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特許7167532ベルトクリーニング装置およびインクジェット画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】ベルトクリーニング装置およびインクジェット画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20221101BHJP
   B65H 5/00 20060101ALI20221101BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
B41J2/17 103
B65H5/00 B
B41J2/01 305
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018146559
(22)【出願日】2018-08-03
(65)【公開番号】P2020019258
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100155620
【弁理士】
【氏名又は名称】木曽 孝
(72)【発明者】
【氏名】外園 豊
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-205658(JP,A)
【文献】特開2010-234579(JP,A)
【文献】特開2012-116617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B65H 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する無端状の搬送ベルトをクリーニングするベルトクリーニング装置であって、
前記搬送ベルトに当接し、前記搬送ベルトに供給された洗浄液を除去するクリーニングブレードと、
前記搬送ベルトの搬送方向における前記クリーニングブレードの下流側で、前記クリーニングブレードで除去されずに通過した前記洗浄液を除去するためのエアーを噴射するエアー噴射部と、を備え、
前記クリーニングブレードは、前記搬送方向の側に傾斜して前記搬送ベルトに当接し、
前記エアー噴射部は、前記搬送方向と逆方向の側に傾斜した方向に前記エアーを噴射する、
ルトクリーニング装置。
【請求項2】
記録媒体を搬送する無端状の搬送ベルトをクリーニングするベルトクリーニング装置であって、
前記搬送ベルトに当接し、前記搬送ベルトに供給された洗浄液を除去するクリーニングブレードと、
前記搬送ベルトの搬送方向における前記クリーニングブレードの下流側で、前記クリーニングブレードで除去されずに通過した前記洗浄液を除去するためのエアーを噴射するエアー噴射部と、を備え、
下記数式(1)を満たす、
ルトクリーニング装置。
α+β<90° ・・・(数式(1))
但し、αは搬送ベルトに対するクリーニングブレードの当接角度、βは搬送ベルトに対するエアー噴射部のエアー噴射角度、である。
【請求項3】
記録媒体を搬送する無端状の搬送ベルトをクリーニングするベルトクリーニング装置であって、
前記搬送ベルトに当接し、前記搬送ベルトに供給された洗浄液を除去するクリーニングブレードと、
前記搬送ベルトの搬送方向における前記クリーニングブレードの下流側で、前記クリーニングブレードで除去されずに通過した前記洗浄液を除去するためのエアーを噴射するエアー噴射部と、を備え、
前記搬送ベルトは、待機状態と駆動状態を繰り返す間欠動作を行うように駆動され、
前記エアー噴射部は、前記クリーニングブレードによって形成された前記搬送ベルトの凹部が前記待機状態の際に、前記エアーを前記凹部に導入可能な位置に配置されている、
ルトクリーニング装置。
【請求項4】
前記エアー噴射部から噴射される前記エアーの噴射方向の線と前記搬送ベルトの表面とが交わる交点は、
前記間欠動作での1回の前記駆動状態での前記搬送ベルトの移動量を整数倍した長さを前記クリーニングブレードの先端から前記搬送方向の下流側に加えた位置と、さらに下流側にエアー有効領域の長さを加えた位置と、の間に存在する、
請求項に記載のベルトクリーニング装置。
【請求項5】
記録媒体を搬送する無端状の搬送ベルトをクリーニングするベルトクリーニング装置であって、
前記搬送ベルトに当接し、前記搬送ベルトに供給された洗浄液を除去するクリーニングブレードと、
前記搬送ベルトの搬送方向における前記クリーニングブレードの下流側で、前記クリーニングブレードで除去されずに通過した前記洗浄液を除去するためのエアーを噴射するエアー噴射部と、を備え、
前記搬送ベルトの幅方向に沿って複数の前記エアー噴射部が設けられ、各々の前記エアー噴射部から噴射される前記エアーが前記搬送ベルトの幅方向に沿って部分的に二重になるように構成されている、
ルトクリーニング装置。
【請求項6】
記録媒体を搬送する無端状の搬送ベルトをクリーニングするベルトクリーニング装置であって、
前記搬送ベルトに当接し、前記搬送ベルトに供給された洗浄液を除去するクリーニングブレードと、
前記搬送ベルトの搬送方向における前記クリーニングブレードの下流側で、前記クリーニングブレードで除去されずに通過した前記洗浄液を除去するためのエアーを噴射するエアー噴射部と、
噴射された前記エアーにより前記搬送ベルトから落下した前記洗浄液を回収する回収部と、を備える、
ルトクリーニング装置。
【請求項7】
前記エアー噴射部は、加熱された前記エアーを噴射する、
請求項1からのいずれかに記載のベルトクリーニング装置。
【請求項8】
前記クリーニングブレードは、前記間欠動作を行う際に、前記搬送ベルトから退避するように構成されている、
請求項に記載のベルトクリーニング装置。
【請求項9】
記録媒体を搬送する無端状の搬送ベルトをクリーニングするベルトクリーニング装置であって、
前記搬送ベルトに当接し、前記搬送ベルトに供給された洗浄液を除去するクリーニングブレードと、
前記搬送ベルトの搬送方向における前記クリーニングブレードの下流側で、前記クリーニングブレードで除去されずに通過した前記洗浄液を除去するためのエアーを噴射するエアー噴射部と、
前記搬送方向における前記クリーニングブレードの下流側で、前記搬送ベルト上に残存する前記洗浄液を吸収する吸液部と、を備える、
ルトクリーニング装置。
【請求項10】
前記吸液部は、搬送方向における前記エアー噴射部の下流側に配置されている、
請求項に記載のベルトクリーニング装置。
【請求項11】
前記搬送ベルトの幅方向に沿って複数の前記クリーニングブレードが部分的に重なるように配置され、
前記部分的に重なるように配置された前記クリーニングブレードの部位は、前記エアーが前記搬送ベルトの幅方向に沿って部分的に二重になる部位に対して、前記搬送ベルトの幅方向における位置が異なっている。
請求項に記載のベルトクリーニング装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載のベルトクリーニング装置と、
前記搬送ベルトによって搬送される前記記録媒体にインクを吐出するインクジェットヘッドと、を備える、
インクジェット画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトクリーニング装置およびインクジェット画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紙、布帛等の種々の記録媒体に対して高精細な画像を記録する装置として、インクジェット方式による画像形成装置が広く普及している。特に、記録媒体が長尺ウェブ状である場合には、無端状の搬送ベルトを有するベルト搬送装置を使用し、記録媒体を搬送ベルト上に密着させて搬送することが行われている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
他方、使用する記録媒体の種類によっては、紙粉や糸くず、前処理剤等の汚染物質を搬送ベルト上に付着させる場合があり、これらが搬送ベルト上のインクと混合して異物として付着してしまう場合がある。ここで、搬送ベルトに付着した異物を放置した場合、かかる異物が新たに供給される記録媒体の裏面に付着して製品品質を低下させたり、搬送ベルトと記録媒体との間の摩擦に影響を与えて記録媒体の搬送を不安定化させる等の問題が生じる。
【0004】
このような問題を防止するため、通常、上記のような搬送ベルトを備えたインクジェット画像形成装置では、搬送ベルトの表面に付着した異物をクリーニングするためのベルトクリーニング装置が設けられている。
【0005】
ベルトクリーニング装置に関し、例えば特許文献1に記載の技術は、搬送ベルトに洗浄液を供給して搬送ベルトの表面に付着した異物を洗浄し、かかる洗浄液を、搬送ベルト面に当接するクリーニングブレード(掻き取りブレード)によって掻き取る構成を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-116617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
他方、特許文献1に記載の構成では、搬送ベルトの表面に傷(凹凸部)が発生した場合、クリーニングブレードでは当該凹凸部に付着した洗浄液を全て掻き取ることができず、クリーニングブレードを通過して残液が発生するおそれがある。このような残液を放置すると、新たに供給される記録媒体の裏面に残液が付着して画像が滲む等により製品品質を低下させる問題が生じる。
【0008】
このような問題に対し、クリーニングブレードを加圧空気噴射式(すなわち搬送ベルトに接触しない非接触式)のものに置き換える構成とすることが考えられる。しかしながら、このような構成とした場合、噴射された加圧空気が洗浄液に当たることにより、かかる洗浄液が多量の霧状体(ミスト)となって装置内に浮遊するおそれがある。このような洗浄液の浮遊ミストを放置すると、機内のセンサーなどの電子部品に誤動作が発生する、あるいは機内の各部の汚れや錆等を発生させる問題が生じる。
【0009】
本発明の目的は、搬送ベルトに残存した洗浄液の除去と、洗浄液の霧状化の抑制との両立を図ることが可能なベルトクリーニング装置およびインクジェット画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るベルトクリーニング装置の一態様は、
記録媒体を搬送する無端状の搬送ベルトをクリーニングするベルトクリーニング装置であって、
前記搬送ベルトに当接し、前記搬送ベルトに供給された洗浄液を除去するクリーニングブレードと、
前記搬送ベルトの搬送方向における前記クリーニングブレードの下流側で、前記クリーニングブレードで除去されずに通過した前記洗浄液を除去するためのエアーを噴射するエアー噴射部と、を備え、
前記クリーニングブレードは、前記搬送方向の側に傾斜して前記搬送ベルトに当接し、
前記エアー噴射部は、前記搬送方向と逆方向の側に傾斜した方向に前記エアーを噴射する。
本発明に係るベルトクリーニング装置の他の態様は、
記録媒体を搬送する無端状の搬送ベルトをクリーニングするベルトクリーニング装置であって、
前記搬送ベルトに当接し、前記搬送ベルトに供給された洗浄液を除去するクリーニングブレードと、
前記搬送ベルトの搬送方向における前記クリーニングブレードの下流側で、前記クリーニングブレードで除去されずに通過した前記洗浄液を除去するためのエアーを噴射するエアー噴射部と、を備え、
下記数式(1)を満たす、
ベルトクリーニング装置である。
α+β<90° ・・・(数式(1))
但し、αは搬送ベルトに対するクリーニングブレードの当接角度、βは搬送ベルトに対するエアー噴射部のエアー噴射角度、である。
本発明に係るベルトクリーニング装置のさらに他の態様は、
記録媒体を搬送する無端状の搬送ベルトをクリーニングするベルトクリーニング装置であって、
前記搬送ベルトに当接し、前記搬送ベルトに供給された洗浄液を除去するクリーニングブレードと、
前記搬送ベルトの搬送方向における前記クリーニングブレードの下流側で、前記クリーニングブレードで除去されずに通過した前記洗浄液を除去するためのエアーを噴射するエアー噴射部と、を備え、
前記搬送ベルトは、待機状態と駆動状態を繰り返す間欠動作を行うように駆動され、
前記エアー噴射部は、前記クリーニングブレードによって形成された前記搬送ベルトの凹部が前記待機状態の際に、前記エアーを前記凹部に導入可能な位置に配置されている。
本発明に係るベルトクリーニング装置のさらに他の態様は、
記録媒体を搬送する無端状の搬送ベルトをクリーニングするベルトクリーニング装置であって、
前記搬送ベルトに当接し、前記搬送ベルトに供給された洗浄液を除去するクリーニングブレードと、
前記搬送ベルトの搬送方向における前記クリーニングブレードの下流側で、前記クリーニングブレードで除去されずに通過した前記洗浄液を除去するためのエアーを噴射するエアー噴射部と、を備え、
前記搬送ベルトの幅方向に沿って複数の前記エアー噴射部が設けられ、各々の前記エアー噴射部から噴射される前記エアーが前記搬送ベルトの幅方向に沿って部分的に二重になるように構成されている。
本発明に係るベルトクリーニング装置のさらに他の態様は、
記録媒体を搬送する無端状の搬送ベルトをクリーニングするベルトクリーニング装置であって、
前記搬送ベルトに当接し、前記搬送ベルトに供給された洗浄液を除去するクリーニングブレードと、
前記搬送ベルトの搬送方向における前記クリーニングブレードの下流側で、前記クリーニングブレードで除去されずに通過した前記洗浄液を除去するためのエアーを噴射するエアー噴射部と、
噴射された前記エアーにより前記搬送ベルトから落下した前記洗浄液を回収する回収部と、を備える。
本発明に係るベルトクリーニング装置のさらに他の態様は、
記録媒体を搬送する無端状の搬送ベルトをクリーニングするベルトクリーニング装置であって、
前記搬送ベルトに当接し、前記搬送ベルトに供給された洗浄液を除去するクリーニングブレードと、
前記搬送ベルトの搬送方向における前記クリーニングブレードの下流側で、前記クリーニングブレードで除去されずに通過した前記洗浄液を除去するためのエアーを噴射するエアー噴射部と、
前記搬送方向における前記クリーニングブレードの下流側で、前記搬送ベルト上に残存する前記洗浄液を吸収する吸液部と、を備える。
【0011】
本発明に係るインクジェット画像形成装置は、
上記のベルトクリーニング装置と、
前記搬送ベルトによって搬送される前記記録媒体にインクを吐出するインクジェットヘッドと、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、搬送ベルトに残存した洗浄液の除去と、洗浄液の霧状化の抑制との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態におけるインクジェット画像形成装置の概略構成図である。
図2図2Aおよび図2Bは、搬送ベルトに発生した傷およびエアー供給部等の傾斜角を説明する図である。
図3】エアー供給部の他の構成例を説明する図である。
図4】エアー供給部の他の配置例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明に係るインクジェット画像形成装置としての画像記録装置1の一例を示す概略構成図である。画像記録装置1は、ベルト搬送装置2、記録ヘッド3、ベルトクリーニング装置4を備えている。
【0016】
ベルト搬送装置2は、所定の間隔をおいて平行に配置された複数(図示の例では2つ)のローラー21、22に亘って所定幅の無端状の搬送ベルト23が張架されている。これらローラー21、22間に架け渡された搬送ベルト23の上面は、記録媒体Pを密着させて載置する載置面とされている。なお、搬送ベルト23の表面には、搬送中の記録媒体Pを搬送ベルト23の上面に密着させるために、地張りと呼ばれる粘着剤が塗布されている。また、一方のローラー21は図示しない副走査モーターによって駆動される駆動ローラーであり、他方のローラー22は、従動ローラーである。
【0017】
ベルト搬送装置2では、駆動ローラー21が副走査モーターの回転駆動によって、図1中の反時計方向(矢印参照)に所定速度で回転することにより、従動ローラー22との間に架け渡された搬送ベルト23を回転移動させる。かかる動作により、搬送ベルト23の上面に載置されている記録媒体Pは、副走査方向である図1中の矢印A方向に向けて搬送される。
【0018】
記録媒体Pには、例えば、紙、布帛、プラスチックフィルム、ガラス板等、インクジェット記録に通常使用される記録媒体を使用することができる。記録媒体Pは、所定サイズに裁断されたシート状であってもよいし、ロール状に巻回された元巻から連続して繰り出される長尺状であってもよい。
【0019】
記録ヘッド3は、搬送ベルト23上の記録媒体Pが載置される面の上方に所定の間隔をおいて配設されており、その下面に設けられた多数のノズルからインク滴を吐出することにより、搬送ベルト23の回転移動によって搬送される記録媒体P上に所望の画像を記録するインクジェットヘッドである。
【0020】
本実施の形態では、記録ヘッド3は、図示しないキャリッジに搭載されて、間欠的に搬送される記録媒体Pの搬送方向と直交する主走査方向に往復移動するシャトル型の記録ヘッドが用いられる。この場合、記録時に、搬送ベルト23は、待機状態と駆動状態を繰り返す間欠動作を行うように、副走査モーターおよび駆動ローラー21の駆動が制御される。また、かかる間欠動作における搬送ピッチは、記録ヘッド3のヘッド長(搬送方向にN個配列された1個目からN個目までのインク吐出ノズル(図示せず)の長さ)を最大値として、任意に設定できるようになっている。
【0021】
他の例として、記録ヘッド3は、搬送ベルト23の幅方向に亘って固定状に架け渡され、連続的に搬送される記録媒体P上にインク滴を吐出することによって画像を記録するライン型の記録ヘッドを用いてもよい。この場合、記録時に、搬送ベルト23は、連続的に移動(回転動作)するように、副走査モーターおよび駆動ローラー21の駆動が制御される。
【0022】
ベルトクリーニング装置4は、ベルト搬送装置2に設けられており、本実施の形態では記録媒体Pが搬送される領域よりも下方の領域に設けられている。このベルトクリーニング装置4は、搬送ベルト23の移動方向に沿って順に複数の清掃手段が設けられている。図1に示す例では、清掃手段として、散水パイプ41、掻き取りブレード42、エアー噴射部44、吸液ローラー43を順に有している。
【0023】
散水パイプ41は、搬送ベルト23に洗浄液を供給する洗浄液供給部の機能を有している。散水パイプ41は、搬送ベルト23の全幅に亘って架け渡されており、搬送ベルト23の表面に対向する部位に、長さ方向に沿って多数のノズル(図示せず)が配列されている。散水パイプ41は、散水ポンプ41aが駆動されることによって、清掃桶40内の洗浄液が散水チューブ41bを介して供給され、供給された洗浄液をノズルから搬送ベルト23の表面に向けて噴射することにより、該搬送ベルト23の表面に付着した異物を洗浄する。
【0024】
掻き取りブレード42は、搬送ベルト23の搬送方向における散水パイプ41の下流側に配置され、搬送ベルト23に当接して搬送ベルト23上の洗浄液等を除去するクリーニングブレードとしての機能を有する。掻き取りブレード42は、例えばゴム等の弾性材によって平板状に形成され、搬送ベルト23の全幅に亘って架け渡されている。掻き取りブレード42は、先端が搬送ベルト23の表面に常時当接するように、搬送方向における散水ポンプ41aの下流側で、搬送方向の側に傾斜して取り付けられている。
【0025】
この掻き取りブレード42は、搬送ベルト23の回転移動によって、上流側の散水パイプ41によって搬送ベルト23の表面に付着した汚染物質を含む洗浄液を、搬送ベルト23の表面から掻き取るようにして除去する。除去された洗浄液は、掻き取りブレード42の表面を流下して、清掃桶40内に収容されるようになっている。
【0026】
なお、掻き取りブレード42の傾斜角度、エアー噴射部44および吸液ローラー43の構成については後述する。
【0027】
ところで、上述のようなインクジェット方式による画像形成装置では、搬送ベルト23の表面に傷(凹凸部)が発生した場合に、掻き取りブレード42では当該凹凸部に付着した洗浄液を全て掻き取ることができず、掻き取りブレード42を通過して残液が発生するおそれがある。このような残液を放置すると、新たに供給される記録媒体Pの裏面に残液が付着して画像が滲む等により製品品質を低下させる問題が生じる。
【0028】
特に、本実施の形態のように、搬送ベルト23上の記録媒体Pを間欠的に搬送する構成の装置では、搬送ベルト23の間欠動作(待機状態と駆動状態との繰り返し)時に、掻き取りブレード42の先端で搬送ベルトの表面(地張り)に深い溝などの傷(凹凸部)を発生させやすい問題がある。
【0029】
このような問題に対し、掻き取りブレード42を、搬送ベルト23に接触しない非接触式のもの、例えば加圧空気を噴射する方式のものに置き換える構成とすることが考えられる。他方、このような構成とした場合、散水パイプ41から搬送ベルト23に供給(付着)された洗浄液の全てを加圧空気の噴射によって除去することになる。この結果、噴射された加圧空気が搬送ベルト23上の洗浄液に当たることにより、かかる洗浄液が多量の霧状体(ミスト)となって装置内に浮遊するおそれがある。このような洗浄液の浮遊ミストを放置すると、機内のセンサーなどの電子部品に誤動作が発生する、あるいは機内の各部の汚れや錆等を発生させる問題が生じる。
【0030】
そこで、本実施の形態では、図1に示すように、搬送方向における掻き取りブレード42の下流側かつ記録媒体Pが搬送される領域より下方に、掻き取りブレード42を通過した洗浄液を除去するためのエアーを噴射するエアー噴射部44を設ける構成とした。
【0031】
すなわち、本実施の形態では、散水パイプ41によって搬送ベルト23の表面に付着した洗浄液の大部分を掻き取りブレード42で除去し、上述した搬送ベルト23の凹凸部により除去できなかった洗浄液(すなわち掻き取れずに発生した残液)をエアー噴射により除去する構成としている。かかる構成とすることにより、エアー噴射部44で除去する洗浄液の量を予め減らすことができるので、搬送ベルト23に残存した洗浄液の除去と、洗浄液の霧状化の抑制との両立を図ることができる。
【0032】
以下、エアー噴射部44の構成についてより具体的に説明する。本実施の形態では、エアー噴射部44として、一般に「エアーナイフ」と呼ばれる装置、すなわち加圧空気を薄層エアー流として噴き出す装置を用いる。エアー噴射部44は、搬送ベルト23の全幅に亘って架け渡されており、搬送ベルト23の表面と対向する先端側が、薄層エアー流(図1中の矢印J参照)を噴出する噴出口となっている。
【0033】
エアー噴射部44の基端側には、図示しないエアー供給管、エアーポンプ、および熱源(ヒーター)が設けられている。本実施の形態では、エアー噴射部44は、搬送ベルト23の搬送方向と逆方向の側に傾斜した方向に、薄層エアー流を噴射するように配置されている(図1中の角度β参照)。また、この例では、エアーポンプから出力されエアー供給管を通って供給されたエアー(加圧空気)がヒーターによって加熱され、当該加熱された加圧空気(加熱エアー)がエアー噴射部44の噴出口から薄層エアー流として搬送ベルト23の表面に噴射される。
【0034】
エアー噴射部44は、かかる加熱エアーを噴出口から搬送ベルト23の表面に向けて噴射することにより、該搬送ベルト23の表面に残存する洗浄液(液滴L)の蒸発を促進させ、この結果、洗浄液の霧状(ミスト)化およびミストの飛散を抑制する。また、搬送ベルト23の表面に残存する洗浄液のうち加熱エアーにより吹き落とされた液滴Lは、対応する位置に設けられた回収桶45の上に落下し、かかる回収桶45を通じて例えば清掃桶40に回収される。このように、本実施の形態では、エアー噴射部44から噴射されるエアーが吹き付けられる搬送ベルト23の領域に対応した位置に回収桶45が配置されることにより、液滴Lさらにはミスト化した洗浄液の回収を効果的に行うことができる。
【0035】
また、本実施の形態では、搬送方向におけるエアー噴射部44の下流側かつ記録媒体Pが搬送される領域の下方側の位置(この例では従動ローラー22と対向する位置)に、吸液ローラー43が配置されている。吸液ローラー43は、搬送ベルト23の全幅に亘って架け渡された回転軸の周囲に、スポンジ等の吸液性を有する多孔質体が巻回されてローラー状に形成されている。吸液ローラー43は、搬送ベルト23上に残存する洗浄液を吸収する吸液部としての機能を有する。
【0036】
吸液ローラー43の表面は、搬送ベルト23の表面に常時接触状態にある。吸液ローラー43は、不図示の駆動モーターによって搬送ベルト23の移動方向と同方向に所定速度で回転することにより、または、搬送ベルト23の回転移動に従動して回転することにより、該搬送ベルト23の表面に付着残留する汚染物質を含む洗浄液を吸収して拭き取ることによって除去する。
【0037】
本実施の形態において、吸液ローラー43は、例えばエアー噴射部44が故障した場合など、エアー噴射部44によって除去できなかった残液が発生した場合の予備的な残液除去手段として機能する。また、吸液ローラー43は、後述のように、掻き取りブレード42を搬送ベルト23から退避可能な構成とした場合にも、エアー噴射部44によって除去できなかった残液が発生した場合の予備的な残液除去手段として機能する。さらに、吸液ローラー43は、搬送中の記録媒体Pの上流側の近傍に配置されることにより、万一機内に洗浄液のミストが発生した場合、かかるミストを搬送中の記録媒体Pに付着させないように保護する役割を担う。
【0038】
本実施の形態では、搬送ベルト23上に残存する洗浄液を吸収する吸液部の例として、搬送ベルト23に接触する吸液ローラー43を用いる接触式の構成とした。吸液部の例として、非接触式の構成、例えば図示しない空気吸引装置を用いて、搬送ベルト23上に残存する洗浄液を吸収する構成としてもよい。
【0039】
次に、図2図2Aおよび図2B)を参照して、掻き取りブレード42およびエアー噴射部44の好適な傾斜角度等について説明する。図2Aおよび図2B中、αは搬送ベルト23に当接する掻き取りブレード42の先端側の傾斜角(当接角度)を示し、βは搬送ベルト23に対するエアー噴射部44の傾斜角を示す。
【0040】
上述のように、本実施の形態では、記録ヘッド3は、間欠的に搬送される記録媒体Pの搬送方向と直交する主査方向に往復移動するシャトル型の記録ヘッドが用いられる。また、ベルト搬送装置2の搬送ベルト23は、記録ヘッド3に対向する記録媒体Pを間欠的に搬送するために、予め定められた搬送ピッチで間欠的に移動するように駆動される。
【0041】
このような駆動方式の場合、搬送ベルト23の一時停止の際に、掻き取りブレード42の先端側によって搬送ベルト23の表面が削られることにより、図2Aおよび図2Bに示すように、傾斜した溝(凹部)23aが発生する場合がある。ここで、溝(凹部)23aの傾斜角は、搬送ベルト23に対する掻き取りブレード42の当接角度αと近似した値になる。
【0042】
図2Aは、一具体例(比較例)として、掻き取りブレード42の当接角度α=50°、エアー噴射部44の傾斜角β=40°の場合に、エアー噴射部44から噴射されるエアーの流れを模式的に示している。
【0043】
図2Aに示すように、α+β=90°の場合、エアー噴射部44から噴射されたエアーは、溝(凹部)23aの内壁に対してほぼ直角に当たり、かかるエアーの流れは、図2A中に2つの矢印で示すように、大きく2つに分散する。この結果、溝(凹部)23aの奥側に向かうエアー(図2A中の右上方向の矢印で示すエアー)の流れが弱められ、溝(凹部)23aの奥側(特に最奥部)に付着している液滴を除去できないおそれがある。
【0044】
また、図示しないが、α+βが90°よりも大きな値になった場合、エアー噴射部44から噴射されたエアーの流れは、同様に大きく2つに分散し、かつ、溝(凹部)23aの奥側に向かうエアーよりも、反対側に向かうエアー(図2A中の左下方向の矢印で示すエアー)の流れの方が強くなる。この結果、溝(凹部)23aの奥側に向かうエアー(図2A中の右上方向の矢印で示すエアー)の流れが一層弱められ、溝(凹部)23aの奥側に付着している液滴を除去できない問題がより発生しやすくなる。
【0045】
図2Bは、本実施の形態の一具体例として、掻き取りブレード42の当接角度α=40°、エアー噴射部44の傾斜角β=10°とした場合に、エアー噴射部44から噴射されるエアーの流れを模式的に示している。
【0046】
図2Bに示すように、α+βを90°より小さい値(この例では50°)とした場合、エアー噴射部44から噴射されたエアーの流れは、上述のように分散することなく、図2B中に2つの矢印で示すように、エアーの流れの強度を保ちながら溝(凹部)23aの最奥部まで到達し、当該最奥部で反転する。この結果、溝(凹部)23aの最奥部に付着している液滴を除去することができる。
【0047】
なお、図2Aおよび図2B中、溝(凹部)23aの右側に斜線で示す隣接領域23bも、搬送ベルト23の一時停止の際に、掻き取りブレード42の先端側によって溝(凹部)23aと一緒に削られる場合もある。上述したα+βの好適な値は、このような場合も同様であり、α+βの値を90°以下とするとよい。
【0048】
加えて、掻き取りブレード42の当接角度αは、装置の状態(典型的には搬送ベルト23の静止ないし一時停止状態と移動状態との別)に応じて変動するため、ある程度幅を持ったものとなり、例えば20°~40°の範囲で変動する。この場合、上述したような溝(凹部)23aは、通常、掻き取りブレード42の当接角度が大きい状態のときに発生するため、αの値は最大値(上記例では40°)を用いるとよい。
【0049】
他方、本実施の形態では、搬送ベルト23に対するエアー噴射部44の傾斜角βは、ほぼ変動せず固定された値(この例では10°)となる。また、本発明者らが種々の実験を行った結果、搬送ベルト23に対するエアー噴射部44の傾斜角βは、掻き取りブレード42の当接角度αよりも小さい値すなわち少ない傾斜角に設定すると良い結果が得られることが分かった。
【0050】
なお、図2Aおよび図2Bに示すような溝(凹部)23a内の残液を除去する観点からは、エアー噴射部44は、掻き取りブレード42と同様に搬送ベルト23の搬送方向の側に傾斜した方がよいとも考えられる。しかしながら、このような配置とした場合、加圧エアーに吹き付けられた残液(液滴L)が下流側に行ってしまい、上述した霧状化の問題が発生しやすくなる。したがって、エアー噴射部44は、搬送ベルト23の搬送方向とは逆方向の側に傾斜した方向に加圧エアーを噴射するように配置されることが好ましい。
【0051】
また、上述した溝(凹部)23aは、搬送ベルト23により記録媒体Pを間欠的に搬送している際のみならず、他の場合、例えば搬送ベルト23が一定速度で駆動されている際や、搬送ベルト23に掻き取りブレード42が当接したまま待機状態になった場合等、種々の場合に発生し得る。
【0052】
加えて、搬送ベルト23の間欠的な駆動を行う際の、間欠動作1回当たりの送り量(搬送ピッチ)は、通常、上述した記録ヘッド3のノズル長を最大送り量として、印刷ジョブ毎に(すなわち記録媒体Pに応じて)変更することができる。
【0053】
この点を考慮すると、上述した溝(凹部)23aの最奥部に付着している液滴を効果的に除去するために、エアー噴射部44の搬送ベルト23の搬送方向に沿った配置は、以下のような設定位置とされることが好ましい。
【0054】
再び図1を参照し、エアー噴射部44の先端からエアーの噴射方向に沿って伸ばした延長線と、この延長線に交わる搬送ベルト23の表面との交点を仮定する。この交点は、エアー噴射部44から噴射されたエアーが搬送ベルト23に直接当たる位置に相当する。そして、かかる交点が、掻き取りブレード42と搬送ベルト23との接触点から下流側に最大送り量(ノズル長)を整数倍した位置を始点(図1中のSP)とし、この始点SPから下流側にエアー有効領域の長さを加えた位置(図1中のEP)までの間の位置に存在するように設定する。ここで、「エアー有効領域」とは、搬送ベルト23の停止時にエアー噴射部44によってエアー(加圧空気)を吹き付けた際に、当該エアーが溝(凹部)23aの最奥部(図2B参照)まで導入できる領域をいう。なお、「エアー有効領域」は、エアー噴射部44から噴射されるエアーの強度や溝(23a)の深さ、上述したαおよびβの傾斜角度などによって、異なる長さになり得る。
【0055】
総じて、掻き取りブレード42の先端からエアー噴射部44の噴射エアーの当たる位置までの距離Dは、上述した間欠動作での1回の駆動状態での搬送ベルト23の移動量を整数倍した長さを掻き取りブレード42の先端から搬送方向の下流側に加えた位置と、さらに下流側にエアー有効領域の長さを加えた位置と、の間の値になるように設定するとよい。
【0056】
上記のような構成とすることにより、間欠的に駆動される搬送ベルト23の停止時(待機状態)において、上述した溝(凹部)23aがエアー有効領域内で一定時間留まることから、溝(凹部)23aの最奥部に付着している液滴をより確実に除去することができる。
【0057】
なお、付加的な構成として、間欠動作1回当たりの送り量(搬送ピッチ)の設定量に応じて、エアー噴射部44を、より好適な位置に移動できるように構成してもよい。この場合、例えばエアー噴射部44を図1中の左右方向に往復移動させるためのソレノイド等の駆動機構を設ける。そして、搬送ベルト23が間欠的に駆動させる際に、不図示の制御部により上記の駆動機構を駆動して、噴射されるエアーが上述した溝(凹部)23a内に最も効果的に導入される位置になるように、エアー噴射部44の位置(図1中の距離D)を調整する。
【0058】
このように、本実施の形態では、掻き取りブレード42(接触式のクリーニングブレード)の下流側に非接触式のエアー噴射部44を設け、エアー噴射部44により、掻き取りブレード42の傾斜角度に応じた好適な角度でエアーが噴射される。かかる構成により、搬送ベルト23の表面の凹部(特に深い溝内)に残存した洗浄液を効果的に除去しつつ、かかる洗浄液のミスト化を抑制することが実現できる。
【0059】
以下、上述した構成の変形例について説明する。
【0060】
上述した実施の形態では、搬送ベルト23に対して掻き取りブレード42が常に接触(当接)する構成例を説明した。他の構成例として、搬送ベルト23を間欠的に駆動する際に、掻き取りブレード42を搬送ベルト23から退避する構成としてもよい。この場合、例えば掻き取りブレード42を上下方向に往復移動させるためのソレノイド等の駆動機構を設け、搬送ベルト23が間欠的に駆動させる際に、不図示の制御部によりソレノイド等を駆動して、掻き取りブレード42を搬送ベルト23の下方に退避させる(図1中の矢印B参照)。このような制御を行うことにより、掻き取りブレード42によって搬送ベルト23の表面に傷(凹部)が発生することが抑制され、ひいては、かかる凹部に洗浄液が残る等の問題が軽減される。
【0061】
他方、このように掻き取りブレード42を搬送ベルト23の下方に退避させた場合、掻き取りブレード42を通過した洗浄液の量が増え、エアー噴射部44による加圧エアーの噴射時に上述した洗浄液の霧状化の問題が発生するおそれがある。したがって、掻き取りブレード42を搬送ベルト23から退避する構成とする場合、上述した吸液ローラー43を、掻き取りブレード42の下流側かつエアー噴射部44の上流側に、代替的ないし追加的に配置するとよい。このような構成とすることで、搬送ベルト23の表面の傷(凹部)の発生を抑制しつつ、エアー噴射部44の上流側に発生する残液の量を予め減らすことができるので、搬送ベルト23に残存した洗浄液の除去と、洗浄液の霧状化の抑制との両立を図ることができる。
【0062】
上述した実施の形態では、一つのエアー噴射部44を搬送ベルト23の幅方向の全幅に亘って設ける構成について説明した。他の例として、図3に示すように、搬送ベルト23の幅方向に沿って、複数のエアー噴射部44を、各々の幅方向の一部が重なるように、段差状ないし千鳥状に配置してもよい。以下、かかる配置態様を「千鳥配列」という。
【0063】
図3に示す例では、エアー噴射部44としてエアー噴射部44Aとエアー噴射部44Bの2つを設け、エアー噴射部44Aから噴出される薄層エアー流Jと、エアー噴射部44Bから噴出される薄層エアー流Jとが、搬送ベルト23の幅方向の中央の位置で部分的に重なるように配置している。
【0064】
すなわち、エアー噴射部44の噴出口は、搬送ベルト23の幅に沿って細長く伸びることから、搬送ベルト23の幅が広くなるほど、噴出口の反り(撓み)が生じやすくなる。この結果、搬送ベルト23の幅が広くなるほど、エアー噴射部44の部品精度管理やエアー噴射部44の噴出口と搬送ベルト23間のギャップ管理が難しくなる。したがって、かかる観点から、特に、搬送ベルト23の幅が広い構成の場合には、エアー噴射部44を複数設け、当該複数のエアー噴射部を千鳥配列することが好ましい(図3参照)。このような構成とすることで、エアー噴射部44の反り(撓み)を軽減し、部品精度およびギャップ管理の容易化が実現でき、その結果、搬送ベルト23の凹部(溝部)の液残り除去をより確実に実施することができる。
【0065】
なお、同様の観点から掻き取りブレード42を複数に分けて千鳥配列することも考えられる。他方、複数の掻き取りブレード42を千鳥配列した場合、当該継ぎ目部分から洗浄液が侵入し、当該侵入した洗浄液が下流側に漏れるおそれがあるので、掻き取りブレード42(接触ブレード)を千鳥配列することは、得策でないケースがあり得る。また、掻き取りブレード42(接触ブレード)は、例えばゴム板一枚といった簡易な構成であり、エアー噴射部44と比較して、部品精度を出しやすく溶接反りも存在しないため、上述した継ぎ目からの洗浄液侵入を考慮すると、単数の構成の方がよい。
【0066】
これに対して、エアー噴射部44は、搬送ベルト23に対して接触せず、加圧空気で洗浄液をエアー噴射部44のエアー有効領域よりも上流側に吹き飛ばす構成であることから、継ぎ目からの洗浄液の侵入を防止することができ、千鳥配列することできる。
【0067】
なお、場合により、例えば搬送ベルト23の幅が非常に広い構成の場合、掻き取りブレード42も、一枚構成では部品精度を出しにくくなり、分割して千鳥配列した方が良い場合が考えられる。このような場合、千鳥配列した掻き取りブレード42の継ぎ目部分の幅方向位置(位相)を、千鳥配列したエアー噴射部44A,44Bの継ぎ目部分の幅方向位置(位相)とは異なる位置にするとよい。具体的には、千鳥配列されたエアー噴射部44A,44Bの継ぎ目部分は、これらエアー噴射部44A,44Bの端部同士となるため、他の部分よりも加圧エアーの風力が弱くなる場合がある。この場合、千鳥配列された掻き取りブレード42の継ぎ目部分の幅方向位置(位相)をエアー噴射部44A,44Bのそれと異なる位置に設けることで、互いの弱い部分同士を補うことができ、その結果、搬送ベルト23の溝(凹部)23aにおける液残りをより確実に除去することができる。
【0068】
上述した実施の形態では、エアー噴射部44を搬送ベルト23の下面側に設ける構成について説明した。他の例として、図4に示すように、エアー噴射部44を従動ローラー22の近傍に設ける構成としてもよい。
【0069】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 画像記録装置(インクジェット画像形成装置)
2 ベルト搬送装置
21 駆動ローラー
22 従動ローラー
23 搬送ベルト
23a 溝(凹部)
3 記録ヘッド(インクジェットヘッド)
4 ベルトクリーニング装置
40 清掃桶
41 散水パイプ(洗浄液供給部)
41a 散水ポンプ
41b 散水チューブ
42 掻き取りブレード(クリーニングブレード)
43 吸液ローラー(吸液部)
44 エアー噴射部
45 回収桶
D 掻き取りブレード先端と噴射エアーの当たる位置との距離
L 洗浄液(残液)の液滴
P 記録媒体
図1
図2
図3
図4