(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】経口液体組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 35/407 20150101AFI20221101BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20221101BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
A61K35/407
A61K9/08
A61K47/46
(21)【出願番号】P 2018091031
(22)【出願日】2018-05-10
【審査請求日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】P 2017203928
(32)【優先日】2017-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田中 愛理
(72)【発明者】
【氏名】山地 麻里江
(72)【発明者】
【氏名】山本 雅
【審査官】井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/068267(WO,A1)
【文献】特開2013-095670(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102919863(CN,A)
【文献】特開平11-169135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)A)経口液体組成物全量に対して0.02質量%以上
、かつ、0.15質量%以下の肝臓加水分解物、及びB)(b1)動物性乳及び(b2)植物性乳から選ばれる少なくとも一種を含有し、
(
動物性無脂乳固形分含有量+植物性乳無脂固形分含有量)/(
動物性乳脂肪分含有量+植物性乳脂肪分含有量)≦54
であることを特徴とする、pH2.5~6.5の経口液体組成物。
【請求項2】
(b1)動物性乳が、牛乳、生乳、はっ酵乳、無脂肪乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリーミングパウダー、生クリーム、ホイップクリーム、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、加糖練乳、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、及び乳酸菌飲料からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の経口液体組成物。
【請求項3】
(b2)植物性乳が、アーモンドミルク、ライスミルク、ココナッツミルク、
及び豆乳からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の経口液体組成物。
【請求項4】
請求項1~3
のいずれかに記載の経口液体組成物を利用した飲食品。
【請求項5】
肝臓加水分解物の泡立ちを抑制する方法であって、
動物性乳、又は植物性乳を配合し、かつ、
(動物性無脂乳固形分含有量+植物性乳無脂固形分含有量)/(動物性乳脂肪分含有量+植物性乳脂肪分含有量)≦54とすることを特徴とし、pHが2.5~6.5である経口液体組成物を
調製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肝臓加水分解物及び動物性乳又は植物性乳を含有する経口液体組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
肝臓加水分解物は、ウシやブタなどの肝臓の加水分解物であり、肝臓機能を改善し、アルコール摂取時における体内のアセトアルデヒドの代謝を促進する作用を有することが知られている。そのため、肝臓加水分解物は、二日酔いの予防や軽減のほか、滋養強壮、貧血の改善、肌荒れの改善を目的とした医薬品や栄養補助剤(サプリメント)、食品飲料等に使用され、1回量あたり50mg~300mg配合した商品が知られている。
【0003】
しかし、肝臓加水分解物を経口液体組成物に配合する場合、肝臓加水分解物由来の泡が立つため、製造時の効率低下や、最終商品の運搬時において溢れ出しや吹き出しの問題がある。更に、飲用時に容器に注いだ際の外観が悪く、口当たりも良くないといった課題がある。また、炭酸飲料では開封時にふきこぼれる懸念もある。
【0004】
このような問題に対し、従来、食品用乳化剤を利用した消泡剤や、シリコーン樹脂系の消泡剤が用いられ、各種消泡剤や泡立ちの抑制方法が検討されてきた。例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステルを有効成分とする消泡剤(特許文献1)、クエン酸モノグリセリドとHLB値が10~16のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする抑泡剤や(特許文献2)、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも一種と、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとで構成する食品用消泡剤(特許文献3)などが知られている。
一方で、消泡剤の配合はコスト面からも好ましくなく、健康志向の高まりから、消泡剤等の添加物は好まれない傾向にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-224620号公報
【文献】特開2008-119588号公報
【文献】特開2016-36339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、肝臓加水分解物を配合し、かつ泡立ちが抑制された経口液体組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、肝臓加水分解物を含有する経口液体組成物において動物性乳及び又は植物性乳を含有することにより泡立ちを抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)A)経口液体組成物全量に対して0.02質量%以上の肝臓加水分解物、及び
B)(b1)動物性乳及び(b2)植物性乳から選ばれる少なくとも一種を含有し、
(無脂乳固形分含有量+植物性乳無脂固形分含有量)/(乳脂肪分含有量+植物性乳脂肪分含有量)≦54であることを特徴とする、pH2.5~6.5の経口液体組成物、
(2)(b1)動物性乳が、牛乳、生乳、はっ酵乳、無脂肪乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリーミングパウダー、生クリーム、ホイップクリーム、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、加糖練乳、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、及び乳酸菌飲料からなる群から選ばれる少なくとも1種である(1)に記載の経口液体組成物、
(3)(b2)植物性乳が、アーモンドミルク、ライスミルク、ココナッツミルク、豆乳からなる群から選ばれる少なくとも1種である(1)に記載の経口液体組成物、
(4)(1)~(3)に記載の経口液体組成物を利用した飲食品、
(5)肝臓加水分解物の泡立ちを抑制する方法であって、
動物性乳、又は植物性乳を配合し、かつ、pHが2.5~6.5である経口液体組成物を調整する方法、
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の経口液体組成物は、肝臓加水分解物を含有する経口液体組成物に動物性乳又は植物性乳を含有させることにより、経口液体組成物の泡立ちが抑制されたものとなり、生産効率の低下を防ぎ、飲食時の外観や口当たり等の商品性を向上させる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の経口液体組成物は、A)経口液体組成物全量に対して0.02質量%以上の肝臓加水分解物、及びB)(b1)無脂乳固形分含有量が乳脂肪分含有量1質量部に対して54質量部以下である動物性乳、又は(b2)植物性乳無脂固形分含有量が植物性乳脂肪分含有量1質量部に対して54質量部以下である植物性乳を含有し、pH2.5~6.5であることを特徴とする経口液体組成物である。
【0011】
一般的に、無脂乳固形分、乳脂肪分、乳固形分とは、その由来が動物性乳であるものを指し、本明細書においても同様である。植物性乳由来のものに関しては、植物性乳無脂固形分、植物性乳脂肪分、植物性乳固形分とした。
以下、場合によっては、動物性乳の無脂乳固形分と植物性乳無脂固形分の混合物を混合無脂固形分、乳脂肪分と植物性乳脂肪分の混合物を混合脂肪分、乳固形分と植物性乳固形分の混合物を混合固形分とも言う。
【0012】
本発明における肝臓加水分解物は、ウシやブタなどの哺乳動物の肝臓に消化酵素を加え、加水分解したものであり、例えば、日水製薬株式会社の肝臓加水分解物KS、ILS株式会社のレバーHi、日本薬品株式会社の豚肝臓分解物等が挙げられ、経口液体組成物に用いることができるものであれば特に限定されない。
【0013】
本発明における肝臓加水分解物含有量は、泡立ちが生じる量であれば、特に限定されず、例えば経口液体組成物全量に対して、0.02質量%以上、好ましくは0.05質量%以上である。また、肝臓加水分解物の含有量が10質量%を超える場合、経口液体組成物としての風味が好ましくないという点においては、経口液体組成物全量に対して10質量%以下であることが好ましい。
【0014】
本発明で用いる動物性乳としては、特に限定されず、例えば牛乳、生乳、はっ酵乳、無脂肪乳、全粉乳、クリーミングパウダー、生クリーム、ホイップクリーム、濃縮乳、無糖練乳、加糖練乳、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、乳酸菌飲料等が挙げられ、好ましくは、牛乳、生乳、はっ酵乳、全粉乳、クリーミングパウダーである。なお、はっ酵乳は殺菌されたはっ酵乳やはっ酵乳を主体とした原料も含む。動物性乳は市販品を用いることができる。具体的には、牛乳としては、森永乳業株式会社の森永牛乳、雪印メグミルク株式会社の雪印メグミルク牛乳、株式会社明治の明治おいしい牛乳、明治北海道牛乳、タカナシ乳業株式会社の有機牛乳、北海道3.7牛乳、よつ葉乳業株式会社のよつ葉牛乳等が使用できる。はっ酵乳又ははっ酵乳を主体とした原料としては、森永乳業株式会社の森永ヨープ、株式会社明治の明治メリーソフト等が使用できる。無脂肪乳としては、タカナシ乳業株式会社のタカナシおいしい無脂肪乳、森永乳業株式会社のおいしい無脂肪乳、協同乳業株式会社の信州のおいしい無脂肪牛乳等が使用できる。全粉乳としては、森永乳業株式会社の森永全粉乳、よつ葉乳業株式会社のよつ葉北海道全粉乳等が使用できる。クリーミングパウダーとしては、森永乳業株式会社のクリープ、味の素AGF株式会社のマリーム等が使用できる。生クリームとしては、よつ葉乳業株式会社のよつ葉純生クリーム、タカナシ乳業株式会社の純生クリーム等が使用できる。ホイップクリームとしては、森永乳業株式会社のフレッシュクリーム、雪印メグミルク株式会社のホイップクリーム、北海道フレッシュクリーム、株式会社明治の明治フレッシュクリーム等が使用できる。
【0015】
本発明で用いる植物性乳としては、特に限定されず、例えば、アーモンドミルク、ライスミルク、ココナッツミルク、豆乳等が挙げられ、好ましくはアーモンドミルク、ライスミルク、ココナッツミルクである。植物性乳は市販品を用いることができる。具体的には、アーモンドミルクとしては、ブルーダイヤモンドグロワーズ社のアーモンドブリーズ、筑波乳業株式会社の濃いアーモンドミルク、江崎グリコ株式会社のアーモンド効果等が使用できる。ライスミルクとしては、株式会社福光屋のライスミルク、全国農業協同組合連合会のお米のミルク、旭酒造株式会社のライスミルク獺祭等が使用できる。ココナッツミルクとしては、株式会社アライドコーポレーションのチャオコーココナッツミルク、ヤマモリ株式会社のココナッツミルク、株式会社トマトコーポレーションのココナッツミルク等が使用できる。豆乳としては、キッコーマン株式会社のおいしい無調整豆乳、スジャータめいらく株式会社の有機豆乳、マルサンアイ株式会社の有機豆乳無調整等が使用できる。
【0016】
前記動物性乳又は植物性乳は、単独で又は2種以上を併用してもよい。動物性乳又は植物性乳の含有量(混合物である場合にはそれらの合計含有量)は、経口液体組成物全量に対して0.01~99.3質量%、好ましくは0.01~64質量%であり、肝臓加水分解物1質量部に対して0.1~1500質量部、好ましくは0.1~1000質量部である。
【0017】
本発明における経口液体組成物中の動物性乳の乳固形分及び植物性乳固形分は、動物性乳もしくは植物性乳から水分を除いたものであり、蒸発皿等に試料をはかりとり、恒量に達するまで乾燥させた後の残留物である。動物性乳の乳脂肪分及び植物性乳脂肪分は、「レーゼ・ゴットリーブ法」にて測定されるものである。動物性乳の無脂乳固形分は、前述の動物性乳の乳固形分から乳脂肪分を差し引いたものであり、植物性乳無脂固形分は、前述の植物性乳固形分から植物性乳脂肪分を差し引いたものである。動物性乳及び植物性乳の混合物であっても、蒸発皿等に試料をはかりとり、恒量に達するまで乾燥させた後の残留物が混合固形分であり、レーゼ・ゴットリーブ法にて、混合脂肪分を測定でき、混合無脂固形分は混合固形分から混合脂肪分を差し引けばよい。動物性乳の無脂乳固形分及び乳脂肪分、植物性乳の無脂固形分及び脂肪分は、前述の動物性乳・植物性乳に由来するもののほか、別途添加されるものを含んでもよい。
【0018】
泡立ち抑制効果の観点から、動物性乳又は植物性乳の含有量(混合物である場合にはそれらの合計含有量)は、動物性乳の無脂乳固形分含有量又は植物性乳無脂固形分が、乳脂肪分又は植物性乳脂肪分含有量1質量部に対して、54質量部以下(混合物である場合には、混合無脂固形分が混合脂肪分1質量部に対して、54質量部以下)であり、好ましくは、50質量部以下、より好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは0.1質量部以上、15質量部以下である。
すなわち、動物性乳又は植物性乳の含有量は、以下の式に当てはまるものである。
(無脂乳固形分含有量+植物性乳無脂固形分含有量)/(乳脂肪分含有量+植物性乳脂肪分含有量)≦54であり、好ましくは(無脂乳固形分含有量+植物性乳無脂固形分含有量)/(乳脂肪分含有量+植物性乳脂肪分含有量)≦50、より好ましくは(無脂乳固形分含有量+植物性乳無脂固形分含有量)/(乳脂肪分含有量+植物性乳脂肪分含有量)≦25、さらに好ましくは0.1≦(無脂乳固形分含有量+植物性乳無脂固形分含有量)/(乳脂肪分含有量+植物性乳脂肪分含有量)≦25。なお、(無脂乳固形分含有量+植物性乳無脂固形分含有量)/(乳脂肪分含有量+植物性乳脂肪分含有量)は、無脂乳固形分含有量と植物性乳無脂固形分含有量の和を、乳脂肪分含有量と植物性乳脂肪分含有量の和で割り算したものである。
B)(b1)動物性乳及び(b2)植物性乳から選ばれる少なくとも一種が、(b1)動物性乳のみである場合には、無脂乳固形分含有量/乳脂肪分含有量≦54であり、好ましくは無脂乳固形分含有量/乳脂肪分含有量≦50、より好ましくは無脂乳固形分含有量/乳脂肪分含有量≦25、さらに好ましくは0.1≦無脂乳固形分含有量/乳脂肪分含有量≦25である。
B)(b1)動物性乳及び(b2)植物性乳から選ばれる少なくとも一種が、(b2)植物性乳のみである場合には、植物性乳無脂固形分含有量/植物性乳脂肪分含有量≦54であり、好ましくは植物性乳無脂固形分含有量/植物性乳脂肪分含有量≦50、より好ましくは植物性乳無脂固形分含有量/植物性乳脂肪分含有量≦25、さらに好ましくは0.1≦植物性乳無脂固形分含有量/植物性乳脂肪分含有量≦25である。
【0019】
本発明の経口液体組成物のpHは、例えば、pH2.5~6.5である。泡立ちの抑制という観点からは低pHであることが好ましく、更に好ましくはpH2.5~5.5である。pH調整剤としては、通常使用されるpH調整剤を使用することができ、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、乳酸、酢酸、マレイン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、アジピン酸、グルタミン酸、フマル酸等の有機酸及びそれらの塩類、塩酸等の無機酸、水酸化ナトリウム等の無機塩基等が挙げられ、好ましくは、クエン酸、リンゴ酸及びそれらの塩類である。
【0020】
本発明における経口液体組成物とは、内服することができれば特に制限はない。具体的には、例えば内服液剤、ドリンク剤等の医薬品及び医薬部外品のほか、栄養機能性食品、特定保健用食品等の各種飲料や、炭酸飲料、スポーツ・健康機能性飲料、乳飲料、茶飲料、コーヒー飲料、果実・野菜系飲料といった食品飲料領域における各種飲料が挙げられる。
【0021】
本発明における経口液体組成物を利用する飲食品としては、工程上液体を介する飲食品であれば限定されず、例えば、アイスクリーム、グミ、飴、ゼリーが挙げられ、また、本発明の経口液体組成物を飲料に配合することもできる。また、本発明における経口液体組成物を調整する方法を用いて、飲食品を製造することもできる。
【0022】
本発明の経口液体組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分として、クルクミン、乳酸菌等の成分や、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類又はその塩類、ウコン抽出物等の植物抽出物、香辛料抽出物等を適宜に含有させることができる。
更に、本発明の経口液体組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、抗酸化剤、着色料、香料、矯味剤、界面活性剤、増粘剤、安定剤、保存料、甘味料、酸味料等の添加物を適宜配合することができる。
【0023】
本発明の経口液体組成物は、常法により製造することができ、その方法は特に限定されるものではない。通常、各成分を量りとり、適量の精製水で溶解、撹拌した後、pHを調整し、さらに精製水を加えて容量調整し、必要に応じてろ過、殺菌処理を施すことにより得られる。好ましくは、原料の全部又は一部を90~130℃で1秒~5分間殺菌し、さらに10~40℃程度に冷却して製造するのがよい。殺菌には通常の殺菌機を用いればよく、例えば、プレート式殺菌機、チューブラー式殺菌機、ジャケット付きタンク等を使用することができる。また、冷却には通常の冷却機を用いればよく、例えば、熱交換プレート、チューブラー式冷却機、ジャケット付きタンク等を使用することができる。
【実施例】
【0024】
以下に、実施例等を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に何ら限定されるものではない。
(実施例1-1~実施例12、比較例1-1~比較例3)
経口液体組成物の調製:
下記表1~8に記載の処方および次の方法に従い経口液体組成物を調製した。まず、全量の10%程度の精製水に肝臓加水分解物を添加し、十分に攪拌した。次に、動物性乳又は植物性乳を添加(実施例1-1~実施例8、比較例3)した後、精製水を加え100mlとし、クエン酸もしくはクエン酸ナトリウムでpHを調整して経口液体組成物を得た。また、動物性乳又は植物性乳を添加しない経口液体組成物を対照(コンロトール)とした(比較例1-1~比較例2-4)。
【0025】
これらの経口液体組成物について、スクリュー管((株)マルエム製スクリュー管、容量 110ml、胴径40mm、全長120mm)に50ml充填し、蓋を閉めた後、振とう機(タイテック(株)製STRONG SHAKER SR-2DW)を用いて、振とう速度300r/minで10分間振とうした。振とうを停止してから30秒静置後、液面から泡の最上部までの高さをものさしで測定し、泡立ちの高さ(H)とした。また、肝臓加水分解物を含有し、動物性乳又は植物性乳を配合しない経口液体組成物の泡立ちの高さ(H肝臓加水分解物)を基準(コントロール)とし、動物性乳又は植物性乳を配合した経口液体組成物との泡立ちの高さの差を算出し、ΔHとした。例えば、実施例1-1の泡立ちの差ΔHは次の通りである。
ΔH(実施例1-1)=H (比較例1-1)-H(実施例1-1)
【0026】
動物性乳の乳固形分及び植物性乳固形分は、蒸発皿に試料をはかりとり、恒量に達するまで乾燥させた後の残留物として測定した。動物性乳の乳脂肪分及び植物性乳脂肪分は、「レーゼ・ゴットリーブ法」にて測定した。動物性乳の無脂乳固形分は、前述の動物性乳の乳固形分から乳脂肪分を差し引くことで含量を求めた。また、植物性乳無脂固形分は、前述の植物性乳固形分から植物性乳脂肪分を差し引くことで含量を求めた。
【0027】
【0028】
pHが低いほど、泡立ちの高さが大きいことが確認された。
【0029】
【0030】
実施例1-1~実施例1-8は、各々対応する番号の比較例1-1~比較例1-8をコントロールとした。実施例1-1~実施例1-8では、泡立ち抑制効果が確認された。
【0031】
【0032】
肝臓加水分解物の含有量に比例して、泡立ちの高さが大きくなった。
【0033】
【0034】
実施例2-2~実施例2-4は、各々対応する番号の比較例2-2~比較例2-4をコントロールとした。実施例2-2~実施例2-4では、泡立ち抑制の効果が確認された。
【0035】
【0036】
実施例2-4a1~2-4a6は、比較例2-4をコントロールとした。実施例2-4a1~2-4a6では、泡立ち抑制の効果が確認された。
【0037】
【0038】
実施例2-4a7~2-4a12は、比較例2-4をコントロールとした。実施例2-4a7~2-4a12では、泡立ち抑制の効果が確認された。
【0039】
【0040】
実施例3~実施例8、比較例3は比較例2-4をコントロールとした。比較例3は、泡立ち抑制効果がなかったが、実施例3~実施例8では泡立ち抑制効果が確認された。
【0041】
【0042】
実施例9~12は、比較例2-4をコントロールとした。実施例9~12では、泡立ち抑制の効果が確認された。
【0043】
(実施例13~実施例15)
経口液体組成物の調製:
下記表9に記載の成分を全量の70%の水に溶解し、十分に攪拌した。次に、精製水を用いて全量100mlに調製し,クエン酸でpHを3.7に調整して経口液体組成物を得た。
【0044】
【0045】
実施例13~実施例15では、泡立ちが軽減された経口液体組成物が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明により、肝臓加水分解物を含み、かつ、泡立ちが抑制された経口液体組成物が提供できるため、製造効率の高い、最終製品として口当たりや外観が良好な肝臓加水分解物含有経口液体組成物が提供できる。