の第1方向D1の他方側、すなわち、突出部83が配置されていない部分では、本体部81と引出線挿入孔14との間に空間が形成される。ブッシュ8に突出部83が設けられていることで、突出部83がその空間に挿入され、突出部83が引出線挿入孔14から押圧される。これにより、本体部81に対して、内側に向く力、すなわち、固定する力が作用するため、ブッシュ8は、強固に固定される。なお、第2突出部85も突出部83と同様の動作によって、本体部81に内側に向く力を作用させる。
【0065】
なお、ブッシュ8の引出線挿入孔14への固定の強さは、突出部83(の第1方向D1の長さによって変化する。すなわち、突出部83の長さを調整することで、ブッシュ8の固定強度を調整することが可能である。例えば、突出部83の長さを長くすると、固定の強さは高まるが、抵抗が大きくなるため大きな力が必要になる。また、突出部83の長さを短くすると、取付が容易になるが、固定の強さが低くなる。本実施形態において、突出部83の第1方向D1の長さは、本体部81の第1方向D1の長さよりも短い。このようにすることで、ブッシュ8の固定時に十分な強度を確保しつつ、取付時の作業性を高めることができる。
【0066】
ブッシュ8の本体部81の、第1方向D1の長さL2は、引出線挿入孔14の長さよりも長い。そのため、ブッシュ8は、フランジ部84が引出線挿入孔14の辺縁部と接触したとき、本体部81の第1方向D1の他方側の先端が、ベース1の上方に突出する。
【0067】
(第2実施形態)
本発明にかかるモータに用いられるブッシュの他の例について図面を参照して説明する。
図8は、本発明にかかるモータに備えられるブッシュの他の例の斜視図である。
図9は、
図8に示すブッシュの平面図である。
図10は、
図8に示すブッシュの正面図である。
図11は、
図8に示すブッシュの縦断面図である。なお、本実施形態においては、
図10に示すブッシュ9の上下方向を第1方向D1とし、
図9に示す、ブッシュ9の短手方向を第2方向D2とし、ブッシュ8の長手方向を第3方向D3とする。なお、本実施形態に係るブッシュ9は、本体部91の長さが、本体部81よりも長い点、及び、第2突出部85を備えていない点で、第1実施形態のブッシュ8と異なるが、他の点については、ブッシュ8と実質上同じ構成を有する。
【0068】
図8、
図9に示すように、ブッシュ9は、本体部91と、3個の貫通孔92と、6個の突出部93と、フランジ部94とを備える。本体部91は、第1平面911と第2平面912とを備える。また、第3方向D3の両端部に、第3平面913及び第4平面914を備える。そして、3個の貫通孔92は、本体部91を第1方向D1に貫通するとともに、第3方向D3に沿う直線上に配列される。貫通孔92は、長さは異なるが、ブッシュ8に備えられた貫通孔82と同じ構成を有している。そのため、貫通孔92の詳細な説明は省略する。
【0069】
また、6個の突出部93は、3個ずつ、第1平面911及び第2平面912から第2方向D2に突出する。なお、突出部93の第1方向D1の長さは、本体部91の第1方向D1の長さよりも短い。このように構成することで、ブッシュ9を引出線挿入孔14に取り付けるときに固定に十分な力を発生するとともに、取り付け作業の作業性を向上することができる。突出部93は、ブッシュ8に備えられた突出部83と同じ構成を有している。そのため、突出部93の詳細な説明は省略する。また、フランジ部94は、ブッシュ8に備えられたフランジ部94と同じ構成を有している。そのため、フランジ部94の詳細な説明は省略する。
【0070】
このような構成のブッシュ9であっても、第1実施形態のブッシュ8と同様に、引き出し線挿入孔14に挿入することが可能である。
【0071】
上述の各実施形態において、ブッシュ8、9には、3個の貫通孔が形成されている。これは、モータAが3相ブラシレースモータであり、3相の電流を供給するための配線(電源線)をそれぞれ、独立して挿入するためである。例えば、撚り線等を用いる場合には、貫通孔は、1個又は2個であってもよい。また、電源線以外の信号線が挿入される場合もある、そのため、貫通孔は3個以上備えていてもよい。また、3本以上の配線を挿入する場合には、複数個の引出線挿入孔14にそれぞれ分けて通してもよい。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、ハードディスク装置、光ディスク装置等の記憶装置を駆動するモータとして用いることができる。
【符号の説明】
【0074】
A・・・モータ、1・・・ベース、11・・・ベースプレート、110・・・貫通孔、111・・・ベース凹部、12・・・スリーブ取付部、13・・・ステータ保持部、14・・・引出線挿入孔、2・・・シャフト、21・・・第1軸部、22・・・第2軸部、22c・・・第2軸部、221・・・第1領域、222・・・第2領域、222c・・・第2領域、223・・・第1接着領域、224・・・第2接着領域、23・・・ねじ孔、30・・・軸受、31・・・スリーブ本体、311・・・段差部、312・・・循環孔、32・・・シールキャップ、4・・・ステータ、41・・・ステータコア、411・・・コアバック部、412・・・ティース部、42・・・コイル、43・・・引出線、5・・・ハブ、5b・・・ハブ、51・・・ハブ天板部、52・・・ハブ筒部、53・・・ディスクフランジ、54・・・ラビリンス凸部、55・・・シャフト固定孔、55b・・・シャフト固定孔、551・・・ハブ凹部、6・・・ロータマグネット、7・・・配線基板、8・・・ブッシュ、81・・・本体部、811・・・第1平面、812・・・第2平面、82・・・貫通孔、82C・・・中央貫通孔、82F・・・第1貫通孔、82S・・・第2貫通孔、83・・・突出部、83C1・・・中央突出部、83C2・・・中央突出部、83F1・・・第1隣接突出部、83F2・・・第1隣接突出部、83S1・・・第2隣接突出部、83S2・・・第2隣接突出部、84・・・フランジ部、85・・・第2突出部、9・・・ブッシュ、91・・・本体部、911・・・第1平面、912・・・第2平面、913・・・第3平面、914・・・第4平面、92・・・貫通孔、93・・・突出部、94・・・フランジ部