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特許7167464遠隔操作端末および遠隔操作端末を備える作業車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】遠隔操作端末および遠隔操作端末を備える作業車両
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/40 20060101AFI20221101BHJP
   B66C 13/00 20060101ALI20221101BHJP
   B66C 13/22 20060101ALI20221101BHJP
   B66F 9/20 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
B66C13/40 D
B66C13/00 D
B66C13/22 U
B66F9/20 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018062929
(22)【出願日】2018-03-28
(65)【公開番号】P2019172434
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 洋幸
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-228905(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0031683(US,A1)
【文献】特開2003-308120(JP,A)
【文献】特開2014-097875(JP,A)
【文献】特開2014-145604(JP,A)
【文献】特開平09-071386(JP,A)
【文献】国際公開第2017/032921(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/40
B66C 13/00
B66C 13/22
B66F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔操作される作業装置を備える作業車両であって、
操作方向基準に基づいて前記作業装置を遠隔操作する第1の操作部、および前記作業装置の制御装置と通信可能に構成され、前記遠隔操作端末の作動を制御する制御部を有する遠隔操作端末と、を備え、
前記遠隔操作端末に、前記作業装置に対する遠隔操作端末の方向を算出するための電波発信機が設けられ、
前記作業装置に、前記電波発信機からの電波を受信する情報取得手段が設けられ、
前記作業装置の制御装置が、
前記情報取得手段によって前記電波発信機からの電波を受信すると、受信した電波に基づいて前記作業装置に対する前記遠隔操作端末の方向を算出し、
前記操作部の信号を取得すると、算出した前記作業装置に対する前記遠隔操作端末の方向と操作方向基準に対する前記操作部の傾倒角度とに基づいて前記作業装置の作動する方向を算出するとともに、その方向に前記作業装置を作動させ、
前記遠隔操作端末には、前記作業装置に前記電波発信機からの電波を受信させる第2の操作部が設けられる作業車両。
【請求項2】
前記操作端末には、少なくとも二つの前記電波発信機が所定の間隔で配置されている請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
作業車両に設けられた作業装置の遠隔操作端末であって、
前記作業装置に対する前記遠隔操作端末の方向を算出するための電波発信機と、
前記遠隔操作端末の操作方向基準に基づいて前記作業装置を遠隔操作する第1の操作部と、
前記作業装置に前記電波発信機からの電波を受信させる第2の操作部と、
前記作業装置の制御装置と通信可能に構成され、前記遠隔操作端末の作動を制御する制御部と、を備え、
前記第1の操作部が操作されると、操作方向基準に対する前記第1の操作部の傾倒角度に基づいて前記作業装置を作動させる信号を前記作業装置の制御装置に送信し、
前記第2の操作部が操作されると、前記作業装置に対する前記遠隔操作端末の方向を算出させる電波を前記作業装置の制御装置に送信する遠隔操作端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作端末および遠隔操作端末を備える作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動式クレーンや高所作業車等の作業装置を備える作業車両において、作業装置のアクチュエータが遠隔操作される作業車両および作業装置のアクチュエータを操作する遠隔操作端末が提案されている。遠隔操作端末を用いた作業では、作業者が作業装置の操作装置から離れた吊り荷近傍または吊り荷の移動目標位置において吊り荷の移動状態を確認しながら遠隔操作を行うことができる。
【0003】
このような作業車両において、作業装置と遠隔操作端末との相対的な位置関係は、作業状況に応じて変化する。このため、遠隔操作端末によって作業装置を操作する作業者は、作業装置との相対的な位置関係を常に考慮しながら遠隔操作端末の操作具を操作する必要があった。そこで、作業装置と遠隔操作端末との相対的な位置関係に関わらず、遠隔操作端末の操作具の操作方向と作業装置の作動方向とを一致させて、作業装置の操作を容易かつ簡単に行うことができる遠隔操作端末が知られている。例えば、特許文献1の如くである。
【0004】
特許文献1に記載の遠隔操作装置(遠隔操作端末)には、基準信号として直進性の高いレーザ光等を基準信号として発信する信号発信部が設けられている。また、クレーン(作業装置)側の制御装置には、基準信号の受信部が設けられている。遠隔操作装置は、操作具の基準座標系と基準信号の発信方向とが一致するように構成されている。作業機クレーン側の制御装置は、遠隔操作装置からの基準信号を受信部で受信することで遠隔操作装置の方向を特定し、クレーンの座標系を遠隔操作装置の座標系に一致させる。これにより、遠隔操作装置の操作具の操作方向とクレーンの作動方向とが一致するので、クレーンと遠隔操作装置との相対的な位置関係に関わらず、遠隔操作装置によるクレーンの操作を容易かつ簡単に行うことができる。
【0005】
しかし、特許文献1に記載の移動式クレーンは、受信部が基準信号を受信することで操作具の基準座標系と作業機の座標系とを一致させているため、移動式クレーンの受信部が直進性の高いレーザ光等からなる基準信号を受信できるように、受信部に対して遠隔操作端末の信号発信部をほぼ対向させた状態でしか基準座標系と作業機の座標系とを一致させることが出来ない点で不利であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-228905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、作業装置の遠隔操作時における誤操作を防止し、作業装置の遠隔操作を容易かつ簡単に行うことができる遠隔操作端末および遠隔操作端末を備える作業車両の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、第1の発明は、遠隔操作される作業装置を備える作業車両であって、操作方向基準に基づいて前記作業装置を遠隔操作する第1の操作部、および前記作業装置の制御装置と通信可能に構成され、前記遠隔操作端末の作動を制御する制御部を有する遠隔操作端末と、を備え、前記遠隔操作端末に、前記作業装置に対する遠隔操作端末の方向を算出するための電波発信機が設けられ、前記作業装置に、前記電波発信機からの電波を受信する情報取得手段が設けられ、前記作業装置の制御装置が、前記情報取得手段によって前記電波発信機からの電波を受信すると、受信した電波に基づいて前記作業装置に対する前記遠隔操作端末の方向を算出し、前記操作部の信号を取得すると、算出した前記作業装置に対する前記遠隔操作端末の方向と操作方向基準に対する前記操作部の傾倒角度とに基づいて前記作業装置の作動する方向を算出するとともに、その方向に前記作業装置を作動させ、前記遠隔操作端末には、前記作業装置に前記電波発信機からの電波を受信させる第2の操作部が設けられるものである。
【0010】
第2の発明は、前記操作端末には、少なくとも二つの前記電波発信機が所定の間隔で配置されている作業車両である。
【0012】
第3の発明は、作業車両に設けられた作業装置の遠隔操作端末であって、前記作業装置に対する前記遠隔操作端末の方向を算出するための電波発信機と、前記遠隔操作端末の操作方向基準に基づいて前記作業装置を遠隔操作する第1の操作部と、前記作業装置に前記電波発信機からの電波を受信させる第2の操作部と、前記作業装置の制御装置と通信可能に構成され、前記遠隔操作端末の作動を制御する制御部と、を備え、前記第1の操作部が操作されると、操作方向基準に対する前記第1の操作部の傾倒角度に基づいて前記作業装置を作動させる信号を前記作業装置の制御装置に送信し、前記第2の操作部が操作されると、前記作業装置に対する前記遠隔操作端末の方向を算出させる電波を前記作業装置の制御装置に送信するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
第1の発明と第3の発明においては、遠隔操作端末に設けられた電波発信機によって、作業装置に対する遠隔操作端末の方向が算出されるので、第1の操作部が傾倒操作されると、遠隔操作端末の作業装置に対する方向を考慮した制御信号によってその操作方向に作業装置が移動する。従って、操縦者が遠隔操作中に操作部の操作方向に対するクレーンの作動方向の認識を喪失することがない。これにより、作業装置の遠隔操作時における誤操作を防止し、作業装置の遠隔操作を容易かつ簡単に行うことができる。また、作業装置に対する遠隔操作端末の方向が変わった場合、操縦者の判断で遠隔操作端末の方向が再計算される。これにより、作業装置の遠隔操作時における誤操作を防止し、作業装置の遠隔操作を容易かつ簡単に行うことができる。
【0015】
第2の発明においては、遠隔操作端末に少なくとも二つの電波発信機が設けられているので、作業装置に対する各電波発信機の位置関係から遠隔操作端末の方向が容易に算出される。これにより、作業装置の遠隔操作時における誤操作を防止し、作業装置の遠隔操作を容易かつ簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】クレーンの全体構成を示す側面図。
図2】クレーンの制御構成を示すブロック図。
図3】遠隔操作端末の一実施形態に係る概略構成を示す平面図。
図4】遠隔操作端末の一実施形態に係る制御構成を示すブロック図。
図5】遠隔操作端末の方向を検出する際のクレーン装置と遠隔操作端末の位置関係を示す模式図。
図6】遠隔操作端末に表示される荷物の画像を示す模式図。
図7】任意の方向の遠隔操作端末の第1の操作具が上方向に操作された場合のクレーン装置の動作態様を示す模式図。
図8】任意の方向の遠隔操作端末の第1の操作具が任意の傾倒角度に操作された場合のクレーン装置の動作態様を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図1図2とを用いて、本発明の第一実施形態に係る作業車両である移動式クレーン(ラフテレーンクレーン)からなるクレーン1について説明する。なお、本実施形態においては、ラフテレーンクレーンついて説明を行うが、オールテレーンクレーン、トラッククレーン、積載型トラッククレーン、高所作業車等でもよい。
【0019】
図1に示すように、クレーン1は、不特定の場所に移動可能な移動式クレーンである。クレーン1は、車両2、作業装置であるクレーン装置6およびクレーン装置6を遠隔操作可能な遠隔操作端末32(図2参照)を有する。
【0020】
車両2は、クレーン装置6を搬送するものである。車両2は、複数の車輪3を有し、エンジン4を動力源として走行する。車両2には、アウトリガ5が設けられている。アウトリガ5は、車両2の幅方向両側に油圧によって延伸可能な張り出しビームと地面に垂直な方向に延伸可能な油圧式のジャッキシリンダとから構成されている。車両2は、アウトリガ5を車両2の幅方向に延伸させるとともにジャッキシリンダを接地させることにより、クレーン1の作業可能範囲を広げることができる。
【0021】
クレーン装置6は、荷物Wをワイヤロープによって吊り上げるものである。クレーン装置6は、旋回台7、ブーム9、ジブ9a、メインフックブロック10、サブフックブロック11、起伏用油圧シリンダ12、メインウインチ13、メインワイヤロープ14、サブウインチ15、サブワイヤロープ16、キャビン17、電波検出器30、制御装置31等を具備する。
【0022】
旋回台7は、クレーン装置6を旋回可能に構成するものである。旋回台7は、円環状の軸受を介して車両2のフレーム上に設けられる。旋回台7は、円環状の軸受の中心を回転中心として回転自在に構成されている。旋回台7には、アクチュエータである油圧式の旋回用油圧モータ8が設けられている。旋回台7は、旋回用油圧モータ8によって一方向と他方向とに旋回可能に構成されている。
【0023】
アクチュエータである旋回用油圧モータ8は、電磁比例切換バルブである旋回用バルブ23(図2参照)によって回転操作される。旋回用バルブ23は、旋回用油圧モータ8に供給される作動油の流量を任意の流量に制御することができる。つまり、旋回台7は、旋回用バルブ23によって回転操作される旋回用油圧モータ8を介して任意の旋回速度に制御可能に構成されている。旋回台7には、旋回台7の旋回位置(角度)と旋回速度とを検出する旋回用センサ27(図2参照)が設けられている。
【0024】
ブーム9は、荷物Wを吊り上げ可能な状態にワイヤロープを支持するものである。ブーム9は、複数のブーム部材から構成されている。ブーム9は、ベースブーム部材の基端が旋回台7の略中央に揺動可能に設けられている。ブーム9は、各ブーム部材をアクチュエータである図示しない伸縮用油圧シリンダで移動させることで軸方向に伸縮自在に構成されている。また、ブーム9には、ジブ9aが設けられている。ジブ9aは、ブーム9のベースブーム部材に設けられたジブ支持部によってベースブーム部材に沿った姿勢で保持されている。ジブ9aの基端は、トップブーム部材のジブ支持部に連結可能に構成されている。
【0025】
アクチュエータである図示しない伸縮用油圧シリンダは、電磁比例切換バルブである伸縮用バルブ24(図2参照)によって伸縮操作される。伸縮用バルブ24は、伸縮用油圧シリンダに供給される作動油の流量を任意の流量に制御することができる。ブーム9には、ブーム9の長さを検出する伸縮用センサ28が設けられている。
【0026】
画像取得手段であるカメラ9bは、荷物Wおよび荷物W周辺の地物の画像iを取得するものである。カメラ9bは、ブーム9の先端部に設けられている。カメラ9bは、荷物Wの鉛直上方から荷物Wおよびクレーン1周辺の地物や地形を撮影可能に構成されている。また、カメラ9bは、360°回転可能に構成され、ブーム9の先端を中心とする全方位を撮影することができる。
【0027】
メインフックブロック10とサブフックブロック11とは、荷物Wを吊るものである。メインフックブロック10には、メインワイヤロープ14が巻き掛けられる複数のフックシーブと、荷物Wを吊るメインフック10aとが設けられている。サブフックブロック11には、荷物Wを吊るサブフック11aが設けられている。
【0028】
アクチュエータである起伏用油圧シリンダ12は、ブーム9を起立および倒伏させ、ブーム9の姿勢を保持するものである。起伏用油圧シリンダ12は、シリンダ部の端部が旋回台7に揺動自在に連結され、ロッド部の端部がブーム9のベースブーム部材に揺動自在に連結されている。起伏用油圧シリンダ12は、電磁比例切換バルブである起伏用バルブ25(図2参照)によって伸縮操作される。起伏用バルブ25は、起伏用油圧シリンダ12に供給される作動油の流量を任意の流量に制御することができる。ブーム9には、ブーム9の起伏角度を検出する起伏用センサ29(図2参照)や荷物Wの重量を検出する重量センサ等が設けられている。
【0029】
メインウインチ13とサブウインチ15とは、メインワイヤロープ14とサブワイヤロープ16との繰り入れ(巻き上げ)および繰り出し(巻き下げ)を行うものである。メインウインチ13は、メインワイヤロープ14が巻きつけられるメインドラムがアクチュエータである図示しないメイン用油圧モータによって回転され、サブウインチ15は、サブワイヤロープ16が巻きつけられるサブドラムがアクチュエータである図示しないサブ用油圧モータによって回転されるように構成されている。
【0030】
メイン用油圧モータは、電磁比例切換バルブであるメイン用バルブ26m(図2参照)によって回転操作される。メインウインチ13は、メイン用バルブ26mによってメイン用油圧モータを制御し、任意の繰り入れおよび繰り出し速度に操作可能に構成されている。同様に、サブウインチ15は、電磁比例切換バルブであるサブ用バルブ26s(図2参照)によってサブ用油圧モータを制御し、任意の繰り入れおよび繰り出し速度に操作可能に構成されている。
【0031】
キャビン17は、操縦席を覆うものである。キャビン17は、旋回台7に搭載されている。図示しない操縦席が設けられている。操縦席には、車両2を走行操作するための操作具やクレーン装置6を操作するための旋回操作具18、起伏操作具19、伸縮操作具20、メインドラム操作具21m、サブドラム操作具21s等が設けられている(図2参照)。旋回操作具18は、旋回用油圧モータ8を操作することができる。起伏操作具19は、起伏用油圧シリンダ12を操作することができる。伸縮操作具20は、伸縮用油圧シリンダを操作することができる。メインドラム操作具21mは、メイン用油圧モータを操作することができる。サブドラム操作具21sは、サブ用油圧モータを操作することができる。
【0032】
通信機22(図2参照)は、遠隔操作端末32からの制御信号を受信し、クレーン装置6からの制御情報等を送信するものである。通信機22は、キャビン17に設けられている。通信機22は、遠隔操作端末32からの制御信号等を受信すると図示しない通信線を介して制御装置31に転送するように構成されている。また、通信機22は、制御装置31からの制御情報やカメラ9bからの画像iを遠隔操作端末32に転送するように構成されている。
【0033】
情報取得手段である電波検出器30は、所定の周波数の方向算出用電波を全方位で受信し、方向算出用電波の発信時刻および受信時刻を取得することができるものである。電波検出器30は、ブーム9の先端部に設けられている。
【0034】
図2に示すように、制御装置31は、各バルブを介してクレーン装置6のアクチュエータを制御するものである。制御装置31は、キャビン17内に設けられている。制御装置31は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。制御装置31は、各アクチュエータや切換えバルブ、センサ等の動作を制御するために種々のプログラムやデータが格納されている。
【0035】
制御装置31は、カメラ9b、旋回操作具18、起伏操作具19、伸縮操作具20、メインドラム操作具21mおよびサブドラム操作具21sに接続され、カメラ9bの画像iおよび方向算出用画像i(d)を取得し、旋回操作具18、起伏操作具19、メインドラム操作具21mおよびサブドラム操作具21sのそれぞれの操作量を取得することができる。
【0036】
制御装置31は、通信機22に接続され、遠隔操作端末32からの制御信号を取得し、クレーン装置6からの制御情報やカメラ9bからの画像iおよび方向算出用電波の受信強度等から算出した遠隔操作端末32の回転角度θ1等を送信することができる。
【0037】
制御装置31は、旋回用バルブ23、伸縮用バルブ24、起伏用バルブ25、メイン用バルブ26mおよびサブ用バルブ26sに接続され、旋回用バルブ23、起伏用バルブ25、メイン用バルブ26mおよびサブ用バルブ26sに制御信号を伝達することができる。
【0038】
制御装置31は、旋回用センサ27、伸縮用センサ28および起伏用センサ29に接続され、旋回台7の旋回位置、ブーム長さ、起伏角度および荷物Wの重量を取得することができる。
【0039】
制御装置31は、電波検出機に接続され、電波検出機が受信した少なくとも二以上の異なる周波数の方向算出用電波の全方位における強度分布と同期信号に基づいて、ブーム9の先端に対する遠隔操作端末32の向きを算出することができる。
【0040】
制御装置31は、旋回操作具18、起伏操作具19、メインドラム操作具21mおよびサブドラム操作具21sの操作量に基づいて各操作具に対応した制御信号を生成することができる。
【0041】
このように構成されるクレーン1は、車両2を走行させることで任意の位置にクレーン装置6を移動させることができる。また、クレーン1は、起伏操作具19の操作によって起伏用油圧シリンダ12でブーム9を任意の起伏角度に起立させて、伸縮操作具20の操作によってブーム9を任意のブーム9長さに延伸させたりすることでクレーン装置6の揚程や作業半径を拡大することができる。また、クレーン1は、サブドラム操作具21s等によって荷物Wを吊り上げて、旋回操作具18の操作によって旋回台7を旋回させることで荷物Wを搬送することができる。
【0042】
次に、図3から図5を用いて遠隔操作端末32について説明する。
図3に示すように、遠隔操作端末32は、クレーン装置6を遠隔操作する際に使用するものである。遠隔操作端末32は、筐体33、筐体33の操作面に設けられる第1の操作部である吊り荷移動操作具35、第2の操作部である方向算出操作具34、端末側旋回操作具36、端末側伸縮操作具37、端末側メインドラム操作具38m、端末側サブドラム操作具38s、端末側起伏操作具39、一側電波発信機40a、他側電波発信機40b、端末側表示装置41、端末側通信機42および端末側制御装置43(図4参照)等を具備する。遠隔操作端末32は、操作方向基準Bo(図5参照)を基準とする吊り荷移動操作具35の操作または各種操作具の操作により荷物Wを移動させる各アクチュエータのバルブの制御信号をクレーン装置6に送信する。
【0043】
遠隔操作端末32の操作方向基準Boは、吊り荷移動操作具35の任意の方向への傾倒操作によって移動される荷物Wの移動方向を設定するための基準である。具体的には、操作方向基準Boは、本実施形態において、初期設定として遠隔操作端末32の筐体33の操作面に向かって上方向(以下、単に「遠隔操作端末32の上方向」と記す)に設定されている(破線矢印参照)。操作方向基準Boは、クレーン1のクレーン装置6が移動させる荷物Wの移動方向(ブーム9の先端の作動方向)を算出するため、吊り荷移動操作具35が任意の方向に傾倒操作された際の傾倒角度θ2を算出する基準である。
【0044】
筐体33は、遠隔操作端末32の主たる構成部材である。筐体33は、操縦者が手で保持可能な大きさに構成されている。筐体33には、操作面に方向算出操作具34、吊り荷移動操作具35、端末側旋回操作具36、端末側伸縮操作具37、端末側メインドラム操作具38m、端末側サブドラム操作具38s、端末側起伏操作具39、一側電波発信機40a、他側電波発信機40b、端末側表示装置41および端末側通信機42(図2図4参照)が設けられている。
【0045】
方向算出操作具34は、ブーム9の先端に対する遠隔操作端末32の方向を算出する指示が入力されるものである。方向算出操作具34は、筐体33の操作面から突出するボタン等から構成されている。遠隔操作端末32は、方向算出操作具34が押圧操作されることで端末側制御装置43が一側電波発信機40aと他側電波発信機40bに方向算出用電波を送信させる制御を実施するように構成されている。また、遠隔操作端末32は、方向算出操作具34の操作信号を、端末側通信機42を介してクレーン装置6の制御装置31に送信するように構成されている。
【0046】
第1の操作部である吊り荷移動操作具35は、任意の水平面において任意の方向に任意の速度で荷物Wを移動させる指示が入力されるものである。吊り荷移動操作具35は、筐体33の操作面から略垂直に起立した操作スティックおよび操作スティックの傾倒方向および傾倒量を検出する図示しないセンサから構成されている。吊り荷移動操作具35は、操作スティックが任意の方向に傾倒操作可能に構成されている。吊り荷移動操作具35は、操作方向基準Boからセンサで検出した操作スティックの傾倒方向までの間の傾倒角度θ2(図8参照)およびその傾倒量についての信号を端末側制御装置43に伝達するように構成されている。吊り荷移動操作具35には、筐体33の操作面に向かって上方向を示す矢印Aa、操作面に向かって右側方向を示す矢印Ab、操作面に向かって下方向を示す矢印Ac、操作面に向かって左側方向を示す矢印Adが吊り荷移動操作具35の傾倒角度θ2の目安として表示されている。
【0047】
端末側旋回操作具36は、クレーン装置6を任意の移動方向に任意の移動速度で旋回させる指示が入力されるものである。端末側旋回操作具36は、例えば筐体33の操作面から略垂直に起立した操作スティックおよび操作スティックの傾倒方向および傾倒量を検出する図示しないセンサから構成されている。端末側旋回操作具36は、左旋回を指示する方向および右旋回を指示する方向にそれぞれ傾倒可能に構成されている。
【0048】
端末側伸縮操作具37は、ブーム9を任意の速度で伸縮させる指示が入力されるものである。端末側伸縮操作具37は、例えば筐体33の操作面から起立した操作スティックおよびその傾倒方向および傾倒量を検出する図示しないセンサから構成されている。端末側伸縮操作具37は、延伸を指示する方向および収縮を指示する方向にそれぞれ傾倒可能に構成されている。
【0049】
端末側メインドラム操作具38mは、メインウインチ13を任意の速度で任意の方向に回転させる指示が入力されるものである。端末側メインドラム操作具38mは、例えば筐体33の操作面から起立した操作スティックおよびその傾倒方向および傾倒量を検出する図示しないセンサから構成されている。端末側メインドラム操作具38mは、メインワイヤロープ14の巻き上げを指示する方向および巻き下げを指示する方向にそれぞれ傾倒可能に構成されている。端末側サブドラム操作具38sについても同様に構成されている。
【0050】
端末側起伏操作具39は、ブーム9を任意の速度で起伏させる指示が入力されるものである。端末側起伏操作具39は、例えば筐体33の操作面から起立した操作スティックおよびその傾倒方向および傾倒量を検出する図示しないセンサから構成されている。端末側起伏操作具39は、起立を指示する方向および倒伏を指示する方向にそれぞれ傾倒可能に構成されている。
【0051】
一側電波発信機40aと他側電波発信機40bは、ブーム9の延伸方向に対する遠隔操作端末32の方向を算出する基準となるものである。一側電波発信機40aと他側電波発信機40bは、本実施形態において、互いに異なる周波の方向算出用電波を送信するように構成されている。一側電波発信機40aは、筐体33の操作面に向かって左側端部に設けられ、他側電波発信機40bは、筐体33の操作面に向かって右側端部に設けられている。一側電波発信機40aと他側電波発信機40bとは、所定の間隔Pでになるように配置されている。また、一側電波発信機40aと他側電波発信機40bとは、端末側制御装置43からの制御信号によって方向算出用電波の発信と停止を行うように構成されている。一側電波発信機40aと他側電波発信機40bとは、方向算出用電波を発信させる時間を同期させて、互いに周波数の異なる方向算出用電波と同期信号とを同時にクレーン1に送信する。遠隔操作端末32は、方向算出操作具34の操作によって一側電波発信機40aと他側電波発信機40bとから方向算出用電波と同期信号とを電波検出器30に送信する。
【0052】
端末側表示装置41は、クレーン1の姿勢情報や荷物Wの情報等の様々な情報を表示するものである。端末側表示装置41は、液晶画面等の画像表示装置から構成されている。端末側表示装置41は筐体33の操作面に設けられている。端末側表示装置41には、ブーム9から撮影された荷物Wおよびその周辺の地物の画像iが表示されている。さらに、端末側表示装置41には、ブーム9の延伸方向を示す矢印Gが画像iに重畳的に表示されている。また、端末側表示装置41表示される荷物Wおよびその周辺の地物の画像iは、算出された遠隔操作端末32の方向に応じて回転して表示される。すなわち、端末側表示装置41には、ブーム9の延伸方向に対する操作方向基準Bo(図5の破線矢印参照)の回転方向および回転角度θ1が反映された状態で画像iが表示される。
【0053】
さらに、端末側表示装置41には、筐体33の操作面に向かって上方向を示す矢印Aa、操作面に向かって右側方向を示す矢印Ab、操作面に向かって下方向を示す矢印Ac、操作面に向かって左側方向を示す矢印Adが吊り荷移動操作具35の傾倒角度θ2(図8参照)の目安として表示されている。
【0054】
図4に示すように、端末側通信機42は、クレーン装置6の制御情報等を受信し、遠隔操作端末32からの制御情報等を送信するものである。端末側通信機42は、筐体33の内部に設けられている。端末側通信機42は、クレーン装置6からの画像iや制御信号等を受信すると端末側制御装置43に伝達するように構成されている。また、端末側通信機42は、端末側制御装置43からの制御情報をクレーン1の通信機22を介してクレーン装置6に送信するように構成されている。
【0055】
制御部である端末側制御装置43は、遠隔操作端末32を制御するものである。端末側制御装置43は、遠隔操作端末32の筐体33内に設けられている。端末側制御装置43は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。端末側制御装置43は、方向算出操作具34、吊り荷移動操作具35、端末側旋回操作具36、端末側伸縮操作具37、端末側メインドラム操作具38m、端末側サブドラム操作具38s、端末側起伏操作具39、一側電波発信機40aと他側電波発信機40b、端末側表示装置41、端末側通信機42等の動作を制御するために種々のプログラムやデータが格納されている。
【0056】
端末側制御装置43は、方向算出操作具34、吊り荷移動操作具35、端末側旋回操作具36、端末側伸縮操作具37、端末側メインドラム操作具38m、端末側サブドラム操作具38sおよび端末側起伏操作具39に接続され、各操作具の操作スティックの傾倒方向および傾倒量からなる操作信号を取得することができる。また、端末側制御装置43は、方向算出操作具34の操作信号を取得すると、端末側通信機42を介して制御装置31に遠隔操作端末32の方向を算出する旨の信号を送信するように構成されている。また、端末側制御装置43は、端末側通信機42に接続され、制御装置31の通信機22を介して制御装置31との間で各種情報を送受信することができる。
【0057】
端末側制御装置43は、端末側旋回操作具36、端末側伸縮操作具37、端末側メインドラム操作具38m、端末側サブドラム操作具38sおよび端末側起伏操作具39の各センサから取得した各操作スティックの操作信号から、対応する旋回用バルブ23、伸縮用バルブ24、起伏用バルブ25、メイン用バルブ26mおよびサブ用バルブ26sの制御信号を生成することができる。
【0058】
端末側制御装置43は、一側電波発信機40aと他側電波発信機40bに接続されている。端末側制御装置43は、方向算出操作具34からの操作信号を取得すると一側電波発信機40aと他側電波発信機40bから異なる周波数の方向算出用電波と同期信号を発信させる。また、端末側制御装置43は、制御装置31から回転角度θ1を取得すると、一側電波発信機40aと他側電波発信機40bによる方向算出用電波と同期信号の発信を停止させるように制御する。
【0059】
端末側制御装置43は、制御装置31から通信機22を介してカメラ9bが撮影した画像iを取得することができる。端末側制御装置43は、制御装置31からブーム9の延伸方向に対する操作方向基準Bo(図5における破線矢印参照)の回転方向および回転角度θ1を取得することができる。
【0060】
端末側制御装置43は、端末側表示装置41に接続され、端末側表示装置41にクレーン装置6の制御装置31から取得した画像iやブーム9の延伸方向を示す矢印G等の各種情報を表示させることができる。また、端末側制御装置43は、制御装置31から取得したブーム9の延伸方向に対する操作方向基準Bo(図5における破線矢印参照)の回転方向および回転角度θ1に基づいて画像iを回転表示させることができる。
【0061】
以下に、図5図6を用いて、制御装置31によるブーム9の延伸方向に対する遠隔操作端末32の操作方向基準Boの回転方向および回転角度θ1の算出、および遠隔操作端末32による画像iの表示について説明する。
【0062】
図5に示すように、制御装置31は、通信機22を介して遠隔操作端末32の方向算出操作具34の操作信号を取得すると、電波検出器30によって方向算出用電波と同期信号との検出を開始する。電波検出器30は、遠隔操作端末32の方向を算出するために、遠隔操作端末32に設けられた一側電波発信機40aと他側電波発信機40bとからの周波数の異なるそれぞれの方向算出用電波および同期信号を検出する。制御装置31は、一側電波発信機40aと他側電波発信機40bとからそれぞれの周波数の方向算出用電波の到達時間の差異を取得し、電波検出器30から一側電波発信機40aまでの一側距離L(a)と電波検出器30から他側電波発信機40bまでの他側距離L(b)とをそれぞれ算出する。さらに、制御装置31は、それぞれの方向算出用電波の全方位における強度分布から到来方向を算出する。制御装置31は、算出した一側距離L(a)、他側距離L(b)と到来方向とに基づいて、ブーム9の延伸方向から遠隔操作端末32の回転角度θ1を算出する。制御装置31は、算出した回転方向および回転角度θ1を、通信機22を介して遠隔操作端末32の端末側制御装置43に送信する。
【0063】
図6に示すように、遠隔操作端末32の端末側制御装置43は、制御装置31からブーム9の延伸方向に対する遠隔操作端末32の回転方向および回転角度θ1を取得すると、回転角度θ1に基づいて、端末側表示装置41に表示させているカメラ9bが撮影した荷物Wとその周辺の画像iおよび矢印Gを他方向に回転角度θ1だけ相対回転させる。例えば、遠隔操作端末32がブーム9の延伸方向に対して一方向(図5(a)における右回り方向)に回転角度θ1の方向に向けられている場合、端末側制御装置43は、画像iおよび矢印Gを他方向(左回り方向)に回転角度θ1だけ相対回転させる。つまり、遠隔操作端末32の端末側表示装置41には、ブーム9の延伸方向に対する方向に関わらず、操縦者の位置におけるブーム9の先端からの画像iがブーム9の延伸方向に合わせて表示されている。
【0064】
次に、図7図8とを用いて、遠隔操作端末32によるクレーン装置6の制御について説明する。クレーン1の方向として、車両2の前進方向を前方向、後進方向を後方向、前方向に向かって右側を右側方向、前方向に向かって左側を左側方向とする。本実施形態において、遠隔操作端末32の操作方向基準Bo(図5から図8における破線矢印)は、遠隔操作端末32の上方向(吊り荷移動操作具35および端末側表示装置41に表示されている矢印Aa方向)に設定されているものとする。遠隔操作端末32の操作方向基準Boは、クレーン1のクレーン装置6が移動させる荷物Wの移動方向(ブーム9の先端の作動方向)を算出するための基準であるとともに、吊り荷移動操作具35が傾倒角度θ2で傾倒操作された際の操作信号からクレーン装置6の制御信号を算出するための共通の基準である。また、回転角度θ1および傾倒角度θ2は、矢印Aa方向から左回り方向を+方向とし、矢印Aa方向から右回り方向を-方向とし、角度の加減に各符号を用いるものとする。
【0065】
図7に示すように、クレーン1は、遠隔操作端末32を保持した操縦者が、平面視でブーム9の先端の左側から遠隔操作するものとする。クレーン装置6の制御装置31は、遠隔操作端末32から方向算出操作具34の操作信号を取得すると、遠隔操作端末32の一側電波発信機40aと他側電波発信機40bとから送信される方向算出用電波を検出するために電波検出機を作動させる。制御装置31は、周波数の異なる方向算出用電波と同期信号を検出し、ブーム9の延伸方向に対する遠隔操作端末32の回転方向および回転角度θ1を算出する(図5参照)。本実施形態において遠隔操作端末32は、ブーム9の延伸方向に対して右回り方向に回転角度θ1だけ回転された状態で操縦者に保持されている。
【0066】
制御装置31は、遠隔操作端末32の回転方向および回転角度θ1を遠隔操作端末32の端末側制御装置43に通信機22を介して送信する。端末側制御装置43は、制御装置31から取得した遠隔操作端末32の回転方向および回転角度θ1に基づいて、合わせて送信されている荷物Wを含む画像iを左回りに回転角度θ1だけ相対回転させる。
【0067】
端末側制御装置43(図4参照)は、吊り荷移動操作具35から取得した遠隔操作端末32の上方向である操作方向基準Boから操作スティックの傾倒方向、傾倒方向までの間の角度である傾倒角度θ2および傾倒量についての操作信号に基づいて、操作方向基準Boからの荷物Wの移動方向、移動角度θおよび移動速度を算出する。
【0068】
遠隔操作端末32の吊り荷移動操作具35の任意の方向への傾倒操作として、例えば遠隔操作端末32の上方向である操作方向基準Boの方向に傾倒操作された場合(傾倒角度θ2=0°)、端末側制御装置43は、操作方向基準Boの方向(破線矢印方向)に傾倒された操作スティックの角度である傾倒角度θ2および傾倒量についての操作信号を吊り荷移動操作具35の図示しないセンサから取得する。さらに、端末側制御装置43は、取得した操作信号と回転角度θ1とから、ブーム9の延伸方向に対して一方向(右回り方向)に荷物Wの移動角度θ=回転角度θ1+傾倒角度θ2=回転角度θ1の移動方向および傾倒量に応じた移動速度で荷物Wを移動させる制御信号を算出する。つまり、端末側制御装置43は、クレーン装置6に吊り荷移動操作具35の傾倒方向にブーム9の先端(荷物W)を移動させる制御信号を送信するように構成されている。遠隔操作端末32は、端末側制御装置43で算出した移動角度θと傾倒量に基づいて対応する旋回用バルブ23、伸縮用バルブ24、起伏用バルブ25、メイン用バルブ26mおよびサブ用バルブ26sの制御信号を生成し、端末側通信機42によってクレーン1に送信する。
【0069】
図8に示すように、遠隔操作端末32の吊り荷移動操作具35の任意の方向への傾倒操作として、例えば吊り荷移動操作具35の矢印Aaの方向である操作方向基準Boから一方向(右回り方向)に傾倒角度θ2に傾倒操作された場合(矢印参照)、端末側制御装置43は、操作方向基準Boから一方向に傾倒された操作スティックの角度である傾倒角度θ2および傾倒量についての操作信号を吊り荷移動操作具35の図示しないセンサから取得する。さらに、端末側制御装置43は、取得した操作信号と回転角度θ1とから、ブーム9の延伸方向からの荷物Wの移動角度θ=回転角度θ1+傾倒角度θ2の移動方向および傾倒量に応じた移動速度で荷物Wを移動させる制御信号を算出する。遠隔操作端末32は、端末側制御装置43で算出した移動角度θと傾倒量に基づいて対応する旋回用バルブ23、伸縮用バルブ24、起伏用バルブ25、メイン用バルブ26mおよびサブ用バルブ26sの制御信号を生成し、端末側通信機42によってクレーン1に送信する。
【0070】
クレーン1は、荷物Wをブーム9の延伸方向から一方向に移動角度θで移動させる(黒塗矢印参照)。つまり、クレーン1は、ブーム9の延伸方向を基準として算出した遠隔操作端末32の回転角度θ1と、取得した吊り荷移動操作具35の傾倒方向θ2とに基づいて荷物Wを移動させる。これにより、クレーン1は、遠隔操作端末32がブーム9の延伸方向から回転していても、吊り荷移動操作具35の傾倒操作方向と同一の方向にクレーン1が荷物Wを搬送するように制御信号を生成することができる。
【0071】
このように構成することで、遠隔操作端末32には、一側電波発信機40aと他側電波発信機40bとから構成されているので、一側電波発信機40aと他側電波発信機40bとの全方位における電波強度と間隔Pと方向算出用電波の到達時間とから遠隔操作端末32の回転角度θ1が正確かつ容易に算出される。また、クレーン1は、遠隔操作端末32の吊り荷移動操作具35が傾倒操作されると、遠隔操作端末32の回転角度θ1を考慮した制御信号が遠隔操作端末32で生成され、その操作方向にブーム9の先端が移動する。従って、遠隔操作端末32は、操縦者が遠隔操作中に吊り荷移動操作具35の操作方向に対するクレーン1の作動方向の認識を喪失することがない。これにより、クレーン1の遠隔操作時における誤操作を防止し、クレーン1の遠隔操作を容易かつ簡単に行うことができる。
【0072】
上述の実施形態は、代表的な形態を示したに過ぎず、一実施形態の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0073】
1 クレーン
6 クレーン装置
9 ブーム
30 電波検出器
31 制御装置
32 遠隔操作端末
34 基準変更操作具
35 吊り荷移動操作具
40a 一側電波発信機
40b 他側電波発信機
43 端末側制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8