(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】文書管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20120101AFI20221101BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
G06Q10/10
H04N1/00 127B
(21)【出願番号】P 2018135139
(22)【出願日】2018-07-18
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194146
【氏名又は名称】長谷川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【氏名又は名称】村上 大勇
(74)【代理人】
【識別番号】100141324
【氏名又は名称】小河 卓
(72)【発明者】
【氏名】冨松 哲生
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-309282(JP,A)
【文献】特開2018-092464(JP,A)
【文献】特開2005-322084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書を保管する梱包体の管理を行う文書管理システムであって、
前記文書の管理者を特定する管理者情報と、前記文書の保管期限とが記載されるべき項目が設けられ、自身の識別情報が付与された管理用ラベルが用いられ、
前記管理者情報と前記保管期限とが記入された後で前記梱包体に貼付された前記管理用ラベルを撮像した撮像データを得る撮像部と、
自身の位置情報を認識する位置認識部と、
前記梱包体の保管場所の位置を特定する情報として前記位置情報に基づき認識された保管場所情報と
、前記撮像データとを送信させる携帯端末側制御部と、
を具備する携帯端末と、
前記携帯端末から受信した前記撮像データ
中の前記管理用ラベルより認識された前記管理者情報及び前記保管期限と、
前記携帯端末から受信した前記保管場所情報とを
、前記撮像データ中の前記管理用ラベルより認識された前記識別情報と対応付けた一群の情報である管理用情報を前記識別情報毎に記憶する記憶部と、
前記管理用情報毎に前記保管期限と現在の日時を比較し、当該日時が前記保管期限に近づいた前記管理用情報が存在した場合に、当該管理用情報中の前記管理者情報により認識された前記管理者に
、当該管理用情報が得られた前記管理用ラベルに対応した前記文書の保管期限が近付いた旨の連絡をする情報処理装置側制御部と、
を具備する情報処理装置と、
を有することを特徴とする文書管理システム。
【請求項2】
前記情報処理装置において、
前記記憶部は、前記管理者の連絡先である管理者連絡先情報を前記管理者に対応して記憶し、
前記情報処理装置側制御部は、前記管理者連絡先情報に基づき前記管理者に前記
連絡をすることを特徴とする請求項1に記載の文書管理システム。
【請求項3】
前記管理用ラベルには前記識別情報に対応したコード画像が形成され、
前記情報処理装置側制御部は、前記撮像データ中における前記コード画像より認識された前記識別情報と、前記管理者情報及び前記保管期限と前記保管場所情報とを対応付けて前記管理用情報として前記記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1又は2に記載の文書管理システム。
【請求項4】
前記管理用ラベルを印刷出力する画像形成装置を具備することを特徴とする請求項3に記載の文書管理システム。
【請求項5】
前記画像形成装置は、前記携帯端末から前記撮像データ及び前記保管場所情報を入手し、前記撮像データより認識した前記識別情報、前記管理者情報、及び前記保管期限と、前記保管場所情報とを前記情報処理装置に送信することを特徴とする請求項4に記載の文書管理システム。
【請求項6】
前記画像形成装置は、前記撮像データにおける文字を認識することによって前記管理者情報及び前記保管期限を認識することを特徴とする請求項5に記載の文書管理システム。
【請求項7】
前記携帯端末において、
前記位置認識部は、GPS信号を用いて前記位置情報を認識し、
前記携帯端末側制御部は、前記位置情報に
対応する建物が認識された場合における、当該建物内における
前記梱包体がある階数又は部屋を作業者によって指定させ
た情報である詳細情報を、前記位置情報に加えて前記保管場所情報として前記画像形成装置に送信させることを特徴とする請求項
4から請求項6までのいずれか1項に記載の文書管理システム。
【請求項8】
前記情報処理装置側制御部は、
前記管理者に前記
連絡をする際に、前記管理者に対応する前記管理用情報における前記保管場所情報を提示することを特徴とする請求項7に記載の文書管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書が紙文書の形態で保管される際の管理を行う文書管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
文書(各種の書類)を保管する形態としては、電子ファイルとしてハードディスクや記憶媒体等に記憶する場合と、印刷された文書(紙文書)を梱包した梱包体として物理的に保管する場合とがある。ここで、一般的に前者の場合に用いられるハードディスクや記憶媒体に記憶可能な文書の数と比べて、後者の場合に単一の梱包体に収容可能な紙文書の数は少ない。また、後者の場合の梱包体は大きいために、保管する紙文書の数や頁数が多い場合には、その保管場所は様々とされる場合が多い。この場合には、この保管場所を適切に認識することが要求される。また、一般的に、紙文書には保管期限が定められており、保管期限の経過後にはこの紙文書を速やかに廃棄することが必要となる。
【0003】
特許文献1には、このような両方の形態で文書を保管する場合に、両者の対応関係を明確化するために、電子ファイルに対応する紙文書の保管場所の情報を、この電子ファイルの属性情報として記憶すると共に、紙文書には対応する電子ファイルを特定するための情報をコード化画像として付与する文書管理システムが記載されている。また、文書管理システムは、文書毎の保管期限を予め記憶している。このため、この文書管理システムは、記憶した各電子ファイルに対応する紙文書の保管期限及び保管期限を適切に認識することができ、保管期限が近付いた場合には、対象となる紙文書の保管場所を特定した上で、保管期限が近付いた旨の警告を管理者に発することができる。これによって、紙文書の廃棄処理を適切に行わせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように紙文書を梱包体で保管する場合において、特に梱包体の数が多くなった場合には、これらの全てを同一の箇所に保管することが困難となることがある。こうした場合には、保管期限内において梱包体(紙文書)の保管場所が変わることがあり、場合によっては、保管期限内に複数回保管場所が変わる場合もある。また、状況に応じて、保管期限が変更される場合もある。
【0006】
こうした場合においては、管理者は、紙文書を移動させる度に文書管理システムで記憶された内容を最新のものに書き換える作業を行う必要があった。特に紙文書の数が多い場合には、こうした作業は非常に煩雑となり、適切に書き換えが行われない場合も多かった。この場合、上記の警告を受けた管理者が対象となる紙文書の所在を迅速に認識できないために処理が遅れる、あるいは保管期限が変更された場合にはその旨を管理者が適正に認識できない場合があった。このため、紙文書の管理が適正に行われない場合があった。
【0007】
このため、紙文書の保管状況等に変化があった場合でも、紙文書の管理を適切に行うことができる文書管理システムが求められた。
【0008】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、上記課題を解決できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の文書管理システムは、文書を保管する梱包体の管理を行う文書管理システムであって、前記文書の管理者を特定する管理者情報と、前記文書の保管期限とが記載されるべき項目が設けられ、自身の識別情報が付与された管理用ラベルが用いられ、前記管理者情報と前記保管期限とが記入された後で前記梱包体に貼付された前記管理用ラベルを撮像した撮像データを得る撮像部と、自身の位置情報を認識する位置認識部と、前記梱包体の保管場所の位置を特定する情報として前記位置情報に基づき認識された保管場所情報と、前記撮像データとを送信させる携帯端末側制御部と、を具備する携帯端末と、前記携帯端末から受信した前記撮像データ中の前記管理用ラベルより認識された前記管理者情報及び前記保管期限と、前記携帯端末から受信した前記保管場所情報とを、前記撮像データ中の前記管理用ラベルより認識された前記識別情報と対応付けた一群の情報である管理用情報を前記識別情報毎に記憶する記憶部と、前記管理用情報毎に前記保管期限と現在の日時を比較し、当該日時が前記保管期限に近づいた前記管理用情報が存在した場合に、当該管理用情報中の前記管理者情報により認識された前記管理者に、当該管理用情報が得られた前記管理用ラベルに対応した前記文書の保管期限が近付いた旨の連絡をする情報処理装置側制御部と、を具備する情報処理装置と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記の構成により、紙文書の保管状況等に変化があった場合でも、紙文書の管理を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態に係る文書管理システムの構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る文書管理システムにおいて用いられる画像形成装置の構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る文書管理システムにおいて用いられる携帯端末の構成を示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る文書管理システムにおいて用いられる情報処理装置の構成を示す図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る文書管理システムにおいて、新たに紙文書を保管する際の動作を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施の形態に係る文書管理システムにおいて用いられる管理用ラベルの例である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る文書管理システムにおいて、新たに紙文書を保管する際の携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の実施の形態に係る文書管理システムにおいて、画像形成装置が携帯端末からデータを受信した後の動作を示すフローチャートである。
【
図9】本発明の実施の形態に係る文書管理システムにおいて、紙文書の保管場所を移動させた際の動作を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の実施の形態に係る文書管理システムにおける情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の実施の形態に係る文書管理システムにおいて、紙文書の保管期限が近付いた際の警告の画面の例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施の形態に係る文書管理システムについて説明する。
図1は、この文書管理システム全体の構成を模式的に示す図である。この文書管理システムにおいては、全体の管理を行うサーバー(情報処理装置)1と、サーバー1とネットワークNを介して接続された画像形成装置2とが用いられる。サーバー1は、画像形成装置2に管理用ラベルLを出力させる。この管理用ラベルLは、管理に必要な事項が作業者によって記入された後に、管理の対象となる紙文書(文書)を収容する梱包体Sに貼付され、この状態で梱包体Sが保管される。なお、ここでは、電子ファイルではなく実体として保管される文書を「紙文書」と呼称し、記録が行われる主体が紙ではなく合成樹脂等であっても、以下では「紙文書」に含めるものとする。
【0013】
上記のように保管された状態の梱包体S上の管理用ラベルLを撮像することのできる携帯端末3が用いられる。携帯端末3と画像形成装置2とはネットワーク又は近距離無線通信等でデータの授受を行うことができる。このデータには、前記の管理用ラベルLを撮像した画像データ(撮像データ)と、梱包体Sの保管場所を示す保管場所情報が含まれる。
【0014】
サーバー1は、画像形成装置2を用いて、多くの紙文書(梱包体S)の管理を行う。ここで、この文書管理システムにおいては、特に、紙文書の保管場所や保管期限についての情報を常に最新のものにする動作を容易かつ確実に行わせることができる。このため、サーバー1は、管理者に対して、紙文書の保管期限が近付いた場合に、電子メール等の手段によって、その旨を適正に伝達することができる。
【0015】
図2は、画像形成装置2の構成を示す図である。
図2において、画像形成装置2は、全体の制御を行う制御部(画像形成装置側制御部)20と、トナーで構成された画像パターンを媒体(用紙)上に形成して出力する作業を行う画像形成部21を具備する。特に、画像形成部21は、管理用ラベルLを出力することができる。また、サーバー1とネットワークNを介して接続するためのネットワーク接続部22、ユーザーが操作をするための操作パネル23、この際に各種の情報を表示する表示部24が設けられる。また、携帯端末3と近距離無線通信を行うための近距離通信部25が設けられる。また、ハードディスクや不揮発性メモリーで構成され各種のデータを記憶する記憶部26が設けられる。
【0016】
また、携帯端末3から入手した撮像データ中の画像の中の文字を認識する文字認識部27が設けられる。また、紙文書(あるいはこれに対応した梱包体S)の識別情報をコード画像(例えばQRコード(登録商標))化する、あるいは逆に読み込まれた画像データ中におけるコード画像から対応する識別情報を読み取るコード生成・認識部28も設けられる。
【0017】
図3は、携帯端末3の構成を示す図である。携帯端末3も、制御部(携帯端末側制御部)30、記憶部31、操作パネル32、表示部33、近距離通信部34を具備する。携帯端末3は小型であるため、実際には操作パネル32と表示部33が一体化されたタッチパネルディスプレイが用いられる。また、ユーザーが携帯端末3の空間的位置や姿勢等を調整することによって特定の領域を撮像して撮像を行い画像ファイル(撮像データ)を取得することのできる撮像部35も設けられる。また、GPS信号を用いて自己の位置を認識する位置認識部36も設けられる。上記の機能は、通常知られるスマートフォン等と変わるところがない。
【0018】
図4は、サーバー(情報処理装置)1の構成を示す図である。サーバー1も、全体の制御を行う制御部(情報処理装置側制御部)10、記憶部11、ネットワークNと接続するためのインターフェースとなるネットワーク接続部12を具備する。また、ユーザーからの指示を受け付けるための操作パネル13、この際に必要な情報を表示するディスプレイを具備する表示部14が設けられる。また、現在の日時を認識する日時認識部15も設けられる。これらの構成は、通常のパーソナルコンピューター(コンピューター)と変わるところはない。
【0019】
ここで、記憶部11には、保管された複数の紙文書を管理するためのデータである管理用情報が、紙文書毎に記憶されている。実際には紙文書は梱包体S毎に保管されるため、管理用情報は梱包体S毎に作成される。ここで管理用情報として記憶される内容は、(1)管理者情報、(2)内容物を特定するための文書情報(文書名等)、(3)保管場所情報、(4)保管期限であり、これらは、管理用ラベルLに付与された識別番号(識別情報)毎の一群のデータとして扱われる。(1)管理者情報としては、(1-1)管理者所属部署、(1-2)管理者名がある。(3)保管場所情報としては、例えば、この梱包体Sがビル等の一室である場合には、(3-1)このビルの位置情報、(3-2)部屋番号、階数等、ビル内における場所を特定するための情報、等がある。また、この管理用情報に対応して、各管理者の連絡先である管理者連絡先情報も管理者毎に記憶されている。管理者連絡先情報としては、ネットワークN等を介してサーバー1が管理者に連絡をする際の連絡先、例えば電子メールアドレスが記憶されている。
【0020】
管理用ラベルLは梱包体Sに貼付されるため、梱包体Sが複数ある場合に、上記の識別番号と個々の梱包体Sとを対応付けることができる。制御部10は、現在の日時を日時認識部15により認識し、記憶部11に記憶された紙文書(梱包体S)毎にその管理用情報より保管期限を認識して現在の日時と比較し、現在の日時が保管期限に近い(例えば保管期限が現在の一ケ月以内となった)ものに対しては、対応する管理者の連絡先に、その旨を通知(警告)することができる。この際、この紙文書の(3)保管場所情報も同時に連絡することによって、この管理者は、この紙文書に対して廃棄処理を迅速に行うことができる。あるいは、状況に応じ、保管期限を延期した上で、再度この紙文書を保管することができる。この際には、保管場所を変えることもできる。
【0021】
上記の文書管理システムにおいては、
図1において画像形成装置2が出力する管理用ラベルLと携帯端末3を用いて、この場合における上記の管理用情報としての(3)保管場所情報、(4)保管期限の管理を特に適正に行うことができる。このため、梱包体Sの保管場所や保管期限の変更があった場合でも、制御部10は、この変更後の内容を適正に認識し、上記の警告を適正に発することができる。
【0022】
以下に、このために行う動作について具体的に説明する。ここでは、まず、新たに紙文書を保管する場合の動作について説明する。
図5は、この際における上記の文書管理システムにおいて行われる動作を示すフローチャートである。ここでは、まず、作業者は、サーバー1を操作し、画像形成装置2の画像形成部21から、用紙に
図6に示されたような記載が施された管理用ラベルLを出力させる(S1)。この操作は、サーバー1によらずに画像形成装置2の操作パネル23によって行わせてもよい。
【0023】
管理用ラベルLは梱包体Sに貼付されるため、管理用ラベルLと梱包体Sあるいはその中の紙文書とは1対1に対応する。このため、管理用ラベルLにはこの際にその識別情報として管理番号が付与され、この管理番号をコード生成・認識部28によってQRコード(コード画像)化したコード画像G1が管理用ラベルLの一部に形成される。また、上記の管理用情報における、(1-1)管理者所属部署に対応する内容が文字として「部署」の項目(
図6におけるC1)に、上記の(1-2)管理者名に対応する内容が文字として「管理者名」の項目(
図6におけるC2)に、上記の(2)文書情報に対応する内容(文書名等)が文字情報として「内容物」の項目(
図6におけるC3)に、上記の(4)保管期限に対応する内容が文字(数字)情報として、「保管期限」の項目(
図6におけるC4)に、それぞれ記載されるような用紙構成とされている。
【0024】
作業者は、ペン等を用いて、管理用ラベルLにおいて上記の各項目を記載する(S2)。このため、
図6においてC1~C4に記載された内容から、上記の管理用情報のうち、(1)管理者情報、(2)文書情報、(4)保管期限を文字情報として認識することができる。ただし、管理用情報のうち(3)保管場所情報については、管理用ラベルLにおける記載から認識することはできない。その後、作業者は、保管の対象となる紙文書を梱包して梱包体Sを作成し、上記の記載後の管理用ラベルLをこの梱包体Sに貼付し、所望の保管場所に載置する(S3)。なお、上記の「管理者」と上記の「作業者」とは同一である必要はない。
【0025】
作業者は、この状態で、保持している携帯端末3を用いて、管理用ラベルLを撮像すると共に、携帯端末3の位置情報を入手する(S4)。この動作は、実際には携帯端末3にインストールされているアプリケーションソフトウェアによって行われる。
図7は、この際に携帯端末3において制御部30が行わせる動作のフローチャートである。まず、制御部10は、表示部33に「管理用ラベルを撮像してください」等のメッセージを表示させ、作業者に管理用ラベルLを撮像させる(S41)。この際、適正に管理用ラベルLが撮像されたか否かは、作業者が表示部33の画面により確認することができる。これによって、撮像部35によって管理用ラベルLが撮像された撮像データが得られる。次に、制御部30は、位置認識部36によって、携帯端末3の位置情報を取得する(S42)。ここで入手される位置情報は、携帯端末3が現在位置する箇所の例えば、緯度、経度であり、地図情報が入手可能な場合には、更に建物(ビル等)名等も認識することができる。
【0026】
制御部30は、このように入手された情報を表示部33に表示させる(S43)。作業者は、ここで表示された情報が保管場所を特定するための情報として十分であるか否かを判断する(S44)ことができる。ここで、例えば上記のように保管場所がビルであると認識された場合において、このビルの指定だけでは不十分でありその中の階や部屋を更に特定した情報(詳細情報)が必要であると判断した場合(S44:No)には、制御部30は、この詳細情報の入力を操作パネル32によって行わせる旨の表示を表示部33で行い、作業者は、この詳細情報の入力を行うことができる(S45)。この際の入力は、文字入力や、階の指定の場合には数字入力等により、適宜行わせることができる。例えば保管場所は単一の建物内には1箇所しかなく、例えば保管場所の指定がビルの特定だけで十分である場合(S44:Yes)には、こうした詳細情報は不要となる。
【0027】
制御部30は、上記のように入手した撮像データ(S41)、位置情報(S42)あるいは更に詳細情報(S45)を、一群のデータである管理用情報として、記憶部31に記憶させる(S46)。その後、携帯端末3を携帯した作業者は、この保管場所を離れ、前記の画像形成装置2の近傍に行き、この一群のデータを近距離通信部34によって画像形成装置2に送信する(S47)。あるいは、ネットワークNを介してこれらを送信してもよい。上記の携帯端末3における一群の動作(S41~S47)は、上記のアプリケーションソフトウェアにより行わせることができる。
【0028】
図5において、画像形成装置2は、この一群のデータを受信する(S5)。制御部20は、このように入手した一群のデータから、撮像された管理用ラベルLが貼付された梱包体Sの管理用情報を認識し、これをサーバー1に送信する(S6)。
図8は、この際に画像形成装置2において制御部20が行わせる動作のフローチャートである。
図8において、上記のデータを受信したら、制御部20は、受信した撮像データの中から、
図6におけるコード画像G1の存在の有無を確認する(S51)。コード画像G1が認識されなかった場合(S51:No)には、管理用ラベルLが適切に撮像されていない、あるいは上記の管理用ラベルLが使用されていないと認識されるため、制御部20は、その旨を表示部24に表示させ(S52)、処理は終了する。この場合、作業者は、
図5における管理用ラベルLの出力(S1)、又は必要事項の記入(S2)以降の作業を見直した上で、再度行うことができる。
【0029】
コード画像G1が認識された場合(S51:Yes)には、管理用ラベルLが使用されていると認められるため、コード画像G1からこの管理用ラベルLに付与された管理番号(識別情報)を、コード生成・認識部28によって認識し(S53)、更に、受信した位置情報(上記の詳細情報も含む)を、前記の管理用情報における(3)保管場所情報として認識する(S54)。
【0030】
次に、制御部20は、受信した撮像データから、文字認識部27を用いて、
図6におけるC1の項目で認識された文字より前記の(1-1)管理者所属部署を、C2の項目で認識された文字より前記の(1-2)管理者名を、
図6におけるC3の項目で認識された文字より前記の(2)文書情報を、それぞれ文字情報として認識することができる(S55)。同様に、制御部20は、受信した撮像データから、
図6におけるC4の項目で認識された文字より前記の(4)保管期限を認識することができる(S56)。ここで、上記の認識(S55、S56)において、これらの情報が適正に認識されない、例えば保管期限の認識(S56)において保管期限に対応する数字が認識されなかった場合等には、対応する情報としてNULLが認識される。
【0031】
これにより、上記のように適正に各情報が認識された場合(NULLの項目がなかった場合)には、管理用情報として(1-1)管理者所属部署、(1-2)管理者名、(2)文書情報、(3)保管場所情報、(4)保管期限が、管理用ラベルLの識別情報と対応して認識される。上記のように認識された項目に不足があった場合(NULLの項目があった場合:S57:No)には、、制御部20は、その旨を表示部24に表示させ(S58)、処理は終了する。この場合、作業者は、前記のコード画像G1が認識されなかった場合(S51:No)と同様に、作業を見直した上でやり直すことができる。上記のように認識された項目に不足がなかった場合(NULLの項目がなかった場合:S57:Yes)には、制御部20は、認識された管理用情報をサーバー1に送信する(S59)。
【0032】
図5において、サーバー1は、この管理用情報を受信し(S7)、制御部10は、この管理用情報を記憶部11に記憶させることができる(S8)。一方、サーバー1においては、予め管理者とこれに対応する連絡先(電子メールアドレス等)が、記憶部11に記憶されている。このため、サーバー1における制御部10は、管理用情報とこの管理者に対応した連絡先情報を識別情報毎に記憶部11に記憶させることができる。あるいは、画像形成装置2から管理用情報をサーバー1に送信する際(S59)に、制御部20が、作業者に対してこの連絡先情報を入力させ、この連絡先情報を同時に送信させることによって、サーバー1側で連絡先情報が認識できるようにしてもよい。
【0033】
これにより、サーバー1において、制御部10は、識別情報(梱包体S)毎に保管期限を認識し、その管理者の連絡先を認識することができ、上記のように、保管期限が近づいた場合に、この管理者に対して警告を発することができる。この際、対象となる紙文書(梱包体S)の保管場所を、上記の管理用情報より、適正に管理者に知らせることができる。
【0034】
図5のフローチャートにおいては、新たに管理用ラベルLを印刷して梱包体Sに貼付してから管理用データを記憶させるまでの動作が示された。一方、梱包体Sの保管場所を変更した場合においては、
図5におけるS3以降の工程を同様に行わせることができる。この場合においては、上記の管理用ラベルLが貼付された梱包体Sを新たな保管場所に移動させて
図5におけるS4以降の工程を同様に行わせれば、管理用ラベルLの記載内容には変更を施す必要はない。
図9は、この場合の動作を
図5に対応させて示すフローチャートである。ここでは、作業者が梱包体Sを新たな保管場所に移動させた後(S11)に、上記と同様に携帯端末3による撮像・位置情報入手、送信(S4)、これらの画像形成装置2による受信(S5)、その後の管理用情報の認識・送信(S6)、管理用情報のサーバー1による受信(S7)、管理用情報の記憶(S8)が同様に行われる。
図5の場合には管理用情報の記憶(S8)が新規に行われたのに対し、この場合には、既に記憶された管理用情報における保管場所が、最新の保管場所に書き換えられて記憶される。このため、この文書管理システムを用いて、管理用情報における保管場所の変更を、容易かつ正確に行うことができる。その後に管理者に警告を発する際に、最新の保管場所を適切に認識することができる。
【0035】
また、
図9における保管場所の移動(S11)の代わりに、作業者が、管理用ラベルLにおける保管期限(
図6におけるC4)の内容を書き換えた場合においても、
図9と同様の動作を行わせることができる。この場合には、作業者は、管理用ラベルLにおける保管期限の記載を張り紙等を用いることによって、新たな保管期限に書き変えることができる。この新たな保管期限が付与された管理用ラベルLの撮像データから画像形成装置2における文字認識部27が保管期限の数値を認識することができれば、上記の保管場所の変更の場合と同様に、サーバー1における記憶部11に記憶された管理用情報における保管期限が、最新のものに更新される。この場合においては、他の記載は変えずに、管理用ラベルLにおける保管期限の記載のみを上記のように変更すればよい。この場合においては、管理用ラベルLを新たに印刷出力して
図5の動作を再度行わせてもよい。
【0036】
なお、保管期限だけでなく、他の項目(管理者名等)の変更を行った場合でも、同様である。すなわち、貼付された状態の管理用ラベルLにおける所望の項目を張り紙等によって書き換え、新たに管理用ラベルLの撮像を行い(S4)、
図9における以降の工程を行うことによって、同様に記憶部11に記憶されたこの項目を更新することができる。
【0037】
次に、記憶された個々の管理用情報(特に保管期限)に基づいたサーバー(情報処理装置)1の動作について説明する。ここでは、保管期限まで一ケ月以内となった場合に、警告が発せられるものとする。この動作は、例えば1日1回行わせることができる。
図10は、この場合の動作を示すフローチャートである。この動作は、個々の管理用情報(識別情報)毎に行われるため、まず、制御部10は、記憶部11から一つの管理用情報を読み出す(S61)。制御部10は、日時認識部15からこの時点の日時を認識し、これがこの管理用情報における保管期限の一ケ月以内でない場合(S62:No)には、この管理用情報に関しての処理は行われずに次の管理用情報が読み出される(S61)。
【0038】
この時点の日時が保管期限の一ケ月以内である場合(S62:Yes)には、制御部10は、記憶部11から、この管理用情報における管理者の管理者連絡先情報を読み出す(S63)。その後、この管理者連絡先(電子メールアドレス等)に、この管理者情報に対応した紙文書の保管期限が近付いた旨の通知(警告)をする(S64)。
図11は、この際の通知の画面の例を示す。ここでは、この管理者が所有する携帯端末に電子メールでこの通知が行われ、この携帯端末は前記の携帯端末3と同一である必要はないが、単純化のために、ここではこの携帯端末は前記の携帯端末3と同様の構成を具備し、この表示が
図3における表示部33で行われるものとする。ここでは、対象となる梱包体Sの保管場所が上記の保管場所情報に基づいて明記され、文書のタイトルも文書情報に基づいて明記されている。また、この通知がこのコード画像G1に対応する識別情報をもつ管理用情報に基づくものであることを明記するために、この場合のコード画像G1も表示されている。この場合、指摘された梱包体S(管理用ラベルL)の詳細を管理者が更に詳細に確認するために、例えば、このコード画像G1を例えば他の携帯端末等で撮像し、この撮像データを画像形成装置2に送信し、対応する管理用情報の詳細を画像形成装置2がサーバー1から得ることもできる。
【0039】
また、
図11においては、表示された保管期限を変更(延期)するか否かの問い合わせ(S65)も行われている。管理者が保管期限の延期を希望する旨の回答を管理者側から得た場合(S65:Yes)には、制御部10は、画像形成装置2に対して新たに管理用ラベルLを出力させる(S66)。ここで、
図6における部署、氏名、内容物の項目(C1~C3)については、空白ではなく、読み出された管理用情報から画像形成装置2が認識して記載することができる。また、この際には同一の識別情報(コード画像G1)が付与される。また、この回答(S65:Yes)と同時に新たな保管期限を管理者に入力させ、この新たな保管期限を
図6における保管期限の項目(C4)に記載した上で管理用ラベルLを出力させてもよい。その後、管理者は、この新たな管理用ラベルLを対象となる梱包体Sに貼付し、前記の保管期限を変更した場合の動作と同様の動作を行わせることによって、新たな管理用情報が記憶部11に記憶される。
【0040】
保管期限を変更しない場合(S65:No)には、対応する紙文書は短期間のうちに廃棄されるものと推定される。このため、制御部10は、管理者に対して、前記の通知(S64)と同様に、この管理用情報を削除するか否かを問い合わせる(S67)。管理者がこの削除を希望する場合(S67:Yes)には、制御部10は、この管理用情報を削除する(S68)。これにより、以降は、この管理用情報に関しての通知(S64)等が行われることはない。この管理用情報の削除を希望しない場合(S67:No)には、この管理用情報は削除されないため、翌日以降も、上記と同様の通知(S64)等がこの管理者に対して行われる。
【0041】
上記の動作は、記憶された全ての管理用情報について行われ、全ての管理用情報についての上記の動作が行われたら(S69:Yes)、処理は終了する。上記の動作は、保管期限を日単位で管理する場合には、1日1回行えばよい。
【0042】
上記の文書管理システムにおいては、前記の通り、保管期限や保管場所の変更があった場合でも、これらの最新の情報が管理用情報として適正に記憶されるため、上記の通知(S64)を常に適正に行うことができる。紙文書の廃棄に際しての管理用情報の削除(S68)も適切に行われるため、不要な通知(S64)が行われることも抑制される。
【0043】
なお、上記の例においては、携帯端末3とサーバー(情報処理装置1)との間でデータを仲介するために画像形成装置2が用いられた。しかしながら、情報処理装置と携帯端末との間でデータが直接授受可能な構成として、上記のような撮像データからの管理者情報等の認識(S55、S56)を情報処理装置側で行ってもよい。この場合には、画像形成装置を単に管理用ラベルLを出力させるためだけに用いられる。逆に、画像形成装置に、管理用情報の記憶を含む上記のサーバー1の機能を全てもたせ、画像形成装置と別体とされた情報処理装置を用いなくともよい。
【0044】
また、記憶される管理用情報の内容としては、上記のような管理者情報、保管場所情報、保管期限の他は、紙文書の内容等に応じて適宜設定が可能である。必要に応じ、これらの内容を上記の通知(S64)に含めることができる。
【0045】
また、上記の例では管理用ラベルL等には識別情報に対応したコード画像(QRコード)G1が付与されたが、管理用ラベルに識別情報が付与される態様は、その識別を画像形成装置や情報処理装置が行うことができる限りにおいて、任意である。
【符号の説明】
【0046】
1 サーバー(情報処理装置)
2 画像形成装置
3 携帯端末
10 制御部(情報処理装置側制御部)
11、26、31 記憶部
12、22 ネットワーク接続部
13、23、32 操作パネル
14、24、33 表示部
15 日時認識部
25、34 近距離通信部
20 制御部(画像形成装置側制御部)
21 画像形成部
27 文字認識部
28 コード生成・認識部
30 制御部(携帯端末側制御部)
35 撮像部
36 位置認識部
G1 コード画像
L 管理用ラベル
N ネットワーク
S 梱包体