(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20221101BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
G03G21/00 502
B41J29/393 107
(21)【出願番号】P 2018178614
(22)【出願日】2018-09-25
【審査請求日】2021-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】南野 弘治
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-090561(JP,A)
【文献】特開2015-123746(JP,A)
【文献】特開2000-227684(JP,A)
【文献】特開2007-088664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
B41J 29/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成するプリント処理を実行するプリント処理装置と、
予め定められた調整開始条件または前記調整開始条件が成立する前段階の調整開始前条件が成立している状況下で前記プリント処理が実行されるときに、前記プリント処理の出力画質が及第画質であるか否かを問う問合せメッセージを出力するとともに回答入力を取得する画質問合せ処理を実行する問合せ処理部と、
前記出力画質が及第画質である旨の前記回答入力が得られず、かつ、前記調整開始条件が成立する場合に、前記プリント処理装置を動作させることを伴う調整処理を実行し、前記出力画質が及第画質である旨の前記回答入力が得られる場合に、予め定められた保留解除条件が成立するまで前記調整処理の実行を保留する調整制御部と、を備え
、
前記問合せ処理部は、前記調整開始前条件が成立してから前記調整開始条件が成立するまでの間にユーザーの要求に応じた前記プリント処理が実行されるときに前記画質問合せ処理を実行し、
前記調整開始前条件が成立してから前記調整開始条件が成立するまでの間に複数回の前記画質問合せ処理が実行される場合に、前記調整制御部は、複数回の前記画質問合せ処理において前記出力画質が及第画質である旨の前記回答入力が得られる頻度が予め定められた目標頻度を超えず、かつ、前記調整開始条件が成立する場合に前記調整処理を実行し、複数回の前記画質問合せ処理において前記出力画質が及第画質である旨の前記回答入力が得られる頻度が前記目標頻度を超える場合に、前記保留解除条件が成立するまで前記調整処理の実行を保留する画像形成装置。
【請求項2】
前記問合せ処理部は、前記ユーザーの要求に応じた前記プリント処理が外部のホスト装置から受信したプリント要求に応じた前記プリント処理である場合に、前記ホスト装置に対して通信を通じて前記画質問合せ処理を実行する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記調整開始条件および前記保留解除条件が、前記プリント処理の実行回数が予め定められたしきい回数を超えるという条件を含む、
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
シートに画像を形成するプリント処理を実行するプリント処理装置と、
予め定められた調整開始条件または前記調整開始条件が成立する前段階の調整開始前条件が成立している状況下で前記プリント処理が実行されるときに、前記プリント処理の出力画質が及第画質であるか否かを問う問合せメッセージを出力するとともに回答入力を取得する画質問合せ処理を実行する問合せ処理部と、
前記出力画質が及第画質である旨の前記回答入力が得られず、かつ、前記調整開始条件が成立する場合に、前記プリント処理装置を動作させることを伴う調整処理を実行し、前記出力画質が及第画質である旨の前記回答入力が得られる場合に、予め定められた保留解除条件が成立するまで前記調整処理の実行を保留する調整制御部と、
予め定められたテスト画像の前記プリント処理であるテストプリント処理を前記プリント処理装置に実行させるテストプリント制御部
と、を備え、
前記調整制御部は、前記調整処理において予め定められた評価処理を実行し、さらに前記評価処理の結果が予め定められた目標条件を満たす場合に前記調整処理を終了させ、
前記テストプリント制御部は、前記評価処理の結果が前記目標条件を満たさない場合に、前記テストプリント処理を前記プリント処理装置に実行させ、
前記問合せ処理部は、前記評価処理に続いて前記テストプリント処理が実行されるときに前記画質問合せ処理を実行し、
前記調整制御部は、前記評価処理に続く前記テストプリント処理に応じた前記画質問合せ処理において前記出力画質が及第画質である旨の前記回答入力が得られる場合に、前記調整処理を終了させ、そうでない場合に、前記調整処理を再実行す
る、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調整処理を実行するプリント処理装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、出力画像の画質を良好に維持するために、各種の調整処理を実行する。前記調整処理は、キャリブレーション処理、ドラムリフレッシュ処理または除湿処理などを含む。
【0003】
前記キャリブレーション処理は、予め定められたテスト画像の現像をプリント処理装置に実行させるとともに前記テスト画像の状況に応じて前記プリント処理の条件を補正する処理である。
【0004】
また、前記ドラムリフレッシュ処理は、像担持体の表面全体にトナー層を形成した後にそのトナー層を前記像担持体から除去する処理を前記プリント処理装置に実行させる処理である。
【0005】
また、前記除湿処理は、ヒーターをONにした状態で前記プリント処理装置における前記像担持体などの回転体を回転させる処理である。
【0006】
また、前記画像形成装置が、予め定められた調整開始条件が成立するごとに、自動的に前記調整処理を実行する場合がある。
【0007】
例えば、前記キャリブレーション処理または前記ドラムリフレッシュ処理の前記調整開始条件は、プリント処理の回数が予め定められた回数に達することである。
【0008】
また、前記除湿処理の前記調整開始条件は、温度および湿度などを検出するセンサーの検出結果が前記プリント処理装置で結露が発生しやすい所定の環境状況を示すことである。
【0009】
また、前記画像形成装置が、連続的に複数項目の自動調整を行う場合に、一部の項目の調整のエラーが生じた場合でも、前記自動調整を途中で停止せずに最後の項目まで実行することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
上記の場合、前記自動調整の再開とエラーによる前記自動調整の停止とが繰り返されることによって前記画像形成装置を長時間利用できない事態が生じることが回避される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、前記画像形成装置は、前記調整処理を実行中に前記プリント処理を実行できない。そのため、前記調整処理が、予め定められた前記調整開始条件が成立するごとに自動的に実行されると、出力画像の画質が十分であるにも関わらず前記調整処理によって前記プリント処理の実行が制限され、ユーザーの利便性が損なわれるおそれがある。
【0013】
一方、前記調整処理が、ユーザーによる調整開始操作に応じてのみ実行されることも考えられる。この場合、前記調整処理が実行されないまま出力画像の画質が悪化するおそれがある。
【0014】
本発明の目的は、出力画像の画質が十分な状況下での調整処理によってプリント処理の実行が制限されること、および、前記調整処理が実行されないまま出力画像の画質が悪化することを回避できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一の局面に係る画像形成装置は、プリント処理装置と、問合せ処理部と、調整制御部と、を備える。前記プリント処理装置は、シートに画像を形成するプリント処理を実行する。前記問合せ処理部は、予め定められた調整開始条件または前記調整開始条件が成立する前段階の調整開始前条件が成立している状況下で前記プリント処理が実行されるときに、前記プリント処理の出力画質が及第画質であるか否かを問う問合せメッセージを出力するとともに回答入力を取得する画質問合せ処理を実行する。前記調整制御部は、前記出力画質が及第画質である旨の前記回答入力が得られず、かつ、前記調整開始条件が成立する場合に、前記プリント処理装置を動作させることを伴う調整処理を実行し、前記出力画質が及第画質である旨の前記回答入力が得られる場合に、予め定められた保留解除条件が成立するまで前記調整処理の実行を保留する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、出力画像の画質が十分な状況下での調整処理によってプリント処理の実行が制限されること、および、前記調整処理が実行されないまま出力画像の画質が悪化することを回避できる画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置における制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置における第1調整管理処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る画像形成装置におけるキャリブレーション制御の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る画像形成装置におけるドラムリフレッシュ制御の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る画像形成装置における第2調整管理処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0019】
[画像形成装置10の構成]
実施形態に係る画像形成装置10は、電子写真方式でプリント処理を実行する。前記プリント処理は、シートに画像を形成する処理である。
図2に示されるように、画像形成装置10は、ネットワーク100を通じてホスト装置6と通信可能である。
【0020】
図1に示されるように、画像形成装置10は、前記プリント処理を実行するプリント処理装置2、制御装置8、操作装置8xおよび表示装置8yを備える。さらに、画像形成装置10は、原稿から画像を読み取る読取処理を実行する画像読取装置1も備える。例えば、画像形成装置10は、複写機、ファクシミリ装置または複合機などである。
【0021】
前記プリント処理の対象となる画像は、画像読取装置1によって前記原稿から読み取られる画像またはホスト装置6から受信されるプリントデータが表す画像などである。
【0022】
画像読取装置1の前記読取処理と、前記読取処理で得られる画像に基づくプリント処理装置2の前記プリント処理とを含む処理はコピー処理である。なお、以下の説明において、ホスト装置6から受信される前記プリントデータに基づく前記プリント処理のことを受信プリント処理と称する。
【0023】
制御装置8は、前記プリント処理または前記読取処理に関する各種のデータ処理を実行し、さらに、各種の電気機器を制御する。
【0024】
操作装置8xは、ユーザーの操作を受け付ける装置である。例えば、操作装置8xは、押しボタンおよびタッチパネルの一方または両方を含む。表示装置8yは、ユーザーに提要する情報を表示する表示パネルを含む。
【0025】
図1に示されるように、プリント処理装置2は、シート搬送装置3および画像形成部4を備える。シート搬送装置3は、シート送出ローラー対31および複数組のシート搬送ローラー対32を含む。
【0026】
シート送出ローラー対31は、前記シートをシート収容部21からシート搬送路30へ送り出す。複数組のシート搬送ローラー対32は、前記シートをシート搬送路30に沿って搬送し、画像が形成された前記シートをシート排出トレイ22へ排出する。
【0027】
画像形成部4は、作像部4x、レーザースキャニングユニット40、転写装置44および定着装置46を備える。作像部4xは、ドラム状の感光体41、帯電装置42、現像装置43およびドラムクリーニング装置45を含む。
【0028】
感光体41が回転し、帯電装置42が感光体41の表面を一様に帯電させる。さらに、レーザースキャニングユニット40が帯電した感光体41の表面に静電潜像を書き込む。
【0029】
さらに、現像装置43が、前記静電潜像をトナー像へ現像する。転写装置44は、感光体41の表面の前記トナー像を前記シートに転写する。
【0030】
定着装置46が、前記シート上の前記トナー像を加熱することによって前記シートに定着させる。定着装置46は、前記シート上の前記トナー像を加熱する定着ヒーター46aを備える。
【0031】
図1に示されるプリント処理装置2は、タンデム式の画像形成部4を有し、カラー画像の前記プリント処理を実行可能である。そのため、画像形成部4は、それぞれ異なる色のトナーに対応する4つの作像部4xを備える。
【0032】
また、タンデム式の画像形成部4において、転写装置44は、4つの感光体41に対応する4つの一次転写装置441、中間転写ベルト440、二次転写装置442およびベルトクリーニング装置443を含む。
【0033】
4つの作像部4xは、それぞれシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの前記トナー像を感光体41の表面に形成する。
【0034】
作像部4x各々において、一次転写装置441が、前記トナー像を感光体41から中間転写ベルト440へ転写する。これにより、4色の前記トナー像からなるカラー画像が中間転写ベルト440上に形成される。
【0035】
作像部4x各々において、ドラムクリーニング装置45は、中間転写ベルト440に転写されずに感光体41上に残ったトナーを、感光体41から除去し回収する。
【0036】
二次転写装置442は、二次転写電力が供給されることにより、中間転写ベルト440上の4色の前記トナー像を前記シートに転写する。なお、画像形成装置10において、感光体41および転写装置44の中間転写ベルト440は、それぞれ前記トナー像を担持して回転する像担持体の一例である。
【0037】
ベルトクリーニング装置443は、前記シートに転写されずに中間転写ベルト440上に残ったトナーを、中間転写ベルト440から除去し回収する。
【0038】
以上に示されるように、プリント処理装置2は、感光体41および中間転写ベルト440上にプリント画像を表す前記トナー像を作像するとともに中間転写ベルト440上の前記トナー像を前記シートに転写する。
【0039】
また、プリント処理装置2は、帯電バイアス印加装置42a、現像バイアス印加装置43a、転写バイアス印加装置44aおよび画像濃度センサー71をさらに備える。
【0040】
帯電バイアス印加装置42aは、帯電装置42に帯電バイアスを印加する帯電電圧出力回路を含む。現像バイアス印加装置43aは、現像装置43に現像バイアスを印加する現像電圧出力回路を含む。
【0041】
転写バイアス印加装置44aは、一次転写装置441に一定の一次転写電流を供給する一次転写電流出力回路と、二次転写装置442に一定の二次転写電流を供給する二次転写電流出力回路とを含む。
【0042】
画像濃度センサー71は、中間転写ベルト440が担持する前記トナー像の濃度を検出するセンサーである。画像濃度センサー71は、中間転写ベルト440の表面に光を照射する発光素子および中間転写ベルト440の表面での反射光の光量を検出する光電変換素子と含む。前記光電変換素子の出力信号が、中間転写ベルト440が担持する前記トナー像の濃度を表す。
【0043】
また、画像形成装置10は、内部環境センサー72および外部環境センサー73をさらに備える。内部環境センサー72および外部環境センサー73は、それぞれ温度および湿度を計測する温湿度センサーである。
【0044】
内部環境センサー72は、画像形成装置10内におけるプリント処理装置2の近傍に配置されている。これにより、内部環境センサー72は、画像形成装置10内の温度および湿度を計測する。
【0045】
外部環境センサー73は、画像形成装置10の外装部材の開口11を介して画像形成装置10の外部に向けて配置されている。これにより、外部環境センサー73は、画像形成装置10の設置環境の温度および湿度を計測する。
【0046】
図2に示されるように、制御装置8は、CPU(Central Processing Unit)80、RAM(Random Access Memory)81、二次記憶装置82および通信装置83を備える。
【0047】
CPU80は、プログラムを実行することにより、主制御部8a、ジョブ制御部8bおよび調整制御部8cなどとして動作する。
【0048】
主制御部8aは、操作装置8xに対する操作に応じたジョブの選択処理、表示装置8yに情報を表示させる処理および各種データを設定する処理などを実行する。さらに、主制御部8aは、通信装置83を通じたデータの送信処理または受信処理も実行する。
【0049】
ジョブ制御部8bは、画像読取装置1およびプリント処理装置2を制御する。例えば、主制御部8aがホスト装置6から前記プリントデータを受信したときに、ジョブ制御部8bは、プリント処理装置2に前記受信プリント処理を実行させる。
【0050】
また、主制御部8aが操作装置8xに対するコピー要求操作を検出したときに、ジョブ制御部8bは、画像読取装置1に前記読取処理を実行させるとともに、プリント処理装置2に前記読取処理で得られる画像に基づく前記プリント処理を実行させる。
【0051】
調整制御部8cは、キャリブレーション処理、ドラムリフレッシュ処理または除湿処理などの調整処理を実行する。前記調整処理は、プリント処理装置2を動作させることを伴う処理である。
【0052】
前記キャリブレーション処理は、予め定められたテスト画像の現像をプリント処理装置2の作像部4xに実行させるとともに、画像濃度センサー71による前記テスト画像の検出濃度に応じて前記プリント処理の条件を補正する処理である。
【0053】
前記ドラムリフレッシュ処理は、感光体41の表面全体にトナー層を形成した後にそのトナー層を感光体41から除去する処理をプリント処理装置2に実行させる処理である。
【0054】
前記除湿処理は、ヒーターをONにした状態で感光体41および中間転写ベルト440などの回転体を回転させる処理をプリント処理装置2に実行させる処理である。本実施形態において、前記除湿処理に用いられるヒーターは定着ヒーター46aである。
【0055】
なお、画像形成装置10が、前記除湿処理の専用ヒーターを備えることも考えられる。例えば、前記専用ヒーターは、中間転写ベルト440に対向する位置などに配置される。
【0056】
また、主制御部8a、ジョブ制御部8bおよび調整制御部8cの一部または全部が、DSP(Digital Signal Processor)などの他のプロセッサーによって実現されてもよい。また、主制御部8a、ジョブ制御部8bおよび調整制御部8cの一部が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの回路によって実現されることも考えられる。
【0057】
通信装置83は、不図示のネットワークを通じてホスト装置6またはその他の外部装置との間で通信を行う通信インターフェイスデバイスである。ホスト装置6は、パーソナルコンピューターまたは携帯情報端末などの情報処理装置である。CPU80は、前記外部装置との間のデータの送信および受信の全てを、通信装置83を通じて行う。
【0058】
二次記憶装置82は、コンピューター読み取り可能な不揮発性の記憶装置である。二次記憶装置82は、CPU80により実行されるプログラムおよびCPU80により参照される各種のデータを記憶する。例えば、フラッシュメモリーまたはハードディスクドライブの一方または両方が、二次記憶装置82として採用される。
【0059】
RAM81は、コンピューター読み取り可能な揮発性の記憶装置である。RAM81は、CPU80が実行するプログラムおよびCPU80が前記プログラムを実行する過程で出力および参照するデータを一次記憶する。
【0060】
ところで、画像形成装置10は、前記調整処理を実行中に前記プリント処理を実行できない。そのため、前記調整処理が、予め定められた調整開始条件が成立するごとに自動的に実行されると、出力画像の画質が十分であるにも関わらず前記調整処理によって前記プリント処理の実行が制限され、ユーザーの利便性が損なわれるおそれがある。
【0061】
一方、前記調整処理が、ユーザーによる操作装置8xへの調整開始操作に応じてのみ実行されることも考えられる。この場合、前記調整処理が実行されないまま出力画像の画質が悪化するおそれがある。
【0062】
画像形成装置10において、CPU80は、後述する第1調整管理処理および第2調整管理処理の一方または両方を実行する。これにより、画像形成装置10において、出力画像の画質が十分な状況下での前記調整処理によって前記プリント処理の実行が制限されること、および、前記調整処理が実行されないまま出力画像の画質が悪化することが回避される。
【0063】
前記第1調整管理処理は、前記キャリブレーション処理または前記ドラムリフレッシュ処理の実行を制御する処理である。前記第2調整管理処理は、前記除湿処理の実行を制御する処理である。
【0064】
本実施形態において、CPU80は、二次記憶装置82に記憶されたプログラムを実行することにより、問合せ処理部8dとしても動作する。問合せ処理部8dは、前記第1調整管理処理および前記第2調整管理処理において、画質問合せ処理を実行する。前記画質問合せ処理については後述する。
【0065】
[第1調整管理処理]
以下、
図3に示されるフローチャートを参照しつつ、前記第1調整管理処理の手順の一例について説明する。以下の説明において、S101,S102,…は、前記第1調整管理処理における複数の工程の識別符号を表す。
【0066】
調整制御部8cは、画像形成装置10が起動したときに前記第1調整管理処理を開始する。
【0067】
<工程S101>
前記第1調整管理処理において、まず、調整制御部8cは、予め定められた調整開始前条件が成立するか否かを判定する。前記調整開始前条件は、後述する工程S102で判定される調整開始条件が成立する前段階の条件である。
【0068】
前記キャリブレーション処理または前記ドラムリフレッシュ処理に対応する前記調整開始前条件は、前記プリント処理の実行回数が予め定められた第1しきい回数を超えるという条件である。前記プリント処理の実行回数は、例えば前記プリント処理のページ数である。
【0069】
なお、前記キャリブレーション処理に対応する前記第1しきい回数と、前記ドラムリフレッシュ処理に対応する前記第1しきい回数とが個別に設定される。
【0070】
調整制御部8cは、前記調整開始前条件が成立するまで、工程S101の処理を繰り返す。そして、調整制御部8cは、前記調整開始前条件が成立すると判定すると、処理を工程S102へ移行させる。
【0071】
<工程S102>
工程S102において、調整制御部8cは、予め定められた前記調整開始条件が成立するか否かを判定する。
【0072】
前記キャリブレーション処理または前記ドラムリフレッシュ処理に対応する前記調整開始条件は、前記プリント処理の実行回数が予め定められた第2しきい回数を超えるという条件である。前記第2しきい回数は、前記第1しきい回数よりも多い。
【0073】
調整制御部8cは、前記調整開始条件が成立すると判定すると、処理を工程S107へ移行させ、前記調整開始前条件が成立しないと判定すると、処理を工程S103へ移行させる。
【0074】
<工程S103>
工程S103において、調整制御部8cは、プリント要求が発生しているか否かを判定する。前記プリント要求は、ホスト装置6からの前記受信プリント処理の要求、または、操作装置8xに対するジョブ指定操作による前記プリント処理の要求である。
【0075】
前記受信プリント処理の要求は、ホスト装置6を操作するユーザーの要求である。また、操作装置8xに対する前記ジョブ指定操作による前記プリント処理の要求は、操作装置8xを操作するユーザーの要求である。なお、操作装置8xに対する前記コピー要求操作は、前記プリント処理の要求の操作の一例である。
【0076】
調整制御部8cは、前記プリント要求が発生していると判定する場合、処理を工程S205へ移行させ、そうでない場合、処理を工程S102へ移行させる。
【0077】
<工程S104>
工程S104において、ジョブ制御部8bが、前記プリント要求に対応する前記プリント処理をプリント処理装置2に実行させる。その後、ジョブ制御部8bは、処理を工程S105へ移行させる。
【0078】
<工程S105>
工程S105において、問合せ処理部8dが、前記画質問合せ処理を実行する。問合せ処理部8dは、工程S104の前記プリント処理が実行されるときに前記画質問合せ処理を実行する。
【0079】
そして、問合せ処理部8dは、処理を工程S105から工程S106へ移行させる。
【0080】
前記画質問合せ処理は、前記プリント処理の出力画質が及第画質であるか否かを問う問合せメッセージを出力するとともに回答入力を取得する処理である。
【0081】
例えば、前記プリント要求が、外部のホスト装置6から受信した前記受信プリント処理の要求である場合に、問合せ処理部8dは、ホスト装置6に対して通信を通じて前記画質問合せ処理を実行する。
【0082】
上記の場合、問合せ処理部8dは、ホスト装置6に対して前記問合せメッセージを送信し、ホスト装置6から前記回答入力を受信する。前記回答入力は、前記プリント処理の出力画質が及第画質であるか否かを表す情報を含む。
【0083】
ホスト装置6に送信された前記問合せメッセージは、ホスト装置6の表示部に表示される。また、ホスト装置6が備えるキーボードなどの入力装置に入力される前記回答入力が、ホスト装置6から画像形成装置10へ送信される。
【0084】
また、前記プリント要求が、操作装置8xに対する前記ジョブ指定操作による前記受信プリント処理の要求である場合に、問合せ処理部8dは、表示装置8yおよび操作装置8x通じて前記画質問合せ処理を実行する。
【0085】
上記の場合、問合せ処理部8dは、表示装置8yに前記問合せメッセージを出力し、操作装置8xを通じて前記回答入力を取得する。
【0086】
ユーザーは、工程S104の前記プリント処理で得られる印刷物の画質が、及第レベルであるか否かを判断し、その判断結果を表す前記回答入力の情報を、ホスト装置6の操作部または操作装置8xに入力する。
【0087】
なお、前記プリント要求が前記受信プリント処理の要求である場合に、問合せ処理部8dが、ホスト装置6に対する前記画質問合せ処理と、表示装置8yおよび操作装置8x通じた前記画質問合せ処理との両方を実行することも考えられる。この場合、問合せ処理部8dは、最初に得られる前記回答入力を採用する。
【0088】
<工程S106>
工程S106において、問合せ処理部8dは、前記回答入力が表すユーザーの回答結果を二次記憶装置82に記録する。その後、問合せ処理部8dは、処理を工程S102へ移行させる。
【0089】
以上に示されるように、前記第1調整管理処理において、問合せ処理部8dは、工程S104の前記プリント処理が実行されるときに、前記画質問合せ処理を実行する(S103~S106)。
【0090】
工程S104の前記プリント処理は、前記調整開始前条件が成立してから前記調整開始条件が成立するまでの間にユーザーの要求に応じて実行される前記プリント処理である。
【0091】
前記調整開始前条件が成立してから前記調整開始条件が成立するまでの間に、工程S104の前記プリント処理が複数回実行される場合もある。前記調整開始前条件は、前記調整開始条件が成立するまでに複数回の前記プリント要求が発生することを想定して設定される。
【0092】
<工程S107>
工程S107において、調整制御部8cは、工程S105で記録された前記回答結果が予め定められた及第条件を満たすか否かを判定する。
【0093】
以下の説明において、前記画質問合せ処理において得られる前記出力画質が及第画質である旨の前記回答入力のことを及第回答と称する。
【0094】
前記及第条件は、前記調整開始前条件が成立してから前記調整開始条件が成立するまでの間における複数回の前記画質問合せ処理において、前記及第回答が得られる頻度が予め定められた目標頻度を超えるという条件である。
【0095】
なお、前記調整開始前条件が成立してから前記調整開始条件が成立するまでの間に前記画質問合せ処理が1回しか実行されないことも考えられる。この場合、調整制御部8cは、その1回の前記画質問合せ処理で前記及第回答が得られた場合に、前記回答結果が前記及第条件を満たすと判定し、そうでない場合に前記回答結果が前記及第条件を満たさないと判定する。
【0096】
また、前記調整開始前条件が成立してから前記調整開始条件が成立するまでの間に前記画質問合せ処理が実行されないことも考えられる。この場合、調整制御部8cは、前記回答結果が前記及第条件を満たさないと判定する。
【0097】
調整制御部8cは、前記回答結果が前記及第条件を満たすと判定する場合に、処理を工程S108へ移行させ、そうでない場合に、処理を工程S109へ移行させる。
【0098】
<工程S108>
工程S108において、調整制御部8cは、調整制御を実行する。前記調整制御は、後述するキャリブレーション制御またはドラムリフレッシュ制御である。
【0099】
工程S102で成立した前記調整開始条件が前記キャリブレーション処理に対応する条件である場合、前記調整制御は、
図4に示される前記キャリブレーション制御である。一方、工程S102で成立した前記調整開始条件が前記ドラムリフレッシュ処理に対応する条件である場合、前記調整制御は、
図5に示される前記ドラムリフレッシュ制御である。
【0100】
調整制御部8cは、前記調整制御の終了後に、処理を工程S109へ移行させる。
【0101】
<工程S109>
工程S109において、調整制御部8cは、条件パラメーターを初期化する。前記条件パラメーターは、前記調整開始条件のパラメーターである。本実施形態において、前記条件パラメーターは、前記プリント処理の実行回数である。
【0102】
その後、調整制御部8cは、処理を工程S101へ移行させる。これにより、工程S101からの処理が繰り返される。
【0103】
[キャリブレーション制御]
次に、
図4に示されるフローチャートを参照しつつ、前記キャリブレーション制御の手順の一例について説明する。以下の説明において、S201,S202,…は、前記キャリブレーション制御における複数の工程の識別符号を表す。
【0104】
<工程S201>
前記キャリブレーション制御において、まず、ジョブ制御部8bが、プリント処理装置2の作像部4xに予め定められたテストトナー像を現像する処理を実行させる。
【0105】
工程S201において、作像部4xが感光体41上で前記テストトナー像を現像し、さらに、一次転写装置441が、前記テストトナー像を中間転写ベルト440に転写する。
【0106】
そして、画像濃度センサー71が、中間転写ベルト440上の前記テストトナー像の濃度を検出する。
【0107】
例えば、前記テストトナー像は、最大濃度のパッチ画像と、予め定められた中間濃度のパッチ画像とを含む。前記最大濃度のパッチ画像は、いわゆるべた塗り画像である。
【0108】
工程S201において、シート搬送装置3は前記シートを搬送せず、二次転写装置442は前記テストトナー像を中間転写ベルト440から前記シートへ転写しない。そのため、ベルトクリーニング装置443が、前記テストトナー像を成すトナーを回収する。
【0109】
<工程S202>
次に、調整制御部8cが、前記テストトナー像の検出濃度を画像濃度センサー71から取得する。
【0110】
<工程S203>
次に、調整制御部8cが、前記テストトナー像の検出濃度が予め定められた目標範囲内であるか否かを判定する。
【0111】
そして、調整制御部8cは、前記テストトナー像の検出濃度が前記目標範囲内であると判定する場合に、前記キャリブレーション制御を終了させ、そうでない場合に、処理を工程S204へ移行させる。
【0112】
<工程S204>
工程S204において、調整制御部8cは、4色の前記テストトナー像各々の検出濃度と前記目標範囲との差に応じて、4つの作像部4x各々の現像条件を補正する。
【0113】
前記現像条件は、帯電装置42における前記帯電バイアスの条件と現像装置43における前記現像バイアスの条件とを含む。
【0114】
具体的には、調整制御部8cは、前記テストトナー像における前記中間濃度のパッチ画像の検出濃度と予め定められた第1目標濃度範囲との差に応じて、前記帯電バイアスにおける交流成分の周波数または振幅を補正する。
【0115】
また、調整制御部8cは、前記テストトナー像における前記最大濃度のパッチ画像の検出濃度と予め定められた第2目標濃度範囲との差に応じて、前記現像バイアスにおける交流成分の周波数または振幅を補正する。
【0116】
そして、調整制御部8cは、処理を工程S204から工程S205へ移行させる。これにより、工程S201からの処理が繰り返される。本実施形態において、工程S201~S204の処理が、前記キャリブレーション処理である。
【0117】
<工程S205>
工程S205において、調整制御部8cは、前記キャリブレーション処理が今回の前記キャリブレーション制御において1回目である場合に、処理を工程S201へ移行させ、そうでない場合に、処理を工程S206へ移行させる。
【0118】
<工程S206>
工程S206において、調整制御部8cは、前記テストトナー像の現像が今回の前記キャリブレーション制御において予め定められた上限回数未満である場合に、処理を工程S207へ移行させ、そうでない場合に、処理を工程S210へ移行させる。
【0119】
<工程S207>
工程S207において、ジョブ制御部8bが、プリント処理装置2に予め定められたテスト画像の前記プリント処理であるテストプリント処理を実行させる。工程S207の処理を実行するジョブ制御部8bは、テストプリント制御部の一例である。
【0120】
<工程S208>
続いて、問合せ処理部8dが、前記問合せ処理を実行する。例えば、問合せ処理部8dは、予め定められた管理者に対応する1つまたは複数のホスト装置6に対して前記問合せ処理を実行する。
【0121】
さらに、工程S208において、問合せ処理部8dが、表示装置8yおよび操作装置8x通じて前記画質問合せ処理を実行することも考えられる。
【0122】
<工程S209>
続いて、調整制御部8cが、工程S208の前記画質問合せ処理において、前記テストプリント処理の前記出力画質が及第画質である旨の前記回答入力が得られたか否かを判定する。
【0123】
調整制御部8cは、前記出力画質が及第画質である旨の前記回答入力が得られたと判定する場合に、前記キャリブレーション制御を終了させ、そうでない場合に、処理を工程S201へ移行させる。
【0124】
即ち、調整制御部8cは、前記テストトナー像の検出濃度が前記目標範囲から外れていても、ユーザーから前記テストプリント処理の前記出力画質が及第画質であるとの回答が得られる場合には、前記キャリブレーション制御を終了させる。
【0125】
調整制御部8cは、前記テストトナー像の検出濃度が前記目標範囲に収まること、ユーザーから前記テストプリント処理の前記出力画質が及第画質であるとの回答が得られること、または前記テストトナー像の現像が前記上限回数に達することを終了条件として、前記キャリブレーション処理を繰り返す。
【0126】
<工程S210>
工程S210において、調整制御部8cは、予め定められたエラー処理を実行する。その後、調整制御部8cは、前記キャリブレーション制御を終了させる。
【0127】
例えば、工程S210の前記エラー処理は、表示装置8yおよび前記管理者に対応するホスト装置6の一方または両方に、前記キャリブレーション処理が不調に終わったことを示すメッセージを出力する処理を含む。
【0128】
[ドラムリフレッシュ制御]
次に、
図5に示されるフローチャートを参照しつつ、前記ドラムリフレッシュ制御の手順の一例について説明する。以下の説明において、S301,S302,…は、前記ドラムリフレッシュ制御における複数の工程の識別符号を表す。
【0129】
<工程S301>
前記ドラムリフレッシュ制御において、まず、ジョブ制御部8bが、4つの作像部4x各々に全領域現像処理を開始させる。前記全両機現像処理は、感光体41の外周面の全領域にトナー層を形成する処理である。
【0130】
工程S301において、シート搬送装置3は前記シートを搬送せず、一次転写装置441は感光体41上の前記トナー層を中間転写ベルト440へ転写しない。そのため、ドラムクリーニング装置45が、前記トナー層を成すトナーを回収する。
【0131】
前記全領域現像処理により、感光体41の外周面が、トナーで研磨されることによってリフレッシュされる。
【0132】
<工程S302>
ジョブ制御部8bは、前記全領域現像処理を開始してから予め定められた設定時間が経過するまで、前記全領域現像処理を継続させる。
【0133】
<工程S303>
そして、ジョブ制御部8bは、前記設定時間が経過したときに前記全領域現像処理を終了させる。工程S301~S303の処理が、前記ドラムリフレッシュ処理である。
【0134】
<工程S304>
続いて、ジョブ制御部8bは、工程S207と同様に、プリント処理装置2に前記テストプリント処理を実行させる。工程S304の処理を実行するジョブ制御部8bも、テストプリント制御部の一例である。
【0135】
<工程S305>
続いて、問合せ処理部8dが、工程S208と同様に、前記問合せ処理を実行する。例えば、問合せ処理部8dは、予め定められた前記管理者に対応する1つまたは複数のホスト装置6に対して前記問合せ処理を実行する。
【0136】
さらに、工程S305において、問合せ処理部8dが、表示装置8yおよび操作装置8x通じて前記画質問合せ処理を実行することも考えられる。
【0137】
<工程S306>
続いて、調整制御部8cが、工程S305の前記画質問合せ処理において、前記テストプリント処理の前記出力画質が及第画質である旨の前記回答入力が得られたか否かを判定する。
【0138】
調整制御部8cは、前記出力画質が及第画質である旨の前記回答入力が得られたと判定する場合に、前記ドラムリフレッシュ制御を終了させ、そうでない場合に、処理を工程S307へ移行させる。
【0139】
<工程S307>
工程S307において、調整制御部8cは、工程S301~S303の前記ドラムリフレッシュ処理が今回の前記ドラムリフレッシュ制御において予め定められた上限回数未満である場合に、処理を工程S301へ移行させ、そうでない場合に、処理を工程S308へ移行させる。
【0140】
<工程S308>
工程S308において、調整制御部8cは、予め定められたエラー処理を実行する。その後、調整制御部8cは、前記ドラムリフレッシュ制御を終了させる。
【0141】
例えば、工程S308の前記エラー処理は、表示装置8yおよび前記管理者に対応するホスト装置6の一方または両方に、前記ドラムリフレッシュ処理が不調に終わったことを示すメッセージを出力する処理を含む。
【0142】
[第2調整管理処理]
次に、
図6に示されるフローチャートを参照しつつ、前記第2調整管理処理の手順の一例について説明する。以下の説明において、S401,S402,…は、前記第2調整管理処理における複数の工程の識別符号を表す。
【0143】
調整制御部8cは、予め定められた始動イベントが発生したときに、前記第2調整管理処理を実行する。例えば、前記始動イベントの1つは、画像形成装置10が起動したことである。また、前記始動イベントの他の1つは、画像形成装置10の省電力状態が予め定められた時間を超えて継続した後に、画像形成装置10が前記省電力状態から前記通常状態へ移行したことである。前記省電力状態は、前記通常状態よりも消費電力が小さい状態である。
【0144】
<工程S401>
前記第2調整管理処理において、まず、調整制御部8cは、予め定められた結露条件が成立するか否かを判定する。前記結露条件は、前記除湿処理に対応する前記調整開始前条件の一例である。
【0145】
本実施形態において、前記結露条件は、内部環境センサー72および外部環境センサー73の検出値に基づく条件である。
【0146】
例えば、前記結露条件が、内部環境センサー72または外部環境センサー73の検出湿度が予め定められた湿度よりも高く、かつ、内部環境センサー72の検出温度が、外部環境センサー73の検出温度から予め定められた許容温度差を差し引いた温度よりも低い、という条件であることが考えられる。
【0147】
なお、前記結露条件が、転写バイアス印加装置44aによって電圧が一次転写装置441を介して中間転写ベルト440に印加されたときに中間転写ベルト440に流れる漏れ電流が予め定められた許容電流を上回る、という条件であることも考えられる。この場合、画像形成装置10は、前記漏れ電流を検出する漏れ電流検出装置を備える。
【0148】
調整制御部8cは、前記結露条件が成立すると判定した場合に、処理を工程S402へ移行させ、そうでない場合に、前記第2調整管理処理を終了させる。
【0149】
<工程S402>
続いて、ジョブ制御部8bは、工程S207,S304と同様に、プリント処理装置2に前記テストプリント処理を実行させる。工程S402の処理を実行するジョブ制御部8bも、テストプリント制御部の一例である。
【0150】
<工程S403>
続いて、問合せ処理部8dが、工程S208,S305と同様に、前記問合せ処理を実行する。例えば、問合せ処理部8dは、予め定められた前記管理者に対応する1つまたは複数のホスト装置6に対して前記問合せ処理を実行する。
【0151】
さらに、工程S403において、問合せ処理部8dが、表示装置8yおよび操作装置8x通じて前記画質問合せ処理を実行することも考えられる。
【0152】
<工程S404>
続いて、調整制御部8cが、工程S403の前記画質問合せ処理において、前記テストプリント処理の前記出力画質が及第画質である旨の前記回答入力が得られたか否かを判定する。
【0153】
調整制御部8cは、前記出力画質が及第画質である旨の前記回答入力が得られたと判定する場合に、前記第2調整管理処理を終了させ、そうでない場合に、処理を工程S405へ移行させる。
【0154】
<工程S405>
工程S405において、ジョブ制御部8bが、プリント処理装置2に前記除湿処理を開始させる。
【0155】
<工程S406>
ジョブ制御部8bは、前記除湿処理を開始してから予め定められた設定時間が経過するまで、前記除湿処理を継続させる。
【0156】
<工程S407>
そして、ジョブ制御部8bは、前記設定時間が経過したときに前記除湿処理を終了させる。
【0157】
<工程S408>
続いて、調整制御部8cは、工程S405~S407の前記除湿処理が今回の前記第2調整管理処理において予め定められた上限回数未満である場合に、処理を工程S402へ移行させ、そうでない場合に、処理を工程S409へ移行させる。
【0158】
<工程S409>
工程S409において、調整制御部8cは、予め定められたエラー処理を実行する。その後、調整制御部8cは、前記第2調整管理処理を終了させる。
【0159】
例えば、工程S409の前記エラー処理は、表示装置8yおよび前記管理者に対応するホスト装置6の一方または両方に、前記除湿処理が不調に終わったことを示すメッセージを出力する処理を含む。
【0160】
以上に示されるように、問合せ処理部8dは、予め定められた前記調整開始条件または前記調整開始前条件が成立している状況下で前記プリント処理が実行されるときに、前記画質問合せ処理を実行する(
図3の工程S105および
図6の工程S403を参照)。
【0161】
また、調整制御部8cは、前記出力画質が及第画質である旨の前記回答入力が得られず、かつ、前記調整開始条件が成立する場合に、前記調整処理を実行する(
図3の工程S108に対応する
図4の工程S201~S204および
図5の工程S301~S303と、
図6の工程S405~S407とを参照)。
【0162】
前記調整処理は、前記キャリブレーション処理、前記ドラムリフレッシュ処理または前記除湿処理などである。なお、前記調整処理は、プリント処理装置2を動作させることを伴う処理である。前記調整処理は、前記プリント処理による出力画像の改善を目的として実行される。
【0163】
さらに、調整制御部8cは、前記出力画質が及第画質である旨の前記回答入力が得られる場合に、予め定められた保留解除条件が成立するまで前記調整処理の実行を保留する(
図3の工程S107およびS109と、
図6の工程S404とを参照)。
【0164】
図3に示される前記第1調整管理処理において、前記保留解除条件は、前記条件パラメーターが初期化された後に再び前記調整開始条件が成立することである。
【0165】
また、
図6に示される前記第2調整管理処理において、前記保留解除条件は、前記始動イベントが再び発生し、かつ、前記結露条件が再び成立することである。
【0166】
本実施形態によれば、前記調整開始条件が成立する場合でも、前記プリント処理の出力画像の画質が十分であるとユーザーによって判断されれば、前記調整処理によって前記プリント処理の実行が制限されることが回避される。
【0167】
また、前記調整開始条件またはその前段階の条件が成立する場合に、前記問合せ処理が前記プリント処理に応じて自動的に実行される。そのため、前記調整処理が、ユーザーによる調整開始操作に応じてのみ実行される場合とは異なり、前記調整処理が実行されないまま出力画像の画質が悪化することが回避される。
【0168】
また、前記第1調整管理処理において、問合せ処理部8dは、前記調整開始前条件が成立してから前記調整開始条件が成立するまでの間に、ユーザーの要求に応じた前記プリント処理が実行されるときに前記画質問合せ処理を実行する(
図3の工程S104,S105を参照)。
【0169】
従って、出力画像の画質の確認のためだけの前記プリント処理によってトナーが消費されてしまうことが回避される。
【0170】
また、
図3の工程S102~S104において、前記調整開始前条件が成立してから前記調整開始条件が成立するまでの間に、複数回の前記画質問合せ処理が実行される場合がある。
【0171】
上記の場合、調整制御部8cは、複数回の前記画質問合せ処理における回答結果が前記及第条件を満たさない場合に前記調整処理を実行する(
図3の工程S108に対応する
図4の工程S201~S204および
図5の工程S301~S303を参照)。
【0172】
また、調整制御部8cは、複数回の前記画質問合せ処理における前記回答結果が前記及第条件を満たす場合に、前記保留解除条件が成立するまで前記調整処理の実行を保留する(
図3の工程S107およびS109を参照)。
【0173】
なお、
図3の工程S107において前記回答結果が前記及第条件を満たさないと判定される状況は、複数回の前記画質問合せ処理において前記出力画質が及第画質である旨の前記回答入力が得られる頻度が予め定められた目標頻度を超えず、かつ、前記調整開始条件が成立する状況である。
【0174】
一方、
図3の工程S107において前記回答結果が前記及第条件を満たすと判定される状況は、複数回の前記画質問合せ処理において前記出力画質が及第画質である旨の前記回答入力が得られる頻度が前記目標頻度を超える状況である。
【0175】
従って、前記出力画像の画質の良否が、複数回の前記プリント処理の結果によってより正確に判定される。特に、複数回の前記プリント処理を要求したユーザーが異なる場合、複数のユーザーの意見が、前記出力画像の画質の良否の判定に反映される。そのため、1人のユーザーの偏った基準のみで前記出力画像の画質の良否が判定されることが回避される。
【0176】
また、
図3の工程S103,S104において、前記ユーザーの要求に応じた前記プリント処理が、外部のホスト装置6から受信した前記プリント要求に応じた前記プリント処理である場合がある。
【0177】
上記の場合、問合せ処理部8dが、ホスト装置6に対して通信を通じて前記画質問合せ処理を実行することが考えられる。これにより、ユーザーが画像形成装置10の表示装置8yに表示される前記問合せメッセージに気づかないことに起因して、問合せ処理部8dが前記回答入力を得られない、という不都合を回避できる。
【0178】
一方、
図6の工程S403において、問合せ処理部8dは、前記結露条件の成立に応じて前記テストプリント処理が実行されるときに前記画質問合せ処理を実行する。
【0179】
前記調整開始条件が、前記結露条件のように前記プリント処理を伴わない条件であっても、前記テストプリント処理が行われることにより、ユーザーが出力画像の画質を確認することができる。
【0180】
また、
図4に示されるキャリブレーション制御において、調整制御部8cは、前記キャリブレーション処理において予め定められた評価処理を実行し、さらに前記評価処理の結果が予め定められた目標条件を満たす場合に前記調整処理を終了させる(
図4の工程S202および工程S203のYes側を参照)。
【0181】
図4に示される例において、工程S202,S203の処理が前記評価処理の一例である。この場合、前記目標条件は、前記テストトナー像の検出濃度が前記目標範囲内である、という条件である。
【0182】
そして、ジョブ制御部8bは、前記評価処理の結果が前記目標条件を満たさない場合に、前記テストプリント処理をプリント処理装置2に実行させる(
図4の工程S207参照)。
【0183】
また、問合せ処理部8dは、前記評価処理に続いて前記テストプリント処理が実行されるときに前記画質問合せ処理を実行する(
図4の工程S208参照)。
【0184】
また、調整制御部8cは、前記評価処理に続く前記テストプリント処理に応じた前記画質問合せ処理において前記出力画質が及第画質である旨の前記回答入力が得られる場合に、前記キャリブレーション処理を終了させ、そうでない場合に、前記キャリブレーション処理を再実行する(
図4の工程S209および工程S209に続く工程S201~S204を参照)。
【0185】
従って、前記評価処理の結果が前記目標条件を満たす前に、前記出力画質が及第画質である旨の前記回答入力が得られれば、前記キャリブレーション処理が早く終了する。その結果、前記調整処理によって前記プリント処理の実行が制限される時間を短くすることができる。
【符号の説明】
【0186】
1 :画像読取装置
2 :プリント処理装置
3 :シート搬送装置
4 :画像形成部
4x :作像部
6 :ホスト装置
8 :制御装置
8a :主制御部
8b :ジョブ制御部
8c :調整制御部
8d :問合せ処理部
8x :操作装置
8y :表示装置
10 :画像形成装置
11 :開口
21 :シート収容部
22 :シート排出トレイ
30 :シート搬送路
31 :シート送出ローラー対
32 :シート搬送ローラー対
40 :レーザースキャニングユニット
41 :感光体
42 :帯電装置
42a :帯電バイアス印加装置
43 :現像装置
43a :現像バイアス印加装置
44 :転写装置
44a :転写バイアス印加装置
45 :ドラムクリーニング装置
46 :定着装置
46a :定着ヒーター
71 :画像濃度センサー
72 :内部環境センサー
73 :外部環境センサー
80 :CPU
81 :RAM
82 :二次記憶装置
83 :通信装置
100 :ネットワーク
440 :中間転写ベルト
441 :一次転写装置
442 :二次転写装置
443 :ベルトクリーニング装置