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  • 特許-防水改修展示構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】防水改修展示構造
(51)【国際特許分類】
   G09B 25/04 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
G09B25/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018176522
(22)【出願日】2018-09-20
(65)【公開番号】P2020046589
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】花井 ふみ
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】井本 睦久
(72)【発明者】
【氏名】原山 幸治
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 ひとみ
(72)【発明者】
【氏名】阪田 吉康
(72)【発明者】
【氏名】寺西 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】神山 健
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-020772(JP,A)
【文献】特開2003-246238(JP,A)
【文献】大規模修繕工事|工事内訳7防水工事(塩ビシート防水編),もっとわくわくマンションライフ [online],2018年08月30日,https://anabuki-m.jp/information/construction/21239,[検索日:2022年3月30日]
【文献】武仲 毅知、田中 敏光、佐川 雄二,群集の移動により生じる床面と壁面の汚れのCG表現,電気学会論文誌 C,日本,一般社団法人電気学会,2012年04月01日, Vol.132 No.4
【文献】武仲 毅知、田中 敏光、田中 敏光,人の行動による屋内の汚れの表現,情報処理学会研究報告,日本,一般社団法人情報処理学会,2010年08月15日,Vol.2010-CG-139 No.1,P1-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 23/00-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に面する床の防水層の改修についての展示構造であって、
矩形平板状の基台と、
前記防水層の改修の際に前記床から撤去すべき部分を撤去した後に露出する既存下地を模した既存下地展示部と、
前記既存下地に対して下地処理が施された後の様子を模した下地処理展示部と、
前記下地処理が施された前記既存下地の上に新たに形成される新設防水層を模した新設防水層展示部と、
前記床の表面を形成する床仕上げ材を模した床仕上げ展示部を、
備え、
前記既存下地展示部、前記下地処理展示部及び前記新設防水層展示部は、前記既存下地展示部、前記下地処理展示部及び前記新設防水層展示部の順番に、それぞれが段階的に露出するように前記基台の上に設けられると共に、
前記床仕上げ展示部は、前記基台の一方の長辺を除く他方の長辺及び両短の3辺に沿うようにして、前記基台の上の周縁部に設けられることを特徴とする防水改修展示構造。
【請求項2】
前記既存下地展示部は、少なくとも表面にエイジング加工が施されていることを特徴とする請求項1に記載の防水改修展示構造。
【請求項3】
前記床の外周部に設けられる手すり壁を模した手すり壁展示部と、
前記手すり壁の上端部に設けられる笠木を模した笠木展示部と、
を備え、
前記手すり壁展示部は、前記基台の両側の短辺部から略垂直に立ち上がるようにそれぞれ設けられ、
前記笠木展示部は、前記手すり壁展示部の上端部にそれぞれ設けられることを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項に記載の防水改修展示構造。
【請求項4】
一方の前記笠木展示部は、改修時に撤去される既存の笠木を模した既存笠木展示部であり、
他方の前記笠木展示部は、改修時に新たに設置される笠木を模した新設笠木展示部であることを特徴とする請求項3に記載の防水改修展示構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅のバルコニーや屋上等の屋外に面する床の防水層の改修について展示するための防水改修展示構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、住宅展示場等の住宅に関する展示施設等に設置される展示構造で、壁や床等の住宅の構造の一部を切断して、完成後の住宅では壁や床等によって隠されて見えなくなる内部の構造を露出させる展示構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような展示構造によって、見学者は、通常では見ることのできない部分を実際に見て体感することができるため、単に写真を見たり説明を受けたりするよりも、より住宅についての理解を深めることができる。
【0003】
一方、住宅のバルコニーや屋上等の屋外に面する床には、雨水等の屋内への漏水を防ぐため、防水層が備えられている。屋外に面する床は日光や雨風にさらされる部分であるため、適切に防水層が施工されていたとしても、気候、日光、雨風等の外的要因によって、次第に防水層の素材に経年劣化や成分の変化等が起こってしまう。そして、防水層の劣化が進み、ひび割れや破れが発生すると、その隙間から雨水等が入り込み、屋内に漏水したり住宅の構造材を痛めたりする原因となる。このように、防水層は、必ず劣化が起こってしまうため、定期的な改修が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-297023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、住宅の屋外に面する床の防水層は、一般的に、その上に床仕上げ材が施工されており、完成後の住宅では床仕上げ材によって隠されて見えない部分となっている。そのため、住宅の住人は、普段、防水層を目にすることがなく、防水層についての知識も乏しいので、屋内への漏水があるまで防水層が劣化していることに気付かないということも多い。そして、屋内への漏水が起こってしまった場合の防水層の改修は急を要することが多く、十分な検討を行うことができないまま改修業者に任せきりになることが多かった。従って、住宅において必然的な防水層の改修について、広く見学者に知らしめることができる、住宅に関する展示施設等に設置されるような展示構造が望まれていた。従来には特許文献1のような展示構造もあるが、これは新築の建築物の見えない部分の構造を露出させて見えるようにしただけであり、住宅の屋外に面する床に備えられた防水層がどのように改修されるのか展示することができるような展示構造はこれまでになかった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、住宅のバルコニーや屋上等の屋外に面する床の防水層の改修について、どのように改修が行われるのか展示することができる防水改修展示構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る防水改修展示構造は、屋外に面する床の防水層の改修についての展示構造であって、矩形平板状の基台と、前記防水層の改修の際に前記床から撤去すべき部分を撤去した後に露出する既存下地を模した既存下地展示部と、前記既存下地に対して下地処理が施された後の様子を模した下地処理展示部と、前記下地処理が施された前記既存下地の上に新たに形成される新設防水層を模した新設防水層展示部と、前記床の表面を形成する床仕上げ材を模した床仕上げ展示部を、備え、前記既存下地展示部、前記下地処理展示部及び前記新設防水層展示部は、前記既存下地展示部、前記下地処理展示部及び前記新設防水層展示部の順番に、それぞれが段階的に露出するように前記基台の上に設けられると共に、前記床仕上げ展示部は、前記基台の一方の長辺を除く他方の長辺及び両短の3辺に沿うようにして、前記基台の上の周縁部に設けられることを特徴とする。
【0008】
また、好ましくは、既存下地展示部は、少なくとも表面にエイジング加工が施されていることを特徴とする。
【0010】
また、好ましくは、床の外周部に設けられる手すり壁を模した手すり壁展示部と、手すり壁の上端部に設けられる笠木を模した笠木展示部と、を備え、手すり壁展示部は、基台の両側の短辺部から略垂直に立ち上がるようにそれぞれ設けられ、笠木展示部は、手すり壁展示部の上端部にそれぞれ設けられることを特徴とする。
【0011】
また、好ましくは、一方の笠木展示部は、改修時に撤去される既存の笠木を模した既存笠木展示部であり、他方の笠木展示部は、改修時に新たに設置される笠木を模した新設笠木展示部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る防水改修展示構造によると、矩形平板状の基台と、防水層の改修の際に床から撤去すべき部分を撤去した後に露出する既存下地を模した既存下地展示部と、既存下地に対して下地処理が施された後の様子を模した下地処理展示部と、下地処理が施された既存下地の上に新たに形成される新設防水層を模した新設防水層展示部と、を備え、既存下地展示部、下地処理展示部及び新設防水層展示部は、既存下地展示部、下地処理展示部及び新設防水層展示部の順番に、それぞれが段階的に露出するように基台の上に設けられることを特徴とするので、屋外に面する床の改修で新しい防水層が形成されるまでの工程
を示す展示部が順番通りに段階的に露出するように並べられた構成となっているため、完成後の住宅では隠されて見えない部分である防水層の改修の様子を、実際に目で見て体験できるので、防水層の改修がどのように行われるのかを見学者により深く理解してもらうことができる。加えて、床の表面を形成する床仕上げ材を模した床仕上げ展示部を備え、床仕上げ展示部は、基台の一方の長辺を除く他方の長辺及び両短辺の3辺に沿うようにして、基台の上の周縁部に設けられることを特徴とするため、床仕上げ展示部によって床のリアル感を演出することができると共に、床仕上げ展示部が基台の周縁部に設けられることで、既存下地展示部、下地処理展示部及び新設防水層展示部の各展示部を隠さずに展示でき、また、基台の一方の長辺側には床仕上げ展示部を設けていないので、その側から見学者に見学してもらうことで見学のしやすさも確保できる。
【0013】
また、好ましくは、既存下地展示部は、少なくとも表面にエイジング加工が施されていることを特徴とすることで、既存下地展示部が示す既存下地は防水層の改修までに年月の経過があるため、エイジング加工によって既存下地展示部の外観にリアル感を演出することができる。
【0015】
また、好ましくは、床の外周部に設けられる手すり壁を模した手すり壁展示部と、手すり壁の上端部に設けられる笠木を模した笠木展示部と、を備え、手すり壁展示部は、基台の両側の短辺部から略垂直に立ち上がるようにそれぞれ設けられ、笠木展示部は、手すり壁展示部の上端部にそれぞれ設けられることを特徴とするため、手すり壁展示部及び笠木展示部によって住宅のバルコニーを模した形状となっており、住宅では多くの場合にバルコニーが設けられていることから、見学者に自宅のバルコニーを想起させ、防水層の改修についてより具体的に想像してもらいやすくすることができる。
【0016】
また、好ましくは、一方の笠木展示部は、改修時に撤去される既存の笠木を模した既存笠木展示部であり、他方の笠木展示部は、改修時に新たに設置される笠木を模した新設笠木展示部であることを特徴とするため、既存笠木展示部及び新設笠木展示部によって、防水層の改修の際に手すり壁の笠木も改修される様子を示すことができるので、見学者に、バルコニーの床の防水層の改修時に、床の防水層だけではなく、バルコニー全体に対しての改修の可能性を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る防水改修展示構造の概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る防水改修展示構造は、建築物のバルコニーや屋上等の屋外に面する床に備えられている防水層の改修についての展示を行うために用いられるものである。本発明に係る防水改修展示構造の一実施形態について、以下、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
本実施形態に係る防水改修展示構造1は、住宅のバルコニーの床に備えられた防水層の改修工程を示す展示構造となっており、図1に示すように、基台2と、既存下地展示部3と、下地処理展示部4と、新設防水層展示部5と、床仕上げ展示部6と、手すり壁展示部7と、笠木展示部8と、表示プレート9とを備える。
【0020】
基台2は、その上に、既存下地展示部3、下地処理展示部4、新設防水層展示部5及び床仕上げ展示部6を設けることができるような部材であり、本実施形態では図1に示すように矩形平板状の部材となっている。基台2の上に各展示部が設けられているため、例えば、防水改修展示構造1の展示場所を変更したい場合等に、基台2の上に各展示部を設置したまま移動させることができるので、容易に展示場所の変更に対応することができる。
【0021】
既存下地展示部3、下地処理展示部4及び新設防水層展示部5は、既存下地展示部3、下地処理展示部4及び新設防水層展示部5の順番にそれぞれが段階的に露出するようにして、基台2の上に設けられる。既存下地展示部3は、防水層の改修の際に床から撤去すべき部分を撤去した後に露出する既存下地を示し、防水層の改修の際にどこまでを撤去してどこまで残すのかが分かるような展示部となっている。一般的に防水層の改修は新築時または前回の防水層の改修時から15年程度で行われることが多く、その年月の経過のリアル感を演出するために、既存下地展示部3には、少なくとも表面に汚れや変退色等のエイジング加工が施されていることが好ましい。そして、下地処理展示部4は、既存下地展示部3で示される既存下地に対して、下地処理を施した後の様子を示す。さらに、新設防水層展示部5は、下地処理展示部4で示される下地処理を施した既存下地の上に、新たに形成される新設防水層を示す。既存下地展示部3、下地処理展示部4及び新設防水層展示部5は、それぞれ実際に用いられる実物を用いて構成してもよいし、実物に模した部材を用いてもよい。このように、既存下地展示部3、下地処理展示部4及び新設防水層展示部5は、防水層の改修の際に新しい防水層を形成するまでの工程を示すような展示部となっており、実施される工程の順番に並べて展示されているようになっているので、既存下地展示部3、下地処理展示部4及び新設防水層展示部5を見学することによって、防水層の改修がどのように行われるのか実際に見て体験できるため、見学者に防水層の改修についてより理解を深めてもらうことができる。
【0022】
本実施形態では、図1に示すように、エイジング加工が施されたシート状の既存下地展示部3が、矩形平板状の基台2の上に敷設される。既存下地展示部3には、防水シートまたは防水シートを模したものが用いられ、既存の防水層として防水シートが敷設されており、その既存防水シートを撤去せずに残したまま、既存防水シートを既存下地とする場合を示す。この時、既存下地展示部3にしわや基台2からの浮き等が出るように敷設するとよりリアル感を演出できる。そして、シート状の下地処理展示部4が、既存下地展示部3の上に敷設される。下地処理展示部4は、既存下地展示部3の全てを覆い隠してしまわないように、既存下地展示部3の一部が露出するように敷設される。下地処理展示部4は、既存下地展示部3の既存防水シートに対して下地処理として洗浄処理を施した様子を示し、下地処理展示部4には、既存下地展示部3と同様の防水シートまたは防水シートを模したものを用いて、既存下地展示部3とは異なりエイジング加工を施さない、または、既存下地展示部3よりも薄くエイジング加工を施す等によって、既存下地展示部3の洗浄後の外観に近づけてもよい。新設防水層展示部5は、絶縁シート展示部51、ディスク盤展示部52及び新設防水シート展示部53により構成されており、防水シートにより防水層を形成するシート防水工法で、防水シートを下地に直接張り付けずに、下地の状態の影響を緩和するための絶縁シートを下地の上に敷設して、絶縁シートに一定間隔でディスク盤を設置し、ディスク盤に対して防水シートを固定するという機械的固定工法によって形成される新たな防水層を示す展示部となっている。絶縁シートを示すシート状の絶縁シート展示部51が、下地処理展示部4の上に敷設される。絶縁シート展示部51は、下地処理展示部4の全てを覆い隠してしまわないように、下地処理展示部4の一部が露出するように敷設される。そして、ディスク盤を示す円盤状のディスク盤展示部52が、絶縁シート展示部51の上に少なくとも1つ以上設けられる。そして、新しく敷設される防水シートを示すシート状の新設防水シート展示部53が、絶縁シート展示部51及びディスク盤展示部52の上に敷設される。新設防水シート展示部53は、絶縁シート展示部51及びディスク盤展示部52の全てを覆い隠してしまわないように、絶縁シート展示部51の一部及びディスク盤展示部52の少なくとも1つが露出するように敷設される。このようにして、図1に示すように、矩形平板状の基台2の長辺方向の一方側から他方側に向かって、既存下地展示部3、下地処理展示部4、絶縁シート展示部51及びディスク盤展示部52、並びに新設防水シート展示部53の順番で、それぞれが段階的に露出するように配置される。従って、既存の防水層として防水シートが敷設されている場合に、既存の防水シートを撤去せずに残し、既存の防水シートを洗浄した後、既存の防水シートの上に絶縁シートを敷設してディスク盤を設置し、ディスク盤に対して新設の防水シートを固定して新たな防水層を形成するという防水層の改修方法についての改修工程を、既存下地展示部3から新設防水シート展示部53にかけて順番に示すような構成となっている。この本実施形態で展示する改修方法は、既存の防水シートを残すため、撤去費用が抑えられ、工事に要する時間も短くでき、さらに工事中の漏水のリスクを減らすことができるというような様々な利点を有する改修方法となっている。
【0023】
本実施形態では、既存下地展示部3の上に下地処理展示部4を、下地処理展示部4の上に絶縁シート展示部51及びディスク盤展示部52を、絶縁シート展示部51及びディスク盤展示部52の上に新設防水シート展示部53を、それぞれ敷設しているが、それに限らず、防水層の改修の順番にそれぞれが段階的に露出するように配置されていればよい。例えば、既存下地展示部3及び下地処理展示部4を一体の部材を用いて、既存下地展示部3の展示領域にエイジング加工を施すというようにして形成してもよい。また、本実施形態では、既存下地展示部3、下地処理展示部4及び新設防水層展示部5は、既存の防水シートを撤去せずに残したまま、その上から機械的固定工法によるシート防水工法によって新たな防水層を形成する改修方法についての展示部となっているが、それに限らず他の改修方法についての展示部となっていてもよい。
【0024】
床仕上げ展示部6は、防水層の上に設けられて床の表面を形成する床仕上げ材を示し、基台2の上に設けられる。床仕上げ展示部6は、実際に用いられる床仕上げ材を用いてもよいし、床仕上げ材を模した部材を用いてもよい。本実施形態では、図1に示すように、矩形平板状の基台2の一方の長辺を除く他方の長辺及び両短辺の3辺に沿うようにして、基台2の周縁部に床仕上げ展示部6が設けられている。従って、3方を床仕上げ展示部6によって囲まれた枠内に、既存下地展示部3、下地処理展示部4及び新設防水層展示部5が配置されている形になっている。床仕上げ展示部6によって、床のリアル感を演出することができるので、見学者に防水層の改修についてより具体的に想像してもらいやすくすることができる。また、基台2の一方の長辺側には床仕上げ展示部6を設けていないため、基台2の一方の長辺側から見学者に見学してもらうことによって、既存下地展示部3、下地処理展示部4及び新設防水層展示部5の見学のしやすさも確保することができる。また、本実施形態では、床仕上げ展示部6は、基台2の3辺とも改修後の新たな防水層の上に設けられる床仕上げ材を示すようになっているが、例えば、既存下地展示部3側の基台2の短辺に沿って設けられる床仕上げ展示部6と、基台2の長辺に沿って設けられる床仕上げ展示部6の既存下地展示部3側の一部とにエイジング加工を施す等によって、既存下地展示部3の既存防水シートを露出させる際に撤去される既存の床仕上げ材を示すように構成してもよい。この場合には、既存下地展示部3から新設防水層展示部5にかけて防水層が改修される様子と共に、床仕上げ材も新しくなる様子を展示することができる。また、図1に示すように、床仕上げ展示部6で示す床仕上げ材とはデザイン等の種類の異なる1つまたは複数の改修後の床に用いる床仕上げ材を示す床仕上げ材見本展示部61を、新設防水シート展示部53の上に設けるようにしてもよい。これによって、見学者に自宅の防水層の改修後にどのような床の仕上がりになるのか等について様々な可能性を示すことができ、より防水層の改修について興味や理解を深めてもらうことができる。
【0025】
手すり壁展示部7は、住宅のバルコニーの外周部に設けられる手すり壁を示す部材であり、基台2の側面に設けられ、基台2から略垂直に立ち上がるような形になっている。また、笠木展示部8は、手すり壁の上端部に設けられる笠木を示す部材であり、手すり壁展示部7の上端部に設けられる。手すり壁展示部7及び笠木展示部8は実際に用いられる部材を用いてもよいし、模した部材を用いてもよい。手すり壁展示部7及び笠木展示部8を設けることによって、防水改修展示構造1は住宅のバルコニーを模した形状となっており、住宅では多くの場合にバルコニーが設けられていることから、見学者に自宅のバルコニーを想起させ、防水層の改修についてより具体的に想像してもらいやすくすることができる。本実施形態では、手すり壁展示部7は、図1に示すように、矩形平板状の基台2の2つある短辺側の側面の両方にそれぞれ設けられ、基台2の短辺部から略垂直に立ち上がるような形になっている。そして、2つの手すり壁展示部7の上端部にはそれぞれ笠木展示部8が設けられるが、既存下地展示部3側の基台2の短辺側に設けられた手すり壁展示部7の笠木展示部8には、既存の笠木を示す既存笠木展示部81が、新設防水シート展示部53側の基台2の短辺側に設けられた手すり壁展示部7の笠木展示部8には、改修時に新しく設ける笠木を示す新設笠木展示部82が、それぞれ設けられる。既存笠木展示部81は、改修前の笠木を示すため、使い古されたような外観であることが好ましく、例えば、セラミックス製の笠木またはセラミックス製の笠木を模した部材に、傷や汚れ等のエイジング加工が施されたものが用いられる。新設笠木展示部82は、改修によって既存の笠木を撤去して新設する笠木を示し、例えば、アルミ製の笠木またはアルミ製の笠木を模した部材が用いられる。既存笠木展示部81及び新設笠木展示部82によって、防水層の改修の際に手すり壁の笠木も改修される様子を示すことができるので、防水改修展示構造1の見学者に、バルコニーの床の防水層の改修時に、床の防水層だけではなく、バルコニー全体に対しての改修の可能性を示すことができる。
【0026】
表示プレート9は、図1に示すように、既存下地展示部3、下地処理展示部4、新設防水層展示部5、既存笠木展示部81及び新設笠木展示部82の各展示部の上または近傍にそれぞれ設けられている。表示プレート9は、薄板状のプレートに各展示部の名称や説明が記載されているもので、各展示部が何を示しているのかを見学者に示すことができるので、見学者は防水改修展示構造1を見ることで、防水層がどのように改修されるかが分かるようになっている。本実施形態では、床仕上げ展示部6が設けられていない基台2の一方の長辺側から防水改修展示構造1を見学するようになっているため、図1に示すように、表示プレート9の記載は、基台2の一方の長辺側から読めるような向きに設けられる。また、床仕上げ展示部6及び手すり壁展示部7に表示プレート9を設けていないのは、本実施形態では改修の際に改修前後の変化を示す展示部となっていないからで、床仕上げ展示部6及び手すり壁展示部7にも表示プレート9を設けるようにしてもよい。また、例えば、改修前の既存のものを示す展示部である既存下地展示部3及び既存笠木展示部81と、改修過程及び改修後のものを示す展示部である下地処理展示部4、新設防水層展示部5及び新設笠木展示部82と、で表示プレート9の文字の色やプレートの色を変更する等によって、改修前後でどのように変わるのかをより分かりやすく示すことができる。
【0027】
以上のように構成される防水改修展示構造1は、住宅に関する展示施設等に設置される際、防水改修展示構造1を見学する側である基台2の一方の長辺側とは反対の他方の長辺側を、展示施設等の壁に突き当てるようにして設置することが好適である。それによって、基台2の他方の長辺側には壁が、そして基台2の両短辺側には手すり壁展示部7が存在するため、見学者に確実に防水改修展示構造1を見学する側である基台2の一方の長辺側から見学してもらえる。また、基台2の他方の長辺側には手すり壁展示部7が設けられておらず、基台2の上に設けられている床仕上げ展示部6より上部の壁が隠されていないので、図1に示すように、見学者が見やすいような任意の高さの壁の位置にポスターP等を掲示することができる。ポスターPには、防水改修展示構造1で示す防水層の改修についてのより詳細な説明や補足的な説明等、例えば、本実施形態の場合は、防水改修展示構造1はシート防水工法による防水層の改修についての展示構造となっているので、防水シートの劣化のメカニズムや、シート防水工法のメリット等の説明や、実際に行われる改修工事の様子を示す写真等を掲載しておく。実際の物が展示された防水改修展示構造1と、その情報が掲載されたポスターPとの両方を一度に見学することができるので、どちらか一方のみを見学するよりも、両方の相乗的な効果によって、防水層の改修について見学者により理解を深めてもらうことが期待できる。
【0028】
上記はあくまで本発明に係る防水改修展示構造の一実施形態を示したものであるため、本発明の思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 防水改修展示構造
2 基台
3 既存下地展示部
4 下地処理展示部
5 新設防水層展示部
51 絶縁シート展示部
52 ディスク盤展示部
53 新設防水シート展示部
6 床仕上げ展示部
7 手すり壁展示部
8 笠木展示部
81 既存笠木展示部
82 新設笠木展示部
9 表示プレート
P ポスター
図1